JP2016526016A - がんを治療する方法 - Google Patents

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Abstract

FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を含む乳がんの治療方法が提供される。幾つかの実施態様では、該方法は、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)及び/又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む。幾つかの実施態様では、該方法は、少なくとも一の更なる治療剤と組合わせてFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも一の化学療法剤と組合わせてFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含むがんの治療方法が提供される。

Description

背景
可溶型の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)は、インビトロ及びインビボで腫瘍細胞の増殖を阻害することが示されている。例えば、米国特許第7678890号を参照のこと。抗がん治療の有効性は、場合によっては、標的とされるがんの遺伝子構造に依存する。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅及び/又はFGF2過剰発現を有する乳がんを治療する方法において、対象に治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、乳がんは、エストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、ER陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、PR陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、ER陽性かつPR陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、HER2陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、p95HER2陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんは、HER2陰性であると判定されている。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、乳がんは転移性乳がんでありうる。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、乳がんを有する対象は閉経後である。
幾つかの実施態様では、乳がんを有する対象に、トラスツズマブ(例えば、Herceptin(登録商標))及び/又はラパチニブ(例えば、Tykerb(登録商標))が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、対象にアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、アロマターゼ阻害剤は、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、及びファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))から選択される。幾つかの実施態様では、乳がんを有する対象に、ERアンタゴニストが以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、対象は、過去にER陽性乳がんを有すると判定されている。非限定的な典型的ERアンタゴニストはタモキシフェン(例えば、Nolvadex(登録商標)、Istubal(登録商標)、及びValodex(登録商標))及びフルベストラント(例えば、Faslodex(登録商標))を含む。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅及び/又はFGF2過剰発現を有する前立腺がんを治療する方法において、対象に治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、対象に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、GnRHアンタゴニスト、アンドロゲン受容体(AR)阻害剤、17−ヒドロキシラーゼ阻害剤、及びジエチルスチルベストロール(DES)から選択される治療剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、対象にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はGnRHアンタゴニストが以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、対象にGnRHアンタゴニストが以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、GnRHアゴニストは、ロイプロリド(例えば、Lupron(登録商標)、Eligard(登録商標))、ブセレリン(例えば、Suprefact(登録商標)、Suprecor(登録商標))、ヒストレリン(例えば、Supprelin LA(登録商標)、Vantas(登録商標))、酢酸ゴセレリン(例えば、Zoladex(登録商標))、デスロレリン(例えば、Suprelorin(登録商標)、Ovuplant(登録商標))、ナファレリン(例えば、Synarel(登録商標))、及びトリプトレリンから選択される。幾つかの実施態様では、GnRHアンタゴニストは、セトロレリクス(例えば、Cetrotide(登録商標))、ガニレリクス(例えば、Antagon(登録商標))、アバレリクス(例えば、Plenaxis(登録商標))、及びデガレリクス(例えば、Firmagon(登録商標))から選択される。幾つかの実施態様では、AR阻害剤は、酢酸シプロテロン(例えば、Androcur(登録商標)、Cyprostat(登録商標))、フルタミド(例えば、Eulexin(登録商標))、ビカルタミド(例えば、Casodex(登録商標))、エンザルタミド(例えば、Xtandi(登録商標))、ケトコナゾール、及びニルタミド(例えば、Anandron(登録商標)、Nilandron(登録商標))から選択される。幾つかの実施態様では、17−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、酢酸アビラテロン(例えば、Zytiga(登録商標))である。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅及び/又はFGF2過剰発現を有するカルチノイドがんを治療する方法において、対象に治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、対象にオクトレオチドが以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、オクトレオチドの治療有効量が以前に投与されたか、又は現在対象に投与されている。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子の増幅及び/又はFGF2過剰発現を有する卵巣がんを治療する方法において、対象に治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、対象にERアンタゴニスト又はアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、アロマターゼ阻害剤は、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、アロマシン)、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、及びファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))から選択される。非限定的な典型的ERアンタゴニストは、タモキシフェン(例えば、Nolvadex(登録商標)、Istabul(登録商標)、Valodex(登録商標))及びフルベストラント(例えば、FASLODEX(登録商標))を含む。幾つかの実施態様では、卵巣がんはエストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性である。
幾つかの実施態様では、対象において肺がんを治療する方法が提供される。幾つかの実施態様では、本方法は、対象に少なくとも5mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子と少なくとも135mg/mのパクリタキセルと少なくともAUC4のカルボプラチンを投与することを含む。幾つかの実施態様では、本方法は、135mg/mのパクリタキセルから200mg/mのパクリタキセル、少なくとも175mg/mのパクリタキセル、175mg/mのパクリタキセルから200mg/mのパクリタキセル、又は200mg/mのパクリタキセルを投与することを含む。幾つかの実施態様では、本方法は、AUC4のカルボプラチンからAUC6のカルボプラチン、少なくともAUC5のカルボプラチン、AUC5のカルボプラチンからAUC6のカルボプラチン、又はAUC6のカルボプラチンを投与することを含む。幾つかの実施態様では、肺がんは、非小細胞肺がんである。幾つかの実施態様では、非小細胞肺がんは扁平上皮非小細胞肺がんである。
幾つかの実施態様では、対象における肺がんを治療する方法は、少なくとも5mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子と少なくとも40mg/mのドセタキセルを投与することを含む。幾つかの実施態様では、本方法は、40mg/mのドセタキセルから75mg/mのドセタキセル、少なくとも55mg/mのドセタキセル、55mg/mのドセタキセルから75mg/mのドセタキセル、又は75mg/mのドセタキセルを投与することを含む。幾つかの実施態様では、肺がんは、非小細胞肺がんである。幾つかの実施態様では、非小細胞肺がんは扁平上皮非小細胞肺がんである。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、本方法は、5mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、少なくとも10mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、10mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、少なくとも15mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、15mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、又は20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含みうる。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がん細胞の少なくとも一部はFGFR1遺伝子増幅を有している場合がある。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGFR1遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4の第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率を有している。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、2より大きい第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率を有している。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がん細胞の少なくとも一部はFGFR3遺伝子増幅を有している場合がある。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGFR3遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4の第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率を有している。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、2より大きい第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率を有している。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がん細胞の少なくとも一部はFGF2遺伝子増幅を有している場合がある。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGF2遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4の第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率を有している。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、2より大きい第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率を有している。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、遺伝子増幅は、蛍光インサイツハイブリダイゼーション、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ、スペクトル核型決定、定量PCR、サザンブロット法、又は配列決定から選択される方法によって決定されうる。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部にFGFR1過剰発現がある場合がある。幾つかの実施態様では、FGFR1はFGFR1IIIcである。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部にFGF2過剰発現がある場合がある。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部にFGFR3過剰発現がある場合がある。幾つかの実施態様では、FGFR3はFGFR3IIIcである。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部は、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、又は3種のマーカーを過剰発現する場合がある。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、DKK3及びFGF18から選択される少なくとも1種又は2種のマーカーを過剰発現する場合がある。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部は、ETV4を過剰発現する場合がある。幾つかの実施態様では、がんにFGFR1遺伝子増幅がない。
幾つかの実施態様では、過剰発現はmRNAの過剰発現である。幾つかの実施態様では、mRNAの過剰発現は定量的RT−PCRを使用して決定される。幾つかの実施態様では、過剰発現はタンパク質の過剰発現である。幾つかの実施態様では、タンパク質の過剰発現は免疫組織化学を使用して決定される。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、本方法はFGFR1 ECDを投与することを含みうる。幾つかのそのような実施態様では、FGFR1 ECDは配列番号:1から4から選択されるアミノ酸配列を含む。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、本方法はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含み得、ここで、FGFR1 ECD融合分子は、FGFR1 ECDと少なくとも一の融合パートナーを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも一の融合パートナーは、Fc、アルブミン、及びポリエチレングリコールから選択される。幾つかの実施態様では、少なくとも一の融合パートナーはFcである。幾つかの実施態様では、Fcは配列番号:8から10から選択されるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、配列番号:5及び配列番号:6から選択される配列を含む。幾つかの実施態様では、少なくとも一の融合パートナーはFc及びポリエチレングリコールである。幾つかの実施態様では、少なくとも一の融合パートナーはポリエチレングリコールである。幾つかの実施態様では、融合分子はFGFR1 ECDと一又は複数の融合パートナーの間にリンカーを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、FGFR1 ECD.339−Fcである。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子は、グリコシル化及び/又はシアリル化される。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子のポリペプチド部分は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現される。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:1と配列番号:3から選択されるアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子は、約0.5mg/kg体重から約30mg/kg体重の範囲の量、例えば、約5から約20mg/kg体重の範囲の量である(例えば表1に示されるように、EC=1.11mL/mg*cmを使用)。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の治療有効量は、約5mg/kg体重の用量である。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の治療有効量は、約10mg/kg体重の用量である。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の治療有効量は、約15mg/kg体重の用量である。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の治療有効量は、約20mg/kg体重の用量である。幾つかの実施態様では、投与量は、週2回、毎週、隔週、毎週と隔週の間の頻度、3週毎、4週毎、又は毎月、投与されうる。
幾つかの実施態様では、ここに記載される方法は、少なくとも一種の更なる治療剤を投与することを更に含む。幾つかの実施態様では、少なくとも一種の更なる治療剤は抗がん剤である。幾つかの実施態様では、少なくとも一種の更なる治療剤は化学療法剤である。少なくとも一種の更なる治療剤は抗血管新生剤である。非限定的な例示的抗がん剤、化学療法剤、及び抗血管新生剤はここに記載される。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうる乳がんの対象を同定する方法が提供される。幾つかの実施態様では、本方法は、対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅及び/又はFGF2過剰発現を含むかどうかを決定すること;及びがんがエストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)正、又はER陽性かつPR陽性であるかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様では、がんが、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅及び/又はFGF2過剰発現を有しており、がんがER陽性及び/又はPR陽性であるならば、がんは、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に応答性であると予測される。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうる、がんを有する対象を特定する方法が提供される。幾つかの実施態様では、本方法は、対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がFGFR1、FGFR3IIIc、FGF2、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも一種、少なくとも二種、少なくとも三種、少なくとも四種、又は少なくとも五種のマーカーを過剰発現しているかどうかを決定することを含み、過剰発現は、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対するがんの治療反応性の指標である。幾つかの実施態様では、本方法は対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がFGFR1、FGFR3IIIc、FGF2、DKK3、及びFGF18から選択される少なくとも一種、少なくとも二種、少なくとも三種、又は少なくとも四種のマーカーを過剰発現しているかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様では、本方法は対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がETV4を過剰発現しているかどうかを決定することを含む。前記実施態様の何れかを含む、幾つかの実施態様では、本方法は、対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部が以下の表6中の任意の行からの遺伝子1及び遺伝子2又はその任意の組合わせを過剰発現するかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1はFGFR1IIIcである。前記実施態様の何れかを含む、幾つかの実施態様では、本方法は、対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅を有するかどうかを決定することを含む。
ここに記載される何れの実施態様又はそれらの何れの組合せも、ここに記載される発明の任意のあらゆる方法に適用される。
実施例1に記載される、FGFR1遺伝子増幅を有する腫瘍細胞及び非増幅FGFR1遺伝子を有する腫瘍細胞のマウス異種移植片における、FGFR1−ECD.339−Fcによる腫瘍増殖阻害率(%)を示す。 実施例2に記載される、FGFR1遺伝子増幅を伴う及び伴わない肺がん細胞株におけるFGFR1 mRNAの発現の散布図を示す。 実施例2に記載される、様々な量の血清を用いてFGFR1−ECD.339−Fcの存在下又は非存在下で増殖させたNCI−H226細胞において実施された、(A)CellTiterGlo(登録商標)アッセイにおける平均発光量、及び(B)トリチウム標識チミジン取り込みアッセイにおける1分当たりのカウントのグラフを示す。 実施例2に記載される、FGFR1遺伝子増幅を伴う及び伴わない肺がん異種移植片におけるFGFR1 mRNAの発現の散布図を示す。 実施例2に記載される、PDX D35087細胞を移植し、FGFR1−ECD.339−Fc又はアルブミンで処置したマウスにおける、様々な時点での平均腫瘍体積を示す。 実施例3に記載される、FGFR1−ECD.339−Fc応答者及び非応答者の異種移植片における、(A)FGF2 mRNA(GUSBに対して正規化)及び(B)FGF2タンパク質の発現(総タンパク質量に対して正規化)を示す。 実施例4に記載される、FGFR1−ECD.339−Fc応答者及び非応答者の異種移植片における、DKK3 mRNAの発現(GUSBに対して正規化)を示す。 実施例3に記載される、(A)Caki−1腎細胞がん異種移植モデル及び(B)MSTO−211H中皮腫異種移植モデルにおける、FGFR1−ECD.339−Fcの抗腫瘍活性を示す。 実施例3に記載される、FGFR1−ECD.339−Fc応答性及び非応答性異種移植モデルにおける、(A)FGFR1及び(B)FGFR3IIIc mRNAの発現を示す。 実施例5に記載される、マトリゲルプラグアッセイにおける、FGF−2及びVEGF−Aによって誘導された血管新生のFGFR1−ECD.339−Fc媒介性阻害を示す。 実施例5に記載されるように、FGFR1−ECD.339−Fcが、VEGF−Aによって誘導されるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を阻害しないことを示す。 実施例6に記載される、JIMT−1乳がん異種移植片におけるFGFR1シグナル伝達のFGFR1−ECD.339−Fc媒介性阻害を示す。
詳細な説明
ここで使用される項目の見出しは、構成上の目的のために過ぎず、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
定義
別途定義されない限り、本発明に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈上別途要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
別途特定して示されない限り、ここに記載される全ての化学物質はその薬学的に許容可能な形態を含むことが意図される。ここに記載される化学物質の薬学的に許容可能な形態は、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、結晶形(多形及びクラスレートを含む)、キレート、非共有結合複合体、プロドラッグ、及びそれらの混合物を含む。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)、酵素反応、並びに精製技術に関連して使用される所定の技術は、当該技術分野において既知である。多くのそのような技術及び手順は、とりわけ、例えば、 Sambrook等 Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))に記載されている。更に、化学合成、化学分析、医薬品、処方、及び送達、並びに患者の治療に関する所定の技術も当該技術分野において既知である。
この出願において、別途記載のない限り、「又は」の使用は「及び/又は」を意味する。複数項従属請求項の文脈において、「又は」の使用は、一項を越える先行する独立又は従属請求項を選択的にのみ引用する。また、「要素」又は「成分」等の用語は、特に別途指定のない限り、一ユニットを含む要素及び成分と、一を越えるサブユニットを含む要素及び成分の双方を包含する。
ここで使用される場合、全ての数字は、近似値であり、測定誤差及び有効数字の丸めを考慮して変動しうる。所定の測定された量の前の「約」の使用は、試料の不純物、測定誤差、人為的ミス、及び統計的変動、並びに有効数字の丸めによる変動を含む。
本開示に従って用いられる場合、別途指定のない限り、次の用語は次の意味を有すると理解されなければならない。
「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用できて、ヌクレオチドのポリマーを指す。そのようなヌクレオチドのポリマーは、天然及び/又は非天然のヌクレオチドを含んでもよく、限定されないが、DNA、RNA、及びPNAを含む。「核酸配列」は、核酸分子又はポリヌクレオチドを含むヌクレオチドの直鎖配列を指す。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は互換的に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを指し、最小長に限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然又は非天然のアミノ酸残基を含んでもよく、限定されないが、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体、及び多量体を含む。完全長タンパク質及びその断片の双方が該定義に包含される。該用語はまたポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化等も含む。更に、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する修飾、例えば、欠失、付加、及び置換(通常、本質的に保存的である)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的変異誘発のように計画的であってもよく、又はタンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅に起因するエラーのように偶発的であってもよい。ポリペプチドが特定のアミノ酸配列「からなる」場合、それは翻訳後修飾、例えば、グリコシル化及びシアリル化等をなおも含みうる。
「FGFR1細胞外ドメイン」(「FGFR1 ECD」)という用語は、完全長FGFR1 ECD、FGFR1 ECD断片、及びFGFR1 ECD変異体を含む。ここで使用される場合、「FGFR1 ECD」という用語は、シグナルペプチドを伴うか又は伴わない、細胞内及び膜貫通ドメインを欠くFGFR1ポリペプチドを指す。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:1及び2から選択されるアミノ酸配列を有するヒト完全長FGFR1 ECDである。ここで使用される「完全長FGFR1 ECD」という用語は、細胞外ドメインの最後のアミノ酸まで延びるFGFR1 ECDを意味し、N末端シグナルペプチドを含んでも又は含まなくてもよい。ここで定義される場合、完全長FGFR1 ECDの最後のアミノ酸は353位にある。従って、ヒト完全長FGFR1 ECDは、配列番号:2(成熟型)又は配列番号:1(シグナルペプチドを伴う)に対応するアミノ酸配列からなりうる。ここで使用される場合、「FGFR1 ECD断片」という用語は、完全長ECDのN及び/又はC末端から一又は複数の残基が欠失された、FGF−2に結合する能力を保持するFGFR1 ECDを指す。FGFR1 ECD断片は、N末端シグナルペプチドを含んでも又は含まなくてもよい。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD断片は、配列番号:4(成熟型)又は配列番号:3(シグナルペプチドを伴う)に対応するアミノ酸配列を有するヒトFGFR1 ECD断片である。
ここで使用される場合、「FGFR1 ECD変異体」という用語は、アミノ酸付加、欠失、及び置換を含み、FGF−2に結合可能なままであるFGFR1 ECDを指す。そのような変異体は、親FGFR1 ECDと少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、又は99%同一でありうる。2つのポリペプチドの%同一性は、類似性を決定するためのデフォルト設定でBestfitプログラムを使用して、2つのポリペプチドのアミノ酸配列を比較することによって決定される類似度スコアによって測定することができる。Bestfitは、Smith及びWatermanのAdvances in Applied Mathematics 2:482−489(1981)の局所相同性アルゴリズムを使用して、2つの配列間の最良の類似セグメントを見つけ出す。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD変異体は、配列番号:4の配列と少なくとも95%同一である。
FGFR1 ECDポリペプチドの参照アミノ酸配列と、少なくとも、例えば95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、参照ポリペプチドの各100個のアミノ酸当たり最高5つのアミノ酸変化を含みうることを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と同一であるものである。換言すると、参照アミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失していても、もしくは別のアミノ酸で置換されてもよいか、又は参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が参照配列に挿入されてもよい。これらの参照配列の変化は、参照アミノ酸配列のNもしくはC末端の位置、あるいは参照配列中の残基間に個々に散在するか、又は参照配列中の一又は複数の近接グループとして散在して、これらの末端位置の間のどこでも起こってもよい。
実際、何れか特定のポリペプチドが、例えば、配列表に記載される核酸配列によってコードされたアミノ酸配列又はポリペプチド配列と、少なくとも70%、80%、90%、又は95%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム等の既知のコンピュータプログラムを使用して常套的に決定することができる。特定の配列が、本発明による参照配列と例えば95%同一であるかどうかを決定するためにBestfit又は他の配列アライメントプログラムを使用する場合、当然、参照アミノ酸配列の全長にわたって同一性のパーセンテージが算出され、参照配列中のアミノ酸残基の合計数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるようにパラメータが設定される。
ここで使用される場合、「hFGFR1−ECD.353」及び「hFGFR1.353」という用語は、配列番号:1(シグナルペプチドを伴う)又は配列番号:2(シグナルペプチドを伴わない、成熟型)に対応する完全長ヒトFGFR1 ECDを指すために互換的に使用されうる。
ここで使用される場合、「hFGFR1−ECD.339」及び「hFGFR1.339」という用語は、配列番号:3(シグナルペプチドを伴う)又は配列番号:4(シグナルペプチドを伴わない、成熟型)に対応するヒトFGFR1 ECDを指すために互換的に使用されうる。
更なるhFGFR1 ECDは、例えばその全体があらゆる目的のためにここに出典明示により援用される米国特許第7678890号に記載される。
「FGFR1 ECD融合分子」という用語は、FGFR1 ECDと、一又は複数の「融合パートナー」とを含む分子を指す。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDと融合パートナーとは共有結合(「融合」)している。融合パートナーもポリペプチド(「融合パートナーポリペプチド」)である場合、FGFR1 ECD及び融合パートナーポリペプチドは、連続するアミノ酸配列の一部であってもよく、融合パートナーポリペプチドは、FGFR1 ECDのN末端又はC末端の何れかに結合していてもよい。そのような場合、FGFR1 ECD及び融合パートナーポリペプチドは、FGFR1 ECD及び融合パートナーポリペプチドの双方をコードするコード配列から単一ポリペプチドとして翻訳されうる(「FGFR1 ECD融合タンパク質」)。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDと融合パートナーとは、例えば、ペプチド結合以外の化学結合等の他の手段によって共有結合される。ポリペプチドを他の分子(例えば、融合パートナー)に共有結合させる多くの既知の方法が使用されうる。他の実施態様では、FGFR1 ECDと融合パートナーとは、少なくとも一つのアミノ酸又は化学部分から構成される「リンカー」を介して融合されうる。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDポリペプチドと融合パートナーとは、非共有的に連結される。幾つかのそのような実施態様では、それらは、例えば、結合対を使用して連結されうる。例示的な結合対は、限定されないが、ビオチン及びアビジン又はストレプトアビジン、抗体及びその抗原等を含む。
例示的な融合パートナーは、限定されないが、免疫グロブリンFcドメイン、アルブミン、及びポリエチレングリコールを含む。幾つかの例示的なFcドメインのアミノ酸配列を配列番号:8から10に示す。幾つかの実施態様では、Fcと融合したFGFR1 ECDは、「hFGFR1 ECD−Fc」と称される。幾つかの実施態様では、Fcドメインは、IgG1 Fc、IgG2 Fc、IgG3 Fc、及びIgG4 Fcから選択される。
ここで使用される場合、「hFGFR1−ECD.339−Fc」及び「hFGFR1.339−Fc」という用語は、配列番号:6(シグナルペプチドを伴わない、成熟型)及び配列番号:5(シグナルペプチドを伴う)から選択されるアミノ酸配列を指すために互換的に使用されうる。hFGFR1−ECD.339−Fcで治療されうる非限定的な例示的がんは、限定されないが、肺がん、結腸がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、前立腺がん、子宮内膜がん、肉腫、小細胞肺がん、卵巣がん、カポジ肉腫、ホジキン病、白血病、非ホジキンリンパ腫、神経芽細胞腫(脳がん)、横紋筋肉腫、ウイルムス腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、膀胱がん、精巣がん、リンパ腫、胚細胞性腫瘍、結腸と直腸のがん、消化管がん、甲状腺がん、多発性骨髄腫、膵がん、中皮腫、悪性胸膜中皮腫、血液/リンパ腺がん、悪性腹膜中皮腫、食道がん、腎細胞がん、多形神経膠芽腫、及び肝がんを含む。
「シグナルペプチド」という用語は、哺乳動物細胞からのポリペプチドの分泌を促進する、ポリペプチドのN末端に位置するアミノ酸残基の配列を指す。シグナルペプチドは、哺乳動物細胞からポリペプチドを排出する際に切断され得、成熟タンパク質を形成する。シグナルペプチドは、天然又は合成であってもよく、それらが付着するタンパク質に対して異種又は相同であってもよい。例示的なシグナルペプチドは、限定されないが、FGFR1シグナルペプチド、例えば、配列番号:7のアミノ酸配列等を含む。例示的なシグナルペプチドはまた異種タンパク質由来のシグナルペプチドも含む。「シグナル配列」は、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を指す。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDはシグナルペプチドを欠く。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、天然FGFR1シグナルペプチド又は異種シグナルペプチドでありうる少なくとも一つのシグナルペプチドを含む。
「ベクター」という用語は、宿主細胞中で増殖されうる一又は複数のクローン化ポリヌクレオチドを含むように操作されうるポリヌクレオチドを記述するために使用される。ベクターは、次の要素の一又は複数を含みうる:複製起点、対象とするポリペプチドの発現を調節する一又は複数の制御配列(例えば、プロモーター及び/又はエンハンサー等)、及び/又は一又は複数の選択可能なマーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子、及び比色分析法で使用されうる遺伝子、例えばβ−ガラクトシダーゼ)。「発現ベクター」という用語は、宿主細胞において対象とするポリペプチドを発現させるために使用されるベクターを指す。
「宿主細胞」は、ベクター又は単離ポリヌクレオチドのレシピエントとなり得るか、又はレシピエントとなった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞でありうる。例示的な真核細胞は、哺乳動物細胞、例えば、霊長類又は非霊長類動物細胞;真菌細胞;植物細胞;及び昆虫細胞等を含む。例示的な哺乳動物細胞は、限定されないが、293及びCHO細胞、並びにそれらの誘導体、例えば、それぞれ293−6E及びDG44を含む。
ここで使用される「単離された」という用語は、天然に典型的に見出される成分の少なくとも一部から分離されている分子を指す。例えば、それが産生された細胞の成分の少なくとも一部から分離されている場合、ポリペプチドは「単離されている」と称される。発現後に細胞によってポリペプチドが分泌される場合、それを産生した細胞からポリペプチドを含む上清を物理的に分離することは、ポリペプチドの「単離」であると考えられる。同様に、ポリヌクレオチドが、天然に典型的に見出される、より大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNA)の一部ではない場合、又はそれが産生された細胞の成分の少なくとも一部から分離される場合、例えば、RNAポリヌクレオチドの場合、ポリヌクレオチドは、「単離された」と称される。よって、宿主細胞中のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが天然においてそのベクター中に見出されない限り、「単離された」と称されうる。
「抗悪性腫瘍組成物」という用語は、少なくとも一種の活性な治療剤、例えば「抗がん剤」を含む、がんの治療に有用な組成物を指す。治療剤(抗がん剤)の例は、限定されないが、例えば、化学療法剤、増殖抑制剤、細胞傷害性薬剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するための他の薬剤、例えば、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ、AVASTIN(登録商標))、抗HER−2抗体(例えば、トラスツズマブ、HERCEPTIN(登録商標))、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、RITUXAN(登録商標))、上皮増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標))、血小板由来増殖因子阻害剤(例えば、GLEEVEC(登録商標)、イマチニブメシレート))、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、次の標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA又はVEGF受容体、TRAIL/Apo2の一又は複数に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、並びに他の生理活性及び有機化学薬剤等を含む。これらの組合せもまた本発明に含まれる。
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物を指す。化学療法剤の例は、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロスホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン並びにメチルアメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);Δ−9−テトラヒドロカンナビノール(例えば、ドロナビノール、MARINOL(登録商標));βラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(例えば、HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(例えば、イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9−アミノカンプトテシン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン及びビセレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログのKW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えば、Nicolaou等, Angew. Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照);CDP323、経口α−4インテグリン阻害剤;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤(例えば、DOXIL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D−99(例えば、MYOCET(登録商標)、ペグ化リポソームドキソルビシン(例えば、CAELYX(登録商標))、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝物、例えば、メトトレキセート、ゲムシタビン(例えば、GEMZAR(登録商標))、ペメトレキセド(例えば、ALIMTA(登録商標));テガフール(例えば、UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(例えば、XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎物質、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2'−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(例えば、ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(例えば、ABRAXANETM)、及びドセタキセル(例えば、TAXOTERE(登録商標));クロランブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金剤、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))、及びカルボプラチン;ビンブラスチン(例えば、VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(例えば、ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(例えば、ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、及びビノレルビン(例えば、NAVELBINE(登録商標))を含む、チューブリン重合による微小管形成を防止するビンカ;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤のRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(例えば、TARGRETIN(登録商標))を含むレチノイド、例えばレチノイン酸;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(例えば、DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(例えば、ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(例えば、FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(例えば、AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(例えば、ACTONEL(登録商標));トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−α、Raf、H−Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF−R);ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ、例えば、NEXAVAR(登録商標)、Bayer);SU−11248(スニチニブ、例えば、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);ボルテゾミブ(例えば、VELCADE(登録商標));CCI−779;ティピファニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl−2阻害剤、例えば、オブリメルセンナトリウム(例えば、GENASENSE(登録商標));ピクサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照);チロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照);セリン−スレオニンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパマイシン(例えば、シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、ロナファルニブ(例えば、SCH6636、SARASARTM);及び上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体;並びにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称)及びFOLFOX(5−FU及びロイコボリンと組合せたオキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))を用いた治療レジメンの略称)等の、上記のうちの2つ以上の組合せを含む。
ここで定義される化学療法剤は、がんの増殖を促進する可能性のあるホルモンの影響を、調節し、低下させ、遮断し、又は阻害するように作用する「抗ホルモン剤」又は「内分泌治療薬」を含む。これらは、それら自体がホルモンであってもよく、限定されないが、タモキシフェン(例えば、NOLVADEX(登録商標))、4−ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(例えば、FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(例えば、EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、及びSERM3等の選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)を含む、混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを持つ抗エストロゲン剤;アゴニスト特性を有しない純粋な抗エストロゲン、例えば、フルベストラント(例えば、FASLODEX(登録商標))、及びEM800(このような薬剤は、エストロゲン受容体(ER)の二量体化を遮断し、DNA結合を阻害し、ER代謝回転を増加させ、かつ/又はERレベルを抑制しうる);アロマターゼ阻害剤(ホルメスタン及びエキセメスタン(例えば、AROMASIN(登録商標))等のステロイドアロマターゼ阻害剤、並びに例えば、アナストロゾール(例えば、ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(例えば、FEMARA(登録商標))及びアミノグルテチミ等の非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、並びにボロゾール(例えば、RIVISOR(登録商標))、メゲストロール酢酸塩(例えば、MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、及び4(5)−イミダゾール等の他のアロマターゼ阻害剤を含む);リュープロリド(例えば、LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、及びトリプトレリンを含む、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;プロゲスチン、例えば、メゲストロール酢酸塩及びメドロキシプロゲステロン酢酸塩、エストロゲン、例えば、ジエチルスチルベストロール及びプレマリン、並びにアンドロゲン/レチノイド、例えば、フルオキシメステロン、全てのトランス−レチノイン酸及びフェンレチニドを含む、性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD);抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド及びビカルタミド;並びに上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体;並びに上記の2つ以上の組合せを含む。
「血管新生因子又は血管新生剤」は、例えば、血管新生、内皮細胞増殖、血管の安定性、及び/又は脈管形成等を促進する、血管の発生を刺激する増殖因子を指す。例えば、血管新生因子は、限定されないが、例えば、VEGF及びVEGFファミリーのメンバー(VEGF−B、VEGF−C及びVEGF−D)、PlGF、PDGFファミリー、線維芽細胞増殖因子ファミリー(FGF)、TIEリガンド(アンジオポエチン)、エフリン、デルタ様リガンド4(DLL4)、del−1、線維芽細胞増殖因子:酸性(aFGF)及び塩基性(bFGF)、フォリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、肝細胞増殖因子(HGF)/分散因子(SF)、インターロイキン−8(IL−8)、レプチン、ミッドカイン、ニューロピリン、胎盤増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血小板由来増殖因子、特にPDGF−BB又はPDGFR−β、プレイオトロフィン(PTN)、プログラニュリン、プロリフェリン、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)等を含む。また、創傷治癒を加速させる因子、例えば、成長ホルモン、インスリン様増殖因子−I(IGF−I)、VIGF、上皮増殖因子(EGF)、CTGF及びそのファミリーのメンバー、並びにTGF−α及びTGF−βも含まれる。例えば、Klagsbrun及びD'Amore (1991) Annu. Rev. Physiol. 53:217-39;Streit及びDetmar (2003) Oncogene 22:3172-3179;Ferrara及びAlitalo (1999) Nature Medicine 5(12):1359-1364;Tonini等 (2003) Oncogene 22:6549-6556(例えば、既知の血管新生因子を列挙する表1);及び Sato (2003) Int. J. Clin. Oncol. 8:200-206を参照のこと。
「抗血管新生剤」又は「血管新生阻害剤」は、血管新生、脈管形成、又は望ましくない血管透過性を直接的又は間接的の何れかで阻害する、低分子量物質、ポリヌクレオチド(例えば、阻害性RNA(RNAi又はsiRNA)を含む)、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、又はそれらのコンジュゲートもしくは融合タンパク質を指す。抗血管新生剤は、血管新生因子又はその受容体に結合し、その血管新生活性を遮断する薬剤を含むことが理解されなければならない。例えば、抗血管新生剤は、例えば、上に定義したような血管新生剤に対する抗体又は他のアンタゴニストであり、例えば、VEGF−Aに結合する融合タンパク質、例えば、ZALTRAPTM(アフリベルセプト)、VEGF−Aに対する抗体、例えば、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、又はVEGF−A受容体(例えば、KDR受容体もしくはFlt−1受容体)に対する抗体、抗PDGFR阻害剤、例えば、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、VEGF受容体シグナル伝達を遮断する小分子(例えば、PTK787/ZK2284、SU6668、SUTENT(登録商標)/SU11248(リンゴ酸スニチニブ)、AMG706、又は例えば、国際特許出願国際公開第2004/113304号に記載されるもの)である。抗血管新生剤はまた天然の血管新生阻害剤、例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン等も含む。例えば、 Klagsbrun及びD'Amore (1991) Annu. Rev. Physiol. 53:217-39;Streit及びDetmar (2003) Oncogene 22:3172-3179(例えば、悪性黒色腫の抗血管新生療法剤を列挙する表3);Ferrara及びAlitalo (1999) Nature Medicine 5(12):1359-1364;Tonini等(2003) Oncogene 22:6549-6556(例えば、既知の抗血管新生因子を列挙する表2);及びSato (2003) Int. J. Clin. dOncol. 8:200-206(例えば、臨床試験で使用される抗血管新生剤を列挙する表1)を参照のこと。
「VEGFアンタゴニスト」は、限定されないが、一又は複数のVEGF受容体に対するその結合を含む、VEGFの活性を中和し、遮断し、阻害し、抑止し、低減し、又は妨害することができる分子を指す。VEGFアンタゴニストは、限定されないが、抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合し、それによって一又は複数の受容体に対するその結合を封鎖する受容体分子及び誘導体、抗VEGF受容体抗体、VEGF受容体アンタゴニスト、例えば、VEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤(例えば、パゾパニブ)、及びVEGFに結合するイムノアドヘシン、例えば、VEGFトラップ(例えば、アフリベルセプト)を含む。ここで使用される「VEGFアンタゴニスト」という用語は、特に、VEGFに結合してVEGFの活性を中和し、遮断し、阻害し、抑止し、低減し、又は妨害することができる、抗体、抗体断片、他の結合ポリペプチド、ペプチド、及び非ペプチド小分子を含む分子を含む。従って、「VEGFの活性」という用語は、特に、VEGFによって媒介されるVEGFの生物活性を含む。
「対象」及び「患者」という用語は、哺乳動物を指すためにここでは互換的に使用される。幾つかの実施態様では、対象又は患者はヒトである。他の実施態様では、限定されないが、げっ歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類実験動物、哺乳類家畜、哺乳類競技動物、及び哺乳類ペットを含む、他の哺乳動物を治療する方法もまた提供される。
ここで使用される「試料」又は「患者試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的な特徴に基づいて特徴付けられ及び/又は特定される、細胞実体及び/又は他の分子実体を含む興味ある対象から得られるか又は対象に由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という句及びその変形は、特徴付けられる細胞実体及び/又は分子実体を含むことが予測されるか又は分かっている、興味ある対象から得られる任意の試料を指す。「組織又は細胞試料」とは、対象又は患者の組織から得られた類似する細胞の集合を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された、臓器もしくは組織試料又は生検組織又は吸引液由来の固形組織;血液又は任意の血液成分;大脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液等の体液;対象の妊娠又は発達における任意の時期からの細胞であってもよい。組織試料はまた初代又は培養細胞又は細胞株であってもよい。任意選択的に、組織又は細胞試料は、疾患組織/臓器から得られる。組織試料は、保存料、抗凝血剤、緩衝液、固定液、栄養剤、抗生物質等の、本来の組織には自然に混合されない化合物を含みうる。
ここで使用される「参照試料」、「参照細胞」、又は「参照組織」は、特定するために本発明の方法又は組成物が使用される疾患又は症状に罹患していないことが分かっているか又は考えられる供給源から得られた試料、細胞、又は組織を指す。幾つかの実施態様では、参照試料、参照細胞、又は参照組織は、本発明の組成物又は方法を使用して疾患又は症状が特定される同じ対象又は患者の健常な身体部分から得られる。幾つかの実施態様では、参照試料、参照細胞、又は参照組織は、本発明の組成物又は方法を使用して疾患又は症状が特定される対象又は患者ではない1人以上の個体の健常な身体部分から得られる。
ここで使用される「がん」及び「腫瘍」は、動物における任意の異常な細胞又は組織の成長又は増殖を指す互換的な用語である。ここで使用される場合、「がん」及び「腫瘍」という用語は、固形がん及び血液がん/リンパ腺がんを包含し、また悪性、前がん性、及び良性の増殖、例えば異形成等も包含する。がんの例として、限定されないが、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられる。このようながんのより特定の非限定的な例として、扁平上皮がん、小細胞肺がん、下垂体がん、食道がん、星状細胞腫、軟部肉腫、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がん、膵がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、肝細胞腫、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、腎がん、肝がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓がん、脳がん、子宮内膜がん、精巣がん、胆管細胞がん、胆嚢がん、胃がん、黒色腫、及び様々な種類の頭頸部がんが挙げられる。
「FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞」は、FGFR1遺伝子を2コピーより多く含む細胞を指す。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が1より大きい細胞を指す。幾つかの実施態様では、比率は、蛍光インサイツハイブリダイゼーションによって決定される。ここで使用される「FGFR1遺伝子増幅を伴うがん」は、がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子を少なくとも4コピー含むがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部が1より大きいFGFR1遺伝子:第8染色体セントロメア比を有するがんを指す。例示的なFGFR1遺伝子配列は、例えば、2013年3月23日付のNCBI参照配列:NG_007729.1に見出すことができる。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR1遺伝子を少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー含む。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも4コピーを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR1遺伝子:第8染色体セントロメア比が、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR1遺伝子:第8染色体セントロメア比が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、2より大きいFGFR1遺伝子:第8染色体セントロメア比を有する。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞中のFGFR1遺伝子の各コピーは、FGFR1遺伝子の完全なコピーである必要はない。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、高いレベルのFGFR1を有する(すなわち、幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR1の過剰発現を伴う細胞でもある)。
「FGFR1の過剰発現を伴う細胞」又は「FGFR1を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGFR1 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「FGFR1の過剰発現を伴うがん」又は「FGFR1を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGFR1 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR1の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのFGFR1 mRNA又はタンパク質を有する。FGFR1 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。幾つかの実施態様では、FGFR1は、FGFR1IIIcである。例示的なヒトFGFR1タンパク質配列は、例えば、2012年3月21日付のUniProtKB/Swiss−Prot参照配列:P11362(FGFR1_HUMAN)に見出すことができる。例示的なヒトFGFR1 mRNA配列は、例えば、2012年3月24日付のNCBI参照配列:NM_023110.2に見出すことができる。例示的なヒトFGFR1IIIcタンパク質配列は、例えば、2012年3月24日付のNCBI参照配列:NP_075598.2に見出すことができる。例示的なヒトFGFR1IIIc mRNA配列は、例えば、2012年3月24日付のNCBI参照配列:NM_023110.2に見出すことができる。
「FGFR3の過剰発現を伴う細胞」又は「FGFR3を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGFR3 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「FGFR3の過剰発現を伴うがん」又は「FGFR3を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGFR3 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR3の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのFGFR3 mRNA又はタンパク質を有する。FGFR3 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、FGFR3はFGFR3IIIcでありうる。例示的なヒトFGFR3IIIcタンパク質配列は、例えば、2012年2月12日付のNCBI参照配列:NP_000133.1に見出すことができる。例示的なヒトFGFR3IIIc mRNA配列は、例えば、2012年2月12日付のNCBI参照配列:NM_000142.4に見出すことができる。
「FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞」は、FGFR3遺伝子を2コピーより多く含む細胞を指す。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が1より大きい細胞を指す。幾つかの実施態様では、比率は、蛍光インサイツハイブリダイゼーションによって決定される。ここで使用される「FGFR3遺伝子増幅を伴うがん」は、がん細胞の少なくとも一部がFGFR3遺伝子増幅を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部がFGFR3遺伝子を少なくとも4コピー含むがんを指す。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部が1より大きいFGFR3遺伝子:第4染色体セントロメア比を有するがんを指す。例示的なFGFR3遺伝子配列は、例えば、2013年3月24日付のNCBI参照配列:NG_012632.1に見出すことができる。
幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR3遺伝子を少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー含む。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも4コピーを含む。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR3遺伝子:第4染色体セントロメア比が、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR3遺伝子:第4染色体セントロメア比が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、2より大きいFGFR3遺伝子:第4染色体セントロメア比を有する。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞中のFGFR3遺伝子の各コピーは、FGFR3遺伝子の完全なコピーである必要はない。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、高いレベルのFGFR3を有する(すなわち、幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴う細胞は、FGFR3の過剰発現を伴う細胞でもある)。
「FGF2遺伝子増幅を伴う細胞」は、FGF2遺伝子を2コピーより多く含む細胞を指す。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が1より大きい細胞を指す。幾つかの実施態様では、比率は、蛍光インサイツハイブリダイゼーションによって決定される。ここで使用される「FGF2遺伝子増幅を伴うがん」は、がん細胞の少なくとも一部がFGF2遺伝子増幅を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部がFGF2遺伝子を少なくとも4コピー含むがんを指す。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部が1より大きいFGF2遺伝子:第4染色体セントロメア比を有するがんを指す。例示的なFGF2遺伝子配列は、例えば、2013年3月26日付のNCBI参照配列:NG_029067.1に見出すことができる。
幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、FGF2遺伝子を少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー含む。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも4コピーを含む。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、FGF2遺伝子:第4染色体セントロメア比が、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、FGF2遺伝子:第4染色体セントロメア比が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、2より大きいFGF2遺伝子:第4染色体セントロメア比を有する。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞中のFGF2遺伝子の各コピーは、FGF2遺伝子の完全なコピーである必要はない。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、高いレベルのFGF2を有する(すなわち、幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴う細胞は、FGF2の過剰発現を伴う細胞でもある)。
「FGF2の過剰発現を伴う細胞」又は「FGF2を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGF2 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「FGF2の過剰発現を伴うがん」又は「FGF2を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGF2 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGF2の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのFGF2 mRNA又はタンパク質を有する。FGF2 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。例示的なヒトFGF2タンパク質配列は、例えば、2012年2月12日付のNCBI参照配列:NP_001997.5に見出すことができる。例示的なヒトFGF2 mRNA配列は、例えば、2012年2月12日付のNCBI参照配列:NM_002006.4に見出すことができる。
「DKK3の過剰発現を伴う細胞」又は「DKK3を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのDKK3 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「DKK3の過剰発現を伴うがん」又は「DKK3を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのDKK3 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、DKK3の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのDKK3 mRNA又はタンパク質を有する。DKK3 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。例示的なヒトDKK3タンパク質配列は、例えば、2012年1月22日付のNCBI参照配列:NP_001018067.1に見出すことができる。例示的なヒトDKK3 mRNA配列は、例えば、2012年1月22日付のNCBI参照配列:NM_001018057.1に見出すことができる。
「FGF18の過剰発現を伴う細胞」又は「FGF18を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGF18 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「FGF18の過剰発現を伴うがん」又は「FGF18を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのFGF18 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、FGF18の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのFGF18 mRNA又はタンパク質を有する。FGF18 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。例示的なヒトFGF18タンパク質配列は、例えば、2012年6月27日付のNCBI参照配列:NP_003853に見出すことができる。例示的なヒトFGF18 mRNA配列は、例えば、2012年6月27日付のNCBI参照配列:NM_003862.2に見出すことができる。
「ETV4の過剰発現を伴う細胞」又は「ETV4を過剰発現する細胞」は、参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのETV4 mRNA又はタンパク質を有する細胞を指す。「ETV4の過剰発現を伴うがん」又は「ETV4を過剰発現するがん」は、細胞の少なくとも一部が参照細胞よりも少なくとも2倍高いレベルのETV4 mRNA又はタンパク質を有するがんを指す。幾つかの実施態様では、ETV4の過剰発現を伴う細胞は、参照細胞よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍高いレベルのETV4 mRNA又はタンパク質を有する。ETV4 mRNA又はタンパク質のレベルは、限定されないが、ここに記載される方法を含む任意の好適な方法によって決定することができる。例示的なヒトETV4タンパク質配列は、例えば、2012年9月08日付のNCBI参照配列:NP_001977.1に見出すことができる。例示的なヒトETV4 mRNA配列は、例えば、2012年9月08日付のNCBI参照配列:NM_001986.2に見出すことができる。
「エストロゲン受容体(ER)陽性であるがん」又は「ER陽性であるがん」は、ER陽性であると判定されたがんを意味する。幾つかの実施態様では、がんは、American Society of Clinical Oncology/College of American Pathologists Guideline Recommendations for Immunohistochemical Testing of Estrogen and Progesterone Receptors in Breast Cancer, J. Clin. Oncol., 2010, 28: 2784-2795に従ってER陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、がんは、腫瘍細胞核の≧1%が免疫組織化学(IHC)でエストロゲン受容体に対して免疫反応性である場合、ER陽性であると考えられる。幾つかの実施態様では、がんは、アッセイ製造者又はアッセイ研究所のガイドラインに従ってER陽性であると考えられる。
「プロゲステロン受容体(PR)陽性であるがん」又は「PR陽性であるがん」は、PR陽性であると判定されたがんを意味する。幾つかの実施態様では、がんは、American Society of Clinical Oncology/College of American Pathologists Guideline Recommendations for Immunohistochemical Testing of Estrogen and Progesterone Receptors in Breast Cancer, J. Clin. Oncol., 2010, 28: 2784-2795に従ってPR陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、がんは、腫瘍細胞核の≧1%が免疫組織化学(IHC)でプロゲステロン受容体に対して免疫反応性である場合、PR陽性であると考えられる。幾つかの実施態様では、がんは、アッセイ製造者又はアッセイ研究所のガイドラインに従ってPR陽性であると考えられる。
「HER2陽性であるがん」はHER2陽性であると判定されたがんを意味する。幾つかの実施態様では、がんは、HER2タンパク質に対して免疫組織化学(IHC)を、及び/又はHER2遺伝子増幅を検出するために蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)アッセイを使用して、HER2陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、がんは、IHC細胞膜染色強度が0から3+のスケールで3+であるときにHER2陽性として特徴付けられる。幾つかの実施態様では、HER2 FISHアッセイが、HER2遺伝子が増幅されているかどうかを判定するために使用される。幾つかのこのような実施態様では、第17染色体セントロメアに対するHER2遺伝子のコピーの比率が2より大きい場合にHER2遺伝子が増幅されていると考えられる。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子が増幅されている場合、IHCアッセイの結果に関わらず、乳がんはHER2陽性であると考えられる。幾つかの実施態様では、がんは、アッセイ製造者又はアッセイ研究所のガイドラインに従ってHER2陽性であると考えられる。
「HER2遺伝子増幅を伴う細胞」は、2コピーより多いHER2遺伝子を含む細胞を意味する。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は、第17染色体セントロメアに対するHER2遺伝子の比率が1より大きい細胞を意味する。幾つかの実施態様では、該比率は、蛍光インサイツハイブリダイゼーションによって決定される。ここで使用される「HER2遺伝子増幅を伴うがん」は、がん細胞の少なくとも一部がHER2遺伝子増幅を有しているがんを意味する。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部が、少なくとも4コピーのHER2遺伝子を含むがんを意味する。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴うがんは、がん細胞の少なくとも一部が1より大きいHER2遺伝子:第17染色体セントロメア比を有しているがんを意味する。例示的なHER2遺伝子配列は、例えば、2013年4月22日付けのNCBI参照配列:NG_007503.1に見出すことができる。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅は、あらゆる目的のためにその全体が出典明示によりここに援用される、Persons等 “Fluorescence in situ hybridization (FISH) for detection of HER-2/neu amplification in breast cancer: a multicenter portability study.” Ann Clin Lab Sci 30: 41-48 (2000)に従って判定される。
幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのHER2遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は少なくとも4コピーを含む。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4のHER2遺伝子:第17染色体セントロメア比を有している。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は、少なくとも2のHER2遺伝子:第17染色体セントロメア比を有している。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は、2より大きいHER2遺伝子:第17染色体セントロメア比を有している。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞におけるHER2遺伝子の各コピーはHER2遺伝子の完全なコピーである必要はない。幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞は上昇したレベルのHER2を有している(すなわち、幾つかの実施態様では、HER2遺伝子増幅を伴う細胞はまたHER2過剰発現を伴う細胞である)。幾つかの実施態様では、細胞の少なくとも一部がHER2遺伝子増幅及び/又はHER2過剰発現を有するがんはHER2陽性であると考えられる。
「p95HER2陽性であるがん」は、免疫組織化学(IHC)、ウェスタンブロット、又はVeraTag(登録商標)アッセイ(Monogram Biosciences)により決定して、がん細胞の少なくとも一部がp95HER2を含むがんを意味する。例えばHan等, PLoS One, 2012, 7(7): e39943;Parra-Palau等, Cancer Res., 2010, 70: 8537-8546;Saez等, Clin. Cancer Res., 2006, 12(2): 424-431;Sperinde等, Clin. Canc. Res., 2010, 16(16): 4226-4235;及び米国特許第8389227B2号を参照のこと。幾つかの実施態様では、がんはIHCによってp95HER2陽性であると判定される。幾つかのそのような実施態様では、がんは、例えばVeraTagアッセイにおいて抗p95抗体クローンD9を使用する方法のような、Sperinde等, Clin. Canc. Res., 2010, 16(16): 4226-4235に記載された方法を使用してp95HER2陽性であると判定される。幾つかの実施態様では、がんは、例えば受託番号DSM ACC2904又はDSM ACC2980の下でDeutschland Sammlung von Mikroorganismenに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生された抗体を使用する方法など、米国特許第8389227B2号に記載された方法を使用してp95HER2陽性であると判定される。幾つかの実施態様では、がんは、アッセイ製造者又はアッセイ研究所のガイドラインに従ってp95HER2陽性であると判定される。p95HER2はカルボキシ末端HER2断片の集合を意味し、幾つかの実施態様では、95kDaから100kDaの断片及び100kDaから115kDaの断片に分割されうる。例えば、Arribas等, Cancer Res., 2011, 71: 1515-1519を参照のこと。幾つかの実施態様では、p95HER2陽性であるがんは、100から115kDaのHER2断片を含む。
「アロマターゼ阻害剤」は、限定されないが、アンドロゲン(例えばテストステロン及びアンドロステンジオン)をエストロゲン(例えばエストラジオール及びエストロン)に転換するその能力を含む、アロマターゼ活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑止し、低減させ又は妨害することができる分子を意味する。非限定的な例示的アロマターゼ阻害剤は、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、ファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))、4−ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、及び4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)を含む。
「ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト」及び「GnRHアゴニスト」は、限定されないが、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を誘発することを含む、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体活性を刺激し又は高めることができる分子を意味する。非限定的な例示的ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストは、ロイプロリド(例えば、Lupron(登録商標)、Eligard(登録商標))、ブセレリン(例えば、Suprefact(登録商標)、Suprecor(登録商標))、ヒストレリン(例えば、Supprelin LA(登録商標)、Vantas(登録商標))、酢酸ゴセレリン(例えば、Zoladex(登録商標))、デスロレリン(例えば、Suprelorin(登録商標)、Ovuplant(登録商標))、ナファレリン(例えば、Synarel(登録商標))、及びトリプトレリンを含む。
「ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト」及び「GnRHアンタゴニスト」は、限定されないが、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を誘発することを含む、ゴナドトロピン放出ホルモン活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑止し、低減させ又は妨害することができる分子を意味する。非限定的な例示的ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストは、セトロレリクス(例えば、Cetrotide(登録商標))、ガニレリクス(例えば、Antagon(登録商標))、アバレリクス(例えば、Plenaxis(登録商標))、及びデガレリクス(例えば、Firmagon(登録商標))を含む。
「アンドロゲン受容体阻害剤」及び「AR阻害剤」は、限定されないが、転写因子として作用する(つまり、遺伝子発現を調節する)その能力を含む、アンドロゲン受容体活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑止し、低減させ又は妨害することができる分子を意味する。非限定的な例示的アンドロゲン受容体阻害剤は、酢酸シプロテロン(例えば、Androcur(登録商標)、Cyprostat(登録商標))、フルタミド(例えば、Eulexin(登録商標))、ビカルタミド(例えば、Casodex(登録商標))、エンザルタミド(例えば、Xtandi(登録商標))、ケトコナゾール、及びニルタミド(例えば、Anandron(登録商標)、Nilandron(登録商標))を含む。
「17−ヒドロキシラーゼ阻害剤」は、限定されないが、プレグネノロン又はプロゲステロンのステロイドD環の炭素17にヒドロキシル基を加えるその能力を含む、チトクロームP45017A1(ステロイド17−α−モノオキシゲナーゼとも呼ばれる)活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑止し、低減させ又は妨害することができる分子を意味する。非限定的な例示的17−ヒドロキシラーゼ阻害剤は酢酸アビラテロン(例えば、Zytiga(登録商標))である。
「エストロゲン受容体アンタゴニスト」及び「ERアンタゴニスト」は、限定されないが、転写因子として作用する(つまり、遺伝子発現を調節する)その能力を含む、エストロゲン受容体活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑止し、低減させ又は妨害することができる分子を意味する。非限定的な例示的ERアンタゴニストは、タモキシフェン(例えば、Nolvadex(登録商標)、Istubal(登録商標)、及びValodex(登録商標))及びフルベストラント(例えば、Faslodex(登録商標))を含む。
ここで使用される「治療」は、ヒトを含む哺乳動物の症状に対する治療薬の任意の投与又は適用を含み、例えば、退縮を引き起こすことによって、又は機能の損失、不足、もしくは低下を回復もしくは修復することによって、又は非効率的なプロセスを刺激することによって、症状もしくは症状の進行を阻害すること、症状もしくはその進行を阻害することもしくは遅延させること、その発達を停止すること、症状を部分的もしくは完全に軽減すること、又は症状を治癒することを含む。幾つかの実施態様では、「治療」は、治療される個体又は細胞の自然の経過を変更するための臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理学的過程の間に行うことができる。望ましい治療の効果は、疾患の発生又は再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の低減、転移の予防、疾患進行の速度の減速、病態の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善を含む。
分子又は分子の組合せの「有効量」又は「治療有効量」は、単独で、又は他の治療薬と組合せて投与されたときに、対象の少なくともサブセットにおいて症状を治療し、及び/又は、腫瘍細胞の増殖を阻害するのに十分な量を意味する。所定の実施態様では、治療有効量は、投薬時と必要な期間の間、所望の治療又は予防的結果を達成するために有効な量を指す。本発明のFGFR1融合タンパク質の治療有効量は、例えば、個体の病態、年齢、性別、及び体重、並びに個体においてFGFR1融合タンパク質が所望の応答を誘発する能力等の要因に従って変化しうる。治療有効量はまた治療的に有益な効果が、FGFR1融合タンパク質の任意の毒性又は有害作用を上回る量である。がんの場合、薬物の有効量は、がん細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを縮小させ;がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、典型的には停止する);腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、典型的には停止する);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;腫瘍の治療を可能にし、及び/又は疾患に伴う症状の一又は複数をある程度まで軽減しうる。薬物は、増殖を防ぎ及び/又は既存のがん細胞を死滅させうる範囲で、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であってもよい。
「予防有効量」は、投与時と必要な期間の間、所望の予防的結果を達成するために有効な量を指す。必ずではないが典型的には、予防投与は、疾患の前又は早期段階で対象に用いられるため、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
「阻害」又は「阻害する」という用語は、任意の表現型特性の減少もしくは停止、又はその特性の発生頻度、程度、もしくは可能性の減少もしくは停止を指す。非限定的な例示的阻害は、腫瘍増殖の阻害を含む。
治療剤の投与の恩恵又は治療剤の投与に対する反応の文脈においてここで使用される「恩恵」、「治療上の恩恵」、「反応性」、及び「治療反応性」という用語は、例えば、疾患進行のある程度の阻害(遅延及び完全な停止を含む);疾患エピソード及び/もしくは症状数の減少;病巣サイズの縮小;疾患細胞の隣接する末梢器官及び/もしくは組織への浸潤の阻害(すなわち、低減、遅延、及び完全な停止);疾患転移の阻害(すなわち、低減、遅延、及び完全な停止);疾患病変の退縮又は消失を必ずではないがもたらしうる自己免疫反応の低下;疾患に関連する一又は複数の症状のある程度の軽減;治療後の無病期間の長さ、例えば、無増悪生存期間の増加;全生存期間の増加;より高い奏効率;及び/又は治療後の所与の時点での死亡率の減少等の様々なエンドポイントを評価することによって、測定することができる。
一又は複数の更なる治療剤と「組合せた」投与は、共投与(同時投与を含む)及び任意の順序の継続投与(すなわち、逐次投与)を含む。
「薬学的に許容される担体」は、対象に投与するための「薬学的組成物」を一緒に含む治療剤と共に使用される、当該技術分野において一般的である無毒性の固体、半固体、もしくは液体の増量剤、希釈剤、封入材料、製剤補助剤、又は担体を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、用いられる製剤に適している。例えば、治療剤が経口投与される場合、担体はゲルカプセルであってもよい。治療薬剤が皮下投与される場合、担体は、理想的には、皮膚に刺激性を示さず、注射部位反応を引き起こさない。
治療組成物及び方法
FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を使用してがんを治療する方法
幾つかの実施態様では、本発明は、がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有するがんを治療する方法を提供する。そのようながんは、幾つかの実施態様では、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を用いた治療に特に反応することが見出された。従って、幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有するがんを治療する方法は、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を対象に投与することを含む。幾つかの実施態様では、対象におけるがんを治療する方法は、治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を対象に投与することを含み、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与前に、がんの細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有すると判定されている。そのような方法において、がんにおけるFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅は、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対するがんの治療反応性の指標である。
幾つかの実施態様では、本発明は、がん細胞の少なくとも一部が、FGFR1、FGFR3、FGF2、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、又は少なくとも4種のマーカーの過剰発現を有するがんを治療する方法を提供する。幾つかの実施態様では、FGFR1は、FGFR1IIIcである。幾つかの実施態様では、過剰発現は、mRNAの過剰発現である。幾つかの実施態様では、過剰発現は、タンパク質の過剰発現である。幾つかの実施態様では、少なくとも、FGFR1、FGFR3、FGF2、DKK3、FGF18、及びETV4から選択されるマーカーを過剰発現するがんを治療する方法は、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を対象に投与することを含む。幾つかの実施態様では、対象におけるがんを治療する方法は、治療有効量の線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)細胞外ドメイン(ECD)又はFGFR1 ECD融合分子を対象に投与することを含み、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与前に、がんの細胞の少なくとも一部が、FGFR1、FGFR3、FGF2、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種のマーカーの過剰発現を有すると判定されている。そのような方法では、がんにおけるFGFR1、FGFR3、FGF2、DKK3、FGF18、及び/又はETV4の過剰発現が、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対するがんの治療反応性の指標である。幾つかの実施態様では、FGFR1は、FGFR1IIIcである。
幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が少なくとも4コピーのFGFR1遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGFR1遺伝子を含む。FGFR1遺伝子のコピー数の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、2より大きい第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子比率を有する。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。そのような比率の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。
幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が少なくとも4コピーのFGF2遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGF2遺伝子を含む。FGF2遺伝子のコピー数の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、2より大きい第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子比率を有する。幾つかの実施態様では、FGF2遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。そのような比率の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。
幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が少なくとも4コピーのFGFR3遺伝子を含む。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部が、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピーのFGFR3遺伝子を含む。FGFR3遺伝子のコピー数の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が少なくとも2である。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、2より大きい第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子比率を有する。幾つかの実施態様では、FGFR3遺伝子増幅を伴うがんにおいて、がん細胞の少なくとも一部は、第4染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である。そのような比率の決定は、当該技術分野における任意の好適な方法によって実施することができる。特定の非限定的な例示的方法がここで検討される。
幾つかの実施態様では、がんは、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、カルチノイドがん、結腸直腸がん、肺がん、脳がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、喉頭がん、肝がん、腎がん、神経膠芽腫、及び膵がんから選択される。所定の実施態様では、がんは、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、及びカルチノイドがんから選択される。
幾つかの実施態様では、対象における乳がんを治療する方法において、乳がんを持つ対象に治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、乳がんはFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有すると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんはエストロゲン受容体(ER)陽性及び/又はプロゲステロン(PR)陽性であると更に判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんはHER2陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんはp95HER2陽性であると判定されている。幾つかの実施態様では、乳がんはHER2陰性である。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、乳がんは転移性乳がんでありうる。幾つかの実施態様では、ER陽性かつHER2陰性である乳がんは転移性乳がんである。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、乳がんの対象は閉経後である。
幾つかの実施態様では、乳がんの対象にトラスツズマブ及び/又はラパチニブが以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、乳がんの対象は過去にトラスツズマブ及び/又はラパチニブでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、乳がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にトラスツズマブ及び/又はラパチニブ療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。
幾つかの実施態様では、乳がんの対象にアロマターゼ阻害剤が以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、乳がんの対象は過去にアロマターゼ阻害剤での治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、乳がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にアロマターゼ阻害剤療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的アロマターゼ阻害剤は、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、ファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))、4−ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、及び4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)を含む。幾つかの実施態様では、乳がんの対象に、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、及びファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))から選択されるアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。
幾つかの実施態様では、乳がんの対象にERアンタゴニストが以前に投与されているか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、対象はER陽性乳がんを有すると判定されている。つまり、幾つかの実施態様では、乳がんの対象は過去にERアンタゴニストでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、乳がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にERアンタゴニスト療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的ERアンタゴニストは、タモキシフェン(例えば、Nolvadex(登録商標)、Istabul(登録商標)、Valodex(登録商標))及びフルベストラント(例えば、Faslodex(登録商標))を含む。
幾つかの実施態様では、対象における前立腺がんを治療する方法において、前立腺がんを持つ対象に治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、前立腺がんはFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有すると判定されている。幾つかのそのような実施態様では、前立腺がんの対象にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、GnRHアンタゴニスト、アンドロゲン受容体(AR)阻害剤、17−ヒドロキシラーゼ阻害剤、及びジエチルスチルベストロール(DES)から選択される治療剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかのそのような実施態様では、前立腺がんの対象にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はGnRHアンタゴニストから選択される治療剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。
幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象にGnRHアゴニストが以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象は過去にGnRHアゴニストでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にGnRHアゴニスト療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的GnRHアゴニストは、ロイプロリド(例えば、Lupron(登録商標)、Eligard(登録商標))、ブセレリン(例えば、Suprefact(登録商標)、Suprecor(登録商標))、ヒストレリン(例えば、Supprelin LA(登録商標)、Vantas(登録商標))、酢酸ゴセレリン(例えば、Zoladex(登録商標))、デスロレリン(例えば、Suprelorin(登録商標)、Ovuplant(登録商標))、ナファレリン(例えば、Synarel(登録商標))、及びトリプトレリンを含む。
幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象にGnRHアンタゴニストが以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象は過去にGnRHアンタゴニストでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にGnRHアンタゴニスト療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的GnRHアンタゴニストは、セトロレリクス(例えば、Cetrotide(登録商標))、ガニレリクス(例えば、Antagon(登録商標))、アバレリクス(例えば、Plenaxis(登録商標))、及びデガレリクス(例えば、Firmagon(登録商標))を含む。
幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象にAR阻害剤が以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象は過去にAR阻害剤での治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にAR阻害剤療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的AR阻害剤は、酢酸シプロテロン(例えば、Androcur(登録商標)、Cyprostat(登録商標))、フルタミド(例えば、Eulexin(登録商標))、ビカルタミド(例えば、Casodex(登録商標))、エンザルタミド(例えば、Xtandi(登録商標))、ケトコナゾール、及びニルタミド(例えば、Anandron(登録商標)、Nilandron(登録商標))を含む。
幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象に17−ヒドロキシラーゼ阻害剤が以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象は過去に17−ヒドロキシラーゼ阻害剤での治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的に17−ヒドロキシラーゼ阻害剤療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的17−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、酢酸アビラテロン(例えば、Zytiga(登録商標))である。
幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象にジエチルスチルベストロール(DES)が以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象は過去にDESでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にDES療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。
幾つかの実施態様では、対象におけるカルチノイドがんを治療する方法において、カルチノイドがんを持つ対象に治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、カルチノイドがんはFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有すると判定されている。幾つかの実施態様では、カルチノイドがんの対象に対象にオクトレオチド(Sandostatin(登録商標))が以前に投与されたか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、カルチノイドがんの対象は以前に治療有効量のオクトレオチドでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、前立腺がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にオクトレオチド療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。
幾つかの実施態様では、対象における卵巣がんを治療する方法において、卵巣がんを持つ対象に治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施態様では、卵巣がんはFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を有すると判定されている。幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象に対象にERアンタゴニスト又はアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。幾つかの実施態様では、卵巣がんはエストロゲン受容体(ER)陽性及び/又はプロゲステロン(PR)陽性であると更に判定されている。
幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象にERアンタゴニストが以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象は過去にERアンタゴニストでの治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にERアンタゴニスト療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的ERアンタゴニストは、タモキシフェン(例えば、Nolvadex(登録商標)、Istubal(登録商標)、Valodex(登録商標))及びフルベストラント(例えば、Faslodex(登録商標))を含む。
幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象にアロマターゼ阻害剤が以前に投与されているか、又は現在投与されている。つまり、幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象は過去にアロマターゼ阻害剤での治療を受けたが、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子が投与される前にその治療を完了したか終了している。幾つかの実施態様では、卵巣がんの対象はFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法と同時的にアロマターゼ阻害剤療法を受ける。「同時的に」とは双方(又は全て)の薬剤がその生物学的活性を発現する期間があることを意味する。非限定的な例示的アロマターゼ阻害剤は、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、ファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))、4−ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、及び4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)を含む。幾つかの実施態様では、卵巣がんを有する対象に、アミノグルテチミド、テストラクトン(例えば、Teslac(登録商標))、アナストロゾール(例えば、Arimidex(登録商標))、レトロゾール(例えば、Femara(登録商標))、エキセメスタン(例えば、Aromasin(登録商標))、ボロゾール(例えば、Rivisor(登録商標))、フォルメスタン(例えば、Lentaron(登録商標))、酢酸メゲストロール(例えば、Megase(登録商標))、及びファドロゾール(例えば、Afema(登録商標))から選択されるアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部はFGFR1遺伝子増幅及び/又はFGFR3遺伝子増幅及び/又はFGF2遺伝子増幅を有しうる。幾つかの実施態様では、細胞の少なくとも一部は少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、又は少なくとも8コピーの各遺伝子を含みうる。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、各遺伝子のその染色体セントロメアに対する比率が少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4でありうる。幾つかの実施態様では、がんの細胞の少なくとも一部は、各遺伝子のその染色体セントロメアに対する比率が2より大きい。遺伝子増幅は、限定されないが、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を含む方法を含む、当該分野での任意の方法によって決定することができる。遺伝子増幅を判定する所定の非限定的な例示的方法がここに記載される。
ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部はFGFR1過剰発現及び/又はFGFR3過剰発現及び/又はFGF2過剰発現を有しうる。幾つかの実施態様では、FGFR1はFGFR1IIIcである。幾つかの実施態様では、FGFR3はFGFR3IIIcである。ここに記載の実施態様の何れかにおいて、がんの細胞の少なくとも一部は、DKK3過剰発現及び/又はFGF18過剰発現及び/又はETV4過剰発現を有しうる。そのような過剰発現はmRNA過剰発現及び/又はタンパク質過剰発現でありうる。mRNA過剰発現は、限定されないが、定量的RT−PCRを含む方法を含む、当該分野における任意の方法によって決定することができる。タンパク質過剰発現は、限定されないが、免疫組織化学を含む方法を含む、当該分野における任意の方法によって決定することができる。mRNA及び/又はタンパク質過剰発現を決定する所定の非限定的な例示的方法がここに記載される。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:1から4から選択されるアミノ酸配列を有する。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:2及び4から選択されるアミノ酸配列を有する。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、配列番号:5及び6から選択されるアミノ酸配列を有する。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、配列番号:6のアミノ酸配列を有するFGFR1 ECD.339−Fcである。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子は、一又は複数の更なる抗がん治療と共に投与される。更なる抗がん治療の例として、限定されないが、手術、放射線療法(照射療法)、生物学的療法、免疫療法、及び化学療法、又はこれらの治療の組合せが挙げられる。更に、細胞傷害性薬剤、抗血管新生剤、及び抗増殖性薬剤を、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子と組合せて使用することができる。方法及び用途の何れかの所定の態様では、本発明は、治療有効量のFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子と一又は複数の化学療法剤とを対象に投与することにより、がん細胞の少なくとも一部が、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2遺伝子増幅、及び/又はFGF2過剰発現を含み、及び/又は、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、又は少なくとも3種のマーカーを過剰発現するがんを治療することを提供する。幾つかの実施態様では、対象のがんは、以前に治療されていない。幾つかの実施態様では、対象のがんは、一又は複数の化学療法剤で以前に治療されたか又は現在治療されている。様々な化学療法剤が、本発明の併用治療の方法及び用途に使用され得る。企図される化学療法剤の例示的かつ非限定的なリストは、ここでの「定義」及び「発明の概要」に提供される。幾つかの実施態様では、本発明は、治療有効量のFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子と一又は複数の抗血管新生剤とを対象に投与することにより、がんを治療する方法を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、治療有効量のFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子と一又は複数のVEGFアンタゴニストとを対象に投与することにより、がんを治療することを提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、治療有効量のFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子と一又は複数のVEGFアンタゴニストとを、一又は複数の化学療法剤と組合せて対象に投与することにより、がんを治療することを提供する。幾つかの実施態様では、一又は複数のVEGFアンタゴニストは、VEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤及び/又は抗VEGF抗体及び/又はVEGFトラップである。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンクリスチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン、ペメトレキセド、ソラフェニブ、エトポシド、トポテカン、VEGFアンタゴニスト、抗VEGF抗体、VEGFトラップ、及びベバシズマブから選択される少なくとも1種の更なる治療剤と組合せて対象に投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。別の例では、FGFR1−ECD.339−Fcを、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンクリスチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン、ペメトレキセド、ソラフェニブ、エトポシド、トポテカン、VEGFアンタゴニスト、抗VEGF抗体、VEGFトラップ、及びベバシズマブから選択される少なくとも1種の更なる治療剤と組合せて対象に投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。幾つかの実施態様では、FGFR1−ECD.339−Fcとドセタキセルを対象に投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。
FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)を含有する薬学的組成物が、特定の適応症のための治療有効量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療される対象の体重、対象の身体的状態もしくは健康状態、治療される状態の広範さ、及び/又は治療される対象の年齢に依存する。一般に、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、1用量当たり約50μg/kg体重から約100mg/kg体重の範囲の量で投与されるべきである。任意選択的に、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、1用量当たり約100μg/kg体重から約30mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。更に任意選択的に、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、1用量当たり約0.5mg/kg体重から約20mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。所定の実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、約5mg/kg体重から約20mg/kg体重の用量で投与される。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、比吸光度1.11mL/mg*cmを用いて計算した場合、約10mg/kg体重〜約20mg/kg体重)の用量で投与される。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、約8mg/kg体重、約10mg/kg体重、約11mg/kg体重、約12mg/kg体重、約13mg/kg体重、約14mg/kg体重、約15mg/kg体重、約16mg/kg体重、約17mg/kg体重、約18mg/kg体重、約19mg/kg体重、又は約20mg/kg体重の用量で投与される。幾つかの実施態様では、FGFR1融合タンパク質は、比吸光度1.11mL/mg*cm(表1を参照)を使用して計算された約10mg/kg体重から約20mg/kg体重の用量で投与される。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)は、約10mg/kg体重、約11mg/kg体重、約12mg/kg体重、約13mg/kg体重、約14mg/kg体重、約15mg/kg体重、約16mg/kg体重、約17mg/kg体重、約18mg/kg体重、約19mg/kg体重、又は約20mg/kg体重の用量で投与される。幾つかの実施態様では、FGFR1融合タンパク質は、比吸光度1.11mL/mg*cmを使用して計算された約10mg/kg体重の用量で投与される。他の実施態様では、FGFR1融合タンパク質は、比吸光度1.11mL/mg*cmを使用して計算された約20mg/kg体重の用量で投与される。FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子はまた上記用量のうちの1つから別の用量の範囲で投与されてもよい。幾つかの実施態様では、投与量は、週2回、毎週、隔週、毎週と隔週の間の頻度で、3週毎、4週毎、又は毎月投与されてもよい。
所定の実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子の投与量は、使用される比吸光度(EC)に依存して二通り計算することができる。比吸光度は、タンパク質のグリコシル化が考慮されているかどうかに依存して異なる。一実施態様では、FGFR1−ECD.339−Fcのアミノ酸組成に基づく比吸光度は、例えば、1.42mL/mg*cmである。別の実施態様では、FGFR1−ECD.339−Fcの糖鎖部分並びにアミノ酸部分を考慮した場合、比吸光度は、1.11mL/mg*cmである。表1に示されるように、1.11mL/mg*cmのECを使用するFGFR1−ECD.339−Fcの用量の計算は、計算用量を28%増加させる。2つの比吸光度を用いて計算される用量は異なるが、モル濃度、又は投与される薬物の実際の量は同一である。別途記載のない限り、ここで開示される用量は、それぞれ、グリコシル化を考慮に入れない比吸光度を用いて計算される。これらの投与量を、FGFR1−ECD.339−Fcのグリコシル化を考慮に入れた比吸光度を用いて計算された投与量と比較したものを表1に示す。表1から分かるように、ここで1.11mL/mg*cmのECを用いた5mg/kgの投与量は、1.42mL/mg*cmのECを用いて計算した場合の約3.9mg/kgの投与量に相当する。ここで1.11mL/mg*cmのECを用いた約10mg/kgの投与量は、1.42mL/mg*cmのECを用いて計算した場合の約7.8mg/kgの投与量に相当する。ここで1.11mL/mg*cmのECを用いた約20mg/kgの投与量は、1.42mL/mg*cmのECを用いて計算した場合の約15.6mg/kgの投与量に相当する。上記「定義」の項目で述べたように、ここで提供される測定された数値は近似値であり、丸められた更なる有効数字を有する値を包含する。例えば、8mg/kgは、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、及び8.45等の有効桁数が2桁の値を包含し、これらの各々は8に丸められる。同様に、16mg/kg等の値は、例えば、15.6及び16.4等の、16に丸められる有効桁数が3桁の値を包含する。
Figure 2016526016
FGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子、及び/又は少なくとも1種の更なる治療剤を含有する薬学的組成物を、必要に応じて対象に投与することができる。所定の実施態様では、有効用量の治療用分子が、1回以上対象に投与される。様々な実施態様では、有効用量の治療用分子が、少なくとも2ヶ月に1回、少なくとも1ヶ月に1回、少なくとも1ヶ月に2回、週1回、週2回、又は週3回、対象に投与される。様々な実施態様では、有効用量の治療用分子が、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、又は少なくとも1年間、対象に投与される。
所定の実施態様では、FGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子、及び少なくとも1種の更なる治療剤の併用投与は、別々の製剤又は単一の薬学的製剤を用いた同時投与を含む共投与、並びに任意の順序の継続投与を含む。任意選択的に、両方の(又は全ての)活性薬剤が、同時にそれらの生物活性を発揮する時期が存在する。FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子(例えば、FGFR1−ECD.339−Fc)と組合せて投与される治療剤の治療有効量は、医師又は獣医師の判断に委ねられる。投与量の投与及び調整は、治療される状態の最大管理を達成するために行われる。用量は、使用される治療剤の種類、治療を受ける特定の患者、疾患の段階、及び治療計画の所望の積極性等の要因に更に依存する。
ここに記載の実施態様の何れにおいても、治療剤は、食品医薬品局等の治療処置の認可に責任のある機関によって承認された投与量で、又は製造者の推奨する投与量で投与されうる。
投与経路及び担体
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子は、静脈内及び/又は皮下投与されうる。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子は、別の経路、例えば、動脈内、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、心室内、気管内、頬側、直腸内、腹腔内、皮内、局所的、経皮的、もしくはくも膜下腔内経路により、又はさもなければ移植もしくは吸入により、投与することができる。様々な実施態様では、少なくとも1種の更なる治療剤を、静脈内、動脈内、皮下、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、心室内、気管内、頬側、直腸内、腹腔内、皮内、局所的、経皮的、及びくも膜下腔内を含む様々な経路により、又はさもなければ移植もしくは吸入によりインビボで投与することができる。主題組成物の各々は、単独で、又は組合せて、錠剤、カプセル剤、散剤、粒剤、軟膏、溶剤、坐剤、浣腸剤、注射剤、吸入剤、及びエアロゾル剤等の、固体、半固形、液体、又は気体形態の調製物に処方することができる。
様々な実施態様では、FGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子、及び/又は少なくとも1種の更なる治療剤を含有する組成物は、薬学的に許容される担体と共に製剤で提供され、多種多様な担体が当該技術分野において知られている(例えば、Gennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus, 20版(2003);Ansel等, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7版, Lippencott Williams and Wilkins (2004);Kibbe等, Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3版, Pharmaceutical Press (2000)を参照のこと)。ビヒクル、アジュバント、担体、及び希釈剤を含む様々な薬学的に許容される担体が公的に利用可能である。更に、様々な薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、安定剤、湿潤剤等も、公的に利用可能である。所定の非限定的な例示的担体は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組合せを含む。幾つかの実施態様では、治療剤は、定義の項目において上に示したブランド名の薬として、又はジェネリック均等物として処方される。幾つかの実施態様では、ドセタキセルは、Taxotere(登録商標)(Sanofi Aventis)、又はジェネリック均等物として処方される。
様々な実施態様では、FGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子及び/又は少なくとも1種の更なる治療剤を含有する組成物は、植物油もしくは他の油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、又はプロピレングリコール等の水性又は非水性溶媒中に、それらを溶解させ、懸濁させ、又は乳化させることによって、あるいは所望の場合、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤及び保存料等の一般的な添加物と共に、注射用に製剤化することができる。様々な実施態様では、組成物は、例えば、加圧された許容される噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等を使用して、吸入用に製剤化されうる。組成物はまた、様々な実施態様では、生分解性又は非生分解性ポリマーを用いて徐放性マイクロカプセルに製剤化されうる。非限定的な例示的生分解性製剤は、ポリ乳酸−グリコール酸ポリマーを含む。非限定的な例示的非生分解性製剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む。そのような製剤を作製する所定の方法は、例えば、欧州特許出願公開第1125584A1号に記載されている。
各々が一又は複数の用量のFGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子及び/又は少なくとも1種の更なる治療剤を収容する一又は複数の容器を含む薬学的投薬パック(ドーセージパック)も提供される。所定の実施態様では、単位調剤(ユニットドーセージ)が提供され、該単位調剤は、FGFR1 ECD、FGFR1 ECD融合分子、及び/又は1種又は複数種の更なる薬剤を含むかもしくは含まない少なくとも1種の更なる治療剤を含む、予め定まった量の組成物を含む。所定の実施態様では、そのような単位調剤は、単回使用の注射用プレフィルドシリンジで供給される。様々な実施態様では、単位調剤に含まれる組成物は、生理食塩水、ショ糖等、緩衝液、例えば、リン酸塩等を含み得、及び/又は安定した有効なpH範囲内で製剤化されうる。あるいは、所定の実施態様では、組成物は、適切な液体、例えば滅菌水の添加によって再構成することができる凍結乾燥粉末として提供されてもよい。所定の実施態様では、組成物は、限定されないが、ショ糖及びアルギニンを含む、タンパク質凝集を阻害する1種又は複数種の物質を含有する。所定の実施態様では、本発明の組成物は、ヘパリン及び/又はプロテオグリカンを含有する。
幾つかの実施態様では、投薬パックは、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を投与する前に、がんが、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を含むか、及び/又はDKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、又は3種のマーカーを過剰発現しているかどうかを決定するための説明書を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1はFGFR1IIIcである。幾つかの実施態様では、FGFR3はFGFR3IIIcである。幾つかのそのような実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部におけるFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅、並びに/又はDKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、もしくは3種のマーカーの過剰発現が、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。
幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGFR1遺伝子が少なくとも4コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGFR1遺伝子が少なくとも4コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が少なくとも2であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が2より大きいことが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、肺がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。
幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGF2遺伝子が少なくとも4コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGF2遺伝子が少なくとも4コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が少なくとも2であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が2より大きいことが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、肺がん細胞の少なくとも一部における第4染色体セントロメアに対するFGF2遺伝子の比率が少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。
幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGFR3遺伝子が少なくとも4コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部においてFGFR3遺伝子が少なくとも4コピー、少なくとも6コピー、少なくとも8コピー、又は少なくとも10コピー存在することが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が少なくとも2であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が2より大きいことが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。幾つかの実施態様では、説明書は、肺がん細胞の少なくとも一部における第8染色体セントロメアに対するFGFR3遺伝子の比率が少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4であることが、FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子に対する治療反応性の指標であることを示す。
ここで使用される「説明書」という用語は、限定されないが、ラベル、添付文書(パッケージ挿入物)、コンピュータ可読媒体(例えば、ディスケット、コンパクトディスク、又はDVD)等の電子形態で利用可能な説明書、インターネット等を経由して遠隔で利用可能な説明書を含む。投薬パックが、説明書へのアクセス、説明書へのリンク(例えば、ユニフォームリソースロケータ、つまりurl)、又は説明書のコピーを入手するための他の機構(例えば、返信はがき、そこから説明書を要求することができる物理的住所、そこから説明書を要求することができる電子メールアドレス、説明書を入手するためにかけることができる電話番号等)を提供する場合、投薬パックは説明書を含むと考えられる。
FGFR1 ECD及びFGFR1 ECD融合分子
非限定的な例示的FGFR1 ECDは、完全長FGFR1 ECD、FGFR1 ECD断片、及びFGFR1 ECD変異体を含む。FGFR1 ECDは、シグナルペプチドを含んでもよいか、又は欠いてもよい。例示的なFGFR1 ECDは、限定されないが、配列番号:1、2、3、及び4から選択されるアミノ酸配列を有するFGFR1 ECD断片を含む。
非限定的な例示的FGFR1 ECD断片は、(シグナルペプチドを有しない成熟型の第1のアミノ酸から数えて)アミノ酸339で終端するヒトFGFR1 ECDを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD断片は、(シグナルペプチドを有しない成熟型の第1のアミノ酸から数えて)アミノ酸339とアミノ酸360の間で終端する。例示的なFGFR1 ECD断片は、限定されないが、配列番号:3及び4から選択されるアミノ酸配列を有するFGFR1 ECDを含む。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:1から4から選択される配列を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECDは、配列番号:1から4から選択される配列からなる。FGFR1 ECDが、配列番号:1から4から選択される配列「からなる」場合、FGFR1 ECDは、グリコシル化及びシアリル化等の様々な翻訳後修飾を含んでも又は含まなくてもよい。換言すると、FGFR1 ECDが特定のアミノ酸配列からなる場合、近接するアミノ酸配列中に更なるアミノ酸を含まないが、アミノ酸側鎖、N末端アミノ基、及び/又はC末端カルボキシ基に対する修飾を含みうる。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、シグナルペプチドを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子は、シグナルペプチドを欠く。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子のFGFR1 ECD部分は、配列番号:1から4から選択される配列を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子のFGFR1 ECD部分は、配列番号:1から4から選択される配列からなる。FGFR1 ECD融合分子のFGFR1 ECD部分が、配列番号:1から4から選択される配列「からなる」場合、FGFR1 ECD融合分子のFGFR1 ECD部分は、グリコシル化及びシアリル化等の様々な翻訳後修飾を含んでも又は含まなくてもよい。換言すると、FGFR1 ECD融合分子のFGFR1 ECD部分が特定のアミノ酸配列からなる場合、近接するアミノ酸配列中にFGFR1由来の更なるアミノ酸を含まないが、アミノ酸側鎖、N末端アミノ基、及び/又はC末端カルボキシ基に対する修飾を含みうる。更に、FGFR1 ECDは融合分子に結合しているため、FGFR1 ECDのN末端及び/又はC末端に更なるアミノ酸が存在し得るが、それらのアミノ酸はFGFR1配列に由来するものではなく、例えば、リンカー配列又は融合パートナー配列に由来しうる。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD融合分子の融合パートナー部分は、Fc、アルブミン、及びポリエチレングリコールから選択される。非限定的な例示的融合パートナーはここで検討される。
融合パートナー及びコンジュゲート
ここで検討されるように、FGFR1 ECDは、少なくとも1つの融合パートナーと組み合わされてもよく、その結果としてFGFR1 ECD融合分子を生じる。これらの融合パートナーは、精製を促進し得、FGFR1 ECD融合分子は、インビボ半減期の増加を示しうる。FGFR1 ECDの好適な融合パートナーは、例えば、水溶性ポリマー等のポリマー、免疫グロブリンの定常ドメイン;ヒト血清アルブミン(HSA)の全部又は一部;フェチュインA;フェチュインB;ロイシンジッパードメイン;テトラネクチン三量体形成ドメイン;マンノース結合タンパク質(マンノース結合レクチンとしても知られる)、例えば、マンノース結合タンパク質1;及びここに記載され、また米国特許第6686179号に記載されているFc領域を含む。非限定的な例示的FGFR1 ECD融合分子は、例えば、米国特許第7678890号に見出すことができる。
FGFR1 ECD融合分子は、ポリアミノ酸又は分岐点アミノ酸をFGFR1 ECDに付着させることによって調製することができる。例えば、ポリアミノ酸は、(融合分子によって達成される利点に加えて)FGFR1 ECDの循環半減期を延長する役割を果たす担体タンパク質であってもよい。本発明の治療目的のために、このようなポリアミノ酸は、理想的には、中和抗原反応又は他の有害な反応を有しないか又は生じないものであるべきである。そのようなポリアミノ酸は、血清アルブミン(HSA等)、更なる抗体もしくはその一部、例えば、Fc領域、フェチュインA、フェチュインB、ロイシンジッパー核因子赤血球誘導体−2(NFE2)、神経網膜ロイシンジッパー、テトラネクチン、又は他のポリアミノ酸、例えば、リジンから選択されうる。ここに記載されるように、ポリアミノ酸の付着位置は、N末端もしくはC末端、又はその間の他の場所であってもよく、選択された分子に化学リンカー部分を介して連結されてもよい。
ポリマー
ポリマー、例えば、水溶性ポリマーは、生理学的環境において典型的に見出されるような水性環境において、FGFR1 ECD融合分子の沈殿を減少させるための融合パートナーとして有用でありうる。本発明において用いられるポリマーは、治療用の生成物又は組成物の調製に薬学的に許容されるものである。
好適な、臨床的に許容される水溶性ポリマーは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレインコポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマーの何れか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(POG)(例えば、グリセロール)及び他のポリオキシエチル化ポリオール、ポリオキシエチル化ソルビトール、又はポリオキシエチル化グルコース、コラン(colonic)酸又は他の炭水化物ポリマー、Ficoll、又はデキストラン、並びにこれらの混合物を含む。
ここで使用される場合、ポリエチレングリコール(PEG)は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきた形態の何れか、例えば、モノ−(C−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール等を包含することが意図される。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中におけるその安定性のために、製造において利点を有しうる。
ここで使用されるポリマー、例えば、水溶性ポリマーは、如何なる分子量であってもよく、分岐もしくは非分岐であってもよい。幾つかの実施態様では、ポリマーは、約2kDaから約100kDaの平均分子量を有する(「約」という用語は、ポリマーの調製中に、ある分子は記載の分子量よりも多く計量され、ある分子は少なく計量されることを示す)。各ポリマーの平均分子量は、約5kDaから約50kDa、又は約12kDaから約25kDaであってもよい。一般に、分子量が高いほど、又は分岐が多いほど、ポリマー:タンパク質の比率が大きい。所望の治療プロファイル、例えば、持続放出の期間、もしある場合には、生物活性に及ぼす影響、取り扱い易さ、抗原性の程度又は欠如、及びFGFR1 ECDに対するポリマーの他の既知の影響に依存して、他のサイズを用いることもできる。
本発明において用いられるポリマーは、典型的には、ポリペプチドの機能的又は抗原性ドメインに与える影響を考慮してFGFR1 ECDに付着される。一般に、化学的誘導体化は、タンパク質を活性化ポリマー分子と反応させるために使用される任意の好適な条件下で実施されうる。ポリマーを活性部分に連結するために使用されうる活性化基は、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン、及び5−ピリジルを含む。
本発明のポリマーは、典型的には、アミノ酸のアルファ(α)もしくはイプシロン(ε)アミノ基又は反応性チオール基が異種ポリペプチドに付着されるが、好適な反応条件下でポリマー基に付着するのに充分に反応性であるタンパク質の何れかの反応基にポリマー基が付着され得ることも考えられる。従って、ポリマーは、遊離アミノ基又はカルボキシル基等の反応基を介してFGFR1 ECDに共有結合されうる。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、リジン残基及びN末端アミノ酸残基を含みうる。遊離カルボキシル基を有する残基は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、及びC末端アミノ酸残基を含みうる。反応性チオール基を有するものはシステイン残基を含む。
ポリマー、例えば、水溶性ポリマーでコンジュゲートされた融合分子を調製するための方法は、それぞれ一般的に、(a)ポリペプチドが一又は複数のポリマーに付着する条件下でFGFR1 ECDをポリマーと反応させることと、(b)反応生成物を得ることとを含む。各コンジュゲーションの反応条件は、当該分野で知られているもの又は後に開発されるものの何れかから選択されうるが、修飾されるべきタンパク質を不活性化させる温度、溶媒、及びpHレベル等の反応条件への曝露は回避するか又は制限するように選択されるべきである。一般に、反応に最適な反応条件は、既知のパラメータ及び所望の結果に基づいて臨機応変に決定される。例えば、ポリマー:ポリペプチドコンジュゲートの比率が大きいほど、コンジュゲート産物の割合が大きくなる。(過剰な未反応ポリペプチド又はポリマーが存在しない反応効率という点で)最適な比率は、例えば、所望の誘導体化の程度(例えば、モノ−、ジ−、トリ−等)、選択されるポリマーの分子量、ポリマーが分岐又は非分岐であるかどうか、及び使用される反応条件等の要因によって、決定されうる。ポリペプチドに対するポリマー(例えば、PEG)の比率は、一般に1:1から100:1の範囲である。一又は複数の精製コンジュゲートを、とりわけ、透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、及び電気泳動を含む標準的な精製技術によって、各混合物から調製することができる。
N末端を化学修飾したFGFR1 ECDが特に所望される場合がある。分子量、分岐等、反応混合物中のFGFR1 ECD分子に対するポリマーの割合、実施される反応の種類、及び選択されたN末端を化学修飾したFGFR1 ECDを得る方法によって、ポリマーを選択することができる。N末端を化学修飾したFGFR1 ECD調製物を得る方法(必要ならば、他のモノ誘導体化部分からこの部分を分離する)は、化学修飾したタンパク質分子の集団からの、N末端を化学修飾したFGFR1 ECD材料の精製によるものであってもよい。
選択的なN末端化学修飾は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる種類の第1級アミノ基の異なる反応性(リジン対N末端)を利用した還元的アルキル化によって達成することができる。適切な反応条件下で、カルボニル基含有ポリマーを用いて、N末端のタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。例えば、タンパク質のリジン残基のε−アミノ基とN末端残基のα−アミノ基との間のpKaの差を利用することを可能にするpHで反応を実施することによって、タンパク質のN末端にポリマーを選択的に付着させることができる。このような選択的誘導体化によって、タンパク質へのポリマーの付着が制御される:タンパク質のN末端でポリマーとのコンジュゲーションが優勢的に起こり、リジン側鎖アミノ基等の他の反応基の著しい修飾が起こらない。還元的アルキル化を用いると、ポリマーは、上述の種類のものであってもよく、タンパク質へのカップリングのために単一の反応性アルデヒドを有するべきである。単一の反応性アルデヒドを含むポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドもまた使用されうる。
一実施態様では、本発明は、化学的に誘導体化したFGFR1 ECDがモノ−又はポリ−(例えば、2〜4個の)PEG部分を含むことを考慮する。ペグ化は、利用可能なペグ化反応の任意のものによって実施されうる。ペグ化したタンパク質産物を調製する方法は一般に(a)タンパク質が一又は複数のPEG基に付着する条件下で、ポリペプチドをポリエチレングリコール(PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体等)と反応させることと、(b)反応産物を得ることとを含む。一般に、最適な反応条件は、既知のパラメータ及び所望の結果に基づいて臨機応変に決定される。
当該技術分野において知られている多くのPEG付着方法が存在する。例えば、欧州特許出願公開第0401384号;Malik等, Exp. Hematol., 20:1028-1035 (1992);Francis, Focus on Growth Factors, 3(2):4-10 (1992);欧州特許出願公開第0154316号;欧州特許出願公開第0401384号;国際公開第92/16221号;国際公開第95/34326号;及びここで引用されるペグ化に関連する他の刊行物を参照のこと。
ペグ化は、例えば、反応性ポリエチレングリコール分子とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実施されうる。従って、本発明に係るタンパク質産物は、アシル基又はアルキル基を介してPEG基を付着させたペグ化タンパク質を含む。このような産物は、モノペグ化又はポリペグ化(例えば、2〜6もしくは2〜5個のPEG基を含むもの)されてもよい。PEG基は一般にアミノ酸のα−又はε−アミノ基でタンパク質に付着されるが、好適な反応条件下でPEG基に付着するのに充分に反応性であるタンパク質に付着した何れかのアミノ基にPEG基が付着されうることも考えられる。
アシル化によるペグ化は、一般に、ポリエチレングリコール(PEG)の活性エステル誘導体を、FGFR1 ECDと反応させることを含む。アシル化反応の場合、選択されるポリマーは、典型的には単一の反応性エステル基を有する。任意の既知の又は後に発見される反応性PEG分子を、ペグ化反応を実施するために使用することができる。適切な活性化PEGエステルの一例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)にエステル化したPEGである。ここで使用される場合、アシル化は、限定されないが、治療用タンパク質と、ポリマー、例えば、PEG:アミド、カルバメート、ウレタン等との間に次の種類の結合を含むことが考えられる(例えば、Chamow, Bioconjugate Chem., 5:133-140 (1994)を参照のこと)。反応条件は、現在知られている条件又は後に開発される条件の何れから選択されてもよいが、修飾されるべきポリペプチドを不活性化させる温度、溶媒、及びpH等の条件は回避するべきである。
アシル化によるペグ化は、一般にポリ−ペグ化タンパク質を生じる。連結する結合はアミドであってもよい。得られる生成物は、実質的に(例えば、>95%)モノ−、ジ−、又はトリ−ペグ化のみの場合がある。しかしながら、ペグ化の程度がより高い幾つかの種が、使用される特定の反応条件に応じた量で生成される場合がある。所望されるならば、更に精製されたペグ化種を、とりわけ、透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、及び電気泳動を含む標準的な精製技術によって、混合物(特に未反応種)から分離することができる。
アルキル化によるペグ化は、一般に還元剤の存在下でPEGの末端アルデヒド誘導体をポリペプチドと反応させることを含む。還元的アルキル化反応では、選択されるポリマーは、単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。例示的な反応性PEGアルデヒドは、水に安定性であるポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、又はそのモノC−C10アルコキシもしくはアリールオキシ誘導体である(例えば、米国特許第5252714号を参照のこと)。
マーカー
更に、本発明のFGFR1 ECDは、融合ポリペプチドの精製を促進するペプチド等のマーカー配列に融合されうる。マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(Qiagen, Mississauga, Ontario, Canada)中に提供されるタグ等のヘキサヒスチジンペプチドであってもよく、これらの多くは市販されている。Gentz等, Proc. Natl. Acad. Sci. 86:821-824 (1989)に記載されるように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製をもたらす。精製に有用な別のペプチドタグである赤血球凝集素(HA)タグは、インフルエンザHAタンパク質由来のエピトープに対応する。(Wilson等, Cell 37:767 (1984))。これらの上記融合体の何れも、ここに記載されるFGFR1 ECDを使用して遺伝子操作されうる。
オリゴマー化ドメイン融合パートナー
様々な実施態様では、オリゴマー化は、限定されないが、多価性、結合強度の増加、及び異なるドメインの組合せた機能を含む、幾つかの機能的利点を融合タンパク質に提供する。従って、幾つかの実施態様では、融合パートナーは、オリゴマー化ドメイン、例えば、二量体化ドメインを含む。例示的なオリゴマー化ドメインは、限定されないが、α−ヘリックスコイルドコイルドメインを含むコイルドコイルドメイン、コラーゲンドメイン、コラーゲン様ドメイン、及び所定の免疫グロブリンドメインを含む。例示的なコイルドコイルポリペプチド融合パートナーは、限定されないが、テトラネクチンコイルドコイルドメイン、軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質のコイルドコイルドメイン、アンジオポエチンコイルドコイルドメイン、及びロイシンジッパードメインを含む。例示的なコラーゲン又はコラーゲン様オリゴマー化ドメインは、限定されないが、コラーゲン中に見出されるもの、マンノース結合レクチン、肺サーファクタントタンパク質A及びD、アディポネクチン、フィコリン、コングルチニン、マクロファージスカベンジャー受容体、並びにエミリン(emilin)を含む。
抗体Fc免疫グロブリンドメイン融合パートナー
融合パートナーとして使用されうる多くのFcドメインが、当該技術分野において知られている。幾つかの実施態様では、融合パートナーはFc免疫グロブリンドメインである。Fc融合パートナーは、天然に生じる抗体に見出される野生型Fc、その変異体、又はその断片でありうる。非限定的な例示的Fc融合パートナーは、ヒトIgG、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4の、ヒンジ並びにCH2及びCH3定常ドメインを含むFcを含む。更なる例示的Fc融合パートナーは、限定されないが、ヒトIgA及びIgMを含む。幾つかの実施態様では、Fc融合パートナーは、例えば、IgG1中にC237S変異を含む(例えば、配列番号:8を参照)。幾つかの実施態様では、Fc融合パートナーは、米国特許第6900292号に記載されるように、P331S変異を有するヒトIgG2のヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む。所定の例示的なFcドメイン融合パートナーは、配列番号:8から10に示される。
アルブミン融合パートナー及びアルブミン結合分子融合パートナー
幾つかの実施態様では、融合パートナーはアルブミンである。例示的なアルブミンは、限定されないが、それらが融合されるポリペプチドの血清半減期又はバイオアベイラビリティを増加させることができるヒト血清アルブミン(HSA)及びHSAの断片を含む。幾つかの実施態様では、融合パートナーは、アルブミン結合分子、例えば、アルブミンに結合するペプチド又はアルブミンに結合する脂質又は他の分子とコンジュゲートする分子である。幾つかの実施態様では、HSAを含む融合分子は、例えば米国特許第6686179号に記載されているようにして調製される。
融合パートナーの例示的な付着
融合パートナーは、FGFR1 ECDのN末端又はC末端に共有結合的に又は非共有結合的に付着させることができる。付着は、例えば、アミノ酸側鎖(例えば、システイン、リジン、セリン、又はスレオニンの側鎖等)を介して、N末端又はC末端以外のFGFR1 ECD内の場所でも起こりうる。
共有結合的な付着又は非共有結合的な付着の何れかの実施態様では、融合パートナーとFGFR1 ECDとの間にリンカーが含まれてもよい。そのようなリンカーは、少なくとも一つのアミノ酸又は化学部分から構成されうる。融合パートナーをFGFR1 ECDに共有結合的に付着させる例示的な方法は、限定されないが、融合パートナーとFGFR1 ECDを単一のアミノ酸配列として翻訳すること、及び融合パートナーをFGFR1 ECDに化学的に付着させることを含む。融合パートナーとFGFR1 ECDが単一のアミノ酸配列として翻訳される場合、更なるアミノ酸が、融合パートナーとFGFR1 ECDとの間にリンカーとして含まれてもよい。幾つかの実施態様では、融合パートナー及び/又はFGFR1 ECDの単一発現コンストラクトへのクローニングを促進するために、リンカーは、それをコードするポリヌクレオチド配列に基づいて選択される(例えば、特定の制限酵素部位を含むポリヌクレオチドが、融合パートナーをコードするポリヌクレオチドとFGFR1 ECDをコードするポリヌクレオチドとの間に配されてもよく、制限酵素部位を含むポリヌクレオチドが、短いアミノ酸リンカー配列をコードする)。融合パートナーとFGFR1 ECDとが、化学的手段によって共有結合的にカップリングされる場合、典型的には、カップリング反応の間に様々なサイズのリンカーが含まれてもよい。
融合パートナーをFGFR1 ECDに非共有結合的に付着させる例示的な方法は、限定されないが、結合対を介した付着を含む。例示的な結合対は、限定されないが、ビオチン及びアビジン又はストレプトアビジン、抗体及びその抗原等を含む。
共翻訳修飾及び翻訳後修飾
本発明は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、又は抗体分子もしくは他の細胞リガンドへの結合によって、翻訳中又は翻訳後に差次的に修飾されるFGFR1 ECD及びFGFR1 ECD融合分子の投与を包含する。多くの化学的修飾の何れも、限定されないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼによる特異的な化学的切断;NABH;アセチル化;ホルミル化;酸化;還元;及び/又はチュニカマイシンの存在下における代謝合成を含む知られた技術によって実施することができる。
本発明に包含される更なる翻訳後修飾は、例えば、N結合又はO結合炭水化物鎖、N末端又はC末端終端のプロセシング、アミノ酸骨格への化学部分の付着、N結合又はO結合炭水化物鎖の化学修飾、及び原核生物宿主細胞の発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加又は欠失を含む。FGFR1 ECD及びFGFR1 ECD融合分子の様々な翻訳後修飾の非限定的な考察は、例えば米国特許第7678890号に見出すことができる。
FGFR1 ECD及びFGFR1 ECD融合分子の発現と産生ベクター
FGFR1 ECDをコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。また、FGFR1 ECD融合分子をコードするポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。そのようなベクターは、限定されないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等を含む。
幾つかの実施態様では、CHO又はCHO由来細胞におけるポリペプチドの発現に最適化されているベクターが選択される。例示的なこのようなベクターは、例えば、Running Deer等, Biotechnol. Prog. 20:880-889 (2004)に記載されている。
幾つかの実施態様では、ベクターは、ヒトを含む動物におけるFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子のインビボ発現のために選択される。幾つかのそのような実施態様では、ポリペプチドの発現は、組織特異的な様式で機能するプロモーターの制御下にある。例えば、肝臓特異的プロモーターは、例えば、PCT国際公開第2006/076288号に記載されている。様々な発現ベクターの非限定的な考察は、例えば米国特許第7678890号に見出すことができる。
宿主細胞
様々な実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子は、原核細胞、例えば、細菌細胞中で、又は真核細胞、例えば、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞中で発現させることができる。そのような発現は、例えば、当該技術分野において既知の手順に従って実施されうる。ポリペプチドを発現させるために使用することができる例示的な真核細胞は、限定されないが、COS7細胞を含むCOS細胞、293−6E細胞を含む293細胞、CHO−S及びDG44細胞を含むCHO細胞、並びにNSO細胞を含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対して所定の所望される翻訳後修飾を行う能力に基づいて、特定の真核生物宿主細胞が選択される。例えば、幾つかの実施態様では、CHO細胞が、293細胞で産生される同じポリペプチドよりもより高いレベルのシアリル化を有するFGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子を産生する。
所望の宿主細胞への核酸の導入は、限定されないが、リン酸カルシウム形質移入、DEAE−デキストラン媒介形質移入、カチオン性脂質媒介形質移入、電気穿孔、形質導入、感染等を含む、当該技術分野において既知の任意の方法によって達成することができる。非限定的な例示的方法は、例えば、Sambrook等, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3版 Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸は、当該技術分野において既知の方法に従って、所望の宿主細胞中に一過性に又は安定に形質移入することができる。宿主細胞及び宿主細胞中のポリペプチドの方法に関する非限定的な考察は、例えば米国特許第7678890号に見出すことができる。
幾つかの実施態様では、ポリペプチドは、当該技術分野において既知の方法に従って、遺伝子操作されたか又はポリペプチドをコードする核酸分子を形質移入した動物においてインビボで産生させることができる。
FGFR1 ECDポリペプチドの精製
FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子は、当該技術分野において既知の様々な方法によって精製することができる。そのような方法は、限定されないが、親和性マトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用を含む。好適な親和性リガンドは、FGFR1 ECD又は融合パートナーの任意のリガンドを含む。FGFR1に結合する抗体の場合の好適な親和性リガンドは、限定されないが、FGFR1自体及びその断片を含む。更に、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、又は抗体親和性カラムを使用してFc融合パートナーに結合させ、FGFR1 ECD融合分子を精製することもできる。また、FGFR1 ECDに対する抗体を使用してFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を精製してもよい。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチル又はフェニルカラムも、幾つかのポリペプチドを精製するのに好適である場合もある。ポリペプチドを精製する多くの方法が当該技術分野において知られている。ポリペプチドを精製する様々な方法の非限定的な考察は、例えば米国特許第7678890号に見出すことができる。
FGFR1 ECD及び/又はFGFR1 ECD融合分子の恩恵を受ける患者を特定する方法
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうるがんに罹患している患者を特定する方法が提供される。幾つかのそのような実施態様では、該方法は、対象から得られた試料中のがん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅を含むかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅は、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対するがんの治療反応性の指標である。幾つかの実施態様では、試料は、がんを有するか又は有することが疑われる患者から採取される。がん細胞の少なくとも一部におけるFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3遺伝子増幅、FGFR3過剰発現、FGF2過剰発現、及び/又はFGF2遺伝子増幅の発見は、がんを有するか又は有することが疑われる患者が、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法の恩恵を受けうることを示す。幾つかの実施態様では、患者は、肺がんを有するか又は有することが疑われる。
幾つかの実施態様では、該方法は、がん細胞の少なくとも一部が、対象から得られた試料中に、FGFR1、FGFR3(例えばFGFR3IIIc)、FGF2、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、又は少なくとも4種のマーカーの過剰発現を含むかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様では、過剰発現は、mRNAの過剰発現である。幾つかの実施態様では、過剰発現は、タンパク質の過剰発現である。幾つかの実施態様では、FGFR1、FGFR3(例えばFGFR3IIIc)、FGF2、DKK3、FGF18、及び/又はETV4の過剰発現は、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子に対するがんの治療反応性の指標である。幾つかの実施態様では、試料は、がんを有するか又は有することが疑われる患者から採取される。がん細胞の少なくとも一部におけるFGFR1、FGFR3(例えばFGFR3IIIc)、FGF2、DKK3、FGF18、及び/又はETV4の過剰発現の発見は、がんを有するか又は有することが疑われる患者が、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法の恩恵を受け得ることを示す。幾つかの実施態様では、FGFR1は、FGFR1IIIcである。幾つかの実施態様では、FGFR3は、FGFR3IIIcである。幾つかの実施態様では、患者は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、及びカルチノイドがんから選択されるがんを有するか又は有することが疑われる。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうるがんに罹患している乳がん患者を特定する方法は、乳がんがエストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性であるかどうかを判定することを含む。幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうるがんに罹患している乳がん患者を特定する方法は、乳がんがHER2陽性又はHER2陰性であるかどうかを判定することを含む。幾つかの実施態様では、方法はがんがp95HER2陽性であるかどうかを判定することを含む。
幾つかの実施態様では、FGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子の投与から恩恵を受けうるがんに罹患している卵巣がん患者を特定する方法は、卵巣がんがエストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性であるかどうかを判定することを含む。
幾つかの実施態様では、遺伝子増幅及び/又は発現は、研究施設によって決定される。研究施設は、病院の研究室又は病院とは独立した研究室でありうる。幾つかの実施態様では、遺伝子増幅及び/又は発現の決定後、判定の結果が医療従事者に伝えられる。幾つかのそのような実施態様では、患者がFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子療法の恩恵を受けるかどうか、又は該療法に反応を示すかどうかを判定する目的のために結果が伝えられる。幾つかの実施態様では、医療従事者は、限定されないが、医師、看護師、病院の管理者及びスタッフ等を含む。
遺伝子増幅を決定する任意の好適な方法が使用されうる。非限定的で例示的なそのような方法は、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH;例えば、Monni等 (2001) PNAS 98: 5711-5716を参照)、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、DNAマイクロアレイ(例えば、Carter等 (2007) Nat. Genet. 39: S16-21を参照)、スペクトル核型決定、(SKY;例えば、Liyanage等 (1996) Nat. Genet. 14: 312-5を参照)、リアルタイム定量PCR(例えば、Dhaene等 (2010) Methods 50: 262-270を参照)、サザンブロット法、並びに、限定されないが、ハイスループットシーケンシング(HTS;例えば、Medvedev等(2010) Genome Res. 20: 1613-22を参照)及び次世代シーケンシング技術、例えば、「全トランスクリプトームショットガンシーケンシング」(「WTSS」)とも称されるRNAシーケンス、Applied Biosystems SOLiDTMSystem、Illumina(Solexa)シーケンシング、イオン半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Helioscope(TM)単一分子シーケンシング、単一分子SMRT(TM)シーケンシング、単一分子リアルタイム(RNAP)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、VisiGen Biotechnologiesの手法、及び454ピロシーケンシングを含む配列決定を含む。
蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)は、染色体上の特定のDNA配列の有無を検出して位置を特定するための細胞遺伝学的技術である。幾つかの実施態様では、FISHは、蛍光プローブを使用して、配列特異的な様式で染色体上の所定の領域を検出する。従って、幾つかの実施態様では、FISHを使用してがんにおける遺伝子増幅を検出するために、幾つかの実施態様では、限定されないが、FGFR1遺伝子、FGFR3遺伝子、FGF2遺伝子、又はHER2遺伝子等の対象とする遺伝子に特異的に結合する蛍光プローブが開発される。幾つかのそのような実施態様では、この遺伝子特異的プローブをがん試料とハイブリダイズさせ、蛍光顕微鏡を使用して細胞当たりに存在する蛍光シグナルの数を数えることによりコピー数を決定する。通常の二倍体細胞の場合、遺伝子の大半はコピー数が2である(遺伝子が常染色体ではなく性染色体のうちの一つに存在する場合、又は細胞が分裂中でありゲノムが複製される場合を除く)。一つの細胞に2つより多いシグナルが検出された場合、所定の場合において、遺伝子が増幅している可能性がある。
がんにおける遺伝子増幅を評価するために二色FISHをまた使用することができる。幾つかの実施態様では、対象とする遺伝子が位置する染色体のセントロメア領域に結合する参照プローブをコントロールとして使用することができる。場合によっては、染色体のセントロメア(CEN)領域はゲノム的に安定であると考えられ、従って染色体全体を代表するものであると考えられる。従って、CENのコピー数は、幾つかの実施態様では、染色体の多染色体性(染色体のセントロメアが3コピー以上)に起因する遺伝子コピー数の増加と局所的な遺伝子増幅を区別するのに役立つ。幾つかの実施態様では、対象とする遺伝子プローブからのシグナル/セントロメアプローブからのシグナルの比率を計算することによって、遺伝子増幅を多染色体性と区別することができる。対象とする遺伝子が常染色体に位置する通常の二倍体細胞の場合、この比率は典型的には1である。幾つかの実施態様では、この比率が1より大きいことが遺伝子増幅の指標である。幾つかの実施態様では、セントロメアプローブの代わりに、又はそれに加えて、染色体の参照遺伝子に対するプローブを使用することができる(例えば、Tse等 (2011) J. Clin. Oncol. 29: 4168-74を参照)。幾つかの実施態様では、選択される参照遺伝子が第8染色体又は第4染色体上に存在する。幾つかの実施態様では、参照遺伝子は、第8染色体又は第4染色体のセントロメアの近くに位置する。幾つかの実施態様では、参照配列は、第8染色体又は第4染色体上に非コードDNAを含む。
幾つかの実施態様では、FISHは、限定されないが、増幅された遺伝子を含む細胞の画分、細胞の様々な亜集団内の増幅レベル、及び細胞内の増幅パターン(例えば、密集シグナル対複数の散乱シグナル)を含む、遺伝子増幅の複数のパラメータの決定を可能にする。幾つかの実施態様では、各がん細胞ごとに、セントロメア参照に対する対象となる遺伝子のコピー数の比率が決定される。幾つかのそのような実施態様では、特定の試料又は試料中の細胞のサブセットの平均比率がついで計算される。一般に平均比率が2より大きいことが遺伝子増幅を示すと考えられるのに対し、1.5から2のシグナルは、低レベルの増幅を示しうる。幾つかの実施態様では、参照コントロールプローブよりも多い対象とする遺伝子のコピー数を有する細胞は、増幅したと考えられる(例えば、Kobayashi等 (2002) Hum. Pathol. 33: 21-8;及びKunitomo等(2002) Pathol. Int. 52: 451-7を参照)。幾つかの実施態様では、染色体参照プローブコントロールを用いずに、単色FISHを使用して対象とする遺伝子のコピー数を決定する。幾つかのそのような実施態様では、1つの核当たりの遺伝子が4コピー以上であることは、遺伝子増幅であると考えられる(例えば、 Couturier等(2000) Mod. Pathol. 13: 1238-43;Jacobs等 (1999) J. Clin. Oncol. 17: 1974-82;Wang等 (2000) J. Clin. Pathol. 53: 374-81を参照)。
タンパク質発現(例えばFGFR1(FGFR1IIIcを含む)、FGFR3(FGFR3IIIcを含む)、FGF2、DKK3、FGF18、ETV4、ER、PR、及び/又はHER2発現)を決定する任意の好適な方法が使用されうる。所定の実施態様では、試料中のタンパク質の発現は、免疫組織化学(「IHC」)及び染色プロトコルを使用して検査される。組織片の免疫組織化学的染色は、試料中のタンパク質の存在を評価又は検出する信頼できる方法であることが示されている。免疫組織化学技術は、一般に発色法又は蛍光法によって、細胞抗原をインサイツでプローブし可視化するために抗体を利用する。タンパク質発現を決定する非限定的な例示的方法はまたデキストラン被覆チャコール(DCC)又はリガンド結合アッセイ(LBA)、酵素免疫測定法(EIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、及びフローサイトメトリーを含む。
組織試料は、一般的な方法によって固定され(すなわち保存され)うる(例えば、 "Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology," 3版(1960) Lee G. Luna, HT (ASCP) 編者, The Blakston Division McGraw-Hill Book Company, New York; The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology (1994) Ulreka V. Mikel, Editor, Armed Forces Institute of Pathology, American Registry of Pathology, Washington, D.C.を参照)。当業者は、固定液の選択が、試料を組織学的に染色する目的又は別の分析目的によって決定されることを理解するであろう。当業者はまた、固定の長さは、組織試料のサイズ及び使用される固定液に依存することも理解するであろう。例として、中性緩衝ホルマリン、Bouin固定液又はパラホルムアルデヒドが試料を固定するために使用されうる。
一般に、試料を最初に固定し、ついで、上昇アルコール系列で脱水し、組織試料が切断されうるようにパラフィン又は他の切片化媒体に浸潤させ、包埋する。あるいは、組織を切片化し、得られた切片を固定してもよい。例として、組織試料を一般的な方法によってパラフィンに包埋して処理してもよい(例えば、上掲の"Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology"を参照)。使用されうるパラフィンの例は、限定されないが、Paraplast、Broloid、及びTissuemayを含む。組織試料を包埋してから、該試料をミクロトーム等により切片化することができる(例えば、上掲の"Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology"を参照)。この手順の例として、切片は、約3ミクロンから約5ミクロンの範囲の厚みを有しうる。切片化してから、幾つかの標準的な方法により切片をスライドに付着させることができる。スライド接着剤の例は、限定されないが、シラン、ゼラチン、ポリ−L−リジン等を含む。例として、パラフィン包埋切片は、正電荷を帯びたスライド及び/又はポリ−L−リジンで被覆したスライドに付着させることができる。
パラフィンが包埋材料として使用される場合、組織片は、一般に脱パラフィンして水に再水和させる。組織片は、幾つかの一般的な標準的方法によって脱パラフィンすることができる。例えば、キシレン及び段階的な下降アルコール系列が使用されうる(例えば上掲の"Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology"を参照)。あるいは、Hemo−De7(CMS, Houston, Tex.)等の市販の脱パラフィン化非有機剤が使用されてもよい。
幾つかの実施態様では、試料の調製後、IHCを使用して組織片を分析することができる。IHCは、形態学的染色及び/又は蛍光インサイツハイブリダイゼーション等の更なる技術と組合せて実施されてもよい。直接アッセイ及び間接アッセイの2種の一般的なIHC法が利用可能である。第1のアッセイによると、標的抗原に対する抗体の結合が直接決定される。この直接アッセイは、抗体を更に相互作用させることなく可視化することができる蛍光タグ又は酵素標識一次抗体等の標識化試薬を使用する。典型的な間接アッセイでは、コンジュゲートしていない一次抗体が抗原に結合し、ついで、標識された二次抗体が一次抗体に結合する。二次抗体が酵素標識にコンジュゲートする場合、抗原の可視化をもたらすために発色性基質又は蛍光発生基質が加えられる。幾つかの二次抗体が一次抗体上の異なるエピトープと反応しうるため、シグナルの増幅が起こる。
免疫組織化学に使用される一次及び/又は二次抗体は、典型的には、検出可能な部分で標識される。多数の標識が利用可能であり、一般に次のカテゴリーに分類することができる:(a)放射性同位体、例えば、35S、14C、125I、H、及び131I。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, Coligen等編 Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubs. (1991)に記載される技術を使用して放射性同位体で標識することができ、放射性は、シンチレーション測定を使用して測定することができる。(b)コロイド金粒子。(c)限定されないが、希土類キレート(ユウロピウムキレート)、テキサスレッド、ローダミン、フルオレセイン、ダンシル、リサミン、ウンベリフェロン、フィコクリセリン、フィコシアニン、又は市販の蛍光団、例えば、SPECTRUM ORANGE7及びSPECTRUM GREEN7、並びに/又は上記のうちの何れか一又は複数の誘導体を含む、蛍光標識。蛍光標識は、例えば、上記のCurrent Protocols in Immunologyに開示される技術を用いて抗体にコンジュゲートさせることができる。蛍光は、蛍光光度計を使用して定量化することができる。(d)様々な酵素基質標識が利用可能であり、米国特許第4275149号は、これらのうちの幾つかに関する考察を提供する。酵素は、一般に、様々な技術を使用して測定することができる、発色性基質の化学的変化を触媒する。例えば、酵素は、基質における色の変化を触媒することができ、それは、分光測光法で測定することができる。あるいは、酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変化させることができる。蛍光の変化を定量化するための技術は上に記載されている。化学発光基質は、化学反応によって電気的に励起され、ついで、(例えば、ケミルミノメーターを用いて)測定することができる光を放出しうるか、又は蛍光受容体にエネルギーを付与する。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸脱水素酵素、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質酸化酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環式オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等を含む。酵素を抗体にコンジュゲートさせる技術は、O'Sullivan等, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym. (J. Langone及びH. Van Vunakis編), Academic press, New York, 73:147-166 (1981)に記載されている。
酵素−基質の組合せの例は、例えば、(i)色素前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する水素ペルオキシダーゼを基質とする西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、(ii)パラ−ニトロフェニルリン酸を発色性基質とするアルカリホスファターゼ(AP)、及び(iii)発色性基質(例えば、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)又は蛍光発生基質(例えば、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼ)を有するβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)を含む。
多数の他の酵素−基質の組合せが当業者に利用可能である。これらの概説については、米国特許第4275149号及び同第4318980号を参照のこと。しばしば、標識は、抗体と間接的にコンジュゲートされる。当業者は、これを達成するための様々な技術を認識するであろう。例えば、抗体は、ビオチンとコンジュゲートさせることができ、上述した4つの広義のカテゴリーの標識の何れもアビジンとコンジュゲートさせることができるか、又はその逆もしかりである。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、よって、この間接的な様式で標識を抗体とコンジュゲートさせることができる。あるいは、抗体と標識との間接的なコンジュゲーションを達成するために、抗体を小ハプテンとコンジュゲートさせ、上述の異なる種類の標識のうちの一つを抗ハプテン抗体とコンジュゲートさせる。このようにして、抗体と標識との間接的なコンジュゲーションを達成することができる。
上で考察された試料調製手順とは別に、IHCの前、間、又は後の、更なる組織片の処理が望ましい場合がある。例えば、クエン酸緩衝液中で組織試料を加熱する等のエピトープ回収方法が実施されうる(例えば、Leong等 Appl. Immunohistochem. 4(3):201 (1996)を参照)。
任意選択的なブロッキング工程の後、一次抗体が組織試料中の標的タンパク質抗原に結合するように、十分な時間及び好適な条件下で組織片を一次抗体に曝露する。これを達成するための適切な条件は、日常的実験により決定することができる。試料に対する抗体の結合の程度は、上で考察された検出可能な標識のうちの何れか一つを使用して決定される。幾つかの実施態様では、標識は、3,3'−ジアミノベンジジン発色体等の発色性基質の化学的変化を触媒する酵素標識(例えば、HRPO)である。一実施態様では、酵素標識は、一次抗体に特異的に結合する抗体にコンジュゲートされる(例えば、一次抗体はウサギポリクローナル抗体であり、二次抗体はヤギ抗ウサギ抗体である)。
このようにして調製された検体を、マウントしてカバースリップで覆うことができる。ついで、例えば顕微鏡を使用してスライドの評価を行い、当該技術分野で日常的に使用される染色強度基準を用いてもよい。
幾つかの実施態様では、IHCが用いられる場合、細胞又は細胞の集合がタンパク質を過剰発現しているかどうかを判定するために段階的染色システムが使用される。例えば、幾つかの実施態様では、無染色(0)、1+、2+、及び3+の4段階システムが使用され、1+、2+、及び3+は、それぞれ増加する染色レベルを示す。幾つかのそのような実施態様では、タンパク質の過剰発現を示すために1+超、2+超、又は3+超を用いてもよい。非限定的な例として、IHCアッセイにおいて特定の細胞型が典型的にタンパク質に対する染色を示さない場合、そのIHCアッセイにおける何れの染色(すなわち、1+、2+、又は3+)も、タンパク質の過剰発現を示しうる。更なる非限定的な例として、IHCアッセイにおいて特定の細胞型が典型的にタンパク質に対する染色をほとんど又は全く示さない場合、そのIHCアッセイにおける1+より高い何れの染色(すなわち、2+又は3+)も、タンパク質の過剰発現を示しうる。当業者は、特定のIHCアッセイ(特定の抗体を含む)、細胞型等に応じて、タンパク質の過剰発現を示す染色レベルを決定することができる。
幾つかの実施態様では、乳がんはIHCに従ってHER2陽性又はHER2陰性として特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、乳がんは、IHC細胞膜染色強度が0又は1+である場合にHER2陰性として特徴付けられる。幾つかの実施態様では、乳がんは、IHC細胞膜染色強度が3+である場合にHER2陽性として特徴付けられる。幾つかの実施態様では、乳がんのHER2状態はIHC細胞膜染色強度が2+であるとき不確か(多義的)である。IHCによる不確かなHER2状態の幾つかの実施態様では、HER2遺伝子が増幅されているかどうかを判定するためにHER2 FISHアッセイが使用される。幾つかのそのような実施態様では、HER2遺伝子が増幅されていれば、乳がんはHER2陽性であると考えられる。
がんがHER2過剰発現及び/又は増幅を含むかどうか(つまり、がんが「HER2陽性」であるかどうか)を決定する非限定的な例示的方法は、例えば国際公開第99/31140号;米国特許出願公開第2003/0170234A1号;米国特許出願公開第2003/0147884号;国際公開第01/89566号;米国特許出願公開第2002/0064785号;米国特許出願公開第2003/0134344号;米国特許第6573043号;米国特許第6905830号;及び米国特許出願公開第2003/0152987号に記載されている。
幾つかの実施態様では、エストロゲン受容体(ER)及び/又はプロゲステロン受容体(PR)の状態は、あらゆる目的に対してその全体が出典明示によりここに援用される、American Society of Clinical Oncology / College of American Pathologists Guideline Recommendations for Immunohistochemical Testing of Estrogen and Progesterone Receptors in Breast Cancer, J. Clin. Oncol., 2010, 28: 2784-2795 (「ガイドライン」)に従って決定される。推奨は、腫瘍細胞核の≧1%が対応するIHCアッセイにおいて免疫反応性であるとき、乳がんはER陽性又はPR陽性と考えるべきであり、腫瘍細胞核の<1%が対応IHCアッセイにおいて免疫反応性であるときはER陰性又はPR陰性と考えるべきであることを示している。
mRNAの過剰発現を決定する任意の好適な方法が使用されうる。細胞中のmRNAを評価するための方法は周知であり、例えば、相補的なDNAプローブ(例えば標的mRNAに特異的な標識リボプローブを使用するインサイツハイブリダイゼーション、ノーザンブロット法、及び関連する技術)を使用するハイブリダイゼーションアッセイ、並びに様々な核酸増幅アッセイ(例えば、標的mRNAに特異的な相補的プライマー(又は標的mRNAから逆転写されたcDNA)を使用するRT−PCR、及び他の増幅型検出法、例えば、分岐DNA、SISBA、TMA等)を含む。
哺乳動物からの組織又は細胞試料は、ノーザン、ドットブロット法、又はPCR分析を使用して、mRNAについて簡便にアッセイされうる。例えば、定量PCRアッセイ等のRT−PCRアッセイが、当該技術分野で周知である。幾つかの実施態様では、mRNAの発現レベルは、リアルタイムqRT−PCRを使用して定量化されるレベルである。本発明の幾つかの実施態様では、生体試料中の標的mRNAを検出するための方法は、少なくとも一つのプライマーを用いて、逆転写により試料からcDNAを生成することと、標的ポリヌクレオチドをセンス及びアンチセンスプライマーとして使用して、そのように生成されたcDNAを増幅し、その中の標的cDNAを増幅することと、増幅された標的cDNAの存在を検出することとを含む。更に、そのような方法は、生体試料中の標的mRNAのレベルの決定を可能にする一又は複数の工程を含みうる(例えば、アクチンファミリーのメンバー等の「ハウスキーピング」遺伝子の比較コントロールmRNA配列のレベルを同時に調べることによる)。任意選択的に、増幅された標的cDNAの配列を決定することができる。
本発明の任意選択的な方法は、マイクロアレイ技術によって組織又は細胞試料中の標的mRNA等のmRNAを検査又は検出するプロトコルを含む。核酸マイクロアレイを使用して、試験及びコントロール組織試料からの試験及びコントロールmRNA試料を逆転写し、標識してcDNAプローブを作製する。ついで、固体支持体に固定された核酸のアレイにプローブをハイブリダイズさせる。アレイは、アレイの各メンバーの配列及び位置が分かるように構成される。特定のアレイメンバーを有する標識プローブのハイブリダイゼーションは、プローブが由来する試料がその遺伝子を発現することを示す。疾患組織の差次的遺伝子発現分析は貴重な情報を提供しうる。マイクロアレイ技術は、核酸ハイブリダイゼーション技術及びコンピューティング技術を用いて、単一の実験において数千個の遺伝子のmRNA発現プロファイルを評価する。(例えば、2001年10月11日に公開された国際公開第01/75166を参照;(アレイの製造に関する考察については、例えば、米国特許第5700637号、米国特許第5445934号及び米国特許第5807522号、Lockart, Nature Biotechnology, 14:1675-1680 (1996);Cheung, V. G.等, Nature Genetics 21(Suppl):15-19 (1999)を参照)。DNAマイクロアレイは、ガラスもしくは他の基体上に直接合成され又はスポットされた遺伝子断片を含む小型アレイである。通常、数千個の遺伝子が単一のアレイ内に提示される。典型的なマイクロアレイ実験は次の工程を含む:1)試料から単離されたRNA由来の蛍光標識標的の調製、2)標識標的のマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、3)アレイの洗浄、染色、及び走査、4)走査画像の解析、並びに5)遺伝子発現プロファイルの作成。現在、オリゴヌクレオチド(通常、25塩基長〜70塩基長)アレイと、cDNAから調製されるPCR産物を含む遺伝子発現アレイの、2つの主な種類のDNAマイクロアレイが用いられている。アレイを形成する際には、オリゴヌクレオチドを事前に作製して表面にスポットするか、又は表面上で直接合成する(インサイツ)ことができる。幾つかの実施態様では、DNAマイクロアレイは、一塩基多型(SNP)マイクロアレイ、例えば、Affymetrix(登録商標)SNP Array6.0である。
Affymetrix GeneChip(登録商標)システムは、ガラス表面上のオリゴヌクレオチドの直接合成によって製造されるアレイを含む市販のマイクロアレイシステムである。プローブ/遺伝子アレイ:オリゴヌクレオチド(通常、25塩基長)が、半導体ベースのフォトリソグラフィー及び固相化学合成技術の組合せによって、ガラスウエハ上に直接合成される。各アレイは、最高で400000個の異なるオリゴを含み、各オリゴは数百万個のコピーで存在する。オリゴヌクレオチドプローブがアレイ上の既知の場所で合成されるので、Affymetrix Microarray Suiteソフトウェアによって、ハイブリダイゼーションパターン及びシグナル強度を遺伝子同一性及び相対発現レベルの観点で解釈することができる。各遺伝子は、一連の異なるオリゴヌクレオチドプローブによってアレイ上に提示される。各プローブ対は、完全にマッチしたオリゴヌクレオチド及びミスマッチしたオリゴヌクレオチドからなる。完全マッチプローブは、特定の遺伝子に正確に相補的な配列を有し、よって遺伝子の発現の尺度となる。ミスマッチプローブは、中心の塩基位置の単一の塩基置換によって完全マッチプローブとは異なり、標的遺伝子転写物の結合を妨げる。これは、バックグラウンド、及び完全マッチオリゴについて測定されるシグナルに寄与する非特異的なハイブリダイゼーションを決定するのに役立つ。Microarray Suiteソフトウェアは、ミスマッチプローブのハイブリダイゼーション強度を完全マッチプローブのそれらから差し引いて、各プローブセットの絶対的又は特異的強度値を決定する。プローブは、Genbank及び他のヌクレオチドリポジトリからの最新情報に基づいて選択される。配列は、遺伝子の3'末端の特有の領域を認識すると考えられる。GeneChip Hybridization Oven(「回転式」オーブン)は、一度に最高64個のアレイのハイブリダイゼーションを実施するために使用される。流体工学ステーションは、プローブアレイの洗浄及び染色を実施する。これは、完全に自動化されており、各モジュールが一つのプローブアレイを保持する4つのモジュールを含む。各モジュールは、プログラムされた流体工学プロトコルを使用して、Microarray Suiteソフトウェアによって独立して制御される。スキャナは、プローブアレイに結合した標識cRNAによって放射される蛍光強度を測定する共焦点レーザー蛍光スキャナである。Microarray Suiteソフトウェアを備えたコンピュータワークステーションは、流体工学ステーション及びスキャナを制御する。Microarray Suiteソフトウェアは、プローブアレイに対して予めプログラムされたハイブリダイゼーション、洗浄、染色プロトコルを使用して、最高で8つの流体工学ステーションを制御することができる。このソフトウェアはまた、ハイブリダイゼーション強度データを獲得し、適切なアルゴリズムを使用してデータを各遺伝子の存在/非存在コールに変換する。最後に、該ソフトウェアは、比較分析によって実験間の遺伝子発現の変化を検出し、出力をテキストファイルにフォーマットし、これを更なるデータ分析のために他のソフトウェアプログラムと共に用いることができる。
以下に検討される実施例は、純粋に本発明の例示であることを意図するものであって、決して本発明を限定するものであると見なされるべきではない。実施例は、以下の実験が、実施された全ての又は唯一の実験であることを表すことを意図しているものではない。上に提供された一般的説明に鑑みて、様々な他の実施態様が実施されうることが理解される。
使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを確保するための努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
実施例1から6において、FGFR1−ECD.339−Fcの投薬量は、EC=1.42mL/mg*cmを使用して計算されている。表1を参照。
実施例1:FGFR1遺伝子増幅を伴う所定の肺がん異種移植モデルは、所定の非FGFR1遺伝子増幅肺がん異種移植モデルよりも、FGFR1−ECD.339−Fc媒介性増殖阻害に対してより感受性であった
FGFR1−ECD.339−Fcが腫瘍増殖に与える影響を、FGFR1遺伝子増幅肺がん異種移植モデルと非増幅肺がん異種移植モデルとの間で比較した。この実験で調べたFGFR1増幅を伴う肺がん細胞株は次の通りであった:DMS53(SCLC,1細胞当たり5コピーのFGFR1遺伝子)、DMS114(SCLC,1細胞当たり10コピーのFGFR1遺伝子)、NCI−H1518(NSCLC,1細胞当たり6コピーのFGFR1遺伝子)、及びNCI−H520(NSCLC,1細胞当たり8コピーのFGFR1遺伝子)。この実験で調べたFGFR1増幅を伴わない肺がん細胞株は次の通りであった:A549、NCI−H460、NCI−H226、NCI−H2126、NCI−H441、NCI−H358、NCI−H522、及びColo699。非増幅細胞株をATTC(Manassas, VA)から購入し、供給者の指示に従って培養した。非FGFR1遺伝子増幅細胞株を使用した肺がん異種移植モデルを次の通りに実施した。6週齢のメスSCIDマウスをCharles River Laboratories(Wilmington, MA)から購入し、試験の開始前に1週間順化させた。肺がん細胞株を85〜90%コンフルエンスに達するまで培養した。細胞を採取し、50%マトリゲルを含む、Ca2+及びMg2+を含まない冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1ミリリットル当たり5×10細胞で再懸濁させた。マウスの右側腹部に、5×10細胞/100μl/マウスで細胞を皮下移植した。細胞移植後1日目に、マウスを分別及び無作為化し(n=10)、以下に記載の通りに処置を開始した。
FGFR1増幅を伴わない肺がんの患者由来の異種移植片(PDX)モデルのパネルもまたFGFR1−ECD.339−Fcに対する感受性について調べた。PDX異種移植片は、インビトロ組織培養を行わずに、がん患者からヌードマウスに直接移植した。腫瘍異種移植片は、組織構造及び抗がん剤に対する感受性を含む患者の親腫瘍の特徴のほとんどを保持する。調べた肺PDXモデルは次の通りであった:PDX D35087、PDX D37638、PDX D35376、LXFL−430、LXFE−937、LXFE−397、LXFA−737、及びLXFA−629。調べた肺PDXに関する予備的な病理及び患者の特徴を表2に要約する。
Figure 2016526016
6週齢のメスSCIDマウスをCharles River Laboratories(Wilmington, MA)から購入し、試験の開始前に1週間順化させた。PDX腫瘍断片は、ドナーSCIDマウスの連続継代における異種移植片から得た。ドナーマウスから腫瘍を除去した後、それらを断片(直径1〜2mm、約25mgs)に切断し、皮下移植までRPMI1640培養培地に配した。イソフルランの吸入によりレシピエントマウスを麻酔した。鈍鉗子を用いて小さなポケットを形成し、一塊の腫瘍PDXをそのポケットに入れた。dermabond接着剤を使用して創傷を閉鎖し、切開部に一滴のブピバカインを用いた。PDX移植後1日目に、マウスを分別及び無作為化し(n=10)、以下に記載されるように処理を開始した。
FGFR1−ECD.339−FcをPBS中3mg/mlで配合し、移植したPDX腫瘍の増殖速度に応じて、15mg/kg(300μg/100μlマウス)を週2回、4〜8週間腹腔内(i.p.)投与した。ヒトアルブミンをGrifols USA(Los Angeles, CA;カタログ番号NDC 61953−0002−1)から購入し、0.9%塩化ナトリウムで作業液(3mg/ml)に希釈し、300μg/100μl/マウス(15mg/kg)で陰性コントロールとして使用し、移植したPDX腫瘍の増殖速度に応じて週2回、4〜8週間投与した。
腫瘍細胞接種の日から11、18、25、32、39、及び46日目に、各マウスにおいて腫瘍サイズを測定した。ノギスを使用して各腫瘍の長さ及び幅を測定し、以下の式に従って腫瘍サイズを算出した。
腫瘍サイズ(mm)=(幅(mm)×長さ(mm))/2
皮下腫瘍体積が2000mmを超えるか、又は腫瘍が過剰に壊死性になったときに、「がんによる死亡」としてマウスを安楽死させた。
FGFR1−ECD.339−Fcによる腫瘍増殖阻害率は、アルブミンコントロールと比較した、FGFR1−ECD.339−Fcで処理した異種移植片増殖曲線の曲線下面積(AUC)分析によって決定した。図1は、この分析の結果の散布図を示す。FGFR1遺伝子増幅を伴う肺がん異種移植片は、FGFR1−ECD.339−Fcで処理した場合、平均で56%の腫瘍増殖の減少を示した。比較すると、FGFR1遺伝子増幅を伴わない肺がん異種移植片は、FGFR1−ECD.339−Fcで処理した場合、対象と比較して平均で22%の異種移植片増殖の減少を示した。FGFR1遺伝子増幅肺がん異種移植モデルと非増幅肺がん異種移植モデルとの間に見られた、FGFR1−ECD.339−Fc媒介性の異種移植片の阻害における差は、統計的に有意であった(P=0.0333)。
従って、FGFR1遺伝子増幅腫瘍細胞は、非増幅FGFR1遺伝子を伴う腫瘍細胞よりもFGFR1−ECD.339−Fcの投与に対する感受性が高いことが分かった。
実施例2:FGFR1遺伝子増幅肺がん細胞株及び非増幅肺がん細胞株並びに異種移植片におけるFGFR1の過剰発現
RNAレベルでのFGFR1の発現を、FGFR1遺伝子増幅及び非増幅肺がん細胞株、異種移植モデル、及びPDXモデル間で比較した。この実験で調べたFGFR1増幅を伴う肺がん細胞株は次の通りであった:DMS53(SCLC,1細胞当たり5コピーのFGFR1遺伝子)、DMS114(SCLC,1細胞当たり10コピーのFGFR1遺伝子)、NCI−H1518(NSCLC,1細胞当たり6コピーのFGFR1遺伝子)、及びNCI−H520(NSCLC,1細胞当たり8コピーのFGFR1遺伝子)。この実験で調べたFGFR1遺伝子増幅を伴わない肺がん細胞株は次の通りであった:A549、NCI−H460、NCI−H226、NCI−H2126、NCI−H441、NCI−H358、NCI−H522、MSTO−211H、及びColo699。非増幅細胞株をATTC(Manassas, VA)から購入し、供給者の指示に従って培養した。FGFR1遺伝子増幅を伴わない肺がんの患者由来異種移植片(PDX)モデルのパネルも、FGFR1 mRNAの発現について調べた。調べた肺PDXモデルは次の通りであった:PDX D35087、PDX D37638、PDX D35376、LXFL−430、LXFE−937、LXFE−397、LXFA−737、及びLXFA−629。調べた肺PDXに関する予備的な病理及び患者の特徴は、上の表2に要約されている。
RNAeasy(登録商標)Mini Kit(カタログ番号74104、Qiagen, Germany)を使用して、インビトロで増殖させた細胞株、又はインビボで増殖させた腫瘍異種移植片からRNAを抽出した。QuantiTect Reverse Transcription Kit(カタログ番号205311、Qiagen, Germany)を使用したランダム六量体プライミング及び逆転写酵素によりcDNAを作製する前に、抽出したRNAをDNAse Iで処理した。ヒトFGFR1 RNAの発現は、FGFR1 QuantiTect Primer Assay(Hs_FGFR1_1_SG、カタログ番号QT00102837,Qiagen, Germany)、及びヒトGUSB対照参照QuantiTect Primer Assay(Hs_GUSB_1_SG、カタログ番号QT00046046、Qiagen, Germany)を用いて決定した。QuantiTect SYBR Green PCR Kits(カタログ番号204145、Qiagen, Germany)は、リアルタイムqRT−PCR及びABI Prism ViiATM 7 Real−Time PCR System((Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いてmRNA発現レベルを定量化するために使用した。遺伝子発現の相対定量は、基準物質としてのヒトGUSB及び市販のRNAコントロール(Stratagene, La Jolla, CA)を使用して、比較Ct法に従って算出した。相対定量は、次の式に従って決定した:2−(ΔCt sample−ΔCt calibrator)
GUSBに対して正規化したFGFR1 RNAの発現を、FGFR1遺伝子増幅を伴う及び伴わない肺がん細胞株(図2)と異種移植モデル(図4)との間で比較した。
図2は、FGFR1遺伝子増幅を伴う及び伴わない細胞株におけるFGFR1 RNAの発現の散布図を示す。FGFR1遺伝子増幅を伴う肺がん細胞株は、FGFR1遺伝子増幅を伴わない細胞株と比較して、FGFR1 mRNAの発現に統計的に有意な増加(P=0.0114)を示す。図2はまた、肺がん細胞株の亜集団が、FGFR1遺伝子増幅の非存在下で高いFGFR1 mRNAの発現を有することも示している。GUSBに対して正規化した1.48のFGFR1の遺伝子発現を有するNCI−H226、及びGUSBに対して正規化した1.26のFGFR1の遺伝子発現を有するNCI−H522は、非増幅肺がん細胞株集団における最も高い2つの外れ値の点を表す。
NCI−H226及びNCI−H522はまた、FGFR1−ECD.339−Fcに対してインビトロ感受性を示し、それぞれトリチウム標識チミジン([3H]−TdR)取込みアッセイ及びCellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega, Madison, WI)を使用すると細胞増殖及び細胞数の減少を示した。図3Aは、NCI−H226細胞株のCellTiter−Glo(登録商標)アッセイの結果を示しており、FGFR1増幅を有しないNCI−H226細胞株におけるFGFR1−ECD.339−Fcのインキュベーションにより細胞数が有意に減少したことを示している(*はP=>0.05を示す)。P値は、独立t検定を使用して決定した。例えば、Mathematical Statistics and Data Analysis, 1988, Wadsworth & Brooks, Pacific Grove, CAを参照のこと。
図3Bは、NCI−H226細胞株のトリチウム標識チミジン取込みアッセイの結果を示しており、FGFR1遺伝子増幅を有しないNCI−H226細胞株におけるFGFR1−ECD.339−Fcのインキュベーションにより細胞数が有意に減少したことを示している(はP=>0.05を示す)。P値は、独立t検定を使用して決定した。コントロールECD Fcは、NCI−H226の細胞増殖にほとんど又は全く影響を与えなかった。
従って、FGFR1遺伝子増幅は有しないがFGFR1の過剰発現を有する所定の肺がん細胞株は、FGFR1−ECD.339−Fc処理に対して感受性を示す。
図4は、FGFR1遺伝子増幅肺がん異種移植片を非増幅肺がん異種移植片と比較した、FGFR1 mRNAの発現の散布図を示す。FGFR1遺伝子増幅を伴う異種移植モデルは、非増幅細胞株と比較して、FGFR1 RNAレベルに統計的に有意な増加(P=0.0146)を示した。更に、インビトロのデータと一致して、肺がん異種移植モデルの亜集団は、FGFR1遺伝子増幅の非存在下で高いFGFR1 RNAの発現を有する。異種移植モデルNCI−H226、NCI−H522、及びPDX D35087は、非増幅肺モデルにおけるFGFR1 RNA発現の3つの外れ値の点を表し(図4)、GUSBに対して正規化した遺伝子発現レベルは、それぞれ、3.70、3.75、及び4.30であった。
NCI−H226、NCI−H522、及びPDX D35087はまた、FGFR1−ECD.339−Fcに対してインビボ感受性を示し、FGFR1−ECD.339−Fcで処理すると、腫瘍増殖においてそれぞれ、55、42、及び57%の統計的に有意な減少を示した(P<0.05)。PDX D35087の場合、実験は実質的に実施例1に記載されるようにして実施した。
PDX D35087移植の日から26、35、41、及び45日目に、各マウスにおいて腫瘍サイズを測定した。ノギスを使用して各腫瘍の長さ及び幅を測定し、以下の式に従って腫瘍サイズを算出した。
腫瘍サイズ(mm)=(幅(mm)×長さ(mm))/2
図5はこの実験の結果を示す。FGFR1−ECD.339−Fcを投与されたマウスは、アルブミン処理動物と比較して腫瘍増殖の阻害を示した。45日目のFGFR1−ECD.339−Fc処理群とビヒクル処理群とのPDX 35087腫瘍体積の比較から、この結果が統計的に有意であることが示された(P<0.01)。P値は、ANOVA解析を使用して算出した。例えば、Mathematical Statistics and Data Analysis, 1988, Wadsworth & Brooks, Pacific Grove, CAを参照のこと。この解析により、FGFR1−ECD.339−Fcが、FGFR1遺伝子の増幅は有しないが比較的高いレベルのFGFR1 mRNAを発現するPDX肺腫瘍モデルD35087において腫瘍増殖を有意に減少させたことが実証された。
従って、FGFR1遺伝子増幅は有しないがFGFR1の過剰発現を有する特定の肺がん異種移植モデルは、FGFR1−ECD.339−Fc処理に対して感受性を示す。
実施例3:FGFR1−ECD.339−Fcによる反応の予測因子
FGFリガンド、FGF受容体、FGF結合タンパク質、FGFシグナル伝達分子、及び一群の血管新生関連標的を含むFGFR1関連遺伝子のパネルのRNA発現を、一組の35個の腫瘍細胞株及び異種移植片においてqRT−PCRを使用して決定した。RNAeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen, Germany)を使用して、インビトロで増殖させた細胞株又はインビボで増殖させた腫瘍異種移植片からRNAを抽出した。QuantiTect Reverse Transcription Kit(Qiagen, Germany)を使用したランダム六量体プライミング及び逆転写酵素によりcDNAを作製する前に、抽出したRNAをDNAse Iで処理した。ヒト及びマウスRNAの発現は、ヒトGUSBコントロール参照QuantiTect Primer Assay(Qiagen, Germany)を利用して、QuantiTect Primer Assays(Qiagen, Germany)を用いて決定した。QuantiTect SYBR Green PCR Kit(Qiagen, Germany)は、リアルタイムqRT−PCR及びABI Prism ViiATM 7 Real−Time PCR System(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いてmRNA発現レベルを定量化するために使用した。遺伝子発現の相対定量は、基準物質としてのヒトGUSB及び市販のRNAコントロール(Stratagene, La Jolla, CA)を使用して、比較Ct法に従って算出した。相対定量は、次の式に従って決定した:2−(ΔCt sample−ΔCt calibrator)
この実験で使用された腫瘍細胞株及び異種移植片を表3に示す。また、マウス異種移植モデルにおけるFGFR1−ECD.339−Fcの投与計画、腫瘍増殖阻害率(TGI(%))、及び腫瘍増殖阻害の統計的有意性(P値)、並びに細胞株においてFGFR1遺伝子が増幅しているかどうかも表3に示す。
Figure 2016526016
例示的な異種移植片実験は次の通りである。Caki−1及びMSTO−211Hの場合、SCIDマウス(1群当たりN=10)の右側腹部に500万個の細胞を皮下移植した。FGFR1−ECD.339−Fc又はアルブミンを表3に示される用量で週2回腹腔内投与した。図8は、選択された異種移植モデルにおけるFGFR1−ECD.339−Fcの抗腫瘍活性を示す。腎がんCaki−1(A)及び中皮腫MSTO−211H(B)の異種移植片がんモデルの代表的な腫瘍増殖曲線を示す。腎細胞がん(RCC)Caki−1モデルにおいて、10mg/kgのFGFR1−ECD.339−Fcを週2回、6週間投与した結果、81%(P<0.001)の腫瘍増殖阻害が生じた(TGI;図8A)。MSTO−211H中皮腫モデルでは、FGFR1−ECD.339−Fcの投与により腫瘍増殖が64%(P<0.0001)減少した(図8B)。対応する腫瘍において、曲線下面積(AUC)分析によって評価したところ、FGFR1−ECD.339−Fcは腫瘍体積を有意に減少させた。調べたモデルの19/35(54%)に、25〜96%の範囲の阻害を伴う反応が観察された(表3を参照)。
異種移植モデルをFGFR1−ECD.339−Fcによる処理に対して感受性にする潜在的な分子決定因子を更に理解するために、表3中の特定の異種移植モデルにおいて、FGFリガンド、FGF受容体、FGF結合タンパク質、及びFGFシグナル伝達分子を含む遺伝子のパネルのRNA発現をqRT−PCRを用いて調べた。
ついで、遺伝子発現をFGFR1−ECD.339−Fcによる反応と相関させ、抗腫瘍活性と正に及び負に相関するRNAの発現特性を決定した。表4は、その分析の結果を示す。FGF2に加えて、FGF18のRNA発現(P=0.02227)も、FGFR1−ECD.339−Fcの抗腫瘍活性と正に相関(6.9倍)していた。FGFの下流標的遺伝子であるets変異体4(ETV4)は、FGFR1−ECD.339−Fcの活性との正の関連(2.897倍)に関する最も有意な遺伝子(P=0.01639)であった。FGFR1IIIcスプライス変異体(P=0.01603)を含むFGFR1の発現(P=0.01276)は、FGFR1−ECD.339−Fcによる反応の正の予測因子であった。FGFR1IIIbスプライス変異体の発現は、その実験ではFGFR1−ECD.339−Fcによる反応と相関していなかった。FGFR1に加えてFGFR3IIIc受容体の発現(P=0.02488)も、FGFR1−ECD.339−Fcによる反応と正に相関しており、FGFR1及びFGFR3受容体のIIIc−スプライシングアイソフォーム間のFGFリガンド結合親和性における潜在的な重複を反映している。FGFR1−ECD.339−Fcの活性と負の関連を有する有意な遺伝子は、この分析では見つからなかった。
Figure 2016526016
FGFR1−遺伝子増幅の非存在下で何のRNA要因が肺異種移植片の反応を決定し得るかを決定するために、肺モデルの非FGFR1増幅サブセットにおけるFGFR1−ECD.339−Fcによる反応の相関を調べた(N=13)。その分析の結果を表5に示す。FGF2の発現は、反応性対非反応性のFGFR1非増幅肺モデルにおいて、3000倍を超えて上方制御された(P=0.029)。FGFR1IIIc及びFGFR3IIIcの発現も、この実験の非FGFR1増幅肺サブセットにおいてFGFR1−ECD.339−Fcによる反応を伴う正の傾向を示した。
Figure 2016526016
全てのモデルにおいてFGFR1−ECD.339−Fcによる反応と関連すると同定された重要な遺伝子マーカー間に遺伝子発現における相関が存在するかどうかを調べた。その分析の結果を表6に示す。この実験では、FGFR1−ECD.339−Fc異種移植片反応の予測因子として同定された大部分の個々のRNAマーカー間に、有意な正の相関が存在していた。例えば、異種移植片FGF2のRNA発現は、FGFR3IIIc、FGFR1IIIc、及びFGFR1の発現と正に相関しており(P<0.05)、FGFR1のRNA発現は、FGFR3IIIc、FGF2、及びFGF18と正に相関している。ETV4の発現は、他のFGFR1−ECD.339−Fc反応性遺伝子と関連していなかった。
Figure 2016526016
図6は、FGFR1−ECD.339−Fc応答者及び非応答者の異種移植片における(A)FGF2 mRNA(GUSBに対して正規化)及び(B)FGF2タンパク質の発現を示す。FGF2の発現(P=0.03569)は、FGFR1−ECD.339−Fcによる反応と正に関連していた。FGF2は、FGFR1−ECD.339−Fc応答者の異種移植片と非応答者の異種移植片との間で高い比率(247.7倍)のmRNA遺伝子発現を示した。FGF2タンパク質レベルも、FGFR1−ECD.339−Fcによる反応と相関していることが確認された。
図9は、FGFR1−ECD.339−Fc応答者及び非応答者の異種移植片における、(A)FGFR1 mRNAの発現(GUSBに対して正規化)及び(B)FGFR3IIIc mRNAの発現(GUSBに対して正規化)を示す。FGFR1(P=0.01669、図17a)、及びFGFR1IIIcスプライス変異体(P=0.0431、表4)の発現は、FGFR1−ECD.339−Fcの抗腫瘍活性と正に相関していた。FGFR1に加えて、FGFR3IIIc受容体の発現(P=0.01944、表4)も、FGFR1−ECD.339−Fcによる抗腫瘍反応と正に相関しており(図5b)、FGFR1及びFGFR3受容体のcスプライシングアイソフォーム間のFGFリガンド結合特異性における重複を反映している。(例えばZhang等 J. Biol. Chem. 281, 15694-15700 (2006);Ornitz等 J. Biol. Chem. 271, 15292-15297 (1996)を参照のこと)。
実施例4:FGFR1−ECD.339−Fcによる反応の予測因子
DKK3 mRNAの発現を、一組の25個の異種移植片においてqRT−PCRを用いて決定した。RNAeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen, Germany)を使用して、インビボで増殖させた腫瘍異種移植片からRNAを抽出した。QuantiTect Reverse Transcription Kit(Qiagen, Germany)を使用したランダム6量体プライミング及び逆転写酵素によりcDNAを作製する前に、抽出したRNAをDNAse Iで処理した。ヒトDKK3 RNAの発現は、ヒトGUSBコントロール参照QuantiTect Primer Assay(Qiagen, Germany)を利用して、QuantiTect Primer Assays(Qiagen, Germany)を用いて決定した。QuantiTect SYBR Green PCR Kit(Qiagen, Germany)は、リアルタイムqRT−PCR及びABI Prism ViiATM 7 Real−Time PCR System(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いてmRNA発現レベルを定量化するために使用した。遺伝子発現の相対定量は、基準物質としてのヒトGUSB及び市販のRNAコントロール(Stratagene, La Jolla, CA)を使用して、比較Ct法に従って算出した。相対定量は、次の式に従って決定した:2−(ΔCt sample−ΔCt calibrator)
この実験で使用した腫瘍異種移植片を表7に示す。また、マウス異種移植モデルにおけるFGFR1−ECD.339−Fcの投与計画、腫瘍増殖阻害率(TGI(%))、及び腫瘍増殖阻害の統計的有意性(P値)も表7に示す。
Figure 2016526016
ついで、遺伝子発現をFGFR1−ECD.339−Fcによる反応と相関させ、抗腫瘍活性と正に及び負に相関するRNAの発現特性を決定した。DKK3 mRNAの発現は、FGFR1−ECD.339−Fcに感受性を示さない腫瘍においてよりも、FGFR1−ECD.339−Fcに対して感受性を示す腫瘍において高かった(P=0.0069)。
図7は、FGFR1−ECD.339−Fc応答者及び非応答者の異種移植片におけるDKK3 mRNAレベル(GUSBに対して正規化)を示す。水平線は、その群の発現レベルの中央値を示す。
実施例5:マトリゲルプラグアッセイにおけるFGF−2及びVEGF−Aによって誘導される血管新生のFGFR1−ECD.339−Fc媒介性阻害
組換えヒトFGF−2(最終濃度250ng/ml、Peprotech)及び/又は組換えヒトVEGF−A(最終濃度100ng/ml、Peprotech)を、ヘパリンナトリウム(2ユニット/ml、Sigma)を含むマトリゲル(BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)に加えた。マトリゲルプラグ(動物1匹当たり1つ)を含むFGF−2及び/又はVEGF−Aを、C57BL/6マウス(Charles River, Wilmington, MA)の腹部領域に皮下移植した。マトリゲル移植後1、4、及び7日目に、尾静脈注射によりFGFR1−ECD.339−Fcを投与した。9日目に、プラグを切除し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色のために処理した。Retiga 2000Rデジタルカメラ(QImaging, Burnaby, BC)を使用して、染色したマトリゲル切片のデジタル画像を作成した。Image−Pro Plus5.1(Media Cybernetics Inc., Silver Spring, MD)を使用して画像解析を行った。新血管新生を、新たに形成された血管及び遊走細胞からなる、マトリゲルにおける細胞応答として定義した。
その実験の結果を図10に示す。5mg/kg以上のFGFR1−ECD.339−Fcの投与は、FGF−2を含浸させたマトリゲルプラグによって誘導されたインビボ血管新生を完全にブロックした。15又は45mg/kgのFGFR1−ECD.339−Fcの投与も、VEGF−Aのみ又はFGF−2及びVEGF−Aを含浸させたマトリゲルプラグに反応したインビボ血管新生を完全にブロックした。SPR分析によって、FGFR1−ECD.339−FcはVEGF−Aと直接相互作用しないことが示されているため、このモデル系においてVEGFによって誘導される血管新生に対する抗血管新生活性は、プラグ中のVEGFとマウス由来間質FGFとの間の相乗活性の阻害を反映している可能性がある。
FGFR1−ECD.339−Fcが内皮細胞のVEGF誘導性増殖をブロックするかどうかを決定するために、HUVEC細胞(Life Technologies, Grand Island, NY)を4×10細胞/ウェルの密度で基本培地(Medium200(Life Technologies)2%の熱失活したFBSと共に)に播種し、10μg/mlのFGFR1−ECD.339−Fcの存在下又は非存在下で、10ng/mlのFGF2(R&D Systems, Minneapolis, MN)又は15ng/mlのVEGF−A165(R&D Systems, Minneapolis, MN)の何れかで刺激した。刺激後3日目に、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assayを用いてHUVEC細胞の増殖を測定した。
その実験の結果を図11に示す。FGFR1−ECD.339−Fcは、HUVECのVEGF誘導性増殖をブロックしなかったが、FGF−2によって誘導されるHUVECの増殖をブロックすることができる。
実施例6:JIMT−1乳がん異種移植モデルにおけるFGFR1シグナル伝達のFGFR1−ECD.339−Fc媒介性阻害
確立された(200mm3)ヒト乳がんJIMT−1腫瘍を有する動物に、単回(24及び72時間の時点)又は週3回(複数回投与)の何れかで、15mg/kgのFGFR1−ECD.339−Fcを腹腔内投与した。単回投与群の場合は投与後24及び72時間目に、複数回投与群では最終投与後48時間目に腫瘍試料を採取し、液体窒素中で瞬間凍結し、RIPA緩衝液(Sigma Aldrich, St Luis, MO)に溶解した。SDS−PAGEにより腫瘍溶解物を分離し、モノクローナル抗体FGFR1、pFGFR1、FRS2α、pFRS2α、Akt、pAkt、及びβActin(Cell Signaling Technology, Inc)を使用してウエスタンブロットを実施した。抗ヒトFcモノクローナル抗体(Jackson Immuno Research)を使用してFGFR1−ECD.339−Fcを検出した。
その実験の結果を図12に示す。FGFR1−ECD.339−Fcは、投与後24時間までにリン酸化されたFGFR1のレベルを減少させ、投与後72時間目までにはFGFR1のリン酸化が完全に消失した。投与後24時間目には、リン酸化されたFRS及びAktのレベルが減少し、2日後にはさらに減少した。従って、FGFR1−ECD.339−Fcは、JIMT−1乳がん異種移植モデルにおいてFGFR1のシグナル伝達を阻害した。
実施例7:ヒトにおける単剤としてFGFR1−ECD.339−Fcの安全性、認容性及び有効性を評価する研究
第1相(first-time-in-human)試験(治験FP1039−001)を完了した。試験には0.6mg/kgから20.5mg/kgのFGFR1−ECD.339−Fcの範囲(EC=1.11mL/mg*cmを使用して計算;EC=1.42mL/mg*cmを使用して計算した0.5mg/kgから16mg/kgのFGFR1−ECD.339−Fcと等価;表1参照)が投与された39の対象が登録された。FGF経路シグナル伝達への異常な依存を伴う悪性腫瘍を有する対象におけるFGFR1−ECD.339−Fcの抗がん活性を同定するために第Ib相試験が実施される。活性は、扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)及びFGFR1増幅などの調節が解除されたFGF経路シグナル伝達が存在する他の悪性腫瘍において探求される。FGFR1−ECD.339−Fc単独療法が、調節が解除されたFGFシグナル伝達経路、特にFGFリガンド及び/又は受容体の増幅又は過剰発現の存在下で抗腫瘍活性を示すことが予想される。
主な目的は、単剤としてのFGFR1−ECD.339−Fcの安全性及び認容性を特徴付け、その有効性と全奏効率(ORR)を評価することである。
患者の選択については、選定基準は、全ての選択できる標準的治療が使い果たされているか、又は標準的治療がない、調節が解除されたFGF経路シグナル伝達を伴う進行固形腫瘍の組織学的又は細胞学的に確定した診断を含む。更に、2より大きい第8セントロメアに対するFGFR1遺伝子コピー比率が必要とされる。
ステージIVの疾患に対して二種以上の先の(白金を含む化学療法レジメンを含む)全身療法の選択療法を受けた後に(放射線学的画像検査に基づく)腫瘍の進行が立証されている扁平上皮NSCLCの対象が登録されうる。例えば、TNM Classification of Malignant Tumors, 7版, Sobin等編, 2009;Edge等, 2010, Ann. Surg. Oncol., 17: 1471-1474を参照のこと。
アロマターゼ阻害剤療法中に疾患進行があるER陽性乳がんの対象はアロマターゼ阻害剤療法を継続することが許され、前立腺がんの対象は、臨床的に適切ならばGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストでの治療を続けることができ、カルチノイドがんの対象はオクトレオチドでの治療を続けることができる。
除外基準は、(前立腺がん、乳がんの抗がんホルモン療法又はカルチノイドがんのオクトレオチド療法を除く)先の4週間の間又は治療の4半減期内の何れか長い方の任意の抗がん療法(生物学的な抗がん療法に対してはここの更なる除外基準を参照)での治療、FGFR1−ECD.339−Fcの最初の投与の6週間以内に任意の生物学的療法を受けている場合、腹部穿孔又は瘻孔形成、症候性軟髄膜又は脳転移又は脊髄圧迫の可能性を増大させそうな条件を含む。
対象には20mg/kg(EC=1.11mL/mg*cmを使用して計算)の開始用量で週一回(1日目、8日目、及び15日目)30分の注入としてFGFR1−ECD.339−Fcが投与される。所定の状況では、対象には5mg/kg、10mg/kg、又は15mg/kgの開始用量でFGFR1−ECD.339−Fcが投与される。
実施例8:ヒトの非小細胞肺がんにおけるFGFR1−ECD.339−Fcプラス化学療法の安全性、認容性及び有効性を評価する研究
治療群A
パクリタキセル+カルボプラチンと組合わせたFGFR1−ECD.339−Fcに対する開始用量(用量レベル0)及び段階的増大/段階的減少スキーマを表8に示す。
Figure 2016526016
(TNM Classification of Malignant Tumors, 7版, Sobin等編, 2009;Edge等, 2010, Ann. Surg. Oncol., 17: 1471-1474に従って)ステージIVの扁平上皮非小細胞肺がんの少なくとも12名の対象;及び最大30名の対象を、安全性及び有効性を更に評価するための標的用量で登録する。新たに診断されたステージIVの疾患を有する対象に対する全身化学療法の開始が過度に遅延することを回避するために、対象を本試験のスクリーニングになお供しながら、化学療法の初回サイクルが開始されうる。FGFR1−ECD.339−Fcの初回用量は、化学療法の2サイクル目の1日目より遅く投与されるべきではない。
対象には、表8中に特定された投薬量で各21日サイクルで週一回(1日目、8日目、及び15日目)30分の注入としてFGFR1−ECD.339−Fcが投与される。FGFR1−ECD.339−Fcの注入後、化学療法剤の注入前の1時間は、対象を観察しなければならない。輸注反応がある場合、対象は、治験医師の裁量で制吐剤、ステロイド、又は抗ヒスタミン薬で治療されるべきであり、FGFR1−ECD.339−Fcの更なる注入の前に施設の基準に従って前投薬が考慮されるべきである。
対象は、施設の基準に従って、パクリタキセルとカルボプラチンに対して前処置を受け取ることになる。表8に記載された試験用量レベルに応じて、パクリタキセルが、各21日の治療サイクルの1日目に定速注入で3時間かけて静脈内に(又はその施設の臨床基準に従って)投与され、その直後に30から60分の定速注入として(又はその施設の臨床基準に従って)、AUC=6の標的最大AUCで算出された用量でカルボプラチンが静脈内投与される。合計4から6サイクルのパクリタキセル/カルボプラチンが施設の臨床実務に従って投与される。
カルボプラチンは、Calvertの式を使用して投与される(Calvert等, J Clin Oncol. 1989; 11:1748-56)。このアプローチは、対象の既存の腎機能又は腎機能及び所望される血小板最下点に基づいている数式を使用する。腎排泄はカルボプラチンの主要な排出経路である。その式は、Cr−EDTAクリアランスによって測定される糸球体濾過速度(mL/分でのGFR)と濃度対時間曲線下のカルボプラチン標的面積(mg/ml・分でのAUC)に基づいて用量を算出する。Calvertの式では、カルボプラチンの総投与量はmgで表され、mg/mではない:
総カルボプラチン投与量 (mg)=(標的AUC)×(GFR+25)
注:AUCベースのカルボプラチン投与量を計算するために上記Calvert式で使用されるGFRは125mL/分を超えてはならない。従って、最大カルボプラチン用量(mg)は標的AUC(mg/ml・分)に150mL/分を乗じたものに等しい。
最大カルボプラチン用量 (mg)=標的AUC (mg/ml・分) ×(150mL/分)
最大用量は、正常な腎機能を持つ患者に対して125mL/分を上限とするGFR推定値に基づく。より高いGFR推定値は使用されるべきではない。
標的AUC=6の場合、最大用量は、6×150=900mgである。
標的AUC=5の場合、最大用量は、5×150=750mgである。
標的AUC=4の場合、最大用量は、4×150=600mgである。
本試験において任意のコホートで探求された最大標的AUCはAUC=6である。従って、上記のCalvertの式を使用して、mgでの最大カルボプラチン用量は900mgを超えるべきではない。
Cockroft−Gault式(下記参照)を、クレアチニンクリアランス(CLCR)を計算するために使用することができ、これはCalvert式のGFRと置換可能である。
Figure 2016526016
更なる情報、パッケージング、調製及び投与情報は、カルボプラチンの処方情報(パラプラチンUSPI)に見出すことができる。
治療群B
ドセタキセルと組合わせたFGFR1−ECD.339−Fcに対する開始用量(用量レベル0)及び段階的増大/段階的減少スキーマを表9に示す。
Figure 2016526016
(TNM Classification of Malignant Tumors, 7版, Sobin等編, 2009;Edge等, 2010, Ann. Surg. Oncol., 17: 1471-1474に従って)ステージIVの扁平上皮非小細胞肺がんの少なくとも12名の対象;及び最大30名の対象を、安全性及び有効性を更に評価するための標的用量で登録する。
対象には、表9中に特定された投薬量で各21日サイクルで週一回(1日目、8日目、及び15日目)30分の注入としてFGFR1−ECD.339−Fcが投与される。FGFR1−ECD.339−Fcの注入後、化学療法剤の注入前の1時間は、対象を観察しなければならない。輸注反応がある場合、対象は、治験医師の裁量で制吐剤、ステロイド、又は抗ヒスタミン薬で治療されるべきであり、FGFR1−ECD.339−Fcの更なる注入の前に施設の基準に従って前投薬が考慮されるべきである。
治療群Bの対象は、施設の基準に従って、ドセタキセルに対して前処置を受け取ることになる。表9に記載された試験用量レベルに応じて、ドセタキセルが、各21日の治療サイクルの1日目に1時間かけて静脈内注入として(又はその施設の臨床基準に従って)投与される。対象は進行まで又は対象が最大の恩恵を受けたと判定されるまで治療される。更なる情報、パッケージング、調製及び投与情報は、製品添付文書(例えばUSパッケージ挿入物又は製品モノグラフ)を参照のこと。
配列表
表10はここで検討された所定の配列を列挙するものである。FGFR1配列は、別の記載がない限り、シグナルペプチドなしで示される。
Figure 2016526016
Figure 2016526016

Claims (47)

  1. 対象における乳がんを治療する方法において、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を該対象に投与することを含み、投与前に、乳がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3過剰発現、又はFGF2過剰発現を有しており;エストロゲン受容体(ER)陽性、又はプロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性であると判定されている、方法。
  2. 投与前に、がんがHER2陽性と判定されている、請求項1に記載の方法。
  3. 投与前に、がんがp95HER2陽性と判定されている、請求項2に記載の方法。
  4. 対象にトラスツズマブ又はラパチニブが以前に投与されたか、又は現在投与されている、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 投与前に、がんがHER2陰性と判定されている、請求項1に記載の方法。
  6. 乳がんがER陽性である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 乳がんがPR陽性である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
  8. 対象にアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 対象における前立腺がんを治療する方法において、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を該対象に投与することを含み、投与前に、前立腺がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3過剰発現、又はFGF2過剰発現を有しており;対象に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、GnRHアンタゴニスト、アンドロゲン受容体(AR)阻害剤、及び17−ヒドロキシラーゼ阻害剤から選択される治療剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている、方法。
  10. 対象にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はGnRHアンタゴニストが以前に投与されたか、又は現在投与されている、請求項9に記載の方法。
  11. 対象にGnRHアンタゴニストが以前に投与されたか、又は現在投与されている、請求項10に記載の方法。
  12. 対象におけるカルチノイドがんを治療する方法において、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を該対象に投与することを含み、投与前に、カルチノイドがん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3過剰発現、又はFGF2過剰発現を有しており、対象に、オクトレオチドが以前に投与されたか、又は現在投与されている、方法。
  13. 対象における卵巣がんを治療する方法において、治療有効量のFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を該対象に投与することを含み、投与前に、卵巣がん細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅、FGFR1過剰発現、FGFR3過剰発現、又はFGF2過剰発現を有しており、対象に、タモキシフェン又はアロマターゼ阻害剤が以前に投与されたか、又は現在投与されている、方法。
  14. 卵巣がんが、エストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン(PR)陽性、又はER陽性かつPR陽性である、請求項13に記載の方法。
  15. 対象における肺がんを治療する方法において、対象に少なくとも5mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子と少なくとも135mg/mのパクリタキセルと少なくともAUC4のカルボプラチンを投与することを含む、方法。
  16. 135mg/mのパクリタキセルから200mg/mのパクリタキセル、少なくとも175mg/mのパクリタキセル、175mg/mのパクリタキセルから200mg/mのパクリタキセル、又は200mg/mのパクリタキセルを投与することを含む、請求項15に記載の方法。
  17. AUC4のカルボプラチンからAUC6のカルボプラチン、少なくともAUC5のカルボプラチン、AUC5のカルボプラチンからAUC6のカルボプラチン、又はAUC6のカルボプラチンを投与することを含む、請求項15又は請求項16に記載の方法。
  18. 少なくとも5mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子と少なくとも40mg/mのドセタキセルを投与することを含む、対象における肺がんの治療方法。
  19. 40mg/mのドセタキセルから75mg/mのドセタキセル、少なくとも55mg/mのドセタキセル、55mg/mのドセタキセルから75mg/mのドセタキセル、又は75mg/mのドセタキセルを投与することを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 5mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、少なくとも10mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、10mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、少なくとも15mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、15mg/kgから20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子、又は20mg/kgのFGFR1 ECD又はFGFR1 ECD融合分子を投与することを含む、請求項15から19の何れか一項に記載の方法。
  21. がんが非小細胞肺がんである、請求項15から20の何れか一項に記載の方法。
  22. 非小細胞肺がんが扁平上皮非小細胞肺がんである、請求項21に記載の方法。
  23. がんの細胞の少なくとも一部がFGFR1遺伝子増幅を有している、請求項1から22の何れか一項に記載の方法。
  24. FGFR1遺伝子増幅を有するがんの細胞の少なくとも一部が少なくとも3コピーのFGFR1遺伝子を含む、請求項23に記載の方法。
  25. FGFR1遺伝子増幅を有するがんの細胞の少なくとも一部が、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、又は少なくとも8コピーのFGFR1遺伝子を含む、請求項24に記載の方法。
  26. FGFR1遺伝子増幅を有するがんの細胞の少なくとも一部が少なくとも1.5の第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率を有している、請求項23に記載の方法。
  27. 第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、又は少なくとも4である、請求項26に記載の方法。
  28. 第8染色体セントロメアに対するFGFR1遺伝子の比率が2より大きい、請求項26に記載の方法。
  29. FGFR1遺伝子増幅が、蛍光インサイツハイブリダイゼーション、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ、スペクトル核型決定、定量PCR、サザンブロット法、又は配列決定から選択される方法によって決定されている、請求項23から28の何れか一項に記載の方法。
  30. がんの細胞の少なくとも一部にFGFR1過剰発現がある、請求項1から29の何れか一項に記載の方法。
  31. FGFR1がFGFR1IIIcである、請求項30に記載の方法。
  32. がんの細胞の少なくとも一部にFGF2過剰発現がある、請求項1から31の何れか一項に記載の方法。
  33. がんの細胞の少なくとも一部にFGFR3過剰発現がある、請求項1から32の何れか一項に記載の方法。
  34. FGFR3がFGFR3IIIcである、請求項33に記載の方法。
  35. がんの細胞の少なくとも一部が、DKK3、FGF18、及びETV4から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、又は3種のマーカーを過剰発現する、請求項1から34の何れか一項に記載の方法。
  36. がんの細胞の少なくとも一部が、DKK3及びFGF18から選択される少なくとも1種又は2種のマーカーを過剰発現する、請求項1から35の何れか一項に記載の方法。
  37. がんの細胞の少なくとも一部が、ETV4を過剰発現する、請求項1から36の何れか一項に記載の方法。
  38. がんにFGFR1遺伝子増幅がない、請求項30から37の何れか一項に記載の方法。
  39. 過剰発現がタンパク質の過剰発現である、請求項30から38の何れか一項に記載の方法。
  40. タンパク質の過剰発現が、免疫組織化学を使用して決定される、請求項39に記載の方法。
  41. 過剰発現がmRNAの過剰発現である、請求項30から38の何れか一項に記載の方法。
  42. mRNAの過剰発現が、定量的RT−PCRを使用して決定される、請求項41に記載の方法。
  43. FGFR1 ECDを投与することを含む、請求項1から42の何れか一項に記載の方法。
  44. FGFR1 ECDが、配列番号:1から4から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の方法。
  45. FGFR1 ECD融合分子を投与することを含む、請求項1から42の何れか一項に記載の方法。
  46. FGFR1 ECD融合分子が、FGFR1 ECDと融合パートナーを含み、該融合パートナーがFcである、請求項45に記載の方法。
  47. FGFR1 ECD融合分子が、配列番号:5及び配列番号:6から選択される配列を含む、請求項46に記載の方法。
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