JP2016526387A - 細胞培養のための細胞外マトリクス組成物ビーズ - Google Patents

細胞培養のための細胞外マトリクス組成物ビーズ Download PDF

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Abstract

本明細書で提供されるのは、細胞外マトリクス(ECM)を含むマイクロキャリアを使用して、細胞を培養する方法である。【選択図】図1

Description

本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年6月24日に出願された米国仮特許出願第61/838,693号の優先権を主張する。
(1.分野)
本明細書で提供されるのは、細胞外マトリクスを含むビーズ、該ビーズを生成する方法、及び該ビーズを使用する細胞培養の方法である。
(2.背景)
細胞外マトリクス(ECM)は、皮膚及び内蔵を支持する腱、靭帯、及びシートを含めた体内の多くの構造を形成するタンパク質を含む。当技術分野では、マイクロキャリアを使用して細胞を培養する、例えばバイオリアクター培養のための、改良された方法の必要性が存在する。本明細書で提供されるのは、こうした改良されたマイクロキャリア及び培養方法である。
(3.概要)
一態様では、本明細書で提供されるのは、細胞を培養する方法であって、前記細胞を、前記細胞が増殖可能である条件下で、複数のマイクロキャリアと接触させることを含む前記方法である。ここでは、前記マイクロキャリアは、細胞外マトリクス(ECM)を含み、かつ、前記細胞は、前記ECMに対して接着性である。ある種の実施態様では、マイクロキャリアは、本質的にECMからなるか、又はECMからなる。ある種の他の実施態様では、マイクロキャリアは、前記ECMに加えて第2の組成物、例えば、ガラス、デキストラン、DEAE-デキストラン、ポリスチレン、アクリルアミド、又はコラーゲンのうちの1以上を含む。具体的実施態様では、ECMが、前記マイクロキャリアの外側を形成し、前記第2の組成物が、前記マイクロキャリアの内側を形成する。ECMは、前記マイクロキャリアの、一部、又は実質的に表面全体、又は表面全体を被覆することができる。言い換えれば、マイクロキャリアは、ECMで部分的又は完全に被覆又はコーティングされた組成物を含むことができる。本明細書の実施態様のいずれかでは、マイクロキャリアは、実質的に球体の形状である。種々の具体的実施態様では、マイクロキャリアは、平均して、例えば、直径10マイクロメートルから1000マイクロメートル;直径50から200マイクロメートル、直径100から250マイクロメートル;直径150から300マイクロメートル;直径200から350マイクロメートル;又は直径250から400マイクロメートルである。
本明細書の実施態様のいずれかでは、前記培養は、バイオリアクター、例えば、回分反応器、流加反応器、又は連続攪拌槽型反応器中で実施される。
ある種の実施態様では、前記ECMは、塩基処理された、洗浄剤処理されたECMである。ある種の他の実施態様では、前記ECMは、塩基とは接触させていない、洗浄剤処理されたECMである。一実施態様では、ECMは、コラーゲンを含み、かつ乾燥重量で3%から5%のエラスチンと、乾燥重量で0.01%未満のラミニン又は0.01%未満のフィブロネクチンとを含む。別の実施態様では、前記ECMは、コラーゲンを含み、かつ乾燥重量で3%から5%のエラスチンと、乾燥重量で0.01%未満のラミニンと、0.01%未満のフィブロネクチンとを含む。別の具体的実施態様では、前記ECMは、乾燥重量で少なくとも80%のコラーゲンと、乾燥重量で少なくとも10%のエラスチンとを含む。
本明細書に記載した方法において使用されるECMは、そのECMの製造方法によって定義することができる。例えば、本明細書の実施態様のいずれかでは、ECMは、部分的に、例えば、(a)胎盤組織を液体に浸して柔らかくするステップと;(b)該組織を浸透圧衝撃液に懸濁させるステップと;(c)該組織を洗浄剤を含む溶液に懸濁させるステップと;(d)該組織を塩基性溶液に懸濁させるステップと;(e)前記組織を水ですすぐステップと;(f)前記組織を乾燥させて前記ECMを形成するステップとを順に含む方法によって調製することができる。本明細書の実施態様のいずれかでは、ECMは、部分的に、(a)胎盤組織を液体に浸して柔らかくするステップと;(b)該組織を浸透圧衝撃液に懸濁させるステップと;(c)該組織を洗浄剤を含む溶液に懸濁させるステップと;(e)前記組織を水ですすぐステップと;(f)前記組織を乾燥させて前記ECMを形成するステップとを順に含む方法によって調製することができる。より具体的な実施態様では、先述の乾燥ステップは、(a)該ECMを凍結乾燥させるステップと;(b)該ECMを再水和させるステップと;(c)該ECMを40℃から70℃、又は50℃から70℃、又は50℃から80℃の温度で乾燥させて前記ECM組成物を生成するステップとを順に含むことができる。この乾燥方法に従って生成されるECMを、本明細書では、「二重乾燥ECM」という。洗浄剤は、任意の洗浄剤、例えば、穏やかな洗浄剤、例えば、デオキシコール酸であり得る。塩基は、ECMを製造するために使用する場合、任意の塩基、例えば、強塩基、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムであり得る。塩基は、例えば、0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、又は0.5M未満の濃度で使用することができる。
ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法において使用されるECMは、化学薬品(塩基若しくは洗浄剤以外)やプロテアーゼで改変されていない。
本明細書の実施態様のいずれかでは、ECMは、非ヒトECM(すなわち、ヒト以外の起源からのECM)であり得る。ECMは、ヒトECM、例えば、ヒト胎盤組織からのECMであり得る。
任意の種類の細胞を、ECM(その細胞がそのECMと接着することが可能である限り)を含むマイクロキャリアの使用を含む、本明細書で提供される方法を使用して培養することができる。ある種の具体的実施態様では、細胞は、昆虫細胞である。ある種の他の実施態様では、細胞は、哺乳類細胞、例えば、成熟(最終分化)細胞又は幹細胞である。具体的実施態様では、細胞は、線維芽細胞である。他の具体的実施態様では、細胞は、例えば、ケラチノサイト、血管内皮細胞、肝細胞、星状細胞、血管平滑筋細胞、肝細胞前駆体、ニワトリ一次胚神経細胞、接着性CHO又はBHK細胞、マクロファージ、293細胞、L929細胞、不死化マウス精巣胚細胞、3T3細胞、Vero細胞、COS細胞、HeLa細胞、NT2細胞、MG63細胞、M24転移性黒色腫細胞、A375転移性黒色腫細胞、U251神経膠腫細胞、D54神経膠腫細胞、HT1080線維肉腫細胞などである。
他の具体的実施態様では、細胞は、幹細胞又は前駆細胞、例えば、内皮前駆細胞、間葉系幹細胞、又は間葉様幹細胞である。より具体的な実施態様では、前記間葉系幹細胞又は間葉様幹細胞は、骨髄、抹消血、臍帯血、胎盤血、胎盤組織、臍帯組織、ワルトン膠質、羊水、羊膜、絨毛膜、子宮内膜、脂肪組織、歯髄、又は真皮由来である。
ある種の実施態様では、ECMを含むマイクロキャリア上で培養可能な細胞は、胎盤幹細胞、例えば、CD10+、CD34-、CD105+、CD100+胎盤幹細胞である。より具体的な実施態様では、前記胎盤幹細胞は、CD34-及び/又はCD200+である。具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD34-、CD10+、CD105+、及びCD200+である。ある種の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD10、CD73、CD105、CD200、及び/又はOCT-4のうちの1以上を発現することができ、かつ、CD34、CD38、CD45、及び/又はHLA-Gのうちの1以上を発現しない。ある種の他の具体的実施態様では、胎盤幹細胞はまた、HLA-ABC(MHC-1)を発現することができ、かつ、HLA-DRを発現しない。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD200+及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。先述の実施態様のいずれかの別の具体的実施態様では、幹細胞は、マイクロキャリア上で培養された場合に、IL-6、IL-8、及び/又はMCP-1(単球走化性タンパク質-1)を分泌する。
(3.1定義)
「足場依存性細胞」は、本明細書で使用する場合、培養で増殖するために、表面への接着を必要とする細胞を意味する。
「マイクロキャリア」は、本明細書で使用する場合、培養の際に接着依存性細胞がそれに接着して増殖することができる、ECM含有粒子、ペレット、又はビーズなどを意味する。本明細書で提供される方法において使用されるマイクロキャリアは、懸濁培養での使用を可能にするのに十分に小さく;固体又は半固体であり;10マイクロメートルから1000マイクロメートルの中間(平均)粒子直径(粒子が実質的に球状でないならば、最長軸によって測定される)を有する。
(4.図面の簡単な説明)
図1は、細胞外マトリクス(ECM)を単離するための方法のフローチャート表示である。
図2Aは、異なる方法によって製造されたコラーゲン組成物上で成長させた胎盤幹細胞からのIL-6の分泌である。横座標:組成物の種類による具体的な成長条件、及び該組成物上での細胞の成長の時間。縦座標:ピコグラム/ミリリットル/1000 ECM結合細胞。NC=細胞なし。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
図2Bは、異なる方法によって製造されたコラーゲン組成物上で成長させた胎盤幹細胞からのIL-8の分泌である。横座標:組成物の種類による具体的な成長条件、及び該組成物上での細胞の成長の時間。縦座標:ピコグラム/ミリリットル/1000 ECM結合細胞。NC=細胞なし。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
図2Cは、異なる方法によって製造されたコラーゲン組成物上で成長させた胎盤幹細胞からのMCP-1の分泌である。横座標:組成物の種類による具体的な成長条件、及び該組成物上での細胞の成長の時間。縦座標:ピコグラム/ミリリットル/1000 ECM結合細胞。NC=細胞なし。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
(5.詳細な説明)
(5.1 ECMを含むマイクロキャリア及び細胞を培養する方法)
本明細書で提供されるのは、細胞外マトリクス、例えばヒト胎盤の細胞外マトリクス(ECM)を含む、マイクロキャリアである。マイクロキャリアは、一般に、球状であり得るが、足場依存性細胞、例えば、ECM接着性の細胞の培養を助ける、いずれの形状も可能である。マイクロキャリアは、本質的に固体であることも、線維の網目であることも可能である。
マイクロキャリアは、ECMで構成され得る、すなわち、完全にECMで作ることができる。
マイクロキャリアは、本質的にECMで構成され得る、すなわち、マイクロキャリアは、構造上ECMで作られるが、ECMは、追加の非構造的成分(例えば、生体活性分子、架橋など)を含む。
ある種の他の実施態様では、マイクロキャリアは、前記ECMに加えて第2の組成物、例えば、ガラス、デキストラン、DEAE-デキストラン、ポリスチレン、アクリルアミド、又はコラーゲンのうちの1以上を含む。具体的実施態様では、ECMが、前記マイクロキャリアの外側を形成し、前記第2の組成物が、前記マイクロキャリアの内側を形成する。ECMは、前記マイクロキャリアの、一部、又は実質的に表面全体、又は表面全体を被覆することができる。言い換えれば、マイクロキャリアは、ECMで部分的又は完全に被覆又はコーティングされた組成物を含むことができる。
マイクロキャリアとしての使用のための、ECMでコーティングすることができるビーズとしては、限定はされないが、例えば、CYTODEX 1(登録商標)、CYTODEX 2(登録商標)、CYTODEX 3(登録商標)(GE Healthcare Life Sciences社、Piscataway N.J.)、HILLEX(登録商標)(SoloHill Engineering社、Ann Arbor,Mich.)、CYTOLINE(商標)1又はCYTOPORE(商標)ビーズ(GE Healthcare Life Sciences社)、Biosilon(NUNC社)ビーズ、CULTISPHER(登録商標)(Percell Biolytica社)ビーズなどが挙げられる。適切なビーズはまた、マイクロキャリアに正電気を帯びた表面を提供するために表面に付着させたカチオン性のトリメチルアンモニウムを含むことができる。
本明細書の実施態様のいずれかでは、マイクロキャリアは、実質的に球体の形状である。種々の具体的実施態様では、マイクロキャリアは、平均して、例えば、直径10マイクロメートルから3000マイクロメートル;直径10〜2000マイクロメートル、直径10〜1000マイクロメートル、直径50から200マイクロメートル、直径100から250マイクロメートル;直径150から300マイクロメートル;直径200から350マイクロメートル;直径250から400マイクロメートル;直径200から1000マイクロメートル;直径300から1000マイクロメートル;直径400から1000マイクロメートル;直径500から1000マイクロメートル;直径600から1000マイクロメートル;直径700から1000マイクロメートル;直径800から1000マイクロメートル;又は直径900から1000マイクロメートルである。
好ましくは、マイクロキャリアは、細胞のバイオリアクター培養におけるマイクロキャリアの使用を可能にする密度のものである。過剰な密度は、マイクロキャリアを懸濁液から沈殿させるか、又はマイクロキャリアを培養管の底の方に完全に留まらせる傾向があり、反応器内の細胞、培養培地、及び気相の不十分なバルク混合をもたらし得るのに対して、低すぎる密度は、マイクロキャリアの過剰な浮遊をもたらし得る。好ましくは、ECMを含むマイクロキャリアの密度は、1.02から1.15g/cm3である。
ある種の実施態様では、ECMを含むマイクロキャリアは、多孔性である。多孔性マイクロキャリアは、一般的に、足場依存性細胞の成長のために利用可能である、(細胞の大きさに対して)大きい空隙を有する。これらの空隙は、表面積を大いに増大させ、細胞を、せん断応力などの有害な機械的影響から、例えば混合から又は気体吹き込みから、保護することができる。
マイクロキャリア表面は、滑らかであることも可能であるし、例えば細胞接着及び増殖を増強するために、凹凸を付けることも可能である。マイクロキャリア表面の凹凸は、限定はされないが、成型、鋳造、リーチング、及びエッチングを含めた技術によって実現することができる。凹凸を付けた表面の特徴の解像度は、ナノスケールであり得る。凹凸を付けた表面を使用して、マイクロキャリア表面上に特定の細胞配列を誘導することができる。多孔性マイクロキャリア内の孔の表面も、凹凸を付けて、細胞接着及び増殖を増強することができる。孔表面の凹凸は、限定はされないが、成型、鋳造、リーチング、及びエッチングなどの技術によって実現することができる。
マイクロキャリア表面を、プラズマコーティングして、マイクロキャリア表面に特定の電荷を付与して、例えば、細胞接着及び増殖を増強することができる。マイクロキャリアは、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドなどの熱応答性ポリマーを含む(例えばこのポリマーでコーティングする)こともできるし、電気機械的特性を有することもできる。マイクロキャリアは、低レベルの生体関連の電気を生じる亜鉛と銅との粒子性の電池対物質を伴うマイクロキャリアなどの微弱電流(microcurrent)を有することができる。マイクロキャリアは、常磁性、例えば常磁性のアルギン酸カルシウムマイクロキャリアであり得る。
キャリア粒子はまた、生体活性剤を含有することができる。キャリア粒子はまた、細胞の成長若しくは機能、又は組織環境を調節することができる生体活性剤を含有することができる。これらの因子としては、限定はされないが、サイトカイン、例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)、エリスロポエチン(Epo)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、腫瘍壊死因子(TNFα)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)などを挙げることができる。
実質的にECMから、又はもっぱらECMから製造されるマイクロキャリアは、本明細書別所記載の方法のうちのいずれかによってECMを生成し、このECMを、例えば含水量5%以下まで実質的に脱水し、このECMを、所望の平均ペレットサイズが得られるまで、例えばジェットミルを使用して粉砕することによって、製造することができる。乾燥させたECMを粉砕するために使用することができるシステムの例としては、限定はされないが、ROTO-JET(登録商標)Fluid Bed Jet Milling/Processingプラットフォーム(Fluid Energy Processing and Equipment Company社(Telford,Pennsylvania)より)が挙げられる。例えば、Hosokawa Micron Powder Systems社(Summit,New Jersey)、Kemutec社(Bristol,Pennsylvania)、K-Tron Industries社(Pitman,New Jersey)などからの、類似のシステムも、使用することができる。ECM粒径は、例えば、ROTO-SIZER(登録商標)Classification/Processing System(Fluid Energy Processing and Equipment Company社(Telford,Pennsylvania)より)を使用して、確認/実証することができる。
細胞、例えば、本明細書別所記載の記載される胎盤幹細胞は、バイオリアクター中のECM含有マイクロキャリアを使用して培養することができる。バイオリアクターは、例えば、回分反応器、流加反応器、又は連続攪拌槽型反応器であり得る。バイオリアクターは、任意の有用な大きさ、例えば、1L、2L、3L、4L、5L、6L、7L、8L、9L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、60L、70L、80L、90L、100L、120L、140L、160L、180L、200L、250L、300L、350L、400L、450L、500L、550L、600L、650L、700L、750L、800L、850L、900L、950L、1000L、1100L、1200L、1300L、1400L、1500L、若しくはそれ以上、又は1Lから10L、5Lから20L、10Lから30L、15Lから40L、20Lから50L、30Lから60L、40Lから70L、50Lから80L、60Lから90L、70Lから100L、80Lから120L、90Lから140L、100Lから150L、120Lから160L、140Lから180L、150Lから200L、175Lから250L、200Lから300L、250Lから350L、300Lから400L、350Lから450L、400Lから500L、450Lから550L、500Lから600L、550Lから650L、600Lから650L、600Lから700L、650Lから750L、700Lから800L、750Lから850L、800Lから900L、850Lから950L、900Lから1000L、1000Lから1100L、1100Lから1200L、1200Lから1300L、1300Lから1400L、又は1400Lから1500Lであり得る。
マイクロキャリア培養のために使用される細胞は、例えば、最初の単離物から、又は、解凍した凍結保存細胞ストックから、例えば、胎盤幹細胞について下に記載した方法によって、最初に培養することができる。好ましくは、細胞は、実質的に凝集及び集塊を含まない(例えば、細胞の10%、9%、9%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.2%未満が、細胞集塊又は凝集体である)、懸濁培養中の集団を構成する。細胞が、平板培養から得られることとなる場合、細胞は、例えばトリプシン、ACCUTASE(登録商標)などを使用して、細胞をプレートから解離させることによって、単一細胞懸濁液とすることができる。外来タンパク質は、例えば、剥離の前に、Ca/MG不含のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、例えばダルベッコPBS(DPBS)ですすぐことによって、平板細胞培養から除去することができる。剥離は、室温(例えば約23℃)から約37℃で、又はその間の任意の温度で行うことができる。剥離は、細胞の種類に応じて、20分から2時間継続することができる。
細胞とマイクロキャリアは、凝集における、マイクロスフェアの表面積に対する細胞の数の、ある比率に従って、懸濁液中で組み合わせることができる。例えば、特定の回分のECM含有マイクロキャリアの平方センチメートルの数が算出される。
細胞は、例えば、1.0×103細胞/cm2、2.0×103細胞/cm2、3.0×103細胞/cm2、4.0×103細胞/cm2、5.0×103細胞/cm2、6.0×103細胞/cm2、7.0×103細胞/cm2、8.0×103細胞/cm2、9.0×103細胞/cm2、1.0×103細胞/cm2、2.0×103細胞/cm2、3.0×103細胞/cm2、4.0×103細胞/cm2、5.0×103細胞/cm2、6.0×103細胞/cm2、7.0×103細胞/cm2、8.0×103細胞/cm2、9.0×103細胞/cm2、1.0×104細胞/cm2、1.0×104細胞/cm2、2.0×104細胞/cm2、3.0×104細胞/cm2、4.0×104細胞/cm2、5.0×104細胞/cm2、6.0×104細胞/cm2、7.0×104細胞/cm2、8.0×104細胞/cm2、9.0×104細胞/cm2、1.0×105細胞/cm2、又はそれ以上の割合で、ECM含有マイクロキャリアと組み合わせることができる。好ましくは、細胞は、約1.0×104細胞/cm2から5.0×104細胞/cm2、2.0×104細胞/cm2から6.0×104細胞/cm2、又は2.0×104細胞/cm2から3.0×104細胞/cm2で接種される。
ECM含有マイクロキャリアを含む培養容器に接種するための細胞の総数は、ECM含有マイクロキャリア表面の平方センチメートルの合計と、表面の平方センチメートルあたりの細胞の数とを掛け合わせることによって決定することができる。一般的に、ECM含有マイクロキャリアと細胞は、細胞-マイクロキャリア接着を最大に、かつ細胞-細胞接着及び集塊形成を最小にしながら、両方の懸濁を維持するように穏やかに撹拌されている培地中で組み合わせられる。細胞には、マイクロキャリアと接着するのに十分な時間、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、若しくは180分、又は3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36時間、又はそれ以上の時間が与えられるべきである。均質なマイクロキャリア-細胞混合物の試料は、所与の時点の最後に、又は、実質的にすべての細胞(例えば、90%、95%、98%、又は99%を超える細胞)がマイクロキャリアに接着した時を決定するために接着中の様々な時点で、視覚によって評価することができる。
動物タンパク質を含まない培養環境に適応させる細胞については、又は、コロニー形成率が低い細胞株については、細胞をECM含有マイクロキャリアと接触させた後に、15、16、17、18、19、20、又は21時間、絶えず撹拌し、続いて、いったん細胞が接着してマイクロキャリアに沿って広がり始めたら、断続的に撹拌することによって、先述のプロトコルを改変することができる。例えば、断続的に撹拌することは、1分間の撹拌、それに続く、その間は撹拌を行わない30分の休止(この状況を1:30の比率と称する)を含むことができる。使用することができる他の撹拌時間/休止時間の比率としては、例えば、1:20、2:20、3:20、4:20、5:20、6:20、7:20、8:20、9:20、10:20、11:20、12:20、13:20、14:20、15:20、16:20、17:20、18:20、19:20、20:20、1:30、2:30、3:30、4:30、5:30、6:30、7:30、8:30、9:30、10:30、11:30、12:30、13:30、14:30、15:30、16:30、17:30、18:30、19:30、20:30、21:30、22:30、23:30、24:30、25:30、26:30、27:30、28:30、29:30、又は30:30などが含まれる。細胞が拡散した後、連続的な撹拌を再開することができる。
マイクロキャリア上での細胞の培養中、細胞を、培養される細胞の種類にとって許容し得る任意の培地中で培養することができる。
具体的実施態様では、例えば、接着性の胎盤幹細胞は、幹細胞、例えば間葉様幹細胞の培養のために許容し得ると当技術分野で認識されている、任意の培地中で培養することができる。ある種の実施態様では、培養培地は、血清、例えば、ヒト血清又はウシ(bovine calf)血清/ウシ胎児血清を含む。ある種の他の実施態様では、培養培地は、無血清である。胎盤幹細胞は、例えば、ITS(インスリン-トランスフェリン-セレン)、LA+BSA(リノール酸-ウシ血清アルブミン)、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、IGF-1、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM-LG(ダルベッコの改変必須培地、低グルコース)/MCDB 201(ニワトリ線維芽細胞基本培地);10%ウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM-HG(高グルコース);15%FBSを含むDMEM-HG;10%FBS、10%ウマ血清、及びヒドロコルチゾンを含むIMDM(イスコフの改変ダルベッコ培地);10%FBS、EGF、及びヘパリンを含むM199;10%FBS、GLUTAMAX(商標)、及びゲンタマイシンを含むα-MEM(基礎培地);10%FBS、GLUTAMAX(商標)及びゲンタマイシンを含むDMEMなどの中で培養することができる。一実施態様では、培地は、2%FBS、ITS、LA+BSA、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含む、DMEM-LG/MCDB-201である。胎盤幹細胞を培養するために使用することができる他の培地としては、DMEM(高又は低グルコース)、イーグルの基本培地、ハムのF10培地(F10)、ハムのF-12培地(F12)、イスコフの改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、ライボヴィッツのL-15培地、MCDB、DMEM/F12、RPMI 1640、改良DMEM(Gibco社)、DMEM/MCDB201(Sigma社)、及びCELL-GRO FREEが挙げられる。
例えば接着性の胎盤幹細胞の培養のための培養培地には、例えば、血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS)、好ましくは約2〜15%(v/v);ウマ科動物(ウマ)血清(ES);ヒト血清(HS));β-メルカプトエタノール(BME)、好ましくは約0.001%(v/v);1種以上の成長因子、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、白血病抑制因子(LIF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、及びエリスロポエチン(EPO);L-バリンを含めたアミノ酸;並びに、例えばペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を防除するための1種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤;を含めた1種以上の成分を、単独で又は組み合わせで補足することができる。
細胞は、トリプシン、ACCUTASE(登録商標)、又は当業者に公知の他の適切な酵素などの酵素を使用して、マイクロキャリアから回収することができる。例えば、細胞含有マイクロキャリアを、ある体積の培地中で収集し、沈殿させ、続いて、余分な培地をデカンテーションすることができる。残った細胞含有マイクロキャリアを、生理食塩水、例えば、Ca/Mg不含のリン酸緩衝生理食塩水、例えば、ダルベッコPBS(DPBS)で、2〜5回洗浄することが好ましい。生理食塩水は、細胞の脱落を促進するためにマイクロキャリアに適用するべきではない。すすぎサイクルは、例えば、5〜20分、例えば、10〜15分間、23℃から37℃で、30〜50RPMで撹拌しながら続行することができる。すすいだ後、細胞含有マイクロキャリアを、酵素と接触させて、細胞を解離することができる。使用される酵素の濃度は、例えば、0.01%から1.0% w/v、例えば、0.05%から0.25% w/vの範囲であり得る。細胞含有マイクロキャリアは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20分、又はそれ以上の時間、酵素に曝露させることができる。使用される酵素の量、並びに解離のための時間は、様々な時点で、視覚によって分析することができる;解離時間が短すぎたり酵素が少なすぎたりすると、解離される細胞(例えば、顕微鏡下で視認可能である)が少なすぎる結果となり、解離時間が長すぎたり酵素が多すぎたりすると、細胞死という結果となる。細胞死は、標準の分析、例えば、トリパンブルー、MTS分析、MTT分析などによって評価することができる。
胎盤幹細胞は、標準の組織培養条件で、例えば、組織培養ディッシュ又はマルチウェルプレート中で培養することができる。胎盤幹細胞は、ハンギングドロップ方法を使用して培養することもできる。この方法では、胎盤幹細胞は、約5mLの培地中に、約1×104細胞/mLで懸濁され、この培地の1以上の液滴が、組織培養容器、例えば、100mLペトリ皿のふたの内側に配置される。液滴は、例えば、単一の液滴、又は例えば、マルチチャネルピペッター(multichannel pipetter)からの複数の液滴であり得る。ふたを注意深くひっくり返し、ディッシュ雰囲気内の水分含有量を維持するのに十分な、ある体積の液体、例えば滅菌PBSを含有しているペトリ皿の底面の上部に置き、幹細胞を培養する。
単離された胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞を含む単離された幹細胞の集団(例えば、幹細胞又は幹細胞の集団が通常インビボで関係している胎盤細胞の少なくとも50%から分離された幹細胞又は幹細胞の集団)が、いったん得られれば、胎盤幹細胞又は細胞の集団を、インビトロで増殖及び拡大させることができる。例えば、胎盤幹細胞は、組織培養容器、例えば、ディッシュ、フラスコ、マルチウェルプレートなどの中で、幹細胞が70〜90%コンフルエントに増殖するのに十分な時間、すなわち、幹細胞及びその子孫が組織培養容器の培養表面積の70〜90%を占めるようになるまで培養することができる。
胎盤幹細胞を、細胞成長を可能にする密度で、培養管内に播種することができる。例えば、該細胞を、低密度(例えば、約1,000から約5,000細胞/cm2)ないし高密度(例えば約50,000細胞/cm2又はそれ以上)で播種することができる。好ましい実施態様では、該細胞は、空気中の約0から約5体積パーセントのCO2下で培養される。いくつかの好ましい実施態様では、該細胞は、空気中の約2から約25パーセントのO2下で、好ましくは空気中の約5から約20パーセントのO2下で培養される。該細胞は、約25℃から約40℃、好ましくは37℃で培養されることが好ましい。該細胞は、インキュベータ内で培養されることが好ましい。培養培地は、静置する、又は、例えばバイオリアクターを使用して撹拌することができる。胎盤幹細胞は、(例えば、グルタチオン、アスコルビン酸、カタラーゼ、トコフェロール、N-アセチルシステインなどを添加して)低酸化ストレス下で成長させることができる。
(5.2.細胞外マトリクス組成物)
先述の本明細書で提供される、マイクロキャリア、及びマイクロキャリアを使用する細胞培養の方法において使用するためのECMは、ある種の実施態様では、哺乳類源、例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ(ovine)、ヒツジ(sheep)、ラット源から得ることができる。ECM組成物は、有袋類、例えばカンガルーから得ることができる。ある種の実施態様では、ECMは、非哺乳類源から得られる。例えば、ECMは、魚類から得られる。
ECMは、これらの供給源の任意の部分から得ることができる。ある種の実施態様では、ECMは、例えば、ウシの皮膚、子ウシの皮膚、ラットの尾、カンガルーの尾、又は魚の皮膚から得ることができる。特定の実施態様では、ECMは、胎盤、例えば、ウシ胎盤ECM、ヒツジ胎盤ECM、又はヒト胎盤ECMから得られる。
ECM、例えばヒト胎盤ECMの主要成分、コラーゲンである。コラーゲンは、当業者に公知の任意の種類のコラーゲン、又はこうしたコラーゲンの混合物であり得る。ある種の実施態様では、コラーゲンは、1以上の種類のコラーゲンを含むコラーゲン組成物の形態である。具体的なコラーゲンとしては、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、及びIV型コラーゲンが挙げられる。ある種の実施態様では、ECMは、特定の量のこれらのコラーゲンを含む。特定の実施態様では、ECMは、かなりの量のI型コラーゲンを含む一方で、IV型コラーゲンも豊富である。ある種の実施態様では、ECMは、乾燥重量で、1%から15%のIV型コラーゲン、2%から13%のIV型コラーゲン、3%から12%のIV型コラーゲン、又は4%から11%のIV型コラーゲンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、乾燥重量で、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%のI型コラーゲンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、乾燥重量で、70%から95%のI型コラーゲン、74%から92%のI型コラーゲン、又は80%から90%のI型コラーゲンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、III型コラーゲン、例えば、乾燥重量で、最大1%、最大2%、最大3%、最大4%、最大5%、最大6%、又は最大7%のIII型コラーゲンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、乾燥重量で、2%から15%のIV型コラーゲン、70%から95%のI型コラーゲン、及び最大6%のIII型コラーゲンを含む。
ある種の実施態様では、ECMは、コラーゲンに加えて、1種以上の細胞外マトリクスタンパク質又は成分を含む。例えば、具体的実施態様では、ECMは、1種以上のフィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、及び/又はグリコサミノグリカンを含む。他の具体的実施態様では、ECMは、検出不可能なフィブロネクチン、又は検出不可能なラミニン、又は検出不可能なラミニン若しくはフィブロネクチンを含む。別の具体的実施態様では、ECMは、検出可能な量のフィブロネクチン及びラミニンを含む。別の具体的実施態様では、ECMは、乾燥重量で約5%又はそれ以上のエラスチンを含む。別の具体的実施態様では、ECMは、乾燥重量で約10%又はそれ以上のエラスチンを含む。別の具体的実施態様では、ECMは、乾燥重量で、多くとも約5%のエラスチンを含む。
ある種の実施態様では、ECMは、組成物中のタンパク質の総量に対して、(例えば乾燥重量で)1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満のラミニンを含む、或いは、0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、又は0.5%〜1.0%のラミニンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、組成物中のタンパク質の総量に対して、(例えば乾燥重量で)1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満のフィブロネクチンを含む、或いは、0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、又は0.5%〜1.0%のフィブロネクチンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、組成物中のタンパク質の総量に対して、(例えば乾燥重量で)約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、若しくは15%のエラスチン、又は1〜5%、5〜10%、若しくは10〜15%のエラスチンを含み、かつ、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、若しくは0.01%未満のラミニンを含む、又は、0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1.0%のラミニン;及び/又は1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、若しくは0.01%未満のフィブロネクチンを含む、又は、0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1.0%のフィブロネクチンを含む。具体的実施態様では、ECMは、組成物中のタンパク質の総量に対して、(例えば乾燥重量で)80%超のコラーゲン、10〜15%のエラスチン、0.01%未満のラミニン、及び0.01%未満のフィブロネクチンを含む。
ある種の実施態様では、本明細書で提供されるマイクロキャリア及び方法において利用されるECMは、下に記載する方法の1つによって得ることができる。
ある種の実施態様では、ECM中のコラーゲンは、いずれにせよ、例えば架橋剤を用いて、架橋される。ある種の実施態様では、架橋剤は、グルタルアルデヒドである。例えば、米国特許第4,852,640号、第5,428,022号、第5,660,692号、及び第5,008,116号、及びMcPhersonらの文献、1986、J.Biomedical Materials Res.20:79-92(これらの内容の全体を参照により本明細書に組み込む)参照のこと。コラーゲンを架橋するさらなる例示的な架橋剤及び方法は、米国特許第5,880,242号及び第6,117,979号、及びZeemanらの文献、2000、J Biomed Mater Res.51(4):541-8、van Wachemらの文献、2000、J Biomed Mater Res.53(1):18-27、van Wachemらの文献、1999、J Biomed Mater Res.47(2):270-7、Zeemanらの文献、1999、J Biomed Mater Res.46(3):424-33、Zeemanらの文献、1999、Biomaterials 20(10):921-31(これらの内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
さらなる実施態様では、ECM中のコラーゲンは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルを用いて架橋される。さらなる実施態様では、ECM中のコラーゲンは、ゲニピン、すなわち非毒性の天然に存在する架橋剤を用いて架橋される。ゲニピンは、クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実から単離することができる、その親化合物、ゲニポシドから得ることができる。ゲニピンは、Challenge Bioproducts社(7 Alley 25、Lane 63、TzuChiang St.404 Taichung Taiwan R.O.C.、Tel 886-4-3600852)から市販品として得ることができる。架橋試薬としてのゲニピンの使用は、米国特許出願公開第2003/0049301号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に詳細に記載されている。
ECM中のコラーゲンは、単一の架橋剤を用いて、又は架橋剤の混合物を用いて架橋することができる。ある種の実施態様では、ECMは、グルタルアルデヒドを用いて架橋させた、塩基処理された、洗浄剤処理されたヒト胎盤コラーゲンを含む。
ECM中のコラーゲンは、当業者に公知の任意の、酵素が介在する架橋技術を用いて架橋することができる。例えば、ECM中のコラーゲンは、例えば、例えばOrbanらの文献、2004、J.Biomedical Materials Res.68(4):756-62に記載されている方法によって、トランスグルタミナーゼによって架橋することができる。
(5.3.ECMの調製方法)
ある種の実施態様では、ECMは、ヒト胎盤から調製することができる。胎盤組織は、羊膜(可溶性又は不溶性、或いはその両方を問わず)、絨毛膜、臍帯を含めた胎盤の任意の部分由来、又は完全な胎盤由来であり得る。ある種の実施態様では、ECMは、臍帯を伴わないヒト胎盤全体から調製される。ある種の他の実施態様では、ECMは、羊膜も臍帯も伴わない胎盤全体から調製される。
そこからECMが得られる胎盤は、正常な健常児の、正常分娩後、又は帝王切開分娩後、できるだけ早く得ることが好ましい。好都合には、胎盤は、無菌条件下で収集される。胎盤は、ある種の実施態様では、分娩時から48時間、保管され、その後、任意のさらなる処理が施される。他の実施態様では、胎盤は、分娩時から最大5日間、保管され、その後、任意のさらなる処理が施される。
胎盤、及び任意に臍帯は、さらなる処理のために、分娩室又は出産室から別の場所、例えば実験室に輸送することができる。胎盤は、任意に断熱された、無菌のバッグ又は容器などの無菌の輸送装置に入れて輸送することができる。いくつかの実施態様では、胎盤は、さらなる処理まで、室温で保管される。他の実施態様では、胎盤は、さらなる処理まで冷蔵される、すなわち、約2℃から8℃の温度で保管される。胎盤は、無菌条件下で、さらなる処理まで最大5日間、保管することができる。胎盤は、当業者に公知の無菌条件下で取り扱い及び処理することが好ましい。例えば、実験室には、HEPA濾過システム(クラス1000又はそれ以上を有するクリーンルームの等級によって定義される)を装備することができる。
胎盤は、ECMを得る前に、放血される、すなわち、誕生後に残留している臍帯血を完全に排出することが好ましい。いくつかの実施態様では、胎盤は、70%放血される、80%放血される、90%放血される、95%放血される、又は99%放血される。
妊婦は、例えばFDA規則に従って、出産の前に、限定はされないが、HIV、HBV、HCV、HTLV、梅毒、CMVを含めた伝染性疾患について、当業者に公知の標準の技術を使用して、公知の病原体、及び、胎盤組織を汚染することが公知である他のウイルス性病原体についてスクリーニングすることができる。妊婦は、産後1か月以内、特に、産後2週以内、産後1週以内、又は出産時に、スクリーニングする(例えば、診断目的で血液試料を採取する)ことができる。好ましくは、先に言及した病原体に対して陰性又は非反応性であると判定されたドナーから収集された組織のみが、ECMを生成するために使用される。例えば詳細な家族歴を含めて、胎盤膜のドナーの徹底的な父方の歴及び病歴及び社会歴が入手されることが好都合である。
ある種の実施態様では、ドナーは、当業者に公知の標準の血清学的及び細菌学的検査を使用してスクリーニングされる。例えば、ドナースクリーニングは、例えば、抗体スクリーン(ATY);アラニンアミノトランスフェラーゼスクリーニング(ALT);肝炎コア抗体(核酸及びELISA);B型肝炎表面抗原;C型肝炎ウイルス抗体;HIV-1及びHIV-2;HTLV-1及びHTLV-2;梅毒検査(RPR);CMV抗体検査;及び/又はC型肝炎及びHIV検査を使用する、当業者に公知の標準の抗原検出技術を使用することを含むことができる。使用されるこれらの分析は、当業者に公知の、核酸に基づく分析又はELISAに基づく分析であり得る。
当業者に公知の標準の技術を使用して、新生児の臍帯由来の血液(例えば、Cotorrueloらの文献、2002、Clin.Lab.48(5 6):271 81;Maineらの文献、2001、Expert Rev.Mol.Diagn.,1(1):19 29;Nielsenらの文献、1987、J.Clin.Microbiol.25(8):1406-10を参照のこと)。一実施態様では、新生児の臍帯由来の血液は、当技術分野で公知の標準の技術を使用して、細菌性病原体(限定はされないが、グラム陽性及びグラム陰性細菌を含めて)、及び/又は真菌について検査される。当業者に公知の標準の技術を使用して、新生児の臍帯の血液の、血液型及びRh因子も決定することができる。別の実施態様では、当業者に公知の標準の方法を使用して、新生児の臍帯由来の血液から、全血球計算値(CBC)(差動を伴う)が得られる。さらに別の実施態様では、当業者に公知の標準の方法を使用して、新生児の臍帯由来の血液から、好気性細菌培養株が採取される。正常範囲内のCBC(例えば、肉眼的異常又は正常レベルからの逸脱なし)、血清学及び細菌学に関する検査陰性、及び感染症及び汚染に関する検査陰性又は非反応性を有するドナーから収集された組織のみが、ECMを生成するために使用される。
ヒト胎盤組織がいったん得られたら、ECMを調製するために、このヒト胎盤組織を、次のステップに従って処理することができる。以下のステップは、順を追って示されるが、当業者は、いくつかのステップの順序を交換できることを認識するであろう。緩衝液交換、沈殿、遠心分離、再懸濁、希釈、及びタンパク質組成物の濃縮などの、当業者に容易に明らかな技術は、詳細に説明する必要はないであろう。調製の例は、下の実施例に記載する。
本明細書に記載する方法には、胎盤のいずれかの部分、又は完全な胎盤を使用することができる。ある種の実施態様では、ECMは、胎盤全体から、又は胎盤の絨毛膜若しくは羊膜部分から調製される。
臍帯は、胎盤盤状部(placental disc)から分離することができ、羊膜は、絨毛膜から分離することができる。胎盤膜を切断する前に、羊膜を絨毛膜から分離することができる。絨毛膜からの羊膜の分離は、胎盤膜の端から開始することができ、例えば手袋をはめた手指を用いて、鈍的切開を使用して、絨毛膜から分離することができる。羊膜を絨毛膜及び胎盤盤状部から分離した後、臍帯断端を、例えばハサミで切断し、胎盤盤状部から剥がすことができる。ある種の実施態様では、組織を裂かなければ羊膜と絨毛膜との分離が可能ではない場合、羊膜と絨毛膜を、一つの部分として胎盤盤状部から切断し、次いで、羊膜と絨毛膜とをはがすことができる。
羊膜、絨毛膜、又は胎盤全体は、本明細書に記載する方法における使用の前に、保管することができる。保管技術の例は、米国特許出願公開第2004/0048796号及び第2003/0187515号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
胎盤組織は、ECMを得る前に、脱細胞化することができる。胎盤組織は、当業者に公知の任意の技術、例えば、米国特許出願公開第2004/0048796号及び第2003/0187515号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている技術に従って、脱細胞化することができる。
ある種の実施態様では、胎盤組織は、浸透圧衝撃にかけられる。いかなる特定の動作理論にも拘泥するつもりはないが、浸透圧衝撃によって、組織中の細胞を破裂させることができ、それによって、細胞、細胞成分、及び血液成分の取り出しが容易になると考えられている。浸透圧衝撃は、いかなる清澄ステップに追加されるものであってもよいし、単独の清澄ステップであってもよい。
浸透圧衝撃は、当業者に公知の任意の浸透圧衝撃条件で実施することができる。こうした条件としては、高浸透ポテンシャルの、低浸透ポテンシャルの、又は高浸透ポテンシャルと低浸透ポテンシャル交互の溶液中で組織をインキュベートすることが挙げられる。高浸透ポテンシャル溶液は、NaCl(例えば0.2Mから1.0M)、KCl(例えば0.2Mから1.0M又は2.0M)、硫酸アンモニウム、単糖、二糖(例えば20%スクロース)、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、グリセロールなどの1種以上を含む溶液などの、当業者に公知の任意の高浸透ポテンシャル溶液であり得る。ある種の実施態様では、高浸透ポテンシャル溶液は、塩化ナトリウム溶液である。いくつかの実施態様では、塩化ナトリウム溶液は、少なくとも0.25M、0.5M、0.75M、1.0M、1.25M、1.5M、1.75M、2M、2.25M、又は2.5MのNaClである。いくつかの実施態様では、塩化ナトリウム溶液は、約0.25Mから5M、約0.5Mから4M、約0.75Mから3M、又は約1.0Mから2.0MのNaClである。
低浸透ポテンシャル溶液は、水、例えば、当業者に公知の任意の方法に従って脱イオンした水などの、当業者に公知の任意の低浸透ポテンシャル溶液であり得る。いくつかの実施態様では、浸透圧衝撃液は、50mM NaClの浸透圧衝撃ポテンシャル未満の浸透圧衝撃ポテンシャルを有する水を含む。
ある種の実施態様では、浸透圧衝撃は、塩化ナトリウム溶液、それに続いて水溶液を使用して成される。種々の実施態様では、塩化ナトリウム溶液は、少なくとも0.5MのNaCl、少なくとも0.75MのNaCl、少なくとも1.0MのNaCl、少なくとも1.5MのNaCl、又は少なくとも2.0MのNaClである。ある種の実施態様では、1回の0.5M NaCl処理の後、水洗浄が続く。ある種の実施態様では、連続する2回の0.5M NaCl処理の後、水洗浄が続く。ある種の実施態様では、1回の2M NaCl処理の後、水洗浄が続く。これらの連続を、当業者の判断に従って繰り返すことができる。
ある種の実施態様では、浸透圧衝撃から得られたECM含有組成物を、洗浄剤と共にインキュベートすることができる。洗浄剤は、細胞膜又は細胞内膜を破壊することが可能な、当業者に公知の任意の洗浄剤であり得る。ある種の実施態様では、洗浄剤は、イオン性である。例えば、ある種の実施態様では、洗浄剤は、デオキシコール酸塩、デオキシコール酸、又はドデシル硫酸ナトリウムである。ある種の実施態様では、洗浄剤は、双性イオン性である。ある種の実施態様では、洗浄剤は、非イオン性である。例えば、ある種の実施態様では、洗浄剤は、TWEEN(登録商標)界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)-20、又はTriton X界面活性剤、例えばTriton X 100であり得る。コラーゲン組成物は、組成物から不要成分を除去するのに適している、当業者によって判断される条件下で、洗浄剤と接触させることができる。条件の例は、下の実施例に提供される。
洗浄剤処理は、当業者の判断に従って、任意の温度で実施することができる。ある種の実施態様では、洗浄剤処理は、約0℃から30℃、約5℃から25℃、約5℃から20℃、又は約5℃から15℃で実施される。ある種の実施態様では、洗浄剤処理は、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、又は約30℃で実施される。特定の実施態様では、洗浄剤処理は、約5℃から15℃で実施される。
洗浄剤処理は、当業者の判断に従って、適切な時間、実施することができる。ある種の実施態様では、洗浄剤処理は、約1〜24時間、約2〜20時間、約5〜15時間、約8〜12時間、又は約2〜5時間、実施することができる。
いくつかの実施態様では、ECMは、塩基で処理されない。他の実施態様では、洗浄剤処理から得られたECM組成物は、例えば、このECMを塩基性溶液中で洗浄することによって、塩基で1回以上、任意に処理することができる。ある種の実施態様では、塩基によって、エンドトキシン及び/又はウイルス粒子が除去される。塩基処理のための塩基の例としては、ECMから容易かつ安全に除去可能である、生体適合性の塩基、揮発性の塩基、又は当業者に公知の塩基が挙げられる。塩基は、例えば0.2Mから1.0Mの濃度の、当業者に公知の任意の有機又は無機塩基であり得る。ある種の実施態様では、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウム、例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化カリウム溶液、又は水酸化ナトリウム溶液である。水酸化ナトリウム溶液は、0.1M NaOH、0.25M NaOH、0.5M NaOH、又は1M NaOHであり得る。特定の実施態様では、塩基処理は、0.1M又は0.5M NaOH中で実施される。
塩基処理は、当業者の判断に従って、任意の温度で実施することができる。ある種の実施態様では、塩基処理は、約0℃から30℃、約5℃から25℃、約5℃から20℃、又は約5℃から15℃で実施される。ある種の実施態様では、塩基処理は、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、又は約30℃で実施される。特定の実施態様では、塩基処理は、約5℃から15℃で実施される。
塩基処理は、当業者の判断に従って、適切な時間、実施することができる。ある種の実施態様では、塩基処理は、約1〜24時間、約2〜20時間、約5〜15時間、約8〜12時間、又は約2〜5時間、実施することができる。
洗浄剤及びNaOH洗浄ステップの変形形態を使用して、いくつかの変形形態のECMを作製することができる。例えば、ある種の実施態様では、ECMは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は約24時間かけて、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、又は約0.5M NaOHで処理することができる。
ある種の他の実施態様では、ECMは、塩基による処理を伴わずに生成される。この方法が、胎盤組織に適用される場合、塩基処理ステップの省略によって、一般的に、塩基処理の包含を伴って生成されたECMよりも比較的多い量のエラスチン、フィブロネクチン、及び/又はラミニンを含むECMがもたらされる。
好ましくは、先述のステップのいずれか又はすべては、無菌条件下で実施される。特定の実施態様では、塩基処理、及びそれに続くすべてのステップが、無菌条件下で実施される。さらなる実施態様では、本明細書に記載する方法に従って調製されたいかなるコラーゲン組成物も、当業者に明らかな技術に従って、さらに滅菌することができる。
ある種の実施態様では、ECMを調製する方法は、例えば、先に記載した、例えば順に実施される、浸透圧衝撃、凍結乾燥、洗浄剤処理、水洗浄、凍結乾燥、塩基処理、水洗浄、及び凍結乾燥ステップへの、組織、例えば胎盤組織を含む。ある種の実施態様では、洗浄剤は、1%デオキシコール酸塩である。ある種の実施態様では、塩基処理は、4時間の0.5 N NaOHである。ある種の実施態様では、第1の水洗浄は、繰り返される(合計2回の洗浄)。ある種の実施態様では、第2の水洗浄は、2回繰り返される(合計3回の洗浄)。ある種の実施態様では、洗浄剤は1% デオキシコール酸塩であり、塩基処理は4時間の0.5N NaOHであり、第1の水洗浄は繰り返され(合計2回の洗浄)、第2の水洗浄は2回繰り返される(合計3回の洗浄)。ある種の実施態様では、こうした方法は、約0.59%グリコサミノグリカン、約3.5%エラスチンを含み、フィブロネクチンとラミニンをほとんど又はまったく含まない組成物を提供することができる。
ある種の実施態様では、ECMは、組織、例えば胎盤組織を、例えば先に記載した通りの、浸透圧衝撃、塩基処理、及び水洗浄にかけることによって得られる。ある種の実施態様では、これらのステップは、順に実施される。ある種の実施態様では、塩基処理は、4時間の0.5N NaOHである。ある種の実施態様では、こうした調製から得られたECMは、乾燥重量で、約0.28%から約0.38%グリコサミノグリカン、約3.2%から約4.7%エラスチンを含み、フィブロネクチン(例えば1%未満)とラミニン(例えば1%未満)をほとんど又はまったく含まない。
ある種の実施態様では、ECMは、組織、例えば胎盤組織を、例えば先に記載した通りの、浸透圧衝撃、洗浄剤処理、及び水洗浄ステップにかけることによって得られる。ある種の実施態様では、これらのステップは、順に実施される。ある種の実施態様では、洗浄剤は、1% デオキシコール酸塩である。ある種の実施態様では、こうした方法は、約0.4%グリコサミノグリカン、約12%エラスチン、約0.6%フィブロネクチン、及び約0.16%ラミニンを含む組成物を提供することができる。
(5.4任意のさらなる処理)
ある種の実施態様では、本明細書で提供されるマイクロキャリア及び培養方法に使用可能なECMは、テロペプチドコラーゲンを含む。ある種の実施態様では、ECMは、アテロペプチドコラーゲンを含む。さらに他の実施態様では、テロペプチドコラーゲンを含むECM組成物を、アテロペプチドコラーゲン組成物の原料として使用することができる。アテロペプチドコラーゲン組成物は、アテロペプチドコラーゲンに関する当業者に明らかな任意の目的のために使用することができる。
こうした実施態様では、ECMを、ECMに含有されるコラーゲンからテロペプチドを部分的若しくは完全に取り出すことが可能な酵素と接触させることができる。この酵素は、コラーゲンからテロペプチドを取り出すことが可能な、当業者に公知の任意のタンパク質分解酵素であり得る。ある種の実施態様では、この酵素は、ペプシン又はパパインである。一般に、酵素は、当業者に公知のテロペプチドの取り出しに適した条件下で、ECM組成物と接触される。ECM組成物を酵素で処理してテロペプチドを取り出す方法は、例えば、米国特許第4,511,653号、第4,582,640号、第5,436,135号、及び第6,548,077号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
ある種の実施態様では、ECM組成物を、約15℃から40℃、約20℃から35℃、約25℃から30℃、約20℃から30℃、又は約23℃から27℃で、ペプシンと接触させる。特定の実施態様では、ECM組成物を、テロペプチドを取り出すのに十分な時間、約23℃から27℃で、ペプシンと接触させる。ECM組成物は、ECM中のコラーゲンからテロペプチドを取り出すのに十分な時間、酵素と接触させることができる。ある種の実施態様では、例えば、ECMを、少なくとも5、10、15、20、25、又は30時間、ペプシンと接触させる。ある種の実施態様では、ECMを、約5から30時間、約10から25時間、又は約20から25時間、ペプシンと接触させる。ある種の実施態様では、ECMを、約8、16、24、又は32時間、ペプシンと接触させる。
コラーゲン組成物は、ある種の実施態様では、実質的にすべてのテロペプチドをECMから取り出すのに適した量の酵素と接触される。いくつかの実施態様では、ECM 1kgあたり約0.1g、0.5g、1.0g、2.0g、又は5.0gのペプシン(乾燥重量)を、ECMと接触させる。他の実施態様では、約0.1g、0.5g、1.0g、2.0g、又は5.0gのペプシン/胎盤を、ECMと接触させる。ある種の実施態様では、コラーゲン組成物を、約0.1から10.0g/L、約0.5から5/L、約1から2.5g/L、又は約0.5 1.5g/Lのペプシンと接触させる。いくつかの実施態様では、コラーゲン組成物を、約0.1g/L、約0.2g/L、約0.5g/L、約1.0g/L、約2.0g/L、5g/L、又は10g/Lのペプシンと接触させる。特定の実施態様では、コラーゲン組成物を、約16〜24時間、約23℃から27℃で、約0.5から1.0g/Lのペプシン(酢酸溶液)、pH約2〜3と接触させる。
ECMを、適切な溶液体積:胎盤組織重量の酵素と接触させて、テロペプチドを取り出すことができる。胎盤組織重量に対する体積比を高くすることによって、ペプシンによる効果を最大にすることができることが認められる。ある種の実施態様では、胎盤あたり約1、2、4、又は8体積の酢酸溶液が使用される。特定の実施態様では、胎盤あたり約2体積の酢酸溶液が使用される。
所望される場合、ECMは、例えば米国特許第4,511,653号、第4,582,640号、及び第5,436,135号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている通りに、細線維化によって、さらに処理することができる。必要であれば、コラーゲン組成物を、細線維化の前に、標準の技術に従って濃縮することができる。
所望される場合、ECMは、架橋させることができる。ある種の実施態様では、ECMは、架橋の前に細線維化される。架橋は、当業者に公知の任意の架橋剤、例えば、先に記載した架橋剤を用いることができる。ある種の実施態様では、架橋剤は、グルタルアルデヒドであり、架橋は、当業者に公知の、コラーゲンのグルタルアルデヒド架橋の方法に従って実施することができる。他の実施態様では、架橋剤は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル又はゲニピンである。
いくつかの実施態様では、架橋剤とコラーゲンとの間の共有結合は、例えば安定性を向上させるために、還元することができる。還元は、ECM、例えば、ECM中のコラーゲンを、当業者に公知の任意の還元剤と接触させることによって成すことができる。ある種の実施態様では、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、β-メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、メルカプトエチルアミン、ベンジルメルカプタン、チオクレゾール、ジチオスレイトール、又はトリブチルホスフィンなどのホスフィンである。ある種の実施態様では、ECM中のコラーゲンは、還元剤での還元の前に架橋される。コラーゲン組成物及び架橋コラーゲン組成物の還元は、米国特許第4,185,011号、第4,597,762号、第5,412,076号、及び第5,763,579号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
ある種の実施態様では、ECMは、当業者に公知の方法に従って、機械的剪断によって、さらに処理することができる。剪断技術の例は、米国特許第4,642,117号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。ある種の実施態様では、ECMは、組織ホモジナイザーを用いて剪断される。
ある種の実施態様では、ステップを採用して、ECM中の天然のプロテアーゼ活性を制限することができる。溶液中の利用可能なカルシウム及び亜鉛イオンの量を排除又は制限するための組成物を調合することによって、プロテアーゼにとって最適以下の条件を実現することができる。多くのプロテアーゼは、カルシウム及び亜鉛イオンの存在下で活性であり、カルシウム及び亜鉛イオンがない環境では、その活性の多くが失われる。したがって、金属イオンキレート剤、例えば1,10-フェナントロリン及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの添加剤は、多くのタンパク質分解酵素に不都合な環境を作り出す。好都合には、ECMは、pH、カルシウム及び亜鉛イオンの利用可能性の低下、金属イオンキレート剤の存在、及び、コラゲナーゼに特異的なタンパク質分解阻害剤の使用の条件を選択することによって調製することができる。例えば、ECMは、カルシウム及び亜鉛イオンを含まずかつEDTAなどの金属イオンキレート剤を含む緩衝水溶液(pH 5.5から8、又はpH 7から8)を含むことができる。さらに、コラーゲン組成物の処理中の温度及び時間パラメータの制御を用いて、プロテアーゼの活性を制限することもできる。
(5.5二重乾燥細胞外マトリクス組成物)
ある種の実施態様では、例えば前述のセクションにおける方法のいずれかによって生成したECMを、例えば以下を順に含む方法によって、二重乾燥させることができる:ECMを凍結することと;このECMを凍結乾燥させることと;このECMを再水和させることと;このECMを40℃から70℃の温度で乾燥させて、前記ECM組成物を生成すること。ある種の実施態様では、前記方法は、外因的に導入されたプロテアーゼを用いるECMの改変を含まない。ある種の実施態様では、前記ECM乾燥は、50℃から70℃で実施される。再水和後の室温でのECMの乾燥(例えば、真空の適用による)は、必要とされる細胞接着及び増殖特性を有する、本明細書で提供される二重乾燥ECMを生成するのに十分ではない。
前記ECM凍結は、0℃未満の任意の温度で、例えば、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃、若しくは-85℃、又はそれよりも低温で行うことができる。ある種の実施態様では、前記凍結は、0℃から-10℃、-10℃から-20℃、-20℃から-30℃、-30℃から-40℃、-40℃から-50℃、-50℃から-60℃、-60℃から-70℃、又は-70℃から-80℃の温度で行われる。
凍結乾燥は、当技術分野で公知の任意の手段によって成すことができ、一般に、ECM組成物が実質的に乾燥する、例えば水が重量で約30%、25%、20%、25%、20%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満になるまで続ける。
凍結乾燥されたECMの再水和は、例えば、任意の治療的又は医学的に許容し得る液体、緩衝液、細胞培養培地、賦形剤などを用いて成すことができる。ある種の実施態様では、ECMを再水和させるために使用される液体は、例えば、その後ECMに添加される細胞が増殖するのを助ける、又はECMのレシピエントにおける組織の修復を助ける、又はその両方を助ける、1以上の生体分子を含む。
再水和の後かつ加熱乾燥の前に、ECMを、任意の有用な形状、例えば、ブロック、シート、管(例えば、閉管、若しくは管の長さの一部又は全長にわたる縦方向の切り込みを有する管)、又は他の形状に成形することができる。次いで、ECMを加熱乾燥して、ECMが所望の形状に形成されるのを完了することができる。このECMが、改変又は誘導体化されるべきであるならば、ある種の実施態様では、こうした改変又は誘導体化は、二重乾燥手順が完了した後に実施される。
ある種の実施態様では、二重乾燥ECMは、シート、例えば3.5"×3.5"シートとして調製される。
(5.6 ECMの特徴付け)
(5.6.1.生化学的特徴付け)
当技術分野で公知である及び本明細書で例示する生化学に基づく分析を使用して、セクション5.2の二重乾燥方法の前又は後に、ECMの生化学的組成を決定することができる。例えば、タンパク質含有量に関する吸光度に基づく分析としては、限定はされないが、280nm(例えば、Layne,Eの文献「タンパク質測定のための分光光度的及び比濁的方法(Spectrophotometric and Turbidimetric Methods for Measuring Proteins)」、Methods in Enzymology 3:447-455、(1957);Stoscheck,C Mの文献、「タンパク質の定量化(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182:50-69、(1990)を参照のこと)及び205nmでの吸光度を測定する分析、並びに、試料の吸光係数に基づく分析(例えば、Scopes,R Kの文献、Analytical Biochemistry 59:277、(1974);Stoscheck,C M.の文献 「タンパク質の定量化(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182:50-69、(1990)を参照のこと)が挙げられる。ECMは、例えば、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、及び/又はグリコサミノグリカンのうちの1つ以上のための、公知の分析を使用して特徴付けることができる。
比色に基づく分析としては、限定はされないが、改変Lowry分析、ビウレット分析、Bradford分析、ビシンコニン酸(Smith)分析が挙げられた(例えば、Stoscheck,C Mの文献、「タンパク質の定量化(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182:50-69 (1990)を参照のこと)。
具体的実施態様では、ECMの総タンパク質含有量を測定することは、Bradford 色素結合分析の使用を含む(Bradford,M.の文献、Analytical Biochemistry、72、248 (1976)(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む))。Bradford分析は、例えば、BIO-RAD社(Hercules,Calif.,USA)から入手可能なBradford色素結合分析を使用して実施することができる。このタンパク質分析は、様々な濃度のタンパク質に反応する、Coomassie Brilliant Blue R-250色素の色の変化に基づいている。この分析は、濃度が分かっている一連のヒトコラーゲン標準の(595ナノメートルでの)吸光度を測定することによって、標準較正曲線を作成することを含む。ECM被験試料(例えば羊膜の試料)中のコラーゲンの濃度は、検量線を参照することによって決定される。この分析は、0.2〜1.4mg/mLの範囲内のコラーゲン濃度の測定を可能にする標準の形式で、かつ、最大25μgまでのタンパク質濃度を測定する微量分析として、開発される。標準分析については、100mMクエン酸(pH 2.4)に溶解したECMを、全体積0.1mLで、0.1〜1mg/mLの濃度で、1.5mLマイクロ遠心チューブに分注する。各チューブに、1mLのクマシーブルー色素を添加する。試料をボルテックスにかけ、室温で10分間、置いておく。595ナノメートル(nm)で吸光度を測定する。微量分析ついては、100mMクエン酸(pH 2.4)に溶解したECMを、全体積0.1mL(2.5〜30μg/mL)で、96ウェルプレートのウェルに分注する。各ウェルに、10μLの色素試薬を添加する。試料をボルテックスにかけ、室温で10分間インキュベートし、その後、プレートリーダーで595nmで吸光度を測定する。被験試料は、3連で分析することができる。タンパク質濃度は、検量線を参照することによって決定される。ECMの総乾燥重量に対する割合として、タンパク質濃度を算出する。それぞれのECMにおけるタンパク質含有量は、約10%という誤差の範囲内で、基本的にECMの総乾燥重量の95%又はそれ以上である。水分含量は低い可能性があり、実験誤差の範囲内である(約10%)。
ECMの総コラーゲン含有量の推定は、当業者に公知である及び本明細書で例示する方法を使用して特徴付けることができる。具体的実施態様では、ECMのコラーゲン含有量は、定量的色素に基づく分析キット、例えば、Biocolor社(UK)によって製造されたSIRCOL(商標)キットを使用して測定される。ECM中のコラーゲンの型は、当技術分野で公知である及び本明細書で例示する標準の方法、例えば、ELISA分析、例えば、例えばChondrex社(Redmond,Wash.,USA)からArthrogen-CIA(登録商標)コラーゲン-Iによるキットとして提供されているサンドイッチELISA分析を使用して決定することができる。III型及びIV型の研究については、一次抗体(Capture 抗体)及び二次抗体(検出抗体)及びコラーゲン標準は、Rockland Immunochemicals社(Gilbertsville,Pa)から入手することができる。ECMの総エラスチン含有量は、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、Biocolor社(UK)によって製造された定量的な色素に基づく分析キット(FASTIN)を使用して決定することができる。この分析は、特異的なエラスチン結合色素として、5,10,15,20-テトラフェニル-21,23-ポルフィリン(porphrine)(TPPS)を利用する(例えば、Winkleman,J.の文献(1962)、Cancer Research,22,589-596を参照のこと)。ECMの総グリコサミノグリカン(GAG)含有量は、例えば、Biocolor社(UK)によって製造された定量的色素に基づく分析キット(BLYSCAN)を使用して決定することができる。ECMの総ラミニン含有量は、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、例えばタカラバイオ社(日本、滋賀県)からキット(Cat # MKIO7)として提供されているサンドイッチELISA分析を使用して、分析することができる。
ECMの総フィブロネクチン含有量は、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、タカラバイオ社(日本、滋賀県)からキット(Cat # MK1 15)として提供されているサンドイッチELISA分析を使用して、分析することができる。先述のタンパク質又は生体分子のそれぞれの含有量を決定するための他の方法も、当技術分野で周知である。それぞれを決定するためのプロトコルは、例えば、米国特許出願公開第2008/0181935号(その内容の全体を参照により本明細書に組み込む)に提供されている。
(5.6.2.ECMの保管及び取り扱い)
ECMは、例えばマイクロキャリアの形態では、室温(例えば25℃)で、又は、例えば、0℃以上、4℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、35℃以上、又は40℃以上、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、又は40℃以下で保管することができる。ECMは、冷蔵されていなくてもよいし、約2から8℃の温度で冷蔵することも可能である。ECMは、無菌かつ非酸化条件下で保管することができる。ECMは、長期保管に適した任意の容器内で保管することができる。好都合には、ECMは、無菌の両面剥離袋(double peel-pouch)包装中で保管することができる。
(5.6.3滅菌)
ECMは、例えばマイクロキャリアの形態では、こうした組成物を滅菌するための、当業者に公知の技術に従って滅菌することができる。ECMは、濾過によって、例えば、エンドトキシンを通過させかつコラーゲン組成物を保持するフィルターに通過させることによって滅菌することができる。エンドトキシンの濾過のために、当業者に公知の、ある大きさ、例えば30kDaの、任意のフィルターを使用することができる。フィルターは、エンドトキシンがフィルターを通過するのを可能にしつつ、コラーゲンを保持する大きさのものであり得る。ある種の実施態様では、フィルターは、5kDaから100kDaである。特定の実施態様では、フィルターは、約5kDa、約10kDa、約15kDa、約20kDa、約30kDa、約40kDa、約50kDa、約60kDa、約70kDa、約80kDa、約90kDa or 約100kDaである。フィルターは、セルロース、ポリエーテルスルホン、及び当業者に明らかなその他のものなどのコラーゲン組成物と適合性のある、当業者に公知の任意の材料のものであり得る。濾過は、当業者によって望まれれば何度でも繰り返すことができる。エンドトキシンは、クリアランスをモニタリングするための標準の技術に従って検出することができる。
ある種の実施態様では、ECMを濾過して、ウイルス粒子を含まない又は低下させたECMを作製することができる。フィルターは、ウイルス粒子がフィルターを通過するのを可能にしつつ、コラーゲン組成物を保持することが好都合である。ウイルスを排除するのに有用である当業者に公知の任意のフィルターを使用することができる。例えば、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、及びHIVの排除又は減少のために、1000kDaフィルターを使用することができる。パルボウイルス及びA型肝炎ウイルスの排除又は減少のために、750kDaフィルターを使用することができる。パルボウイルスの排除又は減少のために、500kDaフィルターを使用することができる。
ウイルス粒子を含まない、又はウイルス粒子の数を減少させたECMは、ECMを保持しつつ1以上のウイルス粒子がフィルターを通過するのを可能にするサイズのフィルターと、ECMを接触させるステップを含む方法によって調製することができる。ある種の実施態様では、コラーゲン組成物は、コラーゲン組成物を保持しつつ1以上のウイルス粒子がフィルターを通過するのを可能にする条件下で、フィルターと接触される。この条件は、当業者に公知の濾過のための任意の条件、例えば遠心分離又はポンピングであり得る。フィルターは、1以上のウイルス粒子がフィルターを通過するのを可能にしつつコラーゲンを保持するサイズのものであるべきである。ある種の実施態様では、フィルターは、500kDaから1000kDaである。特定の実施態様では、フィルターは、約500kDa、約750kDa、又は約1000kDaである。フィルターは、セルロース、ポリエーテルスルホン、及び当業者に明らかなその他のものなどのコラーゲン組成物と適合性のある、当業者に公知の任意の材料のものであり得る。濾過は、当業者によって望まれれば何度でも繰り返すことができる。ウイルス粒子は、濾過をモニタリングするための標準の技術に従って検出することができる。
ECMの滅菌は、当業者に公知の方法(例えば、Gorham,D.Byrom(編)の文献、1991、Biomaterials,Stockton Press,New York,55-122)を使用して、電子線照射によって実施することもできる。細菌又は他の汚染させる可能性がある微生物の少なくとも99.9%を死滅させるのに十分な、任意の線量の放射線が、この方法の範囲内である。特定の実施態様では、少なくとも18〜25kGyの線量を使用して、ECMの最終滅菌を実現する。
(5.7 ECMの調合)
ECMは、胎盤から抽出された場合、一般的に、白色のペーストである。マイクロキャリアが、本質的にECMからなるか、又はECMからなる実施態様では、このペーストを、乾燥させて、例えば二重乾燥させて、粉末(ここでは、粉末は、マイクロキャリアに適した大きさのものである、ECMのペレット又はビーズを含む)に粉砕するのに適した形状、例えばブロックに成形することができる。
第2の組成物のビーズ又はペレット(例えば、ガラス、プラスチック、DEAE-デキストラン、又は本明細書別所に開示される他の組成物)をコーティングするためにECMが使用される用途については、ECMは、水又はリン酸緩衝生理食塩水中で、例えば0.1〜100mg/ml、1〜100mg/ml、1〜75mg/ml、1〜50mg/ml、1〜40mg/ml、10〜40mg/ml、又は20〜40mg/ml ECMで、例えば溶液又は懸濁液として調合することができる。ある種の実施態様では、ECM溶液又は懸濁液は、約5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml、又は50mg/mlのコラーゲンを含む。
ECMマイクロキャリアは、細胞の培養中に、活性成分、例えば生体分子を放出するように調合することができる。例えば、マイクロキャリアは、手術のために、生成中又は調製中に、生体分子、例えば、抗生物質(クリンダマイシン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシンなど)、ホルモン、成長因子、抗腫瘍剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン、抗炎症剤、創傷治癒剤(限定はされないがPDGF、TGFを含めたサイトカイン;チモシンなど)などを浸透させることができる。
さらに他の実施態様では、二重乾燥ECMを、ヒドロゲルと組み合わせることができる。当業者に公知の任意のヒドロゲル、例えば、Grahamの文献、1998、Med.Device Technol.9(1):18-22;Peppasらの文献、2000、Eur.J.Pharm.Biopharm.50(1):27-46;Nguyenらの文献、2002、Biomaterials,23(22):4307-14;Heninclらの文献、2002、Adv.Drug Deliv.Rev 54(1):13-36;Skelhorneらの文献、2002、Med.Device.Technol.13(9):19-23;又はSchmedlenらの文献、2002、Biomaterials 23:4325-32に開示されているヒドロゲル組成物のいずれかを使用することができる。具体的実施態様では、ヒドロゲルは、ECM上に適用される、すなわち、コラーゲン組成物の表面上に放出される。ヒドロゲルは、例えば、二重乾燥ECM上に噴霧する、又は二重乾燥ECMの表面上に浸透させる、又は二重乾燥ECMを湿らせる、又は二重乾燥ECMを浸す、又は二重乾燥ECMの表面にコーティングすることができる。本明細書で提供される方法及び組成物において有用なヒドロゲルは、限定はされないが、ポリビニルアルコール(PVA)、メタクリル酸ポリヒドロキシエチル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、デキストラン、又はこれらの誘導体及び類似体を含めて、当技術分野で公知の任意の、水と相互作用する又は水溶性のポリマーから製造することができる。
(5.8胎盤幹細胞)
ECMを含むマイクロキャリアを使用して、接着依存性細胞、例えば成熟細胞又は幹細胞(ここでは、これらの細胞はECMに接着する)を、培養することができる。好ましくは、これらの細胞は、米国特許第7,045,148号;第7,468,276号;第8,057,788号、及び第8,202,703号(開示は、それらの全体において、参照により本明細書に組み込む)に記載されているものなどの胎盤幹細胞である。
ECM含有マイクロキャリアを使用して培養される幹細胞又は前駆細胞の数としては、種々の実施態様では、少なくとも1×106、3×106、1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109、1×1010、3×1010、1×1011、3×1011、又は1×1012個を挙げることができる;或いは多くとも1×106、3×106、1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109、1×1010、3×1010、1×1011、3×1011、又は1×1012個の幹細胞又は前駆細胞であり得る。
ある種の実施態様では、ECMを含むマイクロキャリアを使用して培養される細胞は、CD34-胎盤幹細胞である。CD34-胎盤幹細胞は、組織培養基材に接着し、かつ非胎盤細胞型に分化する能力を有する、胎盤組織から得ることが可能な幹細胞である。胎盤幹細胞は、胎児又は母親起源であり得る(すなわち、母親又は胎児の遺伝子型を有することができる)。胎盤幹細胞の集団、又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、もっぱら胎児起源又はもっぱら母親起源の胎盤幹細胞を含むこともできるし、胎児と母親両方の起源の胎盤幹細胞の混合集団を含むこともできる。胎盤幹細胞、及び、胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、下に論じる形態的特性、マーカー特性、及び培養特性によって、特定及び選択することができる。
胎盤幹細胞は、一般に、マーカーCD10、CD73、CD105、CD200、及び/又はOCT-4を発現し、かつHLA-G+、CD34、CD38、又はCD45を発現しない。胎盤幹細胞はまた、HLA-ABC(MHC-1)及びHLA-DRを発現することができる。したがって、一実施態様では、ECMと組み合わせることができる幹細胞は、CD200+又はHLA-G-である。別の実施態様では、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の実施態様では、胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。別の実施態様では、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。
ある種の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD34-、CD10+、及びCD105+である。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞、及び/又は軟骨形成表現型の細胞に分化する潜在能力を有する。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD45-又はCD90+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD45-及びCD90+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD90+又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD90+及びCD45-でもある、すなわち、該細胞は、CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様では、前記CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+、CD200+細胞はさらに、CD80-及びCD86-でもある。
ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、フローサイトメトリーによって検出可能な場合に、CD34-、CD10+、CD105+、及びCD200+、並びにCD38-、CD45-、CD80-、CD86-、CD133-、HLA-DR、DP、DQ-、SSEA3-、SSEA4-、CD29+、CD44+、CD73+、CD90+、CD105+、HLA-A、B、C+、PDL1+、ABC-p+、及び/又はOCT-4+のうちの1以上である。他の実施態様では、先に記載したCD34-、CD10+、CD105+細胞のいずれかはさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4+のうちの1以上でもある。別の具体的実施態様では、該細胞はさらに、CD44+でもある。先述の単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれかの別の具体的実施態様では、該細胞はさらに、CD117-、CD133-、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、若しくはProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上、又はこれらの任意の組み合わせでもある。
別の実施態様では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、若しくはProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上、又はこれらの任意の組み合わせでもある。別の実施態様では、CD34-、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、及びProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+でもある。
別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にABC-p+、又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって決定される場合にOCT-4+(POU5F1)でもある。ここでは、ABC-pは、胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)、及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても公知である)であり、OCT-4は、オクタマー-4タンパク質(POU5F1)である。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、フローサイトメトリーによって決定される場合にSSEA3-又はSSEA4-でもある。ここでは、SSEA3は、ステージ特異的胎児抗原3であり、SSEA4は、ステージ特異的胎児抗原4である。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、SSEA3-及びSSEA4-でもある。
別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤細胞のいずれかは、さらにMHC-I+(例えばHLA-A、B、C+)、MHC-II-(例えばHLA-DP、DQ、DR-)、若しくはHLA-G-のうちの1以上でもある。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、MHC-I+(例えば、HLA-A、B、C+)、MHC-IV(例えば、HLA-DP、DQ、DR-)、及びHLA-G-のうちの1以上でもある。
本明細書で提供されるのはまた、本明細書に開示する方法及び組成物において有用である、単離された胎盤幹細胞の集団、又は細胞の集団(例えば、例えば濃縮された、単離された胎盤幹細胞を含む、胎盤細胞の集団)である。好ましい細胞集団は、単離された胎盤幹細胞を含み、ここでは、該細胞集団は、例えば、CD10+、CD105+、及びCD34-である単離された胎盤幹細胞を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%含む;すなわち、前記集団における少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%の細胞が、CD10+、CD105+、及びCD34-である単離された胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD90+又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出可能な場合にCD90+及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、先に記載した単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞のいずれかはさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4+のうちの1以上でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞又は単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、CD44+でもある。先述の単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞を含む細胞集団のいずれかの具体的実施態様では、該単離された胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54-、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、若しくはProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上、又はこれらの任意の組み合わせでもある。別の具体的実施態様では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、及びProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+でもある。
ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物に有用な単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、及びABC-p+のうちの1以上又はすべてであり、ここでは、前記単離された胎盤幹細胞は、胎盤組織の物理的及び/又は酵素的破壊によって得られる。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びABC-p+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、ここでは、前記単離された胎盤幹細胞は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかである。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SH2+、及びSH3+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかである。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかであり、かつ、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SSEA3-、又はSSEA4-のうちの少なくとも1つである。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SSEA3-、及びSSEA4-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかである。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、CD34-、CD45-、SSEA3-、又はSSEA4-である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、OCT-4+、CD34-、又はCD45-である。
別の実施態様では、本明細書に開示する方法及び組成物において有用な単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4+であり;ここでは、前記単離された胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+、SSEA3-、又はSSEA4-のうちの1以上でもある。
ある種の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+又はHLA-G-である。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+である。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G-である。
ある種の他の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、HLA-G-、又はABC-p+のうちの1以上である。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、HLA-G-、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びABC-p+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-である。具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-胎盤細胞はさらに、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4+でもある。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、かつSH3+又はSH4+のいずれかである。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-であり、かつ、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、又はOCT-4+のいずれかである。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+である。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。
別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は、前記細胞を含む胎盤細胞の集団における胚様体の形成を、該集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物に有用な単離された胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+であり、かつ、前記CD73+、CD105+胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団における1以上の胚様体の形成を、前記集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、HLA-A、B、C+、CD45-、CD133-、及びCD34-である。別の実施態様では、ECM含有マイクロキャリアを使用して培養可能な細胞集団は、単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単離されたHLA-A、B、C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤細胞、又は単離された胎盤細胞の集団は、HLA-A、B、C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞の前記集団は、母親由来の成分を実質的に含まない;例えば、単離された胎盤細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-である。別の実施態様では、ECM含有マイクロキャリアを使用して培養可能な細胞集団は、単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、前記単離された胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤細胞は、母親起源ではない、すなわち、胎児の遺伝子型を有する。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD33-、CD44+、CD45-、及びCD117-である。別の実施態様では、ECM含有マイクロキャリアを使用して培養可能な細胞集団は、例えば濃縮された、単離された胎盤細胞を含む、細胞の集団であり、ここでは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単離されたCD10+、CD33-、CD44+、CD45-、及びCD117-胎盤細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-である。別の実施態様では、ECM含有マイクロキャリアを使用して培養可能な細胞集団は、例えば濃縮された、単離されたCD10+、CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞を含む、細胞の集団であり、ここでは、前記集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%が、CD10+CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、HLA A、B、C+、CD45-、CD34-、及びCD133-であり、さらにCD10+、CD13+、CD38+、CD44+、CD90+、CD105+、CD200+及び/又はHLA-G-である、及び/又はCD117について陰性である。別の実施態様では、ECM含有マイクロキャリアを使用して培養可能な細胞集団は、単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記集団における細胞の少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は約99%は、HLA A、B、C-、CD45-、CD34-、CD133-であり、かつ、さらにCD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200について陽性、及び/又はCD117及び/又はHLA-Gについて陰性である、単離された胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、抗体結合によって判定可能な場合にはCD200+及びCD10+であり、かつ、抗体結合又はRT-PCRのいずれかによって判定可能な場合にはCD117-である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29-、CD54+、CD200+、HLA-G-、MHCクラスI+、及びβ-2-ミクログロブリン+である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくとも1つの細胞性マーカーの発現が、間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞)よりも少なくとも2倍高い胎盤細胞である。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、β-ミクログロブリンlow、MHC-Ilow、MHC-II-、HLA-Glow、及び/又はPDL1lowのうちの1以上である、単離された胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+及びCD54+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD44+及びCD106+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+である。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、及びABC-p+(ここでは、ABC-pは、胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても公知である)である)のうちの1以上又はすべてである、単離された胎盤幹細胞であり、ここでは、前記単離された胎盤幹細胞は、例えば、臍帯血が抜かれ、かつ残留した血液を取り除くために灌流されている、哺乳類の、例えばヒトの胎盤の灌流によって得られる。
先述の特性のいずれかの別の具体的実施態様では、細胞性マーカー(例えば、分化又は免疫原性マーカーのクラスター)の発現は、フローサイトメトリーによって判定可能である;別の具体的実施態様では、該マーカーの発現は、RT-PCRによって判定可能である。
遺伝子プロファイリングによって、単離された胎盤幹細胞、及び単離された胎盤幹細胞の集団が、他の細胞、例えば間葉系幹細胞、例えば骨髄由来の間葉系幹細胞と識別可能であることが確認される。本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞は、単離された胎盤幹細胞におけるその遺伝子の発現が、骨髄由来の間葉系幹細胞と比較して有意に高い、1以上の遺伝子の発現に基づいて、例えば間葉系幹細胞と識別することができる。特に、本明細書で提供する治療の方法において有用な単離された胎盤幹細胞は、単離された胎盤幹細胞におけるその遺伝子の発現が、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞よりも有意に高い(すなわち、少なくとも2倍高い)、1以上の遺伝子の発現に基づいて、間葉系幹細胞と識別することができる。ここでは、この1以上の遺伝子は、細胞を等しい条件下で成長させた場合、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、ICAM1、IER3、IGFBP7、ILIA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、ZC3H12A、又は前述のもののいずれかの組み合わせである。例えば、その開示の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0275362号を参照のこと。ある種の具体的実施態様では、前記1以上の遺伝子の前記発現は、例えば、RT-PCR、又は例えばU133-Aマイクロアレイ(Affymetrix社)を使用するマイクロアレイ分析によって判定可能である。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、DMEM-LG(例えばGibco社より);2%ウシ胎児血清(例えばHyclone Labs.社より);1×インスリン-トランスフェリン-セレン(ITS);1×リノール酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA);10-9Mデキサメタゾン(例えばSigma社より);10-4Mアスコルビン酸2-リン酸エステル(例えばSigma社より);上皮成長因子10ng/mL(例えばR&D Systems社より);及び血小板由来の成長因子(PDGF-BB)10ng/mL(例えばR&D Systems社より)を含む培地中で、何回かの集団倍加、例えば、約3から約35回の集団倍加で培養された場合に、前記1以上の遺伝子を発現する。別の具体的実施態様では、単離された胎盤細胞に特異的な遺伝子は、CD200である。
これらの遺伝子に関する具体的な配列は、GenBankで、受託番号NM_001615(ACTG2)、BC065545(ADARB1)、(NM_181847(AMIGO2)、AY358590(ARTS-1)、BC074884(B4GALT6)、BC008396(BCHE)、BC020196(C11orf9)、BC031103(CD200)、NM_001845(COL4A1)、NM_001846(COL4A2)、BC052289(CPA4)、BC094758(DMD)、AF293359(DSC3)、NM_001943(DSG2)、AF338241(ELOVL2)、AY336105(F2RL1)、NM_018215(FLJ10781)、AY416799(GATA6)、BC075798(GPR126)、NM_016235(GPRC5B)、AF340038(ICAM1)、BC000844(IER3)、BC066339(IGFBP7)、BC013142(IL1A)、BT019749(IL6)、BC007461(IL18)、(BC072017)KRT18、BC075839(KRT8)、BC060825(LIPG)、BC065240(LRAP)、BC010444(MATN2)、BC011908(MEST)、BC068455(NFE2L3)、NM_014840(NUAK1)、AB006755(PCDH7)、NM_014476(PDLIM3)、BC126199(PKP-2)、BC090862(RTN1)、BC002538(SERPINB9)、BC023312(ST3GAL6)、BC001201(ST6GALNAC5)、BC126160又はBC065328(SLC12A8)、BC025697(TCF21)、BC096235(TGFB2)、BC005046(VTN)、及びBC005001(ZC3H12A)(2008年3月付け)で見ることができる。
ある種の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、細胞を等しい条件下で成長させた場合、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞よりも検出可能に高いレベルで、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、ICAM1、IER3、IGFBP7、ILIA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、及びZC3H12Aのそれぞれを発現する。
具体的実施態様では、胎盤細胞は、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞(BM-MSC)よりも検出可能に高いレベルで、CD200及びARTS1(1型腫瘍壊死因子のアミノペプチダーゼ調節因子);ARTS-1及びLRAP(白血球由来のアルギニンアミノペプチダーゼ);IL6(インターロイキン-6)及びTGFB2(トランスフォーミング成長因子、β2);IL6及びKRT18(ケラチン18);IER3(前初期応答(immediate early response)3)、MEST(中胚葉特異的転写物相同体)及びTGFB2;CD200及びIER3;CD200及びIL6;CD200及びKRT18;CD200及びLRAP;CD200及びMEST;CD200及びNFE2L3(核内因子(赤血球由来2)-様3);又はCD200及びTGFB2を発現する。ここでは、前記骨髄由来の間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤幹細胞が受けた継代数と等しい回数の継代培養を受けている。他の具体的実施態様では、胎盤細胞は、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞BM-MSCよりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、CD200、IL6及びLRAP;ARTS-1、IL6、TGFB2、IER3、KRT18及びMEST;CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;ARTS-1、CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;又はIER3、MEST及びTGFB2を発現する。ここでは、前記骨髄由来の間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤幹細胞が受けた継代数と等しい回数の継代培養を受けている。
上に言及した遺伝子の発現は、標準の技術によって評価することができる。例えば、遺伝子(1つ又は複数)の配列に基づくプローブを、個々に選択し、従来技術によって構築することができる。この遺伝子の発現を、例えば、1以上の遺伝子に対するプローブを含むマイクロアレイ、例えば、Affymetrix GENECHIP(商標)ヒトゲノムU133A 2.0アレイ又はAffymetrix GENECHIP(商標)ヒトゲノムU133 Plus 2.0(Santa Clara,Calif.)上で評価することができる。これらの遺伝子の発現は、特定のGenBank受託番号の配列が修正された場合でも評価することができる。何故なら、修正された配列に特異的なプローブを、周知の標準の技術を使用して容易に作製することができるからである。
これらの遺伝子の発現のレベルを使用して、単離された胎盤幹細胞の集団の同一性を確認する、又は、細胞の集団が少なくとも複数の単離された胎盤幹細胞を含むことを確認する、又は同様のことを行うことができる。その同一性が確認された、単離された胎盤幹細胞の集団は、クローン性のもの、例えば、単一の単離された胎盤細胞から拡大された単離された胎盤幹細胞の集団、又は幹細胞の混合集団(例えば、もっぱら複数の単離された胎盤幹細胞から拡大された単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団、又は本明細書に記載した通りの単離された胎盤幹細胞と、少なくとも1つの他の型の細胞とを含む細胞の集団)であり得る。
胎盤幹細胞は、灌流によって得ることができる。例えば、臍帯血が抜かれ、かつ残留した血液を取り除くために灌流されている哺乳類胎盤を灌流すること;前記胎盤を灌流溶液で灌流すること;前記灌流溶液を収集すること(ここでは、灌流後の前記灌流溶液は、胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を含む);及び前記細胞集団から複数の前記胎盤幹細胞を単離することを含む方法に従って生成することができる。具体的実施態様では、灌流溶液を、臍帯静脈と臍帯動脈の両方に通過させ、胎盤から浸出した後に収集する。この方法によって生成された胎盤幹細胞の集団は、一般的に、胎児細胞と母親細胞との混合物を含む。別の具体的実施態様では、灌流溶液を、臍帯静脈に通過させて、臍帯動脈から収集する、又は臍帯動脈に通過させて、臍帯静脈から収集する。この方法によって生成された胎盤幹細胞の集団は、一般的に、実質的にもっぱら胎児起源のみである;すなわち、この集団における胎盤幹細胞の例えば90%、95%、99%、又は99.5%超が、胎児起源である。
種々の実施態様では、胎盤の灌流から得られる細胞の集団に含有される胎盤幹細胞は、胎盤幹細胞の前記集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は少なくとも99.5%である。別の具体的実施態様では、灌流によって収集される胎盤幹細胞は、胎児細胞及び母親細胞を含む。別の具体的実施態様では、灌流によって収集される胎盤幹細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は少なくとも99.5%、胎児細胞である。
胎盤幹細胞は、器官又はその一部の物理的破壊、例えば酵素的消化によって、哺乳類胎盤から単離することもできる。例えば、胎盤又はその一部を、例えば、圧搾する、剪断する、細かく切り刻む、さいの目状に切る、みじん切りにする、又は液体に浸して柔らかくするなどを行うことができ、続いて、その組織を1種以上の酵素で消化することができる。胎盤又はその一部はまた、物理的に破壊及び1種以上の酵素で消化し、次いで、得られた材料を、例えば、培地又は緩衝液に浸す又は混ぜることができる。例えばトリパンブルー排除によって決定される、生存可能な前記器官中の細胞の、複数、より好ましくは過半数、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%が、その破壊の方法によって残存するという条件で、物理的破壊の任意の方法を使用することができる。
胎盤を切開して構成成分とし、その後、物理的破壊及び/又は酵素的消化、及び幹細胞回収を行うことができる。例えば、胎盤幹細胞は、羊膜、絨毛膜、臍帯、胎盤葉、又はこれらの任意の組み合わせから得ることができる。一般的に、胎盤幹細胞は、胎盤組織の小さなブロック(例えば、体積が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は約1000立方ミリメートルである胎盤組織のブロック)の破壊によって得ることができる。
胎盤幹細胞において有用な、胎盤組織の灌流又は物理的/酵素的破壊による好ましい幹細胞収集組成物は、1以上の組織破壊酵素、例えば、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、ヒアルロニダーゼ、LIBERASE(Boehringer Mannheim社、Indianapolis,Ind.)、パパイン、デオキシリボヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ、例えばトリプシン、キモトリプシン、又はエラスターゼなどを含む。組織消化酵素の任意の組み合わせを使用することができる。組織消化酵素の典型的な濃度としては、例えば、コラゲナーゼI及びコラゲナーゼIVの50〜200U/mL、ディスパーゼの1〜10U/mL、及びエラスターゼの10〜100U/mLが挙げられる。胎盤幹細胞を遊離させるために、プロテアーゼを、組み合わせて、すなわち2以上のプロテアーゼを同一の消化反応で使用することもできるし、連続的に使用することもできる。例えば、一実施態様では、胎盤又はその一部を、最初に2mg/mlの適量のコラゲナーゼIで30分間消化し、続いて、0.25%トリプシンで37℃で10分間消化する。セリンプロテアーゼを、他の酵素の使用後に続けて使用することが好ましい。
別の実施態様では、幹細胞収集組成物を用いた幹細胞の単離の前に、幹細胞を含む幹細胞収集組成物に、又はその中で組織を破壊及び/又は消化する溶液に、キレート剤、例えば、エチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N'N'-四酢酸(EGTA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加することによって、組織をさらに破壊することができる。
胎盤全体又は胎盤の一部分が、胎児細胞と母親細胞の両方を含む場合(例えば、胎盤の一部分が、絨毛膜又は胎盤葉を含む場合)、収集される胎盤幹細胞は、胎児起源と母親起源の両方に由来する胎盤幹細胞の混合物を含むこととなる。胎盤の一部分が、母親細胞(例えば羊膜)を全く含まない又は無視できる数しか含まない場合、収集される胎盤幹細胞は、ほとんど胎児性胎盤幹細胞だけを含むこととなる。
胎盤幹細胞を単離及び特徴付けする具体的な方法は、例えば、その開示の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,045,148号;第7,468,276号;第8,057,788号、及び第8,202,703号に記載されている。
(6.実施例)
(6.1.実施例1 胎盤からのECMの単離)
(6.1.1.ECMの単離)
この実施例は、胎盤からのコラーゲンの単離を例示する。
本明細書に記載する方法に従って、凍結された胎盤を得る。1〜4時間、水を含むNalgeneトレイ内でラップで包んでおくことによって、胎盤を解凍する。次いで、胎盤をプラスチックラップから取り出し、さらなる解凍のために水に入れる。解凍した胎盤を、ミートグラインダーのステンレス鋼トレイ上に置く。各胎盤から臍帯断片を切断し、各胎盤を約23℃で、およそ4片にスライスする。これらの片を、ミートグラインダーで約23℃ですりつぶす。
浸透圧衝撃:得られたすりつぶされた胎盤組織を、0.5M NaCl(5リットル/胎盤)を含むNalgeneタンクに添加し、電動ミキサーを使用して75〜100rpmで(4〜6℃で24時間)混合する。24時間後、ミキサーを止め、約23℃で、ミキサーの底に組織を沈殿させる。#36 TYGON(商標)管を備える蠕動ポンプを使用して、組織及び流体をくみ出し、約23℃で#40ふるいを通して濾過し、単離した組織を、混合タンクに戻す。この混合物に、新鮮な0.5M NaCl(5L/胎盤)を添加し、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、75〜100rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して、組織を単離する。水(5-L/胎盤)で組織を洗浄し、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、75〜100rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して、組織を単離する。組織を再び、さらに0.5M NaCl、次いで先述の通りの水で洗浄する。
凍結乾燥:得られた組織を、凍結乾燥器の容器中で200〜400gの量で取り出し、-70℃で1〜2時間凍結させる。凍結した試料を、凍結乾燥器中で24〜48時間、凍結乾燥し、その後、取り出す。凍結乾燥した試料を、ブレンダー中で混合して滑らかな粉末とし、次いで、清潔な混合タンクに移す。
洗浄剤処理:ブレンドした凍結乾燥した試料を含む混合タンクに、1%デオキシコール酸溶液(1L/胎盤)を添加する。試料及び1%デオキシコール酸溶液を、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、75〜100rpm)。24時間後、ミキサーを停止し、先に記載した通りに#40ふるいを用いて組織を単離する。洗浄剤処理を、4〜6℃で24時間繰り返す(電動ミキサー、75〜100rpm)。24時間後、ミキサーを停止し、先に記載した通りに#40ふるいを用いて組織を単離する。
水洗浄:組織を水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、75〜100rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して組織を単離する。組織を再び水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、100〜150rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して組織を単離する。組織を再び水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、150rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して組織を単離する。任意に、組織を水(5L/胎盤)で4回目の洗浄を行い、4〜6℃で24時間混合する(電動ミキサー、150rpm)。24時間後、先に記載した方法を使用して組織を単離する。
凍結乾燥:得られた組織を、200gの量で、ブレンダーに添加する。試料に200mLの脱イオン水を添加し、ブレンダーを用いてこの試料を混合して滑らかなペーストとする。ブレンドした試料をプールし、水(1L/胎盤)ですすぐ。凍結乾燥器の容器に200〜400gの量の組織を添加する。試料を取り出して-70℃で凍結する。取り出した組織を24〜48時間凍結乾燥する。
無菌塩基処理:凍結乾燥した組織をプールする。オートクレーブにかけた滅菌フラスコに、水酸化ナトリウム溶液(0.5M、1L)を添加する。プールした凍結乾燥試料に、低エンドトキシン水(1L)を添加する。試料と水酸化ナトリウム溶液とを、約23℃で4時間、250rpmの振盪機で混合する。
滅菌水洗浄:滅菌#70フィルターを通した濾過によって試料を回収し、1Lのエンドトキシンフリー水ですすぐ。エンドトキシンフリー水(1L)を添加し、試料を、約23℃で18〜24時間、250rpmの振盪機で混合する。この洗浄ステップを、もう2回繰り返す。3回洗浄した後のpHが、9を超えるならば、試料をエンドトキシンフリー水で再び洗浄し、約18-24時間、約250RPMの振盪機で混合する。pHが9未満である又は9と等しいならば、試料は、調合の準備ができている。
先述のプロトコルの収率は、10g/胎盤又はそれ以上であり得る。
得られた試料を、保管のために凍結乾燥することができる。使用のために、この試料を、例えばシリンジ内のペーストとしての使用のために、ブレンダー中の300〜1000mg/mLのリン酸緩衝生理食塩水に懸濁することができる。この試料を、500〜1000mg/mLのリン酸緩衝生理食塩水中で成型し、例えばシート、管、プラグなどとしての使用のために成形することもできる。
(6.1.2テロペプチドコラーゲン含有ECM試料の調製)
7.5gのテロペプチドコラーゲン含有ECMを、実施例1の浸透圧衝撃、凍結乾燥、洗浄剤処理、水洗浄、凍結乾燥、塩基処理、水洗浄、及び凍結乾燥ステップによって調製した。11.8gのテロペプチドコラーゲン含有ECMを、実施例1の浸透圧衝撃、凍結乾燥、洗浄剤処理、水洗浄、塩基処理、水洗浄、及び凍結乾燥ステップによって調製した。12.0gのテロペプチドコラーゲン含有ECMを、実施例1の浸透圧衝撃、凍結乾燥、洗浄剤処理、水洗浄、塩基処理、水洗浄、及び凍結乾燥ステップによって調製した。11.8gのテロペプチドコラーゲン含有ECMを、実施例1の浸透圧衝撃、洗浄剤処理、水洗浄、塩基処理、水洗浄、及び凍結乾燥ステップによって調製した。
(6.1.3.ECMの分析)
生化学的分析:
実施例1及び2に従って、コラーゲン試料を調製する。標準の技術による生化学的分析では、ECMが、乾燥重量で、コラーゲン80.40%、水1.00%、並びにフィブロネクチン、ラミニン、及びグリコソアミノグリカン(glycosoaminoglycan)0.01%未満であることが示された。エラスチン含有量は決定されなかった。実施例1及び2に従って調製された試料のアミノ酸分析では、グリシン34-35%、ヒドロキシプロリン約11%、及びプロリン10〜11%が示された。実施例1及び2に従って調製されたECM試料の免疫解析では、I型コラーゲン74〜92%、III型コラーゲン4〜6%、及びIV型コラーゲン2〜15%が示された。
(6.1.4.ECMを製造する代替方法、及びECM上での幹細胞の培養)
この実施例は、本発明のコラーゲン組成物を製造する代替方法を示し、また、それらの方法によって製造される材料の組成の分析を提供する。
材料及び方法
細胞外マトリクス(ECM)の単離:ECMを以下の通りに単離した。簡単に言うと、凍結されたヒト胎盤を、0.5M塩化ナトリウム中で解凍し、ミートグラインダー中ですりつぶし、23℃のインキュベータ振盪機内の0.5M塩化ナトリウム及び水、それに続いて1% SDS又は0.5%デオキシコール酸などの洗浄剤の中で、繰り返し洗浄した。血液を含まない胎盤組織を、3時間から24時間までの様々な時間、0.1〜0.5N水酸化ナトリウムで処理して、胎盤葉組織を可溶化し、続いてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、pHを中和した。このようにして生成された材料は、安定なペーストであり、これを4℃で保管した。
生化学的分析:単離されたECMの生化学的組成を決定するために、1グラムの試料を凍結乾燥し、乾燥重量を決定した。ECMを、70℃の100mM HClに溶解することによって、又は、23℃での18時間のECM(10mM HCl中)のペプシン処理(1mg/gm)によって、可溶化した。100mM HClに溶解した組織を使用して、フィブロネクチン、ラミニン、GAG、及びエラスチンの含有量を決定した。ペプシンで可溶化された組織を使用して、コラーゲン含有量を決定した。
フィブロネクチン及びラミニン濃度は、サンドイッチELISAを使用して決定した。エラスチン及びグリコサミノグリカン(GAG)含有量は、色素に基づく分析を使用して決定した。コラーゲンI含有量の決定については、サンドイッチELISA(Chondrex社)を使用して実施した。コラーゲンIII及びIV含有量は、II型及びIV型コラーゲンのための一次抗体、及び、HRP標識二次抗体を使用する自社のELISAを使用して決定した。
ECM構築物の調製:ECM材料のシートを調製するために、水和したECMペーストの層を、2枚の医療グレードのTYVEK(商標)シートの間に挟んだ。この構築物を、ゲルドライヤーに搭載し、ECM膜が乾燥するまで、23℃で一晩、真空を適用した。シートを、細胞培養研究に適した大きさに切断した。3D構造のECMを調製するために、ECMペーストを様々な型に充填し、凍結乾燥した。培地又は水中のECMシート及び3Dの型の安定性を研究するために、構築物を、水、生理食塩水、又は細胞培養培地中で、最大1週間、37℃でインキュベートした。
細胞培養:胎盤幹細胞を、60%低グルコースダルベッコ基礎培地(DMEM) (Invitrogen社、Carlsbad,Calif.)、40% MCDB-201(Sigma社、St.Louis、Mo.)、2%ウシ胎児血清(Hyclone社、Logan,Utah)、1×インスリン-トランスフェリン-セレン補足因子(Invitrogen社)、0.02%リノール酸/ウシ血清アルブミン(Sigma社)、10ng/mL上皮成長因子 (Sigma社)、10ng/mL血小板由来成長因子(R&D Systems社、Minneapolis,Minn.)、0.05Mデキサメタゾン(Sigma社)、0.1mMアスコルビン酸2-リン酸(Sigma社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシン(Invitrogen社)中で継代培養した。胎盤幹細胞(30,000/ウェル)を、24マルチウェルクラスタープレートに配置してあるECM膜上に播種した。胎盤幹細胞はまた、コラーゲン(Inamed社、Fremont,Calif.)で予備コーティングしたLabtekチャンバースライド(Nalgene Nunc International社、Rochester,N.Y.)上に、等しい密度で播種した。細胞を、3及び48時間、37℃でインキュベートし、免疫蛍光顕微鏡観察のために処理した。
免疫蛍光顕微鏡観察:ECM膜と共に3又は48時間インキュベートした後、胎盤幹細胞-ECM構築物を、3.7%ホルムアルデヒドで10分間固定し、0.5% Triton-X 100で20分間透過処理した。胎盤幹細胞を、AlexaFluor 488標識ファロイジンと共にインキュベートして、F-アクチンを可視化した。フィブロネクチン染色については、試料を、ブロッキング緩衝液(3%ウシ血清アルブミン/1×リン酸緩衝生理食塩水中でウサギ抗ヒトフィブロネクチン抗体(Sigma社)と共に1時間インキュベートし、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、ブロッキング緩衝液中でAlexaFluor 594標識抗ウサギ抗体と共に30分間、さらにインキュベートした。試料を、リン酸緩衝生理食塩水で再び洗浄し、スライド上に乗せ、蛍光顕微鏡で観察した。
サイトカイン分泌分析:培養の0、3、24、及び48時点で、培地試料(100μL)を、胎盤幹細胞を含有する細胞培養ECMシートから、また、胎盤幹細胞を含有する組織培養処理プレートから取り出した。試料を、1mL PBSに希釈し、サイトカインの存在について分析した。既知の濃度のサイトカインの標準のプロットから、各サイトカインの濃度を算出した。
結果:
ECMの単離:典型的な胎盤の乾燥重量は約30gであり、これは、胎盤あたり約300gの湿重量に相当する。図1に示す通り、浸透圧衝撃ステップと洗浄剤洗浄ステップを使用して、かなりの量の非細胞外マトリクス組織を除去することができ、最終の残留重量は、約10gとなる。NaOHを使用する可溶化と洗浄剤との組み合わせの使用によって、残留重量が約6gまで、さらに低下することとなる。NaOHに曝露する時間及びNaOHの濃度が、胎盤から単離されるECMの全質量に影響を与えることが判明した。洗浄剤及びNaOH洗浄ステップの変形形態を使用して、最終のECM材料の5つの変形形態(ECM-1からECM-5と称する)を作製した。一般的に、一つの胎盤から、約6gから約10gのECM材料が得られた。
ECMの生化学的組成:ECMの5つの変形形態の生化学的分析では、これらが、主としてコラーゲン;量の多いコラーゲン(全コラーゲンの約74%から約90%)であるI型、並びに、量の少ない成分であるIII型(全コラーゲンの約4%から約6%)及びIV型(全コラーゲンの約2%から約15%)からなることが示された。胎盤ECM中に見られる他の量の多い細胞外マトリクスタンパク質は、エラスチンであった。表1に示す通り、エラスチンは、ECM-1からECM-4の総乾燥重量の約3〜5%に相当していた。しかし、NaOHを使用せずに作製されたECM-5は、エラスチンを約12%含有していた。グリコサミノグリカンは、5つすべての方法によって製造されたECM材料中で確認されるが、乾燥重量(%)は、単離方法におけるNaOHの使用によって影響を受けないように思われる。逆に、重要な接着タンパク質フィブロネクチン及びラミニンの存在は、NaOHの使用に非常に影響されやすかった。フィブロネクチンとラミニンは、NaOH処理に耐えられず、ECM1から4の中に見いだすことはできなかった。しかし、NaOHを使用せずに単離されたECM-5の組成は、接着タンパク質が、より豊富である(表1)。
TABLE-US-00002 表1 異なる方法によって製造された胎盤コラーゲン組成物中に存在する細胞外マトリクス成分
Figure 2016526387
細胞結合研究:播種の3時間後、ECM1から5のすべてに関して、胎盤幹細胞の類似のレベルの接着が観察された。ECMに対する幹細胞結合のレベルは、精製されたコラーゲン上で観察されるレベルよりもわずかに低かった。この時点でのフィブロネクチンに対する免疫染色は、検出不可能な細胞外フィブロネクチンを有する豊富な細胞内染色を示した。胎盤幹細胞は、培養から48時間までに、精製されたコラーゲン、ECM-2及びECM-4上で、数が増加し、かつ類似の十分に広がった形態をとることが観察された。対照的に、ECM-1上で培養された胎盤幹細胞は、よく育たなかった。観察された細胞が、より少なかっただけでなく、その形態も丸みを帯びていて十分に広がってはいなかった。ECM-5上の胎盤幹細胞は、他のECM上又はコラーゲン上の胎盤幹細胞よりも、細長く偏りがあるようであった。
ECM-3に対する細胞接着の決定は、乾燥時の材料の表面の不均質性が原因で、いくらか損なわれる。一つの焦点面に沿って想像することは難しいので、最初は、接着した細胞は非常に少ないように見えた;しかし、異なる焦点面での観察によって、ECM-3上のいくらかの細胞接着が明らかになった。
48時間の時点でのフィブロネクチンに対する免疫染色では、ECM-1からECM-4上での細胞外フィブロネクチンマトリクス細線維の広範な網目が明らかになった。これらのフィブロネクチンマトリクス細線維は、胎盤幹細胞によって構築され、胎盤細胞がECM上で培養されていない対照は、フィブロネクチン細線維の証拠を示さなかった。ECM-1からECM-4とは対照的に、ECM-5及び精製されたコラーゲンは、胎盤幹細胞によるフィブロネクチンマトリクス構築を補助しなかった;これらの表面上には、細胞外細線維性フィブロネクチンは検出されなかった。
サイトカインアレイ研究:本発明者らは、ECM上での結合及び増殖の結果としての、胎盤幹細胞からの重要なサイトカイン/ケモカインの分泌を調べた。ECM上でのサイトカイン分泌を、組織培養処理された細胞培養プレート上でインキュベートした胎盤幹細胞からの分泌と比較した。いくつかのインターロイキン及びサイトカイン(Biosource社)を含む、標準の25-マルチプレックスサイトカインアレイを使用した。サイトカインとしては、IL-1β、IL-IRa、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12p40/p70、IL-13、IL-15、IL-17、TNF-α、IFN-α、IFN-γ、GM-CSF、MIP-1α、MIP-1β、IP-10、MIG、エオタキシン(Eotaxin)、ランテス(Rantes)、及びMCP-1が含まれていた。胎盤幹細胞を、ECMシート上で培養した場合、研究される25種のサイトカインのうち、3種のサイトカイン、IL-6、IL-8、及びMCP-1の、組織培養処理されたプレート上で培養された胎盤幹細胞による分泌を超える及び上回る、分泌の増大が観察された。図2A〜2Cは、5つのECM構築物に関する胎盤幹細胞によるサイトカイン分泌(IL-6、IL-8、及びMCP-1)の時間依存性の増大を示す。すべてのデータを、結合細胞1000個/cm2について正規化した。ECM-5は、MCP-1分泌の明らかな増大が存在しなかったという点で特異であり、これは、この細胞外マトリクス上で培養した場合の胎盤幹細胞の細胞生理機能の変化を示唆している。先に示した通り、ECM-5は、ECM-1から-4とは全く異なり、フィブロネクチンの発現を補助しなかった。興味深いことには、ECM-5は、NaOHを使用せずに作製された唯一のマトリクスであり、2種の重要な細胞接着タンパク質フィブロネクチン及びラミニンを維持する生化学的組成を有していた。
(6.2.実施例2:二重乾燥ECMの作製)
この実施例は、胎盤からの二重乾燥ECMの作製を例示する。
(6.2.1.最初の調製及び洗浄)
胎盤を、正常な正期産から入手し、すべてのドナースクリーニング検査の完了まで隔離(quarantined)凍結した。処理のために解放(release)される時、胎盤を、室温(22℃)で約24時間、解凍した。胎盤を容器から取り出し、無菌トレイ上に置き、続いて、羊膜、絨毛膜の裾(chorionic skirt)、及び臍帯の除去を行った。胎盤を清浄して過剰な血液及び血餅を除去し、次いで、約2×2cm断片に切断した。切断した胎盤材料を、1M滅菌塩化ナトリウム(容器あたり1.5Lの総体積)を含む容器に移した。次いで、懸濁させた断片を、Omni Mixerホモジナイザーを使用して、約120秒間、均質化した。
均質化した組織を、処理バッグに移し、このバッグに追加の1M塩化ナトリウム滅菌溶液を添加して、一つの胎盤(一回分)あたり9.2Lの総体積とした。組織を、以下の通りに、1M NaCl滅菌溶液で3回洗浄した:懸濁した組織を含むバッグを振盪機で3〜5分撹拌し、組織を沈殿させる。重力排水を介して6.2Lの上清を除去することによって、血液及び破砕片を組織から分離した。洗浄した組織を、室温(22℃)で一晩(18〜26時間)、オービタルシェーカーで、処理バッグ内の1M NaCl中で混合した。一晩の期間の最後に、組織を、先に記載した方式で、6.2Lの滅菌水で4回洗浄した。洗浄した組織を、室温(22℃)で一晩(18〜26時間)、オービタルシェーカーで、処理バッグ内の水中で混合した。
第2の一晩の期間の最後に、組織を、先に記載した方式で、6.2Lの滅菌水で1回洗浄した。次いで、バッグに6.2Lの滅菌3%デオキシコール酸ナトリウム溶液を添加して、2%の最終濃度のデオキシコール酸ナトリウムを作製した。組織を、室温(22℃)で約72時間、オービタルシェーカーで、処理バッグ内のデオキシコール酸ナトリウム溶液中で混合した。72時間のデオキシコール酸ナトリウム処理の最後に、組織を、先に記載した方式で、6.2Lの滅菌水で5回洗浄した。滅菌水の最後の充填の後、バッグ内のpHをNaOHで約pH12に調整し、このpHで、組織を、室温(22℃)で約30分間、オービタルシェーカーで、水中で混合した。高pHへの曝露の最後に、バッグ内のpHをpH 5.0からpH 7.5に調整した。バッグから上清(6.2L)を取り出し、得られた細胞外マトリクス(ECM)懸濁液(約3.0L)を、複数の無菌の遠心分離ボトルに収集した。次いで、ECMを、遠心分離によってペレット化し、続いて、上清のデカンテーションを行った。このECMを、同じボトル内で、滅菌水で1回洗浄し、遠心分離し、上清を再びデカンテーションし、洗浄されたECMペーストを残した。
(6.2.2乾燥ステップ)
セクション6.1.1で得られたECMペーストを、滅菌緩衝液に再懸濁し、次いで、型に移した。ECM懸濁液を含む型を、速度制御フリーザーに搭載し、ECMを-80℃で凍結させた。次いで、凍結したECMを、-80℃で、最大60日間保管した。
凍結したECMを含む型を、凍結乾燥器に搭載し、ここで、これを、確立されたパラメータを使用して最大72時間凍結乾燥させて、脱水ECM(DHCM)を生成した。
凍結乾燥されたDHCM生成物(この例では3.5×3.5インチ片)を、型から外し、梱包し、標識した。梱包し、凍結乾燥されたDHCMを、滅菌されていない形態で、室温で最大60日間、任意に保管した(梱包された滅菌されたDHCMは、最大5年もつと予測される)。
続いて、非滅菌の又は滅菌したDHCM 3.5"×3.5"薄片を、袋から取り出し、加熱した真空乾燥器プラットフォーム上の無菌のTyvekシート上に置いた。DHCMを、緩衝液で完全に再水和し、無菌Tyvekの保護層で被覆し、40℃から80℃の温度で4〜72時間真空加熱乾燥した。
乾燥サイクルの完了時に、DHCM 3.5"×3.5"シートを乾燥器から取り出し、梱包し、ラベルを付けた。
DHCM 3.5"×3.5"シートを、放射線によって任意に滅菌した。
本明細書に引用したすべての刊行物及び特許出願を、参照によって本明細書に組み込む。先述の発明を、理解を明確にする目的のための実例及び実施例として、多少詳しく記載してきたが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱せずに、これにある種の変更及び改変を施すことができることは、当業者には容易に明らかであろう。

Claims (38)

  1. 細胞を培養する方法であって、前記細胞を、前記細胞が増殖可能である条件下で、複数のマイクロキャリアと接触させることを含み、ここで、前記マイクロキャリアが細胞外マトリクス(ECM)を含み、かつ前記細胞が前記ECMに対して接着性である、前記方法。
  2. 前記マイクロキャリアが、本質的にECMからなる、請求項1記載の方法。
  3. 前記マイクロキャリアが、ECMからなる、請求項1記載の方法。
  4. 前記マイクロキャリアが、前記ECMに加えて、第2の組成物を含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記第2の組成物が、ガラス、デキストラン、DEAE-デキストラン、ポリスチレン、アクリルアミド、又はコラーゲンのうちの1以上である、請求項4記載の方法。
  6. 前記ECMが、前記マイクロキャリアの外側を形成し、前記第2の組成物が、前記マイクロキャリアの内側を形成する、請求項4又は請求項5記載の方法。
  7. 前記ECMが、前記マイクロキャリアの表面全体を実質的に被覆する、請求項4から6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記マイクロキャリアが、実質的に球体の形状である、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径10から1000マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  10. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径50から200マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  11. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径100から250マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  12. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径150から300マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  13. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径200から350マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  14. 前記マイクロキャリアが、平均して、直径250から400マイクロメートルである、請求項8記載の方法。
  15. 前記培養が、バイオリアクター中で実施される、請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記バイオリアクターが、回分反応器、流加反応器、又は連続攪拌槽型反応器である、請求項15記載の方法。
  17. 前記細胞が、昆虫細胞である、請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記細胞が、哺乳類細胞である、請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
  19. 前記細胞が、成熟細胞である、請求項18記載の方法。
  20. 前記細胞が、線維芽細胞である、請求項19記載の方法。
  21. 前記細胞が、幹細胞又は前駆細胞である、請求項18記載の方法。
  22. 前記幹細胞又は前駆細胞が、間葉系幹細胞又は間葉様幹細胞である、請求項21記載の方法。
  23. 前記間葉系幹細胞又は間葉様幹細胞が、骨髄、抹消血、臍帯血、胎盤血、胎盤組織、臍帯組織、ワルトン膠質、羊水、羊膜、絨毛膜、子宮内膜、脂肪組織、歯髄、又は真皮由来である、請求項22記載の方法。
  24. 前記ECMが、塩基処理された、洗浄剤処理されたECMである、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  25. 前記ECMが、塩基とは接触させていない、洗浄剤処理されたECMである、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  26. 前記ECMが、コラーゲンを含み、かつ乾燥重量で3%から5%のエラスチン、及び乾燥重量で0.01%未満のラミニン又は0.01%未満のフィブロネクチンを含む、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  27. 前記ECMが、コラーゲンを含み、かつ乾燥重量で3%から5%のエラスチン、及び乾燥重量で0.01%未満のラミニン、及び0.01%未満のフィブロネクチンを含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記ECMが、乾燥重量で少なくとも80%のコラーゲン、及び乾燥重量で少なくとも10%のエラスチンを含む、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  29. 前記ECMが、部分的に、(a)胎盤組織を液体に浸して柔らかくするステップと;(b)該組織を浸透圧衝撃液に懸濁させるステップと;(c)該組織を洗浄剤を含む溶液に懸濁させるステップと;(d)該組織を塩基性溶液に懸濁させるステップと;(e)前記組織を水ですすぐステップと;(f)前記組織を乾燥させて前記ECMを形成するステップとを順に含む方法によって調製される、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  30. 前記ECMが、部分的に、(a)胎盤組織を液体に浸して柔らかくするステップと;(b)該組織を浸透圧衝撃液に懸濁させるステップと;(c)該組織を洗浄剤を含む溶液に懸濁させるステップと;(e)前記組織を水ですすぐステップと;(f)前記組織を乾燥させて前記ECMを形成するステップとを順に含む方法によって調製される、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
  31. 前記乾燥が、(a)前記ECMを凍結乾燥させるステップと;(b)該ECMを再水和させるステップと;(c)該ECMを40℃から70℃の温度で乾燥させて前記ECM組成物を生成するステップとを順に含み、ここで前記方法が、化学薬品又はプロテアーゼでのECMの改変を含まない、請求項29又は請求項30の方法。
  32. 前記ECM乾燥が、50℃から70℃で実施される、請求項32の方法。
  33. 前記洗浄剤が、デオキシコール酸である、請求項24から31のいずれか1項記載の方法。
  34. 前記塩基が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムである、請求項24から31のいずれか1項記載の方法。
  35. 前記塩基が、0.5M未満の濃度で使用される、請求項24から31のいずれか1項記載の方法。
  36. 前記ECMが、非ヒトECMである、請求項1から35のいずれか1項記載の方法。
  37. 前記ECMが、ヒトECMである、請求項1から35のいずれか1項記載の方法。
  38. 前記ECMが、ヒト胎盤由来である、請求項37記載の方法。
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