JP2017007973A - 組成物 - Google Patents

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Takafumi Nagai
隆文 永井
足達 健二
Kenji Adachi
健二 足達
安蘇 芳雄
Yoshio Aso
芳雄 安蘇
家 裕隆
Hirotaka Ie
裕隆 家
誠 辛川
Makoto Karakawa
誠 辛川
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Osaka University NUC
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Abstract

【課題】高い光電変換率、及び低い製造コストを兼ね備えたn型半導体材料の提供。【解決手段】式(1)で表されるフラーレン誘導体と、環A1が70フラーレンであるフラーレン誘導体とを含有する組成物。[Ar1はアリール基、R1はハロゲン原子等、環A1はC60フラーレン]【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、特にフラーレン誘導体を含有する組成物に関する。
有機薄膜太陽電池は、光電変換材料として有機化合物を用い、溶液からの塗布法によって形成されるものであり、1)デバイス作製時のコストが低い、2)大面積化が容易である、3)シリコン等の無機材料と比較してフレキシブルであり使用できる場所が広がる、4)資源枯渇の心配が少ない、等の各種の利点を有するものである。このため、近年、有機薄膜太陽電池の開発が進められており、特に、バルクヘテロジャンクション構造を採用することによってエネルギー変換効率(Power conversion efficiency; PCE)(エネルギー変換効率)を大きく向上させることが可能となり、広く注目を集めるに至っている。
有機薄膜太陽電池に用いる光電変換素地用材料の内で、p型半導体については、特に、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)が優れた性能を有する有機p型半導体材料として知られている。最近では、より高機能を目指して、太陽光の広域の波長を吸収できる構造やエネルギー準位を調節した構造を有する化合物が開発され(ドナーアクセプター型π共役高分子)、性能向上に大きく貢献している。このような化合物の例としては、ポリ−p−フェニレンビニレン、及びポリ[[4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル][3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル]](PTB7)が挙げられる。
一方、n型半導体についても、フラーレン誘導体が盛んに検討されており、優れた光電変換性能を有する材料として、[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(PCBM)が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、PCBM以外のフラーレン誘導体に関しては、高いエネルギー変換効率を達成できることが実証された例は殆どない。
その僅かな例の一つとして、特許文献3では、極めて純度が高い特定のフラーレン誘導体をn型半導体として用いることで、高いエネルギー変換効率が実現されている。
特開2009−8426号公報 特開2010―92964号公報 国際公開第2014/185535号
しかし、特許文献3の技術では、n型半導体用に、極めて純度が高い特定のフラーレン誘導体を使用する必要があり、従って、製造コストの点において、改善の余地がある。
従って、本発明は、高い光電変換率、及び低い製造コストを兼ね備えたn型半導体材料を提供することを目的とする。
純度の高くない材料を用いて製造したフラーレン誘導体を用いて、高い光電変換率を有する有機薄膜太陽電池を製造することができれば、製造コストの点で有利である。
通常、C60フラーレン誘導体は、C60フラーレンを原料として用いて合成される。この原料としてのC60フラーレンは、工業的には、通常、燃焼法によって生じたC60フラーレン、及びC70フラーレンを含有する組成物から、C70フラーレン等の不純物を精製により除去して製造されている。仮に、C60フラーレン、及びC70フラーレン等を含有する組成物を原料として用いてC60フラーレン誘導体を合成した場合、C60フラーレン誘導体、C70フラーレンに由来するC70フラーレン誘導体が混在してしまうことになる。
従って、もし、C60フラーレン誘導体、及びC70フラーレン誘導体を含有する、高いエネルギー変換効率を有するn型半導体材料を開発できれば、C60フラーレンを高度に精製していない、C60フラーレン、及びC70フラーレンを含有する原料を用いて、高いエネルギー変換効率を有するn型半導体が得られることになり、n型半導体材料の低コスト化が実現できる。
しかし、特許文献3の知見によれば、高いエネルギー変換効率の実現のためには、極めて高い純度のC60フラーレン誘導体を用いることが必要であると予想された。
実際に、本発明者らの試験では、C60フラーレン誘導体にC70フラーレン誘導体を混合した場合、エネルギー変換効率が低下した。この結果は、後記の実施例(比較例1−1、比較例1−2、参照例1−1)において示す。
しかし、驚くべきことに、本発明者らは、特定のC60フラーレン誘導体に特定のC70フラーレン誘導体を混合した場合には、エネルギー変換効率がほとんど低下しないことを見出し、当該知見に基づき、本発明を完成させた。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
式(1):
[式中、
Arは、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
は、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
芳香族基を表し;及び
環Aは、
C60フラーレンを表す。]
で表されるC60フラーレン誘導体;及び
式(2):
[式中、
Arは、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
は、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
芳香族基を表し;及び
環Aは、
C70フラーレンを表す。]
で表されるC70フラーレン誘導体
を含有する組成物。
項2.
Arが、フェニル基である項1に記載の組成物。
項3.
が、アルキル基、又はフェニル基である項1、又は2に記載の組成物。
項4.
Arが、フェニル基である項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
項5.
が、アルキル基、又はフェニル基である項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
項6.
Ar、及びArが、同一であり、且つR、及びRが同一である、項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
項7.
項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含有するn型半導体材料。
項7−2.
項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含有する電子輸送材料。
項8.
有機薄膜太陽電池用である項7に記載のn型半導体材料。
項8−2.
ペロブスカイト太陽電池用である項7−2に記載の電子輸送材料。
項9.
項8に記載のn型半導体材料を含有する有機発電層。
項9−2.
項8−2に記載の電子輸送材料を含有する電子輸送層。
項10.
項9に記載の有機発電層を備える光電変換素子。
項11.
有機薄膜太陽電池である、項10に記載の光電変換素子。
項11−2.
項9−2に記載の電子輸送層を備えるペロブスカイト太陽電池。
項12.
電界効果型コンデンサ用である、項7に記載のn型半導体材料。
項13.
項12に記載のn型半導体材料を含有する薄膜を有する電界効果型コンデンサ。
本発明の組成物によれば、例えば、高いエネルギー変換効率と、低い製造コストを兼ね備えた有機薄膜太陽電池の製造が可能になる。
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン原子」の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を包含する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルコキシ基」は、式:R−O−(当該式中、Rはアルキル基である。)で表される基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、及びオクタデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜18(例、炭素数1〜15、炭素数1〜12、炭素数1〜10、炭素数1〜9、炭素数3〜18、炭素数3〜15、炭素数3〜12、炭素数3〜10、炭素数3〜9、炭素数6〜18、炭素数6〜15、炭素数6〜12、炭素数6〜10、炭素数6〜9)のアルキル基を包含する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「エーテル基」は、1個のエーテル結合を有する基を意味する。「エーテル基」の例は、1個の酸素原子が挿入されたアルキル基を包含する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「芳香族基」の例は、アリール基、及びヘテロアリール基を包含する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、及び2−アンスリル等などの炭素数6〜14(例、炭素数6〜10)のアリール基を包含する。
本明細書中、特に限定の無い限り、「ヘテロアリール基」の例は、チオフェンなどの、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される1個以上(例、1個、2個)のヘテロ原子を環構成原子として有する5〜6員のヘテロアリール基を包含する。
組成物
本発発明の組成物は、
式(1):
[式中、
Arは、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
は、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
芳香族基を表し;及び
環Aは、
C60フラーレンを表す。]
で表されるC60フラーレン誘導体(本明細書中、C60フラーレン誘導体(1)と称する場合がある。);及び
式(2):
[式中、
Arは、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
は、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
芳香族基を表し;及び
環Aは、
C70フラーレンを表す。]
で表されるC70フラーレン誘導体(本明細書中、C70フラーレン誘導体(2)と称する場合がある。)
を含有する。
Arは、好適に、フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
Arは、より好適に、フッ素原子、炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、及び炭素数6〜18のアルコキシ基(好ましくは、炭素数6〜12のアルコキシ基)からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいフェニル基であることができる。
Arにおいて、ピロリジン環に結合しているフェニル基(当該フェニル基は、前記ナフチル基中のフェニル部分であってもよい。)は、好適に、オルト位、メタ位、又はパラ位に、置換基としてのフッ素原子を有することができる。
Arは、更に好適に、フェニル基であることができる。
前記「ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基」は、好ましくは、Rの1位の原子(すなわち、式(1)に表されているピロリジン環に結合している原子)上には、存在しない。
は、好適に、(1)アルキル基、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい芳香族基であることができる。
は、より好適に、(1)炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
は、更に好適に、炭素数6〜12のアルキル基、又はフェニル基であることができる。
本発明の好適な一態様では、
Arは、フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができ、且つ
は、(1)アルキル基、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい芳香族基であることができる。
本発明のより好適な一態様では、
Arは、フッ素原子、炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、及び炭素数6〜18のアルコキシ基(好ましくは、炭素数6〜12のアルコキシ基)からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいフェニル基であることができ、且つ
は、(1)炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
本発明の更に好適な一態様では、
Arは、フェニル基であることができ、且つ
は、炭素数6〜12のアルキル基、又はフェニル基であることができる。
Arは、好適に、フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
Arは、より好適に、フッ素原子、炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、及び炭素数6〜18のアルコキシ基(より好ましくは、炭素数6〜12のアルコキシ基)からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいフェニル基であることができる。
Arにおいて、ピロリジン環に結合しているフェニル基(当該フェニル基は、前記ナフチル基中のフェニル部分であってもよい。)は、好適に、オルト位、メタ位、又はパラ位に、置換基としてのフッ素原子を有することができる。
Arは、更に好適に、フェニル基であることができる。
前記「ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基」は、好ましくは、Rの1位の原子(すなわち、式(2)に表されているピロリジン環に結合している原子)上には、存在しない。
は、好適に、(1)アルキル基、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい芳香族基であることができる。
は、より好適に、(1)炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
は、更に好適に、炭素数6〜12のアルキル基、又はフェニル基であることができる。
本発明の好適な一態様では、
Arは、フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができ、且つ
は、(1)アルキル基、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい芳香族基であることができる。
本発明のより好適な一態様では、
Arは、フッ素原子、炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、及び炭素数6〜18のアルコキシ基(より好ましくは、炭素数6〜12のアルコキシ基)からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよいフェニル基であることができ、且つ
は、(1)炭素数6〜18のアルキル基(好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基)、又は(2)フッ素原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個、2個、3個、4個、又は5個)の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基であることができる。
本発明の更に好適な一態様では、
Arは、フェニル基であることができ、且つ
は、炭素数6〜12のアルキル基、又はフェニル基であることができる。
Ar、及びArは、好適に同一であることができ、且つR、及びRは、好適に同一であることができる。本明細書中、Ar、及びArが同一であり、且つR、及びRが同一であり、但し、フラーレンの炭素数が異なる関係の誘導体を、「同種の誘導体」と称する場合がある。本明細書中、Ar、及びArが異なり、及び/又はR、及びRが異なり、更に、フラーレンの炭素数が異なる関係の誘導体を「異種の誘導体」と称する場合がある。
すなわち、式(1)中の部分構造式(1−1):
で表される部分と、
式(2)中の部分構造式(2−1):
で表される部分とは、好適に、同一であることができる。
この場合、本発明の組成物は、特に低コストで製造することができる。
本発明の組成物における、C60フラーレン誘導体(1)及びC70フラーレン誘導体(2)の含有量の比は、例えば、モル比で、99.999:0.001〜0.001:99.999、99.99:0.01〜0.01:99.99、99.9:0.1〜0.1:99.9、99:1〜1:99、95:5〜5:95、90:10〜10:90、又は80:20〜20:80であることができる。
当該C60フラーレン誘導体(1)及びC70フラーレン誘導体(2)の含有量の比は、好ましくは、80:20〜50:50、より好ましくは、80:20〜60:40であることができる。
本発明の組成物における、C60フラーレン誘導体(1)の含有量は、例えば、0.001〜99.999質量%、0.01〜99.99質量%、0.1〜99.9質量%、1〜99質量%、5〜95質量%、10〜90質量%、又は20〜80質量%であることができる。
当該C60フラーレン誘導体(1)の含有量は、好ましくは、50〜80質量%、及び
より好ましくは、60〜80質量%であることができる。
本発明の組成物における、C70フラーレン誘導体(2)の含有量は、例えば、0.001〜99.999質量%、0.01〜99.99質量%、0.1〜99.9質量%、1〜99質量%、5〜95質量%、10〜90質量%、又は20〜80質量%であることができる。
当該C70フラーレン誘導体(2)の含有量は、好ましくは、20〜50質量%、及び
より好ましくは、20〜40質量%であることができる。
本発明の組成物は、C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)から実質的になることができる。
本発明の組成物は、C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)からなることができる。
本発明の組成物は、C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)の混合物であることができる。
本発明の組成物は、本発明の効果が著しく損なわれない限り、C60フラーレン誘導体(1)及びC70フラーレン誘導体(2)以外の物質を含有していてもよい。
このような物質としては、例えば、溶媒、及び添加物が挙げられる。
当該溶媒としては、例えば、二硫化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、適当な割合で混合して用いてもよい。当該溶媒としては、クロロホルム、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等が好ましく、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等が特に好ましい。
当該溶媒は、1種単独、又は2種以上の組み合わせであることができる。
組成物の製造方法
本発明の組成物は、例えば、以下の製造方法、又はこれに準じる方法により、製造できる。
C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)を含有する組成物は、公知のフラーレン誘導体の製造方法(例えば、特許文献3に記載の方法)、又はこれに準じる方法によって製造できる。
当該組成物は、具体的には、例えば、下記のスキームの方法に従って、C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)を同時に合成することによって、製造できる。
当該スキーム中、工程Aに用いられるフラーレン(c)は、C60フラーレン、及びC70フラーレンの混合物である。このようなフラーレン(c)としては、例えば、不純物としてC70フラーレンを含有するC60フラーレンであることができる。
当該スキーム中、工程Aで得られる、式(A)で表される化合物(以下、フラーレン誘導体(A)と称する場合がある。)は、C60フラーレン誘導体(1)、及びC70フラーレン誘導体(2)の混合物である。
式(a)中の記号Rは、式(1)中の記号R、及び式(2)中の記号Rと対応する。
式(b)中の記号Arは、式(1)中の記号Ar、及び式(2)中の記号Arと対応する。
式(A)中の記号Aは、式(1)中の記号A、及び式(2)中の記号Aと対応する。
<工程A>
工程Aでは、N−置換グリシン(b)を、アルデヒド(a)、及びフラーレン(c)と反応させて、フラーレン誘導体(A)を得る。工程Aでは、C60フラーレンからC60フラーレン誘導体(1)が得られ、及びC70フラーレンからC70フラーレン誘導体(2)が得られる。
工程Aに用いられるフラーレン(c)は、本発明の効果が著しく失われない限り、C60フラーレン、及びC70フラーレン以外の不純物を含有していてもよい。
工程Aに用いられるアルデヒド(a)は、1種、又は2種以上のアルデヒドの混合物であることができる。このような2種以上のアルデヒドの混合物としては、例えば、不純物として他のアルデヒドを含有するアルデヒドであることができる。工程Aに用いられるアルデヒド(a)は、例えば、R−CHO、及びR−CHOの混合物であってもよい。
工程Aに用いられるアルデヒド(a)は、本発明の効果が著しく失われない限り、式(a)で表されるアルデヒド以外の不純物を含有していてもよい。
工程Aに用いられるN−置換グリシン(b)は、1種、又は2種以上のN−置換グリシンの混合物であることができる。工程Aに用いられるN−置換グリシン(b)は、Ar−NH−CH−COOH、及びAr−NH−CH−COOHの混合物であってもよい。このような2種以上のN−置換グリシンの混合物としては、例えば、不純物として他のN−置換グリシンを含有するN−置換グリシンであることができる。
工程Aに用いられるN−置換グリシンは、本発明の効果が著しく失われない限り、式(b)で表されるN−置換グリシン以外の不純物を含有していてもよい。
アルデヒド(a)、N−置換グリシン(b)、及びフラーレン(c)の量比は任意だが、収率を高くする観点から、フラーレン(c)の1モルに対して、アルデヒド化合物(a)、及びN−置換グリシン(b)を、それぞれ、通常、0.1〜10モル、好ましくは、0.5〜2モルの量で用いる。
当該反応は、無溶媒又は溶媒中で行われる。
当該溶媒としては、例えば、二硫化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、適当な割合で混合して用いてもよい。当該溶媒としては、クロロホルム、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等が好ましく、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等が特に好ましい。
反応温度は、通常、室温〜約150℃の範囲内であり、好ましくは、約80〜約120℃の範囲内である。ここで、室温は、15〜30℃の範囲内であることができる。
反応時間は、通常、約1時間〜約4日間の範囲内であり、好ましくは、約10〜約24時間の範囲内である。
当該反応は、好ましくは、還流下、攪拌しながら、実施される。
当該工程Aで用いられる、アルデヒド(a)、N−置換グリシン(b)、及びフラーレン(c)は、それぞれ公知の化合物であり、公知の方法(例えば、特許文献3に記載の方法)、又はこれに準じた方法によって合成するか、商業的に入手可能である。
所望により、工程Aで得られたフラーレン誘導体(A)を、精製する。
当該精製は、慣用の精製方法で実施すればよい。
具体的には、例えば、当該精製は、次の方法で実施できる。
得られたフラーレン誘導体(A)を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、その後、更にHPLC(分取GPC)で精製する。当該シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒としては、例えば、ヘキサン−クロロホルム、ヘキサン−トルエン、又はヘキサン−二硫化炭素が好ましい。当該HPLC(分取GPC)の展開溶媒としては、例えば、クロロホルム、又はトルエン等が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。
このようにして精製したフラーレン誘導体(A)を、所望により、溶媒洗浄、及び再結晶により、更に精製してもよい。
当該溶媒洗浄では、好ましくは、前記で精製したフラーレン誘導体(A)の固体を異なる溶媒で2回以上洗浄する。当該洗浄は、例えば、前記で精製したフラーレン誘導体(A)の固体をナスフラスコ等の容器に採り、慣用の方法で実施すればよい。当該2回以上の洗浄は、好ましくは比較的極性の高い溶媒(例、メタノール、及びアセトン)による洗浄及び比較的極性の低い溶媒(例、テトラヒドロフラン(THF)、及びヘキサン)を含む。当該溶媒洗浄は、好ましくは、残存溶媒を減少させる目的で、極性の高い溶媒による溶媒洗浄から先に実施される。当該溶媒洗浄は、具体的に特に好ましくは、順に、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、及びヘキサンで洗浄することによって実施される。
再結晶は、好ましくは、例えば、ヘキサン−クロロベンゼン、又はヘキサン−二硫化炭素から行われる。
当該溶媒洗浄、及び再結晶の精製法と組み合わせて、又は別法として、フラーレン分離用HPLCカラムにより精製することも有効である。フラーレン分離用のHPLCカラムは、商業的に入手可能であり、その例としては、コスモシールBuckyprepシリーズ(ナカライテスク社)が挙げられる。当該カラム精製は、必要に応じて2回以上行ってもよい。
フラーレン分離専用のHPLCカラムによる精製に用いられる溶媒としては、トルエン、及びクロロホルム等からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
このようにして更に精製されたフラーレン誘導体(A)から、溶媒を除去する。溶媒の除去は、好ましくは、上澄みの溶媒の除去後、前記フラーレン誘導体(A)の固体に残った溶媒をエバポレーションで除去し、更に減圧下(例、10mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下)で、加熱乾燥(例、60〜100℃、8〜24時間乾燥)する。
適用
n型半導体材料
本発明の組成物は、n型半導体材料として好適に使用できる。すなわち、本発明の組成物は、n型半導体材料であることができ、及び、本発明の一態様は、n型半導体材料である。
本発明のn型半導体材料は、太陽電池の発電層のn型半導体として高い変換効率を示すので、特に有機薄膜太陽電池等の光電変換素子用のn型半導体材料として好適に使用できる。
有機薄膜太陽電池等においては、本発明のn型半導体材料は、通常、有機p型半導体材料(有機p型半導体化合物)と組み合わせて用いられる。
当該有機p型半導体材料としては、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリ−アルコキシ−p−フェニレンビニレン、ポリ−9,9−ジアルキルフルオレン、ポリ−p−フェニレンビニレンなどが挙げられる。
これらは太陽電池としての検討例が多く、かつ入手が容易であるので、容易に安定した性能のデバイスを得ることができる。
また、より高い変換効率を得るためには、バンドギャップを狭くすることで(ローバンドギャップ)長波長光の吸収を可能にした、ドナーアクセプター型π共役高分子が有効である。
これらドナーアクセプター型π共役高分子は、ドナーユニットとアクセプターユニットとを有し、これらが交互に配置された構造を有する。
ここで用いられるドナーユニットとしては、ベンゾジチオフェン、ジチエノシロール、N−アルキルカルバゾールが、またアクセプターユニットとしては、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェン、チオフェンピロールジオンなどが挙げられる。
具体的には、これらのユニットを組み合わせた、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン−co−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]チオフェン)(PTBxシリーズ)、ポリ(ジチエノ[1,2−b:4,5−b’][3,2−b:2’,3’−d]シロール−alt−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)類などの高分子化合物が挙げられる。
これらのうちでも、好ましいものとしては、
(1)ポリ({4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル}{3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル})(PTB7、構造式を以下に示す)、
(2)ポリ[(4,8−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)−2,6−ジイル−alt−((5−オクチルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン)−1,3−ジイル)(PBDTTPD、構造式を以下に示す)、
(3)ポリ[(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール)−2,6−ジイル−alt−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル](PSBTBT、構造式を以下に示す)、
(4)ポリ[N−9’’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT、構造式を以下に示す)、及び
(5)ポリ[1−(6−{4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]−6−メチルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2−イル}{3−フルオロ−4−メチルチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル}−1−オクタノン)(PBDTTT−CF、構造式を以下に示す)
などが挙げられる。
なかでも、より好ましい例としては、アクセプターユニットとしてチエノ[3,4−b]チオフェンの3位にフッ素原子を有するPTB系化合物が挙げられ、特に好ましくい例としては、PBDTTT−CF及びPTB7が挙げられる。
(当該式中、nは繰り返し数を表す。)
(当該式中、nは繰り返し数を表す。)
(当該式中、nは繰り返し数を表す。)
(当該式中、nは繰り返し数を表す。)
(当該式中、nは繰り返し数を表す。)
本発明のn型半導体材料を、前記の有機p型半導体材料(好ましくは、例えば、P3HT、又はドナーアクセプター型π共役高分子材料、より好ましくは、例えば、PTB7などのPTBシリーズ)との組み合わせにおいて、用いて調製された有機発電層は、PCBMを始めとするフラーレン誘導体からなる既存のn型半導体材料を用いた場合よりも高い変換効率を発現できる。
本発明のn型半導体材料は、各種の有機溶媒に対して良好な溶解性を示すので、塗布法による有機発電層の調製が可能であり、大面積の有機発電層の調製も容易である。
また、本発明のn型半導体材料は、有機p型半導体材料との相溶性が良好であって、且つ適度な自己凝集性を有する。このため、当該フラーレン誘導体をn型半導体材料(有機n型半導体材料)としてバルクジャンクション構造の有機発電層を容易に形成する。この有機発電層を用いることによって、高い変換効率を有する有機薄膜太陽電池、或いは光センサーを得ることができる。
本発明のn型半導体材料は、n型半導体材料として単独で用いられることが好ましいが、他のn型半導体材料と組み合わせても用いられ得る。すなわち、本発明のn型半導体材料は、本発明のn型半導体材料と他のn型半導体材料との混合物として用いてもよい。言うまでも無いが、このような組み合わせ、又は混合物の使用も、本発明のn型半導体材料の使用である。
よって、本発明のn型半導体材料として用いることによって、低コストで優れた性能を有する有機薄膜太陽電池を作製することが可能となる。
また、本発明のn型半導体材料を含有する(又は、からなる)有機発電層の別の応用として、デジタルカメラ用イメージセンサーがある。デジタルカメラの高機能化(高精細化)の要求に対して、既存のシリコン半導体からなるイメージセンサーには、感度低下の課題が指摘されている。これに対して、光感度の高い有機材料からなるイメージセンサーにより、高感度と高精細化が可能になると期待されている。このようなセンサーの受光部を構築する材料には、光を感度良く吸収し、ここから電気信号を高効率で発生させることが求められる。このような要求に対して、本発明のn型半導体材料を含有する(又は、からなる)有機発電層は、可視光を効率良く電気エネルギーに変換できるので、上記イメージセンサー受光部材料としても、高い機能を発現できる。
有機発電層
本発明の有機発電層は、本発明のn型半導体材料及びp型半導体材料を含有する。
本発明の有機発電層は、好ましくは、本発明のn型半導体材料及びp型半導体材料からなる。
本発明の有機発電層は、光変換層(光電変換層)であることができる。
本発明の有機発電層においては、好ましくは、本発明のn型半導体材料と前記有機p型半導体材料とがバルクヘテロジャンクション構造を形成している。
当該有機発電層の薄膜形成において、本発明のn型半導体材料は、有機p型半導体材料(好ましくは、P3HT、又はドナーアクセプター型π共役高分子材料)との相溶性が良好であって、且つ適度な自己凝集性を有するので、本発明によれば、本発明のn型半導体材料及び有機p型半導体材料を含有し、かつバルクヘテロジャンクション構造を有する有機発電層を容易に得ることができる。
本発明の有機発電層は、更に、ジヨードオクタン、又はオクタンジチオールを含有する。これにより、本発明の有機発電層は高いエネルギー変換効率をもたらす。このことは、後述するように、本発明のn型半導体材料と前記有機p型半導体材料とがバルクヘテロジャンクション構造を形成することによると考えられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の有機発電層は、例えば、本発明のn型半導体材料及び前記有機p型半導体材料を有機溶媒(添加剤を含有してもよい)に溶解させ、得られた溶液から、スピンコート法、キャスト法、ディッピング法、インクジェット法、及びスクリーン印刷法等の公知の薄膜形成方法を採用して、基板上に薄膜を形成することにより、調製できる。
前記有機溶媒の主成分(すなわち、後述する添加剤以外の成分である、溶媒としての成分)は、例えば、クロロホルム、トルエン及びクロロベンゼンからなる群より選択される1種又は2種以上である。
前記有機溶媒は、好ましくは、添加剤として、ジヨードオクタン、又はオクタンジチオールを含有する。このことにより、より高いエネルギー変換効率を与える有機発電層を形成できる。これは、本発明のn型半導体材料と前記有機p型半導体材料とがバルクヘテロジャンクション構造を形成することによると考えられる。前記有機溶媒におけるジヨードオクタン、又はオクタンジチオールの含有量は通常1〜5%(v/v)であり、好ましくは、2〜4%(v/v)、特に好ましくは3%(v/v)である。
n型半導体及びp型半導体から成る有機発電層において、有効なバルクヘテロジャンクション構造を形成させるために、有機薄膜形成後にアニールする場合がある。特にp型半導体材料としてP3HT、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリ−アルコキシ−p−フェニレンビニレン、ポリ−9,9−ジアルキルフルオレン、ポリ−p−フェニレンビニレンなどを用いる場合には、例えば、80〜130℃で10〜30分間程度の条件でアニールを行なうことで、変換効率の向上が図れる。
一方で、PTB7などのドナーアクセプター型π共役高分子をp型半導体材料に用いた場合には、アニールの必要は無い。
有機薄膜太陽電池
本発明の有機薄膜太陽電池は、前記で説明した本発明の有機発電層を備える。
このため、本発明の有機薄膜太陽電池は、高いエネルギー変換効率を有する。
当該有機薄膜太陽電池の構造は特に限定されず、公知の有機薄膜太陽電池と同様の構造であることができ、及び本発明の有機薄膜太陽電池は、公知の有機薄膜太陽電池の製造方法に従って製造できる。
当該フラーレン誘導体を含む有機薄膜太陽電池の一例としては、例えば、基板上に、透明電極(陽極)、陽極側電荷輸送層、有機発電層、陰極側電荷輸送層及び対極(陰極)が順次積層された構造の太陽電池を例示できる。当該有機発電層は、好ましくは、有機p型半導体材料、及びn型半導体材料としての本発明のフラーレン誘導体を含有し、バルクヘテロジャンクション構造を有する半導体薄膜層(すなわち、光電変換層)である。このような構造の太陽電池において、有機発電層以外の各層の材料としては、公知の材料を適宜使用できる。具体的には、電極の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、及び酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。電荷輸送層の材料としては、例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルフォネート))等が挙げられる。
光センサー
上記のように、本発明で得られる光電変換層は、デジタルカメラの高機能製品における、イメージセンサー用受光部として有効に機能する。従来のシリコンフォトダイオードを用いた光センサーに比較して、明るいところで白トビが起こらず、また暗いところでもはっきりした映像を得ることができる。このため、従来のカメラより高品位の映像を得ることができる。光センサーは、シリコン基板、電極、光受光部(当該光受光部は、光電変換層からなる。)、カラーフィルター、及びマイクロレンズから構成される。当該受光部の厚さは数100nm程度であることができ、従来のシリコンフォトダイオードの数分の1の厚さで構成され得る。
電界効果型コンデンサ
また、本発明の、フラーレン誘導体(1)を含有するn型半導体材料は、耐酸性を有するので、電界効果型コンデンサ(例、有機電界効果トランジスタ(OFET))用のn型半導体材料として有用である。
本発明の一態様は、n型半導体材料を含有する薄膜を有する電界効果型コンデンサである。
当該薄膜は、公知の方法に準じて製造できる。
具体的には、例えば、フラーレン誘導体(1)を、有機溶媒に溶解し、スピンコート法、キャスト法、ディッピング法、インクジェット法、及びスクリーン印刷法等の公知の薄膜形成方法によって、例えばp型ドープ基板上に薄膜を形成することにより、本発明のフラーレン誘導体を含有するn型半導体薄膜が得られる。
当該有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、二硫化炭素、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン及びトリクロロベンゼン等を用いることができる。当該溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子輸送材料
本発明の組成物は、電子輸送材料として好適に使用できる。すなわち、本発明の組成物は、電子輸送材料であることができ、及び、本発明の一態様は、電子輸送材料である。
電子輸送層
本発明の電子輸送層は、本発明の電子輸送材料を含有する。
ペロブスカイト太陽電池
本発明のペロブスカイト太陽電池は、本発明の電子輸送層を備える。
また、本発明の、フラーレン誘導体(1)からなるn型半導体材料は、空気中での安定性が高いので前記の用途の他にも、半導体材料(これは、n型半導体材料を包含する)として、種々の用途(例、発光素子(例、EL素子)、熱電素子、集電材料、圧電材料)に有用である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
n型半導体材料用の化合物として、以下のC60フラーレン誘導体、及びC70フラーレン誘導体を用意した。
化合物を表す各略号における数字「60」、及び「70」は、それぞれ、C60フラーレン、及びC70フラーレンを表す。
機能評価(太陽電池)
以下に示す手順により太陽電池を作製し、性能評価を行なった。
n型半導体材料として表1に記載の各材料を用い、p型半導体材料としてPTB7を用い(重量比1.5:1)、電荷輸送層材料としてPEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルフォネート))を用い、及び電極として、ITO(酸化インジウムスズ)(陽極)及びアルミニウム(陰極)を用いて、後記の方法で試験用太陽電池を作製し、及びその性能を評価した。
なお、表1中のモル%は、C60フラーレン誘導体、及びC70フラーレン誘導体の合計量を100モル%とした場合の値である。
(1)試験用太陽電池の作製
以下の手順により試験用太陽電池を作製した。
1)基板の前処理
2)PEDOT:PSS薄膜の作製
スピンコート法製膜装置を用い、前記1)で前処理を施したITOガラス板上に、PEDOT:PSS混合溶液から、電荷輸送層としてのPEDOT:PSS薄膜を形成させた。
形成されたPEDOT:PSS薄膜の膜厚が約30nmになるようにスピンコートした。
3)アニーリング
前記2)で得た、表面上にPEDOT:PSS薄膜を配置されたITO板を、135℃、及び大気雰囲気の条件下でホットプレートの上に置いて、10分間、アニーリングした。アニーリング後、室温まで冷却した。
4)有機半導体膜の作製
PTB7とn型半導体材料を含有する溶液を、前記PEDOT:PSS薄膜上にスピンコートして、厚さ約100〜150nmの有機半導体薄膜(光変換層)を有する積層体を得た。
前記溶液における溶媒としては、ジクロロベンゼン(ジヨードオクタンを3%(v/v)添加)を用いた。
5)金属電極の真空蒸着
小型高真空蒸着装置を用い、前記4)で作製した積層体を高真空蒸着装置中のマスクの上に置き、陰極として30nmのカルシウム層と80nmのアルミニウム層を順次蒸着した。
(2)擬似太陽光照射による電流測定
擬似太陽光照射による電流測定には、ソースメーター、電流電圧計測ソフト及び疑似太陽光照射装置を用いた。
前記(1)で作製した各試験用太陽電池に対して100mWの疑似太陽光を照射して、発生した電流と電圧を測定して、以下の式によりエネルギー変換効率を算出した。
エネルギー変換効率の測定結果を表1に示した。尚、変換効率は、下記式により求めた値である。
変換効率η(%)=FF(Voc×Jsc/Pin)×100
FF:曲線因子、Voc:開放電圧、Jsc:短絡電流、Pin:入射光強度(密度)
比較例1−1、比較例1−2、及び参照例1−1を対比すると、60MNPに、同種の誘導体70MNPを添加した場合も、異種の誘導体70PNPを添加した場合も、いずれも、エネルギー変換効率が低下したことが理解される。
実施例2−1、実施例2−2、参照例2−1、及び参照例2−2を対比すると、60HNPを用いた場合に比べて、70HNPを用いた場合はエネルギー変換効率がかなり低いにも関わらず、60HNPに同種の誘導体70HNPを添加した場合、60HNPのみを用いた場合と同等にエネルギー変換効率が維持されたことが理解される。
同様に、異種の誘導体70PNPを添加した場合も、60HNPのみを用いた場合と同等にエネルギー変換効率が維持された。
実施例3−1、及び参照例3−1を対比すると、60PNPに同種の誘導体70PNPを添加した場合、60PNPと同等にエネルギー変換効率が維持されたことが理解される。

Claims (13)

  1. 式(1):
    [式中、
    Arは、
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
    は、
    ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
    ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
    芳香族基を表し;及び
    環Aは、
    C60フラーレンを表す。]
    で表されるC60フラーレン誘導体;及び
    式(2):
    [式中、
    Arは、
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、及びシアノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアリール基を表し;
    は、
    ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルキル基、
    ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアリール基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、又は
    芳香族基を表し;及び
    環Aは、
    C70フラーレンを表す。]
    で表されるC70フラーレン誘導体
    を含有する組成物。
  2. Arが、フェニル基である請求項1に記載の組成物。
  3. が、アルキル基、又はフェニル基である請求項1、又は2に記載の組成物。
  4. Arが、フェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. が、アルキル基、又はフェニル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. Ar、及びArが、同一であり、且つR、及びRが同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含有するn型半導体材料。
  8. 有機薄膜太陽電池用である請求項7に記載のn型半導体材料。
  9. 請求項8に記載のn型半導体材料を含有する有機発電層。
  10. 請求項9に記載の有機発電層を備える光電変換素子。
  11. 有機薄膜太陽電池である、請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 電界効果型コンデンサ用である、請求項7に記載のn型半導体材料。
  13. 請求項12に記載のn型半導体材料を含有する薄膜を有する電界効果型コンデンサ。
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