JP2016537963A - 平型ボイスコイルモータ - Google Patents

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Abstract

平型ボイスコイルモータは、コイルユニットと、コイルユニットに対してアンペール力を作用させる2つの主磁極ユニットと、を含む。コイルユニットは小さくて弱い磁石(107)を含み、2つの主磁極ユニットが小さくて弱い磁石(107)に対して作用させる力は、上下方向で上向きの合力である。小さくて弱い磁石(107)をコイルユニット内に配置することで、小さくて弱い磁石と主磁極ユニットの間の磁気的な斥力又は引力により、コイルユニットに対して上下方向で上向き力が常時確保され、もって、重力補償が達成される。更には、上記の配置は単にコイルユニットの内部を小さくて弱い磁石(107)に置き換えるだけで実現されるので、コイルユニットのコイルに作用するアンペール力に影響を与えることもないし、構造的な追加に起因したモータの過熱を引き起こすこともない。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体加工機器に関連し、より詳しくは、平型ボイスコイルモータに関する。
アンペールの法則に従う平型ボイスコイルモータは、高速、高加速、線形な力又はトルクのレスポンス、簡素な構成であるがゆえのメンテンナンスのし易さ、高い信頼性、高いエネルギー変換効率、決まったストローク、直接的な駆動可能性、滑らかな力とストロークの出力、線形制御可能性、電気的及び機械的の低い時定数、高いスラスト質量比、スロット効果不在、方向調整不要、理論上無限の位置感度、及び、コギング及び応答遅延の不存在、を必要とするサーボ制御応用において使用するのに適している。これらの特徴により、平型ボイスコイルモータは、高速且つ高精度な位置決めを必要とするフォトリソグラフィーツールにとっての高精度な位置決め要素として使用するのにも適している。
近年、半導体機器の高集積化のあおりを受けて、半導体加工のフォトリソグラフィーツールにおいて複数の自由度を有するウエハ位置決めステージは、サブミクロンオーダーでの位置決め精度を達成することが求められている。これらのウエハステージの振動を低減したり位置決め精度を高めたりするべく、これらの駆動源としてボイスコイルモータが広く採用されている。更には、ボイスコイルモータは、フォトリソグラフィーの精度を改善すべく、フォトリソグラフィーツールにおいて対象物に焦点を合わせる動作機構として採用されてもよい。
しかしながら、従前の平型ボイスコイルモータにおいては可動部の重力補償がないので、モータの動作時に重力起因の不必要なエラーが発生し得る。一方で、重力補償のための外的な手段を採用することになれば、モータの過熱を引き起こす可能性が高くなる。
本発明の目的は、可動部重力補償型平型ボイスコイルモータを提供することにある。
この目的を達成するために、本発明に係る平型ボイスコイルモータは、コイルユニットと、前記コイルユニットに対してアンペール力を作用させる2つの主磁極ユニットと、を備え、前記コイルユニットは、小さくて弱い磁石を含み、前記2つの主磁極ユニットが前記小さくて弱い磁石に対して作用させる合力は、上下方向で上向きである。
前記2つの主磁極ユニットのそれぞれは、前記コイルユニットから等距離にある一対の主磁石を少なくとも含み、前記2つの主磁極ユニットは、前記コイルユニットに関して対称であることが好ましい。
前記2つの主磁極ユニットのうち対称となる主磁石は同じ方向に着磁されており、
前記2つの主磁極ユニットのそれぞれにおいて、前記一対の主磁石は反対向きに着磁されていることが好ましい。
前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットの左右に配置されることで横向きの主磁場を形成し、前記コイルユニットは、前記主磁場を貫く2つの通電導体部を含み、前記2つの通電導体部は、上下に配置されていることが好ましい。
前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットに対して上下方向で上向きのアンペール力を作用させ、前記小さくて弱い磁石は、前記小さくて弱い磁石の上側に配置された2つの主磁石の着磁方向と同じ方向に着磁されていることが好ましい。
前記小さくて弱い磁石の上側に配置された前記2つの主磁石は、上下方向で上向きの合成された磁気的な引力を前記小さくて弱い磁石に対して作用させ、前記小さくて弱い磁石の下側に配置された前記2つの主磁石は、上下方向で上向きの合成された磁気的な斥力を前記小さくて弱い磁石に作用させることが好ましい。
前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットの上下に配置されることで上下方向の主磁場を形成し、前記コイルユニットは、前記上下方向の主磁場を貫く2つの通電導体部を含み、前記2つの通電導体部は、左右に配置されていることが好ましい。
前記小さくて弱い磁石は、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されていることが好ましい。
前記小さくて弱い磁石の上側に配置された前記2つの主磁石は、前記小さくて弱い磁石に対して上下方向で上向きの合成された磁気的な引力を作用させ、前記小さくて弱い磁石の下側に配置された前記2つの主磁石は、前記小さくて弱い磁石に対して上下方向で上向きの合成された磁気的な斥力を作用させることが好ましい。
平型ボイスコイルモータは、複数の間隔磁石と、複数の背鉄と、をさらに備え、各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、各間隔磁石は、対応する一対の主磁石と共に、対応する背鉄に固定されていることが好ましい。
平型ボイスコイルモータは、複数の間隔磁石を更に備え、各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、前記複数の間隔磁石のうち左側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と反対の方向に着磁されており、前記複数の間隔磁石のうち右側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されていることが好ましい。
平型ボイスコイルモータは、複数の間隔磁石を更に備え、各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、前記複数の間隔磁石のうち下側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されており、前記複数の間隔磁石のうち上側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と反対の方向に着磁されていることが好ましい。
前記小さくて弱い磁石の、前記主磁場を貫通する前記通電導体部に前記小さくて弱い磁石が対面する方向の寸法は、前記小さくて弱い磁石の、前記主磁石に前記小さくて弱い磁石が対面する方向の寸法よりも大きいことが好ましい。
前記コイルユニットは、ボビンと、前記ボビンに巻かれたコイルと、を含み、前記小さくて弱い磁石は前記ボビンの中に配置されていることが好ましい。
平型ボイスコイルモータは、複数の背鉄を更に備え、各対の主磁石は、前記複数の背鉄のうち対応するものに固定されており、前記コイルは、前記2つの主磁極ユニットによって形成された主磁場に対して平行であって前記複数の背鉄に対して直角となる軸回りで前記ボビンに巻かれていることが好ましい。
本発明によれば、コイルユニット内に、主磁極ユニットとの間で磁気的な斥力又は引力を形成する小さくて弱い磁石を配置することで、コイルユニットには上下方向で上向きの力が常時作用することとなり、重力補償が提供される。更には、上記の構成は単にコイルユニットの内部を小さくて弱い磁石に置き換えるだけで実現されるので、コイルユニットのコイルに作用するアンペール力に影響を与えることもないし、構造的な追加に起因したモータの過熱を引き起こすこともない。このようにして、可動部重力補償型平型ボイスコイルモータが実現される。
は、本発明の実施形態1に係る平型ボイスコイルモータの模式図である。 は、本発明の実施形態1に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石に対して作用する力を模式的に示している。 は、本発明の実施形態1に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の斜視図である。 は、本発明の実施形態1に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の横断面図である。 は、本発明の実施形態1に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の長手方向の断面図である。 は、本発明の実施形態2に係る平型ボイスコイルモータの模式図である。 は、本発明の実施形態2に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石に対して作用する力を模式的に示している。 は、本発明の実施形態2に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の斜視図である。 は、本発明の実施形態2に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の横断面図である。 は、本発明の実施形態2に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の長手方向の断面図である。 は、本発明の実施形態3に係る平型ボイスコイルモータの模式図である。 は、本発明の実施形態3に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の斜視図である。 は、本発明の実施形態3に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の横断面図である。 は、本発明の実施形態3に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の長手方向の断面図である。 は、本発明の実施形態4に係る平型ボイスコイルモータの模式図である。 は、本発明の実施形態4に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の斜視図である。 は、本発明の実施形態4に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の横断面図である。 は、本発明の実施形態4に係る平型ボイスコイルモータの弱い磁石の長手方向の断面図である。
これらの図において、101a、101b、102a及び102bは主磁石を示し、103a及び103bは間隔磁石を示し、104はコイルを示し、105はボビンを示し、106は背鉄を示し、107は弱い磁石を示している。
以下、図1から図18までと共に4つの実施形態を参照して、本発明に係る重力補償型平型ボイスコイルモータを詳細に説明する。これらの実施形態は任意のものであり、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲において、当業者が変更し修正することができる。
実施形態1
図1に示すように、本実施形態に従って構成された重力補償型平型ボイスコイルモータは、コイルユニットと、コイルユニットに対してアンペール力Tを作用させる2つの主磁極ユニットと、を含む。コイルユニットは、小さくて弱い磁石107と、コイル104と、ボビン105と、を含む。2つの主磁極ユニットは、小さくて弱い磁石107に対して上下方向で上向きの合力を作用させることで、コイルユニットにとっての重力補償を提供している。
本実施形態において、コイルユニットが弱い磁石107を含んでいるので、弱い磁石107と主磁極ユニットとの間の磁気的な斥力又は引力により、コイルユニットに対する上下方向で上向きの力が常時確保され、重力補償を提供している。加えて、上記配置はコイルユニットの内部を小さくて弱い磁石107に単に置き換えるだけで達成されるので、コイル104に作用するアンペール力に影響を与えないし、構造的な追加に起因したモータの過熱を引き起こすこともない。このようにして、可動部重力補償型平型ボイスコイルモータが実現される。
図3から図5までと共に図1に示すように、主磁極ユニットは、それぞれ、一対の主磁石を少なくとも有しており、それぞれ、符号101a及び102a、符号101b及び102bで示されている。主磁石101a、101b、102a、及び、102bはコイルユニットに対して等距離であり、従って、2つの主磁極ユニットはコイルユニットに関して対称である。
2つの主磁極ユニットにおいて、互いに対称となる2つの主磁石は同じ方向に着磁されており、即ち、本実施形態によれば、主磁石101a及び101bは同じ方向に着磁されており、主磁石102a及び102bは同じ方向に着磁されている。一方で、各主磁極ユニットにおける2つの主磁石は逆向きに着磁されており、即ち、本実施形態によれば、主磁石101a及び102aは逆向きに着磁されており、主磁石101b及び102bは逆向きに着磁されている。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、コイルユニットと2つの主磁極ユニットはそれぞれ上下方向に延びており、各主磁極ユニットの2つの主磁石は上下に配置されている。換言すれば、図1において、主磁石101aは主磁石102aに対して上下に隣り合うように配置されており、主磁石101bは主磁石102bに対して上下に隣り合うように配置されている。
本実施形態では、図4と共に図1に示すように、2つの主磁極ユニットは、横向きの主磁場を形成している。換言すれば、主磁極ユニットにおける主磁石の着磁方向は横向きとされており、コイルユニットの2つの通電導体部は主磁場を貫くと共に互いに上下となるように配置されている。
本実施形態では、図1と共に図2に示すように、小さくて弱い磁石107とそれより上側に配置された2つの主磁石101a及び101bとの間の磁気的な引力F101a及びF101bは結合して単一の上下方向で上向きの合成された磁気的な引力となってコイルユニットに作用し、小さくて弱い磁石107とそれより下側に配置された2つの主磁石102a及び102bとの間の磁気的な斥力F102a及びF102bは結合して上下方向で上向きの合成された磁気的な斥力となって同様にコイルユニットに作用する。
従って、本実施形態においては、2つの主磁極ユニットは上下方向で上向きのアンペール力をコイルユニットに対して作用させ、小さくて弱い磁石107はそれより上側に配置された2つの主磁石と同じ方向に着磁されている。図1及び図2に示すように、主磁石101a、101b、102a、102bの着磁方向は何れも横向きであり、本実施形態において、主磁石101a及び101bの着磁方向は何れも横向きであって左向きであり、主磁石102a及び102bの着磁方向は何れも横向きであって右向きである。更に言えば、小さくて弱い磁石107は、それより上側に配置された2つの主磁石101a及び101bと同じ方向に着磁されている。詳しく言えば、各図において描かれた着磁方向で示すように、主磁石101a及び101bと小さくて弱い磁石107は、何れも、N極を左側としS極を右側としている。この理由により、図2に示すような上向き斜めの磁気的な引力がS極N極間で生成される。これらの力の横向き成分は横方向において互いに打ち消し合うので、2つの主磁石101a及び101bは、上下方向で上向きの力を小さくて弱い磁石107、即ちコイルユニットに作用させる。同様の理由により、横向きであって右向きの着磁方向によって、主磁石102a及び102bは磁気的な斥力を小さくて弱い磁石107と共に生成し、磁気的な斥力は結合して上下方向に上向きの力となりコイルユニットに作用する。
図1に示すように、平型ボイスコイルモータは、更に、間隔磁石103と背鉄106を含む。間隔磁石103及び一対の主磁石101及び102は、背鉄106に固定されている。間隔磁石103は、それぞれ、一対の主磁石101及び102の何れかの磁石の間に配置されている。間隔磁石103の着磁方向は、主磁石101及び102の着磁方向に対して直交している。2つの主磁極ユニットの間隔磁石103、即ち、磁石103a及び103bは本実施形態において逆向きに着磁されている。
図1に示すように、小さくて弱い磁石107から見て左側の間隔磁石103aの着磁方向は、コイルユニットに作用するアンペール力の方向と逆向き、即ち上下方向で下向きであり、一方で、小さくて弱い磁石107から見て右側の間隔磁石103bの着磁方向は、コイルユニットに作用するアンペール力の方向と同じ向き、即ち上下方向で上向きである。
コイルユニットに作用するアンペール力の方向における小さくて弱い磁石107の寸法は、小さくて弱い磁石107の、小さくて弱い磁石107が2つの間隔磁石103に対面する方向における寸法よりも大きい。特に、本実施形態によれば、図1において強調して示しているように、アンペール力の方向は上下方向で上向きであり、小さくて弱い磁石107は横寸法よりも大きい上下寸法を有する。
図1に示すように、コイルユニットは更にボビン105とコイル104を含む。小さくて弱い磁石107はボビン105の内側に配置されており、コイル104はボビン105に巻かれている。ボビン105は、2つの主磁極ユニットによって形成された主磁場に対して平行に、且つ、最も外側となる背鉄106に対して直交するように延びている。これにより、コイルを流れる電流が図1に示す方向に確実に従うようになり、もって、上下方向で上向きのアンペール力が生成される。
当業者によって理解されるように、図1の磁石101、102、103、及び107の着磁方向を何れもそれぞれ逆向きに置き換えても、2つの主磁極ユニットによって小さくて弱い磁石107に作用する上下方向で上向きの合力の生成、ひいてはコイルユニットにとっての重力補償が同様に実現され、それ故、上記の置き換えも同様に本発明の範囲内とされる。
実施形態2
図8から図10までと共に図6及び図7に示すように、本実施形態は、2つの主磁極ユニットが上下方向の主磁場を形成し、この主磁場を横切るコイルユニットの2つの通電導体部が互いに横方向となるように配置されている点で、実施形態1と本質的に異なっている。本実施形態において、小さくて弱い磁石107は、コイルユニットに作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されている。コイルユニットの上側にある2つの主磁石101a及び102aは、小さくて弱い磁石107に対して上下方向で上向きの磁気的な引力を作用させ、一方で、コイルユニットの下側にある2つの主磁石101b及び102bは、小さくて弱い磁石107に対して上下方向で上向きの磁気的な斥力を作用させる。小さくて弱い磁石107ひいてはコイルユニットに作用する上向きの磁気的な引力は、上向き斜めの力F102a及びF101aの結合によって得られる力であり、図7に示すように、それらの横向き成分は互いに打ち消し合っている。上向き斜めの力は、N極S極間の引き付けによって生成される。加えて、コイルユニットの下側にある主磁石101b及び102bは、コイルユニットの上側にある主磁石101a及び101bと同じ方向に着磁されているので、主磁石101b及び102bのN極とS極は、それぞれ、小さくて弱い磁石107のN極とS極に対して最も近くなるように位置している。同一の磁極間の反発が図7に示すF102b及びF101bとなり、結合されて上下方向で上向きの力となって小さくて弱い磁石107ひいてはコイルユニットに作用する。
本実施形態において、平型ボイスコイルモータは、更に、一対の主磁石101及び102の何れかの磁石の間にそれぞれ配置された間隔磁石103を含み、下側の間隔磁石103bはコイルユニットに作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されており、上側の間隔磁石103aはコイルユニットに作用するアンペール力の方向と逆向きに着磁されている。
本実施形態は、平型ボイスコイルモータのその他の部分については実施形態1と類似している。詳しく言えば、本実施形態の平型ボイスコイルモータは、背鉄106と磁石103も含んでおり、本実施形態のコイルユニットは、図8から図10までに模式的に示すように実施形態1のそれと構造的に同一である。
当業者によって理解されるように、図6の磁石101、102、103、及び107の着磁方向を何れもそれぞれ逆向きに置き換えても、2つの主磁極ユニットによって小さくて弱い磁石107に作用する上下方向で上向きの合力の生成、ひいてはコイルユニットにとっての重力補償が同様に実現され、それ故、上記の置き換えも同様に本発明の範囲内とされる。
実施形態3
図11から図14までに示すように、本実施形態は、磁石103を備えない点で実施形態1と相違しているが、実施形態1と同様に動作する。本実施形態では、各主磁極ユニットは、2つの主磁石と、主磁石が固定される背鉄と、を含んでいる。主磁石の各対の磁石は、互いに隙間を空けて離れている。小さくて弱い磁石の、コイルユニットに作用するアンペール力の方向における寸法は、小さくて弱い磁石の、小さくて弱い磁石が2つの隙間に対面する方向における寸法よりも大きい。この違いはさておき、本実施形態は実施形態1と類似しており、主磁極ユニット及びコイルユニットの構造、要素の配置に関して類似している。
実施形態4
図15から図18までに示すように、本実施形態は、主磁極ユニット及びコイルユニットがそれぞれ上下となっている構成を考慮すると実施形態2に類似しており、コイルユニットは同一の構成を有しており、主磁極ユニットはそれぞれ類似の構成及び同一の動作原理を有している。本実施形態は、主磁極ユニットから磁石103が欠け落ちている点で実施形態2と相違している。一方で、本実施形態は主磁極ユニット及びコイルユニットがそれぞれ横向き配置である点で実施形態3と相違している。図16から図18までに示すように、上述した相違点はさておき、本実施形態は平型ボイスコイルモータの残りの部分について実施形態3と類似している。
本発明は、上下方向の力の出力に責任のある微動ベクトルモータのボイスコイルモータにおける過熱問題にとって改善された解決策を提供する。微動ベクトルモータは、6つのボイスコイルモータから構成されており、横向き出力用のものを3つ、上下方向出力用のものを3つ含んでおり、20キログラムの負荷に耐え得るように設計されている。この負荷を上下方向出力用の3つのボイスコイルモータに割り当てると、これらのモータは、加速しているわけでもない負荷を空中に浮遊させておくために66Nほどの力を出力する必要がある。この状態で、各モータは50Wの熱を発生させ(負荷を加速させる際は更に多くの)、もって、水冷システムにとっての大きな課題をもたらす。
ボイスコイルモータは、自由度が1つのみであってストロークの短い単相モータである。上下方向の力を出力するとき(図1)、電力消費の大部分は負荷の重力に起因するものであり、負荷に変化がない限りその消費は継続する。この場合、本発明に係る重力補償型平型ボイスコイルモータが採用されれば、重力の大部分は磁石によって提供される力によって打ち消され、モータは残りの少ない部分のみをカバーするだけでよい。更には、上向きの加速のみが必要とされれば、動作電流を増加させることが必要となる。この改善により、ボイスコイルモータの電力消費を約90%削減することができる。
要約すると、本発明によれば、コイルユニットの内部に、主磁極ユニットとの間で磁気的な斥力及び引力を発生させる小さくて弱い磁石が設けられるので、コイルユニットには上下方向で上向きの力が常時確保され、もって、重力補償を提供する。更には、上記の構成は単にコイルユニットの内部を小さくて弱い磁石に置き換えるだけで実現されるので、コイルユニットのコイルに作用するアンペール力に影響を与えることもないし、構造的な追加に起因したモータの過熱を引き起こすこともない。このようにして、可動部重力補償型平型ボイスコイルモータが実現される。実際の応用においては、小さくて弱い磁石それ自体は損傷し易く、また、重力補償を提供するために必要となる力は比較的小さい。従って、小さくて弱い磁石がひび割れないように、弱い磁石は小型化してボビンに埋め込むことが好ましい。

Claims (15)

  1. コイルユニットと、
    前記コイルユニットに対してアンペール力を作用させる2つの主磁極ユニットと、
    を備え、
    前記コイルユニットは、小さくて弱い磁石を含み、
    前記2つの主磁極ユニットが前記小さくて弱い磁石に対して作用させる合力は、上下方向で上向きである、
    平型ボイスコイルモータ。
  2. 請求項1に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記2つの主磁極ユニットのそれぞれは、前記コイルユニットから等距離にある一対の主磁石を少なくとも含み、
    前記2つの主磁極ユニットは、前記コイルユニットに関して対称である、
    平型ボイスコイルモータ。
  3. 請求項2に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記2つの主磁極ユニットのうち対称となる主磁石は同じ方向に着磁されており、
    前記2つの主磁極ユニットのそれぞれにおいて、前記一対の主磁石は反対向きに着磁されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  4. 請求項3に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットの左右に配置されることで横向きの主磁場を形成し、
    前記コイルユニットは、前記主磁場を貫く2つの通電導体部を含み、
    前記2つの通電導体部は、上下に配置されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  5. 請求項4に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットに対して上下方向で上向きのアンペール力を作用させ、
    前記小さくて弱い磁石は、前記小さくて弱い磁石の上側に配置された2つの主磁石の着磁方向と同じ方向に着磁されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  6. 請求項5に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記小さくて弱い磁石の上側に配置された前記2つの主磁石は、上下方向で上向きの合成された磁気的な引力を前記小さくて弱い磁石に対して作用させ、
    前記小さくて弱い磁石の下側に配置された前記2つの主磁石は、上下方向で上向きの合成された磁気的な斥力を前記小さくて弱い磁石に作用させる、
    平型ボイスコイルモータ。
  7. 請求項3に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記2つの主磁極ユニットは前記コイルユニットの上下に配置されることで上下方向の主磁場を形成し、
    前記コイルユニットは、前記上下方向の主磁場を貫く2つの通電導体部を含み、
    前記2つの通電導体部は、左右に配置されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  8. 請求項7に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記小さくて弱い磁石は、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  9. 請求項8に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記小さくて弱い磁石の上側に配置された前記2つの主磁石は、前記小さくて弱い磁石に対して上下方向で上向きの合成された磁気的な引力を作用させ、
    前記小さくて弱い磁石の下側に配置された前記2つの主磁石は、前記小さくて弱い磁石に対して上下方向で上向きの合成された磁気的な斥力を作用させる、
    平型ボイスコイルモータ。
  10. 請求項1に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    複数の間隔磁石と、
    複数の背鉄と、
    をさらに備え、
    各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、
    各間隔磁石は、対応する一対の主磁石と共に、対応する背鉄に固定されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  11. 請求項4に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    複数の間隔磁石を更に備え、
    各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、
    前記複数の間隔磁石のうち左側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と反対の方向に着磁されており、
    前記複数の間隔磁石のうち右側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  12. 請求項7に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    複数の間隔磁石を更に備え、
    各間隔磁石は、対応する一対の主磁石に属する2つの主磁石の間に配置されており、
    前記複数の間隔磁石のうち下側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と同じ方向に着磁されており、
    前記複数の間隔磁石のうち上側のものは、前記コイルユニットに対して作用するアンペール力の方向と反対の方向に着磁されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  13. 請求項4又は7に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記小さくて弱い磁石の、前記主磁場を貫通する前記通電導体部に前記小さくて弱い磁石が対面する方向の寸法は、
    前記小さくて弱い磁石の、前記主磁石に前記小さくて弱い磁石が対面する方向の寸法よりも大きい、
    平型ボイスコイルモータ。
  14. 請求項1に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    前記コイルユニットは、ボビンと、前記ボビンに巻かれたコイルと、を含み、
    前記小さくて弱い磁石は前記ボビンの中に配置されている、
    平型ボイスコイルモータ。
  15. 請求項14に記載の平型ボイスコイルモータであって、
    複数の背鉄を更に備え、
    各対の主磁石は、前記複数の背鉄のうち対応するものに固定されており、
    前記コイルは、前記2つの主磁極ユニットによって形成された主磁場に対して平行であって前記複数の背鉄に対して直角となる軸回りで前記ボビンに巻かれている、
    平型ボイスコイルモータ。
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