JP6369893B2 - 関節リウマチ患者におけるメトトレキサートによる副作用の発現リスクの判定を補助する方法 - Google Patents
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(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(2)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ADH7遺伝子のc.690位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、ATP7B遺伝子のc.1216位、ATP7B遺伝子のc.*1172位、NR1I2遺伝子のc.795-93位、NR1I2遺伝子のc.938-17位、CYP4A11遺伝子のc.*3733位、SULT1C4遺伝子のc.15位、SLC10A2遺伝子のc.511位、SLC22A4遺伝子のc.917位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、およびADORA2A遺伝子のc.-1751位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、上記の患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得する工程と
を含む、関節リウマチ患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定を補助する方法を提供する。
(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(3)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、ADORA2A遺伝子のc.-1751位、SLC28A3遺伝子のc.267位、およびMTRR遺伝子のc.66位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、上記の患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得する工程と
を含む、関節リウマチ患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定を補助する方法も提供する。
PPARG遺伝子のc.*1411位とは、PPARG遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数えて1411番目の塩基の位置を指す。ここで、「遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の3'末端の塩基の3'側に隣接する塩基を1番目として、下流側(3'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
UGT2B4遺伝子のc.*225位とは、UGT2B4遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数えて225番目の塩基の位置を指す。
CYP2C19遺伝子の17948位とは、ゲノムDNA上のCYP2C19遺伝子の塩基配列の1番目の塩基から下流側へ数えて17948番目の塩基の位置を指す。なお、CYP2C19遺伝子の17948位は、CYP2C19遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて636番目の塩基の位置でもある。ここで、「遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の5'末端にある開始コドン(ATG)のアデニンを1番目として、下流側(3'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
COMT遺伝子のc.36位とは、COMT遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて36番目の塩基の位置を指す。
ADH7遺伝子のc.690位とは、ADH7遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて690番目の塩基の位置を指す。
ALB遺伝子のc.-400位とは、ALB遺伝子のコーディング配列の5'末端から上流側へ数えて400番目の塩基の位置である。ここで、「遺伝子のコーディング配列の5'末端から上流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のコーディング配列の5'末端にある開始コドン(ATG)のアデニンの5'側に隣接する塩基を1番目として、上流側(5'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
FMO2遺伝子のc.585位とは、FMO2遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて585番目の塩基の位置を指す。
ADH1B遺伝子のc.143位とは、ADH1B遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて143番目の塩基の位置を指す。
ATP7B遺伝子のc.1216位とは、ATP7B遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて1216番目の塩基の位置を指す。
ATP7B遺伝子のc.*1172位とは、ATP7B遺伝子のコーディング配列の3'末端から下流側へ数えて1172番目の塩基の位置を指す。
NR1I2遺伝子のc.795-93位とは、NR1I2遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて795番目の塩基から開始するエクソン配列の5'末端から上流側へ数えて93番目の塩基の位置を指す。ここで、「エクソン配列の5'末端から上流側へ数える」とは、ゲノムDNA上の遺伝子の塩基配列において、該遺伝子のエクソン配列の5'末端の塩基の5'側に隣接する塩基を1番目として、上流側(5'側)へ塩基を数えていくことを意図する。
NR1I2遺伝子のc.938-17位とは、NR1I2遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて938番目の塩基から開始するエクソン配列の5'末端から上流側へ数えて17番目の塩基の位置を指す。
SULT1C4遺伝子のc.15位とは、SLUT1C4遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて15番目の塩基の位置を指す。
SLC10A2遺伝子のc.511位とは、SLC10A2遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて511番目の塩基の位置を指す。
SLC22A4遺伝子のc.917位とは、SLC22A4遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて917番目の塩基の位置を指す。
MTHFD1遺伝子のc.1958位とは、MTHFD1遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて1958番目の塩基の位置を指す。
ADORA2A遺伝子のc.-1751位とは、ADORA2A遺伝子のコーディング配列の5'末端から上流側へ数えて1751番目の塩基の位置を指す。
SLC28A3遺伝子のc.267位とは、SLC28A3遺伝子のコーディング配列の5'末端から下流側へ数えて267番目の塩基の位置を指す。
該メモリには、下記のステップ:
RA患者から得た生体試料における下記(1)および(2)に記載の少なくとも7つの遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果を取得するステップと、
(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(2)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ADH7遺伝子のc.690位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、ATP7B遺伝子のc.1216位、ATP7B遺伝子のc.*1172位、NR1I2遺伝子のc.795-93位、NR1I2遺伝子のc.938-17位、CYP4A11遺伝子のc.*3733位、SULT1C4遺伝子のc.15位、SLC10A2遺伝子のc.511位、SLC22A4遺伝子のc.917位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、およびADORA2A遺伝子のc.-1751位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、該患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得するステップと、
上記のMTXによる副作用の発現リスクに関する情報に基づいて、RA患者においてMTXによる副作用の発現リスクの有無を判定するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
RA患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定に適するシステム。
該メモリには、下記のステップ:
RA患者から得た生体試料における下記(1)および(3)に記載の少なくとも7つの遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果を取得するステップと、
(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(3)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、ADORA2A遺伝子のc.-1751位、SLC28A3遺伝子のc.267位、およびMTRR遺伝子のc.66位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、該患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得するステップと、
上記のMTXによる副作用の発現リスクに関する情報に基づいて、RA患者においてMTXによる副作用の発現リスクの有無を判定するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
RA患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定に適するシステム。
該媒体には、下記のステップ:
RA患者から得た生体試料における下記(1)および(2)に記載の少なくとも7つの遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果を取得するステップと、
(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(2)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ADH7遺伝子のc.690位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、ATP7B遺伝子のc.1216位、ATP7B遺伝子のc.*1172位、NR1I2遺伝子のc.795-93位、NR1I2遺伝子のc.938-17位、CYP4A11遺伝子のc.*3733位、SULT1C4遺伝子のc.15位、SLC10A2遺伝子のc.511位、SLC22A4遺伝子のc.917位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、およびADORA2A遺伝子のc.-1751位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、該患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得するステップと、
上記のMTXによる副作用の発現リスクに関する情報に基づいて、RA患者においてMTXによる副作用の発現リスクの有無を判定するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
RA患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム製品。
該媒体には、下記のステップ:
RA患者から得た生体試料における下記(1)および(3)に記載の少なくとも7つの遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果を取得するステップと、
(1)PPARG遺伝子のc.*1411位、UGT2B4遺伝子のc.*225位、およびCYP2C19遺伝子の17948位の3つの遺伝子多型部位;
(3)ABCC5遺伝子のc.3624位、COMT遺伝子のc.36位、ALB遺伝子のc.-400位、FMO2遺伝子のc.585位、ADH1B遺伝子のc.143位、EPHX1遺伝子のc.357位、MTHFD1遺伝子のc.1958位、ADORA2A遺伝子のc.-1751位、SLC28A3遺伝子のc.267位、およびMTRR遺伝子のc.66位からなる群より選択される少なくとも4つの遺伝子多型部位;
上記の遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、該患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得するステップと、
上記のMTXによる副作用の発現リスクに関する情報に基づいて、RA患者においてMTXによる副作用の発現リスクの有無を判定するステップと
を該コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、
RA患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム製品。
(1)対象
神鋼病院膠原病リウマチセンターにおいて関節リウマチと診断され、メトトレキサート(MTX)で治療中の患者の診療情報を調査し、これらの患者を、以下の基準によってMTX肝障害群と対照群とに分類した。
1. MTXの投与量が8mg/week以下であって、且つ、明らかにMTX投与を原因として血液検査によるALT値またはAST値が40IU/L以上を示した患者(33名)を、MTX肝障害群として選出した。
2. MTXの投与量が8mg/week以上であって、且つ、血液検査によるALT値またはAST値が40IU/L以下の患者(38名)を、対照群として選出した。
QIAamp DNA blood mini kit(QIAGEN社)を用いて、各群のリウマチ患者の抹消血(200μL)から血液細胞のゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAは、後述の遺伝子多型解析に使用するまで−30℃にて保管した。
抽出したゲノムDNAの遺伝子変異解析を、DMET(商標) Plus Solution(Affymetrix社)およびダイレクトシーケンス法を用いて行い、MTXによる副作用の発現リスクに関連する遺伝子多型を探索した。
抽出したゲノムDNAについて、DMET(商標) Plus Arrayを用いて遺伝子のタイピングを行った。このアレイには、所定の231遺伝子上の1936箇所のSNPに対応するプローブが搭載されている。なお、具体的な操作は、Affymetrix社が提供するDMET(商標) Plus Starter Packのプロトコールに従って行った。
抽出したゲノムDNAを鋳型核酸として用いて、MTXの薬効または副作用との関連が報告されている2種類の遺伝子を増幅し、SNP(以下、「既知マーカー」とも呼ぶ)を解析した。増幅に用いたフォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列を以下に示す。PCRの反応系には、ゲノムDNA(2ng/反応)、各プライマーおよびポリメラーゼとしてTaKaRa Ex-TaqまたはTaKaRa LA-Taq(タカラバイオ株式会社)を添加した。ポリメラーゼとしてTaKaRa LA-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに従って調製した。ポリメラーゼとしてEx-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに記載された組成の反応液にDMSOを終濃度5%(V/V)となるように添加して調製した。
・フォワードプライマー:5'- TGTAGGGGGTGAGTGGTGCACTG -3'(配列番号21)
・リバースプライマー:5'- TCAGGCTGGAGGTGAGGATGAGC -3'(配列番号22)
<ADORA2A_c.-1751A>C>
・フォワードプライマー:5'- GTGCATCCCTGCCAACGACA -3'(配列番号23)
・リバースプライマー:5'- TGCTCTGCGCATTGTTGTCACG -3'(配列番号24)
・シーケンス用プライマー:5'- CCACTTTGAAGCAGGATTGG -3'(配列番号25)
<ADORA2A_c.-1751A>C>
・シーケンス用プライマー:5'- CTTCGAGCCTGTGAATGGTC -3'(配列番号26)
DMET(商標) Plus Solutionおよびダイレクトシーケンス法により取得した遺伝子多型データを用いて、Fisherの正確確率検定を行った。その結果、DMET(商標) Plus Solutionの解析対象である1936の遺伝子多型のうち、p<0.1を示したSNPを、MTXによる肝障害と有意に関連する遺伝子多型として選出した。選出されたSNPと、各SNPのFisherの正確確率検定でのp値と、各SNP検出に用いたDMET(商標) Plus ArrayのProbe Set IDとを表3に示す。なお、Probe Set IDは、DMET(商標) Plus Array(Affymetrix社)に搭載されているプローブを特定するための番号である。
本参考例では、実施例1のRA患者(71名)の遺伝子多型データをステップワイズ法により解析して、MTXによる副作用の発現リスクに関連する遺伝子多型を選出した。
(1)生体試料
本参考例では、実施例1で取得したMTX肝障害群および対照群のゲノムDNAを生体試料として用いた。
本参考例では、実施例1と同様にして、上記のゲノムDNAについて、DMET(商標) Plus Solution(Affymetrix社)およびダイレクトシーケンス法により遺伝子変異解析を行った。ダイレクトシーケンス法では、既知マーカーとして、MTHFD1_c.1958G>AおよびADORA2A_c.-1751A>Cに加えてMTRR_c.66A>Gについても解析した。MTRR_c.66A>Gの解析に用いたフォワードプライマー、リバースプライマーおよびシーケンス用プライマーの各配列を以下に示す。
・フォワードプライマー:5'- TCATGCCAGGTGCCGTTCTGG -3'(配列番号29)
・リバースプライマー:5'- TACCGTGGCAGGGCTGCATA -3'(配列番号30)
・シーケンス用プライマー:5'- CTTTAGGTTGTTACTGCTTC -3'(配列番号31)
上記で取得した遺伝子多型データを用いてFisherの正確確率検定を行い、p<0.1を示したSNPを、MTXによる肝障害と有意に関連する遺伝子多型として選出した。そして、選出されたSNPのデータを、JMP10(SAS社製)を用いてステップワイズ法により解析した。その結果、MTXによる副作用の発現リスクに関連する遺伝子多型として12個のSNPを選出した。これらのSNPのうち、10個のSNPは実施例1で選出されたSNPと同じであった。よって、本参考例では、MTRR_c.66A>GおよびSLC28A3_c.267G>Aが新たに選出された。これら2つのSNPのFisherの正確確率検定でのp値を表8に示す。なお、SLC28A3_c.267G>Aの検出に用いたDMET(商標) Plus ArrayのProbe Set IDは、AM_15307である。
(1)対象
本実施例の対象は、実施例1での対象とは異なる関節リウマチ患者群であって、MTXで治療中の患者群である。これらの患者の診療情報を調査し、これらの患者を、以下の基準によってMTX肝障害群と対照群とに分類した。
1. MTXの投与量が8mg/week以下であって、且つ、明らかにMTX投与を原因として血液検査によるALT値またはAST値が40IU/L以上を示した患者(44名)を、MTX肝障害群として選出した。
2. MTXの投与量が8mg/week以上であって、且つ、血液検査によるALT値またはAST値が40IU/L以下の患者(56名)を、対照群として選出した。
QIAamp DNA blood mini kit(QIAGEN社)またはQuickGene-810(Kurabo社)を用いて、各群のリウマチ患者の抹消血(200μL)から血液細胞のゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAは、後述の遺伝子多型解析に使用するまで−30℃にて保管した。
抽出したゲノムDNAについて、上記の参考例で同定した13個のSNPの解析を TaqMan(商標) SNP Genotyping Assays(ライフテクノロジーズ社)およびダイレクトシーケンス法を用いて行った。各SNPとその解析方法との対応を、表9に示す。なお、ADORA2a c.-1751A>Cの解析には、ライフテクノロジーズ社に委託して製造したTaqMan(商標) SNP Genotyping Assaysのカスタム製品を用いた。
抽出したゲノムDNA(10 ng)について、TaqMan(商標) SNP Genotyping AssaysとTaqMan(商標) GTXpress Master Mix(ライフテクノロジーズ社)を用いて、Real-Time PCR法にて測定を行った。なお、具体的な操作は、ライフテクノロジーズ社が提供するプロトコールに従って行った。
抽出したゲノムDNAを鋳型核酸として用いて、遺伝子多型部位を含むFMO2遺伝子をPCR反応により増幅した。増幅に用いたフォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列を以下に示す。PCRの反応系には、ゲノムDNA(2ng/反応)、各プライマーおよびポリメラーゼとしてTaKaRa Ex-TaqまたはTaKaRa LA-Taq(タカラバイオ株式会社)を添加した。ポリメラーゼとしてTaKaRa LA-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに従って調製した。ポリメラーゼとしてEx-Taqを用いた反応液は、該ポリメラーゼに添付のプロトコールに記載された組成の反応液にDMSOを終濃度5%(V/V)となるように添加して調製した。
・フォワードプライマー:5'- TCCAGAAAGGAAAAGCTGGCAATG -3'(配列番号32)
・リバースプライマー:5'- GAGCCATCTCCCAGAGAAGTGAA -3'(配列番号33)
・シーケンス用プライマー:5'- TGACATAGTTGCTCTGGAGC -3'(配列番号34)
表9に示した13個のSNPから、4組のマーカーセット(7SNP、9SNP、11SNPおよび13SNPの組み合わせ)を選出した。各マーカーセットに用いられるSNPの組み合わせを、表10に示す。表10では、「●」が付されたSNPのデータが、後述の判別式に用いられていることを示す。なお、7SNPおよび9SNPの組み合わせは、実施例1で得た判別式8および9で使用されるSNPの組み合わせと同じである。この4組のマーカーセットについて、対象患者100名のデータを用いて多重ロジスティック解析を行い、各マーカーセットに対応する判別式を上述の回帰式(II)に基づいて構築した。得られた判別式を、それぞれ判別式8*、9*、10*および11*とした。
2 測定装置
3 コンピュータシステム
3a コンピュータ本体
3b 入力デバイス
3c 表示部
Claims (5)
- 関節リウマチ患者から得た生体試料における下記(1)〜(11)から選択されるいずれか1つの遺伝子多型部位の組み合わせの塩基種の変異を検出する工程と、
前記遺伝子多型部位の塩基種の変異の検出結果に基づいて、前記患者におけるメトトレキサート(MTX)による副作用の発現リスクに関する情報を取得する工程と
を含む、関節リウマチ患者におけるMTXによる副作用の発現リスクの判定を補助する方法:
(1) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A、及びALB遺伝子のc.-400G>A;
(2) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A、ALB遺伝子のc.-400G>A、FMO2遺伝子のc.585A>G及びNR1I2遺伝子のc.795-93G>A;
(3) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A、ALB遺伝子のc.-400G>A、FMO2遺伝子のc.585A>G、CYP4A11遺伝子のc.*3733G>A及びSLC10A2遺伝子のc.511G>T;
(4) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A及びEPHX1遺伝子のc.357G>A;
(5) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A、ALB遺伝子のc.-400G>A及びFMO2遺伝子のc.585A>G;
(6) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、ADH7遺伝子のc.690G>A、ALB遺伝子のc.-400G>A、FMO2遺伝子のc.585A>G、ADH1B遺伝子のc.143A>G、ATP7B遺伝子のc.1216T>G及びATP7B遺伝子のc.*1172G>A;
(7) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、FMO2遺伝子のc.585A>G、ADH1B遺伝子のc.143A>G、ATP7B遺伝子のc.1216T>G、NR1I2遺伝子のc.938-17C>T、SULT1C4遺伝子のc.15C>G及びSLC22A4遺伝子のc.917C>T;
(8) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、COMT遺伝子のc.36C>T、ADH1B遺伝子のc.143A>G、MTHFD1遺伝子のc.1958G>A及びADORA2A遺伝子のc.-1751A>C;
(9) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ALB遺伝子のc.-400G>A、ADH1B遺伝子のc.143A>G、EPHX1遺伝子のc.357G>A及びMTHFD1遺伝子のc.1958G>A;
(10) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ALB遺伝子のc.-400G>A、ADH1B遺伝子のc.143A>G、EPHX1遺伝子のc.357G>A、MTHFD1遺伝子のc.1958G>A、ADORA2A遺伝子のc.-1751A>C及びFMO2遺伝子のc.585A>G;及び
(11) PPARG遺伝子のc.*1411G>C、UGT2B4遺伝子のc.*225T>C、CYP2C19遺伝子の17948G>A、ABCC5遺伝子のc.3624C>T、COMT遺伝子のc.36C>T、ALB遺伝子のc.-400G>A、ADH1B遺伝子のc.143A>G、EPHX1遺伝子のc.357G>A、SLC28A3遺伝子のc.267G>A、MTHFD1遺伝子のc.1958G>A、MTRR遺伝子のc.66A>G、ADORA2A遺伝子のc.-1751A>C及びFMO2遺伝子のc.585A>G。 - 前記MTXによる副作用が、肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
- 前記取得工程において、前記遺伝子多型部位の塩基種の変異の有無を用いて多重ロジスティックモデルにより前記患者におけるMTXの副作用の発現リスクに関する情報を取得する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記多重ロジスティックモデルにより算出される副作用リスク値と、所定の閾値とを比較することにより、前記患者におけるMTXによる副作用の発現リスクに関する情報を取得する、請求項3に記載の方法。
- 前記副作用リスク値が前記閾値以上である場合、前記患者におけるMTXによる副作用の発現リスクが高いとの情報を取得し、
前記副作用リスク値が前記閾値未満である場合、前記患者におけるMTXによる副作用の発現リスクが低いとの情報を取得する、請求項4に記載の方法。
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