以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を各構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これら各図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率,各構成要素の相対的な位置関係等に関し、図示の形態のみに限定されるものではない。
図1〜図15は、本発明の一実施形態を示す図である。このうち、図1は、本発明の一実施形態の内視鏡用コネクタが適用される内視鏡装置の構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態の内視鏡用コネクタを取り出して示す斜視図である。図3は、図2の矢印[3]方向から見た平面図である。図4は、本実施形態の内視鏡用コネクタにおいて第2ケース体を取り外した内部構成を示す斜視図である。図5は、図4の矢印[5]方向から見た平面図である。図6は、図2の矢印[6]で示す平面に沿う断面図である。図7は、図6の符号[7]−[7]線に沿う断面図である。図8は、図6の符号[8]−[8]線に沿う断面図である。図9は、図6の符号[9]−[9]線に沿う断面図である。図10は、図6の符号[10]−[10]線に沿う断面図である。
図11は、本実施形態の内視鏡用コネクタにおける電子回路基板を収納した状態のシールドケースを取り出して示す斜視図である。図12は、図11のシールドケースのみを示す斜視図である。図13は、図12の矢印[13]方向から見た平面図である。図14は、図11のシールドケースに収納される電子回路基板のみを取り出して示す平面図である。図15は、本実施形態の内視鏡用コネクタの筐体内部においてシールドケースが固定保持されるメインフレーム部材のみを取り出して示す斜視図である。
まず、本実施形態の内視鏡用コネクタが適用される内視鏡装置の概略を、主に図1を用いて以下に説明する。
内視鏡装置1(以下、内視鏡と略記する)は、図1に示すように、観察対象部位(例えば大腸等)の管腔内へ挿入する細長の長尺部材としての挿入部2と、この挿入部2の基端部に連設された操作部3と、この操作部3の側面より延設された複合ケーブルであるユニバーサルケーブル4と、このユニバーサルケーブル4の端部に設けられ光源装置と一体のビデオプロセッサ(不図示)である外部装置に対し着脱自在に構成され接続された時には、上記内視鏡1と上記外部装置との間の電気的及び機械的な接続を確保する医療機器用コネクタである内視鏡用コネクタ5と、によって主に構成されている。
内視鏡1の挿入部2は、先端側に撮像ユニットが内蔵された先端部6を有し、この先端部6の後部に湾曲自在な可動部としての湾曲部7が連設されている。さらに、この湾曲部7の後部に軟性の管状部材より形成される長尺で可撓性を有する可撓管部8が連設されている。この挿入部2の可撓管部8は、基端部が操作部3の折れ止め部9と接続されている。
内視鏡1の操作部3は、上記折れ止め部9と連設され、使用者(ユーザ)が使用時に把持する把持部10を備えており、挿入部2内に配設されている処置具チャンネル(不図示)の基端開口を構成する処置具挿入口11が折れ止め部9と把持部10との間の連設部分に設けられている。また、操作部3の把持部10には、挿入部2の湾曲部7の湾曲操作を行う2つの湾曲操作ノブ15と、これら湾曲操作ノブ15を所望の回転位置で固定するための固定レバー16とからなる湾曲操作部17が配設されている。さらに、把持部10には、各種の内視鏡機能を操作するための複数のスイッチ類13,14等が設けられている。
内視鏡1のユニバーサルケーブル4には、操作部3,内視鏡用コネクタ5とに接続される両端部分の外周部を被覆するように、接続強度を維持し捩れなどによる損傷を防止するための折れ止め部材18,19が配設されている。
なお、内視鏡用コネクタ5は、内視鏡1を外部装置(不図示のビデオプロセッサ等)に対して接続して電気信号を伝送するための接続用ユニットである。
次に、本実施形態の内視鏡1に適用される内視鏡用コネクタ5の構成について、図2〜図15を用いて以下に説明する。
ここで、本実施形態の内視鏡用コネクタ5は、ユニバーサルケーブル4の終端となる内視鏡1の基端に配設されているため、ユニバーサルケーブル4に接続される側を先端(前方)というものとし、外部装置(不図示)に接続される側を基端(後方)というものとする。また、内視鏡用コネクタ5は、施術室に載置された外部装置に接続されるため、当該外部装置に接続された状態で規定される上下左右方向を基準として以下の説明にも適用する。
本実施形態の内視鏡用コネクタ5は、図2及び図3に示すように、基端側から順に、2段連設形成され外径が異なり略円柱状からなり一体形成された2つの電気コネクタ部(電気コネクタ)21,22を有する電気プラグ部28と、前方側(基端側)の電気コネクタ部22に連設され略円筒状からなり当該内視鏡用コネクタ5の外装の一部を形成する第1外装部材であるコネクタケース23と、折れ止め部材19に向けて前方へ径が細くなった管状の第2外装部材であってユーザが主に右手で把持する把持部となるコネクタカバー24とによって外装筐体の主要部が形成されている。つまり、換言すると、外装部材(23,24,28)は、本内視鏡用コネクタ5の外装を形成している。
電気プラグ部28を構成する2つの電気コネクタ部21,22は、後方側の電気コネクタ部(以下、第1電気コネクタ部という場合もある)21が前方側の電気コネクタ部(以下、第2電気コネクタ部という場合もある)22よりも小さい外径を有している。
第1電気コネクタ部21は、第2電気コネクタ部22の端面(基端面)から突起するように形成されており、複数の第1電気接点(不図示)が外周部の周面一部に周方向に沿って並設されている。また、第1電気コネクタ部21の端面(基端面)からは、外部装置からの照明光が入射されるライトガイド口金26と、外部装置からの気体が送気される送気口金27が延設されている。
第2電気コネクタ部22にも、複数の第2電気接点33(図2,図4等参照:図3,図5では不図示)が外周部の周面一部に周方向に沿って並設されている。
コネクタケース23は、中央部分の両側部に平面形成された2つの口金配置面37を備え、一方の口金配置面37には送水口金38と加圧管口金39とが設けられ(図7参照)、他方の口金配置面37には前方送水口金40と吸引口金41等が設けられている(図2等参照)。また、コネクタカバー24の外周部の側部中途部分には、漏水検知口金43が設けられている。内視鏡用コネクタ5の外部構成は以上である。
次に、上記内視鏡用コネクタ5の内部構成について説明する。上述したように、本内視鏡用コネクタ5の外装筐体は、電気プラグ部28と、2つの外装部材、即ちコネクタケース23(第1外装部材)とコネクタカバー24(第2外装部材)とによって構成される。
電気プラグ部28の内部には、2つの電気コネクタ部(21,22)の複数の電気接点(33等)と、これら複数の電気接点と電気的に導通される複数の接点ピン(不図示)と、これら複数の接点ピンが半田付け固定され円盤形状からなる複数の電気基板71等とが設けられている。なお、電気プラグ部28の内部構造については、例えば国際公開番号WO2011/052408号公報等によって開示されている従来の内視鏡用コネクタと同様である。したがって、ここでは、その詳細説明は省略する。
また、上記2つの外装部材(23,24)の内部構造についても、上記国際公開番号WO2011/052408号公報等によって開示されている従来の内視鏡用コネクタと略同様である。したがって、その詳細説明は省略し、主に異なる部分について以下に説明する。
上記2つの外装部材(23,24)の内部には、メインフレーム部材50等と、電気的構成部材(電気部材)であり内部に電子回路基板(以下、単に回路基板という)86を収納するシールド部材であるシールドケース77等が収納配置されていると共に、流体配管(送気送水管路)や光学的伝送部材(ライトガイドケーブル)が挿通している。
メインフレーム部材50は、例えば金属製の板ブロックを切削加工したりダイキャスト(金型鋳造)等により形成されたもの若しくは板状金属部材を折り曲げ加工等によって形成された板状部材である。
メインフレーム部材50は、図15に示すように、一端に例えばコネクタケース23(第1外装部材)等の固定部分に対してビス固定される接続固定部58を有し、他端に後述する円環部材52が配設される円環部材配設部53を有して形成される。また、メインフレーム部材50は、コネクタケース23(第1外装部材)内の所定の位置に固定配置したとき当該コネクタケース23から外部へ突出するように配置される突出部51(図4,図5参照)を有して形成されている。さらに、メインフレーム部材50の突出部51には、上記コネクタケース23(第1外装部材)の外部において、当該メインフレーム部材50に対する上記シールドケース77(電気部材)の位置決めをするときに当該シールドケース77の一部が当接する当接部54が形成されている。
上記当接部54は、当該メインフレーム部材50における上記一端と上記他端との間の領域であって、上記他端寄りの所定の部位に形成されている。この当接部54は、コネクタケース23(第1外装部材)の外部において、上記メインフレーム部材50(板状部材)に対して上記シールドケース77(電気部材)を位置決めするのに際し、シールドケース77(電気部材)のストッパ部77d(後述する)が当接する部位となる。このとき上記当接部54は、シールドケース77を位置決め固定するための位置決め部として機能している。つまり、シールドケース77は、上記当接部54によって、上記メインフレーム部材50に対する位置が位置決めされる。
そして、この当接部54の平面部(当接面)は、後述するシールドケース77のストッパ部77dと対面するように、これと平行な面となるように、長手軸に対しては略垂直となるように形成されている。また、上記当接部54は、当該内視鏡用コネクタ5にメインフレーム部材50が組み付けられた状態となったとき、コネクタケース23よりも外部に露出する位置、即ち上記メインフレーム部材50における突出部51に、若しくはコネクタケース23の内部に配置された場合にも少なくとも外部から目視確認が可能な位置に配置されるように形成されている。
なお、コネクタケース23(第1外装部材)よりも外部に露出するシールドケース77(電気部材)及びメインフレーム部材50の少なくとも上記突出部51は、コネクタカバー24(第2外装部材)によって覆われるように構成されている。
また、メインフレーム部材50は、幅方向に略中央部分において長手軸方向に沿って延びる凹状溝部59が形成されている。この凹状溝部59には、各種管路等が配設される。上記円環部材52は、ライトガイドバンドル,信号ケーブル,流体用チューブ等の内蔵物を挿通し、これらを保持する部材である。
そして、メインフレーム部材50の一面には、内部に回路基板86を収納固定する電気基板ボックスでありシールド部材であるシールドケース77が、例えばビス50b(図4等参照)によるビス止め等によって固定されている。この場合において、シールドケース77内の回路基板86上に実装された接続コネクタ88(プラグ側)が、上記電気プラグ部28側の電気基板(71等)上に実装された受側接続コネクタ73(ソケット側)に嵌合接続している。これにより、シールドケース77内の回路基板86と、上記電気プラグ部28との間の電気的接続が確保されている。
そして、上記回路基板86からは図示を省略しているが信号ケーブルが延出されていて、この信号ケーブルは、ユニバーサルケーブル4内に挿通配置される各種電気ケーブルと電気的に接続されている。つまり、上記回路基板86は、内視鏡1の電気信号を伝送するための基板である。
ここで、シールドケース77と回路基板86は、図11〜図14に示すように構成されている。
まず、シールドケース77は、図11〜図13に示すように、金属製の薄板部材を折り曲げ加工して内部空間を有するように矩形状に形成され一つの平面が開口した形態の筐体であり、電磁両立性(EMC;ElectroMagnetic Compatibility)対策のために設けられる。
このシールドケース77の内部には、電気プラグ部28との電気的な接続を確保するための接続コネクタ88が一端縁部に実装された回路基板86が収納配置されている。そのために、シールドケース77において、長手方向(図11の矢印X方向)の一端縁部には、コネクタ収納部77aが形成されている。このコネクタ収納部77aは、シールドケース77の一平面から長手方向に対して直交する一方向(図11の矢印Y方向)に向けて突設した形状に形成されている。そして、コネクタ収納部77aの長手軸方向の一面にはコネクタ開口77b(図12参照)が開口している。このコネクタ開口77bは、当該シールドケース77の内部に収納配置される回路基板86の上記接続コネクタ88の接続端子88a(図14参照)を外部に露出させるために形成される開口部である。
一方、シールドケース77において、上記コネクタ収納部77aが形成されている側の一平面に対向する他平面は開口している。この開口は、上記回路基板86を当該シールドケース77内に配置するための開口である。なお、この開口は、当該シールドケース77が、上述したようにメインフレーム部材50に固定配置されたとき、メインフレーム部材50によって遮蔽されるように構成されている。
また、この構成とは別に、上記シールドケース77の開口を塞ぐように形成された別のシールドケース部材(不図示)をさらに配置するような形態としてもよい。即ち、上記回路基板86に対しては、一方の平面を覆うように上記シールドケース77を配置すると共に、同回路基板86の他平面を覆うように上記別のシールドケース部材(不図示)を配置することによって、上記回路基板86を、上記シールドケース77と上記別のシールドケース部材とによって挟持するように構成する。そして、この形態とした場合、上記別のシールドケース部材が上記メインフレーム部材50に対して固定配置される。このような形態によって、さらに有効な電磁妨害波の漏洩を抑止する対策とすることができる。
他方、シールドケース77において、長手方向に対して直交する方向(図11の矢印Z方向;ケース幅方向)の両側面には、長手方向中程の部位に切欠開口77cが形成されている。この切欠開口77cには、後述するように、当該シールドケース77の内部に収納配置される回路基板86の接続部86aを外方(ケース側方)に向けて突出させた状態に配設し得る部位となる。
さらに、シールドケース77の上記両側面において、長手方向他端(コネクタ収納部77aとは反対側の端部)寄りの部位には、切片状のストッパ部77dが設けられている。このストッパ部77dは、シールドケース77の両側面から、長手方向に対して直交する方向(図11の矢印Z方向)に向けて突出するように折り曲げられて形成される切片状部位である。このように形成されるストッパ部77dは、詳細は後述するが、当該シールドケース77を、本内視鏡用コネクタ5の上記外装筐体(28,23,24)の内部に収納配置するときに、メインフレーム部材50の当接部54に対してシールドケース77を位置決めするために設けられる構成部である。なお、ストッパ部77dは、上記コネクタ収納部77aの突出方向とは反対側に突出する領域に設けられている。そして、このストッパ部77dの平面部は、上記メインフレーム部材50の当接部54と対面するように、これと平行な面となるように配置されている。また、上記ストッパ部77dは、当該内視鏡用コネクタ5内に組み付けられた状態となったときに、コネクタケース23よりも外部寄りに露出する位置、若しくはコネクタケース23の内部にあっても少なくとも外部から目視確認が可能な位置に配置されるように形成されている。
そして、シールドケース77の四隅部には、当該シールドケース77に対して回路基板86をビス85a(図11参照)によってビス止め固定するためのビス挿通用穴77eが形成されている。
このように構成されたシールドケース77(シールド部材)は、回路基板86の少なくとも一部の領域の接続部86aを外方に突出させつつ、接続部86a以外の領域を覆って収納する。
回路基板86は、図14に示すように、全体として平板形状に形成された硬質基板である。この回路基板86には、各種の電子部品が複数実装されており、各種の電子回路が形成されている(その図示は省略している)。ここで、上記回路基板86上に実装される電子回路の一例としては、例えば内視鏡1の撮像ユニットからの撮像信号を取り扱う回路等がある。
上記回路基板86には、一端縁部に接続コネクタ88が半田付け等によって実装配置されている。この接続コネクタ88は複数の接続端子88aを有して構成されている。そして、これら複数の接続端子88aは、当該回路基板86の長手方向の一端部の外方に向けて並べて配置されている。ここで、複数の接続端子88aを有する接続コネクタ88はプラグ側(オス側)とされている。
回路基板86には、その両側縁部から長手方向に対して直交する方向(幅方向)の外方に向けて(ケース側方に向けて)突出するような形態の接続部86a(図14において斜線で示す部分参照)が形成されている。この接続部86aには、電気信号のための配線が配置されていない。そして、回路基板86がシールドケース77の内部の所定の位置に配置されたとき、回路基板86の実装面及び上記接続コネクタ88を含む各種の電子部品の外面は、上記シールドケース77によって覆われるように構成されている。また、回路基板86の他面は、上述したように、当該内視鏡用コネクタ5に組み付けられた状態においては、上記メインフレーム部材50によって、若しくは上記別のシールドケース部材(不図示)によって外面が覆われるように構成されている。上記シールドケース77及びメインフレーム部材50は、いずれも金属製部材によって形成されていることから、回路基板86から発生する電磁妨害波を遮蔽する機能を有している。
この場合において、上述したように、回路基板86をシールドケース77の内部の所定の位置に固定配置したとき、接続部86aが外部に突出した形態となる。このとき接続部86aには電気的配線が配置されていないので電磁妨害波が出射することはない。また、上記回路基板86の接続部86aの突出を回避するためにシールドケース77に形成される切欠開口77cのサイズは、次に示すように設定されている。
電磁妨害波の出射を有効に遮蔽するためには、ケースの隙間寸法が1/2波長未満に設定されていればよいことが知られている。ここで、回路基板86に実装される電子回路としては、上述したように、例えば内視鏡1の撮像ユニットからの撮像信号を取り扱う回路等がある。この種の電子回路から出射される電磁妨害波は、例えば最大周波数1000MHz程度のものであることがわかっている。この場合、周波数1000MHzの電磁妨害波の波長は、約299.8mmとなる。したがって、これに対する1/2波長は、約149.9mmである。
したがって、上記切欠開口77cについては、例えば図13の符号Lで示す寸法として、具体的には149.8mm未満に設定すればよい。本実施形態における内視鏡用コネクタ5においては、実際の製品寸法等を勘案して、切欠開口77cの寸法L=40mm程度とすることが可能である。
なお、各種の要因によって、隙間寸法を1/2波長未満に設定したとしても電磁妨害波の出射を完全に抑止することができない場合もあり得る。したがって、そのような場合には、例えば、導電性を有する軟性素材(例えばスポンジ状等)のガスケット等を、切欠開口77c等の隙間に配置する等、電磁妨害波の漏洩を抑止するさらなる対策を行ってもよい。
そして、回路基板86の四隅部には、図14に示すように、上記シールドケース77に対して当該回路基板86をビス85a(図11参照)によってビス止め固定するためのビス挿通用穴86bが形成されている。
一方、コネクタケース23の内部には、上述したように、シールドケース77の一部とメインフレーム部材50の一部とが配設固定されている。このコネクタケース23(外装部材)の内部の内側壁面において、上記シールドケース77の両側面に各対向する部分には、図9等に示すように、シールドケース77(シールド部材)から外方に突出する回路基板86の接続部86aをコネクタケース23(第1外装部材)に対して位置決めさせる案内部が配置されている。この案内部は、上記接続部86aの挿入経路を形成し、内壁面の断面が凹形状となる凹溝状のレール部23aである。なお、上記案内部(レール部23a)によって位置決めされた回路基板86に、電気信号を伝送する接続コネクタ88が実装されている。さらに、上記案内部(レール部23a)によって位置決めされた回路基板86は電気コネクタの受側接続コネクタ73に連結され、受側接続コネクタ73は接続コネクタ88を介して電気信号を伝送する。
ここで、コネクタケース23において、少なくとも上記レール部23aが形成されている部位は、樹脂素材で構成されている。本実施形態に例示する内視鏡用コネクタ5においては、コネクタケース23自体を樹脂製の部材で構成している。したがって、コネクタケース23の内面側の所定の部位を凹溝状に一体成形することで、容易に案内部であるレール部23aを形成することができる。なお、レール部23aの構成はこの例に限られることはない。例えば凹溝状のレール部23aを備えた構成部材を別部品として製造し、これを既存のコネクタケースの内壁面に対して貼着手段等によって取り付けるといった構成でもよい。
このように構成された本実施形態の内視鏡用コネクタ5においては、シールドケース77は、上記電気プラグ部28と2つの外装部材(23,24)とによって構成される外装筐体の内部に配設されている。このような形態に組み立てを行なうには、次のような手順となる。即ち、まず、電気プラグ部28とコネクタケース23とが組み立てられ、かつその内部にメインフレーム部材50が所定の位置に所定の手段で固定された状態の構成ユニットに対して、上記シールドケース77を、接続コネクタ88を先頭として、コネクタケース23の開口部側から内部へ向けて、長手方向にメインフレーム部材50の一面に沿わせるようにして挿入する手順となる。
このとき、回路基板86の接続部86aがシールドケース77の両側面から外方であってケース側方に向けて突出しているので、この接続部86a(両サイド共)をコネクタケース23の(内壁面両サイドの)上記レール部23aに係合させる。その状態で、上記シールドケース77を長手方向に押し込めば、当該シールドケース77は、上記レール部23aに案内されて、スムースに内部へと導入される。これにより、接続コネクタ88(プラグ側)は、コネクタケース23を介して奥まった部位に配置されている受側接続コネクタ73(ソケット側)に対して嵌合接続される。
なお、ここで、上記接続コネクタ88(プラグ側)と受側接続コネクタ73(ソケット側)とには、例えばフローティング構造を有するコネクタが使用されている。このフローティング構造のコネクタとは、上記両コネクタ88,73が嵌合接続して、両者間における電気的な接続が確実に確保されている状態となったとき、両コネクタを構成する各部材同士が当接状態とはならず、両者間における相対的な位置に若干の余裕、即ち隙間を持たせた形態とする構造である。このように、嵌合接続状態にある両コネクタ間に若干の余裕(隙間)を持たせることにより、接続部分において吸収できる嵌合誤差を確保することができ、より安定した電気的接続を実現することが可能になる。
なお、両コネクタ88,73が嵌合状態とされたときにも、接続部86aとレール部23aとは少なくとも係合状態を保持しているのが望ましい。
そうして、上述のように、両コネクタ88,73の嵌合状態が確実となったとき、シールドケース77のストッパ部77dの平面は、メインフレーム部材50の当接部54の平面に当接した状態で配置される。この場合において、上記ストッパ部77dと上記当接部54との当接状態は、目視可能となるように構成されている。つまり、上記ストッパ部77dと上記当接部54とは、シールドケース77側の接続コネクタ88と内部側の受側接続コネクタ73とが嵌合接続して組み付け状態が完了した状態となったとき、目視確認可能な位置で当接状態となるように構成が工夫されている。
そして、さらに、上記ストッパ部77dと当接部54とが当接する時、例えば当接音や当接感(いわゆるクリック感等)を得ることができる。このことにより、使用者(ユーザ)は、目視確認に加えて、両部材が当接した時の音や感触を感覚的に受けることができるので、より確実に嵌合接続状態を確認することができるようになっている。
なお、シールドケース77は、上述したように、金属製等の導電性素材によって形成されている。したがって、当該シールドケース77の一部であるストッパ部77dも導電性を有して形成されている。
一方、メインフレーム部材50も、上述したように、金属製等の導電性素材によって形成されている。そして、このメインフレーム部材50は、当該内視鏡用コネクタ5のグランドと電気的に接続されている。したがって、当該メインフレーム部材50の一部である当接部54も導電性を有して形成されている。
そして、上述したように、いずれも導電性を具備したストッパ部77dと当接部54とを、目視確認可能な位置で当接状態とさせ、さらに、その状態で両者をビス50b(図4参照)によって共締めすることによって、両者の接触状態を確実に確保し得る構成となっている。この構成により、EMC対策としてのシールドケース77と、当該内視鏡用コネクタ5におけるグランドとを、確実に接触させることができる構成となっている。
こうしてメインフレーム部材50に対するシールドケース77の位置決めがなされたら、その状態において、シールドケース77をメインフレーム部材50に対してビス止め固定する。このとき、シールドケース77をメインフレーム部材50にビス止め固定するためのビス50bは、その軸方向が、当該内視鏡用コネクタ5の長手方向であり、上記シールドケース77の導入方向に一致させてある。したがって、スクリュードライバー等の工具を軸方向(長手方向)に差し込むことが容易な構成となっている。
なお、保守点検若しくは修理等のために、当該内視鏡用コネクタ5を分解したり、再組み立てを行なう際にも、シールドケース77の挿抜は、回路基板86の接続部86aとコネクタケース23のレール部23aとを係合させることで、容易にかつ精度良く確実に行うことが可能である。
以上説明したように上記一実施形態によれば、内視鏡用コネクタ5における外装筐体(電気プラグ部28,コネクタケース23,コネクタカバー24)内部に回路基板86を収容した状態のシールドケース77を収納配置する場合において、シールドケース77側(の回路基板86)の接続部86aをコネクタケース23側のレール部23aに係合させて、これに沿わせて上記接続部86aを摺動させることで、上記シールドケース77を外装筐体(コネクタケース23)の内部へと導入案内させることができる。そして、これにより、シールドケース77側の回路基板86の接続コネクタ88を、上記外装筐体(主にはコネクタケース23)の奥まった位置に配設されている(電気プラグ部28側の)受側接続コネクタ73に対して、容易にかつ精度良く確実に嵌合接続させることができる。この場合において、特に幅方向に対する高精度な嵌合接続を実現できる。
シールドケース77の内部に収納される回路基板86の一部に接続部86aを設けると共に、これに対応させて、コネクタケース23の内部の対応位置に案内部であるレール部23aを形成するのみで、部品点数を増加させることなく、両コネクタ88,73の位置関係を規定し、容易な嵌合接続を確保することができる。
シールドケース77の内部に収納される回路基板86上に実装された接続コネクタ88と、これに対応する受側接続コネクタ73との位置関係を規定するのに際し、回路基板86の一部(接続部86a)を直接、外装筐体の一部(レール部23a)によって案内するように構成したので、両コネクタ88,73の間に介在する部材を減らすことができ、よって両コネクタ88,73間に累積する公差を小さく抑えることができる。したがって、両コネクタ88,73間のより高精度な嵌合接続を確保することができるようになる。
また、両コネクタ88,73が嵌合接続したとき、両コネクタ88,73がそれぞれ固定されている部材(シールドケース77とメインフレーム部材50)の各一部(ストッパ部77dと当接部54)が当接するように構成し、その当接部位を上記外装筐体の外部の目視確認可能な位置に形成している。この構成により、奥まった位置にある受側接続コネクタ73に対し回路基板86上の接続コネクタ88を嵌合接続させるのに際し、コネクタ同士の接続部位を直接目視確認できない場合でも、上記固定部材同士の当接部位を目視確認することによって、両コネクタ88,73が嵌合接続されていることを確認することができる。特に、長手方向における両コネクタ88,73間のより高精度な嵌合接続を確保することができるようになる。
したがって、これにより、例えばシールドケース77側の接続コネクタ88の押し込みが足りずに接続不良になったり、押し込み過ぎて両コネクタ88,73に不要な負荷をかけてしまうようなことがなく、コネクタ部材の部品損傷等を抑止することができ、容易にかつ高精度な接続コネクタ88,73の嵌合接続を行うことができる。したがって、内視鏡用コネクタ5の組み立て作業性を向上させることができ、製造工程の効率化、若しくは修理メンテナンス性の向上に寄与することができる。
さらに、シールドケース77とメインフレーム部材50との当接(接触)状態を確実に確保することによって、上記両コネクタ88,73の嵌合接続を確保すると同時に、EMC対策としてのシールドケース77と当該内視鏡用コネクタ5におけるグランドとを確実かつ安定した状態での接触を確保できる。したがって、これにより、回路基板86からの電磁妨害波の漏洩及び同回路基板86への外部からの電磁妨害波の進入を軽減することができ、EMC性能の向上に寄与することができる。
なお、上述した一実施形態においては、回路基板86に実装された接続コネクタ88をプラグ形状とし、これに対応する受側接続コネクタ73をソケット形状とした例を示しているが、この構成例に限られることはない。例えば、回路基板86側の接続コネクタ88をソケット形状とし、受側接続コネクタ73をプラグ形状として構成してもよく、この場合にも、上記一実施形態と全く同様の作用及び効果を得ることができる。
また、上述の一実施形態においては、シールドケース77に収納した回路基板86側の接続部86aを外方に向けて突出させた形態とし、外装筐体の一部であるコネクタケース側に設けた案内部でありレール部23aを凹溝状に形成した例を示しているが、この構成例に限られることはない。例えば、シールドケース及び回路基板側に凹状部を構成し、これに対応させて外装筐体であるコネクタケース側に凸状部を構成する形態でもよい。
図16,図17は、本発明の一実施形態の変形例を示す図である。このうち図16は、本変形例におけるシールドケース(回路基板を収納した状態)を取り出して示す斜視図である。図17は、本変形例のシールドケースの接続部とコネクタケースの案内部との係合状態を示す要部拡大断面図である。なお、図17は、上記一実施形態における図9の要部拡大断面図に準じ、これに相当する部位を拡大して示す図である。
図16に示すように、本変形例におけるシールドケース77Aには、その両側縁部から長手方向に対して直交する方向(幅方向;図16の矢印Z方向)の外方に向けて(ケース側方に向けて)突出するような形態の第2接続部77xが形成されている。
この第2接続部77xは、当該シールドケース77Aの内部に収納配置される回路基板86の接続部86aに対し、図16の矢印Y方向に所定寸法だけずれた位置において、上記接続部86aと平行に形成されている。したがって、この構成により、シールドケース77に回路基板86を収納固定した状態(図16の状態)では、上記回路基板86側の接続部86aと上記第2接続部77xとの間には、所定の寸法幅の凹状部77wが形成されることになる。ここで、凹状部77wのサイズは、図16の矢印X方向の長さ寸法は、回路基板86の接続部86aと同等の長さ寸法が確保されている。また、図16の矢印Y方向の隙間寸法は、例えば後述するコネクタケース23Aの案内部となる凸状部23Aaの凸幅寸法よりも若干大となるように設定される。
本変形例において、シールドケース77Aのその他の構成は、上述の一実施形態と同様である。また、本変形例における回路基板86の構成は、上記一実施形態と全く同じものが適用される。
一方、本変形例においては、上記シールドケース77A及び回路基板86とによって形成される凹状部77wに対応させて、コネクタケース23Aの内壁面において、上記シールドケース77Aの両側面に各対向する部分に、図17に示すように、内壁面の断面が凸形状となる凸状部23Aaが形成されている。
この凸状部23Aaは、シールドケース77の第2接続部77xと回路基板86の接続部86aとによって形成される凹状部77wを、コネクタケース23Aに対して位置決めさせる案内部であって、上記凹状部77wの挿入経路を形成している。
なお、この場合においても、少なくとも上記凸状部23Aaが形成されている部位は、樹脂素材で構成されている。上記一実施形態と同様に、本変形例においてもコネクタケース23A自体が樹脂製の部材で構成していることから、コネクタケース23Aの内面側の所定の部位を凸状に一体成形することで、容易に案内部である凸状部23Aaを形成することができる。また、本変形例の構成に対しても、凸状部23Aaの構成はこの例に限らず、例えば凸状部23Aaを別部品で構成し、これを既存のコネクタケースの内壁面に貼着して取り付けるといった構成でもよい。その他の構成は、上記一実施形態と同様である。
このように構成した上記変形例によっても、上記一実施形態と全く同様の作用及び効果を得ることが可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。