JP2017011252A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノメートルスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面にそなえる半導体基板を用いる場合であっても、微小な空隙の内表面全面を含め、半導体基板の拡散剤組成物が塗布された箇所全体に、半導体基板での欠陥の発生を抑制しつつ、良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることができる半導体基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】不純物拡散成分(A)と加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)とを含む拡散剤組成物を用いて、半導体基板表面に30nm以下の膜厚の塗布膜を形成することにより、塗布膜から半導体基板に、不純物拡散成分を良好且つ均一に拡散させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、不純物拡散成分と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物とを含む拡散剤組成物を用いて形成される薄膜により、半導体基板に不純物拡散成分を拡散させる、半導体基板の製造方法に関する。
トランジスタ、ダイオード、太陽電池等の半導体素子に用いられる半導体基板は、半導体基板にリンやホウ素等の不純物拡散成分を拡散させて製造されている。かかる半導体基板について、Fin−FET、ナノワイヤーFET等のマルチゲート素子用の半導体基板を製造する際には、例えばナノメートルスケールの微小な空隙を有する3次元構造をその表面に有する半導体基板に対して不純物の拡散が行われることがある。
ここで、半導体基板に不純物拡散成分を拡散させる方法としては、例えば、イオン注入法(例えば特許文献1を参照)やCVD法(例えば特許文献2を参照)が知られている。イオン注入法では、イオン化された不純物拡散成分が半導体基板の表面に打ち込まれる。CVD法では、リンやホウ素等の不純物拡散成分がドープされたケイ素酸化物等の酸化物膜をCVDにより半導体基板上に形成した後、酸化物膜を備える半導体基板を電気炉等により加熱して、不純物拡散成分を酸化物膜から半導体基板に拡散される。
特開平06−318559号公報 国際公開第2014/064873号
しかし、特許文献1に記載されるようなイオン注入法では、半導体基板にB(ホウ素)のような軽イオンを注入する場合には基板の表面付近の領域に点欠陥や点欠陥クラスターが形成されやすく、Asのような重イオンを注入する場合には、基板表面付近の領域に非晶質領域が形成されやすい。例えば、半導体基板にイオン注入法により不純物拡散成分を拡散させて、CMOSイメージセンサーのようのCMOS素子を形成する場合、このような欠陥の発生が素子の性能の低下に直結してしまう。CMOSイメージセンサーにおいて、このような欠陥が生じると、白抜けと呼ばれる不具合が生じる。
また、半導体基板が、例えば、複数のソースのフィンと、複数のドレインのフィンと、それらのフィンに対して直交するゲートとを備える、Fin−FETと呼ばれるマルチゲート素子を形成するための立体構造のようなナノスケールの3次元構造を、その表面に有する場合、イオン注入法では、フィンやゲートの側面及び上面や、フィンとゲートとに囲まれた凹部の内表面全面に対する、均一なイオンの打ち込みが困難である。
そして、ナノスケールの3次元構造を有する半導体基板に、イオン注入法により不純物拡散成分を拡散させる場合、仮に、均一なイオンの打ち込みが出来たとしても、以下のような不具合がある。例えば、微細なフィンを有する立体パターンを備える半導体基板を用いてロジックLSIデバイス等を形成する場合、イオン注入によってシリコン等の基板材料の結晶が破壊されやすい。かかる結晶のダメージは、デバイスの特性のバラツキや、待機リーク電流の発生のような不具合を招くと考えられる。
また、特許文献2に記載されるようなCVD法を適用する場合、オーバーハング現象によって、フィンとゲートとに囲まれた凹部の内表面全面を、膜厚が均一な不純物拡散成分を含む酸化物膜で被覆することが困難であったり、フィンとゲートとに囲まれた凹部の開口部に堆積した酸化物により開口部が閉塞したりする問題がある。このように、イオン注入法やCVD法では、半導体基板の表面形状によっては、半導体基板に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることが困難である。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ナノメートルスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える半導体基板を用いる場合であっても、微小な空隙の内表面全面を含め、半導体基板の拡散剤組成物が塗布された箇所全体に、半導体基板での欠陥の発生を抑制しつつ、良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることができる半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、塗布型の拡散剤組成物からなる塗布膜を加熱して不純物拡散成分を半導体基板に拡散させる場合、イオン注入法で生じるような半導体基板での欠陥の発生を抑制できることに着目し、検討を開始した。その結果、本発明者らは、不純物拡散成分(A)と加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)とを含む拡散剤組成物を使用すれば、当該拡散剤組成物を用いて半導体基板表面に30nm以下の膜厚の塗布膜を形成しても、塗布膜から半導体基板に、不純物拡散成分を良好且つ均一に拡散させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、半導体基板上に拡散剤組成物を塗布して30nm以下の膜厚の塗布膜を形成する塗布工程と、
拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)を半導体基板に拡散させる、拡散工程と、を含み、
前記拡散剤組成物が、不純物拡散成分(A)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)と、を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本発明によれば、ナノメートルスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える半導体基板を用いる場合であっても、微小な空隙の内表面全面を含め、半導体基板の拡散剤組成物が塗布された箇所全体に、半導体基板での欠陥の発生を抑制しつつ、良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることができる半導体基板の製造方法を提供することができる。
本発明にかかる半導体基板の製造方法は、半導体基板上に拡散剤組成物を塗布して30nm以下の膜厚の塗布膜を形成する塗布工程と、拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)を半導体基板に拡散させる、拡散工程と、を含む。拡散剤組成物は、不純物拡散成分(A)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)とを含む。以下、塗布工程、及び拡散工程について順に説明する。
≪塗布工程≫
塗布工程では、半導体基板上に拡散剤組成物を塗布して30nm以下の膜厚の塗布膜を形成する。以下、塗布工程について、拡散剤組成物、半導体基板、塗布方法の順に説明する。
<拡散剤組成物>
拡散剤組成物としては、不純物拡散成分(A)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)とを含む。本明細書においてシラノール基を生成し得るSi化合物(B)を、加水分解性シラン化合物(B)とも記す。以下、拡散剤組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
〔不純物拡散成分(A)〕
不純物拡散成分(A)は、従来から半導体基板へのドーピングに用いられている成分であれば特に限定されず、n型ドーパントであっても、p型ドーパントであってもよい。n型ドーパントとしては、リン、ヒ素、及びアンチモン等の単体、並びにこれらの元素を含む化合物が挙げられる。p型ドーパントとしては、ホウ素、ガリウム、インジウム、及びアルミニウム等の単体、並びにこれらの元素を含む化合物が挙げられる。
不純物拡散成分(A)としては、入手の容易性や取扱いが容易であることから、リン化合物、ホウ素化合物、又はヒ素化合物が好ましい。好ましいリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ジ亜リン酸、ポリリン酸、及び五酸化二リンや、亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、亜リン酸トリス(トリアルキルシリル)、及びリン酸トリス(トリアルキルシリル)等が挙げられる。好ましいホウ素化合物としては、ホウ酸、メタホウ酸、ボロン酸、過ホウ酸、次ホウ酸、及び三酸化二ホウ素や、ホウ酸トリアルキルが挙げられる。好ましいヒ素化合物としては、ヒ酸、及びヒ酸トリアルキルが挙げられる。
リン化合物としては、亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、亜リン酸トリス(トリアルキルシリル)、及びリン酸トリス(トリアルキルシリル)が好ましく、その中でもリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、及び亜リン酸トリス(トリメトキシシリル)が好ましく、リン酸トリメチル、亜リン酸トリメチル、及びリン酸トリス(トリメチルシリル)がより好ましく、リン酸トリメチルが特に好ましい。
ホウ素化合物としては、トリメトキシホウ素、トリエトキシホウ素、トリメチルホウ素、及びトリエチルホウ素が好ましい。
ヒ素化合物としては、ヒ酸、トリエトキシヒ素、及びトリ−n−ブトキシヒ素が好ましい。
拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は特に限定されない。拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は、不純物拡散成分(A)中に含まれる、リン、ヒ素、アンチモン、ホウ素、ガリウム、インジウム、及びアルミニウム等の半導体基板中でドーパントしての作用を奏する元素の量(モル)が、加水分解性シラン化合物(B)に含まれるSiのモル数の0.01〜5倍となる量が好ましく、0.05〜3倍となる量がより好ましい。
〔加水分解性シラン化合物(B)〕
拡散剤組成物は、加水分解性シラン化合物(B)を含有する。このため、拡散剤組成物を半導体基板に塗布して薄膜を形成すると、加水分解性シラン化合物が加水分解縮合して、塗布膜内にケイ素酸化物系の極薄い膜が形成される。塗布膜内に、ケイ素酸化物系の極薄い膜が形成される場合、前述の不純物拡散成分(A)の基板外への外部拡散が抑制され、拡散剤組成物からなる膜が薄膜であっても、良好且つ均一に半導体基板に不純物拡散成分(A)が拡散される。
加水分解性シラン化合物(B)は、加水分解により水酸基を生成させ、且つSi原子に結合する官能基を有する。加水分解により水酸基を生成させる官能基としては、アルコキシ基、イソシアネート基、ジメチルアミノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜5の、直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びn−ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
加水分解により水酸基を生成させる官能基としては、速やかに加水分解されやすいことと、加水分解性シラン化合物(B)の取り扱い性や入手の容易性の点から、イソシアネート基、及び炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、及びイソシアネート基がより好ましい。
炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基を有する加水分解性シラン化合物(B)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−n−ペンチルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、モノメトキシトリエトキシシラン、トリメトキシモノ−n−プロポキシシラン、ジメトキシジ−n−プロポキシラン、モノメトキシトリ−n−プロポキシシラン、トリメトキシモノ−n−ブトキシシラン、ジメトキシジ−n−ブトキシシラン、モノメトキトリ−n−トリブトキシシラン、トリメトキシモノ−n−ペンチルオキシシラン、ジメトキシジ−n−ペンチルオキシシラン、モノメトキシトリ−n−ペンチルオキシシラン、トリエトキシモノ−n−プロポキシシラン、ジエトキシジ−n−プロポキシシラン、モノエトキシトリ−n−プロポキシシラン、トリエトキシモノ−n−ブトキシシラン、ジエトキシジ−n−ブトキシシラン、モノエトキシトリ−n−ブトキシシラン、トリエトキシモノ−n−ペンチルオキシシラン、ジエトキシジ−n−ペンチルオキシシラン、モノエトキシトリ−n−ペンチルオキシシラン、トリ−n−プロポキシモノ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロポキシジ−n−ブトキシシラン、モノ−n−プロポキシトリ−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロポキシモノ−n−ペンチルオキシシラン、ジ−n−プロポキシジ−n−ペンチルオキシシラン、モノ−n−プロポキシトリ−n−ペンチルオキシシラン、トリ−n−ブトキシモノ−n−ペンチルオキシシラン、ジ−n−ブトキシジ−n−ペンチルオキシシラン、モノ−n−ブトキシトリ−n−ペンチルオキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−n−ペンチルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、及びエチルトリ−n−ペンチルオキシシランが挙げられる。これらの加水分解性シラン化合物(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記のアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物も加水分解性シラン化合物(B)として使用できる。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、及びエチルトリエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシランが特に好ましい。
イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)のとしては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
4−nSi(NCO)・・・(1)
(式(1)中、Rは炭化水素基であり、nは3又は4の整数である。)
式(1)中のRとしての炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rとしては、炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素原子数1〜12の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜12のアラルキル基が好ましい。
炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−シクロヘプチル基、n−オクチル基、n−シクロオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、及びn−ドデシル基が挙げられる。
炭素原子数1〜12の芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、及びビフェニリル基が挙げられる。
炭素原子数1〜12のアラルキル基の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−α−ナフチルエチル基、及び2−β−ナフチルエチル基が挙げられる。
以上説明した炭化水素基の中では、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1)で表される加水分解性シラン化合物(B)の中では、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、及びエチルトリイソシアネートシランが好ましく、テトライソシアネートシランがより好ましい。
なお、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)と、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基を有する加水分解性シラン化合物(B)とを併用することもできる。この場合、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)のモル数Xと、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基を有する加水分解性シラン化合物(B)のモル数Yとの比率X/Yは、1/99〜99/1が好ましく、50/50〜95/5がより好ましく、60/40〜90/10が特に好ましい。
拡散剤組成物中の加水分解性シラン化合物(B)の含有量は、Siの濃度として、0.001〜3.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。拡散剤組成物がこのような濃度で加水分解性シラン化合物(B)を含有することにより、拡散剤組成物を用いて形成された薄い塗布膜からの不純物拡散成分(A)の外部拡散を良好に抑制し、不純物拡散成分を良好且つ均一に半導体基板に拡散させることができる。
〔有機溶剤(S)〕
拡散剤組成物は、通常、薄膜の塗布膜を形成できるように、溶媒として有機溶剤(S)を含む。有機溶剤(S)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
また、拡散剤組成物は、加水分解性シラン化合物(B)を含むため、実質的に水を含まないのが好ましい。拡散剤組成物中が実質的に水を含まないとは、加水分解性シラン化合物(B)が本発明の目的を阻害する程度まで加水分解されてしまう量の水を、拡散剤組成物が含有しないことを意味する。
有機溶剤(S)の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類のモノエーテル;ジイソペンチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、及びパーフルオロテトラヒドロフラン等のモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレンエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコール類の鎖状ジエーテル類;1,4−ジオキサン等の環状ジエーテル類;1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、3−ペンタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、及びイソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、及びイソプロピル−3−メトキシプロピオネート、プロピレンカーボネート、及びγ−ブチロラクトン等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の活性水素原子を持たないアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、リモネン、及びピネン等のハロゲンを含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1−メチルプロピルベンゼン、2−メチルプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、及びジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、及び2−フェノキシエタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。なお、上記の好ましい有機溶剤(S)の例示において、エーテル結合とエステル結合とを含む有機溶剤はエステル類に分類される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
拡散剤組成物が加水分解性シラン化合物(B)を含むため、有機溶剤(S)は、加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たないものが好ましく使用される。特に加水分解性シラン化合物(B)がイソシアネート基を有する場合、加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たない有機溶剤(S)を用いるのが好ましい。
加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基には、加水分解により水酸基を生成し得る基と直接反応する官能基と、加水分解により生じる水酸基(シラノール基)と反応する官能基との双方が含まれる。加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たない有機溶剤の好適な例としては、上記の有機溶剤(S)の具体例のうち、モノエーテル類、鎖状ジエーテル類、環状ジエーテル類、ケトン類、エステル類、活性水素原子を持たないアミド系溶剤、スルホキシド類、ハロゲンを含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤、及び芳香族炭化水素系溶剤の具体例として列挙された有機溶剤が挙げられる。
〔その他の成分〕
拡散剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。また、拡散剤組成物は、塗布性や、製膜性を改良する目的でバインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては種々の樹脂を用いることができ、アクリル樹脂が好ましい。
<半導体基板>
半導体基板としては、従来から不純物拡散成分を拡散させる対象として用いられている種々の基板を特に制限なく用いることができる。半導体基板としては、典型的にはシリコン基板が用いられる。
半導体基板は、立体構造を拡散剤組成物が塗布される面上に有していてもよい。本発明によれば、半導体基板がこのような立体構造、特に、ナノスケールの微小なパターンを備える立体構造をその表面に有する場合であっても、以上説明した拡散剤組成物を30nm以下の膜厚となるように塗布して形成された薄い塗布膜を半導体基板上に形成することによって、不純物拡散成分を半導体基板に対して良好且つ均一に拡散させることができる。
パターンの形状は特に限定されないが、典型的には、断面の形状が矩形である直線状又は曲線状のライン又は溝であったり、円柱や角柱を除いて形成されるホール形状が挙げられる。
半導体基板が、立体構造として平行な複数のラインが繰り返し配置されるパターンをその表面に備える場合、ライン間の幅としては60nm以下、40nm以下、又は20nm以下の幅に適用可能である。ラインの高さとしては、30nm以上、50nm以上、又は100nm以上の高さに適用可能である。
<塗布方法>
拡散剤組成物は、拡散剤組成物を用いて形成される塗布膜の膜厚が30nm以下、好ましくは0.2〜10nmとなるように半導体基板上に塗布される。拡散剤組成物を塗布する方法は、所望の膜厚の塗布膜を形成できる限り特に限定されない。拡散剤組成物の塗布方法としては、スピンコート法、インクジェット法、及びスプレー法が好ましい。なお、塗布膜の膜厚は、エリプソメーターを用いて測定された5点以上の膜厚の平均値である。
塗布膜の膜厚は、半導体基板の形状や、任意に設定される不純物拡散成分(A)の拡散の程度に応じて、30nm以下の任意の膜厚に適宜設定される。
拡散剤組成物を半導体基板表面に塗布した後に、半導体基板の表面を有機溶剤によりリンスするのも好ましい。塗布膜の形成後に、半導体基板の表面をリンスすることにより、塗布膜の膜厚をより均一にすることができる。特に、半導体基板がその表面に立体構造を有するものである場合、立体構造の底部(段差部分)で塗布膜の膜厚が厚くなりやすい。しかし、塗布膜の形成後に半導体基板の表面をリンスすることにより、塗布膜の膜厚を均一化できる。
リンスに用いる有機溶剤としては、拡散剤組成物が含有していてもよい前述の有機溶剤を用いることができる。
≪拡散工程≫
拡散工程では、拡散剤組成物を用いて半導体基板上に形成された薄い塗布膜中の不純物拡散成分(A)を半導体基板に拡散させる。不純物拡散成分(A)を半導体基板に拡散させる方法は、加熱により拡散剤組成物からなる塗布膜から不純物拡散成分(A)を拡散させる方法であれば特に限定されない。
典型的な方法としては、拡散剤組成物からなる塗布膜を備える半導体基板を電気炉等の加熱炉中で加熱する方法が挙げられる。この際、加熱条件は、所望する程度に不純物拡散成分が拡散される限り特に限定されない。
通常、酸化性気体の雰囲気下で塗布膜中の有機物を焼成除去した後に、不活性ガスの雰囲気下で半導体基板を加熱して、不純物拡散成分を半導体基板中に拡散させる。
有機物を焼成する際の加熱は、好ましくは300〜1000℃、より好ましくは400〜800℃程度の温度下において、好ましくは1〜120分、より好ましくは5〜60分間行われる。
不純物拡散成分を拡散させる際の加熱は、好ましくは800〜1400℃、より好ましくは800〜1200℃の温度下において、好ましくは1〜120分、より好ましくは5〜60分間行われる。
また、25℃/秒以上の昇温速度で半導体基板を速やかに、所定の拡散温度まで昇温させることができる場合、拡散温度の保持時間は、30秒以下、10秒以下、又は1秒未満のようなごく短時間であってもよい。この場合、半導体基板表面の浅い領域において、高濃度で不純物拡散成分を拡散させやすい。
以上説明した本発明にかかる方法によれば、ナノメートルスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える半導体基板を用いる場合であっても、半導体基板での欠陥の発生を抑制しつつ、半導体基板に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることができる。
このため、本発明にかかる方法は、微小な立体的な構造を有するマルチゲート素子の製造に好適に適用できる。本発明にかかる方法は、不純物拡散成分の拡散時の半導体基板での欠陥の発生を抑制できるので、特に、CMOSイメージセンサーのようのCMOS素子や、ロジックLSIデバイス等の製造に好適に適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜12〕
表1に記載の種類の、不純物拡散成分((A)成分)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物((B)成分)とを、表1に記載される量で、表1に記載される有機溶剤に溶解させて、各実施例で用いた拡散剤組成物を得た。
表1に記載される(A)成分、(B)成分及び有機溶剤は、以下の通りである。
((A)成分)
A1:リン酸トリメチル
A2:リン酸トリス(トリメチルシリル)
A3:五酸化二リン(エタノール溶液、濃度20質量%)
((B)成分)
B1:テトライソシアネートシラン
B2:テトラエトキシシラン
(有機溶剤)
S1:酢酸ブチル
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
平坦な表面を備えるシリコン基板(6インチ、P型、シート抵抗値150−160Ω/sq.)の表面に、スピンコーターを用いて各実施例で用いる拡散剤組成部を塗布した。表2に、リンス有りと記載されている実施例については、塗布膜の形成から20秒後に、酢酸ブチルによるシリコン基板表面のリンスを行った。
塗布膜の形成後、以下の方法に従って、不純物拡散成分の拡散処理を行った。
まず、シリコン基板を炉内に設置した後、酸素雰囲気下において、塗布膜を備えるシリコン基板を550℃で30分間保持して、シリコン基板表面の有機成分を焼成除去した。次いで、雰囲気を窒素雰囲気に切り替え、550℃から1000℃まで90分かけて炉内温度を上げた。1000℃到達後、表2に記載の拡散時間(分)の間、同温度を保持して、不純物拡散成分のシリコン基板への拡散を行った。拡散処理終了後、1000℃から700℃まで30分かけて炉内温度を下げた。700℃を30分間保持した後、炉内からシリコン基板を取り出した。
炉内からとりだされたシリコン基板について、25点のシート抵抗値を測定し、シート抵抗値の平均値を求めた。また、拡散処理後のシリコン基板表面の半導体タイプ(P型又はN型)を、P/Nタイプチェッカー(ナプソン株式会社製、PN−12α)により確認した。不純物拡散処理後のシート抵抗値の平均値と、シリコン基板表面の半導体タイプとを表2に記す。
Figure 2017011252
Figure 2017011252
表2によれば、実施例1〜12では、シリコン基板のシート抵抗値が、不純物拡散成分の拡散によって、良好に変化するとともに、シリコン基板表面がN型化していることが分かる。つまり、実施例1〜12から、表1に記載の組成の拡散剤組成物を用いる場合、半導体基板表面に形成される拡散剤組成物からなる塗布膜の膜厚が30nm以下であっても、不純物拡散成分を半導体基板に良好且つ均一に拡散させることができることが分かる。
そうすると、上記の実施例1〜12は平坦な基板を用いて行われた試験ではあるが、上記実施例から、表1に記載されるような拡散剤組成物を用いる場合、ナノメートルスケールのパターンを有する半導体基板を用いる場合でも、微細な空隙を含む基板表面を膜厚の均一な拡散剤組成物からなる塗布膜で被覆することにより、半導体基板に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散できることが分かる。
〔実施例13及び14〕
それぞれ断面形状が矩形である、幅100nm高さ100nmのラインがライン間の間隔60nmで繰り返し配置されたラインアンドスペース構造をその表面に有するシリコン基板上に、実施例1で用いた拡散剤組成物を塗布して、膜厚1.5nmの塗布膜を形成した。塗布膜形成後、実施例13では、シリコン基板表面を酢酸ブチルでリンスし、実施例14ではリンスを行わなかった。
塗布膜形成後のシリコン基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。SEM観察の結果、実施例13及び実施例14のいずれもほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成されていることが分かった。しかし、リンスを行わなかった実施例14では、スペースの底部のコーナーで塗布膜の膜厚が厚くなり、底部のコーナーにエッジが観察されなかった。他方、リンスを行った実施例13では、スペースの底部のコーナーにおいてエッジが明確に観察され、スペース部分の表面でも塗布膜の膜厚が均一であることが分かった。つまり、塗布膜形成後にリンスを行うことにより、塗布膜の膜厚をより均一にすることができる。
〔実施例15〜18〕
実施例15及び16では、実施例8で用いた拡散剤組成物を用いた。実施例17及び18では、実施例12で用いた拡散剤組成物を用いた。実施例13及び14と同様に、それぞれ断面形状が矩形である、幅100nm高さ100nmのラインがライン間の間隔60nmで繰り返し配置されたラインアンドスペース構造をその表面に有するシリコン基板上に塗布膜を形成した。塗布膜形成後、実施例15ではプロピレングリコールモノメチルエーテルで基板表面をリンスし、実施例17では酢酸ブチルで基板表面をリンスした。実施例16及び18でリンスを行わなかった。
塗布膜形成後のシリコン基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。SEM観察の結果、実施例16では、膜厚18.6nmのほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成された。実施例15では、膜厚0.6nmのほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成された。実施例18では、膜厚1.6nmのほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成された。実施例17では、膜厚0.6nmのほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成された。
しかし、リンスを行わなかった実施例16及び18では、スペースの底部のコーナーで塗布膜の膜厚が厚くなり、底部のコーナーにエッジが観察されなかった。他方、リンスを行った実施例15及び17では、スペースの底部のコーナーにおいてエッジが明確に観察され、スペース部分の表面でも塗布膜の膜厚が均一であることが分かった。
〔実施例19〜48〕
表3に記載の種類の、不純物拡散成分((A)成分)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物((B)成分)とを、表3に記載される量で、表3に記載される有機溶剤に溶解させて、各実施例で用いた拡散剤組成物を得た。
表3に記載される(A)成分、(B)成分及び有機溶剤は、以下の通りである。
((A)成分)
A4:ヒ酸(エタノール溶液、濃度50質量%)
A5:トリ−n−ブトキシヒ素
((B)成分)
B1:テトライソシアネートシラン
B2:テトラエトキシシラン
(有機溶剤)
S1:酢酸ブチル
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
平坦な表面を備えるシリコン基板(4インチ、P型、シート抵抗値180Ω/sq.)の表面に、スピンコーターを用いて各実施例で用いる拡散剤組成部を塗布した。表4に、リンス有りと記載されている実施例については、塗布膜の形成から20秒後に、酢酸ブチルによるシリコン基板表面のリンスを行った。
塗布膜の形成後、以下の方法に従って、不純物拡散成分の拡散処理を行った。
まず、ホットプレート上で塗布膜をベークした。次いで、シリコン基板を、内温800℃、窒素雰囲気である加熱炉内に載置した後、昇温速度10℃/分で炉内温度を表4に記載の拡散処理温度まで上げた。所定の拡散処理温度で、表4に記載の時間(分)拡散処理を行った後、700℃まで約30分かけて炉内温度を下げた。700℃を30分間保持した後、炉内からシリコン基板を取り出した。
炉内からとりだされたシリコン基板について、25点のシート抵抗値を測定し、シート抵抗値の平均値を求めた。また、拡散処理後のシリコン基板表面の半導体タイプ(P型又はN型)を、P/Nタイプチェッカー(ナプソン株式会社製、PN−12α)により確認した。不純物拡散処理後のシート抵抗値の平均値と、シリコン基板表面の半導体タイプとを表4に記す。
Figure 2017011252
Figure 2017011252
表4によれば、実施例19〜48では、シリコン基板のシート抵抗値が、不純物拡散成分の拡散によって、良好に変化するとともに、シリコン基板表面がN型化していることが分かる。つまり、実施例19〜48から、表3に記載の組成の拡散剤組成物を用いる場合、半導体基板表面に形成される拡散剤組成物からなる塗布膜の膜厚が30nm以下であっても、不純物拡散成分を半導体基板に良好且つ均一に拡散させることができることが分かる。
そうすると、上記の実施例19〜48は平坦な基板を用いて行われた試験ではあるが、上記実施例から、表3に記載されるような拡散剤組成物を用いる場合、ナノメートルスケールのパターンを有する半導体基板を用いる場合でも、微細な空隙を含む基板表面を膜厚の均一な拡散剤組成物からなる塗布膜で被覆することにより、半導体基板に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散できることが分かる。
〔実施例49及び50〕
それぞれ断面形状が矩形である、幅100nm高さ100nmのラインがライン間の間隔60nmで繰り返し配置されたラインアンドスペース構造をその表面に有するシリコン基板上に、実施例31で用いた拡散剤組成物を塗布して、膜厚1.5nmの塗布膜を形成した。塗布膜形成後、実施例49では、シリコン基板表面を酢酸ブチルでリンスし、実施例50ではリンスを行わなかった。
塗布膜形成後のシリコン基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。SEM観察の結果、実施例49及び実施例50のいずれもほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成されていることが分かった。しかし、リンスを行わなかった実施例50では、スペースの底部のコーナーで塗布膜の膜厚が厚くなり、底部のコーナーにエッジが観察されなかった。他方、リンスを行った実施例49では、スペースの底部のコーナーにおいてエッジが明確に観察され、スペース部分の表面でも塗布膜の膜厚が均一であることが分かった。つまり、塗布膜形成後にリンスを行うことにより、塗布膜の膜厚をより均一にすることができる。
〔実施例51〕
不純物拡散成分((A)成分)として、A5:トリ−n−ブトキシヒ素を用いた。加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物((B)成分)として、下記のB1及びB2を用いた。
((B)成分)
B1:テトライソシアネートシラン
B2:テトラエトキシシラン
トリ−n−ブトキシヒ素と、テトライソシアネートシランと、テトラエトキシシランとを、各成分の濃度が以下の濃度となるように、酢酸ブチルに溶解させて拡散剤組成物を得た。
<各成分の濃度>
(A5)トリ−n−ブトキシヒ素:濃度0.24質量%
(B1)テトライソシアネートシラン:濃度0.28質量%
(B2)テトラエトキシシラン:濃度0.075質量%
平坦な表面を備えるシリコン基板(6インチ、P型、シート抵抗値160Ω/sq.)の表面に、スピンコーターを用いて上述の拡散剤組成部を塗布し、膜厚5.6nmの塗布膜を形成した。
塗布膜の形成後、以下の方法に従って、不純物拡散成分の拡散処理を行った。
まず、ホットプレート上で塗布膜をベークした。次いで、アルバック社製のラピッドサーマルアニール装置(MILA−3000、ランプアニール装置)を用いて、流量1L/mの窒素雰囲気下において昇温速度25℃/秒の条件で加熱を行い、拡散温度1000℃、保持時間5秒の条件で拡散を行った。保持時間の始点は、基板の温度が所定の拡散温度に達した時点である。拡散の終了後、半導体基板を室温まで急速に冷却した。
不純物拡散処理が施された基板について、シート抵抗値を測定したところ、368.6(Ω/sq.)であった。また、四重極型二次イオン質量分析(Q−SIMS)装置を用いて、As面濃度(atoms/cm)を測定したところ、3.9E+14(atom/cm)であった。
上記の結果によれば、(B)成分として、アルコキシシラン化合物と、イソシアネートシラン化合物とを併用しても、30nm以下の膜厚の拡散剤組成物の薄膜から、シリコン基板の表面に良好に不純物拡散成分を拡散できることが分かる。
また、拡散処理時の所定の拡散温度を保持する時間が、5秒のようなごく短い時間であっても、良好に不純物拡散成分が拡散することが分かる。
なお、Q−SIMS装置を用いて、拡散深さと拡散後のAs量(atoms/cc)との関係を測定したところ、基板表面から40nmの深さにおいてAs量1.0E+17(atoms/cc)と、Asが高濃度で拡散していることが分かった。
つまり、本願発明にかかる方法によれば、基板表面の浅い領域において不純物拡散成分を高濃度で拡散させることができる。
〔実施例52〕
不純物拡散成分((A)成分)として、A6:トリメトキシホウ素を用いた。加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物((B)成分)として、下記のB1及びB2を用いた。
((B)成分)
B1:テトライソシアネートシラン
B2:テトラエトキシシラン
トリメトキシホウ素と、テトライソシアネートシランと、テトラエトキシシランとを、各成分の濃度が以下の濃度となるように、酢酸ブチルに溶解させて拡散剤組成物を得た。
<各成分の濃度>
(A6)トリメトキシホウ素:濃度0.72質量%
(B1)テトライソシアネートシラン:濃度0.734質量%
(B2)テトラエトキシシラン:濃度0.334質量%
平坦な表面を備えるシリコン基板(6インチ、N型、シート抵抗値200Ω/sq.)の表面に、スピンコーターを用いて上述の拡散剤組成部を塗布し、膜厚11.8nmの塗布膜を形成した。
塗布膜の形成後、実施例51と同様に、不純物拡散成分の拡散処理を行った。
不純物拡散処理が施された基板について、シート抵抗値を測定したところ、1665(Ω/sq.)であった。また、四重極型二次イオン質量分析(Q−SIMS)装置を用いて、B(ホウ素)面濃度(atoms/cm)を測定したところ、2.0E+13(atom/cm)であった。
上記の結果によれば、(B)成分として、アルコキシシラン化合物と、イソシアネートシラン化合物とを併用しても、30nm以下の膜厚の拡散剤組成物の薄膜から、シリコン基板の表面に良好に不純物拡散成分を拡散できることが分かる。
また、不純物拡散成分としてホウ素化合物を用いても、5秒のようなごく短い時間の拡散処理により、良好に不純物拡散成分が拡散することが分かる。

Claims (6)

  1. 半導体基板上に拡散剤組成物を塗布して30nm以下の膜厚の塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)を前記半導体基板に拡散させる、拡散工程と、を含み、
    前記拡散剤組成物が、前記不純物拡散成分(A)と、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)と、を含む、半導体基板の製造方法。
  2. 前記Si化合物(B)が下式(1)表される化合物である、請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
    4−nSi(NCO)・・・(1)
    (式(1)中、Rは炭化水素基であり、nは3又は4の整数である。)
  3. 前記塗布膜の膜厚が0.2〜10nmである、請求項2に記載の半導体基板の製造方法。
  4. 前記半導体基板が、凸部と凹部とを備える立体構造を前記拡散剤組成物が塗布される面上に有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体基板の製造方法。
  5. 前記塗布膜を有機溶剤によりリンスするリンス工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体基板の製造方法。
  6. 半導体基板への不純物拡散に用いられる拡散剤組成物であって、
    不純物拡散成分(A)と、下式(1):
    4−nSi(NCO)・・・(1)
    (式(1)中、Rは炭化水素基であり、nは3又は4の整数である。)
    で表される加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)と、を含む、拡散剤組成物。
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