JP2017000006A - 関節リウマチ患者におけるメトトレキサートの有効性の診断を補助する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メトトレキサート(MTX)の有効性に関連する新規な一塩基多型(SNP)のマーカーセットを利用して、関節リウマチ患者におけるMTXの有効性の診断を補助する方法を提供することを課題とする。【解決手段】関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子のSNPの少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析し、その解析結果に基づいて、患者におけるMTXの有効性を判定することにより、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、関節リウマチ患者におけるメトトレキサートの有効性の診断を補助する方法に関する。
現在、関節リウマチの治療では、葉酸代謝拮抗薬として知られるメトトレキサート(MTX)が第一選択薬とされている。MTXの強力な免疫抑制作用によって関節破壊が阻止されるので、MTXは関節リウマチの症状のコントロールに大きな役割を果たしている。一般に、MTXによる治療効果は、その使用量に依存して増強するとされている。しかし、実際は、MTXの有効性には大きな個人差がある。個々の関節リウマチ患者について、治療効果の高い最適な量のMTXで治療することが望まれるが、患者におけるMTXの有効性を予測することは非常に難しい。
近年、MTXの代謝産物であるポリグルタミル化メトトレキサート(MTX-PG)の血中濃度が、MTXの有効性と関連していることが注目されている。例えば、非特許文献1及び非特許文献2には、MTXからMTX-PGへの代謝において、SLC19A1(RFC-1とも呼ばれる)、GGH及びFPGSのタンパク質分子が関与することが報告されている。具体的には、SLC19A1は、MTXの細胞内へのトランスポーターであり、GGHは、MTXをポリグルタミル化してMTX-PGに変換する酵素であり、FPGSは、MTX-PGを脱ポリグルタミル化してMTXに変換する酵素である。また、非特許文献3には、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子の遺伝子多型がMTXの有効性の判定に利用できることが報告されている。
Davila L.及びRanganathan P., Nat. Rev. Rheumatol, vol.7, p.537-550 (2011) Wessels J.A.M.ら, Arthritis Rheum, vol.56, p.1765-1775 (2007) Hayashi H.ら, J. Clin. Pharmacy Therapeutics, vol.34, p.355-361 (2009)
個々の患者についてMTXの有効性を判定できれば、その判定結果は、関節リウマチの治療方針を決定するための有用な指標となる。本発明者らは、上記の報告に鑑みて、MTXの代謝に関連するSLC19A1、GGH及びFPGSの各遺伝子のSNPを解析し、それらの解析結果に基づいてMTXの有効性を判定することを試みた。しかし、予想に反して、有効性について精度の高い判定結果を得ることができなかった。そのため、より高い精度でMTXの有効性を判定することを可能にするSNPマーカーセットのさらなる開発が求められる。
よって、本発明は、関節リウマチ患者から得た生体試料における、関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の一塩基多型(SNP)の少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析する工程と、解析結果に基づいて、上記の患者におけるMTXの有効性を判定する工程とを含む、関節リウマチ患者におけるMTXの有効性の診断を補助する方法を提供する。
本発明によれば、関節リウマチ患者について、MTXが有効であるか否かの診断を補助することを可能にする。
MTXの有効性の判定装置の一例を示した概略図である。 図1に示される判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図1に示される判定装置を用いたMTXの有効性の判定のフローチャートである。 判別式1を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式2を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式3を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式4を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式5を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式6を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 判別式7を用いて、MTXの有効性の判定を行ったときのROC曲線である。 試薬キットの一例を示した概略図である。
本実施形態に係る関節リウマチ患者におけるメトトレキサートの有効性を判定する方法(以下、単に「方法」ともいう)では、まず、関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子のSNPの少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析する。
SNPは、遺伝子多型の一種であり、ゲノムDNAの塩基配列が1カ所だけ変異した状態又はその部位を指す。SNPは、その変異が所定の母集団において1%以上の頻度で見られる点で、点突然変異とは異なるものである。本明細書では、SNPを「遺伝子多型部位における変異」ともいう場合がある。
関節リウマチ患者(以下、「RA患者」とも呼ぶ)は、関節リウマチであると診断された患者であれば特に限定されない。本実施形態に係る方法は、MTXの有効性の判定に関連することから、RA患者としては、MTXによる治療をまだ受けていない患者、及びMTXを投与されているが有効性がまだ判明していない患者が、本実施形態に係る方法の被験者として好ましい。したがって、本実施形態に係る方法は、「RA患者におけるMTXの有効性の予測する方法」と解釈することもできる。
本実施形態において、生体試料は、RA患者のゲノムDNAを含む生体由来の試料であれば特に制限されない。そのような生体試料としては、体液、尿、手術又は生検により採取した組織及び細胞などが挙げられる。体液としては、血液、血漿、血清、滑液、リンパ液、腹水、骨髄液、乳頭分泌液などが挙げられる。採取の簡便性の観点から、生体試料としては末梢血が好ましい。
本実施形態においては、生体試料からゲノムDNAを抽出することにより、測定用試料を調製することが好ましい。生体試料からのゲノムDNAの抽出方法は、当該技術において公知である。例えば、生体試料と、界面活性剤(例えばコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を含む処理液とを混合し、得られた混合液に物理的処理(撹拌、ホモジナイズ、超音波破砕など)を施して、生体試料に含まれるゲノムDNAを該混合液中に遊離させることによって、ゲノムDNAを抽出することができる。この場合、混合液を遠心分離して細胞破片を沈殿させ、遊離したゲノムDNAを含む上清を後述の検出方法に用いることが好ましい。また、得られた上清を当該技術において公知の方法により精製してもよい。なお、生体試料からのゲノムDNAの抽出及び精製は、市販のキットを用いて行うこともできる。
本実施形態においては、検出対象の遺伝子多型部位が存在する領域を含む限り、RA患者のゲノムDNAから合成されるcDNA又はcRNAを測定用試料として用いてもよい。なお、ゲノムDNAからcDNA又はcRNAを合成する方法自体は当該技術において公知である。以下、RA患者の生体試料から得られるゲノムDNA、ならびにこのゲノムDNAから得られるcDNA及びcRNAを総称して、「RA患者の生体試料由来の核酸」ともいう。
上記の各遺伝子の名称を、以下の表1に示す。なお、SLC19A1遺伝子は、RFC-1(reduced folate carrier-1)とも呼ばれる。これらの遺伝子については、解析対象のSNPを含むゲノムDNAの塩基配列自体は公知である。これらの塩基配列は、例えば米国国立医学図書館の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)により提供されるデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などの公知のデータベースから知ることができる。
本実施形態において、解析対象となるSNPを有する遺伝子の組み合わせは、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子と、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子の4遺伝子とを含む、少なくとも5つの遺伝子の組み合わせであれば特に限定されない。FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子は、特に限定されないが、FPGS遺伝子を含むことが好ましい。
本実施形態では、上記の各遺伝子について解析すべきSNPの位置及び数は特に限定されず、上記の各遺伝子について公知のSNPから適宜選択できる。好ましくは、上記の各遺伝子について、次に示される部位のSNPを解析する。FPGS遺伝子については、c.64位、c.*192位及びg.130562725位から選択される少なくとも1つの部位、好ましくはc.64位である。GGH遺伝子については、c.452位、c.-401位及びc.16位から選択される少なくとも1つの部位である。SLC19A1遺伝子については、c.696位及びc.80位である。FMO2遺伝子については、c.585位である。SLC28A3遺伝子については、c.267位である。EPHX1遺伝子については、c.357位である。PPARG遺伝子については、c.*1411位である。
上記の各遺伝子におけるSNPが存在する部位の表記について、以下に説明する。なお、この表記法は、Human Genome Variation Society (http://www.hgvs.org/)により定められたガイドラインに従っている。
FPGS遺伝子のc.64位は、FPGS遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて64番目の塩基の位置を指す。ここで、「遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の5'末端にある開始コドン(ATG)のアデニンを1番目として、下流側(3'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
FPGS c.*192位は、FPGS遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数えて192番目の塩基の位置を指す。ここで、「遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の3'末端の塩基の3'側に隣接する塩基を1番目として、下流側(3'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
FPGS g.130562725位は、ゲノムDNA上のFPGS遺伝子の塩基配列の1番目の塩基から下流側へ数えて130562725番目の塩基の位置を指す。
GGH c.452位は、GGH遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて452番目の塩基の位置を指す。
GGH c.-401位は、GGH遺伝子のコーディング配列の5'末端から上流側へ数えて401番目の塩基の位置である。ここで、「遺伝子のコーディング配列の5'末端から上流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の5'末端にある開始コドン(ATG)のアデニンの5'側に隣接する塩基を1番目として、上流側(5'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
GGH c.16位は、GGH遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて16番目の塩基の位置を指す。
SLC19A1 c.696位は、SLC19A1遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて696番目の塩基の位置を指す。
SLC19A1 c.80位は、SLC19A1遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて80番目の塩基の位置を指す。
FMO2遺伝子のc.585位は、FMO2遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて585番目の塩基の位置を指す。
SLC28A3遺伝子のc.267位は、SLC28A3遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて267番目の塩基の位置を指す。
EPHX1遺伝子のc.357位は、EPHX1遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて357番目の塩基の位置を指す。
PPARG遺伝子のc.*1411位とは、PPARG遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数えて1411番目の塩基の位置を指す。
本実施形態においては、FPGS遺伝子のSNPは、FPGS c.64A>G、FPGS c.*192A>G及びFPGS g.130562725G>Aから選択される少なくとも1つが好ましい。特に、FPGS c.64A>Gを解析することが好ましい。また、FPGS g.130562725G>AとFPGS c.*192A>Gとの間には多重共線性が認められるので、これらのうち、いずれか一方のみを解析することがより好ましい。FPGS g.130562725G>A及びFPGS c.*192A>Gのうち、いずれを選択するかは特に限定されない。
本実施形態においては、GGH遺伝子のSNPは、GGH c.452C>T、GGH c.-401C>T及びGGH c.16T>Cから選択される少なくとも1つが好ましい。GGH c.16T>CとGGH c.-401C>Tとの間には多重共線性が認められるので、これらのうち、いずれか一方のみを解析することがより好ましい。GGH c.16T>C及びGGH c.-401C>Tのうち、いずれを選択するかは特に限定されない。
本実施形態においては、SLC19A1遺伝子のSNPは、SLC19A1 c.696T>C及びSLC19A1 c.80G>Aから選択される少なくとも1つが好ましい。SLC19A1 c.696T>CとSLC19A1 c.80G>Aとの間には多重共線性が認められるので、これらのうち、いずれか一方のみを解析することがより好ましい。SLC19A1 c.696T>C及びSLC19A1 c.80G>Aのうち、いずれを選択するかは特に限定されない。
本実施形態においては、FMO2遺伝子のSNPは、FMO2 c.585A>Gが好ましい。SLC28A3遺伝子のSNPは、SLC28A3 c.267G>Aが好ましい。EPHX1遺伝子のSNPは、EPHX1 c.357G>Aが好ましい。PPARG遺伝子のSNPは、PPARG c.*1411G>Cが好ましい。
上記のSNPの表記では、「>」の左側には変異前の塩基が示され、右側には変異後の塩基が示される。例えば、「FPGS c.64A>G」は、FPGS遺伝子のc.64位におけるアデニンからグアニンへの変異を示す。
上記のSNPのゲノムDNA上の位置は、NCBIにより提供されるデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などの公知のデータベースから知ることができる。各SNPのRS番号(Reference SNP ID number)を表2に示す。表2中の配列番号1〜12は、各SNPの前の500塩基及び後の500塩基を含む計1001塩基の配列を表している。すなわち、配列番号1〜12で表される塩基配列において、501番目の塩基の位置がSNPの位置である。なお、配列番号1〜12で表される塩基配列では、SNPの位置にある塩基(501番目の塩基)は、変異前の塩基を示している。
本実施形態において、SNPの解析は、SNPの有無、すなわち、遺伝子多型部位において変異が存在するか否かを決定することであってもよい。また、SNPの解析は、対立遺伝子のSNPの数を取得することであってもよいし、SNPの有無と相関する値を取得してもよい。SNPの有無と相関する値としては、例えば、後述のSNPの解析手段により取得される測定値そのものであってもよいし、該測定値に基づいて取得される値であってもよい。測定値に基づいて取得される値は、特に限定されず、例えば、和、差、積、比、対数、統計学的代表値(例えば平均値、中央値など)などが挙げられる。また、測定値に基づいて取得される値は、所定の式などによって、上記の測定値から算出される値であってもよい。
本実施形態では、SNPの解析手段は特に限定されず、当該技術において公知のSNP検出方法及びSNPタイピング方法から適宜選択すればよい。そのような方法としては、例えば、ダイレクトシーケンス法、クエンチング・プローブ(QProbe)法(特許第4950414号参照)、マイクロアレイ法などが挙げられる。また、TaqMan(商標) SNP Genotyping Assaysのような市販のSNPタイピング用キットを用いてもよい。
ダイレクトシーケンス法では、ゲノムDNA中のSNPを含む領域を、所定のプライマーセットを用いるPCR法によって増幅し、得られた増幅産物の塩基配列を解析することによって、SNPの存否を検出する。表1に示される遺伝子はいずれも、解析対象のSNPを含むゲノムDNAの塩基配列自体は公知であるので、その塩基配列に基づいて増幅用プライマー及びシーケンス用プライマーを設計すればよい。なお、プライマーは、当該技術において公知の核酸合成法により合成することができる。
QProbe法でSNPを検出する場合は、ゲノムDNA中のSNPを含む領域を、所定のプライマーセットを用いるPCR法によって増幅し、得られた増幅産物の塩基配列に相補的な配列を有するQProbeとハイブリダイズさせる。ここで、増幅産物にSNPが存在する場合、該増幅産物とQProbeとが解離する温度が、増幅産物にSNPが存在しない場合の温度と異なるので、QProbe法では、この差を利用してSNPを検出する。なお、QProbe自体は当該技術において公知であり、一般に入手可能である。
マイクロアレイ法でSNPを検出する場合、解析用マイクロアレイは、上記のSNPが存在する領域の塩基配列に相補的な核酸プローブを、基板上に固定して作製できる。なお、このようなマイクロアレイは、当該技術において公知の方法により作製できる。マイクロアレイによる解析では、生体試料由来の核酸は、当該技術において公知の標識物質により標識されていることが好ましい。なお、標識物質としては、蛍光物質、ビオチンなどのハプテン、放射性物質などが挙げられる。また、蛍光物質としては、Cy3、Cy5、FITC、Alexa Fluor(商標)などが挙げられる。このようにDNAを標識することにより、マイクロアレイ上のプローブからのシグナルの測定が容易になる。なお、DNAをこれらの標識物質で標識する方法は、当該技術において公知である。
上記のシグナルは、マイクロアレイの種類に応じて適切なシグナルであり得る。例えば、シグナルは、マイクロアレイの各プローブとハイブリダイズしたDNA断片が存在する場合に発生する電気的シグナルであってもよいし、生体試料由来の核酸が標識されている場合は、標識物質から生じる蛍光、発光などのシグナルであってもよい。シグナルの検出は、通常のマイクロアレイ測定装置に備えられたスキャナーにより行うことができる。スキャナーとしては、例えば、GeneChip(登録商標) Scanner3000 7G(Affymetrix社)などが挙げられる。
本実施形態に係る方法では、上記の解析工程で得られた解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定する。
本実施形態においては、解析結果に基づいて、RA患者について、MTXの有効性が高いか否かを判定してもよい。ここで、MTXの有効性の判定は、RA患者に対するMTXの治療効果の予測、又は、RA患者におけるMTXでの治療反応性の予測と解釈することもできる。例えば、MTXの有効性が高いと判定された場合、患者はMTXによる治療効果が高いと予測できる。一方、MTXの有効性が低いと判定された場合、患者はMTXによる治療効果が低いと予測できる。
本実施形態では、解析結果からMTXの有効性に関する数値指標を取得し、取得した数値指標と、所定の閾値とを比較した結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定することが好ましい。MTXの有効性に関する数値指標としては、例えば、上記の各遺伝子についてのSNPの有無、SNPの数、又はSNPの有無と相関する値を多変量解析して取得される数値指標が挙げられる。そのような多変量解析により取得される数値指標としては、例えば、多重ロジスティックモデルにより算出される予測値が挙げられる。なお、多変量解析自体は、当該技術において公知であり、市販のソフトウェアを用いてコンピュータに実行させることができる。
判定は、多重ロジスティックモデルに基づいて構築された回帰式を用いて行うことができる。そのような回帰式としては、例えば、下記の式(I)の回帰式を用いることができる。この式(I)の回帰式は、連続尺度による回帰式である。判定は、解析した各SNPに関する情報を式(I)に代入して得られるP値と、所定の閾値とを比較することにより行われる。ここで、SNPに関する情報として、遺伝子座において対立遺伝子の遺伝子多型部位のいずれにも変異がない場合は「0」を、対立遺伝子の遺伝子多型部位のいずれか一方に変異がある場合は「1」を、対立遺伝子の遺伝子多型部位の両方に変異がある場合は「2」を用いることができる。これらの値を、下記の式(I)の*SNPnに代入する。b0は切片の係数、b1〜bnは各SNPの係数であり、判別に使用するSNPの種類によって適宜設定できる。
あるいは、回帰式としては、下記の式(II)の回帰式を用いてもよい。この式(II)の回帰式は、名義尺度による回帰式である。判定は、解析した各SNPに関する情報を用いて式(II)から得られるP値と、所定の閾値とを比較することにより行われる。式(II)では、SNPに関する情報は、遺伝子座において対立遺伝子の遺伝子多型部位のいずれにも変異がない場合は「WT」であり、対立遺伝子の遺伝子多型部位のいずれか一方に変異がある場合は「HT」であり、対立遺伝子の遺伝子多型部位の両方に変異がある場合は「MT」である。式(II)においては、SNPに関する情報、すなわち、判別に使用するSNPの種類及びその遺伝子型(WT、HT又はMT)によって、各SNPの係数であるb1〜bnに代入する値が異なる。b1〜bnに代入する値は、当該技術において公知の方法により算出できる。式(II)において、b0は切片の係数である。
上記の式(I)又は(II)により算出されるP値は、MTXの有効性の予測値(以下、「有効性予測値」ともいう)を示す。本実施形態においては、所定の閾値を例えば0.5と設定したとき、有効性予測値が0.5以上であれば、RA患者においてMTXの有効性が高い(又は、MTXによる治療効果が高い)と判定できる。また、有効性予測値が0.5より小さければ、RA患者においてMTXの有効性が低い(又は、MTXによる治療効果が低い)と判定できる。なお、所定の閾値は、当業者が任意に設定できる。また、上記の回帰式(I)及び(II)を、本実施形態に係る方法における有効性予測値の判別式としてもよい。
本発明には、RA患者におけるMTXの有効性の診断を補助する方法も含まれる。この方法によれば、MTXの有効性についての判定結果が医師等に提供され、医師等によるMTXの有効性の診断を補助することができる。すなわち、医師等は、MTXの有効性の判定結果に基づいて、RA患者についてMTXの有効性を診断し、MTXを投与するか否かを判断できる。また、被験者がMTXをすでに投与されているRA患者の場合は、医師等は、MTXの投与を継続するか否か、又はMTXの投与量を変更するか否かを判断できる。
本発明には、RA患者におけるMTXの有効性の判定装置も含まれる。そのような装置としては、例えば、次のとおりである。
プロセッサ及び該プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、
該メモリには、下記のステップ:
関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の一塩基多型(SNP)の少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析するステップと、
取得した解析結果に基づいて、関節リウマチ患者におけるメトトレキサート(MTX)の有効性が高いか否かを判定するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
関節リウマチ患者におけるMTXの有効性の判定装置。
また、本発明には、RA患者におけるMTXの有効性の判定をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムも含まれる。そのようなコンピュータプログラムとしては、例えば、次のとおりである。
コンピュータに読み取り可能な媒体に記録されているコンピュータプログラムであって、
下記のステップ:
関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の一塩基多型(SNP)の少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析するステップと、
取得した解析結果に基づいて、関節リウマチ患者におけるメトトレキサート(MTX)の有効性が高いか否かを判定するステップと
を該コンピュータに実行させる、
RA患者におけるMTXの有効性の判定をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
上記の媒体は、上記のコンピュータプログラムが非一時的に記録され、且つコンピュータに読取可能な媒体であってもよい。
以下に、本発明の方法を実施するのに好適な装置の一例を、図面を参照して説明する。しかし、本実施形態は、この例のみに限定されるものではない。図1は、MTXの有効性の判定装置の一例を示した概略図である。図1に示された判定装置10は、測定装置20と、該測定装置20と接続されたコンピュータシステム30とを含んでいる。
本実施形態において、測定装置20は、マイクロアレイ上のプローブと結合した核酸に基づくシグナルを検出するマイクロアレイスキャナーである。本実施形態において、シグナルは、蛍光シグナルなどの光学的情報である。測定用試料と接触させたマイクロアレイを測定装置20にセットすると、測定装置20は、マイクロアレイ上のプローブに結合した、RA患者の生体試料由来の核酸に基づく光学的情報を取得し、得られた光学的情報をコンピュータシステム30に送信する。
マイクロアレイスキャナーは、マイクロアレイ上のプローブに結合した核酸に基づくシグナルの検出が可能であれば特に限定されない。シグナルは、RA患者の生体試料由来の核酸の標識に用いられた標識物質によって異なることから、マイクロアレイスキャナーは、標識物質の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、標識物質が放射性物質である場合、測定装置20として、該放射性物質から生じる放射線を検出可能なマイクロアレイスキャナーが用いられる。
なお、SNPをダイレクトシーケンス法により検出する場合、測定装置20は、核酸増幅装置及びシーケンス解析装置からなる装置であってもよい。この場合、測定用試料、核酸増幅用の酵素及びプライマーなどを含む反応液を測定装置20にセットし、核酸増幅法によって反応液中の核酸を増幅させる。そして、測定装置20は、増幅産物の塩基配列を解析して配列情報を取得し、得られた配列情報をコンピュータシステム30に送信する。
コンピュータシステム30は、コンピュータ本体300と、入力部301と、検体情報や判定結果などを表示する表示部302とを含む。コンピュータシステム30は、測定装置20から光学的情報を受信する。そして、コンピュータシステム30のプロセッサは、光学的情報に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定するプログラムを実行する。なお、コンピュータシステム30は、図1に示されるように測定装置20とは別個の機器であってもよいし、測定装置20を内包する機器であってもよい。後者の場合、コンピュータシステム30は、それ自体で判定装置10となってもよい。
コンピュータ本体300は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)310と、ROM(Read Only Memory)311と、RAM(Random Access Memory)312と、ハードディスク313と、入出力インターフェイス314と、読出装置315と、通信インターフェイス316と、画像出力インターフェイス317とを備えている。CPU310、ROM311、RAM312、ハードディスク313、入出力インターフェイス314、読出装置315、通信インターフェイス316及び画像出力インターフェイス317は、バス318によってデータ通信可能に接続されている。また、測定装置20は、通信インターフェイス316により、コンピュータシステム30と通信可能に接続されている。
CPU310は、ROM311に記憶されているプログラム及びRAM312にロードされたプログラムを実行することが可能である。CPU310は、有効性予測値を算出し、ROM311に格納されている判別式を読み出し、有効性を判定する。CPU310は、判定結果を出力して表示部302に表示させる。
ROM311は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されている。ROM311には、前述のようにCPU310によって実行されるプログラム及びこれに用いるデータが記録されている。ROM311には、所定の閾値、多重ロジスティックモデルの判別式が記録されていてもよい。
RAM312は、SRAM、DRAMなどによって構成されている。RAM312は、ROM311及びハードディスク313に記録されているプログラムの読み出しに用いられる。RAM312はまた、これらのプログラムを実行するときに、CPU310の作業領域として利用される。
ハードディスク313は、CPU310に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム(MTXの有効性の判定のためのコンピュータプログラム)などのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。ハードディスク313には、所定の閾値、多重ロジスティックモデルの判別式が記録されていてもよい。
読出装置315は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどによって構成されている。読出装置315は、可搬型記録媒体40に記録されたプログラム又はデータを読み出すことができる。
入出力インターフェイス314は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス314には、キーボード、マウスなどの入力部301が接続されている。操作者は、当該入力部301により、コンピュータ本体300に各種の指令を入力することが可能である。
通信インターフェイス316は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータ本体300は、通信インターフェイス316により、プリンタなどへの印刷データの送信も可能である。
画像出力インターフェイス317は、LCD、CRTなどで構成される表示部302に接続されている。これにより、表示部302は、CPU310から与えられた画像データに応じた映像信号を出力できる。表示部302は、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
次に、判定装置10による、MTXの有効性の高低を判定する処理手順を説明する。ここでは、マイクロアレイ上のプローブに結合した、RA患者の生体試料由来の核酸に基づく蛍光情報から、多重ロジスティックモデルにより有効性予測値を取得し、得られた有効性予測値を用いて判定を行なう場合を例として説明する。しかし、本実施形態は、この例のみに限定されるものではない。
図3を参照して、ステップS101において、判定装置10のCPU310は、測定装置20から蛍光情報を取得する。次に、ステップS102において、CPU310は、取得した蛍光情報から蛍光強度を算出し、RAM312に記憶する。そして、ステップS103において、CPU310は、RAM312に記憶された前記蛍光強度から各遺伝子多型部位における変異の有無を決定し、ROM311又はハードディスク313に記憶された判別式にしたがって、多重ロジスティックモデルに基づく有効性予測値Pを算出する。
その後、ステップS104において、CPU310は、算出された有効性予測値と、ROM311又はハードディスク313に記憶された所定の閾値とを用いて、RA患者におけるMTXの有効性の高低を判定する。ここで、有効性予測値Pが所定の閾値よりも小さいとき、処理は、ステップS105に進行し、CPU310は、RA患者におけるMTXの有効性は低いことを示す判定結果をRAM312に記憶する。一方、有効性予測値Pが所定の閾値よりも低くないとき(すなわち、有効性予測値Pが閾値以上であるとき)、処理は、ステップS106に進行し、CPU310は、RA患者におけるMTXの有効性が高いことを示す判定結果をRAM312に記憶する。
そして、ステップS107において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、RA患者においてMTXの有効性が高いか否かの判定を補助する情報を医師などに提供することができる。
上述のSNPを検出するための各種試薬は、図11に示されるような試薬キットとしてユーザに提供され得る。この試薬キットは、上述のSNPの検出方法に応じた試薬を含む。例えば、この試薬キットは、プライマーやプローブなどのSNP検出用オリゴヌクレオチドを収容した試薬容器と、蛍光物質などの標識物質を収容した試薬容器と、DNAポリメラーゼなどの核酸増幅酵素を収容した試薬容器とを含む。さらに、検出方法に応じて、マイクロアレイやTaqMan(商標) Probeなどの試薬を含んでいてもよい。また、この試薬キットは、試薬の添付文書を同梱していてもよい。この添付文書には、たとえば、試薬キットの構成や検出プロトコールなどが記載される。図11において、50は、試薬キットを示し、51〜53は、試薬容器を示し、54は、添付文書を示し、55は、梱包箱を示す。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
比較例1
MTXの代謝に関連するFPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子のSNPを解析し、その解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定することを試みた。
(1)被験者
まず、関節リウマチと診断され、MTXで治療中の患者の診療情報を調査し、以下の2群の患者(合計100名)を選出した。
1. MTXの投与量が8mg/week以下であって、且つ、血液検査によるALT値又はAST値が40 IU/L以上を示した患者(44名)。
2. MTXの投与量が8mg/week以上であって、且つ、血液検査によるALT値又はAST値が40 IU/L以下の患者(56名)。
上記の100名の患者のうち、MTX投与後に、CRP(C反応性タンパク)の数値に基づくDAS(disease activity score)28(以下、「DAS28(CRP)」ともいう)及び肝機能を経時的に測定した49名を、被験者として選出した。これらの患者について、MTX投与の24週後に、DAS28(CRP)により疾患活動性を評価し、EULAR(欧州リウマチ学会)治療反応性基準によりMTXの有効性を判定した。その結果、49名のうち、有効群(good)が22名であり、無効群(moderate及びnone)が27名であった。
(2)生体試料
生体試料として、上記の被験者(49名)の末梢血を採取した。QIAamp DNA blood mini kit(QIAGEN社)又はQuickGene-810(Kurabo社)を用いて、末梢血(200μL)から血液細胞のゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAは、後述の遺伝子多型解析に使用するまで、−30℃にて保管した。
(3)遺伝子多型解析
各被験者のゲノムDNAについて、上記の3遺伝子に存在する8つのSNPを、TaqMan(商標) SNP Genotyping Assays(ライフテクノロジーズ社)を用いて解析した。上記の8つのSNP及びそれらの解析に用いたキットのAssay IDを、表3に示す。
なお、FPGS c.64A>G及びSLC19A1 c.80G>Aの解析には、ライフテクノロジーズ社に委託して製造したTaqMan(商標) SNP Genotyping Assaysのカスタム製品を用いた。この製品に含まれるプライマー及びTaqMan Probeの塩基配列を、以下に示す。
FPGS c.64A>G解析用プライマー及びプローブ
・フォワードプライマー:5'- CGCGCCGCTCTATTCCT -3' (配列番号13)
・リバースプライマー:5'- GGCCACGCGCTCAAG -3' (配列番号14)
・TaqMan Probe Reporter 1:5'- CGCGGCATAACGA -3' (配列番号15)
・TaqMan Probe Reporter 2:5'- CGCGGCGTAACGA -3' (配列番号16)
SLC19A1 c.80G>A解析用プライマー及びプローブ
・フォワードプライマー:5'- GCCTGACCCCGAGCTC -3' (配列番号17)
・リバースプライマー:5'- CATGAAGCCGTAGAAGCAAAGGTA -3' (配列番号18)
・TaqMan Probe Reporter 1:5'- ACACGAGGTGCCGCC -3' (配列番号19)
・TaqMan Probe Reporter 2:5'- ACACGAGGCGCCGCC -3' (配列番号20)
各被験者のゲノムDNA(10 ng)について、上記のTaqMan(商標) SNP Genotyping AssaysとTaqMan(商標) GTXpress Master Mix(ライフテクノロジーズ社)を用いて、Real-Time PCR法にて測定を行った。なお、具体的な操作は、ライフテクノロジーズ社が提供するプロトコールに従って行った。
49名の被験者についての遺伝子多型解析の結果、表3に示す8つのSNPのうち、GGH c.16T>CとGGH c.-401C>Tとの間、及びSLC19A1 c.80G>AとSLC19A1 c.696T>Cとの間、FPGS g.130562725G>AとFPGS c.*192A>Gとの間には、多重共線性を認めた。表4に、上記の被験者における各組み合わせの挙動を示す。また、表5に、これらのSNPの組み合わせについてのSpearmanの相関係数を示す。
表4に示されるように、GGH c.16T>CとGGH c.-401C>Tは、上記の被験者において全く同じ挙動を示した。また、SLC19A1 c.80G>AとSLC19A1 c.696T>Cも同様であった。FPGS g.130562725G>AとFPGS c.*192A>Gについては、挙動は同じではないが、非常に近いことが分かった。また、表5に示されるように、多重共線性の関係にある2つのSNP(SNP1及びSNP2)には、強い相関性があった。よって、後述の統計解析では、多重共線性の関係にある2つのSNPのうち、いずれか一方のみを用いればよい。本比較例1及び後述の実施例1〜3では、FPGS c.*192A>G、GGH c.-401C>T及びSLC19A1 c.696T>Cを選択した。
(4)統計解析
FPGS c.64A>G、FPGS c.*192A>G、GGH c.452C>T、GGH c.-401C>T及びSLC19A1 c.696T>Cの5つのSNPについて、被験者49名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、上記の回帰式(II)に基づいて判別式を構築した(以下、構築した判別式を「判別式1」と呼ぶ)。多重ロジスティック回帰分析は、統計計算用ソフトウェア「R」によって行った。「R」はhttp://www.r-project.org/からダウンロードできる。この判別式1では、変異アレル数を名義尺度(WT、HTまたはMT)として扱った。判別式1の係数を、表6に示す。これらの係数は、統計解析ソフトウェア「JMP10」(SAS社製)を用いて計算した。表6中、FPGS c.64A>GについてWTの係数が空欄になっているが、これは、被験者49名においてWTに該当する者がいなかったからである。なお、FPGS遺伝子のc.64位について、日本人のGenotype頻度をHapMap (http://hapmap.ncbi.nlm.hih.gov/index.html.ja)で検索したところ、WTは0%、HTは9.8%、MTは90.2%であった。
判別式1を用いて、ROC解析を行った。具体的には、判別式1により上記(1)で述べた有効群及び無効群について、MTXの有効性の判定を行った。判別式1のb1〜b5に、各SNPについて対立遺伝子のいずれにも変異がない場合は表6の「WT」欄の係数を代入し、対立遺伝子のいずれか一方に変異がある場合は「HT」欄の係数を代入し、対立遺伝子の遺伝子多型部位の両方に変異がある場合は「MT」欄の係数を代入し、有効性予測値を算出した。有効性予測値が0.5以上となった場合はMTXが有効であると判定し、0.5未満となった場合はMTXが有効でないと判定した。また、X軸を「1−特異度」の値(すなわち、偽陽性率)、Y軸を「感度」(すなわち、陽性率)として、ROC曲線を作成し、ROC曲線下面積(AUC)を算出した。なお、ROC曲線は、JMP10(SAS社製)により作成した。ROC曲線を図4に示す。判定結果の感度及び特異度、並びに図4のROC曲線のAUCを以下の表7に示す。
(5)判定結果
表7に示されるように、判別式1による判定は、感度が55%、特異度が89%、AUCが0.75であり、十分に精度の高い判定とはいえない。MTX代謝に関連する上記の3遺伝子のSNPだけでは、MTXの有効性を精度よく判定することは難しいことが示唆された。なお、GGH c.-401C>Tは、上記の被験者における挙動がGGH c.16T>Cと完全に一致しているので、GGH c.-401C>TをGGH c.16T>Cに代えても、同じ判定結果が得られると考えられる。同様に、SLC19A1 c.696T>CをSLC19A1 c.80G>Aに代えても、同じ判定結果が得られると考えられる。また、FPGS c.*192A>Gは、上記の被験者における挙動がFPGS g.130562725C>Tと非常に近いので、FPGS c.*192A>GをFPGS g.130562725G>Aに代えても、同様の判定結果が得られると考えられる。
実施例1
FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子のSNPに加えて、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPをさらに解析し、その解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定することを試みた。
(1)被験者及び生体試料
実施例1では、比較例1で取得した被験者(有効群22名及び無効群27名)のゲノムDNAを、SNPの解析に用いた。
(2)遺伝子多型解析
各被験者のゲノムDNAについて、上記の7遺伝子に存在する9つのSNPを、TaqMan(商標) SNP Genotyping Assays(ライフテクノロジーズ社)及びダイレクトシーケンス法を用いて解析した。上記の9つのSNP及びそれらの解析方法を、表8に示す。FPGS c.64A>Gの解析には、上記のTaqMan(商標) SNP Genotyping Assaysのカスタム製品を用いた。
(2-1)TaqMan(商標) SNP Genotyping Assaysによる解析
各被験者のゲノムDNA(10 ng)について、上記のTaqMan(商標) SNP Genotyping AssaysとTaqMan(商標) GTXpress Master Mix(ライフテクノロジーズ社)を用いて、Real-Time PCR法にて測定を行った。なお、具体的な操作は、ライフテクノロジーズ社が提供するプロトコールに従って行った。
(2-2)ダイレクトシーケンス法による解析
各被験者のゲノムDNAを鋳型核酸として用いて、遺伝子多型部位を含むFMO2遺伝子をPCR反応により増幅した。増幅に用いたフォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列を以下に示す。
<FMO2 c.585A>G>
・フォワードプライマー:5'- TCCAGAAAGGAAAAGCTGGCAATG -3' (配列番号21)
・リバースプライマー:5'- GAGCCATCTCCCAGAGAAGTGAA -3' (配列番号22)
PCRの反応系には、ゲノムDNA(2ng/反応)、各プライマーおよびポリメラーゼとしてTaKaRa Ex-TaqまたはTaKaRa LA-Taq(タカラバイオ株式会社)を添加した。ポリメラーゼとしてTaKaRa LA-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに従って調製した。ポリメラーゼとしてEx-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに記載された組成の反応液にDMSOを終濃度5%(V/V)となるように添加して調製した。反応終了後、反応液をAmpure XP(Beckman Coulter社)を用いて精製した。精製した反応液の一部をアガロース電気泳動に付して、増幅産物の存在を確認した。そして、以下に示すシーケンス用プライマーを用いて、増幅産物の塩基配列を解析した。
<FMO2 c.585A>G>
・シーケンス用プライマー:5'- TGACATAGTTGCTCTGGAGC -3' (配列番号23)
(3)統計解析
表8に示す9つのSNPについて、被験者49名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、上記の回帰式(II)に基づいて判別式を構築した(以下、構築した判別式を「判別式2」と呼ぶ)。多重ロジスティック回帰分析は、比較例1と同様にして行った。判別式2の係数を、表9に示す。これらの係数は、JMP10(SAS社製)を用いて計算した。
判別式2を用いて、ROC解析を行った。具体的には、判別式2により、有効群及び無効群について、比較例1と同様にしてMTXの有効性の判定を行った。有効性予測値が0.5以上となった場合はMTXが有効であると判定し、0.5未満となった場合はMTXが有効でないと判定した。また、ROC曲線を作成してAUCを算出した。なお、ROC曲線は、JMP10(SAS社製)により作成した。ROC曲線を図5に示す。判定結果の感度及び特異度、並びに図5のROC曲線のAUCを以下の表10に示す。
(5)判定結果
表10に示されるように、判別式2による判定は、感度が100%、特異度が85%、AUCが0.98であり、判定の精度が極めて高いことがわかった。MTX代謝に関連する3遺伝子のSNPに加えて、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPをさらに解析することにより、MTXの有効性の判定精度が顕著に上昇することが示された。なお、GGH c.-401C>Tは、上記の被験者における挙動がGGH c.16T>Cと完全に一致しているので、GGH c.-401C>TをGGH c.16T>Cに代えても、同じ判定結果が得られると考えられる。同様に、SLC19A1 c.696T>CをSLC19A1 c.80G>Aに代えても、同じ判定結果が得られると考えられる。
実施例2
MTXの代謝に関連する3遺伝子のうちFPGS遺伝子及びGGH遺伝子のSNPに加えて、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPを解析し、その解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定することを試みた。
(1)被験者及び生体試料
実施例2では、比較例1で取得した被験者(有効群22名及び無効群27名)のゲノムDNAを、SNPの解析に用いた。
(2)遺伝子多型解析
各被験者のゲノムDNAについて、上記の6遺伝子に存在する8つのSNPを、実施例1と同様にして解析した。上記の8つのSNPは、FPGS c.64A>G、FPGS c.*192A>G、GGH c.452C>T、GGH c.-401C>T、FMO2 c.585A>G、SLC28A3 c.267G>A、EPHX1 c.357G>A及びPPARG c.*1411G>Cである。
(3)統計解析
上記の8つのSNPについて、被験者49名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、上記の回帰式(II)に基づいて判別式を構築した(以下、構築した判別式を「判別式3」と呼ぶ)。多重ロジスティック回帰分析は、比較例1と同様にして行った。判別式3の係数を、表11に示す。これらの係数は、JMP10(SAS社製)を用いて計算した。
判別式3を用いて、ROC解析を行った。具体的には、判別式3により、有効群及び無効群について、比較例1と同様にしてMTXの有効性の判定を行った。有効性予測値が0.5以上となった場合はMTXが有効であると判定し、0.5未満となった場合はMTXが有効でないと判定した。また、ROC曲線を作成してAUCを算出した。なお、ROC曲線は、JMP10(SAS社製)により作成した。ROC曲線を図6に示す。判定結果の感度及び特異度、並びに図6のROC曲線のAUCを以下の表12に示す。
(5)判定結果
表12に示されるように、判別式3による判定は、感度が95%、特異度が89%、AUCが0.97であり、判定の精度が極めて高いことがわかった。MTX代謝に関連する3遺伝子のうちFPGS遺伝子及びGGH遺伝子のSNPと、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPとを解析することにより、精度の高い判定が可能であることが示唆された。なお、GGH c.-401C>Tは、上記の被験者における挙動がGGH c.16T>Cと完全に一致しているので、GGH c.-401C>TをGGH c.16T>Cに代えても、同じ判定結果が得られると考えられる。
実施例3
MTXの代謝に関連する3遺伝子のうちFPGS遺伝子のSNPに加えて、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPを解析し、その解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定することを試みた。
(1)被験者及び生体試料
実施例3では、比較例1で取得した被験者(有効群22名及び無効群27名)のゲノムDNAを、SNPの解析に用いた。
(2)遺伝子多型解析
各被験者のゲノムDNAについて、上記の5遺伝子に存在する6つのSNPを、実施例1と同様にして解析した。上記の6つのSNPは、FPGS c.64A>G、FPGS c.*192A>G、FMO2 c.585A>G、SLC28A3 c.267G>A、EPHX1 c.357G>A及びPPARG c.*1411G>Cである。
(3)統計解析
上記の6つのSNPについて、被験者49名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、上記の回帰式(II)に基づいて判別式を構築した(以下、構築した判別式を「判別式4」と呼ぶ)。多重ロジスティック回帰分析は、比較例1と同様にして行った。判別式4の係数を、表13に示す。これらの係数は、JMP10(SAS社製)を用いて計算した。
判別式4を用いて、ROC解析を行った。具体的には、判別式4により、有効群及び無効群について、比較例1と同様にしてMTXの有効性の判定を行った。有効性予測値が0.5以上となった場合はMTXが有効であると判定し、0.5未満となった場合はMTXが有効でないと判定した。また、ROC曲線を作成してAUCを算出した。なお、ROC曲線は、JMP10(SAS社製)により作成した。ROC曲線を図7に示す。判定結果の感度及び特異度、並びに図7のROC曲線のAUCを以下の表14に示す。
(5)判定結果
表14に示されるように、判別式4による判定は、感度が91%、特異度が89%、AUCが0.95であり、判定の精度が極めて高いことがわかった。MTX代謝に関連する3遺伝子のうちFPGS遺伝子のSNPと、FMO2遺伝子、SLC28A3遺伝子、EPHX1遺伝子及びPPARG遺伝子のSNPとを解析することにより、精度の高い判定が可能であることが示唆された。
実施例4
実施例1〜3のそれぞれで用いたSNPのうち、FPGS c.*192A>Gに代えて、FPGS g.130562725G>Aを用いて解析を行い、その解析結果に基づいて、RA患者におけるMTXの有効性を判定した。
(1)被験者及び生体試料
実施例4では、比較例1で取得した被験者(有効群22名及び無効群27名)のゲノムDNAを、SNPの解析に用いた。
(2)遺伝子多型解析
各被験者のゲノムDNAについて、FPGS g.130562725G>Aを比較例1と同様にして解析し、FPGS c.64A>G、GGH c.452C>T、GGH c.-401C>T、FMO2 c.585A>G、SLC28A3 c.267G>A、EPHX1 c.357G>A及びPPARG c.*1411G>Cを、実施例1と同様にして解析した。
(3)統計解析
実施例4では、以下の表15に示されるSNPの組み合わせを用いた。表15中、「●」が付されたSNPの解析データが、後述の判別式に用いられたことを示す。
表15に示されるSNPについて、被験者49名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、上記の回帰式(II)に基づいて判別式を構築した(以下、構築した判別式を、それぞれ「判別式5」、「判別式6」及び「判別式7」と呼ぶ)。多重ロジスティック回帰分析は、比較例1と同様にして行った。各判別式の係数を、表16〜18に示す。これらの係数は、JMP10(SAS社製)を用いて計算した。
判別式5〜7のそれぞれを用いて、ROC解析を行った。具体的には、各判別式により、有効群及び無効群について、比較例1と同様にしてMTXの有効性の判定を行った。有効性予測値が0.5以上となった場合はMTXが有効であると判定し、0.5未満となった場合はMTXが有効でないと判定した。また、ROC曲線を作成してAUCを算出した。なお、ROC曲線は、JMP10(SAS社製)により作成した。判別式5〜7のROC曲線をそれぞれ図8〜10に示す。判定結果の感度及び特異度、並びにROC曲線のAUCを以下の表19に示す。
表19に示されるように、判別式5〜7のいずれを用いても、判定の精度が極めて高いことがわかった。よって、実施例1〜3のそれぞれで用いたSNPのうち、FPGS c.*192A>Gに代えて、FPGS g.130562725G>Aを用いて解析を行っても、RA患者におけるMTXの有効性を精度よく判定できることが示された。
10 判定装置
20 測定装置
30 コンピュータシステム
40 記録媒体
50 試薬キット
51〜53 試薬容器
54 添付文書
55 梱包箱
300 コンピュータ本体
301 入力部
302 表示部
310 CPU
311 ROM
312 RAM
313 ハードディスク
314 入出力インターフェイス
315 読出装置
316 通信インターフェイス
317 画像出力インターフェイス
318 バス

Claims (9)

  1. 関節リウマチ患者から得た生体試料における、FPGS遺伝子、GGH遺伝子及びSLC19A1遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の一塩基多型(SNP)の少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析する工程と、
    解析結果に基づいて、前記患者におけるメトトレキサート(MTX)の有効性を判定する工程と
    を含む、
    関節リウマチ患者におけるメトトレキサートの有効性の診断を補助する方法。
  2. FPGS遺伝子のSNPがc.64位、c.*192位及びg.130562725位から選択される少なくとも1つの部位の変異であり、GGH遺伝子のSNPがc.452位、c.-401位及びc.16位から選択される少なくとも1つの部位の変異であり、SLC19A1遺伝子のSNPがc.696位及びc.80位から選択される少なくとも1つの部位の変異であり、FMO2遺伝子のSNPがc.585位の変異であり、SLC28A3遺伝子のSNPがc.267位の変異であり、EPHX1遺伝子のSNPがc.357位の変異であり、PPARG遺伝子のSNPがc.*1411位の変異である請求項1に記載の方法。
  3. FPGS遺伝子のSNPがFPGS c.64A>G、FPGS c.*192A>G及びFPGS g.130562725G>Aから選択される少なくとも1つであり、GGH遺伝子のSNPがGGH c.452C>T、GGH c.-401C>T及びGGH c.16T>Cから選択される少なくとも1つであり、SLC19A1遺伝子のSNPがSLC19A1 c.696T>C及びSLC19A1 c.80G>Aから選択される少なくとも1つであり、FMO2遺伝子のSNPがFMO2 c.585A>Gであり、SLC28A3遺伝子のSNPがSLC28A3 c.267G>Aであり、EPHX1遺伝子のSNPがEPHX1 c.357G>Aであり、PPARG遺伝子のSNPがPPARG c.*1411G>Cである請求項1又は2に記載の方法。
  4. FPGS遺伝子のSNPが、FPGS c.*192A>G及びFPGS g.130562725G>Aのいずれか1つ及び/又はFPGS c.64A>Gであり、GGH遺伝子のSNPが、GGH c.-401C>T及びGGH c.16T>Cのいずれか1つ及び/又はGGH c.452C>Tであり、SLC19A1遺伝子のSNPが、SLC19A1 c.696T>C及びSLC19A1 c.80G>Aのいずれか1つである請求項3に記載の方法。
  5. 解析工程において、FPGS遺伝子のSNPの少なくとも1つと、FMO2遺伝子のSNPの少なくとも1つと、SLC28A3遺伝子のSNPの少なくとも1つと、EPHX1遺伝子のSNPの少なくとも1つと、PPARG遺伝子のSNPの少なくとも1つとを解析する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. FPGS遺伝子のSNPが少なくともFPGS c.64A>Gを含み、FMO2遺伝子のSNPがFMO2 c.585A>Gであり、SLC28A3遺伝子のSNPがSLC28A3 c.267G>Aであり、EPHX1遺伝子のSNPがEPHX1 c.357G>Aであり、PPARG遺伝子のSNPがPPARG c.*1411G>Cである請求項5に記載の方法。
  7. 判定工程において、前記解析結果からMTXの有効性に関する数値指標を取得し、取得した数値指標と、所定の閾値とを比較した結果に基づいて、前記患者におけるMTXの有効性を判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. MTXの有効性に関する数値指標が、多重ロジスティックモデルにより算出される予測値である請求項7に記載の方法。
  9. 判定工程において、前記予測値が前記所定の閾値以上である場合、前記患者においてMTXの有効性が高いと判定し、前記予測値が前記所定の閾値より小さい場合、前記患者におけるMTXの有効性が低いと判定する請求項8に記載の方法。
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