JP2012515915A - 方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象のアルツハイマー病の診断又は予後的モニタリングを補助する方法を提供し、前記方法は、前記患者由来の血液のサンプルを提供するステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量をアッセイするステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量を、健常な対象由来のサンプル中に存在するゲルゾリンの参照量と比較し、前記患者から得たサンプル中のゲルゾリンレベルの検出が、参照サンプルにおけるゲルゾリンレベルよりも低い場合、前記患者におけるアルツハイマー病の可能性の増大を示すステップとを含む。

Description

本発明は、アルツハイマー病と関連する方法及び組成物に関する。特に、本発明は、差次的に発現されるタンパク質を使用してアルツハイマー病を診断的及び予後的に測定する方法を提供する。
アルツハイマー病(AD,Alzheimer's disease)は、高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、現在のところ不治である衰弱性神経変性疾患である。脳の部分、主として、記憶の符号化に関与している領域である海馬のニューロンを破壊する。アルツハイマー病は、認知機能及び機能自律性の不可逆的な進行性の喪失を引き起こす。ADの最も早期の徴候は、単純な物忘れと間違えられ得るが、最終的に疾患を有すると診断される人においては、これらの初期徴候は、精神機能低下の、より重篤な症状に容赦なく進行する。ADが発症するのにかかる時間は、人によって変わるが、進行した徴候として、重篤な記憶機能障害、錯乱、言語障害、人格変化及び行動変化並びに判断力の衰えが挙げられる。ADを有する人は、話し好きでなく(non-communicative)なり、非友好的になることがある。この疾患は、その進行が重度の認知症に終わるので、患者は、自身のケアができず、施設収容又は家庭環境における専門家のケアを必要とすることが多い。患者の中には、ADと診断を受けた後、長年生存する人もいるが、診断後の平均余命は、8年である。
かつては、ADは、脳の生検によって又は患者が死亡した後の剖検の際にのみ明確に診断することができた。脳中の特徴的なプラーク及び濃縮体病変の存在を実証するこれらの方法は、依然として、ADの病理学的診断のゴールドスタンダードと考えられている。しかし、臨床設定では、脳の生検は、稀にしか実施されず、診断は、一連の神経学的検査、心理測定的検査、脳脊髄液及び血液中のApoE及びタウタンパク質又はβ−アミロイドペプチドなどの生化学的マーカーの測定をはじめとする生化学的検査に依存している。
AD及びその他の認知症を診断するためのより良好なバイオマーカーが必要とされている。ADの診断検査のための必要条件を満たす生物学的マーカーは、いくつかの利点を有する。理想的な生物学的マーカーは、脳撮像及び神経病理学的検査において変性が観察される前の、疾患の極初期に、ADの症例を同定するものであろう。バイオマーカー又はバイオマーカー群の検出は、可能な限り早期に治療を開始するための最初の指標であり、新規治療、特に、神経病理学的変化の発生を防止することに焦点が絞られているものの有効性をスクリーニングすることにおいても極めて有益であり得る。生物学的マーカーはまた、疾患の発生のフォローアップにおいても有用であろう。
プラーク及び濃縮体などのADの病理学的特徴と関連しているマーカー(Aβ及びタウ)は、最も広く研究されている。最も有望なことは、ADにおけるAβ(1〜40)、Aβ(1〜42)及びタウ又は両タンパク質の組合せのCSF濃度の研究から得られている。多数の研究が、総Aβタンパク質又はAβ(1〜40)濃度は変化しないままの、CSF中のAβ(1〜42)の減少を報告している(Ida, Hartmann et al. 1996;Kanai, Matsubara et al. 1998;Andreasen, Hesse et al. 1999)。
Aβ及びタウの脳脊髄液(CSF,cerebrospinal fluid)レベルは、ADの診断のための見込みのあるバイオマーカーであるが、それらは、より入手しやすい体液においてはこのような診断的有用性は示していない。脳脊髄液は、ヒト患者から得ることが困難である。その採取は、通常、鎮静下で実施される、腰椎穿刺などの深刻な侵襲的な技術を含む。これは、高度の技能を有する複雑な手順であり、資格のある、特別に訓練された医療スタッフを必要とする。さらに、多大な時間を必要とし、麻酔薬並びに、患者からの長時間の協力を必要とする場合もある。さらに、脳脊髄液の採取は、不快であり、有痛性の手順であることも多く、長期の頭痛が、よく起こる症状であり、並びに、患者に対して感染の固有のリスク及び麻痺の可能性を持っている。
日常の臨床サンプルとしての脳脊髄液の制限を考慮して、アルツハイマー病などの神経変性状態のバイオマーカーの供給源として相当な注目が、血漿に存在する。国際公開第WO06/035237号パンフレットにはいくつかの差次的に発現されるタンパク質を同定し、アルツハイマー病の診断のための特定の方法を記載したプロテオミクス研究が記載されている。
しかし、依然として、アルツハイマー病と関連していることが当技術分野で公知のバイオマーカーは、制限された、又はわずかな予後的価値しか有さないということは事実である。一般的な神経学的症状及び不正確な認知機能検査に基づいた、アルツハイマー病の現在の臨床診断は、合理的に強固であるが、生存している患者における疾患の進行の可能性を説明、特に、予測するのに問題が残っている。したがって、予後並びに診断は、生存している患者に関連して、当技術分野で問題のままである。
本発明は、先行技術と関連する問題を克服しようとするものである。
国際公開第WO06/035237号パンフレット
Ida, Hartmann et al. 1996 Kanai, Matsubara et al. 1998 Andreasen, Hesse et al. 1999
概して、本発明は、アルツハイマー病のリスクがある、又はアルツハイマー病を患っている患者を診断的及び予後的にモニタリングするための方法、試薬及びキットを対象とする。より詳しくは、本発明は、血漿中のそのレベルが変わり、各タンパク質のレベルが、疾患を発生するリスクのある患者の特定の特徴に関する情報、及び/又はすべてのこのような疾患の進行の速度に関する情報も提供する3種のタンパク質マーカーを記載する。
一態様では、本発明は、ヒト又は動物対象においてアルツハイマー病における認知低下の進行の性質又は程度を測定する方法を提供し、この方法は、前記対象から得た組織サンプル又は体液サンプルにおける、本明細書に記載される方法によって同定された、1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質のレベルを検出することを含む。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病を発症するリスクがあるヒト又は動物対象において、アルツハイマー病を発症するおよその年齢を決定する方法を提供し、この方法は、前記対象から得た組織サンプル又は体液サンプルにおける、本明細書に記載される方法によって同定された、1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質マーカーのレベルを検出することを含む。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病を発症する個人のリスクを決定する方法を提供し、この方法は、前記対象から得た組織サンプル又は体液サンプルにおける、本明細書に記載される方法によって同定された、1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質マーカーのレベルを検出することを含む。
別の態様では、本発明は、治療に対する、ADを有する対象の反応を予測及び/又はモニタリングする方法を提供し、この方法は、前記対象から得た組織サンプル又は体液サンプルにおける、本明細書に記載される方法によって同定された、1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質マーカーのレベルを検出することを含む。これに関連して、対象は、ヒト対象であり得るか、又は非ヒト対象であり得るということは理解される。非ヒト対象として、遺伝子増幅、遺伝子ノックダウン及びトランスジェニックモデルをはじめとする、ADの非脊椎動物及び脊椎動物モデルが挙げられる。
特定の実施形態では、同一患者から採取した一連の診断用サンプルにおける、本発明のバイオマーカーのレベルを測定することが好ましい。時間とのバイオマーカーのレベルの変化は、発生、進行の継続する速度及び/又はADの治療に対する患者の反応についてさらなる臨床的に有用な情報を提供し得る。
本発明の各態様では、本方法を実施するのに有用な試薬及びキットが提供される。
特に、診断的及び予後的方法が、血液から得られる特定のタンパク質マーカー(バイオマーカー)のアッセイを含むことが、本発明の特別な利点である。血液は、最小の侵襲性しか伴わず、容易に、迅速に採取される。さらに、血液の採取には、脳脊髄液の採取よりも、実質的に少ない医学訓練及び資格しか必要でなく、このため、より安価且つ容易に入手することが可能になる。さらに、本発明の方法が血液中での検出に基づくことによって、患者のリスクが最小にされ得る、又は取り除かれ得ることが有利である。
さらに、本発明者らは、アルツハイマー病に関連して、特定の特性、特に、血液中で検出される能力及び信頼性のある診断的及び/又は予後的指標を与える能力を共有する、バイオマーカーの定義された群を同定している。したがって、本発明は、アルツハイマー病の診断を補助する方法及びアルツハイマー病を有する患者の予後の予測を補助する方法を提供することが有利である。本方法はまた、アルツハイマー病を患っている患者の治療の有効性のモニタリングにも適用することができ、これにより、バイオマーカー血漿レベルの変化が非アルツハイマー状態へと向かう、又は前記状態に戻る場合、治療が成功していることが証明される。
具体的には、本発明は、アルツハイマー病を有する個体の血漿中で、正常状態のその発現に対して差次的に発現されるタンパク質を同定及び記載し、特に、発症の年齢及びアルツハイマー病における認知低下の推定速度を規定することと関連しているタンパク質を同定及び記載する。さらに、本発明は、差次的に発現されるタンパク質を使用して、アルツハイマー病を診断的及び予後的に測定する方法を提供する。さらに、本発明は、アルツハイマー病の診断及び予後的モニタリングのための試薬及びキットを提供する。
したがって、本発明は、対象においてアルツハイマー病の診断を補助する方法を提供し、前記方法は、前記対象由来の血液のサンプルを提供するステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量をアッセイするステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量を、健常な対象から得た参照サンプル中に存在するゲルゾリンの参照量と比較し、前記対象から得たサンプル中のゲルゾリンレベルの検出が、参照サンプルにおけるゲルゾリンレベルより低い場合、前記対象のアルツハイマー病の可能性の増大を示すステップとを含む。参照サンプルは、無関係の健常な対象から採取されてもよいし、アルツハイマー病症状の発症の前に同一対象から得た初期サンプルであってもよいということは理解されよう。
別の態様では、本発明は、対象のアルツハイマー病の診断又は予後的モニタリングを補助する方法に関し、前記方法は、前記対象から得た関連組織のサンプルを提供するステップと;ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンから選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップと;前記サンプル中に存在する前記1種又は2種以上のタンパク質の量を、健常な対象から得たサンプル中の同一タンパク質の参照量と比較し、参照サンプルにおいて観察されるレベルと異なるレベルが検出された場合、前記対象においてアルツハイマー病が存在又は発症又は進行している可能性の増大を示すステップとを含む。
別の態様では、本発明は、対象においてアルツハイマー病の診断又は予後的モニタリングを補助する方法に関し、前記方法は;
(i)前記対象から関連組織のサンプルを提供するステップと;
(ii)ゲルゾリンの量を測定するステップと;
(iii)C1プロテアーゼ阻害剤;
セルロプラスミン;
クラステリン;
補体c3;
血清アミロイドP成分;
α−2−マクログロブリン;
γ−フィブリノゲン;
補体因子H;及び
アポリポタンパク質E
から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップと;
(iv)前記サンプル中に存在する、前記ゲルゾリン及び前記1種又は2種以上のタンパク質の量を、健常な対象から得たサンプル中の同一タンパク質の参照量と比較し、参照サンプルにおいて観察されるレベルと異なるレベルが検出された場合、前記対象においてアルツハイマー病が、存在又は発症又は進行している可能性の増大を示すステップと
を含む。
ステップ(iii)は、
クラステリン;
補体c3;
血清アミロイドP成分;
α−2−マクログロブリン;
γ−フィブリノゲン;
補体因子H;及び
アポリポタンパク質E
から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップを含むことが適している。
ステップ(iii)は、
C1プロテアーゼ阻害剤;及び
セルロプラスミン
から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップを含むことが適している。
別の態様では、本発明は、上記のように、前記対象から得た血液のサンプル中のゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミン各々のレベルをアッセイするステップを含む方法に関する。
サンプルは、血液を含むことが適している。
サンプルは、血漿を含むことがより適している。
前記血漿は、アルブミン;トランスフェリン;IgG;IgA;アンチトリプシン及びハプトグロビンのうち1種又は2種以上を枯渇させ得ることが適している。このような枯渇は、本発明の方法の分析ステップに先立っていることが適している。
前記血漿は、アルブミン;トランスフェリン;IgG;IgA;アンチトリプシン及びハプトグロビンの各々を枯渇していることが適している。
タンパク質は、ウエスタンブロッティングによって検出されることが適している。
タンパク質は、ビーズサスペンションアレイによって検出されることが適している。
タンパク質は、平面アレイによって検出されることが適している。
タンパク質は、同重核タンパク質タギングによって検出されることが適している。この実施形態は、同じ質量をすべて有することを含む。この実施形態では、TMT標準物質型アプローチを使用してアッセイすることができる。
タンパク質は、同位体タンパク質タギングによって検出されることが適している。この実施形態は、同じ同一化学構造内に異なる質量を有することを含む。この実施形態では、TMT−SRM型アプローチを使用してアッセイすることができる。AQUAなどの同位体希釈アッセイが使用され得ることが適している。
タンパク質は、質量分析計ベースのアッセイによって検出されることが適している。
タンパク質は、ゲルゾリンであり、表Bの以下のペプチド:配列番号30、配列番号31、配列番号32のうち1種又は2種以上への参照によって検出されることが適している。
別の態様では、本発明は、ポリペプチド又はそのバリアント又は突然変異体を認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する物質の、アルツハイマー病に関連する、診断的、予後的及び治療的適用のための使用に関連し、これでは、ポリペプチドは、ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択される。
別の態様では、本発明は、物質の組合せの上記のような使用に関し、前記物質の各々がそれぞれ、前記ポリペプチド又はそのバリアント又は突然変異体のうち1種又は2種以上を認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する物質の組合せの上記のような使用に関する。
各物質が、抗体又は抗体チップであることが適している。
物質は、前記ポリペプチド又はその断片、それらのバリアント又は突然変異体のうち1種又は2種以上に対して特異性を有する抗体であることが適している。
別の態様では、本発明は、アルツハイマー病の診断において使用するためのアッセイ装置であって、ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチド又はその断片、それらのバリアント又は突然変異体を認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する物質を含有する位置を有する固体基質を含む装置に関する。
各位置がゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチド又はその断片、それらのバリアント又は突然変異体を認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する物質を含有する複数の位置を固体基質が有することが適している。
物質は、抗体又は抗体チップであることが適している。
上記のアッセイ装置は、各抗体に対してユニークなアドレス可能な位置を有し、それによって、個々のポリペプチド、又はポリペプチドの任意の組合せのアッセイ読み取りを可能にすることが適している。
上記のアッセイ装置は、ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチドに対する抗体を含むことが適している。
上記のアッセイ装置は、グルタチオンSトランスフェラーゼPを認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する物質を含有する位置をさらに有することが適している。
物質が、抗体又は抗体チップであることが適している。
別の態様では、本発明は、上記のアッセイ装置及び対象から採取された体液のサンプルにおける1種又は2種以上のポリペプチドの量を検出するための手段を含む、アルツハイマー病の診断において使用するためのキットに関する。
別の態様では、本発明は、ゲルゾリンポリペプチドの検出において使用するためのキットに関し、前記キットは、以下の表Bのペプチド:配列番号30、配列番号31、配列番号32のうち1種又は2種以上を含む。
別の態様では、本発明は、以下の表Bのペプチド:配列番号30、配列番号31、配列番号32のうち1種又は2種以上を含む、アルツハイマー病の診断において使用するためのキットに関する。前記キットは、少なくとも1種のさらなる表Bのペプチドを含むことが適している。
一実施形態では、前記ペプチドのうち1種又は2種以上は、重同位体を含むことが適している。前記ペプチドのうち1種又は2種以上が、いくつかの重同位体を含むことが適している。このような同位体は、炭素−13又は窒素−15を含み得る。この実施形態の利点は、重同位体が、そうでなければ不変のペプチドに、異なる質量を提供し、それによって、その検出/同定を容易にするということである。
一実施形態では、前記ペプチドのうち1種又は2種以上は、TMTタグを含むことが適している。前記キットは、サンプルポリペプチドの標識のために、さらなる同位体TMTタグを含むことが適している。このようなタグは、TMT−6を含み得ることが適している。
別の態様では、本発明は、対象のAPOE ε4遺伝子型を決定する方法に関し、前記方法は、前記対象から得た血液のサンプルにおけるC1プロテアーゼ阻害剤レベルをアッセイするステップを含む。
別の態様では、本発明は、対象のアルツハイマー病の発症の年齢を予測する方法に関し、前記方法は、前記対象から得た血液のサンプルにおけるセルロプラスミンレベルをアッセイするステップを含む。
バイオマーカー
バイオマーカーは、ゲルゾリン(例えば、配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(本明細書において「C1阻害剤」又は「C1 inh」とも呼ばれる)(例えば、配列番号2)及びセルロプラスミン(例えば、配列番号3)のうち1種又は2種以上であることが適している。これらのマーカーは各々、血液中で検出可能であるという利点を有する。
したがって、AD及びNDCを識別するのに重要である、この研究において示されるバイオマーカータンパク質として、ゲルゾリン、C1阻害剤及びセルロプラスミンがある。
ゲルゾリンは、ADにおいて低レベルで見られ、年間の認知低下と相関していた。したがって、ゲルゾリンは、本発明の好ましいバイオマーカーである。
AD及びNDCを識別するのに重要であると、多変数解析においてわかった2種のその他のタンパク質として、C1阻害剤及びセルロプラスミンがある。C1阻害剤タンパク質及びセルロプラスミンは、その他の臨床パラメータ、すなわち、APOE ε4遺伝子型及び発症の年齢と関連している。これら後者のタンパク質は、AD及びNDC間の血漿タンパク質レベルにおいて統計的に有意な相違は示さなかったが、それらは、それぞれ、APOE ε4遺伝子型及び発症の年齢と関連しており、それによって、ADの発症の個々のリスクを同定する手段及び/又は診断された疾患の期間を評価する手段を提供する。したがって、3種のバイオマーカーすべてが、アルツハイマー病診断、予後及び治療的モニタリングの共通領域において重要である。
ゲルゾリン
ゲルゾリンは、アクチン脱重合因子(ADF,actin-depolymerizing factor)又はブレビンとも呼ばれ、サイトゾル及びミトコンドリア中で細胞内に、並びに、血漿中で細胞外に生じる。この82kDaの大きさのタンパク質の主な機能は、アクチンフィラメントのアセンブリーの重要なレギュレーターとしてであり、Ca2+によって調節されるとわかっている(Sun HQ, Yamamoto M, Mejillano M, Yin HL (Gelsolin, a multifunctional actin regulatory protein. The Journal of biological chemistry 274:33179-33182.1999))。アミノ酸の交換につながる、ゲルゾリン遺伝子中の単一のヌクレオチド突然変異が、家族性アミロイドーシスフィンランド型の原因であることは興味深い(Levy E, Haltia M, Fernandez-Madrid I, Koivunen O, Ghiso J, Prelli F, Frangione B (Mutation in gelsolin gene in Finnish hereditary amyloidosis. The Journal of experimental medicine 172:1865-1867.1990、Maury CP, Kere J, Tolvanen R, de la Chapelle A (Finnish hereditary amyloidosis is caused by a single nucleotide substitution in the gelsolin gene. FEBS letters 276:75-77.1990))。ゲルゾリンはまた、家族型の脳アミロイド血管症とも関連しており(Kiuru S, Salonen O, Haltia M (Gelsolin-related spinal and cerebral amyloid angiopathy. Annals of neurology 45:305-311.1999))、Aβと濃度依存的に結合することがわかった(Chauhan VP, Ray I, Chauhan A, Wisniewski HM (Binding of gelsolin, a secretory protein, to amyloid beta-protein. Biochemical and biophysical research communications 258:241-246.1999、Ji L, Chauhan A, Chauhan V (Cytoplasmic gelsolin in pheochromocytoma-12 cells forms a complex with amyloid beta-protein. Neuroreport 19:463-466.2008))。ゲルゾリンは、Aβペプチドの線維化を阻害し、また、予め形成されたAβ原線維を脱線維化し得る(Ray I, Chauhan A, Wegiel J, Chauhan VP (Gelsolin inhibits the fibrillization of amyloid beta-protein, and also defibrillizes its preformed fibrils. Brain research 853:344-351.2000))。また、ゲルゾリンは、アポトーシス性のミトコンドリア変化を阻害することによるAβ誘導性細胞毒性の阻害において重要な役割を果たすこともわかった(Qiao H, Koya RC, Nakagawa K, Tanaka H, Fujita H, Takimoto M, Kuzumaki N (Inhibition of Alzheimer's amyloid-beta peptide-induced reduction of mitochondrial membrane potential and neurotoxicity by gelsolin. Neurobiology of aging 26:849-855.2005))。アミロイドプラークは、ADにおける2つの主な病理学的所見の1つであり、脳プラーク負荷を低減するために種々の戦略が取り組まれてきた。中枢神経系(CNS)からのAβのクリアランスの増大は、ヒトにおいて記憶機能を改善し(Gilman S, Koller M, Black RS, Jenkins L, Griffith SG, Fox NC, Eisner L, Kirby L, Rovira MB, Forette F, Orgogozo JM (Clinical effects of Abeta immunization (AN1792) in patients with AD in an interrupted trial. Neurology 64:1553-1562.2005))、トランスジェニックマウスにおいて行動の欠陥を低減する(Janus C, Pearson J, McLaurin J, Mathews PM, Jiang Y, Schmidt SD, Chishti MA, Horne P, Heslin D, French J, Mount HT, Nixon RA, Mercken M, Bergeron C, Fraser PE, St George-Hyslop P, Westaway D (A beta peptide immunization reduces behavioural impairment and plaques in a model of Alzheimer's disease. Nature 408:979-982.2000))とわかった。末梢シンク仮説とも呼ばれる、これを達成するための1つの戦略は、能動若しくは受動免疫を用いるか、又はゲルゾリンをはじめとするその他のAβ結合タンパク質によるものであろうと(Matsuoka Y, Saito M, LaFrancois J, Saito M, Gaynor K, Olm V, Wang L, Casey E, Lu Y, Shiratori C, Lemere C, Duff K (Novel therapeutic approach for the treatment of Alzheimer's disease by peripheral administration of agents with an affinity to beta-amyloid. J Neurosci 23:29-33.2003))、末梢に対する血漿及びCNS間のAβ平衡を変化させることによるものである(Matsuoka Y, Saito M, LaFrancois J, Saito M, Gaynor K, Olm V, Wang L, Casey E, Lu Y, Shiratori C, Lemere C, Duff K (Novel therapeutic approach for the treatment of Alzheimer's disease by peripheral administration of agents with an affinity to beta-amyloid. J Neurosci 23:29-33.2003))。これと一致して、血漿ゲルゾリンの末梢発現の誘導がまた、脳Aβを低減することがわかり、ADの予防又は治療のための適した遺伝子治療的アプローチとして示唆された(Hirko AC, Meyer EM, King MA, Hughes JA (Peripheral transgene expression of plasma gelsolin reduces amyloid in transgenic mouse models of Alzheimer's disease. Mol Ther 15:1623-1629.2007))。ゲルゾリンがAβと結合し、Aβ原線維の毒性を低減し、CNS中のAβ負荷を低下させることを考慮すると、本明細書において本発明者らが示すような、ADにおける血漿ゲルゾリンレベルの低下が、より早い疾患進行の一因となっているということはもっともらしい。
マーカーは、ゲルゾリンであることが適している。マーカーがゲルゾリンである場合には、ゲルゾリンの血液レベルが、ゲルゾリンの正常又は参照血液レベルと比較されることが適している。患者において検出されるゲルゾリンのレベルが、正常又は参照サンプルにおけるゲルゾリンのレベルよりも低いと見られる場合には、アルツハイマー病を有する患者の可能性の増大を示す。
ゲルゾリンレベルはまた、認知低下の速度の予測因子として使用され得ることが有利である。具体的には、低いゲルゾリンレベルは、高いレベルの年間の認知低下と相関する。言い換えれば、患者の血液において検出されるゲルゾリンレベルの、正常又は参照サンプルにおいて検出されるものよりも低い度合が、その患者について年々予想又は予測される認知低下の程度と相関する。
さらに、ゲルゾリンレベルがまた、疾患進行速度と相関すると示されることは驚くべきことである。言い換えれば、正常又は参照サンプルと比較される、患者から得た血液において見られるゲルゾリンレベルのレベルが低いほど、その患者について予測される疾患進行速度が速い。
疾患進行の血液ベースのマーカーが、本明細書に教示されることが本発明の利点である。さらに、血液ベースバイオマーカーのレベルが、その患者の疾患進行速度を予測するために使用され得ることが本発明の利点である。
C1プロテアーゼ阻害剤
血漿プロテアーゼC1阻害剤(C1 inh, C1 inhibitor)は、補体経路の阻害剤であり、いわゆるセルピン、セリンプロテアーゼ阻害剤のメンバーである。C1 inhは、急性相タンパク質であり、その主な機能は、自発的活性化を防ぐための補体系の阻害である。C1 inhの欠乏症は、後天性及び遺伝性血管浮腫(angiodema)の発症において原因として働く(Carugati A, Pappalardo E, Zingale LC, Cicardi M (C1-inhibitor deficiency and angioedema. Molecular immunology 38:161-173.2001))。ADでは、補体経路の活性化は、すでに、極初期において生じることが知られており(McGeer PL, McGeer EG (The possible role of complement activation in Alzheimer disease. Trends in molecular medicine 8:519-523.2002))、C1 inhをはじめとするその構成要素のいくつかは、アミロイドプラークと関連していることがわかっている(Veerhuis R, Janssen I, Hoozemans JJ, De Groot CJ, Hack CE, Eikelenboom P (Complement C1-inhibitor expression in Alzheimer's disease. Acta neuropathologica 96:287-296.1998)、Strohmeyer R, Ramirez M, Cole GJ, Mueller K, Rogers J (Association of factor H of the alternative pathway of complement with agrin and complement receptor 3 in the Alzheimer's disease brain. Journal of neuroimmunology 131:135-146.2002))。C1 inhは、最近、ロシグリタゾンで治療される患者におけるAD血漿中のバイオマーカーとしても示唆されている(Akuffo EL, Davis JB, Fox SM, Gloger IS, Hosford D, Kinsey EE, Jones NA, Nock CM, Roses AD, Saunders AM, Skehel JM, Smith MA, Cutler P (The discovery and early validation of novel plasma biomarkers in mild-to-moderate Alzheimer's disease patients responding to treatment with rosiglitazone. Biomarkers 13:618-636.2008))。しかし、C1 inh及びCD59は、ADにおいて補体活性化を効果的に阻害しないことがわかったので(Yasojima K, McGeer EG, McGeer PL (Complement regulators C1 inhibitor and CD59 do not significantly inhibit complement activation in Alzheimer disease. Brain research 833:297-301.1999))、疾患経過におけるC1 inhの役割は、不明のままである。
C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、APOE ε4(APOEイプシロン4)遺伝子型の指標として、本発明に従って有利に使用され得る。C1プロテアーゼ阻害剤のレベルは、アルツハイマー病の診断において単独で使用されないことが適しており、むしろ、その他のマーカーと組み合わせて有利であり、又はAPOE ε4遺伝子型の診断を補助するために単独で使用される。
セルロプラスミン
セルロプラスミンは、フェロキシダーゼとしても知られ、血液中の主要な銅輸送タンパク質であり、鉄代謝においてもまた役割を果たす。銅欠乏症は、ADの原因の1つとして考えられており、広く研究され、概説されている(Gaggelli E, Kozlowski H, Valensin D, Valensin G (Copper homeostasis and neurodegenerative disorders (Alzheimer's, prion, and Parkinson's diseases and amyotrophic lateral sclerosis). Chemical reviews 106:1995-2044.2006))。セルロプラスミンレベルは、血液(Giometto B, Argentiero V, Sanson F, Ongaro G, Tavolato B (Acute-phase proteins in Alzheimer's disease. European neurology 28:30-33.1988)、Hye A, Lynham S, Thambisetty M, Causevic M, Campbell J, Byers HL, Hooper C, Rijsdijk F, Tabrizi SJ, Banner S, Shaw CE, Foy C, Poppe M, Archer N, Hamilton G, Powell J, Brown RG, Sham P, Ward M, Lovestone S (Proteome-based plasma biomarkers for Alzheimer's disease. Brain 129:3042-3050.2006)、Kessler H, Pajonk FG, Meisser P, Schneider-Axmann T, Hoffmann KH, Supprian T, Herrmann W, Obeid R, Multhaup G, Falkai P, Bayer TA (Cerebrospinal fluid diagnostic markers correlate with lower plasma copper and ceruloplasmin in patients with Alzheimer's disease. J Neural Transm 113:1763-1769.2006))、CSF(Loeffler DA, DeMaggio AJ, Juneau PL, Brickman CM, Mashour GA, Finkelman JH, Pomara N, LeWitt PA (Ceruloplasmin is increased in cerebrospinal fluid in Alzheimer's disease but not Parkinson's disease. Alzheimer disease and associated disorders 8:190-197.1994))及び脳組織(Connor JR, Tucker P, Johnson M, Snyder B (Ceruloplasmin levels in the human superior temporal gyrus in aging and Alzheimer's disease. Neuroscience letters 159:88-90.1993)、Loeffler DA, LeWitt PA, Juneau PL, Sima AA, Nguyen HU, DeMaggio AJ, Brickman CM, Brewer GJ, Dick RD, Troyer MD, Kanaley L (Increased regional brain concentrations of ceruloplasmin in neurodegenerative disorders. Brain research 738:265-274.1996)、Loeffler DA, Sima AA, LeWitt PA (Ceruloplasmin immunoreactivity in neurodegenerative disorders. Free radical research 35:111-118.2001))において研究されており、異なる結果が得られている。本発明者らの研究では、セルロプラスミンレベルの、発症の年齢との有意な(正の)相関が確立された。銅輸送におけるその主な機能及び観察された発症の年齢との相関のために、銅の不均衡が、ADの発症及び経過に対して主要な影響を有すると思われる。
本発明は、アルツハイマー病の発症の年齢の診断又は予測の補助におけるセルロプラスミンレベルの使用を提供することが有利である。特に、セルロプラスミンレベルとアルツハイマー病の発症の年齢との正の相関が、本明細書に開示されている。セルロプラスミンレベルは、アルツハイマー病の診断のために単独で使用されないことが適している。セルロプラスミンレベルは、アルツハイマー病の診断の補助においてその他のマーカーと組み合わせて使用され得ることが適しているか、又は、セルロプラスミンレベルは、特定の患者については、アルツハイマー病の発症の年齢の予測の補助のために単独で使用されることが好ましい。
組合せ
本発明は、より強固な診断又は予後を提供するためのバイオマーカーの群の一部として適用され得る。さらに、本発明は、所与の患者の病状又はあり得る結果のより完全な像を提供するためのバイオマーカー群の一部として提供され得る。
ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンのうち少なくとも1種が、適したことには、本発明の広いマーカー群で、本発明に従ってアッセイされることが適している。
ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンのうち少なくとも2種が、適したことには、本発明のマーカーの、より広い群で、本発明に従ってアッセイされることがより適している。
2種のマーカーがアッセイされる場合には、それらのマーカーが、ゲルゾリン及びC1プロテアーゼ阻害剤であることが適している。これによって、有利なことに、Apoε4についての別個の遺伝子型検査を実施することを避けながら、単一アッセイ形式などでのAPOE ε4(「APOEイプシロン4」)遺伝子型の指標とともに、疾患の診断の補助が可能となる。
本発明に従って2種のマーカーがアッセイされる場合には、それらのマーカーは、ゲルゾリン及びセルロプラスミンであることが適している。これは、特定の患者の発症の年齢の予測を補助するという利点及びその患者が疾患をすでに発症しているか否かの診断を補助するという利点を提供する。したがって、ゲルゾリンレベルが正常であるが、セルロプラスミンレベルが、特定の発症の年齢を示すと見られる場合には、ゲルゾリン/セルロプラスミン組合せアッセイの結果に基づいて、その患者の再検査又はモニタリングが示されることが有利であり得る。
本発明に従って、2種のマーカーがアッセイされる場合には、それらのマーカーは、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンであり得る。この組合せは、病状の診断の直接的な指標を提供しないと予想される。この組合せは、その特定の患者のリスクの評価において有用であり得る、患者について記述的/予測的情報を提供するという利点を提供する。さらに、この組合せのマーカーが使用される場合には、アルツハイマー病の正の診断に関するカウンセリングの問題が避けられることが有利である。さらに、この組合せのマーカーは、例えば、感受性の指標又は疾患を発症する可能性を提供するために、プレスクリーニングとして有用に使用され得、セルロプラスミン/C1プロテアーゼ阻害剤を組み合わせた結果から得られた指標に応じて、患者に適当な将来の時点で最大限の診断検査が予定され得る。
3種以上のバイオマーカーが、本発明に従ってアッセイされる場合には、それらのバイオマーカーが、ゲルゾリンC1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンを含むことが適している。この組合せは、所与の分析について、患者に提供される情報の量を最大にすることが有利である。
当然のことながら、熟練した読み手であれば、本発明の特定のバイオマーカーは、当技術分野で公知のその他のマーカーと組み合わされることが有利であり得るということは理解されよう。本明細書において論じられる特定のバイオマーカーを含むこのような拡張されたマーカー群は、当然、本発明によって包含されるよう意図される。このようなマーカー群の実施形態における検査のためのさらなる既知マーカーの選択は、適当な供給源に従って、熟練した読み手によって達成され得る。これに関連して、さらなるバイオマーカーが、ADと、ADの差次的診断が必要とされるその他の神経学的状態と、又はADの患者と関連していることが多いか、若しくはその症状がADのものを摸倣するその他の疾患と関連し得る。ADと関連しているさらなるマーカーの1つのこのようなセットが、国際公開第WO06/035237号パンフレットに提供されている。
したがって、マーカーの好ましい群は、
ゲルゾリン(Swiss prot受託番号P06396;配列番号1)と、
C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)
セルロプラスミン(配列番号3)
クラステリン(SwissProt受託番号P10909;配列番号4)
補体c3(P01024;配列番号5)
血清アミロイドP成分(P02743;SAP;配列番号6)
α−2−マクログロブリン(P01023;A2M;配列番号7)
γ−フィブリノゲン(P02679;配列番号8)
補体因子H(P08603;CFH;配列番号9)
アポリポタンパク質E(P02649;ApoE;配列番号10)
から選択される1種又は2種以上のタンパク質を含む。
一実施形態では、本発明は、対象においてアルツハイマー病の診断を補助する方法を提供し、前記方法は、前記対象由来の血液のサンプルにおける、ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンのうち少なくとも2種をアッセイすることを含む。前記対象由来の血液のサンプルにおける、ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンの各々のレベルが、アッセイされることが適している。
前記対象は、ヒトであることが適している。
前記対象は、非ヒト哺乳類であることが適している。
前記対象は、げっ歯類であることが適している。
サンプル
サンプルは、ADを有する疑いがあるか、又はADを発症するリスクがある対象から得ることができるいかなる組織であってもよい。ヒトに関連して、サンプルは体液であることが好ましい。サンプルは血液であることがより好ましい。サンプルは血漿であることが、さらにより好ましい。
特に、アッセイされているバイオマーカーが、ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンのうち1種又は2種以上を含む場合には、サンプルとして、脳脊髄液が特別に排除されることが適している。当然のことながら、その他のバイオマーカーのアッセイを含む本発明のさらなる実施形態では、脳脊髄液は、より広い分析の一部として分析され得る。
サンプルは、血漿などの血液に由来する物質を含み得る。全血からの血漿の調製は、全血中に存在する細胞の遠心除去などによって、当業者によって容易に達成される。
血漿は、比較的容易に得ることができ、脳をはじめとするその他の臓器のサブプロテオームを反映し得る。可能性のあるバイオマーカーを同定するために、血漿及び血清において、候補タンパク質群及びゲルベースのプロテオミクスの両方がこれまでに使用され、幾分か成功しているが(Hye A, Lynham S, Thambisetty M, Causevic M, Campbell J, Byers HL, Hooper C, Rijsdijk F, Tabrizi SJ, Banner S, Shaw CE, Foy C, Poppe M, Archer N, Hamilton G, Powell J, Brown RG, Sham P, Ward M, Lovestone S (Proteome-based plasma biomarkers for Alzheimer's disease. Brain 129:3042-3050.2006)、Ray S, Britschgi M, Herbert C, Takeda-Uchimura Y, Boxer A, Blennow K, Friedman LF, Galasko DR, Jutel M, Karydas A, Kaye JA, Leszek J, Miller BL, Minthon L, Quinn JF, Rabinovici GD, Robinson WH, Sabbagh MN, So YT, Sparks DL, Tabaton M, Tinklenberg J, Yesavage JA, Tibshirani R, Wyss-Coray T (Classification and prediction of clinical Alzheimer's diagnosis based on plasma signaling proteins. Nature medicine 13:1359-1362.2007)、Baranowska-Bik A, Bik W, Wolinska-Witort E, Martynska L, Chmielowska M, Barcikowska M, Baranowska B (Plasma beta amyloid and cytokine profile in women with Alzheimer's disease. Neuro endocrinology letters 29:75-79.2008))、本発明者らの知る限り、非ゲルベースのプロテオミクスは、ADにおける血漿マーカーの探索においてこれまでに使用されていない。
質量分析を用いる血漿のプロテオーム解析に関する問題の1つは、血漿タンパク質の莫大なダイナミックレンジである。タンパク質レベルの幅は、10桁という大きさにまで及び、これによって、少量のタンパク質の調査が不可能に近くなる(Anderson NL, Anderson NG (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects. Mol Cell Proteomics 1:845-867.2002)、Jacobs JM, Adkins JN, Qian WJ, Liu T, Shen Y, Camp DG, 2nd, Smith RD (Utilizing human blood plasma for proteomic biomarker discovery. Journal of proteome research 4:1073-1085.2005))。フラグメンテーションのために短期間で最も突出したピークが選択されるLC/MS/MSにおける機器の設定では、多量の血清アルブミン及びその他のタンパク質のために、分画されていない血漿中の少量のタンパク質の同定及び定量化が可能にならない。これは、同定される少数のタンパク質に反映される。ダイナミックレンジを低減するための1つのアプローチとして、最高量のタンパク質のサンプルを枯渇させることがあり、この場合には、本発明者らは、アルブミン、トランスフェリン、IgG、IgA、アンチトリプシン及びハプトグロビンを除去するための免疫親和性カラムを使用してこのアプローチを例示する。同定可能な、定量可能なタンパク質の数は相当増大され得、種々のサンプル間で相対的なタンパク質レベルが比較された。
したがって、本発明のサンプルは、処理された血漿であり得ることがより適している。例えば、血漿は、大量のタンパク質を除去し、それによって、検出可能なタンパク質の数を増大し、低い絶対濃度で存在するタンパク質の検出性を高めるよう、処理され得る。血漿から大量のタンパク質を枯渇させるための技術は、当技術分野で周知である。特に、分析のために血漿を処理するために、複数の親和性除去システムが使用され得ることが好都合である。例示的システムは、本出願の実施例の節に記載されている。
さらに、サンプルは、血漿タンパク質を適宜含み得る。この実施形態では、血漿は、本明細書に記載されるように処理され得、次いで、分析機器における優れた性能などの利点を提供し得る、前記血漿に由来するタンパク質を含むサンプルに達するよう、サイズ排除クロマトグラフィー、バッファー交換又はその他のこのような処理に付すことができる。
いずれか特定の形態をとるとしても、サンプルの特性の基本原理は、血液である、又は血液に由来するということである。
参照サンプル
参照サンプルは、ADを患っていないか、又は患っている疑いのない対象に由来するサンプルであることが適している。参照サンプルは、健常な対象に由来することがより適している。理想的には、これは、分析されているサンプルと同様の方法で処理及び分析される。しかし、参照サンプルが、正常な健常な個体の(例えば)ゲルゾリンの存在量又は濃度などの健常な対象についてこれまでに決定された参照値と見なされ得る場合には、これは、実際的又は望ましいものでない場合がある。理想的には、参照サンプル又は参照値は、性別を対応させ、年齢を対応させることが適しており、遺伝的若しくは民族的バックグラウンドについて対応させることがより適している。または、前記参照サンプル又は参照値は、血漿中の関連バイオマーカーのレベルがある因子に依存する限りにおいて、対照に対して臨床サンプルを対応させる際にそのような他の基準を日常的に適用する。参照サンプルは、アルツハイマー病の発症前に同一対象から採取された、より早期のサンプルであり得ることが適している。
検出
マーカータンパク質は、アルツハイマー病を有する患者において、調節された、すなわち、定量的に増大又は減少された、発現を有し得る。発現が、正常対病状(又は進行対初期状態)において異なる程度は、標準的な特性決定技術、例えば、2D−電気泳動ゲルの銀染色、同重核質量タギング及び質量分析を使用するそれぞれのペプチドイオンの測定又はウエスタンブロッティング、酵素結合免疫測定法(ELISA,enzyme-linked immunosorbent assay)又はラジオイムノアッセイをはじめとする免疫学的検出方法によって可視化され得るのに十分大きいものであることしか必要としない。発現の相違が可視化され得るその他のこのような標準的な特性決定技術は、当業者に周知である。これらとして、画分の連続クロマトグラフィーによる分離及びピークの比較、キャピラリー電気泳動、マイクロチップ上をはじめとするマイクロチャネルネットワークを使用する分離及び多重反応モニタリング(MRM,multiple reaction monitoring)及びTMT標準物質を含めた質量分析法が挙げられる(Dayton et al 2009)。
クロマトグラフィーによる分離は、Pharmacia文献に記載されるように高性能液体クロマトグラフィーによって実施でき、クロマトグラムは、分離の時間に対する280nmの光の吸光度のプロットの形態で得られる。次いで、不完全に分解されたピークを生じる物質を、再度クロマトグラフィーに付すなどする。
キャピラリー電気泳動は、多数の刊行物に、例えば、文献「Total CE Solutions」に記載される技術であり、Beckmanによって、そのP/ACE 5000システムとともに供給される。この技術は、小さいキャピラリーチューブ中に含有されるサンプル中に電気的ポテンシャルをかけることに依存する。チューブは、帯電した表面、例えば、負に帯電したケイ酸塩ガラスを有する。反対に帯電したイオン(この場合には、正のイオン)は、表面に引きつけられ、次いで、表面と同じ極性の適当な電極(この場合には、陽極)に移動する。サンプルのこの電気浸透流(EOF,electroosmotic flow)では、正イオンは、最も早く移動し、帯電していない物質及び負に帯電したイオンが続く。したがって、タンパク質は、その荷電に従って本質的に分離される。
マイクロ−チャネルネットワークは、キャピラリーと幾分か似かよって機能し、ポリマー物質のフォトアブレーションによって形成され得る。この技術では、適したUV吸収特徴を有するポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネート上に一気に放たれる高エネルギー光パルスを作製するためにUVレーザーが使用される。入射光子が、限定された空間を有する化学結合を破壊し、内圧の上昇、切除される物質のミニ爆発及び排除につながり、マイクロ−チャネルを形成する空隙を残す。マイクロ−チャネル物質は、キャピラリー電気泳動についてと同様にEOFに基づいて分離を達成する。各チップが、その自身のサンプルインジェクター、分離カラム及び電気化学検出器を有するマイクロ−チップ形式に適合できる:J.S.Rossier et al., 1999, Electrophoresis 20: pages 727-731を参照のこと。
その他の方法として、マーカータンパク質の結合アッセイを実施することが挙げられる。いかなる合理的に特異的な結合剤も使用できる。結合剤は、標識されることが好ましい。アッセイは、特に、バイオマーカーと、タンパク質を認識する抗体、特に、標識された抗体間のイムノアッセイであることが好ましい。マーカータンパク質の一部又はすべてに対して作製された抗体、例えば、マーカータンパク質に対して高い特異性のモノクローナル抗体又はポリクローナル抗ヒト抗血清であり得る。
結合アッセイがイムノアッセイである場合は、タンパク質/抗体相互作用の程度を測定することによって実施してもよい。イムノアッセイのいかなる既知法も使用してよい。サンドウィッチアッセイが好ましい。一例示的サンドウィッチアッセイでは、マーカータンパク質に対する一次抗体は、プラスチックマイクロタイタープレートのウェルなどの固相と結合され、サンプルとともに、及びアッセイされるタンパク質に対して特異的である標識された二次抗体とともにインキュベートされる。あるいは、抗体捕獲アッセイを使用できる。ここで、試験サンプルは、固相と結合させられ、次いで、抗マーカータンパク質抗体が加えられ、結合させられる。結合していない物質を洗浄除去した後、固相と結合している抗体の量を、標識された二次抗体、抗−一次を使用して決定する。
別の実施形態では、サンプル及び標識されたマーカータンパク質又はそれに由来するペプチド間で競合アッセイを実施し、これら2種の抗原は、固相支持体と結合している制限された量の抗マーカータンパク質抗体に対して競合にある。標識されたマーカータンパク質又はそのペプチドを、固相上の抗体とともにプレインキュベートしてもよく、それによって、サンプル中のマーカータンパク質が、抗体と結合しているマーカータンパク質又はそのペプチドの一部と置き換わる。
さらに別の実施形態では、単一の、抗体との同時インキュベーションにおいて2種の抗原が競合させられる。洗浄によって、結合していない抗原を支持体から除去した後、支持体と結合している標識の量を求め、先に確立されている標準滴定曲線に対して参照することによってサンプル中のタンパク質の量を測定する。
結合アッセイにおける結合剤は、抗体又はその他の特異的結合剤であり得る、標識された特異的結合剤であり得る。結合剤は、通常、それ自体標識されるが、あるいは、例えば、別の標識された物質からシグナルが生じる二次反応によって検出されてもよい。
標識は、酵素であり得る。酵素の基質は、例えば、発色、蛍光又は化学発光のものであり得る。
比較的低レベルの検出されるタンパク質から増強された「シグナル」が生じる、増幅された形態のアッセイを使用してもよい。増幅されたイムノアッセイの1つの特定の形態として、増強された化学発光アッセイがある。ルミノール、過酸化物基質及び放たれた光の強度及び期間を増強する化合物、通常、4−ヨードフェノール又は4−ヒドロキシ桂皮酸を用いる化学発光反応に参加する西洋ワサビペルオキシダーゼを用いて、抗体が標識されることが好都合である。
別の形態の増幅されたイムノアッセイとして、イムノ−PCRがある。この技術では、抗体は、PCRプライマーを含む任意のDNAの分子とも共有結合によって結合され、それによって、ポリメラーゼ連鎖反応によって、抗体が結合しているDNAが増幅される。E. R. Hendrickson et al., Nucleic Acids Research 23: 522-529(1995)参照のこと。従来どおり、シグナルが読み取られる。
アッセイに必要な時間は、M. Robers et al., 「Development of a rapid microparticle-enhanced turbidimetric immunoassay for plasma fatty acid-binding protein, an early marker of acute myocardial infarction」 Clin. Chem. 1998;44:1564-1567によって具体化された種類のものなどの迅速な微粒子増強比濁イムノアッセイの使用によって低減され得る。
M.Robers et al.前掲によって記載される、Hoffmann-La Roche社製のCOBAS(商標)MIRA Plusシステム又はAbbott Laboratories社製のAxSYM(商標)システムなどの広く使用される臨床科学分析器において考慮されるいかなるイムノアッセイも完全自動化が可能であり、アルツハイマー病の日常的な臨床診断に適用されるべきである。
また、(i)その抗体と相互作用する1種又は2種以上のタンパク質を検出可能な抗体アレイ又は「チップ」又はビーズサスペンションアレイを使用することも、本発明内で考慮される。
抗体チップ、抗体アレイ又は抗体マイクロアレイは、連続固体表面上のユニークなアドレス可能な要素のアレイであり、それによって、ユニークなアドレス可能な要素の各々で、抗原に対して規定の特異性を有する抗体が、標的抗原のその後の捕獲及びこのような結合の程度のその後の検出を可能にする方法で固定される。ユニークなアドレス可能な要素の各々は、固体表面上のすべてのその他のユニークなアドレス可能な要素から、特異的抗原の結合及び検出が、いかなる隣接するこのようなユニークなアドレス可能な要素も干渉しないような間隔にされる。
「ビーズサスペンションアレイ」とは、1種又は2種以上の同定可能なように別個の粒子の水性懸濁液であり、それによって、各粒子が、その大きさ及び色又は蛍光サインに関するコーディング特徴を含み、このようなコーディング特徴の特定の組合せのビーズのすべてが、その後の標的抗原の捕獲及びこのような結合の程度のその後の検出を可能にする方法で、抗原に対して規定の特異性を有する抗体を用いて被覆される。このようなアレイの例は、www.luminexcorp.comに見ることができ、これでは、Luminex(登録商標)100(商標)システムでのxMAP(登録商標)ビーズサスペンションアレイの適用が記載されている。
あるいは、診断用サンプルは、本明細書に記載される同重核質量タギング及びLC−MS/MSに付すことができる。同位体タンパク質タギングを実施する好ましい方法の一例は、本出願の実施例の節に示されている。
タンデム質量タグを使用する同位体タンパク質タギングは、高度に正確な方法で相対タンパク質レベルを決定することができると先に示されている(Thompson A, Schafer J, Kuhn K, Kienle S, Schwarz J, Schmidt G, Neumann T, Johnstone R, Mohammed AK, Hamon C (Tandem mass tags: a novel quantification strategy for comparative analysis of complex protein mixtures by MS/MS. Analytical chemistry 75:1895-1904.2003)、Dayon L, Hainard A, Licker V, Turck N, Kuhn K, Hochstrasser DF, Burkhard PR, Sanchez JC (Relative quantification of proteins in human cerebrospinal fluids by MS/MS using 6-plex isobaric tags. Analytical chemistry 80:2921-2931.2008))。さらに、種々の組織及び体液において、タンパク質タギングのためにiTRAQを使用する多数の報告が、この数年刊行されている(Aggarwal K, Choe LH, Lee KH (Shotgun proteomics using the iTRAQ isobaric tags. Briefings in functional genomics & proteomics 5:112-120.2006))。特に、種々の条件におけるバイオマーカーの発見のために、iTRAQは、高度に適したツールであると証明されており、癌(Maurya P, Meleady P, Dowling P, Clynes M (Proteomic approaches for serum biomarker discovery in cancer. Anticancer research 27:1247-1255.2007)、Garbis SD, Tyritzis SI, Roumeliotis T, Zerefos P, Giannopoulou EG, Vlahou A, Kossida S, Diaz J, Vourekas S, Tamvakopoulos C, Pavlakis K, Sanoudou D, Constantinides CA (Search for Potential Markers for Prostate Cancer Diagnosis, Prognosis and Treatment in Clinical Tissue Specimens Using Amine-Specific Isobaric Tagging (iTRAQ) with Two-Dimensional Liquid Chromatography and Tandem Mass Spectrometry. Journal of proteome research.2008)、Matta A, DeSouza LV, Shukla NK, Gupta SD, Ralhan R, Siu KW (Prognostic significance of head-and-neck cancer biomarkers previously discovered and identified using iTRAQ-labeling and multidimensional liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Journal of proteome research 7:2078-2087.2008)、Ralhan R, Desouza LV, Matta A, Chandra Tripathi S, Ghanny S, Datta Gupta S, Bahadur S, Siu KW (Discovery and verification of head-and-neck cancer biomarkers by differential protein expression analysis using iTRAQ labeling, multidimensional liquid chromatography, and tandem mass spectrometry. Mol Cell Proteomics 7:1162-1173.2008))及び糖尿病研究において(Lu H, Yang Y, Allister EM, Wijesekara N, Wheeler MB (The identification of potential factors associated with the development of type 2 diabetes: A quantitative proteomic approach. Mol Cell Proteomics.2008))並びに、CSF中ではあるが、神経変性疾患におけるバイオマーカーの探求において(Abdi F, Quinn JF, Jankovic J, McIntosh M, Leverenz JB, Peskind E, Nixon R, Nutt J, Chung K, Zabetian C, Samii A, Lin M, Hattan S, Pan C, Wang Y, Jin J, Zhu D, Li GJ, Liu Y, Waichunas D, Montine TJ, Zhang J (Detection of biomarkers with a multiplex quantitative proteomic platform in cerebrospinal fluid of patients with neurodegenerative disorders. J Alzheimers Dis 9:293-348.2006))使用されている。
複数の選択された反応モニタリング(mSRM又はMRM)
MRMは、最高のデューティーサイクルを有し、高感度で、1種又は2種以上の特定のイオン遷移をモニタリングするために使用されるスキャンの種類である。ここで、Q1は、特定の親m/zで設定され(Q1は、スキャンしていない)、コリジョンエネルギーは、その親イオンの最適の診断的荷電フラグメントを生じるよう設定され、Q3は、その断片の特定のm/zに設定される。この正確な遷移を有するイオンのみが検出される。薬物代謝産物などの小分子を定量するために歴史的に使用され、同様の原理を、内因性部分又はタンパク質の酵素消化から生じるもののいずれかのペプチドに適用できる。やはり歴史的に、実験は、トリプル四重極質量分析計を使用して実施されたが、四重極をイオントラップと組み合わせるハイブリッド機器設計の最近の導入によって、同様の、改善された実験が行われることが可能となる。したがって、4000QTRAP機器は、ペプチド及び生体分子定量化が、多重反応モニタリング(MRM)を使用して極めて高い特異性及び感度で実施されることを可能にする。これは大部分は、LINAC(登録商標)衝突セルの使用によるものであり、これは、続いて、多数のMRMスキャンが、1つの実験に一緒にループにされ、複雑な混合物中の多数の特定のイオン(最大100種の異なるイオン)の存在を検出することを可能にする。結果として、単一のクロマトグラフィーによる分離において、多数のタンパク質から複数のペプチドを測定及び定量することが現在実現可能である。MRM LCピーク下の面積を使用して、存在する分析物の量を定量する。通常の定量化実験では、所望の分析物について、標準濃度曲線が作製される。次いで、未知サンプルが同一条件下で流されると、ピーク面積及び標準濃度曲線を使用して未知サンプル中の分析物の濃度を決定できる。
診断用サンプルを、イオントラップ質量分析計でMRMによる分析に付すことができる。以下に記載されるマーカータンパク質の質量分析プロファイルに基づいて、良好なイオン化特徴を有する、特定の既知質量及びアミノ酸配列を有する単一のトリプシンペプチドが同定される。次いで、質量分析計を、特定の質量及び配列のペプチドを具体的に調査し、その相対シグナル強度を報告するようプログラムする。MRMを使用すると、単一のLC−MS実施において、最大5、10、15、20、25、30、40、50又は100種の異なるマーカータンパク質を調査することが可能である。診断用サンプル中の本発明の特定のバイオマーカーのMRMペプチドの強度を、ADを有さない対象から得たサンプル中に見られるものと比較し、これによってADの診断又は予後が行われることが可能となる。
MRMアッセイは、マーカータンパク質のMRMペプチドに対応する合成絶対的定量(AQUA,absolute quantification)ペプチドからなる内部参照標準の使用によって、より正確に定量的に行うことができ、これでは、1種又は2種以上の原子が、炭素−13又は窒素−15などの安定な同位体で置換されており、このような置換が、AQUAペプチドが、天然のもの、診断用サンプルに由来するMRMペプチドのより軽い形態に対して規定の質量差を有するようにする。したがって、天然MRM及びAQUAペプチドの相対イオン強度を比較することによって、診断用サンプル中の親タンパク質の正確な濃度が測定できる。このような同位体希釈法による絶対定量化の一般法は、Gerber, Scott A, et al.「Absolute quantification of proteins and phosphoproteins from cell lysates by tandem MS」 PNAS, June 10, 2003. Vol 100. No 12. p 6940-6945に提供されている。
SRM実験における絶対定量化を提供するために同位体がドープされた標準を使用することが望ましいが、上記のAQUAアプローチを使用することが可能でない場合がある。このような場合には、同重核質量タグの対、すなわち、同一の化学構造を有するが、各々にユニークな質量を与える異なるレベルの同位体置換を有する2種のタグを使用することが可能である。質量が5Da異なる2種の形態のTandem Mass Tag(登録商標)(TMT(登録商標))を使用することで、標準合成参照SRMペプチドを軽いタグを用いて標識し、その後、混合して、アッセイにおいてすべての標的とされるペプチドのユニバーサル参照を形成することが可能である。次いで、各患者サンプルを、トリプシン消化に付し、得られたペプチドを重いTMTタグで標識する。次いで、患者サンプルにおいて測定される標的範囲に関連している参照ペプチドの終濃度が得られるように、サンプルにTMT標識された参照ペプチドのアリコートを加える。次いで、添加されたサンプルを、標準同位体希釈SRMアッセイに付し、重い形態のイオン強度を、軽い形態の既知濃度のものに対して比較することによって、患者サンプルに由来するSRMペプチドの濃度を算出する。
バイオマーカー候補として同定された調節されたペプチドの相対又は絶対定量化のための別の形態のMSベースのアッセイとして、Proteome Sciences plcによって開発されたTMT標準物質法がある。良好なMS/MS挙動を有する候補バイオマーカーのトリプシン断片を表す既知量の合成ペプチドを、同重核質量タグのTMT6セットの6種の試薬のうち4種(TMT6−128〜TMT6−131)を用いて標識し、特定の割合で混合する。これによって、生理学的に、及び/又は疾患によって改変された濃度を反映する多点較正曲線が設計され、迅速に実施されることが可能となる。続いて、ADを患っているか、ADを患っていると疑われる患者から採取した診断用サンプルを、TMT6−126を用いて標識し、較正混合物を研究サンプルに加える。個々のペプチドのMS/MSの際に、較正物ペプチドのTMT6−リポーターイオンが生じ、較正曲線を確立するために使用される。次いで、研究サンプル中のペプチドの絶対量は、較正曲線に対するTMT6126イオン強度を読み取ることによって容易に導かれる。TMT標準物質アッセイに関するさらなる情報は、Proteome Scienceウェブサイト(www.proteomics.com)から入手できる。
診断の好ましい方法は、マーカータンパク質の結合アッセイを実施するステップを含む。いかなる合理的に特異的な結合パートナーも使用できる。結合パートナーが標識されることが好ましい。アッセイは、特に、マーカーと、タンパク質を認識する抗体、特に、標識された抗体間のイムノアッセイであることが好ましい。その一部又はすべてに対して作製された抗体であり得、最も好ましくは、マーカータンパク質に対して高い特異性の、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗ヒト抗血清である。
したがって、上記のマーカータンパク質は、診断用サンプル中に存在するマーカータンパク質の濃度の増大又は低減を検出するために使用できる、それに対する抗体を作製することを目的として有用である。このような抗体は、免疫診断の分野において周知の方法のいずれかによって作製できる。
抗体は、いかなる生物学的に関連する状態のタンパク質にも対するものであり得る。したがって、例えば、それらは、グリコシル化形態で身体中に存在するタンパク質の非グリコシル化形態に対して、前駆体タンパク質のより成熟した形態、例えば、そのシグナル配列を引いたものに対して、又はマーカータンパク質の関連エピトープを保持するペプチドに対して作製できる。
サンプルは、哺乳類又は非哺乳類対象のいかなる妥当な身体組織からも、特に、体液から採取できるが、血液、血漿、血清又は尿が好ましい。その他の使用可能な体液として、脳脊髄液(CSF)、精液及び涙が挙げられる。対象は、マウス、ラット、モルモット、イヌ又は霊長類などの哺乳類種であることが好ましい。対象はヒトであることが最も好ましい。
好ましいイムノアッセイは、タンパク質/抗体相互作用の程度を測定することによって実施される。イムノアッセイのいかなる既知法も使用してよい。サンドウィッチアッセイが好ましい。この方法では、マーカータンパク質に対する一次抗体が、プラスチックマイクロタイタープレートのウェルなどの固相と結合され、サンプルとともに、及びアッセイされるタンパク質に対して特異的な標識された二次抗体とともにインキュベートされる。あるいは、抗体捕獲アッセイを使用できる。ここで、試験サンプルは、固相と結合させられ、次いで、抗マーカータンパク質抗体が加えられ、結合させられる。結合していない物質を洗浄除去した後、標識された二次抗体、抗−一次を使用して固相と結合している抗体の量を測定する。
別の実施形態では、サンプルと、標識されたマーカータンパク質又はそれに由来するペプチド間で競合アッセイを実施し、これら2種の抗原は、固相支持体と結合している制限された量の抗マーカータンパク質抗体に対して競合にある。標識されたマーカータンパク質又はそのペプチドを、固相上の抗体とともにプレインキュベートしてもよく、それによって、サンプル中のマーカータンパク質が、抗体と結合しているマーカータンパク質又はそのペプチドの一部と置き換わる。
さらに別の実施形態では、単一の、抗体との同時インキュベーションにおいて2種の抗原が競合させられる。洗浄によって支持体から結合していない抗原を除去した後、支持体と結合している標識の量を求め、先に確立されている標準滴定曲線に対して参照することによってサンプル中のタンパク質の量を測定する。
標識は、酵素であることが好ましい。酵素の基質は、例えば、発色、蛍光又は化学発光のものであり得る。
結合アッセイにおける結合パートナーは、標識された特異的な結合パートナーであることが好ましいが、必ずしも抗体ではない。結合パートナーは、通常、それ自体標識されるが、あるいは、例えば、別の標識された物質からシグナルが生じる二次反応によって検出され得る。
検出される相対的に低いレベルのタンパク質から、増強された「シグナル」が生じる、増幅された形態のアッセイを使用することが高度に好ましい。増幅されたイムノアッセイの1つの特定の形態として、増強された化学発光アッセイがある。ルミノール、過酸化物基質及び放たれた光の強度及び期間を増強する化合物、通常、4−ヨードフェノール又は4−ヒドロキシ桂皮酸を用いる化学発光反応に参加する西洋ワサビペルオキシダーゼを用いて抗体が標識されることが好都合である。
増幅されたイムノアッセイの別の好ましい形態として、イムノ−PCRがある。この技術では、抗体は、PCRプライマーを含む任意のDNAの分子とも共有結合によって結合され、それによって、ポリメラーゼ連鎖反応によって、抗体が結合しているDNAが増幅される。E. R. Hendrickson et al., Nucleic Acids Research 23: 522-529(1995)を参照のこと。従来どおり、シグナルが読み取られる。
M. Robers et al., 「Development of a rapid microparticle-enhanced turbidimetric immunoassay for plasma fatty acid-binding protein, an early marker of acute myocardial infarction」 Clin. Chem. 1998;44:1564-1567によって具体化された種類のものなどの迅速な微粒子増強比濁イムノアッセイの使用によって、アッセイの時間が大幅に減少する。したがって、M.Robers et al.前掲によって記載される、Hoffmann-La Roche社製のCOBAS(商標)MIRA Plusシステム又はAbbott Laboratories社製のAxSYM(商標)システムなどの広く使用される臨床化学分析器において考慮されるいかなるイムノアッセイの全自動化も可能であり、アルツハイマー病の日常的な臨床診断に適用されるべきである。
あるいは、診断用サンプルを二次元ゲル電気泳動に付し、染色されたゲルを得ることができ、これでは、マーカータンパク質の位置がわかっており、デンシトメトリーによってゲル上の適当なスポットの染色の相対強度を決定し、対応する対照又は比較ゲルと比較できる。
なおさらなる実施形態では、診断用サンプルを、トリプル四重極質量分析計での多重反応モニタリング(MRM)又は特定の種類のイオントラップ質量分析計などの質量分析計ベースのアッセイによる分析に付すことができる。各々差次的に発現されるタンパク質について、特定の既知質量(親質量)及びアミノ酸配列を有し、フラグメンテーションの際には、各タンパク質にとってユニークである特定の質量(フラグメント質量)のフラグメントを放出するトリプシンペプチドのセットを同定することが可能である。規定の親質量イオンからのフラグメント質量の検出は、遷移として知られている。
このようなプロテオティピック(proteotypic)ペプチドの同定は、バイオマーカー発見の際に見られる差次的に発現されるタンパク質の質量分析プロファイルに基づいて行うことができ、又は当業者に公知の予測アルゴリズムを使用してコンピュータによって設計してもよい。次いで、質量分析計を、各タンパク質について選択された特定の親質量及びフラグメント質量遷移についてのみ具体的に調査し、その相対シグナル強度を報告するようプログラムする。MRMを使用すると、単一のLC−MS実施において、最大5、10、15、20、25、30、40、50又は100種の異なるマーカータンパク質を調査することが可能である。診断用サンプル中の各マーカータンパク質のプロテオティピックペプチドの相対量を、認知症を有さない対象由来のサンプル中に見られるものと比較し、これによって、アルツハイマー病の診断が行われることが可能となる。あるいは、同じ患者からの初期のサンプルから得たタンパク質のレベルとの比較を行うことができ、したがって、前記患者におけるアルツハイマー病の段階及び/又は進行の速度の予後評価が可能となる。
本発明のさらなる一実施形態では、MRMアッセイは、マーカータンパク質のプロテオティピックペプチドに対応する合成絶対的定量(AQUA)ペプチドからなる内部参照標準の使用によって、より正確に定量的に行うことができ、これでは、1種又は2種以上の原子が、炭素−13又は窒素−15などの安定な同位体で置換されており、このような置換が、AQUAペプチドが、診断用サンプルに由来する天然のプロテオティピックペプチドに対して規定の質量差を有するようにする。ひとたび、差次的に発現されるアルツハイマー病のバイオマーカーに由来する各プロテオティピックペプチドと同等であるAQUAペプチドが生じると、それらを混合して参照標準を形成することができ、次いで、それらを患者サンプルのトリプシン消化物中に添加する。次いで、合わせたサンプルを、天然及びAQUAペプチドからの必要とされる遷移の強度が検出されるプログラムされた質量分析計ベースのアッセイに付す。サンプルに由来する天然ペプチド及び添加されたAQUA参照ペプチドの相対イオン強度を比較することによって、診断用サンプル中の親タンパク質の正確な濃度をこのように決定できる。絶対定量化の一般法は、参照によって本明細書に組み込まれる、Gerber, Scott A, et al.「Absolute quantification of proteins and phosphoproteins from cell lysates by tandem MS」 PNAS, June 10, 2003. Vol 100. No 12. p 6940-6945に提供されている。
本発明のなおさらなる実施形態では、TMT−SRMアッセイを使用することによって絶対定量化を行うことができる。マーカータンパク質のプロトティピックペプチドに対応する標準合成参照SRMペプチドを、同位体置換を有さない軽いTMTタグ(軽いタグ)を用いて標識し、その後、混合して、アッセイにおけるすべてのマーカータンパク質のユニバーサル参照を形成する。次いで、各患者サンプルをトリプシン消化に付し、得られたペプチドを、5つの同位体置換を有するTMTタグ(重いタグ)を用いて標識する。次いで、患者サンプルにおいて測定される標的範囲と関連している参照ペプチドの終濃度を得るように、重いTMTで標識されたサンプルに、軽いTMTで標識された参照ペプチドのアリコートを加える。次いで、添加されたサンプルを、標準同位体希釈SRMアッセイに付し、重い形態の強度を、軽い形態の既知濃度のものに対して比較することによって、患者サンプルに由来するSRMペプチドの濃度を算出する。
マーカータンパク質の測定のために選択された方法にかかわらず、アルツハイマー病の診断及び予後は、マーカータンパク質の濃度の、対照又は参照サンプルとの比較のステップを必ずしも必要としないが、疾患の存在及び/又は段階を表すとわかっている、予め決定された参照値を参照して実施できる。
本発明を使用して、必要に応じて、同一患者から先に得られた結果を参照して、又は疾患の段階又は進行の速度に特有であると考えられている標準値への参照によって、アルツハイマー病における認知症の段階及び/又は進行の速度を決定できる。このような方法で、本発明を使用して、例えば、患者の薬物又は候補薬物での治療後、疾患が進行したかどうか、又は疾患進行の速度が改変されたかどうかを決定できる。この結果は、疾患の転帰の予後につながり得る。
本発明はさらに、上記で詳述されるマーカータンパク質を認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有するパートナー物質の診断(及びひいては、場合により予後)又は治療目的の使用を含む。したがって、例えば、必要に応じて適宜ヒト化された、マーカータンパク質に対する抗体を治療に使用してもよい。パートナー物質は通常、抗体となり、いかなるアッセイ適合性形式においても、都合よくは、例えば、ビーズ又はチップのような固定された形式においても使用される。パートナー物質は標識されるか、又は標識と相互作用できるかのいずれかである。
本発明は、アルツハイマー病の診断及び予後的モニタリングの方法において使用するためのキットをさらに含み、これは、診断用サンプル中に存在するマーカータンパク質との相互作用のために、上記のアッセイ適合性形式で上記のパートナー物質を含む。
(i)アルツハイマー病において差次的に発現される1種又は2種以上のタンパク質を検出できる、抗体チップ若しくはチップのアレイ又はビーズサスペンションアレイを使用することが本発明内にさらに考慮される。
本方法は、アルツハイマー病を治療するための有効な治療を決定することをさらに含み得る。
さらなる態様では、本発明は、アルツハイマー病の発症又は進行を予防するために、アルツハイマー病の病状において1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質の発現を、正常な状態において見られるものに向けて回復させる薬剤の使用によって治療する方法を提供する。タンパク質の発現が、正常状態のものに回復されることが好ましい。
さらなる態様では、本発明は、アルツハイマー病を有する個体の組織サンプル又は体液サンプルにおける差次的に発現されるタンパク質のパターンを使用して、アルツハイマー病を軽減するのに最も適当な、有効な治療を予測する方法を提供する。
また、薬剤をスクリーニングして、アルツハイマー病の治療におけるその有用性を決定する方法が提供され、この方法は:
(a)スクリーニングされている薬剤を用いて治療された、アルツハイマー病の症状を有する対象から採取された、又はそれを代表する関連組織のサンプルを得るステップと;
(b)治療された対象から得た、又はそれを代表する組織において、差次的に発現されるタンパク質又は複数のタンパク質の発現の有無又は程度を決定するステップと;
(c)アルツハイマー病の症状を有する、治療された対象において差次的に発現されるタンパク質又は複数のタンパク質の発現、活性又は量を変更する程度に従って薬剤を選択又は排除するステップと
を含む。
薬剤が、差次的に発現されるタンパク質の発現を、正常な対象のものに向けて変換する場合に、薬剤が選択されることが好ましい。薬剤が、タンパク質又は複数のタンパク質の発現を、正常な対象のものに変換する場合に、薬剤が選択されることがより好ましい。
また、アルツハイマー病の治療におけるその有用性を決定するために、薬剤をスクリーニングする方法が提供され、この方法は:
(a)スクリーニングされている薬剤を用いて治療された、アルツハイマー病の症状を有する対象から採取した、又はそれを代表する関連組織又は体液のサンプルを経時的に得るステップと;
(b)前記サンプル中の差次的に発現されるタンパク質又は複数のタンパク質の発現の有無又は程度を決定するステップと;
(c)薬剤が、アルツハイマー病の症状を有する、治療された対象において、差次的に発現された(differentially expression)タンパク質の発現における経時的に変化に影響を及ぼすかどうかを決定するステップと
を含む。
経時的に採取されるサンプルは、数週間、数ヶ月又は数年の間隔で採取され得る。例えば、サンプルは、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月又は12ヶ月間隔で採取され得る。
経時的な発現の変化は、対象から得たサンプルにおける発現の初期レベルと比較した、及び/又は正常な対象から得たサンプルにおける発現のレベルと比較した、発現の増大又は低減であり得る。薬剤は、それが発現の変化を経時的に遅くするか、停止する場合に選択される。
上記のスクリーニング方法では、差次的レベルのタンパク質発現を有する対象は:
(a)正常な対象及びアルツハイマー病を有する対象;並びに
(b)薬剤で治療されていないアルツハイマー病の症状を有する対象及び薬剤で治療されたアルツハイマー病を有する対象
を含む。
診断及び予後
本明細書で用いる場合、用語「診断」とは、患者におけるADの存在、非存在又は可能性に関するいかなる情報の提供も含む。それに関連して経験される、又は経験され得る、障害又は症状の種類又は分類に関する情報の提供をさらに含み、病態の医学経過の予後を包含し、発症の年齢に関する情報をさらに包含する。
本明細書に記載される方法は、ADの診断及び/又は予後の両方のために有用である。ADは、1種又は2種以上のマーカーが、増大又は低減した濃度で存在する場合に示され得る。
治療
治療が関係している場合、治療は、患者に対するADの効果を軽減するために医師によってとられるいかなる手段も含むということは理解されよう。したがって、ADの損傷の逆転又は損傷若しくは効果の排除が望ましい目標であるが、効果的な治療はまた、損傷の程度又は効果若しくは進行の重篤度の低減を達成できるいかなる手段も含む。
一態様では、本発明は、ADの発症又は進行を防ぐために、AD状態において1種又は2種以上の差次的に発現されるタンパク質の発現を、正常状態において見られるものに向かって回復させる薬剤の使用によって治療する方法を提供する。タンパク質の発現が、正常状態のものへ回復されることが好ましい。
さらなる態様において、本発明は、ADを有する個体から得たサンプルにおいて差次的に発現されるタンパク質のパターンを使用して、神経学的損傷及び/又は認知症を軽減するのに最も適当な、有効な治療を予測する方法を提供する。
アッセイ法
また、薬剤をスクリーニングして、ADの治療におけるその有用性を決定する方法が提供され、この方法は:
(a)スクリーニングされている薬剤を用いて治療された、ADを有する対象から得た、又はそれを代表するサンプルを得るステップと;
(b)治療された対象から得た、又はそれを代表するサンプルにおける、本明細書に開示されるマーカータンパク質又は複数のタンパク質の発現の有無又は程度を決定するステップと;
(c)ADの症状を有する治療された対象において、マーカータンパク質又は複数のタンパク質の発現、活性又は量を変更する程度に従って薬剤を選択又は排除するステップと
を含む。
薬剤が、差次的に発現されるタンパク質の発現を、正常な対象のものに向かって変換する場合に、薬剤が選択されることが好ましい。薬剤が、タンパク質又は複数のタンパク質の発現を、正常な対象のものへ変換する場合に、薬剤が選択されることがより好ましい。
また、ADの治療におけるその有用性を調べるために、薬剤をスクリーニングする方法が提供され、この方法は:
(a)スクリーニングされている薬剤を用いて治療された、AD症状を有する対象から得た、又はそれを代表するサンプルを経時的に得るステップと;
(b)前記サンプルにおける本明細書に開示されるマーカータンパク質又は複数のタンパク質の発現の有無又は程度を決定するステップと;
(c)薬剤が、ADの症状を有する治療された対象において、マーカータンパク質の発現における経時的に変化に影響を及ぼすかどうかを決定するステップと
を含む。
経時的に採取されるサンプルは、数週間、数ヶ月又は数年の間隔で採取され得る。例えば、サンプルは、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月又は12ヶ月間隔で採取され得る。
経時的な発現の変化は、対象から得たサンプルにおける発現の初期レベルと比較した、及び/又は正常な対象から得たサンプルにおける発現のレベルと比較した発現の増大又は低減であり得る。薬剤は、それが発現の変化を経時的に遅くするか、停止する場合に選択される。
上記のスクリーニング方法では、差次的レベルのタンパク質発現を有する対象は:
(a)正常な対象及びADの症状を有する対象;並びに
(b)薬剤で治療されていないADの症状を有する対象及び薬剤で治療されたADの症状を有する対象
を含む。
抗体
本明細書に開示されるマーカータンパク質に対する抗体は、公知の方法を使用して作製できる。抗体を作製するこれらの方法は、タンパク質を用いて、哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジ又はサル)を免疫化することを含む。抗体は、当技術分野で公知の種々の技術のいずれかを使用して免疫化された動物から得、好ましくは、所望の抗原との抗体の結合を使用してスクリーニングしてもよい。動物からの抗体及び/又は抗体産生細胞の単離は、動物を屠殺するステップによって達成してもよい。
例えば、タンパク質を用いて哺乳類を免疫化することの代替又は補完として、機能的免疫グロブリン結合ドメインをその表面にディスプレイする、λバクテリオファージ又は糸状バクテリオファージを使用して、発現された免疫グロブリン可変ドメインの組換えによって作製されたライブラリーから、タンパク質に対して特異的な抗体を得てもよい;例えば、国際公開第WO92/01047号パンフレット参照のこと。ライブラリーは、タンパク質で免疫化されていない生物から得られた配列から構築されるナイーブであってもよく、所望の抗原に曝露された生物から得られた配列を使用して構築されるものであってもよい。
抗体は、タンパク質のいかなる生物学的に関連する状態とも結合し得るか、又はそれに対するものであり得る。したがって、例えば、それらは、グリコシル化形態で身体中に存在するタンパク質の非グリコシル化形態に対して、前駆体タンパク質のより成熟した形態、例えば、そのシグナル配列を引いたものに対して、又はマーカータンパク質の関連エピトープを保持するペプチドに対して作製できる。
抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであり得、多重特異性(二重特異性を含めた)、キメラ又はヒト化抗体であり得る。本発明の抗体は、いくつかの方法で改変され得る。実際、用語「抗体」は、必要とされる特異性を有する結合ドメインを有するいかなる結合物質も対象とすると解釈されるべきである。したがって、本発明は、抗体断片、抗体の誘導体、機能的同等物及び相同体、例えば、合成分子及びその形態が抗体のものを摸倣し、それが抗原又はエピトープと結合するのを可能にする分子を対象とする。
抗原又はその他の結合パートナーと結合可能である抗体断片の例として、VL、VH、Cl及びCH1ドメインからなるFab断片;VH及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片;単離されたCDR領域及びF(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片がある。一本鎖Fv断片も含まれる。
特定のエピトープを認識する抗体断片は、公知の技術によって作製できる。例えば、このような断片として、それだけには限らないが、抗体分子のペプシン消化によって作製できるF(ab’)2断片及びF(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって作製できるFab断片が挙げられる。所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速な、容易な同定が可能となるよう、別の、Fab発現ライブラリーが構築され得る(Huse, et al., 1989, Science 246: 1275-1281)。
本明細書で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」とは、抗体の実質的に均質な集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を含む個々の抗体が、少量で存在し得るあり得る天然に存在する突然変異は別として、同一である。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495, 1975によって最初に記載された方法によって作製でき、又は組換え法によって作製してもよい、Cabilly et al,米国特許第4,816,567号明細書又はMage and Lamoyi in Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pages 79-97, Marcel Dekker Inc, New York, 1987参照のこと。
ハイブリドーマ法では、マウス又はその他の適当な宿主動物が、皮下、腹腔内又は筋肉内経路によって抗原を用いて免疫化され、免疫化に使用されるナノ粒子と特異的に結合する抗体を産生する、又は産生できるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫化されてもよい。次いで、ポリエチレングリコールなどの適した融合剤を使用してリンパ球を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103(Academic Press, 1986)参照のこと。
このように調製したハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1種又は2種以上の物質を含有する適した培養培地に播種し、増殖させることができる。例えば、親の骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT,hypoxanthine guanine phosphoribosyl transferase)を欠く場合には、ハイブリドーマの培養培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質が、HGPRT欠損細胞の増殖を防ぐ。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を支持し、HAT培地などの培地に対して感受性である。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、タンパク質に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。結合特異性が、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA,enzyme-linked immunoabsorbance assay)によって決定されることが好ましい。本発明のモノクローナル抗体は、タンパク質と特異的に結合するものである。
本発明の好ましい実施形態では、モノクローナル抗体は、例えば、スキャッチャード解析法によって決定される、マイクロモルを超える親和性又はより高い親和性(すなわち、10〜6molを超える親和性)を有する。Munson & Pollard, Anal. Biochem., 107:220, 1980を参照のこと。
所望の特異性及び親和性の中和抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、制限希釈手順によってクローンをサブクローニングし、標準法によって増殖させることができる。この目的のための適した培養培地として、ダルベッコ改変イーグル培地又はRPM1−1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させてもよい。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水又は血清から適宜分離される。
本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸は、当技術分野で周知の手順を使用して、例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって、容易に単離され、配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、抗体又はその断片をコードする核酸の好ましい供給源である。ひとたび単離されると、核酸を発現又はクローニングベクターにライゲーションし、次いで、それを宿主細胞にトランスフェクトし、それを組換え宿主細胞培養物においてモノクローナル抗体が産生されるよう培養できる。
本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、遺伝子突然変異又はその他の変化の影響下にあり得る。さらに、モノクローナル抗体は、元の抗体の特異性を保持する、その他の抗体、ヒト化抗体又はキメラ分子を産生するよう、組換えDNA技術の技術に付され得るということは当業者によって理解されよう。このような技術は、抗体の免疫グロブリン可変領域又は相補性決定領域(CDR,complementarily determining regions)をコードするDNAを、異なる免疫グロブリンの定常領域又は定常領域及びフレームワーク領域に導入することを含み得る。例えば、欧州特許第EP0184187A号明細書、独国特許第GB2188638A号明細書又は欧州特許第EP0239400A号明細書を参照のこと。キメラ抗体のクローニング及び発現は、欧州特許第EP0120694A号明細書及び欧州特許第EP0125023A号明細書に記載されている。
本明細書に記載されるマーカータンパク質に対する抗体は、前記タンパク質と結合する。前記抗体は、前記タンパク質と特異的に結合することが好ましい。「特異的」とは、抗体が、その他の分子に対して示すものよりも相当に高い親和性で前記タンパク質と結合することを意味する。
本出願は、例としてここで記載されており、これらの例は、本来、例示であるよう意図され、添付の特許請求の範囲を制限すると理解されるべきではない。実施例では、以下の図が参照される:
プロットを示す図である。 プロットを示す図である。 グラフ及びいくつかの棒グラフを示す図である。 図形及びいくつかのグラフを示す図である。特に、これは、同位体タンパク質タギングを使用するプロテオーム解析の全体的なワークフロー図を示す。示されるステップは、差次的サンプル調製、例えば、血漿サンプル;溶液中のトリプシン消化;個々の標識及び1つの単一サンプルへの組合せ;RP/SCX精製;LC/MS/MS;データを検索し、データベースと比較し;タンパク質を同定及び定量する。 表1を示す図である。 チャート、グラフ及びブロットを示す図である。AD及びNDC対象から得たヒト血漿におけるゲルゾリンのウエスタンブロット解析。A)(ゲルゾリン)ボックスプロットは、ADにおけるゲルゾリンの低下を示す(p=0.001)が、B)(感度)ゲルゾリンを用いるROC分析は、好都合な検査の特徴を示さなかった。 MRMアッセイにおけるゲルゾリンの測定にとって有用なMS遷移の表を示す図である。 ADの32種のペプチドバイオマーカーに相当する192遷移の総イオンクロマトグラムを示す図である。ゲルゾリンと関連する遷移は、ピーク番号27〜32に見られる。(A)TMTzero−及びTMTsixplex標識した血漿ペプチド1〜32のSRM XIC。表1に列挙されるすべての遷移を評価した。TMTzero−及びTMTsixplex標識したペプチド対が共溶出することがわかる。(B(挿入図))LC勾配の最も忙しい部分(32分〜42分)にわたって溶出するペプチドを示すMRM XIC。(C(下部の「ゲルゾリンAVEVLPK」と印のあるグラフ))ゲルゾリンのペプチドAVEVLPKのMRM XIC。各ペプチドのTMTzero遷移は、青、赤及び緑で着色されているが、そのTMTsixplex標識された対応物は、灰色(2番目に最も高い)、シアン(最も高い)及びピンク(最も低い)で着色されている。 ヒトゲルゾリンの配列を示す図である。特定のアイソフォームは、配列が極めてわずかに異なり得、例えば、Unigene受託番号IPI00026314(ゲルゾリンのアイソフォーム1)は、782個のアミノ酸残基を有する(図7の配列並びに781及び782にさらに2個のアラニン残基を有する)ということは留意されるべきである。何らかの疑念のある場合には、適宜、配列番号1がゲルゾリンの参照配列ととられるべきである(Swiss ProtP06396)。 ヒトC1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)の配列を示す図である。 ヒトセルロプラスミン(配列番号3)の配列を示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 図10−17はデータ及び棒グラフを示す図である。 実験の概略を示す図である。各タンパク質について10の疾患及び10の対照サンプルを選択した。各サンプルで3回の消化を実施し(技術的消化)、続いて、各消化の3回の分析的測定を実施した。各タンパク質は、ペプチドあたり3種の遷移対から決定した、定量化のためのおよそ3種のペプチドを有していた。これは、各個々のタンパク質に対して約3240の測定値をもたらした。 軽く及び重くTMT標識された、ペプチドの抽出されたイオンクロマトグラム(XIC)を示す図である。軽く標識されたサンプルは、血漿に対して内因性のペプチドを表し、重く標識されたサンプルは、ペプチド内部標準を表す。ゲルゾリンと関連する遷移は、ピーク番号27、29、30及び31に見られる。成績が悪いこと及び血漿バックグラウンドによる干渉にしたがって、分析からペプチド3、6、11、18及び27を除去した。 ペプチド13の軽いTMT及び重いTMTのXICを示す図である。1つの遷移が、高い血漿バックグラウンドによって影響を受け(ピンクで着色された;重いTMTで標識された)、その後、この遷移及びその対応する軽いTMTパートナーを、分析から除去した。 図10〜17と関連するデータの表(95%CI)を示す図である。 図10〜17と関連するデータの表(95%CI)を示す図である。 図10〜17と関連するデータの表(95%CI)を示す図である。
アルツハイマー病(AD)は、確定診断は、死後にのみなされ得る、最も有望なバイオマーカーは、今までのところ、脳脊髄液(CSF)中に見られている、進行性の神経変性障害である。CSFよりも入手しやすい血液中のバイオマーカーは、診断の補助において、並びに、集団スクリーニング適用において産業上の利用及び有用性を有する。
AD患者と認知症でない対照(NDC,non-demented controls)の間には、血漿タンパク質の相違が存在し得る。実施例では、本発明者らは、同重核質量タギングを使用し、注意深く設計されたショットガンプロテオームアプローチにおいて、緩徐及び迅速に低下するAD患者における、並びにNDC対象における血漿タンパク質レベルを比較した。年齢、性別及び認知低下(年あたりのMMSEスコアにおける変化)について血漿サンプルを対応させ、次いで、分析のためにプールした。その後の相対定量化及び統計分析が、ADをNDC群から区別できる候補タンパク質の一覧をもたらした。選択されたタンパク質を、合わせて90人の推定AD及び50人のNDC対象の大きなサンプルセットにおいて、ウエスタンブロット解析によって確認した。このコホートでは、AD患者は、NDC対象と比較して大幅に低い血漿ゲルゾリンレベルを示した。さらに、ゲルゾリンレベルは、疾患進行速度と相関し、緩徐及び迅速に低下するAD患者間で大きく異なっていた。さらに、C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、APOE ε4遺伝子型と関連しているとわかり、低いセルロプラスミンレベルは、早い発症の年齢と相関していたのが見い出された。ゲルゾリンは、ADにおける進行速度とのその関連のために、並びに、アミロイドβ(Aβ,amyloid β)とのその報告された相互作用のために、ADの頑強なマーカーである。さらに、ゲルゾリンは、例えば、治療反応のモニタリング又は薬の臨床試験において使用するためのバイオマーカー群にさらに含まれ得ることが有利である。
したがって、本発明者らは、アルツハイマー病における進行についての代替マーカーとしてのゲルゾリンの検出を開示する。実施例では、これは同重核タンパク質タギングを使用して実証される。これは、例示的な一検出方法であるが、原則として、いかなる適した検出方法も使用してよい。この特定の技術の特定の利点は、以下及び実施例の節において、より完全に実証される。
さらに、アルツハイマー病において、低い血漿ゲルゾリンレベルが見られ、疾患進行速度との関連を示すということは重要な教示である。
本発明者らは、いくつかの実施形態において、確認のための、同重核質量タギングの、より従来的な方法とのどのような組合せが、ADにおけるバイオマーカーの開発において有用な情報を提供し得るかを実証する。
ADの血漿において、NDCと比較して異なるレベルで生じ、疾患進行速度と相関するか、又はApoE遺伝子型若しくは発症の年齢のようなさらなる臨床パラメータと関連しているかのいずれかである、いくつかのタンパク質が見い出された。
定義
用語「抗体」は、ポリクローナル抗血清、モノクローナル抗体、一本鎖及びFab断片などの抗体の断片及び遺伝子改変抗体を含む。抗体は、キメラである場合も、単一種のものである場合もある。
用語「マーカータンパク質」又は「バイオマーカー」は、翻訳後修飾をはじめとする、同定されたタンパク質のすべての生物学的に関連する形態を含む。例えば、マーカータンパク質は、身体組織において、グリコシル化された、リン酸化された、多量体の、又は前駆体の形態で存在し得る。
用語「対照」とは、正常なヒト対象、すなわち、アルツハイマー病を患っていないものを指す。
技術用語「対照サンプルと比較して増大した/減少した濃度」とは、多くの場合、濃度が異常に高い又は低いということは当業者には明らかであろうから、比較するステップが、実際に行われることを暗示しない。さらに、ADの段階が進行的にモニタリングされている場合又は治療の経過がモニタリングされている場合には、行われる比較は、疾患の進行のより早い段階で、又は治療の早い段階で、又は治療が開始される前に同一対象において先に見られた濃度とであり得る。
本明細書で用いる場合、用語「診断」とは、患者がアルツハイマー病を有するかどうかを調べることを含み、また、進行した(又は治療の経過において退行した)段階を調べることを含み得る。診断は、患者の将来の転帰についての予後の基礎として役立ち得る。
用語「妥当な身体組織」又は「関連組織」とは、マーカータンパク質が、アルツハイマー病に関連して蓄積するであろうと合理的に予想され得るいかなる組織も意味する。脳脊髄液サンプル又は血液若しくは血漿若しくは血清などの血液誘導体のサンプルであり得る。
用語「抗体アレイ」又は「抗体マイクロアレイ」とは、ユニークなアドレス可能な要素の各々で、抗原に対して規定の特異性を有する抗体が、その標的抗原のその後の捕獲及びこのような結合の程度のその後の検出を可能にする方法で固定されている、連続固体表面上のユニークなアドレス可能な要素のアレイを意味する。ユニークなアドレス可能な要素の各々は、固体表面上のすべてのその他のユニークなアドレス可能な要素から、特異的抗原の結合及び検出が、いかなる隣接するこのようなユニークなアドレス可能な要素とも干渉しないような間隔にされる。
用語「ビーズサスペンションアレイ」とは、それによって、各粒子が、その大きさ及び色又は蛍光サインに関するコーディング特徴を含み、このようなコーディング特徴の特定の組合せのビーズのすべてが、標的抗原のその後の捕獲及びこのような結合の程度のその後の検出を可能にする方法で、抗原に対して規定の特異性を有する抗体を用いて被覆される、1種又は2種以上の同定可能なように別個の粒子の水性懸濁液を意味する。このようなアレイの例は、www.luminexcorp.comに見ることができ、これでは、Luminex(登録商標)100(商標)システムでのxMAP(登録商標)ビーズサスペンションアレイの適用が記載されている。
用語「質量分析計ベースのアッセイ」とは、トリプル四重極又はイオントラップ質量分析計での多重反応モニタリング法を使用する標的分析物の定量的測定を意味する。
本発明のポリペプチドバイオマーカーなどのバイオマーカーの用語「突然変異体」は、当技術分野におけるその通常の意味を有するべきである。突然変異体は、「バリアント」又は「対立遺伝子」と呼ばれることがある。重要なことは、本明細書に示されているようなバイオマーカーを検出することである。バイオマーカーは、研究されている個々の間で突然変異体又は対立遺伝子バリアントの形態で個々の変動を有し得る。したがって、本明細書に提供される正確な配列番号からのある程度の逸脱があり得る。本明細書に提供される配列番号は、本発明のポリペプチド/バイオマーカーを用いる同定及び作業において熟練した読み手を補助するものであって、アッセイされている個々のポリペプチドの制限された、柔軟性のない定義と意図されるものではない。したがって、検出されているポリペプチドバイオマーカーの提供される配列番号と実際の配列の間のわずかな配列の相違は、対象間の通常の変動の境界内で予想される。これは本発明の作業に影響を及ぼさないはずである。
用語「含む」(含む(comprise)、含んでいる(comprising))とは、当技術分野におけるその正常な意味を有する、すなわち、記載された特徴又は特徴の群が含まれるが、この用語は、同様に存在しているものから、いかなるその他の記載された特徴又は特徴の群も排除しないと理解されるべきである。
断片/ペプチド
当業者には当然のことながら、本明細書に論じられるバイオマーカーの詳細及び特に、それについて示される配列は、その検出を容易にするよう与えられる。集められている重要な情報は、研究されているサンプル中のバイオマーカーの有無(又は特定のレベル)である。全長ポリペプチドがスコアされることは特に必要ではない。実際、本明細書に示される適した質量分析ベースの検出様式の多くによって、サンプル中のバイオマーカーポリペプチド全体の存在を示すと、このように解釈される、存在している所望のポリペプチドの特定の断片をアッセイすることによって検出が行われる。したがって、本発明は、ポリペプチドバイオマーカーの断片の検出を包含する。さらに、本発明のキット及びペプチドは、ポリペプチドの断片を含んでもよく、本明細書に例示される全長配列を含む必要はない。断片は、質量分析によるそのユニークな同定を可能するのに十分なほど長いことが適している。
したがって、断片は、少なくとも6個のアミノ酸の長さであることが適しており、少なくとも7個のアミノ酸の長さが適しており、少なくとも8個のアミノ酸の長さが適しており、少なくとも9個のアミノ酸の長さが適しており、少なくとも10個のアミノ酸の長さが適しており、少なくとも15個のアミノ酸が適しており、少なくとも25個のアミノ酸が適しており、少なくとも50個のアミノ酸が適しており、少なくとも100個のアミノ酸が適しており、又は所望のバイオマーカーポリペプチドの大部分が適している。断片は、同定可能な質量を保持するのに十分に長いものでありながら、所望のバイオマーカーポリペプチドの小さい断片を含むことが適している。
配列相同性/同一性
配列相同性は、機能的類似性(すなわち、同様の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)の点でも考慮され得るが、本文書の関連では、配列同一性の点で相同性を表すことが好ましい。配列比較は、視認によって、又はより通常は、容易に入手可能な配列比較プログラムを用いて行うことができる。これらの公的に及び市販のコンピュータプログラムは、2種以上の配列間の相同性パーセント(例えば、同一性パーセント)を算出できる。
同一性パーセントは、連続配列にわたって算出でき、すなわち、一方の配列をもう一方の配列とアラインし、一方の配列中の各アミノ酸を、もう一方の配列中の対応するアミノ酸と、一度に1残基、直接比較する。これは「ギャップなし(ungapped)」アラインメントと呼ばれる。通常、このようなギャップなしアラインメントは、比較的短い数の残基にわたってのみ実施される(例えば、50個未満の連続アミノ酸)。より長い配列にわたる比較については、互いに対して挿入又は欠落を有する関連配列において同一性レベルを正確に反映するよう、ギャップスコアリングを使用して最適アラインメントを作製する。このようなアラインメントを実施するための適したコンピュータプログラムとして、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(University of Wisconsin, U.S.A; Devereux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12:387)がある。配列比較を実施できるその他のソフトウェアの例として、それだけには限らないが、BLASTパッケージ、FASTA(Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410)及び比較ツールのGENEWORKS一式が挙げられる。
本文書の関連では、相同アミノ酸配列は、少なくとも40、50、60、70、80又は90%同一であるアミノ酸配列を含むととられる。所望のバイオマーカーに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドは、そのバイオマーカーの存在を示すととられることが最も適しており;95%以上であるポリペプチドがより適しており、又はアミノ酸レベルで98%同一が、そのバイオマーカーの存在を示すととられることがより適している。所望のバイオマーカーの有無を調べるために、前記比較が、少なくとも、アッセイされているポリペプチド又は断片の長さにわたって行われることが適している。比較が、所望のポリペプチドの全長にわたって行われることが最も適している。同じ考察が、核酸ヌクレオチド配列に当てはまる。
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、最もよくある神経変性障害であり、65歳を超える8人中2人以上が罹患している(Blennow K, de Leon MJ, Zetterberg H (Alzheimer's disease. Lancet 368:387-403.2006))。この疾患は、国民医療制度の主要な経済的及びその他の負担を有し、初期診断又は疾患進行のモニタリングを補助するバイオマーカーは、新規治療の開発にとって、また、臨床診療において大きな価値がある。バイオマーカーの探索における相当な進歩が、周知の病理学的病変−アミロイドβ(Aβ)プラーク(Glenner GG, Wong CW, Quaranta V, Eanes ED (The amyloid deposits in Alzheimer's disease: their nature and pathogenesis. Appl Pathol 2:357-369.1984))及び神経原線維の濃縮体(Lee VM, Trojanowski JQ (The disordered neuronal cytoskeleton in Alzheimer's disease. Current opinion in neurobiology 2:653-656.1992))に由来するマーカーを用い、種々の技術を使用して行われ、脳脊髄液(CSF)、血液及びその他の組織及び液体における生化学的変化を調べた。ADにおけるバイオマーカーの最も見込みのある供給源として、CSF又は血漿があるが、これは、これらの液体が、脳組織と比較して、より容易に入手可能であり、CSFの場合には、重要な生化学的変化が起こる中枢神経系(CNS)と密接に接触しているからである。しかし、腰椎穿刺によってCSFを得ることは、比較的侵襲的な手順であり、目の前にある血液からバイオマーカーを有することは、相当な進歩に相当する。したがって、本発明者らは、この目的に焦点を合わせた。
ADのバイオマーカーの同定は、高度に感度の高い方法を用い、血液及びCSFサンプルのプロファイリングを使用して取り組まれ、AD対象及び対照を区別できる、又は疾患進行若しくは治療に対する反応についての情報を提供できるマーカー、すなわち、タンパク質、ペプチド又は代謝産物を同定し得る。質量分析法は高度に感度が高く、したがって、すべての種類の状態においてマーカーの同定に適しており、同重核タグとともにいわゆるショットガンプロテオミクスを使用して、CSFサンプル(Abdi F, Quinn JF, Jankovic J, McIntosh M, Leverenz JB, Peskind E, Nixon R, Nutt J, Chung K, Zabetian C, Samii A, Lin M, Hattan S, Pan C, Wang Y, Jin J, Zhu D, Li GJ, Liu Y, Waichunas D, Montine TJ, Zhang J (Detection of biomarkers with a multiplex quantitative proteomic platform in cerebrospinal fluid of patients with neurodegenerative disorders. J Alzheimers Dis 9:293-348.2006)、Choe L, D’Ascenzo M, Relkin NR, Pappin D, Ross P, Williamson B, Guertin S, Pribil P, Lee KH (8-plex quantitation of changes in cerebrospinal fruid protein expression in subjects undergoing intravenous immunoglobulin treatment for Alzheimer’s disease.Proteomics 7:3651-3660.2007)、Dayon L, Hainard A, Licker V, Turck N, Kuhn K, Hochstrasser DF, Burkhard PR, Sanchez JC (Relative quantification of proteins in human cerebrospinal fluids by MS/MS using 6-plex isobaric tags. Analytical chemistry 80:2921-2931.2008))及び血液サンプル(Hergenroeder G, Redell JB, Moore AN, Dubinsky WP, Funk RT, Crommett J, Clifton GL, Levine R, Valadka A, Dash PK (Identification of serum biomarkers in brain-injured adults: potential for predicting elevated intracranial pressure. J Neurotrauma 25:79-93.2008))のプロテオームを分析して、特定の疾患又は病期において変更されたタンパク質レベルを見い出すいくつかの報告が公開されている。
本発明者らは、緩徐に低下する(SND,slow declining)及び迅速に低下する(FD,fast declining)AD患者から得た血液の、認知症でない対照(NDC)対象との比較を実施した。本発明者らは、1)疾患進行マーカーについて、SND及びFD患者間のタンパク質変化及び2)疾患パターンに特徴的なタンパク質を決定するための、AD患者及びNDC間の変化を同定することを目標とした。実施例の節では、同重核タンパク質タギング及び質量分析を使用して調べられたサンプルから得たデータが示されている。より大きなデータセットにおいて、変化をさらに調べ、免疫ブロット法によって確認した。
代替法
熟練した読み手ならば、本明細書に例示される特定の技術は、必要に応じて、同様の効果を達成するための容易に入手可能な代替物を使用して変更してもよいということは理解されよう。例えば、血液サンプルにおけるゲルゾリンレベルのアッセイは、ウエスタンブロットによって、又は同重核タンパク質タギングによって、又はELISAによって、又は当技術分野で公知のいかなるその他の適した手段によって実施してもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、
a)対象から血液のサンプル又は血液に由来するタンパク質を含むサンプルを提供するステップと、
b)所望により、前記血液から血漿を抽出するステップと、
c)所望により、前記血液又は血漿を処理して、前記血液又は血漿に由来するタンパク質を含むサンプルを製造するステップと、
d)所望により、前記血液又は血漿から多量のタンパク質を枯渇させるステップと、
e)所望により、前記血液又は血漿からタンパク質をサイズ選択するステップと、
f)所望により、前記血液又は血漿からタンパク質を安定化させるステップと、
g)所望により、前記血液又は血漿からタンパク質を濃縮するステップと、
h)所望により、前記血液又は血漿からタンパク質の緩衝作用を調整するステップと、
i)前記サンプルにおけるゲルゾリン、セルロプラスミン及びC1プロテアーゼ阻害剤などの1種又は2種以上のバイオマーカー、最も適切には、ゲルゾリンをアッセイするステップと
を含み、
j)前記アッセイが、適切には、同重核タンパク質タギングなどによって前記バイオマーカーの濃度又は量を決定し、
k)対象から得たサンプル中の前記バイオマーカーの濃度又は量を、健常な対象から得たサンプル中の前記バイオマーカーの濃度又は量と、又は参照サンプル/値と比較するステップと
を含む方法に関する。
上記(k)において同定されるいかなる相違も、本明細書に示される転帰を示す、例えば、健常な対象から得たサンプル又は参照サンプルと比較して低下したゲルゾリンレベルを検出することが、アルツハイマー病を有する対象の可能性の増大を示す。
サンプルが、インビトロで提供されることが適している。本発明の方法が、インビトロで実施されることが適している。サンプルの採取が、本発明の方法のステップではないことが適している。このようにして、本発明は、ヒト又は動物身体で直接実施されないことが適している。
あるいは、本発明の方法は、血液サンプルなどのサンプルの採取で開始してもよい。
さらなる適用
ポリペプチドを認識する、結合する、又はそれに対して親和性を有する、種々のアッセイ装置、キット又は物質が記載されている。ポリペプチドは、ゲルゾリン(Swiss prot受託番号P06396;配列番号1)を含み得る。ポリペプチドは、
C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)
セルロプラスミン(配列番号3)
クラステリン(SwissProt受託番号P10909;配列番号4)
補体c3(P01024;配列番号5)
血清アミロイドP成分(P02743;SAP;配列番号6)
α−2−マクログロブリン(P01023;A2M;配列番号7)
γ−フィブリノゲン(P02679;配列番号8)
補体因子H(P08603;CFH;配列番号9)
アポリポタンパク質E(配列番号10)
から選択される1種又は2種以上のタンパク質を含み得る。
ペプチド
質量分析ベースのアッセイによって検出されているいかなる所与のポリペプチド又はポリペプチドのセットのためにも、本明細書に記載されるMRM技術によってアッセイを実施してもよい。この実施形態では、特定のユニークなペプチド及び特に、特定の遷移が、所望のペプチドを検出するのに特に有利である。これらは、通常、最高の提示を生じるよう選択される(又は、複数の断片/遷移が同様のレベルを生じる場合には、特定のレベルの提示を生じるありとあらゆるペプチドなどの組合せを使用してもよい)。モニタリングのために使用される特に好ましい遷移は、添付の実施例及び/又は図に記載されるものである。
特に、特定のペプチドには、本発明のアッセイの実施において標準及び/又は対照として有用性がある。例えば、以下のペプチドは、本明細書に記載されるポリペプチドの検出の補助において特に有用である:
Figure 2012515915
以下が特に適している:
Figure 2012515915
この表中のペプチドは各々、本明細書に示される質量分析アッセイにおける優れた性能という利点を有する。ゲルゾリンの検出のためのものである配列番号30、31及び32が最も好ましい。
[実施例]
概略
最近の研究によって、AD患者と認知症でない対照(NDC)の間には血漿タンパク質レベルの相違が存在し得るということが示される。本発明者らは、ショットガンプロテオーム発見実験において、30人の推定AD及び15人のNDC対象において同重核質量タギングを使用して、血漿タンパク質レベルを比較した。血漿サンプルを、年齢、性別及び認知評価基準(MMSEスコア)について対応させ、分析のためにプールした。その後の相対定量化及び主成分分析によって、2つの群AD及びNDCを区別できる候補タンパク質の一覧が得られた。最も重要なタンパク質、すなわち、ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンを、合わせて90人の推定AD及び50人のNDC対象のより大きなサンプルセットにおいてウエスタンブロット解析によって確認した。
このコホートでは、AD患者は、NDC対象と比較して大幅に低い血漿ゲルゾリンレベルを示した。さらに、ゲルゾリンレベルは、疾患進行速度と相関し、緩徐及び迅速に低下するAD患者において大きく異なっていた。さらに、C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、APOE ε4遺伝子型と関連しているとわかり、低いセルロプラスミンレベルは、早い発症の年齢と相関していた。ゲルゾリンは、そのレベルの変化のために、及びADにおける進行速度とのその関連のために、並びに、アミロイドβ(Aβ)とのその報告された相互作用のために、優れたマーカーである。さらに、このマーカーは、有利には、ADのバイオマーカー群に含まれるべきである。
以下の略語は、所与の意味を有する:AD アルツハイマー病;Aβ アミロイドβ;FD 迅速に低下するもの;SND 緩徐に低下する/低下しないアルツハイマー患者;NDC 認知症でない対照アルツハイマー患者;APOE アポリポタンパク質E;TMT タンデム質量タグ;(MRM 多重反応モニタリング);C1 inh 血漿プロテアーゼC1阻害剤タンパク質;CNS 中枢神経系;CSF 脳脊髄液;PBS−T 0.01% Tween 20を含有する リン酸緩衝生理食塩水;TCEP トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン;RT 室温;TFA トリフルオロ酢酸(Trifluoracetic Acid);RP 逆相;SCX 強陽イオン交換;LC/MS/MS タンデム質量分析と接続している液体クロマトグラフィー;PCA 主成分分析;PLS−DA 部分最小二乗判別分析;ROC 反応動作曲線(Response Operator Curve)。
対象及びプールの選択
主な研究の集団は、アルツハイマー病を有する対象及び高齢者の集団に基づいた大きな団体[Alzheimer’s Research Trust (ART)コホート]から得られたものであり、ミニメンタルステート検査(MMSE,mini mental state examination)スケール及びアルツハイマー病評価スケール−認知サブスケール(ADAS−cog,Alzheimer's disease assessment scale-cognitive subscale)をはじめとするいくつかの認知評価基準によって評価した。サンプルを、群間で年齢、性別及びベースラインMMSEスコアについて、群内で年齢、性別及びMMSE低下について対応させた。サンプルを、EDTAコートしたガラスチューブに集め、さらなる分析まで−80℃で保存した。
発見実験のために、FD及びSND群から得た血漿サンプルを、ベースライン(1年)及び2年後(3年)に分析した;NDC群中の各対象から単一の血漿サンプルを採取した。群あたり合計15サンプルが入手でき(合わせて75サンプル)、これらを各5サンプルの3セットにプールした。これによって、その後の分析のための合計15プールが得られた。2群−迅速に低下するもの及び緩徐に低下するもの−のうち1群へのADサンプルの分類を、2年にわたる年間のそのMMSEスコアの低下に従って実施した。MMSEスケールで年間0〜3ポイントの低下を有する患者から得たサンプルを、緩徐に低下するAD患者として分類したのに対し、MMSEスケールで6ポイント以上の年間低下を有する患者から得たサンプルを、迅速に低下する群に割り当てた。プールしたサンプルを、年齢及び性別について対応させた(表1a)。迅速に低下するもののすべてのプールは、平均年齢78、平均ベースラインMMSEスコア18〜20及びMMSEスケールで年間11ポイントの平均低下を有していた。他方、緩徐に低下するもののプールは、平均年齢80〜82、平均ベースラインMMSEスコア18〜21及びMMSEスケールで年間2ポイントの平均低下を有していた。相対的に、NDCのプールは、平均年齢78を有しており、性別においても対応させた。
確認目的で、元のサンプルを含めたより大きなサンプルセットを使用した。合わせて90人のAD患者を、50人の対照と比較した(表1b)。研究は、関連研究倫理委員会によって承認された。
サンプル調製
実施例3では、同重核タンパク質標識によるタンパク質検出が示されている。この実施例は、このような分析のために、どのようにサンプルが有利に調製され得るかを説明する。もちろん、異なる分析が使用される場合には、異なるサンプル調製が選択され得る。
概して、サンプル調製及びタンデム質量タグ(TMT)を用いる標識が、これまでに記載されたように(Dayon L, Hainard A, Licker V, Turck N, Kuhn K, Hochstrasser DF, Burkhard PR, Sanchez JC (Relative quantification of proteins in human cerebrospinal fluids by MS/MS using 6-plex isobaric tags. Analytical chemistry 80:2921-2931.2008))ではあるが、わずかに改変して実施された。検出可能なタンパク質の数を増大するために、マルチプルアフィニティー除去システム(MARS, 5188-5332, Agilent社製, Palo Alto, CA)を用いて、血漿を6種の最大に多量のタンパク質(アルブミン、トランスフェリン、IgG、IgA、アンチトリプシン及びハプトグロビン)を枯渇させた。30μlのプールした血漿を、90μlのMARSバッファーAを添加することによって1:4希釈し、ボルテックス処理し、15,500×gで1分間遠心沈殿させた。上清100μlを4.6mm×50mm MARSカラム上に注入し、製造業者の使用説明書に従って処理した。フロースルー画分(1ml)を集め、バッファー交換及びタンパク質濃度のために、5kDa MWCO遠心フィルター装置(Vivaspin 4, VS0414, Sartorius社製, Goettingen, Germany)に移した。3mlの100mM重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB,triethylammonium bicarbonate)pH8.2を添加した後、チューブを、4℃、2,000×gで30分間遠心分離した。その後、3mlのTEABを加え、30分間遠心分離し、さらに3mlのTEABを加え、残存する容量が、50〜100μlの間となるまで60分間遠心分離した。容量を、150μlに調整し、各血漿プールのタンパク質含量を、従来のBradfordアッセイ(Protein Assay,Bio-Rad社製, Hercules, CA)を用いて求めた。
タンパク質検出
原則として、タンパク質検出は、熟練した読み手に公知のいかなる適した手段によってであってもよい。同重核タンパク質タギング技術が、例としてここで記載されている。
等しいタンパク質量を確実にするために、サンプルあたり100μgのタンパク質を、新しいチューブに移し、5μlのHO中の2%SDS(w:w)を加え、100mM TEABで100μlまで満たした。5.3μlのHO中の、20mM トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP,Tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride)を加え、室温(RT)で30分間インキュベートした。その後、アセトニトリル(ACN,acetonitrile)中の5.5μlの150mMヨードアセトアミドを加え、室温、暗所で60分間インキュベートした。続いて、100mM TEAB中、0.4μg/μlの新しく調製したトリプシン(Seq. grad modified trypsin, Promega社製, V5111, Madison, WI, USA)10μLを加え、37℃で一晩インキュベートした。
15種の血漿プールを分析のために3種の個々の実験(生物学的複製)に分けるが、これらの実験のうち1つを技術的複製のために3回反復する。3種の個々の実験の各々において、血漿プールを、以下のように、40.3μl ACN中の、60mM TMTリポーターイオン(Proteome Sciences Plc社製, London, UK)を用いて、室温で1時間標識した:m/z 126.1:FD1年、127.1:FD3年、128.1:SD1年、129.1:SD3年、130.1:NDC、131.1:Dade Behring参照血漿。すべての実験においてDade Behring血漿を分析し、実験間比較を可能にした。インキュベートした後、各チューブにHO中の、5%ヒドロキシルアミン(w/v)8μLを加え、15分間混合した。6種のサンプルを新しいチューブにプールし、ACN含量の低減のために、HO中の、5% ACN 0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて1:6希釈した。
MS分析のための調製
この実施例では、タグのついたタンパク質が質量分析(MS)を使用して検出される。MS分析における過度の試薬及び高い塩含量の悪影響を避けるために、サンプルを手作業で精製し、逆相(RP,reverse phase)カラム(Waters社製, Oasis HLB cartridge, WAT094225, Milford, MA, USA)とそれに続いて、空のカートリッジ(Macherey-Nagel GmbH & Co KG社製, 732501, Dueren, Germany)及びセファロース懸濁液(Sigma-Aldrich社製, SP Sepharose Fast Flow, S1799-100ML, St. Louis, MO, USA)から調製した強陽イオン交換(SCX,strong cation exchange)カラムを備えた真空マニホールド(Thames Restek UK社製, 26077, Saunderton, UK)で脱塩した。溶出したサンプルを、スピードバック中で凍結乾燥し、2ml HOに溶解し、再度蒸発乾固させ、さらなる分析まで−80℃で保存した。
質量分析
LC/MS/MS分析のために、サンプルを100μlの50mM重炭酸アンモニウムバッファー中、37℃で10分間再構成した。その後、サンプルをおよそ0.1μg/μlの濃度に重炭酸アンモニウムでさらに希釈した(1:60)。
Ultimate LCシステム(Dionex社製, Camberley, UK)を使用して逆相クロマトグラフィーを実施した。ペプチドを、0〜48% ACN/0.05%ギ酸の3段階直線勾配を使用し、200nL/分の流速で120分かけてC18 PepMapカラム(75μm I.D.)で分離した。ペプチドを、Masslynx v4.0ソフトウェア下で作動するQTof-micro(Waters社製, Elstree, UK)に取り付けたZ−スプレイ供給源を使用してエレクトロスプレーイオン化によってイオン化した。機器を自動化切替様式で動作させ、衝突誘導フラグメンテーションによる配列決定のために、前駆体イオンをその強度及び荷電状態に基づいて選択した。MS/MSを、質量/荷電(m/z)比に基づき、TMT標識されたペプチドのフラグメンテーションのために最適化されたコリジョンエネルギープロファイルを使用して実施した。生データを、内部補体C3ペプチドに対して再較正し、以下のMS/MS処理パラメータを用いるProteinLynx Global Server v2.2.5を使用してピークリストに処理した:Savitzky-Golay法によるスムージング、2反復、4チャネル;トップ80%のピークセントロイド処理(centroiding)、デアイソトーピング(deisotoping)又はバックグラウンド差し引きなし。
タンパク質同定
Mascot(v2.2; http://www.matrixscience.com/)を使用するシングルサーチとして、IPIヒトデータベース(リリースv3.32)に対してMSピークリストデータを検索することによって、各TMT実験においてタンパク質を同定した。以下のパラメータ特定化を使用した:前駆体イオン質量許容誤差150ppm、フラグメントイオン質量許容誤差0.6Da、最大3つの失敗した切断を含むトリプシンペプチド、可変修飾:システインのカルバミドメチル化、メチオニン酸化及びリシン残基のイプシロン−アミノ官能基及びペプチドN末端のTMT標識。得られたMascotファイルは、同定されたタンパク質に関する情報を含み、スペクトルの手作業での検査に使用できる。ピークリストファイルはまた、TiTRE(v1.6)、社内で開発したソフトウェアを使用して処理され、リポーターイオンデータを抽出した。これは、その後、Mascot検索結果と関連していた。
検索結果を処理して、MS/MSイオンスコア>20及びランク1配列割り当てを有する割り当てのみを報告した。Mascot MS/MSイオン検索にとって、ランク1割り当ては、MS/MSクエリーに対する最高スコア配列マッチである。これらのペプチド割り当てを、「ユニーク性」について評価し、すなわち、割り当てられた配列がそのタンパク質内でのみ生じる場合には、割り当ては「ユニーク」であり、割り当てられた配列がまた、その他のタンパク質中にも存在する場合には、割り当ては「非ユニーク」とした。偽陽性ペプチド割り当ての5%の危険性に対応する、上記のMascot同一性スコア(通常、約40)を上回るスコアをつける2未満のユニークなペプチドを含む割り当てられたタンパク質ヒットを、割り当てられたペプチドの質量分析の手作業での検査によって確認した。
リポーターイオン強度は各々、参照血漿標準に対する割合として表され、log10値に変換される。データは、正規化されたlog10リポーターイオン割合の中央値が0であるよう、各個々の値から、log10リポーターイオン割合の中央値(グローバルノーマライゼーション(global normalisation)因子)を差し引くことによって正規化した。
これまでの実験から、Qtof micro機器を使用して、リポーターイオン強度が容易に決定され得る最小閾値は、40カウントであった。この閾値を下回ると、観察されるタンパク質割合は、イオン統計値の不良のために実際の割合を代表しない。この理由のために、40カウントを下回る参照血漿中のリポーターイオン強度を有するペプチドは、定量化から除外した。さらに、TMTを用いて不完全に標識されたペプチド及びメチオニンを含有するものはデータセットから除かれた。不完全なTMT標識及び/又はメチオニン残基を含有することに対応する割り当ては、割り当ての主な集団から差次的に定量化するために観察され、タンパク質量の実際の相違を代表しないことが多かった。後者の場合には、リポーターイオン割合は、サンプル間の差次的メチオニン酸化をたどると思われた。
正規化されたデータセットを、異なる生物学的反復実験において同定されたタンパク質がアラインされるように合わせた。
多変数解析
実施例5から得たアラインされたデータセットを、SIMCA−Pソフトウェア(バージョン11.5)にインポートした。すべての変数(各タンパク質の平均log10リポーターイオン割合)を単位変数に対して縮尺し、値の50%超が欠けている変数を分析から排除した。最初に、主成分分析(PCA,principal components analysis)を使用してデータをまとめ、対応される必要があるデータセット中の強い異常値又はその他の問題の存在を調べた。続いて、部分最小二乗判別分析(PLS−DA,partial least squares - discriminant analysis)を使用して、群間で異なったタンパク質を同定した。
血漿サンプルのTMT分析
ゆっくり及び迅速に低下するAD患者の、並びに、認知症でない対照の血漿プロテオームを調べるために、各3セットにプールされた群あたり15人のサンプルを、同重核タンパク質タグを用いて標識し、質量分析によって分析した。5回の実験すべてにわたって合計2365のクエリーを、ペプチド配列に対応させた。これらのペプチドは、合計152種のユニークなタンパク質配列と関連していた。測定値の50%超が欠けているタンパク質を除去した後、合計52種の同定されたタンパク質が、分析に利用可能な定量的データを有していた(表2)。次いで、多変数解析(PLS−DA)を使用して、平均相対タンパク質濃度データを使用して異なる群を区別しようとした。モデルフィッティングした後、クロス確認によって、相当な成分が、SD1年又は3年及びNDC観察結果を含有するデータセットにフィッティングされ得ないことが示された。
3成分モデルが、クラスデータ(R2Y)の分散の99.5%を説明する、FD1年及びNDCデータセットにフィッティングされた。図1は、さらなるパラメータと一緒にPLS−DAモデルのスコア及び加重を示し、このモデルを要約する。クラスデータの分散の99.5%を説明する同様の3成分モデルも、FD3年及びNDCデータセットにフィッティングされた。
FD及びNDCの区別にとって最も重要なタンパク質が、表1中に強調されている。これらのタンパク質の相対的重要性は、これまでに記載されたモデルにおけるPLS回帰係数に基づいて判断された。
ウエスタンブロット解析
本出願を通じて記載されるように、同重核タンパク質タギングは、本発明のマーカーの検出が実行され得るたった1つの方法である。同重核タンパク質タギングによって得られたデータの確認のために、より大きなサンプルセットにおいてウエスタンブロッティングによって選択されたタンパク質を分析した。血漿サンプルを、以下のとおりに希釈し:4μl生血漿、96μlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete(登録商標),1836145, Roche Applied Science社製, Penzberg, Germany)を含有するPBS及び100μlの2×サンプルバッファー(Laemmli, S3401, Sigma社製)を、100℃に5分間加熱し、15,500×gで遠心沈殿させ、SDSポリアクリルアミドゲル(NuPAGE(登録商標) Novex 4-12% Bis-Tris Midi Gel, 26W, Invitrogen社製, Carlsbad, CA, USA)で分離した。0.2μmのニトロセルロースメンブラン(Schleicher & Schuell社製, BA-S 83, Keene, NH, USA)にトランスファーした後、ブロットを0.1% PBS−Tween(PBS−T)中、5%の脱脂乳を用いてブロッキングし、セルロプラスミン(ab8813, 1:50000, Abcam社製, Cambridge, UK)C1プロテアーゼ阻害剤(ab36992, 1:2000, Abcam社製)及びゲルゾリン(ab55070, 1:500, Abcam社製)に対する抗体を用いて探索した。一次抗体を、近赤外Odysseyイメージャー(Licor社製, Lincoln, NE, USA)を使用し、700又は800nmのいずれかの波長で発光するフルオロフォアとコンジュゲートしている適当な二次抗体(希釈:1:10000)を用いて検出した。Odysseyソフトウェアv2.1を使用して、濃度測定分析を実施した。
強度の調整のために、すべてのサンプルを2連で実施し、各ゲルで参照血漿サンプルを実施した。等容積の血漿を、イムノブロット及びその後の定量的デンシトメトリーに付した。ゲル間定量的比較を可能にするために、参照血漿とのサンプル毎の比を確立し、2連の実施を平均化した。2連のゲルの再現性を評価すると、ピアソン相関を実施することによって0.84という大きな正の相関が見られた。統計ソフトウェアプログラムSPSS v15.0を使用して、結果をスチューデントのt検定によって有意性について調べた。さらに、反応動作曲線(ROC,Response Operator Curve)分析を実施して、感度及び特異性を評価した。
実施例6から得たプロテオームデータを確認するために、選択されたタンパク質を、ウエスタンブロッティングによって分析し、多変数解析において見られたAD及びNDCサンプル間の相違を調べた。PLS係数の高い絶対値は、それぞれの群の分離における特定のタンパク質の高い相対的重要性を示す。したがって、本発明者らは、より大きなデータセットにおけるさらなる確認のために、最高のPLS係数値を有する(表2)、3種タンパク質−ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤(C1 inh)及びセルロプラスミンを選択した。データセットは、最初の研究に使用されたサンプル及び比較される合計90人のAD及び50人のNDCサンプルを与えるためのさらなるサンプルからなっていた。
結果を、スチューデントのt検定を使用して有意性について調べ、AD患者から得た血漿において、ゲルゾリンレベルの高度に大幅な低減(p=0.001)を確認できた(図2a)。C1 inh及びセルロプラスミンレベルの変化は、あまり顕著ではないと思われ、統計的有意性に達しなかった。これら3種のタンパク質を、APOE遺伝子型、重篤度の尺度としてのMMSEスコア、年間のMMSE低下及びまた、発症の年齢に関してさらに分析した。ゲルゾリンレベルは、年間のMMSE低下と相関しているとわかった(ピアソン相関−0.209、p=0.05)。この知見は、最初のデータセットにおけるものと同一の分類判定基準を適用して、AD患者をゆっくり及び迅速に低下する群に割り当てた後、ゲルゾリンレベルがSNDと比較してFD群において有意に低いとわかった(スチューデントのt検定;p=0.019)という事実によって支持される。したがって、TMT分析から得た結果(図2b)を確認できた。さらに、C1 inhは、APOE ε4対立遺伝子の数と弱い関連を示し(ピアソン相関−0.175;p=0.043)、セルロプラスミンは、発症の年齢と相関を示した(スピアマン相関0.231;p=0.031)。
さらに、ゲルゾリンのROC分析を実施した。曲線下面積は、高度に有意であるが(p=0.001)、タンパク質は、都合のよい試験特徴を示さなかった:80%の設定特異性は、44%の感度値を与えたのに対し、感度値を80%に設定することによって39%の特異性値が得られた。
まとめ
本発明者らは、アルツハイマー病における同重核タンパク質タグを用いる分画されていない血漿の最初の分析を開示する。
さらに、本発明者らは、ショットガンプロテオミクス発見実験においてタンデム質量タグを使用して、迅速に低下するアルツハイマー病患者及び認知症でない対照を区別できるいくつかのタンパク質を同定できた。選択された候補タンパク質を、定量的ウエスタンブロッティングを用いてより大きなデータセットにおいて確認した。ゲルゾリンの血漿レベルは、対照と比較してADにおいて低下すること並びにレベルはまた、迅速及びゆっくり低下するAD患者間で異なることが示された。ゲルゾリンレベルが疾患進行と相関したことが最も重要である。
さらに、C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、APOE ε4遺伝子型と関連していることがわかり、低いセルロプラスミンレベルは、早い発症年齢と相関していた。
同重核タンパク質タギングを使用する、アルツハイマー病のマーカーの発見及び確認
アルツハイマー病(AD)のバイオマーカーは、緊急に必要とされている。最近の研究によって、AD患者及び認知症でない対照(NDC)間には、血漿タンパク質レベルの相違が存在することが示され、このことは、ADの末梢のバイオマーカーの可能性を示唆する。本研究では、本発明者らは、同重核質量タギングを使用して、ショットガンプロテオームアプローチにおいて、30人の推定AD及び15人のNDC対象において血漿タンパク質レベルを比較した。血漿サンプルは、年齢、性別及び認知評価基準(MMSEスコア)について対応させ、分析のためにプールした。その後の相対定量化及び主成分分析によって、2群AD及びNDCを区別できる候補タンパク質のリストを作製した。最も重要なタンパク質、すなわち、ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンは、合わせて90人の推定AD及び50人のNDC対象のより大きなサンプルセットにおいてウエスタンブロット解析によって確認した。いくつかの知見をさらに確認するために、多重反応モニタリング(MRM)、高度に特異的であるだけでなく、極めて高い感度も有する方法を使用して、サンプルのサブセットを分析した。要約すれば、AD患者は、NDC対象と比較して大幅に低い血漿ゲルゾリンレベルを示した。さらに、C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、ApoE イプシロン4遺伝子型と関連しているとわかり、低いセルロプラスミンレベルは、早い発症年齢と相関していた。ゲルゾリンは、ADにおけるその変化したレベルのために、並びに、アミロイドβ(Aβ)とのその報告された相互作用のために、ADに関して高度に興味深いタンパク質であり、さらなる評価が必要である。
一般法は、図3Aに示されている。
LC/MS/MSを使用する同重核タンパク質タギング
すべての実験にわたって合計2365のクエリーを、ペプチド配列に対応させた。これらのペプチドは、合計152種のユニークなタンパク質配列と関連していた。実験の50%超において検出されたタンパク質のみを含め、合計52種の同定されたタンパク質が、分析に利用可能な定量的データを有していた。多変数解析(PLS−DA)によって、タンパク質平均データを使用して対象の異なる群を区別できる候補タンパク質のリストを作製した(表1−図3B)。
表1(図3B):AD及びNDC対象を区別する候補タンパク質のリスト。PLS−DA係数の高い絶対値は、群間の判別におけるそれぞれのタンパク質の高い重要性を示すが、正/負の値は、AD群におけるレベルの増大/低下を示す。T1及びT2とは、ベースライン及び2年のフォローアップでのサンプルの測定値を指す。
ウエスタンブロッティング
プロテオームデータを確認するために、選択されたタンパク質を、ウエスタンブロッティングによって分析し、多変数解析によって抽出されたAD及びNDC間の変化を調べた。したがって、本発明者らは、より大きなデータセットにおけるさらなる確認のために、ベースライン及び2年のフォローアップそれぞれで最高のPLS係数値を有する(表1;太字)3種のタンパク質−ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミン−を選択した。データセットは、最初の研究に使用されたサンプル及び比較される合計90人のAD及び50人のNDCサンプルを与えるためのさらなるサンプルからなっていた。結果を、独立サンプルt検定を使用して有意性について調べた。初めて、AD患者から得た血漿においてゲルゾリンレベルの高度に有意な低減(p=0.001)を証明できた(図4A)。C1阻害剤タンパク質及びセルロプラスミンの変化はあまり顕著ではないと思われ、統計的有意性に達しなかった。MMSEスコア、年間のMMSE低下及び発症の年齢などの臨床パラメータを用いて相関分析を実施し、ApoE e4遺伝子型との関連について調べた。要約すると、C1プロテアーゼ阻害剤は、ApoE e4保有者との有意な関連を示し(p=0.035)、セルロプラスミンは、疾患発症の年齢との相関を示し(スピアマン相関0.231、p=0.031)、それによって、多変数解析におけるその高いPLS−DA係数値についての説明が提供される。
さらに、ゲルゾリンの反応動作特性(ROC)分析を実施した(図4B)。曲線下面積は高度に有意であるが(p=0.001)、タンパク質は、好都合な試験の特徴を示さなかった:80%の設定特異性で44%の感度値が得られたのに対し、80%に感度値を設定することによって39%の特異性値が得られた。
結論:
・AD対象は、NDC対象と比較して有意に低い血漿ゲルゾリンレベルを示した。
・C1プロテアーゼ阻害剤レベルは、ApoE e4遺伝子型と関連しているとわかった。
・セルロプラスミンレベルは、疾患発症の年齢と正の相関を示した。
AD及び対照対象間の血漿においてその明らかな変化及びAbとのそのこれまでに報告された相互作用(Chauhan VP, Ray I, Chauhan A, Wisniewski HM (Binding of gelsolin, a secretory protein, to amyloid beta-protein. Biochemical and biophysical research communications 258:241-246.1999)、Ray et al., 2008)を考えると、バイオマーカーとしてのゲルゾリンの使用は当然である。
血漿ADバイオマーカーのより大きな群の一部としてのゲルゾリンの選択的反応モニタリング
ゲルゾリンを含むいくつかの血漿タンパク質が、発見演習(exercises)から候補ADバイオマーカーとして浮上した。これらの候補の確認のためにアッセイが必要である;SRMベースのアプローチが、その技術の感度及び選択性、多重化する能力及び抗体の制限された有効性のためにELISAの魅力的な代替法である。ここで、所望のタンパク質にとってユニークな特徴的なペプチドが、サンプル中のそのタンパク質の定量的情報を提供するために測定される。SRMによる所望の分析物の定量化における正確度は、TMTと組み合わせることによって、これが分析への内部参照の組み込みを可能にするので、改善され得る。最初の結果は、ペプチド定量化の正確な、再現性のある方法としてのTMT SRMを実証した。本発明者らは、ここで、AD及び対照血漿サンプル中の8種の候補バイオマーカーの評価を可能にする完全TMT SRMアッセイを提供することに進む。
既存のMS/MSデータを使用して、定量化のためにタンパク質あたり少なくとも3種のペプチドを選択し、ゲルゾリンの代表的なペプチドが図5に示されている。含まれる選択のための判定基準;トリプシンでの切断不足なし、変数改変なし(インビボ又は実験的)、各々がプロテオティピック(ユニーク)であった。各ペプチドの合成版を調製し、TMTzeroで標識し、定量化のための参照として作用した。ペプチドを4000 QTRAP(Applied Biosystems社製)に注入し、MS/MSデータを獲得した。すべてのペプチドについて最適フラグメントイオンを選択し、Q3における各々の最大検出を容易にした。対応するTMTsixplex標識したフラグメントイオン質量を算出し、個々のQ1及びQ3遷移対に対してMS機器パラメータを最適化した。プールされた血漿サンプルを消化し、TMTsixplexを用いて標識し、TMTzero標識した参照ペプチドと組み合わせた。Ultimate 3000 nano LC(Dionex社製)及び4000QTRAPを使用して、LC/MS/MS分析を実施した。90分のACN勾配にわたる逆相クロマトグラフィーによってペプチドを分離した。各ペプチドの正確な保持時間を使用して、SRMスケジューリングを、本方法に適用した(+/−3分検出ウィンドウ;2.5秒サイクル時間;37.8msec ドウェル時間及びFHMWで21データ点)。
すべてのペプチドを、変動する強度でTMT SRMによって血漿サンプル中で観察した。各候補ペプチドの正確な定量化を達成するために、参照ペプチドが加えられなかった場合に、血漿からの非特異的シグナルの相当な貢献があるかどうかを確定することが必要であった。TMTzero標識した血漿を、すべてのTMTzero及びTMTsixplex遷移にわたって分析した。いかなるTMTzero SRM遷移から観察されたシグナルも、非特異的バックグラウンドを表した。続いて、相当なバックグラウンドを有していた遷移を方法から除去した。
ゲルゾリン及びさらなる拡張マーカー群の確認
1.導入
アルツハイマー病(AD)の特異的及び感度の高いバイオマーカーの確立が、診断及び疾患進行のモニタリングにおいて補助するために必要である。発見演習から、クラステリン(SwissProt受託番号P10909)、補体c3(P01024)、血清アミロイドP成分(P02743;SAP)、α−2−マクログロブリン(P01023;A2M)、ゲルゾリン(P06396)、γ−フィブリノゲン(P02679)及び補体因子H(P08603;CFH)が、AD対対照サンプルにおいて差次的に発現されるとわかった。さらに、アポリポタンパク質e4対立遺伝子の所有が、後期発症ADの今までに知られている唯一の明白な遺伝的リスク因子であり、アポリポタンパク質E(P02649;ApoE)タンパク質の発現はADにおいて変更され得る。これらのタンパク質は、疾患の進行がモニタリングされ得る可能性のある候補として存在する。この実施例は、臨床サンプルコホートへのタンデム質量タグ選択反応検出(TMT−SRM,Tandem MassTag Selected Reaction Monitoring)アッセイの適用を詳述する(n=20;10人のアルツハイマー病(AD)、10人の対照)。この研究の目的は、第1に、直交技術(TMT SRM)を使用した、タンパク質の1種、ゲルゾリン(対照に対してAD患者において低減するとわかった)についてのウエスタンブロット(WB,western blot)の知見の確認であり、第2に、TMT SRMによってADコホートにおいて残りのタンパク質の性能を評価することである。
2.方法
2.1.サンプル選択
ゲルゾリンのWB測定値に基づいてサンプルを選択した。TMT−SRMによって疾患及び対照間の相違を検出する最良の機会を与えるために、ゲルゾリンの最高及び最低の濃度を示したサンプルが(群あたりn=10)、分析のために持ち越された。
2.2.SRM定量化のための候補ペプチドの選択
発見演習から得たものを含めた、TMT標識された血漿データセットの既存のMS/MSスペクトルを、SRMによる候補バイオマーカー確認に最も適したペプチドを決定するためにマイニングした(mined)。定量化のためにタンパク質候補あたり少なくとも3種のペプチドが選択され(合わせて32種)、そのうち16種が発見演習において観察された。SRMのためのこれらのペプチドの選択のための判定基準は、以下とした:良好な高質量フラグメントイオン、トリプシンでの切断不足なし、変数改変なし(インビボ又は実験)。内因性検出の不良及び正確度、精度及び再現性の不良のために、これまでの較正曲線をプロットする場合には、いくつかのペプチドが方法から除去された。これによって、本研究のこのパートにおいて定量化される22種のペプチドが残った。
2.3.合成ペプチドのサンプル調製
各ペプチドの合成版を、定量化の参照として作用するよう社内で調製した。これまでの結果は、同一タンパク質のペプチドから回収される量の変動を示した。このような変動を最小にするために、同一タンパク質のペプチドを、等モル混合物に組み合わせ(62nmoles/ペプチド;合わせて8混合物)、その後、TMT標識した。各混合物を、還元、アルキル化、トリプシン消化及びTMTを用いる個々のサンプルの化学標識からなる通常のTMT−SRMワークフローを使用して処理した。混合物を軽いTMT(血漿における逆較正曲線の作製のための内部標準として作用するための)及び重いTMT(血漿における逆較正曲線の作製のために使用される、及び実験サンプルセットの定量化のための内部標準としての使用のための)を用いて標識した。両混合物は、固相抽出及び揮発性バッファーを使用する強陽イオン交換によるその後の精製を受けた。
2.4.血漿サンプルの調製
等容量の各血漿サンプル(25μl)をストックから回収し、10倍希釈した。これから、12.5μlを各消化に加えると、消化あたり約100μgのタンパク質が得られた。さらに、較正曲線の調製のために、及び品質管理目的で、すべてのサンプルのプール(サンプルあたり100μg;合わせて2mgのタンパク質)を調製した。SDSを用いる可溶化及び希釈に続いて、各サンプルを還元し、アルキル化し、トリプシンを用いて消化した。サンプルを軽いTMTを用いて標識し、その後、固相抽出及び揮発性バッファーを使用する強陽イオン交換によって精製した。サンプルを凍結乾燥し、その後MS分析した。すべてのサンプルを3連で処理した(技術的反復)。
2.5.サンプルセットのSRM分析
Ultimate3000 LC system(Dionex社製)と接続している4000QTRAP質量分析計(Applied Biosystems社製)で、SRM分析を実施した。質量分析計に、陽イオンモードで操作される、マイクロリットル流速のためのマイクロイオンスプレイ供給源を取り付け、Q1及びQ3分離が単位に設定された(0.7FWHM)。ペプチドを、100μL/分の流速で5〜30% ACN/0.2% ギ酸の14分の勾配にわたって、Hypersilゴールドカラム(1mm内径×50mm;1.9μm、Thermo Fisher Scientific社製)を使用する逆相クロマトグラフィーによって分離した。カラムの洗浄及び平衡化によって、総実行時間が20分に増大した。
標識されたペプチドを、QTRAP MSに直接注入し、まず第一に、MS/MSフラグメンテーションのために選択された。各ペプチドについて最適MS/MSフラグメントイオン(3種)を選択し、Q3における各遷移の最大検出及び特異性を容易にした。次いで、すべてのペプチドを、選択されたQ3遷移を使用して、直接注入によるSRMによって測定した。各SRMの検出の感度を、コリジョンエネルギー、デクラスタリングポテンシャル及びコリジョンセルエクジットポテンシャルを調整することによってさらに最適化した。ペプチドをLC−SRMによって分析し、正確な保持時間を規定した。サンプルの分析に適用した最終SRM法は、45秒のSRMスケジューリングウィンドウ、1秒のサイクル時間、>20msのドウェル時間/遷移及びFWHMで5〜10のデータ点を有していた。
サンプルを333.33μLの3% ACN/0.2%ギ酸に再懸濁した。各個々の分析のために、100μlをマイクロタイタープレートウェルに分注し、凍結乾燥した。すべてのサンプルを3連で処理した(分析的反復)。分析の直前に、サンプルを25μlの重いTMTで標識されたペプチド(5fmoles/μl;カラム上で100fm)に再懸濁した。この濃度のサンプルによって、標的分析物の良好な検出が確実となり、その後の実施に採用される持ち越しはなかった。サンプル(23μl)を、フルループ注入を使用してカラム上に注入した(図1)。プールされた血漿サンプルを、25μlの軽いTMT及び重いTMTで標識されたペプチド(5fmoles/μl;カラム上で100fmで一定の軽いTMTペプチド及びカラム上で1〜6000fmで変動する重いTMTペプチド)を用いて再懸濁することによって、12点較正曲線を作製した。
実験サンプルを、60種のサンプルの3つの連続セットで分析し、3種の分析的反復を提供した。60種の各セットにおいて、実行命令をシャッフルし、実行時間及び実行命令バイアスを排除して、特定のサンプルが、2回、同一サンプルに先行及び後続しないことを確実にした。較正曲線を、60種のサンプルのセットを実行する直前に実行し、全サンプルセットが完了した後に2つの追加の曲線を実行した(合わせて5)。サンプルセットの分析の前に、システムチェックを受け、MS及びLCが最適感度、質量正確度、較正及びイオン安定性で実施されることを確実にした。サンプルセットの分析の間に、LC−SRM性能が維持されることを確実にするよう参照サンプルを複数回獲得した。
2.6.SRMデータ処理
SRMを、分析者の定量化ウィザード(Applied Biosystems社製)によって可視化した。すべてのピークのマッチングを目視で確認し、ピーク面積をMicrosoft Excelにエクスポートした。バックグラウンドシグナルに由来する不良なピーク定義がある場合には遷移を排除した。軽く標識された遷移各々(品質管理のための実験的血漿サンプル又はプールされた血漿サンプル)のピーク面積を、対応する重く標識された遷移(合成ペプチド;参照サンプル)のピーク面積に対して測定した。各遷移対のこれらの比(L/H)が定量的分析に進められた。
2.7.統計分析
実験設計は、消化内に入れ子になったペプチド内に入れ子になった遷移を含む階層的(入れ子)であり、各消化に対して3回の反復測定値がとられた。本発明者らは、階層中のすべての因子に起因する分散を考慮しながら95%信頼区間の現実的評価を与える、分析するためのアプローチを選択した。3元分散分析を使用して、変動の種々の供給源を分離し、推定し、次いで、これらを再び組み合わせて、平均の分散の推定値を得た。平均分散を使用して、標準誤差を推定し、これを、t−分布から得た値と一緒にして使用して、総平均の周りの95%信頼区間を推定した。
ゲルゾリン測定値は、対応するWBサンプル測定値と比較すると、各サンプル中の各ゲルゾリンペプチド(L/H比)のスピアマン係数を算出することによってWB結果と相関していた。
3.結果
表は、疾患(AD)及び対照(CTL)サンプルのWBによって決定されたゲルゾリンレベルを示す。TMT−SRMによって相違を検出する最良の機会を与えるよう、高及び低ゲルゾリンレベルを具体的に選択した。各群の平均値から、対照と比較して、ADにおいてゲルゾリンレベルの約4倍の低下があることがわかった。
Figure 2012515915
3.1定量化において不正確さをもたらし得る遷移及びペプチドの除去
遷移が不良なピーク検出を有していた場合又は高い血漿バックグラウンドを有していた場合、それらをデータ分析から除去した(図2)。さらに、サンプルの大部分において内因性検出が不良であった(ペプチド3、6、11及び27)又は、すべてのサンプル中のすべての測定値について高い分散が観察された(ペプチド18)ので、4種のペプチドを分析から除去した。したがって、定量化のために17種のペプチドが残り、タンパク質あたり、少なくとも2種のペプチドを有していた。
3.2 ゲルゾリンのTMT SRM及びWB結果に対する比較
本方法に4種のゲルゾリンペプチドがもともと含まれていた(ペプチド27、29、30及び31)。ペプチド27は、不良なピーク検出を有しており、そのためデータ分析から除去された。残りの3種のペプチドは同様に機能し、対照サンプルと比較して、ADにおいて約30%のゲルゾリンレベルの低下を示した(図17参照のこと)。これは、WB結果及び発見演習と一致している。TMT SRM及びWBプラットフォームを比較するためにスピアマン計算すると、対応するWBサンプル測定値と比較して、各サンプル中の各ゲルゾリンペプチドについて極めて高い相関(0.65〜0.73;表2)が観察された:
Figure 2012515915
3.3残りのペプチドのTMT SRM
3.3.1 クラステリン
合わせて4種のペプチドから、2種のクラステリンペプチド(ペプチド3及び6)が、不良なピーク検出のためにデータ分析から除去された。2種の残りのペプチドは、クラステリンα鎖(ペプチド1)及びβ鎖(ペプチド5)の両方に及ぶ。両ペプチドは、AD及び対照サンプル間で有意な変化を示さず(図10参照のこと)、これは、これまでの確認研究と一致する。
3.3.2補体c3
2種の補体c3ペプチド(ペプチド8及び9)は、対照対象と比較して、ADにおいて同様の増大を示した(図11参照のこと)。この増大は、これまでの発見演習と一致する。
3.3.3 補体因子H
CFHペプチド(ペプチド11)のうち1種は、不良なピーク検出を有しており、データ分析から除去した。2種の残りのペプチド(ペプチド12及び13)は、対照対象と比較してADにおいて同様の増大を示した(図14参照のこと)。この増大は、これまでの発見演習と一致する。
3.3.4 α−2−マクログロブリン
2種のA2Mペプチド(14及び15)は同様に機能し、AD及び対照対象間で有意な変化を示さなかった。これまでの発見演習は、対照と比較して、ADにおいてA2Mの増大を示した(図15参照のこと)。
3.3.5 γ−フィブリノゲン
すべてのサンプル中のすべての測定値について、1種のペプチド(ペプチド18)で高分散が観察され、そのため、データ分析から除去した。γ−フィブリノゲンペプチド19及び20は両方とも、対照と比較してADの増大を示し(図12参照のこと)、これは、発見結果と一致している。
3.3.6 血清アミロイドP成分
2種のSAPペプチド(ペプチド22及び23)は、対照対象と比較してADにおいて同様の増大を示した(図13参照のこと)。この増大は、発見結果と一致する。
3.3.7 アポリポタンパク質E
2種のApoEペプチド(24及び25)は同様に機能し、AD及び対照対象間に有意な変化がないことを示す(図16参照のこと)。これは、文献に反映されており、多数のグループが、対照と比較して、ADにおいてApoEタンパク質レベルの変化がないことを示している。
4.結論
結果は、ADの候補バイオマーカーの相対定量化のためのツールとしてのTMT SRMの性能を示す。不良なピーク検出を有していたペプチドを除去した結果、改善された統計値が得られた。同一タンパク質のペプチドは、AD及び対照サンプルにおいて同様の相違を示し、すべてのサンプル中で低い分散であった(95% CI)。大部分のペプチドのAD及び対照サンプルの比較は、発見演習と一致していた。ゲルゾリンのTMT SRMは、WB結果と高度に相関しているとわかった。これに続いて、各サンプル中の各ペプチドの内因性量を算出するために較正曲線が分析に組み込まれる。さらに、データセットを参照サンプルに対して正規化し、同一タンパク質のペプチドのL/H比において観察される相違を明らかにする。結果は、小さいサンプルセットの相対定量化のためのTMT SRMの良好な性能を示す。より大きなコホートも、同様の方法で与えるよう定量化され得る。
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上記の明細書に記載されるすべての刊行物は、本明細書において参照により組み込まれる。本発明の記載される態様及び実施形態の種々の改変及び変法は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないということは理解されるべきである。実際、当業者に明らかである、本発明を実施するための記載される様式の種々の改変は、以下の特許請求の範囲内にあるものとする。

Claims (36)

  1. 対象のアルツハイマー病の診断を補助する方法であって、前記対象由来の血液のサンプルを提供するステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量をアッセイするステップと;前記サンプル中に存在するゲルゾリンの量を、健常な対象由来のサンプル中に存在するゲルゾリンの参照量と比較し、前記対象由来のサンプル中のゲルゾリンレベルの検出が、参照サンプル中のゲルゾリンレベルより低い場合、前記対象のアルツハイマー病の可能性の増大を示すステップと
    を含む方法。
  2. 対象のアルツハイマー病の診断又は予後的モニタリングを補助する方法であって、前記対象由来の関連組織のサンプルを提供するステップと;ゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミンから選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップと;前記サンプル中に存在する前記1種又は2種以上のタンパク質の量を、健常な対象由来のサンプル中の同一タンパク質の参照量と比較し、参照サンプルにおいて観察されるレベルと異なるレベルが検出された場合、前記対象においてアルツハイマー病が存在、発症又は進行している可能性の増大を示すステップと
    を含む方法。
  3. 対象のアルツハイマー病の診断又は予後的モニタリングを補助する方法であって;
    (i)前記対象由来の関連組織のサンプルを提供するステップと;
    (ii)ゲルゾリンの量を測定するステップと;
    (iii)C1プロテアーゼ阻害剤;
    セルロプラスミン;
    クラステリン;
    補体c3;
    血清アミロイドP成分;
    α−2−マクログロブリン;
    γ−フィブリノゲン;
    補体因子H;及び
    アポリポタンパク質E
    から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップと;
    (iv)前記サンプル中に存在する、前記ゲルゾリン及び前記1種又は2種以上のタンパク質の量を、健常な対象由来のサンプル中の同一タンパク質の参照量と比較し、参照サンプルにおいて観察されるレベルと異なるレベルが検出された場合、前記対象においてアルツハイマー病が存在、発症又は進行している可能性の増大を示すステップと
    を含む方法。
  4. ステップ(iii)が、
    クラステリン;
    補体c3;
    血清アミロイドP成分;
    α−2−マクログロブリン;
    γ−フィブリノゲン;
    補体因子H;及び
    アポリポタンパク質E
    から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. ステップ(iii)が、
    C1プロテアーゼ阻害剤及び
    セルロプラスミン
    から選択される1種又は2種以上のタンパク質の量を測定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 対象由来の血液のサンプル中のゲルゾリン、C1プロテアーゼ阻害剤及びセルロプラスミン各々のレベルをアッセイするステップを含む、請求項5に記載の方法。
  7. サンプルが、血漿を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 血漿が、アルブミン、トランスフェリン、IgG、IgA、アンチトリプシン及びハプトグロビンの1種又は2種以上を枯渇している、請求項7に記載の方法。
  9. 血漿が、アルブミン、トランスフェリン、IgG、IgA、アンチトリプシン又はハプトグロビンの各々について枯渇している、請求項8に記載の方法。
  10. タンパク質が、ウエスタンブロッティングによって検出される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. タンパク質が、ビーズサスペンションアレイによって検出される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  12. タンパク質が、平面アレイによって検出される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  13. タンパク質が、同重核タンパク質タギング、又は同位体タンパク質タギングによって検出される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  14. タンパク質が、質量分析に基づくアッセイによって検出される、請求項1〜9及び13のいずれかに記載の方法。
  15. タンパク質が、ゲルゾリンであり、表Bの以下のペプチド:配列番号30、配列番号31、及び配列番号32の1種又は2種以上への参照によって検出される、請求項1〜9、13及び14のいずれかに記載の方法。
  16. ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチド、その断片、それらのバリアント若しくは突然変異体を認識、結合、又はそれに対して親和性を有する物質の、アルツハイマー病に関連する診断的、予後的及び治療的適用のための使用。
  17. 物質の組合せの使用であって、前記物質の各々がそれぞれ、ポリペプチド、その断片、それらのバリアント若しくは突然変異体のうち1種又は2種以上を認識、結合、又はそれに対して親和性を有する組合せの、請求項16に記載の使用。
  18. 各物質が、抗体又は抗体チップである、請求項16又は17に記載の使用。
  19. 物質が、ポリペプチド、その断片、それらのバリアント若しくは突然変異体のうち1種又は2種以上に対して特異性を有する抗体である、請求項18に記載の使用。
  20. アルツハイマー病の診断において使用するためのアッセイ装置であって、ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチド、その断片、それらのバリアント若しくは突然変異体を認識、結合、又はそれに対して親和性を有する物質を含有する位置を有する固体基質を含むアッセイ装置。
  21. 各位置がゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチド、その断片、それらのバリアント若しくは突然変異体を認識、結合、又はそれに対して親和性を有する物質をそれぞれ含有する複数の位置を固体基質が有する、請求項20に記載のアッセイ装置。
  22. 物質が抗体又は抗体チップである、請求項20又は21に記載のアッセイ装置。
  23. 各抗体に対してユニークなアドレス可能な位置を有し、それによって、個々のポリペプチド、又はポリペプチドの任意の組合せのアッセイ読み取りを可能にする、請求項22に記載のアッセイ装置。
  24. ゲルゾリン(配列番号1)、C1プロテアーゼ阻害剤(配列番号2)及びセルロプラスミン(配列番号3)から選択されるポリペプチドに対する抗体を含む、請求項21〜23のいずれかに記載のアッセイ装置。
  25. グルタチオンSトランスフェラーゼPを認識、結合、又はそれに対して親和性を有する物質を含有する位置をさらに有する、請求項20〜24のいずれかに記載のアッセイ装置。
  26. 物質が、抗体又は抗体チップである、請求項25に記載のアッセイ装置。
  27. 請求項20〜26のいずれかに記載のアッセイ装置と、対象から採取した体液のサンプルにおける1種又は2種以上のポリペプチドの量を検出するための手段とを含むアルツハイマー病の診断において使用するためのキット。
  28. 以下の表Bのペプチド:配列番号30、配列番号31、配列番号32のうち1種又は2種以上を含む、ゲルゾリンポリペプチドの検出において使用するためのキット。
  29. 以下の表Bのペプチド:配列番号30、配列番号31、配列番号32のうち1種又は2種以上を含む、アルツハイマー病の診断において使用するためのキット。
  30. 少なくとも1種のさらなる表Bのペプチドを含む、請求項29に記載のキット。
  31. ペプチドのうち1種又は2種以上が、重同位体を含む、請求項28〜30のいずれかに記載のキット。
  32. ペプチドのうち1種又は2種以上が、TMTタグを含む、請求項28〜30のいずれかに記載のキット。
  33. サンプルポリペプチドを標識するためのさらなる同位体TMTタグを含む、請求項32に記載のキット。
  34. 対象由来の血液のサンプルにおけるC1プロテアーゼ阻害剤のレベルをアッセイするステップを含む、前記対象のAPOE ε4遺伝子型を決定する方法。
  35. 対象由来の血液のサンプルにおけるセルロプラスミンのレベルをアッセイするステップを含む、前記対象のアルツハイマー病の発症の年齢を予測する方法。
  36. 実質的に本明細書に記載される方法、使用、装置又はキット。
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