JP2017008236A - シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温及び短時間で硬化でき、かつ優れた耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を有する硬化物が得られる、シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を提供する。【解決手段】シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)及び芳香族アミン化合物(C)を含む樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物及びその硬化物に関する。
シアン酸エステル化合物は、硬化によってトリアジン環を生じ、その高い耐熱性及び優れた電気特性から、構造用複合材料、接着剤、電気用絶縁材料、電気電子部品等、種々の機能性高分子材料の原料として幅広く用いられている。
しかしながら、トリアジン環を形成し、耐熱性(高いガラス転移温度)を発現させるためには、硬化時に、200℃を超える高い温度と1時間を超える長い時間が必要となる欠点がある。よって、生産性の観点から、低温かつ短時間での硬化が求められている。
また、シアン酸エステル化合物の硬化触媒としては、金属錯体や金属塩が使用されているが、絶縁材料向け用途では電気特性が損なわれる懸念がある。よって、絶縁性の観点から、金属錯体や金属塩を使わないことも求められている。
さらに、半導体封止材料の分野では、電力損失の低減(省エネルギー)を狙い、半導体素子をケイ素(Si)から炭化ケイ素(SiC)等のワイドギャップ半導体へ置き換える検討が盛んに行われている。SiC半導体はSi半導体よりも化学的に安定である為、200℃を超える高温動作が可能となり、装置として小型化も期待されている。これに伴い、封止材料に使用される機能性高分子材料を含む組成物へは、耐熱性(高いガラス転移温度)と共に接着強度も求められている。
シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を低温で硬化させ、かつ、耐熱性と接着強度を備えた硬化物が得られる例として、特定の構造を有したアミン化合物、分子内に2個以上のアミノ基を有するポリアミン化合物、有機ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物を反応させて得られる潜在性硬化物を使用することが提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1では、実際には、300℃の高温で硬化させた試料につきガラス転移温度を測定しており、また、300℃まで硬化温度を上げた場合でも、ガラス転移温度は120〜150℃であり、低温硬化と耐熱性(高いガラス転移温度)を両立しているとは言い難い。
シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を低温で硬化させ、かつ、耐熱性を備えた硬化物が得られる例として、シアネートエステル樹脂、無機充填材及び塩基性化合物を含む組成が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2における硬化時間は2〜10時間であり、短時間硬化とは言い難い。また、接着強度に関する記載は一切ない。
耐熱性と接着強度を備えた、シアン酸エステル化合物を含む硬化物が得られる例として、ノボラック型シアネート、フェノール化合物及びエポキシ化樹脂を含む組成が提案されている(特許文献3)。しかしながら、特許文献3では、実際には、ガラス転移温度の測定結果はなく、また、硬化条件は250℃と、低温硬化と耐熱性(高いガラス転移温度)を両立しているとは言い難い。
これまでのところ、シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を低温及び短時間で硬化し、かつ、耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を備える実用的なシアン酸エステル化合物を含む硬化物は得られていない。
本発明の課題は、低温及び短時間で硬化でき、かつ優れた耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を有する硬化物が得られる、シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を提供する。
本発明の課題は、低温及び短時間で硬化でき、かつ優れた耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を有する硬化物が得られる、シアン酸エステル化合物を含む樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、シアン酸エステル化合物、無機充填材と特定の芳香族アミン化合物とを使用した樹脂組成物が、低温かつ短時間で硬化でき、及びそのような樹脂組成物は、優れた耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を有する硬化物等を実現し得ることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の通りである。
1.シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)及び芳香族アミン化合物(C)を含む樹脂組成物。
2.前記シアン酸エステル化合物(A)が、下記一般式(1)で表される、1.に記載の樹脂組成物。
(式中、Ar1は、各々独立に芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Raは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Raにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはシアナト基の結合個数を表し、各々独立に1〜3の整数である。qはRaの結合個数を表し、Ar1の置換可能基数から(p+2)を引いた数を表す。tは平均繰り返し数を表し、0〜50の整数であり、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO2−)、或いは、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。)
3.上記一般式(1)中のXが、下記一般式(2)〜(13)で表される構造からなる群より選ばれる2価の連結基である、2.に記載の樹脂組成物。
(式中、Ar2は芳香環を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rb、Rc、Rf、及び、Rgは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及びReは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシ基のいずれかを示す。uは0〜5の整数を示す。)
(式中、Ar3はフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニレン基のいずれか一種から選択される。Ri、Rjは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基のいずれかを表す。vは0〜5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。)
(式中、wは4〜7の整数を示す。Rkは各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを示す。)
4.前記シアン酸エステル化合物(A)が、下記一般式(14)で表される、1.に記載の樹脂組成物。
(式中、Ar4は芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。R1は各々独立にメチレン基、メチレンオキシ基、メチレンオキシメチレン基又はオキシメチレン基を表し、これらが連結していてもよい。R2は一価の置換基を表し、各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R3は各々独立に水素原子、炭素数が1〜3のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチレン基を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。m及びnが異なる化合物の混合物であってもよい。各繰り返し単位の配列は任意である。lはシアナト基の結合個数を表し、1〜3の整数である。xはR2の結合個数を表し、Ar4の置換可能基数から(l+2)を引いた数を表す。yはR3の結合個数を表し、Ar4の置換可能基数から2を引いた数を表す。)
5.前記シアン酸エステル化合物の100℃における粘度が1Pa・s未満である、1.〜4.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
6.前記芳香族アミン化合物(C)が、下記一般式(21)で表されるものである、1.〜5.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(式中、Ar5は、各々独立に芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rzは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Rzにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Rzにおける置換基は任意の位置を選択できる。gはアミノ基の結合個数を表し、各々独立に1〜3の整数である。hはRzの結合個数を表し、Ar5の置換可能基数から(g+2)を引いた数を表す。iは平均繰り返し数を表し、0〜50の整数であり、iが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO2−)、或いは、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。)
7.前記芳香族アミン化合物(C)が、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン及びビス(4−アミノフェニル)メタンからなる群から選択される少なくとも1種以上である1.〜6.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
8.前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記無機充填材(B)の総量に対する前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記無機充填材(B)の含有割合が以下の関係:
前記シアン酸エステル化合物(A) 20〜50質量%
前記無機充填材(B) 50〜80質量%
を満たす、1.〜7.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
前記シアン酸エステル化合物(A) 20〜50質量%
前記無機充填材(B) 50〜80質量%
を満たす、1.〜7.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
9.前記芳香族アミン化合物(C)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)100質量部に対し、0.5〜15質量部である、1.〜8.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
10.マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群から選択される、少なくとも1種を更に含む、1.〜9.のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
11.1.〜10.のいずれか一項に記載の樹脂組成物を加熱硬化反応させることにより得られる、硬化物。
12.硬化物の厚さが2mm以下である、11.に記載の硬化物。
13.前記加熱硬化反応の温度が、120〜230℃である、12.に記載の硬化物。
14.前記加熱硬化反応の温度が、120〜220℃である、13.に記載の硬化物。
15.前記加熱硬化反応の反応時間が、30秒〜3時間である、11.〜14.のいずれか一項に記載の硬化物。
16.前記加熱硬化反応の反応時間が、45秒〜2時間である、15.に記載の硬化物。
17.1.〜10.のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布し、乾燥させてなる、構造材料用プリプレグ。
18.1.〜10.のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
19.1.〜10.のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、繊維強化複合材料。
20.1.〜10.のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
本発明は、シアン酸エステル化合物、無機充填材と特定の芳香族アミン化合物とを含んでなる樹脂組成物である。
また、本発明の別の態様においては、前記樹脂組成物を硬化させてなる硬化物、前記樹脂組成物を含んでなる封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤も提供される。
<樹脂組成物>
本発明による樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)と芳香族アミン化合物(C)とを含むことを特徴とするものである。この樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を含有していてもよい。
本発明による樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)と芳香族アミン化合物(C)とを含むことを特徴とするものである。この樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を含有していてもよい。
<シアン酸エステル化合物(A)>
本発明の樹脂組成物に含まれるシアン酸エステル化合物(A)は、シアナト基が少なくとも1個置換された芳香環を分子内に有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、下記式(1)又は(14)で表される。
(式中、Ar1は、各々独立に芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Raは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Raにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはシアナト基の結合個数を表し、各々独立に1〜3の整数である。qはRaの結合個数を表し、Ar1の置換可能基数から(p+2)を引いた数を表す。tは平均繰り返し数を表し、0〜50の整数であり、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO2−)、或いは、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。)
本発明の樹脂組成物に含まれるシアン酸エステル化合物(A)は、シアナト基が少なくとも1個置換された芳香環を分子内に有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、下記式(1)又は(14)で表される。
上記一般式(1)におけるAr1としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が例示されるが、これらに特に限定されない。
一般式(1)のRaにおけるアルキル基は、直鎖若しくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、Raにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(1)のXにおける2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等の芳香環を有する2価の有機基が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
一般式(1)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、−N−R−N−で表される基、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
また、Raにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(1)のXにおける2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等の芳香環を有する2価の有機基が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
一般式(1)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、−N−R−N−で表される基、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
また、一般式(1)中のXの有機基として具体的な構造は、下記一般式(2)〜(13)で表される2価の基も挙げられる。
(式中、Ar2は芳香環を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rb、Rc、Rf、及び、Rgは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及びReは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシ基のいずれかを示す。uは0〜5の整数を示す。)
(式中、Ar3はフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニレン基のいずれか一種から選択される。Ri、Rjは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基のいずれかを表す。vは0〜5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。)
(式中、wは4〜7の整数を示す。Rkは各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを示す。)
一般式(2)のAr2及び一般式(3)のAr3の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、2,4’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,3’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等が挙げられる。
一般式(2)のRb〜Rg及び一般式(3)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は一般式(1)のRaにおけるものと同義である。
一般式(2)のAr2及び一般式(3)のAr3の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、2,4’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,3’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等が挙げられる。
一般式(2)のRb〜Rg及び一般式(3)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は一般式(1)のRaにおけるものと同義である。
一般式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)の具体例としては、シアナトベンゼン、1−シアナト−2−、1−シアナト−3−、又は1−シアナト−4−メチルベンゼン、1−シアナト−2−、1−シアナト−3−、又は1−シアナト−4−メトキシベンゼン、1−シアナト−2,3−、1−シアナト−2,4−、1−シアナト−2,5−、1−シアナト−2,6−、1−シアナト−3,4−又は1−シアナト−3,5−ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2−(4−シアナトフェニル)−2−フェニルプロパン(4−α−クミルフェノールのシアネート)、1−シアナト−4−シクロヘキシルベンゼン、1−シアナト−4−ビニルベンゼン、1−シアナト−2−又は1−シアナト−3−クロロベンゼン、1−シアナト−2,6−ジクロロベンゼン、1−シアナト−2−メチル−3−クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1−シアナト−4−ニトロ−2−エチルベンゼン、1−シアナト−2−メトキシ−4−アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4−シアナトフェニル)スルフィド、1−シアナト−3−トリフルオロメチルベンゼン、4−シアナトビフェニル、1−シアナト−2−又は1−シアナト−4−アセチルベンゼン、4−シアナトベンズアルデヒド、4−シアナト安息香酸メチルエステル、4−シアナト安息香酸フェニルエステル、1−シアナト−4−アセトアミノベンゼン、4−シアナトベンゾフェノン、1−シアナト−2,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナト−2−tert−ブチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,4−ジメチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,3,4−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−5−メチルベンゼン、1−シアナト又は2−シアナトナフタレン、1−シアナト4−メトキシナフタレン、2−シアナト−6−メチルナフタレン、2−シアナト−7−メトキシナフタレン、2,2’−ジシアナト−1,1’−ビナフチル、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、2,3−、2,6−又は2,7−ジシアナトシナフタレン、2,2’−又は4,4’−ジシアナトビフェニル、4,4’−ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4’−又は4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3−ジメチルブタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)オクタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルペンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルペンタン、4,4−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,4−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−シアナト−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,3−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[ビス(4−シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4−ジシアナトベンゾフェノン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−プロペン−1−オン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、4−シアナト安息香酸−4−シアナトフェニルエステル(4−シアナトフェニル−4−シアナトベンゾエート)、ビス−(4−シアナトフェニル)カーボネート、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(o−クレゾールフタレインのシアネート)、9,9’−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−シアナトフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4−シアナトフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,1,2,2−テトラキス(4−シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4−シアナトフェニル)メタン、2,4,6−トリス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−6−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−3−シアナト−4−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナトフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5−ジメチル−4−シアナトベンジル)イソシアヌレート、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フタルイミジン、1−メチル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂(公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド化合物を、酸性溶液中で反応させたもの)、トリスフェノールノボラック樹脂(ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノールとを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フルオレンノボラック樹脂(フルオレノン化合物と9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フラン環含有フェノールノボラック樹脂(フルフラールとフェノールとを塩基性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビナフトールアラルキル樹脂、ナフトール−ジヒドロキシナフタレンアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂(公知の方法により、Ar2−(CH2Y)2で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物とを酸性触媒若しくは無触媒で反応させたもの、Ar2−(CH2OR)2で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物やAr2−(CH2OH)2で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの、又は、芳香族アルデヒド化合物、アラルキル化合物、フェノール化合物とを重縮合させたもの)、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂、ポリナフチレンエーテル構造を有するフェノール樹脂(公知の方法により、フェノール性ヒドロキシ基を1分子中に2つ以上有する多価ヒドロキシナフタレン化合物を、塩基性触媒の存在下に脱水縮合させたもの)等のフェノール樹脂を後述と同様の方法によりシアネート化したもの等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
上記一般式(14)におけるAr4としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が例示されるが、これらに特に限定されない。
一般式(14)のR2及びR3におけるアルキル基は、直鎖若しくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、一般式(14)のR2及びR3におけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(14)のR2及びR3におけるアルキル基は、直鎖若しくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、一般式(14)のR2及びR3におけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(14)で表されるシアン酸エステル化合物(A)の具体例としては、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)等のフェノール樹脂を後述と同様の方法によりシアネート化したもの等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのシアン酸エステル化合物は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記式(1)又は(14)で表されるシアン酸エステル化合物(A)の中でも、樹脂組成物の成形加工性、及び、高い耐熱性と接着強度を有する硬化物の得られ易さの観点から、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、9,9’−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、上述の各種ノボラック型シアン酸エステル化合物、上述の各種アラルキル型シアン酸エステル化合物、変性キシレンホルムアルデヒド樹脂のシアン酸エステル化合物及び変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂のシアン酸エステル化合物が好ましい。
前記シアン酸エステル化合物(A)を得る方法は特に限定されないが、対応する構造のフェノール化合物が有するヒドロキシ基をシアネート化することで得られる。シアネート化方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。具体的には、フェノール化合物とハロゲン化シアンを、溶媒中で、塩基性化合物存在下で反応させる方法、溶媒中、塩基の存在下で、ハロゲン化シアンが常に塩基より過剰に存在するようにして、フェノール化合物とハロゲン化シアンを反応させる方法(米国特許3553244号)や、塩基として3級アミンを用い、これをハロゲン化シアンよりも過剰に用いながら、溶媒の存在下、フェノール化合物に3級アミンを添加した後、ハロゲン化シアンを滴下する、或いは、ハロゲン化シアンと3級アミンを併注滴下する方法(特許3319061号公報)、連続プラグフロー方式で、フェノール化合物、トリアルキルアミン及びハロゲン化シアンを反応させる方法(特許3905559号公報)、フェノール化合物とハロゲン化シアンとを、tert−アミンの存在下、非水溶液中で反応させる際に副生するtert−アンモニウムハライドを、カチオン及びアニオン交換対で処理する方法(特許4055210号公報)、フェノール化合物に対して、水と分液可能な溶媒の存在下で、3級アミンとハロゲン化シアンとを同時に添加して反応させた後、水洗分液し、得られた溶液から2級若しくは3級アルコール類又は炭化水素の貧溶媒を用いて沈殿精製する方法(特許2991054号公報)、更には、フェノール化合物、ハロゲン化シアン、及び3級アミンを、水と有機溶媒との二相系溶媒中、酸性条件下で反応させる方法(特許5026727号公報)等により、シアン酸エステル化合物(A)を得ることができる。
前記シアン酸エステル化合物(A)の100℃における粘度は、樹脂組成物の成形加工性の観点から、1Pa・s未満であることが好ましく、0.7Pa.s未満であることがより好ましい。
樹脂組成物中におけるシアン酸エステル化合物(A)の含有量は、使用する化合物の種類に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。その中でも樹脂組成物の成形加工性及び硬化性並びにこれを硬化して得られる硬化物の耐熱性の観点から、シアン酸エステル化合物(A)の含有割合がシアン酸エステル化合物(A)及び無機充填材(B)の総量に対して20〜50質量%であることが好ましく、25〜50%であることがより好ましい。シアン酸エステル化合物(A)の含有割合が上記範囲内であることにより、低温かつ短時間成形可能な粘度を有する樹脂組成物が得られ易く、また、高い耐熱性と接着強度を有する硬化物が得られ易い傾向にある。
<無機充填材(B)>
本発明の樹脂組成物に含まれる無機充填材(B)は、特に限定されず、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、Eガラス、Aガラス、NEガラス、Cガラス、Lガラス、Dガラス、Sガラス、MガラスG20、ガラス短繊維(EガラスやTガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラスなどのガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス、シリカ、溶融シリカ等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、ギブサイト、ベーマイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩又は亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、モリブデン酸亜鉛、シリコーン複合パウダー、シリコーンレジンパウダー等が挙げられる。これらの無機充填材(B)は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらは、その形状(球状あるいは破砕型)、又は大きさの異なるものを混合して充填量を増して使用することもできる。
本発明の樹脂組成物に含まれる無機充填材(B)は、特に限定されず、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、Eガラス、Aガラス、NEガラス、Cガラス、Lガラス、Dガラス、Sガラス、MガラスG20、ガラス短繊維(EガラスやTガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラスなどのガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス、シリカ、溶融シリカ等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、ギブサイト、ベーマイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩又は亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、モリブデン酸亜鉛、シリコーン複合パウダー、シリコーンレジンパウダー等が挙げられる。これらの無機充填材(B)は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらは、その形状(球状あるいは破砕型)、又は大きさの異なるものを混合して充填量を増して使用することもできる。
無機充填材(B)は、さらに予め表面処理する処理剤で処理されたものであってよい。処理剤としては、官能基含有シラン類、環状オリゴシロキサン類、オルガノハロシラン類、及びアルキルシラザン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物を好適に使用することができる。これらのなかでも、オルガノハロシラン類及びアルキルシラザン類を用いて球状シリカの表面処理することは、シリカ表面を疎水化するのに好適であり、樹脂組成物中における球状シリカの分散性に優れる点において好ましい。
樹脂組成物中における無機充填材(B)の含有量は、使用する無機充填材(B)の種類に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。その中でも樹脂組成物の成形加工性及び硬化性並びにこれを硬化して得られる硬化物の耐熱性及び熱膨張性の観点から、無機充填材(B)の含有割合がシアン酸エステル化合物(A)及び無機充填材(B)の総量に対して50〜80質量%であることが好ましく、50〜75%であることがより好ましい。無機充填材(B)の含有割合が上記範囲内であることにより、低温かつ短時間成形可能な粘度を有する樹脂組成物が得られ易く、また、高い耐熱性と接着強度を有する硬化物が得られ易い傾向にある。
<芳香族アミン化合物(C)>
本発明の樹脂組成物に含まれる芳香族アミン化合物(C)は、少なくとも一つの水素原子がアミノ基に置換された芳香環を分子内に有する化合物であれば特に限定されない。その中でも、下記式(21)で表されるものが好ましい。
(式中、Ar5は、各々独立に芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rzは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Rzにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Rzにおける置換基は任意の位置を選択できる。gはアミノ基の結合個数を表し、各々独立に1〜3の整数である。hはRzの結合個数を表し、Ar5の置換可能基数から(g+2)を引いた数を表す。iは平均繰り返し数を表し、0〜50の整数であり、iが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO2−)、或いは、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。)
これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる芳香族アミン化合物(C)は、少なくとも一つの水素原子がアミノ基に置換された芳香環を分子内に有する化合物であれば特に限定されない。その中でも、下記式(21)で表されるものが好ましい。
これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記式(21)で表される芳香族アミン化合物(C)の中でも、低温及び短時間で硬化でき、かつ、硬化も制御できる観点から、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン及びビス(4−アミノフェニル)メタンが特に好ましい。
樹脂組成物中における芳香族アミン化合物(C)の含有量は、前記シアン酸エステル化合物(A)100質量部に対し、0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜12質量部であることがより好ましい。
芳香族アミン化合物(C)の含有量が上記範囲内であることにより、低温及び短時間で硬化でき、かつ、硬化も制御でき、また、貯蔵弾性率の低下を抑制し、高い耐熱性と接着強度を有する硬化物が得られ易い傾向にある。
芳香族アミン化合物(C)の含有量が上記範囲内であることにより、低温及び短時間で硬化でき、かつ、硬化も制御でき、また、貯蔵弾性率の低下を抑制し、高い耐熱性と接着強度を有する硬化物が得られ易い傾向にある。
<樹脂組成物における他の成分>
本発明の樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を含有していてもよい。
マレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることできる。マレイミド化合物としては、例えば、o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、o−フェニレンビスシトラコンイミド、m−フェニレンビスシトラコンイミド、p−フェニレンビスシトラコンイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2’−ビス[4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、又は上述のマレイミド化合物とアミン化合物とのプレポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのマレイミド化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂が好ましく、一般に公知のものを用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、重合性不飽和炭化水素基含有フェノール樹脂及び、水酸基含有シリコーン樹脂類が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、或いはこれらのハロゲン化物が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを用いることができる。オキセタン樹脂としては、例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3’−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、並びに、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタンの他、市販品として例えばOXT−101(東亞合成製商品名)及びOXT−121(東亞合成製商品名)が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物が好ましく、一般に公知のものを用いることができる。ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンであるBA−BXZ(小西化学製商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンであるBF−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンであるBS−BXZ(小西化学製商品名)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジンが挙げられる。これらのベンゾオキサジン化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものを用いることができる。重合可能な不飽和基を有する化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。これらの重合可能な不飽和基を有する化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。尚、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。
更に、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、溶媒を含有していてもよい。溶媒は、1種又は2種以上混合して使用することができる。
溶媒としては、一般に公知のものを用いることできる。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒、乳酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明における樹脂組成物は、上述したシアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)、芳香族アミン化合物(C)、並びに必要に応じて、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を、溶媒とともに、公知のミキサー、例えば高速ミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー、リボン型ブレンダー、ニーダー、インテンシブミキサー、万能ミキサー、ディゾルバー、スタティックミキサー、ロール、1軸押出混練機、2軸押出混練機等を用いて混合して得ることができる。混合の際は、加温することもできる。また、シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)、芳香族アミン化合物(C)、各種添加剤、溶媒の添加方法は、特に限定されるものではない。
本発明における樹脂組成物は、上述したシアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)、芳香族アミン化合物(C)、並びに必要に応じて、マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物等を、溶媒とともに、公知のミキサー、例えば高速ミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー、リボン型ブレンダー、ニーダー、インテンシブミキサー、万能ミキサー、ディゾルバー、スタティックミキサー、ロール、1軸押出混練機、2軸押出混練機等を用いて混合して得ることができる。混合の際は、加温することもできる。また、シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)、芳香族アミン化合物(C)、各種添加剤、溶媒の添加方法は、特に限定されるものではない。
本発明による樹脂組成物は、熱や光などによって硬化させることにより硬化物とすることができる。硬化物は、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、必要に応じて減圧することにより溶媒を除去した後、通常の条件で硬化させることにより得ることができる。
熱硬化の場合、硬化温度は、硬化をより進行させ、かつ硬化物の貯蔵弾性率の低下をより抑制する観点から、120〜230℃の範囲内が好ましく、120〜220℃の範囲内がより好ましい。
また、硬化時間は、硬化をより進行させ、かつ硬化物の貯蔵弾性率の低下をより抑制する観点から、30秒〜3時間の範囲内が好ましく、45秒〜2時間の範囲内がより好ましい。なお、硬化反応は2段階以上で行ってもよい。
上記硬化物の形状は、例えば、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等が挙げられる。硬化物の厚さは、硬化をより進行させ、かつ硬化物の貯蔵弾性率の低下をより抑制する観点から、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましい。
<樹脂組成物の用途>
本発明の封止用材料は、上記樹脂組成物を含むものであり、その樹脂組成物を用いて製造することができる。封止用材料の製造方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物と、封止用材料を製造する際に用いられることが知られている各種の添加剤又は溶媒等とを、公知のミキサーを用いて混合することで封止用材料を製造することができる。なお、混合の際の、樹脂組成物、各種添加剤及び溶媒の添加方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。
本発明の封止用材料は、上記樹脂組成物を含むものであり、その樹脂組成物を用いて製造することができる。封止用材料の製造方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物と、封止用材料を製造する際に用いられることが知られている各種の添加剤又は溶媒等とを、公知のミキサーを用いて混合することで封止用材料を製造することができる。なお、混合の際の、樹脂組成物、各種添加剤及び溶媒の添加方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。
本発明の構造材料用プリプレグは、基材と、その基材に含浸又は塗布した上記樹脂組成物とを含むものである。構造材料用プリプレグは、上記樹脂組成物を無機及び/又は有機繊維基材に含浸又は塗布し、更に必要に応じて乾燥することにより、製造することができる。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス織布及びガラス不織布等のガラス繊維基材などの無機繊維機材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維及び全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維及び全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布又は不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材が挙げられる。プリプレグに要求される性能、例えば、強度、吸水率及び熱膨張係数等に応じて、これら公知のものを適宜選択して用いることができる。また、上記ガラス繊維基材を構成するガラスは、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス及びHガラスが挙げられる。
構造材料用プリプレグを製造する方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。例えば、前述した樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、基材に樹脂ワニスを各種コーターにより塗布する方法、スプレーにより吹き付ける方法等を適用して、プリプレグを製造することができる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。例えば、樹脂組成物ワニスを無機及び/又は有機繊維基材に含浸させて乾燥し、Bステージ化してプリプレグを製造する方法が適用できる。
本発明の繊維強化複合材料は、上記樹脂組成物を含むものであり、その樹脂組成物及び強化繊維を用いて製造することができる。繊維強化複合材料に含まれる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、及び炭化ケイ素繊維などの繊維を用いることができる。強化繊維の形態や配列については、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング及びチョップド等から適宜選択できる。また、強化繊維の形態としてプリフォーム(強化繊維からなる織物基布を積層したもの、又はこれをステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物・編組物などの繊維構造物)を適用することもできる。これら繊維強化複合材料の製造方法として、具体的には、リキッド・コンポジット・モールディング法、レジン・フィルム・インフュージョン法、フィラメント・ワインディング法、ハンド・レイアップ法、及びプルトルージョン法が挙げられる。これらのなかでも、リキッド・コンポジット・モールディング法の一つであるレジン・トランスファー・モールディング法は、金属板、フォームコア及びハニカムコア等、プリフォーム以外の素材を成形型内に予めセットしておくことができることから、種々の用途に対応可能である。そのため、レジン・トランスファー・モールディング法は、比較的、形状が複雑な複合材料を短時間で大量生産する場合に好ましく用いられる。
本発明の接着剤は、上記樹脂組成物を含むものであり、その樹脂組成物を用いて製造することができる。接着剤の製造方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物と、接着剤を製造する際に用いられることが知られている各種の添加剤又は溶媒等とを、公知のミキサーを用いて混合することで接着剤を製造することができる。なお、混合の際の、樹脂組成物、各種添加剤及び溶媒の添加方法は、一般に公知のものを適宜適用でき、特に限定されない。
本発明による樹脂組成物は、優れた低熱膨張性、難燃性及び耐熱性を有するため、高機能性高分子材料として極めて有用であり、熱的、電気的及び機械物性に優れた材料として、電気絶縁材料、封止用材料、接着剤、積層材料、レジスト、ビルドアップ積層板材料のほか、土木・建築、電気・電子、自動車、鉄道、船舶、航空機、スポーツ用品、美術・工芸などの分野における固定材、構造部材、補強剤、型どり材等に好ましく使用される。これらの中でも、低熱膨張性、耐燃性及び高度の機械強度が要求される、電気絶縁材料、半導体封止材料、電子部品の接着剤、航空機構造部材、衛星構造部材及び鉄道車両構造部材に好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。
(合成例1)1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン(以下、ECNと略記する。)の合成
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成工業株式会社製)300g(OH基換算2.80mol)及びトリエチルアミン283.4g(2.80mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
塩化シアン275.4g(4.48mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.6モル)、ジクロロメタン642.6g、36%塩酸425.4g(4.20mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.5モル)、水2637.6gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を60分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン283.4g(2.80mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン283.4gに溶解させた溶液(溶液2)を30分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物E−CNを360g得た。得られたシアン酸エステル化合物ECNの構造をNMRにて同定した。1H−NMRスペクトルを図1に示す。
1H−NMR:(270MHz、クロロホルム−d、内部標準TMS)
δ(ppm)=1.62 (d,3H)、4.22(q,1H)、7.42(complex,8H)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成工業株式会社製)300g(OH基換算2.80mol)及びトリエチルアミン283.4g(2.80mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
塩化シアン275.4g(4.48mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.6モル)、ジクロロメタン642.6g、36%塩酸425.4g(4.20mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.5モル)、水2637.6gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を60分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン283.4g(2.80mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン283.4gに溶解させた溶液(溶液2)を30分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物E−CNを360g得た。得られたシアン酸エステル化合物ECNの構造をNMRにて同定した。1H−NMRスペクトルを図1に示す。
1H−NMR:(270MHz、クロロホルム−d、内部標準TMS)
δ(ppm)=1.62 (d,3H)、4.22(q,1H)、7.42(complex,8H)
(実施例1)
<樹脂組成物の調製及び硬化物の作成>
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物ECN100質量部と、シリカ(株式会社龍森製 商標MSR−25)233質量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)(以下、シランカップリング剤と略記する)1質量部と、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(東京化成工業株式会社製)(以下、3−DDSと略記する)10質量部とをセパラブルフラスコに投入し、真空ポンプで減圧下、120℃加熱、撹拌混合して組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、アルミニウム板、銅箔、フッ素コートステンレスで作成した型に流し込み、220℃にて120秒、32kg/cm2でのプレスにより硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
<樹脂組成物の調製及び硬化物の作成>
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物ECN100質量部と、シリカ(株式会社龍森製 商標MSR−25)233質量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)(以下、シランカップリング剤と略記する)1質量部と、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(東京化成工業株式会社製)(以下、3−DDSと略記する)10質量部とをセパラブルフラスコに投入し、真空ポンプで減圧下、120℃加熱、撹拌混合して組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、アルミニウム板、銅箔、フッ素コートステンレスで作成した型に流し込み、220℃にて120秒、32kg/cm2でのプレスにより硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
(実施例2)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(東京化成工業株式会社製)(以下、4−DDSと略記する)を10質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(東京化成工業株式会社製)(以下、4−DDSと略記する)を10質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。
(実施例3)
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物ECN100質量部と、シリカ(株式会社龍森製 商標MSR−25)233質量部と、シランカップリング剤1質量部とをセパラブルフラスコに投入し、真空ポンプで減圧下、120℃加熱、撹拌混合して組成物を得た。
得られた樹脂組成物にビス(4−アミノフェニル)メタン(東京化成株式会社製)(以下、DDMと略記する)5質量部を添加した直後に、アルミニウム板、銅箔、フッ素コートステンレスで作成した型に流し込み、200℃にて50秒、32kg/cm2でのプレスにより硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
合成例1で得られたシアン酸エステル化合物ECN100質量部と、シリカ(株式会社龍森製 商標MSR−25)233質量部と、シランカップリング剤1質量部とをセパラブルフラスコに投入し、真空ポンプで減圧下、120℃加熱、撹拌混合して組成物を得た。
得られた樹脂組成物にビス(4−アミノフェニル)メタン(東京化成株式会社製)(以下、DDMと略記する)5質量部を添加した直後に、アルミニウム板、銅箔、フッ素コートステンレスで作成した型に流し込み、200℃にて50秒、32kg/cm2でのプレスにより硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
(比較例1)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いず、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いず、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
(比較例2)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、商標「ニッカオクチック酸亜鉛」、金属含有量18%)を0.05質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、商標「ニッカオクチック酸亜鉛」、金属含有量18%)を0.05質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
(比較例3)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、商標「ニッカオクチック酸亜鉛」、金属含有量18%)を1質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化を制御することができず、硬化物を得ることができなかった。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、商標「ニッカオクチック酸亜鉛」、金属含有量18%)を1質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化を制御することができず、硬化物を得ることができなかった。
(比較例4)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)(以下、2E4MZと略記する)を10質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)(以下、2E4MZと略記する)を10質量部用い、プレス温度/時間を200℃/60秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化させたが、硬化物を得ることができなかった。
(比較例5)
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、2−(ジメチルアミノ)エタノール(東京化成工業株式会社製)(以下、DMAEと略記する)を10質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
実施例1において、3−DDSを10質量部用いる代わりに、2−(ジメチルアミノ)エタノール(東京化成工業株式会社製)(以下、DMAEと略記する)を10質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化させ、1辺100mm、厚さ0.8mmの硬化物を得た。
上記のようにして得られた各硬化物の特性を、以下の方法により評価した。
ガラス転移温度(Tg):JIS−K7244−3(JIS C6481)に準拠し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製 型番「AR2000」)を用い、開始温度30℃、終了温度400℃、昇温速度3℃/分、測定周波数1Hzの条件にて、硬化物の動的粘弾性を測定し、その際得られた損失正接(tanδ)の最大値をガラス転移温度とした。ガラス転移温度は耐熱性の指標である。
引張せん断接着強度:JIS−K6850に準拠し、精密万能試験機(島津製作所社製 オートグラフ型番「AG‐X plus」)を用い、幅25mm×長さ100mm×厚さ1.6mmの銅板(C1100P)の被着体を、各配合例の組成物を用いて、25mm×12.5mmで貼り合わせて固定し、各硬化条件で硬化させた後、引張速度0.5mm/分、25℃条件にて引っ張り、最大強度を接着面積(せん断面積)で割り、引張りせん断接着強度とした。
評価結果を表1に示す。
ガラス転移温度(Tg):JIS−K7244−3(JIS C6481)に準拠し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製 型番「AR2000」)を用い、開始温度30℃、終了温度400℃、昇温速度3℃/分、測定周波数1Hzの条件にて、硬化物の動的粘弾性を測定し、その際得られた損失正接(tanδ)の最大値をガラス転移温度とした。ガラス転移温度は耐熱性の指標である。
引張せん断接着強度:JIS−K6850に準拠し、精密万能試験機(島津製作所社製 オートグラフ型番「AG‐X plus」)を用い、幅25mm×長さ100mm×厚さ1.6mmの銅板(C1100P)の被着体を、各配合例の組成物を用いて、25mm×12.5mmで貼り合わせて固定し、各硬化条件で硬化させた後、引張速度0.5mm/分、25℃条件にて引っ張り、最大強度を接着面積(せん断面積)で割り、引張りせん断接着強度とした。
評価結果を表1に示す。
表1からも明らかなように、本発明のシアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)と特定の芳香族アミン化合物(C)とを使用した樹脂組成物は、低温かつ短時間で硬化でき、及びその硬化物は、優れた耐熱性(高いガラス転移温度)と接着強度を有することが確認された。
Claims (20)
- シアン酸エステル化合物(A)、無機充填材(B)及び芳香族アミン化合物(C)を含む樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル化合物(A)が、下記一般式(1)で表される、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記一般式(1)中のXが、下記一般式(2)〜(13)で表される構造からなる群より選ばれる2価の連結基である、請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル化合物(A)が、下記一般式(14)で表される、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル化合物(A)の100℃における粘度が1Pa・s未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記芳香族アミン化合物(C)が、下記一般式(21)で表されるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記芳香族アミン化合物(C)が、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン及びビス(4−アミノフェニル)メタンからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記無機充填材(B)の総量に対する前記シアン酸エステル化合物(A)及び前記無機充填材(B)の含有割合が以下の関係:
前記シアン酸エステル化合物(A) 20〜50質量%
前記無機充填材(B) 50〜80質量%
を満たす、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記芳香族アミン化合物(C)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)100質量部に対し、0.5〜15質量部である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- マレイミド化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群から選択される、少なくとも1種を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を加熱硬化反応させることにより得られる、硬化物。
- 硬化物の厚さが2mm以下である、請求項11に記載の硬化物。
- 前記加熱硬化反応の温度が、120〜230℃である、請求項12に記載の硬化物。
- 前記加熱硬化反応の温度が、120〜220℃である、請求項13に記載の硬化物。
- 前記加熱硬化反応の反応時間が、30秒〜3時間である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の硬化物。
- 前記加熱硬化反応の反応時間が、45秒〜2時間である、請求項15に記載の硬化物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布し、乾燥させてなる、構造材料用プリプレグ。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、繊維強化複合材料。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
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2015
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