JP2017024063A - スライドガイド - Google Patents

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Abstract

【課題】熟練者の経験に全てを頼らず、それでいて簡易な構成で、適切なプリロード力を設定することができるスライドガイド装置を提供する。【解決手段】プレス機械に設けられるガイドブロック21と、そのガイドブロック内に移動自在に設けられるピストンユニット23と、そのピストンユニットをガイドブロックに対してギブ17側に伸長する伸縮機構とからなり、前記ピストンユニットはガイドブロックに対してスライド側に移動され、当接されるものであり、前記ピストンユニットはプリロードが加えられるものである、スライドガイド20。【選択図】図1

Description

本発明はプレス機械に用いられるスライドガイドに関する。さらに詳しくは、クリアランスをゼロに維持するスライドガイドに関する。
プレス機械におけるスライドガイドの機構として、例えば、ガイドライナとスライドのギブとの間に隙間(クリアランス)を持たせ、その隙間に油膜を形成し、その油膜に剛性を持たせて静圧軸受としたスライドガイドがある。
また、ライナとギブとの間のクリアランスを無くして高精度にスライドを昇降させるべく、無潤滑ガイドを用いたスライドガイドがある。
その他、ローラやボール等の転がり部材を用いてガイドするものがある。
特許文献1には、偏心荷重を支持し、かつスライドのガイドを行うガイド機構を備えたクランクプレス機が記載されている。そのクランクプレス機には、前後左右のコラムにそれぞれスライドガイドが設けられている。それらのスライドガイドにはピストン部材がそれぞれ設けられている。そのピストン部材はスライド側へ突出してスライドに当接し、スライドの傾きを修正する。
特許文献2には、クリアランスを維持して、スライドをガイドするガイド機構を備えたギブクリアランス調整装置が記載されている。そのプレス装置のギブクリアランス調整装置は、固定ウェッジと可動ウェッジとからなる一対のくさびを備えている。そのくさびの相対位置を変えることにより、それらの重ね幅を変更し、スライドとの間のクリアランスが調整される。
特許文献3には、プレス装置の運転中、スライドと接触してスライドをガイドするガイド機構を備えた油圧式固定シリンダ型のプレス機が記載されている。そのプレス機は、油圧シリンダで可動盤を昇降させるものである。その可動盤には、油圧でプリロードをかけたカミソリガイドが摺接し、その可動盤の昇降がガイドされる。
特開2015−37804号公報 特開2011−152553号公報 実開昭62−113896号公報
プレス機械の熱膨張あるいはライナの摩耗などによりスライドとスライドガイドの間のクリアランスは一般的に増加する傾向にある。また、スライドに偏心荷重が加わると、スライドとスライドガイドとの間の面圧が部分的に増大し、焼き付きなどの不具合の発生する懸念が生じる。
このため、スライドを高精度に案内するには、プレス装置の運転前の初期のクリアランスを維持することや、クリアランスを設けずスライドガイドにプリロードを加える際に、スライドに偏心荷重が作用していない初期のライニングの面圧が適正に維持されるようプリロードを設定することが重要である。しかし、このような設定は熟練者の経験に頼ることが多い。
例えば、特許文献3では、スライドにどの適度のプリロード力が加えられているか把握
するのが困難であり、それらの装置の設定に熟練者の経験を必要とする。
また特許文献1、2ではガイド部にクリアランスがあり、スライドにプリロードは与えられていない。
一方で、前記偏心荷重に対抗すると共に、増大するクリアランスに追従すべく、予めプリロード力を大きくしておき、運転前の初期のライニングの面圧を大きくし、熟練者の経験になるべく頼らないようにすることもできる。しかし、プリロードによるライニング面圧の過大な増加は、焼付き・異常摩耗・発熱による精度悪化の一因になる。
さらにライニングの面圧を適正な値に維持すべく、油圧回路に比例電磁式圧力制御弁やサーボ弁等を用いた電気的な制御回路を使用することもできるが、設備が大掛かりになる。
また、面圧を下げるべく、ライニング面積を大きくすると、スライドガイド装置が大きくなる傾向にある。
また、例えば、機体の温度上昇に伴う熱膨張によるクリアランスの発生は、スライドを駆動するための伝動部回転摺動部が集中するクラウン部の温度上昇に伴い、クラウンの左右または前後が他部よりも熱膨張し外側に変位することに起因する。例えば、ギブ・ライナを介してコラムが荷重を受ける構造である一般的なスライドガイドでは、クラウン部に締結又は一体化されたコラム上部はクラウンと共に外側に変位するので、ギブ・ライナ間にすきまが発生し、クリアランスを増大させる。
スライドをガイドするのに生じるいくつかの不具合を回避するなら、スライドガイドの調整に熟練者の経験を取り込めばよい。しかし、通常、そのような経験を種類の異なるプレス機械、さらには異なる使用状況に応じて個別的に設定できるように一般化するのは困難である。
一方で、熟練者の経験に頼らないで一般化しようとすると、初期のライニングの面圧を大きく見積るため不具合の一因になるし、油圧回路に電気的制御を採用するなど設備が大掛かりになり、オーバースペックになる傾向にある。
そこで本発明は、熟練者の経験に全てを頼らず、それでいて簡易な構成で、適切なプリロード力を設定することができるスライドガイド装置を提供することを課題とする。
(1)本発明のスライドガイドは、プレス機械のスライドの昇降をガイドするスライドガイドであって、前記プレス機械のフレームまたはスライドのうちいずれか一方に設けられるガイドブロックと、他方に設けられるギブと、前記ガイドブロックに移動自在に設けられると共に、その軸方向に伸縮自在なピストンユニットと、そのピストンユニットをガイドブロックに対して前記ギブ側に押圧する油圧機構と、前記プレス機械運転前のスライドとピストンユニットとの間のクリアランスをゼロにすべく、前記ピストンユニットを伸長させ、ギブに当接させる伸縮機構と、前記クリアランスをゼロにして、ピストンユニットを前記油圧機構によりギブ側に押圧して、前記ピストンユニットとギブの間でプリロードを加えることを特徴とする。
ここでスライドの昇降をガイドするとは、スライドを前後あるいは左右方向にガイドすることを含む。
(2)このようなスライドガイドにおいて、前記ガイドブロックとピストンユニットとの間に、軸方向に所定のネジ隙間を有する第1ネジ機構を備えており、その第1ネジ機構により前記ピストンユニットを螺進させ、ギブ側へ伸長させて、前記プレス機械の運転に伴い前記クリアランスが生じようとすると、プリロードにより、ピストンユニットが前記第1ネジ機構のネジ隙間の範囲内でギブ側に移動し、クリアランスゼロを維持するものが好
ましい。
(3)そして、前記油圧機構は、ガイドブロックをシリンダとして、ピストンユニットを押圧するものであり、前記ピストンユニットがギブ側からガイドブロック側に押し戻されたときに、前記ピストンの移動に基づくシリンダ容積の減少をΔV、前記シリンダ内の前記ピストンユニットが押し戻される前の初期油圧からの圧力の上昇をΔP、前記ピストンユニットが押し戻される前のシリンダ容積と連通管内の容積の合計をV、および油の体積弾性係数をKとすると、ΔP=KΔV/Vの関係にあるものが好ましい。
(4)そして、前記ピストンユニットが、ピストンおよびそのピストンの外周に第2ネジ機構を介して螺合する調整部材を備えており、その調整部材とガイドブロックとの間に前記第1ネジ機構が設けられており、前記ガイドブロックに対してピストンの回動を規制する廻り止め部材をさらに備えており、前記ピストンユニットは、前記調整部材を前記ガイドブロックに対しスライド側へ螺進させる方向へ回動させることにより、ピストンに対してスライド側に螺進するものが好ましい。
ここで廻り止め部材は、ガイドブロックに対してピストンの回動を規制するものを含む概念であり、実施形態では平行ピン25aが対応する。
(5)そして、前記第1ネジ機構のネジのリードと、第2ネジ機構のネジのリードが同じにされているものが好ましい。
(1)本発明のスライドガイドは、伸縮機構によりピストンユニットを伸長させてギブとのクリアランスをゼロにした上で、油圧機構によりギブとピストンユニットとの間にプリロードを加える。プリロードは油圧シリンダ押力(油圧×油圧シリンダ面積)であり、ライナ面圧は油圧シリンダ押力/ライナ面積である。このため、スライドに偏心荷重が作用していない状態での初期のライニングの面圧が適正に維持されるようプリロードを組み立て時に正確に設定することが容易である。
そして、ピストンユニットを伸長させた上で油圧を加えるのでピストンの移動量が小さく、必要な油が小量であるから、油圧設備が簡易である。例えば小さな油圧室があればよい。
また、設計通りのプリロードとピストンユニットのストロークを与えることができるので、機体の温度上昇に伴う熱膨張やライナ摩耗によるクリアランスの発生の防止を確実、かつ容易に行うことができる。
(2)このようなスライドガイドにおいて、前記ガイドブロックとピストンユニットとの間に、軸方向に所定のネジ隙間を有する第1ネジ機構を備えており、その第1ネジ機構により前記ピストンユニットを螺進させ、ギブ側へ伸長させて前記クリアランスをゼロとし、前記プレス機械の運転に伴い前記クリアランスが生じようとすると、油圧によるプリロード力により、ピストンユニットが前記第1ネジ機構のネジ隙間の範囲内でギブ側に移動し、クリアランスゼロを維持する場合は、第1ネジ機構による前記ピストンユニットの螺進により運転開始時のゼロクリアランスを設定できる。
また、第1ネジ機構のネジ隙間の範囲で油圧力によりピストンユニットを前進させて、熱膨張などによるコラム間の寸法の増大に追従させてゼロクリアランスを維持する。このため、運転中において、スライドはゼロクリアランスの状態で摺接ガイドされる。そしてスライドが偏心荷重を受けてピストンユニットをスライドギブと反対の方向に押して傾こうとすると、シリンダ内の油が圧縮されて圧力が上昇し、スライドの傾きを抑制する方向に作用するので、偏心荷重に対し高剛性である。
また、シリンダ(油圧室)内の油が圧縮されても、前記第1ネジ機構のネジの噛み合いがあるので、ピストンユニットが前記第1ネジ機構のネジ隙間の範囲を超えてスライドギ
ブと反対の方向に移動することはなく、偏心荷重などで大きな荷重がスライドガイドに加わってもシリンダ油圧の上昇に加え、前記第1ネジ機構のネジの噛み合いでスライドの傾きを抑制することができる。
(3)そして、前記油圧機構は、ガイドブロックをシリンダとして、ピストンユニットを押圧するものであり、前記ピストンユニットがスライドに作用する偏心荷重によりギブ側からガイドブロック側に押し戻されたときに、前記ピストンの移動に基づくシリンダ容積の減少をΔV、前記シリンダ内の前記ピストンユニットが押し戻される前の初期油圧からの圧力の上昇をΔP、前記ピストンユニットが押し戻される前のシリンダ容積と連通管内の容積の合計をV、および油の体積弾性係数をKとすると、ΔP=KΔV/Vの関係にある場合は、ΔPの大きさを測定すればスライドに作用する回転モーメントの大きさ及び方向を知ることができ、延いては偏心荷重が前後のいずれに、または左右のいずれに偏心しているのかを把握できる。
(4)そして、前記ピストンユニットが、ピストンおよびそのピストンの外周に第2ネジ機構を介して螺合する調整部材を備えており、その調整部材とガイドブロックとの間に第1ネジ機構が設けられており、前記ガイドブロックに対してピストンの回動を規制する廻り止め部材をさらに備えており、前記ピストンユニットは、前記調整部材を前記ガイドブロックに対しスライド側へ螺進させる方向へ回動させることにより、ピストンに対してスライド側に螺進する場合は、ピストンの回転が規制されているから、ゼロクリアランスおよびプリロード力の設定が容易である。
さらに、油圧機構から得られる油圧を第2ネジ機構を介してピストンからピストンユニットへ伝達することができる。
(5)そして、前記ネジ機構のネジのリードと、第2ネジ機構のネジのリードが同じにされている場合は、調整部材を回転させるとき、ピストンが移動しないので、ゼロクリアランスの設定操作が容易である。必要な油が小量であるから、油圧設備が簡易である。
図1は本発明のスライドガイドの一実施形態を示す機能ブロック図である。 図2は本発明のスライドガイドが用いられるプレス装置の一例を示す正面図である。 図3aは図2の上面図であり、図3bは図2の側面図である。 図4は図2のプレス装置におけるスライドガイドの油圧回路の全体を示す概略図である。 図5はスライドガイドを作動させる様子を示す概略工程図である。
(実施形態)
「1.プレス装置の概略説明」
まず、図2を用いて本発明に用いられるプレス装置1の概略を説明する。なお、図2では、以後の説明を容易にするため、前方(図3aの矢印参照)のコラム4、4を省略しており、後方のコラム4、4のみ図示している。
そのプレス装置1に本発明のスライドガイド20(図1参照)が用いられている。図2では、スライドが下死点にある状態を示している。その図に示すプレス装置1は、ストレートサイドフレーム2を備えている。そのフレーム2は、例えばベッド3と、そのベッド3の前後左右4箇所(図3a参照)から立ち上がるコラム4と、それらのコラム4の上端に設けられるクラウン5と、前記ベッド3、コラム4およびクラウン5に予圧をかけて、それらを一体に締結するタイロッド6とから構成される。前記ベッド3の上面には、ボルスタ7が設けられている。
なお、他のタイプのフレームを用いてもよい。
前記タイロッド6はコラム4の内部を上下方向に貫通しており、その上下の端部がクラウン5の上面およびベッド3の下面からそれぞれ突出している。それら上下の突出している部位にナット6a(上面のみ図示)がそれぞれ螺合され、それらの締結力により前記ベッド3、コラム4およびクラウン5が一体に締結されている。
前記クラウン5の内部には、プレス駆動用のモータ8と、そのモータ8によりベルト8aを介して駆動されるフライホイール8bと、そのフライホイールの回転力がクラッチ8cを介して伝達されるクランク軸9と、それらにより昇降される左右のコンロッド10、10とが設けられている。それらのコンロッド10、10を介してスライド11は上下動する。
また、前記スライド11の下面には上型12が取り付けられ、前記ボルスタ7の上面には下型13が取り付けられている。
なお、前記プレス駆動用のモータにサーボモータを採用し、その回転力をフライホイール8b、クラッチ8cを介さずにクランク軸9に伝達するようにしてもよい。
前記スライド11は、4本のコラム4にそれぞれ2つ設けられた計8つのスライドガイド20およびスライド11に設けられた8つのスライドガイド20(全体で16個)により、その昇降がガイドされる。
これらのスライドガイド20によるガイドはスライド11あるいはコラム4に設けられたギブ17に接触した状態で行われており、それらとギブ17との間のクリアランスはゼロである。
これらのスライドガイド20のうち、主にコラム4に設ける場合について説明し、スライド11側に設ける場合については、必要に応じてその都度説明する。
図3aおよび図3bを用いてスライドガイド20によりガイドされる被ガイド部14について説明する。なお、ここから先、前後左右とは、図3aに示す矢印の方向を示す。さらに図3bでは、台座15およびそれに設けられるスライドガイド20を図示せず、本来は台座15に隠れて見えないはずの被ガイド部14を図示している。
図3aに示すように、前記スライド11には、その四方からそれぞれ上方の被ガイド部14が突出している。それらの被ガイド部14は、スライドの左右の側面のぞれぞれの前後の端部付近から突出している。さらに、図3bに示すように、スライド11の下方には、下方の被ガイド部14がそれぞれ設けられている。それらの下方の被ガイド部14は、前記上方の被ガイド部14と同じように四方に設けられており、同じ形状である。
前記上方の被ガイド部14および下方の被ガイド部14はスライド11の上下方向に対する傾きに対抗するようにスライド11をガイドする。
スライド11側に設けられている被ガイド部14は、全体で8個あり、本実施形態においてそれらが備えている主要な構成は同じである。このため、これらの被ガイド部14のうち図3aに示す左前の被ガイド部14を説明して、同じ部分には同じ符号を付して他の被ガイド部の説明は省略する。
前記左前の被ガイド部14は、スライド11に作用する左右方向の荷重をコラム側のスライドガイド20へ伝達する左右受面14aを備えている。
また、その被ガイド部14の前側の面は、スライド11側に設けられるスライドガイド20の台座となる台座面14bである。その台座面14bと前記左右受面14aは直交している。その台座面14bはスライド11の上方に4つ、下方に4つで、全体で8つ設けられている。台座面14bとコラム側のガイド部16の前後受面16aとの間にスライドガイド20が取付けられている。図3では簡単のためガイドブロック21を図示せず球面
軸受けのみを拡大して図示しているが、実際には図1に対応したスライドガイド20が取付けられている。
但し図1の通りではなく、図1のガイドブロック21の左側が台座面14bに当接するように取付けられる。
前記左右受面14a及び前後の受面16aの表面には、厚さ20mm程度のギブ17がネジにより固定されている。それらギブの材質は、本実施形態では合金鋼であり、真鍮、砲金、鉄などを用いてもよい。
一方、図3aに示すように、前記4本のコラム4には、それぞれスライド11をその四方からガイドすべく4つのスライドガイド20のための台座15が設けられている。図3aに示す4本のコラム4には、それぞれ上方の台座15が設けられている。
さらに、図2に示すように、下方の被ガイド部14に対応するように、下方の台座15が設けられている。その下方の台座15は、前記上方の台座15と同じように四方に設けられており、ほぼ同じ形状である。
前記上下の台座15、15は各4つで、合計で8つある。本実施形態においてそれらが備えている主要な構成は同じである。このため、上方の台座15のうち左前のものを説明して、同じ部分には同じ符号を付して他の台座の説明は省略する。前記上方の台座15は、前記スライド11の左右受面14aに対向する左右支持面15aを有している。この左右支持面15aにスライドガイド20が取付けられ、前記スライド11の左右受面14aをガイドする。なお、図3では簡単のためガイドブロック21を図示せず球面軸受けのみを拡大して図示しているが、実際には図1に対応したスライドガイド20が取付けられている。
一方、コラム4側には、前記スライド11の台座面14bに設けたスライドガイド20に対応する前後受面16aを有するガイド部16が設けられている。そのコラム側のガイド部16は全体で8つ設けられている。
前記台座15およびコラムのガイド部16は、それぞれ左前コラム4の後面から後方に延びている。そして、台座15の方が長く後方に延び、その右面を前記スライド11の左右受面14aに対向するように配置されている。一方、コラムのガイド部16は、その後面の前後受面16aが前記スライド11の台座面14bに対向する位置に配置されている。
図2に示すようにスライド11の左右方向に偏荷重が加わると、コラム4側のスライドガイド20がその荷重を支持する。一方、図3bに示すようにスライド11の前後方向に偏荷重が加わると、スライド11側のスライドガイド20がその荷重を支持する。
例えば、スライド11側にガイドブロック21を設けると、油圧回路をスライド内でコンパクトに完結させることができる。一方、コラム4側に設ける場合は同一系統の配管だけでも、例えば左前コラム上側、左後コラム下側、右前コラム上側、右後コラム下側というように、ベッド3を経由して全コラムに引き回さなければならない。
さらに例えば、油受けの配置(ダイエリアを避けてサイドオープニング側)、ガイドのスパンを長くすべく(対偏心モーメント)、左右用と前後用の高さ位置を重ねるために、コラム4とスライド11に分けてガイドブロック21を取付けるのがよい。
「2.スライドガイドの概略」
図1を用いて、本発明の一実施形態であるスライドガイドの概略を説明する。このスライドガイド20は、プレス装置のコラム4に設けられるガイドブロック21と、そのガイドブロックに移動自在に設けられるピストンユニット23とを備えている。そのピストンユニット23とガイドブロック21との間には、第1ネジ機構22が設けられている。そ
のピストンユニット23には、それを軸方向に伸縮する伸縮機構28を備えている。その伸縮機構28は、前記ピストンユニット23を伸長させ、ギブ17に当接させるものである。さらに、前記スライドガイド20は、ピストンユニット23をガイドブロックに対してスライド側に押圧する油圧機構40を備えている。
前記ガイドブロック21は、コラム4に、例えばボルト4aで締結されている。そのガイドブロックは、内部に前記ピストンユニット23を収納する有底の円柱状の内室を有している。その内室の底部21aから中間付近までは油圧シリンダとして作用するシリンダ室24であり、そこから開口付近までの先端側はネジ機構22のメネジ22aが形成された部位である。そして、その開口端付近は大径にされている。
前記シリンダ室24の底部21a付近のガイドブロック21の外壁には、シリンダ室24内に連通する油圧用の給油口21bが設けられている。その給油口21bは油圧機構40と連通している。
また、その給油口21bの先端側のガイドブロック21の外壁には、潤滑油の供給口21cが設けられている。その供給口21cから後述するライナ29aへ潤滑油が供給される。
前記ピストンユニット23は、ピストン25と、そのピストンと一体となって移動する調節ネジ26とを備えている。その調節ネジ26の外周には、前記第1ネジ機構のオネジ22bが形成されている。さらに、前記調節ネジ26の先端付近には、球面軸受27を介してライナホルダ29が設けられている。そのライナホルダ29にはライナ29aが設けられている。
前記伸縮機構28は、ピストン25、調節ネジ26および第2ネジ機構33を含んでいる。
前記ピストン25は、前記シリンダ室24の内周面に摺接して移動する基端側の大径部30と、段部31を介して先端側に延びている円柱状の小径部32とからなる。
前記シリンダ室24の底部21aの内面、シリンダ室24の内周面およびピストンの大径部30の基端面とで囲まれる部屋が油圧室25cである。
前記大径部30の基端には平行ピン25aがガイドブロックの底部21aを貫通して差し込まれている。その平行ピン25aは、ピストン25がガイドブロック21に対して回動するのを防止する廻り止め機構として作用する。
また、大径部30の側面外周には受油口30aが環状に設けられている。この受油口30aは軸方向に幅広の形状を呈しており、ピストン25が移動しても前記潤滑油の供給口21cとの連通状態を維持する。その受油口30aは、ピストン25の内部を貫通する連通路25bに連通している。その連通路25bは小径部32の先端まで延び、前記ライナ29aとギブ17との摺動面に潤滑油を供給する。
前記小径部32は、シリンダ25の大径部30を基端としてガイドブロック21の開口端側に伸びており、その先端の外周にオネジ33bが形成されている。
前記調節ネジ26は、内部にピストン25の小径部32を通す筒状の部材である。先端側には半径方向の外向きに延びている調節部26aを備えている。その調節部が形成される付近の内面には、前記小径部32のオネジ33bと螺合するメネジ33aが形成されている。これらメネジ33aおよびオネジ33bは第2ネジ機構33を構成している。
一方、基端側の内面は小径部32の周面と摺接している。
前記調節ネジ26の外周には、前記第1ネジ機構22のオネジ22bが形成されている。
本実施形態では、第1ネジ機構は直径56mmのメートルネジ、そして第2ネジ機構33は直径20mmのメートルネジを採用している。そのメートルネジはJIS規格で定められたメートル細目ネジの基準山形を有している。どちらも右ネジで、リードは等しい。
なお、前記第1ネジ機構22は軸方向に0.05〜0.3mm程度のガタを有しているのが好ましい。
そして、本実施形態においては、前記調節ネジ26を手で廻すため、その調節部26aの外面形状は、例えばスパナを掛ける六角形ないし四角形にされている。
前記球面軸受27は、調節ネジ26の先端に設けられた半球状のボール部27aと、そのボール部27aを受ける皿状の受皿部27bとからなる。
その受皿部27bはライナホルダ29に設けられている。また、前記ピストンの小径部32はボール部27aの中心を貫通している。そして、その小径部32のさらに先端に設けられた突出部32aは、ライナホルダ29に挿し込まれている。その突出部32aの先端面には潤滑油の連通路25bが連通しており、ライナホルダ29およびライナ29aを貫通し、ギブ17に至る流路が形成されている。
前記ライナ29aは、テフロン(登録商標)系含浸多孔質バイメタル等の自己潤滑性軸受け材である。
図4に図2のプレス機械に用いられる油圧回路の概略図を示す。この油圧回路に示される前記油圧機構40は、スライドの左右方向のスライドガイドのための左右の油圧機構41および前後方向のスライドガイドのための前後の油圧機構42とからなる。
なお、図4に示す油圧回路では、多くの部分で回路が重複しており、一対で設けられている部分が多い。このため、一方の回路を説明し、同じ構成には同じ符号を付して、他方の回路の説明を省略する。
前記左右の油圧機構41と前後の油圧機構42は同じであるので、左右の油圧機構41を説明する。
前記左右の油圧機構41は前または後ろから見て対角の配置にあるスライドガイドを1つの油圧系統にまとめている。例えば、スライドのフロントとバック両サイドの右上のスライドガイド20RUおよび左下のスライドガイド20LLのための一方の油圧回路41aと、スライドのフロントとバック両サイドの左上のスライドガイド20LUおよび右下のスライドガイド20RLのための他方の油圧回路41bとからなる。これら油圧回路41aと41bは互いに独立しており、スライドを前から見て右回転させようとする偏心荷重を受けた際には、油圧回路41aの油が圧縮されて圧力が上昇し、スライドの傾きを抑制する方向に作用する。またスライドを前から見て左回転させようとする偏心荷重を受けた際には、油圧回路41bの油が圧縮されて圧力が上昇し、スライドの傾きを抑制する方向に作用する。即ち油圧回路41aと41bのそれぞれにおいて、偏芯荷重を受けた際にその内部の油圧力が増大するスライドガイドの油圧室25c同士が連通している。
なお、これらの油圧回路41a、41bは、ほぼ同じ構成であるから、一方の油圧回路41aを説明し、他方の油圧回路41bの説明は省略する。
前記一方の油圧回路41aは、供給回路、戻り回路およびリリーフ回路からなる。
前記供給回路は、油が貯油されたタンク44と、そのタンク44からフィルタ44aを通過した油を送り出すエアブースターポンプ45とからなる。そのエアブースターポンプ45から送られる油は、途中でスライドの前側と後側に分岐し、その後にさらにそれぞれ2つに分岐して、上下のスライドガイドに送られる。
前記エアブースターポンプ45は、空気圧を駆動源にして油を吐出すると共に高圧に増圧する従来公知の装置であり、内部に温度補正バルブを備えている。温度補正バルブは、周囲温度の変化に伴う油温度上昇に起因した油の膨張による油圧上昇や、プレス装置のフレームなどの熱膨張および収縮に基づくピストンの緩やかな移動によるシリンダの容積変
化に起因する油圧上昇を防ぐように、常時微量の油をリークする。
前記空気圧は、エアー源49から供給されており、エアブースターポンプ45が油を所望の圧力に増圧するように、エアレギュレータ48によって圧力が設定される。
一方、戻り回路は、各油圧室25cとタンク44の間に設けられており、各油圧室25cの油を再び前記タンク44に戻す回路である。
その戻り回路は、各油圧室25cの油を1つにまとめた後に、逆止弁43、そして電磁弁46を介してタンク44に通じている。その電磁弁46は常時閉である。この弁は、スライドガイド20の油圧を解除する際に、開信号などに基づいて開く。
前記リリーフ回路は、油圧回路に所定以上の油圧がかかるとリリーフ弁47が開いて、油をタンク44に排油して油圧回路に加わる圧力を逃がす回路である。そのリリーフ回路は、エアブースターポンプ45を出た後に分岐し、供給回路と分かれている。
そのリリーフ弁47は、エアレギュレータ48の設定ミスや故障による過大な油圧上昇を防いでライナの焼付けを防止する。
前記供給回路には、逆止弁43が設けられている。このため一方の油圧回路41aに荷重が加わったとしても、その荷重は他方の油圧回路41b側へ加わるのが防止される。
プレス装置のスライド11に偏心荷重が作用し、スライド11が傾くと、スライドガイド20は、ギブ17からの力を受け、前記調節ネジ26が前記第1ネジ機構22のネジ隙間dの範囲内で図5の左側に移動する。そうすると、前記第2ネジ機構33を介してピストン25も前記調節ネジ26と一緒に図5の左側に移動する。
連通する4か所のスライドガイド20のピストン25の移動に伴う4か所の油圧室25cの容積の減少分の合計をΔVとし、エアブースターポンプ45から4か所のスライドガイド20を結ぶ連通管内の容積と偏心荷重が作用する前の4か所のスライドガイド20の油圧室25cの合計容積をVとすれば、油圧室25cの容積の減少による4か所のスライドガイド20の油圧室25cの油圧力の上昇分ΔPは、ΔP=KΔV/V(式1)で表される。ここで、Kは油の体積弾性係数である。
ここで、スライド11に偏心荷重が作用したときに、コラム4から遠ざかろうとする位置にあるスライドガイド20の油圧室20cの油圧力は、レギュレータ48により設定されたエアブースターポンプ45の吐出圧で決まる初期の油圧力から上昇しない。
すなわち、コラム4から遠ざかろうとする位置にある4か所のスライドガイド20の油圧室20cの油圧力は上昇しないので、これら4か所のスライドガイド20がスライド11を押す力は偏心荷重がスライド11に作用していないときのプリロードがそのまま維持される。
また、近づこうとする位置にあるスライドガイド20の油圧室25cの油圧力は上昇(ΔP)するので、これら4か所のスライドガイド20がスライド11を押す力は偏心荷重が作用しないときの当初のプリロード力より、ピストン25の有効断面積(シリンダ室24の断面積)にΔPを乗じた分だけ大きくなる。
そして、この偏心荷重がスライド11に作用したときの、コラム4に近づこうとする位置にあるスライドガイド20と、コラム4から遠ざかろうとする位置にあるスライドガイド20との、スライド11を押す力の差により偏心荷重によるスライドの回転が抑制される。
(実施例)
一例として、プレス機械の熱膨張により対向するコラムギブの間隔が広がり、ピストンユニット23が前記第1ネジ機構22のネジ隙間dの範囲内で図5の右側に移動しているときにスライド11に偏心荷重が加わり、図5のS4の状態からS3の状態にピストン25が0.1mm押し戻される際に、そのピストン25が受ける荷重を算出する。
前提となるパラメータは、油圧室25cとしては、その内径D70mm、長さL5mm、断面積A38.5cmである。そして油圧機構40としては、配管内径Dp5mm、配管長Lp3000mm、配管容積Vp58.9cmである。これらにより、スライドに偏心荷重が作用する前のシリンダの容積+配管の容積の合計Vは78.1cmとなり、増加したシリンダの容積ΔVは0.385cmとなる。また、体積弾性係数Kは1.5GPaである。
これらから必要な値を式1に代入し、圧力増加分ΔP=0.0074GPaが得られる。このため、スライドに偏心荷重が加わった際にピストン25が0.1mm押し戻されたスライドガイド20は、スライド11を押圧する力Fを28.4kN増加させ、スライドの傾きを抑制することが予想される。
「3.スライドガイドの作動する様子」
次に図5を用いて、プレス機械の設計からスライドガイド20を作動させるまでの様子を説明する。なお、コラム側に設けたスライドガイド20について説明し、スライド側に設けたスライドガイド20の説明は省略する。
(設計・組立):図2のプレス装置の設計段階において、プレス装置のフレームなどの熱膨張が起きていない状態における対向するコラムギブの間隔に対し、プレス装置が連続してプレス作業を行いフレームなどの熱膨張が起きた状態において前記間隔がどれだけ増加するかを予測する。
スライドガイド20の設計に際しては、その予測の範囲を満たすネジ隙間をスライドガイド20の第1ネジ機構に設定する。
(S1):組み立てられたプレス機械1の初期の状態として、スライドガイド20は、スライド11に接していない。このとき、第1ネジ機構22のメネジ22aおよびオネジ22bには荷重は加わっていない、いわば自由な状態である。そして、スライド11は横方向の力が加えられず、自然に吊られている状態である。
(S2):次いで、前記調節部26a(六角部)をオネジ22bを抜く方向、すなわち右ネジであるなら左方向に回動して、ピストンユニット23の調節ネジ26をガイドブロック21に対してスライド11側に螺進させ、ライナ29aをギブ17に当接させる。これによりクリアランスはゼロになる。この操作では、シリンダ室24に油圧をかけない。そのため、調節部26aの回動はスムーズである。
さらに詳細には、ピストン25は平行ピン25a(図1参照)が挿し込まれているため回動しない。前記調節ネジ26は左方向に回動され、外側の第1ネジ機構22によりガイドブロック21に対してギブ17側(図の右側)に螺進する。その上で、調節ネジ26の内側に設けられた第2ネジ機構33により、調節ネジ26はピストン25に対してスライド11側に移動する。そして第1ネジ機構22と第2ネジ機構33の1回転当たりの移動量(リード)が同一であるため、調節ネジ26のみがスライド11側に移動し、ピストン25は移動しない。そして、油圧室の容積に変化はなく、調節部26aの回動の大きな抵抗にならない。
次いで、そのピストン25の先端に設けられたライナ29aがスライドのギブ17に接する。このとき、外側の第1ネジ機構22のメネジ22aとオネジ22bの間にネジ隙間d(工程S2参照)が形成されている。
そして、前記調節部26aを右ネジであるなら左方向に回動することにより、第1ネジ機構22のメネジ22aのネジ山の右斜面とオネジ22bのネジ山の左斜面とが当接する。一方で、内側では第2ネジ機構33のメネジ33aのネジ山の左斜面はオネジ33bのネジ山の右斜面に当接している。
(S3):次いで、油圧機構40により油圧室25cの油を加圧し、ピストン25をスライド11側に押圧させ、プリロードをかける。そうすると、前記第2ネジ機構33のネジ山の斜面の当接面が強く当接し、このプリロード力は、調節ネジ26に伝達される。
プリロード力が調節ネジ26に伝達されると、第1ネジ機構22のネジ山の斜面では当接力が弱くなり、場合によっては隙間dが生ずる。このときスライド11を挟んで対角のスライドガイド20の油圧室25cの油も同時に加圧するので、これにより調節ネジ26は左右からほぼ同等な力を受け、左右方向へ移動できずロックされる。前述のように、プリロード力は前記第2ネジ機構33のネジ山の斜面の当接面を強く当接しているので、ピストン25に対して調節ネジ26の廻り止めとして作用する。
その後、後述する据え付け工程に示すように、各ピストンユニットの伸縮を調節する。
(S4):次いで、プレス装置の運転による機体の温度上昇によりコラム間の距離が増大すると、そのライナ29aとギブ17間にクリアランスが発生しないように、プリロード力が加えられたピストン25が相対的にスライド側に移動し、摺動面のクリアランスゼロを維持する。
このとき、前記ネジ隙間dの範囲内でピストン25は移動する。そのピストン25の最大移動量はネジ隙間dである。
図5のS4ではピストン25が最大移動量移動し、第1ネジ機構のメネジ22aのネジ山の左斜面とオネジ22bのネジ山の右斜面とが当接しているが、機体の温度上昇の程度やネジ隙間dの設定によっては、コラム間の距離が増大してもメネジ22aのネジ山とオネジ22bのネジ山は当接しない。
(S5):スライドガイド20が前記S4の状態のとき、スライド11に荷重中心がプレス中心より左にある偏心荷重が加わると(図1参照)、図の右上および左下のスライドガイド20には、スライド側からスライドを挟んでそれぞれ対角位置にある左上および右下のスライドガイド20のプリロードに加え、偏心荷重がスライド11に生じさせる回転モーメントによる力が加わる。その力は図の右上および左下のスライドガイド20のプリロードの値を超えるので、前記ネジ隙間dの間でピストン25は押されて左側へ移動する。偏心荷重によりピストン25をスライド側から押し戻す力が増大し、メネジ22aのネジ山の右斜面とオネジ22bのネジ山の左斜面とが当接すると、それ以降さらに増大する分のスライド側からスライドガイド20に作用する力は、第1ネジ機構22のネジ山が負担しスライド11を支持する。
プリロードを加えるとき油圧によるピストンのストロークは、最大でも第1ネジ機構の軸方向の所定のネジ隙間分だけなので、最初にクリアランスをゼロにするためにはピストンユニットの伸縮機構が必要である。
予め調節部の回転によりライナ部をギブに当接させておくのは、その後に油圧で押圧してもギブ間隔の広がりに追従してピストンが移動できるのが、第1ネジ機構の軸方向の所定のネジ隙間分だけだからである。
またプレス装置のフレームの温度上昇はゆっくりとしたものであり、それに伴うコラムギブ間の間隔の増加もゆっくりとしたものなので、油圧装置に大きな吐出量は必要ない。従ってコンパクトなエアブースターポンプの使用が可能であり、ピストンのストロークも第1ネジ機構の軸方向の所定のネジ隙間分と小さく、作動油タンク内の油量の変動も殆どないので、作動油タンクの容量も小さいもので十分である。
(据え付け):油圧で押圧する前にシリンダを脱圧した状態で、調節部の回転だけ(ねじだけ)でピストンユニットを伸ばしてライナをギブに当接させ、機体の温度が上昇し対向するギブ同士の間隔が広がる前の初期状態でスライドの前後及び左右の位置決めを行い、
その後油圧によるプリロードを加え、微速運転でスライド昇降時のボルスタに対する直角度、スライド下面とボルスタ上面の平行度、それぞれの精度を出す。
全てのスライドガイドについて、シリンダ油圧を脱圧させた状態(図5のS1)から、調節部の回転だけ(ねじだけ)でピストンユニットを伸ばしてライナをギブに当接させクリアランスをゼロにする(図5のS2)。
この状態から油圧機構の全ての油圧系統の油圧を発生させ、全てのスライドガイドのピストンを押圧する。対向側のスライドガイドのライナもギブに当接しているので調節ネジはギブ側に移動することができず、第1ネジ機構のネジの当たり方向は変化しない。
その後、油圧で押圧しながらプレスを微速で運転し、スライド運動のボルスタ上面に対する直角度、スライド下死点におけるスライド下面とボルスタ上面の平行度を測定する。その結果それらに必要な精度が得られなければ、再びピストンの油圧を脱圧し、精度が得られるような向きに調節部を回転させる。
再びプレスを微速で運転し、直角度と平行度を測定する。
これらの必要な精度が得られまで、各ピストンユニットの伸縮を調節する。このような調節は、工場にプレス機械を据え付けたときに行うプレス装置の精度出しであり、その後の通常運転の際は通常は不要である。
(変形例)
左右受面14aおよび前後受面16aがなす角度は、必ずしも直角でなくてもよいが、その場合でも、例えばスライドに加わる左右方向成分および前後方向成分のそれぞれをなるべく左右受面14aおよび前後受面16aのそれぞれで受けられるような配置が好ましい。
また、例えばスライドの右側面と前面とが交わる稜線を落とすようにカットして、そのカットした面で前後・左右の荷重を同時に受けるようにしてもよい。
さらに、全てのスライドガイド20にそれぞれ油圧のエアブースターポンプ45を設けてもよい。
また、ネジ機構22、33のネジ山の形状としては、三角ネジ、角ネジあるいは台形ネジを用いるのが好ましい。
さらに、本実施形態では1条ネジであるが、複数の条数のネジを用いて、高い負荷が加わった際に、その荷重を安定して支持できるようにしてもよい。
さらに、第1ネジ機構22と第2ネジ機構33とでリードが等しくしなくてもよく、調節部の移動の際にピストンが多少移動してもよい。
また、前後方向を支持するスライドガイド20はスライド11側に設けているが、コラム側に設けてもよい。反対に、左右方向を支持するスライドガイド20をスライド側に設けてもよい。
(他の実施形態)
前述の実施形態では伸縮機構を設けて、ゼロクリアランスの設定の際に圧力室の容積が変わらなかったが、伸縮機構を設けないで、調節ネジの移動と共にピストンが移動するようにしてもよい。
例えば、第1ネジ機構22と第2ネジ機構33のうち一方を他方と逆向きのネジにすると、調節ネジの移動と共にピストンが移動する。
内側の第2ネジ機構33の代わりに、ピストン25から調節ネジ26に油圧機構40の油圧による押圧力が伝達するような引っ掛け部材を設けてもよい。例えば、前記ネジ機構33のオネジ33bの代わりにピストンに鍔状の押し部材(図示せず)を設け、前記メネジ33aの代わりに前記鍔状の部材に当接する鍔状の受け部材(図示せず)を設けてもよ
い。
本発明によれば、このプリロードをエアブースターポンプ45の吐出圧を設定する空圧レギュレータで容易に設定できるので、プリロード力を誤って過大に設定することもなくなり、ガイドの発熱や異常摩耗を防ぐことができる。
ギブ間隔の広がりに追従してピストン25がギブ17側に移動(前進)し、油圧力によりゼロクリアランスでスライド11をガイドすることになるが、偏心荷重により油が圧縮される側のスライドガイドの油圧室の油圧がΔP上昇しても、スライドを挟んでそのスライドガイドと反対側の(対角に位置する)スライドガイドの油圧室にはΔPは発生していないので、スライドを挟んだ両側のスライドガイドのスライドを押圧する力に差が生じ、スライドの傾きを抑制する。
ピストンユニットは、偏心荷重によりネジ隙間分だけ油の圧縮側へ移動すると、前記第1ネジ機構のかみ合いにより、それ以上は移動できなくなりスライドの傾きは抑制される。
プリロード力の大きさを容易に知り、且つ設定できることは、ガイドの発熱や異常摩耗を防ぐという利点がある。
また、ΔPの大きさを知ることにより以下のメリットがある。
例えば、複数のポイントを持つプレスの、プレス負荷時にそれぞれのポイントが負担する荷重の差を測定すれば、特定の方向についての偏心荷重の有無と、それによりスライドに作用する回転モーメントの大きさを算出できる。
通常、1ポイントプレスにおいてはポイントが負担する荷重を測定しても偏心荷重の有無すら分からない。これに対し、本発明のスライドガイドは1ポイントプレスにおいても、スライドガイド20の各油圧室25cの油圧を計測するための油圧センサを取り付けて、プレス無負荷時と負荷時のスライドガイド20の油圧力を測定し比較することにより、前後いずれの方向に対しても偏心荷重の有無と、それによりスライド11に作用する回転モーメントの大きさを算出できる。
従って、プレス作業エリアのどの位置に金型をセットすれば偏心荷重の発生を小さく抑え、製品精度を向上できるかを判断することが容易になる。
また偏心荷重を減少させるための金型自体の改造にあたっても有用なデータを提供できる。油圧センサはすべてのスライドガイド毎に設ける必要はなく、連通するスライドガイド20について一つあれば良い。
1 プレス装置
2 ストレートサイドフレーム
3 ベッド
4 コラム
4a ボルト
5 クラウン
6 タイロッド
6a タイロッドナット
7 ボルスタ
8 モータ
8a ベルト
8b フライホイール
8c クラッチ
9 クランク軸
10 コンロッド
11 スライド
12 上型
13 下型
14 スライド側の被ガイド部
14a 左右受面
14b 台座面(スライド側)
15 コラム側の台座
15a 左右支持部
16 コラム側のガイド部
16a 前後受面
17 ギブ
20 スライドガイド
20LU 左上のスライドガイド
20LL 左下のスライドガイド
20RU 右上のスライドガイド
20RL 右下のスライドガイド
21 ガイドブロック
21a 底部
22 第1ネジ機構
22a メネジ
22b オネジ
23 ピストンユニット
24 シリンダ室
25 ピストン
25a 平行ピン
25b 連通路
25c 油圧室
26 調節ネジ
26a 調節部
27 球面軸受
27a ボール部
27b 受皿部
28 伸縮機構
29 ライナホルダ
29a ライナ
30 大形部
30a 受油口
31 段部
32 小径部
32a 突出部
33 第2ネジ機構
33a メネジ
33b オネジ
40 油圧機構
41 前後の油圧機構
41a 一方の油圧回路
41b 他方の油圧回路
42 左右の油圧機構
43 逆止弁
44 タンク
45 エアブースターポンプ
46 電磁弁
47 リリーフ弁
48 エアレギュレータ
49 エアー源
(1)本発明のスライドガイドは、プレス機械のスライドの昇降をガイドするスライドガイドであって、前記プレス機械のフレームまたはスライドのうちいずれか一方に設けられるガイドブロックと、他方に設けられるギブと、前記ガイドブロックに移動自在に設けられると共に、その軸方向に伸縮自在なピストンユニットと、そのピストンユニットをガイドブロックに対して前記ギブ側に押圧する油圧機構と、前記プレス機械運転前のスライドとピストンユニットとの間のクリアランスをゼロにすべく、前記ピストンユニットを伸長させ、ギブに当接させる伸縮機構とを備え、前記伸縮機構によりクリアランスをゼロにした後、ピストンユニットを前記油圧機構によりギブ側に押圧して、前記ピストンユニットとギブの間でプリロードを加えることを特徴とする。
ここでスライドの昇降をガイドするとは、スライドを前後あるいは左右方向にガイドすることを含む。

Claims (5)

  1. プレス機械のスライドの昇降をガイドするスライドガイドであって、
    前記プレス機械のフレームまたはスライドのうちいずれか一方に設けられるガイドブロックと、
    他方に設けられるギブと、
    前記ガイドブロックに移動自在に設けられると共に、その軸方向に伸縮自在なピストンユニットと、
    そのピストンユニットをガイドブロックに対して前記ギブ側に押圧する油圧機構と、
    前記プレス機械運転前のスライドとピストンユニットとの間のクリアランスをゼロにすべく、前記ピストンユニットを伸長させ、ギブに当接させる伸縮機構と、
    前記クリアランスをゼロにして、ピストンユニットを前記油圧機構によりギブ側に押圧して、前記ピストンユニットとギブの間でプリロードを加える、スライドガイド。
  2. 前記ガイドブロックとピストンユニットとの間に、軸方向に所定のネジ隙間を有する第1ネジ機構を備えており、
    その第1ネジ機構により前記ピストンユニットを螺進させ、ギブ側へ伸長させて、
    前記プレス機械の運転に伴い前記クリアランスが生じようとすると、プリロードにより、ピストンユニットが前記第1ネジ機構のネジ隙間の範囲内でギブ側に移動し、クリアランスゼロを維持する、請求項1記載のスライドガイド。
  3. 前記油圧機構は、ガイドブロックをシリンダとして、ピストンユニットを押圧するものであり、
    前記ピストンユニットがギブ側からガイドブロック側に押し戻されたときに、前記ピストンの移動に基づくシリンダ容積の減少をΔV、前記シリンダ内の前記ピストンユニットが押し戻される前の初期油圧からの圧力の上昇をΔP、前記ピストンユニットが押し戻される前のシリンダ容積と連通管内の容積の合計をV、および油の体積弾性係数をKとすると、ΔP=KΔV/Vの関係にある、請求項2記載のスライドガイド。
  4. 前記ピストンユニットが、ピストンおよびそのピストンの外周に第2ネジ機構を介して螺合する調整部材を備えており、
    その調整部材とガイドブロックとの間に前記第1ネジ機構が設けられており、
    前記ガイドブロックに対してピストンの回動を規制する廻り止め部材をさらに備えており、
    前記ピストンユニットは、前記調整部材を前記ガイドブロックに対しスライド側へ螺進させる方向へ回動させることにより、ピストンに対してスライド側に螺進するものである、請求項2または3記載のスライドガイド。
  5. 前記第1ネジ機構のネジのリードと、第2ネジ機構のネジのリードが同じにされている請求項4記載のスライドガイド。
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