JP2016526900A - 単離された微生物株ラクトバチルス・プランタルムtak59 ncimb42150およびその使用 - Google Patents

単離された微生物株ラクトバチルス・プランタルムtak59 ncimb42150およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、飼料中の栄養素の損失を減少させることにおける、飼料の発酵を促進するため、乳酸の濃度を増加させるため、および、pHを低下させるために使用される、単離された微生物ラクトバチルス・プランタムTAK59 NCIMB42150提供する。プランタムTAK59は飼料中の飼料中のアンモニア窒素および酪酸の濃度を減少させる。サイロ貯蔵での微生物の使用は、飼料中のタンパク質分解性微生物および病原微生物(腸病原体およびクロストリジウム属)の活性を抑制する。ラクトバチルス・プランタムTAK59は、容易にサイレージ添加剤として用いることが可能であり、飼料のサイロ貯蔵を中程度に難しくし、および、飼料の保存期間の延長をする。

Description

本発明は、生物工学の分野に属し、飼料製造に適用される。本発明は、発酵の品質、および飼料の品質を増加させるための、微生物学的なサイレージ添加剤および飼料発酵におけるその使用を包含する。
今日の高い乳生産量の高精度な畜産農業において、年間通じて高品質の飼料を確実に動物に摂取させることが極めて重要である。サイレージは、このような飼料であることが証明されている。サイレージは、高含水量の作物の制御された発酵によって生産された材料である(例えば、非特許文献1参照。)。草およびマメ科植物のサイレージ飼草(forage)に加えて、穀類、ホールクロップ穀類(トウモロコシなど)、アルコール産業および製糖産業の副産物(すなわち湿潤した蒸留かす(distillers grain)、醸造かす(brewers’ grains)、パルプ)を発酵させて、飼料を提供することもできる。
サイロ貯蔵は、数々の異なる化学的および微生物学的プロセスならびにそれらの合同作用の複合体である。飼料の天然発酵は制御が難しい。しかしながら、サイロ貯蔵は、酸素を利用しない乳酸発酵と考えられている(例えば、非特許文献2参照。)。これは、嫌気性条件において、微生物(理想的には乳酸菌)が、水溶性炭水化物を有機酸に発酵させることを意味する。好都合な条件下において、この発酵プロセスは乳酸を優勢に産生するため、結果的にサイレージのpHは低下し始める。このpH低下は、望ましくない微生物の増殖および作用を阻害するため、飼料が保存される。サイレージのpHがpH4に速く低下すればするほど、より速く飼料は安定化し、より多くの栄養素を保存することができる。
サイロ貯蔵の成功または困難さは、サイロ貯蔵中の植物材料の品質、およびサイレージ生産に使用される技術的な方法によって左右される。低い乾物含量および水溶性炭水化物を有する植物材料をサイロ貯蔵することは困難であり、さらに高い緩衝能力を有する植物材料をサイロ貯蔵することも困難である(例えば、非特許文献3参照。)。2008年4月25日の欧州連合委員会の規制(EC)第429/2008号によれば、1.5パーセント未満の水溶性炭水化物(WSC)含量を有する飼草をサイロ貯蔵することは難しく、1.5〜3パーセントのWSCを有する飼草をサイロ貯蔵することは、容易から中程度に難しく、材料が3パーセントより高いWSC含量を有する場合、さらにより容易であると考えられている。これに加えて、気候条件も、サイロ貯蔵およびサイレージの品質に影響を与える。最適には及ばない気候条件の場合、乾物含量およびWSC含量を増加させ、および、緩衝能力を低下させるために、すなわち植物材料のサイロ貯蔵性(ensilability)を増加させるために、植物材料をしおれさせることは不可能である。また難しいサイロ貯蔵条件は、飼料の腐敗を引き起こす望ましくない微生物(腸病原体、クロストリジウム属、杆菌、菌類、リステリア属)の発達も促進する。残念なことに、サイレージ作物の最適な発達段階中に収穫の気候を選択することができない。サイレージの化学物質含量は、主として、植物の発達段階および植物材料の発酵の品質によって決まる。増殖後期に収穫された植物で作製される栄養価の低いサイレージは、それを餌にする動物の生産性を低下させ、そのうち腐敗した飼料は、動物に供給できなくなる。サイレージの品質の評価において、発酵パラメーターが極めて重要である。サイロ貯蔵の成功を評価するためのパラメーターが多ければ多いほど、飼料品質のより優れた概要が得られる。最も重要な発酵パラメーターは(重要性の順で列挙されていない)、エタノール、揮発性脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)および乳酸の濃度、pHならびに全窒素中のアンモニア窒素含量である。生成する発酵産物の種類は、サイレージ作物、サイレージ生産に使用される技術的な方法、貯蔵所のサイロ貯蔵材料中の微生物集団、および貯蔵所の気密性によって決まる。
サイロ貯蔵プロセスに良い作用を与えるために、サイレージ添加剤が使用される。サイレージ添加剤は、乳酸発酵を向上させてサイロ貯蔵中のpH低下を促進したり、および/または貯蔵所で植物材料中の望ましくない微生物の作用を阻害したりすることにより、それらによって産生された生成物が傷まないようにする添加剤と理解されている。
最も一般的なサイレージ添加剤は、酵素、糖、酸、塩および細菌の接種材料である。(例えば、非特許文献4参照。)。
ほとんどのサイレージ添加剤は万能ではないが、サイロ貯蔵される作物または問題に特定されている。サイレージ添加剤は、サイロ貯蔵が容易である、中程度に難しい、もしくは難しいサイレージ作物に好適であるか、または飼料の腐敗を引き起こす菌類、クロストリジウム属および他の微生物の影響の阻害に好適である。
サイレージ添加剤を使用する目的は、望ましい発酵を促進して望ましくない微生物の影響を阻害することである。化学添加剤は、サイロ貯蔵作物の酸性度を増加させる酸により発酵を制限するか、または望ましくない微生物の作用を阻害する他の化学物質を含有する。化学的なサイレージ添加剤は、通常、最適には及ばないサイロ貯蔵条件で使用されるが、一方でこれらの条件における生物学的なサイレージ添加剤の良い影響は十分に証明されていない。発酵は、糖、酵素または乳酸菌を含有する生物学的なサイレージ添加剤によって促進/強化される。乳酸菌ベースのサイレージ接種材料を添加することによって、この有益な細菌が植物材料中で優勢になる。したがって乳酸菌の競合力が増加し、発酵プロセスが促進される。乳酸菌によって産生された乳酸は、貯蔵されたサイレージにおける酸性環境および飼料保存の成功を迅速にもたらす。迅速なpH低減は、サイレージ中で望ましくない微生物(タンパク質分解性微生物および病原微生物、例えばクロストリジウム属、杆菌、リステリア属および腸病原体など)の作用を阻害する。結果として、家畜における飼料摂取の低下および健康問題を引き起こす不良な発酵の有害な分解化合物(例えばアンモニアおよび酪酸)の形成が防がれる。酵母によって産生されたプロピオン酸、高含量の酢酸またはエタノールは、サイレージにおいて望ましくない。サイレージの腐敗を引き起こす微生物の生存を防ぐことによって、動物生産に使用できる栄養素を飼料中に保持することができる。乳酸菌は天然の植物ミクロフローラの一部であるため、乳酸菌ベースのサイレージ添加剤は、化学的な添加剤とは異なりそれらは特殊な取り扱いを必要としないため、使用が簡単な天然産物を構成し、腐食もしないし環境を害したりもしないと予想される。上述の欧州委員会の規制において、サイレージ添加剤は、技術的な添加剤として言及されている。
サイレージ発酵の品質を増加させることにおける乳酸菌の使用は、数々の特許出願および特許において記載されてきた。
特許文献1(J.Setala et al.,Valio 1993)では、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)DSM4904(AIV755)を含有する飼料添加剤が記載されている。
特許文献2(B.B.Ten et al.,Duphar International Research B.V.)では、微生物株ラクトバチルス・プランタルムCBS342.92およびCBS343.92が記載されている。これらは、クロストリジウムを低減させる因子、すなわちタンパク質様の因子を提供する。
特許文献3(S.P.Mann et al.,Biotal Ltd 2001)では、酵母およびカビを抑制し、さらに飼料およびサイレージ中に空隙を生じさせる細菌も抑制する、ブーフナー乳酸杆菌(Lactobacillus buchneri)(NCIMB40788)の使用が記載されている。
特許文献4(D.Davies et al,Genus Plc,2003)では、ラクトバチルス・プランタルムNCIMB41028およびラクトバチルス・パラカゼイ種パラカゼイ(Lactobacillus paracasei sp.paracasei)NCIMB41029(サイロ貯蔵が難しい材料の発酵に使用される)が記載されている。これらの株は、炭水化物が少ないサイロ貯蔵材料中のフルクタン(フルクトースの残基で構成される)の分解を可能にする。
特許文献5(特許文献6として公開)(E.M.Binder et al,2010)では、以下:エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)(DSM3530)、乳酸短桿菌(Bacillus brevis)(DSM19456)、ラクトバチルス・プランタルム(DSM19457)、ラクトバチルス・ケフィリ(Lactobacillus kefiri)(DSM19455)、トリコスポロン属新種(DSM14153)、トリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides)(DSM14156)、トリコスポロン・ダルシタム(Trichosporon dulcitum)(DSM14162)およびユーバクテリウム属(DSM11798)の少なくとも2種の微生物と、サイレージ中のマイコトキシンを減少させ、さらに動物におけるメタン放出も減少させる、大きい内部表面積を有する無機物質、例えばケイ酸アルミニウムとを含有するサイレージ添加剤が記載されている。
特許文献7(Chan R.K−F.et al.,Pioneer Hi−Bred International,Inc.,2002)では、同種発酵性乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムを、異種発酵性ブーフナー乳酸杆菌または乳酸短桿菌および微生物エンテロコッカス・フェシウムと共に使用することが、サイレージの好気的安定性の増加に関して記載されている。特許文献8(Charley R.C et al.,Lallemand Animal Nutrition North America,2006)では、サイレージの好気性の腐敗を回避することにおける微生物ラクトバチルス・ディオリボランス(Lactobacillus diolivorans)の使用が記載されている。
欧州特許EP0369198号明細書 欧州特許出願EP0580236号明細書 欧州特許EP0880323号明細書 イギリス特許GB2356125号明細書 欧州特許出願EP2312955号明細書 国際公開第2010/017568号 米国特許US6403084号明細書 国際特許出願国際公開第2006/007395号
McDonald,P.,Henderson,A.R.,Heron,S.J.E.1991.The biochemistry of silage.2nd ed.Chalcombe Publications,Marlow,Bucks UK,p.340 Rooke,J.,A.and Hatfield,G.,D.,2003.Biochemistry of Ensiling.In:Silage science and Technology.D.R.Buxton,R.E.Muck,and J.H.Harrison,eds.American Society of Agronomy,Madison,Wisconsin,USA.pp.95−139 Pahlow,G.,Rammer,C.,Slottner,D.,Tuori,M.Ensiling of legumes.In:Wilkins R.J.and Paul,C.(eds):Legumes Silages for Animal Production−LEGSIL.Braunschweig,FAL,2002,pp.27−31 Kung,L.,Stokes,M.R.,Lin,C.J.,2003.Silage additives.In:Silage Science and Technology.D.R.Buxton,R.E.Muck,and J.H.Harrison,eds.American Society of Agronomy,Madison,Wisconsin,USA.pp.305−360 EFSA Journal 2012;10(6):2740 Hutt P,Shchepetova J,Loivukene K,Kullisaar T,Mikelsaar M.Antagonistic activity of probiotic lactobacilli and bifidobacteria against entero−and uropathogens.J Appl Microbiol.2006;100(6):1324−32 AOAC,2005.Official methods of analysis of AOAC International,18th ed.Association of Official Analytical Chemists International,Gaithersburg,MD,USA Van Soest,P.J.,Robertson,J.B.,Lewis,B.A.1991.Methods for dietary fiber,neutral detergent fiber and nonstarch polysaccharides in relation to animal nutrition−J.Dairy Sci.74:3583−3597
問題は、ほとんどのサイレージ添加剤は、サイロ貯蔵されている作物に特定されているか、または特定の問題に特定されていることである。これは、サイレージ添加剤は、サイロ貯蔵が容易である、中程度に難しい、もしくは難しいのいずれかであるサイレージ作物に好適であるか、またはそれが、酵母、カビもしくは飼料の腐敗を引き起こす可能性がある他の微生物の作用を阻害することを意味する。
本発明によって提供された微生物株は、全ての作物、すなわち、サイロ貯蔵が容易な、中程度に難しい、または難しい作物をサイロ貯蔵し、飼料の腐敗を引き起こす可能性がある微生物の作用を阻害するのに好適である。
本発明は、単離された微生物ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150、ならびに前記株を含む飼料、飼料添加剤および組成物を開示する。飼料は、発酵した飼料、例えばサイレージであり得る。飼料添加剤は、サイレージ添加剤であり得る。組成物中の他の成分として好適な賦形剤が包含されていてもよい。
本発明の次の目的は、飼料の発酵を促進すること、乳酸の濃度を増加させること、pHを低下させること、ならびに飼料中の栄養素の損失ならびに飼料中のアンモニア窒素および酪酸の濃度を減少させることにおける、その命名された微生物の使用である。ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイロ貯蔵が容易な、中程度に難しい、または難しい作物のサイロ貯蔵に好適である。ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は乳酸発酵を向上させ、結果として、産生された乳酸がサイレージのpH低下を促進する。
また本発明は、飼料中のタンパク質分解性微生物および病原微生物の活性を阻害するための前記微生物の使用も開示する。例えば、タンパク質分解性微生物および病原微生物は、腸病原体、クロストリジウム属および酵母を含み得る。前記腸病原体は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、腸炎菌(Salmonella Enteritidis)、ネズミチフス菌(S.entericaserovar Typhimurium)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・サカザキイ(Enterobacter sakazakii)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などを含む群から選択される。前述のクロストリジウム属は、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)、酪酸菌(C.butyricum)、スポロゲネス菌(C.Sporogenes)などであり得る。
抗微生物特性に対する調査に基づいて、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、望ましくない微生物の増殖および作用を阻害する。
ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いた標的化された乳酸発酵による迅速で大規模なpH低下の結果として、酵素および望ましくないタンパク質分解性病原微生物の影響、およびそれらによって産生された分解化合物の産生が阻害される。ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を使用する場合、飼料中のアンモニア窒素および酪酸(サイレージ中のタンパク質分解性微生物によって産生された)の濃度は、対照サイレージまたは化学的なサイレージ添加剤で生産されたサイレージと比較して有意に低い。またラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、エタノール(酵母によって産生された)の濃度および酢酸(飼料中の酢酸菌および腸内細菌によって産生された)の濃度も低下させる。
本発明の次の目的は、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の接種により、飼料の保存を長くする方法である。家畜のために、栄養価の高い優れた品質の飼料を確保しなければならない。乳生産量が高い多くの国々と同様に、植物生長期間(vegetation period)は1年中続かず、必要な飼料を保存しなければならない。このような保存された飼料が、嫌気性乳酸菌を用いて植物材料を発酵させて生産されたサイレージである。
草およびマメ科植物のサイレージ作物に加えて、穀類、ホールクロップ穀類(トウモロコシなど)、アルコール産業および糖産業の副産物(すなわち湿潤した蒸留かす、醸造かす、パルプ)もサイロ貯蔵される。
サイロ貯蔵しようとする植物材料にラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を接種することによって、より多くの乳酸が産生され、さらに飼料のpHが低下することにより発酵が促進される。これは順に、サイレージ中の望ましくない微生物の増殖および作用を阻害し、飼料中の栄養素の損失を減少させると予想される。飼料中の腐敗を引き起こす微生物(タンパク質分解性微生物および病原微生物など)の作用が阻害されれば、上述の方法で発酵する場合、数カ月にわたり嫌気性条件で安定であり保存することができる優れた品質の飼料が保障される。これは、いかに長く飼料を保存できるかということである。
微生物ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、発酵した飼料1g当たり1×105〜1×106CFUの比率で飼料に添加される。
L.プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いた、サイロ貯蔵が容易な飼草の発酵品質の向上を示す図であり、ここでaは、エタノール、g/kg乾物であり;bは、酢酸、g/kg乾物であり;cは、プロピオン酸、g/kg乾物であり;dは、酪酸、g/kg乾物であり;eは、乳酸、g/kg乾物であり;fは、pHであり;gは、全窒素中のアンモニア窒素、パーセントである。 L.プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いた、サイロ貯蔵が中程度に難しい飼草の発酵品質の向上を示す図であり、ここでaは、エタノール、g/kg乾物であり;bは、酢酸、g/kg乾物であり;cは、プロピオン酸、g/kg乾物であり;dは、酪酸、g/kg乾物であり;eは、乳酸、g/kg乾物であり;fは、pHであり;gは、全窒素中のアンモニア窒素、パーセントである。 L.プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いた、サイロ貯蔵が難しい飼草の発酵品質の向上を示す図であり、ここでaは、エタノール、g/kg乾物であり;bは、酢酸、g/kg乾物であり;cは、プロピオン酸、g/kg乾物であり;dは、酪酸、g/kg乾物であり;eは、乳酸、g/kg乾物であり;fは、pHであり;gは、全窒素中のアンモニア窒素、パーセントである。
株の説明
本発明の目的である、微生物株ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を、エストニア(ペルヌ県)で、自然にサイロ貯蔵された飼い葉であるマメ科植物の作物(>75パーセント)の添加剤を使用しないサイレージ中で単離した。サイレージサンプル中の乳酸杆菌の定量的な含量を決定するために、生理的溶液(0.9パーセントのNaCl)での10進希釈法を使用して溶液から懸濁液(濃度を漸減させて)を作製し、Rogosa寒天(OXOID、U.K.)に植え付け、これを嫌気性環境で、37℃で48時間インキュベートした(サーモスタットIG150、Jouan、France)。発生したコロニーを記述し、計数し、微生物総数を決定した。微生物の形態を描写するために、グラム染色法を使用して標本を作製し、顕微鏡検査を行った。乳酸桿菌種(Lactobacillus spp)に特有なコロニーおよび細胞の形態に基づいて株は単離された。続いて、暫定的および詳細な同定をしたが、これは後述される。
2013年5月29日に、ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、ブダペスト条約に基づく「特許手続上の微生物の寄託」に従って、イギリスの国立産業食品および海洋菌保存機関(NCIMB;National Collection of Industrial,Food and Marine Bacteria)にNCIMB42150という番号で寄託した。
MRS寒天および培養液の供給(OXOID)で増殖させた後、培養物の形態学的な特徴を決定した。ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、グラム陽性の桿菌様の胞子を形成しない細菌であり、この桿菌は、厚さおよび長さが中程度の規則的な形状を有し、単独で、または対で存在する。
物理学的生化学的特性
MRS培養液(24〜48時間)は、TAK59 NCIMB42150の微生物株を培養するのに好適であり、その後、均質な混濁増殖(turbid growth)が起こる。微好気性環境(CO2/O2/N2:10/5/85%)におけるMRS寒天飼料中の37℃で48時間の培養後、コロニーは、白色であり、凸型であり、光沢を有しており、整った縁を有し、直径1〜2.5mmである。
この株の最適な増殖温度は37℃であり、この株はまた、15℃では複製するが、45℃では複製しない。最適な増殖環境のpHは、6.5である。
ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150は、カタラーゼおよびオキシダーゼ陰性であり、通性異種発酵性であり、アルギニンを加水分解せず、グルコース発酵でガスを産生しない。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、API50CHLシステム(bioMerieux、France)キットの試験キットを使用して、生化学活性に基づいて、ラクトバチルス・プランタルムと同定された(基準株の株と一致:優良、ID%−99.9、Tインデックス−1.0)。
配列決定での同定:ラクトバチルス・プランタルム(基準株との16S rRNA類似性:99%)。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の炭水化物の、API CHL50に基づく発酵プロファイルは後述される。この株は、L−アラビノース、リボース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−マンニトール、D−ソルビトール、メチル−αD−マンノピラノシド、N−アセチル−グリコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、D−ラクトース、D−メリビオース、D−スクロース、D−トレハロース、D−メレジトース、D−ラフィノース、ゲンチオビオース、D−ツラノース、K−グルコネートを発酵させる。
抗生物質耐性
方法:ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の抗生物質に対する感受性を、E−テスト(AB Biodisk、Solna)を用いて試験した。欧州食品安全機関(EFSA)の推奨された疫学的なカットオフ値に従って最小阻害濃度を決定した。
Figure 2016526900
特定の抗微生物性化合物のカットオフ値に等しいかまたはそれより低い濃度(S≦xmg/L)のいずれかでその増殖が阻害される場合、その微生物株は感受性であるとみなされる。
特定の抗微生物性化合物のカットオフ値より高い濃度(R>xmg/L)でその増殖が阻害される場合、その微生物株は耐性であるとみなされる。
ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150は、調査した抗生物質に対して耐性を示さなかった(表1)。
株の機能特性
短鎖脂肪酸のプロファイル
方法:MRS寒天上で培養されたラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の24時間経過した株を、マクファーランド標準に従って微生物109個/mlで生理食塩水に懸濁し、0.5mlをPYG上に植え付け(4.65mlで)、サーモスタット中、37℃で24時間および48時間、微好気的にインキュベートした(10%CO2)。
短鎖脂肪酸のプロファイルを、ガスクロマトグラフHP6890シリーズGCシステムによって決定し、キャピラリーカラムHP−INNOWax(15m×0.25mm;0.15μm)を使用した。カラム温度のプログラムは、60℃で1分、20℃/分で120℃で10分、検出器(FID)250℃であった(表2)。
Figure 2016526900
植物由来のラクトバチルス属および病原体に対する抗菌活性
病原体に対する抗微生物特性を評価するために、混釈平板技術を使用した(例えば、非特許文献6参照。)。
ミリメートルでの標的微生物の増殖阻害ゾーンを流脈法の手順で測定した。同様に、非特許文献6に従って使用されたサンプルの結果に基づいて相加平均および標準誤差(表3)を計算した。このようにして、株の拮抗活性を以下のように評価した:弱<20.9;平均21.0〜23.9;強>24;嫌気性環境における阻害ゾーン(mm−s):弱<20.9;平均21.0〜22.9;強>23。
Figure 2016526900
微好気性環境における阻害ゾーン(mm−s):弱<20.9;平均21.0〜23.9;強>24。
嫌気性環境における阻害ゾーン(mm−s):弱<20.9;平均21.0〜22.9;強>23。
クロストリジウム属に対する抗菌活性を以下のように決定した。
ブレインハートインフュージョン(BHI)培養液中の24時間経過したラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150培養物から、上清を単離した。クロストリジウム属の懸濁液を、滅菌した(ろ過により)上清またはBHI培養液に添加した(陽性チェック)。48時間後にOD620nmで結果を評価した。以下のように計算した。クロストリジウム属CDの増殖阻害(%)=100−(ODt×100/ODt)、式中、
ODtは、上清添加であり、
ODcは、上清非添加である。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150によって産生された抗微生物性化合物は、植物由来クロストリジウム属の減少を19.81パーセント阻害した。
実施形態の説明
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いた、植物材料であるサイロ貯蔵が容易な飼草の発酵品質の向上
ムラサキツメクサ(Trifolium pratense L.)およびオオアワガエリ(Phleum pratense L.)飼草の25:75の比率の混合物を用いて試験を行った。サイロ貯蔵材料中の水溶性炭水化物の含量は3.01パーセントであった。新鮮な飼草を切断し、48時間でしおれさせた。しおれた飼草を収穫し、細かく切断して、対照サイレージを調製した。対照サイレージは、サイレージ添加剤を用いずに作製された。
ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、第2のサイレージに植え付け、第3のサイレージを、以下の内容物:ギ酸42.5パーセント、ギ酸アンモニウム30.3パーセント、プロピオン酸10.0パーセント、安息香酸1.2パーセント、安息香酸エチル1.0パーセントおよび水15.0パーセントを含む化学的なサイレージ添加剤を用いて調製した。ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、サイロ貯蔵された飼草に、サイロ貯蔵された新鮮な植物材料(飼料)1g当たり1.2×105CFUの濃度で植え付けた。100日のサイロ貯蔵後に、試験サイレージを開けた。
一般的に容認された方法(例えば、非特許文献7参照。)に従ってサンプルを分析した。
乾物含量を決定するために、サイレージサンプルを、サーモスタット中、130℃で一定重量まで乾燥させた。粗製灰分の含量を決定するために、サイレージサンプルを、マッフル炉中、550℃で6時間かけて灰にした。タンパク質含量を、ケルダール法(N×6.25)を使用してKjeltec(商標)2300分析器で決定した。中性デタージェント繊維(NDF)および酸デタージェント繊維(ADF)を決定するために、Van Soest et alによって記載されている方法(例えば、非特許文献8参照。)および繊維分析器ANKOM220を使用した。サイレージの酸およびエタノール含量を決定するために、ガスクロマトグラフAgilent7890Aを使用した。全窒素中のアンモニア窒素含量を、Kjeltec(商標)2300分析器を用いて決定した。サイレージのpHを、pHメーターであるHanna InstrumentsのpH210を用いて決定した。
対照サイレージと比較して、微生物ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイレージの発酵を向上させた(表4および図1を参照)。ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150の接種は、乳酸含量を増加させ、pHを4.1に低下させた。したがってサイレージ中の望ましくない微生物の増殖および作用が阻害されたが、これは、エタノール(酵母によって産生された)の含量および酢酸(酢酸菌および腸病原体によって産生された)の含量がより少ないことで示される。またラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を使用して作製されたサイレージは、より低いアンモニア窒素および酪酸含量(タンパク質分解性微生物によって産生された)も有していた。
上述した実施例の容易なサイロ貯蔵条件にもかかわらず、サイレージの発酵品質パラメーター(乳酸菌の天然集団による)は、添加剤ラクトバチルス・プランタルムTAK59を用いたサイレージのものよりも劣っていた。
したがって、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイロ貯蔵が容易な作物サイレージの発酵を向上させ、それゆえに飼料の品質を向上させた。より大規模なpH低下は、腐敗を引き起こす望ましくないタンパク質分解性微生物および腸病原体の増殖および作用を阻害し、それゆえに飼料中の栄養素の損失を低下させた。この方法で発酵した飼料において、数カ月にわたり、腐敗を引き起こす微生物の作用は阻害され、pHは低く保たれ、飼料は嫌気条件で保たれる。
ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いた、サイロ貯蔵が中程度に難しい飼草の発酵品質の向上
ヒロハノウシノケグサ(Festuca pratensis)およびオオアワガエリ(Phleum pratense L.)飼草の50:50の比率の混合物を用いて試験を行った。新鮮な飼草を切断し、48時間でしおれさせた。しおれた飼草を収穫し、細かく切断して、試験サイレージを調製した。サイロ貯蔵材料中の水溶性炭水化物含量は2.15パーセントであった。対照サイレージは、サイレージ添加剤を用いずに作製された。ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、第2のサイレージに植え付け、第3のサイレージを、以下の内容物:ギ酸76.0パーセント、ギ酸アンモニウム5.5パーセント、水18.5パーセントを含む化学的なサイレージ添加剤を用いて調製した。ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、サイロ貯蔵された飼草に、新鮮な植物材料1g当たり2.4×105CFUの濃度で植え付けた。90日のサイロ貯蔵後に、試験サイレージを開けた。
サイレージサンプルを、上記の第1の実施例で記載された方法に従って分析した。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイロ貯蔵が中程度に難しい発酵作物からのサイレージの品質を向上させた(表5および図2)。約36パーセントの乾物含量の場合、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いたところ、pHレベルは3.9であり、一方、サイレージ添加剤を用いないサイレージの対応するパラメーターはpH4.2であった。サイレージのpHは乳酸含量と直接関連するため、ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を用いて調製されたサイレージは、より多くの乳酸産生を示し、さらにより低いpHレベルも示した。これは、ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150の接種は、飼料中の乳酸発酵を促進し、サイレージの望ましくない発酵に伴い出現する可能性がある発酵産物の産生を防ぐことを意味する。より速い発酵中では、栄養素の損失がより少ない。対照サイレージと比較して、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の接種は、サイレージ中のエタノール、酢酸、酪酸およびアンモニア窒素含量を減少させた。酪酸含量は5.2倍減少し、アンモニア含量およびエタノール含量はそれぞれ1.5倍および1.8倍減少した。
それゆえに、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイロ貯蔵が中程度に難しい作物サイレージの発酵を向上させ、したがって飼料の品質を向上させた。より大規模なpH低減は、腐敗を引き起こす望ましくないタンパク質分解性微生物および腸病原体の増殖および作用を阻害し、それゆえに飼料中の栄養素の損失を減少させた。この方法で発酵した飼料において、数カ月にわたり、腐敗を引き起こす微生物の作用は阻害され、pHは低く安定に保たれ、飼料の品質は嫌気条件で保たれる。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いた、サイロ貯蔵が難しい飼草の発酵品質の向上
またサイレージ添加剤であるラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は難しいサイロ貯蔵条件でも機能するが、そのことを、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense L.)およびオオアワガエリ(Phleum pratense L.)飼草の混合物を使用した試験を行って実証した。それらの対応する比率は、25:75であった。新鮮な飼草を収穫し、細かく切断して、試験サイレージを調製した。収穫された材料中の水溶性炭水化物含量は0.91パーセントであった。サイレージ添加剤を用いない対照サイレージを作製し、ラクトバチルス・プランタルム株TAK59 NCIMB42150を、第2のサイレージに植え付け、第3のサイレージを、以下の内容物:ギ酸42.5パーセント、ギ酸アンモニウム30.3パーセント、プロピオン酸10.0パーセント、安息香酸1.2パーセント、安息香酸エチル1.0パーセント、水15.0パーセントを含む化学的なサイレージ添加剤を用いて調製した。
ラクトバチルス・プランタルムTAK59株NCIMB42150を、サイロ貯蔵された作物に、新鮮な材料(飼料)1g当たり1.2×105CFUの濃度で植え付けた。100日のサイロ貯蔵後に、試験サイレージを開けた。
サイレージサンプルを、上記の第1の実施例で記載された方法に従って分析した。
サイロ貯蔵が難しい飼草は、低い乾物および糖含量を特徴とし、さらにサイレージ添加剤を用いずに調製したサイレージは極めて不良な発酵パラメーターを示すという事実も特徴とする(表6、図3)。対照サイレージは、多量の酪酸およびアンモニア窒素を含有しており、これは、発酵中の大規模なタンパク質分解の指標である。対照サイレージにおいて、酪酸および乳酸含量はおよそ同じであり、そのうち前者は高すぎるとみなされ、後者は低すぎるとみなされた。このようなサイレージは、動物に供給することができない。一方で、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いて調製されたサイレージは2倍多くの乳酸を含んでおり、酪酸含量(クロストリジウム属によって産生された)は有意ではなかった。サイロ貯蔵が難しい飼草をサイロ貯蔵する場合、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイレージのpHを4.4に低下させたが、それに対して対照サイレージのpHは5.1であった。同様に、対照サイレージと比較した場合、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いて調製されたサイレージは、アンモニア窒素、プロピオン酸およびエタノールに関してより優れたパラメーターを示した。乳酸菌TAK59 NCIMB42150を植え付けたサイレージは品質に関して一定していたが、それに対して対照サイレージの対応するパラメーターは大きく変動した。対照サイレージとは異なり、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いて調製されたサイレージのpHは、発酵中により速く、より大きい程度に減少し、望ましくない微生物の増殖および作用は阻害され、サイレージ中の栄養素の損失は軽減された。
それゆえに、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150は、サイロ貯蔵が難しい飼草サイレージの発酵を向上させ、それゆえに飼料の品質を向上させた。より大規模なpH低減は、腐敗を引き起こす望ましくないタンパク質分解性微生物および腸病原体の増殖および作用を阻害し、したがって飼料からの栄養素の損失を低下させた。この方法で発酵した飼料において、数カ月にわたり、腐敗を引き起こす微生物の作用は阻害され、pHは低く安定に保たれ、飼料の品質は嫌気条件で保たれる。
全ての3つの実施例において、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150を用いて調製されたサイレージ中の乳酸およびアンモニア窒素のpHおよびパラメーターも、化学的なサイレージ添加剤を用いて調製されたものより優れていた。ここで再度、これは、異なるレベルのサイロ貯蔵の困難さでサイレージ作物をサイロ貯蔵する場合の、ラクトバチルス・プランタルムTAK59 NCIMB42150の有効性の指標である。
Figure 2016526900
Figure 2016526900
Figure 2016526900

Claims (11)

  1. 単離された微生物株ラクトバチルス・プランタルムTAK 59 NCIMB42150。
  2. 凍結乾燥形態の請求項1に記載の前記微生物株。
  3. 請求項1または2に記載の前記微生物株を含む飼料。
  4. 例えば、サイレージといった、発酵飼料の形態である請求項3に記載の飼料。
  5. 請求項1に記載の前記微生物株を含む組成物。
  6. 飼料添加剤としての請求項1に記載の微生物株の使用。
  7. 飼料の発酵における請求項1に記載の微生物株の使用。
  8. 飼料の発酵を促進させ、
    飼料中の乳酸の濃度を増加させ、
    pHを低下させて、
    飼料中の栄養素の損失を減少させ、および、飼料中のアンモニア窒素および酪酸の濃度を減少させるための、請求項1に記載の微生物株の使用。
  9. 発酵する前記飼料に請求項1の前記微生物株を添加することによって、タンパク質分解性微生物および病原微生物の活性を阻害するための請求項1の微生物株の使用。
  10. タンパク質分解性微生物および病原微生物がクロストリジウム属および腸病原体である請求項9に記載の使用。
  11. 発酵させるために請求項1の前記微生物が前記飼料に接種/添加される、飼料の保存を長くする方法。
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