JP2017013758A - 車両用操舵支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵角の大きさが小さい状況においても、操舵系へのエネルギーの入力状況に応じて早期に且つ適正に操舵に関する力を制御する。
【解決手段】ステアリングホイール16と、操舵輪18L、18Rと、それらの間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置20と、を含む操舵装置12を備えた車両14に適用され、調整力付与装置22が伝達装置に付与する調整力を目標調整力に基づいて制御する制御装置24を有する車両用操舵支援装置10。制御装置は、操舵装置及び調整力付与装置を含む操舵系へのエネルギーの入力が、それぞれステアリングホイール及び操舵輪を経て行われる正入力か逆入力かを判定し、その判定結果及び操舵トルクとその微分値との積に基づいてエネルギーの入力態様及び入力量を示す第一の指標値dDE1を演算し、その指標値に基づいて目標調整力を修正する。
【選択図】図1
【解決手段】ステアリングホイール16と、操舵輪18L、18Rと、それらの間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置20と、を含む操舵装置12を備えた車両14に適用され、調整力付与装置22が伝達装置に付与する調整力を目標調整力に基づいて制御する制御装置24を有する車両用操舵支援装置10。制御装置は、操舵装置及び調整力付与装置を含む操舵系へのエネルギーの入力が、それぞれステアリングホイール及び操舵輪を経て行われる正入力か逆入力かを判定し、その判定結果及び操舵トルクとその微分値との積に基づいてエネルギーの入力態様及び入力量を示す第一の指標値dDE1を演算し、その指標値に基づいて目標調整力を修正する。
【選択図】図1
Description
本発明は、操舵に関する力を調整することにより操舵を支援する車両用操舵支援装置に係る。
自動車等の車両には、一般に、操舵補助力などの操舵に関する力を調整することにより操舵を支援する操舵支援装置が搭載されている。この種の操舵支援装置は、単に運転者の操舵負担を軽減するに留まらず、運転者の意思を反映して操舵に関する力を調整するようになっていることが望ましい。
例えば、ステアリングホイールを経て行われる操舵系へのエネルギーの入力を正入力と指称し、操舵輪を経て行われる操舵系へのエネルギーの入力を逆入力と指称する。本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1には、操舵仕事率が演算され、操舵仕事率の符号及び大きさによって操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか並びに操舵系へのエネルギーの入力量を判定し、その判定結果により操舵に関する力の調整を変更する操舵支援装置が記載されている。
特に、操舵仕事率は、操舵角速度(dθ)と操舵トルク(T)との積と、操舵角(θ)と操舵トルクの微分値(dT)との積の和(=dθ・T+θ・dT)として演算される。操舵仕事率が正の基準値以上であるときには、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であり、操舵仕事率が負の基準値以下であるときには、操舵系へのエネルギーの入力が逆入力であると判定される。特許文献1に記載された操舵支援装置によれば、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか、及び、操舵系へのエネルギーの入力量、に基づいて操舵に関する力を調整することができるので、良好に運転者の意思をより反映させた操舵支援を行うことができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特許文献1に記載された構成に従って操舵仕事率の符号及び大きさを判別しても、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか並びに操舵系へのエネルギーの入力量を正確に把握できない場合がある。そのような場合には、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか並びに操舵系へのエネルギーの入力量(以下必要に応じて「操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量」と記載する)に応じて操舵に関する力を適正に調整することができない。
上記特許文献1に記載された構成に従って操舵仕事率の符号及び大きさを判別しても、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか並びに操舵系へのエネルギーの入力量を正確に把握できない場合がある。そのような場合には、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか並びに操舵系へのエネルギーの入力量(以下必要に応じて「操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量」と記載する)に応じて操舵に関する力を適正に調整することができない。
周知のように、操舵系の操舵トルクと操舵角との間にはヒステリシスがあるため、例えばステアリングホイールが車両の直進位置又はその近傍(以下、「中立域」と称する)にある状況においては、操舵トルクが与えられても、操舵角の大きさは遅れて増大する。そのため、ステアリングホイールが中立域にある状況において操舵が行われると、操舵角(θ)及び操舵角速度(dθ)の大きさが大きくならないので、操舵トルク(T)及び操舵トルクの微分値(dT)の大きさが大きくても、dθ・T+θ・dTにより演算される操舵仕事率の大きさは大きい値にならない。よって、ステアリングホイールが中立域にある状況においては、dθ・T+θ・dTにより演算される操舵仕事率の符号及び大きさを判別しても、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を正確に把握することができない。そのため、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量に応じて操舵に関する力を適正に調整することができない。
後に詳細に説明するように、操舵仕事率(W)として演算される操舵角速度と操舵トルクとの積(dθ・T)と、操舵角と操舵トルクの微分値との積(θ・dT)の和(=dθ・T+θ・dT)を、操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)に置き換えることができる。積(T・dT)は、ステアリングホイールが中立域にある状況において操舵トルクT及び操舵トルクの微分値dTに対しそれぞれ遅れて大きさが増大する操舵角θ及び操舵角速度dθを含んでいない。また、操舵トルクTの位相は操舵角θの位相よりも早く、操舵トルクの微分値dTの位相は操舵角速度dθの位相よりも早い。よって、操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)によれば、操舵角の大きさが小さい状況においても、操舵系へのエネルギーの入力及び入力量を早期に判定することができる。
しかし、操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)は、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れである場合にも、正の値である。そのため、操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)を用いて操舵に関する力を適正に調整しようとする場合には、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるかを別途判定する必要がある。
本発明の主要な課題は、操舵系へのエネルギーの入力態様を判定した上で、操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)を使用して操舵系へのエネルギーの入力量を判定することにより、操舵角の大きさが小さい状況においても、操舵系へのエネルギーの入力状況に応じて早期に且つ適正に操舵に関する力を制御することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、運転者により操作されるステアリングホイールと、操舵輪と、前記ステアリングホイールと前記操舵輪との間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置と、を含む操舵装置を備えた車両に適用され、操舵に関する力を調整する調整力を前記伝達装置に対し付与する調整力付与装置と、目標調整力を演算し、前記調整力付与装置が前記伝達装置に対し付与する調整力を前記目標調整力に基づいて制御する制御装置と、を有する車両用操舵支援装置が提供される。
本発明によれば、運転者により操作されるステアリングホイールと、操舵輪と、前記ステアリングホイールと前記操舵輪との間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置と、を含む操舵装置を備えた車両に適用され、操舵に関する力を調整する調整力を前記伝達装置に対し付与する調整力付与装置と、目標調整力を演算し、前記調整力付与装置が前記伝達装置に対し付与する調整力を前記目標調整力に基づいて制御する制御装置と、を有する車両用操舵支援装置が提供される。
前記制御装置は、前記操舵装置及び前記調整力付与装置を含む操舵系へのエネルギーの入力が、前記ステアリングホイールを経て行われる正入力であるか前記操舵輪を経て行われる逆入力であるかを判定する正逆入力判定装置を有している。前記制御装置は、操舵トルクの情報を取得し、前記正逆入力判定装置の判定結果及び操舵トルク(T)と操舵トルクの微分値(dT)との積(T・dT)に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第一の指標値を演算し、前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正する。
上記の構成によれば、正逆入力判定装置により、操舵系のエネルギーへの入力が、ステアリングホイールを経て行われる正入力であるか操舵輪を経て行われる逆入力であるかが判定される。そして、正逆入力判定装置の判定結果及び操舵トルクと操舵トルクの微分値との積(T・dT)に基づいて、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第一の指標値が演算され、第一の指標値に基づいて目標調整力が修正される。よって、操舵角の大きさが小さい状況においても、dθ・T+θ・dTにより演算される操舵仕事率を用いて目標調整力を修正する場合に比して、操舵系へのエネルギーの入力態様及びエネルギーの入力量に応じて早期に且つ適正に目標調整力を修正することができる。
〔発明の態様〕
本発明の一つの態様においては、前記制御装置は、操舵角の情報を取得し、操舵角速度と操舵トルクとの積(dθ・T)及び操舵角と操舵トルクの微分値との積(θ・dT)に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値を演算し、更に、前記第二の指標値の大きさが第一の基準値以下であるときには前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きいときには少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する。
本発明の一つの態様においては、前記制御装置は、操舵角の情報を取得し、操舵角速度と操舵トルクとの積(dθ・T)及び操舵角と操舵トルクの微分値との積(θ・dT)に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値を演算し、更に、前記第二の指標値の大きさが第一の基準値以下であるときには前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きいときには少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する。
後に詳細に説明するように、第二の指標値は第一の指標値に比して正入力及び逆入力(例えば、外乱)を反映し易いが、前述のように、操舵角θの大きさが小さい状況において、大きさが大きくなるのが遅れる。これに対し、第一の指標値は、操舵角θ及びその微分値dθを変数として含んでいないので、操舵角θの大きさが小さい状況においても、第二の指標値に比して正入力、即ち運転者の操舵を反映し易いが、第二の指標値に比して外乱を反映し難い。更に、第一の指標値は、第二の指標値に比して運転者の操舵開始などの正入力の変化の状況を早期に反映する。
従って、第二の指標値の大きさが大きいときには、第二の指標値は第一の指標値よりも正確に操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す。しかし、第二の指標値の大きさが小さいときには、第一の指標値は第二の指標値に比して早期に操舵系へのエネルギーの入力量を示すことになる。
上記の構成によれば、操舵角速度と操舵トルクとの積及び操舵角と操舵トルクの微分値との積に基づいて、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値が演算される。第二の指標値の大きさが第一の基準値以下であるときには、第二の指標値に基づくことなく第一の指標値に基づいて目標調整力が修正される。
従って、上記態様によれば、第二の指標値の大きさが第一の基準値以下であるときには、換言すれば、第二の指標値が操舵系へのエネルギーの入力量に対して遅れて変化する状況においては、第二の指標値に比して操舵系へのエネルギーの入力量をより正確に示す第一の指標値に基づいて目標調整力を修正することができる。一方、第二の指標値の大きさが第一の基準値よりも大きいときには、換言すれば、第二の指標値が操舵系へのエネルギーの入力量に対して大きい遅れなく変化する状況においては、少なくとも第二の指標値に応じて定まる値に基いて目標調整力を修正することができる。そのため、正入力及び逆入力をより正確に反映した値(第二の指標値)に応じた値に基いて目標調整力を修正することができる。その結果、上記態様によれば、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量に応じて適正に目標調整力を修正することができる。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きい第二の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きく且つ前記第二の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、更に、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記第二の指標値の大きさが大きいほど小さくなるように可変設定する。
上記態様によれば、第二の指標値の大きさが第一の基準値よりも大きい第二の基準値以上であるときには、第一の指標値に基づくことなく第二の指標値に基づいて目標調整力が修正される。第二の指標値の大きさが第一の基準値よりも大きく且つ第二の基準値よりも小さいときには、第一及び第二の指標値の重み和に基づいて目標調整力が修正される。重み和における第一の指標値の重みは、第二の指標値の大きさが大きいほど小さくなる。
よって、第二の指標値の大きさが変化することにより、目標調整力を修正するための基礎となる指標値が第一の指標値と第二の指標値との間に変化する際に、指標値が急変すること、及びこれに起因して調整力が急変することを防止することができる。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、上述の第二の指標値を演算し、更に、前記操舵角の大きさが第三の基準値以下であるときには前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きいときには少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する。
第一及び第二の指標値は、それぞれ上述の特徴を有する。従って、操舵角θの大きさが大きいときには、第二の指標値は第一の指標値よりも正確に操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す。しかし、操舵角θの大きさが小さいときには、第一の指標値は第二の指標値よりも正確にエネルギーの入力量を示す。
従って、上記態様によれば、操舵角の大きさが第三の基準値以下であるときには、換言すれば、第二の指標値が操舵系へのエネルギーの入力量に対して遅れて変化する状況においては、第二の指標値に比して操舵系へのエネルギーの入力量をより正確に示す第一の指標値に基づいて目標調整力を修正することができる。一方、操舵角の大きさが第三の基準値よりも大きいときには、換言すれば、第二の指標値が操舵系へのエネルギーの入力量に対して大きい遅れなく変化する状況においては、少なくとも第二の指標値に応じて定まる値に基いて目標調整力を修正することができる。そのため、正入力及び逆入力をより正確に反映した値(第二の指標値)に応じた値に基いて目標調整力を修正することができる。その結果、上記態様によれば、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量に応じて適正に目標調整力を修正することができる。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きい第四の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きく且つ前記第四の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、更に、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記操舵角の大きさが大きいほど小さくなるように可変設定する。
上記態様によれば、操舵角の大きさが第三の基準値よりも大きい第四の基準値以上であるときには、第一の指標値に基づくことなく第二の指標値に基づいて目標調整力が修正される。操舵角の大きさが第三の基準値よりも大きく且つ第四の基準値よりも小さいときには、第一及び第二の指標値の重み和に基づいて目標調整力が修正される。重み和における第一の指標値の重みは、操舵角の大きさが大きいほど小さくなる。
よって、操舵角の大きさが変化することにより、目標調整力を修正するための基礎となる指標値が第一の指標値と第二の指標値との間に変化する際に、指標値が急変すること、及びこれに起因して調整力が急変することを防止することができる。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、上述の第二の指標値を演算し、更に、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差(第二の指標値の大きさから第一の指標値を減じた値であり、以下「指標値偏差」と指称することがある)が正で第五の基準値以下である状況が予め設定された所定の時間以上継続したとき及び前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が0以下であるときには、前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記指標値偏差が正で第五の基準値以下である状況が予め設定された所定の時間以上継続していないとき及び前記指標値偏差が前記第五の基準値よりも大きいときには、少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する。
後に詳細に説明するように、第二の指標値は第一の指標値に比して逆入力、即ち外乱を反映し易いので、第二の指標値の大きさと第一の指標値との差、即ち指標値偏差は外乱の大きさを表す。更に、第一の指標値は、第二の指標値に比して運転者の操舵開始などの正入力の変化の状況を早期に反映する。従って、上記指標値偏差が正で小さい状況が予め設定された所定の時間以上継続したときには、外乱の大きさが小さいので、第一の指標値に基づいて目標調整力が修正されることが好ましい。
逆に、上記指標値偏差が正で大きい状況は、外乱の大きさが大きく、操舵角及びその微分値の大きさがが大きい状況であるので、操舵トルク及び操舵トルクの微分値のみを変数として含む第一の指標値よりも、操舵角及びその微分値を変数として含む第二の指標値の方が信頼性が高い。よって、このような状況においては、第二の指標値に基づいて目標調整力が修正されることが好ましい。
更に、指標値偏差が0以下の値になるのは、操舵角及びその微分値の大きさが小さく、操舵トルク及び/又はその微分値大きさが大きいことにより、第二の指標値の大きさが第一の指標値以下になる場合、即ち運転者の操舵操作量が小さい状況である。よって、このような状況においては、大きさが大きく信頼性が高い方の指標値である第一の指標値に基づいて目標調整力が修正されることが好ましい。
よって、上記態様によれば、上記指標値偏差が正で小さい状況が継続したとき、即ち外乱の大きさが小さいとき、及び第二の指標値の大きさが第一の指標値よりも小さいときには、第二の指標値に比して操舵系へのエネルギーの入力量を正確に示す第一の指標値に基づいて目標調整力を修正することができる。一方、外乱の大きさが大きく、操舵角及びその微分値の大きさが大きいときには、少なくとも第二の指標値に応じて定まる値に基いて目標調整力を修正することができる。その結果、上記態様によれば、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量に応じて適正に目標調整力を修正することができる。
本発明の他の一つの態様においては、前記制御装置は、前記指標値偏差が前記第五の基準値よりも大きい第六の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記指標値偏差が前記第五の基準値よりも大きく且つ前記第六の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、更に、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記指標値偏差が大きいほど小さくなるように可変設定する。
上記態様によれば、上記指標値偏差が第五の基準値よりも大きい第六の基準値以上であるときには、第一の指標値に基づくことなく第二の指標値に基づいて目標調整力が修正される。上記指標値偏差が第五の基準値よりも大きく且つ第六の基準値よりも小さいときには、第一及び第二の指標値の重み和に基づいて目標調整力が修正される。重み和における第一の指標値の重みは、上記指標値偏差が大きいほど小さくなる。
よって、上記指標値偏差が変化することにより、目標調整力を修正するための基礎となる指標値が第一の指標値と第二の指標値との間に変化する際に、指標値が急変すること、及びこれに起因して調整力が急変することを防止することができる。
更に、本発明の他の一つの態様においては、前記正逆入力判定装置は、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力である場合について予め求められた、操舵角に対する操舵トルクの比の標準値と、操舵角の検出値に対する操舵トルクの検出値の比との差の大きさが判定基準値未満であるときに、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であると判定し、前記比の差の大きさが前記判定基準値以上であるときに、前記操舵系へのエネルギーの入力が逆入力であると判定する。
後に詳細に説明するように、操舵系はステアリングホイールを回転入力手段とする捩じりばねであると考えることができ、逆入力がない場合には、操舵角に対する操舵トルクの比の標準値と、操舵角の検出値に対する操舵トルクの検出値の比との差の大きさは小さい。これに対し、逆入力がある場合には、操舵角に対する操舵トルクの比の標準値と、操舵角の検出値に対する操舵トルクの検出値の比との差の大きさが大きくなる。
上記の構成によれば、上記比の差の大きさが判定基準値未満であるときには、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であると判定され、上記比の差の大きさが判定基準値以上であるときに、操舵系へのエネルギーの入力が逆入力であると判定される。よって、調整力の制御において使用される操舵角の検出値及び操舵トルクの検出値を有効に利用して、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるかを判定することができる。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10の概略を示す説明図である。操舵支援装置10は、操舵装置12を備えた車両14に適用されている。操舵装置12は、運転者により操作されるステアリングホイール16と、操舵輪である前輪18L及び18Rと、ステアリングホイール16と前輪18L及び18Rとの間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置20と、を含んでいる。操舵支援装置10は、調整力付与装置としての電動パワーステアリング装置22と、電動パワーステアリング装置22が伝達装置20に付与する調整力としての操舵アシストトルクTaを制御する電子制御装置24と、を有している。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10の概略を示す説明図である。操舵支援装置10は、操舵装置12を備えた車両14に適用されている。操舵装置12は、運転者により操作されるステアリングホイール16と、操舵輪である前輪18L及び18Rと、ステアリングホイール16と前輪18L及び18Rとの間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置20と、を含んでいる。操舵支援装置10は、調整力付与装置としての電動パワーステアリング装置22と、電動パワーステアリング装置22が伝達装置20に付与する調整力としての操舵アシストトルクTaを制御する電子制御装置24と、を有している。
図示の実施形態においては、電動パワーステアリング装置22は、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)である。なお、電動パワーステアリング装置は、操舵アシストトルクTaを制御し得る限り、例えばラック同軸式のラックアシスト型の電動パワーステアリング装置のように、他の型式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
図1に示されているように、伝達装置20は、ステアリングホイール16と共に回転するアッパステアリングシャフト26と、インタミディエットシャフト28と、操舵機構30とを含んでいる。インタミディエットシャフト28は、上端にてユニバーサルジョイント32を介してアッパステアリングシャフト26の下端に連結され、下端にてユニバーサルジョイント34を介して操舵機構30のピニオンシャフト36に連結されている。
操舵機構30は、ラック・アンド・ピニオン型のステアリングユニット38と、タイロッド40L及び40Rとを含み、ステアリングユニット38はピニオンシャフト36の回転をラックバー42の車両横方向の直線運動に変換し、またこの逆の変換を行う。タイロッド40L及び40Rは、内端にてラックバー42の先端に枢着されており、タイロッド40L及び40Rの外端は左右の前輪18L及び18Rのキャリア(図示せず)に設けられたナックルアーム44L及び44Rに枢着されている。
よって、ステアリングホイール16の回転変位及び回転トルクは、伝達装置20により、前輪18及び18Rのキングピン軸(図示せず)の周りの枢動及び回転トルクに変換されて前輪18L及び18Rへ伝達される。また、左右の前輪18L及び18Rが路面46から受けるキングピン軸の周りの枢動及び回転トルクは、伝達装置20により、ステアリングホイール16へそれぞれ回転変位及び回転トルクとして伝達される。
電動パワーステアリング装置22は、電動機48及び変換装置50を有し、図1には示されていないが、変換装置50は電動機48の回転軸に固定されたウオームギヤ及びアッパステアリングシャフト26に固定されたウオームホイールを含んでいる。電動機48の回転トルクは変換装置50によってアッパステアリングシャフト26の周りの回転トルクに変換されてアッパステアリングシャフトへ伝達される。
電子制御装置24は、電動機48の回転トルクを制御することにより、後に詳細に説明するように、電動パワーステアリング装置22がアッパステアリングシャフト26に付与する操舵アシストトルクTaを制御する制御装置として機能する。電子制御装置24には、アッパステアリングシャフト26に設けられた操舵角センサ52及びトルクセンサ54からそれぞれ操舵角θ及び操舵トルクTを示す信号が入力される。また、電子制御装置24には、車速センサ56から車速Vを示す信号も入力される。
なお、電子制御装置24は、CPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含み、ROMは後述の制御プログラム、マップなどを記憶していてよい。また、操舵角センサ52及びトルクセンサ54は、それぞれ車両が直進状態にあるときの値を0とし、左旋回方向へ操舵されるときの値を正として操舵角θ及び操舵トルクTを検出する。後述の目標基本操舵アシストトルクTaなどの演算値も、左旋回方向の値が正である。
電子制御装置24は、後述のように、図2乃至図4に示されたフローチャートに従って、目標操舵アシストトルクTatを演算し、電動機48の回転トルクを制御することにより、実際の操舵アシストトルクTaが目標操舵アシストトルクTatになるように制御する。目標操舵アシストトルクTatは、運転者の操舵負担を軽減するための目標基本操舵アシストトルクTab及び操舵フィーリングを向上させるための補助制御量の和である。この実施形態においては、補助制御量は、ステアリングホイール16の回転振動を減衰させるための目標減衰トルクTdt及び操舵のヒステリシスを制御するための目標摩擦トルクTftのそれぞれに応じたトルクの和である。
電子制御装置24は、後述のように、図5に示されたフローチャートに従って、操舵装置12及び電動パワーステアリング装置22を含む操舵系(以下単に「操舵系」という)のエネルギーの変化を示す指標値dDEfを演算する。更に、電子制御装置24は、指標値dDEfに基づいてそれぞれ目標基本操舵アシストトルクTab、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftに対する修正係数(ゲイン)Kab、Kdt及びKftを演算し、下記の式(1)に従って、修正後の目標操舵アシストトルクTatを演算する。換言すれば、電子制御装置24は、目標基本操舵アシストトルクTab、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftの和である目標操舵アシストトルクTatを、修正係数Kab、Kdt及びKftにて修正することにより、修正後の目標操舵アシストトルクTatを演算する。
Tat=Kab・Tab+Kdt・Tdt+Kft・Tft ……(1)
Tat=Kab・Tab+Kdt・Tdt+Kft・Tft ……(1)
電子制御装置24は、指標値dDEfを演算するために以下の処理を行う。即ち、電子制御装置24は、操舵系へのエネルギーの入力がステアリングホイール16を経て行われる正入力か操舵輪である前輪18L及び18Rを経て行われる逆入力かの判定(正逆入力判定)を行う。更に、電子制御装置24は、正逆入力判定の結果に基づいて、操舵系のエネルギーの変化(正入力か逆入力か及び操舵系へのエネルギーの入力量)を示す第一の指標値dDE1を演算する。
また、電子制御装置24は、操舵系のエネルギーの変化を示す第二の指標値dDE2を演算する。更に、電子制御装置24は、第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2に基づいて、操舵系のエネルギーの変化を判定するための最終的な指標値dDEfを演算し、最終的な指標値dDEfに基づいて修正係数Kab、Kdt及びKftを演算する。
第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2は、図19に示された操舵系13のモデル100に基づいて演算される値である。図19に示されているように、モデル100において、16’は運転者の手102及びステアリングホイール16よりなる操舵入力部を示している。操舵装置12の主要な可動部材の質量が操舵入力部16’に集約されていると仮定し、ステアリングホイール16’の慣性ヨーモーメントをIとする。更に、ステアリングホイール16を除く操舵装置12は、ねじり変形のばね定数がkで質量を有しない弾性体であると仮定する。
モデル100が保有するエネルギー(ドライビングエネルギー)DEは、熱力学のエンタルピー理論における内部エネルギー及びPV仕事にそれぞれ対応する回転エネルギーと弾性エネルギーとの和であると考えることができる。よって、エネルギーDEは、操舵入力部16’の回転角度である操舵角θの微分値をdθとすると、下記の式(2)により表される。
操舵輪(前輪18L及び18R)の側からの力により、操舵系13の上端、即ち操舵入力部16’の側の端部に対し操舵輪の側が角度θ回転されることにより発生するトルク、例えばセルフアライニングトルクをTsatとすると、トルクTsatは下記の式(3)により表される。
Tsat=−k・θ …(3)
Tsat=−k・θ …(3)
モデル100へのエネルギーの流入及びモデル100からのエネルギーの流出、即ちモデル100が保有するエネルギーDEの変化は、その微分値の符号によって判断可能である。上記式(4)を微分することにより、エネルギーDEの微分値dDEは、操舵角θの二階微分値をddθとして、下記の式(5)により表される。
操舵トルクTの符号はトルクTsatの符号とは逆であり、−Tsat=Tであるので、操舵トルクTの微分値をdTとすると、上記式(5)を下記の式(6)に書き換えることができる。下記の式(6)の右辺の第1項、第2項及び第3項を必要に応じてそれぞれP0項、P1項及びP2項と指称する。
更に、上記式(3)及び−Tsat=Tから、下記の式(7)が成立するので、これを上記式(6)に代入することにより、下記の式(8)が得られる。下記の式(8)の右辺の第1項は上述のP0項である。下記の式(8)の右辺の第2項を必要に応じてP3項と指称する。
θ=T/k …(7)
θ=T/k …(7)
電子制御装置24は、上記式(6)のP0項、P1項及びP2項をローパスフィルタ処理する。ローパスフィルタ処理後のP0項、P1項及びP2項をそれぞれP0f、P1f及びP2fとすると、電子制御装置24は、下記の式(9)に従ってP0f、P1f及びP2fの和として第二の指標値dDE2を演算する。なお、下記の式(9)の右辺の第1項、第2項及び第3項も必要に応じてそれぞれP0項、P1項及びP2項と指称する。
dDE2=P0f+P1f+P2f …(9)
dDE2=P0f+P1f+P2f …(9)
路面46から操舵輪を経て操舵系へエネルギーが逆入力される場合の操舵角θ及び操舵角速度dθの変化の大きさは小さいので、第二の指標値dDE2が正で大きいときには、操舵状況は運転者の操舵によりエネルギ−が操舵系に与えられる正入力の状況と考えられる。逆に、第二の指標値dDE2が負の値で絶対値が大きいときには、運転者の操舵により操舵系に与えられるエネルギ−が0又は小さい値であり、操舵状況はエネルギ−が路面46から操舵輪を経て操舵系へ入力される逆入力の状況と考えられる。
第二の指標値dDE2によれば、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるか及びエネルギーの入力量を判定することができるが、この指標値には、操舵角θの大きさ及び操舵角速度dθの大きさが小さい状況での判定の精度が低いという欠点がある。これに対し、上記式(8)は、操舵系へエネルギーが入力されると、操舵角θよりも早期に大きく変化する操舵トルクT及びその微分値を含んでいるので、操舵操作量が小さい領域においても操舵系へのエネルギーの入力を表す。しかし上記式(8)の第2項、即ちP3項は、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れの場合にも正の値になる。
よって、電子制御装置24は、上記式(8)のP0項及びP3項をローパスフィルタ処理すると共に、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れであるかの判定、即ち正逆入力判定を行う。更に、電子制御装置24は、入力態様が正入力であるときには、下記の式(13)に従って第一の指標値dDE1を演算し、入力態様が逆入力であるときには、下記の式(14)に従って第一の指標値dDE1を演算する。なお、下記の式(13)及び式(14)のそれぞれの右辺の第1項及び第2項も必要に応じてそれぞれP0項及びP3項と指称する。
dDE1=P0f+P3f …(13)
dDE1=P0f−P3f …(14)
dDE1=P0f+P3f …(13)
dDE1=P0f−P3f …(14)
なお、上記式(8)に対応する下記の式(15)及び(16)に従って暫定の第一の指標値dDE1Pが演算され、暫定の第一の指標値dDE1Pがローパスフィルタ処理されることによりそれぞれ上記式(13)及び(14)に対応する第一の指標値dDE1が演算されてもよい。
正逆入力判定は、上記式(7)を用いて行われる。即ち、操舵系への入力態様が正入力である場合には、上記式(7)が成立するが、入力態様が逆入力である場合には、上記式(7)は成立しない。車両14について、入力態様が正入力である場合の上記式(7)の仮想のばね定数kが予め実験的に求められ、その値が標準値kcとして電子制御装置24の記憶装置に記憶されている。電子制御装置24は、検出された操舵角θ及び操舵トルクTを上記式(7)に代入して、実際のばね定数kを演算し、その値をkxとする。電子制御装置24は、標準値kcと実際のばね定数kxとの偏差Δkの大きさが判定基準値k0(正の定数)未満であるときには、入力態様が正入力であると判定し、偏差Δkの大きさが判定基準値k0以上であるときには、入力態様が逆入力であると判定する。
特に、第一の実施形態においては、電子制御装置24は、第二の指標値dDE2の絶対値が第一の基準値α1(正の定数)以下であるときには、修正係数Kab、Kdt及びKftを演算するための最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1に設定する。電子制御装置24は、第二の指標値dDE2の絶対値が第二の基準値α2(α1よりも大きい正の定数)以上であるときには、最終の指標値dDEfを第二の指標値dDE2に設定する。更に、電子制御装置24は、第二の指標値dDE2の絶対値が第一の基準値α1よりも大きく且つ第二の基準値α2よりも小さいときには、最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2の重み和に設定する。重み和の第一の指標値の重みW1は、第二の指標値dDE2の絶対値が大きいほど小さくなるよう、第二の指標値の絶対値に応じて0以上で1以下の範囲にて可変設定される。
以上のように設定される最終の指標値dDEfは、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す指標値である。即ち、最終の指標値dDEfが正で大きいときには、操舵系へのエネルギーの入力は正入力であり、逆に、最終の指標値dDEfが負の値で絶対値が大きいときには、操舵系へのエネルギーの入力は逆入力である。更に、操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力の何れの場合にも、最終の指標値dDEfの大きさは操舵系へのエネルギーの入力量を示す。
次に、図2に示されたフローチャートを参照して、電子制御装置24により実行される操舵アシストトルク制御のメインルーチンについて説明する。図2に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し実行される。なお、下記の説明においては、図2乃至図5に示されたフローチャートによる操舵アシストトルク制御を単に「制御」と指称する。
まず、ステップ10においては、操舵角センサ52により検出された操舵角θを示す信号及びトルクセンサ54により検出された操舵トルクTを示す信号などが読み込まれる。
ステップ20においては、操舵トルクT及び車速Vに基づいて、図8に示されたマップから、目標基本操舵アシストトルクTabが演算される。図8に示されているように、目標基本操舵アシストトルクTabは、操舵トルクTの大きさが大きいほど、大きさが大きくなると共に、車速Vが高いほど、大きさが小さくなるよう、演算される。
ステップ30においては、例えば操舵角θの時間微分値として操舵角速度θdが演算され、操舵角速度θd及び車速Vに基づいて、図9に示されたマップから、補助制御量のうちの減衰制御量である目標減衰トルクTdtが演算される。目標減衰トルクTdtは、車速Vが高いほど、大きさが大きくなると共に、操舵角速度θdの大きさが基準値θd0(正の値)未満のときには、操舵角速度θdの大きさが大きいほど、大きさが大きくなり、操舵角速度θdの大きさが基準値θd0以上のときには、一定の値になるよう、演算される。なお、目標減衰トルクTdtは、操舵角速度θdが正のときには負の値になり、操舵角速度θdが負のときには正の値になる。
ステップ40においては、後に詳細に説明するように、図3及び図4に示されたフローチャートに従って、補助制御量のうちの摩擦制御量である目標摩擦トルクTftが演算される。
ステップ80においては、図5に示されたフローチャートに従って、最終の指標値dDEfに基づいて、それぞれ目標基本操舵アシストトルクTab、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftに対する修正係数Kab、Kdt及びKftが演算される。図5に示されたフローチャートに従って行われる修正係数Kab、Kdt及びKftの演算については後述する。
ステップ140においては、目標基本操舵アシストトルクTab、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftと、修正係数Kab、Kdt及びKftとに基づいて、修正後の目標操舵アシストトルクTatが上記式(1)に従って演算される。
ステップ150においては、電動パワーステアリング装置22が伝達装置20に付与する実際の操舵アシストトルクTaが修正後の目標操舵アシストトルクTatになるよう、修正後の目標操舵アシストトルクTatに基づいて電動パワーステアリング装置22が制御される。
次に、図3に示されたフローチャートを参照して、上記ステップ40に於ける目標摩擦トルクTftの演算について説明する。
まず、ステップ45においては、操舵角θの絶対値及び車速Vに基づいて、図10に示されたマップから、目標基本摩擦トルクTfbtが演算される。図10に示されているように、目標基本摩擦トルクTfbtは、操舵角θの絶対値が大きいほど大きくなると共に、車速Vが高いほど大きくなるよう演算される。なお、目標基本摩擦トルクTfbtは、操舵角θの正負に関係なく常に正の値である。
図には示されていないが、車速Vが中高車速域にあるときには、操舵角θの絶対値が大きいほどセルフアライニングトルクTsatが大きくなる。よって、操舵角θの大きさが大きい領域における保舵力を低減し操舵の安定性を向上させるために、目標基本摩擦トルクTfbtは操舵角θの大きさが大きいほど大きい値に演算される。また、セルフアライニングトルクTsatは車速Vが高いほど大きくなる。よって、車速Vが高いほど中高速走行時に必要な保舵力を低減し操舵の安定性を向上させると共に、低速走行時における操舵抵抗を低減するために、目標基本摩擦トルクTfbtは車速Vが高いほど大きい値に演算される。
ステップ50においては、図4に示されたフローチャートに従って、摩擦トルクを制御するための目標操舵角θtが演算される。なお、図4に示されたフローチャートに従って行われる目標操舵角θtの演算については後述する。
ステップ60においては、操舵角θ及び目標操舵角θtに基づいて、下記の式(17)に従って目標付加摩擦トルクTctが演算される。なお、下記の式(17)におけるゲインKは、正の値であり、ステップ50の目標操舵角θtの演算において使用されるゲインKと同一である(後述のステップ53の説明参照)。下記の式(17)から解るように、目標付加摩擦トルクTctの符号、即ちその作用方向は、操舵角θ及び目標操舵角θtの大小関係によって決定される。
Tct=K(θt−θ) …(17)
Tct=K(θt−θ) …(17)
ステップ65においては、操舵トルクTの絶対値に基づいて、図11に示されたマップから、トルクゲインKtが演算される。トルクゲインKtは、操舵トルクTの絶対値が基準値T0(正の値)未満のときには、操舵トルクTの絶対値が大きいほど0以上で1未満の範囲にて大きくなり、操舵トルクTの絶対値が基準値T0以上のときには、1になるよう、演算される。
ステップ70においては、目標付加摩擦トルクTctにトルクゲインKtが乗算されることにより、目標付加摩擦トルクTctが補正される。よって、操舵角θ及び車速Vが同一であっても、目標付加摩擦トルクTctの大きさは、操舵トルクTの絶対値が大きいほど大きくなる。
ステップ75においては、補正後の目標付加摩擦トルクTctがローパスフィルタ処理されることにより、高周波のノイズ成分が除去されたローパスフィルタ処理後の目標付加摩擦トルクTctf(目標摩擦トルクTft)が演算される。ステップ75が完了すると、制御は図2に示されたステップ80へ進む。
なお、以上のステップ45〜60及び75による目標摩擦トルクTftの演算について、必要ならば本願出願人の出願にかかる特開2009−126244号公報を参照されたい。また、ステップ65及び70は省略されてもよい。
次に、図4に示されたフローチャートを参照して、上記ステップ50における目標操舵角θtの演算について説明する。
まず、ステップ51においては、目標操舵角θtの初期化が完了しているか否かの判別、即ち、今回が制御の初回であるか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、制御はステップ53へ進み、否定判別が行われたときには、制御はステップ52へ進む。
ステップ52においては、目標操舵角θtが現在の操舵角θに設定されることにより、目標操舵角θtの初期化が行われる。なお、目標操舵角θtの初期値は0であってもよい。
ステップ53においては、前回のステップ40において演算された目標基本摩擦トルクTfbtとゲインKとの積Tfbt・Kとして、偏差上限値Δが演算される。なお、目標基本摩擦トルクTfbt及びゲインKは正の値であるので、偏差上限値Δも正の値である。ゲインKは、操舵系の剛性などを考慮して決定される任意の固定値であってよい。ただし、ゲインKが、操舵系の最も剛性が低い部位(一般的には、アッパステアリングシャフト22に組み込まれるトーションバーの部分)の捩じり剛性よりも低い値である場合には、ステアリングホイール20を回転させても操舵輪の舵角を目標操舵角θtに対応する舵角にすることができない。よって、ゲインKは、操舵系の最も剛性が低い部位の捩じり剛性よりも高い値であることが好ましい。
ステップ54においては、操舵角θが目標操舵角θtと偏差上限値Δとの和θt+Δよりも大きいか否かの判別、即ち、目標操舵角θtの低減修正が必要であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、制御はステップ56へ進み、肯定判別が行われたときには、ステップ55において目標操舵角θtが操舵角θから偏差上限値Δが減算された値θ−Δに修正される。
ステップ56おいては、操舵角θが目標操舵角θtと偏差上限値Δとの差θt−Δよりも小さいか否かの判別、即ち、目標操舵角θtの増大修正が必要であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、制御はステップ60へ進み、肯定判別が行われたときには、制御はステップ57において目標操舵角θtが操舵角θに偏差上限値Δが加算された値θ+Δに修正される。
なお、以上の目標操舵角θtの演算についても、必要ならば上記特開2009−126244号公報を参照されたい。
次に、図5に示されたフローチャートを参照して、第一の実施形態における最終の指標値dDEfに基づく修正係数Kab、Kdt及びKftの演算について説明する。
まず、ステップ85においては、操舵角θの微分値dθ(=dθ/dt)、操舵角θの二階微分値ddθ(=d2θ/dt2)及び操舵トルクTの微分値dT(=dT/dt)が演算される。なお、操舵角の微分値dθは、操舵角速度として検出された値であってもよく、操舵角の二階微分値ddθは、検出された操舵角速度dθの微分値として演算されてもよい。
ステップ90においては、検出された操舵角θ及び操舵トルクTを示す信号がローパスフィルタ処理されることにより、これらの信号から高周波のノイズ成分が除去される。また演算された操舵角θの微分値dθ、操舵角θの二階微分値ddθ及び操舵トルクTの微分値dTを示す信号がローパスフィルタ処理されることにより、これらの信号から高周波のノイズ成分が除去される。
ステップ95においては、上記式(6)のP0項、P1項及びP2項がローパスフィルタ処理されることにより、各項の高周波のノイズ成分が除去され、上記式(9)に従って第二の指標値dDE2が演算される。
ステップ100においては、検出された操舵角θ及び操舵トルクTに基づいて実際のばね定数kxが演算される。更に、上述のように電子制御装置24の記憶装置に記憶されているばね定数の標準値kcと実際のばね定数kxとの偏差Δkの大きさに基づいて、入力態様が正入力であるか逆入力であるの判定が行われる。よって、ステップ100は、操舵系へのエネルギーの入力が、ステアリングホイール16を経て行われる正入力であるか、操舵輪である前輪18L及び18Rを経て行われる逆入力であるかを判定する正逆入力判定装置として機能する。なお、ステップ100は、後述のステップ105よりも先に実行されればよく、ステップ105の直前に実行されなくてもよい。
ステップ105においては、上記式(8)のP3項がローパスフィルタ処理されることにより、P3項の高周波のノイズ成分が除去される。更に、入力態様が正入力であるときには、上記式(13)に従って第一の指標値dDE1が演算され、入力態様が逆入力であるときには、上記式(14)に従って第一の指標値dDE1が演算される。
ステップ110においては、第二の指標値dDE2の絶対値に基づいて図12に示されたマップを参照することにより、後述のステップ125における最終の指標値dDEfの演算における第一の指標値dDE1に対する重みW1が演算される。重みW1は、第二の指標値dDE2の絶対値が第一の基準値α1以下であるときには、1であり、第二の指標値dDE2の絶対値が第二の基準値α2以上であるときには、0である。更に、重みW1は、第二の指標値dDE2の絶対値がα1よりも大きく且つα2よりも小さいときには、0よりも大きく1よりも小さい範囲にて第二の指標値dDE2の絶対値が大きいほど小さくなる。
ステップ125においては、ステップ110において演算された重みW1を使用して、下記の式(18)に従って最終の指標値dDEfが演算される。前述のように、最終の指標値dDEfは、第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2と同様に、正及び負であるときには、それぞれ操舵系へのエネルギーの入力が正入力及び逆入力であることを示し、大きさはエネルギーの入力量の大きさを示す。
dDEf=W1・dDE1+(1−W1)・dDE2 …(18)
dDEf=W1・dDE1+(1−W1)・dDE2 …(18)
ステップ130においては、最終の指標値dDEfに基づいてそれぞれ図15乃至図17に示されたマップを参照して、基本操舵アシストトルクTabに対する修正係数Kab、目標減衰トルクTdtに対する修正係数Kdt及び目標摩擦トルクTftに対する修正係数Kftが演算される。なお、図15乃至図17において、Kabn、Kdtn及びKftnは、それぞれ修正係数Kab、Kdt及びKftの標準値(正の定数(例えば1))である。
以上の説明から解るように、修正後の目標操舵アシストトルクTatは、図2乃至図4に示されたフローチャートに従って、修正後の基本操舵アシストトルク(Tab・Kab)、修正後の減衰制御量(Tdt・Kdt)及び修正後の摩擦制御量(Tft・Kft)の和として演算される。そして、各制御量の修正係数Kab、Kdt及びKftは、図5に示されたフローチャートに従って最終の指標値dDEfに基づいて可変設定される。
特に、図5に示されたフローチャートのステップ85〜95において、第二の指標値dDE2が演算され、ステップ100及び105において、第一の指標値dDE1が演算される。そして、ステップ110及び125において、第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2の重み和として最終の指標値dDEfが演算される。更に、ステップ130において、最終の指標値dDEfに基づいてそれぞれ図15乃至図17に示されたマップを参照して修正係数Kab、Kdt及びKftが演算される。
図15乃至図17に示されているように、最終の指標値dDEfが正で大きいほど、基本操舵アシストトルクTabに対する修正係数Kabが大きくされ、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftのそれぞれに対する修正係数Kdt及びKftが小さくされる。よって、エネルギーの入力が正入力で、入力量の大きさが大きいほど、修正後の基本操舵アシストトルク(Tab・Kab)を大きくし、修正後の減衰制御量(Tdt・Kdt)及び修正後の摩擦制御量(Tft・Kft)を小さくすることができる。従って、運転者が積極的に操舵を行う状況において、運転者の操舵を補助し、減衰制御のトルク及び摩擦制御のトルクに起因する操舵抵抗を低減することができるので、運転者による操舵操作を行い易くすることができる。
これに対し、最終の指標値dDEfが負の値で絶対値が大きいほど、基本操舵アシストトルクTabに対する修正係数Kabが小さくされ、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftのそれぞれに対する修正係数Kdt及びKftが大きくされる。よって、エネルギーの入力が逆入力で、入力量の大きさが大きいほど、修正後の基本操舵アシストトルク(Tab・Kab)を小さくし、修正後の減衰制御量(Tdt・Kdt)及び修正後の摩擦制御量(Tft・Kft)を大きくすることができる。従って、路面46から前輪18L及び18Rを経て外乱が入力される状況において、運転者の操舵の補助を低減し、操舵抵抗を増大させることができるので、ステアリングホイール16が外乱により回転される度合を低減し、操舵の安定性を向上させることができる。
前述のように、操舵系の操舵トルクTと操舵角θとの間にはヒステリシスがあるため、例えばステアリングホイールが中立域にある状況において操舵トルクが与えられると、操舵角の大きさは操舵トルクの大きさよりも遅れて増大する。また、操舵トルクはステアリングシャフトに組み込まれたトーションバーの弾性ねじれ変形を利用して検出される。よって、操舵角がトーションバーよりも操舵輪側におけるステアリングシャフトの回転角度として検出される場合には、トーションバーの弾性ねじれ変形にも起因して操舵角の大きさは操舵トルクの大きさよりも遅れて増大する。更に、操舵トルクTの位相は操舵角θの位相よりも進んでいる。
よって、操舵角θが0又はその近傍にある状況においては、運転者により操舵操作が開始される際に操舵トルクTは操舵角θよりも速く変化する。しかし、例えば運転者の操舵操作量が大きくなると、操舵輪が操舵されるので、操舵角θの大きさが大きくなっても、操舵トルクTの大きさは操舵角θの大きさほどには大きくならない。
特に、第一の指標値dDE1は、操舵トルクT及びその微分値dTのみを変数とするP3項を含み、それぞれ操舵角速度dθ及び操舵角θを変数とするP1項及びP2項を含んでいない。従って、第一の指標値dDE1は、操舵角θが0又はその近傍にあり、第二の指標値dDE2の大きさが小さい状況において、第二の指標値dDE2に比して高精度に操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を示し、入力の変化の状況を早期に示す。しかし、第一の指標値dDE1は、操舵角θの大きさが大きい状況において、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を正確に示さない。
これに対し、第二の指標値dDE2は、それぞれ操舵角速度dθ及び操舵角θを変数とするP1項及びP2項を含んでいるので、操舵角θの大きさが大きく、第二の指標値dDE2の大きさが大きくなる状況においては、第一の指標値dDE1に比して高精度に操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を示す。しかし、操舵角θ及び操舵角速度dθは、運転者の操舵操作量が小さい状況において、大きさが大きくならない。そのため、第二の指標値dDE2は、運転者の操舵操作量が小さく、第二の指標値dDE2の大きさが小さい状況において、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を正確に示さない。
第一の実施形態によれば、操舵角θが0又はその近傍にあり、第二の指標値dDE2の絶対値が第一の基準値α1以下である状況においては、重みW1は1になり、最終の指標値dDEfは第一の指標値dDE1に設定される。よって、操舵角θが0又はその近傍にある状況においても、第二の指標値dDE2が使用される場合に比して、操舵系へのエネルギーの入力状況及び入力量をよりよく反映させて修正係数Kab、Kdt及びKftを演算することができる。
また、操舵角θの大きさが大きく、第二の指標値dDE2の絶対値が第二の基準値α2以上である状況においては、重みW1は0になり、最終の指標値dDEfは第二の指標値dDE2に設定される。よって、運転者の操舵操作量が大きい状況において、第一の指標値dDE1が使用される場合に比して、操舵系へのエネルギーの入力状況及び入力量をよりよく反映させて修正係数Kab、Kdt及びKftを演算することができる。
更に、第二の指標値dDE2の絶対値が一つの基準値よりも小さいときには、最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1に設定し、第二の指標値dDE2の絶対値が一つの基準値よりも大きいときには、最終の指標値dDEfを第二の指標値dDE2に設定することも考えられる。しかし、その場合には、第二の指標値dDE2の絶対値の変化に伴って、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1と第二の指標値dDE2との間にて急激に変化することが避けられない。
第一の実施形態によれば、第二の指標値dDE2の絶対値がα1よりも大きく且つα2よりも小さいときには、重みW1は0よりも大きく1よりも小さい範囲にて第二の指標値dDE2の絶対値が大きいほど小さくなる。よって、第二の指標値dDE2の絶対値がα1よりも大きく且つα2よりも小さい範囲においては、第二の指標値dDE2の絶対値の変化に伴って最終の指標値dDEfにおける第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2の比率が徐々に変化する。
従って、第二の指標値dDE2の絶対値の変化に伴って、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1と第二の指標値dDE2との間にて急激に変化することを防止することができる。よって、最終の指標値dDEfの急変に伴う修正係数Kab、Kdt及びKftの急変に起因して、修正後の基本操舵アシストトルク(Tab・Kab)、修正後の減衰制御量(Tdt・Kdt)及び修正後の摩擦制御量(Tft・Kft)が急変することを防止することができる。
特に、第一の実施形態によれば、最終の指標値dDEfの演算における第一の指標値dDE1に対する重みW1は、ステップ115において、第二の指標値dDE2の絶対値に基づいて演算される。よって、運転者の操舵操作量が小さく、第二の指標値dDE2の絶対値が小さい状況において、最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1に設定することができる。
[第二の実施形態]
図6は、本発明の第二の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10における操舵系のエネルギー変化の判定及びその判定結果に基づく修正係数Kab、Kdt及びKftの演算のルーチンを示すフローチャートである。なお、図6において、図5に示されたステップと同一のステップには図5において付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。このことは、後述の図7についても同様である。
図6は、本発明の第二の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10における操舵系のエネルギー変化の判定及びその判定結果に基づく修正係数Kab、Kdt及びKftの演算のルーチンを示すフローチャートである。なお、図6において、図5に示されたステップと同一のステップには図5において付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。このことは、後述の図7についても同様である。
第二の実施形態においては、図2に示されたフローチャートのステップ80における修正係数Kab、Kdt及びKftの演算は、図5に示されたフローチャートではなく、図6に示されたフローチャートに従って行われる。第二の実施形態における操舵アシストトルク制御の他のステップは、上述の第一の実施形態と同様に行われる。
図6と図5との比較から解るように、第二の実施形態のステップ85〜105、125及び130は、第一の実施形態の場合と同様に実行される。ステップ105が完了すると、ステップ115が実行され、ステップ115が完了すると、ステップ125が実行される。
ステップ115においては、操舵角θの絶対値に基づいて図13に示されたマップを参照することにより、最終の指標値dDEfの演算(ステップ125)における第一の指標値dDE1に対する重みW1が演算される。重みW1は、操舵角θの絶対値が第三の基準値β1(正の定数)以下であるときには、1であり、操舵角θの絶対値が第四の基準値β2(β1よりも大きい正の定数)以上であるときには、0である。更に、重みW1は、操舵角θの絶対値がβ1よりも大きく且つβ2よりも小さいときには、0よりも大きく1よりも小さい範囲にて操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなる。
第二の実施形態によれば、目標操舵アシストトルクTatは、上述の第一の実施形態と同様に演算される。各制御量の修正係数Kab、Kda及びKfaは、図5に示されたフローチャートではなく、図6に示されたフローチャートに従って、最終の指標値dDEfに基づいて可変設定される。
よって、第一の実施形態と同様に、運転者が積極的に操舵を行う状況において、運転者の操舵を補助し、減衰制御のトルク及び摩擦制御のトルクに起因する操舵抵抗を低減することができるので、運転者による操舵操作を行い易くすることができる。また、路面46から前輪18L及び18Rを経て外乱が入力される状況において、運転者の操舵の補助を低減し、操舵抵抗を増大させることができるので、ステアリングホイール16が外乱により回転される度合を低減し、操舵の安定性を向上させることができる。
ステップ115においては、重みW1は、上述のように、操舵角θの絶対値に基づいて演算される。よって、操舵角θが0又はその近傍にある状況においては、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1に設定されるので、第二の指標値dDE2が使用される場合に比して、操舵系へのエネルギーの入力状況及び入力量をよりよく反映させて修正係数Kab、Kdt及びKftを演算することができる。逆に、操舵角θの大きさが大きい状況においては、最終の指標値dDEfが第二の指標値dDE2に設定されるので、第一の指標値dDE1が使用される場合に比して、操舵系へのエネルギーの入力状況及び入力量をよりよく反映させて修正係数Kab、Kdt及びKftを演算することができる。
また、第二の実施形態によれば、重みW1は、操舵角θの絶対値がβ1よりも大きく且つβ2よりも小さいときには、0よりも大きく1よりも小さい範囲にて操舵角θの絶対値が大きいほど小さくなるように、操舵角θの絶対値に応じて可変設定される。よって、第二の指標値dDE2の絶対値の変化に伴って、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1と第二の指標値dDE2との間にて急激に変化することを防止することができる。よって、最終の指標値dDEfの急変に伴う修正係数Kab、Kdt及びKftの急変に起因して、修正後の基本操舵アシストトルク、修正後の減衰制御量及び修正後の摩擦制御量が急変することを防止することができる。
特に、第二の実施形態によれば、最終の指標値dDEfの演算における第一の指標値dDE1に対する重みW1は、ステップ115において、操舵角θの絶対値に基づいて演算される。よって、操舵角θの絶対値が小さく、第二の指標値dDE2によって高精度に正逆入力の判定及び入力量の判定を行うことができない状況において、最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1に設定することができる。
[第三の実施形態]
図7は、本発明の第三の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10における操舵系のエネルギー変化の判定及びその判定結果に基づく修正係数Kab、Kdt及びKftの演算のルーチンを示すフローチャートである。
図7は、本発明の第三の実施形態にかかる車両用操舵支援装置10における操舵系のエネルギー変化の判定及びその判定結果に基づく修正係数Kab、Kdt及びKftの演算のルーチンを示すフローチャートである。
第三の実施形態においては、図2に示されたフローチャートのステップ80における修正係数Kab、Kdt及びKftの演算は、図5に示されたフローチャートではなく、図7に示されたフローチャートに従って行われる。第三の実施形態における操舵アシストトルク制御の他のステップは、上述の第一の実施形態と同様に行われる。
図7と図5との比較から解るように、第三の実施形態のステップ85〜105、125及び130は、第一及び第二の実施形態の場合と同様に実行される。ステップ105が完了すると、ステップ120が実行され、ステップ120が完了すると、ステップ125が実行される。
ステップ120においては、第二の指標値dDE2の絶対値と第一の指標値dDE1との差である指標値偏差(=|dDE2|−dDE1)に基づいて図14に示されたマップを参照することにより、最終の指標値dDEfの演算(ステップ125)における第一の指標値dDE1に対する重みW1が演算される。重みW1は、上記指標値偏差が正で第五の基準値γ1(正の定数)以下である状況の継続時間が予め設定された所定値以上であるとき又は上記指標値偏差が0以下であるときには、1であり、上記指標値偏差が第六の基準値γ2(γ1よりも大きい正の定数)以上であるときには、0である。更に、重みW1は、上記指標値偏差がγ1よりも大きく且つγ2よりも小さいときには、0よりも大きく1よりも小さい範囲にて上記指標値偏差が大きいほど小さくなる。上記指標値偏差が正で第三の基準値γ1以下であっても、その継続時間が予め設定された所定値未満であるときには、重みW1は現在の値に維持される。
第三の実施形態によれば、目標操舵アシストトルクTatは、上述の第一及び第二の実施形態と同様に演算される。各制御量の修正係数Kab、Kda及びKfaは、図5及び図6に示されたフローチャートではなく、図7に示されたフローチャートに従って、最終の指標値dDEfに基づいて可変設定される。
よって、第一及び第二の実施形態と同様に、運転者が積極的に操舵を行う状況において、運転者の操舵を補助し、減衰制御のトルク及び摩擦制御のトルクに起因する操舵抵抗を低減することができるので、運転者による操舵操作を行い易くすることができる。また、路面46から前輪18L及び18Rを経て外乱が入力される状況において、運転者の操舵の補助を低減し、操舵抵抗を増大させることができるので、ステアリングホイール16が外乱により回転される度合を低減し、操舵の安定性を向上させることができる。
前輪18L及び18Rに路面46からの外乱が作用し、操舵系にエネルギーが入力されると、アッパステアリングシャフト26などが回転するので、操舵角θの大きさは大きく変化するが、操舵トルクTの大きさは操舵角θの大きさほどには変化しない。よって、操舵角θを変数とする第二の指標値dDE2の大きさは大きく変化するが、操舵角θを変数とせず操舵トルクTを変数とする第一の指標値dDE1の大きさは、第二の指標値dDE2の大きさほどには変化しない。
よって、第二の指標値dDE2の絶対値と第一の指標値dDE1との差(=|dDE2|−dDE1)は、外乱の大きさを表す。更に、第一の指標値dDE1は、第二の指標値dDE2に比して運転者の操舵開始などの正入力の変化の状況を早期に反映する。従って、上記指標値偏差が正で大きいときには、外乱の大きさが大きい状況であるので、第二の指標値dDE2に基づいて修正係数Kab、Kdt及びKftが演算されることが好ましい。逆に、上記指標値偏差が正で小さいときには、外乱の大きさが小さい状況であるので、第一の指標値dDE1に基づいて修正係数Kab、Kdt及びKftが演算されることが好ましい。
重みW1は、ステップ120において、上述のように上記指標値偏差に基づいて演算される。よって、外乱の大きさが小さく、上記指標値偏差が正で小さい状況においては、最終の指標値dDEfは第一の指標値dDE1に設定されるので、第二の指標値dDE2が使用される場合に比して正入力の変化の状況を早期に反映することができる。逆に、外乱の大きさが大きく、上記指標値偏差が正で大きい状況においては、最終の指標値dDEfは第二の指標値dDE2に設定されるので、第一の指標値dDE1が使用される場合に比して高精度に操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を反映することができる。
なお、上記指標値偏差(=|dDE2|−dDE1)が0以下の値になるのは、第二の指標値dDE2の大きさが第一の指標値dDE1以下になる場合であり、操舵角θ及びその微分値dθの大きさが小さく、操舵トルクT及び/又はその微分値dTの大きさが大きい場合である。操舵角θ及びその微分値dθの大きさが小さく、操舵トルクT及び/又はその微分値dTの大きさが大きくなるのは、運転者の操舵操作量が小さい状況において外乱などが作用する場合である。具体的な状況は、車両14が実質的に直進状態にあり且つ操舵が保舵である状況において前輪18L及び18Rに路面46からの外乱が作用するような状況である。このような状況においては、大きさが大きい第一の指標値dDE1の方が第二の指標値dDE2よりも信頼性が高い。
よって、上記指標値偏差が0以下の値であるときには、上記指標値偏差が正で小さい場合と同様に、重みW1は1に設定される。従って、最終の指標値dDEfは第一の指標値dDE1に設定されるので、最終の指標値dDEfが第二の指標値dDE2に設定される場合に比して高精度に操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を反映することができる。
また、第三の実施形態によれば、重みW1は、上記指標値偏差がγ1よりも大きく且つγ2よりも小さいときには、0よりも大きく1よりも小さい範囲にて上記指標値偏差が大きいほど小さくなるように、上記指標値偏差に応じて可変設定される。よって、上記指標値偏差の変化に伴って、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1と第二の指標値dDE2との間にて急激に変化することを防止することができる。よって、最終の指標値dDEfの急変に伴う修正係数Kab、Kdt及びKftの急変に起因して、修正後の基本操舵アシストトルク、修正後の減衰制御量及び修正後の摩擦制御量が急変することを防止することができる。
特に、第三の実施形態によれば、最終の指標値dDEfの演算における第一の指標値dDE1に対する重みW1は、ステップ120において、上記指標値偏差に基づいて演算される。よって、上記指標値偏差が小さく、第二の指標値dDE2が高精度に操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を反映することができない状況において、最終の指標値dDEfを第一の指標値dDE1に設定し、操舵系へのエネルギーの入力態様及び入力量を反映させることができる。
以上の説明から解るように、第一乃至第三の実施形態によれば、第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2は、操舵角速度と操舵角速度の微分値との積に関連するP0項を含んでいる。よって、第一の指標値dDE1及び第二の指標値dDE2は、操舵角θの大きさが小さくても操舵操作が速く行われる場合には比較的大きく変化する。よって、P0項が含まれていない場合に比して、最終の指標値dDEfは、操舵操作が速く行われる状況において、操舵系へのエネルギーの入力量を早期に反映することができる。
また、第一乃至第三の実施形態によれば、ステップ100において、上記式(7)の仮想のばね定数の標準値kcと実際のばね定数kxとの偏差Δkの大きさに基づいて、操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるの判定が行われる。実際のばね定数kxは、最終の指標値dDEfの演算及び操舵アシストトルクの制御に供される操舵角θ及び操舵トルクTに基づいて演算される。よって、操舵角θ及び操舵トルクT以外の情報を要することなく、正逆入力の判定を行うことができる。
[正逆入力の判定の他の例]
第一の指標値dDE1を演算するためにステップ100において行われる正逆入力の判定として、上述の第一乃至第三の実施形態における判定の他に、例えば下記の判定が行われてもよい。また、第一乃至第三の実施形態における判定及び下記の他の判定が組み合わせて行われてもよく、その場合には何れの判定の結果も逆入力である場合に、逆入力の状況であると判定されてよい。
第一の指標値dDE1を演算するためにステップ100において行われる正逆入力の判定として、上述の第一乃至第三の実施形態における判定の他に、例えば下記の判定が行われてもよい。また、第一乃至第三の実施形態における判定及び下記の他の判定が組み合わせて行われてもよく、その場合には何れの判定の結果も逆入力である場合に、逆入力の状況であると判定されてよい。
[第一の他の例]
例えば、ある車速における操舵角θと電動パワーステアリング装置22への制御電流Icとの関係が、図18において実線にて示された関係であり、その許容範囲がハッチングにて示された範囲であるとする。操舵角θと制御電流Icとの関係が、ハッチングにて示された範囲内にあるときには、正入力(逆入力が小さい)状況であると判定され、操舵角θと制御電流Icとの関係が、ハッチングにて示された範囲外にあるときには、逆入力の状況であると判定されてよい。
例えば、ある車速における操舵角θと電動パワーステアリング装置22への制御電流Icとの関係が、図18において実線にて示された関係であり、その許容範囲がハッチングにて示された範囲であるとする。操舵角θと制御電流Icとの関係が、ハッチングにて示された範囲内にあるときには、正入力(逆入力が小さい)状況であると判定され、操舵角θと制御電流Icとの関係が、ハッチングにて示された範囲外にあるときには、逆入力の状況であると判定されてよい。
[第二の他の例]
例えばアッパステアリングシャフト26にその延在方向に隔置された位置に二つのトルクセンサが設けられ、二つのトルクセンサの検出値の位相差により操舵系への入力が正入力か逆入力かが判定されてもよい。即ち、ステアリングホイール16の側のトルクセンサの検出値の位相が他方のトルクセンサの検出値の位相よりも進んでいるときには、操舵系への入力が正入力であると判定され、二つのトルクセンサの検出値の位相が上記とは逆であるときには、操舵系への入力が逆入力であると判定されてよい。
例えばアッパステアリングシャフト26にその延在方向に隔置された位置に二つのトルクセンサが設けられ、二つのトルクセンサの検出値の位相差により操舵系への入力が正入力か逆入力かが判定されてもよい。即ち、ステアリングホイール16の側のトルクセンサの検出値の位相が他方のトルクセンサの検出値の位相よりも進んでいるときには、操舵系への入力が正入力であると判定され、二つのトルクセンサの検出値の位相が上記とは逆であるときには、操舵系への入力が逆入力であると判定されてよい。
[第三の他の例]
操舵角θの微分値dθと操舵トルクTとの積dθ・Tが判定の基準値C0(0又は負の定数)以上であるときに、正入力の状況であると判定され、積dθ・Tが基準値C0未満であるときに、逆入力の状況であると判定されてよい。
操舵角θの微分値dθと操舵トルクTとの積dθ・Tが判定の基準値C0(0又は負の定数)以上であるときに、正入力の状況であると判定され、積dθ・Tが基準値C0未満であるときに、逆入力の状況であると判定されてよい。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一の実施形態においては、第二の指標値dDE2の絶対値に基づいて重みW1を演算するための基準値として、第一の基準値α1及び第二の基準値α2が設定されている。上述の第二の実施形態においては、操舵角θの絶対値に基づいて重みW1を演算するための基準値として、第三の基準値β1及び第四の基準値β2が設定されている。更に、上述の第三の実施形態においては、指標値偏差(=|dDE2|−dDE1)に基づいて重みW1を演算するための基準値として、第五の基準値γ1及び第六の基準値γ2が設定されている。
しかし、重みW1は、第二の指標値dDE2の絶対値、操舵角θの絶対値又は上記指標値偏差が一つの基準値(正の定数)以下であるときには、1に設定され、第二の指標値dDE2の絶対値などが上記一つの基準値よりも大きいときには、0に設定されてもよい。その場合には、第二の指標値dDE2の絶対値などが一つの基準値を超えて変化するときに、最終の指標値dDEfが第一の指標値dDE1と第二の指標値dDE2との間にて急激に変化することがないように、徐々に変化されることが好ましい。
また、上述の第一の実施形態においては、重みW1は第二の指標値dDE2の絶対値に基づいて演算されるようになっており、第一の基準値α1及び第二の基準値α2の大きさは、第二の指標値dDE2が正であるときも負であるときもそれぞれ同一である。しかし、第一の基準値α1及び第二の基準値α2は、第二の指標値dDE2が正であるときと負であるときとではそれぞれ互いに異なっていてもよい。同様に、上述の第二の実施形態において、第三の基準値β1及び第四の基準値β2は、操舵角θが正であるときと負であるときとではそれぞれ互いに異なっていてもよい。
また、上述の各実施形態においては、目標操舵アシストトルクTatの演算に使用される「基本操舵アシストトルクTabに対する修正係数Kab、目標減衰トルクTdtに対する修正係数Kdt及び目標摩擦トルクTftに対する修正係数Kft」は、何れもが最終の指標値dDEfに応じて設定される。しかし、それらの修正係数のうちの少なくとも一つが最終の指標値dDEfに応じて設定され、残りの修正係数が最終の指標値dDEfに応じて設定されなくてもよい。換言すれば、基本操舵アシストトルクTabに対応するトルク(Tab・Kab)、減衰制御量に対応するトルク(Tdt・Kdt)及び摩擦制御量に対応するトルク(Tft・Kft)の何れかが、最終の指標値dDEfに応じて変更されればよい。
更に、上述の各実施形態においては、目標操舵アシストトルクTatは、それぞれ修正係数Kab、Kdt及びKftと目標基本操舵アシストトルクTab、目標減衰トルクTdt及び目標摩擦トルクTftとの積の和として演算される。しかし、目標操舵アシストトルクTatは、他の制御成分、例えばステアリングホイール20を中立位置へ戻すための戻しトルク、操舵系の慣性を補償するための慣性補償トルク及び他のトルクの何れかを含んでいてもよい。
10…操舵支援装置、12…操舵装置、14…車両、16…ステアリングホイール、18L,18R…前輪、20…伝達装置、22…電動パワーステアリング装置、24…電子制御装置、52…操舵角センサ、54…トルクセンサ、56…車速センサ
Claims (8)
- 運転者により操作されるステアリングホイールと、操舵輪と、前記ステアリングホイールと前記操舵輪との間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置と、を含む操舵装置を備えた車両に適用され、操舵に関する力を調整する調整力を前記伝達装置に対し付与する調整力付与装置と、目標調整力を演算し、前記調整力付与装置が前記伝達装置に対し付与する調整力を前記目標調整力に基づいて修正する制御装置と、を有する車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、前記操舵装置及び前記調整力付与装置を含む操舵系へのエネルギーの入力が、前記ステアリングホイールを経て行われる正入力であるか前記操舵輪を経て行われる逆入力であるかを判定する正逆入力判定装置を有し、
前記制御装置は、操舵トルクの情報を取得し、前記正逆入力判定装置の判定結果及び操舵トルクと操舵トルクの微分値との積に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第一の指標値を演算し、前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、操舵角の情報を取得し、操舵角速度と操舵トルクとの積及び操舵角と操舵トルクの微分値との積に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値を演算し、
前記制御装置は、前記第二の指標値の大きさが第一の基準値以下であるときには前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きいときには少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項2に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きい第二の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさが前記第一の基準値よりも大きく且つ前記第二の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、
前記制御装置は、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記第二の指標値の大きさが大きいほど小さくなるように可変設定する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、操舵角の情報を取得し、操舵角速度と操舵トルクとの積及び操舵角と操舵トルクの微分値との積に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値を演算し、
前記制御装置は、前記操舵角の大きさが第三の基準値以下であるときには前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きいときには少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項4に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きい第四の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記操舵角の大きさが前記第三の基準値よりも大きく且つ前記第四の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、
前記制御装置は、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記操舵角の大きさが大きいほど小さくなるように可変設定する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、操舵角の情報を取得し、操舵角速度と操舵トルクとの積及び操舵角と操舵トルクの微分値との積に基づいて、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であるか逆入力であるか及びエネルギーの入力量を示す第二の指標値を演算し、
前記制御装置は、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が正で第五の基準値以下である状況が予め設定された所定の時間以上継続したとき及び前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が0以下であるときには、前記第二の指標値に基づくことなく前記第一の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が前記第五の基準値よりも大きいときには、少なくとも前記第二の指標値に応じて定まる値に基づいて前記目標調整力を修正する、
車両用操舵支援装置。 - 請求項6に記載の車両用操舵支援装置において、
前記制御装置は、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が前記第五の基準値よりも大きい第六の基準値以上であるときには、前記第一の指標値に基づくことなく前記第二の指標値に基づいて前記目標調整力を修正し、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が前記第五の基準値よりも大きく且つ前記第六の基準値よりも小さいときには、前記第一及び第二の指標値の重み和に基づいて前記目標調整力を修正し、
前記制御装置は、前記重み和における前記第一の指標値の重みを、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が大きいほど小さくなるように可変設定し、前記第二の指標値の大きさと前記第一の指標値との差が正で第五の基準値以下である状況が予め設定された所定の時間以上継続していないときには、前記重み和における前記第一の指標値の重みを変更しない、
車両用操舵支援装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵支援装置において、前記正逆入力判定装置は、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力である場合について予め求められた、操舵角に対する操舵トルクの比の標準値と、操舵角の検出値に対する操舵トルクの検出値の比との差の大きさが判定基準値未満であるときに、前記操舵系へのエネルギーの入力が正入力であると判定し、前記比の差の大きさが前記判定基準値以上であるときに、前記操舵系へのエネルギーの入力が逆入力であると判定する、車両用操舵支援装置。
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