JP2017011776A - 被覆処理具、及びケーブル接続部の被覆方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被覆後に内部の施工状況を確認できる被覆処理具、及びケーブル接続部の被覆方法を提供する。【解決手段】引き抜き可能な管状中空のコア部材20と、コア部材20の外周側に拡径された状態で保持された弾性管状部材10と、を有し、弾性管状部材10の内側にケーブル接続部C1が通された状態でコア部材20が引き抜かれることによって弾性管状部材10が収縮し、収縮された弾性管状部材10によってケーブル接続部C1を被覆する被覆処理具1である。ケーブル接続部C1の外側且つコア部材20の内側でケーブル接続部C1に巻き付けられて、ケーブル2を識別可能とするテープ30を備え、弾性管状部材10は、少なくともその一部が透明となっている。【選択図】図4
Description
本発明は、被覆処理具、及びケーブル接続部の被覆方法に関する。
従来から、複数のケーブルを接続するケーブル接続部、又はケーブルの端末におけるケーブル接続部を被覆する被覆処理具としては種々のものが知られている。特許文献1には、管状中空の殻体と、殻体の外側で拡径されて保持された管状被覆部材とを備えた被覆処理具が記載されている。この被覆処理具では、殻体の内側にケーブル端末部が通された状態で殻体が引き抜かれることによって管状被覆部材が収縮し、この収縮された管状被覆部材によってケーブル端末部が被覆される。
上述した被覆処理具では、ケーブル端末部における管状被覆部材の内側の位置に、耐湿性を高める等の目的でテープが巻き付けられることがある。また、管状被覆部材は耐候性向上の観点から黒色であることが多い。よって、管状被覆部材による被覆後には、管状被覆部材の内側のテープを視認することができず、内部の施工状況を確認できない。従って、被覆後に内部の施工状況を確認できるようにすることが要請されている。
本発明の一形態に係る被覆処理具は、引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材と、拡径保持部材の外周側に拡径された状態で保持された弾性管状部材と、を有し、拡径保持部材の内側にケーブル接続部が通された状態で拡径保持部材が引き抜かれることによって弾性管状部材が収縮し、収縮された弾性管状部材によってケーブル接続部を被覆する被覆処理具であって、ケーブル接続部の外側且つ拡径保持部材の内側でケーブル接続部に巻き付けられて、ケーブルを識別可能とするテープを備え、弾性管状部材は、少なくともその一部が透明となっている。
上記の形態によれば、ケーブル接続部の外側且つ拡径保持部材の内側の位置にケーブルを識別可能なテープが巻き付けられており、このテープは、少なくとも一部が透明となっている弾性管状部材によって被覆される。従って、弾性管状部材によって被覆された後において、弾性管状部材の外から内部に位置するテープを視認することができるので、内部の施工状況を確認することができる。
別の形態に係る被覆処理具では、テープは、耐候性を有する材料で構成されていてもよい。
別の形態に係る被覆処理具では、テープは、耐透湿性を有する材料で構成されていてもよい。
別の形態に係る被覆処理具では、弾性管状部材は、防水性を有する材料で構成されていてもよい。
別の形態に係る被覆処理具では、弾性管状部材は、弾性管状部材の軸方向の端縁から所定長さ軸方向内側に延びる端部と、端部よりも軸方向内側に位置しており端部よりも肉厚となっている肉厚部と、を備え、肉厚部は、弾性管状部材の全周に亘って延びていてもよい。
本発明の一形態に係るケーブル接続部の被覆方法は、引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材と、拡径保持部材の外周側に拡径された状態で保持されており少なくとも一部が透明となっている弾性管状部材と、を用いたケーブル接続部の被覆方法であって、ケーブルを識別可能とするテープをケーブル接続部の外側に巻き付ける工程と、拡径保持部材をテープの外側に被せる工程と、拡径保持部材を引き抜くことによって弾性管状部材を収縮させ、収縮させた弾性管状部材によってテープを被覆する工程と、を備える。
本発明によれば、被覆後に内部の施工状況を確認できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る被覆処理具は、ケーブル接続部を被覆するために用いられる。本明細書において、「ケーブル接続部」とは、複数本のケーブル同士を接続する接続部、ケーブルとコネクタとを接続する接続部、及び、ケーブルとコネクタ以外の機器とを接続する接続部を含んでいる。また、「ケーブル」はCVTケーブル等の電力ケーブル、絶縁電線、及び通信用ケーブルを含んでおり、「ケーブル」の種類は多岐にわたる。
図1及び図4に示されるように、被覆処理具1は、ケーブル2と、コネクタ3とが接続するケーブル接続部C1に被覆処理を施し、ケーブル接続部C1を保護するために用いられる。被覆処理具1は、引き抜き可能であって管状に形成されたコア部材(拡径保持部材)20と、コア部材20の外周に拡径された状態で保持された弾性管状部材10と、ケーブル2を識別可能とするテープ30とを備えている。被覆処理具1は、例えば、屋外用途で用いられるが、屋内用途で用いられてもよい。
図2(a)及び図2(b)に示されるように、コア部材20は、コア部材20の軸線Lが伸びる方向(以下、軸方向とする)の全体に亘って壁面上に形成された解体線を有する例えば円筒形の管状中空の部材である。解体線は、コア部材20の軸線Lの周りを周回、又は、周回及び反転をしながら、軸線L方向に漸進していくように形成されている。本実施形態では、解体線として、コア部材20の軸線L周りを周回しながら、軸線L方向に漸進していくように形成される連続螺旋溝21が設けられている。以下では、「解体線」が連続螺旋溝21であるものとして説明する。
コア部材20の材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の樹脂が用いられる。コア部材20は、連続螺旋溝21に沿って、紐状体であるコアリボン22として引き抜くことが可能となっている。連続螺旋溝21が形成された部分は連続螺旋溝21の周囲よりも薄くなっており、破断しやすい部分となっている。また、解体線は、連続螺旋溝21のような螺旋状に形成される態様に限られず、例えばSZ状に形成されていてもよく、引き抜き可能であれば如何なる形状とすることも可能である。コアリボン22を引っ張ると、コア部材20は、連続螺旋溝21の部分で順次破断し、新たなコアリボン22として連続的に引き抜かれる。
連続螺旋溝21は、例えば、一定のピッチで形成されているため、引き抜かれるコアリボン22の幅は一定となる。ただし、一定でなくてもよい。連続螺旋溝21は、コア部材20の内周面のみに形成されていてもよく、外周面のみに形成されていてもよく、内周面と外周面の両方に形成されていてもよい。また、連続螺旋溝21を有するコア部材20の製造は、例えば連続螺旋溝21を螺旋状に旋回させると共に、隣接する連続螺旋溝21同士を接着、溶着、係合又はこれらの組み合わせ等によって固定することにより、行われてもよく、円筒状の部材に連続螺旋溝21を直接形成することによって行われてもよい。
以上のように、引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材としては、コア部材20のようにコアリボン22を引っ張ることによって弾性管状部材10を順次収縮させる態様もあれば、拡径保持部材が弾性管状部材に対して摺動し弾性管状部材から引き抜かれることによって離脱する態様もある。
コア部材20は、コアリボン22として引き抜かれる始端側となる第1の端部23と、コアリボン22として引き抜かれる終端側となる第2の端部24とを有する。第1の端部23付近には、弾性管状部材10が巻かれずコア部材20の外周面が露出する露出部25が形成され、第2の端部24付近にも、露出部25と同様の露出部26が形成されている。
第1の端部23から解体したコアリボン22は、コア部材20の内側に通されると共に第2の端部24側から引き抜かれる。第2の端部24側でコアリボン22が引き抜かれることにより、コア部材20は、第1の端部23から第2の端部24に向かって順次解体されていく。本実施形態では、連続螺旋溝21が軸方向の全長に亘って形成されているので、第1の端部23から第2の端部24に至るまで完全にコア部材20を解体することが可能である。ただし、コア部材20のうち、少なくとも弾性管状部材10を拡径して保持している部分に連続螺旋溝21が形成されていればよく、例えば第2の端部24側の所定の範囲において、連続螺旋溝21が形成されていない部分があってもよい。
弾性管状部材10は、コア部材20の外周側に、拡径されて保持された部材であり、ケーブル接続部C1を被覆する外被となる部材である。弾性管状部材10の内周面10aは、例えば平滑な面となっている。本明細書において、平滑な面とは、尖った部分又は凹凸部分を有しない滑らかな面を示している。
弾性管状部材10は、例えば、常温で収縮し伸縮特性に優れたゴムで構成される常温収縮チューブである。弾性管状部材10は、例えば防水性を有する材料で構成されている。ここで本明細書において「弾性管状部材が防水性を有する」とは、弾性管状部材10を収縮させた状態において弾性管状部材10の外部から内部への液体の浸入を防止可能な状態を示している。「防水性を有する」とは、JIS C 0920における「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」に規定されているIPX7(水深1mに30分間沈めたときに内部への水の浸入がないこと)を示している。弾性管状部材10の材料としては、例えば、シリコーンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)が用いられる。
弾性管状部材10は、コアリボン22が引き抜かれコア部材20が順次解体されることによって、当該解体された部分における保持が徐々に解除され、この解除された部分において順次収縮及び縮径する。このように、収縮及び縮径された弾性管状部材10によって、ケーブル接続部C1は被覆されていく。
また、弾性管状部材10は、その全体が透明となっており、外から弾性管状部材10の内部を視認可能となっている。本明細書において、「透明」とは、無色透明だけでなく、着色透明、及び、すりガラス状等、濁りがある透明も含まれる。すなわち、「弾性管状部材が透明」とは、外側から弾性管状部材を見て弾性管状部材の内側を認識可能となっている状態を指している。なお、本実施形態では弾性管状部材10の全体が透明となっている例について説明するが、弾性管状部材の一部が透明となっていてもよい。
図2及び図3に示されるように、弾性管状部材10は、その軸方向の端縁11cから所定長さ軸方向内側に延びる端部11と、端部11よりも厚さが大きくなっている肉厚部12と、各肉厚部12の軸方向内側に位置する一般部13と、を有する。端部11は軸方向の両端に位置しており、肉厚部12は各端部11の軸方向内側に位置している。肉厚部12は、弾性管状部材10の裂けを抑制するために設けられる。なお、本実施形態では、端部11の厚さと一般部13の厚さとが同一となっているが、同一でなくてもよい。
端部11は、その厚さが肉厚部12の厚さよりも薄くなっており、肉厚部12よりも薄い肉薄部となっている。端部11は、環状の端面11aと、端面11aの外縁である端縁11cから軸方向内側に所定長さ延びる表面11bとを有する。弾性管状部材10の内周面10aから表面11bまでの長さ、すなわち端部11における弾性管状部材10の厚さをx(xは正の実数:単位mm)とすると、例えばx=3.5とすることができる。
表面11bは平滑な面となっており、表面11bの軸方向の長さをW1(mm)とすると、このW1の値は0.5以上且つ3.0以下とすることができる。また、弾性管状部材10の防水機能の維持の観点から考慮すると、W1の値は、0.5以上且つ2.0以下であることが好ましく、1.0であることが一層好ましい。このW1は、弾性管状部材10の軸方向の端縁11cから軸方向内側に延びる端縁11cからの所定長さに相当する。
肉厚部12は、端部11の軸方向内側で端部11に隣接して配置されている。肉厚部12は、弾性管状部材10の全周に亘って延びており、本実施形態では、弾性管状部材10の周方向に延びる環状凸部となっている。肉厚部12は、端部11の表面11bから角度θ1で直線状に立ち上がる立ち上げ部12aと、一般部13の表面13bから角度θ2で直線状に立ち上がる立ち上げ部12eと、立ち上げ部12aの上端(径方向外側の端部)から軸方向内側に円弧状に延びる曲線部12bと、立ち上げ部12eの上端から軸方向外側に円弧状に延びる曲線部12dと、曲線部12bと曲線部12dとが接続する頂部12cとを備えている。なお、曲線部12b,12dは、円弧状でなくてもよく、例えば放物線状等、別の形状であってもよい。
肉厚部12は、例えば、頂部12cに対して軸方向に対称となっている。図3では、角度θ1と角度θ2が共に90°で、立ち上げ部12a,12eが表面11b,13bからそれぞれ直角に立ち上がる例を示しているが、角度θ1又は角度θ2を90°からずらしてもよい。角度θ1及び角度θ2は、90°以上且つ115°未満であることが好ましい。弾性管状部材10の内周面10aから頂部12cまでの高さ、すなわち頂部12cの厚さをy(yは正の実数:単位mm)とすると、例えばy=5.5とすることができる。また、肉厚部の肥大化防止の観点(材料削減又はスリムな形状の観点)から、xとyの比率については、1.4≦(y/x)≦3.0の関係を満たすことができ、1.4≦(y/x)≦2.0であることが好ましく、1.45≦(y/x)≦1.6であることが一層好ましい。
弾性管状部材10が収縮した状態において、端部11の表面11bに対する肉厚部12の頂部12cの高さH1(mm)は、例えば2.0である。このH1の値としては、肉厚部が厚くなりすぎて例えば肉厚部の頂部が軸方向に倒れ込んで笠形状となることを防止する観点から、1.5以上且つ5.0以下とすることができ、1.5以上且つ3.5以下とすることが好ましく、1.5以上且つ2.5以下とすることが一層好ましい。また、図3では、肉厚部12の曲線部12b、頂部12c及び曲線部12dが中心O1を中心とした円弧状となっているが、この円弧の半径(立ち上げ部12a,12eの上端に対する頂部12cの高さH3(mm))は、例えば1.5である。この場合、肉厚部12の軸方向の幅W2(mm)は3.0である。また、表面11b,13bに対する立ち上げ部12a,12eの上端の高さH2(mm)は、例えば0.5であるが、0以上且つ0.5未満、又は0.5より高くてもよい。
一般部13は、軸方向に延びる筒状となっており、例えば円筒状となっている。一般部13の表面13bは平滑な面となっている。一般部13の厚さは、例えば3.5mmとすることができる。
以上のように構成される弾性管状部材10でケーブル接続部C1を被覆する前に、図4(b)及び図4(c)に示されるように、ケーブル接続部C1の外側の位置にはテープ30が巻き付けられる。テープ30は、ケーブル2を識別可能とするものである。すなわち、テープ30の表面には、複数あるケーブルのうちからケーブル2を識別可能とするための色彩又は模様が施されており、このテープ30表面の色彩又は模様を視認することによって、ケーブル2を識別可能となっている。
テープ30は、耐候性を有する材料で構成されていることが好ましい。ここで、本明細書において「耐候性」とは、耐紫外線性を含んでおり、更に、耐熱性又は耐水性を含んでいてもよい。また、「テープが耐候性を有する」とは、テープが屋外でケーブル接続部に巻き付けられた場合に、テープが変質を起こしにくいことを示している。より具体的に「耐候性を有する」とは、JIS B 7754における「キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機」によって、太陽光に近似した人工光源の照射を行うと共に断続的に水を噴霧する試験を行って、色落ち又は割れ等の異常が生じないことを示している。なお、この試験における温度、湿度、噴霧サイクル及び試験時間は以下の通りである。
(試験条件)
・温度(ブラックパネル温度) :63±3°
・湿度 :50±5%
・噴霧サイクル :102分間の照射後、18分間の照射及び水噴霧
・試験時間 :2000時間
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・試験時間 :2000時間
また、テープ30は、耐透湿性を有する材料で構成されていることが好ましい。本明細書において「テープが耐透湿性を有する」とは、テープにおける水蒸気の透過を抑制可能であることを示している。より具体的に「耐透湿性を有する」とは、JIS Z 0208における「防湿包袋材料の透湿度試験方法(カップ法)」によって水蒸気の透湿度を測定し、その透湿度の値が1.0g/m2・24h以下であることを示している。
テープ30の材料としては、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)が用いられるが、PVC以外の材料を用いることも可能である。また、テープ30としてブチルテープをケーブル接続部C1に巻き付けて、そのブチルテープの外側からPVCテープを巻き付けてもよい。この場合、ブチルテープによって耐透湿性を確保することができると共に、PVCテープによって耐候性を確保することができる。このようにケーブル接続部C1には、二層以上のテープが巻き付けられてもよい。
次に、被覆処理具1を用いて、ケーブル接続部C1を被覆する被覆方法について、図4〜図8を参照しながら説明する。以下では、ケーブル2とコネクタ3とを接続するケーブル接続部C1を被覆する作業の例について説明するが、本実施形態の被覆方法は、複数本のケーブル同士を接続するケーブル接続部、又はケーブルとコネクタ以外の機器とを接続するケーブル接続部にも応用可能である。
まず、図4(a)〜図4(c)に示されるように、コアリボン22をケーブル2の根元側(図4の右側)に向けた状態でケーブル2をコア部材20に通し、この状態でケーブル2をコネクタ3に接続する。そして、ケーブル2とコネクタ3との接続部であるケーブル接続部C1にテープ30を巻き付ける(テープをケーブル接続部の外側に巻き付ける工程)。
図5(a)及び図5(b)に示されるように、ケーブル接続部C1に巻き付けられるテープが二層以上である場合には、テープ30の外側に位置するテープ40を必要に応じて巻き付ける。この場合、テープ40は、前述したテープ30と同様、ケーブル2を識別可能とするテープである。
図6(a)〜図6(c)に示されるように、コア部材20をケーブル2の先端側(図6の左側)に動かして、コア部材20をテープ30の外側に被せる(拡径保持部材を被せる工程)。そして、コア部材20を一方向(例えば、ケーブル2の根元側から見て時計回りの方向)に回転させながら、コアリボン22をケーブル2の根元側に引っ張る。このようにコアリボン22を引っ張ることによって、弾性管状部材10の先端側を少し収縮させる。
弾性管状部材10の先端側を収縮させた後には、図7(a)及び図7(b)に示されるように、コア部材20を一方向及びその反対方向に小さく回しながら弾性管状部材10の収縮開始位置の調整を行う。このとき、コア部材20を回しながら弾性管状部材10の収縮開始位置をケーブル2の先端側に動かす。
その後は、図8(a)及び図8(b)に示されるように、コア部材20を上記反対方向(例えばケーブル2の根元側から見て反時計回りの方向)に回転させながらコアリボン22を引き抜き、弾性管状部材10を収縮させる。このようにコアリボン22をケーブル2の根元側に引き抜くと、ケーブル2の先端側から根元側に向かって徐々にテープ30及びケーブル接続部C1が弾性管状部材10によって被覆されていく(テープを被覆する工程)。
コアリボン22を全て引き抜くと、図8(b)、図9(a)及び図9(b)に示されるように、ケーブル接続部C1における被覆作業が完了する。なお、図9(a)はテープが一層の場合を示しており、図9(b)はテープが二層の場合を示している。
次に、本実施形態に係る被覆処理具1、及びケーブル接続部C1の被覆方法の作用効果について説明する。
本実施形態に係る被覆処理具1及びケーブル接続部C1の被覆方法では、ケーブル接続部C1の外側且つコア部材20の内側の位置でケーブル2を識別可能なテープ30,40が巻き付けられており、このテープ30,40は、少なくとも一部が透明となっている弾性管状部材10によって被覆される。従って、弾性管状部材10によって被覆された後において、弾性管状部材10の外から内部に位置するテープ30,40を視認することができるので、弾性管状部材10の内部の施工状況を確認することができる。
また、テープ30,40が耐候性を有する材料で構成されている場合、テープ30,40が屋外で使用されてもテープ30,40の変質を抑制することができる。更に、紫外線によってテープ30,40が分解したり、又はテープ30,40が退色したりすることを回避することができる。
また、テープ30,40が耐透湿性を有する材料で構成されている場合、テープ30,40における水蒸気の透過を抑制することができる。従って、ケーブル接続部C1への水蒸気の到達が抑制されるので、ケーブル接続部C1の内部の金属が錆びることを回避することができる。
また、弾性管状部材10が防水性を有する材料で構成されている場合、弾性管状部材10の内部への液体の浸入が防止されるので、テープ30,40への液体の到達を抑制することができる。
また、弾性管状部材10は、その軸方向の端縁11cから所定長さ軸方向内側に延びる端部11と、端部11よりも軸方向内側に位置しており端部11よりも肉厚となっている肉厚部12と、を備え、肉厚部12は、弾性管状部材10の全周に亘って延びている。よって、裂けが端部11で生じても、その軸方向内側に肉厚部12が設けられているので、この肉厚部12で裂けの軸方向への進行を抑えることができる。すなわち、端部11から肉厚部12に向かって進行した裂けは、肉厚部12を乗り越えることができず、当該裂けの進行方向が肉厚部12で弾性管状部材10の周方向に逸れるので、裂けが肉厚部12で止められることとなる。従って、裂けが軸方向に延びて弾性管状部材10の全体に伸長する事態を回避することができる。
また、弾性管状部材10が収縮した状態において、端部11の表面11bに対する肉厚部12の頂部12cの高さH1が1.5mm以上且つ5.0mm以下である場合、高さH1を必要以上に高くすることなく、上記裂けを肉厚部12でより確実に止めることができる。
また、弾性管状部材10が収縮した状態において、端部11の厚さをx、肉厚部12の頂部12cの厚さをyとして1.4≦(y/x)≦3.0の関係を満たす場合、肉厚部12を必要以上に厚くすることなく、上記裂けを肉厚部12でより確実に止めることができる。
また、弾性管状部材10が収縮した状態での弾性管状部材10の軸方向断面において、肉厚部12は、端部11の表面11bから90°以上且つ115°未満の角度を成して立ち上がる立ち上げ部12aと、立ち上げ部12aの上端から曲線状に延びる曲線部12bと、を備えている。この場合、上記裂けの進行を立ち上げ部12aによって確実に抑えることができる。
また、弾性管状部材10が収縮した状態において、端部11の表面11bにおける軸方向の長さW1が0.5mm以上且つ3.0mm以下である場合、弾性管状部材10で裂けが生じても、その裂けが軸方向に進展することを防止することができ、裂けが生じる範囲を最小限とすることができる。従って、端部11の範囲、すなわち弾性管状部材10の裂けが生じうる範囲を小さくすることができ、弾性管状部材10の防水等の機能を一層確実に維持することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
前述したように、ケーブル接続部については種々の態様とすることが可能であり、例えば図10(a)に示されるように、ケーブル2A及びケーブル2Bを接続するケーブル接続部C2に対しても、被覆処理具1を適用させることが可能である。また、図10(b)に示されるように、複数のケーブル接続部C3を有する多心の直線接続を成すケーブル2C,2Dに対しても被覆処理具1を適用させることができ、図10(c)に示されるように、複数のケーブル接続部C4を有すると共に多心の分岐接続を成す複数本のケーブル2E,2F,2Gに対しても被覆処理具1を適用させることができる。また、被覆処理具1の弾性管状部材10は透明であるため、弾性管状部材10の施工後であってもケーブル接続部C2〜C4のそれぞれを視認することができ、ケーブル接続部C2〜C4それぞれの接続状態を確認することができる。
なお、被覆処理具1の径は、全長に亘って一様である必要はなく、例えば、一般部13において径が変化することにより被覆処理具1の一端側と他端側との径が異なっていてもよく、また、一般部13の一部のみが異なる径となっていてもよい。更に、コア部材20については、被覆処理具1の全長に亘って一部材である必要はなく、被覆処理具1の一端側と他端側にそれぞれ独立したコア部材20が設けられていてもよい。そして、更に、弾性管状部材10は、一本の円筒状である必要はなく、例えば、Y字状、T字状又はX字状に分岐していてもよい。
また、弾性管状部材の肉厚部についても種々の態様とすることが可能である。例えば、肉厚部は、立ち上げ部12a又は曲線部12bを有しない別の形状であってもよく、図11(a)に示されるように、端部11の表面11bから曲線状に立ち上がる曲線部17bと、頂部17cとを有する肉厚部17を備えていてもよい。図11(a)〜図11(c)は、図3と同様、弾性管状部材が収縮した状態での弾性管状部材の軸方向断面を示している。
図11(a)に示される肉厚部17において、端部11の表面11bと、表面11bと肉厚部17の交点Kから延びる肉厚部17の接線Sと、の成す角度θ3は、90°以上且つ115°未満であることが好ましい。このように角度θ3を90°以上且つ115°未満とすることにより、前述した裂けの進行を確実に抑えることができる。なお、図11(a)の肉厚部17では、曲線部17b,17dは中心O2を中心とした円弧状となっており、表面11b,13bに対する頂部17cの高さH4は、曲線部17b,17dを成す円弧の半径H5よりも小さくなっている。
また、図11(b)に示されるように、曲線部17b,17dを有しない肉厚部32を備えていてもよい。この肉厚部32は、端部11の表面11bから角度θ4で立ち上がる立ち上げ部32aと、一般部13の表面13bから角度θ5で立ち上がる立ち上げ部32cと、立ち上げ部32a,32cの上端同士を接続する頂部32bとを備えている。角度θ4,θ5は例えば90°とすることができるが、90°でなくてもよい。また、頂部32bは、例えば平滑な面となっており軸方向に幅W3を有しているが、軸方向への幅W3を有していなくてもよい。更に、図11(c)に示されるように、軸方向断面において、立ち上げ部42a,42c及び頂部42bを有する台形状の肉厚部42を備えていてもよい。なお、弾性管状部材は、肉厚部を有しない態様とすることも可能である。
また、前述したように弾性管状部材の一部のみが透明となっていてもよいが、この例として、図12(a)に示される弾性管状部材50が挙げられる。弾性管状部材50は、その軸方向に延びる透明部51を備えており、この透明部51を介して弾性管状部材50内部のテープ52及びケーブル53を視認可能としている。
また、前述した実施形態では、テープ30の表面にケーブル2を識別可能とするための色彩又は模様が施されている例について説明したが、ケーブルを識別可能とするテープについても種々の態様とすることが可能である。例えば、図12(b)に示されるように、色彩又は模様に代えて、表面に文字Mを付したテープ60を用いてもよい。文字Mの付し方としては、例えば、文字印字テープ、ラベル又はタグの貼付が挙げられる。また、文字Mは、例えば会社情報を表す文字とすることができるが、この場合、ケーブルの施工業者名又はケーブルのメーカー等を弾性管状部材の被覆後に視認することも可能となる。
1…被覆処理具、2,2A〜2G,53…ケーブル、3…コネクタ、10,50…弾性管状部材、11…端部、11a…端面、11b…表面、11c…端縁、12,17,32,42…肉厚部、12a,32a,42a…立ち上げ部、12b,17b…曲線部、12c,17c,32c,42b…頂部、12d…曲線部、12e,42c…立ち上げ部、13…一般部、13b…表面、20…コア部材(拡径保持部材)、21…連続螺旋溝、22…コアリボン、23…第1の端部、24…第2の端部、25,26…露出部、30,40,52,60…テープ、51…透明部、C1〜C4…ケーブル接続部、K…交点、L…軸線、M…文字、O1,O2…中心、S…接線、θ1〜θ5…角度。
Claims (6)
- 引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材と、前記拡径保持部材の外周側に拡径された状態で保持された弾性管状部材と、を有し、前記拡径保持部材の内側にケーブル接続部が通された状態で前記拡径保持部材が引き抜かれることによって前記弾性管状部材が収縮し、収縮された前記弾性管状部材によって前記ケーブル接続部を被覆する被覆処理具であって、
前記ケーブル接続部の外側且つ前記拡径保持部材の内側で前記ケーブル接続部に巻き付けられて、ケーブルを識別可能とするテープを備え、
前記弾性管状部材は、少なくともその一部が透明となっている、
被覆処理具。 - 前記テープは、耐候性を有する材料で構成されている、
請求項1に記載の被覆処理具。 - 前記テープは、耐透湿性を有する材料で構成されている、
請求項1又は2に記載の被覆処理具。 - 前記弾性管状部材は、防水性を有する材料で構成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆処理具。 - 前記弾性管状部材は、前記弾性管状部材の軸方向の端縁から所定長さ軸方向内側に延びる端部と、前記端部よりも前記軸方向内側に位置しており前記端部よりも肉厚となっている肉厚部と、を備え、
前記肉厚部は、前記弾性管状部材の全周に亘って延びている、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆処理具。 - 引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材と、前記拡径保持部材の外周側に拡径された状態で保持されており少なくとも一部が透明となっている弾性管状部材と、を用いたケーブル接続部の被覆方法であって、
ケーブルを識別可能とするテープを前記ケーブル接続部の外側に巻き付ける工程と、
前記拡径保持部材を前記テープの外側に被せる工程と、
前記拡径保持部材を引き抜くことによって前記弾性管状部材を収縮させ、収縮させた前記弾性管状部材によって前記テープを被覆する工程と、
を備えるケーブル接続部の被覆方法。
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JP2020169843A (ja) * | 2019-04-02 | 2020-10-15 | 中日本高速道路株式会社 | ケーブル強度低下判定方法及びその方法に使用する受熱温度履歴表示構造 |
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2015
- 2015-06-16 JP JP2015121448A patent/JP2017011776A/ja active Pending
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