JP2016526884A - 植物内のタンパク質産生 - Google Patents

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Abstract

本開示は、安全かつ制御された様式において植物内で異種ペプチド及びタンパク質を産生するための方法及び構築物に関する。本発明の一態様は、目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子及びマーカー遺伝子、パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列を、CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列、及び/又はP19を過剰発現することができるヌクレオチド配列と共に含む、発現カセットを使用して、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法を提供する。本発明の別の態様は、目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子、マーカー遺伝子、輸送ペプチド配列、及びADPグルコースピロホスホリラーゼ発現を抑制することができるヌクレオチド配列を含む、発現カセットを使用して、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法を提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2013年6月14日出願の仮出願である米国出願第61/835,274号の優先権を主張する。
(発明の分野)
本開示は、分子生物学、及び植物細胞中のタンパク質合成に関する。より具体的には、本開示は、植物内で目的のペプチド又はタンパク質を産生するための方法及び構築物を提供する。本出願で引用される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
近年まで、有機小分子から誘導される抗生物質、鎮痛剤、及びホルモンなどの医薬品は、主に合成的に又は微生物中で産生されていた。しかしながら、ゲノミクス及びプロテオミクスの発展に伴い、新たな薬物療法は、より巨大なタンパク分子を必要とする。タンパク質は細胞生物学及び発達において主要な役割を果たすため、多くのタンパク質が治療的な潜在性を有する。
アミノ酸約30個の短いペプチド鎖は合成することができるが、より巨大なタンパク質は、生細胞によって産生するのが最良である。現在、多くの巨大タンパク質は、不稔性の微生物及び哺乳動物細胞培養物を使用して産生される。しかしながら、細胞培養系は高価であり維持に手間がかかるため、植物ベースの発現系は、より低い生産コスト、及びより管理しやすい大規模生産を提供する。
本発明の1つの目標は、ジャガイモ植物内で目的の異種ペプチド又はタンパク質を産生するための方法を提供することである。本発明の一態様は、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、(a)発現カセットで植物を形質転換する工程であって、該発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、(b)形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、(c)目的のタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法を提供する。また、パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、方法も提供される。CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号5及び配列番号6に記載されるCD4Bのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、別の方法もまた提供される。本方法はまた、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択されるマーカー遺伝子を含み得る。
また、目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される方法も提供される。
本発明の別の態様は、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、(a)発現カセットで植物を形質転換する工程であって、該発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、(b)形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、(c)目的のタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法である。また、パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、方法も提供される。P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列が、配列番号2に記載されるP19配列を含む、別の方法もまた提供される。本方法はまた、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択されるマーカー遺伝子を含み得る。
また、目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、方法も提供される。
本発明の別の態様は、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、(a)発現カセットで植物を形質転換する工程であって、該発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(iii)P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列、(iv)マーカー遺伝子、及び(v)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、(b)形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、(c)目的のタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法である。また、パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、方法も提供される。CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号5及び配列番号6に記載されるCD4Bのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、方法もまた提供される。P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列が、配列番号2に記載されるP19配列を含む、別の方法もまた提供される。本方法はまた、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択されるマーカー遺伝子を含み得る。
また、目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、方法も提供される。
追加の実施形態では、本発明は、形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、(a)発現カセットで植物を形質転換する工程であって、該発現カセットが、(i)ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)輸送ペプチド、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、(b)形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、(c)目的のタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法を提供する。
好ましい実施形態では、AGP発現を抑制することができるヌクレオチド配列は、配列番号10及び配列番号11に記載されるアンチセンス又はセンスAGP配列を含む。好ましくは、AGP発現の抑制は、収束性(convergent)プロモーターによって駆動される。本発明の好ましい態様では、収束性プロモーターは、顆粒結合デンプンシンターゼ(GBSS)プロモーター及びAGPプロモーターである。
また、輸送ペプチドが、配列番号8に記載されるGBSS輸送ペプチド、又は配列番号9に記載されるRuBisCo輸送ペプチドである、方法も提供される。本発明の方法はまた、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択されるマーカー遺伝子を含み得る。
好ましくは、目的のタンパク質は、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される。
前述の概要並びに詳細な説明は、例示及び説明のためのものであり、特許請求される本発明の更なる説明を提供するものである。本発明の詳細な理解のために、添付の図面と併せた、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を参照する。他の目標、利点、及び新規の特徴は、以下の本発明の詳細な説明から当業者にとって容易に明確になるであろう。
GUS遺伝子及びGUS遺伝子サイレンシング構築物pSIM789の両方を含有する植物の組織化学的に染色されたタバコ葉パンチ。四角で囲まれた葉試料は、染色されたGUS陽性対照(上)及び野生型(下)の植物を示す。 ジャガイモのカテコールアッセイの結果を示す。ポリフェノールオキシダーゼ5(PPO5)遺伝子をサイレンシングするために設計されたサイレンシング構築物を含有するトランスジェニック系統F10の塊茎は、非形質転換対照の塊茎(上部の初めの4つの試料)と比較して低減されたポリフェノールオキシダーゼ5活性を示した。 非形質転換のジャガイモ(左)、並びにクロロゲン酸、アントシアニン、及びフラボノールの合成の4倍の増加を誘起するクロロゲン酸誘導因子(CAI)遺伝子を過剰発現するジャガイモ(右)の塊茎。 PPO5遺伝子サイレンシングのノーザンブロット解析。PPO5遺伝子がサイレンシングされたトランスジェニック植物及び対照の温室栽培された塊茎組織から、全RNA(20μg)を単離し、PPO5プローブ(上パネル)及び内部基準18S rRNAプローブ(中パネル)とハイブリダイズした。転写物の予測された大きさは、1.95−kbであった(Genbank登録番号U22921参照)。下パネルは、臭化エチジウム(EB)で可視化された全RNAの量を示す。EC、FC、JC、GC、及びHCは、非形質転換の従来の種類の対照試料である。個別のトランスジェニック事象試料は、各レーンの上に標示される。このデータは、黒斑挫傷耐性が、PPO5遺伝子の有効なサイレンシングに関連することを実証する(例えば、Rommens,C.M.,Ye,J.,Richael,C.,Swords,K.,2006,J Agric Food Chem 54:9882〜9887を参照されたい)。 トランスジェニックジャガイモ内のVTC2遺伝子発現のノーザンブロット解析。トランスジェニック事象及び対照の温室栽培された塊茎組織(C1〜C8)から全RNA(20μg)を単離し、VTC2プローブ(上パネル)とハイブリダイズした。下パネルは、臭化エチジウム(EB)で可視化された全RNAの量を示す。 ジャガイモ茎外植片内のGFP遺伝子発現。ジャガイモ植物を、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子で形質転換した。強い構成型プロモーターで過剰発現したとき、トランスジェニックジャガイモ植物内で高レベルのGFP発現を見ることができた。 非形質転換のジャガイモの花、葉、及び茎と比較したときの、トランスジェニックジャガイモの花、葉、及び茎内の高レベルのGUS遺伝子発現。 最適な遺伝子発現を支持する部位への目的の遺伝子(例えばGFP)の転位のための、同時形質転換構築物。 制御ベクターpSIM1903のマップ。 T−DNA境界内に2×35Sプロモーター駆動P19R43(配列番号2)P19変異体を含有するベクターpSIM1927のマップ。 選択されたpSIM1927系統のGFP定量。P19R43を過剰発現する33個の系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。全系統が、明白な多面発現性効果を伴わずに温室内で正常に成長した。トランスジェニック系統の塊茎特異的GFP蓄積について、空ベクター系統(pSIM1361)及び親系統(pSIM1903)と比較して、視覚的にスクリーニングした。高いGFP発現を示す12個の系統を、GFP定量のために選択した。空ベクター系統における量と比較して、GFP量の20〜60%の増加が、12個のトランスジェニック系統のうちの10個で検出された。 選択されたpSIM1927系統のウェスタンブロット解析。P19R43を過剰発現する33個の系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。全系統が、明白な多面発現性効果を伴わずに温室内で正常に成長した。トランスジェニック系統の塊茎特異的GFP蓄積について、空ベクター系統(pSIM1361)及び親系統(pSIM1903)と比較して、視覚的にスクリーニングした。高いGFP発現を示す12個の系統を、ウェスタンブロット解析のために選択した。空ベクター系統における量と比較して、GFP量の20〜60%の増加が、12個のトランスジェニック系統のうちの10個で検出された。 選択されたpSIM1927系統のノーザンブロット解析。P19R43を過剰発現する33個の系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。全系統が、明白な多面発現性効果を伴わずに温室内で正常に成長した。トランスジェニック系統の塊茎特異的GFP蓄積について、空ベクター系統(pSIM1361)及び親系統(pSIM1903)と比較して、視覚的にスクリーニングした。P19遺伝子の発現を確認するため、高いGFP発現を示す7個の系統からのRNAを、P19プローブを用いて分析した。最高のGFP発現を有する2個の系統を含む3個の系統で、P19転写物が検出された。RNAサイレンシングの変異p19抑制因子の発現をGFPタンパク質の上昇した発現と関連付けるこれらの結果は、RNAサイレンシングの抑制因子であるP19の抑制が、植物内のタンパク質産生を向上させることを実証する。 パタチン遺伝子サイレンシングカセットを含有するベクターpSIM1934のマップ。 pSIM1934系統のGFP定量。30個のpSIM1934トランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。1361とマークされたレーンは空ベクター対照を意味し、1903とマークされたレーンはGFP親対照である。GFP蓄積は、pSIM1934の実験系統のいずれにおいても観察されなかった。 選択されたpSIM1934系統のSDS−PAGE及びウェスタン解析。30個のpSIM1934トランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。1903とマークされたレーンはGFP親対照であり、1361+1903とマークされたレーンは空ベクター対照とGFP親対照との組み合わせを意味する。10個の系統では、過半量のパタチンタンパク質(約40kDaのバンド)がサイレンシングによって排除された。 CD4Bサイレンシングカセットを含有するベクターpSIM1939のマップ。 選択されたpSIM1939系統のGFP定量。26個のpSIM1939トランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。1361とマークされたレーンは空ベクター対照を意味し、1903とマークされたレーンはGFP親対照である。7個のトランスジェニック系統が、親系統(pSIM1903)と比較して2〜3倍のGFP蓄積の増加を示した。 選択されたpSIM1939系統のノーザンブロット解析。26個のpSIM1939トランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。1361とマークされたレーンは空ベクター対照を意味し、1903とマークされたレーンはGFP親対照である。親系統(pSIM1903)と比較して2〜3倍のGFP蓄積の増加を示した7個のトランスジェニック系統のノーザンブロット解析は、いずれの系統においてもCD4B転写物を検出できず、したがってCD4B遺伝子サイレンシングを確証した。これらの結果は、CD4Bプロテアーゼのサイレンシングを組み換えタンパク質(GFP)産生の2〜3倍の増加と関連付け、CD4Bの塊茎特異的なサイレンシングが組み換えタンパク質産生を向上させるために使用され得ることを実証する。 pSIM1949−2x35S:EGFP遺伝子制御ベクターのマップ。 ベクターpSIM1947のマップ。pSIM1947は、2×35S:GBSSTP−eGFPカセット及びGBSS−>sAGP<−AGPカセットを担持する。GFP発現はGBSS輸送ペプチドによって駆動され、AGPサイレンシングは、1つの方向からGBSSプロモーターによって、そして反対方向からAGPプロモーターによって駆動される。 ベクターpSIM1948のマップ。pSIM1948は、2×35S:RbcsTP−eGFPカセット及びGBSS−>sAGP<−AGPカセットを担持する。GFP発現はRuBisCo輸送ペプチドによって駆動され、AGPサイレンシングは、1つの方向からGBSSプロモーターによって、そして反対方向からAGPプロモーターによって駆動される。 ジャガイモの幼葉内のGFP発現。ジャガイモ植物を、pSIM1947(図21)又はpSIM1948(図22)で形質転換した。GFPを強く発現するインビトロで成長するトランスジェニック苗条を、蛍光顕微鏡法を使用して選択し、GFP発現を、制御ベクターpSIM1949(図20)で形質転換された対照系統と比較して評価した。左パネルは、白色光下の葉を示し、右パネルは、GFPフィルタ有りの葉を示す。強いGFP発現が、トランスジェニックpSIM1947小植物の葉内で検出された。pSIM1948小植物内のGFP発現は、対照系統内のGFP発現よりも僅かに強いのみであった。これらの結果は、同時に起こる、GBSS輸送ペプチドを用いるタンパク質過剰発現、及び収束性プロモーターによるAGPサイレンシングが、組み換えタンパク質産生の向上に有効であることを示す。 Solanum tuberosumパタチンER輸送ペプチド(N末端)とER保留シグナル(C末端)との間に配置されるヒトインターロイキン2(IL−2)の短縮版。 ER−IL−2カセットを含有し、開始コドンの前にBamHI−NcoI制限部位を、そして終止コドンの後にSpeI部位を有する、DNA2.0ベクター。 ヒスチジンタグ付きヒトIL発現カセットを含有するベクターpSIM1936のマップ。 ER標的化したコドン最適化IL−2変異型を含有するpSIM1936ベクターで形質転換されたビンチェ(Bintje)ジャガイモ系統の塊茎内のIL−2産生。1936−18レーンは非最適化陽性対照を表す。各変異型について、25個の独立したトランスジェニック系統を生成した。各色は、形質転換に使用されたコドン最適化IL−2変異型を表す。各バーは、独立したトランスジェニック系統からの3個の個別の塊茎内のIL−2の平均レベルを表す。結果は、コドン最適化変異型のうちの2つから得られた特定のトランスジェニック系統内で、IL−2産生が2〜3倍増加したことを示す。 ER標的化したコドン最適化IL−2変異型を含有するpSIM1936ベクターで形質転換されたビンチェ(Bintje)ジャガイモ系統の塊茎内のIL−2産生。1936−18レーンは非最適化陽性対照を表す。各変異型について、25個の独立したトランスジェニック系統を生成した。各色分類は、形質転換に使用されたコドン最適化IL−2変異型を表す。各バーは、独立したトランスジェニック系統からの3個の個別の塊茎内のIL−2の平均レベルを表す。結果は、異なるコドン変異型から得られた特定のトランスジェニック系統内で、IL−2産生が2.5倍増加したことを示す。 GFP発現によって測定される異種タンパク質産生についての、異なるサイレンシング、過剰発現、及び標的化方策の効果を示す。10個の系統を分析したCD4Bサイレンシングを除いて、各方策につき25個の系統を分析した。各バーは、GFP発現について分析された3つの個別の塊茎を表す。各色は、以下のように、異なるサイレンシング、過剰発現、又は標的化方策に対応する:赤色のバー:CD4Bのサイレンシング。橙色のバー:CD4B及びパタチンのサイレンシング。黄色のバー:CD4B及びパタチンのサイレンシング、並びにP19の過剰発現。緑色のバー:GBSSプロモーター及び収束性AGPプロモーターを使用するAGPのサイレンシング;GFP発現は、顆粒結合デンプンシンターゼ(GBBS)輸送ペプチドによって色素体に標的化された。青色のバー:GBSSプロモーター及び収束性AGPプロモーターを使用するAGPのサイレンシング;GFP発現は、RuBisCo輸送ペプチドによって葉緑体に標的化された。灰色のバー:GBSSプロモーター及び収束性AGPプロモーターを使用するAGPのサイレンシング。オリーブグリーン色のバー:2×35S:EGFPカセットを担持する対照親系統(pSIM1903)。紫色のバー:2×35S:EGFPカセットを担持する対照系統(pSIM1949)。CD4B及びパタチン(赤色、黄色、及び橙色のバー)又はCD4Bのみのサイレンシングは、GFP対照と比較してタンパク質レベルを僅かに向上させただけであった。顆粒結合デンプンシンターゼ(GBBS)輸送ペプチドでGFP発現を駆動しながらGBSSプロモーター及び収束性AGPプロモーターを使用するAGPのサイレンシング(緑色のバー)は、最大4〜6倍の上昇まで、タンパク質レベルを著しく上昇させた。Rubisco(Rbcs)標的化ペプチドでGFP発現を駆動しながらのADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)のサイレンシング(青色のバー)は、1個の系統内でのみ、著しいタンパク質の増加をもたらした。ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)のサイレンシング(灰色のバー)は、タンパク質発現の著しい増加をもたらし、系統のうちのいくつかでは3倍の増加があった。
配列表の概要
本出願は、電子形式の配列表と共に提出されている。電子形式の配列表中の情報は本出願の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列番号1は、ジャガイモ由来のパタチンの配列を記載する。
配列番号2は、P19変異体P19R43の配列を記載する。
配列番号3は、パタチンPATB1のアンチセンス配列を記載する。
配列番号4は、パタチンPATB1のセンス配列を記載する。
配列番号5は、CD4Bのアンチセンス配列を記載する。
配列番号6は、CD4Bのセンス配列を記載する。
配列番号7は、EGFPの配列を記載する。
配列番号8は、GBSS輸送ペプチドの配列を記載する。
配列番号9は、RuBisCo輸送ペプチドの配列を記載する。
配列番号10は、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)のアンチセンス配列を記載する。
配列番号11は、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)のセンス配列を記載する。
以下の説明及び実施例では、いくつかの用語が使用される。そのような用語が用いられる範囲を含む本明細書及び特許請求の範囲の明確かつ一貫した理解を提供するため、以下の定義が提供される。定義が提供されない場合、本明細書で使用される他の技術的及び科学的用語の全ては、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
コード化.本明細書で使用される場合、「コード」又は「コード化」は、遺伝子が、転写及び翻訳の機構を通じて、情報を細胞に提供し、この細胞からの一連のアミノ酸が特異的アミノ酸配列へと組み立てられて活性酵素を産生し得る、プロセスを指す。遺伝コードの縮重度のため、DNA配列のある特定の塩基の変化は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させない。したがって、タンパク質の機能的特性に実質的に影響を及ぼさないDNA配列の改変が企図される。
発現.遺伝子によってコード化されるタンパク質産物の産生を意味する。
過剰発現.正常又は非トランスジェニックの生物内での産生のレベルを超える遺伝子産物の、トランスジェニック生物内での産生を指す。
配列同一性の百分率.最適に整列された2つの配列を比較ウィンドウ上で比較することによって決定される値を指し、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列を最適に整列させるために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。この百分率は、両方の配列において同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が発生する位置の数を決定して、マッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて、配列同一性の百分率を得ることによって算出される。
植物.本明細書で使用される場合、分化若しくは未分化の植物細胞、プロトプラスト、全植物、植物組織、又は植物器官、又は、葉、茎、根、芽、塊茎、果実、根茎などの植物の任意の構成要素を含む、遺伝子操作され得る任意のセルロース含有植物材料を意味する。
発現制御.本明細書で使用される場合、「発現制御」は、タンパク質をコード化する遺伝子の発現を制御することを意味する。その効果は、野生型生物内で典型的に観察されるその発現レベルと比較した、配列の発現レベルの上昇又は低下のいずれかである。
調節.本明細書で使用される場合、「調節」は、タンパク質をコード化する遺伝子の発現を制御することを含む。その効果は、野生型生物内で典型的に観察されるその発現レベルと比較した、配列の発現レベルの上昇又は低下のいずれかである。
発現カセット.本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、1つ又は2つ以上の調節エレメント及び1つ又は2つ以上のコード配列を含む、ポリヌクレオチド配列の組み合わせを指す。例えば、調節エレメントはプロモーターであり得る。
遺伝子発現のセンス抑制.本明細書で使用される場合、「遺伝子発現のセンス抑制」は、ポリヌクレオチドを使用して標的遺伝子の発現を低減又は排除することを指す。このポリヌクレオチドは、「センス」配向の標的メッセンジャーRNAの少なくとも一部に対応するRNA分子を発現するように設計される。ポリヌクレオチドは、標的遺伝子のコード配列の全部又は一部、標的遺伝子の5’及び/若しくは3’非翻訳領域の全部又は一部、又は、標的遺伝子のコード配列及び非翻訳領域の両方の全部又は一部に対応し得る。典型的には、センス抑制エレメントは、標的遺伝子に対する実質的な配列同一性を有する。例えば、それは、約65%超の配列同一性、約85%超の配列同一性、又は約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性であり得る。センス抑制のためのポリヌクレオチドは、標的化配列の抑制を可能にする限り、いかなる長さにおけるものでもよい。例えば、それは、15、30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、900個のヌクレオチド、又はそれより長いものを含み得る。Hamilton et al.Curr Top Microbiol Immunol.197:77〜89(1995)及び米国特許第5,283,184号を参照されたい。
遺伝子発現のアンチセンス抑制.本明細書で使用される場合、「遺伝子発現のアンチセンス抑制」は、ポリヌクレオチドを使用して標的遺伝子の発現を低減又は排除することを指す。このポリヌクレオチドは、標的メッセンジャーRNAの一部又は全部に対して相補性のRNA分子を発現するように設計される。それは、標的遺伝子をコード化する配列の補体の全部又は一部、標的遺伝子の5’及び/若しくは3’非翻訳領域の補体の全部又は一部、又は、標的遺伝子のコード配列及び非翻訳領域の両方の補体の全部又は一部に対応し得る。更に、アンチセンス抑制エレメントは、標的遺伝子に対して完全に相補性(即ち、標的配列の補体と100%の同一性)、又は部分的に相補性(即ち、標的配列の補体と100%未満の同一性)であり得る。例えば、ポリヌクロチドは、標的遺伝子に対して85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列相補性を含み得る。アンチセンス抑制は、同じ植物内の複数のタンパク質の発現を阻害するために使用され得る。例えば、米国特許第5,942,657号を参照されたい。更に、アンチセンス抑制のためのポリヌクレオチドは、標的遺伝子の一部に対して相補性であってよい。一般的に、少なくとも25、50、100、200、300、400、450個のヌクレオチド、又はそれを超えるものの配列が使用され得る。アンチセンス抑制を使用して植物内の内因性遺伝子の発現を阻害するための方法は、Liu et al.Plant Physiol.129:1732〜1743(2002)並びに米国特許第5,759,829号及び同第5,942,657号に記載される。
遺伝子発現のRNA抑制.本明細書で使用される場合、「遺伝子発現のRNA抑制」は、一本鎖若しくは二本鎖のRNAを使用して標的遺伝子の発現を低減又は排除することを指す。この一本鎖若しくは二本鎖のRNAは、標的メッセンジャーRNAの全部又は一部を相補するように設計される。それは、標的遺伝子をコード化する配列の補体の全部又は一部、標的遺伝子の5’及び/若しくは3’非翻訳領域の補体の全部又は一部、又は、標的遺伝子のコード配列及び非翻訳領域の両方の補体の全部又は一部に対応し得る。一本鎖若しくは二本鎖のRNAは、標的RNA転写物のレベルに影響を与えることによって、又は別法として、翻訳に影響を与え、それによってコード化されたポリペプチドのレベルに影響を及ぼすことによって、標的配列の発現レベルを低減又は排除することができる。例えば、米国特許第7,713,735号、Verdel et al.(2004)Science 303:672〜676、Pal−Bhadra et al.(2004)Science 303:669〜672、Allshire(2002)Science 297:1818〜1819、Volpe et al.(2002)Science 297:1833〜1837、Jenuwein(2002)Science 297:2215〜2218、及びHall et al.(2002)Science 297:2232〜2237を参照されたい。
配列同一性.「同一性」とも称され、2つの核酸又はポリペプチド配列の文脈において、規定の領域にわたる最大の対応のために整列されるとき同じである2つの配列における残基への参照を含む。配列同一性の百分率がタンパク質に関して使用されるとき、同一でない残基位置は、多くの場合、アミノ酸残基が同様の化学特性(例えば電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、したがって分子の機能的特性を変化させない、保存的なアミノ酸置換によって異なると認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質を補正するように上方に調整され得る。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。典型的には、これは、完全ミスマッチではなく部分的ミスマッチとして保存的置換をスコア化し、それによって配列同一性百分率を上昇させることを伴う。したがって、例えば、同一のアミノ酸に1のスコアが与えられ、非保存的置換にゼロのスコアが与えられる場合、保存的置換にはゼロ〜1のスコアが与えられる。保存的置換のスコア化は、例えば、PC/GENEプログラム(Intelligenetics,Mountain View,Calif.,USA)によって実装される、例えば、Meyers and Miller,Computer Applic.Biol.Sci.,4:11〜17(1988)のアルゴリズムに従って算出される。
目的のペプチド.ペプチドは、典型的には50個以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列である。例示的かつ非限定的なペプチドとしては、抗菌性ペプチド、病原体のペプチドエピトープ、ダニアレルゲンのエピトープ、II型コラーゲン、アミロイドペプチド、トラスツズマブ結合性ペプチド、及び腫瘍に関連する縦列反復が挙げられる。
目的のタンパク質.タンパク質は、典型的には、巨大ポリペプチドを指し、典型的には50個を超えるアミノ酸を含有する。本明細書で使用される場合、「タンパク質」は、いかなる目的のタンパク質をも含む。例示的かつ非限定的なタンパク質としては、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、抗体、並びにヒト及び動物ワクチン(弱毒ウイルス、コートタンパク質、及び癌ワクチンを含む)が挙げられる。
トランスジェニック植物.宿主植物ゲノムに通常は存在しない遺伝子、通常はRNAへと転写されない、若しくはタンパク質へと翻訳(「発現」)されないDNA配列、又は、非形質転換の植物への導入が所望される任意の他の遺伝子若しくはDNA配列、例えば、非形質転換の植物内に通常存在し得るが、遺伝子改変すること、若しくは変更された発現を有することが所望される遺伝子などを含むがこれらに限定されない、核酸配列を組み込んでいる植物を指す。「トランスジェニック植物」の分類は、一次形質転換体、及び、例えば、標準的な遺伝質移入又は別の交配手順によって形質転換体をその系列に含む植物の両方を含む。
視覚的表現型.「視覚的表現型」は、植物内で選択可能マーカー遺伝子を発現することによって得ることができる、視覚的に検出可能な特質(例えば色の変化)を有する植物を指す。例示的な選択可能マーカーとしては、カルコンシンターゼ(CHS)遺伝子、アントシアニン合成遺伝子、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)遺伝子、及びフラボノイド合成遺伝子が挙げられる。
塊茎.球茎並びに鱗茎が有する基板及びチュニック様被覆を両方欠く、肥厚性の、通常は地中にある、栄養貯蔵器官。根及び苗条は、塊茎の表面上の「目」と呼ばれる芽から成長する。ジャガイモ塊茎は、Solanum tuberosum、S.demissum、S.acaule、S.stoloniferum、S.phureja、S.gonicalyx、S.stenotomum、S.berthaultii、S.brevicaule、S.bukasovii、S.canasense、S.gourlayi、S.leptophyes、S.multidissectum、S.oplocense、S.sparsipilum、S.spegazzinii、S.sucrense、S.venturii、S.verneiから生成される。
一実施形態では、目的のペプチド及びタンパク質は、二倍体ジャガイモ植物よりも大きな葉及び塊茎バイオマスをもたらし、かつより早く成長する、四倍体ジャガイモ植物(例えば、Solanum tuberosum)内で産生される。別の実施形態では、目的のペプチド及びタンパク質は、小さく、かつ不揃いの形状及び色をした塊茎を生成する、二倍体(2n)ジャガイモ植物内で産生される。例としては、消費のために商業的に栽培される四倍体(4n)の栽培ジャガイモ(Solanum tuberosum)由来のより大きくより均一な塊茎と誤認され得ない、Solanum chacoense登録番号414153、458312、458314、472819、498298、並びにSolanum microdontum登録番号500033、500035、500036、500038、及び558100が挙げられる。
同様に、出願人は、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながら、少なくとも1つの内因性植物タンパク質、例えばジャガイモ塊茎貯蔵タンパク質などを抑制することを含む、制御された様式において植物内でタンパク質を産生するための方法を考案した。例えば、何ら限定するものではないが、出願人は、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながらパタチン遺伝子発現を抑制するための発現カセットを考案した。異なる実施形態では、出願人は、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながらAGP発現を抑制するための発現カセットを考案した。そのような植物のヒトによる消費を防止し、目的のタンパク質を含むトランスジェニック植物の選択を容易にするために、発現カセットは、それに基づいて選択がなされ得る独特な色又は他の独特な特性を付与する選択可能マーカー遺伝子を含み得る。更に、誘導性プロモーターが、タンパク質産生を更に調節するために使用され得る。
選択可能マーカー遺伝子としては、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
植物内のタンパク質発現を制御するための別の手段において、出願人は、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながらプロテアーゼ遺伝子発現を抑制するための発現カセットを考案した。例えば、何ら限定するものではないが、発現カセットを使用して、それによって、プロテアーゼを抑制し、目的のペプチド又はタンパク質を産生することができる。
同様に、制御された様式において植物内でタンパク質を産生するための別の方法において、出願人は、治療用タンパク質を過剰発現しながら、プロテアーゼを抑制することに加えて、少なくとも1つの内因性植物タンパク質、例えばジャガイモ塊茎貯蔵タンパク質などを抑制するための発現カセットを考案した。例えば、何ら限定するものではないが、発現カセットを使用して、それによって、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながら、CD4Bなどのプロテアーゼに加えてパタチン遺伝子発現を抑制することができる。
制御された様式において植物内でタンパク質を産生するための別の方法において、出願人は、治療用タンパク質を過剰発現しながら、少なくとも1つの内因性植物タンパク質、例えばジャガイモデンプン生合成タンパク質などの発現を抑制するための発現カセットを考案した。例えば、何ら限定するものではないが、発現カセットを使用して、それによって、目的のペプチド又はタンパク質を過剰発現しながら、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)発現を抑制することができる。
制御された様式において植物内でタンパク質を産生するための更に別の方法において、出願人は、輸送ペプチドを有する目的のタンパク質を過剰発現しながら、少なくとも1つの内因性植物タンパク質、例えばジャガイモデンプン生合成タンパク質などの発現を抑制するための発現カセットを考案した。例えば、何ら限定するものではないが、発現カセットを使用して、それによって、形質転換されたジャガイモ植物の特異的部位における目的のペプチド又はタンパク質の産生を、RuBisCo輸送ペプチド又はGBSS輸送ペプチドなどの輸送ペプチドで標的化しながら、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)発現を抑制することができる。
目的のペプチド及びタンパク質としては、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、リフトバレー熱ウイルス(RVFV)、及びHIVワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される技術的用語は全て、生化学、分子生物学、及び農業において一般的に使用される用語であり、本発明が属する技術分野の当業者によって理解され得る。それらの技術的用語は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,vol.1〜3,ed.Sambrook and Russel,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001、Current Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel et al.,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience,New York,1988(定期的更新を含む)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,5th ed.,vol.1〜2,ed.Ausubel et al.,John Wiley & Sons,Inc.,2002、Genome Analysis:A Laboratory Manual,vol.1〜2,ed.Green et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1997に見出すことができる。植物生物学の技術に関する手法は、本明細書に記載され、Methods in Plant Molecular Biology:A Laboratory Course Manual,ed.Maliga et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1995などの論文に詳細に記載される。PCRを使用する様々な技術が、例えば、Innis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,San Diego,1990、及びDieffenbach and Dveksler,PCR Primer:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2003に記載される。PCRプライマー対は、その目的のために意図されるコンピュータプログラム、例えば、Primer、バージョン0.5,1991、Whitehead Institute for Biomedical Research,Cambridge,MAの使用などの既知の技術によって、既知の配列から誘導され得る。核酸の化学合成のための方法は、例えば、Beaucage and Caruthers,Tetra.Letts.22:1859〜1862(1981)、及びMatteucci and Caruthers,J.Am.Chem.Soc.103:3185(1981)に記述される。
制限酵素消化、リン酸化、ライゲーション、及び形質転換は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されるように行われた。バクテリア細胞の成長及び維持に使用された試薬並びに材料は全て、別段の定めがない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI)、DIFCO Laboratories(Detroit,MI)、Invitrogen(Gaithersburg,MD)、又はSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から取得した。
「コード化する」及び「コード化」という用語は、遺伝子が、転写及び翻訳の機構を通じて、活性酵素を産生するために一連のアミノ酸を特異的アミノ酸配列へと組み立てることができる情報を、細胞に提供するプロセスを指す。遺伝コードの縮重度のため、DNA配列のある特定の塩基の変化は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させない。したがって、タンパク質の機能的特性に実質的に影響を及ぼさないDNA配列の改変が企図される。
本説明では、「発現」は、遺伝子によってコード化されるタンパク質産物の産生を意味する。「過剰発現」は、正常又は非トランスジェニックの生物内での産生のレベルを超える遺伝子産物の、トランスジェニック生物内での産生を指す。
本発明の更なる実施形態
上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、以下の説明を検討することによって当業者に明らかとなるであろう。
A.例示的なタンパク質
任意のタンパク質が、本構築物及び手法を使用して発現又は抑制され得る。
任意のタンパク質が、本発明の方法に従って、RNAi、アンチセンス、挿入変異誘発、及び当該技術分野で既知の他の技術などの様々な技術を使用して抑制され得る。特に、出願人は、目的の治療用タンパク質を同時に過剰発現しながら、プロテアーゼ、貯蔵タンパク質、又はデンプン生合成タンパク質を抑制する工程を含む方法を考案した。非限定的な例では、プロテアーゼは、RNAiによって抑制され、植物の正常な成長及び発達に不利に干渉しないように、誘導性プロモーターを使用して制御され得る。
例示的なプロテアーゼ配列としては、表1に開示される内因性ジャガイモプロテアーゼ配列が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016526884
追加の例示的なプロテアーゼは、CD4B、葉緑体に見出されるATP依存性プロテアーゼATP結合サブユニットclpA相同体である。Clpプロテアーゼは、キモトリプシン様活性を有し、ミスフォールディングタンパク質の分解において主要な役割を果たす。Daniell et al.,Theor.Appl.Genet.112L 1503〜1518(2006)を参照されたい。本発明によれば、ジャガイモ内のCD4Bのサイレンシングは、CD4Bがサイレンシングされていないジャガイモと比較して、より高レベルのタンパク質産生をもたらす。
パタチンは、Solanum tuberosum(配列番号1に記載される配列)に見出される糖タンパク質である。パタチンの主な機能は、貯蔵タンパク質としてのものである。パタチンは、ジャガイモ塊茎内の可溶性タンパク質の最大40%を構成するが、それよりはるかに低いレベルで他の植物器官内にも存在する。Hofgen et al.Plant Science,66:221〜230,(1990)を参照されたい。
本発明によれば、ジャガイモ内のADPグルコースピロホスホリアラーゼ(AGP)のサイレンシングは、AGPがサイレンシングされていないジャガイモと比較して、より高レベルのタンパク質産生をもたらす。AGPは、植物内のデンプンの生合成における前駆体であるADPグルコースを産生する。本発明の構築物は、AGPのサイレンシングが反対方向から2つのプロモーターによって駆動されるように、2つの収束性プロモーターに作動可能に連結された完全長のAGP配列又はその断片を含み得る。本発明の特定の態様では、GBSSプロモーターが1つの方向からAGPサイレンシングを駆動し、AGPプロモーターが反対方向からAGPサイレンシングを駆動する。
追加の実施形態では、本発明に従うタンパク質産生は、1つ又は2つ以上の内因性タンパク質、例えばパタチン、CD4B、AGP、又はそれらの任意の組み合わせなどの発現を抑制しながら、転写後の遺伝子サイレンシング(PTGS)のウイルス抑制因子を過剰発現することによって、更に向上し得る。好ましいPTGSのウイルス抑制因子は、タバコブラッシースタントウイルスサイレンシング抑制因子P19である。PTGSは、RNAサイレンシングによって遺伝子発現を防止し、ひいては植物内のアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換効率を制限する、ヌクレオチド配列特異的RNAである。本出願の発明者は、驚くべきことに、同時に起こるP19の過剰発現及び1つ又は2つ以上のジャガイモ内因性タンパク質の抑制が、ジャガイモ塊茎内の外因性のタンパク質産生を劇的に向上させることを発見した。
任意のタンパク質が、上記の本発明のサイレンシング構築物を使用して発現又は過剰発現され得る。本発明の好ましい態様では、輸送ペプチドが、形質転換された植物の所望の部位におけるタンパク質産生を向上させるために使用され得る。好適な輸送ペプチドとしては、GBSS輸送ペプチド及びRuBisCo輸送ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、何ら限定するものではないが、本発明の構築物は、1つ又は2つ以上の内因性タンパク質、例えばパタチン、CD4B、AGP、又はそれらの任意の組み合わせなどの発現を抑制しながら、ジャガイモ植物内の目的のタンパク質又はペプチドを過剰発現する。
例えば、何ら限定するものではないが、本手法及び構築物を使用して発現され得るタンパク質は、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、単鎖抗体などの抗体、並びにヒト及び動物ワクチン(弱毒ウイルス、コートタンパク質、及び癌ワクチンを含む)である。
インターロイキン−2は、正常な末梢血リンパ球によって産生されるリンホカインであり、抗原又は他の刺激への曝露後に、抗原又はマイトジェンで刺激されたT細胞の増殖を誘導する。Morgan et al.,Science 193:1007〜1008(1976)を参照されたい。それは、刺激されたTリンパ球の増殖を誘導するその能力のため、初期にはT細胞成長因子と呼ばれたが、現在は、その成長因子特性に加えて、インビトロ及びインビボで免疫系細胞の様々な機能を調節することが認識され、インターロイキン−2(IL−2)と新たに命名されている。IL−2は、免疫細胞の相互作用及び機能を媒介するいくつかのリンパ球産生性メッセンジャー調節分子のうちの1つである。IL−2は、以下の実施例において例証されるように、本明細書に記載される手法を使用して、植物内で産生され得る。
ヒルジンは、医療用ヒル(例えばHirudo medicinalisなど)の唾液腺内の自然発生ペプチドである。ヒルジンは、抗凝血特性を有し、これは、血管の外側で血液の流動性を保つため、宿主の血液を常食とするヒルの能力にとって必須である。
ヒルジンは、フィブリノーゲンをフィブリンへと変換し、それによって血液凝固を引き起こすトロンビンの最も潜在的な天然の阻害物質である。その抗凝固活性のため、ヒルジンは、血液凝固障害、皮膚血腫、及び表在性静脈瘤を治療するために用いられ得る。しかしながら、大量のヒルジンを天然の供給源から抽出することは困難であることが分かっている。したがって、組み換えDNA技術によるヒルジンの発現が開発されている。Lepirudin、Thrombexx、Revasc、及びIprivask(全て酵母細胞由来)を含む、いくつかのヒルジン系抗凝固医薬製品が市販されている。酵母系と比較して、本技術は、より低いコスト、及びより管理しやすい大規模生産を提供する。
インスリンは、肝臓、筋細胞、及び脂肪組織に血液からグルコースを取り込ませることによって炭水化物及び脂肪代謝を調節するホルモンである。グルコースは次に、肝臓及び筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵される。身体は、血液から過剰なグルコースを除去するためにインスリンを一定レベルに保つ。糖尿病は、インスリンレベルの制御が機能しないときに生じる。いくつかの形態の糖尿病を治療するために、外部インスリンが医学的に使用され得る。本技術は、より大規模かつより低いコストの生産と共に、医療用途のインスリンを生産する有利なアプローチを提示する。
インターフェロンは、ウイルス、細菌、寄生生物、又は腫瘍細胞などの病原体の存在に応答して、宿主細胞によって放出されるタンパク質である。宿主細胞中のウイルス複製に「干渉する」ことに加えて、インターフェロンはまた、Tリンパ球への抗原提示を上方調節し、ウイルスによる新たな感染に抵抗する、感染していない宿主細胞の能力を増加させる。インターフェロンの免疫作用は、日光角化症及び外陰疣贅などのいくつかの疾患を治療するために利用されている。更に、インターフェロン療法は、毛様細胞性白血病、慢性骨髄性白血病、結節性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫などの白血病及びリンパ腫を含む、多くの癌の治療法として(化学療法及び放射線と組み合わせて)使用される。Multiferon(商標)(ヒト白血球インターフェロン−αとして総称的に知られる)及びPEG化インターフェロン−αなどのいくつかの異なる種類のインターフェロンが、ヒトにおける使用に承認されている。PEG化は、別の分子、通常は薬物又は治療用タンパク質への、ポリエチレングリコールポリマー鎖の共有結合のプロセスである。本技術は、より低いコストで大規模にインターフェロンを生産する方法を提供する。
ラクトトランスフェリンとしても知られるラクトフェリンは、トランスフェリンファミリーの多機能性タンパク質である。ラクトフェリンは、生得性の免疫系に属する。鉄イオンの結合及び輸送というその主な生物学的機能とは別に、ラクトフェリンはまた、抗菌性、抗ウイルス性、抗寄生生物性、触媒的、抗癌性、抗アレルギー性、及び放射線防護性の機能並びに特性を有する。ラクトフェリンは、細菌性バイオフィルムの発達を防止する。ラクトフェリン活性の低下に起因する殺菌活性の損失及びバイオフィルムの形成の増加が、嚢胞性線維症患者に観察される。これらの所見は、ヒト宿主の防衛における、特に肺におけるラクトフェリンの重要な役割を実証する。ヒポチオシアナイトを有するラクトフェリンは、FDAによって希用薬の資格を与えられている。したがって、より低いコストで大規模にラクトフェリンを生産することができることは非常に望ましい。本技術は、そのような生産方法を提供する。
ヘモグロビンは、全ての脊椎動物の赤血球中の、鉄を含有する酸素輸送金属タンパク質である。酸素に加えて、ヘモグロビンが他の気体の輸送に関与し、それは、身体の呼吸性の二酸化炭素のうちのいくらか(合計の約10%)を運搬する。ヘモグロビンはまた、グロビンタンパク質チオール基に結合する重要な調節分子である一酸化窒素を運搬し、酸素と同時にそれを放出する。ヘモグロビン欠乏の疾患は、貧血の場合のように、ヘモグロビン分子の量の低下、又は、酸素と同じ分圧で酸素を結合する各分子の能力の低下のいずれかによって引き起こされる場合がある。原因にかかわらず、ヘモグロビン欠乏症は、血中酸素運搬能力を低下させる。身体に外部ヘモグロビンを供給することは、ヘモグロビン欠乏症を治療するための重要なアプローチである。本技術は、より低いコストで大規模にヘモグロビンを生産する方法を提供する。
エリスロポエチン(ヘマトポエチン又はヘモポエチンとも呼ばれる)は、赤血球産生、即ち赤血球の産生を制御する、糖タンパク質ホルモンである。エリスロポエチンは、アポトーシスからこれらの細胞を保護することによって赤血球の生存を促進する。エリスロポエチンはまた、前駆体赤血球の発達に関与する様々な成長因子と協働する。低酸素条件下で、腎臓は、エリスロポエチンを産生及び分泌して、赤血球の産生を増加させる。エリスロポエチンはまた、血管新生の刺激及び平滑筋線維の増殖の誘導に関与する。エリスロポエチンはまた、ヘプシジンホルモンを抑制することによって鉄吸収を増加させることが示されている。医学的に、エリスロポエチンは、慢性腎臓疾患、骨髄異形成、並びに癌治療(化学療法及び放射線)に起因する貧血を治療するために使用されている。本技術は、より低いコストで大規模にエリスロポエチンを生産する方法を提供する。
上皮成長因子(即ちEGF)は、その受容体EGFRに結合することによって、細胞成長、増殖、及び分化の調節において重要な役割を果たす、成長因子である。上皮成長因子は、ヒトの血小板、マクロファージ、尿、唾液、乳汁、及び血漿に見出すことができる。EGFが、精子形成、正常妊娠の完了、乳腺発達、及び創傷治癒を含む、多くの生理学的プロセスにおいて重要であることが、研究によって示唆されている。EGF欠乏症は、おそらく、これらの生理学的プロセスに関連する様々な疾患の病理に寄与する。他の発現系と比較して、より低いコストでより大規模にEGFを生産する見込みがあるアプローチを提供する本技術。
本技術を使用して、植物内で抗体を組み換えで産生することができる。例えば、非限定的に、単鎖抗体がジャガイモ植物内で産生され得る。
B.ワクチン及び感染症治療/予防
上述の例示的なタンパク質に加えて、本技術は、弱毒ウイルス、コートタンパク質、及び癌ワクチンを含む、ヒト及び動物ワクチンを生産する有利な代替的アプローチも提供する。例えば、本技術は、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPT(ジフテリア、百日咳、及び破傷風)ワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、及び風疹)ワクチン、MMRV(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、及び水痘)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、並びに黄熱ワクチンなどのヒトワクチンを生産するために使用され得る。
本技術は、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、及び駆虫剤ワクチンなどの動物ワクチンを生産するために使用され得る。
癌ワクチンという用語は、発癌性ウイルスへの感染の予防、既存の癌の治療、又はある特定の高リスク個人における癌の発達の予防のいずれかを行うワクチンを指す。いくつかの癌、例えば子宮頸癌及びいくつかの肝癌は、ウイルスによって引き起こされる。これらのウイルスに対する伝統的なワクチン、例えばHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン及びB型肝炎ワクチンなどは、これらの癌を予防する。
1.リフトバレー熱ウイルス(RVFV)
更に、本技術は、リフトバレー熱ウイルス(RVFV)の治療及び/又は予防のために使用され得る。RVFVは蚊媒介性ウイルスであり、その周期的流行は、サハラ以南のアフリカのほぼ全域にわたる家畜頭数に壊滅的な経済的影響を及ぼしている。ヒトにおいては、RVFV感染症は、脳、脊髄、及び髄膜の炎症、視力障害を伴う網膜炎、並びに出血を伴う肝壊死を引き起こす。近年の突発は、著しいヒトの死亡率、並びにアフリカ大陸を出てサウジアラビア及びイエメンに至る増加した地理的フットプリントをもたらし、新たな領域で出現するその能力を実証している。その増加する罹患率、蔓延、ベクター塑性、及びエアロゾル化の容易さに起因して、RVFVは、疾病管理センターによって新興感染症及びカテゴリーAの指定生物剤(select agent)として挙げられている。新興の脅威として認識されているにもかかわらず、RVFVの病原性機構については比較的少ししか知られておらず、現在、FDAに認可されているRVFVのワクチン又は治療薬はない。新規の抗ウイルス性治療薬を開発するために、ウイルス複製経路、及び宿主細胞に関連する病原の理解をより深めることが緊急に必要とされている。
RVFVは主に家畜に影響を及ぼし、成体の動物における熱及び自然流産の症例、並びに若い動物における高い死亡率として顕在化する。ヒトにおいては、このウイルスは、様々な重症度を有する疾患を引き起こし得る。ほとんどの場合、患者は、熱、頭痛、筋肉痛、及び肝臓の異常を伴う軽度の疾病を発症する。少ない割合の症例では、この疾病は、出血熱又は髄膜脳炎に進行し得る。更に、失明を含む、網膜損傷を引き起こす眼の後遺症が発生する場合がある。発症したヒトのうち約1%がこの疾患で死亡するが、近年ではこの割合が、おそらくは医学的処置を求める人々の率の増加に起因して、増加している(45%近く)。風土性の国の外でのRVFVの突発は、深刻な健康問題及び農業問題を引き起こすであろう。RVFVの意図的な蔓延は国民のバイオセキュリティの深刻な懸念であり、したがってRVFVは、CDC及びUSDAによってカテゴリーAの重複指定生物剤(overlap select agent)として分類される。Bird et al.J.Am.Vet Med.Assoc.,234(7):883〜893(2009)。リババリン(Ribavarin)がいくつかの症例において治療薬として使用されているが、望ましくない副作用がある。
したがって、本出願は、RVFVに対するワクチン接種のための手法及び構築物を企図する。この点で、そして当該技術分野で既知のように、RVFV感染を予防するために、不活化ワクチン、弱毒生ワクチン、及び組み換えワクチンが使用され得る。同様に、組み換えアプローチが、ウイルス複製及び/若しくは転写を阻害又は別様に変更するタンパク質を産生するために使用され得る。そのようなタンパク質は、本明細書に記載される手法のうちのいずれかを使用して、植物内で産生され得る。
2.HIV
高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が、HIV感染症の管理において大きな成果を挙げている。しかしながら、HAART薬物療法は、身体からHIVウイルスを駆除しない。HIVは身体内で休眠状態でいることができる。患者は、そのHAART治療が中断された場合、より症候性かつより感染性になり得る。Tatタンパク質は、HIVによって産生され、HIV dsRNAの転写を刺激する。Kim,J.B.and P.A.Sharp,J.Biol.Che.m,276(15):12317〜12323(2001)。Tatタンパク質は伝達ドメイン及び核局在シグナルを含有し、したがってこのタンパク質は、細胞及び細胞の核に進入することができる。Campbell et al.,J.Biol.Chem.,279(46):48197〜481204(2004)。
したがって、本出願は、HIV感染の妨害を含む、HIV治療のための手法及び構築物を企図する。例えば、非限定的に、組み換えアプローチが、ウイルス複製及び/若しくは転写を阻害又は別様に変更するタンパク質を産生するために使用され得る。そのようなタンパク質は、本明細書に記載される手法のうちのいずれかを使用して、植物内で産生され得る。
3.C型肝炎ウイルス
全世界で毎年350,000人を超える人々がHCV関連肝疾患により死亡すると推定される。Perz et al.J.Hepatol.45:529〜538(2006)。HCVは、その犠牲者の身体内で繁殖する間、多くの場合彼らに不快感を与えない、気付かれにくい死因(stealthy killer)である。このウイルスは、熱及び疲労などの流感様症状を引き起こしながら緩徐に顕在化し、肝臓を徐々に攻撃し、硬変症又は癌を引き起こす。一般的に、HCVは、感染した血液によって伝染する。ワクチンは開発中である。
したがって、本出願は、HCVの治療及び/又は妨害のための手法並びに構築物を企図する。この点で、組み換えアプローチが、ウイルス複製及び/若しくは転写を阻害又は別様に変更するタンパク質を産生するために使用され得る。そのようなタンパク質は、本明細書に記載される手法のうちのいずれかを使用して、植物内で産生され得る。
C.遺伝子発現の抑制
核酸構築物は、例えば、治療用タンパク質をコード化する、所望のポリヌクレオチドの収束性転写を誘起することによって、標的核酸の転写若しくは翻訳を効率的に低減又は防止するために使用され得る。そのような構築物の特定の特質の1つは、従来のサイレンシング構築物とは対照的に、所望のポリヌクレオチドの3’末端に挿入及び作動可能に連結される機能性ターミネーターがないことである。
例示的な構築物の別の特質は、ターミネーターに直接作動可能に連結されないポリヌクレオチドの1つ又は2つ以上のコピーの収束性転写を、2つの対向するプロモーターによって促進することである。終結シグナルの欠如に起因して、第1及び第2のプロモーターから転写されるRNA分子のプールの長さは、様々な長さであり得る。例えば、折々、転写機構は、所望のポリヌクレオチド配列の「末端」を示す最後のヌクレオチドを超えて転写し続ける場合がある。したがって、この特定の配置では、転写終結は、例えば、ヘアピン形成を促進する下流配列の弱い若しくは意図的でない作用、又は、トランスファーDNA統合部位に隣接する植物DNA内に位置する意図的でない転写ターミネーターの作用のいずれかによって発生し得る。
したがって、ターミネーターを有しない衝突転写(terminator-free colliding transcription)(TFCT)構築物は、第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結される第1のプロモーターと、第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結される第2のプロモーターと、を含み得、それによって、(1)第1及び第2のポリヌクレオチドは、互いと少なくともいくらかの配列同一性及び標的配列を共有し、(2)第1のプロモーターは、このプロモーターによって開始される転写の方向が第2のプロモーターに向かって進み、かつその逆も同様であるように配向され、(3)該構築物は、概して大きさが異なるRNA分子を産生し、いくつかの転写物は、ポリヌクレオチドの少なくとも一部のRNA対応部分を表し、その他は、ポリヌクレオチド及びその逆位相補体の両方のうちの少なくともいくつかの対応部分を含む。例えば、参照により全体が組み込まれる、米国特許第7,713,735号を参照されたい。
所望のポリヌクレオチドは、プロモーターに対して2つの異なる配向で連結され得る。一方の配向、例えば、「センス」では、結果として生じるRNA転写物の少なくとも5’部分が、少なくとも1つの標的転写物の少なくとも一部と配列同一性を共有する。「アンチセンス」と指定される他方の配向では、予測される転写物の少なくとも5’部分が、少なくとも1つの標的転写物の逆位相補体の少なくとも一部と同一又は相同性となる。
構築物はまた、所望のポリヌクレオチドのいずれかの側のプロモーターの配置を特徴とする場合がある。したがって、本発明の構築物は、所望のポリヌクレオチドの両方の鎖が転写されるように、1つ又は2つ以上の所望のポリヌクレオチドに隣接するか、又は所望のポリヌクレオチドのコピーに隣接する2つ又は3つ以上のプロモーターを含み得る。即ち、1つのプロモーターは、所望のポリヌクレオチドの5’末端の転写を開始するように配向されてよく、一方で第2のプロモーターは、同じ所望のポリヌクレオチドの3’末端からの転写を開始するように作動可能に配向されてよい。反対に配向されるプロモーターは、所望のポリヌクレオチドの複数のコピーに隣接し得る。したがって、「コピー数」は、構築物が、収束性転写を誘導するように配向されるプロモーターに最終的に隣接される所望のポリヌクレオチドの、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100個、又は100個を超えるコピー、又はその間の任意の整数を含み得るように、異なり得る。
あるいは、第1のプロモーターは、例えば、「カセットA」内の第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結されてよく、第2のプロモーターは、例えば、「カセットB」内の第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結されてよい。各カセットのポリヌクレオチドは、同じヌクレオチド配列を含む場合も含まない場合もあるが、目的の標的核酸といくらかの配列同一性の百分率を共有し得る。カセットは、縦一列に並んで、即ち、それらが構築物内で互いに隣接するように配置されてよい。更に、例えば、カセットBは、カセットAに対して逆位相補性配向に配向されてよい。したがって、この配置では、カセットBのプロモーターからの転写は、カセットAのプロモーターに向かう方向に進む。したがって、カセットは、「収束性転写」を誘導するように配置される。
いずれのカセットもターミネーター配列を含まない場合、そのような構築物は、収束性転写配置のために、異なる長さのRNA転写物を産生し得る。
したがって、この状況では、それぞれのカセットから転写された所望のポリヌクレオチドの部分的又は完全長の配列を含む、部分的又は完全に転写されたRNA転写物の亜集団が存在し得る。あるいは、機能性ターミネーターの非存在下で、転写機構は、所望のポリヌクレオチドの末端を超えて進んで、所望のポリヌクレオチドの長さよりも長い転写物を産生することができる。
したがって、ポリヌクレオチドの一方が他方に対して逆位相補性方向に配向される場合も配向されない場合もあり、かつポリヌクレオチドが収束性転写を誘導するようにプロモーターに作動可能に連結され、かつ構築物内に機能性ターミネーターがない、所望のポリヌクレオチドの2つのコピーを含む構築物では、一方の所望のポリヌクレオチドから開始する転写機構は、所望のポリヌクレオチドの他方のコピーを転写するように進み得、その逆も同様である。所望のポリヌクレオチドの複数のコピーは、様々な順列で配向されてよい。所望のポリヌクレオチドの2つのコピーが構築物内に存在する場合では、コピーは、例えば、両方とも同じ方向に、互いに対して逆位配向に、又は、例えば、互いに対して逆位相補性配向に、配向されてよい。
所望のポリヌクレオチドの一方が他方のポリヌクレオチドに対して逆位相補性配向に配向される配置では、第1のポリヌクレオチドの「センス」配列だけでなく第2のポリヌクレオチドからの「アンチセンス」配列も含むRNA転写物が産生され得る。第1及び第2のポリヌクレオチドが、いくらか又は実質的に同じDNA配列を含む場合、単一のRNA転写物は、互いに対して相補性であり、したがってアニールすることができる、2つの領域を含み得る。したがって、そのように転写される単一のRNA転写物は、部分的又は完全なヘアピン二本鎖構造を形成し得る。
他方では、そのような長い転写物の2つのコピー(各プロモーターから1つ)が産生された場合、それぞれが他方と相補性である配列の領域を共有する、2つのRNA分子が存在することになる。したがって、第1のRNA転写物の「センス」領域は、第2のRNA転写物の「アンチセンス」領域にアニールすることができ、その逆も同様である。したがって、この配置では、単一の自己相補性RNA転写物から形成するヘアピン二本鎖とは対照的に、2つの別個のRNA転写物からなる別のRNA二本鎖が形成され得る。
あるいは、所望のポリヌクレオチドの2つのコピーは、転写リードスルーの場合、1つのプロモーターから産生される長いRNA転写物が、例えば、所望のポリヌクレオチドの第1のコピーのセンス配列、及び所望のポリヌクレオチドの第2のコピーのセンス配列をまた含み得るように、同じ方向に配向されてよい。したがって、収束性に配向される他方のプロモーターから産生されるRNA転写物は、所望のポリヌクレオチドの第2のコピーのアンチセンス配列、及び第1のポリヌクレオチドのアンチセンス配列をまた含み得る。したがって、おそらくいずれのRNA転写物も正確な相補性の領域を含有せず、したがって、いずれのRNA転写物もおそらく自らを折りたたんでヘアピン構造を生成することはないであろう。他方では、2つの個別のRNA転写物は、RNA二本鎖を形成するように互いとハイブリダイズ及びアニールすることができる。
したがって、一態様では、本発明は、構築物であって、ターミネーターを欠くか、又は自己スプライシング型リボザイムコード化DNA領域が先行するターミネーターを欠くが、第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結される第1のプロモーターと、第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結される第2のプロモーターと、を含み、それによって、(1)第1及び第2のポリヌクレオチドが、互いと少なくともいくらかの配列同一性を共有し、(2)第1のプロモーターが、このプロモーターによって開始される転写の方向が第2のプロモーターに向かって進み、かつその逆も同様であるように配向され、(3)この収束性配置が、概して長さが異なる様々なRNA転写物を産生する、構築物を提供する。
所望のポリヌクレオチドは、互いの完全若しくは不完全な反復であるか、又は互いの完全若しくは不完全な逆位相補性反復であってよい。第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドを含む構築物の場合、第2のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドに対してヌクレオチド配列が完全又は部分的に同一であり、かつ第1のポリヌクレオチドに対して直接又は逆位相補性配向に配向されてよい。したがって、第1及び第2のポリヌクレオチドは、互いの完全反復であってよい。他方では、第2のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドの不完全反復であってよく、即ち、第2のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドと配列同一性を共有し得るが、配列が完全又は部分的に同一ではなく、即ち、第2のポリヌクレオチドは不完全反復である。その第2のポリヌクレオチドはまた、第1のポリヌクレオチドに対して直接反復として配向されるか、又は逆位相補性配向に位置してもよい。
本明細書に記載されるポリヌクレオチド、例えば、所望のポリヌクレオチド、又は第1若しくは第2のポリヌクレオチドなどのうちのいずれも、標的配列の少なくとも一部と同一であり得るか、又は標的配列の少なくとも一部と配列同一性を共有し得る。所望のポリヌクレオチドが、標的配列の断片と相同性である配列を含む場合、即ち、それが標的配列の「少なくとも一部」と配列同一性を共有する場合、その断片のヌクレオチド配列が標的遺伝子に特異的であり、かつ/又は、所望のポリヌクレオチド中に存在する標的の部分的完全若しくは不完全配列が、標的特異性を付与するために十分な長さであることが望ましい場合がある。したがって、標的配列の部分と配列同一性を共有する所望のポリヌクレオチドの部分は、典型的には標的配列のイソ型若しくは相同体によって保存される特徴的ドメイン、結合部位、又はヌクレオチド配列を含み得る。したがって、細胞中の標的核酸を標的化するために最適な所望のポリヌクレオチドを設計することが可能である。
別の実施形態では、所望のポリヌクレオチドは、標的核酸のDNA又はRNA配列と配列同一性を共有する、好ましくは4〜5,000個のヌクレオチド、より好ましくは50〜1,000個のヌクレオチド、最も好ましくは150〜500個のヌクレオチドの配列を含む。所望のポリヌクレオチドは、配列が標的配列内の配列と100%同一である、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、若しくは500個を超える近接するヌクレオチド、若しくはその間の任意の整数と、配列同一性を共有し得るか、又は、所望のポリヌクレオチドは、標的配列の配列と、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、8%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%のヌクレオチド配列同一性を共有する配列を含む。換言すれば、所望のポリヌクレオチドは、標的配列の完全長の配列若しくは標的配列のその断片と相同性であるか、又は相同性を共有し得る。
したがって、本発明は、標的配列と相同性を共有し、したがって、ストリンジェント又は中等度のハイブリダイゼーション条件下で本明細書に記載される標的配列の一部とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子を提供する。ポリヌクレオチドの「一部」とハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、基準ポリヌクレオチドの少なくとも約15個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約20個のヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約30個のヌクレオチド、より一層好ましくは30個を超えるヌクレオチドとハイブリダイズする、ポリヌクレオチド(DNA又はRNAのいずれか)が意図される。本発明の目的のため、相同性を共有する2つの配列、即ち、所望のポリヌクレオチド及び標的配列は、6倍のSSC、0.5%のSDS、5倍のデンハルト(Denhardt)溶液、及び100gの非特異的担体DNAのハイブリダイゼーション溶液中で、二本鎖の複合体を形成するときにハイブリダイズすることができる。Ausubel et al.,section 2.9,supplement 27(1994)を参照されたい。そのような配列は、6倍のSSC、0.5%のSDS、5倍のデンハルト溶液、及び100μgの非特異的担体DNAのハイブリダイゼーション溶液中で、60℃の温度として定義される「中等度のストリンジェンシー」でハイブリダイズすることができる。「高ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーションでは、68℃に温度を上昇させる。中等度ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション反応後、ヌクレオチドを、室温で2倍のSSCに加えて0.05%のSDS 5倍の溶液中で洗浄し、続けて、60℃で1時間にわたって、0.1倍のSSCに加えて0.1%のSDSで洗浄する。高ストリンジェンシーでは、典型的には約68℃の温度に洗浄温度を上昇させる。ハイブリダイズされたヌクレオチドは、10,000cpm/μgの特異的放射活性を有する1μgの放射線標識プローブを使用して検出されるものであり得、ハイブリダイズされたヌクレオチドは、72時間以下にわたる−70℃におけるX線フィルムへの曝露後に明らかに目に見える。
一実施形態では、本発明の構築物は、該構築物を含有する細胞によって通常発現される標的遺伝子の発現レベルを、該構築物を含有しない細胞と比較して、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%低下させる核酸を産生する、発現カセットを含み得る。
本発明のいずれのポリヌクレオチドも、「所望のポリヌクレオチド」、「第1の」ポリヌクレオチド、「第2の」ポリヌクレオチドにせよ、標的配列とある特定の配列同一性百分率を共有し得る。本明細書で説明されるように、標的配列は、遺伝子、プロモーター若しくはターミネーターなどの調節エレメント、エクソン、イントロン、非翻訳領域、又は標的ゲノム配列の上流若しくは下流の任意の配列の、部分的若しくは完全長の配列であってよいが、これらに限定されない。したがって、本発明のポリヌクレオチドは、その配列の長さにわたって、そのような標的配列と同一である配列を含み得る。他方では、本発明のポリヌクレオチドは、そのような標的配列と配列同一性を共有する配列を含み得る。したがって、本発明の所望のポリヌクレオチドは、標的配列の配列と、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、又は60%のヌクレオチド配列同一性を共有し得る。
本明細書で使用される場合、2つの核酸又はポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」又は「同一性」は、規定の領域にわたる最大の対応のために整列されるとき同じである2つの配列における残基への参照を含む。配列同一性の百分率がタンパク質に関して使用されるとき、同一でない残基位置は、多くの場合、アミノ酸残基が同様の化学特性(例えば電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、したがって分子の機能的特性を変化させない、保存的なアミノ酸置換によって異なると認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質を補正するように上方に調整され得る。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。典型的には、これは、完全ミスマッチではなく部分的ミスマッチとして保存的置換をスコア化し、それによって配列同一性百分率を上昇させることを伴う。したがって、例えば、同一のアミノ酸に1のスコアが与えられ、非保存的置換にゼロのスコアが与えられる場合、保存的置換にはゼロ〜1のスコアが与えられる。保存的置換のスコア化は、例えば、PC/GENEプログラム(Intelligenetics,Mountain View,Calif.,USA)によって実装される、例えば、Meyers and Miller,Computer Applic.Biol.Sci.,4:11〜17(1988)のアルゴリズムに従って算出される。
本明細書で使用される場合、「配列同一性の百分率」は、最適に整列された2つの配列を比較ウィンドウ上で比較することによって決定される値を意味し、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列を最適に整列させるために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。この百分率は、両方の配列において同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が発生する位置の数を決定して、マッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて、配列同一性の百分率を得ることによって算出される。
比較のための配列の整列の方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444(1988)の類似性方法の検索によって、Intelligenetics,Mountain View,Calif.によるPC/遺伝子プログラム内のCLUSTAL;Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group(GCG)内のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTA(575 Science Dr.,Madison,Wis.,USA)を含むがこれらに限定されない、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施によって、行われ得、CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp,Gene 73:237〜244(1988)、Higgins and Sharp,CABIOS 5:151〜153(1989)、Corpet,et al.,Nucleic Acids Research 16:10881〜90(1988)、Huang,et al.,Computer Applications in the Biosciences 8:155〜65(1992)、及びPearson,et al.,Methods in Molecular Biology 24:307〜331(1994)によって十分に説明されている。
データベース類似性検索に使用され得るBLAST群のプログラムとしては、ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのBLASTN、タンパク質データベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのBLASTX、タンパク質データベース配列に対するタンパク質問い合わせ配列のためのBLASTP、ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質問い合わせ配列のためのTBLASTN、及びヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのTBLASTXが挙げられる。Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 19,Ausubel,et al.,Eds.,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1995)、Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403〜410(1990)、及び、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389〜3402(1997)を参照されたい。
BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、例えば、National Center for Biotechnology Informationを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードと整列されるときに、いくつかの正値の閾値スコアTとマッチするか又はそれを満たすかのいずれかである、問い合わせ配列内の長さWの短いワードを識別することによって、高スコア配列対(HSP)を初めに識別することを伴う。Tは、隣接ワード(neighborhood word)スコア閾値と称される。これらの初期の隣接ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するための種の働きをする。次にこのワードヒットを、累積整列スコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に延長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、M(マッチする残基の対への報酬スコア、常に0超)、及びN(ミスマッチの残基へのペナルティスコア、常に0未満)のパラメータを使用して算出される。アミノ酸配列については、スコア化マトリックスを使用して累積スコアを算出する。各方向のワードヒットの延長は、累積整列スコアが、その最大達成値からXの量低下するとき、累積スコアが、1つ又は2つ以上の負のスコアの残基整列の蓄積のためにゼロ以下になるとき、又はいずれかの配列の末端に達したとき、停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、及びXは、整列の感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ、M=5、N=−4、及び両方の鎖の比較を初期設定として使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、10の期待値(E)、及びBLOSUM62スコア化マトリックス(Henikoff & Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)を初期設定として使用する。
配列同一性パーセントを算出することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も実行する(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat’l.Acad Sci.USA 90:5873〜5877(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間のマッチが偶然発生する確率の指標を提供する、最小合計確率(P(N))である。
BLAST検索は、タンパク質がランダム配列としてモデル化され得ると想定する。しかしながら、現実のタンパク質の多くは、ホモポリマー区域、短期間反復、又は1つ若しくは2つ以上のアミノ酸が濃縮された領域であり得る、非ランダム配列の領域を含む。そのような低複雑性の領域は、タンパク質の他の領域が全体的に異なっていても、無関係のタンパク質間で整列され得る。いくつかの低複雑性フィルタプログラムを用いて、そのような低複雑性の整列を低減させることができる。例えば、SEG(Wooten and Federhen,Comput.Chem.,17:149〜163(1993))及びXNU(Claverie and States,Comput.Chem.,17:191〜201(1993))低複雑性フィルタが、単独又は組み合わせて用いられ得る。
配列の複数の整列が、CLUSTALの整列法(Higgins and Sharp(1989)CABIOS.5:151〜153)を、初期設定パラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)と共に使用して実行され得る。CLUSTAL法を使用する対整列の初期設定パラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、及びDIAGONALS SAVED=5である。
したがって、何ら限定するものではないが、出願人は、目的のタンパク質をコード化する遺伝子を同時に過剰発現しながら、タンパク質をコード化する内因性植物遺伝子を抑制することを企図する。例えば、同時に、パタチン(主要な塊茎貯蔵タンパク質)を抑制しながらも、目的の治療用タンパク質を過剰発現する、収束性発現カセットが使用され得る。そのような発現カセットは、それに基づいて選択がなされ得る独特な色又は他の独特な特性を付与する選択可能マーカー遺伝子を含み得、それによって選択を容易にし、ヒトによる消費を防止する。更に、タンパク質抑制並びに/又は産生が植物の正常な成長及び発達に干渉しないように、誘導性プロモーターが、タンパク質抑制並びに/又は産生を更に調節するために使用され得る。
D.核酸構築物内の調節エレメント
本開示は、トランスジェニック植物内のタンパク質産生を調節するための核酸分子及び手法を提供する。一実施形態では、そして上述のように、目的の治療用タンパク質は、ジャガイモ植物内で過剰発現され得る。
発現ベクターは、調節エレメント(例えば、プロモーター)に作動可能に連結される少なくとも1つの遺伝的マーカーを有し、これは、該マーカーを含有する形質転換された細胞が、負の選択、即ち、選択可能マーカー遺伝子を含有しない細胞の成長を阻害すること、又は正の選択、即ち、遺伝的マーカーによってコード化される産物をスクリーニングすることのいずれかによって、回収されることを可能にする。植物形質転換に一般的に使用される選択可能マーカー遺伝子の多くは、形質転換の技術分野で周知であり、例えば、抗生物質若しくは除草剤であり得る選択的な化学剤を代謝的に解毒する酵素をコード化する遺伝子、又は、阻害物質に対して非感受性の変更された標的をコード化する遺伝子を含む。いくつかの正の選択方法がまた、当該技術分野において既知である。
植物形質転換に一般的に使用される選択可能マーカー遺伝子の1つは、植物調節シグナルの制御下でカナマイシンへの耐性を付与する、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子である。Fraley,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:4803(1983)。一般的に使用される別の選択可能マーカー遺伝子は、抗生物質であるヒグロマイシンへの耐性を付与する、ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子である。Vanden Elzen,et al.,Plant Mol.Biol.,5:299(1985)。
抗生物質への耐性を付与する細菌起源の追加の選択可能マーカー遺伝子としては、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ、ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ、及びアミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼ、ブレオマイシン耐性決定因子が挙げられる(Hayford,et al.,Plant Physiol.,86:1216(1988)、Jones,et al.,Mol.Gen.Genet.,210:86(1987)、Svab,et al.,Plant Mol.Biol.,14:197(1990)、Hille,et al.,Plant Mol.Biol.,7:171(1986))。他の選択可能マーカー遺伝子は、グリホセート、グルホシネート、又はブロモキシニルなどの除草剤への耐性を付与する(Comai,et al.,Nature,317:741〜744(1985)、Gordon−Kamm,et al.,Plant Cell,2:603〜618(1990)、Stalker,et al.,Science,242:419〜423(1988))。
細菌起源ではない植物形質転換のための選択可能マーカー遺伝子としては、例えば、マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ、植物5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ、及び植物アセト乳酸シンターゼが挙げられる(Eichholtz,et al.,Somatic Cell Mol.Genet.,13:67(1987)、Shah,et al.,Science,233:478(1986)、Charest,et al.,Plant Cell Rep.,8:643(1990))。
植物形質転換のための別の種類のマーカー遺伝子は、抗生物質などの毒性物質への耐性のために、形質転換された細胞の直接的な遺伝子選択ではなく、推定的に形質転換された植物細胞のスクリーニングを必要とする。これらの遺伝子は、特定の組織における遺伝子の発現の空間的パターンを定量又は可視化するために特に有用であり、遺伝子発現の調査のために遺伝子又は遺伝子調節配列に融合することができるため、しばしばレポーター遺伝子と称される。推定的に形質転換された細胞をスクリーニングするために一般的に使用される遺伝子としては、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが挙げられる(Jefferson,R.A.,Plant Mol.Biol.Rep.,5:387(1987)、Teeri,et al.,EMBO J.,8:343(1989)、Koncz,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:131(1987)、DeBlock,et al.,EMBO J.,3:1681(1984))。
植物組織の破壊を必要としないGUS活性の可視化のためのインビボ方法が利用可能である(Molecular Probes,Publication 2908,IMAGENE GREEN,pp.1〜4(1993)、Naleway,et al.,J.Cell Biol.,115:151a(1991))。しかしながら、GUS活性の可視化のためのこれらのインビボ方法は、低い感受性、高い蛍光バックグラウンド、及び選択可能マーカーとしてのルシフェラーゼ遺伝子の使用に関連する制限のため、形質転換された細胞の回収に有用であると証明されていない。
より近年、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコード化する遺伝子が、原核細胞及び真核細胞中の遺伝子発現のマーカーとして用いられている(Chalfie,et al.,Science,263:802(1994))。GFP及びGFPの変異体は、スクリーニング可能(screenable)マーカーとして使用され得る。GFP変異体の一例は、増加した蛍光性及び光安定性を有する強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)である。
発現ベクター内に含まれる遺伝子は、調節エレメント(例えば、プロモーター)を含むヌクレオチド配列によって駆動されなければならない。いくつかの種類のプロモーターが、単独で又はプロモーターと組み合わせて使用され得る他の調節エレメントと同様に、形質転換の技術分野において周知である。
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、転写開始から上流にあり、かつ転写を開始するためのRNAポリメラーゼと他のタンパク質との認識及び結合に関与する、DNAの領域への言及を含む。「植物プロモーター」は、植物細胞内で転写を開始することができるプロモーターである。発生制御下のプロモーターの例としては、葉、根、種、繊維、木部導管、仮導管、又は厚壁組織などのある特定の組織内で転写を優先的に開始するプロモーターが挙げられる。そのようなプロモーターは、「組織好適(tissue-preferred)」であると称される。ある特定の組織内でのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」であると称される。「細胞型」特異的プロモーターは、1つ又は2つ以上の器官、例えば、根又は葉内の脈管細胞内の、ある特定の細胞型における発現を主に駆動する。「誘導性」プロモーターは、環境制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写に影響を及ぼし得る環境条件の例としては、嫌気性条件又は光の存在が挙げられる。組織特異的、組織好適、細胞型特異的、及び誘導性プロモーターは、「非構成型」プロモーターの分類を構成する。「構成型」プロモーターは、ほとんどの環境条件下で活性であるプロモーターである。
誘導性プロモーター−誘導性プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結される。任意に、誘導性プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコード化するヌクレオチド配列に作動可能に連結される。誘導性プロモーターと共に、転写の速度は、誘導剤に応答して上昇する。
任意の誘導性プロモーターが、本発明に使用され得る。Ward,et al.,Plant Mol.Biol.,22:361〜366(1993)を参照されたい。例示的な誘導性プロモーターとしては、銅に応答するACEI系のもの(Mett,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:4567〜4571(1993))、ベンゼンスルホンアミド除草剤毒性緩和剤(safener)に応答するトウモロコシ由来のIn2遺伝子(Hershey,et al.,Mol.Gen Genetics,227:229〜237(1991)、Gatz,et al.,Mol.Gen.Genetics,243:32〜38(1994))、又はTn10由来のTet抑制物質(Gatz,et al.,Mol.Gen.Genetics,227:229〜237(1991))が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい誘導性プロモーターは、植物が通常は応答しない誘導剤に応答するプロモーターである。例示的な誘導性プロモーターは、ステロイドホルモン遺伝子由来の誘導性プロモーター、グルココルチコイド応答エレメントであり、その転写活性は、グルココルチコイドホルモンによって誘導される(Schena,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10421−10425(1991))。
ノパリンシンターゼ及びオクトピンシンターゼ遺伝子のプロモーターなどの他のプロモーターが、細菌種からクローン化され得る。様々な誘導性プロモーターがあるが、典型的には、誘導性プロモーターは、温度感受性プロモーター、化学的に誘導されるプロモーター、又は時間的プロモーターであり得る。具体的には、誘導性プロモーターは、例えば、エタノール、ステノール、糖、エチレン、ABA、オーキシン、サイトカイニン、オクトピン、ノパリン、光、酸素、カドミウム、銅、及び他の重金属のうちのいずれによっても誘導され得る。例示的な誘導性プロモーターとしては、Ha hsp17.7 G4プロモーター、コムギwcs120プロモーター、Rab 16A遺伝子プロモーター、α−アミラーゼ遺伝子プロモーター、pin2遺伝子プロモーター、及びカルボキシラーゼプロモーターも挙げられるが、これらに限定されない。
構成型プロモーター−構成型プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結されるか、又は、構成型プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコード化するヌクレオチド配列に作動可能に連結される。
多くの異なる構成型プロモーターが、本発明に用いられ得る。例示的な構成型プロモーターとしては、CaMV由来の35Sプロモーターなどの植物ウイルス由来のプロモーター(Odell,et al.,Nature,313:810〜812(1985))、並びにイネアクチン(McElroy,et al.,Plant Cell,2:163〜171(1990))、ユビキチン(Christensen,et al.,Plant Mol.Biol.,12:619〜632(1989)、Christensen,et al.,Plant Mol.Biol.,18:675〜689(1992))、pEMU(Last,et al.,Theor.Appl.Genet.,81:581〜588(1991))、MAS(Velten,et al.,EMBO J.,3:2723〜2730(1984))、及びトウモロコシH3ヒストン(Lepetit,et al.,Mol.Gen.Genetics,231:276〜285(1992)、Atanassova,et al.,Plant Journal,2(3):291〜300(1992))などの遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。ALSプロモーター、セイヨウアブラナ(Brassica napus)ALS3構造遺伝子に対して5’のXba1/Ncol断片(又は該Xba1/Ncol断片に対するヌクレオチド配列類似性)は、特に有用な構成型プロモーターの代表である。PCT出願国際公開第96/30530号を参照されたい。追加の構成型プロモーターとしては、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター、ゴマノハグサモザイクウイルスプロモーター、及びRubiscoアクチバーゼ遺伝子の植物プロモーターが挙げられる。
組織特異的又は組織好適プロモーター−組織特異的プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結される。任意に、組織特異的プロモーターは、大豆内の発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコード化するヌクレオチド配列に作動可能に連結される。組織特異的プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子で形質転換された植物は、排他的に、又は優先的に、特異的組織内で導入遺伝子のタンパク質産物を産生する。
任意の組織特異的又は組織好適プロモーターが、本発明に用いられ得る。例示的な組織特異的又は組織好適プロモーターとしては、ファゼオリン遺伝子由来のものなどの根好適プロモーター(Murai,et al.,Science,23:476〜482(1983)、Sengupta−Gopalan,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3320〜3324(1985))、Cab若しくはRubisco由来のものなどの葉特異的及び光誘導性プロモーター(Simpson,et al.,EMBO J.,4(11):2723〜2729(1985)、Timko,et al.,Nature,318:579〜582(1985))、LAT52由来のものなどの葯特異的プロモーター(Twell,et al.,Mol.Gen.Genetics,217:240〜245(1989))、Zm13由来のものなどの花粉特異的プロモーター(Guerrero,et al.,Mol.Gen.Genetics,244:161〜168(1993))、又はapg由来のものなどの小胞子好適プロモーター(Twell,et al.,Sex.Plant Reprod.,6:217〜224(1993))が挙げられるが、これらに限定されない。
導入遺伝子によって産生されるタンパク質の、葉緑体、小胞、ペルオキシソーム、グリオキシソーム、細胞壁、若しくはミトコンドリアなどの細胞内区画への、又はアポプラストへの分泌のための輸送は、シグナル配列をコード化するヌクレオチド配列を、目的のタンパク質をコード化する遺伝子の5’及び/又は3’領域に作動可能に連結する手段によって達成される。構造遺伝子の5’及び/又は3’末端の配列を標的化することは、タンパク質合成及び加工中に、コード化されるタンパク質が最終的にどこで区画化されるかを決定し得る。
シグナル配列の存在は、細胞内小器官若しくは細胞内区画のいずれかに、又はアポプラストへの分泌のために、ポリペプチドを導く。多くのシグナル配列が、当該技術分野において既知である。そのような配列の一例は、顆粒結合デンプンシンターゼ(GBSS)遺伝子内の輸送ペプチドコード配列である。別の例は、リブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(RuBisCo)遺伝子の小サブユニットから誘導される配列である。他の例については、Becker,et al.,Plant Mol.Biol.,20:49(1992)、Knox,C.,et al.,Plant Mol.Biol.,9:3〜17(1987)、Lerner,et al.,Plant Physiol.,91:124〜129(1989)、Frontes,et al.,Plant Cell,3:483〜496(1991)、Matsuoka,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,88:834(1991)、Gould,et al.,J.Cell.Biol.,108:1657(1989)、Creissen,et al.,Plant J.,2:129(1991)、Kalderon,et al.,Cell,39:499〜509(1984)、Steifel,et al.,Plant Cell,2:785〜793(1990)を参照されたい。
特定の用途に応じて、適切なプロモーター配列が使用されてよい。例えば、プロモーターは、構成型若しくは誘導性プロモーター、又はそれらの順列であってよい。「強い」プロモーターは、例えば、カリフラワーモザイクウイルス、イネタングロバシリフォルム(tungro bacilliform)ウイルス、トウモロコシ線条ウイルス、キャッサバ葉脈ウイルス、ミラビリスウイルス、ピーナッツ萎黄病線条カリモウイルス、ゴマノハグサモザイクウイルス、及びクロレラウイルスなどのウイルスから単離されたものであり得る。一実施形態では、そして当該技術分野で既知のように、出願人は、カリフラワーモザイクウイルス由来の構成型35Sプロモーターを企図する。
E.遺伝子改変のためのジャガイモ植物
本説明では、「トランスジェニック植物」は、宿主植物ゲノムに通常は存在しない遺伝子、通常はRNAへと転写されない、若しくはタンパク質へと翻訳(「発現」)されないDNA配列、又は、非形質転換の植物への導入が所望される任意の他の遺伝子若しくはDNA配列、例えば、非形質転換の植物内に通常存在し得るが、遺伝子改変すること、若しくは変更された発現を有することが所望される遺伝子などを含むがこれらに限定されない、核酸配列を組み込んでいる植物を指す。「トランスジェニック植物」の分類は、一次形質転換体、及び、例えば、標準的な遺伝質移入又は別の交配手順によって形質転換体をその系列に含む植物の両方を含む。
目的のペプチド及びタンパク質は、二倍体及び四倍体ジャガイモ植物(例えば、Solanum tuberosum)の両方で産生され得る。「二倍体」及び「四倍体」という用語は、本明細書で使用される場合、各細胞(生殖細胞を除く)中に2対及び4対の各染色体を有するものと定義される。二倍体ジャガイモ植物は、小さく、かつ不揃いの形状及び色をした塊茎を生成した。四倍体ジャガイモ植物は、二倍体ジャガイモ植物よりも大きな葉及び塊茎バイオマスをもたらし、かつより早く成長する。四倍体ジャガイモ植物は、消費のために商業的に栽培される。
F.遺伝子改変の手法
核酸構築物は、好適な遺伝子改変技術を使用して、任意の植物細胞へと導入され得る。単子葉及び双子葉両方の被子植物又は裸子植物の植物細胞が、当該技術分野に既知である様々な方法で遺伝子改変され得る。例えば、Klein et al.,Biotechnology 4:583〜590(1993)、Bechtold et al.,C.R.Acad.Sci.Paris 316:1194〜1199(1993)、Bent et al.,Mol.Gen.Genet.204:383〜396(1986)、Paszowski et al.,EMBO J.3:2717〜2722(1984)、Sagi et al.,Plant Cell Rep.13:262〜266(1994)を参照されたい。例示的な手法としては、形質転換、電気穿孔法、粒子銃照射、リン酸カルシウム沈降、及びポリエチレングリコール融合、発芽花粉粒への移入、直接形質転換(Lorz et al.,Mol.Genet.199:179〜182(1985))、並びに当該技術分野に既知の他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
生物学的及び物理的植物形質転換プロトコルを含む、植物形質転換のための多くの方法が開発されている。例えば、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick and Thompson Eds.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,pp.67〜88(1993)内のMiki,et al.,「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」を参照されたい。更に、植物細胞又は組織の形質転換並びに植物の再生のための発現ベクター及びインビトロ栽培方法が利用可能である。例えば、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick and Thompson Eds.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,pp.89〜119(1993)内のGruber,et al.,「Vectors for Plant Transformation」を参照されたい。
アグロバクテリウム媒介性形質転換−植物へと発現ベクターを導入するための1つの方法は、アグロバクテリウムの自然形質転換系に基づく。例えば、Horsch,et al.,Science,227:1229(1985)を参照されたい。アグロバクテリウムツメファシエンス(A. tumefaciens)及びアグロバクテリウムリゾゲネス(A. rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換する植物病原性土壌細菌である。アグロバクテリウムツメファシエンス並びにアグロバクテリウムリゾゲネスのTi及びRiプラスミドは、それぞれ、植物の遺伝的形質転換の原因となる遺伝子を担持する。例えば、Kado,C.I.,Crit.Rev.Plant Sci.,10:1(1991)を参照されたい。アグロバクテリウムベクター系及びアグロバクテリウム媒介性の遺伝子移入のための方法の説明は、Gruberら(上記)、Mikiら(上記)、及びMoloney,et al.,Plant Cell Reports,8:238(1989)によって提供されている。1996年10月8日交付の米国特許第5,563,055号(Townsend及びThomas)も参照されたい。
一実施形態では、アグロバクテリウムツメファシエンス及びアグロバクテリウムリゾゲネスなどのアグロバクテリウム種が、例えば、Nagel et al.,Microbiol Lett 67:325(1990)に従って使用され得る。簡潔に述べると、アグロバクテリウムは、例えば電気穿孔法によって、植物発現ベクターで形質転換され得、その後アグロバクテリウムは、例えば周知のリーフディスク法によって、植物細胞に導入される。
上述のアグロバクテリウム形質転換方法は、双子葉植物の形質転換に有用であることが知られている。更に、全て参照により組み込まれる、de la Pena,et al.,Nature 325:274〜276(1987)、Rhodes,et al.,Science 240:204〜207(1988)、及びShimamato,et al.,Nature 328:274〜276(1989)は、アグロバクテリウムを使用して穀類単子葉植物を形質転換している。アグロバクテリウム媒介性の形質転換のための真空浸潤の使用を示す、Bechtold,et al.,C.R.Acad.Sci.Paris 316(1994)も参照されたい。
一実施形態では、形質転換ベクターは、その5’末端における「左境界」、及びその3’末端における「右境界」を特徴とする、アグロバクテリウム由来のT−DNAエレメントの代替物を含み得る。したがって、代替的なトランスファーDNAは、標的植物ゲノムへと導入される望ましくない核酸の量を最低限に抑えるために、食用植物から単離され得る。そのような植物トランスファーDNA(P−DNA)はまた、1つのポリヌクレオチドを別のものに移入することを支持する左及び右の境界様配列によって描写される。本目的では、T−DNA又はP−DNA構築物のいずれかが、所望のポリヌクレオチドを植物細胞へと移入するために使用され得る。当業者であれば、いくつかの場合では、アグロバクテリウム媒介性の形質転換によって植物ゲノムへと導入される望ましくない遺伝的エレメントの量及び数を低減することが望ましいことを理解するであろう。したがって、P−DNA及びその境界様配列は植物ゲノムから単離されるため、当業者は、そのような場合にP−DNAを使用することができる。例えば、米国特許第7,598,430号及び同第7,928,292号を参照されたい。
直接遺伝子移入−まとめて直接遺伝子移入と称される植物形質転換のいくつかの方法が、アグロバクテリウム媒介性の形質転換の代替案として開発されている。植物形質転換の一般的に適用可能な方法は、1〜4μmの寸法の微粒子銃の表面上にDNAが担持される、微粒子銃(microprojectile)媒介性の形質転換である。植物細胞壁及び膜を貫通するために十分である300〜600m/秒の速度に微粒子銃を加速する遺伝子銃装置で、発現ベクターを植物組織へと導入する。Sanford,et al.,Part.Sci.Technol.,5:27(1987)、Sanford,J.C.,Trends Biotech.,6:299(1988)、Klein,et al.,Bio/Tech.,6:559〜563(1988)、Sanford,J.C.,Physiol Plant,7:206(1990)、Klein,et al.,Biotechnology,10:268(1992)。1991年5月14日交付の米国特許第5,015,580(Christouら)、及び1994年6月21日交付の米国特許第5,322,783号(Tomesら)も参照されたい。
植物へのDNAの物理的送達の別の方法は、標的細胞の超音波処理である。Zhang,et al.,Bio/Technology,9:996(1991)。あるいは、リポソーム及びスフェロプラスト融合が、植物へと発現ベクターを導入するために使用されている。Deshayes,et al.,EMBO J.,4:2731(1985)、Christou,et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA,84:3962(1987)。CaCl沈降、ポリビニルアルコール、又はポリ−L−オルニチンを使用する、プロトプラストへのDNAの直接的な取り込みも報告されている。Hain,et al.,Mol.Gen.Genet.,199:161(1985)及びDraper,et al.,Plant Cell Physiol.,23:451(1982)。プロトプラスト並びに細胞及び組織全体の電気穿孔法も記載されている(Donn,et al.,In Abstracts of VIIth International Congress on Plant Cell and Tissue Culture IAPTC,A2−38,p.53(1990)、D’Halluin,et al.,Plant Cell,4:1495〜1505(1992)、及びSpencer,et al.,Plant Mol.Biol.,24:51〜61(1994))。
的確な植物形質転換の手法は、形質転換のための細胞標的として選択される植物種、及び植物細胞型(例えば、胚軸及び子葉又は胚組織などの実生由来の細胞型)に応じていくらか異なり得る。植物種特異的な形質転換プロトコルは、Biotechnology in Agriculture and Forestry 46:Transgenic Crops I(Y.P.S.Bajaj ed.),Springer−Verlag,New York(1999)、及びBiotechnology in Agriculture and Forestry 47:Transgenic Crops II(Y.P.S.Bajaj ed.),Springer−Verlag,New York(2001)に見出すことができる。
形質転換後、植物細胞が成長し、苗条及び根などの分化組織が出芽すると、成熟植物が再生される。典型的には、複数の植物が再生される。植物を再生する手法は、概して植物種及び細胞型依存性であり、当業者にとって既知である。植物組織培養に関する更なる指針は、例えば、Plant Cell and Tissue Culture,1994,Vasil and Thorpe Eds.,Kluwer Academic Publishers、及びPlant Cell Culture Protocols(Methods in Molecular Biology 111),1999,Hall Eds,Humana Pressに見出すことができる。
遺伝子改変された植物材料の選択を助けるため、選択可能/スクリーニング可能マーカーが、異種遺伝子を発現しない他の植物又は植物組織特別することを可能にする。スクリーニング手順は、スクリーニング可能マーカー遺伝子によってコード化されるタンパク質の発現のアッセイを必要とする場合がある。そのようなマーカーの例としては、βグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)、及びルシフェラーゼ(LUX)遺伝子が挙げられる。同様に、形質転換事象を同定するために、肥料、抗生物質、除草剤、又は毒性化合物への耐性をコード化する遺伝子が使用され得る。選択可能マーカーの例としては、シアナミドヒドラターゼ遺伝子(CAH)、ストレプトマイシン耐性をコード化するストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ(SPT)遺伝子、カナマイシン及びジェネテシン耐性をコード化するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子、ヒグロマイシンに対する耐性をコード化するヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT若しくはAPHIV)遺伝子、スルホニル尿素型除草剤に対する耐性をコード化するアセト乳酸シンターゼ(a/s)遺伝子、ホスフィノトリシンなどのグルタミンシンターゼの作用を阻害する働きをする除草剤(Liberty若しくはBasta)に対する耐性をコード化する遺伝子(BAR及び/若しくはPAT)、又は当該技術分野で既知の他の同様の遺伝子が挙げられる。
トランスジェニック植物は、交雑されるか、又は自花受精して、後代植物に所望の遺伝子又はヌクレオチド配列を伝えることができる。この次世代のトランスジェニック植物の実生は、PCR、酵素若しくは表現型アッセイ、ELISA、又はウェスタンブロット解析などの標準的な技術を使用して、所望のポリヌクレオチドの存在についてスクリーニングされ得る。あるいは、形質転換ベクターが選択可能/スクリーニング可能マーカー(複数可)を含む場合、植物の後代は、特定の物質に対する耐性若しくは許容度、又は、色、毛、若しくは他の独特な特色などの独特な表現型の発現について、選択され得る。
G.植物内の標的タンパク質の連続産生のための植物の温室栽培
本発明の方法は、自然な作物の成長周期によって課される制限を回避することができる。温室内の環境制御農業を使用して規定の環境条件下でトランスジェニック植物を生産することによって、植物バイオマスの生産を最適化する条件下で、一年のいかなる時でも、トランスジェニック植物が栽培され得る。結果として、本発明の方法は、開放耕地農業システムに関連する季節的中断を伴わずに、目的のタンパク質の連続供給を提供する。目的のタンパク質を含有するトランスジェニック植物が収穫されると、これらの植物は、本発明が継続的に実施され得るように、新たなトランスジェニック植物と直ちに交換される。本システムは、植物バイオマスの効率的かつ連続的な加工を可能にし、それによって、年間のタンパク質生産性率を上昇させ、設備の大きさ及び下流処理に関連する資本コストを最低限に抑える。
H.タンパク質の単離、精製、及び定量
産生されるタンパク質の種類及びタンパク質の位置に応じて、他のタンパク質抽出プロトコルがまた既知であり、当業者にとって容易に利用可能である。例えば、何ら限定するものではないが、産生されるタンパク質は、植物の葉、茎、又は塊茎内に位置する場合がある。同様に、そしてまた治療用タンパク質の用途に応じて、様々な精製プロトコル及び試薬が既知であり、容易に利用可能である。
ジャガイモ塊茎からの植物由来タンパク質の抽出、単離、及び精製は、当該技術分野で周知である。例えば、Maelville et al.,J.Bio.Chem.247:3445〜3453(1972)及びBryant et al.,Biochem.15:3418〜3424,(1976)を参照されたい。典型的には、ジャガイモを皮が無傷なままスライスし、均質化し、フィルタを通して発現する。結果として生じる汁をpH調製し、遠心分離し、分画する。水洗浄及び熱処理によって精製を達成し、それによって澄んだ濾過画分をプール及び凍結乾燥する。凍結乾燥された粉末を水中に懸濁し、それを水に対して透析し、結果として生じる澄んだ濾液を凍結乾燥することによって、粗抽出物を得る。粗抽出物は、HPLC及び質量分析などの様々な技術によって分析され得る。
葉からのタンパク質の抽出、単離、及び精製も、文献中に記載されている。例えば、米国特許第4,400,471号及び同第4,268,632号を参照されたい。タバコ、ホウレンソウ、大豆、及びアルファルファなどの植物の多肉葉は、典型的には、10〜20%の固体からなり、残りの画分は水である。固体部分は、水溶性及び非水溶性部分からなり、この後者は主に葉の線維性構造材料からなる。水溶性部分は、糖、ビタミン、アルカロイド、香味、アミノ酸などの比較的低い分子量(MW)の化合物、並びに、天然及び組み換えタンパク質などの比較的高いMWの他の化合物を含む。植物組織の可溶性部分内のタンパク質は、2つの画分に更に分割され得る。一方の画分は、光合成酵素であるRubiscoを主に含む。Rubisco酵素は、約550kDの分子量を有する。この画分は、一般的に、「画分1タンパク質」と称される。Rubiscoは、葉の全タンパク質含有量の最大25%、及び葉の固形物の最大10%を構成するように豊富である。他方の画分は、タンパク質とペプチドとの混合物を含有し、典型的には約3kD〜約100kDの範囲の分子量、並びに糖、ビタミン、アルカロイド、及びアミノ酸を含む他の化合物を有する。この画分は、まとめて「画分2タンパク質」と称される。画分2タンパク質は、未変性の宿主材料、異種タンパク質、及びペプチドであり得る。トランスジェニック植物は、1,000kD超の分子径を有する植物ウイルス粒子を含有してもよい。
植物タンパク質を単離するための基本的なプロセスは、一般的に、葉組織を分解し、結果として生じるパルプを押圧して、未加工の植物抽出物を生成することから始まる。このプロセスは、典型的には、望ましくない酸化を抑制するために還元剤又は抗酸化剤の存在下で実行される。様々なタンパク質構成成分及び微粒子緑色着色材料を含有する未加工の植物抽出物を、pH調整及び加熱する。調整後の未加工の植物抽出物の典型的なpH範囲は、約5.3〜約6.0である。この範囲は、画分1タンパク質の単離のために最適化されている。緑色着色材料の凝固を引き起こす加熱は、典型的には50℃近くに制御される。凝固した緑色着色材料は、次に、中等度の遠心分離によって除去され、二次植物抽出物をもたらし得る。その後、この二次植物抽出物を冷却し、室温以下の温度で貯蔵する。長期間、例えば24時間後、Rubiscoを茶色の汁から結晶化する。結晶化された画分1タンパク質は、その後、遠心分離によって液体から分離され得る。画分2タンパク質は液体中に残り、4.5近くのpHに更に酸性化されると精製され得る。あるいは、二次植物抽出物からのRubiscoの結晶形成は、冷却の代わりに十分な量のポリエチレングリコール(PEG)の添加によって誘導されてもよい。結晶化された画分タンパク質は、他の分析のために、ある特定の緩衝液中に溶解される場合がある。
本トランスジェニック植物は、野生型対照植物と比較して増加した治療用タンパク質の産生を特徴とする。タンパク質の定量的増加は、ウェスタンブロット解析、ELISA、並びに標準的なBradfordアッセイを含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のいくつかの方法によってアッセイされ得る。
精製されたタンパク質から薬学的製剤が調製され得、そのような製剤は、好適な疾患又は病態を治療するために使用され得る。一般的に、そして当該技術分野で既知のように、精製されたタンパク質は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、治療される患者に対する望ましくない副作用の非存在下で治療上有用な効果を発現するために十分な量で混和される。そのような組成物を配合するためには、タンパク質の重量分画を、治療される病態が改善するように有効な濃度で、選択された担体又は希釈剤中に溶解、懸濁、分散、又は別様に混合する。しかしながら、濃度及び薬用量は、緩和される病態の重症度に従って異なり得ることが理解される。いかなる特定の対象についても、特定の薬物投与法は、製剤を投与するか、又は製剤の投与を監視する個人の個別の判断に従って、経時的に調製され得ることが更に理解される。
薬学的溶液又は分散液は、例えば、無菌希釈剤、例えば水など、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム、又はカルボキシメチルセルロースを含み得る。使用され得る担体としては、それによって溶液又は分散液を形成するための、水、食塩水溶液、水性ブドウ糖、グリセロール、グリコール、エタノールなどが挙げられる。所望の場合、薬学的組成物は、湿潤剤などの非毒性補助物質、乳化剤、可溶化剤、ベンジルアルコール及びメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、アクテテート、クエン酸、又はリン酸緩衝液などのpH緩衝剤、並びにそれらの組み合わせを含有してもよい。
I.トランスジェニックジャガイモ内の食用ワクチン産生
植物内で発現されるワクチンタンパク質は、「食用ワクチン」を提供し得、このワクチンを含有する植物のヒトによる摂取は、増加した免疫応答を刺激し、ウイルスに対する免疫付与を提供する。例えば、Mason et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:11745〜11749(1992)を参照されたい。化学的又は発酵ベースのプロセスによって製造される合成ペプチドの生産及び精製の高いコストは、経口ワクチンとしてのそれらの広範な規模の使用を妨げる場合がある。他方では、トランスジェニック植物内での免疫原性タンパク質の産生は、経済的な代替案を提示する。大腸菌及びストレプ卜コッカス変異体の細菌性抗原を発現するトランスジェニック植物を生産する試みが行われている。例えば、Curtissら(国際公開第90/0248号)は、大腸菌LT−B遺伝子を用いるヒマワリの形質転換を報告する。また、タバコ及びジャガイモ植物内でのLT−Bの発現、並びにそのGM1結合性ペンタマーへの組み立てが報告されている(Haqら、1995)。更に、Arntzenら(国際公開第96/12801号)は、SEKDELミクロソーム保留シグナルを任意に含有する、LT−A及びLT−Bの非依存性かつ協調的発現のためのベクターを開示する。
食用ワクチンは、ワクチン遺伝子を含有するベクターでトランスジェニック植物を形質転換することによって産生される。ワクチンの産生は、ウェスタンブロット解析、ELISA、並びに標準的なBradfordアッセイによって検出され得る。ワクチンを産生するトランスジェニック植物は、加工なしで投与され得る。
あるいは、トランスジェニック植物は、植物材料を凍結乾燥又は脱水して水を除去することによって加工されてもよい。「脱水」は、空気乾燥若しくは噴霧乾燥によって、又は「凍結乾燥」によって実行され得、「凍結乾燥」は、急速凍結及び凍結状態での脱水(昇華と称されることがある)によって乾燥形態の植物組成物を調製することを指す。このプロセスは、約1時間〜72時間にわたって、約室温の収容容器の周囲温度で凍結した生成物を維持するのに十分な圧力の真空下で、好ましくは約0.07kPa未満(約500mTorr)、より好ましくは約0.03kPa未満(約200mTorr)、更により好ましくは約0.0001kPa未満(約1mTorr)で行われ得る。植物材料は、約1時間〜72時間にわたって約60℃〜約200℃の温度のオーブンに植物材料を置くことによって「脱水」され得る。植物材料は、植物材料の重量が経時的に変化しなくなるとき、十分に「凍結乾燥」又は「脱水」されていると見なされる。例えば、上記の温度のオーブンに置かれる植物材料の重量は、水が蒸発するにつれて経時的に減少する。重量が変化しなくなるとき、水の全てが蒸発したことになり、植物材料は「脱水」されていると言うことができる。好ましくは、いずれの乾燥方法が使用されるにしても、最終的な材料は、全ての含水量の少なくとも90重量%を除去するように十分に脱水される。「凍結乾燥」又は「脱水」された植物材料は、「凍結乾燥」又は「脱水」された植物材料を、薬学的に許容され、かつ避妊ポリペプチドと適合性である賦形剤を用いて乳化することによって、更に「加工」されてよい。好適な賦形剤としては、例えば、水、食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、及びそれらの組み合わせが挙げられ、「凍結乾燥」又は「脱水」された植物材料は、少なくとも40重量%、そして好ましくは少なくとも50重量%の賦形剤混合物を含む。更に、所望の場合、「凍結乾燥」又は「脱水」された植物材料は、湿潤剤若しくは乳化剤などの少量の補助物質、pH緩衝剤、又は植物材料の有効性を向上させるアジュバントを含有してもよい。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥」又は「脱水」された植物材料は、薬学的に許容されるクリーム、軟膏、膏薬、又は座薬と植物材料を混和することによって更に加工され得、植物材料は、混和物の少なくとも40重量%、そして好ましくは少なくとも50重量%を構成する。あるいは、「脱水」された植物材料は、果汁、野菜汁、乳汁、水、又は多価若しくは多成分ワクチンを形成するための他のワクチン製剤などを含むがこれらに限定されない液体を用いて、植物材料を再構成することによって、更に加工され得る。
以下の実施例は、本発明を例示するために提示される。しかしながら、本発明がこれらの実施例に記載される特定の条件又は詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書全体にわたって、公的に入手可能な文書へのいかなる参照も、参照により明確に組み込まれる。
方法及び構築物の特定の実施例を以下に提示する。それらは、例示的であり、本発明を限定するものではないよう意図される。
実施例1.GFPの標的化発現
2つの構築物を生成して、GBSSのシグナルペプチドに融合されている(図21及び配列番号8)か、又はRuBisCoのシグナルペプチドに融合されている(図22及び配列番号9)EGFP遺伝子を使用して、ジャガイモ内でのGFP発現を比較した。対照として、シグナルペプチドを有しないEGFP遺伝子を使用して、制御ベクターpSIM1949(図20)を作製した。GFPを強く発現し、インビトロで成長するトランスジェニック苗条を、蛍光顕微鏡法を使用して選択した。図23に示されるように、pSIM1948小植物内のGFP発現は、シグナルペプチドを有しないEGFP遺伝子を担持する対照構築物のものよりも僅かに強かったが、極度に強いGFP発現が、トランスジェニックのpSIM1947小植物の葉内で検出された。これらの結果は、同時に起こる、GBSS輸送ペプチドを用いるタンパク質過剰発現、及び収束性プロモーターによるAGPサイレンシングが、組み換えタンパク質産生の向上に有効であることを示す。
実施例2.パタチンPATB1遺伝子のサイレンシング
出願人は、パタチンPATB1遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号3及び配列番号4)から設計されるプライマーを使用してパタチン遺伝子の発現を抑制する核酸構築物も考案した。塊茎特異的な様式においてSolanum tuberosumパタチン遺伝子をサイレンシングすることを目的に、pSIM1934プラスミド(図14)を構築した。30個のトランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。pSIM1934の実験系統のうちのいずれも、塊茎内の増加したGFP発現を示さなかった(図15)。更に、SDS−PAGE及びウェスタンブロット解析は、10個の実験系統内でサイレンシングによって過半量のパタチンタンパク質(約40kDaのバンド)が排除されたことを実証した(図16)。
実施例3.CD4Bプロテアーゼ遺伝子のサイレンシング
出願人は、ジャガイモゲノム配列決定コンソーシアム公開データ(Potato Genome Sequencing Consortium Public Data)におけるcDNA配列PGSC0003DMG402014476(配列番号5及び配列番号6)のCD4B特異的領域を使用して、CD4B(ATP依存性プロテアーゼATP結合サブユニットclpA相同体)の発現を抑制する核酸構築物を考案した。塊茎特異的な様式においてSolanum tuberosum CD4B遺伝子をサイレンシングすることを目的に、pSIM1939プラスミド(図17)を構築した。26個のトランスジェニック系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。塊茎内のGFP蓄積について分析したとき、7個のトランスジェニック系統が、親系統(pSIM1903)と比較して2〜3倍のGFP蓄積の増加を示した。(図18)。CD4B遺伝子のサイレンシングを確認するため、親系統(pSIM1903)と比較して2〜3倍のGFP蓄積の増加を示した7個のトランスジェニック系統のノーザンブロット解析を実行した。ノーザンブロット解析は、いずれの系統においてもCD4B転写物を検出できず、したがってCD4B遺伝子サイレンシングを確証した。これらの結果は、CD4Bプロテアーゼのサイレンシングを組み換えタンパク質(GFP)産生の2〜3倍の増加と関連付け、CD4Bの塊茎特異的なサイレンシングが組み換えタンパク質産生を向上させるために使用され得ることを実証する。
実施例4.ジャガイモ内でのヒトインターロイキン2(IL−2)の過剰発現
出願人は、ジャガイモ内で目的の遺伝子を過剰発現する核酸構築物を考案した。ジャガイモ植物内でヒトインターロイキン2(IL−2)を過剰発現することを目的に、pSIM1936プラスミド(図26)を構築した。発現カセット
ヒトインターロイキン2(IL−2)遺伝子の短縮版を、Solanum tuberosumパタチンER輸送ペプチド(N末端)とER保留シグナル(C末端)との間に配置した(図24)。ER輸送ペプチド、IL−2遺伝子、及びER保留シグナル(v1〜v48)を含有するIL−2インサートの48個のコドン最適化多様体を、DNA2.0(Menlo Park,CA,USA)によるクローン化ベクター内で生成した。各変異型は、開始コドンの前にBamHI−NcoI制限部位を、そして終止コドンの後にSpeI部位を有した(図25)。植物発現のため、ER標的化遺伝子カセット全体を、Solanum tuberosumユビキチンプロモーター(Ubi7)とSolanum tuberosumユビキチンターミネーター(Ubi3T)の間で、pSIM1936プラスミドに挿入した(図26)。異なるコドン最適化IL−2インサートを含有する6個の発現ベクターを、1工程3ピースのライゲーションで生成した。各変異型は、異なるコドン最適化IL−2インサート(v19、v21、v30、v43、v45、v47)を有した。追加のコドン最適化IL−2インサートを含有する12個の追加の発現ベクターを、PCR変異誘発によって第2のSpeI部位が除去された修飾pSIM1936プラスミドを使用して、2工程ライゲーションで生成した。プロモーターからターミネーターまで発現カセット全体を含有するApaI−XhoI断片(2,542bp)を除去することによって、空ベクター対照を生成した。Klenow断片(New England BioLabs,Inc,Ipswich,MA,USA)、続いてT4 DNAリガーゼ(Thermo Scientific,Pittsburg,PA,USA)を用いる平滑末端ライゲーションを使用して5’オーバーハングを充填した。
植物の形質転換及び成長
半強度のM516塩及びビタミン(PhytoTechnology,Shawnee Mission,KS,USA)、1.5%のスクロース、2.5g/lのグルコン酸カルシウム、及び2g/lのゲルライト(pH 5.7)を収容するマゼンタボックス内に、ビンチェ母株を維持した。アグロバクテリウム菌株LBA4404を、50mg/lのカナマイシン及び100mg/lのストレプトマイシンを含有するLB培地(20g/l LBブイヨン)において、28℃で一晩成長させた。結果として生じる培養物を、10分間9,500rpmで沈降させ、3%のスクロース(pH 5.7)を含むM404塩及びビタミン(PhytoTechnology)中に再懸濁して、OD600で0.2の細胞濃度を得た。4〜6mmのビンチェ節間部分を4週齢の母株から切断し、異なる発現ベクター変異型を含有するアグロバクテリウム懸濁液に10分間感染させ、次に吸引した。次にこの外植片を、共培養培地(1/10 M404、3%のスクロース、及び7g/lの寒天(pH 5.7))に2日間移し、その後カルス誘導培地(M404、3%のスクロース、7g/lの寒天、2.5mg/lのゼアチンリボシド、0.1mg/lのNAA、150mg/lのチメンチン、及び100mg/lのカナマイシン(pH5.7))に移した。1ヶ月後、外植片を、苗条誘導培地(M404、3%のスクロース、7g/lの寒天、2.5mg/lのゼアチンリボシド、0.3mg/lのジベレリン酸、150mg/lのチメンチン、及び100mg/lのカナマイシン(pH 5.7))に移した。選択的発根培地(半強度のM516、1.5%のスクロース、100mg/lのカナマイシン、100mg/lのチメンチン、及び2g/lのゲルライト(pH 5.7))を使用して、発根アッセイを2回実行した。植物材料を、24℃で16時間の光周期下で、Percival成長チャンバ内に維持した。25個の表現型的に正常な耐カナマイシン性の苗条を、温室内での成長のために選択した。次に、根付いた植物を、Sunshine Mix#1(Sun Gro Horticulture,Agawam,MA,USA)を含む8リットル(2ガロン)の鉢に配置し、全強度のMiracle Grow(15ml/4リットル(1Tbs/ガロン)水)を用いて2週間の間隔で3回施肥した。4リットル(1ガロン)の鉢1つ当たり237ミリリットル(1カップ)の肥料溶液を使用した(8リットル(2ガロン)の鉢につき473ml(2カップ))。温度制御された(最低18℃/最高27℃)温室内での3ヶ月の成長の後、半成熟の塊茎を得た。夏の間、昼光/長さは補足しなかった。
IL−2定量
ELISA及びIL−2産生の決定のため、4mmのコルクボーラーを用いて50mgの試料を塊茎の中心から抽出した。次にこの試料を、ペレット乳棒を使用して250μlのアッセイ緩衝液を含む1.5mlの遠心管内で均質化した。均質化緩衝液及び試料は、常に氷上に保持し、9500rpmで20分間4℃で遠心分離した。BD OptEIA ヒトIL−2ELISAキットIIプロトコル(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)に従って、ELISAを実行した。Multimode Detector DTX 880(Beckman Coulter)によって、96ウェルプレートにおいて試料を読み取った。それぞれの独立した系統全体をスクリーニングするために、単一の塊茎から1つの試料を採取した。次に、IL−2産生の最高レベルを有する系統を、3つの個別の塊茎から再度試料採取した。吸収度は450/8nmで読み取った。
結果
図27は、試験された6つのコドン最適化IL−2変異型のうちの3つ(v19、v21、及びv30)について、独立して形質転換されたビンチェジャガイモの系統からの塊茎内でのIL−2産生を示す。1936−18は、非最適化陽性対照であった。各変異型について、25個の独立したトランスジェニック系統を生成した。各色分類は、形質転換に使用されたコドン最適化IL−2変異型を表す。各バーは、独立したトランスジェニック系統からの3つの個別の塊茎内のIL−2の平均レベルを表す。結果は、異なるコドン変異型から得られた特定のトランスジェニック系統内で、IL−2産生が2〜3倍増加したことを示す。追加の実験(データは示されない)では、IL−2産生は、特定のトランスジェニック系統内で最大11倍増加した。
同様に、図28は、12個のコドン最適化IL−2変異型について、独立して形質転換されたビンチェジャガイモの系統からの塊茎内でのIL−2産生を示す。1936−18は、非最適化陽性対照であった。各変異型について、25個の独立したトランスジェニック系統を生成した。各色は、形質転換に使用されたコドン最適化IL−2変異型を表す。各バーは、独立したトランスジェニック系統からの3つの個別の塊茎内のIL−2の平均レベルを表す。結果は、異なるコドン変異型から得られた特定のトランスジェニック系統内で、IL−2産生が2.5倍増加したことを示す。
実施例5.ジャガイモ内での他の目的の遺伝子の過剰発現
他の実施形態では、出願人は、クロロゲン酸誘導因子(CAI)遺伝子の過剰発現が、クロロゲン酸、並びにアントシアニン及びフラボノールの4倍の増加を刺激することを実証した(図3)。
同様に、本発明の方法を使用してジャガイモ内でビタミンC生合成(VTC2)遺伝子を過剰発現した(図5)。
同様に、強い構成型プロモーターで過剰発現すると、GFP遺伝子発現はジャガイモ茎外植片内で著しく増加し(図6)、本発明の方法に従って、ジャガイモの花、葉、及び茎内で高レベルのGUS遺伝子発現を得ることができる(図7)。
実施例6.RNAサイレンシングの抑制因子であるP19の過剰発現
トランスジェニック植物内の異種タンパク質の発現は、植物宿主内の転写後の遺伝子サイレンシング(PTGS)の起動によって減少し得る。P19などの遺伝子サイレンシングの植物ウイルス抑制因子の発現は、葉内のこの応答を低減し、異種タンパク質の発現レベルを数倍上昇させることができる(Circelli et al,2010 Bioengineered Bugs 1:221〜224)。驚くべきことに、出願人は、P19の発現が塊茎内のGFPの産生も増加させたことを発見した。
T−DNA境界内の2×35Sプロモーター駆動P19R43(配列番号2)P19変異体と共にpSIM1927プラスミド(図10)を構築した。P19R43を過剰発現する33個の系統を、pSIM1903ベクター(図9)で元々形質転換されたGFP(配列番号7)を過剰発現する親材料から生成した。全系統が、明白な多面発現性効果を伴わずに温室内で正常に成長した。トランスジェニック系統の塊茎特異的GFP蓄積について、空ベクター系統(pSIM1361)及び親系統(pSIM1903)と比較して、視覚的にスクリーニングした。高いGFP発現を示す12個の系統を、GFP定量、ウェスタンブロット解析、及びノーザンブロット解析のために選択した。空ベクター系統における量と比較して、GFP量の20〜60%の増加が、12個のトランスジェニック系統のうちの10個で検出された(図11及び図12)。
P19遺伝子の発現を確認するため、高いGFP発現を示す7個の系統からのRNAを、P19プローブを用いて分析した。最高のGFP発現を有する2個の系統を含む3個の系統で、P19転写物が検出された(図13)。RNAサイレンシングの変異p19抑制因子の発現をGFPタンパク質の上昇した発現と関連付けるこれらの結果は、RNAサイレンシングの抑制因子であるP19の抑制が、植物内のタンパク質産生を向上させることを実証する。
実施例7.同時に起こる、GFP及びパタチンの過剰発現並びにCD4B遺伝子抑制。
パタチン及びCD4B遺伝子発現を抑制するための構成成分を含む発現カセットを構築した。発現カセットを含有するベクターで、GFPを過剰発現する親材料を形質転換することによって、約30個のトランスジェニック系統を生成した。パタチン又はCD4Bのいずれかのみが抑制された非形質転換系統及びトランスジェニック系統と比較すると、増加したGFP産生が、トランスジェニック植物の塊茎内のGFP蓄積分析によって観察された。SDS−PAGE及びウェスタンブロット解析は、過半量のパタチンタンパク質(約40kDaのバンド)が排除されたことを実証した。ノーザンブロット解析は、CD4B転写物が抑制されたことを示した。パタチン及びCD4Bの遺伝子発現を同時に抑制することによって、GFP産生が向上した。
実施例8.同時に起こる、P19及びGFPの過剰発現並びにパタチン遺伝子抑制。
パタチン遺伝子発現を抑制し、かつP19を過剰発現するための構成成分を含む発現カセットを構築した。発現カセットを含有するベクターで、GFPを過剰発現する親材料を形質転換することによって、約30個のトランスジェニック系統を生成した。パタチン遺伝子のみが抑制されている非形質転換系統及びトランスジェニック系統と比較すると、トランスジェニック植物の塊茎内でのGFP産生は増加した。SDS−PAGE及びウェスタンブロット解析は、パタチン遺伝子抑制を確証した。P19遺伝子の発現を確認するため、高いGFP発現を示す系統からのRNAを、P19プローブを用いて分析した。
実施例9.同時に起こる、GFP及びP19遺伝子の過剰発現並びにパタチン及びCD4B遺伝子抑制。
P19及びGFPを過剰発現し、かつパタチン及びCD4B遺伝子の両方を抑制するための構成成分を含む発現カセットを構築した。発現カセットを含有するベクターで、GFPを過剰発現する親材料を形質転換することによって、約30個のトランスジェニック系統を生成した。パタチン遺伝子のみが抑制されているか(実施例8)、又はGFPのみが過剰発現されているがP19は過剰発現されていない(実施例7)、非形質転換系統及びトランスジェニック系統と比較すると、トランスジェニック植物の塊茎内でのGFP産生はトランスジェニック植物の塊茎内で増加した。
実施例10.ジャガイモ塊茎内でのタンパク質産生に対する遺伝子サイレンシング及び過剰発現方策の効果
GFPレポーター遺伝子の定量を使用して、ジャガイモ塊茎内での組み換えタンパク質産生に対する様々な遺伝子サイレンシング及び過剰発現方策の効果を決定した。サイレンシング及び過剰発現方策は以下の通りであった。(a)CD4Bのみのサイレンシング;GFPの発現を35Sプロモーターによって駆動した、(b)CD4B及びパタチンのサイレンシング;GFPの発現を35Sプロモーターによって駆動した、(c)CD4B及びパタチンのサイレンシング、並びにP19の過剰発現;GFPの発現を35Sプロモーターによって駆動した、(d)AGPのサイレンシング;GFPの発現をGBSS輸送ペプチドによって標的化し、35Sプロモーターによって駆動した、(e)AGPのサイレンシング;GFPの発現をRubisco輸送ペプチドによって標的化し、35Sプロモーターによって駆動した、(f)AGPのサイレンシング;GFPの発現を35Sプロモーターによって駆動した。GFPの発現が35Sプロモーターによって駆動されるGFP pSIM1903構築物を対照として使用した。これらの方策を表2に要約する。
Figure 2016526884
植物の形質転換及び成長
表2に記載されるように、アグロバクテリウム分散液が異なる構築物を含有したことを除いて、実施例4に記載されるようにビンチェ母株を維持及び形質転換した。pSIM1903−2親系統の形質転換については、ヒグロマイシンの選択は5mg/Lで使用した。
タンパク質定量
GFP定量のために、10個の系統を分析した構成型CD4Bサイレンシングを除いて、各変異型について25個の系統を分析した。4mmのコルクボーラーを用いて50mgの試料を塊茎の中心から抽出した。次にこの試料を、ペレット乳棒を使用して250μlのアッセイ緩衝液を含む1.5mlの遠心管内で均質化した。均質化緩衝液及び試料は、常に氷上に保持し、9500rpmで20分間4℃で遠心分離した。BioVisionキット(#K815−100)プロトコル(BioVision Inc.,Milpitas,CA,USA)に従ってGFP定量を実行した。Multimode Detector DTX 880(Beckman Coulter)によって、96ウェルプレートにおいて試料を読み取った。吸収度は450/8nmで読み取った。
結果
図29は、GFP発現によって測定される異種タンパク質産生についての、異なるサイレンシング、過剰発現、及び標的化方策の効果を示す。10個の系統を分析したCD4Bサイレンシングを除いて、各方策につき25個の系統を分析した。各バーは、GFP発現について分析された3つの塊茎を表す。CD4Bのみ、又はCD4B及びパタチンのサイレンシング(赤色、黄色、及び橙色のバー)は、GFP対照と比較してタンパク質レベルを僅かに向上させただけであった。GBSSプロモーター及び収束性AGPプロモーターを使用するAGPのサイレンシング並びに顆粒結合デンプンシンターゼ(GBBS)輸送ペプチドを用いるGFP過剰発現(緑色のバー)は、タンパク質レベルの著しい上昇、最大4〜6倍の上昇をもたらした。Rubisco(Rbcs)標的化ペプチドのサイレンシング(青色のバー)は、1個の系統内でのみ、著しいタンパク質の増加をもたらした。ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)のサイレンシング(灰色のバー)は、GFP含有量の最大3倍の著しい増加をもたらした。これらの結果は、ジャガイモ塊茎内での異種タンパク質産生が、本発明に従うサイレンシング、過剰発現、及び標的化方策を使用して著しく増加され得ることを明らかに示す。

Claims (19)

  1. 形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、
    a.発現カセットで植物を形質転換する工程であって、前記発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、及び(ii)CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、
    b.前記形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、
    c.前記目的のタンパク質を抽出する工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含み、前記CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号5及び配列番号6に記載されるCD4Bのアンチセンス配列及びセンス配列を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記マーカー遺伝子が、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、
    a.発現カセットで植物を形質転換する工程であって、前記発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、
    b.前記形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、
    c.前記目的のタンパク質を抽出する工程と、
    を含む、方法。
  6. 前記パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含み、前記P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列が、配列番号2に記載されるP19配列を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記マーカー遺伝子が、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  9. 形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、
    a.発現カセットで植物を形質転換する工程であって、前記発現カセットが、(i)パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(iii)P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列、(iv)マーカー遺伝子、及び(v)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、
    b.前記形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、
    c.前記目的のタンパク質を抽出する工程と、
    を含む、方法。
  10. 前記パタチン発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号3及び配列4に記載されるパタチンのアンチセンス配列及びセンス配列を含み、前記CD4B発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号5及び配列番号6に記載されるCD4Bのアンチセンス配列及びセンス配列を含み、前記P19を過剰発現することができるヌクレオチド配列が、配列番号2に記載されるP19配列を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記マーカー遺伝子が、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  13. 形質転換されたジャガイモ植物内で異種タンパク質を産生する方法であって、
    a.発現カセットで植物を形質転換する工程であって、前記発現カセットが、(i)ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)発現を抑制することができるヌクレオチド配列、(ii)輸送ペプチド、(iii)マーカー遺伝子、及び(iv)目的のタンパク質又はペプチドをコード化する遺伝子を含む、工程と、
    b.前記形質転換された植物を規定条件下で栽培する工程と、
    c.前記目的のタンパク質を抽出する工程と、
    を含む、方法。
  14. 前記AGP発現を抑制することができるヌクレオチド配列が、配列番号10及び配列番号11に記載されるアンチセンス又はセンスAGP配列を含む、請求項13に記載の方法。
  15. AGP発現の抑制が、収束性プロモーターによって駆動される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記収束性プロモーターが、顆粒結合デンプンシンターゼ(GBSS)プロモーター及びAGPプロモーターである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記輸送ペプチドが、配列番号8に記載されるGBSS輸送ペプチド、又は配列番号9に記載されるRubisco輸送ペプチドである、請求項13に記載の方法。
  18. 前記マーカー遺伝子が、GFP、EGFP、GUS、LUX、CAH、SPT、NPTII、HPT、APHIV、BAR、PAT、CHS、AHAS、及びフラボノイド合成遺伝子からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  19. 前記目的のタンパク質が、インターロイキン−2、ヒルジン、インスリン、インターフェロン、ラクトフェリン、ヘモグロビン、エリスロポエチン、上皮成長因子、炭疽ワクチン、コレラワクチン、DPTワクチン、ヒブワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、HPVワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン、MMRワクチン、MMRVワクチン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、天然痘ワクチン、結核ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱ワクチン、パルボウイルスワクチン、ジステンパーワクチン、アデノウイルスワクチン、パラインフルエンザワクチン、ボルデテラワクチン、狂犬病ワクチン、レプトスピラ症ワクチン、ライム病ワクチン、コロナワクチン、回虫/鉤虫ワクチン、駆虫剤ワクチン、RNFNワクチン、及びHIVワクチンからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
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