JP2017007994A - 経皮吸収型製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】肥満症の予防または治療において、経口投与に伴って生じうる副作用を回避しつつ、優れた薬理効果を発揮させることが可能な、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の新規投与手段を提供する。
【解決手段】支持体と薬物含有層とを有する経皮吸収型製剤であって、該薬物含有層が有効成分としてロルカセリンまたは薬学的に許容される塩、粘着剤、塩基性化合物等を含有する経皮吸収型製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する経皮吸収型製剤に関するものであって、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の経皮投与による肥満症の予防手段または治療手段を提供する。
肥満症は、慢性的な過栄養と生活運動強度の低下に起因する生活習慣病であり、(1)脂肪組織の量的増加による合併症を有する場合と、(2)脂肪細胞の機能異常による合併症を有する場合に2大別される。米国疾病対策予防センターによると、米国成人の3分の2以上は肥満または過体重であるとされ、肥満の割合は、1980年から2010年にかけて2倍以上(約15%から約36%)に増加している。肥満又は過体重は、糖尿病、脂質異常症、高血圧症といった合併症を引き起こす可能性があり、肥満又は過体重の増加は大きな社会問題となっている。
ロルカセリン((R)−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン)は、アリーナ社創製の化合物であり(特許文献1)、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し、満腹感を促進すると考えられている。2C受容体を活性化することにより、より少ない食事量により満腹感を得られることが期待されている。ロルカセリンは下記式(I)の化学構造を有する。
Figure 2017007994
ロルカセリン塩酸塩は、米国ではBELVIQ(R)として、10mg錠1日2回がFDAより承認されており、ボディ・マス・インデックス(BMI)が30kg/m以上(肥満)、あるいは少なくとも1つ以上の合併症(高血圧、脂質異常症および2型糖尿病など)を患うBMIが27kg/m以上(過体重)の成人患者の、低カロリーダイエットと習慣的な運動による体重管理プログラムに対する補助療法として適応されている(非特許文献1)。一方、副作用として、糖尿病を有さない患者では、頭痛、めまい、けん怠感、吐き気、口渇、便秘など、糖尿病を有する患者では、低血糖、頭痛、腰痛(背部痛)、咳嗽、けん怠感などが報告されている。そのため、血漿中濃度の過度の上昇を抑えることで副作用を抑制できる経皮吸収型製剤の開発が望まれている。さらに、投与回数の低減(2回/1日→1回/1日〜数日)による服薬アドヒアランス向上の観点からも、ロルカセリンの経皮吸収型製剤化が望まれている。
特許第4191741号公報
エーザイ株式会社ニュースリリース(2013年5月8日)
本発明は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する経皮吸収型製剤を提案し、アドヒアランスが高く、副作用の少ない肥満症の予防または治療に有効な新規投与手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来経口投与されていたロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を経皮吸収型製剤として投与することが可能であることを見出し、さらにロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の皮膚透過速度を適切に制御することにより、肥満症の予防または治療に有効な量のロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を経皮吸収させ、ロルカセリンの血中濃度を一定以上に維持することができることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]支持体と薬物含有層とを有する経皮吸収型製剤であって、該薬物含有層が、ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤および塩基性化合物を含有する、経皮吸収型製剤。
[2]前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の経皮吸収型製剤。
[3]前記粘着剤が、アクリル系樹脂またはゴム系樹脂の少なくとも1種を主成分として含有する、[1]または[2]に記載の経皮吸収型製剤。
[4]ロルカセリンの薬学的に許容される塩の含有量が、前記薬物含有層に対し、3〜40質量%である、[1]から[3]のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
[5]支持体と薬物含有層とを有する経皮吸収型製剤であって、該薬物含有層が、ロルカセリンおよび粘着剤を含有する、経皮吸収型製剤。
[6]前記粘着剤が、アクリル系樹脂またはゴム系樹脂の少なくとも1種を主成分として含有する、[5]に記載の経皮吸収型製剤。
[7]ロルカセリンの含有量が、前記薬物含有層に対し、3〜40質量%である、[5]または[6]に記載の経皮吸収型製剤。
[8]剥離ライナーをさらに有し、支持体、薬物含有層、および剥離ライナーの順に積層されている、[1]〜[7]のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
本発明によれば、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を経皮吸収型製剤化することにより、ロルカセリンの血中濃度を肥満症の治療または予防に有効であり、かつ副作用を生じないレベルに維持することが容易になる。そのため、血中濃度ピークに起因する副作用(頭痛、めまい、吐き気など)を回避しながら肥満症の予防または治療を行うことが可能になる。仮に副作用の兆候が認められた場合には、経皮吸収型製剤をすぐに皮膚から剥離することにより、直ちに投与を中止できる。更に、目視による投薬確認が可能になり、一日一回の投与が可能になることから、服薬アドヒアランスの向上も期待できる。
本発明の経皮吸収型製剤の製造フローの一例を示す。 試験例2のインビトロ皮膚透過試験の結果を示す。 試験例3のインビボ皮膚透過試験の結果を示す。
本発明において経皮吸収型製剤とは、非経口製剤であって、有効成分が皮膚を通して吸収され血流に送達されるものをいう。本発明の経皮吸収型製剤は、支持体と薬物含有層とを有する貼付剤であり、例えばテープ剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
本発明の経皮吸収型製剤は、薬物含有層に粘着剤を含有するマトリックス型貼付製剤でもよく、薬物含有層の皮膚貼付側に、薬剤の経皮吸収を調節するための放出制御膜および皮膚へ貼付するための粘着層をさらに有するリザーバー型貼付製剤であってもよい。このような構造により、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を効率的に経皮吸収させることが可能となる。
製剤設計および製造の容易さの観点からは、マトリックス型貼付製剤であることが好ましい。以下、マトリックス型貼付製剤を例に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書において、「を含有する」または「を含む」には、「から本質的になる」または「のみからなる」の意味も包含する。
<薬物含有層>
1.有効成分
本発明の経皮吸収型製剤において、薬物含有層は、有効成分としてロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。ロルカセリンはセロトニン受容体アゴニストであり、選択的に脳内セロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し体重を減少させると考えられている。
「肥満症」とは、慢性的な過栄養と生活運動強度の低下に起因する生活習慣病であり、(1)脂肪組織の量的増加による合併症を有する場合と、(2)脂肪細胞の機能異常に因る合併症を有する場合に2大別される。ヒトが太りすぎているか、または肥満体として分類されるかどうかは、一般に、身長の2乗(m)で体重(kg)を除することによって計算される肥満度指数(BMI)(単位:kg/m)に基づいて決定される。太りすぎは、25〜30kg/mの範囲におけるBMIとして定義され、そして30kg/m以上のBMIは肥満として定義される。BMIが増加すると、他の危険因子と関係なく、種々の原因から死亡のリスクが増加する。肥満を伴う最も一般的な疾病は、心臓血管疾患(特に高血圧)、糖尿病(肥満は糖尿病の進行を増悪する)、胆嚢疾患(特に癌)および生殖疾患である。
本明細書において、肥満症の予防または治療とは、ヒトなどの対象において、肥満症の発症の遅延もしくは抑制、発症後の病的状態の治療、発症後の再発の遅延もしくは抑制をいう。
本発明においてロルカセリンは、フリー体であってもよく、また薬学的に許容される塩であってもよい。薬学的に許容される塩としては、例えば、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩など;および有機酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、カンファー酸塩、アジピン酸塩、ソルビン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、フタル酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、コハク酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、パモ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシレート)、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)などが挙げられ、これらに限定されない。ロルカセリン、その薬学的に許容される塩は、共結晶や溶媒和物(例えば水和物、好ましくは半水和物)を形成していてもよく、またいずれかを単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。本発明では、ロルカセリン塩酸塩またはロルカセリン塩酸塩半水和物を用いることが好ましく、肥満症薬として、既に経口投与における有用性が確立されているロルカセリン塩酸塩半水和物を用いることがさらに好ましい。
本発明の経皮吸収型製剤におけるロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の含有量は、肥満症の予防または治療に対する有効量である。ここで有効量とは、本発明の経皮吸収型製剤を生体の皮膚に適用した場合に、肥満症の予防または治療に有効なロルカセリンの血中濃度を達成しうる量である。そのような含有量は、経口投与の薬物動態に関する情報に基づいて適宜調整することができ、投与対象、疾患、症状などにより異なりうる。例えば、薬物含有層に対して(即ち、薬物含有層の全質量を基準として;以下同じ)3〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、3〜25質量%がさらに好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
肥満症の予防または治療に有効なロルカセリンの血中濃度は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の経口薬の場合と同程度とすることができる。
本発明の経皮吸収型製剤において、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の皮膚透過速度を調整することによって、肥満症の予防または治療に有効な血中濃度を達成することができる。皮膚透過速度の調整は、薬物含有層中のロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の含有量を調整すること、後述の吸収促進剤を薬物含有層に添加することなどの、任意の手段によって行うことができる。なお、本発明においてロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の皮膚透過速度とは、後述の実施例に記載するインビトロ皮膚透過性試験により測定される値を意味する。
ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の皮膚透過速度は、通常5〜120μg/cm/時間であり、好ましくは10〜90μg/cm/時間である。皮膚透過速度が5μg/cm/時間以上であれば、十分な血中濃度を得ることができる。皮膚透過速度が120μg/cm/時間以下であれば、血中濃度が高くなりすぎず、安全性の観点から好ましい。
2.塩基性化合物
ロルカセリンの薬学的に許容される塩(通常、酸付加塩)を用いる場合には、薬物含有層中に塩基性化合物を含有させることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、塩基性窒素を含有する低分子化合物(例えば、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類);塩基性窒素を含有する高分子化合物(例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピリジン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等);塩基性アルカリ金属塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等);アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)などが挙げられる。また、オイドラギットシリーズ(オイドラギットE100、オイドラギットEPO:エボニックインダストリー社製)などの市販の塩基性アクリル系樹脂を使用してもよい。なかでも、塩基性窒素を含有する高分子化合物であるアミノアルキルコポリマーE、塩基性窒素を含有する低分子化合物であるモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルカリ金属水酸化物である水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩基性アルカリ金属塩である炭酸水素ナトリウムが好ましく、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンがより好ましい。
このような塩基性化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塩基性化合物の含有量は、ロルカセリンの薬学的に許容される塩(特に、酸付加塩)の当量に対して0.5〜3当量であることが好ましく、0.7〜2当量であることがより好ましい。また、塩基性化合物の含有量は、薬物含有層に対して0.5〜35質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、0.8〜20質量%であることがさらに好ましい。このような塩基性化合物を含有することにより、塩基性化合物がロルカセリンの薬学的に許容される塩(特に、酸付加塩)に作用し、ロルカセリン塩の皮膚透過性が向上する。特に、塩基性化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、上記範囲外である場合と比較して皮膚透過性の向上効果がより顕著になる。
3.吸収促進剤
薬物含有層は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の皮膚透過性向上のため、吸収促進剤をさらに含有してもよい。吸収促進剤は、経皮投与において皮膚透過促進作用が認められているいずれの化合物であってもよく、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、グリセリンオレイン酸モノエステル、イソステアリン酸ヘキサデシルなどの脂肪酸またはそのエステル類;乳酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、グリコール酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サッカリンなどの有機酸またはそれらの塩;リン酸などの無機酸またはそれらの塩;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコールなどのアルコールまたはそのエステル類もしくはそのエーテル類;炭素数3〜8の多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、オクタンジオール等);モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル類またはエーテル類;モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのフェノールエーテル類;ヒマシ油または硬化ヒマシ油;オレオイルサルコシン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤;炭素数10〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等)、ジメチルラウリルアミンオキサイドなどの非イオン性界面活性剤;ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アミド;ジメチルスルホキサイド、デシルメチルスルホキサイドなどのアルキルメチルスルホキサイド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オンなどのアザシクロアルカン類;メントール、カンフル、リモネンなどのテルペン類などが挙げられる。吸収促進剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
吸収促進剤の含有量は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の種類に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層に対して0〜30質量%が好ましく、0〜25質量%がより好ましく、0〜20質量%がさらに好ましい。
4.粘着剤
薬物含有層は粘着剤を含有する。薬物含有層に含有される粘着剤としては、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂およびシリコーン系樹脂等を含むものが挙げられる。
粘着剤としては、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂およびシリコーン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分として含有するものが好ましく、さらにアクリル系樹脂およびゴム系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分として含有するものがより好ましい。ここで、「主成分」とは、粘着剤の全質量に対し、通常70質量%以上、さらに80質量%以上、よりさらに90質量%以上、特に100質量%を意味する。
アクリル系樹脂としては、例えば、モノマー単位として、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどに代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1種含有する重合体または共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸2−エチルエキシル・N−ビニル−2−ピロリドン・ジメタクリル酸−1,6−ヘキサングリコール共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸2−ヒドロキシエチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体溶液、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液などが挙げられる。また、DURO−TAK(登録商標)アクリル粘着剤シリーズ(DURO TAK 87-900A、DURO TAK 87-9301、DURO TAK 87-4098、DURO TAK 387-2510、DURO TAK 87-2510、DURO TAK 387-2287、DURO TAK 87-2287、DURO TAK 87-4287、DURO TAK 387-2516、DURO TAK 87-2516、DURO TAK 87-2074、DURO TAK 387-235A、DURO TAK 387-2353、DURO TAK 87-2353、DURO TAK 87-2852、DURO TAK 387-2051、DURO TAK 87-2051、DURO TAK 387-2052、DURO TAK 87-2052、DURO TAK 387-2054、DURO TAK 87-2054、DURO TAK 87-2194、DURO TAK 87-2196:ヘンケル社製)、GELVAシリーズ(GELVA GMS 3083、GELVA GMS 3253、GELVA GMS 788、GELVA GMS 9073:ヘンケル社製)、MAS−683、MAS−811、MASCOS10、MAS11D1(コスメディ製薬社製)などの市販のアクリル系樹脂を使用してもよい。
ゴム系樹脂としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム、ポリイソブチレン(PIB)、ポリブテン、ブチルゴム、天然ゴム、生ゴム、アラビアゴム、アラビアゴム末、イソプレンゴムなどが挙げられるが、好ましくはSISである。またクレイトンDポリマーシリーズ(クレイトンポリマージャパン社製)やJSR SIS/TRシリーズ(JSRライフサイエンス社製)などの市販のゴム系樹脂を使用してもよい。
シリコーン系樹脂としては、例えば、オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーおよびその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンなどが挙げられる。また、BIO−PSAシリーズ(ダウコーニング社製)などの市販のシリコーン系樹脂を使用してもよい。
本発明の経皮吸収型製剤の薬物含有層に含有される粘着剤として、上述のアクリル系樹脂、ゴム系樹脂、およびシリコーン系樹脂のうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。より好ましくは、アクリル系またはゴム系樹脂であり、さらに好ましくはアクリル系樹脂である。
薬物含有層中に含有される粘着剤の量は、薬物含有層の形成、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の十分な皮膚透過性などを考慮して調整される。粘着剤の含有量は、薬物含有層に対して通常5〜96.5質量%、好ましくは10〜96.5質量%である。粘着剤がアクリル系樹脂の場合は、粘着剤の含有量は、薬物含有層に対して40〜96.5質量%が好ましく、50〜96.5質量%がより好ましく、60〜94.2質量%がさらに好ましい。粘着剤がゴム系樹脂の場合は、粘着剤の含有量は、薬物含有層に対して5〜96.5質量%が好ましく、10〜96.5質量%がより好ましく、12〜94.2質量%がさらに好ましい。粘着剤がシリコーン系樹脂の場合は、薬物含有層に対して40〜96.5質量%が好ましく、50〜96.5質量%がより好ましく、60〜94.2質量%がさらに好ましい。
5.可塑剤
薬物含有層は、可塑剤をさらに含有してもよい。可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィンなど)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油など)、シリコーンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴムなど)、液状脂肪酸エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなど)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトンなどが挙げられる。また可塑剤として、モレスコホワイトシリーズ(モレスコ社製)、ハイコールシリーズ(カネダ社製)などの市販されているものを適宜使用してもよい。特に粘着剤として前記ゴム系樹脂を用いる場合には、流動パラフィンを可塑剤として使用することが好ましい。可塑剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤の含有量は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の十分な透過性および貼付剤としての十分な凝集力の維持を考慮して調整される。粘着剤としてゴム系樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。粘着剤としてアクリル系樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して0〜50質量%が好ましく、0〜40質量%がより好ましく、0〜30質量%がさらに好ましい。粘着剤としてシリコーン系樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して合計で0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%がさらに好ましい。
6.粘着付与剤
薬物含有層は、粘着力向上のために粘着付与剤をさらに含有してもよい。粘着付与剤としては、例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステルなどのロジン誘導体、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、マレイン酸レジン、カルナウバロウ、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、キトサン、グリセリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸、酢酸ベンジル、タルク、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。また粘着付与剤として、アルコンシリーズ(荒川化学社製)、パインクリスタルシリーズ(荒川化学社製)、クリアロンシリーズ(ヤスハラケミカル社製)、YSレジンシリーズ(ヤスハラケミカル社製)などの市販されているものを適宜使用してもよい。特に粘着剤として前記ゴム系樹脂を用いる場合には、水添ロジンのグリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂を粘着付与剤として使用することが好ましい。粘着付与剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着付与剤の含有量は、貼付剤としての十分な粘着力を考慮して、粘着剤としてゴム系樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して2〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。粘着剤としてアクリル系樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%がさらに好ましい。粘着剤としてシリコーン樹脂を用いる場合は、薬物含有層に対して0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。
7.その他の任意成分
薬物含有層は、必要に応じて、pH調節剤、架橋剤、抗酸化剤、着色剤、紫外線吸収剤、充填剤、または、防腐剤などの公知の添加剤をさらに含有してもよい。
pH調節剤は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の溶解性、安定性、および皮膚透過性の向上、皮膚に対する安全性の向上などの目的で、薬物含有層のpHを調節するために使用することができる。pH調節剤は、医薬品の分野において通常pH調整に用いられる酸もしくは塩基またはそれらの塩であればいずれの化合物であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、メタンスルホン酸、エデト酸、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メグルミン、トロメタモール、グリシン、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
架橋剤としては、例えばアミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属または金属化合物等の無機系架橋剤が挙げられる。なかでも、イソシアネート化合物またはブロックイソシアネート化合物が好ましい。
抗酸化剤としては、例えばトコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
着色剤としては、例えばインジゴカルミン、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、感光素201号、クマザサエキス、黒酸化鉄、ケッケツ、酸化亜鉛、酸化チタン、三二酸化鉄、アマランス、水酸化ナトリウム、タルク、銅クロロフィリンナトリウム、ハダカムギ緑葉エキス末、d−ボルネオール、ミリスチン酸オクチルドデシル、メチレンブルー、リン酸マンガンアンモニウム、ローズ油などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばアミノ酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、桂皮酸誘導体、シアノアクリレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体などが挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウムナトリウム等)、水酸化マグネシウム、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどが挙げられる。
その他の任意成分の合計の含有量は、薬物含有層に対して0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
本発明の経皮吸収型製剤における薬物含有層の面積は、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の含有量および/または皮膚透過速度などに応じて適宜調整することができる。典型的には、2〜140cm、好ましくは2〜100cm、さらに好ましくは4〜50cmの範囲である。またその形状は、特に限定されず、正方形、長方形、円形、楕円形などであってよい。
本発明の経皮吸収型製剤における薬物含有層の厚さは、粘着剤の種類、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩の含有量および/または皮膚透過速度などに応じて適宜調整することができ、特に限定されない。典型的には、20〜300μm、好ましくは30〜200μm、さらに好ましくは30μm〜150μmの範囲である。
本発明の経皮吸収型製剤における薬物含有層の1つの態様として、ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤および塩基性化合物を含有するものが挙げられる(前記[1]を参照)。
ロルカセリンの薬学的に許容される塩としては、ロルカセリン酸付加塩(特に塩酸塩)が好ましい。
粘着剤としては、アクリル系樹脂を主成分として含有するものが好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1種含有する重合体または共重合体が好ましい。
他の粘着剤としては、ゴム系樹脂を主成分として含有するものが好ましい。ゴム系樹脂としてはSISが特に好ましい。
塩基性化合物としては、アルカノールアミン類、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピリジン、塩基性アルカリ金属塩、およびアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE等がより好ましく、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが特に好ましい。
薬物含有層に対し、ロルカセリンの薬学的に許容される塩の含有量が3〜40質量%、粘着剤の含有量が5〜96.5質量%、塩基性化合物の含有量が0.5〜35質量%であることが好ましい。
本発明の経皮吸収型製剤における薬物含有層の他の態様として、ロルカセリンおよび粘着剤を含有し、該粘着剤がアクリル系樹脂またはゴム系樹脂の少なくとも1種を主成分として含有するものが挙げられる(前記[5]を参照)。
粘着剤としては、アクリル系樹脂を主成分として含有するものが好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1種含有する重合体または共重合体が好ましい。
粘着剤としては、ゴム系樹脂を主成分として含有するものも好ましい。ゴム系樹脂としてはSISが特に好ましい。
薬物含有層に対し、ロルカセリンの含有量が3〜40質量%、粘着剤の含有量が5〜96.5質量%であることが好ましい。
<支持体>
本発明の経皮吸収型製剤における支持体には、薬物不透過性で伸縮性または非伸縮性の支持体を使用することができる。このような支持体としては、医薬品の分野において通常用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ナイロン、ポリウレタンなどの合成樹脂フィルムもしくはシートまたはこれらの積層体、多孔質体、発泡体、フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、紙、織布、不織布などが挙げられる。
<剥離ライナー>
本発明の経皮吸収型製剤は、剥離ライナーをさらに有してもよい。この場合、剥離ライナーは、支持体上に積層された薬物含有層の、支持体に接する面と反対側の面上に積層され、経皮吸収型製剤を皮膚に適用するまで薬物含有層を保護することができる。剥離ライナーは、少なくとも薬物含有層中のシナカルセト、その薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物について不透過性であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子材料で作られたフィルム、フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、紙の上にシリコーンオイルなどを塗付したものなどが挙げられる。
<経皮吸収型製剤の製造>
本発明の経皮吸収型製剤は、公知の方法に従って製造することができる。(a)ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤、および塩基性化合物、ならびに必要に応じその他の任意成分を含む混合物を調製し、この混合物を剥離ライナー上に塗布(展延)して薬物含有層を形成し、この薬物含有層に支持体を貼り合わせることにより、或いは、(b)ロルカセリン、および粘着剤、ならびに必要に応じその他の任意成分を含む混合物を調製し、この混合物を剥離ライナー上に塗布(展延)して薬物含有層を形成し、この薬物含有層に支持体を貼り合わせることにより、製造することができる。
具体的には、上記ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤、および塩基性化合物、ならびに必要に応じその他の任意成分を、または、上記ロルカセリン、および粘着剤、ならびに必要に応じその他の任意成分を、前記含有量となるように有機溶媒に加え、混合撹拌して塗布液を調製する。
有機溶媒としては、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、それらの混合溶媒などを用いることができる。塗布液中の有機溶媒の含有量は、特に限定されず、例えば、塗布液全体に対して30〜90質量%、好ましくは40〜80質量%である。
次に、この塗布液を剥離ライナー上に展延し、当該塗布液中の溶媒を蒸発させて薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせることによって経皮吸収型製剤を得ることができる。または、塗布液を支持体上に展延し、当該塗布液中の溶媒を蒸発させて薬物含有層を形成した後、剥離ライナーを貼り合わせることによって経皮吸収型製剤を得ることもできる。製造容易かどうかの観点からは、塗布液を剥離ライナー上に展延し、当該塗布液中の溶媒を蒸発させて薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせる方法が好ましい。塗布液の塗布は、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーター、ダイコーターを用いて行うことができる。製造フローの一例を図1に示すが、これに限定されない。
また本発明の経皮吸収型製剤は、上記ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤、および塩基性化合物、ならびに必要に応じその他の任意成分を、または、上記ロルカセリン、および粘着剤、ならびに必要に応じその他の任意成分を、加熱溶融させ、この溶融物を剥離ライナー上に塗布(展延)し、薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせることによって経皮吸収型製剤を製造することもできる。溶融物を支持体上に塗布(展延)し、薬物含有層を形成した後、剥離ライナーを貼り合わせることによって経皮吸収型製剤を製造してもよい。
<投与方法>
本発明の経皮吸収型製剤による肥満症の予防または治療は、本発明の経皮吸収型製剤を対象の皮膚に直接貼付して、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を経皮投与することによって行うことができる。本発明における対象は、ヒトなどの哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
本発明の経皮吸収型製剤によりロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を経皮投与する場合、肥満症の予防または治療に有効な血中濃度を達成するように、薬物含有層中のロルカセリンの含有量および/または皮膚透過速度、ならびに薬物含有層の面積および/または薬物含有層の厚さ等を適宜調整した上で、本発明の経皮吸収型製剤を皮膚に貼付する。
本発明の経皮吸収型製剤は、貼付可能であれば身体のいずれの部位の皮膚に適用してもよく、例えば、上腕部、腹部、胸部、頸部、腰背部、臀部または脚部などに貼付できる。
本発明の経皮吸収型製剤の対象への経皮投与は、必要に応じて、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩以外の医薬成分を含有する医薬組成物の投与と組み合わせてもよい。この場合、投与形態は、同時投与であっても、時間差をおいての投与であってもよく、当該医薬組成物は、静脈内、腹腔内、皮下および筋肉内、経口、局所または経粘膜を含む種々の経路により投与できる。またロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩以外の医薬成分を含有する医薬組成物は、当該医薬成分について通常用いられる投与経路によって対象に投与される。ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩以外の医薬成分としては、ロルカセリン以外の抗肥満薬、抗糖尿病薬、脂質低下剤または降圧剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また各実施例において、%は、特に断りがない限りは全て質量%である。
(ロルカセリン含有経皮吸収型製剤の製造)
実施例1
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩半水和物、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル系樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩半水和物 15%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 2.5%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 82.5%
塗布液を剥離フィルム(75μm片面シリコン処理PETフィルム、フィルムバイナ75E−0010 BD:藤森工業社製)上に、溶媒留去後の厚さが約80μmになるように塗布し、乾燥させた後、支持体(25μmのPETフィルム、ルミラーT−60:東レ社製)を貼り合わせ、経皮吸収型製剤を製造した。
実施例2
実施例1において、ロルカセリン塩酸塩半水和物の配合比率を15%に代えて10%とし、水酸化ナトリウムの配合比率を2.5%に代えて1.7%とし、DURO TAK87−4098の配合比率を82.5%に代えて88.3%として用いた以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例3
実施例1において、ロルカセリン塩酸塩半水和物の配合比率を15%に代えて20%とし、水酸化ナトリウムの配合比率を2.5%に代えて3.3%とし、DURO TAK87−4098の配合比率を82.5%に代えて76.7%として用いた以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例4
実施例1において、ロルカセリン塩酸塩半水和物の配合比率を15%に代えて30%とし、水酸化ナトリウムの配合比率を2.5%に代えて5.0%とし、DURO TAK87−4098の配合比率を82.5%に代えて65%として用いた以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例5
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩半水和物、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化カリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル系樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩半水和物 20%
水酸化カリウム(和光純薬社製) 4.7%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 75.3%
実施例6
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩半水和物、塩基性化合物としてオイドラギットEPO(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE:エボニックインダストリーズ社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル系樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩半水和物 15%
オイドラギットEPO(エボニックインダストリーズ社製) 17%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 68%
実施例7
実施例1において、DURO TAK87−4098に代えてDURO TAK387−2516(ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂:ヘンケル社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例8
実施例1において、DURO TAK87−4098に代えてMAS−683(ピロリドン環含有アクリル系樹脂、コスメディ製薬社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例9
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン 12.6%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 87.4%
実施例10
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 15%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 2.6%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 82.4%
実施例11
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 3.4%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 76.6%
実施例12
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)およびモノエタノールアミン(東京化成社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 1.8%
モノエタノールアミン(東京化成社製) 2.5%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 75.7%
実施例13
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)およびジエタノールアミン(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 2.7%
ジエタノールアミン(和光純薬社製) 1.9%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 75.4%
実施例14
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)およびトリエタノールアミン(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 2.4%
トリエタノールアミン(和光純薬社製) 4.0%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 73.6%
実施例15
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)およびジイソプロパノールアミン(東京化成社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 1.9%
ジイソプロパノールアミン(和光純薬社製) 5.0%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 73.1%
実施例16
・ゴム系樹脂組成物(1)の調製
固形分が下記の配合比率となるように、Quintac3570C(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、日本ゼオン社製)、パインクリスタルKE−311(超淡色ロジン誘導体、荒川化学工業社製)、ハイコールM−352(流動パラフィン、カネダ社製)をトルエンに溶解し、ゴム系樹脂組成物(1)を得た。
成分名 配合比率
Quintac3570C(日本ゼオン社製) 35%
パインクリスタルKE−311(荒川化学工業社製) 45%
ハイコールM−352(カネダ社製) 20%
・経皮吸収型製剤の製造
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてゴム系樹脂組成物(1)を、適量のトルエン中で混合撹拌した後、塗布液を得た。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 20%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 3.4%
ゴム系樹脂組成物(1) 76.6%
塗布液を剥離フィルム(75μm片面シリコン処理PETフィルム、フィルムバイナ75E−0010 BD:藤森工業社製)上に、溶媒留去後の厚さが約100μmになるように塗布し、乾燥させた後、支持体(25μmのPETフィルム、ルミラーT−60:東レ社製)を貼り合わせ、経皮吸収型製剤を製造した。
実施例17
実施例16において、ロルカセリン塩酸塩の配合比率を20%に代えて15%とし、水酸化ナトリウムの配合比率を3.4%に代えて2.6%とし、ゴム系樹脂組成物(1)の配合比率を76.6%に代えて82.4%として用いた以外は、実施例16と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
実施例18
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)およびオイドラギットEPO(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE:エボニックインダストリーズ社製)、粘着剤としてゴム系樹脂組成物(1)を、適量のトルエン中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例16と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 15%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 2.6%
オイドラギットEPO(エボニックインダストリーズ社製) 5.0%
ゴム系樹脂組成物(1) 77.4%
実施例19
・ゴム系樹脂組成物(2)の調製
固形分が下記の配合比率となるように、Quintac3570C(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、日本ゼオン社製)、アルコンP100(脂環族飽和炭化水素樹脂、荒川化学工業社製)、ハイコールM−352(流動パラフィン、カネダ社製)をトルエンに溶解し、ゴム系樹脂組成物(2)を得た。
成分名 配合比率
Quintac3570C(日本ゼオン社製) 35%
アルコンP100(荒川化学工業社製) 25%
ハイコールM−352(カネダ社製) 40%
・経皮吸収型製剤の製造
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてゴム系樹脂組成物(2)を、適量のトルエン中で混合撹拌した後、塗布液を得た。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 5%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 0.8%
ゴム系樹脂組成物(2) 94.2%
塗布液を剥離フィルム(75μm片面シリコン処理PETフィルム、フィルムバイナ75E−0010 BD:藤森工業社製)上に、溶媒留去後の厚さが約120μmになるように塗布し、乾燥させて同じものを2枚作製し、1枚を支持体(25μmのPETフィルム、ルミラーT−60:東レ社製)を貼り合わせた。次に、剥離フィルムを除去し、粘着剤層面にもう1枚の粘着剤層面を貼り合わせ、厚さ約240μmの経皮吸収型製剤を製造した。
実施例20
塗布乾燥後の固形分が下記の配合比率となるように、有効成分としてロルカセリン塩酸塩、塩基性化合物として適量のエタノールに溶解した水酸化ナトリウム(和光純薬社製)、粘着剤としてDURO TAK87−4098(無官能アクリル樹脂、ヘンケル社製)を、適量の酢酸エチル中で混合撹拌した後、塗布液を得た以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
成分名 配合比率
ロルカセリン塩酸塩 40%
水酸化ナトリウム(和光純薬社製) 6.9%
DURO TAK87−4098(ヘンケル社製) 53.1%
比較例1
実施例1において、DURO TAK87−4098の配合比率を82.5%に代えて85%とし、水酸化ナトリウムを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
試験例1 インビトロ(in vitro)皮膚透過性試験(ヘアレスマウス)
7週齢の雄性Hos:HR−1系ヘアレスマウス摘出皮膚(ラボスキン、星野実験動物飼育所社製)の角層側に各実施例および比較例の経皮吸収型製剤を貼付した後、32℃の温水を外周部に循環させた縦型拡散セル(商品名:パームセル縦型TP−6:ビードレックス社製)に、皮膚基底膜がレシーバー側となるように装着した。レシーバーセルに、40%ポリエチレングリコール400水溶液を満たし、経時的にレシーバー液をサンプリングし、HPLC法によりレシーバー液中のロルカセリン量を測定した。測定結果より試験開始後24時間でのロルカセリンの累積透過量(ロルカセリン換算)を算出し、皮膚透過速度を算出した(n=3の平均値)。得られた結果を表1および表2に示す。
<HPLC測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H−Classシステム(Waters社製)
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×50mm(Waters社製)
カラム温度:40℃
流速: 0.45mL/min
検出波長:215nm
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル混液、
Figure 2017007994
Figure 2017007994
表1および表2から明らかなように、本発明の経皮吸収型製剤は、ロルカセリンを放出して皮膚を透過させることができた。即ち、ロルカセリン塩酸塩を用いた場合には、塩基性化合物を使用することで高い皮膚透過性が認められたが、塩基性化合物を使用していない比較例1では皮膚透過性が認められなかった。また、ロルカセリンを用いた場合には、高い皮膚透過性が認められた(実施例9)。
試験例2 インビトロ(in vitro)皮膚透過性試験(ヒト皮膚)
約400μmにダーマトームしたヒト皮膚(コーカシアン、KAC社より入手)の角層側に実施例1で製造した経皮吸収型製剤を貼付した後、32℃の温水を外周部に循環させた縦型拡散セル(商品名:パームセル縦型TP−6:ビードレックス社製)に、皮膚基底膜がレシーバー側となるように装着した。レシーバーセルに、40%ポリエチレングリコール400水溶液を満たし、経時的にレシーバー液をサンプリングし、HPLC法によりレシーバー液中のロルカセリン量を測定した。測定結果より試験開始後24時間でのロルカセリンの累積透過量(ロルカセリン換算)を算出し、皮膚透過速度を算出した(n=3の平均値)。得られた結果を図2に示す。
図2から明らかなように、本発明の経皮吸収型製剤は、ヒト皮膚においても高い皮膚透過性を示した。
試験例3 インビボ(in vivo)皮膚透過性試験
8週齢の雄性SD系ラット(チャールズリバー社製、n=6)の背部皮膚を電気バリカンで剪毛した。実施例10で製造した経皮吸収型製剤(5cm)および実施例11で製造した経皮吸収型製剤(10cm)を背部に貼付し、メンバン(白十字社製)、Tagaderm Roll(スリーエムヘルスケア社製)、不織布粘着包帯(シルキーテック、ALCARE社製)を巻いて24時間閉塞貼付した。24時間後に製剤を除去した。実施例11については、貼付後、1、3、6、12、20および24時間に、無麻酔下で尾静脈より採血(約0.35mL)し、血液をポリプロピレン製容器に移した。実施例11については、0.5、1、3、6、12、20および24時間に、同様に採血した。得られた血液から遠心分離機(4℃、1000g)により血漿を分離した。Oasisを用いて得られた血漿について固相抽出を行い、LC/MS/MSを用いて各時間におけるロルカセリンの血漿中濃度(ng/mL)を測定し、6検体の平均値を算出した(ロルカセリン濃度として換算)。ロルカセリンの定量はLC/MS法により行った。この結果を図3に示す。
<LC/MS/MS測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H−Classシステム(Waters社製)
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm,2.1×50mm(Waters社製)
検出器:Xevo G2−S Q−Tof(Waters社製)
検出条件:Resolution・Positive,m/z=196.075
移動相:0.1%蟻酸水溶液と0.1%蟻酸−アセトニトリル溶液の混合液
図3から明らかなように、本発明の経皮吸収型製剤をラットに貼付した場合、ロルカセリンは持続的に経皮吸収され、貼付している24時間の間、一定以上の血漿中濃度が維持されることが確認された。
参考例1
実施例10において、ロルカセリン塩酸塩を使用しなかった以外は、実施例10と同様にして経皮吸収型製剤を製造した。
試験例4 ウサギ皮膚一次刺激性試験
19週齢のJW雌ウサギを用いた。毛が除去されたスムーススキン部分に、実施例10および参考例1で製造した経皮吸収型製剤(1.5cm×1.5cm角)を背部に貼付し、Tegaderm Roll(スリーエムヘルスケア社製)で固定した後、粘着剤付きフォームパッド(スリーエムヘルスケア社製)で背部を覆い、その上から自着性弾力包帯(3M Coban Self−Adherent Wrap,スリーエムヘルスケア社製)を胴体に巻いた後、さらにポリエチレンフィルムテープ(キープポアA、ニチバン社製)で固定した。投与24時間後に経皮吸収型製剤を剥離し、アセトンで湿らせた脱脂綿で貼付部位を清拭した。投与より24、48、および72時間後に皮膚反応を観察し、表3に示すDraizeの基準(1959年)を参考に皮膚刺激性指数(Primary irritation index:P.I.I.)を算出し、皮膚刺激性を評価した。但し、投与24時間後は、清拭約1時間後に観察を行った。被験物質ごとに、投与24、48および72時間後における固体別評点を算出し、観察回数(3回)で除して個体別P.I.I.(Individual P.I.I.)を算出した。Individual P.I.I.値を合計し、その平均値をロルカセリン経皮吸収型製剤のP.I.I.とした。
Figure 2017007994
結果を表4に示す。なお、刺激性の評価は、P.I.Iが0の場合「無刺激物」、0より大きく2未満の場合「軽度刺激物」、2以上5未満の場合「中等度刺激物」、5以上のときは「強度刺激物」とした。評価に際して統計処理は実施しなかった。
Figure 2017007994
表4から明らかなように、実施例10の経皮吸収型製剤の皮膚刺激性は軽度であった。
本発明によれば、経口投与に伴って生じうる副作用を回避することが可能な、ロルカセリンまたはその薬学的に許容される塩を含有する経皮吸収型製剤が提供される。本発明の経皮吸収型製剤は、アドヒアランスが高く、副作用の少ない肥満症治療の予防または治療に有効な新規投与手段を提供することが可能である。

Claims (8)

  1. 支持体と薬物含有層とを有する経皮吸収型製剤であって、該薬物含有層が、ロルカセリンの薬学的に許容される塩、粘着剤および塩基性化合物を含有する、経皮吸収型製剤。
  2. 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
  3. 前記粘着剤が、アクリル系樹脂またはゴム系樹脂の少なくとも1種を主成分として含有する、請求項1または請求項2に記載の経皮吸収型製剤。
  4. ロルカセリンの薬学的に許容される塩の含有量が、前記薬物含有層に対し、3〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮吸収型製剤。
  5. 支持体と薬物含有層とを有する経皮吸収型製剤であって、該薬物含有層が、ロルカセリンおよび粘着剤を含有する、経皮吸収型製剤。
  6. 前記粘着剤が、アクリル系樹脂またはゴム系樹脂の少なくとも1種を主成分として含有する、請求項5に記載の経皮吸収型製剤。
  7. ロルカセリンの含有量が、前記薬物含有層に対し、3〜40質量%である、請求項5または6に記載の経皮吸収型製剤。
  8. 剥離ライナーをさらに有し、支持体、薬物含有層、および剥離ライナーの順に積層されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の経皮吸収型製剤。
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