本発明の実施形態は、アルファ化部分加水分解デンプンの作製方法を提供する。一態様においては、本発明はボード(例えば石膏ウォールボード)の調製方法を提供する。本発明の方法に従って作製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、食料品(例えば、焼いてある食品、飲料、糖菓、乳製品、インスタントプリン、グレービー、スープミックス、加工食品、パイのフィリング、ソース、及び肉において)、医薬品、飼料、接着剤、ならびに着色剤において等、他の様々な方法で使用することができる。本発明のいくつかの実施形態に従って調製されるこのようなデンプンは概して消化しやすく、食品に所望の粘度を与えることができ、もとのベース材料が持つ機能特性の大半を維持することができる。
本発明の実施形態は、押出機において1工程でデンプンをアルファ化し、酸変性する驚くべき且つ予想外の発見を、少なくとも部分的に前提とする。驚くべき且つ予想外なことに、押出機において1工程でデンプンをアルファ化し酸変性することは、別工程でデンプンをアルファ化し酸変性することに比べ、かなりの利点を有する。例えば本明細書において記載されるように、アルファ化部分加水分解デンプンを作製する本発明の方法により、所望の特性(例えば粘度、流動性、冷水への溶解度等)を犠牲にすることなく、生成量が多くなり、生産が速くなり、且つエネルギーコストが低くなる。
さらには、押出条件(例えば高温及び高圧)が、デンプンの酸加水分解速度を有意に増加させ得ることが見出されている。驚くべき且つ予想外なことに、この1工程プロセスは、デンプンの酸変性に対し、ミョウバン等の弱酸、及び/又はより少量の強酸を使用することを可能にする。どちらの酸形態も、酸からのプロトンがデンプンの加水分解を触媒する機構を提供する。従来の酸変性プロセスは、精製及び中和工程を含む。弱酸(例えばミョウバン)及び/又は少量の強酸を使用することにより、本発明のいくつかの実施形態に従って、中和工程及びそれに続く精製工程の必要性が除かれる。精製工程は、従来のシステムでは、中和工程で生じる塩のデンプンを精製するのに必要とされる。
押出プロセスは、本発明の実施形態に従って、デンプンをアルファ化するだけでなくデンプン分子を部分加水分解(すなわち酸変性によって)する。したがって、1工程での押出プロセスは、物理変性(アルファ化)と化学変性(酸変性、部分酸加水分解)の両方を提供する。アルファ化により、デンプンは、(例えば石膏ボードなどの最終製品に)強度を与える能力を得る。酸変性により、デンプンは有利に部分加水分解されて、石膏ボード等の最終製品に強度を与える能力を得て、且つ、石膏ボード製造プロセスの場合等の製品製造において必要とされる水が少なくなる。したがって、本発明の実施形態のデンプン調製方法による生成物は、アルファ化部分加水分解デンプンである。
いくつかの実施形態に従って、本発明は、高効率酸変性反応を提供する。押出機でのアルファ化及び酸変性は、本明細書において記載のように高温及び/又は高圧で生じ、その結果、酸加水分解速度は、より低温(例えば50℃)及び/又はより低圧での従来の酸加水分解速度よりも約30,000倍以上も大きくなり得る。酸加水分解速度は、デンプン前駆体中で低い水分(約8重量%〜約25重量%)レベルを用い、これにより反応物の濃度が増加することによってさらに増加する。この高効率な酸変性のため、驚くべき且つ予想外なことに、弱酸又は非常に低いレベルの強酸をデンプン前駆体で使用して最適な酸変性を達成することが可能であり、中和及び精製の必要がなくなることを発明者らは見出している。この中和及び精製は、コストがかかり、時間を消費し、従来システムでの非効率な必要事項である。
いくつかの実施形態に従って、加水分解は、デンプンを最適サイズ範囲内の小さな分子に変えるよう設計される。最適サイズ範囲は、本明細書においては、アルファ化部分加水分解デンプンの望ましい粘度によって規定される。デンプンが過剰に加水分解されると、過度に小さい分子(例えば少糖類又は糖類)へと変えられ、その結果、石膏ボードの場合では、望ましい粘度を有するアルファ化部分加水分解デンプンによって与えられるボード強度よりも、ボード強度は小さくなり得る。
アルファ化部分加水分解デンプンは、(i)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を形成させることによって調製することができる。上記の酸は、(1)カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸、(2)デンプンの重量の約0.05重量%以下の量である強酸、又は(3)それらの任意の組合せであることができる。湿性デンプン前駆体は、本明細書において記載されるような高いダイ温度及び/又は高圧で、押出機において1工程でアルファ化され、酸変性される。デンプンは、例えば本明細書において記載されるような望ましい粘度になる程度まで加水分解される。
したがって、いくつかの実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することによって作製することができる。次いで湿性デンプンを押出機に供給する。約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度の押出機の中にある間に、湿性デンプンはアルファ化され、少なくとも部分的に加水分解されるよう酸変性される。
さらなる実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、強酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することによって作製することができ、上記の強酸は、上記のデンプンの重量の約0.05重量%以下の量である。次いで湿性デンプンを押出機に供給する。約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度の押出機の中にある間に、湿性デンプンはアルファ化され、少なくとも部分的に加水分解されるよう酸変性される。
得られるアルファ化部分加水分解デンプンは、スタッコスラリー中に組み入れられた際、必要とする水の量が少ないことが望ましく、いくつかの実施形態においては、良好な強度を有するボード(例えば石膏ボード)の製造において有用であり得る。したがって別の態様においては、本発明は、押出機において1工程でアルファ化して酸変性する本発明の方法を用いて調製したデンプンを使用した、石膏ボードの作製方法を提供する。いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製したアルファ化部分加水分解デンプンは、当業者に公知の他のアルファ化デンプンと比較して、水の必要量が少ない。
その結果、本発明の実施形態に従って調製したアルファ化部分加水分解デンプンは、(例えば供給ラインによってピンミキサーへと)、良好な流動性を有してスタッコスラリーに組み入れられる。いくつかの実施形態においては、より高い強度と、より低いボード密度を得ることができるように、より多くの量の、本発明の実施形態に従って調製したアルファ化部分加水分解デンプンを組み入れることができる。これは、系に過剰な水を加える必要がないからである。得られるボードは、良好な強度特性を示す(例えば良好な芯硬度、釘抜き抵抗性、圧縮強度等、又は本明細書において提供される各値の任意の組合せに基づくそれらの間の関連性を有すること)。有利なことに、本発明の方法に従って調製したデンプンを石膏ボードの製造中に組み入れることにより、強度が増加するため、超低密度製品を製造することが可能になる。石膏ボードは、例えば石膏ウォールボード(しばしば乾式壁と呼ばれる)の形態であることができ、この石膏ウォールボードは、当業者には理解されるように、壁用だけでなく天井や他の場所用に使用されるボードも包含することができる。しかしながら、本方法に従って調製されるデンプンは、食品における用途等の他の用途も有することができる。
アルファ化及び酸変性
デンプンは炭水化物に分類され、2種類の多糖、すなわち直鎖アミロース及び分岐鎖アミロペクチンを含有する。デンプン細粒は、例えば偏光下で見られるように半結晶性であり、室温で不溶性である。糊化は、デンプン細粒の結晶構造が融解するよう、デンプンが水中で加熱され(「加熱処理され」)、デンプン分子が水に溶解し、良好に分散する過程である。デンプン細粒は水不溶性であるので、デンプン細粒が糊化形態に変化する際、初期段階では水中でほとんど粘度を示さないことがわかっている。温度が上昇するとデンプン細粒は膨潤し、結晶構造は糊化温度で融解する。ピーク粘度は、デンプン細粒が最大に膨潤した場合に得られる。さらに加熱するとデンプン細粒は壊れ、デンプン分子は水に溶解し、粘度は急激に減少する。冷却後、デンプン分子は再会合して3−Dゲル構造を形成し、このゲル構造に起因して粘度は増加する。いくつかの市販のデンプンはアルファ化形態で販売され、他のデンプンは細粒形態で販売される。本発明のいくつかの実施形態に従って、石膏ボードに関し、細粒形態は少なくともある程度の糊化を受ける。例示すると、石膏ボードに関し、デンプンは、本明細書においてはスタッコスラリーとも呼ばれる石膏スラリーへ(通常、例えばピンミキサー等のミキサー内で)加えられる前にアルファ化される。
したがって本明細書において使用される場合、「アルファ化」とは、例えば石膏スラリーに組み入れられる前に、又は他の用途での使用のために、デンプンが任意の程度、糊化されていることを意味する。石膏ボードに関するいくつかの実施形態においては、アルファ化デンプンは、スラリーに組み入れられる際に部分的に糊化され得るが、例えば過剰な水を除去する工程中の炉内で、高温に曝された際に完全に糊化される。石膏ボードに関するいくつかの実施形態においては、デンプンが、粘度変性混和(VMA)法に従った条件下で、いくつかの実施形態の中程度の粘度特性を満たす場合は、アルファ化デンプンは、炉を出る時であっても完全に糊化されていない。
本明細書において粘度について言及する際は、別段の定めが無い限り、粘度はVMA法に従うものである。この方法に従って、粘度は、同心円筒を備えるDiscovery HR−2ハイブリッドレオメーター(TA Instruments Ltd)、羽根形状(直径28mm、長さ42.05mm)を有する標準カップ(直径30mm)を使用して測定する。
デンプンが得られたら、示差走査熱量測定(DSC)技術を使用して、デンプンが完全に糊化されているかどうかを測定する。DSC工程を使用して、デンプンが完全に糊化されているかどうかを観測することができ、例えば老化が生じていないことを確かめることができる。デンプンを完全に糊化するために必要な温度に応じ、2つの手順のうちの1つが適用される。当業者に理解されるように、その温度もDSCによって決定され得る。
デンプンが完全に糊化されているか、又は90℃以下の糊化温度を有することがDSCにより明らかになった場合、手順1を使用する。糊化温度が90℃よりも高い場合、手順2を使用する。粘度はデンプンが水中にある間に測定するので、手順2では、密封容器中での加圧加熱処理を用いて100℃よりも高い温度へ過熱し、明らかな水の蒸発を生じさせない。下記で論じるように、手順1は、糊化用の加圧条件を作り出すことのできない開放系のレオメーター内で糊化が起こるので、既に完全に糊化されたデンプン又は90℃以下の糊化温度を有するデンプン用のものである。したがって手順2は、より高い糊化温度を有するデンプンで行われる。どちらの方法でも、粘度を測定する際は、総重量50gに対してデンプン(7.5g、乾燥基準)を水に加える。
手順1では、デンプンを水中に分散させ(デンプン及び水の総重量の15%のデンプン)、試料を直ちにシリンダーセルに移す。セルをアルミニウム箔で覆う。試料を、せん断速度200s−1で、25℃から90℃に5℃/分で加熱する。試料を、せん断速度200s−1で、90℃で10分間保持する。試料を、せん断速度200s−1で、90℃から80℃に5℃/分で冷却する。試料を、せん断速度0s−1で、80℃で10分間保持する。試料の粘度を、80℃及びせん断速度100s−1で2分間測定する。粘度は、30秒から60秒の測定の平均である。
手順2を、90℃より高い糊化温度を有するデンプンで使用する。デンプンは、デンプン産業において周知の方法に従って(例えば、加圧加熱処理によって)糊化させる。糊化デンプン水溶液(総重量の15%)を直ちにレオメーター計量カップ内に移し、80℃で10分間平衡に保つ。試料の粘度を、80℃及びせん断速度100s−1で2分間測定する。粘度は、30秒から60秒の測定の平均である。
ビスコグラフ及びDSCは、デンプン糊化を表す2つの異なる方法である。デンプン糊化度は、例えばピーク面積(結晶の融解)を計算に用いて、例えばDSCからのサーモグラムより決定することができる。ビスコグラム(ビスコグラフからのもの)は、部分糊化度を決定するにはあまり望ましくはないが、例えばデンプンの粘度変化、糊化最大値、糊化温度、老化、保持時の粘度、冷却終了時の粘度等のデータを得るのに優れたツールである。糊化度を決定するには、過剰水の存在下で、特に重量で67%以上の過剰水の存在下でDSC測定を行う。デンプン/水混合物の含水率が67%未満の場合、糊化温度は含水率が低下するにつれて上昇するであろう。利用可能な水が限られる場合は、デンプン結晶を融解することは困難である。デンプン/水混合物の含水率が67%に達している場合、デンプン/水混合物にさらに多くの水がどれだけ追加されようと、糊化温度は一定のままであろう。糊化開始温度は、糊化の始まる温度を示す。糊化終了温度は、糊化の終わる温度を示す。糊化のエンタルピーは、糊化中に融解した結晶構造の量を表す。デンプンDSCサーモグラムからのエンタルピーを用いることにより、糊化度を示すことができる。
異なるデンプンは、異なる糊化開始温度、終了温度及び糊化エンタルピーを有する。したがって、異なるデンプンは、異なる温度で完全に糊化してもよい。デンプンは、過剰水中で糊化終了温度を超えて加熱される場合に完全に糊化することが理解されるであろう。さらには、任意の特定のデンプンでは、デンプンが糊化終了温度よりも低い温度で加熱される場合は、デンプンは部分糊化するであろう。したがって、部分糊化及び不完全糊化は、例えばDSCによって測定されるように、デンプンが過剰水の存在下で糊化終了温度よりも低い温度で加熱される場合に起こるであろう。完全糊化は、例えばDSCによって測定されるように、デンプンが過剰水の存在下で糊化終了温度よりも高い温度で加熱される場合に起こるであろう。糊化度は異なる方法で調整することができ、例えばデンプンを糊化終了温度よりも低い温度で加熱して部分糊化を形成させることによって調整することができる。例えば、デンプンを完全に糊化するエンタルピーが4J/gであるとすると、デンプンの糊化エンタルピーが2J/gのみであるとDSCが示す場合、50%のデンプンが糊化していることを意味する。完全糊化デンプンは、DSCによって測定された場合、DSCサーモグラムの糊化ピーク(エンタルピー=0J/g)を有さないであろう。
述べたように、糊化度は、好適な任意量であることができ、例えば約70%以上等である。しかしながら、糊化度が低くなると細粒デンプンに近くなり、本発明のいくつかの実施形態での強度向上、より優れた(より完全な)分散、及び/又は水必要量の減少という利点を最大限に利用できない可能性がある。したがって、いくつかの実施形態においては、より高い糊化度であることが好ましく、例えば約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約99%以上又は完全(100%)の糊化であることが好ましい。石膏ボードの場合、より低い糊化度を有するデンプンをスラリーに加えて、炉内でさらなる糊化(例えば100%まで)を生じさせることができる。スラリーへ加える目的では、「完全糊化」とは、デンプンが糊化温度以上で充分に加熱処理されるか、又は、デンプンが充分に加熱処理されて、DSC技術によって見られ得るような完全糊化を他の方法で達成することであると理解されるであろう。デンプンは、冷却による一部のわずかな老化が予想されてもよいが、そうであっても、当業者が認識するようないくつかの実施形態においては、石膏スラリーへの添加又は他の用途での使用では、「完全糊化」しているとして理解されるであろう。対照的に、こうした老化は、本明細書において論じられるVMA法では、粘度測定を行うことにおいて許容されない。
デンプン分子を酸変性して、例えばグルコース単位間のグリコシド結合を加水分解し、所望の分子量を得ることができる。分子量が減少するよう、デンプンを酸変性することの1つの利点は、水必要量が減少することであろう。酸変性されていない従来のアルファ化デンプンの水必要量は非常に多く、高いエネルギーコストを伴う。より効率的且つ低コストの傾向があるため、変性は、糊化の前に生じることが概して好ましいと従来考えられてきた。しかしながら驚くべき且つ予想外なことに、アルファ化及び酸変性は、連続して起きるのではなく同時に起きるよう、1工程に組み入れることができることを発明者らは見出している。
デンプン調製方法
本発明のいくつかの実施形態に従って、押出機に入れる前に湿性デンプン前駆体を調製する。湿性デンプン前駆体は、好適な任意の方法によって調製することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、湿性デンプン前駆体は、デンプン原料、水及び酸を合わせることによって調製する。この酸は、(a)カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸、及び/又は(b)少量の強酸である。
デンプン原料を使用して、例えば本発明のいくつかの実施形態の中程度の粘度特性に適合するもの等のアルファ化部分加水分解デンプンを作製することができるのであれば、任意の好適なデンプン原料を選択して湿性デンプン前駆体を調製することができる。本明細書において使用される場合、「デンプン」は、デンプン成分を含む組成物を指す。よってデンプンは、100%純粋なデンプンであることができ、又はデンプン成分がデンプン組成物の約75重量%以上を構成するのであれば、タンパク質及び繊維等、穀粉で一般に見られる成分等の他の成分を有していてもよい。デンプンは、デンプンを含有する穀粉(例えばコーンフラワー)の形態であることができ、穀粉の約75重量%以上、例えば約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上等のデンプンを有する穀粉等であることができる。好適な任意の未変性デンプン又は穀粉を使用して、本発明のアルファ化部分加水分解デンプン前駆体を調製することができる。例えばデンプンは、CCM260黄色コーンミール、CCF600黄色コーンフラワー(Bunge North America)、Clinton 106(ADM)、及び/又はMidsol 50(MGP Ingredients)であることができる。
湿性デンプン前駆体は、押出機で所望のレベルのアルファ化及び変性が得られるよう、好適な任意の含水率を有するように調製することができる。いくつかの実施形態においては、例えば湿性デンプン前駆体は、デンプン前駆体総重量の約8重量%〜約25重量%の含水率を有することが望ましく、例えば約8重量%〜約23重量%、例えば約8重量%〜約21重量%、約8重量%〜約20重量%、約8重量%〜約19重量%、約8重量%〜約18重量%、約8重量%〜約17重量%、約8重量%〜約16重量%、約8重量%〜約15重量%、約9重量%〜約25重量%、約9重量%〜約23重量%、約9重量%〜約21重量%、約9重量%〜約20重量%、約9重量%〜約19重量%、約9重量%〜約18重量%、約9重量%〜約17重量%、約9重量%〜約16重量%、約9重量%〜約15重量%、約10重量%〜約25重量%、約10重量%〜約23重量%、約10重量%〜約21重量%、約10重量%〜約20重量%、約10重量%〜約19重量%、約10重量%〜約18重量%、約10重量%〜約17重量%、約10重量%〜約16重量%、約10重量%〜約15重量%、約11重量%〜約25重量%、約11重量%〜約23重量%、約11重量%〜約21重量%、約11重量%〜約20重量%、約11重量%〜約19重量%、約11重量%〜約18重量%、約11重量%〜約17重量%、約11重量%〜約16重量%、約11重量%〜約15重量%、約12重量%〜約25重量%、約12重量%〜約23重量%、約12重量%〜約21重量%、約12重量%〜約20重量%、約12重量%〜約19重量%、約12重量%〜約18重量%、約12重量%〜約17重量%、約12重量%〜約16重量%、約12重量%〜約15重量%、約13重量%〜約25重量%、約13重量%〜約23重量%、約13重量%〜約21重量%、約13重量%〜約20重量%、約13重量%〜約19重量%、約13重量%〜約18重量%、約13重量%〜約17重量%、約13重量%〜約16重量%、約13重量%〜約15重量%、約14重量%〜約25重量%、約14重量%〜約23重量%、約14重量%〜約21重量%、約14重量%〜約20重量%、約14重量%〜約19重量%、約14重量%〜約18重量%、約14重量%〜約17重量%、約14重量%〜約16重量%、又は約14重量%〜約15重量%の含水率であり、全て湿性デンプン前駆体の総重量に基づく。湿性デンプンの調製時、本明細書において記載される含水率は、周囲環境の水分と、加えられた水とを含むことが理解されるであろう。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、含水率が低いと、押出機中での摩擦が大きくなると考えられる。いくつかの実施形態においては、湿性デンプンが押出機を簡単に通過してしまうことが摩擦によって防がれるよう、湿性デンプンは、押出機を通って供給される際に充分な機械エネルギーが加えられる含水率を有するように調製することができる。摩擦が大きくなると、デンプン中の水素結合の切断が増加し得る。
カルシウムイオンを実質的にキレート化しない、好適な任意の弱酸を湿性デンプンに混合してもよい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、キレート化は、例えば弱酸がカルシウムと配位錯体を形成すること、あるいはそうでない場合は石膏スラリー内での石膏結晶の生成を妨げることを含む。このような妨げにより、生成する石膏結晶数の減少、結晶生成の遅延(速度減少)、石膏結晶間の相互作用の減少となる可能性がある。カルシウムイオンをキレート化しないことに関して、「実質的に」という用語は、利用できるカルシウムイオンの90%以上(例えば92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上)が酸とキレートを形成していないことを概して意味する。
本発明の実施形態の弱酸は、約1〜約6のpKa値、例えば約1〜約5、約1〜4、約1〜3、約1〜2、約1.2〜約6、約1.2〜約5、約1.2〜約4、約1.2〜約3、約1.2〜約2、約2〜約6、約2〜約5、約2〜約4、約2〜約3、約3〜約6、約3〜約5、約3〜約4、約4〜約6、又は約4〜約5のpKa値を有するものとして規定することができる。当業者に理解されるように、pKa値は酸の強さの尺度であり;pKa値が低くなると酸は強くなる。
カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸は、例えばカルシウムイオンに結合する傾向がある複数のカルボキシル官能基(COO‐)のような複数の結合部位がないことによって特徴づけられる。いくつかの実施形態においては、例えばキレート化が最小限となる(すなわち実質的にない)ように、又は弱酸の非存在下での石膏結晶生成と比較して、石膏結晶生成が実質的に影響されないように、弱酸は、複数の‐COO‐基等の複数の結合部位を最小限の量で有するか、又は複数の‐COO‐基等の複数の結合部位を実質的に有しない。いくつかの実施形態においては、例えば硫酸アルミニウム(ミョウバン)は、カルシウムイオンを実質的にキレート化しないので、湿性デンプンの調製で使用するのに好適な弱酸である。ミョウバンは、複数の結合部位を有しない。
いくつかの実施形態においては、ミョウバンは、好適な任意の形態で湿性デンプン前駆体に加え、例えば所望の固体含有率のミョウバン含有液体として加える。例えばミョウバン液は、好適な任意量でミョウバンが存在する水溶液中に含まれることができる。他の弱酸を同様に加えることができる。
アルファ化部分加水分解デンプンが所望の粘度と少ない水必要量を有して調製され、且つ糖へと過剰に加水分解されないよう、湿性デンプンは、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸を好適な任意量含むよう混合することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、このような弱酸は、デンプンの重量に基づき約0.5重量%〜約5重量%の量で含まれ、例えば約0.5重量%〜約4.5重量%、例えば約0.5重量%〜約4重量%、約0.5重量%〜約3.5重量%、約0.5重量%〜約3重量%、約1重量%〜約5重量%、約1重量%〜約4.5重量%、約1重量%〜約4重量%、約1重量%〜約3.5重量%、約1重量%〜約3重量%、約1.5重量%〜約5重量%、約1.5重量%〜約4.5重量%、約1.5重量%〜約4重量%、約1.5重量%〜約3.5重量%、約1.5重量%〜約3重量%、約2重量%〜約5重量%、約2重量%〜約4.5重量%、約2重量%〜約4重量%、約2重量%〜約3.5重量%、約2重量%〜約3重量%、約2.5重量%〜約5重量%、約2.5重量%〜約4.5重量%、約2.5重量%〜約4重量%、約2.5重量%〜約3.5重量%、又は約2.5重量%〜約3重量%の量で含まれる。これらの量は弱酸成分を包含し、酸が溶液である場合、水又は溶液の他の成分を含まないことが理解されるであろう。
湿性デンプン前駆体は、任意に、酒石酸等のカルシウムイオンをキレート化することができる2番目の酸をさらに含むよう調製することができる。したがって、いくつかの実施形態においては、酒石酸等の2番目の酸を、カルシウムイオンをキレート化しない好適な任意の弱酸と組み合わせることができる。酒石酸は石膏結晶化を遅らせることが知られている。しかしながら、酸変性による加水分解反応が最適化されるように、キレート化しない弱酸と組み合わせることで、酒石酸は石膏結晶化を実質的に遅らせない。ミョウバンの加速効果を超えないのであれば、酒石酸のほかに、コハク酸又はリンゴ酸等の他の2番目の酸が有利であってもよい。いくつかの実施形態においては、湿性デンプン前駆体はミョウバンと酒石酸の両方を含む。
2番目の酸(例えば酒石酸)は、もし含まれる場合には、好適な任意量で存在することができる。例えば、酒石酸は、デンプンの重量に基づき約0.1重量%〜約0.6重量%の量で存在することができ、例えば約0.1重量%〜約0.4重量%、約0.2重量%〜約0.3重量%の量で存在することができる。
いくつかの実施形態においては、任意に油を湿性デンプンに加え、押出機内でのデンプンの搬送性を改良することができる。いくつかの実施形態においては、可能な油としては、カノーラ油、植物油、トウモロコシ油、大豆油、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。例えばいくつかの実施形態においては、カノーラ油又は前述の代替物のうちの1つは、デンプン重量の約0重量%〜約0.25重量%の量で任意に加えることができ、例えば約0.1重量%〜約0.2重量%、約0.1重量%〜約0.15重量%、約0.15重量%〜約0.25重量%、約0.15重量%〜約0.2重量%、又は約0.2重量%〜約0.25重量%の量で加えることができる。
いくつかの実施形態に従って、湿性デンプン前駆体は、水と、非アルファ化デンプンと、少量の強酸とを混合することによって調製する。いくつかの実施形態においては、強酸は、約−1.7以下のpKaを有する。任意のこのような酸を使用することができ、いくつかの実施形態においては、強酸は、硫酸、硝酸、塩酸、又はそれらの任意の組合せを含む。硫酸イオンは、石膏ボード実施形態において石膏結晶化を加速することができるので、いくつかの実施形態においては、硫酸単体、又は硫酸と他の酸との組合せが好ましい。
強酸の量は比較的少なく、例えばデンプンの重量の約0.05重量%以下であり、例えば約0.045重量%以下、約0.04重量%以下、約0.035重量%以下、約0.03重量%以下、約0.025重量%以下、約0.02重量%以下、約0.015重量%以下、約0.01重量%以下、約0.005重量%以下、約0.001重量%以下、約0.0005重量%以下であり、例えばデンプンの重量の約0.0001重量%〜約0.05重量%、約0.0001重量%〜約0.045重量%、約0.0001重量%〜約0.04重量%、約0.0001重量%〜約0.035重量%、約0.0001重量%〜約0.03重量%、約0.0001重量%〜約0.025重量%、約0.0001重量%〜約0.02重量%、約0.0001重量%〜約0.015重量%、約0.0001重量%〜約0.01重量%、約0.0001重量%〜約0.005重量%、約0.0001重量%〜約0.001重量%、約0.0001重量%〜約0.0005重量%である。これらの量は強酸成分を包含し、強酸が溶液である場合、水又は溶液の他の成分を含まないことが理解されるであろう。例えば、従来の強酸変性は、〜35%のデンプン固体で2%の硫酸溶液を使用する(35gのデンプンに対し2gの硫酸)。パーセントは、純粋な硫酸成分に基づく。湿性デンプンの重量で割った硫酸成分の重量として計算されている。例えば、硫酸が純度50%の場合(溶液の半分の重量が純粋な硫酸であることを意味する)、硫酸溶液の重量は2倍である。説明すると、0.1重量%とするには、100gのデンプンに対し、0.1gの純粋な硫酸を加える。硫酸溶液濃度が50%である場合、0.1重量%とするには、0.2gの50%硫酸溶液を加える。
酸には異なる等級(>95%、98%、99.99%)があることが理解されるであろう。これらの差異は、デンプン前駆体中の強酸の量に関し、「約」という用語によって包含される。当業者は、異なる等級を含むよう、本明細書において記載される重量%を容易に決定することができるであろう。本発明のいくつかの実施形態に従って使用される強酸の量は、従来の系で含まれた強酸の量よりもかなり少なく、従来の系では、例えば35gのデンプンに対し、約2g以上の硫酸を使用した。いくつかの実施形態においては、上記のような少量の強酸は、本明細書において記載されるように、ミョウバン等のカルシウムイオンをキレート化しない弱酸と組み合わせて使用することができる。
本発明の実施形態は、湿性デンプン前駆体が押出機において1工程でアルファ化され、酸変性されるよう、湿性デンプン前駆体を、押出機を通して供給することを提供する。押出機とは、ポリマーを融解し、ダイを通して押し出すことによって、所望の形状へとポリマーを融解して加工するのに概して使用される機械であることが理解されるであろう。押出機は、色素、強化用繊維、鉱物充填剤等の他の成分とポリマーを混合することもできる。押出機の目的は、押出機に供給される全ての成分を分散させ、分布させること、ならびに一定温度及び一定圧力で成分を融解させることである。
押出機の構成及び配置は当業者に公知である。概して押出機は、供給材料を送るための供給ホッパーと、可塑剤(例えば水)とポリマーをコンディショニングする、加熱ジャケットを備えたプレコンディショナーと、加熱域を備えた押出機モジュールヘッドと、ダイアセンブリとを備える。押出機は概して、供給オーガーと、ナイフと、スクリュー(複数可)とを備える。供給オーガーは、湿性デンプン前駆体を押出機へ運ぶのを補助するために存在する。ナイフは、アルファ化部分加水分解デンプンをすりつぶすことができるよう、紐状のアルファ化部分加水分解デンプンを小さなペレットに切断するために存在する。スクリューは、湿性デンプン前駆体の混合を補助し、押出機を通して湿性デンプン前駆体を運搬し、且つ機械せん断を提供する。押出機は、当業者に理解されるように、単軸スクリュー又は2軸スクリューの種類の押出機であることができる。Leszek Moscicki、Extrusion−Cooking Techniques、WILEY−VCH Verlag & Co. KGaA、2011年を参照のこと。
単軸スクリュー押出機では、スクリューは概して、深溝を備え、供給装置の口から固体を運び、それらを圧縮する供給部と、スクリューの溝が次第に浅くなり、ポリマーが融解する圧縮部と、浅溝を備え、融解ポリマーをダイへと運ぶ計量部とを備える。スクリューは、混合装置(例えばスクリューから延びるピン)を備えるよう設計されているものもある。
2軸スクリュー押出機は概して、どちらも同じ方向に回転(すなわち共回転)するか、又は反対方向に回転(すなわち二重反転)する2つのスクリューを有する。2つのスクリューは、非かみ合いねじ式で回転するか、又は完全かみ合いねじ式で回転してもよい。単軸スクリュー押出機の場合では、供給されている材料はスクリュー溝全体を埋めるが、2軸スクリュー押出機の場合では、特定成分の添加用に下流の供給口又は供給孔を使用することができるよう、スクリュー溝の一部のみが埋められている。
ダイアセンブリは概して、プレートと、スペーサーと、ダイヘッドとを備える。材料を押し出す際、プロセスは、材料が無限長で押し出される連続式か、又は材料が特定の長さで押し出される半連続式のいずれかであることができる。押し出されている材料は、熱くても冷たくてもよい。
本発明は、アルファ化部分加水分解デンプンを押出機で調製する方法を提供する。好適な任意の押出機を使用することができ、例えば単軸スクリュー押出機(例えばイリノイ州South BeloitにあるAmerican Extrusion Internationalから入手可能なAdvantage 50)、又は2軸スクリュー押出機(例えばカンザス州SabethaにあるWengerから入手可能なWenger TX52)等である。
本明細書において記載されるように、非アルファ化デンプンと、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸及び/又は少量の強酸の形態の酸と、水とを混合し、押出機に供給する。いくつかの実施形態においては、さらなる水を押出機に加えてもよい。押出機内で、加熱素子と機械せん断との組合せでデンプンを融解してアルファ化する間、弱酸はデンプンを所望の分子量まで部分加水分解する。その分子量は、本明細書において記載されるように望ましい粘度によって示される。押出機内での条件により、機械エネルギーが原因でデンプン分子の劣化も生じ、部分的には酸変性と同じ効果が起こる。いくつかの実施形態の押出機内での条件(例えば高い反応温度と高い圧力)によりこの化学反応が促進されるので、弱酸及び/又は少量の強酸を使用することができると考えられる。したがって本発明の方法は、デンプン酸変性の効率を改良する。
主スクリュー(複数可)は、所望の混合及び機械せん断が得られるような、好適な任意の速度で作動させることができる。例えばいくつかの実施形態においては、主スクリューは、約350RPM(±約100RPM)の速度で作動させることができる。供給オーガーは、好適な任意の速度で作動させて所望の供給速度を得ることができる。例えばいくつかの実施形態においては、供給オーガーは、約14RPM(±約5RPM)の速度で作動させることができる。
ナイフは、好適な任意の速度で作動させることができる。例えば様々な実施形態において、ナイフは約400RPM〜約1,000RPMの速度で作動させることができ、例えば約400RPM〜約900RPM、約400RPM〜約800RPM、約400RPM〜約700RPM、約400RPM〜約600RPM、約400RPM〜約500RPM、約500RPM〜約1,000RPM、約500RPM〜約900RPM、約500RPM〜約800RPM、約500RPM〜約700RPM、約500RPM〜約600RPM、約600RPM〜約1,000RPM、約600RPM〜約900RPM、約600RPM〜約800RPM、約600RPM〜約700RPM、約700RPM〜約1,000RPM、約700RPM〜約900RPM、約700RPM〜約800RPM、約800RPM〜約1,000RPM、約800RPM〜約900RPM、又は約900RPM〜約1,000RPMの速度で作動させることができる。
湿性デンプンは、材料を炭化させることなく湿性デンプンが充分アルファ化されるような、好適な任意温度のダイを有する押出機においてアルファ化及び酸変性することができる。例えば湿性デンプンは、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)の温度のダイを有する押出機でアルファ化及び酸変性することができ、例えば様々な実施形態においては、約150℃〜約205℃(約400°F)、約150℃〜約199℃(約390°F)、約150℃〜約193℃(約380°F)、約150℃〜約188℃(約370°F)、約150℃〜約182℃(約360°F)、約154℃(約310°F)〜約210℃、約154℃〜約205℃(約400°F)、約154℃〜約199℃、約154℃〜約193℃、約154℃〜約188℃、約154℃〜約182℃、約160℃(約320°F)〜約210℃、約160℃〜約205℃(約400°F)、約160℃〜約199℃、約160℃〜約193℃、約160℃〜約188℃、約160℃〜約182℃、約166℃(約330°F)〜約210℃、約166℃〜約205℃、約166℃〜約199℃、約166℃〜約193℃、約166℃〜約188℃、約166℃〜約182℃、約171℃(約340°F)〜約210℃、約171℃〜約205℃、約171℃〜約199℃、約171℃〜約193℃、約171℃〜約188℃、約171℃〜約182℃、約177℃(約350°F)〜約210℃、約177℃〜約205℃、約177℃〜約199℃、約177℃〜約193℃、約177℃〜約188℃、又は約177℃〜約182℃の温度ダイを有する押出機でアルファ化及び酸変性することができる。押出機のダイは、本明細書において記載されるような、任意の充分な温度であることができるが、ダイ温度は概してデンプン結晶の融解温度を超える。
糊化度は好適な任意の量であることができ、例えば約70%以上、例えば約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約99%以上又は完全(100%)の糊化であることができる。以下に記載されるようなウォールボードの作製の場合には、そのようなより低い糊化度を有するデンプンをスタッコスラリーに加え、例えば炉内でさらなる糊化(例えば100%まで)を生じさせることができる。
押出機内の圧力は、アルファ化及び酸変性に対する適切な条件が得られるような、好適な任意のレベルであることができる。押出機内部の圧力は、押し出されている原料と、含水率と、ダイ温度と、スクリュー速度とによって決定され、当業者によって認識されるであろう。例えば押出機内の圧力は、約2,000psi(約13,800kPa)以上であることができ、例えば約2,250psi(約15,500kPa)以上、約2,500psi(約17,200kPa)以上、約2,750psi(約19,000kPa)以上、約3,000psi(約20,650kPa)以上、約3,500psi(約24,100kPa)以上、約4,000psi(約27,600kPa)以上、又は約4,500psi(約31,000kPa)以上であることができる。いくつかの実施形態においては、圧力は、約2,000psi〜約5,000psi(34,500kPa)であることができ、例えば約2,000psi〜約4,500psi、約2,000psi〜約4,000psi、約2,000psi〜約3,500psi、約2,000psi〜約3,000psi、約2,000psi〜約2,500psi、約2,500psi〜約5,000psi、約2,500psi〜約4,500psi、約2,500psi〜約4,000psi、約2,500psi〜約3,500psi、約2,500psi〜約3,000psi、約3,000psi〜約5,000psi、約3,000psi〜約4,500psi、約3,000psi〜約4,000psi、約3,000psi〜約3,500psi、約3,500psi〜約5,000psi、約4,000psi〜約5,000psi、約4,000psi〜約4,500psi、又は約4,500psi〜約5,000psiであることができる。
驚くべき且つ予想外なことに、押出機において1工程でアルファ化部分加水分解デンプンを調製する本発明の方法は、連続する2工程でデンプンをアルファ化し、部分加水分解するよりもかなり速いことが見出されている。本発明を用いることにより、他の任意の方法を用いて調製したデンプンよりも有意に多い量のアルファ化部分加水分解デンプンを調製することができる。生成量がより多くなり、生産速度がより速くなるのは、高温及び/又は高圧における高反応速度に起因する。いくつかの実施形態においては、アルファ化及び酸変性は、約5分未満で起こり、例えば約4分未満、例えば約3分未満、約2分未満、約90秒未満、約75秒未満、約1分未満、約45秒未満、約30秒未満、約25秒未満、約20秒未満、約15秒未満、又は約10秒未満で起こる。さらに、いくつかの実施形態においては、アルファ化及び酸変性は押出機内で、前述の時点のうち任意の2つによって限定された速度で起こる。例えばアルファ化及び酸変性速度は約10秒〜5分であることができ、例えば約10秒〜約4分、約10秒〜約3分、約10秒〜約2分、約10秒〜約90秒、約10秒〜約75秒、約10秒〜約1分、約10秒〜約45秒、約10秒〜約30秒、約10秒〜約25秒、約10秒〜約20秒、又は約10秒〜約15秒であることができる。
アルファ化部分加水分解デンプンを調製する本発明の方法は、任意の充分な速度で起こる連続プロセスであることができる。いくつかの実施形態においては、デンプンは、約100kg/時以上の生産量速度で、押出機においてアルファ化及び酸変性し、例えば約150kg/時以上、約200kg/時以上、約250kg/時以上、約300kg/時以上、約350kg/時以上、約400kg/時以上、約450kg/時以上、500kg/時、約550kg/時以上、例えば約600kg/時以上、約650kg/時以上、約700kg/時以上、約750kg/時以上、約800kg/時以上、約850kg/時以上、約900kg/時以上、約950kg/時以上、約1,000kg/時以上、約1,050kg/時以上、約1,100kg/時以上、約1,150kg/時以上、約1,200kg/時以上、約1,250kg/時以上、約1,300kg/時以上、約1,350kg/時以上、約1,400kg/時以上、約1,450kg/時以上、又は約1,500kg/時以上の生産量速度でアルファ化及び酸変性する。さらに、いくつかの実施形態においては、生産量速度は、前述の速度点のうち任意の2つによって限定されることができる。例えば生産量速度は、約100kg/時〜約1,500kg/時(例えば約100kg/時〜約1,500kg/時、約100kg/時〜約1,000kg/時、約250kg/時〜約1,500kg/時、約250kg/時〜約1,000kg/時、約600kg/時〜約1,250kg/時、約650kg/時〜約1,200kg/時、約700kg/時〜約1,100kg/時、約750kg/時〜約1,000kg/時等)であることができる。
いくつかの実施形態においては、1工程で効率的且つ充分にデンプンをアルファ化し、酸変性するのに、押出機内の条件(例えば高温と高圧)が特に寄与することを発明者らは見出している。押出機で湿性デンプンを混合すると非常に大きい摩擦が生じ、それにより熱が発生する。押出機内でスクリューとチャンバーの間の空間は非常に小さいため、押出機内ではスクリューによってせん断力が作られる。比機械エネルギー(SME)は、物体の質量1単位あたりの機械エネルギーを表す。SMEは含水量に依存するであろう。含水率が高くなると(例えば流動性のため)、粘度及び摩擦は小さくなり、したがってSMEは小さくなるであろう。より多くの水分が存在する場合は、粘度及び摩擦が小さくなるため、SMEは小さくなるであろう。本明細書において記載される本発明の湿性デンプン前駆体中の含水率により、効率的なSMEが提供される。
押出機内では、本明細書において記載される本発明の実施形態によって提供される条件に起因して、デンプンは高効率でアルファ化される。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明のいくつかの実施形態に従った押出機内での良好な混合では、押出機での反応に対して必要とされる水はより少量であると考えられる。含水率が非常に低いことにより、反応物濃度は高くなりやすくなり、化学反応速度を加速することができる。押出機の温度が高いことも、反応速度を有意に加速する。デンプンが押出機から出るとき、デンプンがアルファ化及び部分加水分解されるよう反応が起こる。
従来の酸変性では、デンプンを強酸溶液中に加える。この従来方法は、本明細書において記載されるように、連続して行うのではなく1工程でデンプンのアルファ化と酸変性とを同時に行う驚くべき且つ予想外の方法よりも、有意に多い水及び酸を使用する。従来の酸変性は数時間かかる。反応が起こった後、酸を中和し、精製して洗い流すことが必要である。中和工程及び精製工程は時間を消費し、コストがかかる。
発明者らの驚くべき且つ予想外の発見までは、従来の酸変性において、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸、又は少量の強酸を使用することは望ましくないと考えられていた。これは、従来方法では酸が弱くなると、又は強酸の量が少なくなると、酸変性に長い時間がかかるためである。したがって、従来の酸変性においては、多量の強酸(例えば約−1.7未満のpKaを有する)が示されていた。驚くべき且つ予想外なことに、本発明の実施形態に従って、本明細書において記載される弱酸又は少量の強酸を使用して押出機内でアルファ化部分加水分解デンプンを調製する場合、中和工程及び精製工程の必要がない。これは、穏和な酸性条件であること、及び石膏結晶化への干渉が少ないことにそれぞれ起因する。いくつかの実施形態においては、酸は、アルファ化部分加水分解デンプン中になおも存在することができる。
デンプンの特性、及び石膏ボードにおいてデンプンを使用する利点
本発明の実施形態に従って押出機で調製したデンプンは、任意のアルファ化部分加水分解デンプンであることができる。いくつかの実施形態においては、デンプンは、本明細書において記載されるような様々な所望の特性(例えば中程度の粘度、冷水溶解度、冷水粘度等)を有するよう調製することができる。
本発明の実施形態に従って押出機で調製したアルファ化部分加水分解デンプンは、石膏ボードでの使用に好適であることができる。石膏ボードでの利用では、例えばアルファ化及び酸変性は、本明細書において記載される本発明の実施形態に従って所望の粘度(及び、ゆえに分子量範囲)を得ることにより、例えば強度の目的で有利である。本明細書において論じられるウォールボードの作製方法においては、スタッコスラリーに入れられるデンプンは、約70%以上糊化されることができ、例えば約75%以上糊化、約80%以上糊化、約85%以上糊化、約90%以上糊化、約95%以上糊化、約97%以上糊化、又は約100%糊化(すなわち完全糊化)されることができる。
さらに、本発明の実施形態に従って、本明細書において記載されるようにカルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸を含む湿性デンプンを押出機へ供給することにより、所望の粘度が得られるよう、つまり所望の分子量範囲が得られたことが示されるよう、デンプンが加水分解される。そのため、当業者に理解されるように、粘度はアルファ化部分加水分解デンプンの分子量を示す。
いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、好適な任意の粘度を有するよう調製することができる。いくつかの実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプン及び水の総重量の15重量%の量でアルファ化部分加水分解デンプンが水中にある場合に、アルファ化部分加水分解デンプンがVMA法の条件に付された際、粘度は、「中程度の」粘度(すなわち、約20センチポアズ〜約700センチポアズの粘度を有すること)有するとして特徴づけられる。したがって、VMA法を使用して、VMA法の条件に付された際、アルファ化部分加水分解デンプンが中程度の粘度特性を示すかどうかを測定する。これは、これらの条件下でアルファ化部分加水分解デンプンを石膏スラリーに加えなければならないことを意味するものではない。むしろ、アルファ化部分加水分解デンプンをスラリーに加える際は、デンプンは湿性形態(水中で様々な濃度のデンプン)又は乾燥形態であることができ、且つ本明細書において記載されるように、完全に糊化されている必要はなく、又はそうでない場合はVMA法に記載される条件下である必要がない。
いくつかの実施形態においては、アルファ化デンプンの中程度の粘度は、約20センチポアズ〜約700センチポアズであることができ、例えば約20センチポアズから約500センチポアズ、約30センチポアズから約200センチポアズ、又は約100センチポアズから約700センチポアズであることができる。本発明の実施形態においては、VMA法の下で試験される際のアルファ化デンプンの粘度は、例えば以下の表1A、1B及び1Cに挙げられるとおりであることができる。表においては、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、センチポアズ単位でのアルファ化デンプンの粘度を表す。表現を容易にするために、各値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表1Aにおける最初の「X」は、「約20センチポアズから約25センチポアズ」の範囲である。
したがって、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの粘度は、表1A、1B又は1Cに記載されている前述の端点の間及びそのいずれかを含む範囲を有することができる。あるいはいくつかの実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、本明細書において記載されるブラベンダー法に従って測定される約5ブラベンダーユニット(BU)〜約33BUの粘度(10%固体、93℃)を有し、例えば約10BU〜約30BU、約12BU〜約25BU、又は約15BU〜約20BUの粘度を有する。
いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、アルファ化部分加水分解デンプンが使用される製品(例えばウォールボード)の強度に、有利な利点を与えることができる。デンプンは、3つのヒドロキシル基を含有するグルコースモノマーを含有するので、石膏結晶に水素結合する多数の部位を提供する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの分子サイズにより、最適なデンプン分子の移動性が得られ、デンプン分子が石膏結晶と共に整列し、デンプン分子と石膏結晶の良好な結合が促進され、得られる結晶性石膏マトリックスが例えば水素結合によって強固になると考えられる。
本明細書において記載される方法とは別の方法に従って調製され、例えば中程度ではない粘度を有する従来のアルファ化デンプンは、より長い鎖長及びより高分子量(高すぎる粘度)ならびにより短い鎖長及び低分子量(低すぎる粘度)のいずれかを有し、それぞれ利点の組合せと同じものを提供しない。デンプン効率に関して、デンプン分子が充分に石膏結晶に結合している場合、デンプン分子が付着又は結合するさらなる石膏結晶部位は無いように石膏結晶は既に結合されているため、さらなるデンプンは有意な利点をもたささないとも考えられている。したがって本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプン分子と石膏結晶間の最適な結合により、結晶性石膏マトリックスの強度が向上し、この強度の増進に必要とされるデンプンは、従来のデンプンと比較して少ない。いくつかの実施形態においては、例えば中程度の粘度を有する(中程度のデンプン分子量を示す)溶解したデンプン分子により、デンプン分子の最適な移動性が得られ、デンプン分子が石膏結晶と共に整列し、デンプン分子と石膏結晶の良好な水素結合が促進され、芯強度が促進されることを発明者らは見出している。
本発明のいくつかの実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、いくつかの実施形態において、水の必要量に関しても利点を提供する。従来のアルファ化デンプンを石膏スラリーへ追加すると、所望の程度のスラリー流動性を維持するために、さらなる水を石膏スラリーに加えることが必要となる。これは、従来のアルファ化デンプンが石膏スラリーの粘度を増加させ、流動性を減少させるためである。したがって、従来型の系においてデンプンを使用することにより、さらに多くの過剰水が石膏スラリーで必要になるような水必要量の増加が生じた。
驚くべき且つ予想外なことに、本発明の実施形態に従って調製される、特に、望ましい中程度の粘度を有するアルファ化部分加水分解デンプンは、より少ない水を必要とし、特に従来のデンプンと比較して、石膏スラリーにおける水必要量への影響が減少する。さらには、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの、より少ないデンプンを使用することができるような効率性により、本発明のいくつかの実施形態に従って、水必要量への好ましい影響はさらに一層有意であることができる。このより少ない水必要量により、製造中のかなりの効率性が得られる。例えば過剰水は、乾燥するためにエネルギーの投入を必要とする。ラインのスピードは、乾燥に対応するために遅くしなければならない。したがって、石膏スラリー中の水投入量を減らすことにより、生産速度が速くなるだけでなく、エネルギー資源とコストが少なくなる。いくつかの実施形態においては、石膏スラリーでの水必要量の増分は、例えば異なる方法によって調製された、700センチポアズを超える粘度(例えば約773センチポアズ)を有するアルファ化デンプン等の他のデンプンによって必要とされる水必要量の増分よりも少ない。
アルファ化部分加水分解デンプンの調製においては、押出機内で充分アルファ化され、酸変性されるのであれば、好適な任意の非アルファ化デンプンを選択することができる。本明細書において使用される場合、「デンプン」は、デンプン成分を含む組成物を指す。よってデンプンは、100%純粋なデンプンであることができ、又はデンプン成分がデンプン組成物の約75重量%以上を構成するのであれば、タンパク質及び繊維等、穀粉で一般に見られる成分等の他の成分を有していてもよい。デンプンは、デンプンを含有する穀粉(例えばコーンフラワー)の形態であることができ、穀粉の約75重量%以上、例えば約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上等のデンプンを有する穀粉等であることができる。例えば、限定されるものではないが、デンプンは、デンプンを含むコーンフラワーの形態であることができる。
いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、所望の冷水溶解度を有するよう調製することができる。従来のアルファ化技術は、デンプンを冷水可溶性にすることを含み、概して過剰量の水中でデンプンを加熱処理することを必要とする。しかしながら、これらの従来技術は効率的ではない。押出しは、加熱と機械せん断との組合せを行うが、本発明の実施形態に従って、驚くべき且つ予想外なことに、低含水量と冷水溶解度を有するアルファ化部分加水分解デンプンを1工程プロセスで作製するのに使用することができる、エネルギー効率のよい方法である。冷水溶解度は、室温(約25℃)で、水への任意量の溶解度を有することとして規定される。冷水への溶解度を示すデンプンは、石膏製品(例えばウォールボード)の強度への有意な利点を提供することができることが発見された。本発明の冷水可溶性デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有し、且つ、硬化石膏芯に加えられた場合に、石膏芯の強度を増加させることができる。アルファ化デンプンの水への溶解度は、室温の水に溶解するデンプンの量をデンプンの総量で割ったものとして規定される。
いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの冷水溶解度は、約30%〜約100%である。他の実施形態においては、押出しされたアルファ化部分加水分解デンプンの冷水溶解度は、約50%から約100%である。本発明の実施形態においては、押出しされたアルファ化部分加水分解デンプンの冷水溶解度は、例えば、表2に挙げられたとおりであることができる。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、本発明の実施形態に従って調製される、押出しされたアルファ化部分加水分解デンプンの冷水溶解度を表す(表2)。表現を容易にするために、各値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2における最初の「X」は、「約30%から約35%」の範囲である。表の範囲は、始点及び終点の間と、始点及び終点を含むものである。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、押出し中の機械的エネルギーと熱エネルギーとの組合せが、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの冷水溶解度の原因であると考えられる。デンプンが押出しを経る時に、デンプン分子間の水素結合が壊れると考えられる。押出しされたデンプンが水に溶解するとき、デンプンは、水分子との水素結合を形成する。アルファ化プロセスの後、押出しされたアルファ化部分加水分解デンプンは、石膏結晶と自由に水素結合でき、したがって石膏製品により高い強度を与える。したがって、冷水における溶解性を示すデンプンは石膏ウォールボードの強度を改良するので、従来のデンプンと比較して、必要とされるデンプンの量は少ない。
いくつかの実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、本明細書において記載されるブラベンダー法に従って測定される約10BU〜約120BUの冷水粘度(10%固体、25℃)を有し、例えば約20BU〜約110BU、約30BU〜約100BU、約40BU〜約90BU、約50BU〜約80BU、又は約60BU〜約70BUの粘度を有する。
ボード作製における方法に従って調製されたデンプンの使用
いくつかの実施形態においては、ボード(例えば石膏ボード)は、少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することによってアルファ化部分加水分解デンプンを形成させて作製することができ、上記の酸は:カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸、デンプンの重量で約0.01重量%以下の量の強酸、又はそれらの組合せから選択される。
次に湿性デンプン前駆体を、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度の押出機に供給し、湿性デンプンをアルファ化し、少なくとも部分的に加水分解されるよう酸変性する。次いでアルファ化部分加水分解デンプンを、少なくとも水及びスタッコと混合してスラリーを形成させ、その後第1カバーシートと第2カバーシートの間に配置して、湿性組立体を形成させる。次に湿性組立体をボードへと切断後、乾燥させる。ボードの硬化石膏芯は、異なる方法で調製されたデンプンを用いて作製された硬化石膏芯よりも大きい圧縮強度を有することが好ましい。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、驚くべき且つ予想外なことに、スラリーに比較的少量で(固体/固体基準)含まれていることができ、且つそれでもなおボードでの著しい強度向上が得られる。したがって、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、スタッコの重量に基づき約0.1重量%〜約10重量%、例えば約0.5重量%〜約10重量%の量で石膏スラリー中に含まれていることができる。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの量が、スラリー中、これらの範囲を超えて増加することは、効果的に強度を改良しない。なぜなら、いくつかの実施形態においては、さらに多くのデンプンを加えることに対して、強度レベルはある程度に一定状態に達することができるからである。しかしながら、必要である場合には、特に強度における収穫逓減が許容される場合には、より多いデンプン量を用いることができる。
本発明の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、例えば以下の表3A及び3Bに挙げられるような量で、石膏スラリーに加えることができる。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、スタッコの重量パーセントとしてのデンプン量を表す。表現を容易にするために、各値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、最初の「X」は、「スタッコの約0.1重量%のデンプンからスタッコの約0.25重量%のデンプン」の範囲である。
したがって、スラリーに加えられる、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの量は、表3A又は3Bに記載されている前述の端点の間及びそのいずれかを含む範囲を有することができる。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、様々な用途のいくつかの実施形態において、他のデンプンと組み合わせてスラリーへ加えることができる。例えば、以下に記載される石膏ウォールボードの場合、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、特に水必要量の幾分の増加が許容される場合に、他のデンプンと組み合わせて、芯強度と、紙−芯結合とを向上させることができる。
したがって本発明のいくつかの実施形態においては、石膏スラリーは、1種以上の、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンと、1種以上の他の種類のデンプンとを含んでもよい。他のデンプンには、例えば、20センチポアズ未満の粘度及び/又は700センチポアズを超える粘度を有するアルファ化デンプンが含まれ得る。1つの例は、アルファ化トウモロコシデンプン(例えば、700センチポアズを超える、約773センチポアズといった粘度を有する)である。他のデンプンは、例えば酸変性デンプン等の非アルファ化デンプンの形態、及び糊化されていない、例えばエチル化デンプン等のアルキル化デンプン等の形態であってもよい。デンプンの組合せは、石膏スラリーへの加える前に予備混合(例えば乾燥混合において、任意にスタッコ等の他の成分と、もしくは湿性混合において他の湿性成分と)してもよく、もしくはそれらを1つずつ石膏スラリーに組み入れてもよく、又はそれらの任意の変形であってもよい。本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプン、及び他のデンプンは、好適な任意の比率で含まれていてもよい。
例えば、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンのデンプン含有率は、石膏スラリーに加えられる合計デンプン含有量のパーセントで、例えば約10重量%以上であることができ、例えば約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約99%以上、約100%以上、又は中間の任意の範囲であることができる。いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの他のデンプンに対する比率は、約25:75、約30:70、約35:65、約50:50、約65:35、約70:30、約75:25等であってよい。
いくつかの実施形態においては、デンプン成分に加えて、スラリーは、水と、スタッコと、発泡剤(時には単に「泡」と呼ばれる)と、所望であれば他の添加剤とを含むように配合される。驚くべき且つ予想外なことに、いくつかの実施形態に従って、特に中程度の粘度を示す実施形態に従って、本発明の実施形態に従って押出機で調製されるアルファ化部分加水分解デンプン無しの場合と同じレベルのスラリー流動性を維持するのに加えられる必要がある水の量は、異なる方法に従って調製されるデンプンを使用した場合に必要とされる水の量の増分よりも少ないことが見出されている。スタッコは、アルファ型硫酸カルシウム半水和物、ベータ型硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の形態であることができる。スタッコは、繊維質又は非繊維質であることができる。発泡剤を組み入れて、硬化石膏の連続的な結晶性マトリックス内部に空隙分布を形成させることができる。いくつかの実施形態においては、発泡剤は、主重量部分の不安定成分と、少重量部分の安定成分を含む(例えば、不安定なものと、安定/不安定なもののブレンドが組み合わされている場合)。安定成分に対する不安定成分の重量比は、硬化石膏芯内部の空隙分布の形成に有効である。例えば米国特許第5,643,510号、同第6,342,284号及び同第6,632,550号を参照のこと。
好適な間隙分布及び壁厚は(独立して)、特に、より低密度のボード(例えば約35pcf未満)において、強度の向上に有効であり得ることが見出されている。例えば米国特許出願公開第2007/0048490号及び同第2008/0090068号を参照のこと。蒸発水間隙は、概して直径約5μm以下の間隙を有し、前述の空隙(泡)と共に総間隙分布にも寄与する。いくつかの実施形態においては、約5ミクロン以下の細孔サイズを有する間隙に対する、約5ミクロンよりも大きい細孔サイズを有する間隙の体積比は、約0.5:1〜約9:1であり、例えば約0.7:1〜約9:1、約0.8:1〜約9:1、約1.4:1〜約9:1、約1.8:1〜約9:1、約2.3:1〜約9:1、約0.7:1〜約6:1、約1.4:1〜約6:1、約1.8:1〜約6:1、約0.7:1〜約4:1、約1.4:1〜約4:1、約1.8:1〜約4:1、約0.5:1〜約2.3:1、約0.7:1〜約2.3:1、約0.8:1〜約2.3:1、約1.4:1〜約2.3:1、約1.8:1〜約2.3:1等である。いくつかの実施形態においては、発泡剤はスラリー中に、例えばスタッコの約0.5重量%未満の量で存在し、例えばスタッコの約0.01重量%〜約0.5重量%、約0.01重量%〜約0.4重量%、約0.01重量%〜約0.3重量%、約0.01重量%〜約0.2重量%、約0.01重量%〜約0.1重量%、約0.02重量%〜約0.4重量%、約0.02重量%〜約0.3重量%、約0.02重量%〜約0.2重量%等の量で存在する。
促進剤(例えば湿性石膏促進剤、耐熱性促進剤、環境安定性促進剤)及び遅延剤等の添加剤は周知されており、いくつかの実施形態において含まれていることができる。例えば米国特許第3,573,947号及び同第6,409,825号を参照のこと。促進剤及び/又は遅延剤が含まれるいくつかの実施形態においては、促進剤及び/又は遅延剤はそれぞれ、固体基準で、例えばスタッコの約0重量%〜約10重量%(例えば約0.1%〜約10%)の量で石膏スラリー中に存在することができ、例えばスタッコの約0重量%〜約5重量%(例えば約0.1%〜約5%)の量で石膏スラリー中に存在することができる。所望であれば他の添加剤を組み入れて、例えば強度を与えて充分な強度を有する低重量製品を可能にしてもよく、永久歪みを防いでもよく、例えば製造ラインを下って行くコンベア上に製品がある際の生強度を増進させてもよく、耐火性を増進させてもよく、耐水性を増進させる等してもよい。
例えばスラリーは、いくつかの実施形態において、1種以上の分散剤を任意に含んで、流動性を向上させることができる。分散剤は、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプン及び他の成分のように、他の乾燥成分と共に乾燥形態で、及び/又は他の液体成分と共に液体形態で芯スラリー内に含まれていてもよい。分散剤の例としては、例えばポリナフタレンスルホン酸及びその塩(ポリナフタレンスルホン酸塩)等のナフタレンスルホン酸類ならびにナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物である誘導体;ならびにポリカルボン酸エーテル等のポリカルボキシレート分散剤、例えばPCE211、PCE111、1641、1641F、もしくはPCE 2641型分散剤、例えばMELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)、及びCoatex, Inc.から入手可能なCOATEX Ethacryl M;ならびに/又はリグノスルホン酸塩もしくはスルホン化リグニンが挙げられる。リグノスルホン酸塩は、亜硫酸パルプ化を使用した木材パルプ製造からの副生成物である、水溶性のアニオン性高分子電解質ポリマーである。本発明の実施形態の原理の実施において有用なリグニンの1例は、Reed Lignin Incから入手可能なMarasperse C−21である。
より低分子量の分散剤が概して好ましい。より低分子量のナフタレンスルホン酸分散剤が好ましく、なぜならそれらは、より高粘度で高分子量の分散剤よりも水必要量が少ない傾向があるからである。したがって、約3,000〜約10,000(例えば約8,000〜約10,000)の分子量が好ましい。PCE211型分散剤用の別の例示として、いくつかの実施形態においては、分子量は、約20,000〜約60,000であることができ、60,000を超える分子量を有する分散剤よりも少ない遅延を示す。
ナフタレンスルホン酸塩の1例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDILOFLOである。DILOFLOは、45%のナフタレンスルホン酸塩水溶液であるが、例えば約35重量%〜約55重量%の範囲の固体含有量の他の水溶液も容易に入手可能である。ナフタレンスルホン酸塩は、例えばGEO Specialty Chemicalsから入手可能なLOMAR D等の、乾燥固体又は粉末形態で使用することができる。別の好ましいナフタレンスルホン酸塩は、Hampshire Chemical Corp.から入手可能なDAXADである。
分散剤が含まれる場合、分散剤は好適な任意の(固体/固体)量で含まれることができ、例えば、スタッコの重量に基づき約0.1重量%〜約5重量%の量で含まれることができ、例えば約0.1%〜約4%、約0.1%〜約3%、約0.2%〜約3%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約2.5%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約1.5%等の量で含まれることができる。
いくつかの実施形態においては、所望であれば、1種以上のリン酸含有化合物もスラリー中に任意に含まれていることができる。例えば、いくつかの実施形態において有用なリン酸含有成分には水溶性成分が含まれ、リン酸含有成分は、イオン、塩、又は酸、すなわちそれぞれが2つ以上のリン酸単位を含む縮合リン酸;それぞれが2つ以上のリン酸塩単位を含む縮合リン酸塩の塩又はイオン;及びオルトリン酸塩の一塩基酸塩又は一価イオン、ならびに水溶性の非環式ポリリン酸塩の形態であることができる。例えば米国特許第6,342,284号、同第6,632,550号、同第6,815,049号及び同第6,822,033号を参照のこと。
いくつかの実施形態においてリン酸塩組成物が加えられる場合は、リン酸塩組成物は、生強度、永久歪み(例えばたるみ)に対する耐性、寸法安定性等を向上させることができる。例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウム、及びトリメタリン酸アンモニウムを含めたトリメタリン酸塩化合物を使用することができる。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、例えばテトラメタリン酸ナトリウム、約6〜約27のリン酸塩繰返単位を有し且つ分子式Nan+2PnO3n+1(式中、n=6〜27)を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式K4P2O7を有するピロリン酸四カリウム、分子式Na3K2P3O10を有するトリポリリン酸二カリウム三ナトリウム、分子式Na5P3O10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Na4P2O7を有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(PO3)3を有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Na2H2P2O7を有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000〜3,000個のリン酸塩繰返単位を有し且つ分子式(NH4)n+2PnO3n+1(式中、n=1,000〜3,000)を有するポリリン酸アンモニウム、又は2つ以上のリン酸塩繰返単位を有し且つ分子式Hn+2PnO3n+1(式中、nは2以上)を有するポリリン酸を含めた他のリン酸塩が好適であってもよい。
いくつかの実施形態においては、リン酸塩は、乾燥形態で、又は水中の形態(例えば約5%〜約20%のリン酸塩溶液、例えば約10%溶液等)で含まれることができる。リン酸塩が含まれる場合、リン酸塩は、好適な任意量(固体/固体基準)であることができ、例えばスタッコの重量に基づき約0.01重量%〜約0.5重量%であることができ、例えばスタッコの重量に基づき約0.03重量%〜約0.4重量%、約0.1重量%〜約0.3重量%、又は約0.12重量%〜約0.4重量%であることができる。
耐火評価された製品及び/又は耐水性製品に対し好適な添加剤も任意に含まれていることができ、好適な添加剤としては、例えばシロキサン(耐水性);繊維;アルミニウム三水和物(ATH)、水酸化マグネシウムもしくは同類の物等の吸熱添加剤;及び/又は高膨張性粒子(例えば、1560°Fで約1時間加熱した場合に元の体積の約300%以上に膨張可能)が挙げられる。これら及び他の成分の記載については、例えば、同時係属中の、同一出願人による米国出願第13/400,010号(2012年2月17日出願)を参照のこと。いくつかの実施形態においては、高膨張バーミキュライトが含まれるが、他の耐火性材料が含まれることができる。本発明のいくつかの耐火評価された製品のボードは、約17分以上の、例えば約20分以上、約30分以上、約45分以上、約60分以上等の断熱インデックス(TI);ならびに/又は約10%未満のx−y方向での高温収縮(約1560°F(850℃)の温度において)及び約20%超のz方向での膨張を有することができる。耐火又は耐水性添加剤は、例えば耐火評価等に応じて、所望であれば好適な任意量で含まれていることができる。例えば耐火又は耐水性添加剤が含まれる場合、耐火又は耐水性添加剤は、スタッコの約0.5重量%〜約10重量%の量であることができ、例えばスタッコの約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約8重量%、約2重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%等であることができる。
いくつかの実施形態においては、シロキサンが含まれる場合、シロキサンはエマルションの形態で加えることが好ましい。次にスラリーを、シロキサンの重合を促進して高度に架橋したシリコーン樹脂を形成させる条件下で成形し、乾燥する。シロキサンの重合を促進して高度に架橋したシリコーン樹脂を形成させる触媒を、石膏スラリーに加えることができる。いくつかの実施形態においては、Wacker−Chemie GmbH(独国ミュンヘン)によってSILRES BS 94という名前で販売されている無溶媒メチル水素シロキサン液をシロキサンとして使用することができる。この製品は、水又は溶媒を含有しないシロキサン液である。いくつかの実施形態においては、乾燥成分の重量に基づき約0.3%〜約1.0%のBS 94シロキサンを使用してもよいことが意図される。例えば、いくつかの実施形態においては、乾燥スタッコ重量に基づき約0.4%〜約0.8%のシロキサンを使用することが好ましい。
スラリー配合物は、好適な任意の水/スタッコ比で作製することができ、例えば約0.4〜約1.3での比で作製することができる。しかしながら、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、それらが入れられるスラリーに加える必要がある水の量を減らすので、いくつかの実施形態においては、他のデンプン(例えば異なる方法に従って調製される従来のアルファ化デンプン)と比較して、本スラリーは、他のデンプンを含有する石膏スラリーでの従来比よりも低い水/スタッコ比の投入量を用いて、特には低い重量/密度で配合することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、水/スタッコ比は、約0.4〜約1.1、約0.4〜約0.9、約0.4〜約0.85、約0.45〜約0.85、約0.55〜約0.85、約0.55〜約0.8、約0.6〜約0.9、約0.6〜約0.85、約0.6〜約0.8等であることができる。
カバーシートは、好適な任意の材料及び坪量で形成させることができる。有利に、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプン含むスラリーから形成されるボード芯は、いくつかの実施形態においては、例えば45lbs/MSF未満(例えば約33lbs/MSF〜45lbs/MSF)等のより低い坪量のカバーシートを備えるボードにおいてでさえも充分な強度を提供し、より低重量のボード(例えば約35pcf以下の密度を有する)に対してであっても充分な強度を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態においては、所望であればより重い坪量を用いて、例えば釘抜き抵抗性をさらに向上させるか、又は手触りを向上させて、例えば最終使用者用の望ましい「感触」特性を促進させることができる。
いくつかの実施形態においては、特に、より低密度のボードで強度(例えば、釘抜き強度)を向上させるために、片方又は両方のカバーシートは紙から形成させることができ、且つ例えば、約45lbs/MSF以上(例えば約45lbs/MSF〜約65lbs/MSF、約45lbs/MSF〜約60lbs/MSF、約45lbs/MSF〜約55lbs/MSF、約50lbs/MSF〜約65lbs/MSF、約50lbs/MSF〜約60lbs/MSF等)の坪量を有することができる。所望であれば、いくつかの実施形態においては、1枚のカバーシート(例えば、設置される時の「表」紙側)は、前述のより高い坪量を有して、例えば釘抜き抵抗性及び手触りを向上させることができ、他のカバーシート(例えば、ボードが設置される時の「裏」シート)は、所望であれば幾分低い坪量を有することができる(例えば約45lbs/MSF未満の坪量、例えば約33lbs/MSF〜45lbs/MSF、又は約33lbs/MSF〜約40lbs/MSF)。
ボード重量は厚さの関数である。ボードは一般に様々な厚さで作製されるので、ボード密度は、ボード重量の尺度として本明細書において使用される。本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンの利点は、様々なボード密度にわたって見ることができ、そのボード密度は例えば約40pcf以下であり、例えば約20pcf〜約40pcf、約24pcf〜約37pcf等である。しかしながら、本発明の好ましい実施形態は、低密度における特定の有用性を有し、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンによって提供される向上した強度により、異なる方法に従って調製される他のデンプンから作製されるボードよりも優れた強度と、少ない水必要量とを有する、より低重量のボードの使用が有利に可能となる。
例えば、いくつかの実施形態においては、ボード密度は、約20pcf〜約35pcfであることができ、例えば約20pcf〜約34pcf、約20pcf〜約33pcf、約20pcf〜約32pcf、約20pcf〜約31pcf、約20pcf〜約30pcf、約20pcf〜約29pcf、約21pcf〜約35pcf、約21pcf〜約34pcf、約21pcf〜約33pcf、約21pcf〜約32pcf、約21pcf〜約31pcf、約21pcf〜約30pcf、約21pcf〜約29pcf、約24pcf〜約35pcf、約24pcf〜約34pcf、約24pcf〜約33pcf、約24pcf〜約32pcf、約24pcf〜約31pcf、約24pcf〜約30pcf、又は約24pcf〜約29pcfであることができる。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンをスラリーに加えて、本発明の製品の強度を増強することができ、これは特に、より低い重量/密度で有利であることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、本発明の実施形態に従って作製されるボードは、実施例4において記載される方法に従って試験した場合、密度29pcfで、約400psi(2,750kPa)以上の圧縮強度を有する。有利に、本明細書において記載される様々なボード密度での様々な実施形態において、本発明の方法によって作製されるボードは、約400psi以上、例えば約450psi(3,100kPa)以上、約500psi(3,450kPa)以上、約550psi(3,800kPa)以上、約600psi(4,100kPa)以上、約650psi(4,500kPa)以上、約700psi(4,800kPa)以上、約750psi(5,200kPa)以上、約800psi(5,500kPa)以上、約850psi(5,850kPa)以上、約900psi(6,200kPa)以上、約950psi(6,550kPa)以上、又は約1,000psi(6,900kPa)以上の圧縮強度を有するよう調製することができる。さらに、いくつかの実施形態においては、圧縮強度は、前述の強度点のうち任意の2つによって限定されることができる。例えば圧縮強度は、約450psi〜約1,000psi(例えば約500psi〜約900psi、約600psi〜約800psi等)であることができる。
いくつかの実施形態においては、本発明に従って作製されるボードは、ASTM標準C473−10の試験プロトコルに適合する。例えば、いくつかの実施形態においては、ボードが1/2インチの厚さで成形される場合、ボードは、ASTM C473−10に従って測定すると、約65lb以上の釘抜き抵抗性を有し、例えば約68lb以上、約70lb以上、約72lb以上、約75lb以上、約77lb以上等の釘抜き抵抗性を有する。様々な実施形態においては、釘抜き抵抗性は、約68lb〜約100lbであることができ、例えば約68lb〜約95lb、約68lb〜約90lb、約68lb〜約85lb、約68lb〜約80lb、約68lb〜約77lb、約68lb〜約75lb、約68lb〜約72lb、約68lb〜約70lb、約70lb〜約100lb、約70lb〜約95lb、約70lb〜約90lb、約70lb〜約85lb、約70lb〜約80lb、約70lb〜約77lb、約70lb〜約75lb、約70lb〜約72lb、約72lb〜約100lb、約72lb〜約95lb、約72lb〜約90lb、約72lb〜約85lb、約72lb〜約80lb、約72lb〜約77lb、約72lb〜約75lb、約75lb〜約100lb、約75lb〜約95lb、約75lb〜約90lb、約75lb〜約85lb、約75lb〜約80lb、約75lb〜約77lb、約77lb〜約100lb、約77lb〜約95lb、約77lb〜約90lb、約77lb〜約85lb、又は約77lb〜約80lbであることができる。
曲げ強度に関しては、いくつかの実施形態においては、1/2インチの厚さのボードで成形される場合、ボードは、ASTM標準C473に従って測定すると、長さ方向で約36lb以上(例えば約38lb以上、約40lb以上等)の曲げ強度を有し、且つ/又は幅方向で約107lb以上(例えば約110lb以上、約112lb以上等)の曲げ強度を有する。様々な実施形態においては、ボードは、約36lb〜約60lbの長さ方向での曲げ強度を有することができ、例えば約36lb〜約55lb、約36lb〜約50lb、約36lb〜約45lb、約36lb〜約40lb、約36lb〜約38lb、約38lb〜約60lb、約38lb〜約55lb、約38lb〜約50lb、約38lb〜約45lb、約38lb〜約40lb、約40lb〜約60lb、約40lb〜約55lb、約40lb〜約50lb、又は約40lb〜約45lbの長さ方向での曲げ強度を有することができる。様々な実施形態においては、ボードは、約107lb〜約130lbの幅方向での曲げ強度を有することができ、例えば約107lb〜約125lb、約107lb〜約120lb、約107lb〜約115lb、約107lb〜約112lb、約107lb〜約110lb、約110lb〜約130lb、約110lb〜約125lb、約110lb〜約120lb、約110lb〜約115lb、約110lb〜約112lb、約112lb〜約130lb、約112lb〜約125lb、約112lb〜約120lb、又は約112lb〜約115lbの幅方向での曲げ強度を有することができる。
さらに、いくつかの実施形態においては、ボードは、ASTM C473−10に従って測定した場合、約11lb以上の平均芯硬度を有することができ、例えば約12lb以上、約13lb以上、約14lb以上、約15lb以上、約16lb以上、約17lb以上、約18lb以上、約19lb以上、約20lb以上、約21lb以上、又は約22lb以上の平均芯硬度を有することができる。いくつかの実施形態においては、ボードは、約11lb〜約25lbの芯硬度を有することができ、例えば約11lb〜約22lb、約11lb〜約21lb、約11lb〜約20lb、約11lb〜約19lb、約11lb〜約18lb、約11lb〜約17lb、約11lb〜約16lb、約11lb〜約15lb、約11lb〜約14lb、約11lb〜約13lb、約11lb〜約12lb、約12lb〜約25lb、約12lb〜約22lb、約12lb〜約21lb、約12lb〜約20lb、約12lb〜約19lb、約12lb〜約18lb、約12lb〜約17lb、約12lb〜約16lb、約12lb〜約15lb、約12lb〜約14lb、約12lb〜約13lb、約13lb〜約25lb、約13lb〜約22lb、約13lb〜約21lb、約13lb〜約20lb、約13lb〜約19lb、約13lb〜約18lb、約13lb〜約17lb、約13lb〜約16lb、約13lb〜約15lb、約13lb〜約14lb、約14lb〜約25lb、約14lb〜約22lb、約14lb〜約21lb、約14lb〜約20lb、約14lb〜約19lb、約14lb〜約18lb、約14lb〜約17lb、約14lb〜約16lb、約14lb〜約15lb、約15lb〜約25lb、約15lb〜約22lb、約15lb〜約21lb、約15lb〜約20lb、約15lb〜約19lb、約15lb〜約18lb、約15lb〜約17lb、約15lb〜約16lb、約16lb〜約25lb、約16lb〜約22lb、約16lb〜約21lb、約16lb〜約20lb、約16lb〜約19lb、約16lb〜約18lb、約16lb〜約17lb、約17lb〜約25lb、約17lb〜約22lb、約17lb〜約21lb、約17lb〜約20lb、約17lb〜約19lb、約17lb〜約18lb、約18lb〜約25lb、約18lb〜約22lb、約18lb〜約21lb、約18lb〜約20lb、約18lb〜約19lb、約19lb〜約25lb、約19lb〜約22lb、約19lb〜約21lb、約19lb〜約20lb、約21lb〜約25lb、約21lb〜約22lb、又は約22lb〜約25lbの芯硬度を有することができる。
本発明のいくつかの実施形態において得られる中程度の粘度特性に少なくとも部分的に起因し、これらの基準(例えば釘抜き抵抗性、曲げ強度及び芯強度)は、本明細書において記載される超低密度ボード(例えば約31pcf以下)についても適合することができる。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、異なる方法に従って調製される従来のアルファ化デンプンの温度上昇硬化(TRS)水和速度に匹敵するか、又はそれを超える温度上昇硬化(TRS)水和速度を示すことが発明者らによって見出されている。望ましい硬化時間は配合物に応じて変化してもよく、望ましい硬化時間は、プラント条件及び利用可能な原材料に応じて当業者によって決定され得る。
本発明の実施形態の製品は、典型的な製造ラインで作製することができる。例えばボード製造技術は、例えば米国特許第7,364,676号、及び米国特許出願公開第2010/0247937号において記載されている。簡潔に述べると、石膏ボードの場合、プロセスは通常、移動するコンベア上にカバーシートを排出することを含む。石膏ボードは通常「表を下」にして形成されるので、このような実施形態においては、このカバーシートは「表」のカバーシートである。
石膏スラリーの乾燥成分及び/又は湿性成分をミキサー(例えばピンミキサー)に供給し、撹拌して石膏スラリーを形成させる。ミキサーは、本体と、排出導管(例えば当業者に公知のゲート−キャニスター−ブーツ配置、又は米国特許第6,494,609号及び同第6,874,930号において記載される配置)とを備える。いくつかの実施形態においては、排出導管は、1つの供給口又は複数の供給口のいずれかを備えたスラリー分配器を含むことができ、例えば米国特許出願公開第2012/0168527(A1)号(出願番号第13/341,016号)及び同2012/0170403(A1)号(出願番号第13/341,209号)において記載されるスラリー分配器等を含むことができる。複数の供給口を備えたスラリー分配器を使用するそれらの実施形態においては、排出導管は、好適なフロースプリッターを含むことができ、例えば米国特許出願公開第2012/0170403(A1)号に記載されるフロースプリッター等を含むことができる。発泡剤は、所望であれば、ミキサーの排出導管(例えば米国特許第5,683,635号及び同第6,494,609号において記載されるゲートに)か、又は本体に加えることができる。全成分が加えられた後に排出導管から排出される、発泡剤を含むスラリーは、主要な石膏スラリーであり、石膏芯を形成する。このボード芯スラリーは、移動している表カバーシート上に排出される。
表カバーシートは、比較的密なスラリー層の形態で、薄いスキムコートを有していてもよい。また、当業者に公知のように、表スキムコートを形成しているのと同じスラリー流から硬質縁部を形成させることができる。泡を排出導管に入れる実施形態においては、第2石膏スラリー流をミキサー本体から除いて、密なスキムコートスラリーを形成させることができ、次にそれを使用して、当業者に公知のように表スキムコート及び硬質縁部を形成させることができる。表スキムコート及び硬質縁部が含まれる場合は、通常、表スキムコート及び硬質縁部は、通常はミキサーの上流で、移動している表カバーシート上に、芯スラリーを置く前に置く。排出導管から排出された後、芯スラリーを必要に応じて表カバーシート(任意にスキムコートを有する)上に広げ、第2カバーシート(通常は「裏」カバーシート)で覆って、サンドイッチ構造の形態の湿性組立体を形成させる。これは、最終製品のボード前駆体である。第2カバーシートは、第2スキムコートを任意に有してもよく、第2スキムコートは、表スキムコートが存在する場合は表スキムコートと同じであるか又は異なる第2の(密な)石膏スラリーから形成させることができる。カバーシートは、紙、繊維マット、又は他の種類の材料(例えば箔、プラスチック、ガラスマット、セルロースフィラーと無機フィラーのブレンド等の不織材料等)から形成されていてもよい。
これによって提供される湿性組立体を成形場所に運び、ここで製品を所望の厚さの大きさにし(例えば成形プレートによって)、そして1つ以上のナイフ切断区域へ運び、ここで製品を所望の長さに切断する。湿性組立体を硬化させて、硬化石膏の連結結晶マトリックスを形成させ、乾燥プロセスを使用して(例えば組立体を、炉を通して移動させることによって)過剰水を取り除く。驚くべき且つ予想外なことに、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンを用いて本発明に従って調製されるボードでは、デンプンの少ない水必要量の特性により、乾燥プロセスにおいて必要とする時間が有意に少ないことが見出されている。エネルギーコストが減るため、これは有利である。
置かれたスラリーから大きな間隙又は空気溜りを取り除くため、石膏ボードの製造において振動を用いることも一般的である。上記の各工程、ならびにこのような工程を行うプロセス及び装置は、当業者に公知である。
本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、例えば石膏ウォールボード、音響(例えば天井の)タイル、ジョイント化合物、石膏−木部繊維ウォールボード等の石膏−セルロース繊維製品、及び同様なもの等の様々な製品を配合することにおいて使用することができる。いくつかの実施形態においては、このような製品を、本発明の実施形態のスラリーから形成させることができる。
よって、本発明の実施形態に従って押出機で調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、本明細書において記載されるように、本発明の実施形態での紙表面石膏ボード以外の製品においても有利な効果を有することができる。例えば、本発明の実施形態に従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプンは、ボードカバーシートが繊維マットの形態であるマット表面製品(例えば織物)において使用することができる。マットは、上塗りを任意に有して透水性を減少させることができる。このようなマット表面製品の作製において含まれ得る他の成分、ならびに繊維マット用材料及び製造方法は、例えば米国特許第8,070,895号、及び米国特許出願公開第2009/0247937号において論じられている。
さらに、石膏−セルロース製品は、セルロースホスト粒子(例えば木部繊維)、石膏、本発明の実施形態の従って調製されるアルファ化部分加水分解デンプン、及び所望であれば他の成分(例えばシロキサン等の耐水性添加剤)の形態であることができる。他の成分及び製造方法は、例えば米国特許第4,328,178号、同第4,239,716号、同第4,392,896号、同第4,645,548号、同第5,320,677号、同第5,817,262号、及び同第7,413,603号において論じられている。
実施形態の実例
一実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンの作製方法は、(a)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製すること;(b)この湿性デンプン前駆体を押出機に供給すること;ならびに(c)この湿性デンプン前駆体を、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度で、上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性することを含む。
別の実施形態においては、押出機内部の圧力は約2,000psi以上である。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、約50%より大きい冷水溶解度を有する。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、約10ブラベンダーユニット(BU)〜約120BUの冷水粘度(10%の固体、25℃)を有する。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、デンプンをVMA法の条件に付しながら粘度を測定する場合、約20センチポアズ〜約700センチポアズの粘度特性を有する。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、約5BU〜約33BUの粘度(10%の固体、93℃)を有する。
別の実施形態においては、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸は、ミョウバンを含む。
別の実施形態においては、混合中に酒石酸を含んで湿性デンプン前駆体を形成する。
別の実施形態においては、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸は、デンプンの重量の約0.5重量%〜約5重量%の量である。
別の実施形態においては、湿性デンプンは、デンプン前駆体の重量の約10重量%〜約20重量%の含水率を有する。
別の実施形態においては、アルファ化及び酸変性は、押出機において、約175℃(約350°F)以上〜約205℃(約400°F)のダイ温度で起こる。
別の実施形態においては、押出機におけるアルファ化部分加水分解デンプンの生産量は、約100kg/時以上である。
別の実施形態においては、アルファ化及び酸変性は、約5分未満で起こる。
別の実施形態においては、アルファ化及び酸変性は、約1分未満で起こる。
別の実施形態においては、方法には、アルファ化部分加水分解デンプンの精製工程がない。
別の実施形態においては、方法には、アルファ化部分加水分解デンプンの中和工程がない。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、約70%以上糊化している。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、本発明の実施形態に従って調製される。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンの作製方法は、(a)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、強酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することであって、上記の強酸は、上記のデンプンの重量の約0.05重量%以下の量である作製すること;(b)上記の湿性デンプンを押出機に供給すること;ならびに(c)上記の湿性デンプンを、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度で、上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性することを含む。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンの作製方法は、(a)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、強酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することであって、上記の強酸は、上記のデンプンの重量の約0.01重量%以下の量である作製すること;(b)上記の湿性デンプンを押出機に供給すること;ならびに(c)上記の湿性デンプンを、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)のダイ温度で、上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性することを含む。
別の実施形態においては、強酸は、約−1.7以下のpKaを有する。
別の実施形態においては、強酸は、硫酸、硝酸、塩酸、又はそれらの任意の組合せである。
別の実施形態においては、ボードの作製方法は、(a)(i)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を形成させることであって、上記の酸は、(1)カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸、(2)上記のデンプンの重量の約0.05重量%以下の量である強酸、又は(3)それらの任意の組合せから成る群より選択される形成させること;(ii)上記の湿性デンプン前駆体を押出機に供給すること;ならびに(iii)上記の湿性デンプンを、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)の温度のダイを有する上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性することによってアルファ化部分加水分解デンプンを形成させること;(b)このアルファ化部分加水分解デンプンを、少なくとも水及びスタッコと混合してスラリーを形成させること;(c)このスラリーを、第1カバーシートと第2カバーシートの間に配置して、湿性組立体を形成させること;(d)この湿性組立体をボードに切断すること;ならびに(e)このボードを乾燥することを含む。
別の実施形態においては、強酸は、デンプンの重量の約0.01重量%以下の量である。
別の実施形態においては、ボードの作製方法は、(a)(i)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製すること;(ii)上記の湿性デンプン前駆体を押出機に供給すること;ならびに(iii)上記の湿性デンプンを、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)の温度のダイを有する上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性することによってアルファ化部分加水分解デンプンを形成させること;(b)このアルファ化部分加水分解デンプンを、少なくとも水及びスタッコと混合してスラリーを形成させること;(c)このスラリーを、第1カバーシートと第2カバーシートの間に配置して、湿性組立体を形成させること;(d)この湿性組立体をボードに切断すること;ならびに(e)このボードを乾燥することを含む。
別の実施形態においては、ボードの作製方法は、(a)(i)少なくとも水と、非アルファ化デンプンと、強酸とを混合して、約8重量%〜約25重量%の含水率を有する湿性デンプン前駆体を作製することであって、上記の強酸は、上記のデンプンの重量の約0.05重量%以下の量である作製すること;(ii)上記の湿性デンプン前駆体を押出機に供給すること;ならびに(iii)上記の湿性デンプンを、約150℃(約300°F)〜約210℃(約410°F)の温度のダイを有する上記の押出機でアルファ化すること及び酸変性すること;(b)アルファ化部分加水分解デンプンを、少なくとも水及びスタッコと混合してスラリーを形成させること;(c)このスラリーを、第1カバーシートと第2カバーシートの間に配置して、湿性組立体を形成させること;(d)この湿性組立体をボードに切断すること;ならびに(e)このボードを乾燥することを含む。
別の実施形態においては、強酸は、デンプンの重量の約0.01重量%以下の量である。
別の実施形態においては、硬化石膏芯は、異なる方法で調製されたデンプンを用いて作製された硬化石膏芯よりも大きい圧縮強度を有する。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、スラリーに加えられる際に約70%以上糊化しており、乾燥工程でさらなる糊化が起こる。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンは、スラリーに加えられる際に完全に糊化している。
別の実施形態においては、ボードは、密度29pcfで、約400psi(2,800kPa)以上の圧縮強度を有する。
別の実施形態においては、ボードは、ASTM C473−10に従って測定される場合、約11以上の芯硬度を有する。
別の実施形態においては、ボードは、約21pcf〜約35pcfの密度を有する。
別の実施形態においては、スラリーは、トリメタリン酸ナトリウムをさらに含む。
別の実施形態においては、アルファ化部分加水分解デンプンがない場合と同じレベルのスラリー流動性を維持するのに加える必要がある水の量は、異なる方法に従って調製されたアルファ化部分加水分解デンプンを使用した際に必要な水の量の増分よりも少ない。
別の実施形態においては、デンプンは、スタッコの重量に基づき約0.5重量%〜約10重量%の量である。
別の実施形態においては、ウォールボードは、本発明の実施形態に従って調製される。
前述は、実施形態の単なる例であることに留意が必要である。他の好ましい実施形態は、本明細書における記載全体から明らかである。これらの各実施形態は、本明細書において提供される他の実施形態との様々な組合せで使用してもよいことも当業者によって理解されるであろう。
以下の実施例は、本発明をさらに例示する物であるが、当然ながら、いかなる方法においてもその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
この実施例は、本発明の実施形態に従ったアルファ化部分加水分解デンプンの調製を例示する。
本発明の実施形態に従って調製した9種のアルファ化部分加水分解デンプンを、特定の特性(例えば粘度、流動性、強度)の様々な試験用に調製した。これらの9種の本発明のデンプンを、3種の市販デンプンと共に試験した。
アルファ化部分加水分解デンプンを調製する本発明の方法に従って、湿性デンプン前駆体は、Bunge North America(ミズーリ州セントルイス)からCCM 260黄色コーンミールとして市販されている100kgの量の胚芽除去コーンフラワーと、異なる量の硫酸アルミニウム(ミョウバン)、カルシウムイオンを実質的にキレート化しない弱酸及び/又は酒石酸(全弱酸の20重量%未満)と、異なる量の水とを混合することによって調製した。湿性デンプン前駆体は、American Extrusion International(イリノイ州サウス・ベロイト)からAdvantage 50として市販されている単軸スクリュー押出機に供給した。押出機において、湿性デンプン前駆体は、アルファ化と酸変性が同時に起こるよう1工程でアルファ化し酸変性した。
以下の表4に、酸が存在するコーンフラワーの押出しパラメータを記載する。押出しの滞留時間(すなわち、アルファ化及び酸変性用の時間)は、30秒未満であった。全てのパーセントはデンプンの総重量に基づくが、水分は、水とデンプンと他の添加剤との合計として表される全湿性物重量に基づく。
得られたアルファ化部分加水分解デンプンは、773センチポアズの粘度を有する従来のアルファ化トウモロコシデンプン(組成物1A(比較用)と呼ぶ)、ならびにClinton 277(ADM、イリノイ州シカゴ)及びCaliber 159(Cargill、ミネソタ州ウェイサタ)として市販されている酸変性トウモロコシデンプンの押出しによって調製した2種の低水必要量デンプン(それぞれ組成物1B(比較用)及び組成物1C(比較用)と呼ぶ)を対照として評価した。
組成物1D〜1Lと呼ぶアルファ化部分加水分解デンプンは、押出しプロセスで作製した。
以下の表5は、組成物1D〜1Lの、押出しでの様々な含水率と、押出し中の酸含有率を詳述する。組成物1D〜1H及び1Lは、16重量%の含水率で調製し、組成物1I、1Kは、13重量%の含水率で調製した。組成物1D〜1G及び組成物1I〜1Lは、1重量%〜4重量%の量のミョウバン液を用いて調製し、組成物1Hはミョウバン液及び酒石酸を含んだ。組成物1F及び1Lは、同じ含水率と同じ量の酸とを使用して調製したが、実施例3においては異なる量の遅延剤を有する。
以下の実施例2〜4は、表5において記載される組成物を、様々な特性について試験する。実施例2においては、組成物1B〜1Lを、アミログラフ試験で粘度について評価した。実施例3は、組成物1A、1D〜1I及び1K〜1Lのうちの1つを用いて調製したスラリーの流動性について試験し、スランプ試験によって評価した。次にスラリーの50%水和時間を測定することによって、このデータをさらに確証した。これは、スラリーの硬化にどのくらいの時間がかかるかを明らかにする。実施例4は、組成物1A、1D〜1I及び1Kを用いて調製したスラリーの強度について試験し、本明細書において記載される圧縮強度試験によって評価した。
実施例2
この実施例は、本発明の実施形態に従って押出機で調製されたアルファ化部分加水分解デンプンの粘度を例示する。組成物1D〜1Kを、押出しした市販の酸変性デンプン(組成物1B〜1C)と比較して、特に酸(例えばミョウバン)の量及び含水率に基づき粘度がどのように変化するかに関して試験した。含水率は、押出機を通して供給される湿性デンプンの水分レベルによって規定される。
試験用の調製においては、デンプンスラリーが組成物を10重量%の量で含有するよう、組成物を水と混合してデンプンスラリーにした。「溶液」という用語は、デンプンが完全に糊化し、完全に溶解した場合に使用され、「スラリー」という用語は、デンプンが完全に溶解していない場合に使用される。次に各組成物を、本明細書において記載されるアミログラフ技術によって、異なる温度での粘度について試験した。試験結果を図1及び図2にプロットした。図1及び図2は、粘度(左のy軸)及び温度(右のy軸)を時間(x軸)に対してプロットすることにより、アルファ化部分加水分解デンプンの異なる温度での粘度を評価するアミログラムである。温度曲線は、各試料に重ねて書かれている。同じ温度プロファイルを各試料に使用した。他の曲線は、デンプンの粘度を示している。
25℃における初期粘度は、組成物1B〜1Kのうちいずれか1つを含有するスラリー系の流動性の指標であった。25℃は、デンプンをスタッコ及び他の成分と混合してボードを作製する温度である。さらに、この温度において、デンプンの粘度はスタッコスラリーの流動性と負の相関を有する。
トラフ(93℃)における粘度は、組成物1B〜1Kのうちいずれか1つの分子量の指標である。93℃の温度では、デンプン分子は完全に水に溶解する。93℃でのデンプン溶液の粘度は、部分加水分解により得られたデンプンの分子量と正の相関を有する。
図1は、粘度(左のy軸)及び温度(右のy軸)を50分間にわたり(x軸)プロットしているアミログラムである。比較用組成物1B及び1C、ならびに本明細書において記載される本発明の組成物1D、1Hを混合して、溶液の重量に基づき10重量%の量のデンプン溶液にした。塊の形成を防ぐため、デンプンは、低速で20秒間混合しながら、Waringブレンダーの混合カップ内の水に加えた。次に、Viscograph−E(C.W. Brabender(登録商標)Instruments, Inc.、ニュージャージー州サウス・ハッケンサック)を使用して、デンプン溶液を評価した。本明細書において記載されるブラベンダー粘度測定手順に従って、例えば動的測定にリアクショントルクを用いるViscograph−E等のC.W. Brabender Viscographを使用して、粘度を測定する。本明細書において規定されるように、ブラベンダー単位は、700cmgカートリッジを備える16液量オンス(約500cc)サイズの試料カップを使用して、75RPMで測定することに留意が必要である。本明細書において記載されるように、ブラベンダー単位は、センチポアズ(例えば、測定カートリッジが700cmgの場合は、cP=BU×2.1)又はクレブス単位等の他の粘度測定値に変換することができることも当業者は容易に認識するであろう。16重量%の含水率で押出しした組成物1D〜1Hのペースト化プロファイルを、比較用組成物1B及び1Cと共に図1に示す。
本発明の組成物1D〜1Hを考察すると、ミョウバンが1重量%から4重量%へ増加するに従い、初期粘度は70ブラベンダー単位(BU)から10BUへ減少し、分子量も減少した。組成物1D〜1Hの初期粘度及び93℃の粘度は、組成物1B及び1Cの初期粘度及び93℃の粘度と同じ程度まで減少した。組成物1B及び1Cは、低水必要量デンプンの従来の粘度限度を表す。
図1に示す組成物1D〜1Hの結果は、押出しの間に、最適な酸変性を得ることができることを実証している。これらの結果は、アルファ化部分加水分解デンプンを調製する本発明の方法は、デンプンの粘度(分子量)をうまく減少させたことをさらに示唆する。70℃〜90℃で粘度ピークは観測されず、組成物1D〜1Hは完全に糊化したことが示された。組成物1D〜1Hが完全に糊化していなければ、粘度の上昇があったであろう。デンプン組成物の完全糊化は、示差走査熱量測定(DSC)によって確認した。
図2は、粘度(左のy軸)及び温度(右のy軸)を50分間にわたり(x軸)プロットしている2番目のアミログラムである。比較用組成物1B及び1C、ならびに本明細書において記載される本発明の組成物1I〜1Kを混合して、溶液の重量に基づき10重量%の量のデンプン溶液にした。塊の形成を防ぐため、デンプンは、低速で20秒間混合しながら、Waringブレンダーの混合カップ内の水に加えた。次に、Viscograph−Eを使用して、デンプン溶液を評価した。13重量%の含水率で押出しした組成物1I〜1Kのペースト化プロファイルを、比較用組成物1B及び1Cと共に図2に示す。
組成物1D〜1Hで観測されたものと同様な傾向が、組成物1I〜1Kで観測された。特に、本明細書において記載される、アルファ化部分加水分解デンプンを押出機で調製する方法は、組成物1I〜1Kの粘度をうまく減少させた。
ミョウバンが1重量%から3重量%へ増加すると、初期粘度は75BUから14BUへ減少し、分子量も減少した。組成物1I〜1Kの初期粘度及び93℃の粘度は、組成物1B及び1Cの初期粘度及び93℃の粘度と同じ程度まで減少した。
さらに、図2に示す組成物1I〜1Kの結果は、押出しの間に、最適な酸変性を得ることができることを実証している。70℃〜90℃で粘度ピークは観測されず、組成物1I〜1Kは完全に糊化したことが示された。
さらにこれらの結果は、所定の酸レベルにおいては、高い含水率で行われるよりも、より低い含水率においてより多くのデンプン加水分解がなされ得ることを示している。これは、低い含水率では機械エネルギーがより大きくなり、したがって同じ酸レベルを用いてもデンプンはより小さくなるようなデンプン分解が多くなるからである。
実施例3
この実施例は、組成物1A(比較用)、1D〜1I、及び1K〜1Lを含有する石膏スラリーの流動性を例示する。組成物は、スランプ試験を使用して流動性について評価した。スランプ試験は当業者に理解されるであろう。
試験用の調製においては、スラリーは、2重量%の量の組成物1A(比較用)、1D〜1I、及び1K〜1Lのそれぞれを用い、以下の表6に記したパラメータを使用し、水スタッコ比(WSR)100で調製した。
95%よりも高い純度と、耐熱性促進剤とを有するスタッコを含む乾燥混合物に、デンプンを量り入れた。水、トリメタリン酸ナトリウム(10重量%溶液)、分散剤、及び遅延剤を、Hobartミキサーの混合ボウルへ量り入れた。乾燥混合物を、Hobart(オハイオ州トロイ)からN50 5−Quartミキサーとして入手可能なミキサーの混合ボウル内へ入れ、10秒間浸して、スピードIIで30秒間混合した。泡調製用に、Hyonic(登録商標)PFM−33石鹸(ペンシルベニア州アンブラーのGEO(登録商標)Specialty Chemicalsから入手可能)の0.5%溶液を作製し、次いで空気と混合して気泡を作製した。泡発生器を使用して、気泡をスラリーに加えた。
次に各スラリーを、直径4.92cm(1.95インチ)、高さ10cm(3.94インチ)のシリンダーに入れた。次いでシリンダーを引き上げ、スラリーを自由に流れさせた。次にスランプが形成した直径を測定してスラリーの流動性を例示した。それらを以下の表7に記す。表8は、以下でさらに詳細に説明する50%水和時間試験の結果も含む。
表7より観察することができるように、組成物1D〜1I及び1Kを用いて調製したスラリーは、組成物1A(比較用)を用いて調製したスラリーよりも大きなスランプサイズを示した。組成物1D〜1I及び1Kを用いて調製したスラリーは組成物1A(比較用)よりも硬化も速く、組成物1D〜1I及び1Kを含有するスラリーは、組成物1Aを含有するスラリーよりも良好な流動性を有することを示した。
さらに、スラリーが同じ速度で硬化する場合のスランプサイズを比較するため、スラリーの50%水和時間を測定した。スラリーの温度プロファイルは、当業者が理解するようなソフトウェアを使用して測定した。
このさらなる試験を行って、スランプ試験が正しいことを確認し、特に本発明の実施形態に従って調製されたアルファ化部分加水分解デンプンを含むスラリーで観測された大きなスランプは、水和が遅いことにより生じたのではなく、組成物1A(比較用)と比較して流動性が改良された結果生じたものであることを例示した。
2重量%のミョウバンと、0.3重量%の酒石酸とを用いて調製された組成物1Hは、低粘度になるまで効果的にデンプンを加水分解し、水和速度に与える影響は少なかった。これは、酒石酸とミョウバンは水和速度に対する反対の影響を有するからである。
図3は、時間に対し温度をプロットしているグラフであり、温度上昇硬化(TRS)水和速度を示す。0.05%と0.0625%の遅延剤を有する組成物1Fはそれぞれ、組成物1A(比較用)よりも速く水和するか、又は同じ速度で水和する。
図3において見られるように、0.0625重量%の遅延剤を有する組成物1Lは、組成物1A(比較用)と同じ水和速度を有した。0.065重量%の遅延剤を有する組成物1Lのスランプサイズは18.415cm(7 1/4インチ)であり、組成物1Aよりも有意に大きかった。
この結果は、本発明の実施形態に従って調製されたアルファ化部分加水分解デンプンを含むスラリーで観測された大きなスランプサイズは、硬化が遅いことに起因したのではなく、高い流動性に起因したことを示唆する。さらに、本発明の実施形態に従って調製されたアルファ化部分加水分解デンプンは、流動性を犠牲にすることなく、より少ない水を使用したウォールボードを可能にするであろう。
実施例4
この実施例は、組成物1A(比較用)、1D〜1I、及び1Kを含有するスラリーを用いて調製した石膏円盤の強度を例示する。強度は、本明細書において記載される圧縮強度試験を使用して評価した。
試験用に調製するため、スラリーは、2重量%の量の組成物1A(比較用)、1D〜1I、及び1K〜1Lのそれぞれを用い、上記の表4に記したパラメータを使用して調製した。
100の水スタッコ比(WSR)、及び気泡を使用して、最終密度29pcfを有する石膏円盤を作製した。スタッコ及び耐熱性促進剤を含む乾燥混合物に、デンプンを量り入れた。水、トリメタリン酸ナトリウム10%溶液、分散剤、及び遅延剤を、Hobartミキサーの混合ボウルへ量り入れた。乾燥混合物を、Hobart(オハイオ州トロイ)からN50 5−Quartミキサーとして入手可能なミキサーの混合ボウル内へ入れ、10秒間浸して、スピードIIで30秒間混合した。泡調製用に、Hyonic(登録商標)PFM−33石鹸(ペンシルベニア州アンブラーのGEO(登録商標)Specialty Chemicalsから入手可能)の0.5%溶液を作製し、次いで空気と混合して気泡を作製した。泡発生器を使用して、気泡をスラリーに加えた。泡発生器は、29pcfの所望のボード密度を得るのに充分な速度で運転した。泡を加えた後、スラリーを、型の上部をわずかに超える点まで直ちに注いだ。プラスターが硬化したらすぐに過剰分をこすり取った。型には、離型剤(WD−40(商標))を噴霧しておいた。円盤は、直径10.16cm(4インチ)、厚さ1.27cm(0.5インチ)であった。
円盤が固まった後、円盤を型から取り出し、次いで110°F(43℃)で48時間乾燥した。オーブンから取り出した後、円盤を室温で1時間放冷した。圧縮強度は、MTS Systems Corporation(ミネソタ州エデン・プレイリー)からSATECTM E/M Systemsとして市販されている材料試験システムを使用して測定した。負荷は、0.04インチ/分のスピードで(15〜40psi/秒の一定速度を用いて)、衝撃を与えずに連続的に加えた。結果を以下の表8に示す。
表8において見られるように、組成物1D〜1I及び1Kを含有する泡円盤は、組成物1A(比較用)を含有する泡円盤に匹敵する圧縮強度を有し、アルファ化部分加水分解デンプンは、強度を犠牲にせずに特性を向上させ、水必要量を減らすことができたことを示した。円盤試料の望ましい圧縮強度は約400psiである。ボードが崩壊することなく適切に取り扱うことができるよう、強度は必要である。
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)(例えば酸、原料のデンプン、又は他の成分もしくは項目に関して)、「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」及び「1つ以上の(at least one)」という用語並びに同様の指示物の使用は、本明細書において別段の定めがないかぎり、又は文脈で明らかに矛盾しないかぎり、単数と複数の両方を網羅すると解釈される必要がある。「1つ以上(at least one)」という用語と、それに続く1つ以上の項目の列挙(例えば、「AとBとのうちの1つ以上」)の使用は、本明細書において別段の定めがないかぎり、又は文脈で明らかに矛盾しないかぎり、列挙した項目から選択された1つの項目(AもしくはB)、又は列挙した項目のうちの2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈される必要がある。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の注釈がないかぎり、非限定的な用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」ことを意味する)として解釈される必要がある。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書において別段の定めがないかぎり、その範囲内にある別個の各値を個々に参照する省略方法として扱われることを単に意図するものであり、別個の各値は、本明細書において個々に記載されているものとして本明細書に取り込まれる。本明細書において記載される全方法は、本明細書において別段の定めがないかぎり、又は文脈で明らかに矛盾しないかぎり、好適な任意の順番で実施することができる。本明細書において提供される任意の例及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「等(such as)」)の使用は、本発明をより良く例示することを単に意図するものであり、別段の請求がないかぎり、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書における言葉は、任意の非請求要素を本発明の実施に不可欠な物として示すものと解釈されるべきではない。
本発明の好ましい実施形態は本明細書において記載されており、発明者らの知る、本発明を実施する最良の形態を含んでいる。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記載を読むことで当業者に明らかとなってもよい。発明者らは当業者が必要に応じてそのような変形形態を使用することを予想し、且つ発明者らは本発明が本明細書において具体的に述べられている以外の方法で実施されることを意図する。したがって本発明は、適用法令が許すように、本明細書に添付される特許請求の範囲において記載される対象の全改造物及び全等価物を含む。さらに、その可能な全変形形態における上記の要素の任意の組合せが、本明細書において別段の定めがないかぎり、又は文脈で明らかに矛盾しないかぎり、本開示によって包含される。