JP2017010764A - 焦点距離を選択する方法、焦点距離を選択する装置及び透過型電子顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過型電子顕微鏡像の焦点距離を容易に選択できる方法を提供する。【解決手段】透過型電子顕微鏡の焦点距離を求める方法は、異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、各コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する。【選択図】図4
Description
本発明は、焦点距離を選択する方法、焦点距離を選択する装置及び透過型電子顕微鏡に関する。
従来、物質の構造を解析するために透過型電子顕微鏡が用いられている。透過型電子顕微鏡は、収束させた電子線を試料に照射し、試料を透過した電子を検出して、原子の配列を高分解能で観察することができる。
精確な原子の配列を観察する上で、焦点距離を試料の位置と一致させて、正焦点に合わせる作業がある。透過型電子顕微鏡では、焦点距離を、主に対物レンズを用いて調整する。
図1は、従来例の正焦点を求める方法を説明する図である。
透過型電子顕微鏡では、電子線源(図示せず)から出力された電子線は、偏向コイルを用いて方位が調整された後、試料に照射される。試料を透過した電子線は、対物レンズを用いて検出器に結像される。なお、図1には、透過型電子顕微鏡の要部が示されており、実際には結像レンズ等の他の構成要素も配置され得る。焦点距離は、電磁レンズである対物レンズに供給する励磁電流を制御することにより調整される。
正焦点を決定する方法として、電子線を光軸Lに対して傾斜させて照射し、電子線の傾斜角度を変化させた時の検出器上の画像の変動を調べることがある。
図1において、実線で示す電子線と、一点鎖線で示す電子線とは、光軸Lに対して異なる傾斜角度を有する。実線で示す電子線及び一点鎖線で示す電子線それぞれは、偏向コイルを用いて、試料の同じ位置を透過するように制御されている。
図1(A)に示すアンダーフォーカスの場合には、検出器上で結像する電子線の位置は、実線で示す電子線と一点鎖線で示す電子線とでは異なるので、電子線の傾斜角度を変化させた時の検出器上の画像は変動する。
図1(B)に示すジャストーフォーカス(正焦点)の場合には、検出器上で結像する電子線の位置は、実線で示す電子線と一点鎖線で示す電子線とが一致するので、電子線の傾斜角度を変化させた時の検出器上の画像は変動しないか又は非常に小さい変動を示す。
図1(C)に示すオーバーフォーカスの場合には、検出器上で結像する電子線の位置は、実線で示す電子線と一点鎖線で示す電子線とでは異なるので、電子線の傾斜角度を変化させた時の検出器上の画像は変動する。
検出器上の画像の変動の程度は、例えば、パターンマッチング法を用いて定量化される。
このように、対物レンズの励磁電流を調整して焦点距離を変化させながら、取得された透過型電子顕微鏡像の画像の変動量を調べ、変動量が最小となる焦点距離を求めて、正焦点が決定される。
しかし、上述した方法では、光軸に対する傾斜角度を変化させた各電子線を試料の同じ位置に照射するように偏向コイルを精確に制御することが求められるので、焦点距離を決定する作業の手間が大きいという問題がある。
また、最適な焦点距離を決定する他の方法として、以下に説明する方法が提案されている。まず、対物レンズの焦点距離を変化させて、各焦点距離における透過型電子顕微鏡像を取得する。次に、各透過型電子顕微鏡像のエッジ評価値を求め、エッジ評価値の1次微分値における最小の極小値と最大の極大値の間を焦点距離の探索範囲に設定し、この探索範囲内におけるエッジ評価値の2次微分値の極大の位置を、最適合焦点距離とするものである。
しかし、この提案されている方法では、探索範囲内におけるエッジ評価値の2次微分値の極大の位置が、正焦点と一致しない場合もあるので、正焦点を選択できないおそれがある。
本明細書では、透過型電子顕微鏡の焦点距離を容易に選択できる方法を提案することを課題とする。
また、本明細書では、透過型電子顕微鏡の焦点距離を容易に選択できる装置を提案することを課題とする。
更に、本明細書では、容易に焦点距離を選択できる透過型電子顕微鏡を提案することを課題とする。
本明細書に開示する方法の一形態によれば、異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、各上記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、上記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、上記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、上記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する。
また、本明細書に開示する装置の一形態によれば、異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、各上記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、上記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、上記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、上記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する演算部と、を備える。
更に、本明細書に開示する透過型電子顕微鏡の一形態によれば、電子線を出力する電子源と、上記電子源から出力された電子線の焦点距離を調整する対物レンズと、上記対物レンズの焦点距離を制御する制御部と、試料を透過した電子線を検出する検出器と、異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、各上記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、上記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、上記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、上記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する演算部と、を有する焦点距離選択部と、を備える。
上述した本明細書に開示する方法の一形態によれば、容易に焦点距離を選択することができる。
また、上述した本明細書に開示する装置の一形態によれば、容易に焦点距離を選択することができる。
更に、上述した本明細書に開示する透過型電子顕微鏡の一形態によれば、容易に焦点距離を選択して、透過型電子顕微鏡像を取得できる。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
以下、本明細書で開示する透過型電子顕微鏡の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図2は、本明細書に開示する透過型電子顕微鏡の一実施形態を示す図である。
本実施形態の透過型電子顕微鏡10は、試料Sの像を取得するにあたって、自動的に正焦点を求め、求めた正焦点を用いて試料の像を取得する。
透過型電子顕微鏡10は、電子線源11と、照射レンズ12と、偏向コイル13と、対物レンズ14と、結像レンズ15と、検出器16と、画像生成部17と、焦点距離選択部20と、制御部18を備える。
電子線源11は、電子線Eを出力する。照射レンズ12は、電子線Eを整形して、電子線の径を調整する。偏向コイル13は、電子線Eの方位を調整する。対物レンズ14は、電子線の焦点距離を調整する。結像レンズ15は、試料Sを通過した電子線が検出器16に結像する像の倍率を調整する。検出器16は、2次元状に配置された受光素子のアレイを有しており、このアレイを用いて電子線を検出し、検出した電子線強度を電気信号に変換して画像生成部17へ出力する。画像生成部17は、検出器16から入力した電気信号に基づいて、透過型電子顕微鏡像を生成し、生成した透過型電子顕微鏡像を焦点距離選択部20へ出力する。
焦点距離選択部20は、画像生成部17から入力した透過型電子顕微鏡像に基づいて、試料Sに対する正焦点を求め、求めた正焦点を制御部18へ出力する。
制御部18は、電子線源11及び偏向コイル13及び画像生成部17を制御する。また、制御部18は、電磁レンズである各レンズの励磁電流を制御して、レンズの倍率又は焦点距離を変更する。具体的には、制御部18は、焦点距離選択部20から入力した正焦点に基づいて励磁電流を決定、決定された励磁電流を対物レンズ14へ出力する。
以下、焦点距離選択部20について、更に説明する。
図3は、本実施形態の焦点距離選択部を説明する図である。
焦点距離選択部20は、演算部21と、記憶部22と、入力部23と、表示部24と、通信部25と有する。演算部21は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを実行することにより、焦点距離選択部20の各機能を実現する。所定のプログラムは、例えば通信部25を用いて、ネットワーク(図示しない)を介して記憶部22に記憶することができる。焦点距離選択部20は、通信部25を用いて、画像生成部17又は制御部18と通信する。入力部23は、ユーザよりも、処理に必要な情報等を入力する。表示部24は、演算部21が処理した結果を表示する。
次に、焦点距離選択部20の動作を、図4に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
まず、ステップS10において、制御部18は、異なる焦点距離において、試料Sの複数の透過型電子顕微鏡像を取得する。制御部18は、対物レンズ14の励磁電流を変化させながら、試料Sに対して、3つ以上の透過型電子顕微鏡像を取得する。画像生成部17は、生成した各透過型電子顕微鏡像を焦点距離選択部20へ出力する。焦点距離選択部20は、入力した各透過型電子顕微鏡像を、記憶部22に記憶する。
焦点距離の変化量は、例えば、−200nm〜+200nmの範囲にすることができる。焦点距離を変化する範囲は、正焦点を含む範囲となるように設定することが好ましい。正焦点を含むような焦点距離の範囲は、経験から知見され得る。
また、取得する透過型電子顕微鏡像の数は、20〜50の範囲であることが好ましい。透過型電子顕微鏡像の数の下限値を20とすることにより、正焦点を精度良く求めることができる。また、透過型電子顕微鏡像の数の上限値を50とすることにより、正焦点を求める時間を抑制することができる。
次に、ステップS12において、焦点距離選択部20は、記憶部22に記憶した各透過型電子顕微鏡像のコントラスト評価値を求める。コントラスト評価値は、各透過型電子顕微鏡像のコントラストを定量的に示す指標を意味する。
本実施形態では、コントラスト評価値Cは、以下の式(1)を用いて求められた。
ここで、iは透過型電子顕微鏡像のx方向の画素の番号を示し、jは透過型電子顕微鏡像のy方向の画素の番号を示し、Xmは、x方向の画素の最大値を示し、Yは、y方向の画素の最大値を示す。
式(1)の右辺の分子は、x方向及びy方向のそれぞれ隣り合う画素の輝度の差を全画素にわたって積算した値を意味する。式(1)の右辺の分母は、画像全体の輝度を積算した値を意味する。焦点距離が変化すると、像の輝度が変動する場合があるので、コントラスト評価値を、透過型電子顕微鏡像の全体の輝度で規格化することが好ましい。各像の輝度が大きく変動した場合、正焦点を正確に求めることができないおそれがある。なお、焦点距離を変化させて取得された各画像のコントラスト評価値の変化幅が所定の範囲に収まる場合には、コントラスト評価値を、透過型電子顕微鏡像の全体の輝度で規格化しなくてもよい。
コントラストが大きい透過型電子顕微鏡像では、コントラスト評価値は大きくなり、コントラストが小さい透過型電子顕微鏡像では、コントラスト評価値は小さくなる。
なお、コントラスト評価値は、隣り合う画素の輝度の差でなく、一個又は複数個おきの画素の輝度の差に基づいて求めてもよい。また、コントラスト評価値は、斜めに隣接する画素同士の輝度の差に基づいて求めてもよい。更に、コントラスト評価値は、x方向に隣接する画素の輝度の差、又は、y方向の隣接する画素の輝度の差の内の何れかに基づいて求めてもよい。
図5は、異なる焦点距離において取得した複数の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
図5は、上述したステップS10において取得した各透過型電子顕微鏡像を、透過型電子顕微鏡像を取得した焦点距離と、既知である正焦点との差である焦点ずれ量と共に示す。ステップS10では、焦点距離を、正焦点を中心にして560nmの幅で変化させている。即ち、焦点ずれ量を、−280nm〜280nmの範囲で変化させて、各透過型電子顕微鏡像を取得した。
透過型電子顕微像は、焦点距離が正焦点から僅かに変化すると、像のコントラストが大きくなる。図5に示す例では、焦点ずれ量0nmの像に対して、焦点ずれ量+24nm及び焦点ずれ量−24nmの像は、コントラストが大きくなり、像が鮮明になる。この現象は、正焦点の位置からオーバーフォーカス側へ焦点距離が変化しても、アンダーフォーカス側へ焦点距離が変化しても同じである。
更に、焦点距離が、オーバーフォーカス側又はアンダーフォーカス側へ変化すると、コントラストが小さくなる。図5に示す例では、焦点ずれ量+24nmの像に対して、焦点ずれ量+280nmの像は、コントラストが小さくなり、焦点ずれ量−24nmの像に対して、焦点ずれ量−280nmの像は、コントラストが小さくなる。
この現象は定性的にはジャストフォーカス(正焦点)では原子に相当する像が見えているが、わずかに焦点距離が変化すると原子に相当する像が少し大きくなることによりコントラストが大きくなる。更に、焦点距離が変化すると原子に相当する像も更に大きくなるので、原子に相当する各像が互いに重なり合うため、コントラストが小さくなるためと考えられる。
図6は、コントラスト評価値と焦点ずれ量との関係を示す図である。
図6は、上述したステップS10において取得した各透過型電子顕微鏡像に対して、各像のコントラスト評価値と焦点ずれ量との関係を示す。
透過型電子顕微鏡像のコントラスト評価値は、焦点ずれ量がゼロである正焦点において、極小を示す。焦点ずれ量が、正焦点から更に減少するように変化すると、コントラスト評価値は極大を示す。また、焦点ずれ量が、正焦点から更に増加するように変化すると、コントラスト評価値は極大を示す。
次に、ステップS14において、焦点距離選択部20は、各コントラスト評価値と焦点ずれ量との近似した関係を示す近似曲線を求める。近似曲線を求める方法として、例えば、スプライン補間法、ラグランジュ補間法又は最小二乗法を用いることができる。
図7は、3次スプライン補間法を用いて、コントラスト評価値と焦点ずれ量との近似した関係を示す近似曲線を示す図である。
次に、ステップS16において、焦点距離選択部20は、近似曲線の微分値(一次微分値)を求める。近似曲線の微分値がゼロとなる焦点ずれ量P1、P2及びP3が得られる。焦点ずれ量P1は、コントラスト評価値の最大値を示す。焦点ずれ量P3は、2番目に大きいコントラスト評価値を示す。
焦点ずれ量が、焦点ずれ量P1よりも小さいと、微分曲線の傾きは正を示す。焦点ずれ量P1と焦点ずれ量P2との間では、微分曲線の傾きは負を示す。焦点ずれ量P2と焦点ずれ量P3との間では、微分曲線の傾きは正を示す。焦点ずれ量が、焦点ずれ量P3よりも大きいと、微分曲線の傾きは負を示す。
次に、ステップS18において、焦点距離選択部20は、近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点ずれ量を選択する。隣接する3つの焦点ずれ量は、コントラスト評価値の最大値を示す焦点ずれ量を含むように選択される。そして、焦点距離選択部20は、3つの焦点ずれ量の内から、近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点ずれ量を選択する。
具体的には、焦点距離選択部20は、正焦点として、焦点ずれ量P2を選択する。
図5を参照して説明したように、正焦点では、その前後で焦点ずれ量を変化させると、コントラストが極小を示す。また、焦点ずれ量を増加する方向へ変化させて現れる近似曲線の微分値がゼロを示す点と、減少する方向へ変化させて現れる近似曲線の微分値がゼロを示す点の内、一方の点は、コントラスト評価値の最大値を示す。そこで、本実施形態では、上述したように隣接する3つの焦点ずれ量を選択する。
また、図7に示すように、経験上、正焦点に対応する焦点ずれ量P2と隣接する近似曲線の微分値がゼロを示す点の内、最大値のコントラスト評価値を示す焦点ずれ量ではない他方の焦点ずれ量P3は、2番目に大きいコントラスト評価値を示す場合が多い。そこで、ステップS18では、コントラスト評価値の最大値を示す焦点ずれ量を含むと共に、2番目に大きいコントラスト評価値を示す焦点ずれ量を含むように、近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点ずれ量を選択してもよい。このように3つの焦点ずれ量を選択することにより、より精度高く、正焦点を求めることができる。
図8は、コントラスト評価値と焦点ずれ量との近似した関係を示す他の例を示す。
図8に示す近似曲線は、コントラスト評価値の最大値を示す焦点ずれ量Q2を含む、近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点ずれ量Q1,Q2,Q3を有しており、図7と似たような近似曲線を示す。しかし、焦点ずれ量Q1と焦点ずれ量Q2との間では、微分曲線の傾きは正を示す。焦点ずれ量Q2と焦点ずれ量Q3との間では、微分曲線の傾きは負を示す。従って、焦点ずれ量Q2は正焦点には対応していないので、焦点距離選択部20は、焦点ずれ量Q2を選択しない。
実際の試料の測定では、正焦点は不明である。従って、図7及び図8に示す関係は、コントラスト評価値と焦点距離との関係となる。焦点距離選択部20は、選択した正焦点を、制御部18へ出力する。
次に、ステップS20において、制御部18は、対物レンズの励磁電流を正焦点となるように設定する。そして、試料Sの透過電子顕微鏡像が取得される。
上述した本実施形態の透過型電子顕微鏡によれば、焦点距離選択部が自動で容易に正焦点となる焦点距離を選択して、求められた正焦点を用いて、対物レンズの励磁電流を正焦点となるように設定して、試料Sの透過電子顕微鏡像を取得することができる。
本発明では、上述した実施形態の焦点距離を選択する方法、焦点距離を選択する装置及び透過型電子顕微鏡は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、焦点距離選択部は、制御部とは別に配置されていたが、焦点距離選択部は、制御部の一部に含まれていてもよい。この場合には、演算部と、記憶部と、入力部と、表示部と、通信部の内の一部又は全部は、制御部のものと共用されていてもよい。
また、上述した実施形態では、焦点距離選択部は、演算部と、記憶部と、入力部と、表示部と、通信部を有していたが、焦点距離選択部は、入力部と、表示部と、通信部を有していなくてもよい。
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
10 透過型電子顕微鏡
11 電子線源
12 照射レンズ
13 偏向コイル
14 対物レンズ
15 結像レンズ
16 検出器
17 画像生成部
18 制御部
20 焦点距離選択部
21 演算部
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
25 通信部
S 試料
11 電子線源
12 照射レンズ
13 偏向コイル
14 対物レンズ
15 結像レンズ
16 検出器
17 画像生成部
18 制御部
20 焦点距離選択部
21 演算部
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
25 通信部
S 試料
Claims (6)
- 異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、
各前記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、
前記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、前記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、前記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する方法。 - 前記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、前記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含むと共に、2番目に大きい前記コントラスト評価値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、前記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する請求項1に記載の方法。
- 前記コントラスト評価値を、透過型電子顕微鏡像の全体の輝度で規格化する請求項1又は2に記載の方法。
- 前記コントラスト評価値Cは以下の式を用いて表され、
- 異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、
各前記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、
前記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、前記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、前記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する演算部と、
を備える装置。 - 電子線を出力する電子源と、
前記電子源から出力された電子線の焦点距離を調整する対物レンズと、
前記対物レンズの焦点距離を制御する制御部と、
試料を透過した電子線を検出して検出する検出器と、
異なる焦点距離において取得した3つ以上の透過型電子顕微鏡像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された透過型電子顕微鏡像の各コントラスト評価値を求め、
各前記コントラスト評価値と焦点距離との近似した関係を示す近似曲線を求め、
前記近似曲線の微分値がゼロを示す隣接する3つの焦点距離であって、前記コントラスト評価値の最大値を示す焦点距離を含む3つの焦点距離の内から、前記近似曲線の微分値が負の値から正の値へ変化する中央の焦点距離を選択する演算部と、
を有する焦点距離選択部と、
を備える透過型電子顕微鏡。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108593690A (zh) * | 2018-04-19 | 2018-09-28 | 南京腾元软磁有限公司 | 一种基于透射电镜的样品表面结构成像方法 |
-
2015
- 2015-06-22 JP JP2015124879A patent/JP2017010764A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108593690A (zh) * | 2018-04-19 | 2018-09-28 | 南京腾元软磁有限公司 | 一种基于透射电镜的样品表面结构成像方法 |
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