JP2016527291A - サッカリドワクチン製剤 - Google Patents

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Abstract

実質的に安定なワクチン組成物が提供され、その使用および製造のための方法が同様に提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、逆帯電した免疫原性分子を含むサッカリドワクチンのための改善された製剤に関する。
MAG-Tn3は、約11kDaのサイズの糖ペプチド抗原である。MAG-Tn3はヒト癌の相当な割合に存在し、免疫療法のための候補抗原であると考えられる。
免疫療法のために、MAG-Tn3は、免疫刺激剤と組み合わせることができる可能性がある。1つの例示的免疫刺激剤は、CpGオリゴデオキシヌクレオチドである。
ワクチン製造の際には、1種以上の免疫原性分子を含有する最終的な液体組成物が生成され、これは一般的に「最終バルク」と称される。保存の簡便性のために、最終バルクは乾燥させる(例えば、凍結乾燥により)ことができる。ときには凍結乾燥ケーキと称される乾燥されたワクチンは、水、バッファーなどの製薬上許容される溶媒中に再構成することができ、「最終容器(final container)」と称される場合がある。
MAG-Tn3/CpG最終バルクは、保存の簡便性のために、凍結乾燥されて最終生成物を生じることができる可能性がある。この最終生成物は、患者への投与のためにバッファー系またはアジュバント系中で再構成できる可能性がある。
ワクチン使用のための分子を製剤化する場合、組成物が安定であるかは確かでない。例えば、分子は、標準的な条件下で凝集または沈殿する場合がある。そのような問題が解決されるとしても、1種以上の成分の物理的または化学的分解が起こり得る。そのような制限を克服する組成物および方法が必要である。さらに、単独で製剤化される場合に安定である分子が、他の分子の存在下では共沈を受ける場合がある。
実質的に安定なワクチン組成物が提供され、該組成物は、アルギニン;対イオン;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含み;該組成物は、該組成物が水を含む場合に、(i) 該第1および第2の免疫原性分子が実質的に安定であり;かつ(ii) 得られる溶液のpHが8.5未満であることを特徴とする。特定の態様では、第1の免疫原性分子はMag-Tn3である。特定の態様では、第2の免疫原性分子はCpGオリゴヌクレオチドを含む。特定の態様では、アルギニンの一部が、アルギニン一塩酸塩の分子種として存在する。特定の態様では、組成物は乾燥される。特定の態様では、組成物は水を含む。
特定の態様では、組成物は、アジュバントであるMPLおよびQS21のうちの一方または両方を含むアジュバント組成物をさらに含む。特定の態様では、アジュバント組成物は、任意によりリポソームをさらに含む。
実質的に安定なワクチン組成物を作製するための方法もまた提供され、該方法は、アルギニン;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を組み合わせるステップを含み;このとき、上記の成分のうちの1種以上が水を含む液体と組み合わせられ、かつ該組成物のpHが8.5未満である。これらの方法により生成される組成物もまた提供される。
患者を治療するための方法が提供され、該方法は、本明細書中に開示される組成物をヒトに投与するステップを含む。使用もまた提供され、特に、実質的に安定なワクチン組成物に対する添加剤としてのアルギニン一塩酸塩の使用が提供される。
本明細書中に開示される組成物を含む容器もまた提供される。
別々に混合されるCpG7909およびMAG-Tn3製剤化手順のフローシートを示す図である。 標準的な製剤化フローシートを示す図である。第1ステップで用いられる賦形剤が表2に列記される。 4℃にて24時間後のグルタミン酸/リジンおよびグルタミン酸/アルギニンならびに1.0%w/v Empigen製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドである。矢印はペレット画分で見出されるバンドを強調し、破線および点線の円はバンド強度の増大を強調し;破線は点線よりも高い強度のものである。対照は10mMコハク酸塩pH5.0バッファー中に希釈されたMAG-Tn3 PBであり、これはMAG-Tn3単独に対する最も安定化作用の高いバッファー系であることが実証された。このゲルを、SilverExpressを用いて染色した。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分、MW:分子量マーカー。 4℃にて24時間後のTrisマレイン酸製剤のSDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。矢印はペレット画分で見出されるバンドを強調し、破線の円はバンド強度の増大を強調する。対照は10mMコハク酸塩pH5.0バッファー中に希釈されたMAG-Tn3 PBであり、これはMAG-Tn3単独に対する最も安定化作用の高いバッファー系であることが実証された。このゲルを、CpG7909を染めるSilver Questを用いて染色した。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分、MW:分子量マーカー。 アルギニンおよびヒスチジン製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。矢印はペレット画分で見出されるバンドを強調する。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分。 L-アルギニンスクリーニング製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分。15mM L-アルギニン製剤のペレット画分で、他の製剤でのものよりも若干強いバンド(上から円で囲まれている)が観察される。 15〜35mM L-アルギニン製剤のHPLC-SEC蛍光クロマトグラムオーバーレイを示す図である。 L-アルギニン一塩酸塩スクリーニング製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分。225mM〜300mM L-アルギニン一塩酸塩で、ペレット画分での若干強いバンドが観察される(上から円で囲まれている)。 100〜200mM L-アルギニン一塩酸塩製剤のHPLC-SEC蛍光クロマトグラムオーバーレイを示す図である。 用量範囲製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。矢印は、最も高いMAG-Tn3濃度のペレット画分での薄いバンドを示す。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分。MAG-Tn3精製バルク対照が、第2〜4ウェルにロードされている。 200〜900μg/mL MAG-Tn3製剤のサイズ排除プロフィールのクロマトグラムオーバーレイを示す図である。 用量範囲製剤の還元SDS-PAGEを示す図である。MAG-Tn3は約15kDaの主要バンドであり;下側のバンドは約8kDaでCpGに対応する。矢印は、比較的高いMAG-Tn3濃度のペレット画分での薄いバンドを示す。第18ウェルに存在するより高分子量のバンドは異常なものである。NC:遠心分離されていない、SN:上清、P:再懸濁されたペレット画分。 T0での、420、270、および180μg CpG7909/用量の模擬最終容器のHPLC-SECクロマトグラムオーバーレイを示す図である。 T0、25℃での4時間および24時間のインキュベーション後の420μg CpG7909/用量のMAG-Tn3製剤のHPLC-SECオーバーレイを示す図である。 24時間の25℃でのインキュベーション後の180、270、および420μg CpG/用量のMAG-Tn3製剤のHPLC-SECクロマトグラムを示す図である。
本出願人らは、溶液中でMAG-Tn3分子とCpG分子とを組み合わせることにより、即時的な共沈が引き起こされること、および凍結乾燥された乾燥ケーキを再構成する際に、標準的な賦形剤を用いる場合には可溶性でないことを発見した。
本発明者らは、驚くべきことに、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子と組み合わせた正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子と共に使用するための製剤中に、アルギニン一塩酸塩分子種の画分を含むアルギニンを含ませることにより、哺乳動物被験体での注射用ワクチンとしての使用に対して好適な安定性およびpHの組み合わせが可能になることを見出した。
アルギニンを含む組成物
本明細書中の特定の態様では、本開示は、アルギニン、対イオン、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子、および正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含むワクチン組成物を提供し;該組成物は、該組成物が製薬上許容される溶媒を含む場合に、(i) 該第1の免疫原性分子および該第2の免疫原性分子が実質的に安定であり;かつ(ii) pHが8.5未満であることを特徴とする。
特定の態様では、第1の免疫原性分子は炭水化物基を含む。特定の態様では、第1の免疫原性分子はTn基を含む。特定の態様では、第1の免疫原性分子はMAG-Tn3を含む。
本明細書中の特定の態様では、第2の免疫原性分子はオリゴヌクレオチドを含む。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドはCpG含有オリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドはCpG7909である。
アルギニン
アルギニンは、L型もしくはD型、またはそれら2種類の混合物として存在し得る。L-アルギニンは、L-(+)-アルギニン2-アミノ-5-グアニジノ吉草酸;2-アミノ-5-グアニジノバレレート;L-a-アミノ-d-グアニジノバレレートL-α-アミノ-δ-グアニジノ吉草酸;L-a-アミノ-d-グアニジノ吉草酸;N5-(アミノイミノメチル)-L-オルニチンL-α-アミノ-δ-グアニジノバレレート;5-[(アミノイミノメチル)アミノ]-L-ノルバリン(S)-2-アミノ-5-[(アミノイミノメチル)アミノ]ペンタン酸;(S)-2-アミノ-5-[(アミノイミノメチル)アミノ]-ペンタノエート(S)-2-アミノ-5-[(アミノイミノメチル)アミノ] ペンタノエート;および(S)-2-アミノ-5-[(アミノイミノメチル)アミノ]-ペンタン酸としても知られる。
アルギニンは、式Iにより表わされる:
Figure 2016527291
アルギニンは、塩酸または塩素以外の共役塩基を有する酸を用いて中和して、アルギニン・H-Xを生じることができ、このときXとしては、限定するものではないが、Cl-、SO4 -2、およびクエン酸イオンが挙げられる。
本明細書中の特定の態様では、アルギニンの分子種としては、アルギニン一塩酸塩が挙げられる。
アルギニン一塩酸塩は、L型もしくはD型、またはそれら2種類の混合物として存在し得る。これは、(2S)-2-アミノ-5-[(アミノイミノメチル)アミノ]ペンタン酸一塩酸塩、塩酸アルギニン、およびアルギニン・HClとしても知られる。アルギニン一塩酸塩は、塩酸を用いてアルギニンを中和することにより製造することができる。アルギニン一塩酸塩は、式IIにより表わされる:
Figure 2016527291
アルギニンおよびアルギニン・HClは、細胞培養培地および薬物開発で用いられている。アミノ酸アルギニンは、特にタンパク質再フォールディングのプロセスでの、タンパク質-タンパク質凝集からタンパク質を安定化させるための溶液添加物として用いられる。Baynes et al. (2005) Biochemistry 44:4919-4925;Tsumoto et al. (2004) Biotechnol. Prog. 20:1301-1308を参照されたい。Baynesの文献に説明される通り、凝集は、非生来型タンパク質コンホメーションの多量体状態への集合であり、多くの場合に、相分離および沈殿をもたらす。溶液中のアルギニンの存在は、以下の2種類のモデル系でのタンパク質-タンパク質会合反応を遅延させることが示された:モノクローナル抗体とのインスリンの会合およびフォールディング中間体と炭酸脱水酵素II型(CA)の凝集体との会合。アルギニンは、糖タンパク質をはじめとする治療用タンパク質を分解から保護するために、ヒト血清アルブミンの代替品として用いられた。Kim (2009) Biosci Biotechnol Biochem. 73:61-6を参照されたい。
溶液中のアルギニンは多塩基酸/塩基系であるので、4種類の異なるプロトン化/荷電状態を伴う。アルギニンの溶液は、異なるプロトン化状態を有する分子種の混合物を含むであろう。これらの状態は、以下の通りである:
1. 「H3B2+
Figure 2016527291
対イオンが2Cl-である場合、式IIIのプロトン化状態はアルギニン二塩酸塩として知られる。
2. 「H2B+
Figure 2016527291
対イオンがCl-である場合、式IVのプロトン化状態は、アルギニン一塩酸塩、またはアルギニン・HClとして知られる。
3. 「HB」
Figure 2016527291
式Vのプロトン化状態はアルギニン塩基として知られる。
4. 「B-
Figure 2016527291
対イオンがNa+またはK+である場合、式VIのプロトン化状態はアルギニン酸(argininate)ナトリウムまたはアルギニン酸カリウムとして知られる。
アルギニンのプロトン化/脱プロトン化は、以下のスキームに従って進行する。
Figure 2016527291
「免疫原性分子」とは、被験体での免疫応答を誘導することが可能な分子が意図される。
本明細書中の用語「分子」とは、限定するものではないが、高分子、オリゴマー分子、およびモノマーが挙げられる。「高分子」としては、高い相対分子量の多量体分子が意図され、その構造は、低い相対分子量の分子に実際にまたは概念上由来する単位の複数反復を原則的に含み、多糖、ポリペプチド、核酸など、ならびに脂質および大員環などの大きな分子量を有する非多量体分子が挙げられる。「オリゴマー分子」とは、中程度の相対分子量の分子が意図され、その構造は、比較的低い相対分子量の分子に実際にまたは概念上由来する単位を数個(small plurality)、原則的に含む。「モノマー」とは、多量体化を受けることができる分子が意図される。
分子の「正味の電荷」とは、所定のpHまたはpH範囲での分子上の正電荷と負電荷との算術的合計が意図される。「正味の正電荷」を有する分子は、所定のpHまたはpH範囲で過半数の正電荷を有するであろうし;同様に、「正味の負電荷」を有する分子は、所定のpHまたはpH範囲で過半数の負電荷を有するであろう。適用可能なpHまたはpH範囲は、関連する分子を含む溶液のpHまたはpH範囲である。
Tn基を含む炭水化物基
本明細書中の特定の態様では、本開示は、炭水化物基または炭水化物抗原を含む免疫原性分子を提供する。
「炭水化物基」とは、分子の別の部分に化学的に連結された分子の炭水化物部分が意図される。つまり、炭水化物基は、別の炭水化物分子またはタンパク質(またはペプチド)などの別の分類の分子に結合することができる。炭水化物基を有する例示的分子としては、オリゴ糖、多糖、糖ペプチド、糖タンパク質などが挙げられ、そのうちの一部は炭水化物抗原であり得る。
「炭水化物抗原」とは、細菌莢膜多糖、腫瘍関連炭水化物抗原などをはじめとするサッカリドに基づく抗原が意図される。
本明細書中の特定の態様では、本開示は、Tn基を含む免疫原性分子を提供する。
「Tn」または「Tn基」とは、Morrelli (2011) Eur. J. Org. Chem. 5723-5777に記載される通りのグリコフォリン(glycophorin)ファミリーのメンバーが意図される。Tnは、グリコシド結合を介してセリンまたはトレオニン残基のいずれかに連結されるN-アセチルガラクトサミンとして記載される場合がある。つまり、Tnを含む分子は、1個以上のTn基を有するであろう。
本明細書中の特定の態様では、本開示は、MAG-Tn3を含む免疫原性分子を提供する。
「MAG-Tn3」は、欧州特許出願公開第2500033号A1に開示され、以下の構造を有する:
Figure 2016527291
つまり、MAG-Tn3は、式IVの炭水化物ペプチドコンジュゲートB4-T4-Mに該当する:
Figure 2016527291
[式中、
・KKKは樹状ポリリジンコア(M)であり、
・Tは以下の配列を有するペプチド性CD4+ T細胞エピトープであり:QYIKANSKFIGITEL、
・Tn3は以下の配列を有するトリTn B細胞エピトープである:(α-GalNAc)Ser-(α-GalNAc)Thr-(α-GalNAc)Thr。]
MAG-Tn3は、9.8〜10の推定pIを有し、したがって、中性pHで強く正に帯電する。
オリゴヌクレオチド
「免疫刺激性オリゴヌクレオチド」とは、免疫刺激性DNAモチーフを含むオリゴヌクレオチドが意図される。免疫刺激性DNAモチーフは、Sato et al. (1996) Science 273:352に記載されている。例示的な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、主にTh1応答を誘導する、CpG含有オリゴヌクレオチド(そのうちのCpGジヌクレオチドはメチル化されていない)が挙げられる。そのようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、国際公開第96/02555号、同第99/33488号ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載されている。
例示的なCpG含有オリゴヌクレオチドとしては、以下の具体的な配列が挙げられる:
Figure 2016527291
CpG7909は、約8kDaのホスホロチオエート骨格を有する合成一本鎖24merオリゴデオキシヌクレオチドであり、中性pHで23の負電荷を有する。
「実質的に安定である」との用語は、溶質が溶液から析出しない溶液を説明することが意図される。すなわち、対象となる溶質が溶液中に溶解された後に一定の時間が経過した時点で(T1)、溶質のうちの70%超が溶液中に留まり、すなわち、溶質のうちの71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%またはそれ以上が溶液中に留まるであろう。
一定の時間であるT1は、1時間より長いいずれかの時間であり得、すなわち、1、2、3、5、10、20、20、30、50、75、100、150、200、250、500、750、1000、1500時間またはそれ以上であり得る。
安定性は、例えば、ろ過時の減量を測定することによる、ペレット画分中の対象となる溶質の存在を決定する(SDS-PAGEまたは同等な方法により)ことによる、または対象となる溶質に関する凝集プロフィールを決定することによるものをはじめとする、多数の方法により評価することができる。
本明細書中の特定の態様では、組成物は、該組成物が水を含む場合に、組成物のpHが、上限pHが8.5未満;8.4未満;8.3未満;8.2未満;8.1未満;8.0未満;7.9未満;7.8未満;7.7未満;7.6未満;または7.5未満であり、下限が7.4超;7.5超;7.6超;7.7超;7.8超;7.9超;8.0超;8.1超;8.2超;8.3超;または8.4超である範囲内であることを特徴とする。本明細書中の特定の態様では、pHは7.4〜8.5(包含的);7.5〜8.5(包含的);7.6〜8.3(包含的);7.7〜8.3(包含的);7.8〜8.3(包含的);7.9〜8.3(包含的);8.0〜8.3(包含的);8.1〜8.3(包含的)である。
組成物の所望のpHを達成するための方法としては、塩酸などの好適な酸を用いてアルギニン溶液を中和すること、または必要量のアルギニンとアルギニン・H-Xとを併せて、溶液中の所望のpHをつくり出すことが挙げられる。特定の態様では、アルギニン・H-Xはアルギニン一塩酸塩である。所望のpHを得るために必要なアルギニン:アルギニン一塩酸塩の比率は、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式などの公知の方法を用いて容易に算出することができ、このとき、
pH = pKα + log([脱プロトン化Arg]/[プロトン化Arg]) 式1
である。
例えば、チャート1は、アルギニン:アルギニン-HClの様々なモル比から得られる計算上のpHを説明する。
Figure 2016527291
理解されるであろう通り、作製された溶液の実際のpHは、pHメーターなどの慣用の手段により確認および調整することができる。本明細書中の特定の態様では、実際のpHは、計算上のpH値から±0.2以下のpH単位であるか、または±0.2以下のpH単位だけ計算上のpH範囲の外側である。
本明細書中の特定の態様では、組成物は、該組成物が水を含む場合に、アルギニンが以下の分子種を含むことを特徴とする:
Figure 2016527291
および
Figure 2016527291
特定の態様では、分子種(a)と分子種(b)とのモル比は、7:220(0.032)〜71:220(0.323)である。特定の態様では、分子種(a)と分子種(b)とのモル比は、1:11(0.091)〜1:5(0.200)である。特定の態様では、式Vは少なくとも14mMであり、式IVの分子種(b)に対する式Vの分子種(a)のモル比は、(a) 0.091〜0.200;(b) 0.032〜0.323;(c) 0.041〜0.323;(d) 0.051〜0.256;(e) 0.064〜0.256;および(f) 0.081〜0.204からなる群より選択される範囲内である。
凍結保護剤
本明細書中の特定の態様では、組成物は凍結保護剤を含む。
「凍結保護剤」とは、凍結乾燥(freeze dryingまたはlyophilization)中に直面するものなどの凍結条件から生体分子を保護するために用いられる物質が意図される。例示的な凍結保護剤としては、サッカリドであるスクロースなどの炭水化物、マンニトールなどの糖アルコール、ポリソルベートなどの界面活性剤、ならびにグリセロールおよびジメチルスルホキシドが挙げられる。例示的な炭水化物としては、単糖および二糖が挙げられる。例示的な二糖としては、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
アジュバント
本明細書中の特定の態様では、組成物および方法はまた、1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物も含む。免疫応答を惹起する目的での、ヒト被験体などの被験体への投与のために好適な免疫原性組成物の文脈では、アジュバント組成物は、Th1に偏った免疫応答を惹起するために選択される。アジュバント組成物は、典型的に、組成物が投与される被験体、または被験体の集団でのTh1に偏った免疫応答を強化するために選択される。
「Th1」型免疫応答は、IL-2およびIFN-γを産生するCD4+ Tヘルパー細胞の誘導により特徴付けられる。対照的に、「Th2」型免疫応答は、IL-4、IL-5、およびIL-13を産生するCD4+ヘルパー細胞の誘導により特徴付けられる。
TLR4モジュレーター
1つの好適なアジュバントは、TLR4モジュレーターである。一例は、リピドAの無毒誘導体であり、モノホスホリルリピドAまたはより詳細には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)である。3D-MPLは、商品名MPLとしてGlaxoSmithKline Biologicals N.A.により販売され、本文書全体を通してMPLまたは3D-MPLと称される。例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照されたい。3D-MPLは主に、IFN-γ(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を促進する。3D-MPLは、英国特許出願公開第2220211号Aに開示される方法に従って作製できる。化学的には、これは、3、4、5または6個のアシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。本発明の組成物では、小粒子3D-MPLを用いることができる。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターを通して滅菌ろ過することができる粒径を有する。そのような調製物は、国際公開第94/21292号に記載されている。
他の実施形態では、リポ多糖は、米国特許第6,005,099号および欧州特許第0 729 473号B1に記載される通りのβ(1-6)グルコサミン二糖であり得る。当業者は、これらの参照文献の教示に基づいて、3D-MPLなどの種々のリポ多糖を作製することが容易にできるであろう。それでもなお、これらの参照文献は、参照により本明細書中に組み入れられる。上記の免疫刺激剤(LPSまたはMPLまたは3D-MPLのものと構造が類似である)に加えて、MPLの上記構造に対して下位部分であるアシル化単糖および二糖誘導体もまた、好適なアジュバントである。他の実施形態では、アジュバントはリピドAの合成誘導体であり、そのうちの一部はTLR-4アゴニストとして記載され、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
OM174(2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート(2-deoxy-6-o-[2-deoxy-2-[(R)-3-dodecanoyloxytetra-decanoylamino]-4-o-phosphono-β-D-glucopyranosyl]-2-[(R)-3-hydroxytetradecanoylamino]- α-D-glucopyranosyldihydrogenphosphate))、(国際公開第95/14026号);
OM 294 DP ((3S,9R)-3--[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲノホスフェート)((3S,9R)-3--[(R)-dodecanoyloxytetradecanoylamino]-4-oxo-5-aza-9(R)-[(R)-3-hydroxytetradecanoylamino]decan-1,10-diol,1,10-bis(dihydrogenophos-phate)))(国際公開第99/64301号および同第00/0462号);および
OM 197 MP-Ac DP ((3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲノホスフェート10-(6-アミノヘキサノエート)((3S-,9R)-3-[(R)-dodecanoyloxytetradecanoylamino]-4-oxo-5-aza-9-[(R)-3-hydroxytetradecanoylamino] decan-1,10-diol,1-dihydrogenophosphate 10-(6-aminohexanoate)))(国際公開第01/46127号)。
サポニンアジュバント
それだけで、または3D-MPL、もしくは本明細書中に記載される別のアジュバントと組み合わせて、本明細書中の免疫原性組成物中で用いることができる他のアジュバントは、QS21などのサポニンである。
サポニンは、Lacaille-Dubois, M and Wagner H.(1996. A review of the biological and pharmacological activities of saponins. Phytomedicine vol 2 pp 363-386)に教示されている。サポニンは、植物および海生動物界に広く分布しているステロイドまたはトリテルペングリコシドである。サポニンは、振盪時に泡立つ水中のコロイド溶液を形成すること、およびコレステロールを沈殿させることで知られている。サポニンが細胞膜の近傍にある場合、それらは膜中に孔様構造をつくり出し、これが膜を破裂させる。赤血球の溶血はこの現象の一例であり、これはすべてではないが一部のサポニンの特性である。
サポニンは、全身投与のためのワクチンでのアジュバントとして知られる。個々のサポニンのアジュバントおよび溶血活性は、当技術分野で広範囲に研究されてきた(Lacaille-Dubois and Wagner、上掲)。例えば、Quil A(南米の樹木であるシャボンノキ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮に由来する)、およびその画分は、米国特許第5,057,540号および「Saponins as vaccine adjuvants」, Kensil, C. R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55;ならびに欧州特許第0 362 279号B1に記載されている。Quil Aの画分を含む免疫刺激性複合体(Immune Stimulating Complexes;ISCOMS)と名付けられた粒子状構造体は溶血性であり、ワクチンの製造で用いられてきた(Morein, B.、欧州特許第0 109 942号B1;国際公開第96/11711号;同第96/33739号)。溶血性サポニンであるQS21およびQS17(Quil AのHPLC精製画分)は強力な全身性アジュバントとして記載されており、それらの製造方法は、米国特許第5,057,540号および欧州特許第0 362 279号B1(参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。全身性ワクチン接種試験で用いられてきた他のサポニンとしては、ジプソフィラ(Gypsophila)およびサポナリア(Saponaria)などの他の植物種由来のものが挙げられる(Bomford et al., Vaccine, 10(9):572-577, 1992)。
QS21およびコレステロールを含むそのような製剤は、抗原と共に製剤化した場合に、上首尾のTh1刺激性アジュバントであることが示された。
他の分子
特定の態様では、1種以上の他の分子を本明細書中の組成物中に含めることができ、そのような分子としては、ポリソルベート80(TweenTM80、ICI Americas社から入手可能)などの非イオン性界面活性剤および乳化剤、賦形剤、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の緩衝剤などが挙げられる。
液体
特定の態様では、本明細書中の組成物は水を含む。特定の態様では、アルギニンは、少なくとも15mM、すなわち、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40mM、またはそれ以上の濃度で存在する。特定の態様では、アルギニン一塩酸塩は、少なくとも45mM、すなわち、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300mM、またはそれ以上の濃度で存在する。
最終バルク
特定の態様では、組成物は水を含み、第1の免疫原性分子はMAG-Tn3を含み、900μg/mL以下の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、第1の免疫原性分子はMAG-Tn3を含み、60〜900μg/mL(包含的)の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、オリゴヌクレオチドが1140μg/mL未満の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、オリゴヌクレオチドが760〜1140μg/mL(包含的)の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、オリゴヌクレオチドが950μg/mLの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、アルギニンが25mMの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、アルギニン一塩酸塩が187.5mMの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は、水、ならびに(i) 60〜900μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 950μg/mL CpG7909(配列番号4);(iii) 25mMアルギニン;(iv) 187.5mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.108%w/vポリソルベート80;および(vi) 5%w/vスクロースを含む。
乾燥ケーキ
特定の態様では、組成物は乾燥され、アルギニン:アルギニン一塩酸塩の比率は20:150(mol:mol)または1.74:15.8(wt:wt)である。特定の態様では、乾燥組成物は、380〜570μg CpG7909(配列番号4)を含む。特定の態様では、乾燥組成物は、 (i) 30〜450μg MAG-Tn3(包含的);(ii) 475μg CpG7909(配列番号4);(iii) 0.87mgアルギニン;(iv) 7.9mgアルギニン一塩酸塩;(v) 0.216mgポリソルベート80;および(vi) 10mgスクロースを含む。
最終容器
特定の態様では、組成物は水を含み、第1の免疫原性分子はMAG-Tn3を含み、720μg/mL未満の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、第1の免疫原性分子はMAG-Tn3を含み、48〜720μg/mL(包含的)の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、オリゴヌクレオチドが608〜912μg/mL(包含的)の濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、オリゴヌクレオチドが760μg/mLの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、アルギニンが20mMの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は水を含み、アルギニン一塩酸塩が150mMの濃度で存在する。特定の態様では、組成物は、水、ならびに(i) 48〜720μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 760μg/mL CpG7909(配列番号4);(iii) 20mMアルギニン;(iv) 150mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.0864%w/vポリソルベート80;および(vi) 4%w/vスクロースを含む。特定の態様では、組成物は、水、ならびに(i) 48〜720μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 760μg/mL CpG 7909(配列番号4);(iii) 20mMアルギニン;(iv) 150mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.0864%w/vポリソルベート80;および(vi) 4%w/vスクロース;(vii) 150mM NaCl;(viii) 8mM KH2PO4および2mM Na2HPO4;(ix) 50μL/mL MPL;(x) 100μg/mLリポソーム;ならびに(xi) 100μg/mL QS21を含む。
方法
特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、その成分を単一ステップで、または数ステップで組み合わせることを含む。特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、アルギニン;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含む成分を組み合わせる1つのステップを含む。特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、アルギニン;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含む成分を組み合わせる複数のステップを含む。特定の態様では、アルギニンは、対イオンを有する分子種を含む。特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、アルギニン;アルギニン一塩酸塩;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含む成分を組み合わせる1つのステップを含む。特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、アルギニン;アルギニン一塩酸塩;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子を含む成分を組み合わせる複数のステップを含む。特定の態様では、本明細書中の実質的に安定なワクチン組成物を作製する方法が提供され、該方法は、アルギニン;アルギニン一塩酸塩;Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する第1の免疫原性分子;およびオリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する第2の免疫原性分子の成分を組み合わせる複数のステップを含む。これらの成分のうちの1種以上が、水を含む液体と組み合わせられる。標準的な方法を、これらの成分を組み合わせるために利用することができる。典型的には、アルギニンおよびアルギニン一塩酸塩分子種を含むストック溶液が調製され、これが他の成分のストック溶液と組み合わせられる。あるいは、アルギニン一塩酸塩を、塩酸を用いてアルギニンを中和することにより調製することができる。異なる対イオンが望まれる場合、異なる酸を用いる同様のアプローチを用いることができる。
例えば、免疫原性分子が、それぞれMAG-Tn3およびCpGである場合、以下の製剤化プロトコールに従うことができる:500mM L-アルギニンおよび1M L-アルギニン一塩酸塩のストック溶液を用いて、注射用水(Thermo-Fisher社から入手可能)中の5%スクロース溶液に31.3mM L-アルギニンおよび187.5mM L-アルギニン一塩酸塩を添加することにより、製剤を作製することができる。MAG-Tn3およびCpGは両方とも市販されており、これらの分子のストック溶液を調製するための製造業者のプロトコールに従うことができる。次に、CpG7909(Agilent社から入手可能)を、1050μg/mLの濃度で溶液に添加する。続いて、溶液を150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。Lonza Braine社から得られるMAG-Tn3を、次に、250〜1125μg/mLの範囲の濃度で溶液に添加する。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌する。次に、製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH6.1の溶液中に1.25倍希釈する。実施例3および4を参照されたい。
特定の態様では、組成物を乾燥させるための方法が提供される。凍結乾燥(freeze drying、lyophilization)などをはじめとする標準的な技術を、組成物を乾燥させるために用いることができる。標準的な凍結乾燥プロトコールを用いることができる。一態様では、64時間の凍結乾燥サイクルを用い、このとき、凍結サイクルの一次乾燥相中は−34.5℃未満の生成物温度は避ける。例えば、条件は、−52℃にて1時間の最初の凍結、それに続く一次乾燥を含むことができ、このとき、2.5〜3.5時間で温度を−27℃〜−37℃まで上昇させる。続いて、温度を、約27〜37時間維持することができる。一次乾燥温度を、次に、4.25〜5.75時間にわたって、−23℃〜−33℃まで上昇させることができる。この温度を、4.25〜5.75時間維持することができる。すべての一次乾燥は、45μbar(34mTorr)のチャンバー圧を用いて行なうことができる。二次乾燥を、15〜75μbar(11〜56mTorr)のチャンバー圧にて5.4〜6.6時間に32〜42℃までの温度上昇を伴って開始し、10〜45μbar(8〜34mTorr)の圧力で10.8〜13.2時間維持することができる。
特定の態様では、水を含む液体と組成物を組み合わせるための方法が提供され、このとき、液体は1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物をさらに含み、アジュバントのうちの少なくとも1種は、MPLおよびQS21からなる群より選択される。特定の態様では、乾燥組成物を再構成するための方法が提供され、該方法は、水を含む液体と乾燥組成物を組み合わせるステップを含み、このとき、液体は、MPLおよびQS21からなる群より選択される1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物をさらに含む。特定の態様では、アジュバントは、リポソームをさらに含む。
特定の態様では、上記の方法に従う生成物が提供される。
特定の態様では、本明細書中の組成物は、1個以上の容器中に存在することができる。例えば、第1の容器がアルギニンならびに第1および第2の免疫原性分子を含むことができ、第2の容器がMPLおよびQS21からなる群より選択される1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物を含むことができる。あるいは、1つの容器が、アルギニン、第1および第2の免疫原性分子、ならびにMPLおよびQS21からなる群より選択される1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物を含むことができる。特定の態様では、本明細書中の組成物を含む1個以上の容器を含むキットが提供される。
特定の態様では、本明細書中に記載される組成物を投与するステップを含む、患者を治療するための方法が提供される。特定の態様では、ヒトに組成物を投与するステップを含む、免疫原性応答を誘導する方法が提供される。投与は、注入によるものであり得る。
一部の態様では、ワクチン組成物を安定化するための添加剤としてのアルギニン一塩酸塩の使用が提供される。
一部の態様では、本明細書中に提供される組成物は、免疫応答の誘導での使用のためなどの、医薬での使用のためのものである。一部の態様では、組成物は癌の治療での使用のためのものであり、このとき、第1の免疫原性分子はMag-Tn3である。一部の態様では、組成物は乳癌の治療での使用のためのものであり、このとき、第1の免疫原性分子はMag-Tn3である。
特に説明しない限り、本明細書中で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数の参照物を含む。同様に、「or」との単語は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、「and」を含むことが意図される。「複数の」との用語は、2個以上を意味する。また、溶液成分濃度またはその比率などの物質の濃度またはレベル、ならびに温度、圧力およびサイクル時間などの反応条件に関して与えられる数値限定は、近似的であることが意図される。つまり、pHが少なくともpH7.5であると示される場合、pHは少なくともおおよそ(または「約」もしくは「≒」)pH7.5、すなわち、少なくとも7.5±0.2 pH単位であると理解されることが意図される。
本発明は、以下の非限定的な図面および実施例を参照してさらに説明される。
実施例1. 賦形剤スクリーニング:Mag-Tn3およびCpG7909に対して好適なバッファー系の決定
MAG-Tn3抗原の目標用量は、500μg/用量に設定された。免疫刺激剤CpG7909の存在下では、MAG-Tn3抗原は即座に共沈する。この抗原-免疫刺激剤の組み合わせを可溶化することを目的として、多数のバッファー系を試した。本報告は、MAG-Tn3およびCpG7909を可溶化する試みで試された多数のバッファーと賦形剤との組み合わせを詳述する。
MAG-Tn3は、約11kDaのサイズの糖ペプチド抗原である。これは9.8〜10の推定上のpIを有し、したがって、中性pHでは強く正に帯電する。この抗原は、AS01Bとして知られるアジュバント系中で再構成される凍結乾燥ワクチンとして製剤化するために、免疫刺激剤CpG7909と組み合わせられるものである。CpG7909は、約8kDaのホスホロチオエート骨格を有する合成一本鎖24merオリゴデオキシヌクレオチドであり、中性pHにて23個の負電荷を有する。賦形剤を添加しないこれらの2種類の分子の組み合わせは、即時的な共沈を引き起こす。
MAG-Tn3およびCpG7909を可溶化する当初の試みは、最終バルクレベルで行なわれ、AS01Bバッファー系との適合性は評価されなかった。これらの実験は、最終バルク中の18.75mMの濃度でのヒスチジンの添加が可溶性製剤をもたらしたことを示した。この凍結乾燥最終生成物がアジュバントバッファー系中で再構成された場合、製剤はもはや可溶性ではなく、共沈の問題はまったく解決していなかったことが見出された。
本報告に記載される実験の目的は、MAG-Tn3およびCpG7909の両方を、AS01Bバッファー中で再構成する場合に可溶性ワクチン製剤中に一緒に製剤化できる方法を見出すことであった。以前の実験により、アジュバントバッファー中での製剤安定性を開始時から評価する必要性が実証されており、本報告に記載される実験はそのように行なわれた。
実験手順
製剤の調製:2種類の製剤化を行なった。図1に示される第1のタイプの製剤。MAG-Tn3およびCpG7909は別々に製剤化され、続いて組み合わせられる。賦形剤Aを、表1に示される様々な濃度で注射用水(Thermo-Fisher社)中の5%スクロース溶液に添加し、続いて、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。Lonza Braine社から入手されるMAG-Tn3を、次に、500μgの最終用量のために2500μg/mLの濃度で溶液に添加する。この溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。別の容器中で、賦形剤Bを注射用水中の5%スクロース溶液に添加し、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。次に、CpG7909(Agilent社)を2100μg/mLの濃度でこの溶液に添加する。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。2種類の溶液であるMAG-Tn3混合物およびCpG混合物を、次に1:1比率で組み合わせ、続いて、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌する。次に、この製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH6.1(AS01Bバッファー)の溶液中に1.25倍希釈する。続いて、製剤を、分析する前に4℃にて24時間インキュベートする。
Figure 2016527291
製剤化のために用いられる第2の方法は、標準的フローシート(図2)であった。すべての賦形剤(リストについては表2を参照されたい)を、様々な濃度で注射用水中の5%スクロース溶液に添加する。次に、CpG7909を1050μg/mLの濃度で溶液に添加する。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌した。MAG-Tn3を、次に、500μgの最終用量のために1250μg/mLの濃度で溶液に添加する。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌した。次に、この製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH6.1の溶液中に1.25倍希釈した。続いて、すべての製剤を、分析する前に4℃にて24時間インキュベートした。
Figure 2016527291
すべてのサンプルを、最初に目視検査した。何らかの沈殿または溶液の不透明性に気付いたら、他の試験は行わなかった。製剤が透明である場合、BCA、HPLC-SEC、およびSDS-PAGEなどの追加の分析が行なわれた。BCAは、製剤中のMAG-Tn3含有量を評価するために行なった。標準的なPierce社のプロトコールおよび試薬を用いた。サイズ排除クロマトグラフィーは、TSKgel G3000PWxlカラム(Tosoh Bioscience社)および200mM NaClの移動相(EMD社)を用いて、得られた製剤の凝集プロフィールを評価するために、蛍光検出器(Waters社)を取り付けたWaters 2996 HPLCを用いて行なった。SDS-PAGE分析は、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen社)およびMESランニングバッファー(Invitrogen社)を用いて行なった。Invitrogen社のSilverExpressまたはSilverQuestを用いてゲルを染色した。遠心分離したサンプルおよび遠心分離していないサンプルを、製剤中の沈殿の存在を評価するためにゲル上で泳動した。遠心分離は18000gにて15分間行なった。上清を抜き出し、その後、ペレットを1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen社)に再懸濁し、両方の画分をゲル上で泳動した。pH(Orion社)、および目視検査分析も行なった。
大部分の製剤は上首尾でなく、使用した賦形剤は、多くの場合には24時間のインキュベーションを開始することなく、目視検査に基づいて除外された。視覚的側面の分析の結果は、表3に見ることができる。
Figure 2016527291
沈殿しなかった製剤に関して、4℃にて24時間のインキュベーション後に分析を行なった。SDS-PAGEの結果は、目視検査で沈殿が観察されなかったが、大部分の製剤はわずかに沈殿していた(図3で矢印により強調されている)ことを示した。ペレット画分にバンドが存在するが、上清画分でのバンド強度の対応する減少を確認するのに十分な物質量ではないようである。
点線または破線のいずれかの円で囲まれる部分は、これが対照ではわずかのみ存在する分解バンドの強度の増大を強調するので、潜在的にさらに関心が持たれる。10mMリジンまたは10mMアルギニンのいずれかを含む10mMグルタミン酸は、対照と同様の分解バンドのバンド強度を有するように見える。これは、これらの製剤の両方が約8のpHを有し、一方で他の非界面活性剤製剤は9超の非常に高いpHを有するので、間接的にはpHによるものであり得る。このことは、2種類のTris-マレイン酸製剤が分解バンドをほとんど示さず、一方で高pHのTris製剤が非常に強くかつ良好に画定される分解バンドを有することによりさらに確認される。図4を参照されたい。
MAG-Tn3含有量を決定するためのBCAアッセイからの結果は、期待できるものではなかった。表4を参照されたい。BCAアッセイは、用いたそれぞれのバッファー系に最適化されなかったことに留意すべきである。このことにもかかわらず、有用なデータが抽出できる。興味深いことには、Empigen製剤を除いて、MAG-Tn3含有量の最も低い損失を有する2種類の製剤は、50mMアルギニンまたは50mMリジンのいずれかを含む10mMグルタミン酸である。これらの2種類の製剤は、約9.5のpH、およびSDS-PAGEによる濃い分解バンドを有する。Tris-マレイン酸製剤は、SDS-PAGEではいくぶんか有望であったが、BCAでは見込みがない。これらの2種類の製剤について、約50%の損失が観察される。
Figure 2016527291
pHが低いが、十分な回収率を示すEmpigen製剤は、サイズ排除クロマトグラムでは大きな高分子量凝集体を有する(データは示さず)。この凝集体は、ピーク面積により約11%を示す。
MAG-Tn3およびCpG7909を可溶化するための試みで多数の製剤が試されたが、完全に上首尾のものはなかった。MAG-Tn3は高pHで最も可溶性であるようであるが、8.5超のpHは糖を切断することが知られている。MAG-Tn3は抗原部分であるTn糖を含むグリコールペプチドであるので、高pHは避けなければならない。より高いpHでは、SDS-PAGEによる分解バンドが増加し、このバンドの正体はまだ決定されていないが、脱グリコシル化MAG-Tn3またはMAGであり得る。
興味深いことには、等しい濃度のアニオン性バッファーおよびカチオン性バッファーが用いられる場合に、これらは、10mMおよび50mMのグルタミン酸およびリジン製剤で38.6%および33.2%の同じ範囲のMAG-Tn3損失を示す。この場合はリジンである過剰量のカチオン性バッファーを用いる場合、タンパク質損失はずっと少なく、9.7%である。グルタミン酸-アルギニンの組み合わせにおいて、同様の傾向が見て取れる。製剤不安定性について考えられる理由は、競合イオンの存在であり得る。グルタミン酸がアルギニンまたはリジンと相互作用しているならば、これは、CpGと相互作用しかつこれを安定化させ、MAG-Tn3との共沈を防止する溶液中で遊離のアルギニンまたはリジンの量を減少させるであろう。以後の実験は、この可能性を調査する。
実施例2. ヒスチジン対アルギニン:より低い用量標的でのバッファー系の決定
MAG-Tn3抗原の目標用量は、500μg/用量に設定された。免疫刺激剤CpG7909の存在下では、MAG-Tn3抗原は即座に共沈する。この抗原-免疫刺激剤の組み合わせを可溶化することを目的として、多数のバッファー系を試したが、適切なものは見出されなかった。しかしながら、ヒスチジンおよびアルギニンが、調査された系のうち、最も期待できるバッファーであった。本報告では、より低い用量でどのバッファー系がよりよく機能するかを決定するために行なわれた実験を記載する。本実験から得られた本質的な結果は、抗原-免疫刺激剤の組み合わせは可溶性溶液として製剤化できるが、抗原の目標用量は再考の必要があることであった。
MAG-Tn3抗原は、共凍結乾燥として840μg/mLの濃度の免疫刺激剤CpG7909の存在下にて500μg/用量で製剤化する予定であった。バッファー適合性試験が以前の実験で行なわれ、このとき、CpG溶液へのMAG-Tn3の添加時に溶液が沈殿したので、MAG-Tn3はCpG7909とは非適合性であることが明らかに示された。MAG-Tn3は9.8〜10の理論上のpIを有し;したがって、比較的低いpHでは強く正に帯電する。また、CpGは、比較的低いpHで23個の負電荷を有する。したがって、2種類の成分を組み合わせた場合、共沈が生じる。これを解決するための試みでは、多数のバッファー系が試され、アルギニンおよびヒスチジンが沈殿を防ぐのにいくぶんかは役立つようであったが、完全ではなかった。
本文書の目的は、免疫刺激剤CpG7909の存在下でMAG-Tn3抗原の可溶化を助けるために、ヒスチジンおよびアルギニンを用いて行なわれた実験を記載することである。
本報告中の実験では、アルギニンおよびヒスチジンの種々の濃度を、100μgのその中間的用量に設定されたMAG-Tn3用量を用いてスクリーニングし、続いて、これらのサンプルの安定性をモニタリングした。
実験手順
製剤の調製:アルギニン(Sigma-Aldrich社)またはヒスチジン(Sigma-Aldrich社)を、注射用水(Thermo-Fisher社)中の5%スクロース溶液に、15.2、31.3、62.5、および125mMの濃度で添加した。次に、CpG7909(Agilent社)を、1050μg/mLの濃度で溶液に加えた。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌した。次に、Lonza Braine社から入手したMAG-Tn3を、100μgの最終用量のために250μg/mLの濃度で溶液に添加した。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌した。次に、製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH 6.1の溶液中に1.25倍希釈した。続いて、すべての製剤を、分析する前に4℃にて24時間インキュベートした。
分析:0.2μmシリンジフィルターを用いるろ過の前後の製剤中のMAG-Tn3含有量を評価するためにRP-HPLCを行なった。UV検出器を取り付けたWaters 2996 HPLCを、Poros R 1/10カラム(Applied Biosciences社)および0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜100%アセトニトリル勾配と共に用いた。TSKgel G3000PWxlカラム(Tosoh Bioscience LLC)および200mM NaClの移動相を用いて、得られた製剤の凝集プロフィールを評価するために、蛍光検出器(Waters社)を取り付けたWaters 2996 HPLCを用いて、サイズ排除クロマトグラフィーを行なった。SDS-PAGE分析は、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen社)およびMESランニングバッファー(Invitrogen社)を用いて行なった。Invitrogen社のSilverQuestを用いて、ゲルを染色した。遠心分離したサンプルおよび遠心分離していないサンプルを、製剤中の沈殿の存在を評価するためにゲル上で泳動した。遠心分離は18000gにて15分間行なった。上清を抜き出し、その後、ペレットを1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen社)に再懸濁し、両方の画分をゲル上で泳動した。pH(Orion社)、および目視検査分析も行なった。
4℃での保存時には、すべての製剤が透明であり、粒子を含まなかった。しかしながら、24時間のインキュベーション後、ヒスチジン溶液はすべて、目視検査によりわずかに濁っていることが見出された。pH測定値(表5)は、生成物の安定性に関していかなる情報も提供しなかった;しかしながら、ヒスチジン製剤は、同じ濃度を有するアルギニン製剤よりも狭いpH範囲を有することに留意すべきである。
Figure 2016527291
図5に見て取れるSDS-PAGE結果は、目視で観察された結果を確認する。ヒスチジン製剤はすべて、ペレット画分中に薄いバンドを含み、一方で、アルギニン製剤は含まない。
HPLC-SEC結果は、いかなる追加データも提供しなかった。すべての製剤はモノマー性であることが見出され、保持時間の著しいシフトは観察されず;つまり、可溶性のままであるMAG-Tn3はモノマー型であることが示唆される。
Figure 2016527291
表6に見て取れるRP-HPLC結果は、SDS-PAGEから得られた結果を確認した。ヒスチジン製剤はすべて、不溶性凝集体の結果として、ろ過後におおよそ33%の含有量減少を示す。ヒスチジン製剤に伴うMAG-Tn3含有量の著明な損失により、アルギニンが最適なバッファー系として選択された。
結果
ヒスチジンバッファー系とアルギニンバッファー系の両方が、免疫刺激剤CpG7909の存在下での抗原MAG-Tn3の可溶化を助ける。これらのバッファー系のカチオン性の性質が、MAG-Tn3抗原との共沈を防ぎながら、アニオン性CpGの安定化を助ける。ヒスチジンの比較的低いpKaは、比較的低いpHを有する製剤をもたらすので、ヒスチジンをより好ましいバッファーとするであろう;しかしながら、2つの主要成分の可溶化においてアルギニンほどは有効でなく、これはRP-HPLCによりアッセイした場合の抗原含有量の33%の損失により実証された。
アルギニンの側鎖は、12.48のpKaを有し、これは、最終的な溶液のpHを非常に高く、pH8〜10にする。このバッファー系では、MAG-Tn3の長期安定性は妨げられる場合があり、これは、MAG-Tn3が糖ペプチドであり、かつ高pHは脱グリコシル化を生じさせやすいからである。抗原の安定性に関してより好ましいであろう範囲までpHを低下させるために、製剤に追加のバッファー成分を加える必要があるであろう。
追加のバッファー成分の選択は、実施例1で見て取れる通り、困難であろう。アニオン性バッファーの存在は、この場合はアルギニンであるカチオン性バッファー系に対して競合性イオンを追加し、それによりCpGが解放され、これが次にMAG-Tn3と共沈することが可能になると考えられる。アニオン性バッファーの理想的な候補は、pHを8.5以下に低下させながら、アルギニンまたは抗原に対してCpGが有するよりもMAG-Tn3に対してより強い親和性を有するであろうアニオン性バッファーと競合しないものであろう。
実施例3. MAG-Tn3ワクチン製剤中のL-アルギニンL-アルギニン一塩酸塩濃度
糖ペプチドMAG-Tn3は、L-アルギニンバッファー系中で300μg/mLの用量で免疫刺激剤CpG7909と共に可溶性ワクチン中に製剤化することができる。以前の実験は、12.5〜100mMのL-アルギニン濃度がワクチン製剤を可溶化するのに十分であったことを示している。本報告では、MAG-Tn3ワクチン製剤中で用いられる正確なL-アルギニンおよびL-アルギニン一塩酸塩濃度を決定するために行なわれる実験を詳述する。
MAG-Tn3ワクチン製剤は、当初、420μgの免疫刺激剤CpG7909を含有する500μLの注入体積中500μgの用量を目標とした。この製剤は安定でなく、免疫刺激剤と抗原との共沈をもたらした。ワクチン製剤は、MAG-Tn3の目標用量を300μgに低下させることと組み合わせて、L-アルギニンを用いて可溶性にされた。以前の実験では、L-アルギニン一塩酸塩は、可溶性製剤をずっと維持しながら、製剤pHを8.5まで低下させるのに有効であったことが示されていた。pHを8.5以下に保つことの必要性は、分子からのTn糖基の潜在的な脱グリコシル化による。Tn糖は分子の抗原性部分であり、それを失うことは、免疫原性に対して著しい影響を有するであろう。
本報告の目的は、最大のワクチン安定性のためにL-アルギニンおよびL-アルギニン一塩酸塩濃度を最適化するために行なわれた実験を記載することである。12.5〜40mMのL-アルギニン濃度を、pHを8.5付近に維持するために種々のL-アルギニン一塩酸塩濃度を用いて試験した。L-アルギニン濃度が確立されたら、ワクチン製剤の最大の安定性を確実にするために最適なpHを決定するために、L-アルギニン一塩酸塩濃度をスクリーニングした。両方のケースで、最高の安定性を提供する最低濃度が、最適濃度として選択されるであろう。
実験手順
製剤の調製:500mM L-アルギニン(EMD社)および1M L-アルギニン一塩酸塩(Sigma Aldrich社)のストック溶液を用いて、L-アルギニンが測定される実験の最初の部分のために、注射用水(Thermo-Fisher社)中の5%スクロース(EMD社)溶液に15.6〜40mM L-アルギニンおよび60〜140mM L-アルギニン一塩酸塩を添加することにより、製剤を作製した。その後に続く実験では、25mM L-アルギニンおよび125〜375mM L-アルギニン一塩酸塩を、注射用水中の5%スクロース溶液に添加した。次に、CpG7909(Agilent社)を、1050μg/mLの濃度で溶液に加えた。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌した。次に、Lonza Braine社から入手したMAG-Tn3を、750μg/mLの濃度で溶液に添加した。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌した。次に、製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH6.1の溶液中に1.25倍希釈した。続いて、すべての製剤を、分析する前に4℃にて24時間インキュベートした。化学物質は、Sigma-Aldrich社から提供された。
分析:0.2μmシリンジフィルターを用いるろ過の前後の製剤中のMAG-Tn3含有量を評価するためにRP-HPLCを行なった。UV検出器を取り付けたWaters 2996 HPLCを、Poros R 1/10カラム(Applied Biosciences社)および0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜100%アセトニトリル勾配と共に用いた。TSKgel G3000PWxlカラム(Tosoh Bioscience LLC)および200mM NaClの移動相を用いて、得られた製剤の凝集プロフィールを評価するために、蛍光検出器(Waters社)を取り付けたWaters 2996 HPLCを用いて、サイズ排除クロマトグラフィーを行なった。SDS-PAGE分析は、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen社)およびMESランニングバッファー(Invitrogen社)を用いて行なった。Invitrogen社のSilverQuestを用いて、ゲルを染色した。遠心分離したサンプルおよび遠心分離していないサンプルを、製剤中の沈殿の存在を評価するためにゲル上で泳動した。遠心分離は18000gにて15分間行なった。上清を抜き出し、その後、ペレットを1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen社)に再懸濁し、両方の画分をゲル上で泳動した。濁度(HACH社)、pH(Orion社)、および目視検査分析も行なった。
すべての製剤は、肉眼分析により、4℃での24時間のインキュベーション後に透明であり、かつ粒子を含まないことが見出された。
図6に視覚化されるSDS-PAGE結果は、そのペレット画分で若干濃いバンドを有する15mM L-アルギニン製剤を除いて、12.5〜30mM L-アルギニンのすべての製剤が安定であることを示す。
以下の表7に見て取れる通り、濁度およびpH結果は製剤間で同様であり、有意差は見出されなかった。
Figure 2016527291
HPLC-SECによりモノマー(%)に見られる有意差はなく、図7に示される通りにすべての製剤がモノマー性であり、15.9分に主要ピーク溶出を有する。L-アルギニン一塩酸塩濃度をスクリーニングするために、20mM L-アルギニンを選択した。図8に見て取れるように、225mM L-アルギニン一塩酸塩で、ペレット画分中のバンドがより強い強度を伴って現れ始める。
濁度結果は、表8に見て取れる通り、製剤間で非常に似通っている。pHも大きな変動を示さない。7.8〜8.2のpH範囲が観察される。
Figure 2016527291
ろ過後のMAG-Tn3含有量回収率(%)は、より大きな変動を示す。125mMおよび200mM〜250mMのL-アルギニン一塩酸塩濃度は、30〜15%の回収率の著明な損失を提示し、このことは、不溶性凝集体の存在を示す。125mM L-アルギニン一塩酸塩での回収率の20%の損失は誤りである可能性があり、なぜなら、100mMでの回収率は93.7%であるからである。回収率(%)は275mMおよび300mM L-アルギニン一塩酸塩で再び回復し、これに対する説明はまだ理解されていない。
L-アルギニン一塩酸塩製剤の残留可溶性部分は、モノマー性である。図9に見て取れる凝集プロフィールは、モノマー性集団を示す。
考察
17.5mM〜40mMのL-アルギニン濃度が安定であることが判明した。12.5mMおよび15mM L-アルギニンの両方がRP-HPLCによりMAG-Tn3回収率での10〜20%の損失を示し、このことは、不溶性凝集体の存在を示唆する。15mM〜17.5mMの製剤は試験されておらず、それらの製剤の安定性は確かでないので、20mM L-アルギニンをバッファー濃度として選択した。20mM L-アルギニンは操作を容易にするが、±20%の指定が20mM L-アルギニンに適用される場合、許容される濃度範囲は16〜24mMとなるであろう。15mMがろ過時のMAG-Tn3含有量の10%の損失を示すので、16mMの安定性が評価されるべきである。
L-アルギニン一塩酸塩スクリーニングは、興味深い結果をもたらした。広範囲のL-アルギニン一塩酸塩を用いたにもかかわらず、pHはあまりシフトせず、しかしながら;すべてのpHは、MAG-Tn3からのTn糖の脱グリコシル化の可能性のために回避すべきpHである8.5未満であった。150mM L-アルギニン一塩酸塩は、pHを8.0まで低下させ、かつ安定な製剤を維持するのに十分である。ろ過時に損失はなく、この製剤に関してSDS-PAGEによりペレット画分にはバンドは存在せず、凝集プロフィールはモノマー性である。放出試験を受ける場合の賦形剤濃度に対する許容基準は±20%であり、これは、L-アルギニン一塩酸塩の範囲を120mM〜180mMにする。125mMでのMAG-Tn3回収率(%)は81.7%であるので、これより低濃度は潜在的な不安定性の範囲にあるようである。100mM L-アルギニン一塩酸塩での回収率が93.7%であるので、この低い値は異常であり得る。120mM L-アルギニン一塩酸塩での安定性を確認するために、分析を行なうべきである。
CpG7909を含む300μg/用量のMAG-Tn3製剤に対する最終的なバッファー組成は、20mM L-アルギニンおよび150mM L-アルギニン一塩酸塩である。
実施例4:アルギニンバッファー系中のMAG-Tn3抗原の最大用量の決定
MAG-Tn3抗原の目標用量は、500μg/用量に設定された。免疫刺激剤CpG7909の存在下では、MAG-Tn3抗原はこの濃度では即座に共沈する。可溶性製剤は、アルギニンバッファー系中の100μg MAG-Tn3/用量のより低い用量で可能である;しかしながら、より高い用量が好ましいであろう。本報告では、最大のMAG-Tn3用量を決定するために行なわれた実験が記載される。
MAG-Tn3ワクチン製剤は、当初、420μgの免疫刺激剤CpG7909を含有する500μL注入体積中の500μgの用量を目標とした。この製剤は安定でなく、免疫刺激剤および抗原の共沈を生じた。共沈は、ヒスチジンまたはアルギニンバッファー系の添加により若干軽減された。
以前の実験では、MAG-Tn3抗原用量を500μg/用量から100μg/用量に低減すること、およびバッファー系としてアルギニンを用いることにより可溶性(沈殿しない)製剤が達成された。しかしながら、さらに高い用量が好ましいであろう。
本文書の目的は、アルギニンバッファー系中の糖ペプチド抗原MAG-Tn3の最大用量を決定するために行なわれた実験を記載することである。本報告で用いられるアルギニンバッファー系は、L-アルギニンとL-アルギニン一塩酸塩との混合物である。L-アルギニン一塩酸塩は、生成物安定性および注入可能性においてより好ましい範囲までpHを低下するために添加される。
当初の実験は、200μg/mL〜900μg/mLのMAG-Tn3の大きな用量範囲をスクリーニングした。上限が確定されたら、800μg/mL〜900μg/mLのより小さなMAG-Tn3用量範囲がスクリーニングされ、最後に用量が選択された。
実験手順
製剤の調製:500mM L-アルギニンおよび1M L-アルギニン一塩酸塩のストック溶液を用いて、注射用水(Thermo-Fisher社)中の5%スクロース溶液に31.3mM L-アルギニンおよび187.5mM L-アルギニン一塩酸塩を添加することにより、製剤を作製した。次に、CpG7909(Agilent社)を、1050μg/mLの濃度で溶液に加えた。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌した。次に、Lonza Braine社から入手したMAG-Tn3を、250〜1125μg/mLの範囲の濃度で溶液に添加した。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌した。次に、製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4150mM NaCl pH6.1の溶液中に1.25倍希釈した。続いて、すべての製剤を、分析する前に4℃にて24時間インキュベートした。化学物質は、Sigma-Aldrich社から提供された。
分析:0.2μmシリンジフィルターを用いるろ過の前後に、製剤中のMAG-Tn3含有量を評価するためにRP-HPLCを行なった。UV検出器を取り付けたWaters 2996 HPLCを、Poros R 1/10カラム(Applied Biosciences社)および0.1%トリフルオロ酢酸中の0〜100%アセトニトリル勾配と共に用いた。TSKgel G3000PWxlカラム(Tosoh Bioscience LLC)および200mM NaClの移動相を用いて、得られた製剤の凝集プロフィールを評価するために、蛍光検出器(Waters社)を取り付けたWaters 2996 HPLCを用いて、サイズ排除クロマトグラフィーを行なった。SDS-PAGE分析は、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen社)およびMESランニングバッファー(Invitrogen社)を用いて行なった。Invitrogen社のSilverQuestを用いて、ゲルを染色した。遠心分離したサンプルおよび遠心分離していないサンプルを、製剤中の沈殿の存在を評価するためにゲル上で泳動した。遠心分離は18000gにて15分間行なった。上清を抜き出し、その後、ペレットを1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen社)に再懸濁し、両方の画分をゲル上で泳動した。濁度(HACH社)、pH(Orion社)、および目視検査分析も行なった。
すべての製剤は、4℃での24時間のインキュベーション後に透明であり、かつ粒子を含まないことが見出された。以下の表9に見て取れる通り、pHおよび濁度結果は製剤間で同様であり、有意差は見出されなかった。
Figure 2016527291
図10に示されるSDS-PAGE結果は、ペレット画分での非常に薄いバンドが存在する900μg/mLの濃度までの安定な製剤を示す。しかしながら、ろ過していないサンプルに対するろ過したサンプルの回収率(%)はRP-HPLCにより100.0%であるので、これは不溶性凝集体としては検出されない。表10を参照されたい。
Figure 2016527291
以下の図11に見て取れる通り、観測された保持時間のシフト、および凝集体の存在を示すより短い保持時間でのピークの出現はいずれもなかったので、サイズ排除クロマトグラフィーは、試験したすべての濃度に関する凝集プロフィールで変化を示さなかった。
より狭い用量でのスクリーニングを800〜900μg/mLで行ない、得られたゲルを、以下で図12にて見ることができる。対照(精製MAG-Tn3バルク)を含むすべてのペレット画分で薄いバンドを見て取ることができる;しかしながら、バンドは、825、850、875、900μg/mL MAG-Tn3用量でわずかに濃い。ろ過していないサンプルに対するろ過したサンプルの回収率(%)は100±10%であるので、ペレット画分でのバンドの存在は、不溶性凝集体として検出されない(表11)。モノマー性ピークのみがサイズ排除クロマトグラフィーによって観察され、いかなる可溶性凝集体も観察されない。
Figure 2016527291
MAG-Tn3抗原は、最終的な再構成ワクチン中の900μg/mLまたは450μg/用量の濃度までは、L-アルギニン-L-アルギニン一塩酸塩バッファー系で可溶性のようである。2種類の含有成分を可溶化する多数の試みにより実証される通り、CpG7909の存在下でのMAG-Tn3の安定性は確かでないので、より低い用量が選択された。
生成物安定性および放出試験中、抗原含有量についての許容基準は、100±20%に設定される。極端な120%値もまた可溶性製剤でなければならず、したがって、MAG-Tn3可溶性の上限が900μg/mLである場合、中心のMAG-Tn3濃度は750μg/mLであろう。
製剤化されたバルク生成物と再構成された凍結乾燥ケーキとの間で観測される希釈係数も考慮に入れなければならない。500μLの製剤化されたバルクを凍結乾燥し、次に625μLの体積に再構成して、1.25の希釈係数を生じる。これも、用量計算に加えなければならない。750μg/mLが取得できる最大濃度である場合、これは最終バルクに属し、最終容器濃度は300μgの用量に対して600μg/mLであろう。
免疫刺激剤CpG7909と共に共凍結乾燥した生成物として製剤化できるMAG-Tn3の最大用量は、アルギニンバッファー系で300μgである。これらの実験でのアルギニンバッファー系はpHに基づいて選択され;しかしながら、これらの成分の最適化が必要であろう。
実施例5:MAG-Tn3ワクチン製剤中の免疫刺激剤用量スクリーニング
糖ペプチドMAG-Tn3は、L-アルギニンバッファー系中の300μg MAG-Tn3および380μg CpG7909/mLの用量で、免疫刺激剤CpG7909と共に可溶性ワクチン中に製剤化することができる(この考察の目的のために、用量の液量は500μLとして規定する)。MAG-Tn3がCpG7909用量の範囲内で可溶性のままであるか否かを決定するために、100±20%の許容基準内の考えられるCpG濃度の範囲を本実験で調べた。
CpG7909の量を、NMRにより定量される標準に基づいて、420μg/用量から380μg/用量に低減した。100±20%の許容基準を用いて、300〜460μg/用量のCpG用量範囲を調べた。
本報告の目的は、製剤が安定のままであることを確認するために行なわれた実験を記載することである。180〜420μg CpG/用量を含有する製剤を、安定性についてスクリーニングした。
実験手順
製剤の調製:250mM L-アルギニン(EMD社)および1875mM L-アルギニン一塩酸塩(Sigma Aldrich社)のストック溶液を用いて、注射用水(Thermo-Fisher社)および0.1%ポリソルベート80(NOF社)中の5%スクロース(EMD社)溶液に25mM L-アルギニンおよび187.5mM L-アルギニン一塩酸塩を添加することにより、製剤を作製した。次に、CpG7909(Agilent社)を、365〜838μg/mLの濃度で溶液に加えた。続いて、溶液を、150rpmにて5分間、磁気的に撹拌した。次に、Lonza Braine社から入手したMAG-Tn3を、750μg/mLの濃度で溶液に添加した。続いて、溶液を、150rpmにてさらに5分間、磁気的に撹拌した。次に、製剤を、50mM Na2HPO4/KH2PO4 150mM NaCl pH6.1の溶液中に1.25倍希釈した。続いて、すべての製剤を、T0、4時間および24時間での注入のために25℃にてHPLCオートサンプラー中に置いた。これらの製剤は、凍結乾燥プロセスを通っていないので、模擬再構成最終容器と見なされる。
分析:0.5mL/入力流量(in flow rate)および20mM L-アルギニン、150mM L-アルギニン-HCl、0.08%ポリソルベート80、150mM NaCl、10mM Na/K2リン酸バッファーpH6.1の移動相と共に、TSKgel Supermultipore PW-Nガードカラムおよび分析カラム(Tosoh Bioscience LLC)を用いて、得られた製剤の凝集プロフィールを評価するために、蛍光検出器(Waters社)を取り付けたWaters 2996 HPLCを用いて、サイズ排除クロマトグラフィーを行なった。蛍光検出は、270nmの励起波長および318nmの発光波長を用いて行なった。
結果
8.573分の保持時間での主要なMAG-Tn3モノマー性ピークについて観測された保持時間のシフトがなかったので、サイズ排除クロマトグラフィーは、試験したすべてのCpG7909濃度での凝集プロフィールの変化を示さなかった。より短い保持時間のピークのサイズに変化はなく、以下の図13に見て取れる通り、種々のCpG7909濃度を比較した場合に、ほんのわずかな凝集体の存在を示す。350μgおよび230μg CpG7909/用量もまた試験され、同様のプロフィールを有することが見出された(結果は示していない)。
25℃での4時間および24時間のサンプルのインキュベーションは、図14に見て取れる通り、凝集プロフィールの発達をもたらす。凝集体に対応する5.6分のピークは、25℃で経過した時間に対してピーク面積が増大する。
この現象は、図15に見て取れる通り、試験したすべてのCpG7909用量で観察される。350μgおよび230μg CpG7909/用量は図15に含められていないが、同じプロフィールを示す。凝集体ピークおよびモノマー性ピーク(8.55分)の両方のピーク面積は、表12に見て取れる通り、CpG7909の濃度の上昇に対して10%未満の%CVで比較的一定に留まる。
Figure 2016527291
20mM L-アルギニンおよび150mM L-アルギニン一塩酸塩を含有する製剤は、MAG-Tn3抗原および180〜420μg/用量の範囲の濃度の免疫刺激剤CpG7909で好適なマトリックスをつくり出す。CpG7909バルク濃度は、NMR定量化標準を用いて決定される。25℃にてインキュベートされた場合に凝集体の増加が観察されるが、これらの凝集体は、CpG7909濃度にかかわらず同じ量で存在し、このことは、凝集体が、CpG7909濃度との不適合性ではなく、抗原不安定性によるものであることを示唆する。考えられるCpG7909濃度の上限は本実験では試験されていない;しかしながら、観察された傾向は、460μg/mL CpG7909を含有する製剤は安定であろうことを示す。
実施例6. pH試験
アルギニンおよびアルギニン塩酸塩の種々の混合物についての計算上のpH値を、pHメーターを用いて決定された値と比較した(表13)。
Figure 2016527291

Claims (42)

  1. 以下の成分:
    (a) アルギニン;
    (b) 対イオン;
    (c) Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する、第1の免疫原性分子;および
    (d) オリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する、第2の免疫原性分子
    を含む実質的に安定なワクチン組成物であって;
    該組成物が水を含む場合に、
    (i) 該第1および第2の免疫原性分子が実質的に安定であり;かつ
    (ii) 得られる溶液のpHが8.5未満である
    ことを特徴とする、上記組成物。
  2. 前記組成物が水を含む場合に、pHが、以下:
    (a) (i) 上限が8.5未満;8.4未満;8.3未満;8.2未満;8.1未満;8.0未満;7.9未満;7.8未満;7.7未満;7.6未満;または7.5未満であり;かつ
    (ii) 下限が7.4超;7.5超;7.6超;7.7超;7.8超;7.9超;8.0超;8.1超;8.2超;8.3超;または8.4超
    である範囲;
    (b) 7.4〜8.5(包含的);7.5〜8.5(包含的);7.6〜8.3(包含的);7.7〜8.3(包含的);7.8〜8.3(包含的);7.9〜8.3(包含的);8.0〜8.3(包含的);8.1〜8.3(包含的)の範囲;
    (c) pHが、±0.2以下のpH単位だけ(a)または(b)の範囲から外側である範囲
    からなる群より選択される範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物が水を含む場合に、アルギニンが、以下の分子種:
    Figure 2016527291
    および
    Figure 2016527291
    を含むことをさらに特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物が水を含む場合に、式Vの分子種(a)の濃度が少なくとも14mMであり、式IVの分子種(b)に対する式Vの分子種(a)のモル比が、以下の範囲:
    (a) 0.091〜0.200;
    (b) 0.032〜0.323;
    (c) 0.041〜0.323;
    (d) 0.051〜0.256;
    (e) 0.064〜0.256;および
    (f) 0.081〜0.204
    からなる群より選択される範囲内であることをさらに特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記第1の免疫原性分子がMag-Tn3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記第2の免疫原性分子がCpGオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1;配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;および配列番号6からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. さらに凍結保護剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記凍結保護剤が、スクロースおよびトレハロースからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記対イオンが塩化物イオンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. アルギニンの一部分が、アルギニン一塩酸塩の分子種として存在する、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記組成物が乾燥され、アルギニン:アルギニン一塩酸塩の比率が20:150(mol:mol)である、請求項11に記載の組成物。
  13. アルギニン:アルギニン一塩酸塩の比率が1.74:15.8(wt:wt)である、請求項12に記載の組成物。
  14. 以下の成分:(i) 30〜450μg MAG-Tn3(包含的);(ii) 475μg CpG7909(配列番号4);(iii) 0.87mgアルギニン;(iv) 7.9mgアルギニン一塩酸塩;(v) 0.216mgポリソルベート80;および(vi) 10mgスクロースを含む、請求項12または13に記載の組成物。
  15. さらに水を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 前記第1の免疫原性分子がMAG-Tn3を含み、900μg/mL未満の濃度で存在する、請求項15に記載の組成物。
  17. 前記第2の免疫原性分子がCpGオリゴヌクレオチドであり、該CpGオリゴヌクレオチドが760〜1140μg/mL(包含的)の濃度で存在する、請求項15または16に記載の組成物。
  18. アルギニンが、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、または40mMの濃度で存在する、請求項15〜17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. アルギニンが25mMの濃度で存在する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の組成物。
  20. アルギニンが20mMの濃度で存在する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の組成物。
  21. アルギニン一塩酸塩が、少なくとも45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、または300mMの濃度で存在する、請求項15〜20のいずれか1項に記載の組成物。
  22. アルギニン一塩酸塩が187.5mMの濃度で存在する、請求項15〜21のいずれか1項に記載の組成物。
  23. 以下の成分:(i) 60〜900μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 950μg/mL CpG7909(配列番号4);(iii) 25mMアルギニン;(iv) 187.5mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.108%w/vポリソルベート80;および(vi) 5%w/vスクロースを含む、請求項15〜22のいずれか1項に記載の組成物。
  24. アルギニン一塩酸塩が150mMの濃度で存在する、請求項15〜21のいずれか1項に記載の組成物。
  25. 以下の成分:(i) 48〜720μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 760μg/mL CpG7909(配列番号4);(iii) 20mMアルギニン;(iv) 150mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.0864%w/vポリソルベート80;および(vi) 4%w/vスクロースを含む、請求項15〜21および24のいずれか1項に記載の組成物。
  26. 以下の成分:
    (a) 1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物であって、該アジュバントのうちの少なくとも1種が、MPLおよびQS21からなる群より選択される、上記アジュバント組成物;および
    (b) リポソームおよび1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物であって、該アジュバントのうちの少なくとも1種が、MPLおよびQS21からなる群より選択される、上記アジュバント組成物
    をさらに含む、請求項1〜11および15〜25のいずれか1項に記載の組成物。
  27. 以下の成分:(i) 48〜720μg/mL MAG-Tn3(包含的);(ii) 760μg/mL CpG7909(配列番号4);(iii) 20mMアルギニン;(iv) 150 mMアルギニン一塩酸塩;(v) 0.0864%w/vポリソルベート80;および(vi) 4%w/vスクロース;(vii) 150mM NaCl;(viii) 8mM KH2PO4および2mM Na2HPO4;(ix) 50μL/mL MPL;(x) 100μg/mLリポソーム;ならびに(xi) 100μg/mL QS21を含む、請求項26に記載の組成物。
  28. 以下の成分:
    (a) アルギニン;
    (b) Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する、第1の免疫原性分子;および
    (c) オリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する、第2の免疫原性分子
    を含む成分を組み合わせるステップを含む、請求項1〜11および15〜27のいずれか1項に記載の実質的に安定なワクチン組成物を製造するための方法であって、(a)〜(c)のうちの1種以上が、水を含む液体と組み合わせられ、かつ該組成物のpHが8.5以下である、上記方法。
  29. 好適な酸を用いて中和することにより、アルギニンのpHを調整するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  30. 以下の成分:
    (a) アルギニン;
    (b) アルギニン一塩酸塩;
    (c) Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する、第1の免疫原性分子;および
    (d) オリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する、第2の免疫原性分子
    を含む成分を組み合わせるステップを含む、請求項1〜11および15〜27のいずれか1項に記載の実質的に安定なワクチン組成物を製造するための方法であって、(a)〜(d)のうちの1種以上が、水を含む液体およびアジュバントと組み合わせられる、上記方法。
  31. 以下の成分:
    (a) アルギニン;
    (b) アルギニン一塩酸塩;
    (c) Tn基を含む第1の免疫原性分子であって、正味の正電荷を有する、第1の免疫原性分子;および
    (d) オリゴヌクレオチドを含む第2の免疫原性分子であって、正味の負電荷を有する、第2の免疫原性分子
    を含む成分を組み合わせるステップを含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の実質的に安定なワクチン組成物を製造するための方法であって、(a)〜(d)のうちの1種以上が、水を含む液体と組み合わせられ、該組成物を乾燥させるステップをさらに含む、上記方法。
  32. 乾燥ステップが凍結乾燥を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物を、水を含む液体と組み合わせるステップを含む、実質的に安定なワクチン組成物を製造するための方法。
  34. 請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物を、水を含む液体と組み合わせるステップを含む、実質的に安定なワクチン組成物を製造するための方法であって、該液体が1種以上のアジュバントを含むアジュバント組成物をさらに含み、該アジュバントのうちの少なくとも1種がMPLおよびQS21からなる群より選択される、上記方法。
  35. 前記アジュバント組成物がさらにリポソームを含む、請求項34に記載の方法。
  36. 請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法により製造される組成物。
  37. 請求項1〜11および15〜27のいずれか1項に記載の組成物をヒトに投与するステップを含む、患者を治療する方法。
  38. ワクチン組成物を安定化させるための添加剤としての、アルギニン一塩酸塩の使用。
  39. 請求項1〜11および15〜27のいずれか1項に記載の組成物をヒトに投与するステップを含む、免疫原性応答を誘導する方法。
  40. 免疫応答の誘導での使用のためなどの医薬での使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物。
  41. 第1の免疫原性分子がMag-Tn3である、癌の治療での使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物。
  42. 請求項1〜27および36のいずれか1項に記載の組成物を含む容器。
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