JP2016522243A - シリカハイドロゲルコンポジット - Google Patents

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Abstract

本発明は、カプセル化された薬剤を含むシリカ粒子をシリカゾルと混合することにより得られるシリカハイドロゲルコンポジットに関し、得られるシリカハイドロゲルコンポジットはずり流動化性である。本発明はまた、本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの、注射可能な製剤、フロー製剤、または押出し可能製剤のための使用に関する。本発明はさらに、そのシリカハイドロゲルの製造方法に関する。

Description

本発明は、シリカハイドロゲルコンポジットに関する。より具体的には、本発明は、カプセル化された薬剤を含むシリカハイドロゲルコンポジットに関し、そのシリカハイドロゲルコンポジットは、ドラッグデリバリーに適したものである。
本発明の背景を説明するために本明細書中において使用される刊行物およびその他の文献、およびとりわけ実施に関する追加的な詳細を提供するケースは、参考文献として組み込まれる。
ドラッグデリバリーにおいて、大量の薬物が医薬製剤(典型的には薬物または活性医薬成分(API)とマトリクス材料(任意には添加剤も)とからなる)から素早く(そして典型的には放出媒体に配置された直後に)放出される「バースト効果」または「バースト放出」は、最も有害なことであるとみなされている。体内における薬物の濃度が増加しすぎる場合には危険でさえある。医薬製剤の形態がデバイスの形態であり、バーストにおける放出量が高い場合、デバイスの寿命は目立って短くなり得る。しかしながら、バーストにおいて放出された薬物の量と薬物の総量との比が小さく、バーストが製剤によって制御され得る場合、バーストは有益ともなり得る。ある疾患の治療については、治療の初期により高い薬物濃度とすることが有益であり得、その後、制御され、持続された放出とすべきである。しかしながら、治療の初期、例えば放出制御医薬製剤を埋め込むまたは注射する間には、適切な量の薬物溶液を経口または注射することによっても特定の量の薬物を投与することは比較的容易であるため、投薬の開始時における制御されたバーストは通常必要とはされない。したがって、多くの場合、バーストは回避されるべきであり、代わりに制御され持続された放出がまさに初期から望まれ、そしてゼロ次放出が最も好ましい。
バースト効果は制御すべきであるということが重要な問題である。バーストが望まれない場合、それを回避し、または最小化するための方法があるべきである。バーストにはいくつかの原因があるため、それを制御するために開発された多様な材料や方法(例えば、コーティング、膜、細孔サイズ変更、種々の外層特性を備えるリザーバ構造、化学的な表面修飾、表面侵食が制御された生分解)がある。バーストは、例えば薬物の性質(例えば、水溶性の高い薬物は、水溶性の低い薬を非常に良好に制御するマトリクスから速く放出され得る)に依存し、典型的なマトリクス多孔構造は、特定の大きさのクラスの薬物に対して(例えば、タンパク質などのマクロ分子に対して)より有益であり得、マトリクスまたは膜のその(多孔)表面は、種々の薬物と種々の相互作用力を有し、そして製剤の製造方法(例えば、噴霧乾燥法などの急激な相変化を用いる方法)は、一般的に特定のそして相対的に多くの(マトリクス中の平均よりも多く)薬物がマトリクス材料の外側表面近傍にしばしば配置される構造を生じ得る。
バーストは、カプセル化された分子の水溶性が高い場合に制御するのがより難しくなり、大きな分子やその他ウイルスベクターなどの大きな薬物の場合に幾分容易となるが、バーストは、しばしば医薬製剤における薬物の充填量、すなわち、薬物と放出を制御するマトリクス材料との高比率にも依存する。ほとんどの場合、薬物濃度が低いほどバーストおよび徐放を制御することがより容易であることは明らかである。低い薬物濃度は、マトリクスの構造(の形成)にそれほど影響せず、また、マトリクス材料の外側表面付近への大量の薬物の蓄積もほとんど起こらない。しかしながら、製品開発における柔軟性を提供し、弱い薬物に対しても制御された放出マトリクスを開発することが容易であるため、薬物含有量を高くする能力もしばしば求められる。高薬物含有量は、制御デリバリーシステムに対してより小さいサイズ、例えば、より小さいインプラントや注射系におけるより小さい容量および乾燥重量を可能とする。サイズと量の低減は、投与を容易とし、そして患者のコンプライアンスも改善するため好ましい。
バースト制御の材料と方法は、しばしば薬物に依存し、いくつかの異なる活性医薬成分(API)および他の治療的および生物学的に活性な薬剤に適合するより一般的な解決策が必要とされている。ハイドロゲルは、他のモルフォロジー、例えばナノ粒子やマイクロ粒子のような異なるサイズの粒子と組み合わせた場合の潜在的な解決策である。得られた構造は、細い針で注射するために調整され最小の侵襲投与の解決策となる。粒子とハイドロゲルとの相互作用が十分に強いか、あるいは合わせた構造が独自の構造を生じる場合、最良の場合には、APIおよび他の治療的および生物学的に活性な薬剤の放出(全体の放出および/またはバースト)を、カプセル化された薬剤であるかに関わらず、例えば水溶性、疎水性またはその他の性質に関わらず制御する構造を生じ得る。放出はAPIや他の治療的および生物学的に活性な薬剤の性質から完全に独立していることはないであろうが、粒子とハイドロゲルを合わせた構造は、なお放出速度論に主要な衝撃を与え、また放出の開始時における速すぎるバーストといった問題を解決し得る。
DucheyneおよびDevoreによる特許文献1は、薬物放出速度論の調整およびバースト制御における有機ハイドロゲルとシリカマイクロ粒子の組み合わせを開示する。彼らは、使用の際(例えば、組織や組織液に接触させた際)にハイドロゲルに変化する材料を開示しており、つまり開示されたものはハイドロゲルではない。ハイドロゲルの製造に使用されたポリマーとシリカとの重量比は、5〜95%の間で変化する。
Hollandら(非特許文献1〜4)は、注射製剤を製造するために有機マイクロ粒子および有機ポリマーを組み合わせている。彼らは、大きなカプセル化された薬剤(マクロ分子である成長因子タンパク質)に焦点を当てており、有機材料(ゼラチンマイクロ粒子およびオリゴ(ポリ(エチレングリコール)フマレート、OPF)を組み合わせている。ゼラチンマイクロ粒子とOPFの組み合わされた組成は、成長因子のバーストを減少させたが、ゼラチンマイクロ粒子自体と比較した場合、成長因子の全体の放出速度を増加させるか減少させるかのいずれかであった。
Shoichetら(非特許文献5および6)は、有機PLGAナノ粒子を有機ヒアルロン酸(1wt%、2600kDa)およびメチルセルロース(3wt%、300kDa)(HAMC)または有機PEG−400と組み合わせてコンポジット製剤(それらが注射可能であるかどうかは言及されていない)を形成している。その組み合わせは、粒子自体と比較した場合に、バーストおよび全体の放出の両方に影響した。
ShienおよびBurgess(非特許文献7)は、有機PLGAマイクロ粒子を有機PVAハイドロゲルと組み合わせている。彼らは、インプラント可能な装置(ハイドロゲル形成後、数回の凍結−解凍サイクルが行われた)を製造しているが、PLGAマイクロ粒子自体の放出特性と比較していない。したがって、組み合わせによる利点は、バーストに対しても全体の放出に対しても示されていない。
Wangら(非特許文献8)は、有機ナノスフェア(HEMA−DEAMEA−EGDMA)を有機ハイドロゲル(HEMA−MPC−TMPTA−PEGDA)と組み合わせてインプラント可能な材料(ハイドロゲルがインプラントに凍結乾燥された)を製造している。このコンポジットは、バーストに影響しないが、全体の放出速度を減少する。
Guptaらは、注射可能なずり流動化性のハイドロゲルを、ヒアルロン酸およびメチルセルロース(HAMC)のブレンドから製造した。
米国特許出願公開第2009/0324695号明細書
Journal of Controlled Release, 91(3), p.299-313, 2003 Journal of Controlled Release, 94(1), p.101-114, 2004 Journal of Controlled Release, 101(1-3), p.111-125, 2005 Biomaterials, 26(34), p.7095-7103, 2005 Journal of Controlled Release, 160, p.666-675, 2012 Journal of Controlled Release, 166, p.197-202, 2013 International Journal of Pharmaceutics, 422, p.341-348, 2012 Biomaterials, 31, p.4955-4951, 2010
本発明の目的の1つは、カプセル化された薬剤を備えるシリカハイドロゲルコンポジットを提供することである。
本発明の別の目的は、カプセル化された薬剤を備えるシリカハイドロゲルコンポジットの使用を提供することである。
本発明のさらなる目的は、医療用途のためのカプセル化された薬剤を備えるシリカハイドロゲルコンポジットを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、カプセル化された薬剤を備えるシリカハイドロゲルコンポジットの製造方法を提供することである。
本発明は、
a)シリカ以外のカプセル化された薬剤を含み、かつ1000μm以下の最大直径を有するシリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として
b)シリカゾル
と混合することにより得られるシリカハイドロゲルコンポジットであって、
i)シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
ii)シリカハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、かつ
iii)ハイドロゲルコンポジットがずり流動化性である
シリカハイドロゲルコンポジットを提供する。また本発明は、注射可能な製剤、フロー製剤または押出可能な製剤への、本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの使用も提供する。
本発明は、注射可能な製剤への本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの使用も提供する。
本発明はさらに、カプセル化された薬剤を投与するための、本発明のシリカハイドロゲルコンポジットを提供する。
本発明はさらに、シリカハイドロゲルコンポジットの製造方法を提供し、シリカ以外の生物学的に活性な薬剤を含み、かつ1000μm以下の最大直径を有するシリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として、シリカゾルと混合し、
i)シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
ii)ハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、かつ
iii)ハイドロゲルコンポジットがずり流動化性である
シリカハイドロゲルコンポジットの製造方法を提供する。
バースト放出を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 ゲル、シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 ゲル、シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、ニモジピンの放出速度を示す図である。 ゲル、シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、フルオレセインの放出速度を示す図である。 ゲル、シリカマイクロ粒子および複合組成物からの、フルオレセインの放出速度を示す図である。 異なるゲル、シリカマイクロ粒子および異なる複合組成物からの、フルオレセインの放出速度を示す図である。 シリカマイクロ粒子および異なる複合組成物からの、フルオレセインの放出速度を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、弾性(貯蔵)率および粘性(損失)率を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、弾性(貯蔵)率および粘性(損失)率を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、弾性(貯蔵)率および粘性(損失)率を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、弾性(貯蔵)率、粘性(損失)率および動粘度を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、弾性(貯蔵)率、粘性(損失)率および動粘度を示す図である。 複合組成物に関する、レオロジー特性、すなわち、動粘度を示す図である。
本発明の主旨は、シリカ粒子からのカプセル化された薬剤のバースト放出が、シリカ粒子およびシリカゾルからシリカハイドロゲルコンポジットを製造することによって、驚くべきことに、排除されたバースト放出後のカプセル化された薬剤の放出速度に実質的に影響することなく排除され得るか、または高度に減少され得ることにある。
用語
本願の文脈において「ゲル」とは、少なくとも1つの固相と1つの液相との均質な混合物、すなわち、コロイド分散液と解されるべきであり、例えばシリカ自体および/または部分的または完全に加水分解されたシリカなどの固相が連続相であり、例えば水、エタノールおよびシリカ前駆体の残りなどの液相が構造中に均質に分散されている。ゲルは粘弾性でかつ弾性が優勢であり、これは小角振動ずりのもとでのレオロジー測定において、弾性率G’が粘性率G”よりも大きいことにより示される。本発明の文脈においてG’は好ましくは100×G”未満、より好ましくはG’は3×G”よりも大きく、および/または30×G”未満、最も好ましくはG’は5×G”よりも大きく、および/または10×G”未満である。
本願の文脈において「注射可能なゲル」とは、組成物のレオロジー特性であると解されるべきである。例えば室温(20〜25℃)または冷蔵室内(4〜8℃)など、37℃度未満の温度で注射器および/またはアルミニウム箔に保管されている注射前は、組成物はゲルであり、すなわち弾性率(小角振動ずりの下で測定)G’は粘性率G”よりも大きく、好ましくはG’は10×G”よりも小さい。典型的にはG’は300kPa未満、好ましくは100kPa未満、最も好ましくは30kPa未満である。例えば細い針(例えば、18〜25G、25Gの外径は0.5mm、内径は物によるが通常0.24mm以下であり、18Gの外径は1.27mm、内径は物によるが通常0.84mm以下)を通して注射器から注射可能なゲルを注射することによって、注射可能なゲルにずり応力が印加されると、ゲルは流動形態となり、これはレオメータによる回転測定におけるずり流動化性の挙動(ずり速度の上昇に伴い明らかに減少する動粘度、例えば、ずり速度の100倍の上昇に伴い、動粘度は1/10〜1/100に減少する)で示される。例えば細い針による注射後など、ずり応力が終了すると、注射可能なゲルは再びゲルとなり流動せず、弾性率G’は粘性率G”よりも大きくなる。
「ハイドロゲル」とは、液相が水または水が50重量%(wt%)よりも多い水系であるゲルと解されるべきである。典型的には、ハイドロゲルの液相は、水を65wt%よりも多く、より典型的には90wt%よりも多く、最も典型的には95wt%よりも多く含む。液相はさらに、典型的には例えばエタノールなどの有機溶媒である、他の液体を含み得る。典型的には、例えばエタノールなどのこのような溶媒の濃度は、10wt%未満、より典型的には3wt%未満、最も典型的には1wt%未満である。本発明の文脈において本発明のコンポジットは、ハイドロゲルの基本的な基準を満たすことからハイドロゲルであると考えられる。したがって、本発明のハイドロゲルを言及する場合、この言及は本発明のコンポジットへの言及に等しい。本発明の文脈において本発明のシリカハイドロゲルコンポジットは、好ましくは20〜70wt%、より好ましくは30〜60wt%、最も好ましくは40〜55wt%の水を含む。
「ゾル」とは、少なくとも1つの液相と1つの固相との均質な混合物、すなわち、コロイド分散液と解されるべきであり、例えば水、エタノールおよびシリカ前駆体の残渣などの液相は連続相であり、例えばシリカおよび/または部分的または完全に加水分解されたシリカのコロイド粒子、および/またはこれら粒子の凝集体などの固相が、上述の液相中に均質に分散されており、ゾルは明らかな流動性を有し液相が優勢であることを特徴とする。「懸濁液」も、特に固体粒子が直径1μm未満のコロイド状である場合には「ゾル」と呼ばれることもある。しかしながら、本発明の文脈においては、ゾルという用語は、固体粒子が50nm以下であるコロイド分散液のことをいい、懸濁液という語は、固体粒子が50nmよりも大きい分散液のことをいう。
ゾル−ゲル転移という用語は、ゾルがゲルへと変わるプロセスのことをいう。ゾル−ゲル転移を含む製造プロセスに関する最も典型的な例では、シリカならびにTiO2およびZrO2などの他の対応する材料が、典型的にはアルコキシド、アルキルアルコキシド、アミノアルコキシドなどの液相前駆体、および、加水分解および縮合後に最初の粒子を形成するケイ酸塩溶液などの無機前駆体から合成され、系がゾルに変わり、その後粒子は凝集するか、および/または、サイズが大きくなり、ゾルは自発的にゲルになる(典型的には酸性ゾル)か、またはpHの変化や塩の付加などの誘発される変化によってゲルになる(典型的にはアルカリ性ゾル)。このアルコキシドおよびケイ酸塩溶液の例では、ゾルゲル転移は、上述のより長いプロセスの一部として起こり、しばしばゾル−ゲル法と呼ばれる。ゾル−ゲル法という用語は、アルカリ性のゾルを、実際にはゲルを形成するのではなくゾル中の液体を蒸発させ粉末を生じるコロイド状粒子の粉末の製造にも共通して用いられる。しかしながら、ゾル−ゲル転移は、既製のシリカ粉末または例えばSiO2、TiO2、ZrO2、Al23などの酸化物粉末などの他のセラミック粉末に対しても起こり得る。粉末は任意の方法で製造でき、採掘された粉末もそのまま、または改質して用いることができる(例えば、砕いて洗浄して)。既製のシリカ粉末に対するゾル−ゲル転移は、とりわけ、コロイド状粒子(直径約5マイクロメーター以下)からなる粉末に対して可能であり、すなわち、コロイド状粒子が例えば水などの液体と混合されると、安定な懸濁液、すなわちゾルを形成し、シリカ粒子が水中に加水分解され、水酸基の少なくとも部分的な縮合および/または粒子の凝集が起こるにつれて自発的にゲルを形成するか、例えば、pHの調整、および/または、塩および/または、他の液体やさらなるシリカゾルなどの、安定性に影響を及ぼす他の物質の添加により、さらにゲルに凝集/凝固され得る。
「ゾル−ゲル誘導シリカ」という用語は、ゾル−ゲル工程により製造されたシリカのことをいい、シリカは、アルコキシド、アルキルアルコキシド、アミノアルコキシドまたは無機ケイ酸塩溶液などの液相前駆体であって、加水分解反応および縮合反応により、ゲルに変わるか安定なゾルを形成するゾルを形成する液相前駆体から製造される。安定なシリカゾル中の液体は蒸発され、典型的にはコロイド状のシリカ粒子からなる粉末を形成する。得られたゲル/粒子は、任意にはエージング、乾燥および熱処理されてもよく、熱処理される場合には、好ましくは700℃未満で熱処理される。700℃未満で製造されたゾル−ゲル誘導シリカは、一般に非晶質である。ゾルは、形状付与のためにモールド中でゲルにされ得る。ゾル−ゲル誘導シリカは、例えば噴霧乾燥してマイクロ粒子にする、浸漬/排出/スピンコーティングしてフィルムにする、押出によりモノリシック構造にする、または紡糸により繊維にするなど、ゲル化、エージング、乾燥および形状付与により、異なるモルフォロジーへ加工することによって製造することもできる。
「ゲル化点」は、流動性のゾルが粘弾性でありかつ弾性が支配的であるゲルへと変わる時点を意味するものと解されるべきであり、これは小角振動ずりの下でのレオロジー測定において、弾性率G’が粘性率よりも大きいことにより示される。粘弾性質は一般に、レオメータ(ひずみ、ずり応力および時間の相関を決定するための測定装置)を用いて、ずり応力が小さい(ひずみ角度が小さい)振動ずりによって測定される。小振動ずりでの合計抵抗は、複素弾性率(G*)により表される。複素弾性率は、2つの要素を含む。1)弾性率G’、貯蔵率とも呼ばれ、物質が、固体物質に特徴的ないくらかの弾性性質を有することを示す。すなわち、ゲル系は、運動がゲル構造を破壊しない限りは振動動作からエネルギーを得る。このエネルギーは試料中に貯蔵され、弾性率により示される。2)粘性率G”、損失率とも呼ばれ、流動性質を示す。すなわち、シリカゾルなどの系は、例えば振動ずりにおいて粘性散逸として失われるエネルギーの部分を説明するゾルの成分間の運動を生じる。G*=G’のとき物質は弾性であり、G*=G”のとき物質は粘性である。ゲル化点で、弾性率G’が粘性率G”よりも大きくなる。G’がG”よりも大きい場合、粘弾性物質は半固体と呼ばれ、対してG”がG’よりも大きい場合、粘弾性物質は半液体と呼ばれる。弾性率および粘性率の大きさはずり応力に依存し、ずり応力は加えられるひずみ(小角ひずみ)および(振動ずりの)周波数に依存する。測定は、特定の測定系に対する適切なシグナルを確実にすることによって行われ、すなわち、レオメータ系に対する適切なシグナルおよび線形粘弾性領域を見つけるために、一般には一定の周波数でひずみ掃引が行われ、その後、実際の測定は、周波数を変えながら一定のひずみで行われる。周波数の変動が弾性率および粘性率の変動をもたらし、測定は、固相と液相のいずれが支配的であるかを示す。また、周囲条件が顕著に変わらない場合、弾性率はゲル化点後に速く上昇するということも典型的であり、例えば、ゲルに変わるpH=2でのR15ゾル(R=アルコキシドに対する水のモル比)など、室温に近い酸性ゾルから形成されたゲルでは、ゲル化点後数分でG’が100〜700倍増える。R150およびR400などのより大きなR値では、弾性率G’はゲル化点後も低いままであり、G’の増加は速くなく、これにより細い針で注射可能なままのゲル構造を有することが可能である。規定のゲル化点後のゲルの形状においては固体状態が優勢となるが、系は依然として可変量の液体を含み、材料は、典型的には乾燥前は柔らかく粘弾性で、十分に乾燥されると固く脆くなる。ゾルの形状においては、液体状態が優勢であるが、系は可変量の固相を含み、系は依然として流動性である。ゲル化点前は、動粘度および弾性率に急激な増加が観察されるのが典型的であって、これはゲル化点後も構造が発達するにつれて上昇し続ける。本発明の文脈において本発明のコンポジットのゲル化点は、本発明の注射可能なゲルを取得するよりも前に到達されている。
「注射可能な」とは、本発明の文脈においては、例えば針、カテーテルまたはそれらの組み合わせなどの外科的投与装置を介して投与可能であるということを意味する。
「ずり流動化性」とは、本願の文脈においては、組成物のレオロジー特性である。組成物のずり応力またはずり速度が変更される場合はいつでも、組成物は次第にその新たな平衡状態に向かって移動し、低いずり速度ではずり流動化性の組成物はニュートン流体よりも粘性が高く、高いずり速度では粘性が低い。ゆえにずり流動化性とは、流体の粘性、すなわち流体の流れに対する抵抗の測定値が、ずり応力の上昇率に伴い低下する作用のことをいう。
本発明の文脈において「線形粘弾性領域」とは、材料が全く破壊されないか、最小限にのみ破壊されるようなひずみ(変形)を選択する小振動ずりを用いて測定が行われることをいう。線形粘弾性領域を決定するために、振幅を徐々に増加させることによって一定の周波数でのひずみ掃引試験が行われる。振動測定(線形粘弾性領域内で行われる)において用いられる最大のひずみは、典型的には、掃引中の最も小さい振幅での貯蔵率と比べて、弾性率が5%未満で減少するように選択される。
「シリカ粒子」は、本発明の文脈においては、噴霧乾燥または液相合成によって、紡糸または延伸シリカ繊維の切断によって、シリカ・モノリスの成型または鋳造によって、また所定の粒子サイズを取得する必要がある場合には成型または鋳造されたシリカ・モノリスを粉砕することによって製造されるシリカの粒子のことをいう。本発明の文脈において液相合成とは、例えば、乳化重合、ゾル−ゲル法または分子の自己組織化のことをいう。本発明のシリカ粒子は、例えば実施例7のMalvern Mastersizer MicroPlus粒度分析計(マルバーン・インスツルメント)を用いて、レーザー回析法により定められる直径が1000μm以下である。本明細書の文脈における粒径とは、レーザー回析法により定められるものと同様のものをいう。本発明の文脈において「シリカ」とは、好ましくは、水を含むアモルファスシリカ、完全もしくは部分加水分解アモルファスシリカなどのアモルファスシリカ、またはケイ酸などの水溶解型シリカのことをいう。
本願、特に実施例において言及される「R値」とは、処方のアルコキシドに対する水のモル比により定められる。シリカ組成物は、例えばR6−50など2つのR値によっても表すことができ、この場合、6は、用いられる初期のモル比、50は、製造のある段階中の追加の水(またはアルコキシドに対する水のモル比が50となるのに必要な水の容量に対応する容量の、エタノールなどの他の液体)の添加後の、合計のアルコキシドに対する水のモル比に対応する。
「バースト」または「バースト放出」は、放出の開始時に放出される(組織内/中へ、組織液/体液内/中へ、疑似体液/疑似生理学的流体/疑似組織液内/中へ)カプセル化された薬剤の量のことと解されるべきである。文脈によって、すなわち、放出が数分間、数時間、数日間、数週間、数ヵ月間または数年間にわたって継続するかどうかによって、バーストは、数分間(またはそれ以下)、数時間、数週間または数週間に至るまでに生じると考えられ得る。本発明の文脈において放出は、典型的には、バーストの放出が全体の放出期間の3%以下の期間、好ましくは1%以下の期間内で、全体の放出の10%以上である場合には、バースト放出と考えられる。本願に例示される実施態様においては、バーストは最初の30〜60分内に生じる。
「カプセル化された薬剤」は、ゾル−ゲル誘導シリカ材料内にある薬剤、活性医薬成分(API)および他の機能的、治療的および生物学的に活性な薬剤であると解されるべきである。
本発明の文脈において生物学的に活性な薬剤とは、生物学的に活性である、すなわち生体組織、臓器または生物における統計学上有意な生物学的応答を誘導する任意の有機または無機薬剤をいう。生物学的に活性な薬剤は、医薬品、ペプチド、多糖またはポリヌクレオチド、例えば、DNAおよびRNAであり得る。これは、消化/代謝、血液および血栓、心臓血管、皮膚学上、泌尿生殖器、ホルモン、免疫学上、感染、癌、筋肉骨格、神経学上、寄生、眼科、呼吸器および感覚器などの治療領域における疾患の治療のための薬剤であり得る。さらに、骨粗鬆症、てんかん、パーキンソン病、疼痛および見当識障害のような疾患の治療のためでもあり得る。これは、ホルモン機能不全疾患の治療またはホルモン治療のための、たとえば避妊法、ホルモン置換療法またはステロイドホルモンを用いた治療のための薬剤であり得る。これは、さらに、抗生物質または抗ウイルス、抗炎症、神経保護、予防ワクチン、記憶増強剤、鎮痛剤(または複合鎮痛剤)、免疫抑制剤、抗糖尿病、または抗ウイルス剤のような薬剤であり得る。これは、抗喘息剤、抗痙攣薬、抗うつ剤、抗糖尿病薬、または抗新生物薬であり得る。これは、抗精神病薬、抗痙攣薬、抗コリン作動薬、交感神経作用薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、または利尿薬であり得る。これは、疼痛軽減または鎮静のための薬剤であり得る。これは、トランキライザーまたは見当識障害のための薬剤でもあり得る。薬剤は、遊離の酸または塩基の形態、塩または中性化合物であり得る。これは、ペプチド、たとえばレボドパ;または抗体断片であり得る。これは、ポリヌクレオチド、可溶性イオンまたは塩であり得る。
本発明の文脈において「活性医薬成分、API」という用語は、薬物(薬用)製品の製造において用いることを意図される任意の物質または物質の混合物のことをいい、薬物の製造において用いられる場合には、薬物製品の活性成分となる。このような物質は、疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防において薬理学的活性または他の直接的な効果を提供するか、または身体の構造または機能に影響を及ぼすことを意図される。
本発明の文脈において「固形分」とは、揮発性溶媒が蒸発した後に残る懸濁液中に含まれる非揮発性の物質の割合のことをいう。より詳細には、本発明のハイドロゲル組成物を得るために用いられるシリカゾルの固形分、または本発明のシリカハイドロゲル組成物の固形分のことをいう。
本発明の文脈において、ハイドロゲルコンポジットが特定の重量パーセント(wt%)のシリカ粒子を含むという場合、このwt%は、ハイドロゲルコンポジットを得るために用いられるシリカ粒子およびシリカゾルの量から計算される。すなわち、100gのシリカ粒子が900gのシリカゾルと混合される場合、ハイドロゲル組成物中のシリカ粒子のwt%は10wt%である。シリカハイドロゲルが最初にシリカ粒子の懸濁液を製造することによって得られる場合、この割合は、シリカハイドロゲル組成物の最終重量(すなわち、シリカ粒子の重量+シリカ粒子の懸濁液を作製するために用いられる液体の重量+シリカゾルの重量)に対する、最初のシリカ粒子の重量から計算される。
本発明の特徴
本発明、すなわち高いマイクロ粒子濃度を有するすべてのシリカマイクロ粒子−ハイドロゲルコンポジットは、その主要な特徴を、例えばゲルやマイクロ粒子などの本発明の個別の成分の特性と、ならびに、他のゲルおよびハイドロゲル系と比較することによって説明される。ドラッグデリバリーシステムとしてのゲルは、柔らかく、通常、ゲルになる前にゾルまたはマクロ分子溶液の形態で標的組織中へと注射できることから多くの場合で好ましい。しかしながら、このようなゲルは通常緩い構造を有し、これによりバースト(一般的な原理は図1に示す)をもたらす場合があり、また特に低分子の薬剤では拡散律速放出をもたらす場合もある。次にマイクロ粒子は、水や他の液体と容易に組み合わされて注射可能な懸濁液を形成するが、典型的なマイクロ粒子の製造プロセス中の比較的速い乾燥、すなわち、噴霧乾燥により、大量の薬剤が外側表面近傍に(特に高薬物含有量において)配置され得、これがバースト放出を引き起こす。
本発明は、別の成分からなるコンポジット製剤であって、放出が主にマトリクス(シリカマイクロ粒子)の生分解速度によって制御され、バーストが従来の制御された放出系と比較すると顕著に減少されているコンポジット製剤を提供する。コンポジット製剤の好ましい類型は、統合構造(integrated structure)において、同一のシリカモルフォロジーのものと比べて固有の制御された放出特性を有する、異なるシリカモルフォロジーのコンポジットである。また、異なるシリカまたは多糖モルフォロジーと組み合わされた多糖系材料などの他の物質も、材料そのままのものと比べて固有の制御された放出特性を備える材料をもたらす。本発明の特徴の1つは、この複合組成物が取り扱いやすく、別の成分を均質な注射可能な製剤へと混合するのが容易であることにある。
本発明において、コンポジット製剤の典型的な成分は、小粒子、ナノ粒子またはマイクロ粒子、好ましくは、例えば噴霧乾燥法により製造されるシリカ系マイクロ粒子、ならびにゾルおよび/または溶液(例えば、シリカゾル)である。成分の組み合わせ後、または成分の組み合わせ、および組織または組織液または疑似体液/組織液(または相当物)への適用後、ゲル、ハイドロゲルまたはオルガノゲル、好ましくはハイドロゲルと定義され得る統合構造が形成される。ゲルは好ましくはシリカ系ハイドロゲルであるが、例えば、キトサン系ハイドロゲルなどの多糖系ハイドロゲル、またはゲルの液相および固相の両方がいくつかの物質から構成され得るゲルであってもよい。本発明において典型的なゲルは、内に均質に分散した液体を備える連続した固相からなり、材料の弾性率は粘性率よりも高く、これは固相がコンポジット製剤の特性において支配的であることを示す。
複合組成物の重要な性質の1つは、例えば18〜25G(25Gの外径は0.5mm、内径は物によるが通常0.24mm以下、18Gの外径は1.27mm、内径は物によるが通常0.84mm以下)などの細い針によって注射可能であること、またはずり応力がより低いカテーテルまたはホース/チューブを通して適用される、粒子の大きさはより大きくてもよいが、好ましくは2mm未満であることである。複合組成物、すなわち本発明のコンポジットは、ずり流動化性であるため、注射可能、流動性および/または押出可能である。ゆえに本発明のコンポジットの粘度は、注射中などのずり応力によって実質的に減少されるが、注射後など、コンポジットがずり応力に晒されなくなると、ゲルの元々の粘度が復元される。ゆえに、ゲルおよび粒子の複合組成物の特徴の1つは、ゲルまたはマイクロ粒子懸濁液の注入性と比較した、本発明のコンポジットの注入性である。ゲル内への、マイクロ粒子などの粒子の添加は、ボールベアリングのように働くことができ、50wt%より大きいなど、高い粒子濃度での注入を容易にし、またはゲルの添加は、全体のレオロジー特性を変更することによってマイクロ粒子懸濁液の注入を容易にし得る。
本発明において、特定量の粒子、好ましくは全複合製剤50〜85wt%の粒子であって、好ましくは150μm未満の粒径分布を有する粒子が、シリカまたは他の材料などが1〜5wt0%の、典型的には低い乾燥重量を有するゾルおよび/または溶液と組み合わせられる。マイクロ粒子は、典型的には3〜45wt%(さらに高い濃度も可能である)の、薬物/活性医薬成分(API)または他の治療的または生物学的に活性な薬剤などのカプセル化された薬剤を含む。マイクロ粒子および/またはゾル/溶液の組み合わせ後、流動的で注射可能な統合構造が最初に形成され、その後統合構造は、製剤の処方によりまたはコンポジットが組織、組織液/体液または疑似体液/疑似生理学的流体/疑似組織液または相当物へと注入される時点を選択することにより制御され得る時間内に、ゲルコンポジット構造へと変わる(ゾル−ゲル転移)。流動性コンポジット製剤のいくつか、例えばシリカマイクロ粒子−シリカゾル系の製剤は、組み合わせ後、処方および/または保管温度により調節され得る時間内で自発的にゲルに変わる。流動性コンポジット製剤のいくつかは、組織、組織液または相当物へと注入された後にゲルに変わり得る。しかしながら、(ハイドロ)ゲルを形成する方法とは関係なく、得られるコンポジットの構造は、特にバーストの制御に関して、固有の制御されたデリバリー特性を有する。本発明においてバーストは、放出の開始時、典型的には最初の30〜60分以内に(組織、組織液/体液、および/または疑似体液/疑似生理学的流体/疑似組織液内へ/中へ)放出されたカプセル化された薬剤の量を測定することによって示される。例えば、30%のバーストとは、カプセル化された薬剤の合計量の30%が30〜60分以内に放出されることを意味する。
マイクロ粒子と組み合わせられた際[例えば、水中の2wt%のシリカまたはキトサンが、典型的には10:90〜50:50の重量比(ゾル/溶液対マイクロ粒子)でシリカマイクロ粒子と組み合わせられる]、すでに低乾燥重量の少量のゾルまたは溶液が制御された放出系を明らかに変更していることから、コンポジット製剤の特性は驚くべきものである。ゾル/溶液の添加はコンポジットのゲル構造の合計乾燥重量をわずかに増加させるのみであるが、結果として得られる構造は、マイクロ粒子またはゲルそのものと比較すると全く異なり、カプセル化された薬剤の制御放出に対する影響は顕著である。特に、カプセル化された薬剤のバーストは、マイクロ粒子またはゲルそのものからのバーストと比べて顕著に減少される。
本発明の典型的な実施例において、コンポジット製剤(シリカゾルまたは他のゾル/溶液、およびカプセル化されたモデル分子を備えるシリカマイクロ粒子から形成されるハイドロゲル)からの、親水性の高水溶性モデル分子のバーストは、マイクロ粒子またはゲルそのものと比較すると1/2〜1/4に減少した。疎水性薬物の分子については、対応するコンポジット製剤からのバーストにおいて観察された減少はさらに大きく、典型的には、マイクロ粒子またはゲルそのものと比較すると、コンポジット製剤からの放出は1/5〜1/20と少なかった(例えば、シリカマイクロ粒子そのものからは30%のバーストであったが、同一のシリカマイクロ粒子およびシリカゾルまたはキトサンゾル/溶液から製造されたハイドロゲルコンポジット製剤からは3%のみであった)。本発明の実施例は、マイクロ粒子およびゾル/溶液の組み合わされた構造がハイドロゲルになった場合、バーストに明らかな減少が観察されることを示す。しかしながら、対応するシリカマイクロ粒子が、ソルビタンモノステアレート系のオルガノゲルなど、オルガノゲル(液相が水ではない何らかの有機液体であって、固相が典型的には有機物質からなる)を形成する溶液と組み合わされる場合、バーストの減少は観察されない。ゆえに、得られるゲル構造中の水相が重要であり、バーストに影響を与える理由としていくつかの可能性がある。ハイドロゲル構造中の水相に加え、ゲルの粘性特性もバーストに影響する。
ハイドロゲルは、一般的なあらゆるゲルと同様に、固相が連続相で、液相が固相に均質に分散されている構造であって、この構造は非流動性と特徴付けることができる。「ハイドロゲル」の概念は、一般に、液相が水または水系溶液である場合に用いられる。あらゆるゲルについて、弾性特性(G’、弾性/貯蔵率により示す)は粘性特性(レオロジー法でG”、粘性/損失率により示す)よりも優勢となり、これは例えば小角振動ずりの下での線形粘弾性領域内で、例えばコーンプレート形状を有するレオメータを用いて、振動測定により測定され得る。シリカマイクロ粒子がゾルと組み合わされ、シリカマイクロ粒子およびゾルの組み合わせがハイドロゲルにならずに粘性の流動性混合物(例えば、異なる一定ひずみ、異なる周波数範囲にわたって、G’の粘性/損失率がG”(弾性/貯蔵)率よりも優勢であることにより示される)を形成する場合、バーストへの顕著な効果は観察されず、放出は単なるシリカマイクロ粒子のものと対応する結果となる。異なるハイドロゲルおよびそれらの性質を互いに比較すると、弾性率の大きさとバーストの減少との間に何らかの相関があり、これは、弾性率が高いハイドロゲルは、弾性率が低いハイドロゲルよりもわずかにバーストを減少するらしいということを意味する。しかしながら、弾性率が低いハイドロゲル構造について、バーストを顕著に減少させるという明らかな効果はすでに観察されている。
ハイドロゲルとオルガノゲルとの間のバースト結果における大きな違い、およびすでに示した低弾性率のハイドロゲルについてのバーストの明らかな減少は、ゲルの細孔中の水の存在、および/または、ハイドロゲルの細孔中のシリカの溶解生成物であるケイ酸の局所的な飽和により形成される統合構造を示唆し得る。本発明において、バーストの顕著な減少は、全てがシリカマイクロ粒子を含むコンポジット製剤に観察されるが、他の成分、ゾルまたは溶液の処方は、化学物質および異なる物質の量の両方に対して変化し得る。同様のバーストの顕著な減少は、シリカ系コンポジットのハイドロゲルおよびキトサン系コンポジットのハイドロゲルの両方に観察される。シリカは水への溶解性が低く、例えば、本発明のシリカマイクロ粒子など、アモルファス形態においては、中性pH、室温で約130〜150ppmである。溶解性は低いが、溶解速度は一般に速く、これは、シリカ系ハイドロゲルおよびキトサン系ハイドロゲルの両方の液相における(シリカに対する)局所的な飽和が早く起こりやすいことを意味し、最も高い可能性としては数分以内、少なくとも数時間以内である。これは、コンポジットのハイドロゲル構造中のシリカの、約50〜90wt%という典型的に高い合計濃度により裏付けられ、そのほとんどはシリカ系ハイドロゲルおよびキトサン系ハイドロゲルの両方でシリカマイクロ粒子の形態である。局所的な飽和が起こるということは、カプセル化されたAPI分子または相当物を含むシリカマイクロ粒子が、溶解液が拡散によりゆっくりと変化するときにのみ溶解することを意味する。これは、シリカマイクロ粒子がゆっくりと(シリカマイクロ粒子が溶解媒体中にそのままある状況と比べてかなり遅い)溶解することを意味し、ゆえにカプセル化されたAPIの、生分解に関連する放出も非常に遅い。バースト後の放出は単なるシリカマイクロ粒子と同等であることが一般的なことから、局所的な飽和が唯一の原因ではないようである。一般的な放出結果においてもいくらかの変化は観察され得るが、最も明らかな違いは放出の開始時のバーストにおいて観察される。
局所的な飽和に加えて、水の存在も、シリカマイクロ粒子間の統合をある種サポートしているようである。また、ゾル/溶液中に存在するシリカまたはキトサンも、マイクロ粒子と相互作用し、部分的にシリカマイクロ粒子間の「膠」として働き得る。シリカゾル−シリカマイクロ粒子系のハイドロゲル構造では、ゾル中のナノ粒子の存在および細孔中のケイ酸の飽和量の両方が、シリカマイクロ粒子表面間の縮合を強める場合もあり、このようにしてシリカマイクロ粒子構造は、より統合された構造へと「焼結」される。統合構造が形成され、実際にレオロジー測定により示されると、統合構造による効果は、放出媒体または相当物への溶解開始時に最も強くなるようである。統合構造は、平均拡散経路が長くなる構造を形成することは明らかである。より長い拡散経路は、マトリクス(シリカゲルなど、バルク侵食系に共通)の溶解(生分解)およびカプセル化された薬剤の放出の両方に影響を有する。シリカの溶解が進むと、統合構造の、制御放出に対する効果は弱まる。しかしながら、典型的には、3次元のゲル状の構造はバースト後も長時間保たれる。コンポジットのハイドロゲルが放出媒体または組織中に配置されると、ゾル(例えば、シリカゾル)由来の成分は、シリカマイクロ粒子よりも速く分解/溶解/崩壊すると考えられる。シリカゾル−シリカマイクロ粒子系のハイドロゲルにおいて焼結様構造が形成されると、シリカマイクロ粒子間で新たに形成される統合構造は、シリカマイクロ粒子自体よりも速く溶解するようである。ゾル中の成分量も、シリカマイクロ粒子と比較すると少ない。ゆえに、コンポジット構造の影響は、放出開始時に最も強く、バーストは顕著に減少されると考えられる。同様の現象は、キトサンマイクロ粒子およびキトサン溶液/ゾルから形成されるコンポジットのハイドロゲルなど、他の材料の組み合わせに関しても、例えばレオロジー測定によってハイドロゲルであると特徴付けられ得る統合構造を形成するように可溶性キトサンまたはキトサンナノ粒子が相互作用する限りは可能である。
しかしながら、シリカマイクロ粒子およびキトサンゾル/溶液から形成された複合ハイドロゲル組成物では、観察される放出結果が異なる。この場合、バーストおよび全体の放出速度の両方が顕著に遅くなる。このことはメカニズムが異なり、キトサン構造そのものが放出結果に著しく影響するということを示している。
ゾル製剤におけるR値は、TEOSに対する水のモル比のことをいい、例えばR150は、1モルのTEOSに対して150モルの水があることを示す。2つのR値、例えばR5−35は、初期のTEOSに対する水のモル比が5であり、加水分解後に系が水(またはエタノールなどの他の液体)により希釈されるので、噴霧乾燥において用いられる最終的なTEOSに対する水のモル比(または、TEOSに対する液体のモル比はR35の水の量に対応し、例えば、R35を得るために加えられたであろう水と同量のエタノールが加えられ、これはエタノールの添加が合計のゾル容量において同一のシリカの乾燥重量をもたらすことを意味する)が35であることを意味する。
本発明の実施例において、レオロジー測定の結果は、ゾルおよびゲルの構造および性質を表し、その結果はバーストおよび放出結果に対してなされた結論も支持する。レオロジー結果に基づき、シリカマイクロ粒子およびゾルを組み合わせると、得られる複合構造は、バーストの明らかな減少を得るためにハイドロゲルの形態でなければならないということがいえる。シリカマイクロ粒子と組み合わせた場合、シリカ系のゾルおよびキトサン系のゾルの両方がハイドロゲル構造を形成したが、全てシリカの構造、すなわちシリカゾルと組み合わされたシリカマイクロ粒子だけが、バーストのみに影響を与えた。複合ハイドロゲル構造に関しては、単なるシリカマイクロ粒子と比較するとバーストが明らかに減少した。ハイドロゲルが形成されないようにシリカマイクロ粒子がシリカゾルと組み合わされる場合、バーストへの効果は観察されない。また、オルガノゲルも試験され、バーストは全く影響を受けなかった。得られたシリカマイクロ粒子およびオルガノゲルの複合ハイドロゲル構造は、バーストに全く影響しなかった。
従来技術において、ハイドロゲルは、種々の粒子、大抵の場合種々の有機ゲルを備える有機ポリマー粒子と組み合わされており、またシリカマイクロ粒子も、活性医薬成分の放出速度論およびバーストを調節するために有機材料と組み合わされてきた。我々の知る限り、その中に、異なるモルフォロジーにある同一の材料の組み合わせ、特にシリカマイクロ粒子とシリカハイドロゲルの組み合わせなど、セラミック材料の組み合わせはなく、これまでに研究されてこなかった。シリカハイドロゲルと組み合わされたシリカマイクロ粒子など、異なるモルフォロジーにある同一の材料を用いると、結果として生じる材料は、毒物学、製品開発、安全性および機能の観点からより実用的である。マイクロ粒子およびハイドロゲルの両方が同一の化学物質を含み、同一の前駆体により作製される場合、化学物質および不純物の数が少なく、種々の物質の併用効果を調べる必要がなく、また材料が臨床用途に用いられる場合に、有害な影響が検出されるリスクが低い。シリカなどのセラミック材料と有機ポリマーが組み合わされる場合、生分解機序はより複雑または予測不能となり、これは例えば臨床用途における組織の炎症などのリスクを増やす。シリカなどのセラミック材料は、生理学的条件(組織中、組織液/体液中、または疑似組織液/体液中)においては水への溶解によってのみ分解する。酵素はセラミック材料を分解することはできないが、有機ポリマーの生分解には関与する。また、酵素系の分解はしばしばランダムに起こり、すなわち、酵素が構造を分解するので材料の多かれ少なかれ一部が埋め込み中に外れ、例えば、刺激および炎症を引き起こす。ゆえに、シリカマイクロ粒子−シリカハイドロゲルなどの、セラミック−セラミックの組み合わせは、より予測可能に分解し、酵素はこれらを分解することはできないので、構造中の突然の変化により引き起こされる例えばAPIの突然のより速い放出(長い埋め込み期間を経て起きる場合がある)は、セラミック系に対して起こる可能性はないが、これは有機ポリマー/材料に基づくあらゆる放出系に対しては起こり得る。ゆえに、有機ポリマーの濃度を低く維持すること、またはシリカマイクロ粒子−シリカハイドロゲルの組み合わせなど、有機ポリマーを完全に避けることが有益である。
また、多くの毒物学研究において必要な抽出研究は、例えば全てシリカのコンポジット構造などのセラミックデリバリーシステムについての方が、セラミック−ポリマーのコンポジットについてよりも計画しやすい。抽出に用いられる液体は、一般には、極性の液体(例えば、水)および無極性の液体(例えば、植物油)の両方が用いられるように構成される。抽出される材料が2種類の異なる物質、例えばセラミックおよびポリマーから構成される場合、抽出物が目的のすべての物質を含まないリスクが増え(材料中のセラミック部分およびポリマー部分では抽出時間が異なるため)、このためこの材料を後にインビボまたは臨床用途で適用する場合の有害作用のリスクを増やし得る。
同一の化学的性質は、例えば同一の材料の異なるモルフォロジー間での良好な相互作用に基づき、明らかな技術的利益も有し得る。例えばシリカ−シリカ系に予測され得るように、コンポジットの成分間の相互作用が強力な場合、シリカハイドロゲルに変わるゾル中のシリカ濃度が低くても顕著な効果を有し得る。ゲルは2つの異なる相からなる分散体であり、固形物が連続相であり、かつ支配的な役割(材料の特性に関して)を果たす。液相は分散された相であって、ハイドロゲルにおいて液相は水相である。ゲルは典型的には、ゾル(懸濁液)または溶液中の大きいポリマー分子またはナノ粒子の長い凝集体が重なり始めると形成され、最終的には固形物が液体よりも優勢となる構造を生じるさらに大きな塊または凝集体を形成し(濃度、温度などの変化により)、材料は流動性のゾル/溶液から非流動性の形態であるゲルへと変わる。ポリマーの性質および固形物のナノスケールの寸法により、ゾルおよび結果として生じるゲル中の固形分は少なく、典型的には5wt%未満、時には1wt%よりもかなり少ない場合があることも典型的である。この事実を、シリカ−シリカコンポジットなど、両方の成分が同一の化学的性質を有する系と組み合わせると、シリカゾル中のすでに低いシリカ濃度は、シリカマイクロ粒子と組み合わせると、固有の性質を備える興味深いハイドロゲル構造をもたらし得る。
シリカのポリマー構造は、典型的な有機ポリマーのポリマー構造とは明らかに異なるので、シリカ系ハイドロゲルは、一般には対応する有機ハイドロゲルほど強くない(例えば、堅くない)。純粋なシリカに基づく系は、実際には分子ポリマーを全く形成せず、オリゴマーを形成し、これは開始時には完全な線形であるが、オリゴマーのサイズが大きくなると、液体中に異なる固相を形成するナノスケール粒子へ「縮合する」環状構造へと変わる。液体中の、小さなナノスケール粒子の2相系は、典型的にはゾルと呼ばれる。いくつかのナノ粒子が形成されると、これらは凝集してポリマー構造に対応するより大きな構造となる。シリカナノ粒子間の相互作用は、ファンデルワールス力に基づき、極端な場合、非常に小さな粒子間で化学結合がある場合もある。あらゆる場合において、シリカ系の「モノマー」は、典型的な有機ポリマーにおけるモノマーよりもかなり大きいナノ粒子であって、凝集体の柔軟性も、有機ポリマー鎖の柔軟性とは異なる。ゆえに、シリカの糸状の「ポリマー構造」の直径が大きくなり、相互作用力も弱まると、得られる(ハイドロ)ゲルも弱くなり、通常は対応する(例えば、固形物の重量%が同一)有機ハイドロゲルよりも堅くない(典型的にはゲルの弾性率で観察される)。
この、弱い一般的なゲル構造と、シリカ粒子との強い相互作用の性質との組み合わせは、いくつかの固有の性質をもたらす。非流動性のシリカハイドロゲル構造により、シリカマイクロ粒子はコンポジットの混合物において均一なままである(あらゆる粘性系よりも良好である)。しかしながら、一般的なシリカハイドロゲル構造は比較的弱いので、ハイドロゲルは、例えば注射器の細い針を通してハイドロゲルを注射することなどによってずり応力を導入すると、容易に流動形態となり、この構造はずりが終了した後に非流動性に戻る。異なるシリカ成分間の良好な相互作用という観点から、ゾル中のシリカの乾燥重量が少なくても、シリカマイクロ粒子およびシリカナノ凝集体を、シリカマイクロ粒子中のAPIの放出に対して顕著な効果を有する1つのハイドロゲル構造へと統合する。統合構造はバーストを顕著に減少するようであるが、バースト後、放出はシリカマイクロ粒子自体から進む。これは、放出系の構成を単純にし、放出に関するシリカマイクロ粒子とハイドロゲルとの複合効果について大々的に調べる必要がない。バーストは、組み合わせられたシリカマイクロ粒子−シリカハイドロゲル構造によって著しく減少されるが、それ以外の放出はシリカマイクロ粒子によってのみ制御される。
本発明者らは、すでに、噴霧乾燥されたシリカマイクロ粒子が大幅に異なる生分解(溶解)速度(すなわち、放出速度も同様)を有するように調整され得ることを示した(M. Jokinen、R. Viitala、H. Jalonen, "method for preparing adjustably bioresorbable sol-gel derived SiO2"、国際公開第2005/082781号;R. Viitala、M. Jokinen、S. Tuusa、J.B. RosenholmおよびH. Jalonen, Adjustably Biodegradable Sol-Gel Derived SiO2 Matrices for protein Release(Journal of Sol-Gel Science and Technology 36(2005) p.147-156);R. Viitala、M. Jokinen、S-L. Maunu、H. Jalonen、J.B. Rosenholm, Chemical Characterisation of Bioresobable Sol-Gel Derived SiO2 Matrices Prepared at Protein-Compatible pH(Journal of Non-Crystalline Solids 351(2005) p.3225-3234));R. Viitala、M. JokinenおよびJ.B. Rosenholm, Mechanistic Studies on Release of Large and Small Molecules From Biodegradable SiO2(International Journal of Pharmaceutics、336(2007) p.382-390))。パラメータ(シリカゾル製剤および噴霧乾燥法のパラメータ)を適切に調節することにより、速い溶解速度を有する高密度構造(例えば、低比表面積により示される)を調製することが可能であり、その逆もまた同様である。換言すれば、小分子の薬剤であっても制御された方法で送達されるよう、また放出速度が非常に速く(数時間から数日)または遅く(数週間から数カ月)なるように調節され得るように、「化学的および物理的構造」を調節することが可能である。シリカマイクロスフェアの唯一の欠点は、時としてバーストが観察されることである。バーストは、例えば、薬剤の量の多さおよび/またはシリカゾルへの溶解性の低さにより、および/または、疎水性の違いの大きさにより、および/または、高速な乾燥プロセスにより、薬剤がシリカマイクロ粒子の外側表面近傍に集中した場合に起こる。噴霧乾燥されたシリカマイクロスフェアをシリカゾルと組み合わせた場合、バーストは、統合されたシリカマイクロスフェア−シリカゾル構造がハイドロゲルになると減少され得る。
粒子の大きさが充分に小さい場合、乾燥シリカ粉末と水との混合物(懸濁液)でもハイドロゲルになり得る。これは粒子の大きさに加え、シリカ粒子表面の遊離のOH基の数、粒子の細孔構造および細孔の大きさ、温度、pH、粒子の疎水性(カプセル化された薬物は疎水性に影響を及ぼす場合がある)、懸濁液中のシリカの乾燥重量および時間など、多くのパラメータに依存する。加水分解は、シリカ粒子が水中にある場合常に起こるが、上記のパラメータによっては数分かかる場合も数カ月かかる場合もあり、懸濁液がハイドロゲルになるまでに大規模な加水分解が必要とされることから、時間スケールは重要である。ドラッグデリバリーのために制御された放出マトリクスを作るという観点から、長時間かかって生じるゲル化は、カプセル化された薬物を備えるハイドロゲルの均質化に対して最良の方法ではない。迅速なゲル化は、シリカゾルへの薬物の溶解性が低い場合や、より多い生物学的に活性な薬剤を有する場合においても、薬物の均質な分散を確実にする。また、マイクロスケールのシリカ粒子(粒径1μm以上)は水で懸濁されるとゲルを形成しないということも典型的である。これは、均質な2相系には大きすぎる非コロイドサイズであるためであり、場合によっては、噴霧乾燥されたシリカマイクロ粒子の典型的な高密度外側構造による。しかしながら、すでにシリカゾル中にある少量のシリカナノ粒子(上により詳細に記載)が、バーストを減少させる潜在性のあるコンポジットのハイドロゲルを形成するのに充分である。
ゆえに、本発明では、新規な種類の注射可能な、全てシリカ系のシリカマイクロ粒子−シリカハイドロゲルによる制御された放出系が紹介され、これは種々のAPIおよび他の治療的および生物学的に活性な薬剤に関してバーストを著しく減少させる。
好ましい実施形態
本発明の好ましいシリカハイドロゲルコンポジットでは、シリカゾルは3wt%以下、好ましくは1wt%以下の固形分を有する。
典型的には、本発明のシリカハイドロゲルコンポジットを製造するために用いられるシリカ粒子は、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜30wt%のカプセル化された薬剤を含む。より厳密には、コンポジットは、典型的には0.1wt%以上、好ましくは0.3wt%以上、より好ましくは1wt%以上、さらに好ましくは3wt%以上、最も好ましくは5wt%以上のカプセル化された薬剤を含み、および/または、典型的には70wt%以下、好ましくは60wt%以下、より好ましくは50wt%以下、さらに好ましくは45wt%以下、最も好ましくは30wt%以下のカプセル化された薬剤を含む。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットを製造するために用いられるシリカ粒子は、典型的には1μm〜300μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜30μm、最も好ましくは1μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子である。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットを製造するために用いられるシリカ粒子は、典型的には50nm〜1000nm、好ましくは100nm〜1000nm、最も好ましくは200nm〜1000nmの直径を有する粒子である。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットは、典型的には80wt%以下、好ましくは30〜80wt%、最も好ましくは50〜80wt%のシリカ粒子を含む。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの固形分は、典型的には20wt%〜70wt%、好ましくは30wt%〜60wt%、最も好ましくは40wt%〜55wt%である。より厳密には、固形分は、典型的には20wt%以上、好ましくは30wt%以上、最も好ましくは40wt%以上、および/または、75wt%以下、好ましくは60wt%以下、最も好ましくは55wt%以下である。
線形粘弾性領域において小角振動ずりのもとで測定される本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの弾性率は、300kPa未満、好ましくは100kPa未満、最も好ましくは30kPa未満である。
本発明のいくつかの実施形態においてカプセル化された薬剤はフルオレセインである。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットのカプセル化された薬剤は、典型的には生物学的に活性な薬剤である。好ましくは生物学的に活性な薬剤は、ニモジピンなどの活性医薬成分、APIである。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットのカプセル化された薬剤の水溶性は、典型的には10mg/ml以下、より好ましくは3mg/ml以下、さらに好ましくは1mg/ml以下、さらに好ましくは0.3mg/ml以下、なおより好ましくは0.1mg/ml以下、最も好ましくは0.03mg/ml以下である。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットのカプセル化された薬剤の分子量は、典型的には10000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは1000以下、最も好ましくは100〜500である。
好ましくは、シリカ粒子は、噴霧乾燥されたシリカ粒子、シリカ繊維断片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのもの、またはその粉砕物からなる群より選択される。
典型的な本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの使用は、好ましくは10mm以下、より好ましくは3mm以下、さらにより好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.3mm以下の内径を備える針を通して注射可能である注射製剤、または、30mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは3mm以下、さらにより好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.3mm以下の内径を備えるカテーテルまたはチューブ用のフロー製剤のためのものである。
本発明のシリカハイドロゲルコンポジットの典型的な医療用途は、非経口投与または外科的埋め込みのためのものである。好ましくは、非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、心臓内投与、局所投与、経皮内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、脳内投与、脳室内投与、髄腔内投与、骨内投与、関節内投与、眼内投与、胸骨内投与、膀胱内投与、陰茎海綿体内投与からなる群から選択される。
本発明の好ましい方法において、シリカゾルは3wt%以下、最も好ましくは1wt%以下の固形分を有する。
本発明の方法で用いられるシリカ粒子は、典型的には、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜30wt%のカプセル化された薬剤を含む。より厳密には、シリカ粒子は、典型的には、0.1wt%以上、好ましくは0.3wt以上、より好ましくは1wt%以上、さらにより好ましくは3wt%以上、最も好ましくは5wt%以上のカプセル化された薬剤を含み、および/または、典型的には70wt%以下、好ましくは60wt%以下、より好ましくは50wt%以下、さらにより好ましくは45wt%以下、最も好ましくは30wt%以下のカプセル化された薬剤を含んでいる。
いくつかの実施形態において、本発明の方法で用いられるシリカ粒子は、1μm〜300μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜30μm、最も好ましくは1μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子である。
他の実施形態において、本発明の方法で用いられるシリカ粒子は、50nm〜1000nm、好ましくは100nm〜1000nm、最も好ましくは200nm〜1000nmの直径を有する粒子である。
本発明の典型的な方法は、80wt%以下、好ましくは30〜80wt%、最も好ましくは50〜80wt%のシリカ粒子を含むハイドロゲルコンポジットをもたらす。
本発明の典型的な方法は、固形分が20wt%〜75wt%、好ましくは30wt%〜60wt%、最も好ましくは40wt%〜55wt%であるハイドロゲルコンポジットをもたらす。より厳密には、固形分は、典型的には20wt%以上、好ましくは30wt%以上、最も好ましくは40wt%以上、および/または、70wt%以下、好ましくは60wt%以下、最も好ましくは55wt%以下である。
典型的には、本発明で用いられるシリカ粒子は、ゾル−ゲル法により製造される。好ましくはシリカ粒子は、噴霧乾燥されたシリカ粒子、シリカ繊維断片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのもの、またはその粉砕物からなる群より選択される。
図面
図1はバースト放出を示す。
図2は、15%(w/w)のニモジピンを充填したR6−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、R6−50MP中に15%(w/w)のニモジピンを充填したR6−50MP+R100の複合ハイドロゲル組成物(B)からの、ニモジピンの累積放出を示す。
図3は、R150ゲル(45mg/mlのニモジピン)(A)、6%(w/w)のニモジピンを充填したR5−35MP(B)、および、R5−35(MP)シリカマイクロ粒子中に6%(w/w)のニモジピンを充填したR5−35(MP)シリカマイクロ粒子+R150シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(C)からの、ニモジピンの累積放出を示す。放出の最初の6時間を別に拡大グラフに示す。拡大グラフは、バースト(60分間での放出量)の違いを示す。
図4は、30%(w/w)のニモジピンを充填したR4−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、R4−50MP中に30%(w/w)のニモジピンを充填したR4−50MPシリカマイクロスフェア+R150シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(B)からの、ニモジピンの累積放出を示す。
図5は、15%(w/w)のニモジピンを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、R5−50MP中に15%(w/w)のニモジピンを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子+R300シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(B)からの、ニモジピンの累積放出を示す。
図6は、15%(w/w)のニモジピンを充填したR6−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、R6−50MP中に15%(w/w)のニモジピンを充填したR6−50MPシリカマイクロ粒子+R400シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(B)からの、ニモジピンの累積放出を示す。
図7は、15%(w/w)のニモジピンを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、R5−50MP中に15%(w/w)のニモジピンを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子+R500シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(B)からの、ニモジピンの累積放出を示す。
図8は、2%キトサンゲル(ニモジピンの濃度が105mg/mlのキトサンゾル/溶液)(A)、30%(w/w)のニモジピンを充填したR4−50MPシリカマイクロ粒子(B)、および、R4−50MP中に30%(w/w)のニモジピンを充填したR4−50MPシリカマイクロ粒子+2%キトサンゾル/溶液から形成される複合ハイドロゲル組成物(C)からの、ニモジピンの累積放出を示す。バースト(30分での放出量)は、複合ハイドロゲル組成物では0%(60分で0.1%)、キトサンゲルで1.7%、R4〜50MPで30.3%である。
図9は、6%(w/w)のニモジピンを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子(A)、および、フロー中のR5−35MP中に6%(w/w)のニモジピンを充填したR5−35MPシリカマイクロ粒子+R150シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(B)からの、流入溶解でのニモジピンの放出を示す。溶解媒体の流速は500ml/日であった。
図10は、R150シリカハイドロゲル(105mg/mlフルオレセイン)(A)、15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子(B)、および、R5−50MP中に15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロスフェア+R150シリカゾルから形成される複合ハイドロゲル組成物(C)からの、フルオレセインの累積放出を示す。
図11は、2%キトサンゲル(52.5mg/mlフルオレセイン)(A)、15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子(B)、および、R5−50MP中に15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子+2%キトサンゾル/溶液から形成される複合ハイドロゲル組成物(C)からの、フルオレセインの累積放出を示す。
図12は、2%SMSゲル(105mg/mlフルオレセイン)(A)、15%SMSゲル(105mg/mlフルオレセイン)(B)、15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MP(C)、R5−50MP中に15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子+2%SMSから形成される複合オルガノゲル組成物(D)、およびR5−50MP中に15%(w/w)のフルオレセインを充填したR5−50MPシリカマイクロ粒子+15%SMSから形成される複合オルガノゲル組成物(E)からの、フルオレセインの累積放出を示す。
図13は、15%(w/w)のフルオレセインを充填したシリカマイクロ粒子R5−50MP(A)、15%(w/w)のフルオレセインを充填し、シリカマイクロ粒子の濃度が0.1g/mlのR15シリカゾル+R5−50MPの複合流動性組成物(B)、および、15%(w/w)のフルオレセインを充填し、シリカマイクロ粒子の濃度が0.5g/mlのR15シリカゾル+R5−50MPの複合流動性組成物(C)からの、フルオレセインの累積放出を示す。
図14は、シリカマイクロ粒子R5−35MP(6%(w/w)のニモジピン充填)およびシリカゾルR150から形成される複合ハイドロゲル組成物(測定前、室温で閉鎖アルミニウム箔内に保管される閉鎖注射器において1日間エージングされる)に対する弾性(貯蔵)率(G’)および粘性(損失)率(G”)を示す。
図15は、シリカマイクロ粒子R6−50MP(15%(w/w)のニモジピン充填)およびシリカゾルR400から形成される複合ハイドロゲル組成物(室温で閉鎖アルミニウム箔パッケージ内で1週間エージングされる)に対する弾性(貯蔵)率(G’)および粘性(損失)率(G”)を示す。
図16は、シリカマイクロ粒子R6−50MP(15%(w/w)のニモジピン充填)およびシリカゾルR400から形成される、新鮮な(シリカゾルおよびシリカマイクロ粒子の組み合わせの直後、複合組成物がハイドロゲルになる、すなわち、6時間以内に測定)複合ハイドロゲル組成物に対する弾性(貯蔵)率(G’)および粘性(損失)率(G”)を示す。
図17は、15%(w/w)のフルオレセインを充填し、シリカマイクロ粒子の濃度がR15シリカゾルの0.1g/mlである、R15シリカゾル+R5−50MPの複合流動性組成物に対する弾性(貯蔵)率(G’)および粘性(損失)率(G”)を示す。
図18は、シリカマイクロ粒子R4−50MP(30%(w/w)のニモジピン充填)および2%キトサンゾル/溶液から形成される複合ハイドロゲル組成(複合ハイドロゲル組成物は50mMのトリス緩衝液で20時間37℃で培養される)に対する弾性(貯蔵)率(G’)および粘性(損失)率(G”)を示す。
図19は、2つの異なるエージングタイム(A=注射器内、室温で6時間、B=閉鎖アルミ箔内、室温で1週間)での、シリカマイクロ粒子R6−50MP(15%(w/w)のニモジピン充填)およびシリカゾルR400から形成される複合ハイドロゲル組成物に対するずり速度の関数として動粘度を示す。
以下の実験セクションにおいて、実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1
シリカマイクロ粒子(MP)および種々のゾルまたは溶液からのゲル状複合組成の製造
ゾル−ゲル誘導シリカマイクロ粒子(MP)は、TEOS(テトラエチルオルトシリケート=テトラエトキシシラン、シグマ−アルドリッチ)をシリカの前駆体として使用して製造された。種々の処方の複数のマイクロ粒子のバッチが同じ一般的な手順によって製造された。初期R=H2O/TEOS(モル比)はR4からR6の間で変化し、計算され、全ての試料における初期pHはpH2として(pHを調製するためにHClが使用された)。ゾルのpH調整前に、加水分解が、室温(21〜23℃)で25分間、連続混合下でなされた。加水分解後、ゾルは、R=H2O/TEOSが35〜50に相当するように、エタノールで希釈された(4〜6の初期R=H2O/TEOSから、35〜50のRを得るために必要な水の容量と同容量のエタノールが使用された)。例えば、製剤「R4−50MP」は、シリカゾルの初期R=H2O/TEOS(モル比)が4であり、エタノールで希釈後にR=35となる、つまり、R=35を得るために必要な水と同容量のエタノールが添加される、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子の製剤を示す。実際のpH調整の前に、全てのゾルは、ゲルの形成を避けるために0℃まで冷却された。pHは、全ての試料について、連続的に撹拌しながら0.1MのNaOH(メルク、Titripur(登録商標))を添加することにより、5.9に上昇された。すべてのゾルは、pHの調整直後、Buechi B−191噴霧乾燥器によってマイクロ粒子へと噴霧乾燥された(噴霧乾燥器のパラメータ:入口温度:100〜120℃;出口温度:55〜79℃;アスピレータ:32m3/h;供給流:3.0ml/分;噴霧気流:600L/h)。
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子と混合されるシリカゾル(SS)は、TEOS(テトラエチルオルトシリケート=テトラエトキシシラン、シグマ−アルドリッチ)を前駆体として使用して製造された。R=H2O/TEOS(モル比)がR15〜R500(シリカ約12〜0.65wt%に相当)の複数の異なるシリカゾルが製造および計算され、すべての試料における初期pHをpH2とした(pHを調整するためにHClが使用された)。ゾルのpH調整前に、加水分解が、室温(21〜23℃)で25分間、連続混合下でなされた。pHは、連続的に撹拌しながら0.1MのNaOHを添加することにより、5.5〜5.9に上昇された。pH調整の後、シリカゾルは直ちに噴霧乾燥マイクロ粒子と混合された。
シリカゾル(SS)中のシリカマイクロ粒子(MP)の濃度は、0.1g/mlから1.0g/mlの間で変化した。形成されたシリカマイクロ粒子−シリカゾル懸濁液を注射器に移した。シリカマイクロ粒子(MP)とシリカゾル(SS)の複合組成物は室温でハイドロゲルを形成し、ハイドロゲルの形成時間は、シリカゾル(SS)に応じて15分(R15)から1週間(R400およびR500)の間で変化した。複合組成物についてのハイドロゲルの形成はシリカゲルそのものについてよりもゆっくりであり、マイクロ粒子の濃度が高いほどゲル形成は遅くなった。
シリカマイクロ粒子(MP)はまた、他の材料とも組み合わされ、異なるゲル構造を生じた。キトサンゾル/溶液がシリカマイクロ粒子−キトサンハイドロゲルを形成するために使用され、ソルビタンモノステアレート(SMS)がシリカマイクロ粒子−SMSオルガノゲルを形成するために使用された。
キトサン(シグマ−アルドリッチ)を室温で1%(v/v)酢酸(メルク)に溶解することによって、2%(w/v)のキトサンハイドロゲルが製造された。キトサン溶液は、NaHCO3を添加する前に、氷浴を用いて約0℃にまで冷却された。NaHCO3の濃度は、1.0MのNaHCO3溶液(メルク)を添加することによって、0.1Mに調整された。CO2の放出後、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)を、濃い(目視により、高粘性である)キトサンゾル/溶液中に懸濁した。キトサンゾル/溶液中の噴霧乾燥シリカマイクロ粒子の濃度は0.5g/mlであった。形成されたシリカマイクロ粒子(MP)−キトサン懸濁液を注射器に移した。複合組成物は高粘度のゾルを形成し、これは放出速度測定のために溶解媒体中に移される前には変化しなかった。この複合組成物は、室温の閉鎖されたアルミニウム箔内で、少なくとも7日間、室温で流動性のままであるが、37℃の50mMトリス緩衝液のような、生理液または体液を模した媒体に注射されると、30分未満でゲルに変化した。
ソルビタンモノステアレート(SMS、シグマ−アルドリッチ)およびオリーブオイルをオルガノゲルの前駆体として使用した。2%(w/v)SMSおよび15%(w/v)SMSをオリーブオイル中に60℃で60分間溶解した。冷却およびゲルの形成前に、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)を、濃い(目視によって高粘性である)SMS溶液中に懸濁した。噴霧乾燥シリカマイクロ粒子の濃度は1.0g/mlであった。形成されたシリカマイクロ粒子(MP)−SMS懸濁液を注射器に移した。複合組成物は、冷却中の数時間以内にオルガノゲルを形成した。
シリカマイクロ粒子自体が、「0%シリカのシリカゾル」、すなわち水中においてゲルを形成するかどうかも試験した。噴霧乾燥によって製造された、マイクロ粒子の2つの異なるバッチ(粒度分布が2.80〜32.58μmであるR5−35、および粒度分布が1.82〜10.33μmであるR15)を、水(室温(22〜23℃)およびpH6.8)と、水1ml中にシリカマイクロスフェア1gの濃度で混合した。これら噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)懸濁液は、室温(22〜23℃)で、閉鎖されたアルミニウム箔内の注射器内に保管された場合、どちらも1カ月以内にはハイドロゲルに変化しなかった。
実施例2
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)中へのニモジピンのカプセル化、および噴霧乾燥マイクロ粒子と、シリカゾル(SS)、キトサン溶液およびSMS溶液との複合組成物の製造
分子量418.44の、疎水性かつ難水溶性の薬物分子(12μg/ml、DrugBank)である、ニモジピン(Shangong Xinhua Pharmaceutical Co.)を、種々の噴霧乾燥シリカマイクロ粒子製剤(R4−50MP、R5−35MP、R5−50MP、およびR6−50MP)内にカプセル化した。ニモジピンは、マイクロ粒子を製造するために使用されたシリカゾル中に添加した。ニモジピンの添加は、エタノールによる希釈後、かつ、冷却、pH5.9へのpH調整、および噴霧乾燥の前に行った。種々のマイクロ粒子製剤中のニモジピン(充填量%)の濃度は6〜30%(w/w:カプセル化された分子(ニモジピン)の重量と、製剤におけるシリカの理論上の重量との間の重量比)の間で変化した。
カプセル化されたニモジピンを含む噴霧乾燥マイクロ粒子(MP)は、pH5.5〜5.9へのpH調整の後、かつ注射器への移送前に、シリカゾル(SS)(R15、R150、R300、R400およびR500)と混合された。シリカゾル(SS)中のこの噴霧乾燥マイクロ粒子(MP)の濃度は、0.1g/ml〜1.0g/mlの間で変化した。シリカマイクロ粒子(MP)とシリカゾル(SS)との複合組成物(R4−50+R150、R5−35+R150、R5−50+R500およびR6−50+R400)は、室温でゲルを形成し、ゲルの形成時間は、シリカゾル(SS)処方に応じて、15分間(R15)から1週間(R400およびR500)の間で変化した。
カプセル化されたニモジピンを含む噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(R4−50MP)はまた、2%(w/v)のキトサン溶液とも混合された。噴霧乾燥シリカマイクロ粒子中のニモジピンの濃度は30wt%であり、キトサンゾル/溶液中のマイクロ粒子の濃度は、それぞれ0.5g/mlであった。キトサンゾル/溶液中へのマイクロ粒子の添加は、CO2の放出後に行われた。キトサンゾル/溶液は、室温21〜22℃の保冷状態で保管することにより、流動形態が維持される。形成されたシリカマイクロ粒子(MP)−キトサン懸濁液を注射器に移した。複合組成物は、放出速度測定のために溶解媒体中に移される前にはゲルに変化しない、高粘度のゾルを形成した。前記複合組成物は、室温の閉鎖されたアルミニウム箔で、少なくとも2か月間、室温で流動性のままであるが、37℃の50mMトリス緩衝液のような、生理液または体液を模した媒体に注射されると、30分未満でゲルに変化した。
ニモジピンはまた、2つの異なるゲル、R150および2%キトサンに直接カプセル化された(すなわち、単なるゲルのみへのニモジピンのカプセル化)。ニモジピンの濃度はそれぞれ、R150シリカゾル中で45mg/ml、2%キトサンゾル/溶液中で105mg/mlであった。ニモジピンの濃度は、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子およびゾル/溶液を含む対応する複合組成物中のニモジピンの量と同じとした。R150シリカゾルのpH調整後、かつキトサン溶液へのNaHCO3の添加後、かつゲルの形成前に、ニモジピンが添加された。形成された、ニモジピン−シリカゾル混合物およびニモジピン−キトサンゾル/溶液混合物を注射器に移した。ニモジピンを含むR150シリカゾルは1.5〜2時間以内にゲルに変化し、キトサンゾル/溶液は、放出速度測定のために溶解媒体中に移される前にはゲルに変化しない、高粘度のゾルを形成した。このキトサン組成物は、室温の閉鎖されたアルミニウム箔で、少なくとも7日間、室温で流動性のままであるが、37℃の50mMトリス緩衝液のような、生理液または体液を模した媒体に注射されると、30分未満でゲルに変化した。
実施例3
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)中へのフルオレセインのカプセル化、および噴霧乾燥マイクロ粒子と、シリカゾル(SS)、キトサン溶液およびSMS溶液との複合組成物の製造
分子量332.31の、親水性かつ高水溶性モデル分子(800μg/ml)である、フルオレセイン(シグマ−アルドリッチ)を、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(R5−50MP)内にカプセル化した。フルオレセインは、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子を製造するために使用されたシリカゾルに添加した。フルオレセインのゾルへの添加は、希釈後、かつ、冷却、pH5.9へのpH調整および噴霧乾燥の前に行われた。噴霧乾燥シリカマイクロ粒子中のフルオレセインの濃度(充填量%)は15%(w/w:カプセル化された分子(フルオレセイン)の重量と、製剤におけるシリカの理論上の重量との間の重量比を意味する)であった。次に噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(MP)は、pH5.9へのpH調整後、かつ注射器への移送前に、シリカゾル(SS、R150)と混合された。シリカゾル中の噴霧乾燥シリカマイクロ粒子の濃度は1.0g/mlであった。複合組成物は室温(21〜23℃)で18〜20時間(一晩)以内にゲルを形成した。
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(R5−50MP)はまた、2%キトサン溶液とも混合された。噴霧乾燥シリカマイクロ粒子中のフルオレセインの濃度は15wt%であり、2%キトサン溶液中のマイクロ粒子の濃度は0.5g/mlであった。マイクロ粒子の添加は、CO2の放出後、およびゲルの形成前に行われた。形成されたシリカマイクロ粒子(MP)−キトサン懸濁液を注射器内に移した。複合組成物は、放出速度測定のために溶解媒体中に移される前にはゲルに変化しない、高粘度のゾルを形成した。この複合組成物は、室温の閉鎖されたアルミニウム箔内で、少なくとも7日間、室温で流動性のままであるが、37℃の50mMトリス緩衝液のような、生理液または体液を模した媒体に注射されると、30分未満でゲルに変化した。
噴霧乾燥シリカマイクロ粒子(R5−50MP)はまた、2%SMS溶液および15%SMS溶液とも混合された。噴霧乾燥シリカマイクロ粒子中のフルオレセインの濃度は15wt%であり、SMS溶液中のマイクロ粒子の濃度は1.0g/mlであった。マイクロ粒子は、ゲルの形成前に、60℃に温められた溶液と混合された。形成されたシリカマイクロ粒子(MP)−SMS懸濁液を注射器内に移した。複合組成物は、冷却中の数時間以内にゲルを形成した。
フルオレセインはまた、R150シリカハイドロゲル、2%キトサンハイドロゲル、2%SMSおよび15%SMSオルガノゲルの4つの異なるゲル内に直接カプセル化された。すなわち、フルオレセインは単純なゲルのみにカプセル化された。フルオレセインの濃度はそれぞれ、2%キトサンハイドロゲル中で52.5mg/mlであり、R150、2%SMSおよび15%SMSゲル中で105mg/mlであった。フルオレセインの濃度は、噴霧乾燥シリカマイクロ粒子およびゾル/溶液の対応する複合組成物中のニモジピンの量と同じであった。フルオレセインは、pH調整後(R150シリカハイドロゲル)、またはNaHCO2添加後(有機ハイドロゲル、すなわちキトサン)、ゾル/溶液中に、または、ゲルの形成前に温められた溶液(オルガノゲル)中に添加した。形成されたフルオレセイン−ゾル/溶液の混合物を注射器に移した。複合組成物は、自発的に(R150およびオルガノゲル)、または放出速度測定のために溶解媒体中に移されたときに(キトサンハイドロゲル)、ゲルに変化した。
実施例4
ハイドロゲル、シリカマイクロ粒子およびそれらの複合組成物からのニモジピンのバースト
カプセル化されたニモジピンを含む、ハイドロゲル、シリカマイクロ粒子(MP)およびハイドロゲルとシリカマイクロ粒子との複合組成(製剤および組成は表1に示す)を、50mMトリス+0.1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、シグマ−アルドリッチ)緩衝液(37℃でpH7.4)に浸漬し、シンク条件(c(SiO2)が30ppm未満、すなわち、c(SiO2)が同じ条件で、特定のSiO2の溶解度の20%未満)におけるバーストを調べた。複合組成物において、ニモジピンはシリカマイクロ粒子内にのみカプセル化されている。異なる時点でのニモジピンの濃度は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC−UV)を用いて検出した。クロマトグラフ分離は、Gemini 5μ C18 110a、150×2.0mm(Phenomenex、または相当物)分析HPLCカラムで得られた。移動相は、アセトニトリルと15mMリン酸水素緩衝液との混合物(60:40v/v)から構成されていた。異なる組成物からのニモジピンの放出は、図2〜8にニモジピンの累積放出として示されている。R150シリカゲルは、溶解媒体に浸漬されたとき、ゲル状であったが、キトサン溶液/ゾルは、溶解媒体に注射された後にゲルに変化した。表2に、ゲルおよびゾル/溶液のエージングタイム(ゾル/溶液の製造から放出速度測定の開始までの時間)が示される。ゆえに、調べられたすべての材料はゲル状であった。バースト(表2に結果を示す)は、シリカやキトサンハイドロゲル、またはシリカマイクロ粒子と比べて、すべての複合組成物で減少した。R5−50MPおよびR500シリカゾルから形成された複合ゲル構造(この実施例において最も少ないシリカ乾燥重量を含むシリカゾル)は、対応する他の複合組成物に比べ、バーストを少ししか減少させなかった。
Figure 2016522243
ニモジピンのバーストはまた、2つの異なる処方;シリカマイクロ粒子(R5−35MP)と、シリカマイクロ粒子R5−35MPおよびシリカゾルR150から形成された複合ハイドロゲル組成物とについて、流入溶解法を用いて測定された。流入溶解法において、マイクロ粒子および複合ハイドロゲル組成物は、150mlの50mMトリス+0.1%(w/v)SDS緩衝溶液(37℃でpH7.4)と共に試料容器内に移され、溶解媒体は、347μl/分(約500ml/日)の流速で、試料容器に送り出すことによって連続的に取り換えられた。シリカ組成物からのニモジピンのバーストは、図9に示される(A=6%のニモジピンを充填したR5−35MP、B=R5−35MP+R150)。複合ハイドロゲル組成物からのバーストは、シリカマイクロ粒子からのバーストと比べてごくわずかであった。
Figure 2016522243
実施例5
ゲル、シリカマイクロ粒子およびそれらの複合組成物からのフルオレセインのバースト
カプセル化されたフルオレセインを含む、ハイドロゲル、オルガノゲル、シリカマイクロ粒子、およびそれらの複合組成物を、シンク条件[c(SiO2)が30ppm未満、すなわち、c(SiO2)が、同じ条件で、特定のSiO2の溶解度の20%未満]におけるフルオレセインのバーストの測定のために、50mMトリス緩衝溶液(37℃でpH7.4)に浸漬することによって調べた。複合組成物においては、フルオレセインはシリカマイクロ粒子内にのみカプセル化されている。異なる時点でのフルオレセイン濃度は、分光光度計(JascoV−560)を用いて測定され、452μmで吸光度を分析した。異なるシリカ組成物からのフルオレセインのバースト結果は、フルオレセインの累積放出として図10に示される(A=R150シリカハイドロゲル、B=R5−50MPシリカマイクロ粒子、およびC=R5−50MPシリカマイクロ粒子+R150シリカゾルから形成された複合ハイドロゲル組成物)。フルオレセインのバーストは、R150シリカハイドロゲルにおいて最も高く(66.1%)、R5−50MPにおいてはより低く(11.3%)、R5−50MP+R150の複合ハイドロゲル組成物において最も低かった(5.3%)。バースト%は、それぞれの製剤における、カプセル化されたフルオレセインの総量から計算された。
2%キトサンハイドロゲルからのフルオレセインのバーストは、シリカマイクロ粒子からのものよりも低かったが、複合ハイドロゲル組成物からのものよりも高かった。バースト結果は図11に示される(A=2%キトサンハイドロゲル、B=R5−50MPシリカマイクロ粒子、C=R5−50MPシリカマイクロ粒子+2%キトサンゾル/溶液から形成された複合ハイドロゲル組成物)。キトサンハイドロゲルからのフルオレセインのバーストは6.7%であり、R5−50MPシリカマイクロ粒子からは11.3%であり、R5−50MPシリカマイクロ粒子+2%キトサンゾル/溶液から形成された、複合ハイドロゲル組成物からは2.8%であった。キトサンハイドロゲルそのものからのバーストは比較的低かったが、それとは別に、放出はシリカマイクロ粒子および複合ハイドロゲル組成物からのものより速かった。しかし、明らかに最もバーストが低かったものは、複合ハイドロゲル組成物のものであった。
製造された両方のオルガノゲル製剤からのフルオレセインのバーストは非常に高かった(2%SMSゾルからは59.8%、15%SMSゲルからは59.1%)。15%SMSオルガノゲル製剤は、製造工程の最後の冷却中にゲルを形成したが、2%SMS製剤はゲルを形成せず、粘性で、ゆっくりと流動するゾル状であった。オルガノゲル製剤のエージングタイムは、バーストおよび放出速度測定のために溶解媒体に浸漬される前の1日間であった。オルガノゲル製剤がシリカマイクロ粒子と組み合わされると、得られる複合オルガノ組成物は、シリカマイクロ粒子R5−50MPからのバーストと比べると、まったくバーストを減少させなかった。結果は図12に示されている。フルオレセインのバーストは、複合オルガノ組成物からのものと同程度またはそれよりさらに高く、R5−50MPシリカマイクロ粒子からは11.3%、R5−50MPシリカマイクロ粒子+2%SMSから形成された複合組成物からは13.7%、およびR5−50+15%SMSから形成された複合組成物からは17.5%であった。
実施例6
シリカマイクロ粒子から、およびシリカゾルとシリカマイクロ粒子との複合流動性組成物からのフルオレセインのバースト
ハイドロゲルのモルフォロジーそのものがバーストに関して重要であるかを調べるために、R15シリカゾルと、15%(w/w)のフルオレセインを充填するシリカマイクロ粒子R5−50とから形成された、異なる2つの複合流動性組成物が製造された。カプセル化されたフルオレセインを含むシリカマイクロ粒子R5−50MPは、2つの異なる濃度でR15シリカゾルと組み合わされた(シリカマイクロ粒子0.1g/シリカゾル1ml、シリカマイクロ粒子0.5g/シリカゾル1ml)。製造されたシリカゾル製剤(R15)は、他の実施例における複合ハイドロゲル組成物の製造に使用されたゾル(R100−500)よりも多く固形分を有するが、これは、流動性ゾルがバーストに影響を与えた場合、シリカの固形分をより多く含むシリカゾルである可能性がより高くなると予測され得るためである。しかし、図13の結果によると、シリカゾルはバーストに全く影響しない。カプセル化されたフルオレセインを含むR5−50MPシリカマイクロ粒子からのバーストは11.3%であり、このシリカマイクロ粒子が0.1mg/mlの濃度でR15シリカゾルと組み合わされた場合は16.5%、このシリカマイクロ粒子が0.5mg/mlの濃度でR15シリカゾルと組み合わされた場合は14.7%であった。ゆえに、実施例4および5のハイドロゲルの結果と組み合わせると、本実施例の結果は、シリカマイクロ粒子からのバーストを減少させるためには、非流動性の構造、たとえば、ハイドロゲルが必要であるということを示している。
実施例7
シリカの粒度分布
Malvern Mastersizer MicroPlus粒度分析計(マルバーン・インスツルメント)を使用して粒度分布が測定された。粒子は、分散剤として4%(v/v)のSpan(商標)を使用してイソオクタン中に分散された。装置は、約1時間ウォームアップされ、約100mlの分散媒(4%のSpan(商標)を含むイソオクタン)が試料分散ユニットに加えられた。バックグラウンドがまず測定され、分散媒に使用された。約50mgのシリカマイクロ粒子を2mlの分散媒に添加することによって、新たな試料が製造され、混合物は、約1分間超音波にかけられ(超音波処理)された。適切なオブスキュレーション値(すなわち、16〜25%)に達するまで混合物を撹拌下、試料分散ユニット中に滴下し、粒度分布が測定された。粒度分布およびオブスキュレーションが一定に保たれている(すなわち、シリカマイクロ粒子が、溶解せず、分散媒中に良好に分散されている)ことを確認するために、各試料に対して、5分間で少なくとも3回の測定が行われた。
以下の表3に、結果を要約する(3回の測定の平均値)。
Figure 2016522243
実施例8
シリカマイクロ粒子懸濁液、シリカゾルおよびゲルの、およびシリカマイクロ粒子とゲルとゾルとの複合組成物のレオロジー測定、および、複合ハイドロゲル組成とカプセル化されたニモジピンの放出との関係
異なる組成物に関する弾性率、粘性率および動粘度を測定するために、レオメータ(直径60mmのプラスチックプレートの測定ヘッドを備えたAR2000Ex、TAインスツルメント、ドイツ)を用いて、レオロジー測定を行った。図14、15および16は、シリカマイクロ粒子およびシリカゾルから形成された複合ハイドロゲル組成物の弾性率および粘性率を示す。図14および15における複合ハイドロゲル組成物は、共に、バーストを明らかに減少させる、全てシリカのハイドロゲル構造についての例である。図14の、シリカマイクロ粒子R5−35MP[6%(w/w)のニモジピンを充填]およびシリカゾルR150から形成された複合ハイドロゲル組成物(閉鎖したアルミニウム箔のパッケージの中で、室温で1日間エージング)の弾性率は、振動測定において異なる角半径で、14kPaの水準である。弾性率は、比較的緩いハイドロゲル構造を表しているが、バーストに対する効果は明白であった(同一の複合ハイドロゲル組成物のバースト結果は表2および図3に示されている)。図15の、シリカマイクロ粒子R6−50MP[15%(w/w)のニモジピンを充填]およびシリカゾルR400から形成された複合ハイドロゲル組成物(閉鎖されたアルミニウム箔のパッケージの中で、室温で1週間エージング)の弾性率はさらに低く、4kPaの水準であり、シリカマイクロ粒子そのものと比べて、バーストを著しく減少させたもう1つの緩んだハイドロゲル構造を表している(対応する複合ハイドロゲル組成物のバースト結果は、表2および図6に示されている)。シリカゾルとシリカマイクロ粒子とを組み合わせ、複合組成物がハイドロゲルに変化した直後に測定された、同一の複合ハイドロゲル組成物{R6−50MP[15%(w/w)のニモジピンを充填]と、シリカゾルR400から形成}の弾性率および粘性率はさらに低く(図16に示す)、ハイドロゲル構造を表すのみならず、1日間以内のエージングでのハイドロゲル構造の発達も表している。しかしながら、閉鎖されたアルミニウム箔のパッケージの中で、室温で1日間エージングされた複合ハイドロゲル組成物{R6−50MP[15%(w/w)のニモジピンを充填]と、シリカゾルR400から形成}は、依然として18〜25Gのような細い針での注射が容易であり、すなわち、比較的緩んだハイドロゲル構造が流動形態に変化し、注射後に再びゲル化し、得られるハイドロゲルはバーストを明らかに減少させる。
15%(w/w)のフルオレセインを充填し、シリカマイクロ粒子濃度が0.1g/mlのR15シリカゾル+R5−50MPの複合流動性組成物の弾性率および粘性率(図17)は、この複合組成物がゲルに変化していない(粘性率が弾性率よりも高い)ことを示している。バーストと放出結果の相関関係もまた明白である。図13に示すように、流動性複合組成物は、実際にはバーストおよび全体の放出速度にまったく影響しなかった。ゆえに、バーストに影響を及ぼすためには、全てシリカの系に対してハイドロゲル構造が必要である。
図18に、シリカマイクロ粒子R4−50MP[30%(w/w)のニモジピンを充填]と2%キトサンゾル/溶液[シリカの乾燥重量が約2.05%、R150シリカゾルに対応]から形成された複合ハイドロゲル組成物の弾性率および粘性率が示される。この複合組成は、室温の閉鎖されたアルミニウム箔内で、少なくとも7日間、室温で流動性のままであるが、37℃の50mMトリス緩衝液のような、生理液または体液を模した媒体に注射されると、30分未満でゲルに変化した。放出試験の間に、複合ハイドロゲル組成物の物質特性を特徴付けるために、振動測定の前に、複合ハイドロゲル組成物を50mMトリス緩衝液中で、37℃で20時間インキュベートした。弾性率は、全てシリカの構造よりも明らかに高く(約200kPa)(図14および15に結果)、より硬いゲル構造を表している。閉鎖されたアルミニウム箔内、室温で1日間エージングされた、対応する全てシリカの系(R5−35MPおよびシリカゾルR150(シリカを約2%含む)から形成される複合ハイドロゲル構造)と比べると、弾性率は、全てシリカの構造に対して約14分の1である。より硬いハイドロゲル構造(R4−50MP[30%(w/w)のニモジピンを充填]および2%キトサンゾル/溶液から形成)は、バーストを非常に良好に減少させるが、図8に示されるように、カプセル化されたニモジピンの全体の放出を明らかに減速させる。ニモジピンの充填%は、シリカマイクロスフェア中において30%であるが、放出速度の全体の減少は著しい。しかし、R5−35MPおよびシリカゾルR150(シリカを約2%含む)から形成された、複合ハイドロゲル構造に対しては、図3に示されるように、バーストのみが影響を受けるか、全体の放出がわずかにのみ変化する(他のシリカ製剤の対応する結果は、たとえば図2、4、5、6および7に示される)。ニモジピンおよび他のカプセル化された分子の全体の放出速度は、シリカマイクロ粒子処方のみに基づき大規模に調整可能であるため、これは、複合化された全てシリカのハイドロゲル構造にとって潜在的な利点である。複合化された全てシリカのハイドロゲル構造において、バーストのみが影響を受ける場合、全体の放出速度は、依然としてシリカマイクロ粒子処方に基づいている。ハイドロゲル構造がバーストおよび全体の放出速度の両方に著しく影響を与える(減速させる)ため、対応するキトサン系の放出系の制御はより複雑である。このことを、全てシリカのハイドロゲルシステムはハイドロゲルとして保管可能である(カプセル化された薬剤の均一分布を確実にする。これは、常に多少は流動している粘性系においては不確実である)ということ、および全てシリカのハイドロゲル系は、18〜25Gのような細い針で注射されると流動形態に変化し{このずり流動化性の挙動は、図19に、シリカマイクロ粒子R6−50MP[15%(w/w)のニモジピンを充填]から形成される複合ハイドロゲル組成物に関して示す}、注射後に再びゲル化すること、と組み合わせると、全てシリカのハイドロゲル構造は、使用および制御された放出に関して、設計がより容易であると言うことができる。
他の好ましい実施形態
当然のことながら、本発明のコンポジットおよび方法は、様々な実施形態で具体化することが可能であり、本明細書に開示されているのはそのうちの数例のみに過ぎないことが理解されるだろう。例えば、コンポジットおよび方法の実施形態がそれぞれに、対応する方法およびコンポジットを有することは当業者にとって明らかである。この分野の当業者にとって、他の実施形態が存在し、そして本発明の意図から逸脱することがないことは明らかである。ゆえに、記載された実施形態は、例示的であって、限定的であると解釈されるべきではない。

Claims (28)

  1. a)シリカ以外のカプセル化された薬剤を含み、1000μm以下の最大直径を有するシリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として
    b)シリカゾル
    と混合することにより得られるシリカハイドロゲルコンポジットであって、
    i)前記シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
    ii)前記シリカハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、
    iii)前記ハイドロゲルコンポジットがずり流動化性である
    シリカハイドロゲルコンポジット。
  2. シリカゾルが、3wt%以下、好ましくは1wt%以下の固形分を有することを特徴とする請求項1記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  3. シリカ粒子が、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜30wt%のカプセル化された薬剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  4. シリカ粒子が、1μm〜300μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜30μm、最も好ましくは1μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  5. シリカ粒子が、50nm〜1000nm、好ましくは100nm〜1000nm、最も好ましくは200nm〜1000nmの直径を有する粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  6. ハイドロゲルコンポジットが、80wt%未満、好ましくは30〜80wt%、最も好ましくは50〜80wt%のシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  7. コンポジットの固形分が、20wt%〜75wt%、好ましくは30wt%〜60wt%、最も好ましくは40wt%〜55wt%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  8. 線形粘弾性領域において小角振動ずりのもとで測定される弾性率が、300kPa未満、好ましくは100kPa未満、最も好ましくは30kPa未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  9. カプセル化された薬剤がフルオレセインであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  10. カプセル化された薬剤が生物学的に活性な薬剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  11. 生物学的に活性な薬剤が、活性医薬成分、APIであることを特徴とする請求項10記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  12. APIがニモジピンであることを特徴とする請求項11記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  13. カプセル化された薬剤の水溶性が、10mg/ml以下、より好ましくは1mg/ml以下、さらに好ましくは0.3mg/ml以下、さらに好ましくは0.1mg/ml以下、最も好ましくは0.03mg/ml以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  14. カプセル化された薬剤の分子量が、10000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは1000以下、最も好ましくは100〜500であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  15. 前記シリカ粒子は、噴霧乾燥されたシリカ粒子、シリカ繊維片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのものまたはその粉砕物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジットの、注射可能な製剤のための使用。
  17. カプセル化された薬剤を投与するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  18. 投与が非経口であるか、または埋め込みによるものであることを特徴とする請求項17記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  19. 投与が非経口であり、かつ静脈内投与、動脈内投与、心臓内投与、局所投与、経皮内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、脳内投与、脳室内投与、髄腔内投与、骨内投与、関節内投与、眼内投与、胸骨内投与、膀胱内投与および陰茎海綿体内投与からなる群から選択されることを特徴とする請求項18記載のシリカハイドロゲルコンポジット。
  20. シリカ以外のカプセル化された薬剤を含み、かつ1000μm以下の最大直径を有するシリカ粒子を、そのまま、または懸濁液として、シリカゾルと混合するシリカハイドロゲルコンポジットの製造方法であって、
    i)前記シリカゾルの固形分が5wt%以下であり、
    ii)前記シリカハイドロゲルコンポジットが85wt%以下の前記シリカ粒子を含み、
    iii)前記ハイドロゲルコンポジットがずり流動化性である
    製造方法。
  21. シリカゾルが3wt%以下、好ましくは1wt%以下の固形分を有することを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. シリカ粒子が、0.1〜70wt%、好ましくは0.3〜50wt%、最も好ましくは1〜30wt%のカプセル化された薬剤を含むことを特徴とする請求項20または21記載の方法。
  23. シリカ粒子が、1μm〜300μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜30μm、最も好ましくは1μm〜20μmの直径を有するマイクロ粒子であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. シリカ粒子が、50nm〜1000nm、好ましくは100nm〜1000nm、最も好ましくは200nm〜1000nmの直径を有する粒子であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  25. ハイドロゲルコンポジットが、80wt%未満、好ましくは30〜80wt%、最も好ましくは50〜80wt%のシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. コンポジットの固形分が、20wt%〜75wt%、好ましくは30wt%〜60wt%、最も好ましくは40wt%〜55wt%であることを特徴とする請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. シリカ粒子がゾル−ゲル法により製造される請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. シリカ粒子が、噴霧乾燥されたシリカ粒子、シリカ繊維片、および成型または鋳造されたシリカ・モノリスそのものまたはその粉砕物からなる群から選択されることを特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
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