JP2016531159A - エステトロールの製造プロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物を得るためのプロセスに関し、このプロセスは、a)式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物[式中、Rは、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ、Rは、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基である]を、OsOまたは四酸化オスミウム源から選択される酸化剤と反応させて、エステトロールまたは式(II)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物(式中、Rは従前に定義した通りである)を生成すること;およびb)工程a)で式(II)の化合物が得られる場合には、前記化合物を脱保護してエステトロールを生成することを含んでなる。

Description

本発明は、エステトロールを得るためのプロセスに関する。
エストロゲン様物質は、ホルモン補充療法(HRT)の方法および女性避妊の方法に慣用される。これらのエストロゲン様物質は天然エストロゲンと合成エストロゲンとに分けることができる。医薬用途が見出されている天然エストロゲンの例としては、エストラジオール、エストロン、エストリオールおよび結合型ウマエストロゲンが挙げられる。高い経口バイオアベイラビリティという利点を与える合成エストロゲンの例としては、エチニルエストラジオールおよびメストラノールが挙げられる。
エステトロール[エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,15α,16α,17β−テトラオール;CAS Nr.15183−37−6]は、ヒト妊娠期に胎児の肝臓により内生的に産生される生体起源のエストロゲンである。本明細書では、IUPAC推奨のステロイドおよびステロイド誘導体に関するリングレタリングおよび原子番号付けが適用される。
エステトロールは、HRT(EP1390040B1、EP1446128B1)、避妊(EP1390041B1、EP1390042B1)、自己免疫疾患の療法(EP1511496B1)、乳房および結腸腫瘍の予防および治療(EP1526856B1)、性欲の促進(EP1390039B1)、不妊症の治療(EP2114412B1)、急性血管障害の治療(EP1971344B1)、皮膚衛生および創傷治癒(EP1511498A1)において使用するためのエストロゲン様物質として有効であることが判明している。
実験室規模でのエステトロールの合成は例えば、Fishman et al., J. Org. Chem. 1968, 33, 3133 - 3135に開示され、この場合、エステトロールは、スキーム1(Fishmanらに従って符番)に示されるようにエストロン誘導体IIIから合成される。
Fishmanらによれば、OsOによる二酢酸アリルVIbの酸化が、目的生成物としてIbを少量の異性体15β,16β−ジオールとともに生成した。著者らはこの異性体混合物を定量しなかった。二水酸化の収率は47%であり、スキーム1に示される3工程のプロセスの全体収率は、エストロン誘導体IIIから出発して約7%である。
エストロンが出発材料となるエステトロールの別の合成が、Nambara et al., Steroids 1976, 27, 111 - 121に開示されている。この合成はスキーム2(Nambaraらに従う符番)に示されている。まず、エストロンIのカルボニル基がエチレングリコールおよび塩酸ピリジンで処理することによって保護され、その後、C3のヒドロキシル基がアセチル化される。次の一連の工程は、臭素化/塩基触媒性の脱臭化水素を含み、その結果、17,17−エチレンジオキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3−オール(化合物IVa)が生じた。この化合物IVaは次にアセチル化され、これにより17,17−エチレンジオキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3−オール−3−アセテート(化合物IVb)が生成された。次の工程で、化合物IVbのジオキソラン基はp−トルエンスルホン酸を使用することにより加水分解されて化合物Vbとなり、その後、C17のカルボニル基の還元(化合物Vc)、アセチル化(化合物Vd)および環Dの二重結合の酸化が行われ、これにより、エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,15α,16α,17β−テトラオール−3,17−ジアセテート(化合物VIb)が生成された。実験プロトコールも環Dの二重結合の前記酸化の収率または選択性についての詳細もNambaraらには示されていない。
Suzuki et al., Steroids 1995, 60, 277 - 284もまた、Nambaraらの化合物を出発材料として使用することによるエステトロールの合成を開示する。まず、この化合物のC17のカルボニル基が還元された後、アセチル化が行われ、エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3,17−ジオール−3,17−ジアセテート(化合物2b)が得られた。前記化合物はOsOで酸化を受け、これによりエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,15α,16α,17β−テトラオール−3,17−ジアセテート(化合物3b)が収率46%で、不純物としての異性体15β,16β−ジオールとともに得られた(15α,16α/15β,16β異性体比=74/26)。
NambaraらおよびSuzukiらによれば、エステトロールの合成は、エストロンから出発しておよそ8%の収率で行うことができる。
工業規模でのこの化合物の製造に好適なエステトロールの製造のための方法は、WO2004/041839A2に開示されている。このプロセスはスキーム4(WO2004/041839に従う符番)に示され、次の工程:
1)エストロン(7)の、3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(6)への変換、ここで、Aは保護基であり、この工程は続いての5つのサブ工程を含む;
2)3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(6)の17−ケト基の3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17β−オール(5)への還元;
3)3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17β−オール(5)の17−OH基の保護による3−A−オキシ−17−C−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン(4)の生成、ここで、Cは保護基である;
4)3−A−オキシ−17−C−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン(4)の環Dの炭素−炭素二重結合の酸化による保護エステトロール(3)の生成;および
5)保護基の除去、ここで、好ましくは、まず、保護基Aが17−OC保護エステトロール(2)から除去され、次に、保護基Cが除去されてエステトロール(1)が生成される;
を含んでなり、
ここで、保護基Aは、C−Cアルキル基またはC−C12ベンジル基から選択され、保護基Cは、一官能性脂肪族ヒドロキシル保護基から選択される。
WO2004/041839に開示され、上記スキーム4に示される方法によれば、エストロンから出発して10.8%の全体収率でエステトロールが得られる。具体的には、実施例9に記載されるシス−二水酸化工程の収率は、15β,16β−ジオール異性体からの生成物を精製するための3回の結晶化の後に43%であった。WO2004/041839に開示されているプロセスはエステトロールの工業規模生産に好適であるが、合成工程ならびに各中間生成物の単離および精製の数が多く、その結果、収率が低く、これにより全体のエステトロール収率が低下する。さらに、7から6への変換はハロゲン化および脱ハロゲン化工程、一般には、臭素化および脱臭素化工程を含む。特に、前記のハロゲン化および脱ハロゲン化反応中に、種々の副生成物が精製される。
工業規模でのエステトロールの製造のための別のプロセスが、WO2013/012328A1に開示されている。以下のスキーム5に示されるこのプロセスは、以下の工程:
(1)エストロン(II)の、17−B−オキシ−3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),16−テトラエン(Ill)への変換、ここで、Aは保護基であり、Bは−Si(Rである;
(2)17−B−オキシ−3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),16−テトラエン(III)の、3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(IV)への変換、ここで、Aは保護基である;
(3)3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(IV)の17−ケト基の還元による3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17β−オール(V)の生成、ここで、Aは保護基である;
(4)3−A−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17β−オールVの17−OH基の保護による3−A−オキシ−17−C−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン(VI)の生成、ここで、AおよびCは保護基である;
(5)3−A−オキシ−17−C−オキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン(VI)の環Dの炭素−炭素二重結合の酸化による保護エステトロール(VII)の生成、ここで、AおよびCは保護基である;および
(6)保護基AおよびCの除去によるエステトロール(I)の生成
を含んでなり、ここで、
Aは、C−Cアルキル基、C−C12ベンジル基および−Si(R基からなる群から選択される保護基であり、ここで、Rは、C−Cアルキル基およびC−C12アリール基からなる群から独立に選択され;
Bは、−Si(Rであり、ここで、Rは、C−Cアルキル基およびC−C12アリール基からなる群から独立に選択され;かつ
Cは、一官能性脂肪族ヒドロキシル保護基からなる群から選択される保護基である。
工程5の中間生成物(VI)からの炭素−炭素二重結合の酸化による保護エステトロール(VII)の生成に関して報告されている収率は、純度98.7%での精製後に43%である。パラジウム触媒が使用される場合、このプロセスのコストは大幅に上昇する。
WO2013/034780A2は、式(I)
のエステトロールおよびその誘導体、またはその塩もしくは溶媒和物を得るためのプロセスを開示し、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基を表し、このプロセスは、式(II)(式中、Rは従前に定義した通りである)の化合物を酸化剤と反応させることを含んでなる。このプロセスによりC17のβ−ヒドロキシル基における保護基の使用が避けられるのでプロセスが簡略化され、その上、平均≧90%という所望のα,α−異性体に有利な高い立体選択性をもたらすことが判明している。
WO2013/050553A1は、スキーム7に示されるエステトロールの製造のための多工程プロセスを開示しており、
ここで、Pは、RCO−、またはRSi(R)(R)−から選択される保護基であり、Pは、(R)C−CO−、または(R)Si(R)(R)−から選択される保護基であり、ここで、Rは、C1−6アルキルまたはC3−6シクロアルキルから選択される基であり、各基は、フルオロまたはC1−4アルキルから独立に選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;R、RおよびRはそれぞれ独立に、C1−6アルキルまたはフェニルから選択される基であり、各基は、フルオロまたはC1−4アルキルから独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;Rは、C1−6アルキルまたはフェニルから選択される基であり、各基は、フルオロまたはC1−4アルキルから独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;RおよびRはそれぞれ独立に、水素、またはC1−6アルキルもしくはフェニルから選択される基であり、各基は、フルオロまたはC1−4アルキルから独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
開示のプロセスは、KMnO、OsO、HまたはI/Ag(OAc)から選択される酸化剤により、主生成物としてのエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,15α,16α,17β−テトロールの製造が、エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,15β,16β,17β−テトロール異性体をほとんどまたは全く伴わずに可能であることを主張しているが、実際には、この所見を裏付けるデータも例もない。
本発明者らが酸化剤としてKMnOを用いて15−α,16−αジオールを得るための二水酸化反応に関して前記の出願に開示されている手順(WO2013/050553の実施例1および2)を繰り返したところ、このような生成物は見られなかった。総ての場合で、出発材料が、前記特許出願で請求された15−α,16−αジオールの代わりに1〜2%の15−β,16−βジオールとともに回収された(本出願の比較例1および2を参照)。
ほとんどの場合で、当該技術の現状に開示されているプロセスは、多数の合成工程を含んでなり、エステトロールが得られる全体収率に影響を及ぼしている。さらに、環Dの炭素−炭素二重結合の酸化は一般に低いかまたはそこそこの立体選択性でしか進行しないので、比較的多量の所望でない異性体15β,16β−ジオールが得られる。
上記に鑑みて、工業規模でエステトロールを得るためには、高収率でのこの化合物の製造を可能とすると同時に関連の不純物を最小限とする代替プロセスを提供することがなお必要である。
本発明は、エステトロールの製造のために効率的なプロセスを提供するという問題に対応する。本発明者らは、極めて高収率で、加えて、環Dの二重結合の酸化(シス−二水酸化)が格段に優れた立体選択性で進行して所望の15α,16α−ジオールが得られる、エステトロールを得るためのプロセスを見出した。15α,16α−ジオールと15β,16β−ジオールとの比は、多くの場合で99/1である。
よって、一態様において、本発明は、式(I)の化合物(エステトロール)
またはその塩もしくは溶媒和物の製造のためのプロセス(方法)に関し、そのプロセスは、
a)式(IV)
[式中、
は、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ、
は、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基である]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、OsOまたは四酸化オスミウム源から選択される酸化剤と反応させて、エステトロールまたは式(II)
(式中、Rは従前に定義した通りである)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を生成すること;および
b)工程a)で式(II)の化合物が得られる場合には、前記化合物を脱保護してエステトロールを生成すること
を含んでなる。
C17のエーテル保護基の脱保護が、いずれの試薬の添加も必要とせずに、工程a)で直接起こるので、本発明はエステトロールを得るための改良されたプロセスを提供する。さらに、特定の場合では、一般に、C3の保護基もエーテルである場合、それはC17のエーテル保護基と同じであっても異なっていてもよく、C3の保護基は工程a)で同様に開裂するので、式(III)の化合物からのエステトロールの合成を単一の合成工程とすることができる。
別の態様では、本発明は、式(IV)
[式中、
は、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ
は、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基であり、
ただし、Rがメチルである場合、Rは2−プロピニル基でも2−テトラヒドロピラニル基でもない]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物に関する。
これらの態様およびそれらの好ましい実施形態はまた、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲でも定義される。
発明の具体的説明
定義
本発明に関して、以下の用語は以下に詳細に示す意味を有する。
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、1〜6個(「C−Cアルキル」)、好ましくは1〜3個(「C−Cアルキル」)の炭素原子を含有し、一重結合を介してその分子の残りの部分に結合されている直鎖または分岐アルカン誘導体を意味する。アルキル基の実例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
用語「アルコキシ」は、Rが、1以上(例えば、1、2、3または4個)の酸素結合と1〜6個の炭素原子または好ましくは1〜3個の炭素原子を有する、上記で定義されるアルキルである、式−ORの基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどを意味する。用語「アリールオキシ」は、Rが、下記に定義されるアリール基である、式−ORの基、例えば、−O−フェニル、−O−p−トリル、−O−m−トリル、−O−o−トリルまたは−O−ナフチルを意味する。
用語「アリール」は、6〜18個の間(「C−C18アリール」)、好ましくは6〜10個の間(「C−C10アリール」)、より好ましくは6または10個の炭素原子を有し、炭素−炭素結合を介して結合されたまたは互いに縮合した1、2または3個の芳香核を含んでなる芳香族基を意味する。アリール基の実例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インデニル、フェナントリルなどが挙げられる。
置換アルキル基の特定の例は、「アリールアルキル」および「ハロアルキル」基である。
用語「アリールアルキル」は、上記で定義されたアリール基で置換された上記で定義されたアルキル基、例えば、(C−C18)アリール(C−C)アルキル、(C−C10)アリール(C−C)アルキルおよび(C−C10)アリール(C−C)アルキルを意味する。このような基の例としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどが挙げられる。
用語「ハロアルキル」は、水素原子のうち少なくとも1つがハロゲン基で置換された上記で定義されたアルキル基、例えば、CF、CCl、CHF、CFCFなどを意味する。
用語「シクロアルキル」は、3〜7個(「C−Cシクロアルキル」)、好ましくは3〜6個(「C−Cシクロアルキル」)の炭素原子を含有するシクロアルカン由来の基を意味する。シクロアルキル基の実例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素を意味する。
「ヘテロシクリル」は、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個のヘテロ原子とからなり、完全にもしくは部分的に飽和しているかまたは芳香族である3〜10員の安定な環式基、好ましくは5員または6員の環(ヘテロアリール)を意味する。本発明において、ヘテロシクリルは、縮合環系を含み得る単環式、二環式または三環式系であり得る。ヘテロシクリル基の実例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、インドールなどが挙げられる。
当技術分野で理解されているように、前述の基には特定の置換度が存在し得る。従って、本発明の基はいずれも置換されていてもよい。従前の基は、1以上の利用可能な位置において1以上の置換基で置換可能である。前記置換基には、例えば、限定されるものではないが、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、−NO、−CF、−N(R’)、−OR’、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−OC(O)R’が含まれ、ここで、R’基はそれぞれ独立に、水素、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
用語「ヒドロキシル保護基」は、次の反応のためにOH官能基を遮断し、制御された条件下で除去され得る基を意味する。ヒドロキシル保護基は当技術分野で周知である。ヒドロキシル保護基の実例は、Green and Wuts. “Protective Groups in Organic Synthesis”, 4th Edition (2007), Ed. John Wiley & Sons (ISBN 0-471-69754-0)により記載されている。事実上、いずれのヒドロキシル保護基も本発明の実施に使用可能である。ヒドロキシル保護基の限定されない実例としては、以下が挙げられる:
・シリルエーテル[−Si(R’)]、ここで、各R’はアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから独立に選択することができる。シリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、tert−ブチルジメチルシリルエーテル、tert−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリ−イソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、テキシルジメチルシリルエーテル、トリフェニルシリルエーテル、ジ−tert−ブチルメチルシリルエーテル、ジメチルフェニルエーテル;
・以下を含むエーテル:
・単純エーテル[−R’]、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択することができる。エーテルの例としては、メチルエーテル、tert−ブチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、アリルエーテルが挙げられる;
・アルコキシおよびアリールオキシアルキルエーテル、例えば、アルコキシおよびアリールオキシメチルエーテル、およびアルコキシおよびアリールオキシエチルエーテル、ならびにアルキルおよびアリールチオアルキルエーテル、例えば、アルキルおよびアリールチオメチルエーテルおよびアルキルおよびアリールチオアルキルエーテルを含む、ヘテロ原子置換アルキルエーテル:
式中、各Rは水素、アルキルおよびフルオロから独立に選択することができ、かつ、R’はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択することができる。
アルコキシおよびアリールオキシアルキルエーテルの例としては、メトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル、1−メトキシエチルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、1−n−プロポキシエチルエーテル、1−イソプロポキシエチルエーテル、1−n−ブトキシエチルエーテル、1−イソブトキシエチルエーテル、1−sec−ブトキシエチルエーテル、1−tert−ブトキシエチルエーテル、1−エトキシ−n−プロピルエーテル、メトキシプロピルエーテル、エトキシプロピルエーテル、1−メトキシ−1−メチルエチルエーテル、1−エトキシ−1−メチルエチルエーテル;テトラヒドロピラニル(すなわち、2−テトラヒドロピラニル)および関連のエーテルが挙げられる。
アルキルおよびアリールチオアルキルエーテルの例としては、メチルチオメチルエーテル、フェニルチオメチルエーテル、メチルチオエチルエーテルおよびフェニルチオエチルエーテルが挙げられる;
・エステル[−COR’]、ここで、R’は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択することができる。エステルの例としては、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、メトキシアセチル、クロロアセチル、レブリニルエステルが挙げられる;
・カルバメート[−CON(R’)]、ここで、各R’は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから独立に選択することができる;および
・カーボネート[−COOR’]、ここで、R’は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択することができる。カーボネートの例としては、ベンジルカーボネート、p−ニトロベンジルカーボネート、tert−ブチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、アリルカーボネートが挙げられる。
当業者が周知のように、ヒドロキシル保護基は酸素原子を考慮して一般に命名される。従って、ヒドロキシル保護基を表す場合の「エーテル」、「エステル」および「カーボネート」などの用語は、本明細書では実際に、保護されたヒドロキシル基の酸素原子とともに遮断基により形成される化学基を意味する。
本発明はまた、本発明に記載される化合物の「塩」を提供する。例として、前記塩は酸付加塩、塩基付加塩または金属塩であり得、塩基部分または酸部分を含有する親化合物から当業者に公知の従来の化学プロセスの手段によって合成することができる。このような塩は一般に、例えば、水中または有機溶媒中またはその両者の混合物中で、遊離酸または塩基形態の前記化合物を化学量の好適な塩基または酸と反応させることによって作製される。エーテル、酢酸エチル、エタノール、アセトン、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が一般に好ましい。前記酸付加塩の実例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸付加塩、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩などの有機酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩の実例としては、例えばアンモニウム塩などの無機塩基塩、および例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルタミン、アミノ酸塩基性塩などの有機塩基塩が挙げられる。金属塩の実例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩が挙げられる。
同様に、本明細書に記載の化合物は、遊離化合物または溶媒和物(例えば、水和物、アルコレートなど)の両方として得ることができ、両形態とも本発明の範囲内に含まれる。溶媒和法は一般に当該技術の現状において既知である。
用語「薬学上許容可能な」は、ヒトに投与された際に、生理学上忍容性があり、かつ、アレルギー反応または類似の有害な反応、例えば、胃不快感、めまいなどを通常引き起こさない分子実体および組成物に関する。好ましくは、本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容可能な」とは、政府の規制当局により承認されていること、または動物、より詳しくはヒトに関するUS薬局方もしくは別の一般に認知されている薬局方に挙げられていることを意味する。
当業者には、本発明の範囲がまた薬学上許容可能な塩を得るための可能性のある手段としての薬学上許容可能でない塩を含むことが自明である。
特に断りのない限り、本発明の化合物はまた、同位体が富化された1以上の原子の存在が異なる化合物も含む。例として、本明細書で定義された構造を有する化合物は、少なくとも1つの水素の重水素もしくはトリチウムによる置換、または少なくとも1つの炭素の13Cまたは14Cが富化された炭素による置換、または少なくとも1つの窒素の15Nが富化された窒素による置換を除き、本発明の範囲内にある。
本明細書で使用する場合、用語「約」は、明示された値の若干の変動、好ましくは明示された値の10パーセント以内を意味する。しかしながらやはり、用語「約」は、例えば使用する実験技術に応じてより大きな変動許容を意味する。明示された値の前記変動は当業者には理解され、本発明の文脈の範囲内である。さらに、より簡潔な記載を提供するために、本明細書に示される量的表現のいくつかは用語「約」で修飾されない。用語「約」が明示的に使用される場合であれされない場合であれ、本明細書に示される総ての量は実際に与えられた値を指すものとし、また、このような所与の値の実験条件および/または測定条件による等価値および近似値を含む、当技術分野の通常の技量に基づいて合理的に推論される、このような所与の値に対する近似値を指すものと理解される。
一態様において、本発明は、エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物の製造のためのプロセスに関し、このプロセスは、
a)式(IV)
[式中、
は、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ、
は、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基である]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をOsOまたは四酸化オスミウム源と反応させて、エステトロールまたは式(II)
(式中、Rは従前に定義した通りである)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を生成すること;および
b)工程a)で式(II)の化合物が得られる場合には、前記化合物を脱保護してエステトロールを生成すること
を含んでなる。
式(IV)の化合物の酸化は、炭素−炭素二重結合の選択的シス−二水酸化を提供してエステトロールとする酸化剤を用いて行われ、前記酸化剤は、オスミウム(VIII)へ容易に酸化するOsOまたは四酸化オスミウム源、例えば、オスミウム(VI)酸カリウム二水和物(KOsO・2HO)または塩化オスミウム(III)水和物(OsCl・xHO)から選択される。より好ましくは、前記酸化剤はポリマー支持型または固定型のOsO(またはOsO源)、例えば、ポリ(4−ビニル−ピリジン)上に支持された四酸化オスミウム(OsO−PVP)(G. Cainelli et al., Synthesis 1989, 45 - 47参照)、AD−mix(αおよびβ)、Os Encat(商標)、Fibrecat(商標)、マイクロカプセル化酸化オスミウム(VIII)、酸化オスミウム(VIII)−ピリジンPEファイバーまたはジオキソテトラヒドロキソオスミウム(VIII)酸ジカリウム−トリエチルアミンPEファイバーである。特定の実施形態では、PVP上に支持されるOsOの量は約5%である。AD mix−αは、(DHQ)PHAL(ヒドロキニーネ1,4−フタラジンジイルジエーテル)0.0016モル、炭酸カリウム粉末0.4988モル、フェリシアン化カリウム0.4988モル、およびオスミウム酸カリウム二水和物0.0007モルを含有する市販の混合物である。AD mix−βは、(DHQD)PHAL(ヒドロキニジン1,4−フタラジンジイルジエーテル)0.0016モル、炭酸カリウム粉末0.4988モル、フェリシアン化物カリウム0.4988モル、およびオスミウム酸カリウム二水和物0.0007モルを含有する市販の混合物である。Os Encat(商標)は、ポリ尿素マトリックスに固定されたOsOであり、特に、Os EnCat(商標)40は、以下の特性を有する:Os金属含量4.8〜5.7%w/wおよびOsO負荷量40〜300mmol/g(平均165mmol/g)。Fibrecat 3003(商標)は、Encat(商標)40に極めて類似する市販のオスミウムアンカー型の均質な触媒である。
好ましい実施形態では、酸化補助試薬または補助酸化剤は、例えば、トリメチルアミン−N−オキシド、トリエチルアミン−N−オキシド、ジメチルベンシルアミン−N−オキシド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、ピリジン−N−オキシド、TEMPOまたは過酸化水素および誘導体、より好ましくは、トリメチルアミン−N−オキシドがさらに添加される。
このシス−二水酸化反応は、一般に、例えば、エーテル、例えば、非環式エーテル(例えば、ジイソプロピルエーテルなど)もしくは環式エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなど)、ハロゲン化溶媒、例えば、ジクロロメタンなどの好適な有機溶媒中、または例えばトルエンなどの芳香族溶媒中で行われる。好ましくは、溶媒はTHFである。より好ましくは、OsO−PVP(ポリ(4−ビニル−ピリジン)およびトリメチルアミン−N−オキシドが溶媒としてのTHFともに使用される。
特定の実施形態では、有機溶媒の量は、式(IV)の化合物1グラム当たり3〜20mLの間、より好ましくは式(IV)の化合物1グラム当たり8〜15mLの間の割合であり得る。一般に、酸化補助試薬の量は0.95〜4当量の間、より好ましくは1.0〜2.5当量の間で可変であり、酸化試薬の量は式(IV)の化合物1グラム当たり10%〜50%の間、より好ましくは式(IV)の化合物1グラム当たり15%〜25%の間で使用すればよい。
試薬は総て室温で、好ましくは不活性雰囲気下で添加してよく、その後、混合物を好ましくは室温〜100℃の間を含んでなる温度で加熱する。反応速度は温度を含む特定の条件によって異なり、50℃〜60℃の間を含んでなる温度では、反応は通常、20〜24時間の間の期間内に起こる。
C17位のエーテル保護基は反応工程a)の間に開裂され、続いての単離工程がC17ヒドロキシル化合物を直接的にもたらすので、シス−二水酸化から生じる生成物(式(III)の化合物)は単離されない。加えて、特定の場合では、式(IV)の化合物のC3位の保護基も反応工程a)中に除去され、続いての単離工程がエステトロールを直接的に生じることが見出された。よって、この酸化反応により、C17位にヒドロキシル基を遊離状態で有する式(II)の化合物か、または直接的にエステトロールのいずれかが得られる。下記スキーム8参照。
一実施形態によれば、エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物は、式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、OsOまたは四酸化オスミウム源との反応による式(II)の化合物の生成、および式(II)の化合物の脱保護によるエステトロールの生成によって得られる。式(IV)の化合物のC3のヒドロキシル基がエーテル以外の基により保護される場合、通常、シス−二水酸化は式(II)の化合物を生じ、エステトロールを得るためには次にこれを脱保護しなければならない。
エステトロールは、式(II)の化合物から当業者に既知の従来の脱保護法:Green and Wuts. “Protective Groups in Organic Synthesis”, 第4版(2007), John Wiley & Sons編 (ISBN 0-471-69754-0)によって製造することができる。脱保護反応の進行はTLCにより容易に監視することができる。
例えば、C3のヒドロキシル基がエステル、カーボネートまたはカルバメートにより保護されている式(II)の化合物は、当該技術の現状の十分に確立された手順に従い、塩基性または酸性媒体中での加水分解によりエステトロールに容易に変換することができる。
C3のヒドロキシル基がシリル基により保護されている式(II)の化合物は、フッ化物塩またはHF、酸性媒体、酸化媒体などのフッ化物試薬の使用によってエステトロールに容易に変換することができる。
C3のヒドロキシル基がエーテルにより保護されている式(II)の化合物は、酸性媒体中での加水分解(例えば、メチルエーテルの場合)、水素化(例えば、ベンジルエーテルの場合)、酸化(例えば、アリールエーテルの場合)などによってエステトロールに容易に変換することができる。一般に、式(II)のエーテルの脱保護反応によるエステトロールの生成により定量的収量が得られる。
特定の実施形態では、C17位のヒドロキシル基は、アルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテル、好ましくは、アルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテル、より好ましくは、アルコキシアルキルエーテルにより保護される。
別の実施形態では、C17位のヒドロキシル基は、式
のアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルにより保護され、式中、XはOまたはSであり;nは1または2であり;各Rは水素、アルキルおよびフルオロから独立に選択され;かつ、R’はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択される。好ましくは、nは1であり;各Rは水素およびアルキルから独立に選択され;かつ、R’はアルキル基である。より好ましくは、XはO、nは1であり、各Rは水素およびアルキルから独立に選択され、かつ、R’はアルキル基である。
特定の実施形態では、C17位のヒドロキシル基は、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択されるアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルにより保護される。より好ましくは、Rは1−ブトキシエチル、テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
特定の実施形態では、C3位のヒドロキシル基は、エーテル、好ましくは、アルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテル、より好ましくは、アルコキシまたはアリールオキシアルキルエーテル、いっそうより好ましくは、アルコキシアルキルエーテルにより保護される。
別の実施形態では、C3位のヒドロキシル基は、式
のアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルにより保護され、式中、XはOまたはSであり;nは1または2であり;各Rは、水素、アルキルおよびフルオロから独立に選択され;かつ、R’はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択される。好ましくは、nは1であり;各Rは水素およびアルキルから独立に選択され;かつ、R’はアルキル基である。より好ましくは、XはOであり、nは1であり、各Rは水素およびアルキルから独立に選択され、かつ、R’はアルキル基である。
特定の実施形態では、C3位のヒドロキシル基は、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択されるアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルにより保護される。好ましくは、Rは1−ブトキシエチル、テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルであり、より好ましくは、Rはテトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
別の実施形態では、C3位のヒドロキシル基は、好ましくはアセチルエステルおよびベンゾイルエステルから選択されるエステルにより保護される。
特定の実施形態では、C3位のヒドロキシル基は、好ましくはアセチルエステルおよびベンゾイルエステルから選択されるエステルにより保護され、C17位のヒドロキシル基は、上記で定義されたアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルにより、好ましくは、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択される基により保護される。より好ましくは、Rはベンゾイルであり、かつ、Rは1−ブトキシエチルである。この化合物は本明細書では化合物(IVa)と呼ばれる。
別の実施形態によれば、エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物は、式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、OsOまたは四酸化オスミウム源との反応により直接的に得られる。好ましくは、式(IV)の化合物のC3のヒドロキシル基がエーテルまたはエステル、好ましくは、エーテルにより保護されている場合には、シス−二水酸化生成物の二重脱保護が起こる。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物のC3位とC17位の両ヒドロキシル基は、同じであっても異なっていてもエーテルにより保護される。好ましくは、C3位とC17位のヒドロキシル基は、上記で定義されたアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルから独立に選択されるエーテルにより、より好ましくは、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから独立に選択される基により保護される。また、両ヒドロキシル基が同じエーテルにより保護されることも好ましい。より好ましくは、RおよびRはMOM基であり[この化合物は本明細書において化合物(IVb)と呼ばれる]、またはRおよびRはTHP基である[この化合物は本明細書において化合物(IVc)と呼ばれる]。
特定の実施形態では、15β,16β−ジオール異性体は、15β,16β−ジオールと15α,16α−ジオールの合計に対して3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下の量で得られる。
好ましい実施形態では、式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、式(VI)の遊離ジオール(Δ−15−エストラジオール)から、従来の方法下で対応する保護基を導入することによって製造される。両ヒドロキシル基は同じ基によって保護されている場合、その保護は好ましくは一工程で起こり;保護基が異なる場合には、C3位のヒドロキシル基が、好ましくはまず保護されて式(V)の化合物が生成され、次に、C17位のヒドロキシル基が保護される。スキーム9参照。
よって、式(IV)の化合物は、式(VI)の化合物から当業者に既知の従来の保護法Green and Wuts. “Protective Groups in Organic Synthesis”, 第4版(2007), John Wiley & Sons編 (ISBN 0-471-69754-0)によって製造することができる。保護反応の進行はTLCにより容易に監視することができる。
特定の実施形態によれば、式(IVa)の化合物は、式(VI)の化合物から、(VI)の化合物のC3のヒドロキシル基をベンゾイルエステルとして保護して式(Va)の化合物を得ること、次に、C17のヒドロキシル基を(1−ブトキシエチル)エーテルとして保護することを含んでなるプロセスによって製造することができる。式(VI)の化合物の3−OH基は好ましくは、塩基としてジクロロメタンおよびトリエチルアミン中の塩化ベンゾイルを用いて保護され、式(Va)の化合物の17−OH基は好ましくは、p−トルエンスルホン酸の存在下、THF中、ブチルビニルエーテルを用いて保護される。
特定の実施形態によれば、式(IVb)の化合物は、式(VI)の化合物から、C3位とC17位の両ヒドロキシル基をMOMエーテルとして同時に保護することを含んでなるプロセスによって製造される。この二重保護は、例えば、臭化リチウムおよびp−トルエンスルホン酸の存在下、THF中のホルムアルデヒドジメチルアセタールを用いるか、またはジイソプロピルエチルアミンの存在下、ジクロロメタン、THF、トルエン、MeTHFおよびDMAcから選択される溶媒中のブロモメチルメチルもしくはクロロメチルメチルエーテルを用いるか、または五酸化リンの存在下、ジクロロメタン中のホルムアルデヒドジメチルアセタールを用いて達成することができる。
特定の実施形態によれば、式(IVc)の化合物は、式(VI)の化合物からC3位とC17位の両ヒドロキシル基をTHPエーテルとして同時に保護することを含んでなるプロセスによって製造される。この二重保護は、例えば、p−トルエンスルホン酸の存在下、ジクロロメタン中の3,4−ジヒドロ−2H−ピランを用いて達成することができる。
好ましい実施形態では、本発明は、エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物の製造のための方法に関し、そのプロセスは、式(VI)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を保護して式(IV)
(式中、RおよびRはともにヒドロキシル保護基であり、同じであっても異なっていてもよい)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を生成すること;および
式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をOsOまたは四酸化オスミウム源と反応させてエステトロールを生成すること
を含んでなる。
上記の好ましい実施形態によれば、好ましくは、C3位とC17位のヒドロキシル基は、上記で定義されたアルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルから独立に選択されるエーテルにより、より好ましくは、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから独立に選択される基により保護される。また、両ヒドロキシル基が同じエーテルにより保護されることも好ましい。より好ましくは、RおよびRはMOM基であるか[化合物(IVb)]またはRおよびRはTHP基である[化合物(IVc)]。
よって、好ましい実施形態によれば、ある合成工程において、式(VI)の化合物のC3位とC17位の両ヒドロキシル基はエーテルとして同時に保護して式(IV)の化合物を得てもよく、次に、前記式(IV)の化合物のシス−二水酸化は、二重脱保護による直接的なエステトロールの確保を伴う。これらの2つの合成工程の全体収率は実際には100モル%であり、15α,16α−ジオールと15β,16β−ジオールとの比は99/1であるので、このプロセスは工業的観点から特に有用である。
式(VI)の化合物の製造は当該技術の現状において周知である(例えば、Cantrall et al., J. Org. Chem. 1964, 29, 214-217; Johnson et al., J. Am. Chem. Soc. 1957, 79, 2005-2009; Poirier et al., Tetrahedron 1991, 47, 7751- 7766; Nambara et al., Steroids 1976, 27, 111-121; Li et al.; Steroids 2010, 75, 859-869参照)。特定の実施形態によれば、式(VI)の化合物は、以下のスキーム10で示すスキームに従って製造される。
エストロンの3−OH基は、場合により、例えば、アシル化、シリル化、エーテルの形成などによって保護してもよい。アシル化の場合、3−OH基は好ましくは、塩基としてジクロロメタンおよびトリエチルアミン中のベンゾイル、ベンジルまたは塩化アセチルから選択される試薬を用いてアシル化される。
次に、中間生成物(XI)のカルボニル基は、エチレングリコール、オルトギ酸トリエチル(triethylortoformiate)およびp−トルエンスルホン酸での処理により保護して事実上定量的収量で化合物(X)とすることができる。
次に、エチレングリコールの存在下、THF中の臭化ピリジニウムでα臭素化を行い、化合物(IX)を得ることができる。特定の実施形態では、エチレングリコールの量は、THFの量に対して5〜25%であり得る。
環Dの炭素−炭素二重結合は、化合物(IX)をDMSO中、t−BuOKで処理することで達成することができ、C3のヒドロキシル保護基としてエステルが使用される場合には、前記条件下では、それは不安定である。
特定の実施形態では、脱臭化水素反応は、式(IX)の化合物1当量当たり1〜10当量の間、より好ましくは2〜6当量の間のt−BuOKを用いて行われ、DMSOの量は、式(IX)の化合物1グラム当たり5〜20mLの間、より好ましくは、式(IX)の化合物1グラム当たり7〜11mLの間であり得る。
好ましい実施形態では、脱臭化水素反応は、式(IX)の化合物1当量当たり2〜6当量の間のt−BuOKおよび式(IX)の化合物1グラム当たり7〜11mLの量のDMSOを用いて行う。
式(VIII)の化合物は、式(X)の化合物から一ポットプロセスで、中間体化合物(IX)を単離せずに製造することができる。しかしながら、本発明の好ましい変形形態では、式(IX)の化合物は単離される。
脱臭化水素反応で得られた式(VIII)の化合物は、さらなる精製(例えば、結晶化またはクロマトグラフィー)の必要もなければ乾燥させる必要もない。よって、化合物(VIII)のジオキソラン基は、精製または乾燥することなく、p−トルエンスルホン酸を使用することで加水分解されて、不飽和エストロン(VII)が事実上定量的収量で得られる。
不飽和エストロン(VII)のジオール(VI)への変換は、式(VII)の化合物のC17のケト基のヒドロキシル基への変換による式(VI)の化合物の生成を可能とするいずれの還元反応の手段のよって行ってもよい。よって、この還元反応は当技術分野で公知の従来の条件下で行うことができる。特定の実施形態では、この反応は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素カリウム(potassium cyanobohydride)および水素化リチウムアルミニウムなどの金属水素化物から選択される還元剤を用いて行われる。好ましい実施形態では、還元剤は、好ましくは、三塩化セリウムの存在下の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH/CeCl)である。より好ましくは、本明細書で使用するための還元剤は、CeCl水和物、好ましくは、三塩化セリウム七水和物(CeCl・7HO)と組み合わせたNaBHである。
特定の実施形態では、還元反応は、式(VII)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物1当量当たり1〜10当量の間、好ましくは1〜5当量の間、より好ましくは1〜3当量の間の還元剤を用いて行われる。
好ましい実施形態では、式(VII)の化合物と還元剤との反応は、MeOHおよびTHFなどのプロトン性溶媒の混合物中で行われる。特に、式(VII)の化合物と還元剤を、0℃〜5℃にて、プロトン性溶媒、好ましくはMeOHおよびTHFの混合物に懸濁させ、この混合物を前記低温で撹拌することが好ましい。MeOHとTHFの好ましい容量比は2:1〜5:1である。
ジオール(VI)の製造はスキーム10で示される特定のプロセスに限定されないが、当業者ならば、3位のヒドロキシル基および17位のケト基の保護および脱保護がいずれの合成段階でも行える。前記保護および/または脱保護の最も好適な段階は当業者ならば容易に決定することができる。
スキーム10に示されるプロセスは、中間体ジオール(VI)を高い純度(一般に、98%を超える)および収率(出発エストロンからジオール(VI)の単離までの全体収率80%)で提供することができる。
さらに好ましい実施形態では、これらのプロセスに関して上記した選択を組み合わせる。本発明はまた、これらのプロセスの好ましい条件のこのような組合せを対象とする。
別の態様では、本発明は、式(IV)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物に関し、式中、
およびRは上記で定義される通りであり、ただし、Rがメチルで場合、Rは2−プロピニル基でも2−テトラヒドロピラニル基でもない。
特定の実施形態では、Rは、アルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルである。
好ましくは、Rは式
の基であり、式中、XはOまたはSであり;nは1または2であり;各Rは水素、アルキルおよびフルオロから独立に選択され;かつ、R’はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択される。好ましくは、nは1であり;各Rは水素およびアルキルから独立に選択され;かつ、R’はアルキル基である。より好ましくは、XはOであり、nは1であり、各Rは水素およびアルキルから独立に選択され、かつ、R’はアルキル基である。
特定の実施形態では、Rは、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択される。より好ましくは、Rは、1−ブトキシエチル、テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
特定の実施形態では、Rは、エステル、好ましくは、アセチルエステルもしくはベンゾイルエステル;またはエーテル、好ましくは、アルコキシもしくはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルもしくはアリールチオアルキルエーテルである。
別の実施形態では、Rは、エステル、好ましくは、アセチルエステルもしくはベンゾイルエステル;または式
のエーテルであり、式中、XはOまたはSであり;nは1または2であり;各Rは水素、アルキルおよびフルオロから独立に選択され;およびR’はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから選択され;より好ましくは、nは1であり;各Rは水素およびアルキルから独立に選択され;かつ、R’はアルキル基であり;いっそうより好ましくは、XはOであり、nは1であり、各Rは水素およびアルキルから独立に選択され、かつ、R’はアルキル基である。
特定の実施形態では、Rは、アセチルエステル、ベンゾイルエステル、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択される。より好ましくは、Rはベンゾイルエステル、テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は
またはその塩もしくは溶媒和物から選択される。
以下の例は本発明を説明し、その意味の限定と見なされるべきでない。
比較例1.WO2013/050553の実施例1に従うエステトロールの製造
工程1: エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3,17β−ジオールビス(ジメチル−tert−ブチルシリル)エーテル
50mlのジメチルホルムアミド中、3−t−ブチルジメチルシロキシ−エストラ−1,3,5(10)−15−テトラエン−17−オール(5g)の溶液に、イミダゾール(6.8g)およびジメチル−tert−ブチルシリル−クロリド(3.0当量)を加え、反応が完了するまで室温で静置した。水100mlおよびAcOEt100mlを加えた。二相に分け、水相をAcOEt100mlで抽出した。得られた溶液を蒸発させた。残渣メタノールから結晶化させ、(6.9g)のエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3,17−ジオールビス(ジメチル−tert−ブチルシリル)エーテルを得た。
工程2:エストラ−1,3,5(10),15α,16α,17β−テトロール:
0℃で、アセトン(50ml)中、エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3,17β−ジオールビス(ジメチル−tert−ブチルシリル)エーテル(5g)およびギ酸(1.15ml)の撹拌溶液に、水(10ml)およびアセトン(50ml)中、過マンガン酸カリウム(1.57g)の溶液を徐々に加えた。反応の完了は得られず、この反応を10%KHSO水溶液で急冷した。アセトンを部分的に除去した。沈澱を濾取し、95%の出発材料エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3,17β−ジオールビス(ジメチル−tert−ブチルシリル)エーテルおよび1〜2%のエストラ−1,3,5(10),15β,16β,17β−テトロールを得た。
比較例2.WO2013/050553の実施例2に従うエステトロールの製造
工程1
40mlのジメチルホルムアミド中、エストラ−1,3,5(10)−15−テトラエン−3,17−ジオール(4g)の溶液に、イミダゾール(5.4g)およびジメチル−tert−ブチルシリル−クロリド(1.1当量)を加え、反応が完了するまで室温で静置した。水80mlおよびAcOEt80mlを加えた。二相に分け、水相をAcOEt80mlで抽出した。得られた溶液を蒸発させた。残渣をメタノールから結晶化させ、(5.4g)の3−t−ブチルジメチルシロキシ−エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−ジオールを得た。
工程2.WO2013/050553実施例2
50mlのジクロロメタンおよび1.8mlのトリエチルアミン中、3−t−ブチルジメチルシロキシ−エストラ−1,3,5(10)−15−テトラエン−17−オール(5g)の溶液に、8ml塩化メチレン中、1.75gの塩化ピバロイルを滴下し、反応が完了するまで0℃で静置した。次に、溶液を室温で1時間撹拌した。水30mlを加えた。二相に分け、有機相を100mlの水で2回洗浄した。得られた溶液をヘプタンで沈澱させ、固体生成物を濾別した。
次に、エストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3−ジメチル−tert−ブチルシリル,17−ピバロイル−ジオール(4g)およびギ酸(0.95ml)を0℃にてアセトン(40ml)に溶かした。水(8ml)およびアセトン(40ml)中、過マンガン酸カリウム(1.25g)の溶液をゆっくり加えた。反応の完了は得られなかった。この反応を10%KHSO水溶液で急冷した。アセトンを部分的に除去した後、沈澱を濾取し、95%のエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−3−ジメチル−tert−ブチルシリル,17−ピバロイル−ジオールおよび2〜3%のエストラ−1,3,5(10),15β,16β,17β−テトロールを得た。
比較例3
0℃で、アセトン(1.7ml)中、3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(0.17g)およびギ酸(0.04ml)の撹拌溶液に、水(0.35ml)およびアセトン(1.7ml)中、過マンガン酸カリウム(53mg)の溶液を徐々に加えた。反応の完了は得られず、この反応を10%KHSO水溶液で急冷した。アセトンを部分的に除去した。沈澱を濾取し、88%の出発材料3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオールおよび9%のエストラ−1,3,5(10),15β,16β,17β−テトロールを得た。
実施例1.エストロン−3−ベンゾエートの製造
1500mLのジクロロメタンおよび154mLのトリエチルアミン中150gのエストロン(d:0.725g/mL)に、77.2mlの塩化ベンゾイルを30℃より低い温度で加えた。添加後、それをTLCによる陽性対照まで20±5℃で撹拌した。次に、600mLの10%V/V HCl溶液を加え、それを撹拌し、二相に分けた。水相を2アリコートの300mLジクロロメタンで抽出した。最終有機相を450mLの10%W/V重炭酸ナトリウムで処理し、1アリコートの300mLジクロロメタンで再び抽出した。得られた有機相を450mLの水で処理した。この水相をまた1アリコートの300mLジクロロメタンで抽出した。
最終有機相を最終容量450mLまで真空濃縮した。溶媒をメタノールに替え、その後、3回分の450mLメタノールの添加および蒸発を行い、各場合で最終容量450mLまで濃縮した。最終懸濁液を0/5℃で30分間撹拌した後、固体を濾別した。固体を0/5℃にて150mLのメタノールで洗浄し、それを50℃で乾燥させ、最終乾燥ケークを得た:207.5gのエストロン−3−ベンゾエート。収率:100モル%。
実施例2.17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエートの製造
207.5gの出発材料エストロン−3−ベンゾエートを415mLのエチレングリコールおよび207mLのオルトギ酸トリエチルに懸濁させ、4.25gのp−トルエンスルホン酸を加えた。それを陽性対照まで(約15時間)35±5℃で撹拌した。次に、7.5mLのピリジンを室温で加え、15分間撹拌した後、この混合物に2900mLの水を加えた。この懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過した。それを620mLの水で洗浄し、50℃で乾燥させた。最終乾燥ケーク:229.0gの17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエート。収率99モル%。
実施例3.16−ブロモ−17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエートの製造
627mLのTHFおよび42mLのエチレングリコール中、209gの17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエートの溶液を、188mLのTHF中、206.9gの臭化ピリジニウムに加えた。この添加は温度を20±5℃に維持しながら行う。陽性対照(40分)後、チオ硫酸ナトリウム(sodium triosulfate)400mLの溶液を加えた(この溶液はまた炭酸ナトリウムも含み得る)。次に、ジクロロメタン(627mL)を加え、それを室温で20分間撹拌した。分離後、水相の溶媒を、蒸留とアセトンの投入によりアセトン836mLに替え、最終懸濁液400mLとした。それを0/5℃で1時間撹拌し、濾過した。それを100mLのアセトンで洗浄し、それを50℃で乾燥させた。最終乾燥ケーク:218.6gの16−ブロモ−17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエート。収率99モル%。
実施例4.Δ−15−17,17−エチレンジオキシ−エストロンの製造
2000mLのDMSO中、200gの16−ブロモ−17,17−エチレンジオキシ−エストロン−3−ベンゾエートに、300gのカリウムt−ブトキシドを加えた。この混合物を40/45℃で20時間加熱した。陽性対照後、この混合物を水(1000mL)で沈澱させ、pHを10%硫酸水溶液でpH7/8となるように調整した。得られた懸濁液を濾過し、水(200mL)で洗浄し、13.5gのΔ−15−17,17−エチレンジオキシ−エストロンを湿潤ケークとして得た。
このケークを排水し、そのまま次の工程で使用した。
実施例5.Δ−15−エストロンの製造
前工程の湿潤ケークΔ−15−17,17−エチレンジオキシ−エストロンを再び750mLのアセトンに懸濁させ、4.5gのp−トルエンスルホン酸を加えた(pHが3未満でなければ、さらなるp−TSAを加えた)。反応は20±5℃で1時間後に完了し、その後、3mLのピリジンを投入した。この混合物を300mLまで濃縮し、300mLの水を加えた。それを濾過し、150mLの水で洗浄した。
このケークを排水し、50℃で乾燥させた。最終乾燥ケーク:107.9g。収率100モル%。
実施例6.Δ−15−エストラジオールの製造
114mLのTHF中、32.5gのΔ−15−エストロンに、488mLのメタノールおよび9.75gの三塩化セリウム七水和物、1.4gの水素化ホウ素ナトリウムを0/5℃で滴下した。反応は10分で完了した。次に、100mLの水を加え、それを100mLまで真空濃縮し、さらに50mLの水を加えた。それを5/10℃で1時間撹拌し、濾過し、120mLの水で洗浄した。このケークを排水し、メタノールに再懸濁させ、濾過し、50℃で乾燥させた。最終量の乾燥ケークは30.5gである。収率93モル%。
実施例7.Δ−15−エストラジオール−3−ベンゾエートの製造
不活性雰囲気下、約10〜15℃の温度で、Δ−15−エストラジオール(10g)を、100mlのジクロロメタンおよび11mlのトリエチルアミンに溶かし、これに30℃より低い温度で5.15mlの塩化ベンゾイルを加えた。この反応混合物を室温で約1時間、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。
5%塩酸水溶液(40ml)を室温で加えた。得られた混合物を二相が完全に分離するまで保持した。水相をジクロロメタン(dichlormethane)で2回(20ml×2)抽出し、総ての有機相を混合し、5%NaHCO水溶液(30ml)および水(30ml)で洗浄した。デカンテーション後、水相をジクロロメタン(20ml)で抽出した。次に、有機相を混合し、減圧下で蒸発させ、酢酸エチルを加え(30ml×3回)、減圧下で蒸発させた。ヘプタン(60ml)をゆっくり加えて懸濁液を得た。懸濁固体を濾過し、ヘプタンで洗浄し、50℃の炉で乾燥させて11.59gを得た。
実施例8.17−(1−ブトキシエチル)エーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール−3−ベンゾエートの製造
Δ−15−エストラジオール−3−ベンゾエート(5.5g)を16mlのTHFに溶かし、不活性雰囲気下、室温でモレキュラーシーブス(1.1g)および2.85mlのブチルビニルエーテルを加えた。次に、p−トルエンスルホン酸(0.03g)を加えた。この反応混合物を室温で、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。次に、ピリジン(0.01ml)を加え、得られた混合物を濾別し、THF(5.5ml)で洗浄した。得られた有機相を10%NaCl水溶液(35ml)で洗浄し、真空下で蒸発させて27mLを得た。
この液相をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
推定収量6.9gの17−(1−ブトキシエチル)エーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール−3−ベンゾエート。
NMR-H1: 8.08 (2H); 7.71 (1H); 7.56 (2H); 7.30 (1H); 6.98 (1H); 6.93 (1H); 6.03 (1H); 5.72 (1H); 4.74 (1H); 4.26 (1H); 3.56-3.33 (2H); 2.83 (2 H); 2.33-1.89 (3H); 1.55-1.26 (4H); 1.21 (3 H), 0.84( 3 H); 0.77 (3H).
NMR-C13: 164.6; 148.3; 137.8; 137.7; 137.5; 133.9; 133.2; 130.9; 129.6; 129.0; 128.9; 126.1; 121.5; 118.8; 98.9; 88.1; 87.1; 64.1; 55.9; 54.8; 50.8; 43.9; 39.9; 35.4; 31.4; 30.3; 28.7; 26.7; 25.5; 20.5; 19.7; 18.9; 13.6; 12.9.
実施例9.15α,16α,17β−トリヒドロキシ−エストラジオール3−ベンゾエートエステルの製造
37mlのTHF中、17β−1−ブトキシエチルエーテル−ヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール3−ベンゾエートエステル(6.9g)を含有する実施例8の溶液に、室温でトリメチルアミンN−オキシド(3.5g)を加えた。PVP−OsO4(1.7g)およびTHF(9ml)を室温で加え、この混合物を50〜55℃まで20〜24時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、有機層をp−TsOH水溶液で洗浄した後、濾別し、固体をTHFで抽出した。
この液相(65mL)をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
推定収量5.8g(98モル%)の15α,16α,17β−トリヒドロキシ−エストラジオール3−ベンゾエートエステル。
実施例10.エステトロールの製造
15α,16α,17β−トリヒドロキシ−エストラジオール3−ベンゾエートエステル(5.8g)を含有する実施例9の溶液に、MeOH(80mL)を加え、真空下で蒸発させた(30mL)。
3gのNaOHを加えた。この混合物を40/45℃で2時間加熱した。陽性対照後、この混合物を水(90mL)で沈澱させ、pHを10%塩酸水溶液でpH7/8となるように調整した。得られた懸濁液を濾過し、水(60mL)で洗浄した。
この湿潤ケークを50℃の炉で乾燥させ、4.1g(94モル%)のエステトロール(I)を得た。
α−15,16−ジオールとβ−15,16−ジオールとの比は99/1である。
実施例11.エステトロール(I)の製造
37mlのTHF中、17β−1−ブトキシエチルエーテル−ヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール3−ベンゾエートエステル(6.9g)を含有する実施例8の溶液に、室温でトリメチルアミンN−オキシド(3.5g)を加えた。PVP−OsO4(1.7g)およびTHF(9ml)を室温で加え、この混合物を50〜55℃に20〜24時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、有機層をKCO水溶液で洗浄した後、濾別し、固体をTHFで抽出した。
湿潤ケークを50℃の炉で乾燥させ、4.0g(91.7モル%)のエステトロール(I)を得た。
α−15,16−ジオールとβ−15,16−ジオールとの比は98/2である。
実施例12.3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオールの製造
3−17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(0.5g)を5mlのTHFに溶かし、不活性雰囲気下、室温で、臭化リチウム0.9gおよび0.4mlのホルムアルデヒドジメチルアセタールを加えた。次に、p−トルエンスルホン酸(0.025g)を加えた。この反応混合物を室温で、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。得られた混合物をHCl水溶液および水でpH7まで洗浄した。有機相を真空下での蒸発により濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーに付した。
0.42gの3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオールが回収された。
NMR-H1: 7.15 (1H); 6.76 (1H); 6.71 (1H); 6.05 (1H); 5.76 (1H); 5.13 (2H, OCH2O); 4.65 (2H, OCH2O); 4.18 (1H); 3.48 (OCH3); 3.29 (OCH3); 2.83 (2H); 2.29-2.17 (2H); 2.07-1.89 (3H); 1.75-1.68 (2H); 1.51-1.34 (4 H); 0.80 (3H).
NMR-C13: 154.6; 137.3; 133.1; 131.2; 125.9; 115.9; 113.6; 95.7; 93.7; 90.1; 67.0; 55.9; 55.3; 54.6; 50.5; 44.1; 35.6; 34.4; 28.9; 26.9; 25.6; 25.1; 12.9.
実施例13.3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオールの製造
3−17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(0.2g)を4mlのCHClに溶かし、不活性雰囲気下、室温で、ジイソプロピルエチルアミン0.38mlおよび0.2mlのクロロメチルメチルエーテルを2回に分けて加えた。この反応混合物を室温で、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。得られた混合物をHCl水溶液および水でpH7まで洗浄した。有機相を濃縮し、それ以上精製せずに次の工程で使用した。
推定生成物3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール0.17g。
実施例14.エステトロール(I)の製造
3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(0.3g)およびTHF(2.0ml)の撹拌溶液に、トリメチルアミンN−オキシド(0.15g)を室温で加えた。THF(0.5ml)中、PVP−OsO4 1%(0.08g)を室温で加えた。この混合物を50〜55℃まで20〜24時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、有機層をAcOH水溶液で洗浄した後、濾別し、固体をTHFで抽出した。有機相を真空下での蒸発により濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーに付した。0.26gのエステトロール(I)が回収された。α−15,16−ジオールとβ−15,16−ジオールとの比は99/1である。
実施例15.エステトロール(I)の製造
3,17−メトキシメチルエーテル−3,17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(0.15g)およびTHF(1.5ml)を含有する実施例12の溶液に、室温でトリメチルアミンN−オキシド(0.08g)を加えた。室温で、THF(0.3ml)中、PVP−OsO4 1%(0.04g)を加えた。この混合物を50〜55℃まで20〜24時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、有機層をHCl水溶液で洗浄した後、濾別し、固体をTHFで抽出した。有機相を真空下での蒸発により濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーに付した。0.12gのエステトロール(I)が回収された。α−15,16−ジオールとβ−15,16−ジオールとの比は99/1である。
実施例16.3,17β−ジTHP−Δ−15−エストラジオールの製造
不活性雰囲気下、5℃で、3−17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオール(12.0g)を120mlのジクロロメタン(dichlormethane)、1.21gのモレキュラーシーブスに溶かした。次に、p−トルエンスルホン酸(0.41g)および16.2mLの3,4−ジヒドロ−2H−ピランを加えた。この反応混合物を室温で、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。次に、トリエチルアミン(1.2mL)を加えた。得られた混合物を濾別し、水で洗浄した(60mL 2回)。水相を60mlのジクロロメタン(dichlormethane)で抽出した。有機相を混合し、減圧下で蒸発させ、メタノールを加え(60ml×3回)、減圧下で蒸発させた。懸濁固体を濾過し、メタノールで洗浄し、50℃の炉で乾燥させ、17.13g(88モル%)を得た。
NMR-H1: 7.19 (1H); 6.84 (1H); 6.80 (1H); 5.97 (1H); 5.79 (1H); 5.39 (1H); 4.74 (1H); 4.37 (1H); 3.93 (2H); 3.58 (2H); 2.88 (2H); 2.27 (2H); 2.15-1.35 (19H); 0.89 (3H).
実施例17.エステトロール(I)の製造
3,17β−ジTHP−Δ−15−エストラジオール(2.5g)の撹拌溶液に、Fibrecat 3003(0.1g)、N−メチルモルホリンN−オキシド(0.8g)およびTHF(12.5ml)を室温で加えた。この混合物を室温で、HPLCにより反応の完了が見られるまで撹拌した。次に、この混合物を冷却し、濾別し、有機層をNaSO水溶液で洗浄した後、有機層をNaCl溶液で洗浄し、その後、減圧下で蒸発させた。メタノールを加え、減圧下で蒸発させた。
次いで、得られた混合物にpH4までp−トルエンスルホン酸を加え、この混合物を40℃で、HPLCにより反応の完了が見られるまで加熱した。
有機相を冷却し、減圧下で蒸発させ、イソプロピルエーテルを加え、減圧下で蒸発させた。懸濁固体を濾過し、イソプロピルエーテルで洗浄し、50℃の炉で乾燥させ、0.75g(3−17β−ジヒドロキシ−Δ−15−エストラジオールから40モル%)を得た。
15α,16α−ジオールと15β,16β−ジオールとの比は98/2である。

Claims (15)

  1. エステトロールまたはその塩もしくは溶媒和物の製造方法であって、
    a)式(IV)
    [式中、
    は、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ、
    は、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基である]
    の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、OsOまたは四酸化オスミウム源から選択される酸化剤と反応させて、エステトロールまたは式(II)
    (式中、Rは従前に定義した通りである)
    の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を生成すること;および
    b)工程a)で式(II)の化合物が得られる場合には、前記化合物を脱保護してエステトロールを生成すること
    を含んでなる、方法。
  2. 酸化剤が支持される、請求項1に記載の方法。
  3. 酸化剤がOsO−PVP(ポリ(4−ビニル−ピリジン))である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 補助酸化剤がさらに添加される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. トリメチルアミン−N−オキシドが補助酸化剤として添加される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 15β,16β−ジオール異性体が、15β,16β−ジオールと15α,16α−ジオールの合計に対して≦3%の量で得られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式(IV)の化合物のC17位のヒドロキシル基が、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択されるエーテルにより保護される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 式(IV)の化合物のC3位のヒドロキシル基がエステルにより保護される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 式(IV)の化合物のC3位のヒドロキシル基がベンゾイルエステルにより保護される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 式(IV)の化合物のC3位のヒドロキシル基がベンゾイルエステルより保護され、かつ、C17のヒドロキシル基が(1−ブトキシエチル)エーテルにより保護される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 式(IV)の化合物のC3位のヒドロキシル基がエーテルにより保護される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  12. 式(IV)の化合物のC3位のヒドロキシル基が、(1−ブトキシエチル)エーテル、テトラヒドロピラニル(THP)エーテル、フェニルチオメチル(PTM)エーテル、およびメトキシメチル(MOM)エーテルから選択されるエーテルにより保護される、請求項11に記載の方法。
  13. C3位およびC17位のヒドロキシル基が、アルコキシまたはアリールオキシアルキルエーテルまたはアルキルまたはアリールチオアルキルエーテルから独立に選択されるエーテルにより保護され、好ましくは、それらの両方がメトキシメチル(MOM)エーテルまたはテトラヒドロピラニル(THP)エーテルとして保護される、請求項11に記載のプロセス。
  14. 式(IV)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物:
    [式中、
    は、シリルエーテル、エーテル、エステル、カルバメートおよびカーボネートから選択されるヒドロキシル保護基であり、かつ
    は、エーテルから選択されるヒドロキシル保護基であり、
    ただし、Rがメチルである場合、Rは2−プロピニル基でも2−テトラヒドロピラニル基でもない]。
  15. から選択される請求項14に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
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