JP2017019320A - ブッシュ及びサスペンションアームの製造方法 - Google Patents

ブッシュ及びサスペンションアームの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、外筒の絞り量を大きくしても外筒に形成した皮膜の割れの発生を抑制することができるブッシュの製造方法を提供する。【解決手段】スリット7を備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された外筒3と、内筒2とがゴム弾性体4で加硫接着されることにより形成されるブッシュ1の製造方法であって、前記外筒3のスリット7間の距離が近づくように絞る絞り工程と、前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記外筒3に化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、前記絞り工程時のスリット7間の距離よりもスリット7間が広がった状態で前記外筒3と前記内筒2とを前記弾性体4で加硫接着する弾性体接着工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用のブッシュの製造方法及びサスペンションアームの製造方法に関する。
従来、車両用のブッシュとしては、内筒と、化成皮膜処理された外筒とを弾性体で加硫接着したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなブッシュをサスペンションアームやナックル等の懸架部材に使用する場合には、軸直角方向のブッシュのばね定数が大きく、ブッシュのねじりばね定数が小さく設定されることが望ましい。軸直角方向のブッシュのばね定数が大きいと、横力に対する車輪の保持性が高まり車両の操安性が向上する。また、ブッシュのねじりばね定数が小さいと、車両の乗り心地が良好となる。
ところで、内筒と外筒とを弾性体で加硫接着した後、外筒に絞りを施して弾性体をその周囲から径方向の内側に向けて圧縮することによって、軸直角方向のブッシュのばね定数は大きくなり、ブッシュのねじりばね定数は小さくなる。
特開平7−190116号公報
しかしながら、軸直角方向のばね定数を大きくし、ねじりばね定数を小さくするために外筒の絞りを大きくすると、外筒に形成した化成皮膜に割れが生じる問題がある。このような割れが化成皮膜に発生すると、弾性体と外筒との接着性が不充分となってブッシュの耐久性が低下する問題がある。
したがって、弾性体の圧縮量を大きく確保しつつ、耐久性にも優れるブッシュ及びこれを備えるサスペンションアームが望まれている。
そこで本発明の課題は、弾性体の圧縮量を大きく確保しつつ、耐久性にも優れるブッシュの製造方法及びこのブッシュを有するサスペンションアームの製造方法を提供することにある。
前記課題を解決した本発明は、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された外筒と、内筒とが弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュの製造方法であって、前記外筒のスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記外筒に化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で前記外筒と前記内筒とを前記弾性体で加硫接着する弾性体接着工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法で得られるブッシュは、外筒と内筒とが加硫接着された後、弾性体が圧縮されるように外筒のスリットが絞られて使用される。この弾性体の圧縮量に応じてブッシュの所定のばね定数が変化する。この際、外筒の化成皮膜は、スリットの絞り量に応じて歪む。
したがって、このような本発明とは異なって、例えば化成皮膜を形成した際のスリット幅の外筒と内筒とを弾性体で加硫接着し、外筒のスリットを狭めて弾性体を圧縮する製造方法では、弾性体の圧縮量を多くすべく狭めるスリット幅を大きく確保すると、化成皮膜に発生する歪みが大きくなる。そのため、化成皮膜に割れが生じて弾性体と外筒との接着性が不充分となる場合がある。
これに対して、本発明の製造方法は、予めスリット間の距離が近づくように絞った状態の外筒に化成皮膜処理を行い、弾性体の加硫接着は、絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で行う。
したがって、本発明の製造方法によれば、化成皮膜を形成した際のスリットの距離と、加硫接着した際の外筒のスリットの距離とが同じ前記の製造方法と比較して、弾性体に対する圧縮量が同じであっても、外筒の化性皮膜に発生する歪みを小さくすることができる。
このブッシュの製造方法によれば、外筒の絞り量を大きくすることで弾性体の圧縮量を大きくしても外筒に形成した化成皮膜の割れの発生を抑制することができる。
また、前記課題を解決した本発明は、外筒と内筒との間に弾性体を介してインタリングが配置され、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された前記インタリングと、前記外筒と、前記内筒とが前記弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュの製造方法であって、前記インタリングのスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記インタリングに化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で、前記外筒と、前記インタリングと、前記内筒とを前記弾性体で加硫接着する弾性体接着工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法によれば、例えば、化成皮膜を形成した際のインタリングのスリットの距離と、加硫接着した際のインタリングのスリットの距離とが同じ製造方法と比較して、インタリングの絞りによる弾性体に対する圧縮量が同じであっても、インタリングの化成皮膜に発生する歪みを小さくすることができる。
したがって、このブッシュの製造方法によれば、インタリングの絞り量を大きくすることで弾性体の圧縮量を大きくしてもインタリングに形成した化成皮膜の割れの発生を抑制することができる。
また、前記課題を解決した本発明は、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された外筒と、内筒とを弾性体で加硫接着することにより形成されるブッシュを有するサスペンションアームの製造方法であって、前記外筒のスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記外筒に化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で前記外筒と前記内筒とを前記弾性体で加硫接着して前記ブッシュを形成するブッシュ形成工程と、前記ブッシュを前記サスペンションアームのブッシュホルダに圧入する圧入工程と、を有することを特徴とする。
このサスペンションアームの製造方法によれば、外筒の絞り量を大きくすることで弾性体の圧縮量を大きくしても外筒に形成した化成皮膜の割れの発生を抑制することができる。
また、前記課題を解決した本発明は、外筒と内筒との間に弾性体を介してインタリングが配置され、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された前記インタリングと、前記外筒と、前記内筒とが前記弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュを有するサスペンションアームの製造方法であって、前記インタリングのスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記インタリングに化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で、前記外筒と、前記インタリングと、前記内筒とを前記弾性体で加硫接着して前記ブッシュを形成するブッシュ形成工程と、前記ブッシュを前記サスペンションアームのブッシュホルダに圧入する圧入工程と、を有することを特徴とする。
このサスペンションアームの製造方法によれば、インタリングの絞り量を大きくすることで弾性体の圧縮量を大きくしてもインタリングに形成した化成皮膜の割れの発生を抑制することができる。
本発明によれば、弾性体の圧縮量を大きく確保しつつ、耐久性にも優れるブッシュの製造方法及びこのブッシュを有するサスペンションアームの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法で得られるブッシュを有するサスペンションアームが配置される車体構造の部分拡大斜視図である。 図1に示すII方向から見たサスペンションアームに配置されたブッシュの平面図である。 図2のブッシュの製造工程図である。 (a)及び(b)は、ブッシュ(サスペンションアーム)の奏する作用効果の説明図である。 図2のブッシュの変形例を示す平面図である。 図5のブッシュの製造工程図である。
次に、本発明の実施形態に係るブッシュの製造方法及びサスペンションアームの製造方法について説明する。以下では、本発明の製造方法で得られるブッシュ(サスペンションアーム)の全体構成について説明した後に、これらの製造方法について説明する。
<ブッシュ(サスペンションアーム)の全体構成>
図1は、本実施形態の製造方法で得られるブッシュ1を有するサスペンションアーム10が配置される車体構造20の部分拡大斜視図である。なお、図1は、車両の左前車輪側の車体構造20を示すが、本発明はその他の車輪側にも用いることもでき、この左前車輪側に限られない。
図1に示すように、サスペンションアーム(ロアアーム)10は、車体フレーム(図示省略)の下側に設けられたサブフレーム14に取り付けられている。
サスペンションアーム10は、サブフレーム14側で二股に分かれており、サブフレーム14に設けられたブラケット12,12にボルト13,13で軸支されている。
なお、図示しないが、サスペンションアーム10の二股の反対側には、ナックル(図示省略)を介して車輪(図示省略)が取り付けられる。
サスペンションアーム10は、略筒状のブッシュホルダ11,11内に圧入されるブッシュ1,1と前記のボルト13,13とを介してブラケット12,12に取り付けられる。ブッシュホルダ11,11は、ブッシュ1,1が収まる円柱状空間を内側に有し、サスペンションアーム10のサブフレーム14側の端部を形成している。
なお、本実施形態ではサスペンションアーム10にブッシュホルダ11が配置される構成を説明するが、サブフレーム14側にブッシュホルダ11が配置される構成としてもよい。
図2は、図1に示すII方向から見たサスペンションアーム10に配置されたブッシュ1の平面図である。なお、図2は、図1の後側のブッシュ1を示しているが、図1の前側のブッシュ1もこれと同様の構造を有している。したがって、以下では後側のブッシュ1についてのみ説明し、前側のブッシュ1の説明は省略する。
図2に示すように、ブッシュ1は、外筒3と、この外筒3の内側で外筒3と同軸に配置される内筒2と、外筒3と内筒2とを加硫接着したゴム弾性体4と、を有している。なお、ゴム弾性体4は、特許請求の範囲にいう「弾性体」に相当する。
外筒3は、サスペンションアーム10のブッシュホルダ11内に圧入された状態で円筒形状を呈している。この外筒3は、例えばアルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属で形成することができる。本実施形態での外筒3としては、後記するスリット7の開閉方向にばね弾性を有する材料で形成されるものを想定している。
この外筒3には、外筒3の表面全体にわたって後記する化成皮膜(図示省略)が形成されている。
内筒2は、円筒形状を有しており、内側にボルト13(図1参照)の挿通孔8が形成されている。この内筒2は、例えばアルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属で形成することができる。
ゴム弾性体4としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性NBR、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、マレイン酸変性EPM、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化IIR、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴムなどがあげられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いられる。また、ゴム弾性体4には、後記する加硫接着の際に加えられる加硫剤、加硫促進剤のほか、カーボンブラックなどの補強剤、滑剤、助剤、可塑剤、老化防止剤などを加えることもできる。
なお、図2中、符号10は、サスペンションアーム、符号11は、ブッシュホルダである。
<ブッシュ(サスペンションアーム)の製造方法>
図3は、図2のブッシュの製造工程図である。
本実施形態のブッシュ1の製造方法は、絞り工程と、化成皮膜処理工程と、拡張工程と、弾性体接着工程と、圧入工程とを有している。
(絞り工程)
この絞り工程では、図3に示すように、まずスリット7を有する断面C字形状の外筒3が準備される(図3の(I)工程参照)。本実施形態での外筒3は、前記のように、スリット7の開閉方向にばね弾性を有する材料で形成されている。
この外筒3のスリット7は、第1幅Aで開いている。外筒3は、後記する圧入工程(図3の(V)から(VI)工程参照)でスリット7が閉じられた際に、円筒形状となるように形成されている。
この絞り工程では、ばね弾性による反発力に抗してスリット7の第1幅Aが第2幅a(A>a)に狭められる(図3の(I)から(II)工程参照)。
絞り工程では、外筒3のスリット7の第2幅aが維持されるように所定の治具(図示省略)で外筒3が保持される。なお、この絞り工程では、スリット7の幅が狭まった長さに応じて外筒7は縮径する。
(化成皮膜処理工程)
この化成皮膜処理工程では、スリット7が第2幅aに維持された状態で、外筒3に化成皮膜処理が施される。これにより外筒3の表面には、化成皮膜(図示省略)が形成される。
化成皮膜は、外筒3の表面の化学的変性を防止して外筒3とゴム弾性体4との良好な接着力を維持する。
この化性皮膜処理には、例えば、クロメート処理、リン酸塩処理、ジルコニウム処理、クロメートフリー下地処理、シランカップリング処理などの狭義の化成皮膜処理に加えて、陰極酸化処理なども含められる。
本実施形態の製造方法では、この化成皮膜処理後に、外筒3は治具(図示省略)から取り外されてスリット7が第1幅Aに復元する(図3の(III)工程参照)。
(拡張工程)
この拡張工程では、ばね弾性に抗してスリット7の第1幅A(図3の(III)工程参照)が第3幅b(b>A)に広げられる(図3の(IV)工程参照)。
この第3幅bは、当然に絞り工程のスリット7の第2幅a(図3の(II)工程参照)よりも広げられている(b>A>a)。
この拡張工程では、外筒3のスリット7の第3幅bが維持されるように所定の治具(図示省略)で外筒3が保持される。なお、この拡張工程では、スリット7の幅が第1幅Aよりも広がった長さに応じて外筒7は拡径する。
この第3幅bは、第2幅aの1.5倍以上、2倍以下が望ましい。
(弾性体接着工程)
この弾性体接着工程では、スリット7が第3幅bに維持された状態で、外筒3が所定の金型(図示省略)内に配置される。また、外筒3と同軸となるように内筒2が前記金型内に配置される(図3の(IV)工程参照)。
次いで、外筒3と内筒2と金型(図示省略)とで囲まれる成形空間内に、加硫剤、加硫促進剤などを含む未加硫ゴムが充填される。
その後、所定の温度(例えば140〜200℃)で所定の時間(例えば5〜60分間)加熱されて、未加硫ゴムは加硫されゴム弾性体4となる(図3の(V)工程参照)。
これより外筒3と内筒2とはゴム弾性体4によって加硫接着される。
なお、加硫接着時の外筒3は、第3幅bのスリット7を維持している。
この弾性体接着工程が行われることによって、次に説明する圧入工程で使用されるブッシュ1が形成される。この工程は、特許請求の範囲にいう「ブッシュ形成工程」に相当する。
(圧入工程)
この圧入工程では、外筒3と内筒2との加硫接着によって形成されたブッシュ1(図3の(V)工程参照)がサスペンションアーム10のブッシュホルダ11内に圧入される(図3の(VI)工程参照)。
この際、外筒3の第3幅b(図3の(V)工程参照)のスリット7(図3の(V)工程参照)は、化成皮膜処理を行った際のスリット7の第2幅a(図3の(II)参照)よりも狭められてブッシュホルダ11内に圧入される。
この圧入工程では、スリット7が消失するように外筒3が絞られることが望ましいが、僅かなスリット7が残る程度の絞りも許容される。
そして、この圧入工程によって、圧縮されたゴム弾性体4が外筒3を介してブッシュホルダ11内に保持されて本実施形態のブッシュ1を有するサスペンションアーム10が完成する。
次に、本実施形態に係るブッシュ1及びサスペンションアーム10の製造方法が奏する作用効果について説明する。
本実施形態の製造方法においては、前記の圧入工程(図3の(V)から(VI)工程参照)でスリット7の幅が狭められ、外筒3の周長が短縮される。
図4(a)及び図4(b)は、本実施形態の製造方法で得られるブッシュ1及びサスペンションアーム10の奏する作用効果の説明図である。
外筒3は、図4(a)に示すように、白抜き矢印の方向に内筒2の周りで縮径する。そして、このように縮径した状態で外筒3は、サスペンションアーム10(図2参照)のブッシュホルダ11(図2参照)に圧入される。つまり、ゴム弾性体4は、内筒2の周りで白抜き矢印の方向に圧縮される。
このように圧縮されたゴム弾性体4を有するブッシュ1は、図4(b)に示す軸直角方向Pdのばね定数が圧入前よりも大きくなる。また、ねじり方向Tdのばね定数は、圧入前よりも小さくなる。このようにブッシュ1のばね定数が変化することによって、サスペンションアーム10を備える車体構造20(図1参照)は、横力に対する車輪の保持性が高められて操安性を向上させるとともに、車両の乗り心地を良好にする。図4(b)中、符号1はブッシュ、符号2は内筒、符号3は外筒、符号4はゴム弾性体である。
また、本実施形態の製造方法においては、圧入工程で、第3幅bのスリット7(図3の(V)工程参照)が狭められて、ブッシュ1がサスペンションアーム10のブッシュホルダ11に圧入される。この際、ゴム弾性体4は、第3幅bが狭められることによって生じる外筒3の絞り量に応じて圧縮される。
ここで本実施形態の製造方法との比較のために図示しない比較例を想定する。この比較例は、ゴム弾性体4に対する圧縮量が本実施形態と同じであって(図3の(V)工程から(VI)工程参照)、本実施形態の化成皮膜処理工程とは異なって第3幅b(図3の(V)工程参照)のスリット7を有する外筒3に化成皮膜が形成される。ちなみに、本実施形態での製造方法は、前記のように、第3幅bよりも小さい第2幅a(b>a)のスリット7を有する外筒3に化成皮膜が形成される(図3の(II)工程参照)。
比較例では、外筒3の化成皮膜は、圧入工程で第3幅bが狭められることによって生じる外筒3の絞り量に応じた大きさで歪む。
これに対して本実施形態の製造方法の圧入工程では、外筒3の化成皮膜は、比較例とは異なって第3幅bよりも小さい第2幅a(b>a)が狭められることによって生じる外筒3の絞り量に応じた大きさで歪む。
つまり、本実施形態では、比較例と比べてゴム弾性体4に対する圧縮量が同じであっても、外筒3の化成皮膜に発生する歪みを小さくすることができる。
したがって、本実施形態によれば、外筒3の絞り量を大きくしても、外筒3に形成した化成皮膜の割れの発生を抑制することができる。
これにより本実施形態の製造方法は、耐久性に優れるとともに、軸直角方向のばね定数が大きく、ねじりばね定数が小さいブッシュ1及びこれを備えたサスペンションアーム10を提供することができる。
また、本実施形態では、スリット7が第1幅Aよりも狭められた第2幅a(A>a)の外筒3に化成皮膜が形成され、スリット7が第1幅Aよりも広げられた第3幅b(b>A)の外筒3と内筒2とがゴム弾性体4で加硫接着される。
これにより圧縮工程では、ゴム弾性体4の圧縮量を大きく稼ぐことができるとともに、外筒3の化成皮膜の歪みは前記のように小さく抑えられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、外筒3に化成皮膜を有するブッシュ1の製造方法について説明したが、本発明は、外筒3と内筒2との間に化成皮膜を有するインタリングを介在させたブッシュ1にも適用することもできる。
図5は、図2のブッシュ1の変形例を示す平面図である。図6は、図5の変形例に係るブッシュ1の製造工程図である。図5中、符号10は、サスペンションアーム、符号11は、ブッシュホルダである。
この変形例に係るブッシュ1は、図5に示すように、内筒2と、外筒3とがゴム弾性体4で加硫接着され、化成皮膜を有するインタリング5が内筒2と外筒3との間に介在している。なお、このブッシュ1においては、内筒2とインタリング5との間、及び外筒3とインタリング5との間もゴム弾性体4で加硫接着されている。
この変形例における内筒2及びゴム弾性体4は、前記実施形態と同様のものを想定している。また、この変形例における外筒3は、化成皮膜処理が行われていないこと以外は前記実施形態と同様のものを想定している。
インタリング5は、サスペンションアーム10のブッシュホルダ11内に圧入された状態で円筒形状を呈している。このインタリング5は、外筒3及び内筒2と同軸に配置され、ブッシュ1の径方向におけるインタリング5の内外でゴム弾性体4のばね定数を変えるものである。
このインタリング5は、このインタリング5は、例えばアルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属で形成することができる。本実施形態でのインタリング5は、後記するスリット6の開閉方向にばね弾性を有する材料で形成されるものを想定している。
このインタリング5には、インタリング5の表面全体にわたって化成皮膜(図示省略)が形成されている。
次に、変形例に係るブッシュ1の製造方法について説明する。
この製造方法では、前記実施形態で外筒3に行われた絞り工程と、化成皮膜処理工程と、拡張工程とが、インタリング5に対して行われる。
(絞り工程)
この絞り工程では、図3に示すように、まずスリット6を有する断面C字形状のインタリング5が準備される(図6の(I)工程参照)。このインタリング5は、前記のように、スリット6の開閉方向にばね弾性を有する材料で形成されている。
インタリング5のスリット6は、第1幅Cで開いている。インタリング5は、後記する圧入工程(図6の(V)から(VI)工程参照)でスリット6が閉じられた際に、円筒形状となるように形成されている。
この絞り工程では、ばね弾性による反発力に抗してスリット6の第1幅Cが第2幅c(C>c)に狭められる(図6の(II)工程参照)。
絞り工程では、インタリング5のスリット6の第2幅cが維持されるように所定の治具(図示省略)でインタリング5が保持される。なお、この絞り工程では、スリット6の幅が狭まった長さに応じてインタリング5は縮径する。
(化成皮膜処理工程)
この化成皮膜処理工程では、スリット6が第2幅cに維持された状態で、インタリング5に化成皮膜処理が施される。これによりインタリング5の表面には、前記実施形態と同様の化成皮膜(図示省略)が形成される。
この化成皮膜処理後には、インタリング5は治具(図示省略)から取り外されてスリット6が第1幅Cに復元する(図6の(III)工程参照)。
(拡張工程)
この拡張工程では、ばね弾性に抗してスリット6の第1幅C(図6の(III)工程参照)が第3幅d(d>C)に広げられる(図6の(IV)工程参照)。
この第3幅dは、当然に絞り工程のスリット6の第2幅c(図6の(II)工程参照)よりも広げられている(d>C>c)。
この拡張工程では、インタリング5のスリット6の第3幅dが維持されるように所定の治具(図示省略)でインタリング5が保持される。なお、この拡張工程では、スリット6の幅が第1幅Cよりも広げられた長さに応じてインタリング5は拡径する。
第3幅dは、第2幅cの1.5倍以上、2倍以下が望ましい。
(弾性体接着工程)
この弾性体接着工程では、スリット6が第3幅dに維持された状態で、インタリング5が所定の金型(図示省略)内に配置される。また、インタリング5と同軸となるように内筒2及び外筒3が前記金型内に配置される(図6の(IV)工程参照)。
なお、外筒3には、スリット7が形成され、断面C字形状を呈している。
次いで、外筒3とインタリング5と内筒2と金型(図示省略)とで囲まれる成形空間内に、加硫剤、加硫促進剤などを含む未加硫ゴムが充填される。
その後、所定の温度(例えば140〜200℃)で所定の時間(例えば5〜60分間)加熱されて、未加硫ゴムは加硫されゴム弾性体4となる(図6の(V)工程参照)。
これより外筒3とインタリング5と内筒2とはゴム弾性体4によって加硫接着される。
なお、加硫接着時のインタリング5は、第3幅dのスリット6を有している。
この弾性体接着工程が行われることによって、次に説明する圧入工程で使用されるブッシュ1が形成される。この工程は、特許請求の範囲にいう「ブッシュ形成工程」に相当する。
(圧入工程)
この圧入工程では、加硫接着によって形成されたブッシュ1(図6の(V)工程参照)がサスペンションアーム10のブッシュホルダ11内に圧入される(図6の(VI)工程参照)。この際、外筒3のスリット7(図6の(V)工程参照)は狭められてブッシュホルダ11内に圧入される。
また、外筒3のスリット7が狭められ、外筒3の内側のゴム弾性体4が径方向内側に圧縮されることによって、インタリング5のスリット6も狭められる。
つまり、インタリング5の第3幅d(図6の(V)工程参照)のスリット6(図6の(V)工程参照)は、化成皮膜処理を行った際のスリット6の第2幅c(図6の(II)参照)よりも狭められてブッシュホルダ11内に圧入される。
この圧入工程では、スリット6が消失するようにインタリング5が絞られることが望ましいが、僅かなスリット6が残る程度の絞りも許容される。また、外筒3のスリット7についても消失することが望ましいが、僅かなスリット7が残る程度の絞りも許容される。
そして、この圧入工程によって、圧縮されたゴム弾性体4が外筒3を介してブッシュホルダ11内に保持されて本実施形態のブッシュ1を有するサスペンションアーム10が完成する。
このような製造方法によれば、前記実施形態と同様の作用効果を奏するほか、ブッシュ1のインタリング5の内外におけるゴム弾性体4が径方向の内側に向かって圧縮されて、軸直角方向Pd(図4(b)参照)のばね定数とねじり方向Td(図4(b)参照)のばね定数を変化させることができる。
また、変形例の前記した製造方法においては、外筒3には化成皮膜処理を行わないことを想定しているが、外筒3に化成皮膜処理を行うこともできる。
この際、化成皮膜処理を行う際の外筒3のスリット幅は、弾性体接着工程における外筒3のスリット幅よりも小さくする。これにより外筒3の化成皮膜は、圧入工程に発生する歪みが低減され、割れの発生が防止される。
また、前記実施形態及び前記変形例では、拡張工程(図3及び図6の(IV)工程参照)を有しているが、拡張工程を省略することもできる。
この製造方法を前記実施形態に適用すると、化成皮膜形成工程が、第2幅aのスリット7を有する外筒3に対して行われ、弾性体接着工程が第1幅Aのスリット7を有する外筒3に対して行われる。
また、この製造方法を前記変形例に適用すると、化成皮膜形成工程が、第2幅cのスリット6を有するインタリング5に対して行われ、弾性体接着工程が第1幅Cのスリット6を有するインタリング5に対して行われる。
また、本発明の製造方法では、少なくとも化成皮膜形成工程でのスリット6,7の幅が、弾性体接着工程でのスリット6,7の幅よりも狭まっていれよい。したがって、これら化成皮膜形成工程と弾性体接着工程との間で行われる中間工程におけるスリット6,7の幅は、第2幅A,Cを基準に拡大し、又は縮小したいずれの態様をも採用することもできる。
また、前記実施形態及び前記変形例では、外筒3及びインタリング5の材料としてばね弾性を有するものを想定しているが、スリット6,7の絞り工程における第2幅a,cと、拡張工程(又は弾性体接着工程)における第3幅b,dの前記の大小関係を設定することができる限り、外筒3及びインタリング5の材料として塑性変形するものを使用することができる。
1 ブッシュ
2 内筒
3 外筒
4 ゴム弾性体
5 インタリング
7 スリット
8 挿通孔
10 サスペンションアーム
11 ブッシュホルダ
6 スリット
7 スリット
12 ブラケット
13 ボルト
14 サブフレーム
20 車体構造
Pd 軸直角方向
Td ねじり方向

Claims (4)

  1. スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された外筒と、内筒とが弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュの製造方法であって、
    前記外筒のスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、
    前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記外筒に化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、
    前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で前記外筒と前記内筒とを前記弾性体で加硫接着する弾性体接着工程と、
    を有することを特徴とするブッシュの製造方法。
  2. 外筒と内筒との間に弾性体を介してインタリングが配置され、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された前記インタリングと、前記外筒と、前記内筒とが前記弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュの製造方法であって、
    前記インタリングのスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、
    前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記インタリングに化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、
    前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で、前記外筒と、前記インタリングと、前記内筒とを前記弾性体で加硫接着する弾性体接着工程と、
    を有することを特徴とするブッシュの製造方法。
  3. スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された外筒と、内筒とを弾性体で加硫接着することにより形成されるブッシュを有するサスペンションアームの製造方法であって、
    前記外筒のスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、
    前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記外筒に化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、
    前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で前記外筒と前記内筒とを前記弾性体で加硫接着して前記ブッシュを形成するブッシュ形成工程と、
    前記ブッシュを前記サスペンションアームのブッシュホルダに圧入する圧入工程と、
    を有することを特徴とするサスペンションアームの製造方法。
  4. 外筒と内筒との間に弾性体を介してインタリングが配置され、スリットを備えた断面C字形状であり化成皮膜処理された前記インタリングと、前記外筒と、前記内筒とが前記弾性体で加硫接着されることにより形成されるブッシュを有するサスペンションアームの製造方法であって、
    前記インタリングのスリット間の距離が近づくように絞る絞り工程と、
    前記絞り工程による絞りを維持した状態で前記インタリングに化成皮膜処理を行う化成皮膜処理工程と、
    前記絞り工程時のスリット間の距離よりもスリット間が広がった状態で、前記外筒と、前記インタリングと、前記内筒とを前記弾性体で加硫接着して前記ブッシュを形成するブッシュ形成工程と、
    前記ブッシュを前記サスペンションアームのブッシュホルダに圧入する圧入工程と、
    を有することを特徴とするサスペンションアームの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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