このような問題点を解消するために、放射素子を広帯域化し、1つのアンテナが2個の周波数帯域、例えば700MHz帯域と900MHz帯域、1.8GHz帯域と2.1GHz帯域を送受信することができるようにする方案を考慮することができる。
しかし、このようなマルチバンドを支援する広帯域放射素子を備えるアンテナは、それぞれのバンドに対するビームを制御することができないので、それぞれのサービスカーバレジを最適化することができない問題を有する。
したがって、本発明の目的は、マルチバンドを支援する広帯域放射素子でマルチバンドをサービスしながらビームチルトを行うことができるマルチバンドアンテナシステムを提供することにある。
本発明の他の目的は、ティー−ジャンクションを基盤とする弧(arc)タイプの位相可変器が有する問題点を解消することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、各出力ポート間の分離度を確保することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、位相可変量を増やしても、位相可変器のサイズ増加を最小化することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、広帯域化に対応することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、位相可変器の裏面に他のコンポネントを追加しても、コンポネントの固有特性に歪みが発生するか、または位相信号の歪みが発生することを抑制することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、アレイアンテナに適用しても、各輻射素子に供給される振幅と位相歪みの問題を解消することができるウィルキンスン分配器を利用した位相可変器を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの広帯域放射素子、分岐用フィルタ及び複数の位相可変器を含むマルチバンドアンテナシステムを提供する。ここで、前記少なくとも1つの広帯域放射素子は、マルチバンドを支援する。前記分岐用フィルタは、前記少なくとも1つの広帯域放射素子にそれぞれ連結され、マルチバンドに含まれたバンド別信号を分岐する。また、前記複数の位相可変器は、マルチバンドの数に対応するように設けられ、分岐されたバンド別信号を各バンドに合わせてビームチルトを行う。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記分岐用フィルタは、ダイプレクサー(diplexer)またはトリプレクサー(triplexer)であることができる。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記広帯域放射素子が2個のバンドを支援する場合、前記分岐用フィルタは、ダイプレクサーまたはトリプレクサーである。前記広帯域放射素子が3個のバンドを支援する場合、前記分岐用フィルタは、トリプレクサーである。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記広帯域放射素子が2個のバンドを支援する場合、前記位相可変器は、2個のバンドをそれぞれ支援する2個の位相可変器を含むことができる。前記広帯域放射素子が3個のバンドを支援する場合、前記位相可変器は、2個のバンドをそれぞれ支援する3個の位相可変器を含むことができる。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記位相可変器は、ベース基板と可変基板を含む。前記ベース基板は、入力ポートと複数の出力ポートが形成されており、前記入力ポートと前記複数の出力ポートをそれぞれ少なくとも1つのウィルキンスン分配器(Wilkinson divider)を介して連結する複数の第1伝送線路が不連続的に形成されている。前記可変基板は、前記複数の第1伝送線路にそれぞれ連結され、連続的な伝送線路を形成する複数の第2伝送線路が形成されており、前記ベース基板に結合されて移動し、前記入力ポートと前記複数の出力ポートの間の伝送線路の長さを可変する。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記ベース基板は、入力ポートと、複数の出力ポートとを備える。前記ベース基板は、前記入力ポートに連結された少なくとも1つのウィルキンスン分配器(Wilkinson divider)を含み、前記少なくとも1つのウィルキンスン分配器は、それぞれ2個の連結ポートを有する。前記ベース基板は、前記2個の連結ポートには、互いに対称するように一対の第1伝送線路が不連続的に形成されている。前記ベース基板は、前記第1伝送線路の端部にそれぞれ前記複数の出力ポートが連結される。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記可変基板は、前記ベース基板に移動可能に結合され、前記第1伝送線路に物理的に接触して不連続的に形成された第1伝送線路を連続的に連結する第2伝送線路が形成されており、移動によって前記第2伝送線路が前記第1伝送線路に重畳され、前記入力ポートと複数の出力ポートの間の伝送線路の長さを可変させる。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記ウィルキンスン分配器は、第1配線、2個の連結ポート及び抵抗器(resistor)を含むことができる。第1配線に信号が入力される。前記2個の連結ポートは、前記第1配線から2個に対称するように分岐された第2配線にそれぞれ形成される。また、前記抵抗器は、前記2個の連結ポートを連結する。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記ウィルキンスン分配器は、前記第1配線の分岐された地点を中心に前記2個の連結ポートが互いに近接するように位置し、互いに近接した前記2個の連結ポートを前記抵抗器で連結することができる。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記ベース基板は、1つのウィルキンスン分配器を含むことができる。この際、前記ウィルキンスン分配器は、前記入力ポートに前記第1配線が連結され、前記2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ前記一対の第1伝送線路が連結されることができる。
また、本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記ベース基板は、第1〜第3ウィルキンスン分配器を含むことができる。この際、前記第1ウィルキンスン分配器は、前記入力ポートに前記第1配線が連結され、前記2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ前記第2及び第3ウィルキンスン分配器の第1配線が連結される。前記第2ウィルキンスン分配器の2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ一対の第1−1伝送線路が連結される。また、前記第3ウィルキンスン分配器の2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ一対の第1−2伝送線路が連結される。
本発明は、ベース基板と可変基板を含むアンテナ用位相可変器を提供する。前記ベース基板は、入力ポートと複数の出力ポートが形成されており、前記入力ポートと前記複数の出力ポートをそれぞれ少なくとも1つのウィルキンスン分配器(Wilkinson divider)を介して連結する複数の第1伝送線路が不連続的に形成されている。前記可変基板は、前記複数の第1伝送線路にそれぞれ連結され、連続的な伝送線路を形成する複数の第2伝送線路が形成されており、前記ベース基板に結合されて移動し、前記入力ポートと前記複数の出力ポートの間の伝送線路の長さを可変する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板は、入力ポートと、複数の出力ポートとを備える。前記ベース基板は、前記入力ポートに連結された少なくとも1つのウィルキンスン分配器(Wilkinson divider)を含み、前記少なくとも1つのウィルキンスン分配器は、それぞれ2個の連結ポートを有する。前記ベース基板は、前記2個の連結ポートには、互いに対称するように一対の第1伝送線路が不連続的に形成されている。前記ベース基板は、前記第1伝送線路の端部にそれぞれ前記複数の出力ポートが連結される。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記可変基板は、前記ベース基板に移動可能に結合され、前記第1伝送線路に物理的に接触して不連続的に形成された第1伝送線路を連続的に連結する第2伝送線路が形成されており、移動によって前記第2伝送線路が前記第1伝送線路に重畳され、前記入力ポートと複数の出力ポートの間の伝送線路の長さを可変させる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ウィルキンスン分配器は、第1配線、2個の連結ポート及び抵抗器(resistor)を含むことができる。第1配線に信号が入力される。前記2個の連結ポートは、前記第1配線から2個に対称するように分岐された第2配線にそれぞれ形成される。また、前記抵抗器は、前記2個の連結ポートを連結する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ウィルキンスン分配器は、前記第1配線の分岐された地点を中心に前記2個の連結ポートが互いに近接するように位置し、互いに近接した前記2個の連結ポートを前記抵抗器で連結することができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板は、1つのウィルキンスン分配器を含むことができる。この際、前記ウィルキンスン分配器は、前記入力ポートに前記第1配線が連結され、前記2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ前記一対の第1伝送線路が連結されることができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板の第1伝送線路は、前記連結ポートから延長した第2配線に連結され、水平方向に延びている開始伝送線路と、前記開始伝送線路に平行に形成され、前記出力ポートに連結される終了伝送線路とを含む。この際、前記第2伝送線路は、連結されない前記開始伝送線路と前記終了伝送線路を連結し、前記開始伝送線路及び終了伝送線路と重畳される部分を有する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板の第1伝送線路は、前記開始伝送線路と前記終了伝送線路との間に少なくとも1つが形成され、“コ(Uを左に90度回転させた形態)”形態を有する連結伝送線路をさらに含むことができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記第2伝送線路は、不連続的に形成された前記第1伝送線路を連結するように“左右反転コ(Uを右に90度回転させた形態)”形態を有する少なくても1つの重畳伝送線路を含み、前記連結伝送線路の数がn個(nは0以上の整数)であるとき、前記重畳伝送線路は、(n+1)個とすることができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器は、前記ベース基板に対して前記可変基板を前記開始伝送線路が形成された方向に平行な直線方向に移動させる移動部材をさらに含むことができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記移動部材は、前記ベース基板に形成され、回転可能に設置される回転軸と、前記可変基板に設置される移動軸と、前記回転軸と移動軸を連結し、外部で作用する力によって前記回転軸を中心に前記移動軸を直線方向に移動させる移動バーとを含むことができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記移動軸は、前記ベース基板に水平方向に形成された開始伝送線路に平行に形成されたガイド孔と、前記ガイド孔に対応する前記可変基板に形成された孔を連結するように設置されることができる。前記移動バーの駆動によって前記ガイド孔に沿って前記移動軸が直線移動することが可能である。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記移動部材は、前記移動軸から離隔し、前記可変基板に設置されるダミー軸をさらに含むことができる。この際、前記ダミー軸は、前記ガイド孔に平行に前記ベース基板に水平方向に形成されたダミーガイド孔と、前記ダミーガイド孔に対応する前記可変基板に形成された孔を連結するように設置される。前記移動バーの駆動によって前記ダミーガイド孔に沿って前記ダミー軸が前記移動軸とともに直線移動する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板は、第1〜第3ウィルキンスン分配器を含むことができる。この際、前記第1ウィルキンスン分配器は、前記入力ポートに前記第1配線が連結され、前記2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ前記第2及び第3ウィルキンスン分配器の第1配線が連結される。前記第2ウィルキンスン分配器の2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ一対の第1−1伝送線路が連結される。また、前記第3ウィルキンスン分配器の2個の連結ポートから延長した第2配線にそれぞれ一対の第1−2伝送線路が連結される。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記可変基板は、第1可変基板と第2可変基板を含むことができる。前記第1可変基板は、前記第2ウィルキンスン分配器に連結される第2−1伝送線路が形成される。前記第2可変基板は、前記第1可変基板から分離されており、前記第2−1伝送線路と対称するように配置され、前記第3ウィルキンスン分配器に連結される第2−2伝送線路が形成される。この際、前記第2伝送線路は、前記第2−1伝送線路と前記第2−2伝送線路を含む。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板は、前記第1ウィルキンスン分配器を中心に両側に対向するように第2及び第3ウィルキンスン分配器が形成される。前記ベース基板は、前記第1ウィルキンスン分配器の2個の第1連結ポートが形成された方向を中心に一方に前記第2ウィルキンスン分配器の2個の第2連結ポートが形成され、他方に前記第3ウィルキンスン分配器の2個の第3連結ポートが形成されることができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板の第1−1伝送線路は、前記第2連結ポートから延長した第2配線に連結され、水平方向に延びている第1開始伝送線路と、前記第1開始伝送線路に平行に形成され、前記第1出力ポートに連結される第1終了伝送線路とを含むことができる。この際、前記第2−1伝送線路は、連結されない前記第1開始伝送線路と前記第1終了伝送線路を連結し、前記第1開始伝送線路及び第1終了伝送線路と重畳される部分を有する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板の第1−2伝送線路は、前記第3連結ポートから延長した第2配線に連結され、水平方向に延びている第2開始伝送線路と、前記第2開始伝送線路に平行に形成され、前記第2出力ポートに連結される第2終了伝送線路とを含むことができる。この際、前記第2−2伝送線路は、連結されない前記第2開始伝送線路と前記第2終了伝送線路を連結し、前記第2開始伝送線路及び第2終了伝送線路と重畳される部分を有する。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記ベース基板の第1−1伝送線路は、前記第1開始伝送線路と第1終了伝送線路の間に少なくとも1つが形成され、“コ”形態を有する第1連結伝送線路をさらに含むことができる。
また、前記ベース基板の第1−2伝送線路は、前記第2開始伝送線路と第2終了伝送線路の間に少なくとも1つが形成され、“コ”形態を有する第2連結伝送線路をさらに含むことができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記第2−1伝送線路は、不連続的に連結された前記第1−1伝送線路を連結するように、“左右反転コ”形態を有し、少なくとも1つの第1重畳伝送線路を含み、前記第1連結伝送線路の数がn個(nは0以上の整数)であるとき、前記第1重畳伝送線路は、(n+1)個とすることができる。
また、前記第2−2伝送線路は、不連続的に連結された前記第1−2伝送線路を連結するように“左右反転コ”形態を有し、少なくとも1つの第2重畳伝送線路を含み、前記第2連結伝送線路の数がn個であるとき、前記第2重畳伝送線路は、(n+1)個とすることができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器は、前記ベース基板に対して前記第1及び第2可変基板を前記第1開始伝送線路が形成された方向に平行な直線方向に移動させ、且つ前記第1及び第2可変基板を互いに反対される方向に移動させる移動部材をさらに含むことができる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記移動部材は、回転軸、第1移動軸、第2移動軸及び移動バーを含むことができる。前記回転軸は、前記ベース基板に形成され、回転可能に設置される。前記第1移動軸は、前記第1可変基板に設置される。前記第2移動軸は、前記第2可変基板に設置される。また、前記移動バーは、前記回転軸、第1及び第2移動軸を連結し、外部で作用する力によって前記回転軸を中心に前記第1及び第2移動軸を互いに反対される直線方向に移動させる。
本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記回転軸、第1移動軸及び第2移動軸は、同一線上に位置し、前記回転軸を中心に前記第1及び第2移動軸の間の距離が互いに異なっている。
また、本発明によるアンテナ用位相可変器において、前記第1移動軸は、前記ベース基板に水平方向に形成された第1開始伝送線路に平行に形成された第1ガイド孔と、前記第1ガイド孔に対応する前記第1可変基板に形成された第1孔を連結するように設置することができる。
また、前記第2移動軸は、前記ベース基板に水平方向に形成された第2開始伝送線路に平行に形成された第2ガイド孔と、前記第2ガイド孔に対応する前記第2可変基板に形成された第2孔を連結するように設置されることができる。
また、前記移動バーの駆動によって前記第1及び第2ガイド孔に沿って前記第1及び第2移動軸が互いに反対される方向に直線移動する。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムは、マルチバンドを支援する広帯域放射素子で送受信されるバンド別信号を分岐用フィルタを介して分岐し、分岐したバンド別信号を位相可変器を用いて各バンドに合わせてビームチルトを行うことによって、それぞれのサービスカーバレジを最適化することができる。
また、本発明によるマルチバンドアンテナシステムは、マルチバンドのサービスのために各バンド別アンテナを置局する必要がないため、アンテナの置局回数を減らすことができる利点がある。
本発明による位相可変器は、ウィルキンスン分配器を利用して入力ポートと複数の出力ポートを連結するので、ティー−ジャンクションを基盤とする弧タイプの位相可変器が有する問題点を解消することができる。すなわち位相可変器は、ウィルキンスン分配器を利用するので、各出力ポート間の分離度を確保することができる。
また、本発明による位相可変器は、位相可変量を増やすために、第1及び第2伝送線路の横及び縦の長さだけを増加させてもよいので、位相可変量を増やしても、サイズ増加を最小化することができる。
また、本発明による位相可変器は、ウィルキンスン分配器を利用して出力ポート間の分離度を確保することができるので、各帯域別に位相可変器に別に設置する必要がないため、広帯域化に対応することができる。
また、本発明による位相可変器は、ウィルキンスン分配器を利用して出力ポート間の分離度を確保することができるので、位相可変器の裏面に他のコンポネントを追加しても、コンポネントの固有特性に歪みが発生するか、または位相信号の歪みが発生することを抑制することができる。
また、本発明による位相可変器は、ウィルキンスン分配器を利用して出力ポート間の分離度を確保することができるので、アレイアンテナに適用しても、各輻射素子に供給される振幅と位相歪み問題を解消することができる。
下記の説明では、本発明の実施形態を理解するのに必要な部分だけが説明され、その他の部分の説明は、本発明の要旨を不明にしないように省略されることに留意しなければならない。
以下で説明される本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならないし、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念として適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術的思想に符合する意味や概念として解釈しなければならない。したがって、本明細書に記載した実施形態と図面に示された構成は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステムを示すブロック図である。
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステム100は、広帯域放射素子10、分岐用フィルタ20及び複数の位相可変器30を含む。この際、広帯域放射素子10はマルチバンドを支援する放射素子である。分岐用フィルタ20は、広帯域放射素子10に連結され、マルチバンドに含まれたバンド別信号を分岐する。また、複数の位相可変器30は、マルチバンドの数に対応するように設けられ、分岐されたバンド別信号を各バンドに合わせてビームチルトを行う。
以下では、このような第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステム100について具体的に説明する。
広帯域放射素子10が支援するマルチバンドは、2個以上の帯域を含む。バンドは、特定バンドで送受信を区分する帯域を意味するものではなく、サービス事業者別サービス帯域を意味する。例えばバンドは、800MHz帯域、900MHz帯域、1.8GHz帯域、2.1GHz帯域、2.3GHz帯域を含み、マルチバンドは、前述した帯域のうち2個以上の帯域を含むことを意味する。この際、広帯域放射素子10は、2個または3個のサービス帯域を支援することができる。
分岐用フィルタ20は、広帯域放射素子10が支援するマルチバンドに含まれたバンド別信号を分岐する。分岐用フィルタ20としては、ダイプレクサー(diplexer)またはトリプレクサー(triplexer)が使用されることができる。例えば、広帯域放射素子10が2個のバンドを支援する場合、分岐用フィルタ20としては、ダイプレクサーまたはトリプレクサーが使用されることができる。広帯域放射素子10が3個のバンドを支援する場合、分岐用フィルタ20としては、トリプレクサーを使用することができる。
このような分岐用フィルタ20は、広帯域放射素子10が反射板の前面に設置されると仮定すれば、反射板の裏面に設置することができる。
この際、ダイプレクサーは、2個の回路(位相可変器)から別に出る信号を相互影響を及ぼすことなく、1つの回路(広帯域放射素子)に伝達するか、または1つの回路(広帯域放射素子)から出る信号を相互影響を及ぼすことなく、2個の回路(位相可変器)に伝達する装置である。このようなダイプレクサーは、主に周波数が異なる2個の信号を同時に送受信するために使用される分岐用フィルタを意味する。ダイプレクサーは、周波数の差異が明確な2個の信号を帯域分離だけをしてもよいので、一般的に低い周波数信号が通過する低域通過フィルタ(LBF;Low Band Filter)と高い周波数信号が通過する高域通過フィルタ(HBF;High Band Filter)を結合させた簡単な構造となっている。
トリプレクサーは、3種の周波数帯域を分離する受動フィルタ素子である。トリプレクサーには、ロウパス(low pass)、バンドパス(band pass)、ハイパス(high pass)フィルタが統合されていて、一度に3種の周波数を区分して通過させることができる。
また、位相可変器30は、マルチバンドの数に対応するように設けられ、分岐されたバンド別信号を各バンドに合わせてビームチルトを行う。マルチバンドがm個の場合、位相可変器30は、m個(mは2以上の自然数)の位相可変器31、33、…、37を含む。すなわち第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステム100は、第1、第2、…、第mバンド位相可変器31、33、…、37を含む。
このように第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステム100は、マルチバンドを支援する広帯域放射素子10で送受信されるバンド別信号を分岐用フィルタ20を介して分岐し、分岐したバンド別信号を位相可変器30を用いて各バンドに合わせてビームチルトを行うことによって、それぞれのサービスカーバレジを最適化することができる。
また、第1実施形態によるマルチバンドアンテナシステム100は、マルチバンドのサービスのために各バンド別アンテナを置局する必要がないため、アンテナの置局回数を減らすことができる利点がある。
一方、第1実施形態では、1つの広帯域放射素子10を含むマルチバンドアンテナシステム100を開示したが、これに限定されるものではない。例えば、図2及び図3に示されたように、複数の広帯域放射素子10を含んでマルチバンドアンテナシステム200、300を具現することができる。
図2は、本発明の第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200を示すブロック図である。
図2を参照すれば、第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、2個のバンドを支援するアンテナシステムであって、複数の広帯域放射素子10、複数の分岐用フィルタ20及び複数の位相可変器30を含む。
ここで、複数の広帯域放射素子10にそれぞれ対応するように分岐用フィルタ20が連結される。したがって、広帯域放射素子10がn個(nは2以上の自然数)の場合、分岐用フィルタ20もn個が使用される。第2実施形態による広帯域放射素子10は、2個のバンドを支援する。例えば、2個のバンドは、700MHz帯域及び900MHz帯域であるか、1.8GHz帯域及び2.1GHz帯域であることができる。第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、第1、第2、…、第n広帯域放射素子11、13、…、17を含む。
分岐用フィルタ20としては、ダイプレクサーまたはトリプレクサーが使用されることができる。第2実施形態では、分岐用フィルタ20としては2個のバンドを分離することができるダイプレクサーが使用された例を開示した。例えば第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、第1、第2、…、第n分岐用フィルタ21、23、…、27を含む。
また、複数の位相可変器30は、第1及び第2バンド位相可変器31、33を含む。第1バンド位相可変器31は、複数の分岐用フィルタ20から分離した2個のバンドのうち第1バンドに含まれた信号に対する電気的なチルトを行う。第2バンド位相可変器33は、複数の分岐用フィルタ20から分離した2個のバンドのうち第2バンドに含まれた信号に対する電気的なチルトを行う。例えば、第1バンド位相可変器31は、700MHz帯域の信号に対する位相可変を行い、第2バンド位相可変器33は、900MHz帯域の信号に対する位相可変を行うことができる。
したがって、第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、マルチバンドを支援する広帯域放射素子10で送受信されるバンド別信号を分岐用フィルタ20を介して分岐して、分岐したバンド別信号を第1及び第2位相可変器31、33を用いて各帯域に合わせてビームチルトを行うことによって、それぞれのサービスカーバレジを最適化することができる。
図3は、本発明の第3実施形態によるマルチバンドアンテナシステム300を示すブロック図である。
図3を参照すれば、第3実施形態によるマルチバンドアンテナシステム300は、3個のバンドを支援するアンテナシステムであって、複数の広帯域放射素子10、複数の分岐用フィルタ20及び複数の位相可変器30を含む。
ここで、複数の広帯域放射素子10にそれぞれ対応するように分岐用フィルタ20が連結される。したがって、広帯域放射素子10がn個の場合、分岐用フィルタ20もn個が使用される。第3実施形態による広帯域放射素子10は、3個のバンドを支援する。例えば3個のバンドは、800MHz帯域、900MHz帯域、1.8GHz帯域、2.1GHz帯域及び2.3GHz帯域で選択されることができ、これに限定されるものではない。第3実施形態によるマルチバンドアンテナシステム300は、第1、第2、…、第n広帯域放射素子11、13、…、17を含む。
分岐用フィルタ20としては、3個のバンドを分離することができるトリプレクサーが使用されることができる。例えば、第3実施形態によるマルチバンドアンテナシステム300は、第1、第2、…、第n分岐用フィルタ21、23、…、27を含む。
また、複数の位相可変器30は、第1〜第3バンド位相可変器31、33、35を含む。第1バンド位相可変器31は、複数の分岐用フィルタ20から分離した3個のバンドのうち第1バンドに含まれた信号に対する電気的なチルトを行う。第2バンド位相可変器33は、複数の分岐用フィルタ20から分離した3個のバンドのうち第2バンドに含まれた信号に対する電気的なチルトを行う。また、第3バンド位相可変器35は、複数の分岐用フィルタ20から分離した3個のバンドのうち第3バンドに含まれた信号に対する電気的なチルトを行う。例えば、第1バンド位相可変器31は、700MHz帯域の信号に対する位相可変を行い、第2バンド位相可変器33は、900MHz帯域の信号に対する位相可変を行い、第3バンド位相可変器35は2.1GHz帯域の信号に対する位相可変を行うことができる。
以下では、このような本発明によるマルチバンドアンテナシステムに適用することができる位相可変器について図4〜図17を参照して説明する。
まず、第1例による位相可変器30について図4及び図5を参照して説明する。ここで、図4は、本発明によるマルチバンドアンテナシステムに適用することができる位相可変器30の第1例を示す分解斜視図である。また、図5は、図4の位相可変器30を示す斜視図である。
図4及び図5を参照すれば、第1例による位相可変器30は、ベース基板40と可変基板70を含む。
ベース基板10に入力ポート41と複数の出力ポート43が形成されており、入力ポート41と複数の出力ポート43をそれぞれ少なくとも1つのウィルキンスン分配器50を介して連結する複数の第1伝送線路60が不連続的に形成されている。
可変基板70は、複数の第1伝送線路60にそれぞれ連結され、連続的な伝送線路TLを形成する複数の第2伝送線路71が形成されており、ベース基板40に結合されて移動し、入力ポート41と複数の出力ポート43の間の伝送線路TLの長さを可変させる。
また、第1例による位相可変器30は、ベース基板40に対して可変基板70を移動させる移動部材80をさらに含んで構成されることができる。
以下では、このような第1例による位相可変器30について具体的に説明する。
ベース基板40は、入力ポート41と複数の出力ポート43を備える。ベース基板40は、入力ポート41に連結された少なくとも1つのウィルキンスン分配器50を含む。少なくとも1つのウィルキンスン分配器50は、それぞれ2個の連結ポート55を備える。ウィルキンスン分配器50の2個の連結ポート55には、互いに対称するように一対の第1伝送線路60が不連続的に形成されている。また、ベース基板40は、第1伝送線路60の端部にそれぞれ複数の出力ポート43が連結される。
可変基板70は、ベース基板40に移動可能に結合され、第1伝送線路60に物理的に接触して不連続的に形成された第1伝送線路60を連続的に連結する第2伝送線路71が形成されている。可変基板70は、移動によって第2伝送線路71が第1伝送線路60に重畳され、入力ポート41と複数の出力ポート43の間の伝送線路TLの長さを可変させる。
この際、ベース基板40と可変基板70としては、印刷回路基板が使用されることができ、ベース基板40の第1伝送線路60と可変基板70の第2伝送線路71は、互いに対向する面に形成される。すなわちベース基板40の上部面に第1伝送線路60が形成される場合、第2伝送線路71は、可変基板70の下部面に形成される。
ウィルキンスン分配器50は、第1配線51、2個の連結ポート55及び抵抗器(resistor)57を含む。第1配線51は、入力ポート41に連結される。2個の連結ポート55は、第1配線51から2個に対称するように分岐された第2配線53にそれぞれ形成される。また、抵抗器57は、2個の連結ポート55を連結する。このようにウィルキンスン分配器50は、2個の連結ポート55を抵抗器57で連結するので、2個の連結ポート55のインピーダンスがマッチングされ、2個の連結ポート55間の分離度(isolation)が確保される。
ウィルキンスン分配器50は、第1配線51の分岐された地点を中心に2個の連結ポート55が互いに近接するように位置し、互いに近接する2個の連結ポート55を抵抗器57で連結する。これにより、第1配線51の分岐された地点を中心に2個の連結ポート55に連結される第2配線53部分は、分岐された地点を中心に両側が互いに対称するように形成される。例えば第1配線51の分岐された地点を中心に2個の連結ポート55に連結される第2配線53部分は、一方が“左右反転コ”形状に形成され、他方が“コ”形状に形成されることができる。
第1例による位相可変器30は、1つのウィルキンスン分配器50を含む例を開示した。これにより、ウィルキンスン分配器50は、入力ポート41に第1配線51が連結され、2個の連結ポート55から延長した第2配線53にそれぞれ一対の第1伝送線路60が連結される。
一対の第1伝送線路60は、ウィルキンスン分配器50を中心に両側に互いに対称するように形成される。第1伝送線路60は、開始伝送線路61と終了伝送線路63を含み、連結伝送、65を含むことができる。
開始伝送線路61は、連結ポート55から延長した第2配線53に連結され、水平方向に延びている。ここで、水平方向は、開始伝送線路61に連結された第2配線53の形成方向に垂直な方向である。
終了伝送線路63は、開始伝送線路61に平行に形成され、出力ポート43に連結される。
また、連結伝送線路65は、開始伝送線路61と終了伝送線路63との間に少なくとも1つが形成され、“コ”及び“左右反転コ”のうち1つの形態に形成される。例えば、一対の第1伝送線路60に形成された連結伝送線路65は、“左右反転コ”形態と“コ”形態が互いに対向するように形成される。
この際、第1伝送線路60が連結伝送線路65を備えない場合、第2伝送線路71は、連結されない開始伝送線路61と終了伝送線路63を連結し、開始伝送線路61及び終了伝送線路63と重畳される部分を有する。
第1伝送線路60が連結伝送線路65を備える場合、第2伝送線路71は、連結されない開始伝送線路61、連結伝送線路65及び終了伝送線路63を連結し、開始伝送線路61、連結伝送線路65及び終了伝送線路63と重畳される部分を有する。
また、可変基板70は、第1伝送線路60が形成されたベース基板40の上部面に移動可能に物理的に結合される。この際、可変基板70をベース基板40に移動可能に固定する部材としては、“左右反転コ”形態のクリップ90が使用されることができる。クリップ90は、可変基板70とベース基板40を係合することができるように嵌着され、可変基板70をベース基板40に固定する。このようにクリップ90で可変基板70とベース基板40を固定しても、ベース基板40と可変基板70が互いに当接する面方向に力が作用する場合、ベース基板40に対して可変基板70が移動する。この際、ベース基板40と可変基板70を固定する複数のクリップ90は、可変基板70の移動時可変基板70の移動を案内する機能を行う。
例えばベース基板40において、ウィルキンスン分配器50を中心に一対の第1伝送線路60が水平方向に平行に複数のラインに形成されるので、一対の第1伝送線路60が形成された部分は、矩形の板に近い形態で形成される。これにより、可変基板70も一対の第1伝送線路60が形成された部分に対応するように矩形の板形態に形成される。複数のクリップ70は、第1伝送線路60が形成された方向に垂直な方向にウィルキンスン分配器50を中心に両側に可変基板70とベース基板40を係合することができるように嵌着される。
可変基板70は、下部面に一対の第1伝送線路60に対応するように一対の第2伝送線路71が形成されている。第2伝送線路71は、不連続的に形成された第1伝送線路60を連結するように、“左右反転コ”または“コ”形態を有する少なくても1つの重畳伝送線路73を含む。この際、連結伝送線路65の数がn個(nは0以上の整数)であるとき、重畳伝送線路73は、(n+1)個である。
重畳伝送線路73は、連結伝送線路65の反対される形態を有する。例えば、連結伝送線路65が“コ”形態を有する場合、重畳伝送線路73は、“左右反転コ”形態を有する。反対に連結伝送線路65が“左右反転コ”形態を有する場合、重畳伝送線路73は、“コ”を有する。
したがって、ベース基板40に可変基板70が結合される場合、それぞれ不連続的に形成された第1伝送線路60と第2伝送線路71は、連続的に形成された四角波形に近い伝送線路TLを形成する。可変基板70の移動によって第1伝送線路60に第2伝送線路71が重畳され、ウィルキンスン分配器50を中心とする両側の伝送線路TLの長さに差が発生する。
このように第1例による位相可変器30は、一対の伝送線路TLの長さの差を利用して位相可変を行う。位相可変量は、第1及び第2伝送線路60、71の横及び縦の長さの調節を通じて調節することができ、位相可変量を増やしても、位相可変器30のサイズ増加を最小化することができる。
また、移動部材80は、ベース基板40に対して可変基板70を開始伝送線路61が形成された方向に平行な直線方向に移動させる。このような移動部材80は、回転軸81、移動軸83及び移動バー85を含む。回転軸81は、ベース基板40に設置され、回転可能に設置される。移動軸83は、可変基板70に設置される。また、移動バー85は、回転軸81と移動軸83を連結し、外部で作用する力によって回転軸81を中心に移動軸83を直線方向に移動させる。
この際、回転軸81は、移動バー85に一体に形成されることができ、ベース基板40に形成された孔48に回転可能に固定されることができる。
移動軸83は、ベース基板40に水平方向に形成された開始伝送線路61に平行に形成されたガイド孔45と、ガイド孔45に対応する可変基板70に形成された孔75を連結するように設置される。これにより、移動軸83は、移動バー85の駆動によってガイド孔45に沿って直線移動する。
移動部材80は、移動軸83から離隔し、可変基板70に設置されるダミー軸87をさらに含むことができる。ダミー軸87は、移動軸83の安定的な直線移動を案内する機能を行い、必要に応じて設置されることができる。このようなダミー軸87は、ガイド孔45に平行にベース基板40に水平方向に形成されたダミーガイド孔49と、ダミーガイド孔49に対応する可変基板70に形成されたダミー孔77を連結するように設置される。これにより、移動バー85の駆動によってダミーガイド孔49に沿ってダミー軸87が移動軸83と一緒に直線移動する。
回転軸81、移動軸83及びダミー軸87は、ワッシャー91を介してベース基板40または可変基板70に回転可能に設置される。
移動バー85には、回転軸81と移動軸83が結合され、外部に作用する力によって回転軸81を中心に移動バー85が一定角度の範囲内で回転する。移動バー85の回転によって移動軸83が直線運動するので、移動バー85の移動軸83が結合される孔85aは、移動軸83の移動距離を勘案して長く形成される。移動バー85は、移動軸83が設置された側の反対側に回転軸81の外側に延長するように形成される。移動バー85の延長した部分に外部に作用する力を伝達する伝達バー(図示せず)が連結されることができる。移動バー85を安定的に回転させることができるように、回転軸81と移動軸83との間の距離に比べて回転軸81と伝達バーが連結される部分との間の距離が長く形成される。
一方、第1例では、可変基板70の上部に移動バーが設置された例を開示したが、移動バーは、ベース基板の下部に設置してもよい。
以下では、このような第1例による位相可変器30の使用例を図6〜図8を参照して説明する。ここで、図6〜図8は、図5の位相可変器30の使用例を示す図である。図面で、一対の出力ポート43は、右側に位置する第1出力ポート43aと、左側に位置する第2出力ポート43bを含む。入力ポート41と第1出力ポート43aを連結する伝送線路は、TL1で表示し、入力ポート41と第2出力ポート43bを連結する伝送線路は、TL2で表示する。
図6に示されたように、移動バー85が中心に位置する場合、入力ポート41から第1及び第2出力ポート43a、43bにそれぞれ連結される伝送線路TL1、TL2の長さは同一である。この状態では、位相可変が発生しない。
図7に示されたように、移動バー85が回転軸81を中心に反時計方向に移動すれば、ベース基板40に対して可変基板70は左側に移動する。
これにより、第1出力ポート43aに連結された伝送線路TL1の長さが増加し、第2出力ポート43bに連結された伝送線路TL2の長さが短くなるため、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第1及び第2出力ポート43a.43bを介して出力される。反対に、第1及び第2出力ポート43a、43bに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を通じて出力することができる。
この際、第1出力ポート43a側の第1及び第2伝送線路60、71の間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL1の長さが増加する。一方、第2出力ポート43b側の第1及び第2伝送線路60、71間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL2の長さが減少する。
また、図8に示されたように、移動バー85が回転軸81を中心に時計方向に移動すれば、ベース基板40に対して可変基板70は右側に移動する。
これにより、第2出力ポート43bに連結された伝送線路TL2の長さが増加し、第1出力ポート43aに連結された伝送線路TL1の長さが短くなるため、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第1及び第2出力ポート43a、43bを介して出力される。反対に第1及び第2出力ポート43a、43bに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を介して出力することができる。
この際、第2出力ポート43b側の第1及び第2伝送線路60、71の間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL2の長さが増加する。一方、第1出力ポート43a側の第1及び第2伝送線路60、71の間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL1の長さが減少する。
このように第1例による位相可変器40は、移動バー85の左右回転によって両側の伝送線路TL1、TL2の長さ変化に従って位相可変器30に入力される信号に対する位相可変を行う。
以下では、このような第1例による位相可変器40を使用したマルチバンドアンテナシステムの700MHz帯域及び900MHz帯域でのs−parameterを図9を参照して説明する。ここで、図9は、図2のマルチバンドアンテナシステム200の700MHz帯域及び900MHz帯域でのs−parameterを示すグラフである。
図7を参照すれば、S21は、出力ポート間の分離度を意味する。
S21は、698.000MHzから−17.404dB、718.000MHzから−18.173dB、859.000MHzから−26.709dB、960.000MHzから――.702dBである。すなわち第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、ウィルキンスン分配器を有する位相可変器を利用するので、出力ポート間の分離度が確保されることを確認することができる。
このような第1例による位相可変器を使用したマルチバンドアンテナシステムにおいて、位相可変器に複数の分岐用フィルタが連結されても、出力ポート間の分離度特性が確保される一方、従来の弧基盤の位相可変器に複数の分岐用フィルタを連結する場合、出力ポート間の分離度特性が確保されないことを確認することができる。
図10は、比較例による弧基盤の位相可変器を使用したマルチバンドアンテナシステムにおける700MHz帯域でのs−parameterを示すグラフである。
図10を参照すれば、比較例によるマルチバンドアンテナシステムは、1個の入力ポートに2個の出力ポートである弧基盤の位相可変器と、弧基盤の位相可変器の2個の出力ポートにそれぞれ設置された2個の分岐用フィルタを含む。A〜C位置は、位相可変器で回転体の位置であって、B位置は、回転体が中心に位置し、位相変化がない状態であり、A位置は、回転体が右側に移動した状態であり、Cは、回転体が左側に移動した状態である。
比較例による弧基盤の位相可変器に他のコンポネント、すなわち分岐用フィルタを連結する場合、出力ポート間の分離度が確保されず、弧基盤の位相可変器の回転体の位置によって分岐用フィルタの通過特性の歪みが発生することを確認することができる。
図11は、本発明の第1例による位相可変器を使用したマルチバンドアンテナシステムでの700MHz帯域でのs−parameterを示すグラフである。
図11を参照すれば、第1例によるマルチバンドアンテナシステムは、1個の入力ポートに2個の出力ポートである位相可変器と、位相可変器の2個の出力ポートにそれぞれ設置された2個の分岐用フィルタを含む。A〜C位置は、位相可変器で移動バーの位置であって、B位置は、移動バーが中心に位置し、位相変化がない状態であり(図6)、A位置は、移動バーが右側に移動した状態であり(図7)、Cは、移動バーが左側に移動した状態である(図8)。
第1例による位相可変器は、分岐用フィルタが連結されても、出力ポート間の分離度が確保されるので、移動バーの位置によって分岐用フィルタの通過特性に歪みが発生しないことを確認することができる。
このように第1例による位相可変器100は、ウィルキンスン分配器50を利用して入力ポート41と複数の出力ポート43を連結するので、ティー−ジャンクションを基盤とする弧タイプの位相可変器が有する問題点を解消することができる。すなわち位相可変器30は、ウィルキンスン分配器50を利用するので、各出力ポート43間の分離度を確保することができる。
また、第1例による位相可変器30は、位相可変量を増やすために第1及び第2伝送線路60、71の横及び縦の長さだけを増やせばよいため、位相可変量を増やしても、サイズ増加を最小化することができる。
また、第1例による位相可変器30は、ウィルキンスン分配器50を利用して出力ポート43間の分離度を確保することができるので、各帯域別に位相可変器に別に設置する必要がないため、広帯域化に効果的に対応することができる。
また、第1例による位相可変器30は、ウィルキンスン分配器50を利用して出力ポート43間の分離度を確保することができるので、位相可変器30の裏面に他のコンポネントを追加しても、コンポネントの固有特性に歪みが発生するか、または位相信号の歪みが発生することを抑制することができる。
また、第1例による位相可変器30は、ウィルキンスン分配器50を利用して出力ポート43間の分離度を確保することができるので、アレイアンテナに適用しても、各輻射素子に供給される振幅と位相歪みの問題を解消することができる。
一方、第1例では、3ポートの位相可変器100を例示したが、分岐用フィルタ21が4個である場合、図12〜図17に示されたような、5ポート位相可変器130を使用することができる。
図12は、本発明の第2例によるウィルキンスン分配器50a、50b、50cを利用した位相可変器130を示す分解斜視図である。図13は、図12のウィルキンスン分配器50a、50b、50cを拡大して示す図である。また、図14は、図12の位相可変器130を示す斜視図である。
図12〜図14を参照すれば、第2例による位相可変器130は、5ポート位相可変器であって、1個の入力ポート41に4個の出力ポート43a、43b、43c、43dを備えるために、3個のウィルキンスン分配器50a、50b、50cを含む。第2例による位相可変器130は、3個のウィルキンスン分配器50a、50b、50cが形成されたベース基板40と、ベース基板40に移動可能に設置される可変基板70a、70bを含む。
ベース基板40は、第1〜第3ウィルキンスン分配器50a、50b、50cを含む。この際、第1〜第3ウィルキンスン分配器50a、50b、50cは、第1例によるウィルキンスン分配器(図5の50)と同一の構造を有するので、第1〜第3ウィルキンスン分配器50a、50b、50cに対する個別的な構造の説明は省略する。
第1ウィルキンスン分配器50aは、入力ポート41に第1配線51aが連結され、2個の第1連結ポート55aから延長した第2配線53aにそれぞれ第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50cの第1配線51b、51cが連結される。第2ウィルキンスン分配器50bの2個の第2連結ポート55bから延長した第2配線53bにそれぞれ一対の第1−1伝送線路61aが連結される。また、第3ウィルキンスン分配器50cの2個の第3連結ポート55cから延長した第2配線53cにそれぞれ一対の第1−2伝送線路60bが連結される。
この際、ベース基板40は、第1ウィルキンスン分配器50aを中心に両側に対向するように第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50cが形成される。第1ウィルキンスン分配器50aの2個の第1連結ポート51aが形成された方向を中心に一方に第2ウィルキンスン分配器50bの2個の第2連結ポート55bが形成されて、他方に第3ウィルキンスン分配器50cの2個の第3連結ポート55cが形成される。
可変基板70a、70bは、第1可変基板70aと第2可変基板70bを含む。第1可変基板70aは、第2ウィルキンスン分配器50bに連結される第2−1伝送線路71aが形成されている。第2可変基板70bは、第1可変基板70aから分離されており、第2−1伝送線路71aと対称するように配置され、第3ウィルキンスン分配器50cに連結される第2−2伝送線路71bが形成されている。この際、第2伝送線路71a、71bは、第2−1伝送線路71aと第2−2伝送線路71bを含む。
一対の第1−1伝送線路60aは、第2ウィルキンスン分配器50bを中心に両側に互いに対称するように形成される。第1−1伝送線路60aは、第1開始伝送線路61aと第1終了伝送線路63aを含み、第1連結伝送線路をさらに含むことができる。
第1開始伝送線路61aは、第2連結ポート55bから延長した第2配線53bに連結され、水平方向に延びている。ここで、水平方向は、第1開始伝送線路61aに連結された第2配線53bの形成方向に垂直な方向である。
第1終了伝送線路63aは、第1開始伝送線路61aに平行に形成され、出力ポート43a、43bに連結される。
また、第1連結伝送線路は、第1開始伝送線路61aと第1終了伝送線路63aとの間に少なくとも1つが形成されることができ、“コ”及び“左右反転コ”のうち1つの形態で形成される。例えば、一対の第1−1伝送線路61aに形成された連結伝送線路は、“左右反転コ”形態と“コ”形態が互いに対向するように形成される。
この際、第1−1伝送線路60aが第1連結伝送線路を備えない場合、第2−1伝送線路71aは、連結されない第1開始伝送線路61aと第1終了伝送線路63aを連結し、第1開始伝送線路61a及び第1終了伝送線路63aと重畳される部分を有する。
第1−1伝送線路60aが第1連結伝送線路を備える場合、第2−1伝送線路71aは、連結されない第1開始伝送線路61a、第1連結伝送線路及び第1終了伝送線路63aを連結し、第1開始伝送線路61a、第1連結伝送線路及び第1終了伝送線路63aと重畳される部分を有する。
一対の第1−2伝送線路60bは、第3ウィルキンスン分配器50cを中心に両側に互いに対称するように形成される。第1−2伝送線路60bは、第2開始伝送線路61bと第2終了伝送線路63bを含み、第2連結伝送線路をさらに含むことができる。
一対の第1−2伝送線路60bは、一対の第1−1伝送線路60aに対称するように第3ウィルキンスン分配器50cに連結されるように形成されるだけで、一対の第1−1伝送線路60aと同一の形態で第3ウィルキンスン分配器50cに連結されるので、詳細な説明は省略する。
また、第1及び第2可変基板70a、70bは、それぞれ第1−1及び第1−2伝送線路60a、60bが形成されたベース基板40の上部面に移動可能に物理的に結合される。この際、可変基板70a、70bをベース基板40に移動可能に固定する部材としては、“左右反転コ”形態のクリップ90が使用されることができる。クリップ90は、可変基板70a、70bとベース基板40を係合することができるように嵌着され、可変基板70a、70bをベース基板40に固定する。このようにクリップ90で可変基板70a、70bとベース基板40を固定しても、ベース基板40と可変基板70a、70bが互いに当接する面方向に力が作用する場合、ベース基板40に対して可変基板70a、70bが移動する。この際、ベース基板40と可変基板70a、70bを固定する複数のクリップ90は、可変基板70a、70bの移動時に可変基板70a、70bの移動を案内する機能を行う。
この際、第1可変基板70aと第2可変基板70bは、同一の形態でベース基板40に結合されるので、第1可変基板70aがベース基板40に結合された構造を中心に説明する。
例えば、ベース基板40において、第2ウィルキンスン分配器50bを中心に一対の第1−1伝送線路60aが水平方向に平行に複数のラインで形成されるので、一対の第1−1伝送線路60aが形成された部分は、矩形の板に近い形態に形成される。これにより、第1可変基板70aも、一対の第1−1伝送線路60aが形成された部分に対応するように矩形の板形態に形成される。複数のクリップ90は、第1−1伝送線路60aが形成された方向に垂直な方向に第2ウィルキンスン分配器50bを中心に両側に第1可変基板70aとベース基板40を係合することができるように嵌着される。
もちろん第2可変基板70bも、ベース基板40に第1可変基板70aと同一の方式でベース基板40の1−2伝送線路60bに連結されるように設置される。
第1可変基板70aは、下部面に一対の第1−1伝送線路60aに対応するように一対の第2−1伝送線路71aが形成されている。第2−1伝送線路71aは、不連続的に形成された第1−1伝送線路60aを連結するように、“左右反転コ”または“コ”形態を有する少なくても1つの第1重畳伝送線路73aを含む。この際、第1連結伝送線路の数がn個(nは0以上の整数)であるとき、第1重畳伝送線路73aは、(n+1)個である。
第1重畳伝送線路73aは、第1連結伝送線路の反対される形態を有する。例えば第1連結伝送線路が“コ”形態を有する場合、第1重畳伝送線路73aは、“左右反転コ”形態を有する。反対に第1連結伝送線路が“左右反転コ”形態を有する場合、第1重畳伝送線路73aは、“コ”を有する。
したがって、ベース基板40に第1可変基板70aが結合される場合、それぞれ不連続的に形成された第1−1伝送線路60aと第2−1伝送線路71aは、連続的に形成された四角波形に近い形態に形成される。第1可変基板70aの移動によって第1−1伝送線路60aに第2−1伝送線路71aが重畳され、第2ウィルキンスン分配器50bを中心とする両側の伝送線路TL1、TL2の長さに差が発生する。
また、ベース基板40に第1可変基板70aが結合される場合、それぞれ不連続的に形成された第1−1伝送線路60aと第2−1伝送線路71aは、連続的に形成された四角波形に近い形態に形成される。第1可変基板70aの移動によって第1−1伝送線路60aに第2−1伝送線路71aが重畳され、第2ウィルキンスン分配器50bを中心とする両側の伝送線路TL1、TL2の長さに差が発生する。
また、ベース基板40に第2可変基板70bが結合される場合、それぞれ不連続的に形成された第1−2伝送線路60bと第2−2伝送線路71bは、連続的に形成された四角波形に近い形態に形成される。第2可変基板70bの移動によって第1−2伝送線路60bに第2−2伝送線路71bが重畳され、第3ウィルキンスン分配器50cを中心とする両側の伝送線路TL3、TL4の長さに差が発生する。
このように第2例による位相可変器130は、4対の伝送線路TL1.TL2、TL3、TL4の長さの差を利用して位相可変を行う。位相可変量は、第1−1、第1−2、第2−1及び第2−2伝送線路60a、60b、71a、71bの横及び縦の長さの調節を通じて調節することができ、位相可変量を増やしても、位相可変器130のサイズ増加を最小化することができる。
また、移動部材80は、ベース基板40に対して第1及び第2可変基板70a、70bを第1開始伝送線路61aが形成された方向に平行な直線方向に移動させる。この際、移動部材80は、第1及び第2可変基板70a、70bを互いに反対される方向に移動させる。
このような移動部材80は、回転軸81、第1移動軸83a、第2移動軸83b、及び移動バー85を含む。回転軸81は、ベース基板40に形成され、回転可能に設置される。第1移動軸83aは、第1可変基板70aに設置される。第2移動軸83bは、第2可変基板70bに設置される。また、移動バー85は、回転軸81、第1及び第2移動軸83a、83bを連結し、外部で作用する力によって回転軸81を中心に第1及び第2移動軸83a、83bを互いに反対される直線方向に移動させる。
回転軸81、第1移動軸83a及び第2移動軸83bは、ワッシャー91を介してベース基板40または可変基板70a、70bに回転可能に設置される。
この際、各出力ポート43a、43b、43c、43dに連結される伝送線路TL1、TL2、TL3、TL4の長さを相異に可変することができるように、回転軸81、第1移動軸83a及び第2移動軸83bは、同一線上に位置し、回転軸81を中心に第1及び第2移動軸83a、83b間の距離が互いに異なっている。
第1移動軸83aは、ベース基板40に水平方向に形成された第1開始伝送線路61aに平行に形成された第1ガイド孔45aと、第1ガイド孔45aに対応する第1可変基板70aに形成された第1孔75aを連結するように設置される。
第2移動軸83bは、ベース基板40に水平方向に形成された第2開始伝送線路61bに平行に形成された第2ガイド孔45bと、第2ガイド孔45bに対応する第2可変基板70bに形成された第2孔75bを連結するように設置される。
移動バー85の駆動によって第1及び第2ガイド孔45a、45bに沿って第1及び第2移動軸83a、83bが互いに反対される方向に直線移動する。
移動バー85には、回転軸81と第1及び第2移動軸83a、83bが結合され、外部に作用する力によって回転軸81を中心に移動バー85が一定角度の範囲内で回転する。移動バー85の回転によって第1及び第2移動軸83a、83bが互いに反対方向に直線運動するので、移動バー85の第1及び第2移動軸83a、83bが結合される孔85a、85bは、第1及び第2移動軸83a、83bの移動距離を勘案して長く形成される。
また、移動バー85は、左右に最大限の移動距離を確保できるように、第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50c上に設置される。位相変化がない状態の移動バー85は、第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50cと同一線上に位置することができる。回転軸81も、第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50cのうち1つに形成される。
移動バー85は、外部で作用する力によって回転軸81を中心に回転し、外部で作用する力は、回転軸81を中心に遠い距離に位置する第2移動軸83bに連結することができる。もちろん第1移動軸83aに外部で作用する力を伝達することができる。この場合、第1移動軸83aは、第2移動軸83bに比べて回転軸81間の距離が短いため、第2移動軸83bに作用する力よりはさらに大きい力を作用しなければならない。
一方、第1例では、可変基板70aの上部に移動バー85が設置された例を開示したが、移動バー85は、ベース基板40の下部に設置されてもよい。
このような第2例による位相可変器130は、3個のウィルキンスン分配器50a、50b、50cを使用するだけで、基本的な構造は、第1例による位相可変器(図5の30)と同一の構造を有するので、第1例による位相可変器(図5の30)による効果を同一に期待することができる。
以下では、このような第2例による位相可変器130の使用例を図15〜図17を参照して説明する。ここで、図15〜図17は、図14の位相可変器130の使用例を示す図である。図面で4個の出力ポート43a、43b、43c、43dは、下方に位置する第1及び第2出力ポート43a、43bと、上方に位置する第3及び第4出力ポート43c、43dを含む。左側に第1及び第3出力ポート43a、43cが位置し、右側に第2及び第4出力ポート43b、43dが位置する。
図15に示されたように、移動バー85が中心に位置する場合、入力ポート41から第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dにそれぞれ連結される伝送線路の長さは同一である。
図16に示されたように、移動バー85が回転軸81を中心に時計方向に移動すれば、ベース基板40に対して第1可変基板70aは左側に移動し、第2可変基板70bは右側に移動する。
これにより、第1出力ポート43aに連結された伝送線路TL1の長さが増加し、第2出力ポート43bに連結された伝送線路TL2の長さが短くなるため、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第1及び第2出力ポート43a、43bを介して出力される。反対に、第1及び第2出力ポート43a、43bに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を介して出力することができる。
この際、第1出力ポート43a側の第1−1及び第2−1伝送線路60a、71aの間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL1の長さが増加する。一方、第2出力ポート43b側の第1−1及び第2−1伝送線路60a、71aの間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL2の長さが減少する。
第3出力ポート43cに連結された伝送線路TL3の長さは減少し、第4出力ポート43dに連結された伝送線路TL4の長さが増加するので、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第3及び第4出力ポート43c、43dを介して出力される。反対に、第3及び第4出力ポート43c、43dに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を介して出力されるとができる。
この際、第4出力ポート43d側の第1−2及び第2−2伝送線路60b、71bの間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL4の長さが増加する。一方、第3出力ポート43c側の第1−2及び第2−2伝送線路60b、71bの間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL3の長さが減少する。
回転軸81を中心に第1及び第2移動軸83a、83bの間の距離が異なっているため、第1及び第2可変基板70a、70bの直線移動距離にも差が発生するので、第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dに連結される伝送線路TL1、TL2、TL3、TL4の長さも、すべて異なっている。したがって、入力ポート41に入力される信号を第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dを介して互いに異なる位相を有する信号で出力することができる。
また、図17に示されたように、移動バー85が回転軸81を中心に反時計方向に移動すれば、ベース基板40に対して第1可変基板70aは右側に移動し、第2可変基板70bは左側に移動する。
これにより、第2出力ポート43bに連結された伝送線路TL2の長さが増加し、第1出力ポート43aに連結された伝送線路TL1の長さが短くなるため、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第1及び第2出力ポート43a、43bを介して出力される。反対に、第1及び第2出力ポート43a、43bに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を介して出力することができる。
この際、第2出力ポート43a側の第1−1及び第2−1伝送線路60a、71aの間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL2の長さが増加する。一方、第1出力ポート43a側の第1−1及び第2−1伝送線路60a、71aの間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL1の長さが減少する。
第4出力ポート43dに連結された伝送線路TL4の長さは減少し、第3出力ポート43cに連結された伝送線路TL3の長さが増加するので、入力ポート41に入力される信号は、位相が可変され、第3及び第4出力ポート43c、43dを介して出力される。反対に、第3及び第4出力ポート43c、43dに入力された信号は、位相が可変され、入力ポート41を介して出力することができる。
この際、第3出力ポート43c側の第1−2及び第2−2伝送線路60b、71bの間の重畳される部分が減少しつつ、伝送線路TL3の長さが増加する。一方、第4出力ポート43d側の第1−2及び第2−2伝送線路60b、71bの間の重畳される部分が増加しつつ、伝送線路TL4の長さが減少する。
回転軸81を中心に第1及び第2移動軸83a、83bの間の距離が異なっているため、第1及び第2可変基板70a、70bの直線移動距離にも差が発生するので、第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dに連結される伝送線路TL1、TL2、TL3、TL4の長さも、すべて異なっている。したがって、入力ポート41に入力される信号を第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dを介して互いに異なる位相を有する信号で出力することができる。
このように第2例による位相可変器130は、移動バー85の左右回転によって第1〜第4出力ポート43a、43b、43c、43dに連結される伝送線路TL1、TL2、TL3、TL4の長さ変化に従って位相可変器130に入力される信号に対する位相可変を行う。
一方、本明細書と図面に開示された実施形態は、理解を助けるために特定例を提示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施形態以外にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
本発明によるマルチバンドアンテナシステムにおいて、前記広帯域放射素子が2個のバンドを支援する場合、前記位相可変器は、2個のバンドをそれぞれ支援する2個の位相可変器を含むことができる。前記広帯域放射素子が3個のバンドを支援する場合、前記位相可変器は、3個のバンドをそれぞれ支援する3個の位相可変器を含むことができる。
S21は、698.000MHzから−17.404dB、718.000MHzから−18.173dB、859.000MHzから−26.709dB、960.000MHzから−43.702dbである。すなわち第2実施形態によるマルチバンドアンテナシステム200は、ウィルキンスン分配器を有する位相可変器を利用するので、出力ポート間の分離度が確保されることを確認することができる。
この際、ベース基板40は、第1ウィルキンスン分配器50aを中心に両側に対向するように第2及び第3ウィルキンスン分配器50b、50cが形成される。第1ウィルキンスン分配器50aの2個の第1連結ポート55aが形成された方向を中心に一方に第2ウィルキンスン分配器50bの2個の第2連結ポート55bが形成されて、他方に第3ウィルキンスン分配器50cの2個の第3連結ポート55cが形成される。
また、第1連結伝送線路は、第1開始伝送線路61aと第1終了伝送線路63aとの間に少なくとも1つが形成されることができ、“コ”及び“左右反転コ”のうち1つの形態で形成される。例えば、一対の第1−1伝送線路60aに形成された連結伝送線路は、“左右反転コ”形態と“コ”形態が互いに対向するように形成される。