JP2016526167A - アルツハイマー病に関する物質と方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アルツハイマー病に関係する方法及び組成物に関する。アルツハイマー病の診断と、アルツハイマー病及びその早期の前駆症状である軽度認知障害(MCI)の識別とを可能にする一群の最適バイオマーカーが提供される。【選択図】 なし

Description

(発明の技術分野)
本発明は、アルツハイマー病に関する、方法及び組成物に関する。具体的には、本発明は、アルツハイマー病の診断のための最適バイオマーカー群を同定し、かつ記載し、特に、アルツハイマー病及びその早期の前駆症状である軽度認知障害(MCI)の識別を可能にする。
(発明の背景)
認知症は、高齢者の重大な公衆衛生問題の一つであり、我々の老齢人口における認知症患者の数の増加は、世界中の健康制度に、重大な財政負担を課している。認知症患者の半数を上回る人数が、アルツハイマー病(AD)を有する。ADの罹患率及び発生数は、急激な増加を示してきた。ヨーロッパにおけるADの罹患率は、60〜69歳について0.3%、70〜79歳について3.2%、及び80〜89歳について10.8%である(Rocca、Hofmanらの文献、1991)。AD発症後の生存期間は、およそ5〜12年である(Friedlandの文献、1993)。
アルツハイマー病(AD)は、高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、現在のところ不治である衰弱性神経変性疾患である。それは、脳の部分、主として、記憶の符号化に関与している領域である海馬のニューロンを破壊する。アルツハイマー病は、認知機能及び機能自律性の不可逆的な進行性喪失を引き起こす。ADの最も早期の徴候は、単純な物忘れと間違えられ得るが、最終的に該疾患を有すると診断される人においては、これらの初期徴候は、精神機能低下の、より重篤な症状に容赦なく進行する。ADが発症するのにかかる時間は、人によって変わるが、進行した徴候として、重篤な記憶機能障害、錯乱、言語障害、人格変化及び行動変化、並びに判断力の衰えが挙げられる。ADを有する人は、話し好きでなく(non-communicative)なり、非友好的になることがある。この疾患は、その進行が深刻な認知症に帰するので、患者は、自身のケアができず、施設収容又は家庭環境における専門家のケアを必要とすることが多い。一部の患者は、ADと診断を受けた後、長年生存するが、診断後の平均余命は、8年である。
かつては、ADは、脳の生検によって又は患者が死亡した後の剖検の際にのみ明確に診断することができた。脳中の特徴的なプラーク及び濃縮体病変の存在を実証するこれらの方法は、依然として、ADの病理学的診断のゴールドスタンダードと考えられている。しかし、臨床設定では、脳の生検は、めったに行われず、診断は、一連の神経学的検査、心理測定的検査、脳脊髄液及び血液中のApoE及びタウタンパク質又はβ−アミロイドペプチドなどの生化学的マーカーの測定を含む生化学的検査に依存している。
バイオマーカー、特に血液、血漿、及び脳脊髄液などの体液中に見出されるバイオマーカーは、AD及び他の認知症を診断するための、次の段階において鍵を有する可能性がある。ADの診断検査のための必要条件を満たす生体マーカーは、いくつかの利点を有するであろう。理想的な生体マーカーは、血漿など容易にアクセスできる組織中に存在し、かつ脳撮像及び神経病理学的検査において変性が観察される前の、疾患の非常に初期の段階に、ADの事例を同定するものであろう。バイオマーカーは、可能な限り早期に治療を開始するための第一の指標であり得、かつ、新規治療法、特に、神経病理学的変化の発生を防止することに焦点が当てられている治療法の有効性をスクリーニングする際にも極めて役立ち得る。生体マーカーはまた、疾患の発生のフォローアップにおいても有用であろう。アルツハイマー病の診断に使用するためのバイオマーカーが、以前に同定されてきた(例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、US 7,897,361を参照されたい)。しかしながら、信頼性の高い結果を提供するだけでなく、認知症の異なる形態及び段階を区別すること、例えばMCIとアルツハイマー病とを区別することが可能なより強力なバイオマーカーを提供することが依然として求められている。このような状況の中で、バイオマーカーに対する参照がなされる一方、そこにはまた、事前に定めた群内の2以上の生体マーカーの使用も含まれる。
(発明の概要)
本発明者らは、年齢及び性を合わせた、アルツハイマー病、軽度認知障害であると臨床診断された患者、並びに認知症でない対照の血漿から抽出した血液タンパク質の、新規定量質量分析を実施した。この3つのグループの間で、1630個のトリプシンペプチドの相対量に基づき、本発明者らは、認知症のための血漿バイオマーカーを選択し、優先順位づけるために、統計モデルを創出した。統計モデルの創出に際し、本発明者らは、本明細書において、アルツハイマー病及びその前駆症状のMCIなどの認知症のためのバイオマーカーとして高い品質を有する一群のペプチドを提供する。
本発明者らは、組み合わせることで疾患、その進行及び予後の断定を向上する、複数のバイオマーカーを含む群を創出した。
従って、その最も一般的な形として、本発明は、対象における認知症の型及び段階の予測を高めるための、多項式回帰モデルなどの統計モデルに基づいて選択した、複数のペプチドを含むバイオマーカー群を用いて、アルツハイマー病又はMCIを診断する方法を提供する。
具体的には、本発明者らは、対照との比較でのアルツハイマー病又はMCIの予測を高める、ペプチドバイオマーカーの組み合わせを決定した。結果として本発明者らは、アルツハイマー病及びMCIなどの、認知症の形態及び段階の診断における、改善した方法を提供することができる。
第一の態様において、本発明は、対象におけるアルツハイマー病の診断方法を提供する。該方法は、該対象由来の組織サンプル又は体液サンプル中の、表2、3、又は4から選択される2以上のペプチドの組み合わせを含むバイオマーカー群を用いて、差次的に発現する2以上のタンパク質の存在を検出することを含む。該方法は、インビトロの方法であることが好ましい。
本発明者らによって行なわれた、数学的モデリングに基づいて選択されたマーカーの組み合わせは、当該技術分野で提供されるバイオマーカーの組み合わせよりも、高い感度及び特異性を有するバイオマーカー群を創出する。
実際、発明者らは、アルツハイマー病を診断するだけでなく、この形態の認知症及びMCIと、対照対象とを区別するためにも用いることができる、複数のタンパク質(表1参照)に由来する31個からなる一連の重要なペプチド(表2参照)を決定した。これら31個のペプチドのうち、最も関連のある30個は、4パラメータADモデル;2パラメータADモデル、4パラメータMCIモデル、及び6パラメータMCIモデル(AD = アルツハイマー病)にまとめられた。これらから、多項式モデルを形成し、好ましいバイオマーカーペプチドの組み合わせを決定した。
表3及び4は、アルツハイマー病の発症又はMCIの存在を予測するために使用できる最も関連のある変数を与える。これらの表は、2以上の、好ましくは3以上の、好ましくは4以上のペプチドの任意の部分集合を選択できる、別の群の組の基礎として役立つ。該部分集合は、より高い属性スコア(すなわち、15を上回る使用又はカウント数)を有する少なくとも2つのペプチドを含むことが好ましい。そして、これらのペプチドは、より低いスコアを有するさらなるペプチドで補足することができる。該部分集合用に選択される全てのペプチドが、15を上回る属性スコア(すなわち、使用又はカウント数)を有することが好ましい。
本発明者らは、モデリング及びデータハンドリング(GMDH)アルゴリズムを用いて、多マーカー群をさらに創出した。この技術は、アルツハイマー病及びMCIの診断に適した、代替群又は代替モデルの組を生じた。MCI及び対照に対し、ADを決定するための最も優れた30個のGMDH多項式モデルを、図5に提供する。AD及び対照に対し、MCIを決定するための最も優れた30個のGMDH多項式モデルを、図7に提供する。
従って、本発明は対象におけるアルツハイマー病(AD)又はMCIを診断し、評価し、かつ/又は予測する方法であって:
一群のバイオマーカーの存在、又は量(例えば、濃度)を決定する工程であって、該群が該対象から取得された生体サンプル中の、表2、表3、又は表4から選択される2以上のペプチドを含み、
(a)該サンプル中の該2以上のペプチドの存在が、対象がアルツハイマー病を有することを示し;
(b)該2以上のペプチドの参照量と比較した、該2以上のペプチドの量(濃度)が、対象がアルツハイマー病を有することを示し;又は
(c) 該2以上のペプチドの参照量と比較した該2以上のペプチドの量(濃度)の変化が、対象がアルツハイマー病を有することを示す、前記工程を含む、前記方法を提供する。
本発明のこの態様の該方法のいくつかの場合において、2以上のバイオマーカーの量の変化は、該対象が、急速に進行するAD、より重度の認知障害、及び/又はより重度の脳病理を有することを示す。
本発明のこの態様及び他の態様に従う方法は、参照レベルを用いる、2以上のペプチドの該量を比較することを含み得る。本開示に鑑みて、当業者は、例えば対象集団由来のサンプルから平均値及び値の範囲を推定することにより、容易に適当な参照レベルを決定することができる。いくつかの場合において、本発明のこの態様及び他の態様の方法は、2以上のペプチドの量がそれ以上であると、攻撃的形態のAD及び/又は予後が悪くなること、特に急速に進行するAD、より重篤な認知障害、及び/又はより重篤な脳病態を示すと考えることができる、参照レベルを決定することをさらに含むことができる。しかしながら、参照レベルは好ましくは、事前に定められた値であり、これは例えば、アクセス可能なデータ記録の形態で提供され得る。参照レベルはより攻撃性の高いADをより攻撃性の低いADから識別するレベル、特に急速に進行するAD(例えば、該対象のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが、少なくとも年間2 MMSEポイントの速度で低下すること;及び/又は該対象のアルツハイマー病評価尺度認知機能尺度(ADAS-Cog)が、少なくとも年間2 ADAS-Cogポイントの速度で低下すること)を、急速には進行しないAD(例えば、該対象のMMSEスコアが年間2 MMSEポイント以下の速度で低下すること;及び/又は該対象のADAS-Cogスコアが年間2 ADAS-Cogポイント以下の速度で低下すること)から識別するレベルとして選択することができる。好ましくは、参照レベルは、液体サンプルの単位体積当たり又は組織サンプルの単位質量当たりの質量単位で、該2以上のペプチドの各々の濃度として表される値である。
本発明のこの態様及び他の態様の方法に従って、生体サンプルは、血漿、血液細胞、血清、唾液、脳脊髄液(CSF)、又は組織生検を含むことができる。好ましくは、生体サンプルは、以前に対象から単離され、又は取得されたものである。生体サンプル中の2以上のペプチドの量(例えば、濃度)を決定する前に、生体サンプルを保存し、かつ/又は処理する(例えば、細胞残渣又は夾雑物を除く)ことができる。しかしながら、いくつかの場合において、該方法は、生体サンプルを対象から取得する工程、及び任意に、サンプル中の2以上のぺプチドの量(例えば、濃度)を決定する前にサンプルを保存する工程、及び/又は処理する工程をさらに含むことができる。好ましくは、生体サンプルは血漿を含み、該方法は2以上のペプチドの血漿濃度を定量することを含む。
好ましい実施態様において、サンプル中の2以上のバイオマーカーの量は、特異的抗体により決定する前に濃縮することができる。そのような方法は当該技術分野において、周知である。
いくつかの場合において、参照レベルは、2以上のペプチドの量を決定するために用いられるアッセイに従って、選択することができる。この範囲の参照レベルは、対象をその閾値を下回り、攻撃性のより低い形態のAD(例えば、急速には進行しないAD)を有する可能性のある対象を、その閾値を上回り、攻撃性のより高い形態のAD(例えば、急速に進行するAD)を有する可能性のある対象から分ける閾値を表すことができる。しかしながら、参照レベルを、より攻撃性の低い形態のAD(例えば、急速には進行しないAD)に典型的な値とすることができ、この場合において、参照レベルを有意に上回る示度を有する対象は、攻撃的な形態のAD(例えば、急速に進行するAD)を有する、又は有する可能性があると考えることができる。一方、参照レベルを、より攻撃性の高い形態のAD(例えば、急速に進行するAD)に典型的な値とすることができ、この場合において、参照レベルを有意に下回る示度を有する対象は、より攻撃性の低い形態のAD(例えば、急速には進行しないAD)を有する、又は有する可能性があると考えることができる。
本発明のこの態様及び他の態様の方法に従って、該方法は、ADのリスク、ADの重篤度、ADの経過(AD進行の速さ又は程度など)の1以上のさらなる示標を決定することをさらに含むことができる。そのようなさらなる示標としては:脳撮像結果(連続構造MRIを含む)、認知評価検査(MMSE又はADAS-Cogを含む)、APOE4の状態(特に、1以上のAPOE4 ε4アレルの存在)、原線維アミロイドの蓄積量(特に、嗅内皮質及び/又は海馬中の原線維アミロイドの蓄積量)、Aβ及び/又はタウのCSFレベル、APP遺伝子中の変異の存在、プレセニリン遺伝子中の変異の存在、及びクラステリン遺伝子中の変異の存在から選択される1以上の(例えば、2、3、4、5、又はそれより多くの)示標がある。いくつかの場合において、本発明のこの態様及び他の態様に従って、該方法は、ADを有する、又は有する疑いのある対象においてモニターしながらの診断、予後、及び/又は治療に対する一群の評価法の一部として用いられる。
本発明のこの態様及び他の態様の方法に従って、生体サンプル中の2以上のバイオマーカーペプチドの量を決定することは、任意の適当な方法を用いて実現できる。該決定は、2以上のペプチドの質量又は濃度の直接的定量化を含み得る。該決定は、例えば、2以上のペプチドの量(例えば、濃度)に相関する測定値を提供するアッセイを用いた間接的定量化が含まれ得る。本発明のこの態様及び他の態様の方法についての特定の場合において、2以上のペプチドバイオマーカーの量を決定することは:
該サンプルを、2以上のペプチドに選択的かつ独立に結合する、特異的結合要素と接触させること;及び
該特異的結合要素及び2以上のペプチドにより形成される複合体を検出し、かつ/又は定量化することを含む。
特異的結合要素は、ペプチドバイオマーカーに選択的に結合する抗体又は抗体断片とすることができる。例えば、ペプチド濃度を決定するための簡便なアッセイ形式は、ELISAである。該決定は、ペプチド濃度既知の標準を用いて標準曲線を作成し、対象由来のサンプルについて取得された示度を、それにより対象由来のサンプル中のペプチドバイオマーカー濃度の測定値を導き出す標準曲線と比較することを含み得る。ペプチドの量(例えば、濃度)を決定するために、様々な方法を適切に利用することができ、その非制限的な例としては:ウェスタンブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、競合EIA(競合酵素イムノアッセイ)、DAS-ELISA(二重抗体サンドイッチ-ELISA)、液体イムノアッセイ技術(例えば、Luminex xMAP技術又はBecton-Dickinson FACS技術)、免疫細胞化学又は免疫組織化学技術、特異的抗体を含むタンパク質マイクロアレイの使用に基づく技術、「ディップスティック」アッセイ、アフィニティークロマトグラフィー技術、及びリガンド結合アッセイがある。特異的結合要素は、ペプチドバイオマーカーに選択的に結合する抗体又は抗体断片とすることができる。本明細書にさらに記載されるように、任意の適切な抗体形式を、利用することができる。本発明の任意の態様に従って、本明細書で考えられる特異的結合要素のさらなるクラスは、アプタマー(核酸アプタマー及びペプチドアプタマーを含む)を含む。有利には、ペプチドバイオマーカーに方向づけられるアプタマーは、SELEX(指数濃縮によるリガンドの系統的進化)として知られ、米国特許第5,475,096号及び第5,270,163号に記載される技術などの技術を用いて提供することができる。
本発明のこの態様及び他の態様に基づく方法のいくつかの場合において、ペプチドバイオマーカーの量の決定は、質量分析によりペプチドのレベルを測定することが含まれる。質量分析によりペプチドのレベルを測定するのに適した技術は、当業者にはすぐに利用可能であり、SILAC、AQUA(WO 03/016861に開示され;その内容の全体が、参照により本明細書に具体的に組み込まれる)、及びTMTcalibrator(WO 2008/110581に開示され;その内容の全体が、参照により本明細書に具体的に組み込まれる)を含む、選択反応モニタリング(SRM)及び多重反応モニタリング(MRM)、同位体希釈質量分析に関係する技術を含む。WO 2008/110581は、同重体の質量タグを用いて参照血漿サンプル中の全タンパク質の個別の一定分量を標識する方法であって、この全タンパク質は標識後、定量的比率で混合され、標準較正曲線を生み出すことができる、前記方法を提供する。患者のサンプルは、続いて同重体質量タグの同じ組のさらなる独立した要素で標識され、較正曲線と混合される。この混合物は続いてタンデム質量分析にかけられ、特定のタンパク質に由来するペプチドは、MS/MSスペクトル中の同重体質量タグから放出される特有の質量レポーターイオンの出現に基づいて同定し、定量化することができる。
参照レベルを通じて、表2、3、及び4から選択されるバイオマーカーペプチドを使用することができる。いくつかの場合において、質量分析に基づいてタンパク質マーカーを決定する方法を採用する場合、本発明の方法は、バイオマーカーペプチドを含む少なくとも2つの異なる一定分量を含む、較正サンプルを提供することを含み、各一定分量は、既知の量であり、該生体サンプル及び各々の該一定分量は、1以上の同重体質量標識で異なる標識をされる。好ましくは、同重体質量標識は各々、質量分析的に異なる別の質量マーカー群を含む。
従って、本発明の好ましい実施態様において、該方法は、表3又は表4に提供される既知のタンパク質マーカーに由来するペプチドについての、1以上の決定された遷移を用いる選択反応モニタリングにより、表2から選択される2以上のマーカータンパク質の存在又は発現レベルを決定すること;検査サンプル中のペプチドレベルを、以前にAD、MCI、又は正常であることを表すと決定されたペプチドレベルと比較すること;及び認知症の形態又は段階、例えば、AD又はMCIを、該2以上のマーカータンパク質の発現変化に基づいて決定することを含む。比較の工程は、既知の量の対応する合成ペプチドを用いて、検査サンプルに由来するバイオマーカーペプチドの量を決定することを含むことができる。合成ペプチドは配列において、サンプルから得られるペプチドと同一であるが、異なる質量のタグ又は重同位体などの標識により識別することができる。
表2、3、又は4で同定された、1以上のこれら合成バイオマーカーペプチド(標識あり又はなし)は、本発明のさらなる態様を形成する。これらの合成ペプチドは、対象におけるAD又はMCIを診断する目的のキットの形で提供することができる。
タンパク質の発現レベルを決定するための他の適当な方法としては、表面エンハンス型レーザー脱離イオン化飛行時間型(SELDI-TOF)質量分析;LS/MS/MSを含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析;エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析;並びに好ましいSRM及びTMT-SRMを含む。
本発明のさらなる態様において、上に記載の方法を実施する際に、特に、対象から得られたサンプルにおけるAD又はMCIを診断する際に使用するためのキットが提供される。
全ての実施態様において、該キットによりユーザーが、表2、表3、又は表4に提供される複数のマーカータンパク質、又はそれらの断片;検査サンプル中の、該マーカータンパク質に対する抗体及び該マーカータンパク質又はそれらの断片をコードする核酸分子から選択される複数の分析物の、存在又は発現レベルを決定することが可能となり;該キットは、
(a) 複数の結合要素を有する固体支持体であって、各々が独立に、その上に固定化された該複数の分析物の1つに特異的である、前記固体支持体;
(b) 標識を含む現像剤;及び、任意に
(c) 洗浄液、希釈剤、及び緩衝剤からなる群から選択される1以上の構成要素を含む。結合要素は、上に記載の通りのものとすることができる。
一実施態様において、キットは、アッセイに適合した形式の分析物を提供し得る。上述のように、当該技術分野において、サンプル中のタンパク質、抗体、又は核酸分子の存在、又は量を決定するための様々なアッセイが公知である。様々な適切なアッセイを以下に詳細に記載し、各々は、本発明の実施態様を形成する。
キットは、定量的測定値を与える標準又は参照を、さらに提供することができ、それにより、1以上のマーカータンパク質の発現レベルの決定を比較すること可能とする。標準は、AD又はMCIを示す2以上のバイオマーカーのレベルを示すことができる。
また、キットは、該方法を実施するための印刷された指示書を含むことができる。
好ましい実施態様において、キットは、質量分析アッセイの実施を目的とすることができ、かつ表2、表3、又は表4(例えば、SRMペプチド)(該ペプチドの具体的な組み合わせは、図5又は図7に見出すことができる)(例えば、SRMペプチド)に提示された参照ペプチドの組を、アッセイに適合した形式で含むことができ、該組の各ペプチドは独自に複数のマーカータンパク質の各々を代表する。好ましくは2つの、より好ましくは3つのそのような特有のペプチドが、そのためにキットが設計された各タンパク質について使用され、特有のペプチドの各組は、該サンプルの標準調製物中のそれらタンパク質のレベルを反映する既知の量で提供される。任意に、キットはまた、該サンプルからタンパク質を単離し、かつ抽出するためのプロトコル及び試薬、トリプシンなどのタンパク質分解酵素の精製調製物、及びモニターされるべき前駆体質量及び特定の遷移の詳細を含む方法の詳細なプロトコルを提供することができる。ペプチドは合成ペプチドとすることができ、炭素、窒素、酸素、及び/又は水素の1以上の重同位体を含むことができる。
本発明の全ての態様において、バイオマーカー群を構成する2以上のペプチドは、表2、表3、又は表4から選択される。好ましい実施態様において、3以上、4以上、5以上、又は6以上のペプチドが、バイオマーカー群を構成する。
本発明の全ての態様において、ペプチドバイオマーカーは表2、3、又は4から選択されるペプチドを含むか、これらからなるものでよい。ペプチドバイオマーカーが表2、3、又は4に提供される選択配列を含む場合、ペプチドは50アミノ酸以下の長さであるのが好ましく、より好ましくは45、40、35、又は30アミノ酸以下の長さである。一部の実施態様において、バイオマーカーペプチドは、表2、3、又は4から選択されるペプチドと1、2、3、4、5、又は6アミノ酸以下だけ異なるペプチドを含むことができる。
詳細には、本発明者らは、数学的モデリングに基づき、組み合わせた場合にそれぞれAD又はMCIに対する、より高い特異性を有するバイオマーカー群を提供する、ペプチドの特定の組み合わせを決定した。
従って、本発明の全ての態様において、2以上のペプチドは、図5のY1〜Y30からなる群から選択されるか、又は図7のY1〜Y30からなる群から選択される、ペプチドの組み合わせを含むことが好ましい。
さらに好ましい実施態様において、2以上のバイオマーカーペプチドは:-
ADの診断については、
Figure 2016526167
適合されたパラメータは、p1 = -0.575035、p2 = 0.331443、p3 = -0.319553、p4 = 0.0720402
このモデルの感度は0.42であり、特異性は、0.98である−図3参照。
MCIの診断については、
Figure 2016526167
適合されたパラメータは、p1 = 0.345556、p2 = 0.281846、p3 = 0.138583、p4 = 0.193817、p5 = 0.222568、p6 = 0.222843
このモデルの感度は0.71であり、特異性は、0.95である−図4参照。
使用されたアルゴリズム(図1に示されている)は総スコアを計算する。総計が> 0.5である場合、スコアは特定の疾患クラスにあり(すなわち、モデルに応じ、AD又はMCIにある)、一方、< 0.5である場合、他のクラスにある(すなわち、モデルに応じ、MCI及び対照、又はAD及び対照にある)。従って、好ましい実施態様において、スコアはGMDHアルゴリズムに沿って計算され、該アルゴリズムは続いて閾値を設定する。
ここで、本発明の特定の態様及び実施態様は、実施例を通じて説明され、かつ先に記載された図と表を参照して説明される。本発明は、態様及び好ましい特徴の組み合わせが明らかに容認されない場合、又ははっきりと忌避されることが宣言される場合を除いて記載されるような、組み合わせを含む。本明細書に言及される全ての文書はあらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(図面の簡単な説明)
GMDHモデリングの後に使用される多項式モデル。 均衡した設計に基づく血漿サンプルの選択。 モデルの計算された機能値Y1に基づく、患者がAD患者の群に属するかMCI及び対照事例の結合群に属するかの予測。Y1が0.5を上回る場合、患者はAD群に従属する。 モデルの計算された機能値Y1に基づく、患者がMCI患者の群に属するかAD及び対照事例の結合群に属するかの予測。Y1が0.5を上回る場合、患者はAD群に従属する。 AD対(MCI及び対照)を予測するGMDHアルゴリズムによって選択された上位30個のADモデル等式。 1-モデル適用範囲により定義される上位30個のAD対(MCI及び対照)モデルのGMDH基準。 MCI対(AD及び対照)を予測するGMDHアルゴリズムによって選択された上位30個のMCIモデル等式。 1-モデル適用範囲により定義される上位30個のMCI対(AD及び対照)モデルのGMDH基準。 ペプチド
Figure 2016526167
を用いた等高線図。この2次元空間中の患者の密度は、疎(青)から密(オレンジ)の色で示される。
(詳細な説明)
液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)に基づくプロテオミクスは、培養細胞(原核生物/真核生物)及び組織(新鮮凍結/ホルマリン固定パラフィン包埋)を含む複雑なサンプルから数千のタンパク質を同定し、正確に定量するのに、従来の生化学的方法より優れていることが証明されており、偏りのない様式での新規バイオマーカーの同定につながる[7、8、9]。本発明者らは、そのような新規バイオマーカーを同定しただけでなく、より高い予測力を有し、従って認知症の形態のより的確な診断、詳細にはAD及びMCIの区別をもたらす特定のペプチドの組み合わせを決定した。
AD及びMCIの間でバイオマーカーの発現が異なる度合いは、2次元電気泳動ゲルの銀染色などの、標準的な特徴づけ技術により可視化されるのに十分な程度の大きささえあればよい。発現の差異を可視化することができる他のそのような標準的な特徴づけ技術は、当業者に周知である。これらには、画分の連続的なクロマトグラフィーによる分離、及びピークの比較、キャピラリー電気泳動、マイクロチップを含むマイクロチャネルネットワークを用いた分離、SELDI分析、並びに同重体及び同位体タンデム質量タグ分析が含まれる。
クロマトグラフィーによる分離は、Pharmacia文献に記載されるように高性能液体クロ
マトグラフィーによって実施でき、クロマトグラムは、分離の時間に対する280nmの
光の吸光度のプロットの形態で得られる。次いで、不完全に分解されたピークを生じる物
質を、再度クロマトグラフィーに付すなどする。
キャピラリー電気泳動は、多数の刊行物に、例えば、Beckmanによって、そのP/ACE 5000システムとともに提供される文献「Total CE Solutions」に記載される技術である。この技術は、小さいキャピラリーチューブ中に含有されるサンプル中に電気的ポテンシャ
ルを印加することに依存する。チューブは、帯電した表面、例えば、負に帯電したケイ酸塩
ガラスを有する。反対に帯電したイオン(この場合には、正のイオン)は、表面に引きつ
けられ、次いで、表面と同じ極性の適当な電極(この場合には、陽極)に移動する。サン
プルのこの電気浸透流(EOF,electroosmotic flow)では、正イオンは、最も早く移
動し、帯電していない物質及び負に帯電したイオンが続く。したがって、タンパク質は、
その荷電に従って本質的に分離される。
マイクロチャネルネットワークはいくぶんキャピラリーと同様に機能し、ポリマー物質のフォトアブレーションにより形成することができる。この技術において、UVレーザーが、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートなどの適当なUV吸収特性を有するポリマー上に急激に照射される高エネルギー光パルスを生成するのに使用される。入射光子は、閉じ込められた空間で化学結合を切断し、内圧の上昇、小さな爆発及び切断された物質の排除をもたらし、マイクロチャネルを形成する空隙を残す。マイクロチャネル物質は、キャピラリー電気泳動同様に、EOFに基づく分離を達成する。マイクロチャネル物質は、マイクロチップの形態に適応でき、各チップはそれ自体にサンプルインジェクター、分離カラム、及び電気化学検出器を有する:J.S. Rossierらの文献、1999、Electrophoresis 20: p. 727-731を参照されたい。
また、ProteinChip技術と組み合わせた表面エンハンス型レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF-MS)は、迅速で高感度のタンパク質プロファイル解析手段を提供し、2次元ゲル電気泳動と相補的な方式の代替法として、使用することができる。ProteinChipシステムは、タンパク質サンプルがチップの表面化学(例えば、アニオン性、カチオン性、疎水性、親水性など)に選択的に結合することができるアルミニウムのチップからなる。結合したタンパク質は、続いてモルに過剰量のエネルギー吸収性小分子とともに共結晶化される。続いてチップは、N2 320 nm UVレーザーの短強度パルスにより分析され、飛行時間型質量分析によりタンパク質が分離され、検出される。同一実験内の各群のスペクトルプロファイルを比較し、関心の対象となる任意のピークは、タンパク質の同一性を確立する以下に記載される技術を用いてさらに分析することができる。
また、同位体性又は同重体性タンデム質量タグ(登録商標)(TMT(登録商標))(Thermo Scientific、Rockford、USA)技術を、差示的に発現するタンパク質であって、本明細書に記載されるバイオマーカー群の成員である前記タンパク質を検出するのに用いることができる。簡潔に説明すると、比較するサンプル中のタンパク質は、任意に消化され、安定同位体タグで標識され、質量分析で定量される。この方法において、異なるサンプル中の等価なタンパク質の発現は、タンデム質量分析実験における断片化の間のそれぞれの同位体ピークの強度、又はTMT試薬から放出されるレポーターイオンの強度を比較することにより、直接的に比較することができる。
文脈が他に指示しない限り、先に説明した特徴の記載及び定義は、本発明のいかなる特定の態様又は実施態様にも限定されるものではなく、記載される全ての態様及び実施態様に等しく適用する。従って、先に説明のある特徴は、全ての組み合わせ及び変形において開示される。
(実験的)
本明細書において、ペプチド配列中のアミノ酸残基は、IUPACの一文字コードの慣例を用いて表示される。イソロイシン及びロイシン間の残基の同定が不明である場合、一文字コード「J」が使用される。
本明細書では、タンパク質は一般に、それらのUniprotアクセッション番号又はUniprot IDを参照することにより同定される。当該技術分野においては、この参照が、出願日の時点でUniprotアクセッション番号に帰する注釈のついたアミノ酸配列に関するものであることが理解される。Uniprotは配列の追加および訂正の全ての履歴を各タンパク質についてのページ内に提供しているので、当業者は本明細書中に参照されるタンパク質を、過度の労力を要することなく同定することが可能である。
これらの実験において、90サンプルの組を(重又は軽)同位体TMT試薬で標識し、ハイブリッド型包含リスト/データ依存的獲得戦略を用いるLTQ Orbitrap Velos(Thermo Scientific、Germany)を用いた質量分析によりペプチド分析物を分析した。
続いてデータをさらに同定及び定量化の面から分析する。最終的に、このデータをアルツハイマー病(AD)及び軽度認知障害(MCI)における制御ペプチド及びタンパク質の関連共変量を含む、混合効果モデルを用いて、統計学的に分析した。さらに、多項式回帰モデルを計算し、マーカーの組と一緒に組み合わせて、高い感度及び特異性を有するバイオマーカー群を実現した。
サンプルを、5ダルトンの質量差を示す同位体性TMT0及びTMT6(127)試薬を用いて標識し、かつ処理し、アルキル化して、トリプシン処理した。全サンプルの混合物を含め、サンプルの各々に対し、TMT6(重同位体)標識された参照物質を加えた。サンプルをMaxquantにより処理し、ペプチド強度を出力して統計処理した。MaxQuantは、該解析ソフトウェアによりなされる保持時間/質量アラインメントに依存すると考えられる、再現性の高い定量データマトリックスを出力する。
31個の重要なペプチドマーカーの組が、単変量統計モデリングにおいてAD及びMCIの分析に有用であることが見出された。群の発見について、30個の最も関連のあるペプチドマーカー成分は、3つのモデル、4パラメータADモデル、2パラメータADモデル、4パラメータMCIモデル、及び6パラメータMCIモデルにまとめられた。これらのマーカーリストから、多項式モデルを形成することができる。
各モデルにおいて、複合スコア「Y」は、汎用参照対照血漿に対する、各群の成員ペプチドの相対量に基づいて計算される。Yの増加した値は、それぞれのモデルにおいてAD又はMCIである可能性と関係する。
(実施例1)
(後の同位体質量分析に基づく作業手順による測定のための血漿サンプルのサンプル調製)
90個の血漿サンプルを標準の操作プロトコルに基づき調製した。サンプルごとに、1.25 μLの血漿体積を処理した。簡潔に説明すると、定義された体積のサンプルを2段階手順により希釈し、続いて還元、アルキル化、及びトリプシンによる消化を行った。トリプシンペプチドは、続いてTMT0試薬で標識し、強陽イオン交換(SCX)カートリッジを用いて標準の操作手順に従って精製した。精製に続き、サンプルをマイクロタイタープレートに移し、それにより各サンプルから3つの一定分量をとった。プレート位置当たり、0.375 μLの血漿体積相当量を加えた。
詳細に説明すると、未処理ヒト血漿サンプルを、希釈緩衝液(100 mM TEAB、pH 8.5、及び0.1% SDS)でファクター80で希釈した。希釈された血漿サンプル当たり、1.25 μLの血漿相当体積を含む100 μLが、さらなる処理に用いられた。タンパク質をTCEP(最終濃度1 mM、1時間、55℃)で還元し、ヨードアセトアミド(最終濃度7.5 mM、1時間、室温)でアルキル化した。続いて、タンパク質サンプルを37℃での終夜インキュベーションによりトリプシン(0.4 μg/μLのストック溶液を20 μL添加)で消化した。消化した血漿サンプルを、続いて室温での1時間のインキュベーションによりTMT0試薬(アセトニトリル中の60 mMストック溶液を40 μL添加)で標識した。続いて、8 μLの水性ヒドロキシルアミン溶液(5%)を加え、過剰な標識試薬をクエンチした。
処理したサンプルをSCXカートリッジ(SP Sepharose Fast Flowを用いたセルフパック式カートリッジ、Sigma)を用いて精製した。0.1% TFAを含む3 mL 50%アセトニトリル溶液を加えた後、サンプルをカートリッジに加え、0.1% TFAを含む4 mL 50%アセトニトリル溶液で洗浄した。続いて、サンプルを、1.5 mLの400 mM酢酸アンモニウムを含む25% アセトニトリル溶液で溶出した。最終的に、サンプルを真空濃縮器で乾燥させた。
(参照サンプルの調製)
参照サンプルを、100個の異なる個別の血漿サンプルを、先に記載の通り80倍希釈した後混合することにより得た。3.75 μLの血漿相当体積を含む、この混合参照サンプル300 μLを、さらなる処理に用いた。タンパク質をTCEP(最終濃度1 mM、1時間、55℃)で還元し、ヨードアセトアミド(最終濃度7.5 mM、1時間、室温)でアルキル化した。続いて、タンパク質サンプルをトリプシン(0.4 μg/μLストック溶液の60 μLを添加)で37℃での終夜インキュベーションにより消化した。消化した血漿サンプルを、続いて、TMT6-127試薬(アセトニトリル中の60 mMストック溶液の120 μLを添加)で室温での1時間のインキュベーションにより標識した。続いて、24 μLの水性ヒドロキシルアミン溶液(5%)を加え、過剰量の標識試薬をクエンチした。
処理した参照サンプルを3つの等分量の一定分量に分注した;各一定分量を、先に与えた通りにSCXカートリッジで精製した。0.1% TFAを含む50%アセトニトリル3 mLを加えた後、該一定分量をカートリッジに加え、0.1% TFAを含む50%アセトニトリル4 mLで洗浄した。続いて、該一定分量を25%アセトニトリル中の400 mM酢酸アンモニウム1.5 mLで溶出した。最終的に、該一定分量を再び合わせ、サンプルを真空濃縮器で乾燥させた。
(実施例2)
(同位体作業手順を利用するための血漿サンプルの質量分析)
各サンプル及び実施例1で調製した参照に由来する凍結乾燥ペプチドを個別に2% ACN、0.1% FAで再懸濁した。質量分析に先立ち、等体積の各個別のサンプル消化物を参照サンプルの消化物と混合し、90個の分析用同位体サンプルを産生した。各々の分析用同位体サンプルをThermo Scientific Proxeon EASY-nLC IIシステムを用いて、ReproSil C18、5 μm(Dr. Maisch)を充填した0.1×20 mmカラムに注入した。続いてペプチドを、ReproSil C18、3 μm(Dr. Maisch)を詰めた0.075×150 mmセルフパック式カラムを通して、0.1%ギ酸を含むアセトニトリル溶液の上昇勾配(5〜30%、90分かけて)を用いて流速300 nL/分で分離した。Thermo Scientific LTQ Orbitrap Velos上で、クロマトグラフィック・ラン(115分)を通じて、各FTMSスキャン(400 m/zでの分解能は30,000)後に、400 m/zでの分解能が7,500である10 高衝突誘起解離(HCD)FTMSスキャンを用いて質量スペクトルを取得した。HCDを±25 ppmの質量の正確さの幅を有する115個のペプチドを含む時間依存的な包含リストについて遂行した。
この選択されたペプチドのリストは以下のタンパク質に焦点を当てている:
Figure 2016526167
表1:AD SRMタンパク質及びLTQ Orbitrap Velos法に含まれるペプチドの数
MS1において包含リストのいずれのペプチドも検出することができない場合、10個の最も強い前駆体のうちの残りの前駆体をHCD断片化用に選択する。各FTMSスキャンから既に選択された前駆体は、続いて30秒間の動的除外リストに載せられる(25 ppm m/z 数値幅)。各FTMS1スキャンのためのAGCイオン注入標的は、1,000,000であった(最長注入時間は500 ms)。各HCD FTMS2スキャンのためのAGCイオン注入標的は50,000であった(最長イオン注入時間は、500 msであり、2 μスキャン)。ペプチド発現マトリックスは全ての利用可能な質量分析ランを入力し、重及び軽標識ペプチドの全ての関係する強度(ペア)値を収集するMaxquantソフトウェアを用いて収集された。また、Maxquantを用いてペプチドを探した。
総計199個のタンパク質群を同定し、2089個の異なるペプチドとして表した。
(実施例3)
(混合効果モデリング(GLM)を用いた単変量統計モデルの創出)
混合効果モデリングは、それらの統計的関連性に従ってバイオマーカーを選択し、かつ優先順位づけることを可能とする。該モデリングは、分散を分離するモデルに関連共変量を含めることを可能とし、該モデリングは主に診断に関連する情報からの共変量を動因とする。用いられたモデルは、疾患クラス、サンプルが集められた検査機関、性、年齢、及びサンプルの保存時間、モデルに関連するものの情報を使用した。
用いたサンプルは実験設計における一部のパラメータについて均衡した異なる選択群に属する。図3を参照されたい。
総計199個のタンパク質群が同定され、2089個の異なるペプチドとして表した。発現マトリックスにフィルターをかけ、少なくとも70%を含む利用可能なデータポイントを70%未満を含むペプチド測定値を除去した。
152個のタンパク質群及び1630個のペプチドは、単変量統計解析中に考慮された。定量的発現マトリックスが少なくとも70%の利用可能な定量的サンプルを含む場合、発現マトリックスをフィルターにかけた。
線形混合効果モデルを、ペプチドデータを用いて計算した。全ての計算には、R version 2.13を用いた。線形混合効果モデルには、以下の係数を用いた:
診断(3レベル)
AD、MCI、CTL
APOE(6つの異なるアレルの遺伝子型)
2/2、2/3、2/4、3/3、3/4、4/4
機関(3つの異なるサンプル収集機関)
2、4、5
性(2つのレベル)
女性、男性
連続的共変量
年齢(患者の年齢)
サンプル齢(冷凍庫中でのサンプルの保存時間)
p < 0.05を下回る有意値を有するペプチドは、単変量モデルにおいて関連があるとみなされる。
ペプチドレベルでは、31の存在が、以下の表2に示すように、関連があるとみられた。
Figure 2016526167
Figure 2016526167
表2:ADの診断について統計学的に有意な(LME p-値 < 0.05)ペプチド
(実施例4)
(GMDH(群モデリング及びデータ取扱い)を用いた多マーカーモデルの創出)
本発明者らは、AD又はMCIの患者において、対照と比較し、血漿レベルにおいて統計学的に有意差を示す30以上のペプチドを発見した。しかしながら、個別のバイオマーカーの診断有用性は一般に、組み合わせて用いられた場合に向上する。従って、バイオマーカーを用いて予測の質を高めるためには、モデル中の複数のマーカーセットを組み合わせることが可能である。この目的で、多項式回帰モデルをGMDH(群モデリング及びデータ取扱い)アルゴリズムを用いて創出した。GMDHはデータを動因とする(誘導的な)手法を用いて単純で、しかし信頼性の高い多項式モデルを生み出す完全に自動でモデルの構造及び変数を最適化することを特徴づける、コンピュータベースの多変数データセットの数学的モデリングのための誘導的アルゴリズムのファミリーである。
本事例においては、より高次の項を持たない単純回帰モデルが使用された:
GMDHモデルを計算するために、ソフトウェアGMDH Shell 3.8(http://www.gmdhshell.com/)を使用した。使用されたデータマトリックスは1104個のペプチドの発現数値及び、90サンプルについてのlog2変換した発現数値を含んでいた。少なくとも80%の変数が存在するようにするため、発現マトリックス(実施例1参照)をフィルターにかけた。
GMDH shellはトップダウン方式で予測される有用性に基づいてランク付けされる代替の多項式モデルの組を創出する。プログラム設定は、クロス確認(9倍)、及び変数の事前選択(上位200個の関連変数のみを使用した)として使用した。モデルの複雑性は、固定した4パラメータ(変数)であると選択された。2つのモデルを計算してAD(アルツハイマー)対MCI(軽度認知障害)+対象サンプル、あるいはMCI対AD+対象サンプルの結合群を予測した。
「モデル AD」 AD 〜 (MCI+対照)
「モデル MCI」 MCI 〜 (AD+対照)
線形モデルは以下のように解釈される:計算された値yが閾値0.5を上回る場合、事例はクラス(モデルに依存し、「モデルAD」についてのADか、又は「モデル MCI」についてのMCI)に属する。計算値が閾値を下回る場合、サンプルは代替群に属する(モデル1:MCI/対照又はモデル2:AD/対照)
MaxQuant質量分析定量化ソフトウェアを使用するが故に、同位体性のアミノ酸I又はLの間の区別をすることができないことに留意するのは重要である。従って、配列がMaxQuant分析から与えられる場合、I及びLの両方を文字Jに置換する。
以下の表は異なる属性を示し、4パラメータモデルを構成することと関連することが見出された。スコアはGMDH Shellが最も優れた200のモデルの組に専用の属性を選択する回数と関係する。結果として、この表は、最も関連する変数を表し、該変数はアルツハイマー病の発生、あるいは軽度認知障害MCIの存在を予測する。続いて個別のモデルをこれらの変数から打ち立て、線形等式を構成することができる。
ここで、より高いスコア(スコア > 15)を有する属性は、任意の他の属性により補足される、第一又は第二選択の属性としてモデル中に含まれる可能性がより高い。
Figure 2016526167
表3:4パラメータモデルに使用される属性の組、及びADを予測するためのそれらの使用数の統計(アミノ酸コードJはイソロイシン(I)又はロイシン(L)のいずれかを表す)
Figure 2016526167
表4:4パラメータモデルに使用される属性の組、及びMCIを予測するためのそれらの使用数の統計(アミノ酸コードJはイソロイシン(I)又はロイシン(L)のいずれかを表す)
(実施例5)
(最上位にランクづけられたAD及びMCIの予測モデルの精査)
(ADの診断のための最適群の設計)
実施例2で計算されたGMDHスコアを用いて、4つのペプチドの最適群をアルツハイマー病の予測のために選択した。90サンプルにわたって、モデルは94.4%の正の予測値、及び83.3%の負の予測値を有した。
4つのペプチドは:
ヒト補体C3由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P01024);
ヒトセロトランスフェリン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P02787);
ヒトセルロプラスミン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P00450);
及び
ヒト補体C5由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P01031)
Figure 2016526167
この群の線形等式は以下に与えられる:
Figure 2016526167
適合されたパラメータは、p1 = -0.575035、p2 = 0.331443、p3 = -0.319553、p4 = 0.0720402
このモデルの感度は0.58であり、特異性は0.98である(図3参照)。
(MCIのための最適群の設計)
実施例2で計算されたGMDHスコアを用いて、6つのペプチドの最適群をアルツハイマー病の予測のために選択した。90サンプルにわたって、モデルは88%の正の予測値、及び86%の負の予測値を有した。
6つのペプチドは:
ヒト血清アルブミン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. Q8IUK7);
ヒトα-2-マクログロブリン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P01023);
ヒトハプトグロビン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P00739);
ヒトCD5抗原様タンパク質由来の
Figure 2016526167
(Uniprot No. O43866)
ヒトセルロプラスミン由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P00450);
及び
ヒト亜鉛-α-2-糖タンパク質由来の
Figure 2016526167
(Uniprot Acc. No. P25311)
この群の線形等式は以下に与えられる:
Figure 2016526167
適合されたパラメータは、p1 = 0.345556、p2 = 0.281846、p3 = 0.138583、p4 = 0.193817、p5 = 0.222568、p6 = 0.222843
モデルの感度は0.71であり、特異性は0.95である(図4参照)。
(実施例6)
(30個の最も優れたGMDHモデルからなる組の組み合わせ)
GMDHアルゴリズムは代替モデルの組を産生し、それはAD及びMCIの診断に適している。代替モデルの組の産生は、GMDHの選択過程でいわゆる外部基準を最大化することにより実現される。最も優れたモデルは最上位にランクとして現れ、その有用性に従ってランクづけられる代替モデルの組がこれに続く。上位30個のモデルは好ましい変数の組を示す。適合したパラメータを含む最も優れた30個のGMDH多項式モデルの組は、AD対(MCI+対照)の用途のための図5に現されている。
適合したパラメータは、質量分析における測定プロセスに関係する。他の分析手順へのさらなる実行について、適合したパラメータは異なるものであってよい可能性がある。しかし、各等式は組み合わされるべき変数の組を選択し、該変数の組はモデル構造(すなわち、変数の選択)に関係し、該モデル構造はこれらの式中に存在する最も関係のある情報である。これらは、最も優れたモデルを実現するために、好ましい方法、リスト3〜5からどの変数(どのタンパク質に由来するペプチドが測定されたものか)を組み合わせるかを記載する。
図6のグラフは、モデルの質に関係するGMDHの基準を示し、該基準は1〜のモデル範囲により定義される。
図7の表は、GMDHを適合させ、MCI対(AD+対照)患者を選択する代替モデルを得るための手順の結果を含む:
(実施例6)
(AD事例を予測するための、可能性のあるペプチド分析物の対の可視化)
4パラメータモデルのリストから、下位モデルを含むペプチド
Figure 2016526167
は、AD対MCI+対照事例について、すでに非常に良い予測を実現している。この群の感度及び特異性は、それぞれ0.37及び0.97である。
図9のグラフは、これら2つの変数を用いたAD患者の密度を示す等高線グラフである。
(参考文献)
Figure 2016526167

Claims (27)

  1. 対象におけるアルツハイマー病又は軽度認知障害を診断する方法であって、該対象に由来する組織サンプル又は体液サンプル中の一群のバイオマーカーを検出することを含み、該一群のバイオマーカーが表2、表3、又は表4から選択される2以上のペプチドを含む、前記方法。
  2. (a) 前記サンプル中の前記2以上のペプチドの存在が、患者がアルツハイマー病又はMCIを有することを示し;
    (b) 前記2以上のペプチドについての参照値と比較した前記サンプル中の前記2以上のペプチドの量(濃度)が、前記対象がアルツハイマー病又はMCIを有することを示し;又は
    (c) 前記2以上のペプチドについての参照値と比較した前記2以上のペプチドの量(濃度)の変化が、前記対象がアルツハイマー病又はMCIを有することを示す、請求項1記載の方法。
  3. 対象におけるアルツハイマー病及び軽度認知障害から選択される形態又は認知症の診断のための方法であって、
    (a) 患者から組織又は身体サンプルを取得すること;
    (b) 任意に、該サンプルを処理して、表1から選択される少なくとも1つのマーカータンパク質を増強すること;
    (c) 該マーカータンパク質に由来する複数のペプチドを創出するように、該サンプルを酵素トリプシンで処理すること;
    (d) 表2、表3、又は表4から選択される2以上のペプチドを含む、一群のバイオマーカーを検出すること;
    (e) 該一群のバイオマーカーについての参照値と比較した該一群のバイオマーカーの量(濃度)、存在、非存在、又は変化についての値を決定すること;
    (f)該決定された値に基づいて該対象を診断することを含む、前記方法。
  4. 前記参照値が、前記対象から取得された以前のサンプルに由来する、請求項2又は請求項3記載の方法。
  5. 前記参照値が、対象集団に由来する、請求項2又は請求項3記載の方法。
  6. 前記参照値が、アクセス可能なデータベースの形式で事前に定めた値である、請求項2記載の方法。
  7. 前記データベースが、表2、表3、又は表4を含む、請求項6記載の方法。
  8. 前記参照値が、アルツハイマー病とMCI又は正常とを識別する、請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記参照値が、MCIとアルツハイマー病と正常とを識別する、請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記組織サンプル又は体液サンプルが、尿、血液、血漿、血清、唾液、又は脳脊髄液サンプルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記バイオマーカーが、前記サンプル中で、特異的抗体、2次元ゲル電気泳動、又は質量分析を用いて検出される、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記バイオマーカーが、前記サンプル中で、前記バイオマーカー群の2以上のペプチドのサンプルに特異的な抗体又はその断片を用いて検出される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記サンプルが、該サンプルを濃縮するために、表1に記載された前記バイオマーカータンパク質の少なくとも1つに特異的な抗体で前処理される、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 前記バイオマーカー群の前記2以上のペプチドが、質量分析により検出される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  15. 前記2以上のペプチドの量(濃度)を決定する前記工程が、ペプチドに対する1以上の遷移を用いた選択反応モニタリングにより実施され、検査サンプル中のペプチドレベルを、アルツハイマー病患者、又はMCI患者、又は認知症でない患者であると以前に決定されたペプチドレベルと比較する、請求項14記載の方法。
  16. ペプチドレベルを比較することが、既知量の対応する合成ペプチドを用いて前記サンプル中のペプチド量を決定することを含み、該合成ペプチドが標識を除いて該サンプルから取得されるペプチドと配列において同一である、請求項15記載の方法。
  17. 前記標識が、異なる質量の、又は重同位体のタグである、請求項16記載の方法。
  18. 前記バイオマーカー群が、表2、表3、又は表4から選択される、3以上のペプチドを含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 前記バイオマーカー群が、表2、表3、又は表4から選択される、3以上のペプチドを含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 前記バイオマーカー群が、図5に示されるペプチドの組み合わせY1〜Y30の群から選択されるペプチドの組み合わせを含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
  21. 前記バイオマーカー群が、図7に示されるペプチドの組み合わせY1〜Y30の群から選択されるペプチドの組み合わせを含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
  22. 前記バイオマーカー群が、
    Figure 2016526167
    を含む、請求項20記載の方法。
  23. 前記バイオマーカー群が、
    Figure 2016526167
    を含む、請求項21記載の方法。
  24. 複合スコア「Y」が、参照対照ペプチドに対する各群の成員ペプチドの相対量に基づいて計算され;Yの増加した値が、アルツハイマー病、又はMCIの診断を示す、請求項14〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. 前記複合スコア「Y」が、多項式モデル
    Figure 2016526167
    に従って計算される、請求項24記載の方法。
  26. > 0.5の総計スコア値が、前記対象がアルツハイマー病又はMCIを有することを示す、請求項24又は請求項25記載の方法。
  27. 請求項1〜26のいずれか1項記載の方法を実施する際に使用するためのキットであって、
    (a) 表2、表3、又は表4から選択される2以上のペプチドに対応する2以上の合成ペプチド;
    (b) 前記バイオマーカー群を形成する2以上のペプチドに特異的な2以上の抗体;又は
    (c) 前記バイオマーカー群のうちの前記2以上のペプチドに特異的に結合することができる2以上の結合要素であって、任意に固体支持体に固定される、前記結合要素
    を含む、前記キット。
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