JP2016536513A - 内燃エンジン用ピストンおよびピストン用カバープレート - Google Patents

内燃エンジン用ピストンおよびピストン用カバープレート Download PDF

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Abstract

本発明は、内燃エンジン用のピストン(10,10’)であって、ピストンヘッド(11)およびピストンスカート(17)を備え、当該ピストンスカート(17)は、互いに対向して配置されてボスボア(19)を含むピストンボス(18)と、互いに対向して配置されて摺動面(22)を含むシャンク壁(21)とを有し、ピストン(10)の下部領域にコネクティングロッドの通過のための孔(26)を有するカバープレート(24)が固定されているピストンに関する。本発明によると、カバープレート(24)は、互いに対向して配置された2つの長手方向側部(27)と、互いに対向して配置された2つの自由端部(25)とを有し、シャンク壁(21)の下部領域に溝(23)が設けられ、この溝(23)内にカバープレート(24)の自由端部(25)が弾性プレストレス下で収容される。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃エンジン用のピストンであって、ピストンヘッドおよびピストンスカートを備え、当該ピストンスカートは、互いに対向して配置されてボスボアを含むピストンボスと、互いに対向して配置されて摺動面を含むシャンク壁とを有し、ピストンの下部領域に、コネクティングロッドの通過のための孔を有するカバープレートが固定されているピストンに関する。本発明はまたそのようなピストン用のカバーに関する。
問題とするタイプの噴霧冷却式のピストンが特許文献1から知られている。当該ピストンは、その下部領域に設けられた保持プレートを備えており、この保持プレートはねじ止め、半田付け、リベット打ち、溶接または圧入によってピストンに固定されている。下方からピストン内に噴霧されたオイルは、まず冷却流路の冷却に使用され、そして燃焼室床の冷却および小コネクティングロッドアイの潤滑に用いられる。シェーカー効果によってオイルミストが形成され、それにより対応する冷却効果が確保される。
特許文献2は、ピストンであって、当該ピストンの下部領域に設けられてピストンスカートの内部を循環する流路状の板金部分を備えたものを開示している。
豪国実用新案出願公開第001919号明細書 独国特許出願公開第19522756号明細書 独国特許出願公開第4110306号明細書
本発明の目的は、問題とするタイプのピストンおよび問題とするタイプのカバープレートを、カバープレートが可能な限り確実かつ係留的にピストンに固定されるように改良することである。
課題は、カバープレートが互いに対向して配置された2つの長手方向側部と、互いに対向して配置された2つの自由端部とを有し、シャンク壁の下部領域に溝が設けられ、当該溝内にカバープレートの自由端部が弾性プレストレス下で収容されることによって解決される。
本発明に係るカバープレートは、孔と自由端部の少なくとも一方との間に、ばね弾性態様で設計されかつ断面U字状またはV字状の凹部が設けられている点に特徴がある。
本発明によると、カバープレートが弾性プレストレス下においてピストンに保持される。このことは、ねじ止め、半田付け、リベット打ち、溶接または圧入のような必要以上に複雑な固定手段の必要性をなくす。
本発明にしたがって提供されるカバープレートは、流れ戻る冷却オイルを捕集してそのクランクシャフトの方への流出を遅らせるかあるいは防止する。冷却オイルは、カバープレートの上方のピストン内部にオイル噴射ノズルによって直接的に導入され得るか、または、利用可能であれば、冷却流路からピストン内部へ流れ出る。エンジンの作動中に生じるシェーカー効果は、カバープレートによって捕集された冷却オイルをボスボアおよびピストンヘッドの方向において高い振動数で往復運動させ、それにより優れた冷却効果を奏する。
ピストンヘッド、環状溝、およびボスボアの動作温度が大幅に低下され得ることが測定により求められた。従来技術に係るピストンの200〜220℃の動作温度と比較して、本発明に係るピストンの動作温度は30%低下した。
本発明にしたがって提供されるカバープレートは、また、シャンク壁の領域、すなわち各場合における自由端部と中央孔との間において捕集された冷却オイルが集まって、シェーカー効果によって生じる改善された冷却効果がシャンク壁の領域において以前より増して存在するため、シャンク壁の改善された冷却を可能とする。
有利な別の展開は従属請求項から現れる。
特に好ましい実施形態では、孔とカバープレートの自由端部の少なくとも一方との間に、ばね弾性態様で設計されかつ断面U字状またはV字状の凹部が設けられている。当該凹部は、本発明に係るカバープレートを弾性プレストレス下でピストンに特にしっかりと保持するのに役立つばね弾性要素として機能する。さらに、カバープレートのプレストレス力は、凹部の軸方向深さによって調節され得る。このことは、カバープレートのプレストレス力をさまざまなタイプや大きさのピストンに適合させることを可能とし、その使用可能範囲を広げる。凹部は、また、当該凹部と対応する自由端部またはシャンク壁との間に冷却オイルのための保持チャンバが形成されることをもたらす。このことは、特にシャンク壁の冷却をさらに改善する。
凹部は、対応する自由端部と実質的に平行に延びている。その結果として、凹部の最大ばね弾性効果が実現され得る。
有利な別の展開は、カバープレートのピストンボスに対応する長手方向側部の各々に少なくとも1つのラッチ要素を設けることであり、当該ラッチ要素は弾性プレストレス下でピストンに設けられたラグの裏側に係合し、よってクリップ様式のようなタングアンドグルーブ接続を形成し、そのことが本発明に係るカバープレートのピストンにおける追加的な位置固定を構成する。
カバープレート全体は、好ましくは、カバープレートの溝への差し込みを容易にするために、ばね弾性材料で作られている。
噴霧冷却式のエンジンにおいて本発明に係るピストンが使用される場合、カバープレートは、冷却オイルの通過を可能とするために、ピストンのシャンク壁の領域にくぼみを有している。
本発明に係るピストンに冷却オイルのための少なくとも1つの供給開口が設けられた循環冷却流路が追加的に設けられている場合、くぼみと少なくとも1つの供給開口とが並べて形成されていることが有利である。そのような場合、冷却流路にはオイル噴射ノズルによって冷却オイルが供給され得る。
カバープレートは、好ましくは、少なくとも長手方向側部に沿った部分で湾曲した態様で構成されている。このことは、シャンク壁の溝へのカバープレートの差し込みを容易化し、また、ばね弾性プレストレス力のさらなるコントロールを可能とする。最後に、湾曲構造は、孔と自由端部またはシャンク壁との間に冷却オイルのための保持チャンバが形成されることをもたらし、よって特にシャンク壁の冷却をさらに改善する。
本発明は、特に、低いコンプレッションハイトのピストンに適している。鋼製または軽金属製のピストンは、冷却流路の有無によらず、それにより関係させられ得る。好ましい適用分野は、特許文献3に記載されているように、冷却流路の無いアルミベース材料で作られたピストンである。
図1aは、概略的に示されたカバープレートを備えた、本発明に係る冷却流路ピストンの代表的な実施形態を示す図である。 図1bは、図1aにおける矢印Aの方向から見た、図1aまたは図1cに係るピストンを示す図である。 図1cは、概略的に示されたカバープレートを備えた、冷却流路を有さない本発明に係るピストンの代表的な実施形態を示す図である。 図2は、本発明に係るカバープレートの代表的な実施形態を示す図である。 図3は、図1に係るピストンに部分的に取り付けられた、図2に係るカバープレートを示す図である。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の代表的な実施形態について詳細に説明する。図面は概略的なものであって縮尺は正確ではない。
図1a、図1bおよび図1cは、本発明に係るピストン10,10’の2つの代表的な実施形態を示している。当該ピストン10,10’は、鋼材料または軽金属材料、特にアルミベース合金で作られていてもよい。ピストン10,10’は、好ましくは、低いコンプレッションハイト(例えば、0.27〜0.40)を有している。2つの代表的な実施形態の間の唯一の違いは、図1aに係るピストン10が冷却流路を有しているのに対して、図1cに係るピストン10’は冷却流路を有していないことである。
代表的な実施形態におけるピストン10,10’は、それぞれ一体型スカートピストンとして構成されている。当該ピストン10,10’は、それ自体既知の態様においてピストンヘッド11およびピストンスカート17を備えている。ピストンヘッド11は、ピストンベース12、燃焼ボウル13、循環ファイアランド14、およびピストンリング(図示せず)のための環状溝を含む循環リング部15を有している。循環冷却流路16がリング部15の高さに設けられており、当該冷却流路16は冷却オイルのための少なくとも1つの供給開口16aを有している。ピストンスカート17は、ピストンピン(図示せず)を収容するためのボスボア19を含みかつ互いに対向して配置されたピストンボス18を有している。当該ピストンボス18は、互いに対向して配置されたシャンク壁21を含む摺動面22を介して、それ自体既知の態様で互いに接続されている。
図1a〜図1cに示すように、カバープレート24がシャンク壁21の下部領域に設けられている。シャンク壁21の下部領域に溝23が設けられていることが図1bから特に明らかであり、当該溝23は図1bにおいて破線で示されていて、カバープレート24の自由端部25を弾性プレストレス下で収容している。カバープレート24は孔26を有しており、当該孔26はエンジンの作動中におけるピストンロッドの通過を許容するのに役立つ。カバープレート24は、また、ピストンボス18に対応付けられた2つの長手方向側部27を有している。最適に改善された冷却効果を実現するために、カバープレート24はピストン10,10’の下側のできるだけ広い領域を覆っているべきである。
図2は、本発明に係るカバープレート24の代表的な実施形態を示している。当該カバープレート24は、代表的な実施形態ではばね弾性材料で作られていて、全体的にわずかに湾曲し、そして互いに対向して配置された2つの長手方向側部27と互いに対向して配置された2つの自由端部25とを有している。ほぼ同心の孔26が、エンジンの作動中におけるピストンロッドの通過を許容するためにまた設けられている。
ばね弾性態様において断面U字状またはV字状に形成された凹部28が、代表的な実施形態において、孔26とカバープレート24の各々の自由端部25との間に設けられている。代表的な実施形態におけるそのような凹部28の各々は、対応する自由端部25に対して実質的に平行に延びていて、ばね弾性要素の効果を有しており、それによりカバープレート24が弾性プレストレス下においてピストン10に特にしっかりと保持される。各凹部28は所定の軸方向深さTを有している。凹部28の当該軸方向深さTは、長手方向、すなわち長手方向側部27に平行な方向において自由端部25の可動性が調節されることを可能とする。軸方向深さTが大きくなるほど、カバープレート24の自由端部25が動きやすくなる。
代表的な実施形態におけるカバープレート24では、各々の長手方向側部27にちょうど2つのラッチ要素29が設けられており、当該ラッチ要素29は実質的に断面S字状に形成されている。ラッチ要素29は、また、ばね弾性的に構成されている。
カバープレート24が噴霧冷却式のエンジンで使用されるピストンに設けられる場合、当該カバープレート24は、エンジンの作動中における冷却オイルの通過を許容するために、自由端部の一方の領域にくぼみ31を有している。
図3は、図2に係るピストン10またはピストン10’に代表的な態様において不完全に差し込まれたカバープレート24を有する、図1に係るピストン10または図1cに係るピストン10’の下部領域を示している。代表的な実施形態では、連続溝23がシャンク壁21の下部領域に設けられている。当該溝23は、弾性プレストレス下でカバープレート24の自由端部25を収容する。この目的のために、カバープレート24の少なくとも一部が生産によりばね弾性構成を有するかばね弾性材料で作られている必要があり、長手方向側部27に沿ったカバープレート24の湾曲構造は補助的な効果を有し得る。
代表的な実施形態におけるカバープレート24のばね弾性設計は、ばね弾性的に構成された凹部28によって主にもたらされる。シャンク壁21の溝23にカバープレート24を組み付けるために、自由端部25が長手方向において孔26の方へ動かされ、それにより凹部28がたわむ。カバープレート24が溝23に対して所望の位置に配置されると、自由端部25は開放されて溝23にはまる。カバープレート24はこうしてピストン10またはピストン10’に固定される。凹部28の軸方向深さTはここでばね弾性プレストレス力に影響し、当該プレストレス力の下でカバープレート24がピストン10またはピストン10’内に保持される。軸方向深さTが小さくなるほど、生じるプレストレス力は大きくなる。
凹部28と対応するシャンク壁21とは、冷却オイルのための保持チャンバ32を形成する。これにより、特にシャンク壁21の冷却がさらに改善される。
ピストンにおけるカバープレート24のさらなる位置固定を実現するために、ラグ33がピストンボス18の領域に設けられており、当該ラグ33はカバープレート24の長手方向側部27に配置されたラッチ要素29に対応している。カバープレート24がピストン10またはピストン10’に完全に差し込まれると、ラッチ要素29は対応するラグ33の裏側に係合し、よってクリップのようなタングアンドグルーブ接続(図3には示さない)を形成する。
代表的な実施形態におけるくぼみ31は、冷却流路16の供給開口16aと実質的に並べて設けられていて、よって供給開口16aに同様に冷却オイルが供給されるのを許容する。
本発明にしたがって設けられるカバープレート24は、流れ戻る冷却オイルを捕集してそのクランクシャフトの方への流出を遅らせる。エンジンの作動中に生じるシェーカー効果により、カバープレート24によって捕集された冷却オイルはボスボア19およびピストンヘッド11の方向において高い振動数で往復運動し、それにより、シャンク壁21の領域に捕集された冷却オイルが集まるため、特にシャンク壁21の領域において優れた冷却効果を発揮する。

Claims (14)

  1. 内燃エンジン用のピストン(10,10’)であって、
    ピストンヘッド(11)およびピストンスカート(17)を備え、
    上記ピストンスカート(17)は、互いに対向して配置されてボスボア(19)を含むピストンボス(18)と、互いに対向して配置されて摺動面(22)を含むシャンク壁(21)とを有し、
    上記ピストン(10)の下部領域に、コネクティングロッドの通過のための孔(26)を有するカバープレート(24)が固定されており、
    上記カバープレート(24)は、互いに対向して配置された2つの長手方向側部(27)と、互いに対向して配置された2つの自由端部(25)とを有し、
    上記シャンク壁(21)の下部領域に、溝(23)が設けられ、
    上記溝(23)内に、弾性プレストレス下において上記カバープレート(24)の上記自由端部(25)が収容されている
    ことを特徴とするピストン。
  2. 請求項1において、
    上記孔(26)と上記カバープレート(24)の上記自由端部(25)の少なくとも一方との間に、ばね弾性態様で設計されかつ断面U字状またはV字状の凹部(28)が設けられている
    ことを特徴とするピストン。
  3. 請求項2において、
    上記凹部(28)が、対応する上記自由端部(25)と平行に延びている
    ことを特徴とするピストン。
  4. 請求項1において、
    上記カバープレート(24)が、上記ピストンボス(18)に対応する上記長手方向側部(27)の各々に少なくとも1つのラッチ要素を有し、
    上記ラッチ要素(29)は、上記ピストン(10,10’)に設けられたラグ(33)の裏側に弾性プレストレス下で係合する
    ことを特徴とするピストン。
  5. 請求項1において、
    上記カバープレート(24)が、ばね弾性材料で作られている
    ことを特徴とするピストン。
  6. 請求項1において、
    上記ピストン(10,10’)のシャンク壁(21)の領域において、上記カバープレート(24)にくぼみ(31)が設けられている
    ことを特徴とするピストン。
  7. 請求項6において、
    上記ピストン(10)の上記ピストンヘッド(11)は、冷却オイルのための少なくとも1つの供給開口(16a)が設けられた循環冷却流路(16)を有し、
    上記くぼみ(31)が、上記少なくとも1つの供給開口(16a)と並べて形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  8. 請求項1において、
    上記カバープレート(24)は、少なくとも上記長手方向側部(27)の部分に沿って湾曲して構成されている
    ことを特徴とするピストン。
  9. 内燃エンジン用のピストン(10)のシャンク壁(21)の下部領域に固定されるカバープレート(24)であって、
    上記カバープレート(24)は、互いに対向して配置された2つの長手方向側部(27)と、互いに対向して配置された2つの自由端部(25)と、ピストンロッドの通過のための孔(26)とを備えており、
    上記孔(26)と上記自由端部(25)の少なくとも一方との間に、ばね弾性態様で設計されかつ断面U字状またはV字状の凹部(28)が設けられている
    ことを特徴とするカバープレート。
  10. 請求項9において、
    上記凹部(28)が、対応する上記自由端部(25)と平行に延びている
    ことを特徴とするカバープレート。
  11. 請求項9において、
    上記カバープレート(24)は、上記長手方向側部(27)の各々に、ばね弾性設計の少なくとも1つのラッチ要素(29)を備えている
    ことを特徴とするカバープレート。
  12. 請求項9において、
    上記カバープレート(24)は、ばね弾性材料で作られている
    ことを特徴とするカバープレート。
  13. 請求項9において、
    上記自由端部(25)の領域に、くぼみ(31)が設けられている
    ことを特徴とするカバープレート。
  14. 請求項9において、
    上記カバープレート(24)は、少なくとも上記長手方向側部(27)に沿った部分において湾曲して形成されている
    ことを特徴とするカバープレート。
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