JP2016527231A - プロテアーゼ耐性ペプチドリガンド - Google Patents

プロテアーゼ耐性ペプチドリガンド Download PDF

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Abstract

本発明は概して、新規なプロテアーゼ耐性ペプチドリガンドの発見及びその使用に関する。具体的には、本発明は、生物学的製剤に結合可能であり且つ1つ以上の塩基性アミノ酸及び/又は芳香族アミノ酸を含む、3〜20個のアミノ酸を備えたプロテアーゼ耐性ペプチドであって、アミノ酸の1つ以上が非天然アミノ酸類似体で置換されているプロテアーゼ耐性ペプチドを提供する。【選択図】図1

Description

[関連出願の相互参照]
本願は、PROTEASE−RESISTANT PEPTIDE LIGANDSに関する2013年7月15日出願のMenegattiらの米国仮特許出願第61/846326号(代理人整理番号:NS13002USV)(参照により全て本願に援用される)の利益を請求するものである。
本発明は概して、新規なプロテアーゼ耐性ペプチドリガンドの発見に関する。
序論
治療及び研究用途での哺乳動物の血清からの免疫グロブリンの精製は、工業的、医学的及び経済的に非常に価値がある問題である。ポリクローナル抗体をベースとした治療薬は複数のエピトープ及び標的に対して多価相互作用を示すことから、一部の疾患の予防又は治療に最適である。血漿由来のポリクローナル静注用免疫グロブリン(IVIG)製剤は免疫不全患者における感染症の予防に成功裡に適用されており、自己免疫性及び炎症性の問題に対しての使用が増加している。現在まで、IVIGは世界の血液製剤市場でメジャーな血漿分画製剤であり、その年間消費量は着実に増加している。動物の血漿由来のポリクローナル抗体は現在、免疫測定法の開発研究並びに治療及び診断ツールの設計にも用いられている。
哺乳動物の血清からのポリクローナル抗体のアフィニティ精製は現在、殆どが、プロテインA及びプロテインG等のタンパク質リガンドの使用をベースとしている。しかしながら、これらのタンパク質リガンドには幾つかの欠点があり、例えば(1)コストの高さ(吸着剤1リットルあたり15000〜20000ドル)、(2)低い化学的及び生化学的安定性、(3)免疫原性と、その結果としての、生成物の本流へのリガンドフラグメントの浸出に関連したリスク、また(4)高結合親和性を理由とする、溶出させたタンパク質の生理活性を脅かす厳しい溶出条件が挙げられる。更に、プロテインAはヒトIgG3及び幾つかの動物の免疫グロブリンに結合しない。プロテインGは全てのヒトIgGサブクラスに結合するものの、ヒト及び動物の血漿並びにその画分中の主要なタンパク質であるアルブミンに対してもかなりの結合を示す。
これらの問題を克服するために、ペプチド、アミノ酸、トリアジンスキャフォールド及びチオフィリックな化合物をベースとした合成リガンドが抗体精製用に提案されている。我々の研究グループは、HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)の3種のヘキサペプチドリガンドを特定した。これらのリガンドはIgGにFc部を介して結合することでプロテインAの結合機序を模倣する。特に、ペプチドHWRGWVに、細胞培養培地、CHO細胞培養上清、遺伝子組み換えミルク及びホエイ、植物抽出物並びにヒト血漿のコーン画分II+IIIを含めた多種多様な複合的な原料からIgGを単離するその能力についてさらなるキャラクタリゼーションを行った。これらの実験で得られた生成物収率及び純度は常に、プロテインAを媒体として得られるものに匹敵していた。
しかしながら、ヒト血漿からのポリクローナル抗体の精製に使用する場合にタンパク質リガンド及び合成ペプチドリガンドが共に直面する問題に、その中に存在しているタンパク質分解酵素、特にはトリプシン及びα−キモトリプシンの作用がある。トリプシンは、リジン及びアルギニン残基のカルボキシル側でペプチド鎖を切断するセリンプロテアーゼである。キモトリプシンは疎水性残基、例えばチロシン、トリプトファン及びフェニルアラニンのカルボキシル側でペプチド鎖を切断する。哺乳動物の血清に長時間及び/又は繰り返し曝露されると、タンパク質又はペプチドリガンドはこれらのエンドプロテアーゼにより分解される。これらのエンドプロテアーゼによるプロテインAの分解とそれに伴う高コストなアフィニティ樹脂の寿命の短縮を防止するために、酵素阻害剤を供給原料に添加してから注入を行う。しかしながら、これらの阻害剤自体がかなりの追加コストとなる。
特定の非限定的な実施形態において、本発明は、生物学的製剤に結合可能であり且つ1つ以上の塩基性アミノ酸及び/又は芳香族アミノ酸を含む、3〜20個のアミノ酸を備えたプロテアーゼ耐性ペプチドを提供し、アミノ酸の1つ以上は非天然アミノ酸類似体で置換される。この非天然アミノ酸類似体は、表6に挙げられたものであってよい。
プロテアーゼ耐性ペプチドは、4−mer、5−mer、6−mer、7−mer、8−mer、9−mer、10−mer、11−mer、12−mer、13−mer、14−mer、15−mer、16−mer、17−mer、18−mer又は19−merになり得る。プロテアーゼ耐性ペプチドはヘキサペプチドであり且つ、非天然アミノ酸での置換前に配列HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)を有する。
プロテアーゼ耐性ペプチドは1つの非天然アミノ酸を有し得る。あるいは、2、3、4又は5個の非天然アミノ酸を有し得る。このペプチドでは、10個のアミノ酸につき1個が非天然アミノ酸で置換され得る(10%)。あるいは、19個のアミノ酸につき1個が置換され得る(約5%)。ペプチドでは10個のアミノ酸につき2個が置換され得て(20%)、あるいは6個のアミノ酸につき2個が置換され得る(33%)。ペプチドは50%が非天然アミノ酸になり得て、例えば6個のうち3個又は8個のうち4個等である。
天然のペプチドがグルタミンを含有するならば、N−γ−エチル−グルタミンで置換してプロテアーゼ耐性ペプチドを生成し得る。天然の同等物がグルタミン酸を含有するならば、カルボキシ−グルタミン酸で置換し得る。天然のペプチドがプロリンを含有するならば、プロテアーゼ耐性ペプチドは、第2級水素がベンジル、OH又はフェニルで置換されたプロリンを有し得る。天然のペプチドがフェニルアラニンを含有するならば、プロテアーゼ耐性ペプチドは、アミノ基、エトキシ基、エチル基、メトキシ基、メチル基、OH又はフェニルで置換された1つ以上の芳香族水素をそのフェニルアラニン中に有し得る。天然のペプチドがチロシンを含有するならば、プロテアーゼ耐性ペプチドは、アミノ基、エトキシ基、エチル基、メトキシ基、メチル基、OH又はフェニルで置換された1つ以上の芳香族水素をそのチロシン中に有し得る。天然のペプチドがアルギニンを含有するならば、シトルリンでの置換又はメチル化によりプロテアーゼ耐性ペプチドを生成し得る。同様に、天然のペプチド中のアミノ基をメチルアミノ又はジメチルアミノ基で置換し得て、例えば、リジン中のアミノ水素をメチル化することでプロテアーゼ耐性ペプチドを生成し得る。
プロテアーゼ耐性ペプチドは、エンドペプチダーゼ又はエクソペプチダーゼによる消化に対して耐性となり得る。非限定的な一実施形態において、エンドペプチダーゼはα−キモトリプシン又はトリプシンになり得る。
本発明は、プロテアーゼ耐性ペプチドにカップリングさせた固形担体も含む。この固形担体は、樹脂ビーズとしての樹脂、例えばToyopearlになり得る。
別の実施形態において、本発明は生物学的製剤の精製方法を提供し、この方法は、プロテアーゼ耐性ペプチドを備えた固形担体を生物学的製剤と適切な条件下で接触させることで生物学的製剤を固形担体に結合させ、固形担体及び結合した生物学的製剤を洗浄し、生物学的製剤を固形担体から溶出させることで生物学的製剤を精製することを含む。生物学的製剤は抗体になり得る。
本発明は、固形担体及びプロテアーゼ耐性ペプチドを備える診断キットも提供する。
(0015)
クラスタ番号1の配列:(a)HWRGWV、(b)HFRRHL(配列番号:1、3)、(c)HWMetCitDWMetV及び(d)HFMetCitCitHL(配列番号:4〜5)。(0016) パネル(A)〜(D)は、天然ペプチドバインダ及び修飾ペプチドバインダのタンパク質分解消化産物を示す。(0017) 吸着剤を使用した、ヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。(0018) 異なる塩濃度のバインディングバッファで行ったヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。
(0019) 治療及び研究目的での哺乳動物の血清からの免疫グロブリンの精製は、バイオテクノロジー及びバイオ製造において密接に関連する問題である[1、2]。血漿由来のポリクローナル静注用免疫グロブリン(IVIG)製剤は免疫不全患者における感染症の予防に成功裡に適用されており、自己免疫性及び炎症性の障害に対しての使用が増加している[3、4]。現在まで、IVIGは世界の血液製剤市場でメジャーな血漿分画製剤であり、その年間消費量は着実に増加している[5]。更に、免疫された動物の血清由来のポリクローナル抗体は現在、免疫測定法、治療法及び薬物送達の新しい戦略を開発するための医学的な研究においても用いられている[6〜9]。血清は、ずいぶんと時代遅れではあるものの依然としてモノクローナル抗体の開発にとって強力な研究ツールであるハイブリドーマテクノロジーの場合のように、モノクローナル抗体の原料にもなり得る[10]。ハイブリドーマコロニーは主にウシ血清の濃度が高い培養培地で増殖させるため、これらの流体からのモノクローナル抗体の精製は実際、動物原料からのポリクローナル抗体の回収に似ている[11]。抗体精製に最も一般的に用いられるアフィニティリガンドであるプロテインA及びプロテインGはこのタイプの抗体精製にはあまり適していない[12、13]。コストの高さ、低化学的安定性、免疫原性、低解離定数(約10-8M)に起因する厳しい溶出条件という既に知られている問題点に加えて、他にも幾つか懸念はある[14、15]。プロテインAはヒトIgG3サブクラスには結合せず、マウスIgG1及びウシIgG1には弱い結合を示し、ヤギ及びマウスのIgG又はニワトリIgYのサブクラスには結合しない[16]。プロテインGは、全てのヒトIgGサブクラス及び動物抗体の殆どに結合するものの、血漿及び血清において断然多いタンパク質成分であるアルブミンも捕捉するため、血漿からの抗体精製には通常使用しない[17]。アルブミン結合部位のない、工学的に作り出した形態のプロテインGが開発されたが[18]、これらは極めて高コストであり、安定性及び免疫原性の問題は懸念として残ったままである。これらの問題を克服するために、合成リガンドが抗体精製用に開発されており、これらはタンパク質リガンドより手頃且つ化学的に頑強であり、毒性及び免疫原性が低い[19、20]。
(0020) 我々の研究グループは、HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)の3種のペプチドリガンドを特定した。これらのリガンドはIgGにFc部を介して結合することでプロテインAの結合機序を模倣する[21〜23]。これらの配列は全てのヒト抗体サブクラス及び多くの動物(ウシ、マウス、ウサギ、ヤギ、ラマ、トリ)抗体に結合し、またヒト血漿のコーン画分II+IIIを含めた多種多様な原料からのモノクローナル及びポリクローナル抗体の精製に使用されてきた[24〜26]。これら全ての研究において、生成物収率及び純度は常に、プロテインAで得られるものに匹敵すると判明した。それでいて結合強度は緩いため(KD約10-5〜10-6M)、より穏やかな条件(pH4.0〜5.0)下でアフィニティカラムから抗体を溶出させることができ、凝集が防止され、活性は維持される。これらのペプチドリガンド吸着剤の化学的安定性及び動的結合容量(DBC)を上昇させるための研究も随分行われてきた。最適化のためのこれらの研究の結果、HWRGWV−Toyopearl(配列番号:6)吸着剤は、連続的な使用サイクルでの0.5MのNaOHに対する高い耐性及び50g/Lの範囲のDBC値を示した[27、28]。したがって、これらのリガンドは、血清及び血漿からのモノクローナル及びポリクローナル抗体の工業規模でのアフィニティ精製の開発を可能にし得る。
(0021) 動物の血漿からのポリクローナル抗体の精製に使用する際にタンパク質リガンド及び合成ペプチドリガンドが共に直面する問題に、タンパク質分解酵素、例えばトリプシン及びα−キモトリプシンの存在がある[29、30]。これらのプロテアーゼは、塩基性(アルギニン及びリジン)及び芳香族(トリプトファン、フェニルアラニン及びチロシン)アミノ酸のカルボキシル末端でそれぞれペプチド鎖を切断する[31、32]。アフィニティ吸着剤を血清に長時間にわたって曝露すると、トリプシン及びα−キモトリプシンはタンパク質又はペプチドリガンドの実質的な分解を引き起こし、結果的に結合容量を損失する。タンパク質リガンドの場合、プロテインA/Gと同様に、この問題は、生成物の本流への免疫原性フラグメントの流入により悪化する。予防手段として、注入前にプロテアーゼ酵素阻害剤を供給原料混合物に添加することが多い[33]。しかしながら、これらの阻害剤は高コストであり、また最終生成物から除去する必要がある。
(0022) これらの問題に対する抜本的な解決策は、非天然アミノ酸を含むペプチドリガンドのバリアントを生成することである。これらのバリアントは、良好な標的親和性及び選択性をプロテアーゼに対する高い耐性と併せ持つと期待される。Verdolivaらはアミノ酸のD型立体異性体を使用したペプチドリガンドの合成を提案しており、D型立体異性体は、天然のL型とは異なり、プロテアーゼにより認識も攻撃もされない[34、35]。しかしながら、D型アミノ酸はコストが非常に高くつく上、他の種類の化学分解(タンパク質溶出及び樹脂の衛生化に使用する酸及びアルカリ溶液のそれぞれによってアミノ酸官能基に引き起こされるもの等)を起こしやすい[36〜39]。これらの障害を克服するために、化学的に修飾した形態のL型アミノ酸をD型アミノ酸の代わりに用いることで、元の配列の標的親和性及び選択性を維持しながらも高い酵素耐性及び化学的安定性を呈するペプチドバリアントを生成することができる。これを目的として、本明細書においては、これらのリガンドを設計及び同定するための方法を提示し、この方法は、3つのステップ:(1)非天然アミノ酸を使用した、既知のペプチドリガンドのバリアントのバーチャルライブラリの設計、(2)分子ドッキングシミュレーションによる、標的生体分子に対するライブラリのin silicoスクリーニング、(3)クロマトグラフィ樹脂上での選択したバリアントの合成と、得られた吸着剤の標的への結合及びプロテアーゼに対する耐性についての試験を含む。抗体結合ペプチドHWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)中のトリプトファン、フェニルアラニン、チロシン及びリジンをアルキル化類似体で置換し、シトルリンをアルギニンの代わりに使用した。
(0023) 他のバリアントは、Nin−ホルミル−トリプトファン及び4−カルバモイル−フェニルアラニンの使用、またHWRGWVにおけるアスパラギン酸でのグリシンの置換により作り出した。次に、ドッキングソフトウェアHADDOCK(バージョン2.1)を使用して、IgGのpFc領域中の既知のHWRGWV結合部位(Ser383〜Asn389)に対してライブラリをスクリーニングした[40、41]。このプログラムはタンパク質−ペプチド相互作用をシミュレートし、外部ソフトウェアを介してファン・デル・ワールス相互作用、水素結合、変形ペナルティ、疎水作用、ACE(atomic contact energy)、弱化したファン・デル・ワールス相互作用、部分静電気、結合自由エネルギーの追加推定値、双極子−双極子相互作用及び水の存在の評価に基づいて結合の自由エネルギーを見積もる[40〜45]。選択した配列をポリメタクリレート系クロマトグラフィ樹脂Toyopearl AF−Amino−650M上に直接合成し、IgG結合並びにトリプシン及びα−キモトリプシンに対する耐性について試験した。配列HWMetCitGWMetV、HFMetCitCitHL及びHYMetMet(Met)2MetD(配列番号:4、5、7)を、ヒト血漿のコーン画分II+IIIからのポリクローナル抗体(IVIG)の精製用に選択した。
(0024) 最後に、バインディングバッファの伝導率がIgG収率及び純度に及ぼす影響に関する研究を行うことで親ペプチドHWRGWVの結合機序をそのバリアントHWMetCitGWMetV及びAc−HWMetCitGWMetV(配列番号:8〜9)と比較した。後者では、より低いバインディングバッファ伝導率でHWRGWVより高いIVIG収率及び純度が得られるため、大規模な下流側工程でコストを大幅に削減できると判明した。
(0025) 非限定的な一実施形態において、本方法は4つのステップ:
(0026)(1)非天然修飾アミノ酸を使用した、既知のペプチドリガンドのバリアントのライブラリの設計、
(0027)(2)分子ドッキングシミュレーションでの標的生体分子に対するペプチドバリアントライブラリのスクリーニングによるリガンドサブセットの選択、
(0028)(3)慣用のFmoc/tBuカップリング化学反応によるクロマトグラフィ樹脂上での選択したリガンドの合成、
(0029)(4)(a)標的生体分子の結合並びに(b)クロマトグラフィ手順で用いるタンパク質分解酵素及び化学物質に対する耐性についてのアフィニティ吸着剤のクロマトグラフィ試験を含み得る。
(0030)1:ペプチドリガンドHWRGWVのバリアントの設計
(0031) ペプチドバリアントのバーチャルライブラリ(表1)を設計した。
(0032)
Figure 2016527231
(0033)2:分子モデリング
(0034) ペプチドバリアントについての座標ファイルをPYMOlを使用して生成した[The PyMOL Molecular Graphics System、バージョン1.2r3pre、Schrodinger,LLC]。最もよくマッチする天然残基を観察し、それらの性質をコピーすることで修飾のためのパラメータ及びトポロジーファイルを決定して非天然アミノ酸エントリーを設計した。Nin−メチル化及びホルミル化トリプトファンを、標準的なトリプトファン残基に関するパラメータ及びトポロジーファイルに基づいて設計した。4−メチル−、4−メトキシ−及びカルバモイル−フェニルアラニンを、標準的なフェニルアラニン残基に関するパラメータ及びトポロジーファイルに基づいて設計し、特にカルバモイル官能性をアスパラギンから得た。シトルリンを、アルギニンのデルタ炭素及びアスパラギンをベースにしてモデリングした。メチル化及びジメチル化リジンLys(Me)及びLys(Me)2に関するファイルは既にHADDOCKでコードした。官能基の電気的中性がHADDOCKにある天然アミノ酸に関する全ての他のパラメータ及びトポロジーファイルと同じままとなるように単一原子に部分電荷を割り当てた。アミノ酸の修飾に関するトポロジー及びパラメータファイルを検証するために、パラメータ及びトポロジーファイルの変更部分をPRODRGサーバに送信したものと照合した。hIgGに関する座標ファイルをRCSBプロテインデータバンク(PDB、1FCC)から得た[Structure.1995 Mar 15;3(3):265−78.Crystal structure of the C2 fragment of streptococcal protein G in complex with the Fc domain of human IgG.Sauer−Eriksson AE,Kleywegt GJ,Uhlen M,Jones TA.]。hIgG上の残基Ser383〜Asn389(SNGQPEN)(配列番号:15)を「活性である」と定義し、リガンドドッキング用の標的領域として使用した。プロテインAを標的PDBファイルに、ペプチドリガンドとhIgG上のプロテインA結合部位(残基341〜443)との間での相互作用を防止するための包括的制約として含めた。分子モデリングを、プログラムHADDOCK(バージョン2.1)を使用して行った[S.J.de Vries,A.D.J.van Djik,M.Krzeminski,M.van Dijk,A.Thureau,V.Hsu,T.Wassenaar,A.M.Bonvin,Proteins:Struc.Funct.&Bioinformatic 69(2007)726及びC.Dominguez,R.Boelens,A.M.Bonvin,J.Am.Chem.Soc.125(2003)1731]。各ペプチドバリアントで残基1〜2はhIgGの残基389〜387を標的とし、残基3〜4はhIgGの残基386〜383を標的とし、残基5〜6に標的はなかった。デフォルトのHADDOCKパラメータをドッキング手順で用いた。得られたドッキング構造を、4の最小クラスタサイズ及びプログラムProFit(http://www.bioinf.org.uk/software/profit/)を使用した2.5Å以下のRMSD(root−mean−square−distance:平均二乗距離の平方根)を割り当てることで、クラスタにグループ分けした。最低エネルギーでドッキングしたシミュレーション結果の目視検査に基づいて各配列について選択された全てのクラスタを、3つのファミリー:dComplex、XScore(HPScore、HMScore、HSScore、−log(Kd)及びΔiG)及びFireDock(包括的、引力的ファン・デル・ワールス力、斥力的ファン・デル・ワールス力、ACE及び水素結合)に分類される12のスコアリング関数にしたがって分析した[Wang,R.,Y.Lu, and S.Wang,Comparative evaluation of 11 scoring functions for molecular docking.J Med Chem,2003.46(12):p.2287−303及びAndrusier,N.,et al.,Principles of flexible protein−protein docking.Proteins,2008.73(2):p.271−89及びMashiach,E.,et al.,FireDock:a web server for fast interaction refinement in molecular docking.Nucleic Acids Res,2008.36(Webサーバ版):p.W229−32及びLiu,S.,et al.,A physical reference state unifies the structure−derived potential of mean force for protein folding and binding.Proteins,2004.56(1):p.93−101]。このようにして配列の順位を蓄積し、各関数で得られたスコアリング値に基づいて並べられた配列をリスト化した。この順位を最後に総計及び平均することで最終的な配列リストを得た。リストにおいて、低スコアは高親和性を示す。
(0035)定義
(0036) 用語「生物学的製剤(biological)」には、バイオ医薬品(biopharmaceutical)又はバイオ治療薬(biotherapeutic)、例えば治療用タンパク質が含まれる。これらは酵素及び/又は制御活性を有するタンパク質治療薬、あるいは特別な結合活性を有するタンパク質、例えばモノクローナル抗体又はFc融合タンパク質、あるいはタンパク質ワクチン、あるいは診断用タンパク質になり得る。生物学的製剤は生体、例えば血液因子から単離し得て、あるいは遺伝子組み換え技術で製造し得る。Strohl及びKnightのCurr Opin Biotech,(2009)20:668−672を参照のこと(この文献の内容は参照により全て本願に援用される)。本明細書において、生物学的製剤にはウイルス及び微生物、例えば細菌、真菌、単細胞又は多細胞生物も含まれる。幾つかの非限定的な実施形態において、生物学的製剤は病原性タンパク質(例えば、プリオン)又は病原性微生物(例えば、細菌)等になり得る。
(0037) Nelsonら及びNieriらは近年、市場に出回っている又は臨床開発中の治療用抗体及びその現在の製造技法について概説した。Nelson et al.2010 Nat Rev Drug Disc 9 767−774、Nieri et al.2009 Curr Top Med Chem 16 753−779。
(0038) 全長ヒト抗体もCHO細胞培養、また遺伝子導入動物及び植物により製造し得る。全長ヒトモノクローナル抗体は現在、遺伝子導入動物(例えば、乳牛、ヤギ)のミルクで抽出される。Redwan 2009 J Immunoass Immunochem 30 262−290。タバコ等の植物も抗体製造に使用される。タバコは、タバコウイルスを使用したトランスフェクションが比較的容易である。Yusibov et al.2011 Hum Vacc 7(3)313−321。
(0039) 「バイオポリマー」とは、1タイプ以上の反復単位のポリマーである。バイオポリマーは天然の生物系で見られ、特にはオリゴ糖及び多糖、ペプチド(この用語はポリペプチド及びタンパク質を含むものとして使用される)並びにポリヌクレオチド(この用語はDNA及びRNAを含むものとして使用される)を含み、あるいは人工的な生合成により製造することができ、例えばペプトイド及びペプチド核酸(PNA)である。本明細書において、用語「バイオポリマー」には生物活性を有する合成化合物が含まれ、例えばアミノ酸若しくはアミノ酸類似体、糖若しくは糖類似体又はヌクレオチド若しくは非ヌクレオチド基から構成される又はこれらを含有する天然化合物の類似体である。
(0040) 幾つかの実施形態において、置換は保存的アミノ酸置換になり得る。生物活性に影響を及ぼしそうにない保存的アミノ酸置換の例には以下が含まれる:セリン代わりのアラニン、イソロイシン代わりのバリン、グルタメート代わりのアスパルテート、セリン代わりのトレオニン、グリシン代わりのアラニン、トレオニン代わりのアラニン、アスパラギン代わりのセリン、バリン代わりのアラニン、グリシン代わりのセリン、フェニルアラニン代わりのチロシン、プロリン代わりのアラニン、アルギニン代わりのリジン、アスパラギン代わりのアスパルテート、イソロイシン代わりのロイシン、バリン代わりのロイシン、グルタメート代わりのアラニン、グリシン代わりのアスパルテート及びこれらの逆の変更。例えば、Neurath et al.,The Proteins,Academic Press,New York(1979)を参照のこと。この文献中の関連する記載は参照により本願に援用される。更に、ある基内の1つのアミノ酸を同一基内の別のアミノ酸と交換することが保存的置換であり、基は以下のものである:(1)アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、ノルロイシン及びフェニルアラニン、(2)ヒスチジン、アルギニン、リジン、グルタミン及びアスパラギン、(3)アスパルテート及びグルタメート、(4)セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びシステイン並びに(5)グリシン、プロリン及びアラニン。
(0041) 用語「固形担体(solid support)」は、ポリマー質又は無機質の、親水性マクロ多孔質材料を備えた材料を意味し、本発明で使用し得る。固形担体には無機材料、有機材料及びこれらの組み合わせが含まれる。固形担体は、ヒドロキシル化固形担体又はヒドロキシル化複合体固形担体になり得る。固形担体はアクリルアミド誘導体、アガロース、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、ガラス、磁鉄鉱、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、シリカ、シリコン、ジルコニア及びこれらの組み合わせになり得る。固形担体材料は多孔質ビーズの形態になり得て、多孔質ビーズは球形になり得る。あるいは、担体は、他の規則的な又は不規則な形状を有する微粒子又は分割形態になり得る。適切な固形担体材料の他の例には、アルミナ、アルミナ担持ポリマー又は多糖から構成される膜、半透膜、キャピラリ、マイクロアレイ、モノライト(monolite)、マルチウェルプレートが含まれる。本発明の固形担体は剛性材料又は非剛性の可撓性材料になり得て、例えば織物又は不織物になり得るファブリックである。適切な非剛性で可撓性の材料は膜になり得る(当該分野で公知の様々な技法で製造した鋳造、不織又はマイクロ若しくはナノ繊維)。
(0042) 好ましい固形担体材料は、タンパク質の非特異的な結合が最小限であり且つ有機合成及び本発明で用いる精製工程で採用する条件(例えば、pH及びイオン強度における変化)に対して物理的及び化学的に耐性があるものである。本発明で使用の固形担体はアクリレートのポリマーになり得る。アクリレートポリマーの例には、以下に限定するものではないが、ポリメタクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル及び他のアクリレート誘導体が含まれる。好ましい非限定的な実施形態において、固形担体はメタクリレートポリマーである。
(0043)組成物及びキット
(0044) 本発明は、アッセイ(診断アッセイになり得る)において、本明細書に記載のプロテアーゼ耐性バインダペプチドを使用して目的とする特定の標的のタイプ及びレベルを検出及び/又は測定するための組成物及びキットを提供する。アッセイを行うための本発明のキットには典型的には、適切な収容手段、(i)本発明のプロテアーゼ耐性バインダペプチドを備えたプローブ、(ii)プローブの存在を検出するための標識及び(iii)目的とする標的をどのようにして測定するかの説明書が含まれる。キットは1種以上のプロテアーゼ耐性バインダペプチド、例えば目的とする標的に特異的に結合し認識する第1プロテアーゼ耐性ペプチド及び/又は第2及び/又は第3及び/又は追加のプロテアーゼ耐性ペプチドを含み得る。キットの収容手段には概して、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、注射器並びに/又は本発明の第1プロテアーゼ耐性ペプチドを入れ得る及び/若しくは適切にアリコートし得る他の容器が含まれる。第2及び/又は第3及び/又は追加成分を入れる場合、キットは概して、その成分を入れ得る第2、第3及び/又は他の追加の容器も含む。あるいは、容器は2種以上のプロテアーゼ耐性ペプチドの混合物を収容し得て、各試薬は本発明にしたがって異なるマーカーに特異的に結合する。本発明のキットは典型的には、市場での販売用にプロテアーゼ耐性ペプチドプローブを密閉して収容するための手段も含む。そのような容器には、所望のバイアルを保持させる射出及び/又は吹込成形したプラスチック製容器が含まれ得る。
(0045) キットは、ポジティブ及びネガティブコントロール、また本発明の方法にしたがった、キットに入ったキット構成要素の使用についての説明書を更に備え得る。
(0046) そうでないとの定義がなされない限り、本明細書で使用の全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の通常の技術を有する人が普通に理解するものと同じ意味を有する。冠詞「a」及び「an」は、本明細書において、1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法上の目的語に言及する際に使用される。例えば、「ある要素(an element)」とは、1つ以上の要素を意味する。
(0047) 明細書全体を通して、「備えている(含んでいる)(comprising)」という語又はその派生語、例えば「備える(含む)」は、記載の要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップ群が含まれることを含意すると理解されるが、他の要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップ群を排除しない。本発明は適宜、請求項に記載のステップ、要素及び/又は試薬「を備え得る(含み得る)」、「から成り得る」又は「から本質的に成り得る」。
(0048) 請求項は任意の要素を除外するように起草し得ることに更に留意されたい。そのため、この陳述は、請求項の要素を挙げる際に「単独で」、「〜しか」等の除外を意味する文言又は「否定的な」限定を用いる場合の先行する根拠としての役割を果たすことを目的とする。
(0049) ある範囲の値が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間の各中間値も、文脈に明らかに反しない限り下限の単位の10分の1まで、具体的に開示されると理解される。記載のある範囲における任意の記載値又は中間値とその記載範囲の他の記載値又は中間値との間のより狭い各範囲は本発明に包含される。これらのより狭い範囲の上限及び下限は独立して範囲に含まれ得て又は範囲から除外され得て、上限及び下限のいずれか、いずれでもなく又は両方がそのより狭い範囲に含まれる各範囲も本発明に包含され、記載範囲において任意の限度が特別に除外される場合がある。記載範囲が上下限の一方又は両方を含む場合、含まれる上下限の一方又は両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
(0050) 以下の実施例は本発明をより詳しく説明するものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。特に、本発明が記載の特定の実施形態には限定されないこと、したがって、当然のことながら、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用の学術用語は特定の実施形態だけを説明することを目的としていること、また本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されることから限定を意図したものではないことも理解されたい。
(0051)選択したペプチドバリアントの合成
(0052)材料
(0053) ペプチド合成用の保護アミノ酸及びカップリング剤をChemImpex Inc.(ウッドデール、イリノイ州、米国)から購入した。トリプシン、α−キモトリプシン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(triisopropylsylane)(TIPS)、エタンジチオール(EDT)、フェニルシラン、チオアニソール、ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム、インドール、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)pH7.4及びカイザー(Kaiser)テストキットはSigma Aldrich(セントルイス、ミズーリ州、米国)から調達した。N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、HPLCグレードアセトニトリル及び水、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、氷酢酸はFisher Scientific(ピッツバーグ、ペンシルバニア州、米国)から購入した。Toyopearl AF−Amino−650M樹脂はTosoh Bioscience(キングオブプラシャ、ペンシルバニア州、米国)から購入した。
(0054)方法
(0055) 選択した各配列を200mgのToyopearl AF−Amino−650M樹脂(d=75〜150ミクロン、アミノ基密度=0.4mmol/g)上で合成した。各アミノ酸カップリングステップを25分間にわたって、テフロンフリットを取り付けたポリプロピレン管において連続的な窒素流及び温度35℃の条件下で行った。樹脂をDMF中で10分間にわたってすすいだ後、カップリングを1度、3mLの無水DMF中のFmoc−Ala−OH(ベース樹脂官能基密度に対して3当量モル過剰)、HCTU(3当量)及びDIPEA(6当量)で行った。4mLのDMF中の無水酢酸及びDIPEA(50当量)でのアセチル化ステップを30分間にわたって室温で行った。次に、Fmoc保護を、DMF中の5mLの20%ピペリジンと20分間にわたってインキュベートすることで外した。
(0056) ペプチド配列を慣用のFmoc/tBuストラテジーで合成した。各アミノ酸について、Fmoc−アミノ酸(2当量)、HCTU(2当量)及びDIPEA(4当量)の無水DMF溶液(2.5mL)を樹脂に添加した。カイザーテストでモニタしながら、2度のカップリングを各アミノ酸について行うことで全ての有効なアミノ基を飽和させた。最後のアミノ酸上のFmoc保護をDMF中の5mLの20%ピペリジンで20分かけて外し、各樹脂バッチを2つのアリコートに分割し、そのうちの1つを上述したようにアセチル化した。樹脂をDMF及びDCMですすいだ後、ペプチド脱保護を、TFA/DCM/インドール(70/28/2)を含有する切断カクテルを使用して1.5時間にわたって行った。次に、樹脂をDCM及びDMFで十分にすすぎ、最後に真空下で乾燥させた。
(0057)アフィニティ吸着剤のクロマトグラフィ試験
(0058)材料
(0059) 凍結乾燥形態にあるヒトポリクローナル免疫グロブリンG(IgG)をEquitech−Bio,Inc.(カーンヴィル(Kernville)、テキサス州、米国)から購入した。全ての研究を室温で行った。2487UVディテクタと組み合わせたWaters 626 LCシステム(Waters、マサチューセッツ州、米国)を全てのクロマトグラフィ試験に使用した。マイクロボアステンレススチールカラム(長さ30mmx内径2.1mm)はAltech−Applied Science(サマセット、ペンシルバニア州、米国)から調達した。全ての実験を室温で行った。
(0060)IgG結合及びペプチドリガンドのタンパク質分解酵素への耐性のクロマトグラフィによる評価
(0061) 全ての樹脂(各35mg)を30mmx内径2.1mmのマイクロボアカラム(0.1mL)(Alltech−Applied Science、サマセット、ペンシルバニア州、米国)に充填し、20%質量/質量のメタノールで膨潤させた。PBS(pH7.4)での平衡化後、3回のIgG結合試験を、10mg/mLのhIgGのPBS溶液を使用して行った。結合試験と結合試験との間に、樹脂を、0.15mg/mLのトリプシン又はα−キモトリプシンのTrisHClバッファ(pH8.5)溶液と接触させた。5回の注入の全てに用いたクロマトグラフィのプロトコルは以下の通りである。100マイクロリットルの供給物試料を流量0.05mL/分(87cm/時間)でカラムにロードした。流量0.2mL/分(348cm/時間)での2mLの平衡化バッファによる洗浄ステップ後、溶出を、4mLの0.2Mのアセテートバッファ(pH4.0)を流量0.4mL/分(696cm/時間)で使用して行った。最後に、吸着剤を4mLの0.85%リン酸で再生した。吸着剤HWRGWV−、HYFKFD−及びHFRRHL−Toyopearl(配列番号:6、16、17)樹脂をコントロールとして使用した。溶出物を280nmでの吸光度でモニタした。
(0062)吸着剤HWMetCitGWMetV−、HYMetMet(Met)2MetD−及びHFMetCitCitHL−Toyopearl(配列番号:18〜20)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製
(0063) コーン画分II+IIIをPBS(pH7.4)に溶解させて約5mg/mLのIgG濃度を得て、Pall Corporation(ポートワシントン、ニューヨーク州、米国)の0.44μm及び0.22μmフィルタを使用して連続的に濾過した。上述したように各ペプチド樹脂を充填し、膨潤させた。0.25MのNaClを含有するPBSバッファでの平衡化後、100μLの供給物試料をカラムに流量0.05mL/分(87cm/時間)でロードした。カラムを2mLの平衡化バッファで流量0.2mL/分(348cm/時間)で洗浄した後、溶出を4mLの0.2Mのアセテートバッファ(pH5.0)で流量0.4mL/分(696cm/時間)で行った。清浄化及び再生を4mLの0.85%リン酸を使用して行い、続いてアセテートバッファ(pH4.0)中の4mLの2Mの尿素で洗浄した。Toyopearl AF−rProtein A−650F樹脂をポジティブコントロールとして使用した。製造業者の指示にしたがい、クロマトグラフィのプロトコルはPBS(pH7.4)(流量0.05mL/分)との結合及び0.1Mのグリシンバッファ(pH2.5)(流量0.4mL/分)での溶出を含んだ。溶出物を280nmでの吸光度でモニタした。画分を回収し、後述するようなIgG純度及び収率の分析に使用した。
(0064)吸着剤Ac−HWRGWV−及びAc−HWMetCitGWMetV−Toyopearl(配列番号:21〜22)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgG精製に伝導率が及ぼす影響
(0065) 上述したように樹脂を充填し、膨潤させ、その間に注入用のコーン画分II+IIIを上述したように準備した。バインディングバッファの伝導率の影響を、PBSに添加する0、0.135及び0.25MのNaClで調査した。バインディングバッファでの平衡化後、100μLの供給物をカラムに流量0.05mL/分(87cm/時間)でロードした。クロマトグラフィのプロトコル及び画分の回収を上述した通りに行った。
(0066)収率及び純度についての試料分析
(0067) 回収した画分中のIgG量を、1mL HiTrapプロテインGカラムを使用してHPLCにより定量化した。IgGの収率を、溶出したIgGのロードした全IgGに対する比として計算した。溶出した画分中のIgGの純度を、還元条件下、Xcell SuperLock(商標)ミニ−セルシステムにおいてNuPAGE(登録商標)Novex 4−12% Bis−Trisゲル(LifeSciences、カールスバッド、カリフォルニア州、米国)を使用し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により求めた。試料の準備を、5μLのNuPAGE(登録商標)LDSバッファ及び2μLのNuPAGE(登録商標)還元剤を13μLの試料に添加し、得られた混合物を10分間にわたって沸騰させることで行った。ゲルを、SimpleBlue(商標)SafeStainを使用してクーマシー染色した。IgG純度を、ImageJ 1.32jソフトウェア(アメリカ国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州、米国)を使用して、クーマシー染色したゲルのデンシトメトリ分析により求めた。
(0068) 生成物の純度を、25及び50KDaでのIgGバンドと同等な総面積に対する割合として計算した。
(0069)結果及び考察
(0070) 7種の非天然アミノ酸、すなわちNin−メチル−トリプトファン、Nin−ホルミル−トリプトファン、4−メチル−フェニルアラニン、4−カルバモイル−フェニルアラニン、O−メチル−チロシン、e,e−ジメチル−リジン及びシトルリンを本研究のために選択した。これらの残基のパラメータ及びトポロジーファイルを、ベース構造としての対応する各標準アミノ酸について利用できるファイルを用いて作成した。側鎖官能基の修飾を、標準残基上の最もよくマッチする部分をコピーし、電荷分布を調節して電気的中性を確保することで導入した。得られたパラメータ及びトポロジーファイルの変更部分をPRODRGサーバに送信したものと照合して、アミノ酸修飾のパラメータ化についての標準的な検証工程を行った。こうしてペプチド配列のバーチャルライブラリが作成され、HADDOCK2.1を使用してhIgGに対するスクリーニングを行った[S.J.de Vries,A.D.J.van Djik,M.Krzeminski,M.van Dijk,A.Thureau,V.Hsu,T.Wassenaar,A.M.Bonvin,Proteins:Struc.Funct.&Bioinformatic 69(2007)726及びC.Dominguez,R.Boelens,A.M.Bonvin,J.Am.Chem.Soc.125(2003)1731]。
(0071) 物理的に意味のあるドッキングを行うために、Yangらによるこれまでの発見に基づいた幾つかの制約をシミュレーションに取り入れた。第1に、hIgGのFcフラグメントのプロテアーゼ消化産物のMS分析により、pFcセグメント上でのHWRGWVに関する推定上の結合配列が明らかとなり、配列はループSer383〜Asn389(SNGQPEN)を含み、ループはプロテインA結合部位(hIgG上の残基341〜443)とはまるで異なることが判明した[23]。この結果はペプチドHWRGWVがhIgG結合に関してプロテインAと競合しないという観察結果と一致した。第2に、ペプチド配列の最初の3つのアミノ酸、すなわちヒスチジンとそれに続く芳香族残基及び塩基性残基を含む基本モチーフがIgG結合にとって極めて重要である。これは、ヘキサペプチドの固相ライブラリをスクリーニングすることで同定された、配列HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)に見られるコンセンサス配列により立証されている[21]。この相同性に基づき、2つの配列HYFKFD及びHFRRHLがHWRGWVと同じhIgGの結合部位と相互作用すると考えるのはもっともである。
(0072) 最後に、ペプチドのC末端はクロマトグラフィ樹脂の表面に繋ぎ止められているため、どちらかというとヘキサペプチドリガンドの残基5及び6はIgGの標的化において限られた役割しか果たしていないと考えられる。この情報に基づき、hIgG上の残基Ser383〜Asn389を「活性である」と定義し、リガンドドッキングのための標的として使用した。全ての活性な残基は、プログラムNACCESSで明らかとなるように、40%より高い相対的溶媒接触率を示す[Campbell&Thornton(1991)J.Mol.Biol.220,507−530]。
(0073) 更に、各ペプチドバリアントに関し、残基1〜2はhIgGの残基389〜387を標的とし、残基3〜4は残基386〜383を標的とし、残基5及び6には標的を割り当てず、相互作用しようするIgG上のいずれの残基とも相互作用するがままとした。検証におけるバイアスを最小限にとどめるために、ドッキングシミュレーションで得られる複合体を選定するにあたって、以下の一般基準を案出した。(1)分子ドッキングの最終段階において各配列について決定した全ての構造を、デフォルトクラスタ化RMSD(平均二乗距離の平方根)カットオフは通常7.5Åに設定されるのに対して2.5Åの厳しいRMSDカットオフ、また4構造の最小クラスタサイズに基づいてクラスタ化した。(2)分析に使用した構造は、各クラスタで最もエネルギー的に好適なドッキング構造であった。(3)各クラスタを、三次元構造が既知である所与のタンパク質−リガンド複合体の結合親和性を見積もる経験的スコアリング関数であるスコアリング法:dComplex、XScore及びFireDockを使用して分析した。
(0074) これらの関数はファン・デル・ワールス相互作用、水素結合、変形ペナルティ、疎水作用、ACE、弱化したファン・デル・ワールス相互作用、部分静電気、結合自由エネルギーの追加推定値及び双極子-双極子相互作用を考慮する[Wang,R.,Y.Lu,and S.Wang,Comparative evaluation of 11 scoring functions for molecular docking.J Med Chem,2003.46(12):p.2287−303及びAndrusier,N.,et al.,Principles of flexible protein−protein docking.Proteins,2008.73(2):p.271−89及びMashiach,E.,et al.,FireDock:a web server for fast interaction refinement in molecular docking.Nucleic Acids Res,2008.36(Webサーバー版):p.W229−32及びLiu,S.,et al.,A physical reference state unifies the structure−derived potential of mean force for protein folding and binding.Proteins,2004.56(1):p.93−101]。複数のスコアリング法を用いたハイブリッドアプローチを採用することで、特定の1つの方法に結果が偏らないようにした。各クラスタをそれぞれのスコアリング法におけるその個々のスコアにしたがって順位づけし、そのようにして作成された個々の順位づけを総計及び平均した。元の配列及び幾つかの選択したバリアントの最終的な順位を表2に示す。図1は、クラスタ番号1の配列(a)HWRGWV、(b)HFRRHL、(c)HWMetCitDWMetV及び(d)HFMetCitCitHL(配列番号:1、3、4、5)を示す。
(0075) ドッキングシミュレーションにより1つの配列あたり複数のクラスタが生成されるものの、多くの場合、クラスタ番号1が、最多構造数及び上記のハイブリッドスコアリング法で最低の平均値を示した。そのような再現性はドッキングシミュレーションがうまくいったことを示し、主要クラスタより著しく低いエネルギーで出現する外れ値を除外することを可能にする。HWRGWV及びHFRRHLをこれらのバリアントHWCitGWV及びHFCitCitHL(配列番号:1、3、10、23)と比較することで、前者は標的抗体との最も多くの接触部を有し、後者は最も多くの水素結合を有することが注目された。これは、アルギニンを含む元の配列と比べると、特には静電成分に関し、バリアントの結合機序が若干異なることを示している。実際、(pH7.4で)正に帯電したアルギニンを電気的に中性なシトルリンで置換すると、結合の静電成分は大幅に減少する。一方では、この置換により、ペプチドバリアントが標的抗体に結合する予想自由エネルギーは元の配列より低くなり、これは前者が後者より低い結合容量を有し得ることを示唆している。他方で、生成物の純度を低下させる負に帯電したタンパク質(特にはアルブミン)の非特異的な静電結合をバリアントが電位的に起こしにくくなる。これらの違いは、クロマトグラフィのプロトコル、特にはバインディングバッファの伝導率がIgG収率及び純度に及ぼす影響に直接影響し、それについては本明細書において論じる。
(0076) HWRGWV及びHFRRHLの他のバリアントをホルミル−トリプトファン及びカルバモイル−フェニルアラニンを使用して設計したが、どちらも良好なスコアを得られなかった。アスパラギン酸とIgG上の残基383〜386(SNGQ)(配列番号:24)との間に水素結合を電位的に形成して親和性を上昇させることを目的として、もう1つのバリアントHWMetCitDWMetV(配列番号:4)を、グリシンをアスパラギン酸で置換することで作成した。しかしながら、予想に反して、この配列のスコアは低かった。HYFKFD並びにその2つのバリアントHYMetMetMetMetD及びHYMetMet(Met)2MetD(配列番号:2、13、7)にも行ったが、得られたスコアは平均して悪く、これはHWRGWV、HFRRHL及びこれらのバリアントより親和性が低いことを示す。
(0077) 表2に挙げた配列をToyopearl樹脂上に、全て密度約0.12ミリ当量/gで合成した。このようにして得られた各吸着剤をクロマトグラフィカラム(0.1mL)に充填し、IgG結合について試験した。素通り画分及び溶出画分を回収し、プロテインGクロマトグラフィで分析してIgG収率を求めた(表2)。各配列の平均順位と収率とを比較すると、ドッキングシミュレーションと抗体結合の実験結果とがよく一致していることがわかる。これは、バーチャルライブラリの設計、ドッキング制約の割り当て及びシミュレーション結果の分析がうまく行われ、ペプチドバリアントを選定するための効果的なストラテジーを構成していることを裏付けている。
(0078)
Figure 2016527231
(0079)IgG結合及びタンパク質分解酵素への耐性によるペプチドリガンドのクロマトグラフィによる評価
(0080) 表2で報告した結果に基づき、元の配列HWRGWV、HFRRHL及びHYFKFD(配列番号:1〜3)並びにこれらのバリアントHWMetCitGWMetV、HFMetCitCitHL及びHYMetMet(Met)2MetD(配列番号:4、5、7)を、酵素による消化に対するその耐性について試験した。配列HWMetCitGWMetV、HFMetCitCitHLをそれぞれの元のペプチドの最良のバリアントとして選択し、HYMetMetMet2MetDをネガティブコントロールとして使用した。最後に、もう2つの配列HWCitGWV及びHWMetRGWMetVを中間バリアントとして選択し、したがって1種の酵素にしか耐性を示さないと予測した。各吸着剤をクロマトグラフィに5回連続して供した。まず、10mg/mLの純粋なヒトポリクローナルIgGのPBS溶液を注入して各吸着剤についてIgG収率を求めてからいずれの酵素とも接触させた。この最初の回で4種全てのペプチドバリアントが収率91%を超えた。次に、樹脂を、Trisバッファ(pH8.5)中のα−キモトリプシン溶液に10分間接触させた。カラムにロードした酵素の量は、Verdolivaら[35]が行ったように、質量比1:100のペプチド:酵素であった。樹脂をすすいだあと、次に2回目のIgG注入を行うことでα−キモトリプシンによるペプチドリガンドの消化を原因とする結合容量の損失を見積もった。次に、樹脂を第2の酵素溶液、すなわちTrisバッファ(pH8.5)中のトリプシンと同じペプチド:酵素比で接触させた。2回目の酵素処理後、3回目のIgG注入を最後に行うことで各樹脂の残りの結合容量を見積もった。図4は、吸着剤HWMetCitGWMetV−Toyopearl、HWMetRGWMetV−Toyopearl、HWCitGWV−Toyopearl及びHWRGWV−Toyopearl(配列番号:18、25、26、6)樹脂についての3回のIgG注入のクロマトグラムを示す。
(0081) HWRGWVはトリプシン及びα−キモトリプシンの両方により明らかに分解されており、両方の酵素で処理した後の結合容量の損失で示される通りであるが(図2、a)、そのバリアントであるHWMetCitGWMetVはどちらにも全く影響されない(図2、d)。予想した通り、中間バリアントHWMetRGWMetV及びHWCitGWVはそれぞれα−キモトリプシン及びトリプシンの1種の酵素にしか耐性を示さない(図2、b及びc)。残りの吸着剤について得られた結果を表3にまとめる。表3は、α−キモトリプシン(2回目のIgG注入)及びトリプシン(3回目のIgG注入)での処理前(1回目)及び処理後のIgG収率値を示す。
(0082) 図2のパネル(A)〜(D)は、天然のペプチドバインダ及び修飾ペプチドバインダのタンパク質分解消化産物を示す。
(0083) (A)のクロマトグラムは、両方のタンパク質分解酵素が元のペプチドリガンドを消化することを示す。まず、トリプシンがRを攻撃し、次にα−キモトリプシンがWで切断する。
(0084) (B)のクロマトグラムは、修飾WMのおかけでα−キモトリプシンはペプチドを切断しないこと、その一方でトリプシンはペプチドをRで切断することを示す。
(0085) (C)のクロマトグラムは同様の挙動を示すが、シトルリンがRに取って代わるためトリプシンは効果がない。
(0086) (D)のクロマトグラムは、WをWMに、またRをシトルリンに置換したことで、どちらの酵素でも分解の兆候がないことを示す。
(0087) 幾つかの他のペプチド配列を、複合培地からの抗体のアフィニティ精製用に同定した。マウスの腹水から抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)モノクローナル抗体を捕捉するために、配列APAR(配列番号:27)を合成テトラペプチドライブラリから選択した。ペプチドリガンドPDTRPAP(配列番号:28)を、がん関連MUC1ムチンに対して産生させた抗体を使用したエピトープマッピングにより同定した。Ehrlich及び共同研究者はペプチド配列EPIHRSTLTALL(配列番号:29)を、ヒト化抗Tac IgG1抗体(HAT)のpFcフラグメントに対するバイオパニングを通してファージディスプレイライブラリから単離した。Fassina及び共同研究者は、TG19318又はPAM(プロテインA模倣物)としても知られる、IgGのFc部に結合するトリペプチドテトラマー(Arg−Thr−Tyr)4−Lys2−Lys−Gly(配列番号:30)を同定した。昨今、Lundらは、D2AAG(配列番号:31)と称される、IgG精製用のペプチドリガンドを発表し、このペプチドリガンドはアルギニン(A)及びグリシン(G)並びに合成の芳香族の酸である2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアクリレート(D)を含む。抗体精製で知られるこれらのペプチドリガンドは全て、芳香族(トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン)又は塩基性アミノ酸(リジン及びアルギニン)のいずれかを含有し、これらがペプチドリガンドをトリプシン及び/又はα−キモトリプシンによるタンパク質分解を起こしやすくしている。したがって、ここで提案する方法は、プロテアーゼ耐性ペプチドバリアントの設計に関して極めて広い有効性を有する。したがって、酵素による切断に耐性があるペプチドリガンドバリアントの構築が可能である。これらのリガンドは、動物の血漿からのIgG及び他の目的とするタンパク質の精製に使用することができる。
(0088) 追加の注釈として、生化学的に安定なペプチドリガンドを製造するための本明細書に記載の方法は概してタンパク質分解酵素を含有し得る任意の体液から精製しようとする全種類の標的生体分子に対して有効であるため、リガンドバリアントの設計及び標的生体分子に対するそのスクリーニングの工程のオートメーション化が可能なことに留意すべきである。天然アミノ酸を含む所与のペプチドリガンドについて、ソフトウェアは、修飾アミノ酸を使用してペプチドバリアントのライブラリを作成する。また、この設計ユニットは続くドッキングモジュールに連結され、ドッキングモジュールは設計した配列を標的分子又は、より理想的には、標的分子上の既知の結合領域にドッキングさせる。このソフトウェアパッケージは、本格的なドッキングプログラムがある設備を持ち合わせていないユーザにとって非常に価値があるものとなり得る。
(0089)
Figure 2016527231
(0090) リガンドHFRRHL及びその誘導体HFMetCitCitHLで得られた結果はHWRGWV及びHWMetCitGWMetVの結果に非常によく似ている。配列HWRGWVはトリプシンにとって申し分のない基質であり、これはアルギニンに対してC位にあるグリシンが酵素によるペプチド攻撃にとって立体的に好ましいからである可能性が最も高い。配列上でのアルギニンの近接により酵素攻撃は若干弱るものの、ペプチドHFRRHLもトリプシンにとって良い基質である。逆に、HYFKFDはトリプシンによる攻撃の影響を殆どうけないが、これはペプチド上での酵素活性部位の効果的な係留を妨げ得る、リジンに隣接する残基の立体障害のせいであると考えられる。そのバリアントHYMetMet(Met)2MetDは、配列がタンパク質回収には不向きであることが低収率値により示されてはいるものの、タンパク質分解に対して高い耐性を示す。
(0091) 配列次第であるが、これらの結果は、同様の抗体結合特性を維持したまま天然アミノ酸が類似の合成残基に置換されることをはっきりと実証している。
(0092) ドッキングシミュレーションで予測されるように、元の配列の時の結合特性が、酵素による消化に対する高い耐性をもたらす。芳香族アミノ酸のメチル化がα−キモトリプシンによるタンパク質分解攻撃を大幅に弱化させ、シトルリン及びメチル化リジンの使用がトリプシンの作用を完全に防止すると思われる。提案する置換の中で最も重要と思われるにも関わらず、結合の静電成分を減少させる限り、シトルリンは標的への結合及び生化学的耐性の両方の観点から極めて優れた置換基であることが判明した。
(0093)吸着剤HWMetCitGWMetV−、HFMetCitCitHL−及びHYMetMet(Met)2MetD−Toyopearl樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製
(0094) IVIG精製用に提案のリガンドバリアントの適用可能性を測るために、配列HWMetCitGWMetV、HFMetCitCitHL及びHYMetMet(Met)2MetDをヒト血漿のコーン画分II+IIIからのポリクローナル抗体の精製に使用した。元のペプチドリガンドをポジティブコントロールとして使用した。コーンII+IIIペーストの粗原料をPBSで希釈して供給物試料を調製し、固体粒子を濾過により除去してからカラムに注入した。この作業で採用したクロマトグラフィのプロトコルは前もっての最適化から導きだされ、バインディングバッファとしてのPBS中の0.25MのNaCl及び溶出用の0.2Mのアセテートバッファ(pH5.0)の使用を含んだ[24]。画分を回収し、プロテインGクロマトグラフィ及びSDS−PAGE(図3)により分析することでIgG収率及び純度をそれぞれ求めた。結果を表4にまとめた。
(0095)
Figure 2016527231
(0096) バリアントHWMetCitGWMetV及びHFMetCitCitHLで得られた生成物の収率及び純度は、元の配列及びプロテインAで得られる結果に全く引けをとらない。溶出した画分中に少量のアルブミンを検出する場合があるものの(図3)、両方のリガンドが極めて高い生成物収率及び純度をもたらした。観察可能な汚染物質の殆どはカラムをあっさりと通過し、他の免疫グロブリン(すなわち、IgA及びIgM)が結合することが一部あるものの、溶出条件(pH5.0)を選択することで溶出画分でのその存在を最小限に抑えた[49]。バリアントHYMetMet(Met)2MetDでは高い生成物純度が得られたが、収率の点で劣った。後者は上記の結果から予想できたが、溶出画分における高IgG純度は予想外であった。アルキル化アミノ酸の使用に起因する高い配列疎水性にも関わらず疎水性相互作用による不純物の非特異的な結合が殆どなかったのは驚きである。
(0097) また、ペプチドバリアントと結合するアルブミン及び他の不純物の量が元の配列で観察されるものより終始一貫して少ないことに注目すると興味深い。このことはこれまでの発見及びドッキングシミュレーションで得られた情報を考慮すると説明することができる。例えば、pH7.4で2つの正電荷(1つはアルギニン、もう一方はペプチドN末端)を有する元の配列HWRGWVは、血漿中に存在する最も豊富で負に帯電したタンパク質であるアルブミン(pI=4.7)を静電的相互作用により捕捉すると判明した。アルブミン及び類似のタンパク質不純物のこの非特異的な結合を回避するために、生成物の収率及び純度の点で最良の妥協点がもたらされる最適レベルまで塩化ナトリウムを添加することで、バインディングバッファの伝導率を上昇させた[25]。しかしながら、塩の使用は、精製工程に更に費用がかかるということである。正に帯電した残基をシトルリン、ジメチル化リジン等の電気的に中性なアミノ酸で置換することで、バインディングバッファ中に存在する塩の量に関係なく、静電結合の程度は本質的に低下する。これらの発見は、リガンドバリアントで得られる高い純度を説明する一方で(表3)、塩が収率及び純度に及ぼす影響についてのより徹底した研究を必要とし、この研究については後出のセクションで紹介する。
(0098)吸着剤HWRGWV−Toyopearl、Ac−HWRGWV−Toyopearl、HWMetCitGWMetV−Toyopearl及びAc−HWMetCitGWMetV−Toyopearl(配列番号:6、32、18、22)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGの精製に伝導率が及ぼす影響
(0099) 結合の静電成分の程度を測るために、バインディングバッファの伝導率が生成物の収率及び純度に及ぼす影響を、異なる電荷値及び分布を有する4種のペプチドリガンド:(a)元のHWRGWV、(b)そのアセチル化版Ac−HWRGWV、(c)バリアントHWMetCitGWMetV及び(d)そのアセチル化版Ac−HWMetCitGWMetVを使用して研究した。
(0100) これら4種の配列を、コーン画分II+IIIからのIVIGの精製に使用した。HWRGWVを使用したIVIG精製のこれまでの研究において上述したように、PBS+0.25MのNaClを最適なバインディングバッファとして選択した。前出のセクションで得られた結果は、正に帯電したアミノ酸を中性の残基で置換するとリガンドの静電挙動が減少するため生成物純度が上昇するという仮説につながった。この仮説を検証するために、結合研究を上で挙げた配列並びにPBS中に0M、0.13M及び0.25MのNaClを含む3種のバインディングバッファを使用して繰り返した。図4は4種の吸着剤のそれぞれでの、異なる伝導率で得られたSDS−PAGEの結果を示し、表9は得られた生成物収率及び純度の値を示す。図3。吸着剤(a)HWRGWV−Toyopearl樹脂及びHWMetCitGWMetV−Toyopearl樹脂、(b)HFRRHL−Toyopearl樹脂及びHFMetCitCitHL−Toyopearl樹脂並びに(c)HYFKFD−Toyopearl樹脂及びHYMetMet(Met)2MetD−Toyopearl樹脂を使用した、ヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。表記:FT−素通り画分、EL−溶出画分。
(0101)
図4異なる塩濃度のバインディングバッファで行ったヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。(a)HWRGWV及びAc−HWRGWV、(b)HWMetCitGWMetV及びAc−HWMetCitGWMetV。表記:FT−素通り画分、EL−溶出画分。
(0102)
Figure 2016527231
(0103) 表5が示すように、ペプチド上の正電荷の数値の低下はより高いIgG純度につながる。予想通り、バインディングバッファの伝導率が生成物の純度に及ぼす影響は、2つの正電荷を有するため静電力の遮蔽の影響を最も受けやすいHWRGWVで極めて明白であり、Ac−HWMetCitGWMetVでは、伝導率の影響はほぼ無視してよいものである。後者とHWMetCitGWMetV、また元の配列及びそのアセチル化形態とを比較すると、ペプチドN末端のアセチル化は、シトルリンによるアルギニンの置換より生成物の収率及び純度への影響が少ないことがわかる。低伝導率のバインディングバッファを使用してAc−HWMetCitGWMetVで得られたIgG純度(93%)は、HWRGWVを使用して得られたどの値(81〜83%)よりも高い。とりわけ、収率を犠牲にして高純度が達成されたことはなく、このバリアントに関して元の配列のものより若干低い結合のΔiGを予測したドッキング計算の結果に基づいて幾らかの低下を予測していたにも関わらず、純度は安定して90%を超え続けた。配列Ac−HWMetCitGWMetVは、小ペプチドリガンドアフィニティクロマトグラフィをベースとした手頃且つロバストな抗体精製法に必要とされる特徴を数多く有する。
(0104)結論
(0105) 本研究は、標的親和性及び選択性並びに生化学的安定性の極めて優れた特徴を有する、非天然アミノ酸を含む小ペプチドリガンドを設計するためのストラテジーを提供する。既知のペプチド配列について得られる情報(特には、標的とする生体分子上での結合部位)及び最先端のモデリングツールの使用をベースとして、本方法は、鍵アミノ酸残基を非天然バリアントで置換することで結合機序を都合よく変化させる又は化学的及び生物学的な物質(例えば、強酸、強塩基及びタンパク質分解酵素)に対する安定性を付与することを指導する。HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHLの3種の抗体結合ペプチドを、より高いタンパク質分解耐性を示し且つ高い標的親和性及び特異性を維持するリガンドバリアントを開発するためのモデルとして利用した。コーン画分及びハイブリドーマ細胞培養液等の血漿をベースとした流体から回収される抗体の価値が高いことから、本研究はこれらのペプチドに主要な血漿プロテアーゼであるトリプシン及びα−キモトリプシンに対する生化学的安定性を付与することを目指した。これを目的とし、芳香族及び塩基性アミノ酸をメチル化バリアント及びシトルリンで置換することでバリアントのバーチャルライブラリを設計し、次に分子ドッキングソフトウェアHADDOCKを使用してIgG上のペプチド結合部位(Ser383〜Asn389)に対するin silicoスクリーニングを行った。
(0106) ドッキング計算の結果に基づいて選択したペプチドバリアントをクロマトグラフィ樹脂上に合成し、タンパク質分解に対する耐性及びヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製について試験した。これらのバリアントはこれらの親配列に匹敵する標的親和性及びはるかに高い生化学的耐性を有する。更に、HWRGWV関連バリアントのIgG結合機序の静電成分についての徹底的な研究により、元の配列HWRGWVより高い選択性を示す配列Ac−HWMetCitGWMetVが同定された。アルブミン及び他の不純物との結合が本質的に少ないことを吸着剤Ac−HWMetCitGWMetV−Toyopearl樹脂は示し、これは高IgG純度を得るのにバインディングバッファで必要とされる塩の量が減少するため精製コストが低下するということである。
(0107) 本発明で用いたアプローチは概して、生体分子を標的とするいずれの小合成又は天然ペプチドリガンドでも有効である。結合部位が一旦うまく絞れたならば、分子ドッキング用の信頼性の高いプログラムを使用して大きなライブラリを迅速且つ安価に設計及びスクリーニングすることが可能である。結合強度を適切に見積もることに加え、これらのツールは、リガンド−標的相互作用の性質に関する洞察も与える。アミノ酸置換基を慎重に選択することで、ペプチドリガンドの生化学的性質を微調整することができる。特に、電荷並びに疎水性及び親水性基の分布を変更することで、生化学的安定性に加えて親和性及び選択性を強化することが可能である。化学分解しやすいアミノ酸(例えば、アルカリ性条件下でアミド分解を起こすアスパラギン及びグルタミン)の代わりに合成バリアントを使用することは、タンパク質溶出並びにカラムの清浄化及び衛生化にきつい化学物質を使用するアフィニティクロマトグラフィ用のペプチドリガンドの設計に特に適している。化学分解の度合いの低下は吸着剤の寿命が延びることを意味する。
(0108) また、本明細書で提示のアプローチには、タンパク質活性機序の根底にある非共有結合性相互作用についての基礎的な研究の余地がある。適切なアミノ酸を使用して特定の結合成分を抑制する又は活性化することで、生体認識現象を研究し、標的とリガンドとの特異的相互作用を制御する小生体分子を設計することが可能である。本研究は、標的抗体への結合において幾つかの点でプロテインAをしのぐ小ペプチドバリアントを提示することでこの方向の一例を示すものである。これらの発見は、バイオセパレーション、より広くはバイオテクノロジーにおける多種多様な用途向けの、大きな可能性を秘めた最適な合成タンパク質模倣物に向けての前進である。
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(0109) 本発明について詳述してきたが、上記は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の他の態様、利点及び改変は、後述する請求項の範囲に含まれる。本明細書で引用の全ての出版物、特許及び特許出願は、個々の出版物又は特許出願があたかも参照により具体的且つ個別に示されて援用されたかのように、参照により本願に援用される。
Figure 2016527231

Figure 2016527231

Claims (12)

  1. 生物学的製剤に結合可能であり且つ1つ以上の塩基性アミノ酸又は芳香族アミノ酸を含む、3〜20個のアミノ酸を含むプロテアーゼ耐性ペプチドであって、前記アミノ酸の1つ以上が非天然アミノ酸類似体で置換されている、プロテアーゼ耐性ペプチド。
  2. 前記非天然アミノ酸類似体が表6に挙げられている、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  3. ヘキサペプチドである、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  4. ヘキサペプチドであり且つ前記非天然アミノ酸類似体での置換前に配列HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)を有する、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  5. エンドペプチダーゼによる消化に対して耐性である、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  6. エクソペプチダーゼによる消化に対して耐性である、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  7. 前記エンドペプチダーゼがα−キモトリプシンである、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  8. 前記エンドペプチダーゼがトリプシンである、請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチド。
  9. 請求項1に記載のプロテアーゼ耐性ペプチドにカップリングしている固形担体。
  10. 生物学的製剤の精製方法であって、以下の工程、
    生物学的製剤が固形担体に結合するように、請求項9に記載の固形担体を生物学的製剤と適切な条件下で接触させる工程、
    前記固形担体及び結合した生物学的製剤を洗浄する工程、並びに
    前記生物学的製剤を前記固形担体から溶出させて前記生物学的製剤を精製する工程
    を含む、方法。
  11. 前記生物学的製剤が抗体である、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項9に記載の固形担体を備える診断キット。
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