JP2013505704A - 細胞培養のための高表面積基体 - Google Patents

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Abstract

細胞培養マイクロキャリアは、(i)カルボン酸基の残りを有するポリスチレンマイクロキャリア基材、および(ii)カルボン酸基の残りにより基材に結合したポリペプチドを含む。ポリペプチドは、RGDなどの細胞接着配列を含んでもよい。そのようなマイクロキャリアにより培養された細胞は、マイクロキャリアに対するペプチド特異的結合を示す。

Description

関連出願の説明
本出願は、2009年7月28日に出願された米国特許仮特許出願第61/229114号の米国法典第35編第119条(e)の下での優先権を主張する、2010年2月25日に出願された米国特許仮特許出願第61/308101号の米国法典第35編第119条(e)の下での優先権を主張するものである。
本開示は、細胞培養マイクロキャリアに関し、より詳しくは、合成既知組成マイクロキャリアに関する。
配列表
本出願は、2010年7月28日に作成された、1kbのサイズを有する「SP10-044_SEQ_LIST_ST25.txt」という名前のテキスト・ファイルとして、米国特許商標庁にEFS−Webを通じて電子的に提出された配列表を含む。配列表の電子出願のために、電子的に提出された配列表は、米国特許法施行規則第1.821条(c)により要求されるハードコピーおよび第1.821条(e)により要求されるコンピュータ読み取り可能な形態(CRF)の両方として働く。この配列表に含まれる情報がここに引用される。
マイクロキャリアは、大規模細胞培養のための代替案を提供する。マイクロキャリアは、一般に、細胞培養用培地内で撹拌され、細胞増殖のための非常に大きい表面積対容積比を提供する。マイクロキャリアは、従来の器具と比べて、培養容積当たりでかなり高い細胞収率を提供できる。
あるマイクロキャリアは、その表面に特定のポリペプチド配列を与えるように調製されており、そのポリペプチドは、細胞の接着受容体との特異的な相互作用を提供するように構成されている。そのようなマイクロキャリアの例としては、デキストランビーズまたはポリスチレンビーズに連結されたゼラチンまたはコラーゲンが挙げられる。そのようなマイクロキャリアは、様々な利点を有するかもしれないが、動物由来物質から製造されており、例えば、病原タンパク質またはウイルスによる異種汚染の虞のために、細胞療法に供される細胞を培養するのには適していない。
この課題を解決するために、組換えタンパク質またはポリペプチドが合成され、マイクロキャリア上に被覆されてきた。そのようなマイクロキャリアには、動物由来成分を含まないという利点があるが、いくつか欠点があるであろう。例えば、これらのビーズのいくつかとの細胞接着レベルは、特に無血清培地が使用された場合、ある足場依存性細胞の健全な培養にとって十分には高くないであろう。接着タンパク質はマイクロキャリアの表面に結合し、それゆえ、細胞の結合を促進できるが、無血清培地を使用する場合、この培地は接着タンパク質を提供しない。胚性幹細胞を含む特定の幹細胞などの、小さな細胞外基質を産生する細胞を使用する場合、血清のないことは特に問題である。
中でも、本開示は、足場依存性細胞の強く選択的な結合を与えるであろう合成既知組成マイクロキャリアを記載する。このマイクロキャリアは、ポリスチレンマイクロキャリア基材の表面に結合したカルボン酸基へのポリペプチドの結合(conjugation)から形成してもよい。このポリペプチドは、生物特異的(bio-specific)細胞接着を媒介するためのRGDアミノ酸配列を含んでもよい。ここに記載するように、そのようなマイクロキャリアにより、非特異的結合がわずかしかまたは全くなく、ポリペプチドを介しての細胞の選択的接着が可能になる。したがって、ここに記載されたマイクロキャリアは、制御された様式で足場依存性細胞を培養するために使用してもよい。またここに記載するように、そのようなマイクロキャリアにより、ヒト胚性幹細胞(hESC)を含む、多能性幹細胞の特異的付着および細胞増殖が可能になる。
様々な実施の形態において、マイクロキャリア基材に結合したカルボン酸にポリペプチドをグラフト化させた後、残りの非ペプチド結合カルボン酸基、またはその一部分が、エタノールアミンなどの低分子量アミンであるモノアミンによる誘導により遮断される。そのような遮断により、高親水性カルボン酸基が、親水性の低いアミド基に転化され、これにより、特定の細胞のマイクロキャリアへの結合の能力と性質が影響を受けるであろう。したがって、マイクロキャリアの親水性特徴は、遮断されたCOOH基の割合と遮断に使用されたモノアミンの性質のために、細胞の挙動に影響を与えるように、要望どおりに、容易に調整することができる。
ここに記載されたマイクロキャリアまたは方法の1つ以上の実施の形態は、従来のマイクロキャリア、マイクロキャリアの調製方法、またはマイクロキャリアで細胞を培養する方法よりも優れた、1つ以上の利点を提供する。例えば、ここに記載されたマイクロキャリアは動物由来物質を含まず、このため、病原体汚染の虞が限られる。このことは、培養された細胞が細胞療法に供される場合、特に該当する。マイクロキャリアは、モノリスであってよく、被覆されていなくてよく、それゆえ、剥離する傾向にない。マイクロキャリア基材への非特異的結合が低レベルであるため、マイクロキャリアにグラフト化されたポリペプチドへの受容体結合による生物選択的細胞付着が生じ得る。そのような高生物選択的付着は、初代細胞、肝細胞、および胚性幹細胞を含む幹細胞などの他の細胞を培養するために有用であろう。マイクロキャリアの表面の親水性を容易に調整できることに加え、ポリペプチド密度は、マイクロキャリア基材のカルボン酸基の誘導によって、調整することができる。これらと他の利点は、添付の図面と共に読んだときに、以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
様々な長さのリンカーおよびビトロネクチン(VN)ペプチド濃度を有するポリスチレンマイクロキャリアに結合したHT1080細胞の画像 発光示度に基づくHT1080細胞接着の数量化の棒グラフ 結合ビトロネクチン(VN)を有するまたはスクランブルVNペプチド(VN−SCB)に結合していないポリスチレンマイクロキャリアに接着した未分化神経幹細胞(ReNcell)の画像 様々な長さのリンカーおよびビトロネクチン(VN)ペプチド濃度を有するポリスチレンマイクロキャリアに結合した神経幹細胞(ReNcell)の画像 発光示度に基づくReNcell細胞接着の数量化の棒グラフ 細胞播種2日後のビトロネクチンペプチドグラフト化PS−COOHマイクロキャリア上でのBG01V/hOG細胞増殖の顕微鏡画像 比較例としてのMatrigel比較ビーズ(Matrigel(商標)CM)およびCytodex(商標)3上でのペプチドグラフト化PS−COOHマイクロキャリア上で行った培養の2日後と5日後のBG01V/hOG細胞の数量化を示すグラフ
以下の詳細な説明において、その一部を形成し、装置、システムおよび方法のいくつかの特定の実施の形態が例として示されている、添付の図面を参照する。他の実施の形態が考えられ、本開示の範囲または精神から逸脱せずに他の実施の形態が実施されるであろうことが理解されよう。したがって、以下の詳細な説明は、制限の意味で解釈すべきではない。
ここに用いた全ての科学用語および技術用語は、他に別記しない限り、当該技術分野で一般に使用されている意味を有する。ここに与えられる定義は、ここに頻繁に使用されている特定の用語の理解を容易にするためであり、本開示の範囲を制限することを意味するものではない。
本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられるように、文脈がそうではないと明白に示していない限り、単数形は、複数の対象を有する実施の形態を包含する。本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられるように、文脈がそうではないと明白に示していない限り、「または」という用語は、「および/または」を含む意味で一般に使用されている。
ここに用いたように、「有する(have)」、「有している(having)」「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、限定を設定しない意味で使用されており、一般に、「含んでいるが、それに制限されない」ことを意味する。「から実質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含んでいる(comprising)」などに包含されると理解されよう。
ここに用いたように、物体または化合物を「提供する」は、その物体または化合物を使用する、製造するまたは他の様式で得ることを意味する。
ポリペプチド配列は、ここでは、一文字のアミノ酸コードおよび三文字のアミノ酸コードにより、参照されている。これらのコードは、交換可能に使用してよい。
ここに用いたように、「ペプチド」および「ポリペプチド」は、化学合成されても、または組換え誘導されてもよいが、動物源から全タンパク質として単離されていない、アミノ酸配列を意味する。本開示の目的について、ペプチドおよびポリペプチドは全タンパク質ではない。ペプチドおよびポリペプチドは、タンパク質の断片であるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、ペプチドおよびポリペプチドは、RGDなどの細胞接着配列として知られている配列を含んでもよい。ポリペプチドは、3および30のアミノ酸の間の長さなどの、どのような適切な長さのものであってよい。ポリペプチドは、例えば、エクソペプチダーゼによって、それらが分解されるのを保護するために、アセチル化(例えば、Ac−LysGlyGly)またはアミド化(例えば、SerLysSer−NH2)されてもよい。これらの修飾は、配列が開示されている場合に考えられることが理解されよう。
ここに用いたように、「マイクロキャリア」は、細胞を培養するのに使用される小さな個別粒子であって、細胞がそれに付着するであろう粒子を意味する。マイクロキャリアは、棒状、球体などのどのような適切な形状であってもよく、多孔質または非多孔質であってもよい。
ここに用いた「マイクロキャリア基材」は、ポリペプチドを結合させられるマイクロキャリアを意味する。例えば、マイクロキャリアは、ポリスチレン・マイクロビーズなどの高分子ビーズであってよい。
ここに用いたように、「ポリスチレン」は、スチレンモノマーから形成されたポリマーまたはコポリマーを意味する。
本開示は、特に、細胞を培養するための合成マイクロキャリアを記載する。マイクロキャリアは、ポリペプチドをポリスチレンマイクロキャリア基材のカルボン酸官能基に結合させることによって形成してもよい。このカルボン酸官能基の少なくとも一部分は、低分子量モノアミンによる誘導によって遮断されていてもよい。その結果形成されたマイクロキャリアは、培養において、細胞とのポリペプチド選択的結合を提供する。
1. マイクロキャリア
ここに記載するマイクロキャリアは、マイクロキャリア基材およびこの基材に結合したポリペプチドを含む。マイクロキャリア基材は、ポリペプチドを直接的または間接的いずれかでグラフト化できる部分を含むように修飾されたポリスチレンを含んでよい。
一般に、マイクロキャリアが、それらが中に懸濁される細胞培養用培地よりもわずかに大きい密度を有し、よって周囲の培地からマイクロキャリアが容易に分離されることが好ましい。様々な実施の形態において、マイクロキャリアは、立方センチメートル当たり約1.01から1.10グラムの密度を有する。そのような密度を有するマイクロキャリアは、穏やかな撹拌によって、細胞培養用培地内に懸濁状態で容易に維持されるはずである。
その上、マイクロキャリアのサイズのばらつきは、マイクロキャリアの全てではなくともほとんどが、穏やかな撹拌により懸濁できることを確実にするように小さいことが好ましい。一例として、マイクロキャリアの幾何学径分布は、約1と1.4の間にあるであろう。マイクロキャリアは、どのような適切なサイズのものであってもよい。例えば、マイクロキャリアは、約20マイクロメートルと1000マイクロメートルの間の直径を有してよい。そのような直径を有する球状マイクロキャリアは、マイクロキャリア当たり数百から数千の細胞の付着を支持できる。
A. マイクロキャリア基材
この基材を形成するために、どのような適切なポリスチレンを使用してもよい。ポリスチレンマイクロキャリアは、いかなる適切な方法により形成しても、またはSigma-Aldrich、Polysciences, Inc.、およびThermo Fischer Scientificを含む多数の供給メーカーのいずれから購入してもよい。
ビーズまたは粒子が、ポリペプチドをグラフト化できるペンダントカルボン酸官能基または他の官能基を含まなければ、ビーズまたは粒子を、そのような基を含むように誘導体化してもよい。粒子を誘導体化して、そのような官能基を有するマイクロキャリア基材を形成するために、どのような適切な方法を使用してもよい。例えば、多糖の主鎖にカルボキシル官能基を導入するためのいくつかの方法としては、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、ブロモヘキサン酸、無水コハク酸、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物などとの反応が挙げられる。
カルボン酸官能基を有するマイクロキャリア基材の例としては、Polysciences, Inc.からのPolybead(登録商標)カルボキシル化微小球が挙げられる。
様々な実施の形態において、ペプチドグラフト化の前のカルボン酸基の含有量は、グラム当たり0.1ミリモルとグラム当たり2ミリモルの間、グラム当たり0.1ミリモルとグラム当たり1ミリモルの間、グラム当たり0.1ミリモルとグラム当たり0.9ミリモルの間、グラム当たり0.1ミリモルと0.8ミリモルの間、またはグラム当たり0.1ミリモルとグラム当たり0.5ミリモルの間などの、マイクロキャリア1グラム当たり約0.1ミリモルとマイクロキャリア1グラム当たり約5ミリモルの間である。
リンカーが、マイクロキャリア基材の表面からカルボン酸基を引き離してもよい。このリンカーは、どのような適切な長さのものであってもよい。様々な実施の形態において、リンカーは、1と1.5の間の長さを有してよい。リンカーは、C1とC15の間のアルキルリンカーであってよい。もちろん、1つ以上の炭素が、O、Nなどと置換されていてもよい。使用してよいリンカーのいくつかの例には(COOHが付着したのが示されている):〜CH2−COOH、〜CH2−CH2−COOH、〜CH2−CH2−NH−CO−CH2−CH2−COOH、および〜CH2−CH2−O−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CH2−COOHがある。
B. ポリペプチドの高分子マイクロキャリア基材への結合
どのような適切なポリペプチドをマイクロキャリア基材に結合させてもよい。ポリペプチドが、例えば、基材の自由なカルボキシル基を介して、マイクロキャリア基材に結合できるアミノ酸を含むことが好ましい。一例として、例えば、アミド結合の形成により、求核付加反応を可能にする官能性を有する天然またはバイオミメティックのアミノ酸を、カルボン酸基を介してマイクロキャリア基材に結合する目的のためにポリペプチドに含ませてもよい。リシン、ホモリシン、オルニチン、ジアミノプロピオン酸、およびジアミノブタン酸が、マイクロキャリアのカルボキシル基に結合するための適切な性質を有するアミノ酸の例である。それに加え、N末端アミンがキャッピングされていない場合、ポリペプチドのN末端のアルファアミンを、カルボキシル基に結合するために使用してもよい。様々な実施の形態において、マイクロキャリアと結合するポリペプチドのアミノ酸は、ポリペプチドのカルボキシ末端位置またはアミノ末端位置にある。
数多くの実施の形態において、ポリペプチドまたはその一部分は、細胞接着活性を有する;すなわち、ポリペプチドがマイクロキャリア基材に結合される場合、ポリペプチドにより、細胞が、ペプチド含有マイクロキャリアの表面に接着することができる。一例として、ポリペプチドは、インテグリンの部類のタンパク質により認識される、または細胞接着を維持することのできる細胞分子との相互作用をもたらす、アミノ酸配列、またはその細胞接着部分を含んでもよい。例えば、ポリペプチドは、コラーゲン、ケラチン、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、BSPなど、またはその部分由来のアミノ酸配列を含んでよい。様々な実施の形態において、ポリペプチドは、ArgGlyAsp(RGD)のアミノ酸配列を含む。
ここに記載されたマイクロキャリア基材は、どのような適切な接着性ポリペプチドまたはポリペプチドの組合せも結合され得る合成表面を提供し、未知の成分を有する生物学的基質または血清の代替案を提供する。現行の細胞培養慣例において、ある細胞タイプには、細胞が表面に接着し持続可能に培養されるために、培養表面上に生物学的ポリペプチドまたはペプチドの組合せが存在する必要があることが知られている。例えば、HepG2/C3A肝細胞は、血清の存在下でプラスチック製培養器具に付着できる。しかしながら、生物学的に誘導された基質および血清は、未知の成分を含有している。細胞付着を生じる血清または生物学的に誘導された基質の特定の成分または成分(ペプチド)の組合せが公知である細胞について、それらの公知のポリペプチドは、合成でき、ここに記載したようなマイクロキャリアに施して、未知の起源または組成の成分を全くまたはごくわずかしか持たない合成表面上で細胞を培養することができる。
ここに論じられたポリペプチドのいずれについても、具体的に特定されたまたは公知のアミノ酸の代わりに、保存アミノ酸を使用してもよいことが理解されよう。ここに用いたように、「保存アミノ酸」は、第2のアミノ酸と機能的に類似のアミノ酸を称する。そのようなアミノ酸は、よく知られた技法に従ってポリペプチドの構造または機能への障害を最少にして、ポリペプチド内で互いに置き換えられてもよい。以下の5つの群の各々は、互いに同類置換基であるアミノ酸を含有する:脂肪族:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、イソロイシン(I);芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(T)、トリプトファン(W);硫黄含有:メチオニン(M)、システイン(C);塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)。
反復ポリ(エチレングリコール)リンカーまたは任意の他の適切なリンカーなどのリンカーまたはスペーサを使用して、ポリペプチドからマイクロキャリアの表面までの距離を増加させてもよい。リンカーは、どのような適切な長さのものであってもよい。例えば、リンカーが反復ポリ(エチレングリコール)リンカーである場合、そのリンカーは、2および10の間の反復エチレングリコール単位を含有してもよい。ある実施の形態において、リンカーは、約4の反復エチレングリコール単位を有する反復ポリ(エチレングリコール)リンカーである。ポリペプチドの全て、いくつかが、リンカーを介してマイクロキャリア基材に結合されていても、まったくされていなくてもよい。利用してよい他の潜在的なリンカーとしては、ポリ(グリシン)またはポリ(β−アラニン)などのポリペプチドリンカーが挙げられる。
ポリペプチドは、どの密度でマイクロキャリアに結合してもよく、未分化幹細胞または他の細胞タイプの培養を支持するのに適した密度が好ましい。ポリペプチドは、マイクロキャリアの表面mm2当たり約1ピコモルと約50ピコモルの間の密度でマイクロキャリア基材に結合されていてもよい。例えば、ポリペプチドは、マイクロキャリアの表面の5ピコモル/mm2超、6ピコモル/mm2超、7ピコモル/mm2超、8ピコモル/mm2超、9ピコモル/mm2超、10ピコモル/mm2超、12ピコモル/mm2超、15ピコモル/mm2超、または20ピコモル/mm2超の密度で存在してよい。存在するポリペプチドの量は、マイクロキャリア基材の組成(例えば、ペンダントカルボン酸基の密度)、マイクロキャリア基材のサイズおよびポリペプチド自体の性質に応じて様々であり得ることが理解されよう。
ポリペプチドは、どのような適切な技法によって高分子マイクロキャリアに結合されてもよい。ポリペプチドは、アミノ末端アミノ酸、カルボキシ末端アミノ酸、または内部アミノ酸により、高分子マイクロキャリアに結合されてもよい。ある適切な技法としては、一般に当該技術分野に知られている、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)化学反応が挙げられる。EDCおよびNHSまたはN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)は、マイクロキャリア基材のカルボキシル基と反応して、アミン反応性NHSエステルを生成できる。EDCは、マイクロキャリア基材のカルボキシル基と反応して、加水分解を受けやすいアミン反応性O−アシルイソ尿素中間体を生成する。NHSまたはスルホ−NHSの添加により、アミン反応性O−アシルイソ尿素中間体をアミン反応性NHSまたはスルホ−NHSエステルに転化することによって、その中間体が安定化され、二段階手法が可能になる。次いで、マイクロキャリア基材の活性化後、ポリペプチドを加えてよく、ポリペプチドの末端アミンが、アミン反応性エステルと反応して、安定なアミド結合を形成し、よって、ポリペプチドをマイクロキャリア基材に結合させることができる。EDC/NHS化学反応を用いて、ポリペプチドをマイクロキャリアに結合させる場合、N−末端アミノ酸は、リシン、オルニチン、ジアミノ酪酸、またはジアミノプロピオン酸などのアミノ酸を含有するアミンであることが好ましい。もちろん、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルなどの、どのような許容される求核試薬を使用してもよい。
EDC/NHS化学反応により、ポリペプチドのマイクロキャリアに対するゼロの長さの架橋が生じる。末端アミンを有するポリ(エチレングリコール)リンカー(例えば、Quanta BioDesign, Ltd.から入手できる)などのリンカーまたはスペーサを、ポリペプチドのN末端アミノ酸に加えてもよい。リンカーをN末端アミノ酸に加える場合、そのリンカーは、PGが、Fmoc基、BOC基、CBZ基またはペプチド合成に敏感に反応する任意の他の基などの保護基であり、Xが、利用してよい,4,6,8,12,24または任意の他の別個の利用可能なPEGである、N−PG−アミド−PEGx−酸であることが好ましい。ある実施の形態において、アミノ酸は、マイクロキャリアの表面から離れたポリペプチドの細胞結合領域を突き出すためのリンカーとして働くであろう。
様々な実施の形態において、溶液、懸濁液などの、1μM〜2500μMのポリペプチド流体組成物を、活性化されたマイクロキャリアと接触させて、ポリペプチドを結合させる。例えば、ポリペプチド濃度は、約100μMと約2000μMの間、約500μMと約1500μMの間、または約1000μMであってよい。ポリペプチド組成物の体積と濃度は、マイクロキャリアに結合されるポリペプチドの所望の濃度を達成させるために変えてもよい。
ポリペプチドは、環化されていても、環状部分を含んでいてもよい。環状ポリペプチドを形成するどのような適切な方法を使用してもよい。例えば、アミド結合は、適切なアミノ酸側鎖にある自由なアミノ官能基と、適切なアミノ酸側鎖の自由なカルボキシル基とを環化させることによって形成してもよい。また、ペプチド配列における適切なアミノ酸側鎖の自由なスルフヒドリル基の間に、ジスルフィド結合が形成されてもよい。どのような適切な技法を使用して、環状ポリペプチド(またはその部分)を形成してもよい。一例として、例えば、国際公開第1989/005150号パンフレットに記載された方法を使用して、環状ポリペプチドを形成してもよい。ポリペプチドが、カルボキシ末端とアミノ末端との間にアミド結合を有する、頭−尾環状ポリペプチドを使用してもよい。ジスルフィド結合に代わる代替案は、例えば、Koide et al, 1993, Chem. Pharm. Bull. 41(3):502-6; Koide et al.,1993, Chem. Pharm. Bull. 41(9):1596-1600; またはBesse and Moroder, 1997, Journal of Peptide Science, vol. 3, 442-453に記載されているような、2つのセレノシステインを使用したジセレニド結合または混合セレニド/スルフィド結合であろう。
ポリペプチドは、当該技術分野で公知のように合成しても(あるいは分子生物学技法により生成しても)、またはAmerican Peptide Company、CEM Corporation、またはGenScript Corporationなどの、供給メーカーから得てもよい。リンカーは、当該技術分野で公知のように合成しても、またはQuanta BioDesign, Ltd.から入手できる個別(discrete)ポリエチレングリコール(dPEG)などの、供給メーカーから得たものであってもよい。
C. 誘導によるカルボキシル基の遮断
ポリペプチドをマイクロキャリア基材にグラフト化させた後、この基材の残りの未結合のカルボン酸官能基を遮断してもよい。例えば、このカルボン酸基は、モノアミンによる誘導体化によって遮断してもよい。そのような遮断により、高親水性のカルボン酸基が、親水性の弱いアミド基に転化され、これにより、マイクロキャリアの親水性が減少する。その結果、遮断により、マイクロキャリアに対する細胞応答が代わるであろう。
ペプチドをマイクロキャリア基材にグラフト化させるのにEDC/NHS化学反応を使用する場合、マイクロキャリア基材の過剰な活性化エステル(ペンダントCOOH部分から生じる)を、モノアミン遮断により容易に失活させて、その結果としてアミドを生成することができる。もちろん、誘導体化による遮断は、どのような適切な様式で行ってもよい。
カルボン酸基を遮断するのに、どのような適切な低分子量モノアミンを使用してもよい。使用してよい適切なモノアミンの例としては、アンモニア、ヒドロキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、メトキシエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ヒドロキシ−プロピルアミン、ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミンなどが挙げられる。
過剰なモノアミンとの反応によるカルボン酸基の遮断により、カルボン酸基の数が約2分の1から約4分の1に減少する。遮断中の加水分解のために、一般に、遮断は完全には行われない。したがって、マイクロキャリアの表面(ポリペプチドを計上せずに)は、わずかに負のままである傾向にある(生理的な、細胞培養pHで)。しかしながら、要望通りに、遮断の効率を増加または減少させるために、遮断条件を調節してもよい。
遮断後、マイクロキャリアの表面(おそらく、結合したポリペプチドの部分を除いて)は、細胞培養pHで正の電荷がないであろうし、中性または負に荷電されているであろう。理論により拘束することを意図するものではないが、負の電荷、または少なくとも正の電荷のないことにより、無血清の状態の表面から細胞がはじかれるであろうと考えられる。このために、結合したポリペプチドと細胞受容体との間の生物特異的相互作用により、細胞とマイクロキャリアとの間の相互作用が促進されるように、培養されている細胞のマイクロキャリア基材の表面への非特異的結合が減少するか、最少になるであろう。非特異的結合の減少により、相互作用を制御することができ、これにより、細胞分化またはその欠如などの、結果の再現性を良好にできる。
2. 細胞培養物品
ここに記載されたマイクロキャリアは、どのような適切な細胞培養システムに使用してもよい。一般に、マイクロキャリアおよび細胞培養用培地は適切な細胞培養物品内に入れられ、この培地内でマイクロキャリアは撹拌または混合される。適切な細胞培養物品としては、WAVE BIOREACTOR(登録商標)(Invitrogen)などのバイオリアクタ、6,12,96,384,および1536ウェルプレートなどのシングルおよびマルチウェルプレート、瓶、ペトリ皿、フラスコ、多層式フラスコ、ビーカー、プレート、ローラーボトル、試験管、バッグ、膜、カップ、スピナーボトル、潅流チャンバ、バイオリアクタ、CellSTACK(登録商標)培養チャンバ(Corning Incorporated)および発酵槽が挙げられる。
3. 結合したポリペプチドを含有するマイクロキャリアを有する培地中における細胞の培養
上述したように結合したポリペプチドを含有する培地を収容する細胞培養物品に細胞を播種してよい。細胞はどのような細胞タイプのものであってもよい。例えば、細胞は、結合組織細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、骨格筋または平滑筋細胞、心筋細胞、腸細胞、腎細胞、または他の臓器からの細胞、幹細胞、島細胞、血管細胞、リンパ球、癌細胞、初代細胞、細胞株などであってよい。細胞は、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であってよいが、細菌、酵母、または植物細胞などの非哺乳類細胞であってもよい。
数多くの実施の形態において、幹細胞は、当該技術分野において一般に理解されているように、連続的に分裂する(自己再生する)能力を有し、様々な範囲の特殊化した細胞に分化することのできる細胞を称する。ある実施の形態において、幹細胞は、被験者の臓器または組織から単離されるであろう、多能性(multipotent)、全能性、または多能性(pluripotent)の幹細胞である。そのような細胞は、完全に分化したまたは成熟細胞タイプを産生することできる。幹細胞は、骨髄由来幹細胞、自己または他の、神経幹細胞、または胚性幹細胞であってよい。幹細胞はネスチン陽性であってよい。幹細胞は造血幹細胞であってよい。幹細胞は、上皮および脂肪組織、臍の緒血液、肝臓、脳または他の臓器由来の多系統細胞であってもよい。様々な実施の形態において、幹細胞は、哺乳類から単離された多能性胚性幹細胞などの多能性幹細胞である。適切な哺乳類としては、マウスまたはラットなどの齧歯類、ヒトを含む霊長類および非ヒト霊長類が挙げられる。様々な実施の形態において、結合したポリペプチドを有するマイクロキャリアは、5継代以上、7継代以上、または10継代以上に亘り、胚性幹細胞の未分化培養を支持する。一般に、幹細胞は、約75%の培養密度(confluency)に到達した後に、新しい表面に継代培養される。細胞が75%の培養密度に到達する時間は、培地、播種密度および当該技術分野に公知の他の要因に依存する。
ヒト胚性幹細胞(hESC)は、未分化状態で培養中に連続的に増殖する能力を有するので、ここに記載されたマイクロキャリアに使用するためのhESCは、株化細胞から得てもよい。株化されたヒト胚性幹細胞株の例としては、以下に限られないが、BG01V/hOG(Invitrogen)、H1、H7、H9、H13またはH14(ウィスコンシン大学により株化されたWiCellから得られる)(Thompson (1998) Science 282:1145 );hESBGN−01、hESBGN−02、hESBGN−03(ジョージア州、アセンズ所在のBresaGen,Inc.);HES−1、HES−2、HES−3、HES−4、HES−5、HES−6(シンガポール国のES Cell International, Inc.から);HSF−1、HSF−6(カリフォルニア大学サンフランシスコ校から);I3、I3.2、I3.3、I4、I6、I6.2、J3、J3.2(イスラエル国、ハイファ所在のイスラエル工科大学で誘導された);UCSF−1およびUCSF−2(Genbacev et al., Fertil. Steril. 83(5):1517-29, 2005);HUES1−17株(Cowan et al., NEJM 350(13):1353-56, 2004);およびACT−14株(Klimanskaya et al., Lancet, 365(9471):1636-41, 2005)が挙げられる。胚性幹細胞は、初代胚組織から直接得てもよい。一般に、このことは、そうでなければ廃棄されるであろう、胚盤胞段階での凍結したインビトロ受精卵を使用して行われる。
多能性幹細胞の他の供給源としては、人工霊長類多能性幹(iPS)細胞が挙げられる。iPS細胞は、hESCなどの多能性幹細胞の表現型を獲得するように再プログラム化されるように、例えば、1つ以上の適切なベクターのトランスフェクションにより、遺伝子組み換えされた、ヒトなどの若いまたは成体の哺乳類から得られる、細胞を称する。これらの再プログラム化された細胞により獲得された表現型形質としては、胚盤胞から単離された幹細胞に似た形態、並びに胚盤胞由来の胚性幹細胞に似た表面抗原発現、遺伝子発現およびテロメラーゼ活性が挙げられる。iPS細胞は、典型的に、初代胚葉:内胚葉、外胚葉および中胚葉の各々からの少なくとも1つの細胞タイプに分化する能力を有する。hESCのようなiPS細胞は、免疫不全マウス、例えば、SCIDマウスに注入されたときに、奇形種を形成する(Takahashi et al., (2007) Cell 131(5):861; Yu et al., (2007) Science318:5858)。
幹細胞を未分化状態に維持するために、表面に付着したポリペプチドに対する選択的付着を得ながら、マイクロキャリアの表面との細胞の非特異的相互作用または付着を最少にすることが望ましいであろう。結合したポリペプチドを有さないマイクロキャリアの表面に幹細胞が付着する能力を、ポリペプチドを結合させる前に試験して、そのマイクロキャリアが幹細胞の非特異的相互作用または付着をわずかしかまたは全く与えないか否かを判定することができる。一度、適切なマイクロキャリアが選択されたら、そのマイクロキャリアを含有する培地中に細胞を播種してよい。
細胞の播種前に、細胞を収穫し、一度播種したら細胞を培養すべき増殖用培地などの適切な培地内に細胞を懸濁させてもよい。例えば、細胞は、血清含有培地、条件培地、または既知組成培地中に懸濁させ、培養してもよい。ここに用いたように、「既知組成培地」は、未知の組成の成分を含有しない細胞培養用培地を意味する。既知組成細胞培養用培地は、様々な実施の形態において、未知の組成のタンパク質、加水分解物、またはペプチドを含まないであろう。ある実施の形態において、既知組成培地は、遺伝子組換え型成長ホルモンなどの、公知の組成のポリペプチドまたはタンパク質を含有する。既知組成培地の全ての成分が公知の化学構造を有するので、培養条件におけるばらつき、それゆえ、細胞応答におけるばらつきを減少させ、再現性を増大させることができる。その上、汚染の可能性が減少する。さらに、規模展開能力が、少なくとも一部には、先に論じられた要因のために、より容易になる。既知組成細胞培養用培地は、胚性幹細胞の増殖および展開から特別に構成された完全無血清および無支持細胞培地(SFM)である、STEM PROとしてInvitrogen(Invitrogen Corporation, 1600 Faraday Avenue, PO Box 6482, Carlsbad, California 92008)から、Xvivo(Lonza)から、およびヒト胚性幹細胞のためのmTeSR(商標)1維持培地としてStem Cell Technologies,Inc.から、市販されている。
ポリペプチドに結合したマイクロキャリアと共に細胞が培養される培地に、1種類以上の増殖因子または他の因子を加えてもよい。それらの要因は、細胞増殖、接着、自己再生、分化などを促進するであろう。培地に加えてもよい、または培地に含まれてもよい因子の例としては、筋肉形態形成因子(muscle morphogenic factor:MMF)、血管内皮成長因子(VEGF)、インターロイキン、神経成長因子(NGF)、エリスロポエチン、血小板由来成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、アクチビンAなどのアクチビン(ACT)、造血成長因子、レチノイン酸(RA)、インターフェロン、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの線維芽細胞増殖因子、骨形成タンパク質(BMP)、ペプチド性細胞増殖因子、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、肝細胞成長因子、腫瘍壊死因子、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、形質転換成長因子−β1(TGFβ1)などの形質転換成長因子、およびコロニー刺激因子が挙げられる。
細胞は、どのような適切な濃度で播種してもよい。一般に、細胞は、約10,000細胞/マイクロキャリアのcm2から約500,000細胞/マイクロキャリアのcm2で播種される。例えば、細胞は、約50,000細胞/基体のcm2から約150,000細胞/基体のcm2で播種してよい。しかしながら、より高いおよびより低い濃度が容易に使用されるであろう。培養時間および温度、CO2とO2のレベル、増殖用培地などの条件は、培養されている細胞の性質に依存し、容易に変更することができる。マイクロキャリアで細胞を培養する時間は、所望の細胞応答に応じて様々であろう。
培養した細胞は、(i)調査研究に使用するため、または治療法を開発するために、既知組成培地内の合成表面上で培養される未分化幹細胞を十分な量で得ること、(ii)培養されている細胞の調査研究のため、(iii)治療法を開発するため、(iv)治療目的のため、(v)例えば、cDNAライブラリを作成することにより、遺伝子発現を研究するため、(vi)薬物と毒性のスクリーニングを研究するため、および(vii)その他の同種類のことなどを含むどのような適切な目的に使用してもよい。
細胞が未分化であるか否かを判定するための1つの適切な方法は、OCT4マーカーの存在を測定することである。様々な実施の形態において、ここに記載されたマイクロキャリア上で、5,7また10継代以上に亘り培養された未分化幹細胞は、分化される能力を維持する。
態様(6)において、(i)ペンダントカルボン酸基、および(ii)カルボン酸基と1つ以上のモノアミンとの反応から形成された1つ以上のペンダントアミド:の内の一方または両方を有するポリスチレンマイクロキャリア基材、およびポリペプチドのアミンとマイクロキャリア基材のペンダントカルボン酸基との反応から形成されるアミド結合により基材に結合された1つ以上のポリペプチド;から実質的になる細胞培養のためのマイクロキャリアが提供される。態様(7)において、カルボン酸基またはカルボン酸基との反応から形成された基が、1から15の鎖長を有するリンカーを介して基材の表面から延びている、態様6によるマイクロキャリアが提供される。態様(8)において、マイクロキャリア基材が、ポリペプチドとの結合前に、マイクロキャリア基材1グラム当たり0.1ミリモルと1グラム当たり1ミリモルとの間のカルボン酸官能基密度を有する、態様6または7によるマイクロキャリアが提供される。マイクロキャリア基材が表面を有し、カルボン酸の残基が、1から15の鎖長を有するリンカーを介してその表面から延在している、態様6〜8のいずれかによるマイクロキャリアが提供される。態様(10)において、細胞付着ポリペプチドがRGDのアミノ酸配列を含む、態様6〜9のいずれかによるマイクロキャリアが提供される。態様(11)において、合成細胞付着ポリペプチドが、BSPポリペプチド、ビトロネクチンポリペプチド、およびフィブロネクチンポリペプチドからなる群より選択される、態様6〜9のいずれかによるマイクロキャリアが提供される。
さらに別の態様(12)において、細胞培養のためのマイクロキャリアを製造する方法において、ペンダントカルボン酸官能基を有するポリスチレンマイクロキャリア基材を提供する工程、およびポリペプチドをマイクロキャリア基材のカルボン酸基に結合させて、マイクロキャリアを形成する工程を有してなる方法が提供される。態様(13)において、カルボン酸官能基の少なくともいくつかをモノアミンで遮断して、アミドを形成する工程をさらに含む、態様12による方法が提供される。態様(14)において、カルボン酸基が、1から15の鎖長を有するリンカーを介してマイクロキャリア基材の表面から延びている、態様12または13による方法が提供される。態様(15)において、ポリペプチドRGDのアミノ酸配列を含む、態様12〜14のいずれかによる方法が提供される。態様(16)において、ポリペプチドが、BSPポリペプチド、ビトロネクチンポリペプチド、およびフィブロネクチンポリペプチドからなる群より選択される、態様12〜14のいずれかによる方法が提供される。
態様(17)において、細胞を培養する方法において、細胞を、マイクロキャリアを有する細胞培養用培地と接触させる工程であって、マイクロキャリアが、カルボン酸官能基の残基を有するポリスチレンマイクロキャリア基材、およびカルボン酸官能基の残基を開始で基材に結合されるポリペプチドを含むものである工程、および細胞を培地内で培養する工程を有してなる方法が提供される。態様(18)において、細胞は幹細胞であり、培地は既知組成培地である、態様17の方法が提供される。
以下に、先に論じられたマイクロキャリアおよび方法の様々な実施の形態を記載する、非限定的実施例が提示されている。
実施例1: ポリスチレンビーズへのビトロネクチン(VN)の結合
100mgのCOOH官能化ポリスチレン微小球(使用したリンカーについては下記の表1を参照)を2mLの遠心分離管に移し、0.4gのEDCおよび0.1gのNHSを20mLのDMF中に溶解させて、原液を調製した。この原液のアリコートを加え、次いで、60分間に亘りオービタル・シェーカーで混合した。この溶液を吸引し、DMFで一度濯ぎ、吸引し、次いで、以下の配列のペプチド溶液[Ac−Lys−Gly−Gly−Pro−Gln−Val−Thr−Arg−Gly−Asp−Val−Phe−Thr−Met−Pro−NH2](ホウ酸緩衝液中10mM、pH9.2、0.25%の強化ローダミンペプチド)のアリコートを加え、60分間に亘り混合した。吸引によりペプチド溶液を除去し、微小球を1.5mLの1MエタノールアミンpH8で10分間に亘り処理し、その後、PBS(1.5mL×5)、1%SDS(1×1.5mL×1.5分間)、DI水(1.5mL×5)、エタノール(1.5mL×5)で洗浄し、穏やかに窒素を流しながら、乾燥させた。表1に特定されている、ビーズに結合したビトロネクチンは、「生成物コード−VN」として特定されている。例えば、555177−VNは、ビトロネクチン結合555177生成物である。
Figure 2013505704
実施例2: HT1080細胞の細胞培養
HT1080細胞(ATCC)を、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中において、TCTフラスコ(ニューヨーク所在のCorning)上で通常のように展開させた。細胞接着アッセイについて、細胞をトリプシン処理し、37℃、5%のCO2で30分間に亘り、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中において回復させた。回復後、細胞を洗浄し、IMDM中の0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)中に再度懸濁させた。約10mgのペプチド誘導体化マイクロキャリアを2mLの遠心分離管に移し、室温で1時間に亘りD−PBS中1%のBSA、2mLで遮断した。次いで、マイクロキャリアを、2mLのD−PBSで吸引洗浄し、細胞播種前に、IMDM中0.1%のBSA、2mLで培養した。2mLの再懸濁細胞(200000細胞/ウェル)を、24ウェルのCorning超低接着表面マイクロプレートのいくつかのウェル内に入れた。各細胞播種ウェルに、約10mgのペプチド被覆マイクロキャリアを加え、この懸濁液を37℃、5%のCO2で1時間に亘り培養した。培地を除去し、マイクロキャリアをD−PBS(2×2mL)によりウェル内で吸引洗浄した。細胞付着および伸展を、Ziess Axiovert 200M倒立顕微鏡を使用して評価した。細胞付着数量化について、D−PBSを除去し、200μlのCell Titer−Golo(登録商標)試薬(Promega)を、24ウェルマイクロプレート内のマイクロキャリアに加えた。マイクロプレートを室温で10分間に亘りオービタル・シェーカーで混合して、細胞溶解を誘発させた。次いで、発光を測定した。
図1に示されるように、試験したビトロネクチン結合ビーズの全ては、HT1080細胞の短期強力接着および伸展を支持する。改変HT1080細胞接着アッセイを行って、細胞接着についてのビーズの能力を数量化した(上述したように)。図2に示されるように、ビーズ5551770−VNおよび532371−VNを除いて、全体的に全てのビーズが非常に強力なHT1080細胞接着を支持する。ビーズの表面とカルボン酸官能基との間のリンカーの存在が、細胞接着を改善するかもしれない。
実施例3: ReNcell VM細胞の細胞培養
Millipore(カリフォルニア州、テメキュラ所在)からのヒト神経前駆細胞であるReNcell VM細胞を、20ng/mLのFGF−2および20ng/mLのEGF(カリフォルニア州、テメキュラ所在のMillipore)を含有するReNcell NSC維持培地(カリフォルニア州、テメキュラ所在のMillipore)中において、ラミニン被覆T75cm2組織培養フラスコ(ニューヨーク所在のCorning)上で通常どおりに展開させた。未分化細胞の維持と増殖のために、培地は毎日変えた。培養中の細胞全ては、95%の空気/5%のCO2の加湿雰囲気内において37℃に維持した。細胞は、Accutase(商標)(カリフォルニア州、テメキュラ所在のMillipore)を使用して週に一度継代培養した。細胞接着アッセイのために、未分化細胞を「Accutase」により処理で分離させ、37℃、5%のCO2で30分間に亘りReNcell NSC維持培地中で回復させた。回復後、細胞を洗浄し、ReNcell NSC維持培地中の0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)中に再度懸濁させた。約10mgのペプチド誘導体化マイクロキャリアを2mLの遠心分離管に移し、室温で1時間に亘りD−PBS中1%のBSA、2mLで遮断した。次いで、マイクロキャリアを、2mLのD−PBSで吸引洗浄し、細胞播種前に、ReNcell NSC維持培地中0.1%のBSA、2mLで培養した。2mLの再懸濁細胞(200000細胞/ウェル)を、24ウェルのCorning超低接着表面マイクロプレートのいくつかのウェル内に入れた。各細胞播種ウェルに、約10mgのペプチド被覆マイクロキャリアを加え、この懸濁液を37℃、5%のCO2で1時間に亘り培養した。培地を除去し、微小球をD−PBS(2×2mL)によりウェル内で吸引洗浄した。細胞付着および伸展を、Ziess Axiovert 200M倒立顕微鏡を使用して評価した。細胞付着数量化について、D−PBSを除去し、200μlのCell Titer−Golo(登録商標)試薬(Promega)を加え、微小球懸濁液を室温で10分間に亘りオービタル・シェーカーで混合して、細胞溶解を誘発させた。次いで、発光を測定した。
幹細胞を培養するための典型的な表面は、受動的に吸着された動物由来細胞外基質(ECM)タンパク質または哺乳類細胞の「支持細胞(feeder)」層のいずれかを有するポリ(スチレン)からなる。特に、ECM成分のラミニンは、遺伝子組換え発現系により産生するのが難しく、それゆえ、哺乳類細胞株から普通に精製される大きな翻訳後修飾タンパク質(850kDa)である。それに加え、ヒト胚性幹細胞増殖のためなどのヒトラミニンは、供給源の著しいばらつきのために、特に問題である。最後に、ラミニンと他のECM成分の異なる細胞結合モチーフの機能は、選り抜きの細胞株において部分的に特徴付けられているだけであり、多くの幹細胞株について大半は未知である。成人の脳由来の多能性神経幹細胞(NSC)は、神経再生療法にとって潜在的に魅力的である。ラミニン、コラーゲン、およびビトロネクチンなどの天然のECM分子が、インビトロのNSC増殖速度を変調することが記載されてきた。インビトロで、NSCは、ラミニン−1で被覆された表面上の接着培養においてしばしば増殖される。インビトロで付着し増殖するためにECM成分に依存する細胞として、神経幹細胞は、ここに記載されたビトロネクチングラフト化ビーズを試験するのに有効なモデルである。
HT1080細胞について先に記載したように、VNペプチドで誘導体化されたポリスチレンビーズについて、細胞接着アッセイを行った(図3および4)。細胞付着および伸展を、Ziess Axiovert 200M倒立顕微鏡を使用して評価した。図3に示されるように、VNペプチドで誘導体化されたポリスチレンビーズは、神経幹細胞の短期の強力な接着と伸展を支持する。神経幹細胞の付着は、ペプチド上のRGDモチーフの認識に特異的であった。実際に、細胞は、「RGDスクランブル」(図3においてVN−SCBとして特定されている)VN配列のAc−KGGPQVTGRDVFTMP−NH2(図2、VN−SCB)と結合した表面には付着しておらず、結合はペプチド特異的であり、ビーズへの非特異的結合は、感知できるほどの量では生じなかったことを示唆する。細胞接着についてのビーズの性能を数量化するために、改変細胞接着アッセイを開発した(先に述べたように)。図4に示されるように、様々なビーズ(異なるレベルの表面カルボキシル基および異なるスペーサ長さを有する)の中で細胞接着において著しい差が観察された。このばらつきが、図5に示されたアッセイ結果に示されている。長いスペーサ長さと低濃度のCOOH官能基について、非常に良好な細胞接着が見られた。
実施例4: マイクロキャリア上のhES細胞接着および増殖
標準として、ポリスチレンビーズ(Sigma)を、一定に撹拌しながら4℃で一晩、GFR−Matrigelで被覆した。アッセイ前に、ビーズをデカンテーションし、溶液中のMatrigelを除去し、ビーズをmTERS1培地中に再懸濁した。
BG01V/hOG細胞(Invitrogen)を、50マイクログラム/mlのHygromycin B(STEMCELL Technologie)を含有する無血清mTERS1培地中においてMatrigel被覆TCT75フラスコ(Corning)上で維持した。培養において最初の48時間後に、毎日の培地の交換を開始した。細胞は、コラゲナーゼIV(Invitrogen)および機械的こすり取りを使用して、5から6日毎に継代培養した。アッセイのために、凝集コロニーを収穫し、新たなmTERS1培地中に再懸濁させた。細胞は、実施例1において先に記載したように調製したVN−結合マイクロキャリアまたは比較例としてGE Healthcaerから入手できるCytodex(商標)3マイクロキャリアを含有する24ウェルのCorning超低接着表面マイクロプレートに播種した。その容積は、培地で600マイクロリットルに調節した。細胞は、撹拌せずに、48時間に亘りマイクロキャリアに付着させた。播種して2日後に、細胞付着および伸展を、Ziess Axiovert 200M倒立顕微鏡を使用して評価した。定量分析を以下のように行った。培地を除去し、ビーズをD−PBS(2×3mL)でウェル内において洗浄した。D−PBSを除去し、200マイクロリットルのCellTiter−Glo試薬(Promega)と置き換えた。マイクロプレートを室温で10分間に亘りシェーカー内に置き、発光を測定した。細胞伸展アッセイのために、同じ播種プロトコルを使用し、細胞を、細胞伸展の過程に亘り静止条件に維持した。細胞付着の48時間後、細胞とビーズが沈降してから、培地を毎日交換した。5日後に、細胞の伸展および細胞の数量化を、上述したのと同じ方法を使用して評価した。
図6は、細胞播種の2日後のビトロネクチン(VN)ペプチドグラフト化PS−COOHマイクロキャリア上のBG01V/hOG細胞の増殖の顕微鏡画像を示している。図6に示されるように、VNペプチドがグラフト化されたポリスチレンビーズは、短期の強力な接着とヒト胚性幹細胞の伸展を支持する。hES細胞付着は、ペプチド上のRGDモチーフの認識に特異的であり、細胞は、「RGDスクランブル」VN配列のAc−KGGPQVTGRDVFTMP−NH2(データは図示せず)と結合した表面には付着せず、結合はペプチド特異的であり、ビーズへの非特異的結合は、感知できる量では生じなかったことを示唆している。
図7は、Matrigel被覆ビーズ(Matrigel(商標)CM)および比較例としてのCytodex(商標)3上でのペプチドグラフト化PS−COOHマイクロキャリア上に培養が行われた2日後と5日後のBG01V/hOG細胞の数量化を示すグラフである。このグラフは、BG01V/hOG細胞の接着を支持しない従来技術からのコラーゲン被覆マイクロキャリアより優れた、培養の5日後の本発明の2つのマイクロキャリア(86333−VNおよび86385−VN)により与えられる利点を明らかに示している。さらに、このグラフは、ここに記載されたVN−結合マイクロキャリア(86333−VNおよび86385−VN)が、ヒト胚性幹細胞の培養にとっての価値の基準であると考えられてきたMatrigel被覆ビーズと同様に働くことも示す。
実施例の要約
HT1080細胞、ReNcell細胞およびhES細胞(BG01V/hOG)に関する細胞接着データが、以下の表2に示されている。表2に提示されたデータから明らかないくつかの一般的な傾向は、リンカーの存在により細胞結合が改善されるようであること、およびビーズ上の低いCOOH密度がより良好な接着を支持することである。例えば、2,6または9の鎖長のリンカーを有する微小球(リンカー長さについて先の表1参照)は、表面とCOOH基との間にリンカーを持たない微小球よりも、ずっと良好にHT1080細胞の付着を支持した。その上、より低いCOOH密度(COOH密度について先の表1参照)、およびたぶんより低いポリペプチド密度を有する微小球は、ReNcellの短期接着をより良好に支持した。
このReNcellデータは、胚性幹細胞がここに記載したような微小球にどのようにうまく結合するかを予測するのに有用である。表2に記載されているように、hESおよびRdNcell細胞の挙動と付着は同様であった。
Figure 2013505704
それゆえ、細胞培養のための高表面積基体の実施の形態が開示されている。当業者には、ここに記載されたマイクロキャリアおよび方法は、開示されたもの以外の実施の形態により実施できることが認識されよう。開示された実施の形態は、制限ではなく説明の目的で提示されている。

Claims (5)

  1. カルボン酸官能基の残基を有するポリスチレンマイクロキャリア基材、および前記カルボン酸官能基の残基を介して前記基材に結合したポリペプチドを含む、細胞培養のためのマイクロキャリア。
  2. 前記マイクロキャリア基材が、前記ポリペプチドとの結合前に、該マイクロキャリア基材1グラム当たり0.1ミリモルと1ミリモルの間のカルボン酸官能基密度を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロキャリア。
  3. 前記マイクロキャリア基材が表面を有し、前記カルボン酸官能基の残基が、1から15の鎖長を有するリンカーを介して前記表面から延在していることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロキャリア。
  4. 前記ペプチドがRGDアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のマイクロキャリア。
  5. (i)ペンダントカルボン酸基、および(ii)カルボン酸基と1つ以上のモノアミンとの反応から形成された1つ以上のペンダントアミド:の一方または両方を有するポリスチレンマイクロキャリア基材;および前記ポリペプチドのアミンと前記マイクロキャリア基材のペンダントカルボン酸基との反応から形成されたアミド結合を介して前記基材に結合した1つ以上のポリペプチドから実質的になることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のマイクロキャリア。
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