JP6850432B2 - シアン酸エステル化合物、樹脂組成物、硬化物、構造材料用プリプレグ、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤 - Google Patents
シアン酸エステル化合物、樹脂組成物、硬化物、構造材料用プリプレグ、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤 Download PDFInfo
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例えば、特許文献1においては、特定構造のシアン酸エステル化合物と、その他の成分とからなる樹脂組成物が低吸水性、低熱膨張率などの特性に優れることが記載されている。
[1]
下記式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が340〜2000である、シアン酸エステル化合物。
[2]
[1]に記載のシアン酸エステル化合物を含む、樹脂組成物。
[3]
さらに、マレイミド化合物を含有する、[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
さらに、前記シアン酸エステル化合物以外のシアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[5]
[3]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
[6]
基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、[3]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
を有する、構造材料用プリプレグ。
[7]
[3]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
[8]
[3]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
[9]
[3]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
本実施形態のシアン酸エステル化合物は、下記式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が340〜2000である。このような構造を有するため、本実施形態のシアン酸エステル化合物は、耐熱性及び耐湿性に優れ、特に耐熱分解性に優れる。
本実施形態のシアン酸エステル化合物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、下記式(2)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化して、上記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物を得るシアネート化工程を有するものであることが好ましい。
シアネート化工程は、ヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化して、上記式(1)で表される構造を有するシアン酸エステル化合物を得る工程である。具体的には、式(2)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が有するヒドロキシ基をシアネート化して、上記式(1)で表される構造を有するシアン酸エステル化合物を得る工程である。
前記(A)、(B)及び(C)の方法の中でも副反応を抑制し、より高純度のシアン酸エステル化合物を高収率で得ることができるため、(A)の方法が好ましい。
また、前記ハロゲン化シアン溶液と塩基性化合物溶液の接触方法は、半回分形式又は連続流通形式のいずれであってもよい。
特に(A)の方法を用いた場合、ヒドロキシ置換芳香族化合物が有するヒドロキシ基を残存させずに反応を完結させることができ、かつ、より高純度のシアン酸エステル化合物を高収率で得ることができることから、塩基性化合物を分割して注下するのが好ましい。分割回数は特に限定されないが、1〜5回が好ましい。また、塩基性化合物の種類としては、1分割ごとに同一でも異なるものでもよい。
上記範囲とする場合、シアン酸エステル化合物の収率が高まる傾向にある。
上記範囲とする場合、シアン酸エステル化合物の収率が高まる傾向にある。
上記範囲とする場合、シアン酸エステル化合物の収率が高まる傾向にある。
ヒドロキシ置換芳香族化合物を塩基性化合物溶液に溶解させない場合、溶媒の使用量は、塩基性化合物1質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.25〜50質量部である。
また、反応時間は特に限定されないが、前記接触方法が(A)及び(B)の場合の注下時間及び(C)の場合の接触時間は1分〜20時間が好ましく、3分〜10時間がより好ましい。更にその後10分〜10時間反応温度を保持しながら撹拌させることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態のシアン酸エステル化合物を含むものであり、耐熱性及び耐湿性に優れ、特に耐熱分解性に優れる。
シアン酸エステル化合物の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。
本実施形態において、特に耐熱分解性を向上させる観点から、本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物をさらに含むことが好ましい。マレイミド化合物としては、分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、下記式(3)で表されるマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、若しくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーが挙げられる。これらの中でも、2,2’−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このようなマレイミド化合物を含むことにより、得られる硬化物の熱膨張率がより低下し、ガラス転移温度がより優れたものとなる傾向にある。同様の観点から、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
なお、本実施形態において、「樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、本実施形態の樹脂組成物における、溶剤を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、本実施形態の樹脂組成物における溶剤を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
他のシアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)で少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する化合物であれば、特に限定されない。
また、上記式(4)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、以下に限定されないが、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert−ブトキシ基が挙げられる。
上記式(4)のXにおける炭素数1〜50の2価の有機基の具体例としては、以下に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ジメチルメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記式(4)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基の例としては、以下に限定されないが、−N−R−N−で表される基、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
式(5)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに式(6)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は、上記式(4)におけるものと同義である。
式(7)のR2及びR3におけるアルキル基は、直鎖若しくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、式(7)のR2及びR3におけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。その具体例としては、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのフェノール樹脂の中では、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が難燃性の点で好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂のなかでは、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が難燃性、耐熱性の面で好ましい。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製商品名)、OXT−121(東亞合成製商品名)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのオキセタン樹脂は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、及びベンゾシクロブテン樹脂、が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの不飽和基を有する化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。なお、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。
また、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、硬化速度を適宜調節するための硬化促進剤を含有していてもよい。この硬化促進剤としては、シアン酸エステル化合物やエポキシ樹脂等の硬化促進剤として一般に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。硬化促進剤の具体例としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等の有機金属塩類、フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物、1−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらのイミダゾール類のカルボン酸若しくはその酸無水類の付加体等の誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン類、ホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ダイホスフィン系化合物等のリン化合物、エポキシ−イミダゾールアダクト系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、難燃性化合物、並びに各種添加剤等を併用することができる。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。難燃性化合物の具体例としては、以下に限定されないが、4,4’−ジブロモビフェニル等の臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂、メラミン及びベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、並びに、シリコーン系化合物等が挙げられる。また、各種添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、流動調整剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらは、所望に応じて1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有することができる。この場合、本実施形態の樹脂組成物は、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部が有機溶剤に溶解又は相溶した態様(溶液又はワニス)として用いることができる。有機溶剤としては、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部を溶解又は相溶可能なものであれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させてなるものである。硬化物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、熱や光などを用いて通常の条件で硬化させることにより得ることができる。熱硬化の場合、硬化温度は、特に限定されないが、硬化が効率的に進み、かつ得られる硬化物の劣化を防止する観点から、120℃から300℃の範囲内が好ましい。光硬化の場合、光の波長領域は、特に限定されないが、光重合開始剤等により効率的に硬化が進む100nmから500nmの範囲で硬化させることが好ましい。
本実施形態の構造材料用プリプレグは、基材と、その基材に含浸又は塗布された、本実施形態の樹脂組成物と、を有するものである。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス織布及びガラス不織布等のガラス繊維基材などの無機繊維機材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維及び全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維及び全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布又は不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材が挙げられる。プリプレグに要求される性能、例えば、強度、吸水率及び熱膨張係数等に応じて、これら公知のものを適宜選択して用いることができる。また、上記ガラス繊維基材を構成するガラスは、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス及びHガラスが挙げられる。
本実施形態の接着剤は、本実施形態の樹脂組成物を含む。接着剤の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記した樹脂組成物と、接着剤用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤或いは溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで接着剤を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル化合物、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
JIS−K0070に準拠して、ピリジン−塩化アセチル法によりOH基当量(g/eq.)を求めた。
シアン酸エステル化合物1gを100gのテトラヒドロフラン(溶媒)に溶解させた溶液10μLを高速液体クロマトグラフィー(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製高速液体クロマトグラフLachromElite)に注入し分析を実施した。カラムは東ソー株式会社製TSKgel GMHHR−M(長さ30cm×内径7.8mm)2本、移動相はテトラヒドロフラン、流速は1mL/min.、検出器はRIとした。重量平均分子量Mwは、GPC法によりポリスチレンを標準物質として求めた。
繰り返し数nが自然数(1,2,3,4,・・・)の場合の各成分iにつき分子量Miを計算し、繰り返し数nと分子量Miとの一次関係式を得た。前述のとおりに測定した重量平均分子量Mwを前記一次関係式にあてはめ、繰り返し数nを求めた。
下記式(2−1)で表されるアリル基含有フェノールノボラック樹脂700g(群栄化学工業株式会社製「XPL−4437E」;OH基当量148g/eq.;OH基換算4.73mol;重量平均分子量Mw555(GPCチャートを図1に示す。))及びトリエチルアミン478.6g(4.73mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン2100gに溶解させ、これを溶液1とした。
塩化シアン450.6g(7.33mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.55モル)、ジクロロメタン1050g、36%塩酸693.6g(6.85mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.45モル)、水3468.2gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を70分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン622.2g(6.15mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.3モル)をジクロロメタン622.2gに溶解させた溶液(溶液2)を30分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を、0.1N塩酸2Lにより洗浄した後、水2000gで6回洗浄した。水洗6回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物XPLCN(褐色粘性物)を802g得た。得られたシアン酸エステル化合物XPLCNの重量平均分子量Mwは700であった。GPCチャートを図2に示す。また、XPLCNのIRスペクトルは2270cm-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。IRチャートを図3に示す。
下記式(2−2)で表されるアリル基含有フェノールノボラック樹脂700g(群栄化学工業株式会社製「APG1」;OH基当量146g/eq.;OH基換算4.79mol;重量平均分子量Mw295(GPCチャートを図4に示す。))及びトリエチルアミン485.2g(4.79mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン2100gに溶解させ、これを溶液3とした。
塩化シアン456.8g(7.43mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.55モル)、ジクロロメタン1074g、36%塩酸704.1g(6.95mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.45モル)、水3520.4gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液3を50分かけて注下した。溶液3注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン630.7g(6.23mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.3モル)をジクロロメタン630.7gに溶解させた溶液(溶液4)を30分かけて注下した。溶液4注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を、0.1N塩酸2Lにより洗浄した後、水2000gで7回洗浄した。水洗7回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物APG1CN(薄黄色粘性物)を803g得た。得られたシアン酸エステル化合物APG1CNの重量平均分子量Mwは350であった。GPCチャートを図5に示す。また、APG1CNのIRスペクトルは2263cm-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。IRチャートを図6に示す。
フェノールノボラック樹脂300.2g(群栄化学工業株式会社製「PS4271」;OH基当量105g/eq.;OH基換算2.86mol;重量平均分子量Mw464(GPCチャートを図7に示す。))及びトリエチルアミン288.9g(2.85mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.0モル)をジクロロメタン1503.2gに溶解させ、これを溶液5とした。
塩化シアン281.3g(4.58mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.6モル)、ジクロロメタン655・8g、36%塩酸448.9g(4.43mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.55モル)、水2783.7gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液5を50分かけて注下した。溶液5注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン463.2g(4.58mol;ヒドロキシ基1モルに対して1.6モル)をジクロロメタン468.7に溶解させた溶液(溶液6)を88分かけて注下した。溶液6注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を、0.1N塩酸2Lにより洗浄した後、水2000gで7回洗浄した。水洗7回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするシアン酸エステル化合物NVCN(薄黄色粘性物)を405g得た。得られたシアン酸エステル化合物NVの重量平均分子量Mwは658であった。GPCチャートを図8に示す。また、NVCNのIRスペクトルは2235cm-1及び2261cm-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。IRチャートを図9に示す。
合成例1で得られたXPLCN100質量部及びオクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)0.05質量部の混合物を得た。得られた混合物を金型に充填し、加熱条件として、150℃3時間、180℃5時間及び250℃3時間の条件で硬化させ、硬化物を得た。
得られた硬化物を、後述するDMA法によるTg評価及びTMA法によるTg評価に供した。得られた結果を「初期耐熱性」として表1に示す。
次いで、かかる硬化物を下記の加熱試験又は吸湿試験に供し、各試験後の耐熱性を評価した。
熱風オーブン中にて硬化物を空気雰囲気下300℃24時間加熱し、当該加熱後の硬化物を後述するTMA法によるTg評価及び熱重量減少率測定に供した。得られた結果を「加熱後の耐熱性」として表1に示す。
硬化物を85℃85%RHの雰囲気下に168時間静置した後、後述するTMA法によるTg評価に供した。得られた結果を「吸湿後の耐熱性」として表1に示す。
合成例1で得られたXPLCNを合成例2で得られたAPG1CNに変更したこと以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。
合成例1で得られたXPLCNを合成例3で得られたNVCNに変更したこと以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。
合成例1で得られたXPLCNを2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学株式会社製、「TA」と略記)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。
合成例1で得られたXPLCN60質量部、マレイミド化合物(ケイ・アイ化成(株)製「BMI−70」;ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、マレイミド当量:221g/eq.)40質量部及びオクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製、商標ニッカオクチック酸亜鉛、金属含有量18%))0.03質量部の混合物を得た。得られた混合物を金型に充填し、加熱条件として、150℃3時間、180℃5時間、230℃5時間及び250℃3時間の条件で硬化させ、硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。初期耐熱性、加熱後の耐熱性及び吸湿試験後の耐熱性の全てにおいて、十分に良好な結果が得られた。
実施例3のBMI−70を下記式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。初期耐熱性、加熱後の耐熱性及び吸湿試験後の耐熱性の全てにおいて、十分に良好な結果が得られた。
実施例3のXPLCNをAPG1CNに変更したこと以外は、実施例3と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物を、実施例1と同様にして評価した。初期耐熱性は実施例3〜4と同等であったが、加熱後の耐熱性及び吸湿試験後の耐熱性は実施例3〜4の方が優れる結果となった。
(DMA法によるTg評価)
JIS C6481に準拠して動的粘弾性分析装置(TAインスツルメント製)でDMA法により、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’を測定し、得られるtanδ(=E’’/E’)のピークの値をTgとして耐熱性を評価した。
熱機械分析装置(TAインスツルメント製)を用い、JlS C6481に規定されるTMA法により、厚さ方向の熱膨張係数を測定した。温度及び熱膨張係数のプロットより、変曲点が認められた場合はその際の温度をTgとして耐熱性を評価した。変曲点が認められない場合は、測定限界である400℃超のTgを有すると推定され、その旨を「変曲点無」と記載した。
JIS K7120−1987に準拠し、示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200(エス・アイ・アイ・ナノテクノロジー(株)製)により、試験片3mm×3mm×0.8mmを、窒素流通下、開始温度30℃、昇温速度10℃/分で昇温した際の500℃到達時点における熱重量減少率(熱分解量(%))を、下記式に基づき求めた。
熱重量減少率(%)=(I−J)/I×100
(Iは開始温度での重量を、Jは500℃における重量を表す。)
Claims (9)
- 請求項1に記載のシアン酸エステル化合物を含む、樹脂組成物。
- さらに、マレイミド化合物を含有する、請求項2に記載の樹脂組成物。
- さらに、前記シアン酸エステル化合物以外のシアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項2又は3に記載の樹脂組成物。
- 請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
- 基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
を有する、構造材料用プリプレグ。 - 請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
- 請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
- 請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
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