JP2014071016A - 神経系の変性疾患の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】神経系の変性疾患に共通するバイオマーカーと、個々の神経系の変性疾患にそれぞれ特異的なバイオマーカーを提供する。
【解決手段】神経系の変性疾患を検査する方法では、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1から選択される2種類以上のタンパク質又はその断片をバイオマーカーとして使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、神経系の変性疾患のバイオマーカーに関する。具体的には、本発明は、前記バイオマーカーを用いた神経系の変性疾患、又、アルツハイマー病、軽度認知症、パーキンソン症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症等の個別の神経系の変性疾患の検出方法(検査方法)に関する。
認知症を含む神経系の変性疾患は、一般に進行性であり、脳神経細胞の不可逆的な変性を伴うことから、早期に診断し治療を開始することが重要である。しかし、現時点では有効なバイオマーカーが確立されておらず、確実な治療法も確立されていない。その結果、診断・治療が難しく、疾患の進行に伴って日常生活が破壊される状況となり、患者本人の肉体的負担のみならず、家族にも多大の負担を来す結果となっている。このように、神経系の変性疾患は患者本人だけでなく、介護者にも多大な負担が及び、社会全体の活力の大きな損失につながるという実態がある。これに対して、バイオマーカーを利用して簡便に早期の診断及び病態のモニタリングが実施できるようになれば、早期治療が可能となり、多くの患者の不可逆的なダメージを最小限に抑えることが可能となる。早期診断が可能となれば、患者だけでなく介護者のQOLの向上、ひいては超高齢化を迎えた日本社会全体の活力の維持にも大きく貢献することは間違いない。
例えば、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)、パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)、多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)のような神経系の変性疾患は、成年期に発症して徐々に進行するが、その進行を止める治療法が無く、また、骨格筋衰退、手足痙性、自律神経障害、パーキンソン様症状、小脳性運動失調、軽症から重症の認識機能障害のような徴候を症状とする。軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)は認知機能の低下が起こり、その一部はADへと進行する。他方、多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、中枢神経系(central nervous system:CNS)の中の白質の繰り返された脱髄を特徴とする炎症を伴う神経免疫学的な疾患である。
認知機能障害や運動機能障害を伴う神経系の変性疾患の多くは難治性であり、早期の診断と治療が重要である。そのため、経験豊富な臨床医による臨床所見診断だけによらず、血清や脳脊髄液(Cerebrospinal fluid: CSF)中の成分により診断するための検査ができれば、非常に有用な検査法として利用することができる。この疾患に関連する成分はバイオマーカーと呼ばれ、従来から、疾患特異的なタンパク質、ペプチド、代謝物、核酸などの単一成分の探索・同定が精力的に行われてきている。しかし、神経系の変性疾患は一般に慢性的経過をたどって進行すること、神経組織内ではいろいろな変性反応が起きていることから、早期の変性を単一のバイオマーカーで検出するということ自体が大きな困難を伴う。実際、CSF中のタンパク成分も鋭意分析されているが(非特許文献1、非特許文献2)、その実用化は不透明であり、未だに診断や治療につながる有用なバイオマーカーは見出されていない。それゆえ、新しい視点で疾患バイオマーカー見出す手法が求められている。
Mattsson et al., Clin Chem Lab Med. 2011;49(3):345-52. Kroksveena et al., J Proteomics. 2011;74(4):371-88.
上記のとおり、神経系の変性疾患に対する検査法や治療法は確立しておらず、医療上の大きな課題になっている。疾患に関与するバイオマーカーを見出し、その利用方法を確立すれば、新しい検査診断法、病態管理法、さらには治療薬への応用が可能となる。
本発明の目的は、神経系の変性疾患のバイオマーカーを見出し、臨床検査や病態管理、さらには治療法へ応用することである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、従来と異なる手法で解析を行い、以下のタンパク質またはその断片が神経系の変性疾患に特異的なバイオマーカーとなりうることを見出し、本発明を完成させた。
具体的には、後述する実施例に詳述するが、神経系の変性疾患には、神経の変性に伴い、共通的に変動する因子と疾患個別的に変動する因子があると想定し、その両方の観点から解析する手法を検討した。これを実施するために、複数の異なる神経系の変性疾患患者から採取されたCSFを質量分析装置で高精度なプロテオーム解析を行い、得られたタンパク質の比較をバイオインフォマティクスの手法で解析することで、上記アイデアの検証的な結果を得た。
すなわち、本発明は、
[1]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、神経系の変性疾患を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1から選択される2種類以上のタンパク質又はその断片である、神経系の変性疾患を検査する方法、
[2]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、アルツハイマー病を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、CASP14、ANXA2、FABP5、IGFBP2から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、アルツハイマー病を検査する方法、
[3]前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、C9、CGREF1、CPN2、CSF1、CTSH、ITIH4、PCSK1、SLC25A6、AMBP、ATP6AP1、IGFBP6、KNG1、KRT10、KRT2、LDHB、NEO1、TGOLN2、THRBから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、[2]のアルツハイマー病を検査する方法、
[4]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、軽度認知症を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、C5のタンパク質又はその断片である、軽度認知症を検査する方法、
[5]前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、NRXN3、YWHAZ、SOD1、CPN2、CSF1、ACTB、GDA、KRT10、RELNから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、[4]の軽度認知症を検査する方法、
[6]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、パーキンソン病を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、CFHR1、AFMから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、パーキンソン病を検査する方法、
[7]前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、TPP1、BCAN、CTSH、ITIH4、PCSK1、SLC25A6、CACNA2D1、KRT2、PTPRZ1、RELNから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、[6]のパーキンソン病を検査する方法、
[8]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、多系統萎縮症を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、CD14、NELL2、PLTPから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、多系統萎縮症を検査する方法、
[9]前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、BCAN、C9、CGREF1、CPN2、CTSH、ITIH4、ATP6AP1、C2、CRTAC1、KNG1、LDHB、PTPRZ1、TMSL1から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、[8]の多系統萎縮症を検査する方法、
[10]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、筋萎縮性側索硬化症を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、CADM3のタンパク質又はその断片である、筋萎縮性側索硬化症を検査する方法、
[11]前記バイオマーカーが、更に、GC、VSTM2A、YWHAZ、CTSL1、CSF1、ACTB、GDAからなる群から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、[10]の筋萎縮性側索硬化症を検査する方法、
[12]被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、多発性硬化症を検査する方法であって、前記バイオマーカーは、CHI3L2、SERPINA3、SEMA7A、SCG2、LMAN2から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、多発性硬化症を検査する方法、
[13]前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、BCAN、C9、CGREF1、PCSK1、SLC25A6、AMBP、C2、CACNA2D1、CRTAC1、IGFBP6、NEO1、TGOLN2、THRB、TMSL1から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片の組み合わせである、[12]の多発性硬化症を検査する方法、
[14]前記バイオマーカーの量が、健常人と比較して検出量が高いことを指標とする、[1]〜[13]のいずれかの検査方法、
に関する。
本発明の検査方法によれば、神経系の変性疾患の早期診断が可能となる。特には、何らかの神経系の変性疾患が生じていることを検出することが可能となり、また、個々の神経系の変性疾患であるAD、MCI、PD、MSA、ALS、MSを特異的に検出することが可能となる。したがって、本発明によれば、神経系の変性疾患の検査および治療を早期に行うことが可能となり、患者のQOLを向上させることができる。
6種の神経変性疾患の患者と健常人のCSFにおいて、両者の比較が可能な154個のタンパク質(CSF由来タンパク質)のスペクトルカウント値(縦軸)をタンパク質ごと(横軸)にプロットした図である。 6種の神経変性疾患の患者と健常人のCSFにおいて、両者の比較が可能な154個のタンパク質(CSF由来タンパク質)のスペクトルカウントを健常人のスペクトルカウントで除したものをLog2比率でプロットした図である。縦の点線は散布状態の変曲点を示す。 図1及び図2の横軸のタンパク質名をGene symbolで表した図である。 健常人に対するAD患者とMCI患者のCSFにおけるCSF由来タンパク質のスペクトルカウントをLog2比率でプロットし、両疾患のパターンを比較した図である。類似性が認められる。 健常人に対するPD患者とMSA患者のCSFにおけるCSF由来タンパク質のスペクトルカウントをLog2比率でプロットし、両疾患のパターンを比較した図である。類似性が認められる。 健常人に対するALS患者とMS患者のCSFにおけるCSF由来タンパク質のスペクトルカウントをLog2比率でプロットし、両疾患のパターンを比較した図である。類似性が見られない。
1.本発明の神経系の変性疾患の検査方法
1−1.本発明の神経系の変性疾患の検査方法
本発明の神経系の変性疾患の検査方法は、被検者から採取された試料中の所定のバイオマーカー(タンパク質またはその断片)の量を測定するステップを含む。
本発明で用いる前記試料としては、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液試料(例えば、末梢血、全血、血漿、血清)、リンパ液、尿、唾液、その他の体液を用いることができる。さらには生検で採取された病理組織からの抽出成分も利用できる。
本発明で対象となる神経系の変性疾患は、神経組織の障害が関与する疾患であれば特に限定されないが、例えば、AD、MCI、PD、MSA、ALS、MS等が挙げられる。また、これらの疾患と関連する神経系の変性疾患も含む。
これらの神経系の変性疾患では、神経の変性とそれに伴う機能の異常が起こっている。ADとMCIでは認知と記憶の障害、PD、MSA、ALS、MSでは運動機能の失調が特に問題となる。このことから、神経組織の変性の中には、神経組織に共通的に起こる異常事象と疾患特徴的に起こる異常事象があると考えられ、それらを反映するバイオマーカーが見出すことは疾患の診断と治療法の開発に大きく貢献する。
本発明では、疾患に関連するタンパク質及びその断片をバイオマーカーと呼び、また、「バイオマーカーの量を測定する」とは、バイオマーカーの量を定量的に測定することだけでなく、バイオマーカーを定性的に検出することも含む。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、AD、MCI、PD、MSA、ALS、MSの6種類の疾患の内、5種類の疾患で共通に有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、また、6種類の疾患の内、4種類の疾患で共通に有意な増加が認められた、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)が挙げられ、これらのバイオマーカーから2種類以上選択して、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とする。疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
好ましくは、5種類の疾患で共通に有意な変化が認められた、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZのうちから選択すると良い。
1−2.本発明のアルツハイマー病(AD)の検査方法
本発明のADの検査方法は、以下に詳述すること以外は、1−1の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、ADでのみ特異的に有意な増加が認められた、Caspase-14(CASP14)、Annexin A2(ANXA2)、Fatty acid-binding protein, epidermal(FABP5)、Insulin-like growth factor-binding protein 2(IGFBP2)が挙げられ、これらのバイオマーカーから1種類以上選択して、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とする。これらのバイオマーカーによれば、ADとそれ以外の神経系の変性疾患(MCI、PD、MSA、ALS、MS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意な増加が認められたもののうち、ADで有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Protein AMBP(AMBP)、V-type proton ATPase subunit S1(ATP6AP1)、Insulin-like growth factor-binding protein 6(IGFBP6)、Kininogen-1(KNG1)、Keratin, type I cytoskeletal 10(KRT10)、Keratin, type II cytoskeletal 2 epidermal(KRT2)、L-lactate dehydrogenase B chain(LDHB)、Neogenin(NEO1)、Trans-Golgi network integral membrane protein 2(TGOLN2)、Prothrombin(THRB)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってADの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
1−3.本発明の軽度認知症(MCI)の検査方法
本発明のMCIの検査方法は、以下に詳述すること以外は、上記の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、MCIでのみ特異的に有意な増加が認められた、while Complement C5(C5)が挙げられ、このタンパク質またはその断片の量を指標とする。このバイオマーカーによれば、MCIとそれ以外の神経系の変性疾患(AD、PD、MSA、ALS、MS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意差が認められたもののうち、MCIで有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Actin, cytoplasmic 1(ACTB)、Guanine deaminase(GDA)、Keratin, type I cytoskeletal 10(KRT10)、Reelin(RELN)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってMCIの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
1−4.本発明のパーキンソン病(PD)の検査方法
本発明のPDの検査方法は、以下に詳述すること以外は、1−1の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、PDでのみ特異的に有意な増加が認められた、Complement factor H-related protein 1(CFHR1)、Afamin(AFM)が挙げられ、これらのバイオマーカーから1種類以上選択して、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とする。これらのバイオマーカーによれば、PDとそれ以外の神経系の変性疾患(AD、MCI、MSA、ALS、MS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意な増加が認められたもののうち、PDで有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brevican core protein(BCAN)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Voltage-dependent Ca channel subunit alpha-2/delta-1(CACNA2D1)、Keratin, type II cytoskeletal 2 epidermal(KRT2)、Receptor-type tyrosine-protein phosphatase zeta(PTPRZ1)、Reelin(RELN)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってPDの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
1−5.本発明の多系統萎縮症(MSA)の検査方法
本発明のMSAの検査方法は、以下に詳述すること以外は、1−1の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。
本発明で対象となるMSAは、MSA-C(小脳型)とMSA-P(パーキンソン型)を含む。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、MSAでのみ特異的に有意な増加が認められた、Monocyte differentiation antigen CD14(CD14)、Protein kinase C-binding protein NELL2(NELL2)、Phospholipid transfer protein(PLTP)が挙げられ、これらのバイオマーカーから1種類以上選択して、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とする。これらのバイオマーカーによれば、MSAとそれ以外の神経系の変性疾患(AD、MCI、PD、ALS、MS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意な増加が認められたもののうち、MSAで有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Brevican core protein(BCAN)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、V-type proton ATPase subunit S1(ATP6AP1)、Complement C2(C2)、Cartilage acidic protein 1(CRTAC1)、Kininogen-1(KNG1)、L-lactate dehydrogenase B chain(LDHB)、Receptor-type tyrosine-protein phosphatase zeta(PTPRZ1)、Thymosin beta-4-like protein 1(TMSL1)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってMSAの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
1−6.本発明の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の検査方法
本発明のALSの検査方法は、以下に詳述すること以外は、1−1の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。本発明で対象となるALSは、孤発性も家族性も含む。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、ALSでのみ特異的に有意な増加が認められた、Cell adhesion molecule 3(CADM3)が挙げられ、このタンパク質またはその断片の量を指標とする。このバイオマーカーによれば、ALSとそれ以外の神経系の変性疾患(AD、MCI、PD、MSA、MS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意な増加が認められたもののうち、ALSで有意な増加が認められた、Vitamin D-binding protein(GC)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Cathepsin L1(CTSL1)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Actin, cytoplasmic 1(ACTB)、Guanine deaminase(GDA)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってALSの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
1−7.本発明の多発性硬化症(MS)の検査方法
本発明のMSの検査方法は、以下に詳述すること以外は、1−1の神経系の変性疾患の検査方法と同様に実施することができる。
測定対象となるバイオマーカーとしては、後述する実施例で示すように、MSでのみ特異的に有意な増加が認められた、Chitinase-3-like protein 2(CHI3L2)、Alpha-1-antichymotrypsin(SERPINA3)、Semaphorin-7A(SEMA7A)、Secretogranin-2(SCG2)、Vesicular integral-membrane protein VIP36(LMAN2)が挙げられ、これらのバイオマーカーから1種類以上選択して、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とする。これらのバイオマーカーによれば、MSとそれ以外の神経系の変性疾患(AD、MCI、PD、MSA、ALS)とを区別することができる。
更に、2種類以上の神経系の変性疾患で共通に有意な増加が認められたもののうち、MSで有意な増加が認められた、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Brevican core protein(BCAN)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Protein AMBP(AMBP)、Complement C2(C2)、Voltage-dependent Ca channel subunit alpha-2/delta-1(CACNA2D1)、Cartilage acidic protein 1(CRTAC1)、Insulin-like growth factor-binding protein 6(IGFBP6)、Neogenin(NEO1)、Trans-Golgi network integral membrane protein 2(TGOLN2)、Prothrombin(THRB)、Thymosin beta-4-like protein 1(TMSL1)から1種類以上選択して、上記の特異的バイオマーカーと組み合わせて、それらのタンパク質またはその断片の量を指標とすることが好ましい。これによってMSの検出精度を高めることができる。
疾患特定の確実性を高めるためには、できれば多くの種類のバイオマーカーを検出することが好ましいが、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類、さらに好ましくは6〜7種類のバイオマーカーを用いるのがよい。
2.本発明で使用可能な測定方法
バイオマーカーの量を測定する方法は、特に限定されず、質量分析法や免疫測定法、電気泳動法、液体クロマトグラフィー(LC)法、マイクロアレイ法などの当業者に公知の測定法から選択することができる。
2−1.質量分析方法
質量分析方法の例としては、ペプチドをマトリックスやエレクトロスプレーでイオン化し、そのイオンの質量を飛行時間型質量分析計(TOF-MS)で計測する方法が挙げられる。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(Matrix Assisted Laser Desorption / Ionization, MALDI)では、ペプチド試料にシナピン酸、CHCA(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸)、DHBA(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)などのマトリックスを混ぜ、それをイオン化プレート上にスポッティングし、そこにレーザーを当ててイオン化してから質量を計測する。他方、ESI法(Electrospray Ionization)を用いる場合は、プロテアーゼ処理などの前処理した検体を、高速液体クロマトグラフィーなどで分離して、直接キャピラリーから溶液状態で噴霧し、真空チェンバー内でレーザーによってイオン化してから質量を計測する。飛来したイオンの質量分析を行う際には、各種質量分析計(四重極型、磁場型、飛行時間型、イオントラップ型、フーリエ変換型など)を使用することができる。本発明でバイオマーカーを特定する際には、高精度なフーリエ変換リニアトラップ型質量分析計(たとえば、Thermo Fisher Scientific 社LTQ-Orbitrap型など)を使用したが、他の質量分析計を用いても本発明の検査方法を実施することができる。
このとき、飛来したイオン数を計測するパルスカウント法で定量化する方法のほか、測定対象物を安定同位体で標識して計測することで、より正確に測定対象物を定量することができる。本発明の検査方法においても、測定対象のバイオマーカーを安定同位体で標識することで、体液中のバイオマーカーの量をより正確に定量することができる。
2−2.免疫測定方法
免疫測定法の例としては、ウェスタンブロット法、ELISA法、放射能免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ラテックス凝集法、イムノクロマト法などが挙げられる。たとえば、物理吸着や化学結合などにより抗体を結合させた固相担体(例えば、イムノプレートやラテックス粒子など)を用いて体液中のバイオマーカー(タンパク質またはその断片)を捕捉した後、固相担体に固定化した抗体とは抗原認識部位が異なる標識化抗体(酵素や蛍光物質などで標識した抗体)を用いて捕捉されたバイオマーカーを定量すればよい。
免疫測定法によりバイオマーカーの量を測定する場合、各バイオマーカーに対する抗体またはその断片を用いることができる。抗体の例には、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が含まれる。また、抗体の断片の例には、Fab断片、F(ab)’断片、単鎖抗体(scFv)などが含まれる。各抗体またはその断片は、目的のタンパク質またはその断片には結合するが、試料に含まれる他のタンパク質には結合しないことが好ましい。これらの抗体またはその断片を調製する方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を用いて調製すればよい。
また、選択されたバイオマーカーのタンパク質または断片の量に特異的に結合できるアプタマーを、上記の抗体の代わりに使用してもよい。
2−3.その他の測定方法
さらに、電気泳動法、液体クロマトグラフィー(LC)法、マイクロアレイ法などによってもバイオマーカーのタンパク質またはその断片の量を測定することができる。これらの方法も既に当業者に周知であり、それらの周知の方法をそのまま採用することができる。
2−4.判定
たとえば、選択されたバイオマーカーのタンパク質またはその断片の量を測定した結果、そのタンパク質またはその断片の量が所定のカットオフ値よりも多いときは、その被検者は神経系の変性疾患を発病している可能性または神経系の変性疾患を発病する可能性が高いと判定し、当該タンパク質またはその断片の量が所定のカットオフ値よりも少ないときは、その被検者は神経系の変性疾患を発病していない可能性が高いと判定する。
所定のカットオフ値としては、公知の基準を適宜選択して実施することができるが、例えば、対象疾患におけるバイオマーカーのタンパク質またはその断片の量が、標準コントロールのものの2倍より大きいことが挙げられる。標準コントロールとしては、健常人が挙げられる。
各々の神経系の変性疾患(AD、MCI、PD、MSA、ALS、MS)についても、同様に判定することができる。
以上のように、本発明の検査方法は、被検者が対象の疾患を発病しているか否か(または対象の疾患を将来発病する可能性が高いか否か)を医療従事者が診断する際に利用されうる。また、本発明の検査方法は、対象の疾患の検査だけではなく、疾患活動性のモニタリング、治療効果の評価などの際にも利用されうる。
また、前記バイオマーカーは、それ自体、疾患検出用のバイオマーカーとして使用することができるだけでなく、対象とする疾患の治療薬や予防薬の標的分子としても使用することができる。例えば、治療薬や予防薬の開発時において、本発明のバイオマーカーを指標とする薬剤のスクリーニングを行うことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:検体》
本実施例は、北海道大学大学院医学研究科及び弘前大学医学研究科の倫理委員会の承認を得て行った。また、試料は以下の患者からインフォームドコンセントを得た上で収集した。AD、MCI、PD、MSA、ALS、及びMSの患者から、脳脊髄液(CSF)を採取した。MSのCSFサンプルは、急性脳髄性発作でステロイドパルス療法を受けている患者から採取した。認定神経専門医によって、各々の疾患は診断された。臨床診断は、ADについてはMaKhannらの方法(Parkinsonism Relat Disord. 14, 600-607, 2008)、MCIについてはPetersenらの方法(Alzheimers Dement. 7, 270-279, 2011)、PDについてはHughesらの方法(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 55,181-184, 1992)、MSAはGilmanらの1st Concensus Criteria(J Neurol Sci. 163, 94-98, 1999)、ALSについてはTranorらのEl Escorial and Airlie House Criteria(Arch Neurol. 57,1171-1176, 2000)、MSについてはPolman らのMacDonald criteria 2005年版(Ann Neurol. 58, 840-846, 2005)に従って診断した。ADとMCIは、高次な脳機能をMMSE(Mini-Mental State Examination=認知機能検査)やCDR (Clinical Dementia Rating)とFAST(Functional Assessment Staging, International Psychogeriatrics 1992; 4 (Suppl 1): 55-69)を使用して評価した。全ての患者は、少なくとも1回の脳あるいは脊髄のMRIにより検査されている。ALSにおいては、針筋電極により退化した筋肉の慢性的な脱神経を検出した。全てのCSFサンプル(20検体)は、上記6種類の神経系の変性疾患の患者、標準コントロール(健常人)の被検者から、腰椎穿刺により採取された。標準コントロールの健常人のCSFは、整形手術の間に腰椎麻酔下で手術を受けた人から採取された。健常人の被検者は、脳にいずれの神経系の疾患も持っていない。
それぞれの検体数、性別、年齢を表1に示す。
《実施例2:質量分析方法》
2−1.試料の調製
被検者から採取された1.2mLの CSFは、浮遊物を除くため遠心された後、1.0mLの上清を得た。さらに、限外ろ過膜(Vivaspin2、MWCO:3000、ザルトリウス社)によって、0.1mLに濃縮した。その濃縮物から、抗体カラム(マルチプルアフィニティ除去LCカラム Human-14、アジレント社)を用いて、過剰なヒト高分子タンパク質(アルブミン、IgG、アンチトリプシン、IgA、トランスフェリン、ハプトグロブリン、フィブリノゲン、α2マクログロブリン、α1酸性糖タンパク質、IgM、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、補体C3、トランスサイレチン)を除いた。得られた素通り画分は、上記の限外ろ過膜を用いて再度濃縮した後、10mmol/Lの炭酸水素アンモニウムに置換した。
それぞれのCSFから得られた各タンパク質画分20μgを100mmol/Lの炭酸水素アンモニウムで全160μLに調製し、10μLのアセトニトリルを加えた。さらに、10μLの還元剤(10mmol/L tris (2-carboxyethyl)phosphine)を加え、37℃、45分間で還元処理し、10μLの還元剤(50mmol/L iodoacetamide)を加えて、24℃、1時間・暗室でアルキル化処理した。その後、シークエンシング・グレードのトリプシン(Promega社)を1:50w/wで加え、試料中のタンパク質を14時間、37℃で酵素消化した。消化反応を200μLの1%トリフルオロ酢酸を加えることにより停止し、質量分析用のペプチド試料とした。分析試料は、分析に供するまで−80℃で冷凍保存した。
2−2.LC-MS/MS分析によるタンパク質同定
以下に示す方法でペプチド試料を分析し、分析されたペプチド断片のアミノ酸配列情報に基づいて試料液に含まれるタンパク質を同定した(J. Mass Spectrom. Soc. Jpn., 53:108-116 (2005)参照)。1つの試料液につき3回測定を行い、同定されたペプチドの数に基づくスペクトルカウント法により、試料液間でタンパク質の相対量を比較した。
LC-MS/MS装置としては、ナノスプレー型逆相液体クロマトグラフ(RP-LC)を装備したハイブリッド型LTQ-Orbitrap(Thermo Fisher Scientific社)を使用した。RP-LC システム(Paradigm MS4B:Michrom BioResources社)には、peptide Cap-Trap cartridge(2.0 × 0.5mm i.d.)及びemitter tip (FortisTip社)に合わせた分析カラム(L-column Micro、150 × 0.2 mm L-C18、3 μm、12 nm:CERI社)を用いた。
RP-LCの分離条件は、流速は約1.0μL/分で、移動相には、0.1%ギ酸を含むA溶媒(2%アセトニトリル水溶液)と、B溶媒(90%アセトニトリル水溶液)とを使用した。B溶媒の濃度を5%(0分)から40%(70分)まで直線勾配で上げて、ペプチド断片を連続的に溶出し、溶離液は、2.0kVに印加されたスプレーヤー(FortisTip、OmniSeparo-TJ社)によりエレクトロスプレーされ、イオン化された。
質量分析には、オートゲインコントロールを適用した。マススペクトル(質量範囲m/z400〜1600)は、Orbitrap(分解能30000)を用いて取得した。
得られたペプチド断片の質量データをタンパク質同定解析ソフト(Mascot version 2.1.1、マトリックスサイエンス社)で分析し、タンパク質データベース(SwissProt、バージョン56.6 20413 entries)を利用して試料液中のタンパク質を同定した。
2−3.バイオマーカーの抽出
スペクトルカウント法により、タンパク質は、解析ソフト(Scaffold-2 version 2.02.03、Proteome Software社)のindividual Mascot search resultsを用いて同定し、試料液間で各タンパク質の相対量を比較した。高い確度(Mascot ion scoreでp < 0.005)を備えたペプチド・スペクトルの数をスペクトルの計算値として使用した。分析あたりスペクトルカウント値が標準コントロール(健常人対照群)との比較が可能なペプチド群として、合計で154個のタンパク質が識別できた。
2−4.統計解析
6種の異なる疾患とコントロールから得られた合計154のタンパク質の平均されたスペクトルカウント値は、1タンパク質あたり平均11.0であった。各タンパク質のスペクトルカウントの変動値(疾患/標準コントロール)を算出し、Log2で表した。カウント値が0の場合は、Log2変換エラーを回避するために0.3カウント(最小値1.0カウント/3試料)を割り当てた。
組織と細胞内事象のネットワーク・プロセスおよび生物学的過程の解析には、ウェブ・ベースのパスウェイ分析ツール、MetaCoreバージョン10.0(Thomson Reuters-GeneGo社)を用いた。統計学的処理は、Dunnett’s test by JMP(登録商標) statistical software, version 8.0(SAS Inc社)を用い、各疾患で有意な(p<0.05)特異的なバイオマーカー候補を検出した。
2−4−1.CSF中のペプチドの全体的なプロフィール
上記で同定された、合計154のタンパク質は、図1の中で示されるようなイオン・スペクトルとして検出された。図1の横軸は収量の多い順にタンパク質を並べ、縦軸はイオンの収量(スぺクトルカウント値)である。スペクトルカウント値は、CSFに存在する各ペプチドの量によって半定量的に反映されている。疾患/標準コントロールのスペクトルカウントのLog2比率のペプチド・レベルを、図2に示すようにプロットした。この図において、カーブ・フィッティング分析により、スペクトルカウント値の多い方から154種のペプチドを横軸にプロットすると、変曲点が57番目で、ここを境として検出されたタンパク質群は2つのグループに分類されることがわかった。フィティングカーブは、解析ソフト(エクセル・マイクロソフト社)により、y=−1E8−10x5+4E−08x4−5E−06x3+0.0002x2−0.0016x+0.0515と求められた。
図3には、横軸にプロットしたタンパク質の位置番号とタンパク質名(Gene symbolで表記)を表した。
トップ1〜57番目のタンパク質は、図2で示すように、Log2の±1.0の比率以内の狭い領域に存在し、その存在量は1タンパク質あたり25.2±24.1であった。他方、58〜154番目の97種のタンパク質は、図2で示すように、Log2の±1.0の比率を逸脱して変動幅の大きな因子であり、その存在量は1タンパク質あたり2.7±2.7で、トップ1〜57種の高収率タンパク質群に比べて約1/10の収量であることがわかった。疾患によって大きく変動するタンパク質、すなわちLog2値の大きいタンパク質が疾患関連因子と考えられるので、神経学的な疾患に関連する特異的なCSF由来タンパク質は、存在量の少ない低収率タンパク質群(58〜154番目のタンパク質)に関係している可能性が高い。
そこで、著しく増大したバイオマーカー・タンパク質として+1.0を超える正Log2値を示すタンパク質に注目した。
2−4−2.CSF由来タンパク質の特異的な疾患プロフィールの比較
検出されたCSF由来タンパク質群が疾患関連因子であるとすれば、同種の疾患では類似のパターン、別種の疾患では異なるパターンを示すはずである。この傾向を調べるために、CSF由来タンパク質を疾患タイプ別にプロットして、そのパターンを比較した(図4〜図6)。MCIはADの前駆症状ともいわれるが、図4に示したようにADとMCIは同様のパターンを示した。同様に、分子病理学的にドーパミン関連疾患で類似性が指摘されるPDとMSAも比較的類似のパターンを示した(図5)。対照的に、神経系の変性疾患であるALSと神経免疫学的な疾患であるMSのように全く異なる疾病を比較すると、図6のように異なるパターンが示された。
これらの結果から、各疾患のCSF由来ペプチドの存在量(スペクトラムカウント)をプロットして、疾患関連性を調べる比較法は、疾患共通的タンパク質並びに疾患特異的タンパク質を識別する有用な方法であることが示唆された。
2−4−3.CSF由来タンパク質の存在分析
図2と図4〜図6から、高収率タンパク質群が神経変性に関する疾患バイオマーカー候補タンパク質の共通の性質を示し、低収率タンパク質群が、神経変性に関する疾患特異的なバイオマーカー候補タンパク質を反映することが示された。
次にCSF由来タンパク質の生物学的な意味を分析するために、同定されたタンパク質をバイオインフォマティクス・ソフトウェアMetaCoreで機能解析した。解析されたタンパク質のプロセス・ネットワークの結果を表2に示す。
高収率タンパク質群が関与するプロセス・ネットワークは、細胞マトリックス外(Extracellular Matrix: ECM)タンパク質の再構成および結合組織のタンパク質分解プロセスであり、一方、低収率タンパク質群が関与するプロセス・ネットワークは神経新生の軸索のガイダンス及びシナプス形成であった。
これらの結果は、低収率タンパク質群は、個々の神経学的な症状に依存する神経網構成に影響力があることを示唆し、高収率と低収率のタンパク質群ペプチドに共通に認められるプロセス・ネットワークは、炎症補体系および細胞粘着タンパク質であることが示唆された。興味深いことには、炎症補体系で関係する分子は高収率群と低収率群においてやや異なり、つまり、高収率タンパク質群には、C1r、C1sとC4bのような古典的経路の補体が関与し、低収率タンパク質群には、C5、C6、C8およびC9のような別経路にある補体が関与していた。また、高収率タンパク質群は、細胞粘着、Contactin-1(CNTN1)、およびビトロネクチン(VTN)が関係し、他方、低収率タンパク質群は、アクチン(ACTB)、Agrin、フィブロネクチン(FN1)、CD44およびContactin-2(CNTN2)が関係することが示唆された。
このように、炎症や組織再生という同種のプロセスでも、神経変性において共通的に起こるイベントと疾患特徴的に起こるイベントでは、関与する分子種が異なる可能性が示された。
このことは、タンパク質の生物学的意味を分析したオントロジー解析でも支持された。オントロジー解析では、神経組織で刺激を誘導するタンパク質は主に高収率タンパク質群にあり、神経組織の変性の共通的なイベントに関与し、その後の神経組織で引き起こされる発展過程の原因であるタンパク質は低収率タンパク質群が主に関与することがわかった。すなわち、高収率タンパク質群では炎症及び組織再生に、低収率タンパク質群では神経新生と発達に主に関与することが示唆された。オントロジー解析の結果を表3に示す。
《実施例3:神経系の変性疾患に共通なバイオマーカー》
上記で同定されたCSF中の154個のタンパク質のうち、低収率であるが変動率が大きい図1〜図3における58〜154番目の97種のタンパク質について、Log2表記で+約1.1より大きい場合に有意な変動であるとして以下の解析を行った。その結果を表4に示し、+約1.1より大きい場合はテーブル中のセルの背景をグレー色で示した。表中のタンパク質は、Gene symbolで表記したが、個別タンパク質の詳細情報は公知のデータベース(NCBI: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geneあるいはUniProt: http://www.uniprot.org/)で特定することができる。
6種類の神経変性疾患のうち、5種類の疾患で有意に増加したタンパク質は、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)の5因子であった。また、6種類の疾患のうち、4種類の疾患で、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)の6因子が有意に増加したと認められた。
以上より、これらのタンパク質が、神経系の変性疾患に対して共通して特に増加するバイオマーカーであることが示唆された。
《実施例4:各神経系の変性疾患に特異的なバイオマーカー》
上記のバイオマーカーで神経系の変性疾患を疑われた場合、さらに疾患特定のための特徴的なバイオマーカーが望まれる。このため、6種の疾患の中で個別疾患で増加する因子を調べた。表4に示したように、共通的ではなく、個別疾患で特徴的にLog2表記で+約1.1を超える因子が、それに該当する。
ADにおいては、Caspase-14(CASP14)、Annexin A2(ANXA2)、Fatty acid-binding protein, epidermal(FABP5)、Insulin-like growth factor-binding protein 2(IGFBP2)の4因子が、特異的に有意に増加していた。
MCIにおいては、while Complement C5(C5)が、特異的に有意な増加と認められた。
PDにおいては、Complement factor H-related protein 1(CFHR1)、Afamin(AFM)の2因子が、特異的に有意に増加したと認められた。
MSAにおいては、Monocyte differentiation antigen CD14(CD14)、Protein kinase C-binding protein NELL2(NELL2)、Phospholipid transfer protein(PLTP)の3因子が、特異的に有意に増加したと認められた。
ALSにおいては、Cell adhesion molecule 3(CADM3)が、特異的に有意に増加したと認められた。
MSにおいては、Chitinase-3-like protein 2(CHI3L2)、Alpha-1-antichymotrypsin(SERPINA3)、Semaphorin-7A(SEMA7A)、Secretogranin-2(SCG2)、Vesicular integral-membrane protein VIP36(LMAN2)の5因子が、特異的に有意に増加したと認められた。
以上より、各疾患に個別に増加したこれらのタンパク質は、対応する各神経系の変性疾患に対して、特異的なバイオマーカーであることが示唆された。
さらに、神経系の変性疾患に共通して増大する因子であっても、各疾患で特に有意に増加する因子は、上記の各疾患において特異的なバイオマーカーと合わせて判定に用いることにより、より高精度に疾患の判定と診断に利用することができる。表4において疾患カバー率(Disease coverage)が2〜5のタンパク質がそれに該当する。
すなわち、ADにおいては、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Protein AMBP(AMBP)、V-type proton ATPase subunit S1(ATP6AP1)、Insulin-like growth factor-binding protein 6(IGFBP6)、Kininogen-1(KNG1)、Keratin, type I cytoskeletal 10(KRT10)、Keratin, type II cytoskeletal 2 epidermal(KRT2)、L-lactate dehydrogenase B chain(LDHB)、Neogenin(NEO1)、Trans-Golgi network integral membrane protein 2(TGOLN2)、Prothrombin(THRB)が利用できる。
また、MCIにおいては、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Actin, cytoplasmic 1(ACTB)、Guanine deaminase(GDA)、Keratin, type I cytoskeletal 10(KRT10)、Reelin(RELN)が利用できる。
PDにおいては、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brevican core protein(BCAN)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Voltage-dependent Ca channel subunit alpha-2/delta-1(CACNA2D1)、Keratin, type II cytoskeletal 2 epidermal(KRT2)、Receptor-type tyrosine-protein phosphatase zeta(PTPRZ1)、Reelin(RELN)が利用できる。
MSAについては、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Cathepsin L1(CTSL1)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Brevican core protein(BCAN)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、Carboxypeptidase N subunit 2(CPN2)、Cathepsin H(CTSH)、Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4(ITIH4)、V-type proton ATPase subunit S1(ATP6AP1)、Complement C2(C2)、Cartilage acidic protein 1(CRTAC1)、Kininogen-1(KNG1)、L-lactate dehydrogenase B chain(LDHB)、Receptor-type tyrosine-protein phosphatase zeta(PTPRZ1)、Thymosin beta-4-like protein 1(TMSL1)が利用できる。
ALSにおいては、Vitamin D-binding protein(GC)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Cathepsin L1(CTSL1)、Macrophage colony-stimulating factor 1(CSF1)、Actin, cytoplasmic 1(ACTB)、Guanine deaminase(GDA)が利用できる。
また、MSにおいては、Plasma alpha-L-fucosidase(FUCA2)、Vitamin D-binding protein(GC)、Neurexin-3-alpha(NRXN3)、V-set and transmembrane domain-containing protein 2A(VSTM2A)、14-3-3 protein zeta/delta(YWHAZ)、Complement factor H(CFH)、Fibulin-1(FBLN1)、Kallikrein-6(KLK6)、Superoxide dismutase [Cu-Zn](SOD1)、Tripeptidyl-peptidase 1(TPP1)、Brain acid soluble protein 1(BASP1)、Brevican core protein(BCAN)、Complement component C9(C9)、Cell growth regulator with EF hand domain protein 1(CGREF1)、ProSAAS(PCSK1)、Antithrombin-III(SLC25A6)、Protein AMBP(AMBP)、Complement C2(C2)、Voltage-dependent Ca channel subunit alpha-2/delta-1(CACNA2D1)、Cartilage acidic protein 1(CRTAC1)、Insulin-like growth factor-binding protein 6(IGFBP6)、Neogenin(NEO1)、Trans-Golgi network integral membrane protein 2(TGOLN2)、Prothrombin(THRB)、Thymosin beta-4-like protein(TMSL1)が利用できる。
本発明は、神経系の変性疾患の検査に利用することができる。

Claims (14)

  1. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、神経系の変性疾患を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1から選択される2種類以上のタンパク質又はその断片である、神経系の変性疾患を検査する方法。
  2. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、アルツハイマー病を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、CASP14、ANXA2、FABP5、IGFBP2から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、アルツハイマー病を検査する方法。
  3. 前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、C9、CGREF1、CPN2、CSF1、CTSH、ITIH4、PCSK1、SLC25A6、AMBP、ATP6AP1、IGFBP6、KNG1、KRT10、KRT2、LDHB、NEO1、TGOLN2、THRBから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、請求項2に記載のアルツハイマー病を検査する方法。
  4. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、軽度認知症を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、C5のタンパク質又はその断片である、軽度認知症を検査する方法。
  5. 前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、NRXN3、YWHAZ、SOD1、CPN2、CSF1、ACTB、GDA、KRT10、RELNから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、請求項4に記載の軽度認知症を検査する方法。
  6. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、パーキンソン病を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、CFHR1、AFMから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、パーキンソン病を検査する方法。
  7. 前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、TPP1、BCAN、CTSH、ITIH4、PCSK1、SLC25A6、CACNA2D1、KRT2、PTPRZ1、RELNから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、請求項6に記載のパーキンソン病を検査する方法。
  8. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、多系統萎縮症を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、CD14、NELL2、PLTPから選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、多系統萎縮症を検査する方法。
  9. 前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、CTSL1、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、BCAN、C9、CGREF1、CPN2、CTSH、ITIH4、ATP6AP1、C2、CRTAC1、KNG1、LDHB、PTPRZ1、TMSL1から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、請求項8に記載の多系統萎縮症を検査する方法。
  10. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、筋萎縮性側索硬化症を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、CADM3のタンパク質又はその断片である、筋萎縮性側索硬化症を検査する方法。
  11. 前記バイオマーカーが、更に、GC、VSTM2A、YWHAZ、CTSL1、CSF1、ACTB、GDAからなる群から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片を組み合わせるものである、請求項10に記載の筋萎縮性側索硬化症を検査する方法。
  12. 被検者から採取された試料中のバイオマーカーの量を測定する工程を含む、多発性硬化症を検査する方法であって、
    前記バイオマーカーは、CHI3L2、SERPINA3、SEMA7A、SCG2、LMAN2から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片である、多発性硬化症を検査する方法。
  13. 前記バイオマーカーが、更に、FUCA2、GC、NRXN3、VSTM2A、YWHAZ、CFH、FBLN1、KLK6、SOD1、TPP1、BASP1、BCAN、C9、CGREF1、PCSK1、SLC25A6、AMBP、C2、CACNA2D1、CRTAC1、IGFBP6、NEO1、TGOLN2、THRB、TMSL1から選択される1種類以上のタンパク質又はその断片の組み合わせである、請求項12に記載の多発性硬化症を検査する方法。
  14. 前記バイオマーカーの量が、健常人と比較して検出量が高いことを指標とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の検査方法。
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