JP2017020453A - 拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用 - Google Patents

拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐腐食性、耐摩耗性を向上させつつ、変形を抑制できる拡散部材を提供する。
【解決手段】 排気管内に設置されて、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する基材からなる拡散部材であって、厚みが1〜30mmであり、上記基材はセラミックで構成されていることを特徴とする拡散部材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用に関する。
ディーゼル機関においてはNOxの発生が不可避であるため、これを除去する方法が必須となっている。NOxの除去としては、還元剤として尿素を用いた選択的触媒還元システム(尿素SCRシステム)が実用化されている。
尿素SCRシステムでは、尿素水を排気管内に噴射する。噴射された尿素水は排ガスの熱により加水分解を起こしてアンモニアとなり、NOxをNへと還元する還元剤として作用する。従って、排ガス中のNOxを充分に還元するためには、還元剤であるアンモニアと排ガスを充分に混合する必要がある。
なお、排気管内において排ガスを充分に混合することは、尿素SCRに限らず、各種センサを用いる場合にも重要である。
上述した尿素SCRシステム等において、排気管の内径が充分に大きい場合、排ガスは充分に混合されるが、車両構造の制限等のため、排気管の内径を充分に大きくできないことがある。このような場合に排ガスを混合する方法として、特許文献1には、排気管内に静止ミキサを設ける方法が開示されており、特許文献2には、排気管内に混合器やスワラーを設け、排ガスに旋回流を発生させる方法が開示されている。また、特許文献3には、尿素水溶液の均一拡散を促進するために、連通管に網目状などの拡散部材を設置すること、及び、アンモニアによって金属が腐食されることが開示されている。
特表2001−516635号公報 特開2008−280882号公報 特開2013−119772号公報
しかしながら、特許文献1に記載された静止ミキサや特許文献2に記載された混合器・スワラーを用いた場合、排ガスの熱エネルギーが静止ミキサ、混合器及びスワラーに奪われてしまうことによって、排ガスの温度が低下してしまうという問題があった。排ガスの温度が、下流に搭載された排ガス浄化触媒の作動温度域よりも低下した場合、充分な浄化作用を発揮することができないことがあった。特許文献1には、静止ミキサがプラスチック或いは金属からなることが開示されているが、プラスチックからなる静止ミキサでは、耐熱性及び耐久性に問題があり、金属からなる静止ミキサでは、上述したように排ガスの温度を低下させるという問題があった。
また、特許文献2には、混合器やスワラーをどのような材料で製造するか、及び、混合器やスワラーによって排ガスの温度低下が発生することについてはなんら開示されていない。特許文献3は、排気管を構成する外管の腐食にのみ着目しており、拡散部材の腐食や摩耗については何ら言及していない。
上記課題を鑑みて本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、拡散部材をセラミックで構成することにより、耐腐食性、耐摩耗性を向上させつつ、変形を抑制できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の拡散部材は、排気管内に設置されて、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する基材からなる拡散部材であって、厚みが1〜30mmであり、上記基材はセラミックで構成されていることを特徴とする。
本発明の拡散部材を構成する基材は、セラミックで構成されているため、金属で構成された基材と比較して、耐腐食性に優れている。さらに、金属と比較して変形を起こしにくく、溶接スパッタ等の異物に対する耐摩耗性に優れている。また、金属と比較して単位体積あたりの重量が小さいため、内燃機関の燃費向上にも有効である。
本発明の拡散部材は厚みが1〜30mmである。
拡散部材の厚みが1〜30mmであると、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができる。
本発明の拡散部材の厚みが1mm未満の場合、拡散部材の厚みが少なすぎるため、機械的強度が不足する。一方、本発明の拡散部材の厚みが30mmを超える場合、拡散部材を設置するためのスペースが大きくなることに伴って排ガス浄化装置の設置に必要なスペースが肥大化することや、拡散部材の重量が増大することによる内燃機関の燃費低下が懸念される。
なお、本発明の拡散部材の厚みとは、拡散部材の排ガス流入側端面から排ガス流出側端面までの距離である。すなわち、拡散部材が所定の厚みを有する円盤に孔(オリフィス)が形成された形状である場合、拡散部材の厚みは該円盤の厚みに相当する。また、拡散部材が、円筒形の外縁部を有する形状である場合、拡散部材の厚みは該外縁部の厚み(円筒の軸方向における長さ)に相当する。
なお、拡散部材の形状が、上記円盤又は上記外縁部の厚み方向より外側に突出した突出部を有する形状である場合、該突出部の突出長さと該円盤又は該外縁部の厚みを含めた長さを拡散部材の厚みとする。
本発明の拡散部材において、拡散部材を構成する基材の25℃における熱拡散係数が、0.06×10−6〜3×10−6/sであることが好ましい。拡散部材を構成する基材の25℃における熱拡散係数が0.06×10−6〜3×10−6/sであると、排ガスの熱エネルギーが拡散部材内部及び該拡散部材と接触する排気管に伝わりにくくなる。そのため、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されていまい、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
熱拡散係数が0.06×10−6/s未満の基材を作成することは技術的に難しい。一方、基材の熱拡散係数が3×10−6/sを超えると、排ガスの熱が拡散部材に吸収されやすくなり、排ガスの温度が低下してしまうことがある。
なお、基材の熱拡散係数αは、基材の熱伝導率[k:W/mK]、かさ密度[ρ:kg/m]及び比熱容量[Cp:J/kg・K]から下記式(1)を用いて算出することができる。
α=k/ρ・Cp[m/s] (1)
熱拡散係数αはレーザーフラッシュ法により測定することができる。
本発明の拡散部材において、厚みは1〜15mmであることが好ましい。
拡散部材の厚みが1〜15mmであると、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合するにあたってより好ましい。
本発明の拡散部材において、上記セラミックは、酸化物であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが酸化物であると、耐熱性や耐腐食性により優れる。
本発明の拡散部材において、上記酸化物は、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタン酸カリウム、マイカ、ガラス及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが上述した化合物であると、耐熱性及び耐腐食性に特に優れる。
本発明の拡散部材において、上記セラミックは、炭化物であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが炭化物であると、耐熱性や耐腐食性により優れる。
本発明の拡散部材において、上記炭化物は、炭化ケイ素であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが炭化ケイ素であると、耐熱性及び耐腐食性に特に優れる。
本発明の拡散部材において、上記セラミックは、窒化物であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが窒化物であると、耐熱性及び耐腐食性により優れる。
本発明の拡散部材において、上記窒化物は、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムであることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材を構成するセラミックが窒化ケイ素又は窒化アルミニウムであると、耐熱性及び耐腐食性に特に優れる。
本発明の拡散部材において、上記基材は無機粒子の焼結体からなることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材が無機粒子の焼結体からなると、金属からなる基材と比較して熱拡散係数を低くしやすい。そのため、排ガスの温度低下を抑制することができる。
本発明の拡散部材において、上記基材は、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体であることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材が無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体からなると、無機繊維によって機械的強度の向上が図られるため、機械的強度に劣る無機マトリクスであっても拡散部材を構成する基材として使用できる場合があり、基材を構成する材料の選択肢を多くすることができる。
また、通常の焼結体の熱拡散係数が3×10−6/sを超える材料であっても、上述した無機マトリクス及び/又は無機繊維として使用することによって、得られる基材の熱拡散係数を3×10−6/s以下とすることができる場合がある。
本発明の拡散部材において、上記基材の25℃における熱伝導率は、1〜5W/mKであることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率が1〜5W/mKであると、断熱性に優れているため、排ガスの温度の低下を防止することができる。
熱伝導率が1W/mK未満の基材を作成することは技術的に難しい。一方、基材の熱伝導率が5W/mKを超えると、排ガスの熱が拡散部材に吸収されやすくなり、排ガスの温度が低下してしまうという問題がある。
なお、本発明の拡散部材の本来の動作温度域は200〜500℃程度であるが、基材を構成するセラミックの上記温度範囲における熱伝導率は一般的に、25℃におけるセラミックの熱伝導率よりも低い。そのため、25℃における熱伝導率において上記範囲を達成することができれば、200〜500℃の温度領域においても充分な断熱性を担保できるものとし、測定の容易さから25℃における熱伝導率を採用している。
本発明の拡散部材において、上記基材の表面には、さらにセラミックコート層が形成されていることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の表面にセラミックコート層が形成されていると、排ガスから拡散部材に伝わる熱エネルギーを減らすことができる。
そのため、排ガスの熱エネルギーが拡散部材に奪われやすいエキゾーストマニホールドの集約部や尿素SCRシステムの還元剤添加部において、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層が上記拡散部材の表面に占める面積の割合は50〜100%であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の面積の割合が50〜100%であると、排ガスの温度低下を充分に抑制することができる。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の面積の割合が50%未満であると、セラミックコート層を形成することによる断熱性向上の効果が充分に発揮されないことがある。
なお、本明細書において、拡散部材の表面とは、拡散部材の排ガスと接触し得る部分を指す。すなわち、拡散部材のうち、排気管内部と接触して排ガスと接触しない箇所については、拡散部材の表面に含めないこととする。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の厚さは5〜2000μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の厚さが上記した厚さであると、断熱性能及び機械的特性をより良好に維持することができる。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の厚さが5μm未満の場合には、セラミックコート層の厚さが薄すぎるために、充分な断熱性能を発揮できなくなることがある。一方、セラミックコート層の厚さが2000μmを超えると、セラミックコート層の厚さが厚すぎるために、熱衝撃を受けた際に、セラミックコート層が破壊されやすくなる。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKであることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、断熱性に優れているため、排ガスの温度の低下を防止することができる。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の25℃における熱伝導率を0.05W/mK未満とすることは、技術的観点及び経済的観点のバランスを考慮すると容易ではない。
一方、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の25℃における熱伝導率が2W/mKを超えると、セラミックコート層の断熱性が不充分となり、排ガスの温度の温度が低下し、下流における触媒活性を充分に発揮できないことがある。
なお、セラミックコート層の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定することができる。
なお、本発明の拡散部材の本来の動作温度域は200〜500℃程度であるが、セラミックコート層の原料であるセラミックの上記温度範囲における熱伝導率は一般的に、25℃におけるセラミックの熱伝導率よりも低い。そのため、25℃における熱伝導率において上記範囲を達成することができれば、200〜500℃の温度領域においても充分な断熱性を担保できるものとし、測定の容易さから25℃における熱伝導率を採用している。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の最大厚さは、上記セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の最大厚さが最小厚さの20倍を超える場合、セラミックコート層の厚さが厚すぎる部分が存在することとなり、熱衝撃によりセラミックコート層が破壊されることがあるか、又は、セラミックコート層の厚さが薄すぎる部分が存在することとなり、セラミックコート層による断熱性の向上が充分に計れないことがある。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、上記セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであり、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01〜1μmであると、拡散部材の表面を通過した排ガスの流れを充分に乱すことができるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減することができる。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が10μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
また、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が1μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
なお、本発明の拡散部材の排ガス流入側表面とは、拡散部材の表面から垂直に引いた法線が排ガス流入側に向かう部分を指し、排ガス流出側表面とは、拡散部材の表面から垂直に引いた法線が、排ガス流出側に向かう部分を指す。
また、拡散部材の表面のうち、表面から垂直に引いた法線が排ガス流通方向に垂直な部分については、拡散部材の重心を通り、かつ、排ガス流通方向に垂直な平面を仮定し、該平面上と該平面より排ガス流入側に存在する部分を排ガス流入側表面とし、該平面より排ガス流出側に存在する部分(該平面上を含まない)を排ガス流出側表面とする。
拡散部材を構成する基材の表面にセラミックコート層が形成されている場合も、上述した排ガス流入側表面及び排ガス流出側表面の定義は同様である。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、上記セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍であることが好ましい。
排気管を流れる排ガスは、主にセラミックコート層の排ガス流入側の表面と接触するため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する観点から、セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)がセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)以上(1.2倍以上)であることが好ましい。
一方、セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)がセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の10倍を超える場合には、セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が大きすぎることによって拡散部材の表面における見かけの熱伝導率が大きくなってしまい、排ガスの温度を低下させてしまうか、又は、セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が小さくなりすぎることによって、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層は非晶性無機材の層と、上記非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなることが好ましい。
セラミックコート層が非晶性無機材の層と、非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなると、セラミックコート層の断熱性に優れる。
本発明の排ガス浄化装置は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の拡散部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置は窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管の上流側に設けられた尿素噴射装置と、下流側に設けられた触媒担体と、尿素噴射装置よりも下流、かつ、触媒担体よりも上流、すなわち、尿素噴射装置と触媒担体の間に本発明の拡散部材が設けられているため、尿素噴射装置より噴射された尿素を窒素酸化物を含む排ガスと充分に混合することができる。
さらに、本発明の排ガス浄化装置は、本発明の拡散部材を備えているため、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されていまい、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。加えて、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができるため、排ガス浄化装置全体の大きさを小さくすることができる。
本発明の排ガス浄化装置は、上記拡散部材が上記触媒担体と接触していないことが好ましい。
排ガス浄化装置において拡散部材が触媒担体と接触していないと、拡散部材と触媒担体との間において排ガスが触媒担体の径方向に充分に分散されるため、排ガス浄化性能をより向上させることができる。
本発明の拡散部材の使用は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置の、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位における、上記排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害し、かつ、上記尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に排ガスの温度が低下することを抑制するための本発明の拡散部材の使用である。
上述したように、本発明の拡散部材は厚みが1〜30mmであり、基材がセラミックで構成されているため、金属で構成された基材と比較して、耐腐食性に優れている。さらに、金属と比較して変形を起こしにくく、溶接スパッタ等の異物に対する耐摩耗性に優れている。また、金属と比較して単位体積あたりの重量が小さいため、内燃機関の燃費向上にも有効である。
従って、本発明の拡散部材を、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置の、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に使用することで、尿素噴射装置より噴射された尿素を窒素酸化物を含む排ガスと充分に混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができ、かつ排ガスの温度が低下することを抑制することができる。加えて、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができるため、排ガス浄化装置全体の大きさを小さくすることができる。
図1(a)は、本発明の拡散部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。 図2は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す模式図である。 図3は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図5は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の拡散部材について詳述する。
本発明の拡散部材は、排気管の内部に配置され、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害することができ、厚みが1〜30mmであれば、その形状は特に限定されず、例えば、排気管上流から流入するガスに旋回方向の力を加える翼、排ガスの流れを乱流とする孔(オリフィスともいう)等が1つ以上配置された形状であってよい。
なお、本発明の拡散部材は基本的に可動部を有しないが、排ガスの圧力が高まった際にこれを開放して、新たな排ガスの流路を形成するための弁等及び弁等を可動させるための可動部等を有していてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、排気管の径方向に排ガスが良く分散されるので、触媒担体に排ガスが導入される際に触媒担体の断面において偏析なく導入されて高い浄化効率を保つことが可能となる。
なお、本発明の拡散部材の厚みとは、拡散部材の排ガス流入側端面から排ガス流出側端面までの距離である。すなわち、拡散部材が所定の厚みを有する円盤に孔(オリフィス)が形成された形状である場合、拡散部材の厚みは該円盤の厚みに相当する。また、拡散部材が、円筒形の外縁部を有する形状である場合、拡散部材の厚みは該外縁部の厚み(円筒の軸方向における長さ)に相当する。
なお、拡散部材の形状が、上記円盤又は上記外縁部の厚み方向より外側に突出した突出部を有する形状である場合、該突出部の突出長さと該円盤又は該外縁部の厚みを含めた長さを拡散部材の厚みとする。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の略中央から放射上に延びる複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
このような形状の場合、拡散部材の厚みは外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さと、該外縁部から該外縁部の周方向に垂直な方向に突出する翼の長さを合計した長さに相当する。
該外縁部の周方向に垂直な方向に翼が突出していない場合には、外縁部の周方向に垂直な方向の長さが拡散部材の厚みとなる。
上記構造の拡散部材であれば、排ガスの流れ方向の変化を可能な限り抑えながら排ガスが径方向に良く分散されるので、圧力損失や熱損失が低い状態ながら排ガスの浄化効率を高くすることが可能となる。
本発明の拡散部材の厚みは、1〜30mmであり、1〜15mmであることが好ましい。
拡散部材の厚みが1〜30mmであると、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができる。
本発明の拡散部材の厚みが1mm未満の場合、拡散部材の厚みが薄すぎるため、機械的強度が不足する。一方、本発明の拡散部材の厚みが30mmを超える場合、拡散部材を設置するためのスペースが大きくなることに伴って排ガス浄化装置の設置に必要なスペースが肥大化することや、拡散部材の重量が増大することによる内燃機関の燃費低下が懸念される。
上記構造の拡散部材の形状についてさらに詳述する。
上記構造の拡散部材としては、例えば、図1(a)及び図1(b)に示す形状が挙げられる。
図1(a)は、本発明の拡散部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示す拡散部材10は、円筒形の外縁部11と、該外縁部11の略中央から放射状に延びる複数の翼12からなり、図1(b)に示すように、翼12は排ガスの通過方向(図1(b)中、両矢印aで示す方向)に対して所定の角度傾いている。
拡散部材10に流入する排ガスは、排ガス流入側端面10aから拡散部材10内部に流入し、翼12によってその流路の一部が阻害されて、旋回方向に力が加わり、排ガス流出側端面10bから流出する。そのため、拡散部材10の排ガス流出側では、排ガスに旋回方向の流れが発生することとなり、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
拡散部材10を排気管内部に設置する際に、外縁部11の外面11bが排気管と接触するように配置される場合、外縁部11の外面11bは排気管と接触するため、拡散部材の表面とはみなさない。また、外縁部11の内面11aのうち、拡散部材10の重心を通り且つ排ガス流通方向に垂直な方向に平行な面を示す一点鎖線bよりも排ガス流入側(図1(b)中、両矢印bで示す領域)に存在する部分については排ガス流入側表面であり、一点鎖線bよりも排ガス流出側(図1(b)中、両矢印bで示す領域、ただし一点鎖線b上を含まない)に存在する部分については排ガス流出側表面である。
拡散部材10を構成する翼12の第一の面12aは、その表面から垂直に引いた法線が排ガス流入側(図1(b)中、一点鎖線bから排ガス流入側端面10aに向かう方向)に向かうため、排ガス流入側表面であり、翼12の第二の面12bは、その表面から垂直に引いた法線が排ガス流出側(図1(b)中、一点鎖線bから排ガス流出側端面10bに向かう方向)に向かうため、排ガス流出側表面である。
なお、拡散部材10の厚みは排ガス流入側端面10aから排ガス流出側端面10bまでの長さ(図1(b)中、両矢印b及び両矢印bで示す長さの合計)である。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、本発明の拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであり、本発明の拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01〜1μmであると、拡散部材の表面を通過した排ガスの流れを充分に乱すことができるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減することができる。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1μm未満である場合には、拡散部材の表面に排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が10μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
また、本発明の拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が1μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、本発明の拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍であることが好ましい。
排気管を流れる排ガスは、主に拡散部材の排ガス流入側の表面と接触するため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する観点から、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)以上(1.2倍以上)であることが好ましい。
一方、本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の10倍を超える場合には、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が大きすぎることによって拡散部材の表面における見かけの熱伝導率が大きくなってしまい、排ガスの温度を低下させてしまうか、又は、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が小さくなりすぎることによって、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。
本発明の拡散部材の表面粗さはハンディサーフE−35B(東京精密社製)を用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。また、測長距離は4mmとする。
本発明の拡散部材の働きについて説明する。
本発明の拡散部材は、排ガス浄化装置の一部として配置されて機能する。排ガス浄化装置は、排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、排気管の下流側に設けられた触媒担体からなり、尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部分に拡散部材が配置される。この構成において拡散部材は、排ガスの流れを一部阻害して、排ガスを排気管の径方向に分散させる働きをする。
上記拡散部材の働きにより、排ガスが触媒担体に導入される際には、排ガス中の成分の偏り及び/又は温度分布の偏りが低減されて高い浄化効率を保つことが可能になる。さらに排ガスは、尿素噴射装置から噴射された尿素水が良く分散した状態で触媒担体に導入されるので、尿素SCRシステムを充分に作用させることができ、高い浄化性能を保つことが可能になる。
上記拡散部材の働きをさらに詳述する。
図2は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す模式図である。
排ガス浄化装置1は、排ガスが流通する排気管100と、排気管100の上流側に設けられ、尿素を排気管100内に噴射する尿素噴射装置500と、排気管100の下流側に設けられた触媒担体400からなり、尿素噴射装置500よりも下流側、かつ、触媒担体400よりも上流側で排ガスが接触する部分に拡散部材10が配置されている。
拡散部材10を排気管100内に設置した場合、排気管上流から流入する排ガスは、拡散部材10を通過する際に、その流れの一部が阻害されて、旋回方向に回転する(排ガスの流れを矢印Gで模式的に示す)。
従って、拡散部材10を通過した排ガスは、旋回しながらケーシング200内部に流入するため、保持シール材300によってケーシング200内部に配置された触媒担体400の排ガス流入側端面400aに排ガスが到達する際には、排ガス中の成分の偏り及び/又は温度分布の偏りが低減されることとなる。
そして、尿素噴射装置500から噴射された尿素水は、排ガス中に充分に分散した状態で触媒担体400へと到達するため、尿素SCRシステムを充分に作用させることができる。そして、拡散部材10を構成する基材はセラミックで構成されているため、排ガスの熱が拡散部材へと伝わりにくく、排ガス温度の低下を抑制することができる。
なお、排ガス浄化装置に用いられる触媒担体としては、セラミック製のハニカム触媒等、従来からこの分野で用いられている触媒担体を使用することができる。
また、尿素噴射装置を備えていない排気管であっても、排ガス中の成分及び/又は温度の偏りを低減するために上記拡散部材は有効である。
本発明の拡散部材を構成する基材について説明する。
本発明の拡散部材を構成する基材は、セラミックで構成されている。
本発明の拡散部材を構成する基材は、セラミックで構成されているため、金属で構成された拡散部材と比較して、耐腐食性に優れている。さらに、金属と比較して変形を起こしにくく、溶接スパッタ等の異物に対する耐摩耗性に優れている。また、金属と比較して単位体積あたりの重量が小さいため、内燃機関の燃費向上にも有効である。
続いて、本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックについて説明する。
本明細書において、セラミックとは、金属を除く無機化合物を指す。すなわちセラミックで構成された基材とは、具体的には、酸化物、炭化物、窒化物、酸窒化物、ホウ化物等の無機化合物を所望の形状に成形したものを指す。
基材としてのセラミックを構成する無機化合物の形態は問わず、粒子状、繊維状、薄片状、針状などであってよく、これらを2種以上併用してもよい。
セラミックで構成された基材としては、例えば、無機粒子の焼結体や、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体などが挙げられる。
無機粒子の焼結体は、例えば、無機粒子と、必要に応じて無機繊維、無機結合材、有機結合材、造孔材等を分散媒、成形助剤等と混合した原料ペーストを所定の形状に成形し、乾燥、脱脂、焼成することで得ることができる。また、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体は、例えば、無機繊維を織物状に加工して無機繊維シート(無機繊維クロスともいう)とし、この無機繊維シートを構成する無機繊維同士の空隙を埋めるように無機マトリクスを形成することで得ることができる。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックを構成する無機化合物の種類は特に限定されないが、例えば、酸化物、炭化物、窒化物、酸窒化物等が挙げられ、酸化物、炭化物、窒化物が好ましい。これらの材料は、金属と比較して耐熱性、耐腐食性により優れている。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックが酸化物の場合、酸化物はアルミナ、ジルコニア、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタン酸カリウム、マイカ、ガラス及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種から構成されていることが好ましい。
酸化物が上述した化合物であると、耐熱性及び耐腐食性に特に優れる。
ジルコニアは、イットリア、カルシア、マグネシア、アルミナ、セリア等の安定化剤を添加した安定化ジルコニアであることが好ましい。
安定化ジルコニアとしては、イットリア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニアなどが挙げられる。
安定化剤の含有量は、安定化ジルコニア全量の5〜30重量%が好ましい。
ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、チタンクリスタルガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、ソーダバリウムガラス等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
マイカは、天然マイカ、人工マイカのいずれであってもよい。また、マイカと他の酸化物との複合体であってもよい。マイカと他の酸化物の複合体としては、例えば、マイカとガラスの混合物を熱間成形したマイカレックス(登録商標)などが挙げられる。
シリカは、結晶質シリカであってもよく、非晶質シリカであってもよく、これらと他の酸化物及び/又は無機繊維等を混合して成形した成形体並びにこの粉末であってもよい。
シリカ微粒子と無機繊維を混合して成形した成形体及びこの粉末としては、マイクロサーム(登録商標)などが挙げられる。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックが炭化物である場合、炭化物としては、炭化珪素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタンなどが挙げられ、耐熱性及び耐腐食性の観点から、これらのなかでは炭化珪素が好ましい。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックが窒化物である場合、窒化物としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化ジルコニウム等が挙げられ、耐熱性及び耐腐食性の観点から、これらのなかでは窒化珪素及び窒化アルミニウムが好ましい。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックが酸窒化物である場合、酸窒化物としては、サイアロン等が挙げられる。サイアロンは、α−サイアロンでもβ−サイアロンでもよく、これらの複合体であってもよい。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックの形態は特に限定されず、1種類の無機粒子の焼結体であってもよく、2種以上の無機粒子及び/又は無機繊維の混合物でもよく、2種以上の無機粒子及び/又は無機繊維の複合化物でもよい。
2種以上の無機粒子及び/又は無機繊維の複合化物としては、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体であることが好ましい。
無機マトリクスを構成する成分としては、上述した無機粒子と同様の成分を好適に用いることができる。
本発明の拡散部材を構成する基材が無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体であると、無機繊維と無機マトリクスとの界面抵抗によって、単なる無機粒子の焼結体とは異なる熱特性を示すことがある。
さらに、基材の熱拡散係数や熱伝導率等の熱特性は無機マトリクスや無機繊維の界面の状態に依存するため、単に無機粒子からなる焼結体と比較して、様々な材料を採用することができる。
原料ペーストに無機繊維を含む場合、無機繊維としては、シリカアルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、ジルコニア繊維及びチタン酸カリウム繊維等が挙げられる。
原料ペーストに無機結合材を含む場合、無機結合材としては、アルミナゲル、シリカゲル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。
原料ペーストに有機結合材を含む場合、有機結合材としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。
原料ペーストに分散媒を含む場合、分散媒としては例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。
原料ペーストに成形助剤を含む場合、成形助剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
本発明の拡散部材における基材を構成するセラミックには、気孔が形成されていてもよい。気孔が形成されていると、吸音性が向上するため排気管から発生する騒音を抑制することができ、さらに、排ガスの熱エネルギーが拡散部材に吸収されにくくなるため、排ガスの温度低下を抑制することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率は、これを構成する材料にもよるが、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜70%であることがさらに好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率が10〜90%であると、気孔が振動を吸収することにより吸音性を発揮することができる。
一方、本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率が10%未満であると、充分な吸音性を得ることができないことがある。また、本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率が90%を超えると、拡散部材の機械的強度及び耐摩耗性が低下するおそれがある。
なお、本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率は、後述する造孔材により調整することが可能である。
本発明の拡散部材を構成する基材の気孔率は、本発明の拡散部材を構成する基材のかさ密度と本発明の拡散部材を構成する基材の真密度から求めることができる。
真密度は、本発明の拡散部材を構成する基材を粉末状にし、連続自動粉粒体真密度測定器[(株)セイシン企業製 オートトゥルーデンサー MAT−7000]で測定することができる。測定溶媒は測定対象となる基材と反応しないものであれば特に限定されないが、例えばn−ブタノールが挙げられる。
そして、かさ密度の真密度に対する比率[(本発明の拡散部材を構成する基材のかさ密度)/(本発明の拡散部材を構成する基材の真密度)]を1から引いた値として気孔率が得られる。
本発明の拡散部材を構成する基材は、25℃における熱拡散係数が0.06×10−6〜3×10−6/sであることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱拡散係数が0.06×10−6〜3×10−6/sであると、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されていまい、排ガスの温度が低下することを抑制しやすくなる。
25℃における熱伝導率が0.06×10−6〜3×10−6/sとなるような基材を構成する材料としては、例えば、ジルコニア、ステアタイト、コージェライト、ムライト、チタン酸カリウム、シリカ等の無機粒子が挙げられ、これらの焼結体であることが好ましい。基材がこれらの無機粒子の焼結体からなると、金属と比較して熱拡散係数を低くしやすい。そのため、排ガスの温度低下を抑制しやすくなる。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱拡散係数を0.06×10−6〜3×10−6/sとするためには、無機粒子や無機繊維の界面における熱抵抗が大きい(熱伝導率が小さい)ことが好ましいため、本発明の拡散部材を構成する無機材料及び無機マトリクスの粒子径は小さいほうが好ましい。また、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体であることがより好ましい。このような無機マトリクスと無機繊維の複合体としては、例えば、SiC繊維強化SiC複合体(以下、SiC/SiC複合体ともいう)等が挙げられる。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率は、1〜5W/mKであることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率が1〜5W/mKであると、基材の熱特性として特に適当である。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率を1W/mK未満とすることは技術的に難しい。一方、本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率が5W/mKを超えると、排ガスの熱が拡散部材に吸収されやすくなり、排ガスの温度が低下してしまうという問題がある。
本発明の拡散部材を構成する基材の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定した熱拡散係数から下記式を用いて算出することができる。
k=ρ・Cp・α[W/mK] [kは熱伝導率(W/mK)、ρはかさ密度(kg/m)、Cpは比熱容量(J/kg・K)、αは熱拡散係数(m/s)]
<かさ密度(ρ)の測定>
基材のかさ密度は、例えば、基材を所望の形状(例えば1cm×1cm×1cmの立方体)に切り出して重量を測定し、体積で除することで求められる。
<比熱容量(Cp)の測定>
比熱容量(単に比熱ともいう)の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:セイコー電子工業製 DSC210型
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
本発明の拡散部材を構成する基材の比熱容量を測定する際の試料の形状は特に限定されないが、例えばφ4mm、厚さ1mmのバルク体に成形して測定を実施することができる。
なお、熱容量は比熱容量に質量を乗じることで求められる。
本発明の拡散部材においては、基材の表面にセラミックコート層が形成されていることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材の表面にセラミックコート層が形成されていると、排ガスから拡散部材に伝わる熱エネルギーをさらに減らすことができる。
そのため、排ガスの熱エネルギーが拡散部材に奪われやすいエキゾーストマニホールドの集約部や尿素SCRシステムの還元剤添加部において、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層が上記拡散部材の表面に占める面積の割合は50〜100%であることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の面積の割合が50〜100%であると、排ガスの温度低下を充分に抑制することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の面積の割合が50%未満であると、セラミックコート層を形成することによる断熱性向上の効果が充分に発揮されないことがある。
なお、本明細書において、拡散部材の表面とは、拡散部材の排ガスと接触し得る部分を指す。すなわち、拡散部材のうち、排気管内部と接触して排ガスと接触しない箇所については、拡散部材の表面に含めないこととする。
また、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層には気孔が形成されていることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層に気孔が形成されていると、気孔が個体内部の熱伝導を妨げるため、優れた断熱特性が得られる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率は、30〜80%であることが好ましい。本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率が30〜80%であると、セラミックコート層中の熱の伝達を気孔により効果的に遮断することができ、良好な断熱性を発揮することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率が30〜80%であり、さらにセラミックコート層中の気孔が均一に分散していると、セラミックコート層中の熱の伝達をさらに効果的に遮断することができ、特に良好な断熱性を発揮することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率は、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層のかさ密度と、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の真密度から求めることができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層のかさ密度は、セラミックコート層を形成する前後の拡散部材の重量の変化から求めたセラミックコート層の重量と、膜厚計により測定したセラミックコート層の厚さ(体積)から求められる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の真密度は、セラミックコート層を粉末状にし、連続自動粉粒体真密度測定器[(株)セイシン企業製 オートトゥルーデンサー MAT−7000]で測定することができる。測定溶媒は測定対象となる拡散部材と反応しないものであれば特に限定されないが、例えばn−ブタノールが挙げられる。
かさ密度の真密度に対する比率[(本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層のかさ密度)/(本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の真密度)]を1から引いた値として本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率が得られる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率が30%未満であると、気孔の割合が少なすぎるため、断熱性が劣化してしまうことがある。一方、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の気孔率が80%を超えると、気孔の割合が多くなりすぎるため、機械的強度の低下及び気孔同士の合体による断熱性能の低下がおこりやすくなる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、0.1〜50μmであることが好ましい。本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径が0.1〜50μmであると、セラミックコート層中の熱伝達を気孔により有効に阻止することができ、セラミックコート層の高断熱性を維持することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、小さいほうが、気孔内の放射伝熱、対流伝熱による熱移動を低減することができるため、1μmに近ければ近いほど好ましく、具体的には、0.1〜50μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。平均気孔径が1〜5μmの範囲では、最も気孔内の熱移動を低減させることが可能である。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径を0.1μm未満とすることは技術的に難しく、このような気孔を形成するには、非常に小さな造孔材を使用するなど特別な材料を使う必要があるため、材料コストが急激に増加してしまい、好ましくない。
一方、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径が50μmを超えているとセラミックコート層の固体部分が少ないため、セラミックコート層の機械的特性が低下する。また、100μmを超える径の気孔は、気孔内で対流熱伝達および放射伝熱によって放熱効果が促進されるため、断熱性が低下する。
なお、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の厚さが薄いときは、平均気孔径の上限がセラミックコート層の厚さとなることが好ましい。これは、気孔がセラミックコート層の外に飛び出てブラインド気孔になることはなく、気孔がセラミックコート層の中に独立気孔として存在していることが好ましいことを意味する。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、セラミックコート層を基材ごと切断してその断面をデジタルマイクロスコープもしくは走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することによって測定することができる。
具体的には、デジタルマイクロスコープ画像もしくはSEM画像をセラミックコート層の厚さ方向の全域が入るように撮影して、全ての気孔についての気孔径を測定し、平均値を求めることにより平均気孔径が得られる。気孔の形状が略球状でない場合、その気孔の直径は、投影面積円に相当する直径(ヘイウッド径)とする。
デジタルマイクロスコープ画像もしくはSEM画像の測定倍率は、セラミックコート層の厚さが5〜50μm未満の場合は2000倍、50〜100μm未満の場合は1000倍、100〜300μm未満の場合は500倍、300〜500μm未満の場合は200倍、500〜1000μm未満の場合は150倍、1000〜2000μmの場合は100倍とする。なお、倍率が100倍の時はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX5000)で測定し、他の倍率の時はSEMを用いて観察するのが好ましい。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、上記セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであり、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01〜1μmであると、拡散部材の表面を通過した排ガスの流れを充分に乱すことができるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減することができる。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が10μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
また、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が1μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍であることが好ましい。
拡散部材を構成する基材の表面にセラミックコート層が形成されている場合、排気管を流れる排ガスは、主に拡散部材を構成する基材の表面に形成されるセラミックコート層の排ガス流入側の表面と接触するため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する観点から、セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)がセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)以上(1.2倍以上)であることが好ましい。
本発明の拡散部材において、基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が基材の表面に形成されたセラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の10倍を超える場合には、セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が大きすぎることによって拡散部材の表面における見かけの熱伝導率が大きくなってしまい、排ガスの温度を低下させてしまうか、又は、セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が小さくなりすぎることによって、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の構成について説明する。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層は、非晶性無機材を含んでなることが好ましく、非晶性無機材と結晶性無機材を含んでなることがより好ましく、非晶性無機材の層と、非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなることがさらに好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における非晶性無機材は、シリカを含む非晶性無機材であることが好ましく、シリカを20重量%以上含有していることがより好ましく、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであることが更に好ましい。
上記低融点ガラスの種類は特に限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、チタンクリスタルガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、ソーダバリウムガラス等が挙げられる。
これらの低融点ガラスは、単独で用いてもよいし、2種類以上が混合されていてもよい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における非晶性無機材が、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであると、低融点ガラスを融解させて基材の表面に塗布(コート)した後、加熱、焼成処理を施すことにより、基材の表面上にセラミックコート層を容易に、しかも基材との密着性に優れたセラミックコート層を形成することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における非晶性無機材の軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、セラミックコート層となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなる。一方、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における非晶性無機材の軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により基材の機械的特性が劣化するおそれが生じる。
なお、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における非晶性無機材の軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づき、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。
上記硼珪酸ガラスの種類は、特に限定されないが、SiO−B−ZnO系ガラス、SiO−B−Bi系ガラス等が挙げられる。上記クリスタルガラスは、PbOを含むガラスであり、その種類は特に限定されないが、SiO−PbO系ガラス、SiO−PbO−B系ガラス、SiO−B−PbO系ガラス等が挙げられる。上記バリウムガラスの種類は、特に限定されないが、BaO−SiO系ガラス等が挙げられる。
また、非晶性無機材は、上述した低融点ガラスのうちの一種類のみからなるものであってもよいし、複数種類の低融点ガラスからなるものであってもよい。
続いて、結晶性無機材について説明する。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層中に結晶性無機材が存在していると、セラミックコート層が高温になった際に、結晶性無機材の粒子が気孔の移動の障害となって気孔の移動が妨げられるため、気孔の合体により断熱性能が低下することを防止することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における結晶性無機材としては、ジルコニアを含有していることが好ましく、ジルコニアを20重量%以上含有していることがより好ましく、ジルコニアを50重量%以上含有していることがさらに好ましい。
ジルコニアを含有する結晶性無機材としては、具体的には、CaO安定化ジルコニア(5wt%CaO−ZrO、8wt%CaO−ZrO、31wt%CaO−ZrO)、MgO安定化ジルコニア(20wt%MgO−ZrO、24wt%MgO−ZrO)、Y安定化ジルコニア(6wt%Y−ZrO、7wt%Y−ZrO、8wt%Y−ZrO、10wt%Y−ZrO、12wt%Y−ZrO、20wt%Y−ZrO)、ジルコン(ZrO−33wt%SiO)、CeO安定化ジルコニア等が挙げられる。
これらの中では、耐熱性及び耐腐食性に優れ、25℃での熱伝導率が4W/mK以下であるジルコニア、Y安定化ジルコニア、CaO安定化ジルコニア、MgO安定化ジルコニアが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中における結晶性無機材の粒子は、セラミックコート層を機械的に強化する役割を果たすとともに、耐熱性に優れるので、セラミックコート層の耐熱性及び機械的強度を向上させることができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層の機械的強度が増加すると、エンジンから排出される排ガスに含まれる溶接スパッタ等の異物が衝突した場合であっても、セラミックコート層が破壊されにくくなる。もしセラミックコート層が一部でも破壊された場合、破壊された部分では基材が露出するため、イソシアン酸による腐食が進行しやすくなる。
従って、セラミックコート層が結晶性無機材を含むことにより機械的強度が向上し、ひいてはセラミックコート層の耐腐食性を向上する。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の厚さは、5〜2000μmであることが好ましく、50〜2000μmであることがより好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の厚さが5μm未満であると、セラミックコート層の厚さが薄すぎるため、拡散部材として使用した際に、充分な断熱性能を発揮できなくなることがある。
一方、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の厚さが2000μmを超えると、セラミックコート層が厚すぎるため、熱衝撃を受けた際に、セラミックコート層の基材との接合面と、雰囲気に露出している表面との温度差が大きくなり易く、セラミックコート層が破壊され易くなる。
本発明の拡散部材において、基材表面に形成されたセラミックコート層の最大厚さは、セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍であることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の最大厚さが最小厚さの20倍を超える場合、セラミックコート層の厚さが厚すぎる部分が存在することとなり、熱衝撃によりセラミックコート層が破壊されることがあるか、又は、セラミックコート層の厚さが薄すぎる部分が存在することとなり、セラミックコート層による断熱性の向上が充分に計れないことがある。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、断熱性に優れ、高温においても、熱伝導率が上がりにくいので、排気ガス等の温度が低下するのを防止することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の25℃における熱伝導率を0.05W/mK未満とすることは、技術的観点及び経済的観点の両者のバランスを考慮すると容易ではない。
一方、本発明の拡散部材を構成する基材表面に形成されたセラミックコート層中におけるセラミックコート層の25℃における熱伝導率が2W/mKを超えると、低温領域での排気管の保温性が不充分となり、例えば、尿素SCRシステムに用いた場合、排ガスの温度が低下してしまってNOxの還元が充分に進行しないことがある。
本発明の拡散部材の形状について、上述した形状以外の形状について詳述する。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の略中央から渦巻状に延びる複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
このような形状の場合、拡散部材の厚みは外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さと、該外縁部から該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に突出する翼の長さを合計した長さに相当する。
該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に翼が突出していない場合には、外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さが拡散部材の厚みとなる。
上記構造の拡散部材であれば、渦巻状の翼の表面に沿って排ガスが流れるので排ガスの旋回の度合いが大きくなり、偏析なく排ガスが分散することが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図3に示す拡散部材20は、円筒形の外縁部21と、該外縁部21の略中央から渦巻状に延びる複数の翼22からなり、翼22は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材20は、図1(a)及び図1(b)に示した拡散部材10と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加えるため、排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の内面から該外縁部の略中央に向かって突出する複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
このような形状の場合、拡散部材の厚みは外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さと、該外縁部から該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に突出する翼の長さを合計した長さに相当する。
該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に翼が突出していない場合には、外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さが拡散部材の厚みとなる。
上記構造の拡散部材であれば、突出する複数の翼によって排ガスが良く分散されると共に、圧力損失の低下を最小限に抑えることが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図4に示す拡散部材30は、円筒形の外縁部31と、該外縁部31の内面から該外縁部の略中央に向かって突出する複数の翼32からなり、翼32は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材30の外縁部31の中央部には翼32が配置されていないが、拡散部材30を通過する排ガスの全ての流路を妨げることは必須ではないため、拡散部材30のような形状であっても、充分に排ガスを混合することができ、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、所定の厚みを有する円盤と、これを厚さ方向に貫通する複数個の孔(オリフィスともいう)とからなっていてもよい。
このような形状の拡散部材の場合、拡散部材の厚みは円盤の厚みと等しい。
上記構造の拡散部材であれば、複数個の孔によって排ガスが良く分散され、排ガスの浄化性能を高く保つことが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図5に示す拡散部材40は、円盤状の基材の表面に表裏を貫通する孔41が複数個形成されている。
拡散部材40を通過する排ガスは、必然的に孔41を通過することとなるため、孔41の通過時に排ガスの流れが乱されて排ガスが混合されるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、厚さ方向に貫通する孔(オリフィスともいう)を複数個有するドーナツ形の円盤部と、該円盤部の内面から該円盤部の略中央に向かって渦巻状に延びる複数の翼からなり、該複数の翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
このような形状の場合、拡散部材の厚みは外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さと、該外縁部から該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に突出する翼の長さを合計した長さに相当する。
該外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)に翼が突出していない場合には、外縁部の周方向に垂直な方向(円筒の軸方向)の長さが拡散部材の厚みとなる。
上記構造の拡散部材であれば、貫通する孔および複数の翼によって排ガスが良く分散されると共に、圧力損失を低減することが可能となる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図6に示す拡散部材60は、円筒形の外縁部61と、孔64を有するドーナツ形の板部63と、該板部63の内面から該板部63の略中央に向かって渦巻状に延びる複数の翼62からなり、翼62は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材60は、翼62を有しているために、図1(a)及び図1(b)に示した拡散部材10と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加える。さらに、板部63に形成された孔64を排ガスが通過することによって、図5に示した拡散部材40と同様に排ガスの流れに乱れが生じて排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材の形状は上述したものに限定されず、例えば、図6に示した孔はその大きさや形状が異なっていてもよいし、必ずしも等間隔で配置されている必要はない。図1、図3、図4、図5及び図6に記載の翼及び孔の形状はそれぞれ任意に組み合わせることが可能であり、翼及び孔の位置(配置)は規則的であってもよく、不規則的であってもよい。
また、本発明の拡散部材は基本的に可動部を有しないが、排ガスの圧力が高まった際にこれを開放し、新たな排ガスの流路を形成するための弁等を有していてもよい。
次に、本発明の拡散部材の製造方法について説明する。
本発明の拡散部材は、例えば、セラミックで構成された基材を、所望の形状すなわち、厚みが1〜30mmであり、かつ、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害するような形状に加工することにより得られる。
セラミックで構成された基材を所望の形状に加工する方法としては、公知のセラミック加工技術を用いることができる。
たとえば、無機粒子からなる焼結体を切削加工する方法や、所望の形状に近い形状となるように無機粒子からなる焼結体を作製し、これを切削加工する方法(ニアネット加工)等が挙げられる。
これは、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体から構成される基材の場合も同様である。
無機粒子からなる焼結体を作製する場合、例えば、無機粒子と、必要に応じて無機バインダ、有機バインダ、造孔材等を混合したスラリーを所定の形状に成形し、焼成することにより得られる。
この時、スラリー中に無機繊維を分散させることによって、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体を得ることができる。
基材を構成する無機粒子、無機繊維等の材料については、本発明の拡散部材の説明において説明したので省略する。
また、無機繊維の長さが長い場合には、無機繊維を織物状に加工して無機繊維シートとし、この無機繊維シートを構成する無機繊維同士の空隙を埋めるように無機マトリクスを形成してもよい。
無機繊維シートを構成する無機繊維同士の空隙を埋めるように無機マトリクスを形成する方法としては、例えば、無機繊維クロスを複数枚積層した無機繊維構造体を作製し、この無機繊維構造体に対して、無機マトリクスの原料ガスを流通させて、無機繊維の空隙に無機マトリクスを形成する方法(気相浸透反応法:CVI法)や、無機マトリクスを含むスラリーに無機繊維構造体を含浸させて焼成する方法(反応焼結法:RS法、MI法)や、焼成後に無機マトリクスとなるポリマー(SiCの場合はポリカルボシラン等)に無機繊維構造体を含浸させて焼成する方法、及び、無機繊維クロスに無機マトリクスを含むスラリーを含浸、乾燥させたプリプレグシートを得て、このプリプレグシートと、必要に応じて無機マトリクスを含むスラリーをシート状に成形、乾燥したグリーンシートを、複数枚積層してホットプレスや熱間等方圧加圧法(HIP)により焼結させる方法(NITE法)などが挙げられる。
上記切削加工により得られた基材に対して、表面の不純物を除去するための洗浄処理を行ってもよい。
洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を行うことができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
上記手順により基材からなる本発明の拡散部材を得る事ができるが、基材表面にセラミックコート層を形成する場合、例えば以下の手順により行うことができる。
基材表面にセラミックコート層を形成する方法としては、例えば、基材表面にセラミックコート層を形成するための拡散部材用塗料を塗布した後焼成する方法が挙げられる。
基材にセラミックコート層を形成するための拡散部材用塗料について説明する。上記拡散部材用塗料は、セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物である。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物は、非晶性無機材を含むことが好ましく、さらに結晶性無機材及び/又は造孔材を含むことがより好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる非晶性無機材の種類、材料、材質、その他特性については、本発明の拡散部材において説明した非晶性無機材と同様であるので省略する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、非晶性無機材の粉末は、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得る。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる非晶性無機材は、拡散部材の表面に塗布、焼成後、溶融して塗膜(非晶性無機材の層)となるので、厳密に非晶性無機材の粒子径をコントロールする必要はないが、拡散部材用塗料中に非晶性無機材の粒子が均一に分散していることが好ましい。
この点から、非晶性無機材の湿式粉砕後の最終的な平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。1〜20μmの範囲では、粒子表面に帯電している電気による影響が少ないためと推測されるが、粒子が均一に分散しやすい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる結晶性無機材についても、その種類、材料、材質、その特性等については、本発明の拡散部材において説明した結晶性無機材と同様であるので省略する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、結晶性無機材の場合も、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得る。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は5〜80重量部であることが好ましく、10〜70重量部であることがより好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対して、5〜80重量部の結晶性無機材の粒子を使用することにより、得られるセラミックコート層を構成する非晶性無機材の層中に結晶性無機材の粒子が適切な割合で分散し、セラミックコート層の耐熱性、断熱性を担保することができる。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が5重量部未満であると、非晶性無機材の層中に分散する結晶性無機材の粒子の量が少ないため、高温域で内部に分散している気孔が移動し易くなり、断熱性能が低下する。
一方、本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が80重量部を超えると、相対的に非晶性無機材の量が少なくなるため、塗膜の形成(セラミックコート層の形成)が難しくなり、拡散部材からの剥離が発生し易くなる。
続いて、造孔材について説明する。
造孔材は、基材表面に上記拡散部材用塗料を用いて塗膜を形成した後、加熱、焼成によりセラミックコート層を形成した際、セラミックコート層内に気孔を形成するために用いられている。
上記造孔材としては、例えば、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等のカーボン及び炭酸塩等の発泡剤等を用いることができるが、本発明においては、形成されたセラミックコート層は、高い断熱性能を有することが好ましく、そのためには、気孔は、なるべく小さい径のものが均一に分散していることが好ましい。
このような観点から、造孔材は、グラファイト等のカーボン及び炭酸塩等の発泡剤が好ましい。
炭酸塩の発泡剤としては、CaCO、BaCO、NaHCO、NaCO、(NHCO等が挙げられる。
これらの造孔材のなかでは、グラファイト等のカーボンが好ましい。カーボンは、粉砕等の処理により、拡散部材用塗料中に細かい粒子として分散させることができ、加熱、焼成により分解し、好適な気孔径を有する気孔を形成することができるからである。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量は0.001〜1重量部であることが好ましく、0.005〜0.5重量部であることがより好ましい。非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量を、0.001〜1重量部に設定しているので、拡散部材用塗料中に良好に分散し、拡散部材の表面に塗膜を形成し、加熱、焼成によりセラミックコート層を形成した際に、気孔が良好に分散したセラミックコート層を形成することができる。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が0.001重量部未満であると、セラミックコート層中の気孔の割合が少なすぎるため、セラミックコート層が良好な断熱特性を発揮することができないことがある。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が1重量部を超えると、造孔材の割合が多すぎるため、形成されるセラミックコート層中に気孔を良好に分散するのが困難となり、大きな気孔が形成され易くなり、セラミックコート層が良好な断熱特性を発揮することができなくなることがある。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料には、非晶性無機材、結晶性無機材、造孔材のほかに、分散媒、有機結合材等を配合してもよい。
上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料に含まれる混合粉末又は非晶性無機材の粉末と分散媒との配合割合は、特に限定されるものでないが、例えば、非晶性無機材の粉末100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが好ましい。基材に塗布するのに適した粘度となるからである。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料に配合することのできる有機結合材としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、分散媒と有機結合材とを併用してもよい。
なお、基材の表面にセラミックコート層を形成する場合、基材の表面の比表面積を大きくしたり、表面粗さを調製したりするために、基材の表面に粗化処理を施してもよい。粗化処理としては、例えば、サンドブラスト処理等が挙げられる。また、上記粗化処理後に洗浄処理を行ってもよい。
次に、拡散部材の製造方法について説明する。
(1)セラミックで構成された基材を準備する工程
本発明の拡散部材を構成する基材は、例えば、無機粒子と、必要に応じて無機繊維、無機結合材、有機結合材、造孔材等を、分散媒、成形助剤等と混合した原料ペーストを所定の形状に成形し、乾燥、脱脂、焼成することにより得られる。造孔材の添加量を調整することで、セラミックの気孔率を調整することができる。
原料ペーストを構成する無機粒子、無機繊維、無機結合材、造孔材、有機結合材、分散媒及び成形助剤等の材料については、本発明の拡散部材の説明において説明したので省略する。
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが望ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
この原料ペーストを押出成形、加圧成形、射出成形等により所定の形状に成形することで、本発明の拡散部材の前駆体である成形体が得られる。
次に、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、成形体を乾燥して乾燥体を作製する。
さらに、乾燥体を脱脂して脱脂体を作製する。脱脂条件は、乾燥体に含まれる有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、200〜500℃で2〜6時間であることが好ましい。
次に、脱脂体を焼成することにより、セラミックで構成された焼成体(基材)を作製する。
脱脂体を焼成する際の焼成条件は、脱脂体を構成する無機粒子の種類及び目標とする焼成体の気孔率により適宜設定することが好ましい。
脱脂体を焼成する際の焼成条件について、原料となる無機粒子及び無機繊維が酸化物で構成される場合、例えば、酸化性雰囲気下、600〜1000℃であることが好ましく、炭化物、窒化物及び酸窒化物で構成される場合、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下、1200〜2000℃であることが好ましい。
(1’)セラミックで構成された基材を準備する工程
また、本発明の拡散部材を構成する基材の別の製造方法としては、無機繊維を織物状に加工して無機繊維シートとし、この無機繊維シートを構成する無機繊維同士の隙間を無機マトリクスによって埋めることで、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体を得て、必要に応じて切削加工する方法が挙げられる。
無機繊維シートを構成する無機繊維同士の隙間を無機マトリクスによって埋める方法としては、例えば、無機繊維表面と反応して無機粒子等を析出する反応性ガスを上記無機繊維シートに流通させる方法や、上記無機繊維シートを無機マトリクスを含有するスラリー中に含浸して焼成する方法が挙げられる。
無機繊維と反応して無機粒子等を析出する反応性ガスを無機繊維シートに流通させることによって、無機繊維表面に無機粒子等の無機マトリクスが析出し、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体となる。また、無機粒子を含有するスラリー中に上記無機繊維シートを含浸させ、焼成することで、無機繊維同士の隙間に無機マトリクスが入り込み、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体となる。
なお、無機繊維シートの代わりに、無機繊維を三次元構造状に織った無機繊維構造体を用いてもよい。
このようにして得られた焼成体(基材)を、所望の形状に切削加工することにより、本発明の拡散部材となる。
焼成体に対する切削加工は必須ではなく、焼成体に対して切削加工が必要ない場合には、焼成体がそのまま本発明の拡散部材となる。
なお、切削加工は成形後の成形体及び乾燥後の乾燥体に対して行ってもよい。
続いて、必要に応じて、基材の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行ってもよい。上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、基材の表面の比表面積を大きくしたり、基材の表面粗さを調整したりするために、基材の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。
上記手順により、本発明の拡散部材を製造することができるが、さらに基材表面にセラミックコート層を形成する場合、例えば、以下の手順で行うことができる。
(2)セラミックコート層を形成する拡散部材用塗料を調製する工程
まず、結晶性無機材、非晶性無機材、造孔材等を混合し、拡散部材用塗料を調製する。
具体的には、例えば、結晶性無機材の粉末と、非晶性無機材の粉末とをそれぞれ所定の粒度、形状等になるように調製し、各粉末を所定の配合比率で乾式混合して混合粉末を調製し、さらに水を加えて、ボールミルで湿式混合することにより拡散部材用塗料を調製する。
ここで、混合粉末と水との配合割合は、特に限定されるものでないが、混合粉末100重量部に対して、水100重量部程度が好ましい。基材に塗布するのに適した粘度となるからである。また、必要に応じて、上記拡散部材用塗料には、上記したように、有機溶剤等の分散媒及び有機結合材等を配合してもよい。
(3)基材の表面に、拡散部材用塗料をコートする工程
基材表面に拡散部材用塗料をコートする方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、インクジェット、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り、又は、電着塗装等の方法を用いることができる。
また、拡散部材用塗料中に、上記基材を浸漬することにより、上記拡散部材用塗料をコートしてもよい。
(4)拡散部材用塗料をコートした基材に焼成処理を施す工程
具体的には、拡散部材用塗料をコートした基材を乾燥後、加熱焼成することによりセラミックコート層を形成する。
上記焼成温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが好ましく、配合した非晶性無機材の種類や造孔材の種類にもよるが700℃〜1100℃が好ましい。焼成温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより基材と非晶性無機材とを強固に密着させることができ、基材と強固に密着したセラミックコート層を形成することができるからである。
上記手順により、基材表面にセラミックコート層が形成された拡散部材を製造することができる。
続いて、本発明の排ガス浄化装置について説明する。
本発明の排ガス浄化装置は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の拡散部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置においては、セラミックで構成された基材からなる拡散部材が、尿素噴射装置よりも下流側かつ触媒担体よりも上流側に設けられているため、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。さらに、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されてしまい、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
加えて、拡散部材の厚みが1〜30mmであるため、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができ、排ガス浄化装置全体の大きさを小さくすることができる。
本発明の排ガス浄化装置においては、触媒担体が拡散部材と接触していないことが好ましい。
排ガス浄化装置において拡散部材が触媒担体と接触していないと、拡散部材と触媒担体との間において排ガスが触媒担体の径方向に充分に分散されるため、排ガス浄化性能をより向上させることができる。
なお、本発明の排ガス浄化装置を構成する排気管、尿素噴射装置、触媒担体については、従来公知のものを好適に使用することができる。
以下に、本発明の拡散部材の作用効果について説明する。
(1)本発明の拡散部材を構成する基材はセラミックで構成されているため、金属で構成された拡散部材と比較して、耐腐食性に優れている。さらに、金属と比較して変形を起こしにくく、溶接スパッタ等の異物に対する耐摩耗性に優れている。また、金属と比較して単位体積あたりの重量が小さいため、内燃機関の燃費向上にも有効である。
(2)本発明の拡散部材は、厚みが1〜30mmであるため、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができる。
(3)本発明の排ガス浄化装置は、セラミックで構成された基材からなる拡散部材を備えているため、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。さらに、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されていまい、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
(4)本発明の排ガス浄化装置は、厚みが1〜30mmである拡散部材を備えているため、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができる。すなわち、限られた設置スペースで尿素噴射装置から噴射された尿素と排ガスとを充分に混合することができるため、排ガス浄化装置全体の大きさを小さくすることができる。
(5)本発明の拡散部材は、上述したように、尿素噴射装置より噴射された尿素を窒素酸化物を含む排ガスと充分に混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができ、かつ、排ガスの温度が低下することを抑制することができるため、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置の尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に好適に使用することができる。
(実施例)
以下、本発明の一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
拡散部材を構成する基材として、SiCマトリクス中にSiC繊維が分散したSiC/SiC複合体を準備した。
まず、SiC繊維[日本カーボン(株)社製 Hi−Nicalon]を平織りした無機繊維クロスを複数枚積層して無機繊維構造体を得た。続いて、無機繊維構造体にポリカルボシランを一週間流通させて、SiC繊維の間にSiCからなる無機マトリクスを形成してSiC/SiC複合体ブロックを作製した。このブロックを図6に示す形状に切削することによりSiC/SiC複合体からなる基材とし、実施例1に係る拡散部材を得た。実施例1に係る拡散部材の厚みは30mmであった。
(実施例2)
基材を構成する材料をアルミナに変更したほかは、実施例1と同様の方法で実施例2に係る拡散部材を得た。実施例2に係る拡散部材の厚みは1mmであった。
(実施例3)
基材を構成する材料をマイクロサーム(日本マイクロサーム社製)に変更し、基材の表面に膜厚500μmのセラミックコート層を形成したほかは、実施例1と同様の方法で実施例3に係る拡散部材を得た。実施例3に係る拡散部材の厚みは15mmであった。
(比較例1)
基材を構成する材料をフェライト系ステンレス鋼(SUS430)に変更したほかは、実施例1と同様の方法で比較例1に係る拡散部材を得た。比較例1に係る拡散部材の厚みは1.5mmであった。
(比較例2)
実施例1に係る拡散部材の外縁部の直径と同じ直径を有する円筒形コージェライト製ハニカム触媒(セル密度400cpsi(62個/cm)、壁厚0.1mm)を準備し、このコージェライト製ハニカム触媒を比較例2に係る拡散部材とした。比較例2に係る拡散部材の厚みは50mmであった。
(かさ密度の測定)
まず、実施例1〜3及び比較例1〜2に係る拡散部材から寸法1cm×1cm×1cmの試験片を切り出してかさ密度測定サンプルとし、かさ密度測定サンプルの重量を体積で除することによりかさ密度を測定した。結果を表1に示す。
実施例3については、セラミックコート層を形成する前の基材を上記寸法に切り出してかさ密度測定サンプルを作製した。
また、実施例3に係る拡散部材については、セラミックコート層形成前後の重量を測定しておき、セラミックコート層のみの重量を求めた。次いで、膜厚計[(株)フィッシャーインストルメンツ デュアルスコープMP40]を用いてセラミックコート層の膜厚を測定することにより、セラミックコート層の体積を求めた。セラミックコート層の重量をセラミックコート層の体積で除することにより、セラミックコート層のかさ密度を求めた。
(熱拡散係数の測定)
レーザーフラッシュアナライザ(NETZSCH社製 LFA467)を用い、以下の条件で実施例1〜3及び比較例1〜2に係る拡散部材を構成する基材の熱拡散係数を測定した。実施例3に係る拡散部材については、セラミックコート層についても熱拡散係数を測定した。結果を表1に示す。
表面処理:グラファイトスプレー
測定温度:25℃
測定雰囲気:N
サンプルサイズ:φ10mm、厚さ=2mm
示差走査熱量計(セイコー電子工業製 DSC210型)を用い、以下の条件で実施例1〜3及び比較例1〜2に係る拡散部材の比熱容量を測定した。また、すでに測定した熱拡散係数、比熱容量、かさ密度並びに拡散部材及びセラミックコート層の重量から、熱伝導率を求めた。実施例3に係る拡散部材については、セラミックコート層についても比熱容量を測定し、熱伝導率を求めた。結果を表1に示す。
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
Figure 2017020453
(エンジン始動30秒後の触媒温度の測定)
図2に示したように、実施例1〜3及び比較例1〜2に係る拡散部材を排気管内に配置するとともに、ハニカム触媒の排ガス流入側端面から排ガス流出側に10mm、かつ、排ガス流通方向に垂直な方向における断面においてハニカム触媒の中央となる位置に温度センサを配置して、排気管に模擬排ガスを流し、模擬排ガスを流通させ始めてから30秒後にハニカム触媒の排ガス流入側端面の温度(30s後触媒温度)を測定した。入り口ガス温度は、エンジン始動時から10秒後までは25℃/s、10秒を超えて20秒までは7.5℃/s、20秒を超えて30秒までは3.5℃/sで昇温させ、ガス流量が5g/sとなるように調整した。ハニカム触媒としてはφ103mm、長さ105mmの円柱状のコージェライト触媒[セル密度400cpsi(62個/cm)、壁厚0.1mm]を用いた。結果を表2に示す。
Figure 2017020453
表2の結果から、厚みが1〜30mmであり、基材がセラミックで構成されている本願発明の拡散部材は、排ガスの温度低下を充分に抑制できることがわかった。
1 排ガス浄化装置
10、20、30、40、60 拡散部材
11、21、31、61 外縁部
12、22、32、62 翼
63 板部
41、64 孔
100 排気管
200 ケーシング
300 保持シール材
400 触媒担体
500 尿素噴射装置

Claims (23)

  1. 排気管内に設置されて、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する基材からなる拡散部材であって、
    厚みが1〜30mmであり、
    前記基材はセラミックで構成されていることを特徴とする拡散部材。
  2. 前記基材の25℃における熱拡散係数が0.06×10−6〜3×10−6/sである請求項1に記載の拡散部材。
  3. 厚みが1〜15mmである請求項1又は2に記載の拡散部材。
  4. 前記セラミックは、酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の拡散部材。
  5. 前記酸化物は、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタン酸カリウム、マイカ、ガラス及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種からなる請求項4に記載の拡散部材。
  6. 前記セラミックは、炭化物である請求項1〜3のいずれかに記載の拡散部材。
  7. 前記炭化物は、炭化ケイ素である請求項6に記載の拡散部材。
  8. 前記セラミックは、窒化物である請求項1〜3のいずれかに記載の拡散部材。
  9. 前記窒化物は、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムである請求項8に記載の拡散部材。
  10. 前記基材は、無機粒子の焼結体からなる請求項1〜9のいずれかに記載の拡散部材。
  11. 前記基材は、無機マトリクス中に無機繊維が分散した複合体である請求項1〜9のいずれかに記載の拡散部材。
  12. 前記基材の25℃における熱伝導率は、1〜5W/mKである請求項1〜11のいずれかに記載の拡散部材。
  13. 前記基材の表面には、さらにセラミックコート層が形成されている請求項1〜12のいずれかに記載の拡散部材。
  14. 前記セラミックコート層が前記拡散部材の表面に占める面積の割合は50〜100%である請求項13に記載の拡散部材。
  15. 前記セラミックコート層の厚さは5〜2000μmである請求項13又は14に記載の拡散部材。
  16. 前記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKである請求項13〜15のいずれかに記載の拡散部材。
  17. 前記セラミックコート層の最大厚さは、前記セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍である請求項13〜16のいずれかに記載の拡散部材。
  18. 前記セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、
    前記セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmである請求項13〜17のいずれかに記載の拡散部材。
  19. 前記セラミックコート層の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、前記セラミックコート層の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍である請求項18に記載の拡散部材。
  20. 前記セラミックコート層は非晶性無機材の層と、前記非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなる請求項13〜19のいずれかに記載の拡散部材。
  21. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、
    前記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、
    前記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、
    前記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、前記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に請求項1〜20のいずれかに記載の拡散部材が設けられていることを特徴とする排ガス浄化装置。
  22. 前記拡散部材が前記触媒担体と接触していない請求項21に記載の排ガス浄化装置。
  23. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、前記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、前記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置の、前記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、前記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位における、
    前記排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害し、かつ、前記尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に排ガスの温度が低下することを抑制するための請求項1〜20のいずれかに記載の拡散部材の使用。
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