JP6549908B2 - 拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用 - Google Patents

拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用 Download PDF

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Description

本発明は、拡散部材、排ガス浄化装置及び排ガス浄化装置における拡散部材の使用に関する。
ディーゼル機関においてはNOxの発生が不可避であるため、これを除去する方法が必須となっている。NOxの除去としては、還元剤として尿素を用いた選択的触媒還元システム(尿素SCRシステム)が実用化されている。
尿素SCRシステムでは、尿素水を排気管内に噴射する。噴射された尿素水は排ガスの熱により加水分解を起こしてアンモニアとなり、NOxをNへと還元する還元剤として作用する。従って、排ガス中のNOxを充分に還元するためには、還元剤であるアンモニアと排ガスを充分に混合する必要がある。
なお、排気管内において排ガスを充分に混合することは、尿素SCRに限らず、各種センサと併用する場合にも重要である。
上述した尿素SCRシステム等において、排気管の内径が充分に大きい場合、排ガスは充分に混合されるが、車両構造の制限等のため、排気管の内径を充分に大きくできないことがある。このような場合に排ガスを混合する方法として、特許文献1には、排気管内に静止ミキサを設ける方法が開示されており、特許文献2には、排気管内に混合器やスワラーを設け、排ガスに旋回流を発生させる方法が開示されている。
特表2001−516635号広報 特開2008−280882号広報
しかしながら、特許文献1に記載された静止ミキサや特許文献2に記載された混合器・スワラーを用いた場合、排ガスの熱エネルギーが静止ミキサ、混合器及びスワラーに奪われてしまうことによって、排ガスの温度が低下してしまうという問題があった。排ガスの温度が、下流に搭載された排ガス浄化触媒の作動温度域よりも低下した場合、充分な浄化作用を発揮することができないことがあった。特許文献1には、静止ミキサがプラスチック或いは金属からなることが開示されているが、プラスチックからなる静止ミキサでは、耐熱性及び耐久性に問題があり、金属からなる静止ミキサでは、上述したように排ガスの温度を低下させるという問題があった。
また、特許文献2には、混合器やスワラーをどのような材料で製造するか、及び、混合器やスワラーによって排ガスの温度低下が発生することについてはなんら開示されていない。
上記課題を鑑みて本発明者が鋭意検討を重ねた結果、静止ミキサ、混合器及びスワラーの表面にセラミックコート層を施すことにより、排ガスの温度低下を抑制できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の拡散部材は、排気管内に設置されて、排気管の上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材であって、金属からなる基材と、上記基材の表面上に形成されたセラミックコート層からなることを特徴とする。
本発明の拡散部材では、基材表面にセラミックコート層が形成されているため、表面の熱伝導率を低く抑えることができる。そのため、尿素噴射装置から噴射された尿素を排ガスと充分混合して排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する際に、拡散部材によって排ガスの熱エネルギーが吸収されていまい、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。
尿素SCRシステムの還元剤として一般的に用いられる尿素は、約135℃で下記式(1)で示される熱分解反応を起こしてアンモニア(NH)とイソシアン酸(HNCO)を発生する。
NCONH→HNCO + NH (1)
その後、160℃以上の温度において上記イソシアン酸は、さらに下記式(2)で示される加水分解反応を起こしてアンモニアと二酸化炭素を発生する。
HNCO+HO→CO + NH (2)
イソシアン酸は金属に対する腐食性を有しており、一般的に金属で形成されている拡散部材を腐食させる。
上述したように、イソシアン酸は135℃以上で発生し、160℃以上で分解されるため、イソシアン酸の存在する温度領域は135℃以上160℃未満となる。そして拡散部材の表面温度が上記範囲内である状態が長時間継続すると、イソシアン酸により拡散部材の腐食が進行する。しかしながら、本発明の拡散部材の表面にはセラミックコート層が形成されているため、断熱効果が高く、160℃以上の温度を長く維持できるため、拡散部材がイソシアン酸に暴露される時間を短くすることができ、腐食の進行を抑制することができる。
さらに、一般的に金属よりもセラミックのほうが耐腐食性に優れるため、セラミックコート層が形成されている本願発明の拡散部材は、例えイソシアン酸による暴露を受けたとしても、金属からなる拡散部材と比較して腐食が進行しにくい。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、上記基材の25℃における熱伝導率よりも小さいことが好ましい。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率が、25℃における基材の熱伝導率よりも小さいと、セラミックコート層を形成することによって充分な断熱効果を発揮することができる。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層が上記拡散部材の表面に占める面積の割合は50〜100%であることが好ましい。
拡散部材の表面に占めるセラミックコート層の面積の割合が50〜100%であると、排ガスの温度低下を充分に抑制することができる。
なお、本明細書において、拡散部材の表面とは、拡散部材の排ガスと接触し得る部分を指す。すなわち、拡散部材のうち、排気管内部と接触して排ガスと接触しない箇所については、拡散部材の表面に含めないこととする。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の厚さは5〜2000μmであることが好ましい。
セラミックコート層の厚さが上記した厚さであると、断熱性能及び機械的特性をより良好に維持することができる。
セラミックコート層の厚さが5μm未満の場合には、セラミックコート層の厚さが薄すぎるために、充分な断熱性能を発揮できなくなることがある。一方、セラミックコート層の厚さが2000μmを超えると、セラミックコート層の厚さが厚すぎるために、熱衝撃を受けた際に、セラミックコート層が破壊されやすくなる。
本発明の拡散部材において、上記基材の25℃における熱伝導率は10〜400W/mKであることが好ましい。
基材の25℃における熱伝導率が上記範囲内であると、基材の熱特性として適当である。
本発明の拡散部材において、上記基材の25℃における熱伝導率は10〜150W/mKであることが好ましい。
基材の25℃における熱伝導率が上記範囲内であると、基材の熱特性として特に適当である。
なお、基材材料である金属の多くは、温度が上昇すると熱伝導率が低下する。すなわち、本発明の拡散部材の本来の動作温度域である200〜500℃付近における基材の熱伝導率の値が、25℃の場合の熱伝導率の値以下となる金属が多い。また、温度上昇により熱伝導率が高くなる一部の金属についても、その上昇率は劇的ではなく、緩やかなものである。さらに、本発明の効果を奏するにあたってはセラミックコート層が形成されていることの寄与が大きく、基材の熱伝導率が本発明の効果に及ぼす寄与はそれほど大きくない。
以上のことから、基材の25℃における熱伝導率と200〜500℃における熱伝導率の差は、本発明の効果を奏するにあたって無視できる程度に小さいものであるといえる。
従って、基材材料である金属の25℃における熱伝導率が上記範囲を達成することができれば、200〜500℃の温度領域においても本発明の効果を充分に奏するものとし、測定の容易さから25℃における熱伝導率を採用している。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKであることが好ましい。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、断熱性に優れているため、排ガスの温度の低下を防止することができる。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率を0.05W/mK未満とすることは、技術的観点及び経済的観点のバランスを考慮すると容易ではない。一方、セラミックコート層の25℃における熱伝導率が2W/mKを超えると、セラミックコート層の断熱性が不充分となり、排ガスの温度の温度が低下し、下流における触媒活性を充分に発揮できないことがある。
また、本発明の拡散部材の本来の動作温度域は200〜500℃程度であるが、セラミックコート層の原料であるセラミックの上記温度範囲における熱伝導率は一般的に、25℃におけるセラミックの熱伝導率よりも低い。そのため、25℃における熱伝導率において上記範囲を達成することができれば、200〜500℃の温度領域においても充分な断熱性を担保できるものとし、測定の容易さから25℃における熱伝導率を採用している。
なお、本発明の拡散部材を構成する基材及びセラミックコート層の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定することができる。
本発明の拡散部材において、上記基材の熱膨張係数は、5.0×10−6〜25.0×10−6−1であることが好ましい。
基材の熱膨張係数が上記範囲であると、セラミックコート層の熱膨張係数に近くなるため、基材とセラミックコート層との接着性が向上する。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の熱膨張係数は、1.0×10−6〜17.0×10−6−1であることが好ましい。
セラミックコート層の熱膨張係数が上記範囲であると、基材の熱膨張係数に近くなるため、セラミックコート層と基材との接着性が向上する。
本発明の拡散部材において、上記基材と上記セラミックコート層の熱膨張係数の差は、10.0×10−6−1以下であることが好ましい。
基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差が10.0×10−6−1以下であると、基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差に起因してセラミックコート層にクラックが発生することを抑制することができる。
基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差が10.0×10−6−1を超えた場合、基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差に起因してセラミックコート層にクラックが発生することがある。
なお、本発明における基材及びセラミックコート層の熱膨張係数は、以下の方法により測定した線熱膨張係数を指す。
<基材の熱膨張係数の測定方法>
測定用サンプルとして、厚さ1.5mmの基材を3×15mmの大きさで切り出す。この測定用サンプルを、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定する。
測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とする。
<セラミックコート層の熱膨張係数の測定方法>
測定用サンプルとして、セラミックコート層と同じ成分組成の3×3×15mmのバルク体を作製する。この測定用サンプルを、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定した。
測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とする。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層の最大厚さは、上記セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍であることが好ましい。
セラミックコート層の最大厚さが最小厚さの20倍を超える場合、セラミックコート層の厚さが厚すぎる部分が存在することとなり、熱衝撃によりセラミックコート層が破壊されることがあるか、又は、セラミックコート層の厚さが薄すぎる部分が存在することとなり、セラミックコート層による断熱性の向上が充分に計れないことがある。
本発明の拡散部材において、上記拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、上記拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmであることが好ましい。
拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであり、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01〜1μmであると、拡散部材の表面を通過した排ガスの流れを充分に乱すことができるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減することができる。
排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1μm未満である場合には、拡散部材の表面に排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が10μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
また、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が1μmを超える場合には、拡散部材表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
なお、本発明の拡散部材の排ガス流入側表面とは、拡散部材の表面から垂直に引いた法線が排ガス流入側に向かう部分を指し、排ガス流出側表面とは、拡散部材の表面から垂直に引いた法線が、排ガス流出側に向かう部分を指す。
また、拡散部材の表面のうち、表面から垂直に引いた法線が排ガス流通方向に垂直な部分については、拡散部材の重心を通り、かつ、排ガス流通方向に垂直な平面を仮定し、該平面上と該平面より排ガス流入側に存在する部分を排ガス流入側表面とし、該平面より排ガス流出側に存在する部分(該平面上を含まない)を排ガス流出側表面とする。
本発明の拡散部材は、上記排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、上記排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍であることが好ましい。
排気管を流れる排ガスは、主に拡散部材の排ガス流入側の表面と接触するため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する観点から、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)以上(1.2倍以上)であることが好ましい。
一方、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の10倍を超える場合には、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が大きすぎることによって拡散部材の表面における見かけの熱伝導率が大きくなってしまい、排ガスの温度を低下させてしまうか、又は、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が小さくなりすぎることによって、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。
本発明の拡散部材において、上記セラミックコート層は非晶性無機材の層と、上記非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなることが好ましい。
セラミックコート層が非晶性無機材の層と、非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなると、セラミックコート層の耐熱性及び強度に優れる。
本発明の排ガス浄化装置は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の拡散部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置は窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管の上流側に設けられた尿素噴射装置と、下流側に設けられた触媒担体と、尿素噴射装置よりも下流、かつ、触媒担体よりも上流、すなわち、尿素噴射装置と触媒担体の間に本発明の拡散部材が設けられているため、尿素噴射装置より噴射された尿素を窒素酸化物を含む排ガスと充分に混合することができる。
さらに、本発明の拡散部材はセラミックコート層を有しているため断熱性に優れる。
そのため、尿素噴射装置から噴射された尿素の分解物であるイソシアン酸が存在しうる135〜160℃の温度領域にまで拡散部材の温度が低下しにくく、イソシアン酸の析出及びイソシアン酸による拡散部材への腐食の進行を抑制することができる。セラミックコート層を構成するセラミックは金属よりもイソシアン酸に対する耐腐食性に優れているため、たとえイソシアン酸の暴露を受けたとしても拡散部材の腐食が進行しにくい。
さらに、セラミックコート層が形成されているため断熱性が高く、排ガスの温度が低下することを抑制することができる。排ガスの温度低下が抑制されると、触媒担体表面でのアンモニアによるNOx還元反応が充分に進行しやすくなるため、窒素酸化物を含む排ガスを効率よく浄化することができる。
そして、一般的に金属よりもセラミックのほうが耐腐食性に優れるため、セラミックコート層が形成されている本願発明の拡散部材は、例えイソシアン酸による暴露を受けたとしても、金属からなる拡散部材と比較して腐食が進行しにくいため、拡散部材の腐食を抑制することができる。
本発明の拡散部材の使用は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなり、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材が設けられた排ガス浄化装置における、尿素噴射装置から噴射される尿素と排ガスとを充分に混合して触媒担体に到達させ、かつ、尿素噴射装置から噴射される尿素の熱分解物であるイソシアン酸によって拡散部材が腐食されることを防止するための本発明の拡散部材の使用である。
上述したように、本発明の拡散部材はセラミックコート層が形成されていることにより断熱性に優れるため、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなり、尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材が設けられた排ガス浄化装置において、尿素噴射装置から噴射される尿素と排ガスとを充分に混合して触媒担体に到達させることができ、かつ、尿素噴射装置から噴射された尿素の分解物であるイソシアン酸が存在しうる135〜160℃の温度領域にまで拡散部材の温度が低下しにくく、イソシアン酸の析出及びイソシアン酸による拡散部材への腐食の進行を抑制することができる。そのため、本発明の拡散部材は上記排ガス浄化装置に好適に使用することができる。
図1(a)は、本発明の拡散部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。 図2は、本発明の拡散部材を構成する基材及びセラミックコート層を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す模式図である。 図4は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図5は、本発明の拡散部材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、本発明の拡散部材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の拡散部材のさらに別の一例を排ガス流出側端面からみた斜視図である。 図8は、本発明の拡散部材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の拡散部材について詳述する。
本発明の拡散部材は、排気管の内部に配置され、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害することができれば、その形状は特に限定されず、例えば、排気管上流から流入するガスに旋回方向の力を加える翼、排気管上流から流入する排ガスを多数の方向に分岐させる網状物や突起、排ガスの流れを乱流とする孔(オリフィスともいう)等が1つ以上配置された形状であってよい。
なお、本発明の拡散部材は基本的に可動部を有しないが、排ガスの圧力が高まった際にこれを開放して、新たな排ガスの流路を形成するための弁等及び弁等を可動させるための可動部等を有していてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、排気管の径方向に排ガスが良く分散されるので、触媒担体に排ガスが導入される際に触媒担体の断面において偏析なく導入されて高い浄化効率を保つことが可能となる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の略中央から放射上に延びる複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、排ガスの流れ方向の変化を可能な限り抑えながら排ガスが径方向に良く分散されるので、圧力損失や熱損失が低い状態ながら排ガスの浄化効率を高くすることが可能となる。
上記構造の拡散部材の形状についてさらに詳述する。
上記構造の拡散部材としては、例えば、図1(a)及び図1(b)に示す形状が挙げられる。
図1(a)は、本発明の拡散部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示す拡散部材10は、円筒形の外縁部11と、該外縁部11の略中央から放射状に延びる複数の翼12からなり、図1(b)に示すように、翼12は排ガスの通過方向(図1(b)中、両矢印aで示す方向)に対して所定の角度傾いている。
拡散部材10に流入する排ガスは、排ガス流入側端面10aから拡散部材10内部に流入し、翼12によってその流路の一部が阻害されて、旋回方向に力が加わり、排ガス流出側端面10bから流出する。そのため、拡散部材10の排ガス流出側では、排ガスに旋回方向の流れが発生することとなり、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
拡散部材10を排気管内部に設置する際に、外縁部11の外面11bが排気管と接触するように配置される場合、外縁部11の外面11bは排気管と接触するため、拡散部材の表面とはみなさない。また、外縁部11の内面11aのうち、拡散部材10の重心を通り且つ排ガス流通方向に垂直な方向に平行な面を示す一点鎖線bよりも排ガス流入側(図1(b)中、両矢印bで示す領域)に存在する部分については排ガス流入側表面であり、一点鎖線bよりも排ガス流出側(図1(b)中、両矢印bで示す領域、ただし一点鎖線b上を含まない)に存在する部分については排ガス流出側表面である。
拡散部材10を構成する翼12の第一の面12aは、その表面から垂直に引いた法線が排ガス流入側(図1(b)中、一点鎖線bから排ガス流入側端面10aに向かう方向)に向かうため、排ガス流入側表面であり、翼12の第二の面12bは、その表面から垂直に引いた法線が排ガス流出側(図1(b)中、一点鎖線bから排ガス流出側端面10bに向かう方向)に向かうため、排ガス流出側表面である。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は0.1〜10μmであり、拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)は0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであり、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01〜1μmであると、拡散部材の表面を通過した排ガスの流れを充分に乱すことができるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減することができる。
排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が0.1μm未満である場合には、拡散部材の表面に排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が10μmを超える場合には、拡散部材の表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
また、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が0.01μm未満である場合には、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。一方、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が1μmを超える場合には、拡散部材表面において必要以上に排ガスの流れが乱されて、見かけの熱伝導率が高まり、排ガスの温度を低下させてしまうことがある。
本発明の拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)は、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の1.2〜10倍であることが好ましい。
排気管を流れる排ガスは、主に拡散部材の排ガス流入側の表面と接触するため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減する観点から、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)以上(1.2倍以上)であることが好ましい。
一方、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)の10倍を超える場合には、排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz)が大きすぎることによって拡散部材の表面における見かけの熱伝導率が大きくなってしまい、排ガスの温度を低下させてしまうか、又は、排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz)が小さくなりすぎることによって、拡散部材の表面において排ガスの流れが乱されにくくなるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを充分に低減できないことがある。
本発明の拡散部材の表面粗さはハンディサーフE−35B(東京精密社製)を用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。また、測長距離は4mmとした。
本発明の拡散部材を構成する基材とセラミックコート層について説明する。
本発明の拡散部材は、金属からなる基材と基材の表面上に形成されたセラミックコート層から構成されている。
上記構造の拡散部材であれば、排ガスから基材への熱エネルギーの移動が抑制されるため、排ガスの温度低下を抑制することができる。
さらに、一般的に金属よりもセラミックのほうが耐腐食性に優れるため、セラミックコート層が形成されている本願発明の拡散部材は、例えイソシアン酸による暴露を受けたとしても、金属からなる拡散部材と比較して腐食が進行しにくい。
上記構造の拡散部材を、図2を例にさらに詳述する。
図2は、本発明の拡散部材を構成する基材及びセラミックコート層を模式的に示す断面図である。図2に示すように、拡散部材10は基材2と、基材2の表面に形成されたセラミックコート層3から構成されている。
本発明の拡散部材の働きについて説明する。
本発明の拡散部材は、排ガス浄化装置の一部として配置されて機能する。排ガス浄化装置は、排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、排気管の下流側に設けられた触媒担体からなり、尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部分に拡散部材が配置される。この構成において拡散部材は、排ガスの流れを一部阻害して、排ガスを排気管の径方向に分散させる働きをする。
上記拡散部材の働きにより、排ガスが触媒担体に導入される際には、排ガス中の成分の偏り及び/又は温度分布の偏りが低減されて高い浄化効率を保つことが可能になる。さらに排ガスは、尿素噴射装置から噴射された尿素水が良く分散した状態で触媒担体に導入されるので、尿素SCRシステムを充分に作用させることができ、高い浄化性能を保つことが可能になる。
上記拡散部材の働きをさらに詳述する。
図3は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す模式図である。
排ガス浄化装置1は、排ガスが流通する排気管100と、排気管100の上流側に設けられ、尿素を排気管100内に噴射する尿素噴射装置500と、排気管100の下流側に設けられた触媒担体400からなり、尿素噴射装置500よりも下流側、かつ、触媒担体400よりも上流側で排ガスが接触する部分に拡散部材10が配置されている。
拡散部材10を排気管100内に設置した場合、排気管上流から流入する排ガスは、拡散部材10を通過する際に、その流れの一部が阻害されて、旋回方向に回転する(排ガスの流れを矢印Gで模式的に示す)。
従って、拡散部材10を通過した排ガスは、旋回しながらケーシング200内部に流入するため、保持シール材300によってケーシング200内部に配置された触媒担体400の排ガス流入側端面400aに排ガスが到達する際には、排ガス中の成分の偏り及び/又は温度分布の偏りが低減されることとなる。
そして、尿素噴射装置500から噴射された尿素水は、排ガス中に充分に分散した状態で触媒担体400へと到達するため、尿素SCRシステムを充分に作用させることができる。そして、拡散部材10にはセラミックコート層が形成されているため、断熱性能に優れており、排ガス温度低下を抑制することができる。
なお、排ガス浄化装置に用いられる触媒担体としては、セラミック製のハニカム触媒等、従来からこの分野で用いられている触媒担体を使用することができる。
また、尿素噴射装置を備えていない排気管であっても、排ガス中の成分及び/又は温度の偏りを低減するために上記拡散部材は有効である。
本発明の拡散部材における基材を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、鋼、ステンレス、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、インバー(登録商標)等が挙げられる。これらの金属からなる基材は、後述するように、セラミックコート層と熱膨張係数を近付けることにより、セラミックコート層との密着力を向上させやすくなる。
セラミックコート層との密着性を良好にするため、本発明の拡散部材を構成する基材の表面にサンドブラスト処理や化学薬品等の粗化処理を施してもよい。
本発明の拡散部材を構成する基材の25℃における熱伝導率は、10〜400W/mKであることが好ましく、10〜150W/mKであることがより好ましい。
基材の25℃における熱伝導率が上記範囲内であると、基材の熱特性として特に適当である。
25℃における熱伝導率が10〜400W/mKである金属材料としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、鋼、ステンレス、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、インバー(登録商標)等が挙げられる。
25℃における熱伝導率が10〜150W/mKである金属材料としては、ステンレス、鋼、鉄、銅、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、インバー(登録商標)等が挙げられる。
本発明の拡散部材を構成する基材の熱膨張係数は、5.0×10−6〜25.0×10−6−1であることが好ましい。
基材の熱膨張係数が上記範囲であると、セラミックコート層の熱膨張係数に近くなるため、基材とセラミックコート層との接着性が向上する。
本発明の拡散部材を構成する基材として好ましい、熱膨張係数が5.0×10−6〜25.0×10−6−1である金属材料としては、例えば、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられる。
本発明の拡散部材におけるセラミックコート層について説明する。
本発明の拡散部材においては、拡散部材の表面に占めるセラミックコート層の割合が50〜100%であることが好ましい。
拡散部材の表面に占めるセラミックコート層の面積の割合が50〜100%であると、排ガスの温度低下を充分に抑制することができる。
なお、本明細書において、拡散部材の表面とは、拡散部材の排ガスと接触し得る部分を指す。すなわち、拡散部材のうち、排気管内部と接触して排ガスと接触しない箇所については、拡散部材の表面に含めないこととする。
また、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層には気孔が形成されていることが好ましい。
セラミックコート層に気孔が形成されていると、気孔が個体内部の熱伝導を妨げるため、優れた断熱特性が得られる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、0.1〜150μmであることが好ましく、0.1〜50μmであることがより好ましい。セラミックコート層中の気孔の平均気孔径が0.1〜150μmであると、セラミックコート層中の熱伝達を気孔により有効に阻止することができ、セラミックコート層の高断熱性を維持することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、小さいほうが、気孔内の放射伝熱、対流伝熱による熱移動を低減することができるため、1μmに近ければ近いほど好ましく、具体的には、1〜50μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。平均気孔径が1〜5μmの範囲では、最も気孔内の熱移動を低減させることが可能である。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、拡散部材を切断して断面をデジタルマイクロスコープもしくは走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することによって測定することができる。
具体的には、デジタルマイクロスコープ画像もしくはSEM画像をセラミックコート層の厚さ方向の全域が入るように撮影して、全ての気孔についての気孔径を測定し、平均値を求めることにより平均気孔径が得られる。気孔の形状が略球状でない場合、その気孔の直径は、投影面積円に相当する直径(ヘイウッド径)とする。
デジタルマイクロスコープ画像もしくはSEM画像の測定倍率は、セラミックコート層の厚さが5〜50μm未満の場合は2000倍、50〜100μm未満の場合は1000倍、100〜300μm未満の場合は500倍、300〜500μm未満の場合は200倍、500〜1000μm未満の場合は150倍、1000〜2000μmの場合は100倍とする。なお、倍率が100倍の時はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX5000)で測定し、他の倍率の時はSEMを用いて観察するのが好ましい。
本発明の拡散部材におけるセラミックコート層の気孔率は、30〜80%であることが好ましい。本発明の拡散部材におけるセラミックコート層の気孔率が30〜80%であると、セラミックコート層中の熱の伝達を気孔により効果的に遮断することができ、良好な断熱性を発揮することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の気孔率が30〜80%であり、さらにセラミックコート層中の気孔が均一に分散していると、セラミックコート層中の熱の伝達をさらに効果的に遮断することができ、特に良好な断熱性を発揮することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の気孔率は、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層のかさ密度と、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の真密度から求めることができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層のかさ密度は、セラミックコート層を形成する前後の拡散部材の重量の変化から求めたセラミックコート層の重量と、膜厚計により測定したセラミックコート層の厚さ(体積)から求められる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の真密度は、セラミックコート層を粉末状にし、連続自動粉粒体真密度測定器[(株)セイシン企業製 オートトゥルーデンサー MAT−7000]で測定することができる。測定溶媒は測定対象となる拡散部材と反応しないものであれば特に限定されないが、例えばn−ブタノールが挙げられる。
かさ密度の真密度に対する比率[(本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層のかさ密度)/(本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の真密度)]を1から引いた値として本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の気孔率が得られる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の気孔率が30%未満であると、気孔の割合が少なすぎるため、断熱性が劣化してしまうことがある。一方、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の気孔率が80%を超えると、気孔の割合が多くなりすぎるため、機械的強度の低下及び気孔同士の合体による断熱性能の低下がおこりやすくなる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、0.1〜50μmであることが好ましい。本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径が0.1〜50μmであると、セラミックコート層中の熱伝達を気孔により有効に阻止することができ、セラミックコート層の高断熱性を維持することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径は、小さいほうが、気孔内の放射伝熱、対流伝熱による熱移動を低減することができるため、1μmに近ければ近いほど好ましく、具体的には、1〜50μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。平均気孔径が1〜5μmの範囲では、最も気孔内の熱移動を低減させることが可能である。
なお、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の厚さが薄いときは、平均気孔径の上限がセラミックコート層の厚さとなることが好ましい。これは、気孔がセラミックコート層の外に飛び出てブラインド気孔になることはなく、気孔がセラミックコート層の中に独立気孔として存在していることが好ましいことを意味する。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径を0.1μm未満とすることは技術的に難しく、このような気孔を形成するには、非常に小さな造孔材を使用するなど特別な材料を使う必要があるため、材料コストが急激に増加してしまい、好ましくない。
一方、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中の気孔の平均気孔径が50μmを超えているとセラミックコート層の固体部分が少ないため、セラミックコート層の機械的特性が低下する。また、100μmを超える径の気孔は、気孔内で対流熱伝達および放射伝熱によって放熱効果が促進されるため、断熱性が低下する。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層について説明する。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層は、非晶性無機材を含んでなることが好ましく、非晶性無機材と結晶性無機材を含んでなることがより好ましく、非晶性無機材の層と、非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなることがさらに好ましい。
本発明の拡散部材における非晶性無機材は、シリカを含む非晶性無機材であることが好ましく、シリカを20重量%以上含有していることがより好ましく、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであることが更に好ましい。
上記低融点ガラスの種類は特に限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、チタンクリスタルガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、ソーダバリウムガラス等が挙げられる。
これらの低融点ガラスは、単独で用いてもよいし、2種類以上が混合されていてもよい。
本発明の拡散部材における非晶性無機材が、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであると、低融点ガラスを融解させて基材(金属材料)の表面に塗布(コート)した後、加熱、焼成処理を施すことにより、金属からなる基材の表面上にセラミックコート層を容易に、しかも基材との密着性に優れたセラミックコート層を形成することができる。
本発明の拡散部材における非晶性無機材の軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、セラミックコート層となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなる。一方、本発明の拡散部材における非晶性無機材の軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により基材の機械的特性が劣化するおそれが生じる。
なお、本発明の拡散部材における非晶性無機材の軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づき、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。
上記硼珪酸ガラスの種類は、特に限定されないが、SiO−B−ZnO系ガラス、SiO−B−Bi系ガラス等が挙げられる。上記クリスタルガラスは、PbOを含むガラスであり、その種類は特に限定されないが、SiO−PbO系ガラス、SiO−PbO−B系ガラス、SiO−B−PbO系ガラス等が挙げられる。上記バリウムガラスの種類は、特に限定されないが、BaO−SiO系ガラス等が挙げられる。
また、非晶性無機材は、上述した低融点ガラスのうちの一種類のみからなるものであってもよいし、複数種類の低融点ガラスからなるものであってもよい。
続いて、結晶性無機材について説明する。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層中に結晶性無機材が存在していると、セラミックコート層が高温になった際に、結晶性無機材の粒子が気孔の移動の障害となって気孔の移動が妨げられるため、気孔の合体により断熱性能が低下することを防止することができる。
本発明の拡散部材における結晶性無機材としては、ジルコニアを含有していることが好ましく、ジルコニアを20重量%以上含有していることがより好ましく、ジルコニアを50重量%以上含有していることがさらに好ましい。
ジルコニアを含有する結晶性無機材としては、具体的には、CaO安定化ジルコニア(5wt%CaO−ZrO、8wt%CaO−ZrO、31wt%CaO−ZrO)、MgO安定化ジルコニア(20wt%MgO−ZrO、24wt%MgO−ZrO)、Y安定化ジルコニア(6wt%Y−ZrO、7wt%Y−ZrO、8wt%Y−ZrO、10wt%Y−ZrO、12wt%Y−ZrO、20wt%Y−ZrO)、ジルコン(ZrO−33wt%SiO)、CeO安定化ジルコニア等が挙げられる。
これらの中では、耐熱性及び耐腐食性に優れ、25℃での熱伝導率が4W/mK以下であるジルコニア、Y安定化ジルコニア、CaO安定化ジルコニア、MgO安定化ジルコニアが好ましい。
本発明の拡散部材における結晶性無機材の粒子は、セラミックコート層を機械的に強化する役割を果たすとともに、耐熱性に優れるので、セラミックコート層の耐熱性及び機械的強度を向上させることができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の機械的強度が増加すると、エンジンから排出される排ガスに含まれる溶接スパッタ等の異物が衝突した場合であっても、セラミックコート層が破壊されにくくなる。もしセラミックコート層が一部でも破壊された場合、破壊された部分では基材が露出するため、イソシアン酸による腐食が進行しやすくなる。
従って、セラミックコート層が結晶性無機材を含むことにより機械的強度を向上させ、ひいてはセラミックコート層の耐腐食性を向上させることができる。
本発明の拡散部材におけるセラミックコート層の厚さは、5〜2000μmであることが好ましく、50〜2000μmであることがより好ましい。
セラミックコート層の厚さが5μm未満であると、セラミックコート層の厚さが薄すぎるため、拡散部材として使用した際に、充分な断熱性能を発揮できなくなることがある。
一方、セラミックコート層の厚さが2000μmを超えると、セラミックコート層が厚すぎるため、熱衝撃を受けた際に、セラミックコート層の基材との接合面と、雰囲気に露出している表面との温度差が大きくなり易く、セラミックコート層が破壊され易くなる。
本発明の拡散部材におけるセラミックコート層の最大厚さは、セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍であることが好ましい。
セラミックコート層の最大厚さが最小厚さの20倍を超える場合、セラミックコート層の厚さが厚すぎる部分が存在することとなり、熱衝撃によりセラミックコート層が破壊されることがあるか、又は、セラミックコート層の厚さが薄すぎる部分が存在することとなり、セラミックコート層による断熱性の向上が充分に計れないことがある。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKが好ましい。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、断熱性に優れ、高温においても、熱伝導率が上がりにくいので、排気ガス等の温度が低下するのを防止することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の25℃における熱伝導率を0.05W/mK未満とすることは、技術的観点及び経済的観点の両者のバランスを考慮すると容易ではない。
一方、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の25℃における熱伝導率が2W/mKを超えると、低温領域での排気管の保温性が不充分となり、例えば、尿素SCRシステムに用いた場合、排ガスの温度が低下してしまってNOxの還元が充分に進行しないことがある。
なお、本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の25℃における熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。
レーザーフラッシュ法による本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の熱伝導率の測定は、熱拡散係数(α)を測定することにより行う。熱伝導率(k)は、測定した熱拡散係数(α)と、比熱容量(Cp)と密度(ρ)から算出される値である。
熱拡散係数の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:NETZSCH製 LFA467
表面処理:グラファイトスプレー
測定温度:25℃
測定雰囲気:N
サンプルサイズ:φ10mm、厚さ=2mm
セラミックコート層の熱拡散係数を測定する際は、基材と一体の状態で測定し、多層解析によりセラミックコート層のみの熱拡散係数を算出する。また、セラミックコート層の熱拡散係数を測定する時は、セラミックコート層に垂直にレーザーが照射されるようにサンプルを設置する。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の熱伝導率は下記式から算出する。
k=ρ・Cp・α[W/mK]
<かさ密度(ρ)の測定>
セラミックコート層のかさ密度を求める場合、まずは基材の重量を測定し、その後に基材の上にセラミックコート層を形成してセラミックコート層付き基材の重量の測定から、引き算でセラミックコート層の重量(=A)を測定する。その後、セラミックコート層の膜厚から、セラミックコート層の体積(=B)を算出し、A/Bをかさ密度とする。
<比熱容量(Cp)の測定>
比熱容量の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:セイコー電子工業製 DSC210型
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
セラミックコート層の比熱容量を測定する際は、セラミックコート層をφ4mm、厚さ1mmのバルク体に成形して測定を実施することができる。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の熱膨張係数は、1.0×10−6〜17.0×10−6−1であることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成するセラミックコート層の熱膨張係数が上記範囲であると、基材の熱膨張係数に近くなるため、セラミックコート層と基材との接着性が向上する。
本発明の拡散部材において、上記基材と上記セラミックコート層の熱膨張係数の差は、10.0×10−6−1以下であることが好ましい。
本発明の拡散部材を構成する基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差が10.0×10−6−1以下であると、基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差に起因してセラミックコート層にクラックが発生することを抑制することができる。
本発明の拡散部材を構成する基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差が10.0×10−6−1を超えた場合、基材とセラミックコート層の熱膨張係数の差に起因してセラミックコート層にクラックが発生することがある。
なお、本発明における基材及びセラミックコート層の熱膨張係数は、以下の方法により測定した線熱膨張係数を指す。
<基材の熱膨張係数の測定方法>
測定用サンプルとして、厚さ1.5mmの基材を3×15mmの大きさで切り出す。この測定用サンプルを、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定する。
測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とする。
<セラミックコート層の熱膨張係数の測定方法>
測定用サンプルとして、セラミックコート層と同じ成分組成の3×3×15mmのバルク体を作製する。この測定用サンプルを、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定した。
測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とする。
本発明の拡散部材の形状について、上述した形状以外の形状について詳述する。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の略中央から渦巻状に延びる複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、渦巻状の翼の表面に沿って排ガスが流れるので排ガスの旋回の度合いが大きくなり、偏析なく排ガスが分散することが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図4に示す拡散部材20は、円筒形の外縁部21と、該外縁部21の略中央から渦巻状に延びる複数の翼22からなり、翼22は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材20は、図1(a)及び図1(b)に示した拡散部材10と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加えるため、排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、該外縁部の内面から該外縁部の略中央に向かって突出する複数の翼からなり、翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、突出する複数の翼によって排ガスが良く分散されると共に、圧力損失の低下を最小限に抑えることが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図5に示す拡散部材30は、円筒形の外縁部31と、該外縁部31の内面から該外縁部の略中央に向かって突出する複数の翼32からなり、翼32は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材30の外縁部31の中央部には翼32が配置されていないが、拡散部材30を通過する排ガスの全ての流路を妨げることは必須ではないため、拡散部材30のような形状であっても、充分に排ガスを混合することができ、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、所定の厚さを有する円盤と、これを厚さ方向に貫通する複数個の孔(オリフィスともいう)とからなっていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、複数個の孔によって排ガスが良く分散され、排ガスの浄化性能を高く保つことが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図6に示す拡散部材40は、円盤状の基材の表面に表裏を貫通する孔41が複数個形成されている。
拡散部材40を通過する排ガスは、必然的に孔41を通過することとなるため、孔41の通過時に排ガスの流れが乱されて排ガスが混合されるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部の内側に、排ガスが衝突した際にその移動方向を所定の方向に変更させる突起と、該突起とは異なる方向に排ガスの移動方向を変更する別の突起とが形成されていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、各方向に排ガスの移動方向が変更されるので、排ガスが良く分散されて排ガスの浄化性能を高く保つことが可能になる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図7に示す拡散部材50は、円筒形の外縁部51の内側に、排ガスが衝突した際にその移動方向を所定の方向に変更させる突起52と、突起52とは異なる方向に排ガスの移動方向を変更する突起53とが形成されている。
拡散部材50を通過する排ガスは、排ガス流入側端面50aから拡散部材50内部に流入して、排ガス流出側端面50bから流出する。この時、排ガスは突起52又は突起53に衝突することとなるが、突起52に衝突した排ガスが移動する方向と突起53に衝突した排ガスが移動する方向が異なるため排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材は、円筒形の外縁部と、厚さ方向に貫通する孔(オリフィスともいう)を複数個有するドーナツ形の円盤部と、該円盤部の内面から該円盤部の略中央に向かって渦巻状に延びる複数の翼からなり、該複数の翼は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いていてもよい。
上記構造の拡散部材であれば、貫通する孔および複数の翼によって排ガスが良く分散されると共に、圧力損失を低減することが可能となる。
上記構造の拡散部材をさらに詳述すると、図8に示す拡散部材60は、円筒形の外縁部61と、孔64を有するドーナツ形の板部63と、該板部63の内面から該板部63の略中央に向かって渦巻状に延びる複数の翼62からなり、翼62は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材60は、翼62を有しているために、図1(a)及び図1(b)に示した拡散部材10と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加える。さらに、板部63に形成された孔64を排ガスが通過することによって、図6に示した拡散部材40と同様に排ガスの流れに乱れが生じて排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
本発明の拡散部材の形状は上述したものに限定されず、例えば、図6に示した孔はその大きさや形状が異なっていてもよいし、必ずしも等間隔で配置されている必要はない。図1、図4、図5、図6、図7及び図8に記載の翼、孔及び突起の形状はそれぞれ任意に組み合わせることが可能であり、翼、孔及び突起の位置(配置)は規則的であってもよく、不規則的であってもよい。
また、本発明の拡散部材は基本的に可動部を有しないが、排ガスの圧力が高まった際にこれを開放し、新たな排ガスの流路を形成するための弁等を有していてもよい。
次に、本発明の拡散部材の製造方法について説明する。
まず、本発明の拡散部材を構成する基材について説明する。
基材を構成する材料は、本発明の拡散部材の説明において説明したので省略する。
基材を所望の拡散部材の形状とするためには、公知の金属加工技術を用いることができ、塊状金属(インゴット)を切削加工により削り出して作製してもよいし、打ち抜きや圧延等の手段を用いて複数の金属パーツを分割して作製し、これらを溶接、ネジ等により接合して作製してもよい。
続いて、本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料について説明する。上記拡散部材用塗料は、セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物である。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物は、非晶性無機材を含むことが好ましく、さらに結晶性無機材及び/又は造孔材を含むことがより好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる非晶性無機材の種類、材料、材質、その他特性については、本発明の拡散部材において説明した非晶性無機材と同様であるため省略する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、非晶性無機材の粉末は、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得る。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる非晶性無機材は、基材表面に塗布、焼成後、溶融して塗膜(非晶性無機材の層)となるので、厳密に非晶性無機材の粒子径をコントロールする必要はないが、拡散部材用塗料中に非晶性無機材の粒子が均一に分散していることが好ましい。
この点から、非晶性無機材の湿式粉砕後の最終的な平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。1〜20μmの範囲では、粒子表面に帯電している電気による影響が少ないためと推測されるが、粒子が均一に分散しやすい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる結晶性無機材についても、その種類、材料、材質、その特性等については、本発明の拡散部材において説明した結晶性無機材と同様であるので省略する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、結晶性無機材の場合も、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得る。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる結晶性無機材の湿式粉砕後の最終的な平均粒子径は0.1〜150μmであることが好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は5〜80重量部であることが好ましく、10〜70重量部であることがより好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法において用いる拡散部材用塗料の全量100重量部に対して、5〜80重量部の結晶性無機材の粒子を使用することにより、得られるセラミックコート層を構成する非晶性無機材の層中に結晶性無機材の粒子が適切な割合で分散し、セラミックコート層の耐熱性、断熱性を担保することができる。
本発明の拡散部材の製造方法において拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が5重量部未満であると、非晶性無機材の層中に分散する結晶性無機材の粒子の量が少ないため、高温域で内部に分散している気孔が移動し易くなり、断熱性能が低下する。
一方、本発明の拡散部材の製造方法において拡散部材用塗料の全量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が80重量部を超えると、相対的に非晶性無機材の量が少なくなるため、塗膜の形成(セラミックコート層の形成)が難しくなり、拡散部材からの剥離が発生し易くなる。
続いて、造孔材について説明する。
造孔材は、基材表面に上記拡散部材用塗料を用いて塗膜を形成した後、加熱、焼成によりセラミックコート層を形成した際、セラミックコート層内に気孔を形成するために用いられている。
上記造孔材としては、例えば、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等のカーボン及び炭酸塩等の発泡剤等を用いることができるが、本発明においては、形成されたセラミックコート層は、高い断熱性能を有することが好ましく、そのためには、気孔は、なるべく小さい径のものが均一に分散していることが好ましい。
このような観点から、造孔材は、グラファイト等のカーボン及び炭酸塩等の発泡剤が好ましい。
炭酸塩の発泡剤としては、CaCO、BaCO、NaHCO、NaCO、(NHCO等が挙げられる。
これらの造孔材のなかでは、グラファイト等のカーボンが好ましい。カーボンは、粉砕等の処理により、拡散部材用塗料中に細かい粒子として分散させることができ、加熱、焼成により分解し、好適な気孔径を有する気孔を形成することができるからである。
上記観点から、本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料における造孔材の粒子の平均粒子径は0.1〜25μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料における造孔材の粒子の平均粒子径が0.1〜25μmであると、形成される非晶性無機材の層中の気孔の径を、0.1〜50μmに調整しやすくなる。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料における造孔材の粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、拡散部材用塗料中に造孔材を良好に分散することが難しくなり、その結果、形成される非晶性無機材の層中の気孔の分散度合いが低下し、高温になった際、気孔が合体し易くなる。
一方、本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料における造孔材の粒子の平均粒子径が25μmを超えた場合には、非晶性無機材の層中に形成される気孔の径が大きくなりすぎ、非晶性無機材の層の断熱性が低下し易くなる。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量は0.001〜1重量部であることが好ましく、0.005〜0.5重量部であることがより好ましい。非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量を、0.001〜1重量部に設定しているので、拡散部材用塗料中に良好に分散し、拡散部材の表面に塗膜を形成し、加熱、焼成によりセラミックコート層を形成した際に、気孔が良好に分散したセラミックコート層を形成することができる。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が0.001重量部未満であると、セラミックコート層中の気孔の割合が少なすぎるため、セラミックコート層が良好な断熱特性を発揮することができないことがある。
本発明の拡散部材の製造方法に用いる拡散部材用塗料において、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が1重量部を超えると、造孔材の割合が多すぎるため、形成されるセラミックコート層中に気孔を良好に分散するのが困難となり、大きな気孔が形成され易くなり、セラミックコート層が良好な断熱特性を発揮することができなくなることがある。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料には、非晶性無機材、結晶性無機材、造孔材のほかに、分散媒、有機結合材等を配合してもよい。
上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料に含まれる混合粉末又は非晶性無機材の粉末と分散媒との配合割合は、特に限定されるものでないが、例えば、非晶性無機材の粉末100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが好ましい。基材に塗布するのに適した粘度となるからである。
本発明の拡散部材の製造方法において用いられる拡散部材用塗料に配合することのできる有機結合材としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、分散媒と有機結合材とを併用してもよい。
次に、上記した拡散部材用塗料の調製とそれを用いた拡散部材の製造方法について説明する。
(1)金属からなる基材を準備する工程
金属からなる基材(以下、金属基材又は金属材料ともいう)を出発材料とし、所望の拡散部材の形状となるように成形する。拡散部材の形状を形成するには、公知の金属加工技術を用いることができ、塊状金属(インゴット)を切削加工により削り出して作製してもよいし、打ち抜きや圧延等の手段を用いて複数の金属パーツを分割して作製し、これらを溶接、ネジ等により接合して作製してもよい。
続いて、必要に応じて、金属基材の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行ってもよい。上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、金属基材の表面の比表面積を大きくしたり、金属基材の表面の粗さを調整したりするために、金属基材の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。
(2)セラミックコート層を形成する拡散部材用塗料を調製する工程
まず、結晶性無機材、非晶性無機材、造孔材等を混合し、拡散部材用塗料を調製する。
具体的には、例えば、結晶性無機材の粉末と、非晶性無機材の粉末とをそれぞれ所定の粒度、形状等になるように調製し、各粉末を所定の配合比率で乾式混合して混合粉末を調製し、さらに水を加えて、ボールミルで湿式混合することにより拡散部材用塗料を調製する。
ここで、混合粉末と水との配合割合は、特に限定されるものでないが、混合粉末100重量部に対して、水100重量部程度が好ましい。金属基材に塗布するのに適した粘度となるからである。また、必要に応じて、上記拡散部材用塗料には、上記したように、有機溶剤等の分散媒及び有機結合材等を配合してもよい。
(3)金属基材の表面に、拡散部材用塗料をコートする工程
基材表面に拡散部材用塗料をコートする方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、インクジェット、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り、又は、電着塗装等の方法を用いることができる。
また、拡散部材用塗料中に、上記金属基材を浸漬することにより、上記拡散部材用塗料をコートしてもよい。
(4)拡散部材用塗料をコートした金属基材に焼成処理を施す工程
具体的には、拡散部材用塗料をコートした金属基材を乾燥後、加熱焼成することによりセラミックコート層を形成する。
上記焼成温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが好ましく、配合した非晶性無機材の種類や造孔材の種類にもよるが700〜1100℃が好ましい。焼成温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより金属基材と非晶性無機材とを強固に密着させることができ、金属基材と強固に密着したセラミックコート層を形成することができるからである。
上記手順により、本発明の拡散部材を製造することができる。
続いて、本発明の排ガス浄化装置について説明する。
本発明の排ガス浄化装置は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、上記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、上記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の拡散部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置においては、耐熱性及びイソシアン酸に対する耐腐食性に優れた本発明の拡散部材が、尿素噴射装置よりも下流側かつ触媒担体よりも上流側に設けられているため、尿素噴射装置より噴射された尿素を窒素酸化物を含む排ガスと充分に混合することができる。さらに、本発明の拡散部材は断熱性に優れるため、尿素噴射装置から噴射された尿素の分解物であるイソシアン酸が存在しうる135〜160℃の温度領域まで拡散部材の温度が低下しにくく、イソシアン酸の析出及びイソシアン酸による拡散部材への腐食の進行を抑制することができる。また、セラミックコート層が形成されているため断熱性が高く、排ガスの温度低下を抑制することができる。排ガスの温度低下が抑制されると、触媒担体表面でのアンモニアによるNOx還元反応が充分に進行しやすくなるため、窒素酸化物を含む排ガスを効率よく浄化することができる。
そして、一般的に金属よりもセラミックのほうが耐腐食性に優れるため、セラミックコート層が形成されている本願発明の拡散部材は、例えイソシアン酸による暴露を受けたとしても、金属からなる拡散部材と比較して腐食が進行しにくいため、拡散部材の腐食を抑制することができる。
なお、本発明の排ガス浄化装置を構成する排気管、尿素噴射装置、触媒担体については、従来公知のものを好適に使用することができる。
以下に、本発明の拡散部材の作用効果について列挙する。
(1)本発明の拡散部材では、金属からなる基材の表面上にセラミックコート層が形成されている。セラミックコート層は、優れた断熱特性を有しているため、排気管上流から流入する排ガスを混合させて下流へと流出させる際に、排ガスの温度低下を抑制することができる。そのため、内燃機関等の排気システム(尿素SCRシステム等)に好適に用いることができる。
(2)本発明の排ガス浄化装置では、拡散部材として金属からなる基材の表面上にセラミックコート層が形成された本発明の拡散部材を用いている。そのため、窒素酸化物を含む排ガスを排気管上流から流入させて触媒担体よりも上流で尿素と混合する際に尿素の熱分解物であるイソシアン酸が存在する温度よりも高い温度を維持し易く、イソシアン酸の発生及びイソシアン酸の暴露による拡散部材の腐食を抑制することができる。
(3)本発明の拡散部材は、セラミックコート層が形成されているために、イソシアン酸の発生及びイソシアン酸の暴露による拡散部材の腐食を抑制することができる。そのため、本発明の拡散部材は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、上記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなり、尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材が設けられた排ガス浄化装置において使用すると、充分な効果を発揮する。
(4)本発明の排ガス浄化装置は、セラミックコート層が形成された拡散部材を備えているため、尿素噴射装置から噴射された尿素の熱分解物であるイソシアン酸が加水分解されやすく、拡散部材がイソシアン酸による暴露を受けにくい。さらに、一般的に金属よりもセラミックのほうが耐腐食性に優れるため、セラミックコート層が形成されている本願発明の拡散部材は、例えイソシアン酸による暴露を受けたとしても、金属からなる拡散部材と比較して腐食が進行しにくいため、拡散部材の腐食を抑制することができる。
(5)本発明の拡散部材は、上述したように尿素噴射装置から噴射される尿素と排ガスとを充分に混合して触媒担体に到達させ、かつ、尿素噴射装置から噴射された尿素の熱分解物であるイソシアン酸による腐食を抑制することができるため、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置において、尿素噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に好適に使用することができる。
(実施例)
以下、本発明の一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)基材の準備
金属からなる基材として、直径100mm×厚さ1.5mmの円板状のステンレス基材(SUS430製:熱伝導率は23W/mK)を図1のように変形・切削し、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行い、続いて、サンドブラスト処理を行って基材の表面(両面)を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて、金属基材の表面粗さを測定したところ、金属基材の表面粗さは、RzJIS=8.8μmであった。
上記処理により、金属基材を作製した。
(2)拡散部材用塗料の調製
非晶性無機材の粉末として、バリウムシリケートガラス(軟化点770℃)を準備した。上記非晶性無機材の粉末は、平均粒子径が15μmで、シリカを35重量%含有していた。
上記非晶性無機材の粉末35重量部に加えて、結晶性無機材15重量部、造孔材としてのカーボン0.012重量部、有機結合材(メチルセルロース)0.5重量部、及び、合計重量が100重量部となるように水を加えて混合した。
ここで結晶性無機材と非晶性無機材及び造孔材が粒子として形状を保ったまま取り出せる場合、レーザー回折法を用いた装置[(株)島津製作所製 SALD−300V]により、各粒子径を測定すればよく、平均粒子径は上記装置を使用して100個の粒子を計測し、その粒子径の平均値を平均粒子径とすればよい。
また、結晶性無機材の粒子を形状を保ったまま取り出せない場合、次のような3次元計測X線CT装置を使用することで粒子径を計測することができ、そのデータから平均粒子径を算出すればよい。
この場合、セラミックコート層を3.1mmサイズに切り抜いたサンプルを、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学製 TDM1000−IS/SP)で計測し、それを三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS製 VG−Studio MAX)で画像処理を施すことにより粒子径を計測することができる。ここで粒子径とは、1つの粒子表面を2点取り、その2点間の直線距離が最も大きい値を粒子径とする。上記計測方法により、セラミックコート層から100箇のサンプルを採取して、粒子径を測定し、その粒子径の平均値を平均粒子径とすればよい。
(3)拡散部材用塗料の焼成
基材の全面に、調製した拡散部材用塗料を用いてスプレーコート法により塗布を行い、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。続いて、空気中、850℃で90分間、加熱焼成処理することにより、厚さ500μmのセラミックコート層を形成し、実施例1に係る拡散部材を得た。
(実施例2〜実施例3)
拡散部材用塗料の組成を表1に示す組成に変更するほかは、実施例1と同様の手順によって実施例2〜実施例3に係る拡散部材を得た。なお、実施例2及び実施例3に係る拡散部材の作製にあたっては、表1に示した結晶性無機材、非晶性無機材、造孔材に加えて0.5重量部の有機結合材、及び、全量が100重量部となる量の水を添加して拡散部材用塗料を調製した。
(比較例1)
基材の表面に拡散部材用塗料を塗布しないほかは、実施例1と同様の方法で、比較例1に係る拡散部材を得た。
(かさ密度の測定)
まず、実施例1〜3に係る拡散部材について、セラミックコート層形成前後の重量を測定しておき、セラミックコート層のみの重量を求めた。続いて、膜厚計[(株)フィッシャーインストルメンツ デュアルスコープMP40]を用いてセラミックコート層の膜厚を測定することにより、セラミックコート層の体積を求めた。セラミックコート層の重量をセラミックコート層の体積で除することにより、セラミックコート層のかさ密度を求めた。
(熱膨張係数の測定)
比較例1に係る拡散部材について、下記の方法で熱膨張係数を測定し、実施例1〜3及び比較例1に係る拡散部材を構成する基材の熱膨張係数を求めた。結果を表1に示す。
<基材の熱膨張係数の測定>
比較例1に係る拡散部材(実施例1〜3に係る拡散部材を構成する基材)について、測定用サンプルとして、厚さ1.5mmの基材を3×15mmの大きさで切り出した。この測定用サンプルを、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定した。測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とした。
さらに、実施例1〜3に係る拡散部材を構成するセラミックコート層の熱膨張係数を下記の方法で求めた。結果を表1に示す。
<セラミックコート層の熱膨張係数の測定>
測定用サンプルとして、実施例1〜3に係る拡散部材を構成するセラミックコート層と同じ成分組成の3×3×15mmのバルク体を作製した。そして、測定用サンプル(バルク体)を、測定装置(NETZSCH社製 熱膨張計 TD5000SA)に設置して、熱膨張係数を測定した。
測定条件は、大気雰囲気、昇温速度は10℃/分、温度範囲は25〜430℃とした。
(熱拡散係数の測定)
レーザーフラッシュアナライザ(NETZSCH社製 LFA467)を用い、以下の条件で実施例1〜3に係る拡散部材について、セラミックコート層の熱拡散係数を測定した。
表面処理:グラファイトスプレー
測定温度:25℃
測定雰囲気:N
サンプルサイズ:φ10mm、厚さ=2mm
示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業製 DSC210型)を用い、以下の条件で実施例1〜3に係る拡散部材について、セラミックコート層の比熱容量を測定した。また、すでに測定した熱拡散係数、比熱容量及びかさ密度から、セラミックコート層の熱伝導率を求めた。結果を表2に示す。
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
Figure 0006549908
(エンジン始動30秒後の触媒温度の測定)
図3に示したように、実施例1〜3及び比較例1に係る拡散部材を排気管内に配置するとともに、触媒担体の排ガス流入側端面から排ガス流出側に10mm、かつ、排ガス流通方向に垂直な方向における断面において触媒担体の中央となる位置に温度センサを配置して、排気管に模擬排ガスを流し、模擬排ガスを流通させ始めてから30秒後に触媒担体の排ガス流入側端面の温度(30s後触媒温度)を測定した。入り口ガス温度は、エンジン始動時から10秒後までは25℃/秒、10秒を超えて20秒までは7.5℃/秒、20秒を超えて30秒までは3.5℃/秒で昇温させ、ガス流量が5g/秒となるように調整した。触媒担体としてはφ103mm、長さ105mmの円柱状のコージェライト触媒[セル密度400cpsi(62個/cm)、壁厚0.1mm]を用いた。結果を表2に示す。
Figure 0006549908
表2の結果から、基材表面にセラミックコート層を有する実施例1〜3に係る拡散部材を使用した場合には、基材表面にセラミックコート層を有しない比較例1に係る拡散部材を使用した場合と比較して、30s後触媒温度が高くなっていることがわかった。そのため、本発明の拡散部材を用いた場合には、排気ガスの温度低下を抑制できることがわかった。
1 排ガス浄化装置
2 基材
3 セラミックコート層
10、20、30、40、50、60 拡散部材
11、21、31、51、61 外縁部
12、22、32、62 翼
63 板部
41、64 孔
52、53 突起
100 排気管
200 ケーシング
300 保持シール材
400 触媒担体
500 尿素噴射装置

Claims (14)

  1. 排気管内に設置されて、排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材であって、
    金属からなる基材と、前記基材の表面上に形成されたセラミックコート層からなり、
    前記拡散部材の排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz )は0.1〜10μmであり、
    前記拡散部材の排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz )は0.01〜1μmであり、
    前記排ガス流入側表面の表面粗さ(Rz )は、前記排ガス流出側表面の表面粗さ(Rz )の1.2〜10倍であることを特徴とする拡散部材。
  2. 前記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、前記基材の25℃における熱伝導率よりも小さい請求項1に記載の拡散部材。
  3. 前記セラミックコート層が前記拡散部材の表面に占める面積の割合は50〜100%である請求項1又は2に記載の拡散部材。
  4. 前記セラミックコート層の厚さは5〜2000μmである請求項1〜3のいずれかに記載の拡散部材。
  5. 前記基材の25℃における熱伝導率は10〜400W/mKである請求項1〜4のいずれかに記載の拡散部材。
  6. 前記基材の25℃における熱伝導率は10〜150W/mKである請求項1〜5のいずれかに記載の拡散部材。
  7. 前記セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKである請求項1〜6のいずれかに記載の拡散部材。
  8. 前記基材の熱膨張係数は、5.0×10−6〜25.0×10−6−1である請求項1〜7のいずれかに記載の拡散部材。
  9. 前記セラミックコート層の熱膨張係数は1.0×10−6〜17.0×10−6−1である請求項1〜8のいずれかに記載の拡散部材。
  10. 前記基材と前記セラミックコート層の熱膨張係数の差は10.0×10−6−1以下である請求項1〜9のいずれかに記載の拡散部材。
  11. 前記セラミックコート層の最大厚さは、前記セラミックコート層の最小厚さの1.2〜20倍である請求項1〜10のいずれかに記載の拡散部材。
  12. 前記セラミックコート層は非晶性無機材の層と、前記非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなる請求項1〜11のいずれかに記載の拡散部材。
  13. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、
    前記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、
    前記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、
    前記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、前記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に請求項1〜12のいずれかに記載の拡散部材が設けられていることを特徴とする排ガス浄化装置。
  14. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気管と、
    前記排気管の上流側に設けられ、尿素を排気管内に噴射する尿素噴射装置と、
    前記排気管の下流側に設けられた触媒担体とからなり、
    前記尿素噴射装置よりも下流側、かつ、前記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に排気管上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材が設けられた排ガス浄化装置における、尿素噴射装置から噴射される尿素と排ガスとを充分に混合して触媒担体に到達させ、かつ、尿素噴射装置から噴射される尿素の熱分解物であるイソシアン酸によって拡散部材が腐食されることを防止するための請求項1〜12のいずれかに記載の拡散部材の使用。
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