JP2016518357A - 骨格筋幹細胞を若返らせる方法および組成物 - Google Patents

骨格筋幹細胞を若返らせる方法および組成物 Download PDF

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Abstract

骨格筋幹細胞を若返らせるための方法および組成物が開示されている。一部の態様では、本発明は、骨格筋幹細胞の若返りを必要とする対象における骨格筋幹細胞を若返らせる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したデオキシリボ核酸(DNA)のパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。

Description

本出願は、2013年4月8日に出願された米国仮出願第61/809,784号の利益を請求し、その教示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、米国国立衛生研究所により授与されたUO1 HL100402、RO1 AG033053、R01 AG032977およびR01 AG040019の下で、政府援助によりなされた。政府は本発明における特定の権利を有する。
成体幹細胞における加齢依存性機能不全は、細胞内因性および外因性インプットの両方に起因し得る。加齢した幹細胞の機能的減退の根底にある決定的な機構は、依然として理解が困難である。したがって、骨格筋、肝臓およびCNSのように多様な組織における加齢関連の変化を促進または反転することができる因子を同定する必要がある(WagersおよびConboy、Cell 2005年;122巻、659頁;Ruckhら、Cell Stem Cell 2005年;10巻、96頁)。
WagersおよびConboy、Cell 2005年;122巻、659頁 Ruckhら、Cell Stem Cell 2005年;10巻、96頁
本明細書に記載されている方法および組成物は、骨格筋幹細胞の若返り(rejuvenate)、骨格筋再生の促進、運動耐久性の改善、骨格筋の加齢関係の障害に伴う骨格筋変性の再生、および骨格筋の状態の処置、防止または反転に有用である。
一部の態様では、本発明は、骨格筋幹細胞の若返りを必要とする対象における骨格筋幹細胞を若返らせる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したデオキシリボ核酸(DNA)のパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。
一部の態様では、本発明は、骨格筋再生の促進を必要とする対象における骨格筋再生を促進する方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋再生を促進する方法を提供する。
一部の態様では、本発明は、骨格筋の状態の処置または防止を必要とする対象における骨格筋の状態を処置または防止する方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋の状態を処置または防止する方法を提供する。
一部の態様では、本発明は、筋肉減少症の処置または防止を必要とする対象における筋肉減少症を処置または防止する方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における筋肉減少症を処置または防止する方法を提供する。
一部の態様では、本発明は、筋肉修復の増加を必要とする対象における筋肉修復を増加させる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、これにより、対象における筋肉修復を増加させる方法を提供する。
一部の態様では、本発明は、対象におけるミトコンドリア生合成を増加させる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、筋原線維およびミトコンドリアの形態の改善、対象における異型ミトコンドリアおよび膨張ミトコンドリアの低下、空胞(vacuole)の蓄積の低下、ならびに規則的なサルコメアパターン形成および原線維間の(interfibrillar)ミトコンドリアパターン形成の回復を引き起こし、これにより、対象におけるミトコンドリア生合成を増加させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア機能における斯かる改善は、対象の筋肉における増殖因子活性化受容体ガンマ共活性化因子1α(PGC−1α)の増加に関連またはこれを含むことができる。
ある特定の態様では、本発明は、サテライト細胞再生機能の増強、増加または回復を必要とする対象におけるサテライト細胞再生機能を増強、増加または回復させる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、サテライト細胞再生機能の斯かる回復は、対象の骨格筋幹細胞における蓄積されたDNA損傷の反転を伴う。他の実施形態では、サテライト細胞機能の斯かる回復は、対象における頻度および/または数の増加、再生する筋線維のサイズの増加、筋原性コロニー形成の効率の増加、および/または無傷核のパーセンテージの増加を伴う。
一部の実施形態では、本発明は、対象における筋肉修復の効率または頑強性を増加させる方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象における筋肉損傷からの復旧を増加または加速させる方法を提供する。
一部の態様では、本発明は、強度(例えば、筋肉強度)または運動耐久能力(例えば、筋肉耐久性)の増加を必要とする対象における強度または運動耐久能力を増加させる方法であって、対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与し、これにより、強度または運動耐久能力を増加させるステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、組成物は、GDF11ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む。
一部の態様では、本発明は、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
一部の態様では、本発明は、骨格筋幹細胞の若返りを必要とする対象における骨格筋幹細胞を若返らせるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、対象におけるGDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる使用に関する。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。
一部の態様では、本発明は、骨格筋再生の促進を必要とする対象における骨格筋再生を促進するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、対象におけるGDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋再生を促進する使用に関する。
一部の態様では、本発明は、骨格筋の状態の処置または防止を必要とする対象における骨格筋の状態を処置または防止するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋の状態を処置または防止する使用に関する。
一部の態様では、本発明は、筋肉修復の増加を必要とする対象における筋肉修復を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、これにより、対象における筋肉修復を増加させる使用に関する。
一部の実施形態では、本発明は、サテライト細胞のミトコンドリア生合成の増加を必要とする対象におけるサテライト細胞のミトコンドリア生合成を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、筋原線維およびミトコンドリアの形態の改善、異型ミトコンドリアおよび膨張ミトコンドリアの低下、空胞の蓄積の低下、ならびに規則的なサルコメアパターン形成および原線維間のミトコンドリアパターン形成の回復を引き起こし、これにより、対象におけるミトコンドリア生合成を増加させる使用に関する。
一部の態様では、本発明は、強度(例えば、筋肉強度)または運動耐久能力(例えば、筋肉耐久性)の増加を必要とする対象における強度または運動耐久能力を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象における強度または運動耐久性の増加を引き起こす使用に関する。
一部の実施形態では、骨格筋の状態は、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折(bony fracture)、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱からなる群から選択される。
一部の態様では、本発明は、筋肉減少症の処置または防止を必要とする対象における筋肉減少症を処置または防止するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における筋肉減少症を処置または防止する使用に関する。
一部の実施形態では、対象は、加齢による骨格筋の状態と診断されている。
一部の実施形態では、組成物は、対象の体循環におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋組織におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる。
一部の実施形態では、組成物は、単離されたまたは組換えGDF11ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、組成物は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのうちいずれかのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドのホモ二量体を含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのうちいずれかのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドの複合体を含む。
一部の実施形態では、組成物は、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントをコードする核酸を含む。
一部の実施形態では、組成物は、静脈内、皮下、動脈内および筋肉内からなる群から選択される経路により投与される。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルは、少なくとも100%増加される。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルは、健康な参照レベルの少なくとも75%まで増加される。
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも一図面を含有する。カラー図面入りの本特許または特許出願公開の写しは、請求および所要の手数料の納付により、特許商標庁によって提供される。
図1は、加齢した筋肉幹細胞の機能の加齢依存的変更を示す。(A)若齢または加齢マウスの凍結傷害(cryoinjury)後の7日目にH&Eによって染色した、再生する前脛骨(TA)筋横断面の代表的な像。(B)若齢または加齢マウスの再生する筋肉(凍結傷害後7日目)における筋線維サイズの度数分布。(C)若齢(白カラム)または加齢(黒カラム)マウスから単離されたサテライト細胞の筋原性コロニー形成効率。(D)アルカリコメットアッセイによる、若齢または加齢マウスから新鮮に単離されたサテライト細胞におけるDNA損傷の定量化。異なる色は、示されている通り、コメットの異なるスコアを表す(図4も参照)。(E)若齢または加齢マウスから新鮮に単離されたサテライト細胞におけるリン酸化H2AXフォーカス(緑色)の代表的免疫蛍光像(100×拡大率、核はDAPIで染色(青色))。定量化を下に示す。全グラフは、5〜8回の独立した実験の平均+/−標準偏差を表す。C、DおよびEにおける統計解析のためにステューデントt検定を行った。Bにおける統計解析のためにステップダウンボンフェローニ法を使用した。
図2は、加齢した筋肉幹細胞における機能およびゲノム統合性の若返りを示す。(A)異時性(heterochronically)(Het)連結マウスの加齢パートナー(n=7ペア)および同時性(isochronically)(iso)連結マウスの若齢または加齢パートナー(n=5ペアのIso−若齢および5ペアのIso−老齢)から収集された細胞のフローサイトメトリーによって解析されたサテライト細胞頻度。(B)IsoまたはHet連結マウスの若齢または加齢パートナーから単離されたサテライト細胞の筋原性コロニー形成効率。(C)アルカリコメットアッセイによって検出された、IsoまたはHet連結マウスの若齢または加齢パートナーから新鮮に単離されたサテライト細胞におけるDNA損傷解析。(D)IsoまたはHet連結ペアの若齢または加齢パートナーから新鮮に単離されたサテライト細胞におけるリン酸化H2AXフォーカス(緑色)の代表的免疫蛍光像(1群当たりn=3匹のマウスを解析)。100×拡大率のDAPIで染色した核(青色)およびリン酸化H2AX(緑色)の共焦点zスタックからの映像としてデータを示す。定量化を下に示す。全グラフは、5〜7回の独立した実験の平均+/−標準偏差を表す。統計解析のためにステューデントt検定を使用した。
図3は、rGDF11のin vivo処置による、老齢筋肉および筋肉幹細胞の機能の若返りを示す。(A)ビヒクル(上パネル)またはGDF11処置した(下パネル)加齢マウスの凍結傷害後7日目における、再生する前脛骨筋の代表的H&E染色。(B)ビヒクルまたはGDF11処置した加齢マウスの凍結傷害後7日目における、再生する筋肉における筋線維サイズの度数分布。統計解析のためにステップダウンボンフェローニ法を使用した。(C)ビヒクル(n=7)またはGDF11(n=8)処置した加齢雄のフローサイトメトリーによって解析されたサテライト細胞の頻度(生細胞の%)。(D)ビヒクルまたはGDF11処置した加齢マウスから単離されたサテライト細胞の筋原性コロニー形成効率。(E)アルカリコメットアッセイによって検出された、若齢マウスまたはビヒクルもしくはGDF11処置した加齢マウスから新鮮に単離されたサテライト細胞におけるDNA損傷の定量化。異なる色は、示されている通り、コメットの異なるスコアを表す。CおよびDのグラフは、6〜7回の独立した実験の平均+/−標準偏差を表す。t検定により統計的有意性を決定した。
図4は、新鮮に選別されたサテライト細胞(即ち、骨格筋幹細胞)において行われたコメットアッセイの結果を示す。(A)コメットアッセイの視覚的スコアリングキー。スコアは、右上隅に示されており、0〜4のスケールによって損傷の程度を表し、0は損傷なしであり、4は最大損傷である。数値は、また、図1Dと同様の定量化のために色分けされている。(B)若齢(上、2月齢)および加齢(下、24月齢)由来のサテライト細胞核の代表的コメット像。加齢マウス由来の筋肉幹細胞核は、若齢マウス由来の筋肉幹細胞と比較して増加したDNA損傷を示す。
図5は、バリアントヒストンH2AXのリン酸化形態(pH2AX)に対する免疫反応性増加も表示した、単離された筋線維におけるPax7染色筋肉幹細胞を示す。(A)単離された筋線維の加齢および若齢Pax7+核におけるpH2AX(緑色)の代表的免疫蛍光像。拡大率20×、挿入図は63×。(B)(A)と同様に染色した若齢または加齢サテライト細胞の間の%pH2AX+核の定量化。3回の独立した実験のデータをコンパイルした。各黒菱形は、単一線維のデータを表す(1群当たりn=30線維を解析)。オレンジ色の線は、平均±SDを表す;マン・ホイットニー検定により、表示のP値を計算した。
図6は、qRT−PCRによる、筋原性分化、細胞周期またはDNA損傷に関連する遺伝子転写物の発現解析(A)、または筋肉切片(TA切片)、選別された筋肉幹細胞(サテライト細胞)もしくは対照としての照射したマウス胚線維芽細胞(MEF)における老化細胞を検出するためのSA−βGalアッセイ(B)を示す。加齢マウス由来の筋肉幹細胞は、若齢サテライト細胞と比較して、より高レベルのMyoDならびにより低レベルのp21およびRedd1を示す(A)。加齢マウスの筋肉切片または選別された筋肉幹細胞において細胞老化は検出されなかった(B)。
図7は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド(問い合わせ配列:ヒトGDF11前駆体ポリペプチドの残基62〜407)およびヒトGDF8前駆体ポリペプチドのアライメントを描写する。
図8は、ヒトGDF11前駆体ペプチド(問い合わせ配列:ヒトGDF11前駆体ポリペプチドの残基47〜407)およびマウスGDF11前駆体ペプチドのアライメントを描写する。
図9は、mdxマウスにおける照射した若齢GFP+サテライト細胞の生着低下を描写する。(A)筋肉内注射により非照射(0rad)または照射した(50または100rad)GFP+サテライト細胞(8週齢雄GFP−トランスジェニックドナー由来)を移植したmdxレシピエントから得たTAの横断凍結切片の代表的な像。(B)連続的横断切片の直接的落射蛍光によって解析された、レシピエント当たりのGFP+線維の最大数を表す棒グラフ。1群当たりn=3動物の平均±SEMとしてデータを示し、ステューデントt検定を使用してp値を計算した。(C)移植に使用したGFP+サテライト細胞により行った、アルカリ単一細胞ゲル電気泳動アッセイの定量化。照射した細胞間におけるDNA損傷の増加を示す。データは、3回の実験複製の平均±SDを表す。DNA損傷アッセイの色分けした視覚的スコアリングキーおよび統計的有意差のみを示すp値を、上および右に示す。
図10は、4〜5週間連結された並体結合動物を図解し、コンジェニック白血球表面抗原の解析により、動物のサブセットにおける交差循環を確認した。代表的プロットが示されており、これは、一方の若齢パートナーをCD45.1(青色)の発現によりマークし、他方のパートナーをCD45.2(淡褐色)の発現によりマークした、同時性および異時性並体結合体(parabiont)におけるパートナー由来細胞の交差生着を示す。CD45は、キメラ循環を循環する白血球細胞の起源の識別を可能にする汎白血球マーカーである。若齢−同時性、若齢−異時性および加齢−同時性または加齢−異時性並体結合ペア由来の若齢(青色または淡褐色)または加齢(濃褐色)パートナーの脾細胞におけるCD45.1対CD45.2コンジェニック血液マーカーのパーセンテージをゲート毎に示す。本研究者らは、22月齢CD45.1マウスが利用不可能のため、加齢−同時性ペアにおけるキメラ現象を評価することができなかった;しかし、GFP−マークマウスを使用した先の研究を含む、このモデルに関する本研究者らの幅広い経験は、これらの十分にアイソジェニックなペアにおいて交差循環が有効に確立されたことを以前に実証した。異時性ペアは、同齢の同時性ペア(若齢−若齢または加齢−加齢)と常に比較して、並体結合外科手術それ自体のいかなる影響も除外した。
図11は、若齢または加齢サテライト細胞におけるBrdU取り込みを示す。ヒストン標識マウスを使用した研究は、休止筋肉におけるサテライト細胞の分率の増加が、若齢マウスと比較して加齢マウスにおいて細胞周期を進め、加齢サテライト細胞におけるDNA損傷の蓄積が、より増殖性の加齢サテライト細胞プールにおける失速または崩壊した複製フォークの数の増加に起因し得る可能性を高めることを示す。若齢循環に曝露された加齢サテライト細胞におけるDNA損傷の修復が、若齢全身性シグナルへの曝露後にこれらの細胞がその通常の静止状態に戻ることにより起こり得るか検査するために、本研究者らは、並体結合連結の持続時間(4週間)の間中BrdUを動物に摂取させることにより、同時性または異時性並体結合体における分裂周期細胞を全て標識した。(A)異時性連結マウスの若齢または加齢パートナーおよび同時性連結マウスの若齢または加齢パートナーから収集されたサテライト細胞核におけるBrdU染色の代表的免疫蛍光像。全事例において、BrdU+核の頻度は極めて低く、マウスの4群間の差は検出できなかった。(B)5匹の加齢および5匹の若齢マウス(並体結合において連結されない)の未傷害または心臓毒傷害された後肢筋肉から収集された細胞のフローサイトメトリーによって解析された、BrdU+サテライト細胞の頻度。データを平均±SDとして示し、p値をマン・ホイットニー検定により計算し、有意差のみを示した。BrdU取り込みは未傷害筋肉において異なっておらず、傷害後に、若齢と比較して加齢筋肉から収集されたサテライト細胞において低下した。これらのデータは、サテライト細胞増殖性経緯の変化が、本研究者らが異時性並体結合後に観察したゲノム統合性またはサテライト細胞機能の変更を説明する可能性が低いことを示し、加齢サテライト細胞が、再生の合図に応答して損なわれた活性化を示すという概念を支持する。
図12は、TGF−β1、ミオスタチンおよびGDF11の局所および全身レベルにおける加齢依存的変更を描写する。若い循環に曝露された加齢マウスにおける筋肉幹細胞機能を回復させる全身性シグナルを解明し始めるために、本研究者らは、特にTGF−βファミリーメンバーに着目して、若齢および加齢マウスにおける年齢バリアント血液由来因子を探した。(A)若齢および加齢雄マウスにおけるELISAによってアッセイされた、血漿(左パネル、希釈1:40)または粉砕した筋肉抽出物(右パネル、希釈1:10)におけるTGF−β1のレベル。(B)若齢および加齢雄マウスにおけるELISAによってアッセイされる通り、血漿(左パネル、希釈1:40)または粉砕した筋肉抽出物(右パネル、1:3)におけるミオスタチン(MSTN)のレベル。全グラフは、平均±SEMを表し、t検定を使用して統計的有意差のみを示すp値を計算した。(C)毎日注射の28日後の、ビヒクルまたはrGDF11処置マウスの血漿および筋肉におけるGDF11レベルのウエスタン解析。等量(100μg)の血漿タンパク質を各レーンにロードし、組換えGDF11(rGDF11)を対照として左にロードした。各実験カテゴリーにおいて3(上)または4(下)匹の個々の動物のデータを示す。これらのデータは、GDF11の内在性レベルが、血漿中と同様に骨格筋において年齢と共に低下すること、また、28日間のrGDF11注射が、若齢および老齢動物の血漿(上)ならびに加齢マウスの筋肉(下)における成熟GDF11(12.5kDa)のレベルの増加に十分であることを実証する。毎日0.1mg/kgのrGDF11を投与した加齢マウスにおけるGDF11の血漿レベルは、全般的に、若齢(2月齢)マウスよりも低いままであり、よって、若いレベルへのGDF11の完全補充が、その若返り効果の一部に必須とは限らないことを示唆する。
図13は、rGDF11が、加齢筋肉における再生する線維の横断面面積を増加させるが、若齢または加齢マウスの未傷害筋肉における筋線維のサイズに影響を与えないことを図解する。(A)図3Bのために解析した全再生線維の平均横断面面積μmを表す棒グラフ。解析に使用した動物数を各バー内に示す。(B)傷害されていない若齢対側性対照前脛骨(TA)筋肉の筋肉線維の度数分布(左)および平均横断面面積μm(右)。(C)傷害されていない加齢対側性対照TAの筋肉線維の度数分布(左)および平均横断面面積μm(右)。平均横断面面積データは、平均±SEMを表し、図示されているp値は、ステューデントt検定を使用して計算した。ウィルコクソン正確確率検定により度数分布を解析したところ、未傷害筋肉に関して、若齢+ビヒクル対若齢+rGDF11または加齢+ビヒクル対加齢+rGDF11は統計的有意差を示さなかった。よって、rGDF11は、傷害後に再生する筋肉における筋線維サイズの加速された復旧を刺激するが、本明細書で試験した用量では、未傷害組織における筋線維サイズまたは筋肉量に影響がない。
図14は、GDF11処置後の微小環境構成成分の頻度を示す。ビヒクルまたはrGDF11で処置した若齢および加齢マウスの骨格筋由来の造血(CD45+CD11b+Ter119+)、線維形成性脂肪生成および内皮(CD45−CD11b−Ter119−Sca−1+)または分化した筋芽細胞および線維芽細胞(CD45−CD11b−Ter119−Sca−1−β1−インテグリン+CXCR4−)の細胞の頻度のフローサイトメトリー解析。データは、平均±SDを表し、p値は、ステューデントt検定により計算し、有意差のみを示す。rGDF11による処置は、若齢または加齢マウスのいずれにおいてもこれらの筋肉微小環境構成成分の頻度の有意な変化を誘導しなかった。
図15は、rGDF11補給による筋肉幹細胞の若返りを示す。(A)移植2週間後の前脛骨(TA)筋肉の横断凍結切片の代表的な像。(B)各生着筋肉に見出されるGFP+筋線維の最大数としての移植データの定量化。グラフは、平均±SDを表し、p値は、ステューデントt検定により計算した。「n=」は、解析毎に使用したマウスの数を示す。
図16は、rGDF11が、加齢筋肉における生着した再生する線維の横断面面積を増加させることを図解する。(A)実験設計を描写する模式図。GFPトランスジェニックマウスからGFP+サテライト細胞を選別し、移植4週間前および2週間後にrGDF11またはビヒクル単独で処置した加齢レシピエント(1群当たりn=4)に移植した。(B)若齢マウス(4〜6週齢)から単離された30,000個の二重選別GFP+サテライト細胞を移植2週間後に収集した、前脛骨(TA)筋肉の横断凍結切片の代表的な像。サテライト細胞移植の1日前に心臓毒注射により前傷害した、ビヒクル(上)またはrGDF11(下)処置した加齢マウスのTA筋肉にサテライト細胞を注射した。40×拡大率の直接的落射蛍光により、GFP発現に関して筋肉を解析した。(C)新たに再生されたGFP+線維(Bに示す)の筋線維横断面面積の定量化。データは、平均±SDを表し、p値は、ステューデントt検定により計算した。
図17は、若齢または加齢動物においてrGDF11補給後に体重、脂肪量または筋肉量の検出可能な変更がないことを図解する。(A)若齢または加齢雄マウスにおけるビヒクルまたはrGDF11処置30日後の、グラムで表す体重の棒グラフ表示。同じ施設において全マウスを収容し、処置した。(B)示されている通り、体重(左パネル)または脛骨の長さ(右パネル)に対し正規化した脂肪量の棒グラフ表示。脂肪量は、各動物の両側の鼠径部、性腺および腋窩位置における切除した白色脂肪体の和を表す。(C)示されている通り、体重(左パネル)または脛骨の長さ(右パネル)に対し正規化した筋肉量の棒グラフ表示。筋肉量は、各動物の両方の後肢のTAおよびEDL筋肉量の和を表す。解析に使用した動物数は、「n=」として各バー内に示す。データは、平均±SDを表す。ステューデントt検定により計算されたp値は、統計的有意差のみを示す。
図18は、rGDF11が、加齢筋肉におけるNMJのサイズを増加させることを示す。(A)ビヒクルまたはrGDF11処置した加齢マウスの前脛骨(TA)筋肉における神経筋接合部(NMJ)の代表的免疫蛍光像。1個のNMJのより高い拡大率(40×対物レンズ)を右上の挿入図に示す。シナプス後アセチルコリン受容体をAlexaFluor555コンジュゲートα−ブンガロトキシン(赤色)で標識し、筋核をDAPI(青色)で染色する。(B)シナプス後アセチルコリン受容体の表面積の定量化。解析に使用した動物の総数を「n=」として各バー内に示す。データを平均±SEMとして示し、ステューデントt検定によりp値を計算した。
図19は、rGDF11補給後の筋肉生理および身体機能の改善を図解する。(A)ビヒクルまたはrGDF11処置した加齢マウス(1群当たりn=4の代表)由来の前脛骨(TA)筋肉の横断切片の電子顕微鏡像。矢印は、膨張したミトコンドリアを示す。(B、C)心臓毒傷害されたまたは未傷害のビヒクルまたはrGDF11処置された加齢マウス由来のTA筋肉抽出物におけるPGC−1α(B)ならびにLC3形態IおよびII(C)のウエスタンブロット。実験群毎に3匹の動物を示す。GAPDH(B)またはアクチン(C)に対し正規化した、ウエスタンデータの濃度測定定量化を各ブロットの下に示す。(D)ビヒクルまたはrGDF11処置した加齢マウスの90分間ウィンドウにおける運動耐久性、最大トレッドミル実行時間の散布図。平均±SD(オレンジ色の線)を重ねた、個々のマウス(黒記号)のデータを示し、マン・ホイットニー解析によりp値を計算した。「n=」は、解析毎に使用したマウスの数を示す。
図20は、rGDF11が、in vitroにおいて筋原性分化およびミトコンドリア機能を促進することを示す。(A)成長培地において5日間、続いて分化培地において5日間(若齢)または7日間(加齢)、ビヒクル(対照)または表示濃度のrGDF11と共に増殖させた、若齢(3カ月.)または加齢マウスから収集されたサテライト細胞の代表的明視野(上)または免疫蛍光(下)像。培養後に細胞を染色して、核(DAPI、青色)、細胞アクチン(ファロイジン、緑色)およびミオシン重鎖(MyHC、赤色)を同定した。25または100ng/mLのrGDF11に曝露した加齢サテライト細胞の培養物は、筋原性分化の増強を示した。(B)ビヒクル単独または100ng/ml rGDF11の存在下で分化した、Mitotracker(商標)染色した筋管の代表的免疫蛍光像。Mitotrackerは、ミトコンドリア膜電位依存性色素であり、矢印は、分化した筋管におけるミトコンドリアの斑点を示す。(C)ビヒクル単独または100ng/ml rGDF11の存在下で7日間分化させた若齢または加齢サテライト細胞のSeahorse代謝フラックスアッセイにおける基底酸素消費速度(OCR)の棒グラフ。rGDF11に曝露した細胞は、ミトコンドリア含量および生体エネルギー論の増強を示す、Mitotracker染色の増加およびOCRの増加を示す。データは、5回の技術的複製の平均±SDを表し、ステューデントt検定を使用して計算された有意なp値のみを示す。
図21は、rGDF11で処置した加齢マウスにおける、運動の際の乳酸塩クリアランスの増加およびグルコースレベルの減少を図解する。(A、B)図19Dと同様に、トレッドミル運動における表示時間に試料採取した、ビヒクル(黒色の線)またはrGDF11(灰色の線)処置した加齢マウスの血中乳酸塩(A)またはグルコース(B)レベルの定量化。データを平均±SDとして示す。解析に使用した動物の総数を「n=」として括弧内に示し、ステューデントt検定によりp値を計算した。
図22は、rGDF11補給による加齢マウスの握力の改善を図解する。3回複製した試行においてもたらされる、体重に対し正規化された最大力(ニュートン/グラム(N/g))としてプロットした、ビヒクルまたはrGDF11処置した加齢マウスの前肢握力の散布図。赤色の線は、33〜39週齢の若齢雄マウスの正規化された最大握力を表す。平均±SD(オレンジ色の線)を重ねた、個々のマウス(黒記号)のデータを示し、マン・ホイットニー解析によりp値を計算し、「n=」は、本解析に使用したマウスの数を示す。rGDF11で処置した加齢マウスは、正規化された握力の増加を示す。
図23は、新鮮に単離された加齢サテライト細胞において差次的に発現される筋原性遺伝子のヒートマップ表示である。FACS単離された若齢(2月齢、左カラム)または加齢(22〜24月齢、右カラム)サテライト細胞(1群当たりn=5の独立した試料)に関して、データを青色から淡紅色の勾配で表す(青色は低レベルの発現を示し、淡紅色は高レベルの発現を示す)。若齢および加齢サテライト細胞における個々の遺伝子記号を右に示す。加齢サテライト細胞は、全般的に、筋原性遺伝子発現の増加を示す。
図24は、若齢および加齢サテライト細胞における53BP1およびリン酸化53BP1の同様の検出を図解する。(A)示されている通り、若齢および加齢サテライト細胞の53BP1フォーカス(白色の矢じりでマーク)の代表的共焦点免疫蛍光像(zスタックの和)。スケールバー=10μm。(B)CD45−Sca−1−CD11b−Ter119−CXCR4+β1−インテグリン+サテライト細胞におけるホスホ−53BP1のフローサイトメトリー解析のゲーティング戦略を図解する、若齢マウスの解析の代表的フロープロット。(C)若齢または加齢動物(1群当たりn=9動物)由来の総サテライト細胞間のリン酸化53BP1+サテライト細胞の頻度として示されるフローサイトメトリー解析の定量化。若齢マウスのリン酸化53BP1+サテライト細胞の平均頻度に対しデータを正規化し、相対平均±SDとして示す。マン・ホイットニー解析を使用して計算された差は統計的に有意ではなかった。
図25は、加齢サテライト細胞核における活性化されたカスパーゼ−3に対する免疫反応性の増加を図解する。(A)若齢または加齢マウスから収集されたサテライト細胞における、活性化されたカスパーゼ−3染色の代表的共焦点(zスタックの和)免疫蛍光像。スケールバー=10μm。(B)CD45−Sca−1−CD11b−Ter119−CXCR4+β1−インテグリン+サテライト細胞における活性化されたカスパーゼ−3のフローサイトメトリー解析のゲーティング戦略を図解する、若齢マウスの代表的フロープロット。(C)若齢または加齢動物(1群当たりn=7動物)由来の総サテライト細胞間の活性化されたカスパーゼ3+サテライト細胞の頻度として示すフローサイトメトリー解析の定量化。若齢マウスの活性化されたカスパーゼ3+サテライト細胞の平均頻度に対しデータを正規化し、相対平均±SDとして示し、マン・ホイットニー解析を使用してp値を計算した。
図26は、in vitroでのサテライト細胞増殖におけるbFGF、rTGF−β1、rMSTNおよびrGDF11の効果を示す。表示濃度のbFGFまたは組換えTGF−β1、組換えMSTNまたはrGDF11(表示通り)の存在下における5日間のサテライト細胞のin vitro培養後の細胞数の定量化。若齢(8〜12週間)または加齢(24カ月.)マウス由来のウェル当たり200個の二重選別されたサテライト細胞(>98%純度)を最初に播種し、成長因子のTGF−βスーパーファミリーのメンバーを欠く20%ノックアウト血清代替物を含有する成長培地において培養した。データを平均±SDとして示し、ステューデントt検定により計算したp値は、統計的有意差のみを示す。
動物が加齢するにつれて、その血液中のGDF11ポリペプチドのレベルが減少し、骨格筋幹細胞の劣化による骨格筋の再生能の低減をもたらすという発見に基づく方法および組成物が本明細書に記載されている。本明細書に記載されている方法および組成物は、骨格筋幹細胞の若返り、骨格筋再生の促進、運動耐久性の改善および骨格筋の加齢関係の障害に伴う骨格筋変性の再生に有用である。本明細書に記載されている方法および組成物は全般的に、本明細書に記載されている骨格筋の状態を処置、防止または反転するための、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルの増加に関する。
便宜上、本文、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲に用いられているある特定の用語をここに収集する。他に記載がなければ、あるいは文脈から暗黙の了解がなければ、次の用語および語句は、後述する意義を含む。他に明示的に記載されていなければ、あるいは文脈から明らかでなければ、後述する用語および語句は、その属する技術分野において用語または語句が獲得した意義を除外しない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるため、この定義は、特定の実施形態の説明を助けるために示されており、請求されている発明の限定を企図しない。他に規定がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術および科学用語は、本発明が属す技術分野の当業者によって一般的に理解されている意義と同じ意義を有する。
本明細書において、「骨格筋の状態」は、対象において循環するGDF11ポリペプチドの低下によって媒介または特徴付けられる、骨格筋における状態を指す。骨格筋の状態の非限定例として、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱が挙げられる。
本明細書において、「虚弱」は、次の5種の性状のうち少なくとも1種を満たすことによって特徴付けられる症候群である:意図していない減量、筋衰弱、遅い歩行スピード、疲弊および低い身体活動性。
本明細書において、「悪液質」は、脂肪性組織および骨格筋の欠失による進行性減量、筋肉萎縮および疲労によって特徴付けられる、がんまたは他の重篤な疾患もしくは状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓疾患)に多くの場合関連する状況を意味する。
本明細書において、「手術後筋衰弱」は、外科手技の後の1種または複数の筋肉の強度の低下を指す。衰弱は、全般性(即ち、全身衰弱)であっても、特異的な区域、身体の側面、肢または筋肉への局在性であってもよい。
本明細書において、「外傷後筋衰弱」は、外傷性エピソード(例えば、身体の傷害)の後の1種または複数の筋肉の強度の低下を指す。衰弱は、全般性(例えば、全身衰弱)であっても、特異的な区域、身体の側面、肢または筋肉への局在性であってもよい。
本明細書において、「神経筋疾患」は、神経および筋肉のいずれかの部分に罹患するいずれかの疾患または状態を意味する。神経筋疾患は、重症疾患多発ニューロパチー、遷延性神経筋遮断、急性ミオパチーと共に急性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、自律神経性ニューロパチー、シャルコー・マリー・トゥース病および他の遺伝性運動感覚性ニューロパチー、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、皮膚筋炎/多発性筋炎、糖尿病性ニューロパチー、ジストロフィン異常症、内分泌性ミオパチー、限局性筋萎縮、片側顔面痙攣、シャルコー・マリー・トゥース病型の遺伝性ニューロパチー、封入体筋炎、ケネディ病、ランバート・イートン筋無力症症候群、筋ジストロフィー(例えば、肢帯型、デュシェンヌ型、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型等)、代謝性ミオパチー、代謝性ニューロパチー、伝導ブロックによる多巣性運動ニューロパチー、重症筋無力症、フリートライヒ運動失調症のニューロパチー、ハンセン病のニューロパチー、栄養性ニューロパチー、周期性麻痺、原発性側索硬化症、拘束性肺疾患、サルコイドーシスおよびニューロパチー、シュワルツ・ヤンペル症候群、脊髄性筋萎縮(SMA)、全身硬直症候群、甲状腺疾患、外傷性末梢神経病変、血管炎性ニューロパチーをとりわけ包含する。
本明細書において、「筋肉減少症」は、骨格筋の量、質および強度の損失を意味する。多くの場合、筋肉減少症は、加齢に伴うが、HIV感染および種々の慢性状態に関連して生じる場合もある。筋肉減少症は、例えば、高齢者において虚弱をもたらし得る。筋肉減少症(sacropenia)は、骨格筋量の損失、筋衰弱、疲労、能力障害および病的状態等が挙げられるがこれらに限定されない、筋肉減少症に関連する状態または症状も包含する。
用語「減少する」、「低下する」、「低下した」、「低下」、「減少」および「阻害する」は全て、参照と比べて統計的に有意な量の減少を全般的に意味するよう本明細書において使用されている。しかし、疑いを避けるため、「低下する」、「低下」または「減少する」または「阻害する」は、典型的に、参照レベルと比較した少なくとも10%の減少を意味し、例えば、参照レベルと比較した少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の減少を含むことができ、これは例えば、所定の実体またはパラメータの完全な非存在を最大で含み、あるいは所定の処置の非存在と比較した10〜99%の間のいずれかの減少を含むことができる。
用語「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」は全て、統計的に(statically)有意な量の増加を全般的に意味するよう本明細書において使用されている;いかなる疑いも避けるために、用語「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」は、参照レベルと比較した少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%または少なくとも約30%または少なくとも約40%または少なくとも約50%または少なくとも約60%または少なくとも約70%または少なくとも約80%または少なくとも約90%の増加を意味し、これは100%増加を最大で含む、または参照レベルと比較した10〜100%の間のいずれかの増加、あるいは参照レベルと比較した少なくとも約2倍または少なくとも約3倍または少なくとも約4倍または少なくとも約5倍または少なくとも約10倍増加または2倍〜10倍の間またはそれを超えるいずれかの増加を意味する。
用語「単離された」または「部分的に精製された」は、本明細書において、核酸またはポリペプチドの場合、その天然供給源中に見出される核酸またはポリペプチドと共に存在する、および/または細胞によって発現される際にもしくは分泌型ポリペプチドの場合は分泌される際に核酸またはポリペプチドと共に存在する、少なくとも1種の他の構成成分(例えば、核酸またはポリペプチド)から分離された核酸またはポリペプチドを指す。化学的に合成された核酸もしくはポリペプチドまたはin vitro転写/翻訳を使用して合成された核酸もしくはポリペプチドは、「単離された」と考慮される。
用語「生物学的試料」は、本明細書において、生命体から採取または単離された試料、例えば、骨格筋試料、血液試料、細胞ライセート、対象から得た組織試料のホモジネートまたは対象から得た流体試料を表示する。例示的な生物学的試料として、骨格筋組織生検または血液および/または血清試料が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態において、試料は、切除、生検またはコア針生検から得られる。加えて、穿刺吸引試料を使用することができる。試料は、パラフィン包埋および凍結した組織を含むことができる。用語「生物学的試料」は、未処置または前処置した(または予め処理した)生物学的試料も含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、未処置生物学的試料である。試料は、対象から細胞の試料を除去することにより得ることができるが、以前に単離された細胞(例えば、先の時点に単離され、同じまたは別の人物によって単離された)を使用することにより達成することもできる。
本明細書において、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、齧歯類、飼育動物または狩猟動物等、脊椎動物である。霊長類は、チンパンジー、カニクイザル(cynomologous monkey)、クモザルおよびマカク、例えば、アカゲザルを含む。齧歯類は、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターを含む。飼育および狩猟動物は、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば、家ネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、鳥類種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウならびに魚類、例えば、マス、ナマズおよびサケを含む。患者または対象は、前述のいずれかのサブセット、例えば、上述の全てを含むが、ヒト、霊長類または齧歯類等の1種または複数の群または種を除外する。ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。用語「患者」、「個体」および「対象」は、本明細書において互換的に使用される。好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシであり得るが、これらの例に限定されない。例えば、ヒト以外の哺乳動物を、例えば、筋肉減少症の動物モデルを表す対象として有利に使用することができる。加えて、本明細書に記載されている方法を使用して、飼い慣らされた動物および/またはペットを処置することができる。対象は、雄であっても雌であってもよい。対象は、処置を必要とする状態(例えば、骨格筋の状態、例えば、筋肉減少症)または斯かる状態に関係する1種もしくは複数の合併症を患うまたはそうであると以前に診断もしくは同定され、任意選択で状態または状態に関係する1種もしくは複数の合併症のための処置を既に受けた(ただしそうである必要はない)対象となることができる。あるいは、対象は、処置を必要とする状態または斯かる状態に関係する1種もしくは複数の合併症であると以前に診断されたことがない対象となることもできる。むしろ、対象は、状態または状態に関係する1種もしくは複数の合併症の1種または複数のリスク因子を示す対象を含むことができる。特定の状態のための処置「を必要とする対象」は、状態である、状態であると診断された、または所定の参照集団と比べて状態の発症リスクが増加した対象となることができる。
本明細書において、用語「を含んでいる」または「を含む」は、組成物、方法、および方法または組成物に必須なこれらそれぞれの構成成分(複数可)に関して使用されているが、必須であるか否かにかかわらず、特定されていない要素の包接にも開かれている。
用語「からなる」は、本明細書に記載されている組成物、方法およびこれらそれぞれの構成成分を指し、実施形態のこの記載に列挙されていないいかなる要素も除く。
本明細書において、用語「から本質的になる」は、所定の実施形態に要求される要素を指す。この用語は、実施形態の基本的で新規または機能的な特徴(複数可)に実質的に影響を与えない要素の存在を許す。
用語「統計的に有意な」または「有意に」は、統計的有意性を指し、一般に、0.05を超えるp値(関連する統計検定により計算)を意味する。当業者であれば、いずれか特定の実験の関連する統計検定が、解析されているデータの種類に依存することを容易に認める。追加的な定義は、後述する個々のセクションの文章中に示す。
細胞生物学および分子生物学における一般用語の定義は、「The Merck Manual of Diagnosis and Therapy」、第19版、Merck Research Laboratoriesから出版、2006年(ISBN 0−911910−19−0);Robert S. Porterら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.から出版、1994年(ISBN 0−632−02182−9);The ELISA guidebook(Methods in molecular biology 149)、Crowther J. R.著(2000年);Immunology by Werner Luttmann、Elsevierから出版、2006年に見出すことができる。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes X、Jones & Bartlett Publishingから出版、2009年(ISBN−10:0763766321);Kendrewら(編)Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.から出版、1995年(ISBN 1−56081−569−8)およびCurrent Protocols in Protein Sciences 2009年、Wiley Intersciences、Coliganら編に見出すこともできる。
他に断りがなければ、本発明は、例えば、これら両者共に参照によりその全体を本明細書に組み込む、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, N.Y., USA(2001年)およびDavisら、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier Science Publishing, Inc.、New York, USA(1995年)に記載されている標準手順を使用して実施した。
対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を対象に投与するステップを含む方法が、本明細書に記載されている。一部の実施形態では、対象は、加齢による骨格筋の状態である、またはそうであると診断された対象である。本明細書において、加齢による「骨格筋の状態」は、対象の年齢に起因し得る本明細書に記載されている骨格筋の状態を指す。一部の実施形態では、対象は、加齢による骨格筋の状態の発症リスクがある対象である。一部の実施形態では、対象は、高齢の対象である。一部の実施形態では、高齢の対象は、50、55、60、65、70、75、80、85、90または100歳を超える。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物は、本明細書に記載されている神経筋疾患である、またはそうであると診断された対象に投与される。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルは、対象の循環中のGDF11のレベルである。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルは、対象の骨格筋組織におけるGDF11のレベルである。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのレベルは、GDF11ポリペプチドをコードするmRNAのレベルを測定することにより決定される。対象におけるGDF11のレベルは、対象から生物学的試料を得て、生物学的試料におけるGDF11のレベルを決定することにより決定することができる。対象または対象から得られる試料におけるポリペプチドのレベルを決定するための方法は、本技術分野において周知であり、その例としてとりわけ、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学法、GDF11に特異的な標識された抗体に関与する方法、ドットブロット解析、機能的バイオアッセイ、ノーザンブロット、in−situハイブリダイゼーションおよびRT−PCR、アプタマーに基づくプロテオミクス技術(例えば、SomaLogic、Inc.から市販されているSOMAscan(商標))が挙げられるがこれらに限定されない。GDF11に特異的な抗体は市販されている(例えば、カタログ番号ab71347、Abcam製:Cambridge、MA)。一部の実施形態では、抗体は、GDF8と交差反応しない抗体である。一部の実施形態では、抗体は、選択的GDF11モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、GDF11のレベルは、参照によりその全体を本明細書に組み込む、Souzaら、Molecular Endocrinology 2008年、22巻:2689〜2702頁に記載されている通りに測定することができる。
動物が加齢するにつれて、骨格筋は多くの場合萎縮し、骨格筋幹細胞の劣化による再生能の低減を経験し、これは多くの場合、1種または複数の骨格筋の状態(例えば、筋肉減少症)を伴う。理論に制約されることは望まないが、骨格筋幹細胞の劣化および特徴的な付随する骨格筋量低下が、一部には、循環するGDF11ポリペプチドのレベルの減少に起因することが考えられる。本発明者らによって以前に記載された研究は、加齢による心肥大または心筋拡張が、循環するGDF11ポリペプチドのレベルの減少に相関したことを示した一方、本明細書に記載されている研究は、循環するGDF11ポリペプチドのレベルの減少が、骨格筋幹細胞の劣化による骨格筋再生能の低減をもたらすことを実証する。以前の研究において、本発明者らは、対象における増加レベルの循環するGDF11ポリペプチドが、心肥大を有効に反転し、心臓組織を実際に縮めたことを見出した。対照的に、本明細書に記載されている研究は、驚くべきことに、そして予想外にも、GDF11ポリペプチドが、骨格筋幹細胞を若返らせ、骨格筋を実際に拡張し、これにより、骨格筋の再生能を改善することを実証する。
驚くべきことに、本明細書に記載されている研究は、組換えGDF11(rGDF11)の毎日IP注射でin vivo処置した加齢マウスが、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維サイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷筋肉幹細胞核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したデオキシリボ核酸(DNA)のパーセンテージを減少させる(即ち、rGDF11による処置は、対象の骨格筋幹細胞を若返らせた)ことを実証する。特に、rGDF11処置は、再生する線維の横断面面積の分布サイズを約300〜700μmから約400〜1000μmに変更し(図3B)、加齢筋肉における骨格筋幹細胞の頻度を約33%〜66%増加させ(例えば、再生細胞の存在を増加させ)(図3C)、筋原性コロニー形成効率を約2倍増加させ(図3D)、無傷核のパーセンテージを増加させ(緑色のバー、図3E)、著しく損傷したDNAを有する加齢骨格筋幹細胞のパーセンテージを4倍減少させた(赤色のバー、図3E)。
したがって、一態様では、本発明は、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる方法であって、それを必要とする対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷筋肉幹細胞核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したデオキシリボ核酸(DNA)のパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。
別の態様では、本発明は、対象における骨格筋再生を促進する方法であって、それを必要とする対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋再生を促進する方法を提供する。
本明細書に記載されている方法および組成物は、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルの増加に関する。本明細書において、「GDF11」は、増殖因子のトランスフォーミング増殖因子−ベータスーパーファミリーのメンバーである「増殖分化因子11」(NCBI Gene ID No:10220)を指す。GDF11は、ALK4、ALK5およびALK7を含むTGFβ3スーパーファミリーI型受容体に結合することが公知である。哺乳動物発生におけるシグナリングのため、GDF11は、ALK4およびALK5を主に使用する。一部の実施形態では、GDF11シグナリングは、ACVR2B受容体によっても起こり得る。GDF11は、また、GDF8(ミオスタチンとしても公知)と近縁関係である。GDF11は、骨形成(bone morphogenic)タンパク質11またはBMP11と称することもできる。本明細書において、「GDF11」は、GDF11のヒト前駆体ポリペプチド(NCBI Ref Seq:NP_005802);ヒトプロペプチド;ヒトN末端ポリペプチドおよびヒト成熟形態、ならびにウシ、イヌ、ネコ、ニワトリ、マウス、ラット、ブタ、ウシ、シチメンチョウ、ウマ、魚類、ヒヒおよび他の霊長類等が挙げられるがこれらに限定されない、他の種由来のホモログを含むことができる。この用語は、例えば、適切な動物モデル(例えば、加齢マウスの異時性並体結合)において測定される、全長、ヒトGDF11プロペプチド、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドまたはヒト成熟GDF11の骨格筋幹細胞若返り効果の少なくとも50%を維持する、GDF11の断片またはバリアントも指す。
野生型GDF11の骨格筋幹細胞若返り効果を維持する保存的置換バリアントは、本明細書に定義されている保存的置換を含む。野生型GDF11の活性の少なくとも50%を維持しながらの保存的置換に認容性である可能性が最も高いアミノ酸の同定は、例えば、他の種由来のGDF11ホモログまたはパラログとの配列アライメントによって導かれる。GDF11ホモログ間で同一のアミノ酸は、変化に耐容性を示す可能性が低いが、保存的差を示すアミノ酸は、人工バリアントの文脈における保存的変化に耐容性を示す可能性が明らかにより高い。同様に、非保存的差を有するポジションは、機能に決定的である可能性が低く、人工バリアントにおける保存的置換に耐容性を示す可能性が高い。バリアントは、例えば、適切な動物モデル(例えば、傷害後再生を誘導するための凍結傷害した加齢マウス)にバリアントを投与することにより活性を検査することができる。
ヒトGDF11に関して、プロペプチドプラスシグナル配列(例えば、前駆体ポリペプチド)は、407アミノ酸長である。24アミノ酸シグナルペプチドの切断は、383アミノ酸のプロペプチドを生じ、プロペプチドの切断は、プロペプチドのC末端109アミノ酸に相当する109アミノ酸の成熟GDF11ポリペプチドをもたらす。成熟ポリペプチドは、ジスルフィド結合したホモ二量体を形成する。プロペプチドの切断は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸25〜298を含むN末端ポリペプチドも生じる。N末端 GDF11ポリペプチドは、少なくともin vitroで、他の形態のGDF11ポリペプチドと複合体を形成することにより、例えば、ヒトGDF11プロペプチドおよびヒト成熟GDF11のポリペプチドの活性をアンタゴナイズすることができ、よって、本明細書に記載されているGDF11組成物の活性のモジュレートに使用することができる。よって、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドが、骨格筋幹細胞を若返らせるまたは骨格筋再生を促進する程度まで、また、N末端 GDF11ポリペプチドが斯かる効果をアンタゴナイズすることができる程度まで、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのポリペプチドは、本明細書に使用されている「GDF11ポリペプチド」の意義から除外することができる。
本明細書において、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、隣接残基のアルファ−アミノおよびカルボキシ基間のペプチド結合により他の残基に接続された、一連のアミノ酸残基を命名するよう互換的に使用される。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、そのサイズまたは機能にかかわらず、修飾されたアミノ酸(例えば、リン酸化、糖化、グリコシル化等)およびアミノ酸アナログを含む、タンパク質アミノ酸のポリマーを指す。「タンパク質」および「ポリペプチド」は多くの場合、相対的に大型のポリペプチドに関して使用される一方、用語「ペプチド」は多くの場合、小型のポリペプチドに関して使用されるが、本技術分野におけるこれらの用語の使用は重複する。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、遺伝子産物およびその断片を指す(refining)場合、本明細書において互換的に使用される。
よって、例示的なポリペプチドまたはタンパク質は、遺伝子産物、天然起源のタンパク質、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片、ならびに前述の他の均等物、バリアント、断片およびアナログを含む。
本明細書において、GDF11に関して使用される「プロペプチド」は、成熟および/または活性形態のGDF11の形成の際にシグナルドメイン(例えば、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸1〜24)が切断除去されたGDF11ポリペプチドを指す。本明細書において、GDF11ポリペプチドに関して使用される「前駆体ペプチド」は、シグナルドメインを含む、例えば、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、GDF11ポリペプチドおよび/またはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含む組成物を投与することにより増加される。本明細書に記載されている方法に従って対象に投与されるGDF11ポリペプチドは、本明細書に上述されているGDF11ポリペプチド、例えば、プロペプチドまたは成熟形態を含むことができる。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、対象に投与される組成物は、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列のポリペプチドを含むGDF11ポリペプチドホモ二量体を含むことができる。一部の実施形態では、対象に投与される組成物は、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列のポリペプチドを含むGDF11ポリペプチドホモ二量体を含むことができる。一部の実施形態では、対象に投与される組成物は、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列のポリペプチドを含むGDF11ポリペプチドホモ二量体を含むことができる。一部の実施形態では、対象に投与される組成物は、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列のポリペプチドを含むGDF11ポリペプチドホモ二量体を含むことができる。一部の実施形態では、対象に投与される組成物は、GDF11 N末端ポリペプチド、ヒト成熟GDF11、ヒトGDF11プロペプチドおよび/またはヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかのポリペプチドを含むGDF11ポリペプチドヘテロ二量体を含むことができる。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドのバリアントまたは断片は、対象に投与することができる。一部の実施形態では、GDF11のバリアントは、保存的に修飾されたバリアントである。本明細書に記載されている態様のいずれかの一部の実施形態では、対象に、コレクチン腎臓1(例えば、NCBI Gene ID No:78989)、カテプシン(Cathespin)D(例えば、NCBI Gene ID No:1509)、Dickkopf関連タンパク質4(例えば、NCBI Gene ID No:27121)、赤血球膜タンパク質4.1(例えば、NCBI Gene ID No:2035)、エステラーゼD(例えば、NCBI Gene ID No:2098)、ヘモグロビン(例えば、NCBI Gene ID No:3043または3047)、インターロイキン−1受容体アクセサリータンパク質(例えば、NCBI Gene ID No:3556)、ナチュラルキラー群2メンバーD(例えば、NCBI Gene ID No:22914)、Ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(例えば、NCBI Gene ID No:5879)、GTP結合核タンパク質Ran(例えば、NCBI Gene ID No:5901)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質3(例えば、NCBI Gene ID No:7078)およびチミジル酸シンターゼ(例えば、NCBI Gene ID No:7298)から選択されるポリペプチドのバリアントまたは断片(例えば、保存的に修飾されたバリアントもしくは機能的断片または斯かるポリペプチドをコードする核酸)を投与することができる。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、本明細書に記載されている配列のバリアント、例えば、ヒトGDF11 N末端ポリペプチド、ヒト成熟GDF11、ヒトGDF11プロペプチドまたはヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドのバリアントとなり得る。一部の実施形態では、バリアントは、保存的置換バリアントである。バリアントは、例えば、ネイティブヌクレオチド配列の突然変異により得ることができる。本明細書に参照されている「バリアント」は、ネイティブまたは参照ポリペプチドと実質的に相同のポリペプチドであるが、これは、1個または複数の欠失、挿入または置換のために、ネイティブまたは参照ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有する。ポリペプチドコードDNA配列は、ネイティブまたは参照DNA配列と比較して、ヌクレオチドの1個または複数の付加、欠失または置換を含む配列であるが、参照タンパク質と比べて関連する生物学的活性を保持する、例えば、野生型GDF11の少なくとも50%骨格筋幹細胞を若返らせることができるバリアントタンパク質またはその断片をコードする配列を包含する。アミノ酸配列に関して、当業者であれば、コードされた配列における単一のアミノ酸または僅かなパーセンテージ(例えば、5%もしくはそれより少ない、例えば、4%もしくはそれより少ないまたは3%もしくはそれより少ないまたは1%もしくはそれより少ない)のアミノ酸を変更する、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、「保存的に修飾されたバリアント」であり、この変更が、化学的に同様のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらすことを認識する。保存的であるか否かにかかわらず、バリアントが、野生型GDF11の活性の100%超、例えば、110%、125%、150%、175%、200%、500%、1000%またはそれ超を有するように、一部の変化が、関連する活性を潜在的に改善し得ることが考慮される。
置換することができるアミノ酸残基を同定する一方法は、例えば、ヒトGDF11を、1種または複数の非ヒト種由来のGDF11ホモログと整列することである。アライメントは、機能に必要な可能性が高い残基のみならず、逆に、変化に耐容性を示す可能性が高い残基に関するガイダンスをもたらすこともできる。例えば、アライメントが、相当するポジションにおける2個の同一または同様のアミノ酸を示す場合、該部位が機能的に重要である可能性がより高い。逆に、アライメントが、相当するポジションに、サイズ、電荷、疎水性等が有意に異なる残基を示す場合、該部位が、機能的ポリペプチドにおける変動に耐容性を示し得る可能性がより高い。同様に、同じ活性を示さない同じ種由来の関連するポリペプチド、例えば、GDF8とのアライメントも、GDF11活性に要求される領域または構造に関するガイダンスをもたらすことができる。図7は、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/のワールド・ワイド・ウェブにおいて自由に利用できるBLASTPプログラムのアライメントツールのデフォルト設定を使用して作成された、ヒトGDF11前駆体ペプチド(問い合わせ配列;ヒトGDF11前駆体ポリペプチドの残基62〜407)およびヒトGDF8前駆体ペプチドの間のアライメントの例を描写する。図8は、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/のワールド・ワイド・ウェブにおいて自由に利用できるBLASTPプログラムのアライメントツールのデフォルト設定を使用して作成された、ヒトGDF11前駆体ペプチド(問い合わせ配列;ヒトGDF11前駆体ポリペプチドの残基47〜407)およびマウスGDF11前駆体ペプチドの間のアライメントの例を描写する。バリアントアミノ酸またはDNA配列は、ネイティブまたは参照配列、例えば、ヒトGDF11 N末端ポリペプチド、ヒト成熟GDF11、ヒトGDF11プロペプチドもしくはヒトGDF11前駆体ポリペプチド、またはこれらのアミノ酸配列のうち1種をコードする核酸に対し、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えて同一となり得る。ネイティブおよび突然変異体配列の間の相同性の程度(パーセント同一性)は、例えば、この目的に一般的に用いられる、ワールド・ワイド・ウェブにおいて自由に利用できるコンピュータプログラムを使用して2配列を比較することにより決定することができる。バリアントアミノ酸またはDNA配列は、それが由来する配列(本明細書において、「本来の」配列と称される)に対し、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えて同様となり得る。本来のおよび突然変異体配列の間の類似性の程度(パーセント類似性)は、例えば、類似性マトリックスを使用することにより決定することができる。類似性マトリックスは、本技術分野において周知であり、類似性マトリックスを使用して2配列を比較するための多数のツール、例えば、デフォルトパラメータセットによるBLASTp(http://blast.ncbi.nlm.nih.govのワールド・ワイド・ウェブにおいて利用できる)がオンラインで自由に利用できる。
成熟GDF11ポリペプチドが、例えば、アミノ酸313および372;341および404;ならびに345および406(シグナル配列を含む全長ポリペプチドと比べて番号を振る)の間に可能な鎖内ジスルフィド結合を含み、アミノ酸371が、鎖間ジスルフィド結合に関与する可能性があることが記されている。
所定のアミノ酸は、同様の生理化学的特徴を有する残基に置き換えることができ、例えば、ある脂肪族残基と別の脂肪族残基(Ile、Val、LeuまたはAla等を互いに)の置換、またはある極性残基と別の極性残基(LysおよびArg;GluおよびAsp;またはGlnおよびAsnの間等)の置換が挙げられる。他の斯かる保存的置換、例えば、同様の疎水性特徴を有する領域全体の置換が周知である。保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドを、本明細書に記載されているアッセイのうちいずれか1種において検査して、ネイティブまたは参照ポリペプチドの所望のアポトーシス活性が保持されていることを確認することができる。機能的に同様のアミノ酸をもたらす保存的置換表が、本技術分野において周知である。斯かる保存的に修飾されたバリアントは、本開示に一貫した多型バリアント、種間ホモログおよびアレルに加えられ、これらを除外しない。典型的に、互いのための保存的置換は、1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)を含む(例えば、Creighton、Proteins(1984年)を参照)。
ポリペプチドの適切な高次構造の維持に関与しないいずれかのシステイン残基を一般にセリンと置換して、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を防止することもできる。逆に、システイン結合(複数可)をポリペプチドに付加して、その安定性を改善するまたはオリゴマー形成を容易にすることができる。
一部の実施形態では、対象に投与されるGDF11ポリペプチドは、1個または複数のアミノ酸置換または修飾を含むことができる。一部の実施形態では、置換および/または修飾は、対象におけるポリペプチドのタンパク質分解を防止もしくは低下および/または半減期を遷延させることができる。一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、これを非限定例としてのトランスフェリン(W006096515A2)、アルブミン(Yehら、1992年)、成長ホルモン(US2003104578AA);セルロース(LevyおよびShoseyov、2002年);および/またはFc断片(AshkenaziおよびChamow、1997年)等、他のポリペプチドまたはポリペプチドドメインにコンジュゲートまたは融合することにより修飾することができる。前述の段落における参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、少なくとも1個のペプチド結合置き換えを含むことができる。単一ペプチド結合または複数ペプチド結合、例えば、2個の結合、3個の結合、4個の結合、5個の結合もしくは6個もしくはそれを超える結合または全てのペプチド結合を置き換えることができる。本明細書に記載されている単離されたペプチドは、1種類のペプチド結合置き換えまたは複数種類のペプチド結合置き換え、例えば、2種類、3種類、4種類、5種類またはそれを超える種類のペプチド結合置き換えを含むことができる。ペプチド結合置き換えの非限定例として、尿素、チオ尿素、カルバメート、スルホニル尿素、トリフルオロエチルアミン、オルト−(アミノアルキル)−フェニル酢酸、パラ−(アミノアルキル)−フェニル酢酸、メタ(アミノアルキル)−フェニル酢酸、チオアミド、テトラゾール、ボロン酸エステル、オレフィン基およびこれらの誘導体が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、生体によって産生されるポリペプチドおよび/またはタンパク質に一般的に存在する天然起源のアミノ酸、例えば、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)、Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Glu(E)、Lys(K)、Arg(R)およびHis(H)を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、代替アミノ酸を含むことができる。代替アミノ酸の非限定例として、D−アニリノ酸(anlino acid);ベータ−アミノ酸;ホモシステイン、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、ガンマ−カルボキシグルタメート;馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4,−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン(3−メルカプト−D−バリン)、オルニチン、シトルリン(citruline)、アルファ−メチル−アラニン、パラベンゾイルフェニルアラニン、パラ−アミノフェニルアラニン、p−フルオロフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシンおよびtert−ブチルグリシン)、ジアミノ酪酸、7−ヒドロキシテトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ナフチルアラニン、ビフェニルアラニン、シクロヘキシルアラニン、アミノイソ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、tert−ロイシン、テトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ピペコリン酸、フェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、シクロヘキシルグリシン、デヒドロロイシン、2,2−ジエチルグリシン、1−アミノ−lシクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−l−シクロヘキサンカルボン酸、アミノ−安息香酸、アミノナフトエ酸、ガンマ−アミノ酪酸、ジフルオロフェニルアラニン、ニペコ酸、アルファ−アニリノ(anlino)酪酸、チエニル−アラニン、t−ブチルグリシン、トリフルオロバリン;ヘキサフルオロロイシン;フッ化アナログ;アジド修飾アミノ酸;アルキン修飾アミノ酸;シアノ修飾アミノ酸;ならびにこれらの誘導体が挙げられる。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドは、例えば、ペプチドを構成するアミノ酸の1個または複数への部分の付加により修飾することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、1個または複数の部分分子、例えば、ペプチド当たり1個もしくはそれを超える部分分子、ペプチド当たり2個もしくはそれを超える部分分子、ペプチド当たり5個もしくはそれを超える部分分子、ペプチド当たり10個もしくはそれを超える部分分子またはそれを超えるペプチド当たりの部分分子を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、1または複数(one more)種類の修飾および/または部分、例えば、1種類の修飾、2種類の修飾、3種類の修飾またはそれを超える種類の修飾を含むことができる。修飾および/または部分の非限定例として、PEG化;グリコシル化;HES化;ELP化;脂質付加;アセチル化;アミド化;末端キャッピング修飾;シアノ基;リン酸化;アルブミンおよび環化が挙げられる。一部の実施形態では、末端キャッピング修飾は、N末端のアセチル化、N末端アシル化およびN末端ホルミル化を含むことができる。一部の実施形態では、末端キャッピング修飾は、C末端のアミド化、C末端アルコール、アルデヒド、エステルおよびチオエステル部分の導入を含むことができる。GDF11ポリペプチドの半減期は、部分、例えば、PEGまたはアルブミンの付加により増加させることができる。
一部の実施形態では、対象に投与されるGDF11ポリペプチドは、本明細書に記載されているGDF11アミノ酸配列のうち1種の機能的断片となり得る。本明細書において、「機能的断片」は、本明細書に記載されている研究に従って対象における骨格筋幹細胞を若返らせることができるペプチドの断片またはセグメントである。機能的断片は、本明細書に開示されている配列の保存的置換を含むことができる。一部の実施形態では、機能的断片は、GDF11の12.5kDa C末端を含むことができる。一部の実施形態では、GDF11の12.5kDa C末端は、単量体として機能することができる。一部の実施形態では、GDF11の12.5kDa C末端は、ホモ二量体として機能することができる。一部の実施形態では、GDF11の12.5kDa C末端は、GDF11プロペプチドとのヘテロ二量体として機能することができる。
本来のアミノ酸配列の変更は、当業者に公知の多数の技法のいずれかにより達成することができる。突然変異は、ネイティブ配列の断片へのライゲーションを可能にする制限部位に挟まれた突然変異体配列を含有するオリゴヌクレオチドを合成することにより、例えば、特定の遺伝子座に導入することができる。ライゲーション後に、得られた再構築された配列は、所望のアミノ酸挿入、置換または欠失を有するアナログをコードする。あるいは、オリゴヌクレオチド指向性部位特異的突然変異誘発手順を用いて、要求される置換、欠失または挿入に従って変更された特定のコドンを有する変更されたヌクレオチド配列をもたらすことができる。斯かる変更を作製するための技法は、参照によりその全体を本明細書に組み込む、Walderら(Gene 42巻:133号、1986年);Bauerら(Gene 37巻:73号、1985年);Craik(BioTechniques、1985年1月、12〜19頁);Smithら(Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press、1981年);ならびに米国特許第4,518,584号および同第4,737,462号によって開示されている技法を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、化学的に合成することができ、突然変異は、化学合成過程の一部として取り込むことができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、薬学的に許容されるプロドラッグとして製剤化することができる。本明細書において、「プロドラッグ」は、いくつかの化学的または生理的過程(例えば、酵素過程および代謝性加水分解)を経て治療剤に変換することができる化合物を指す。よって、用語「プロドラッグ」は、薬学的に許容される、生物学的に活性を有する化合物の前駆体も指す。プロドラッグは、対象に投与されたときに不活性となり得る、即ち、エステルであるが、in vivoで変換されて活性化合物となる、例えば、加水分解により遊離カルボン酸または遊離ヒドロキシルとなる。プロドラッグ化合物は、多くの場合、溶解性、組織適合性または生物における放出遅延の利点をもたらす。用語「プロドラッグ」は、斯かるプロドラッグが対象に投与されるとin vivoで活性化合物を放出する、いずれかの共有結合された担体を含むようにも企図されている。活性化合物のプロドラッグは、親活性化合物に対しルーチン操作またはin vivoのいずれかで修飾が切断されるような仕方で、活性化合物に存在する官能基を修飾することにより調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が、活性化合物のプロドラッグが対象に投与されるときに、切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基を形成する、いずれかの基に結合された化合物を含む。プロドラッグの例として、活性化合物におけるアルコールの酢酸塩、ギ酸塩および安息香酸塩誘導体またはアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミドおよびベンズアミド誘導体その他が挙げられるがこれらに限定されない。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Harper、「Drug Latentiation」Jucker編、Progress in Drug Research 4巻:221〜294頁(1962年)中;Morozowichら、「Application of Physical Organic Principles to Prodrug Design」、E. B. Roche編、Design of Biophamzaceutical Properties through Prodrugs and Analogs、APHA Acad. Pharm. Sci.40巻(1977年)中;Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design、Theory and Application、E. B. Roche編、APHA Acad. Pharm. Sci.(1987年);Design of Prodrugs、H. Bundgaard、Elsevier(1985年);Wangら、「Prodrug approaches to the improved delivery of peptide drug」、Curr. Pharm. Design.5巻(4号):265〜287頁(1999年);Paulettiら(1997年)Improvement in peptide bioavailability: Peptidomimetics and Prodrug Strategies、Adv. Drug. Delivery Rev.27巻:235〜256頁;Mizenら(1998年)「The Use of Esters as Prodrugs for Oral Delivery of (3−Lactam antibiotics」、Pharm. Biotech.11巻:345〜365頁;Gaignaultら(1996年)「Designing Prodrugs and Bioprecursors I. Carrier Prodrugs」、Pract. Med. Chern.671〜696頁;Asgharnejad、「Improving Oral Drug Transport」、Transport Processes in Pharmaceutical Systems、G. L. Amidon, P. I. LeeおよびE. M. Topp編、Marcell Dekker、185〜218頁(2000年)中;Balantら、「Prodrugs for the improvement of drug absorption via different routes of administration」、Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet.15巻(2号):143〜53頁(1990年);BalimaneおよびSinko、「Involvement of multiple transporters in the oral absorption of nucleoside analogues」、Adv. Drug Delivel)’ Rev.39巻(1〜3号):183〜209頁(1999年);Browne、「Fosphenytoin (Cerebyx)」、Clin. Neuropharmacol.20巻(1号):1〜12頁(1997年);Bundgaard、「Bioreversible derivatization of drugs− principle and applicability to improve the therapeutic effects of drugs」、Arch. Pharm. Chemi 86巻(1号):1〜39頁(1979年);Bundgaard H.「Improved drug delivery by the prodrug approach」、Controlled Drug Delive1y 17巻:179〜96頁(1987年);Bundgaard H.「Prodrugs as a means to improve the delivery of peptide drugs」、Arfv. Drug Delivel)’ Rev.8巻(1号):1〜38頁(1992年);Fleisherら、「Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs」、Arfv. Drug Delivery Rev.19巻(2号):115〜130頁(1996年);Fleisherら、「Design of prodrugs for improved gastrointestinal absorption by intestinal enzyme targeting」、Methods Enzymol.112巻(Drug Enzyme Targeting, Pt. A):360〜81頁(1985年);Farquhar Dら、「Biologically Reversible Phosphate−Protective Groups」、Pharm. Sci.、72巻(3号):324〜325頁(1983年);Freeman Sら、「Bioreversible Protection for the Phospho Group: Chemical Stability and Bioactivation of Di( 4−acetoxybenzyl) Methylphosphonate with Carboxyesterase」、Chern. Soc., Chern. Commun.、875〜877頁(1991年);FriisおよびBundgaard、「Prodrugs of phosphates and phosphonates: Novel lipophilic alphaacyloxyalkyl ester derivatives of phosphate− or phosphonate containing drugs masking the negative charges of these groups」、Eur. J. Pharm. Sci.4巻:49〜59頁(1996年);Gangwarら、「Pro−drug, molecular structure and percutaneous delivery」、Des. Biophamz. Prop. Prodrugs Analogs[Symp.]会議の日付1976年、409〜21頁(1977年);NathwaniおよびWood、「Penicillins: a current review of their clinical pharmacology and therapeutic use」、Drugs 45巻(6号):866〜94頁(1993年);SinhababuおよびThakker、「Prodrugs of anticancer agents」、Adv. Drug Delivery Rev.19巻(2号):241〜273頁(1996年);Stellaら、「Prodrugs. Do they have advantages in clinical practice?」、Drugs 29巻(5号):455〜73頁(1985年);Tanら、「Development and optimization of anti−HIV nucleoside analogs and prodrugs: A review of their cellular pharmacology, structure−activity relationships and pharmacokinetics」、Adv. Drug Deliva}’ Rev.39巻(1〜3号):117〜151頁(1999年);Taylor、「Improved passive oral drug delivery via prodrugs」、Adv. Drug Delivery Rev.19巻(2号):131〜148頁(1996年);ValentinoおよびBorchardt、「Prodrug strategies to enhance the intestinal absorption of peptides」、Drug Discovery Today 2巻(4号):148〜155頁(1997年);WiebeおよびKnaus、「Concepts for the design of anti−HIV nucleoside prodrugs for treating cephalic HIV infection」、Adv. Drug Delivery Rev.:39巻(1〜3号):63〜80頁(1999年);Wallerら、「Prodrugs」、Br. J. Clin. Pharmac.28巻:497〜507頁(1989年)を参照されたい。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドは、薬学的に許容される溶媒和物となり得る。用語「溶媒和物」は、適した溶媒の分子が結晶格子に取り込まれた、固体状の本明細書に記載されているペプチドを指す。治療的投与に適した溶媒は、投与される投薬量において生理的に耐容できる。治療的投与に適した溶媒の例は、エタノールおよび水である。水が溶媒である場合、溶媒和物は、水和物と称される。一般に、溶媒和物は、適切な溶媒に化合物を溶解し、冷却または逆溶媒(antisolvent)の使用により溶媒和物を単離することにより形成される。溶媒和物は、典型的に、外界条件下で乾燥または共沸化(azeotroped)される。
本発明のペプチドは、組換え方法および化学合成を含む周知の方法を使用することにより合成することができる。参照によりその両者の内容を本明細書に組み込む、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、1〜8巻、Cold Spring Harbor, NY(1989年);M.W. PenningtonおよびB.M. Dunn、Methods in Molecular Biology: Peptide Synthesis Protocols、35巻、Hurnana Press, Totawa, NJ(1994年)に記載されている方法等、ペプチドをコードする核酸を含むベクターを適した宿主細胞に導入することによりペプチドを産生する組換え方法は、本技術分野において周知である。ペプチドは、本技術分野において周知の方法を使用して化学的に合成することもできる。例えば、参照によりその全ての内容を本明細書に組み込む、Merrifieldら、J. Am. Chern. Soc.85巻:2149頁(1964年);Bodanszky, M.、Principles of Peptide Synthesis、Springer−Verlag, New York, NY(1984年);Kirnrnerlin, T.およびSeebach, D.、J. Pept. Res. 65巻:229〜260頁(2005年);Nilssonら、Annu. Rev. Biophys. Biornol. Struct.(2005年)34巻:91〜118頁;W.C. ChanおよびP.D. White(編)Frnoc Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach、Oxford University Press, Cary, NC(2000年);N.L. Benoiton、Chemistry of Peptide Synthesis、CRC Press, Boca Raton, FL(2005年);J. Jones、Amino Acid and Peptide Synthesis、第2版、Oxford University Press, Cary, NC(2002年);およびP. Lloyd−Williams、F. Albericio, およびE. Giralt、Chemical Approaches to the synthesis of pep tides and proteins、CRC Press, Boca Raton, FL(1997年)を参照されたい。ペプチド誘導体は、ここに本明細書の一部を構成するものとしてこれら全ての内容を援用する、米国特許第4,612,302号;同第4,853,371号;および同第4,684,620号ならびに米国特許出願公開第2009/0263843号に記載されている通りに調製することもできる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている技術は、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドをコードする核酸に関する。本明細書において、用語「核酸」または「核酸配列」は、リボ核酸、デオキシリボ核酸またはこれらのアナログの単位を取り込むいずれかの分子、好ましくは、ポリマー分子を指す。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。一本鎖核酸は、変性した二本鎖DNAの一方の鎖の核酸となり得る。あるいは、これは、いかなる二本鎖DNAにも由来しない一本鎖核酸となり得る。一態様では、鋳型核酸は、DNAである。別の態様では、鋳型は、RNAである。適した核酸分子は、ゲノムDNAまたはcDNAを含むDNAである。他の適した核酸分子は、mRNAを含むRNAである。核酸分子は、ゲノムDNAにおけるような天然起源のものであっても、合成のもの、即ち、ヒトの行為に基づき調製されてもよく、あるいはこれら2種の組合せであってもよい。核酸分子は、米国特許出願公開第20070213292号に記載されている2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)または2’−O−−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)、コレステロール付加およびホスホロチオエート骨格;ならびに米国特許第6,268,490号に記載されているメチレン単位により2’−酸素および4’−炭素原子の間に連結されたある特定のリボヌクレオシド等、ある特定の修飾を有することもでき、これら両方の特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、GDF11ポリペプチドをコードする核酸は、ヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドをコードする核酸は、ベクターによって含まれる。本明細書に記載されている態様の一部では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドをコードする核酸配列またはそのいずれかのモジュールは、ベクターに作動可能に連結されている。用語「ベクター」は、本明細書において、宿主細胞への送達または異なる宿主細胞間の移動のために設計された核酸構築物を指す。本明細書において、ベクターは、ウイルス性または非ウイルス性であり得る。用語「ベクター」は、適切な制御エレメントと関連付けられると複製することができ、遺伝子配列を細胞に移入させることができる、いずれかの遺伝的エレメントを包含する。ベクターとして、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオン等を挙げることができるがこれらに限定されない。
本明細書において、用語「発現ベクター」は、ベクターにおける転写調節配列に連結された配列からのRNAまたはポリペプチドの発現を方向づけるベクターを指す。発現された配列は、多くの場合、細胞に対し異種性であるが、必ずしもそうであるとは限らない。発現ベクターは、追加的なエレメントを含むことができ、例えば、発現ベクターは、2種の複製系を有し、これにより2種の生物において、例えば、発現のためにヒト細胞ならびにクローニングおよび増幅のために原核生物宿主において維持され得る。用語「発現」は、RNAおよびタンパク質の産生と、必要に応じて、タンパク質の分泌に関与する細胞過程を指し、適用可能であれば、その例として、例えば、転写、転写物プロセシング、翻訳ならびにタンパク質フォールディング、修飾およびプロセシングが挙げられるがこれらに限定されない。「発現産物」は、遺伝子から転写されたRNA、および遺伝子から転写されたmRNAの翻訳によって得られたポリペプチドを含む。用語「遺伝子」は、適切な調節配列に作動可能に連結された場合にin vitroまたはin vivoでRNAへと転写される核酸配列(DNA)を意味する。遺伝子は、コード領域に先行および後行する領域、例えば、5’非翻訳(5’UTR)または「リーダー」配列および3’UTRまたは「トレーラー」配列ならびに個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含んでいても含まなくてもよい。
本明細書において、用語「ウイルスベクター」は、ウイルス起源の少なくとも1種のエレメントを含み、ウイルスベクター粒子内にパッケージされる能力を有する核酸ベクター構築物を指す。ウイルスベクターは、非必須ウイルス遺伝子の代わりに、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含有することができる。ベクターおよび/または粒子は、in vitroまたはin vivoのいずれかで、いずれかの核酸を細胞に移入する目的に利用することができる。多数の形態のウイルスベクターが本技術分野において公知である。
「組換えベクター」とは、in vivoで発現することができる異種性核酸配列または「導入遺伝子」を含むベクターを意味する。本明細書に記載されているベクターを、一部の実施形態では、他の適した組成物および治療法と組み合わせることができることを理解されたい。一部の実施形態では、ベクターは、エピソームである。適したエピソームベクターの使用は、対象において目的のヌクレオチドを高いコピー数の染色体外DNA中に維持し、これにより、染色体組み込みの潜在的効果を排除する手段を提供する。
一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、処置前の対象におけるGDF11のレベルよりも少なくとも20%、例えば、20%もしくはそれを超えて、30%もしくはそれを超えて、40%もしくはそれを超えて、50%もしくはそれを超えて、100%もしくはそれを超えて、150%もしくはそれを超えて、200%もしくはそれを超えて、250%もしくはそれを超えて、300%もしくはそれを超えてまたは350%もしくはそれを超えて増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、処置前の対象におけるGDF11のレベルよりも少なくとも100%増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、処置前の対象におけるGDF11のレベルよりも少なくとも200%増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、処置前の対象におけるGDF11のレベルよりも約250%増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、健康な参照レベルの少なくとも50%、例えば、健康な参照レベルの50%もしくはそれ超、60%もしくはそれ超、70%もしくはそれ超、80%もしくはそれ超、90%もしくはそれ超または100%もしくはそれ超まで増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、健康な参照レベルの少なくとも60%まで増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、健康な参照レベルの少なくとも75%まで増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、健康な参照レベルの少なくとも90%まで増加される。健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さないヒト対象(例えば、若齢個体)の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。
本明細書において、「骨格筋幹細胞劣化」は、骨格筋幹細胞における、細胞数の減少、再生する筋線維サイズの減少、筋原性コロニー形成効率の減少、無傷核のパーセンテージの減少およびコメットアッセイによって評価される著しく損傷したDNAのパーセンテージの増加を指す。
一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、70歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、65歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、60歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、55歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、50歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、45歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、40歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、35歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、30歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、25歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。一部の実施形態では、健康な参照レベルは、骨格筋幹細胞劣化または関連する状態のいかなる徴候または症状も呈さない、20歳未満のヒト対象の集団におけるGDF11の平均レベルとなり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、健康な参照レベルよりも低いGDF11のレベルを有する対象を選択するステップと、本明細書に記載されている処置を投与するステップとを含むことができる。
一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、骨格筋の状態(例えば、本明細書に記載されている筋肉減少症または筋肉減少症関連状態もしくは症状)を処置するために増加される。一部の実施形態では、対象におけるGDF11のレベルは、骨格筋の状態(例えば、本明細書に記載されている筋肉減少症または筋肉減少症関連状態もしくは症状)を防止するために増加される。
低いまたは減少したGDF11ポリペプチドに関係する骨格筋状態は、加齢と共に生じるGDF11レベルの減少と共に発症する傾向がある。よって、斯かる状態が、正常で健康な若年成人に見られるレベルにまたはその付近にGDF11ポリペプチドレベルを維持することにより(例えば、高齢化と共に、ただし骨格筋の状態の発病に先立ち、GDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を投与することにより)防止または最低でも遅延され得ることが予想される。
別の態様では、本発明は、対象における骨格筋の状態を処置または防止する方法であって、それを必要とする対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、骨格筋の状態を処置または防止する方法を提供する。一部の実施形態では、骨格筋の状態は、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱からなる群から選択される。
クラスI筋肉減少症は、体肢除脂肪体重指数(appendicular lean body mass index)(ALBMI)<または=6.44kg.m(−2)(体肢除脂肪体重/身長)(Messier V, Karelis AD, Lavoie ME, Brochu M, Faraj M, Strychar I, Rabasa−Lhoret R.、Metabolic profile and quality of life in class I sarcopenic overweight and obese postmenopausal women: a MONET study. Appl Physiol Nutr Metab.、2009年2月;34巻(1号):18〜24頁)として定義されている。この定義は、筋肉容積を決定するための脚および/または腕のスキャンを要求する。このようなスキャンが必要とは限らず、筋肉減少症は、腕筋肉外周およびふくらはぎ(calf)外周等の人体測定的測定値を測定して、正常量を下回る肢骨格筋を決定することにより定義することができることも主張された(Bauer JM, Kaiser MJ, Sieber CC.、Sarcopenia in nursing home residents.、J Am Med Dir Assoc.2008年10月;9巻(8号):545〜51頁)。より老齢の対象における骨格筋量が、健康なより若齢の成体の平均を下回って2標準偏差を超える場合に筋肉減少症を同定する、実用的定義が得られた(Baumgartner RN, Koehler KM, Gallagher Dら(1998年4月)「Epidemiology of sarcopenia among the elderly in New Mexico」Am. J. Epidemiol.147巻(8号):755〜63頁)。
本明細書に記載されている組成物および方法は、筋肉減少症または筋肉減少症に伴う状態もしくは症状(例えば、筋肉減少症に伴う骨格筋量の損失;筋肉減少症に伴う疲労;筋肉減少症に伴う能力障害;筋肉減少症に伴う病的状態;筋肉減少症に伴う筋衰弱)の処置または防止に、または筋肉減少症における骨格筋の強度の増加に、または筋肉減少症の患者における骨折のリスクの低下に;あるいは加齢に伴う筋消耗;加齢に伴う筋消耗に伴う筋衰弱;廃用性萎縮;廃用性萎縮に伴う筋衰弱の防止または処置に;あるいは加齢または筋肉減少症に伴う筋消耗または筋衰弱に伴う骨折の防止または再発防止に有用である。
したがって、さらに別の態様では、本発明は、対象における筋肉減少症を処置または防止する方法であって、それを必要とする対象に、対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、組成物が、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における筋肉減少症を処置または防止する方法を提供する。
本明細書に記載されている技術の態様は、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドまたは本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含む組成物に関する。一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物である。本明細書において、用語「医薬組成物」は、製薬産業で一般的に使用される薬学的に許容される担体と組み合わせた活性薬剤を指す。語句「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症がなく、合理的なベネフィット/リスク比と釣り合った、人間および動物の組織と接触させた使用に適した化合物、材料、組成物および/または剤形を指すよう本明細書に用いられる。
一部の態様では、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む本明細書に記載されている組成物は、骨格筋幹細胞の若返りを必要とする対象における骨格筋幹細胞の若返りに使用することができ、対象におけるGDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加は、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。一部の実施形態では、組成物は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋幹細胞を若返らせる。
一部の態様では、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む本明細書に記載されている組成物は、骨格筋再生の促進を必要とする対象における骨格筋再生の促進に使用することができ、対象におけるGDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋再生を促進する。
一部の態様では、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む本明細書に記載されている組成物は、骨格筋の状態の処置または防止を必要とする対象における骨格筋の状態の処置または防止に使用することができ、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における骨格筋の状態を処置または防止する。一部の実施形態では、骨格筋の状態は、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱からなる群から選択される。
一部の態様では、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物は、筋肉減少症の処置または防止を必要とする対象における筋肉減少症の処置または防止に使用することができ、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加は、対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、対象における筋肉減少症を処置または防止する。
本明細書に記載されている上述および他の態様の一部の実施形態では、対象は、加齢による骨格筋の状態と診断されている。
本発明のまたさらなる態様は、筋肉減少症または筋肉減少症に伴う骨格筋量の損失;筋肉減少症に伴う疲労;筋肉減少症に伴う能力障害;筋肉減少症に伴う病的状態;筋肉減少症に伴う筋衰弱の処置または防止における使用のための;あるいは筋肉減少症における骨格筋の強度を増加させるための、または筋肉減少症の患者における骨折のリスクを低下させるための;あるいは加齢(ageing)に伴う筋消耗;加齢に伴う筋消耗に伴う筋衰弱;廃用性萎縮;廃用性萎縮に伴う筋衰弱の防止または処置のための;あるいは筋消耗に伴う骨折または加齢もしくは筋肉減少症に伴う衰弱の防止または再発防止のための、本発明に係る部分の医薬組成物またはキットを提供する。
その中に溶解または分散された活性成分を含有する薬理学的組成物の調製は、本技術分野において十分に理解されており、一般に、製剤に基づき限定される必要はない。典型的には、斯かる組成物は、液体の溶液または懸濁液いずれかの注射用として調製されるが、使用に先立つ液体への溶解または懸濁に適した固形を調製することもできる。調製物は、乳化またはリポソーム組成物として提供することもできる。活性成分は、薬学的に許容され、活性成分と適合性である、本明細書に記載されている治療方法における使用に適した量の賦形剤と混合することができる。適した賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールその他およびこれらの組合せである。加えて、必要に応じて、組成物は、活性成分の有効性を増強する、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤その他等の少量の補助的物質を含有することができる。本発明の治療組成物は、その中に構成成分の薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸もしくはリン酸等の無機酸または酢酸、酒石酸、マンデル酸その他等の有機酸により形成された酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基により形成)を含む。遊離カルボキシル基により形成された塩は、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは第二鉄等の無機塩基およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインその他等の有機塩基に由来することもできる。生理的に耐容できる担体は、本技術分野において周知である。例示的な液体担体は、活性成分および水に加えた材料を含有しない、あるいはリン酸緩衝食塩水等、生理的pH値のリン酸ナトリウム、生理食塩水またはその両者等のバッファーを含有する無菌水溶液である。
さらにまた、水性担体は、2種以上の緩衝塩ならびに塩化ナトリウムおよびカリウム等の塩、デキストロース、ポリエチレングリコールならびに他の溶質を含有することができる。液体組成物は、水に加えておよび水を除外して液相を含有することもできる。例示的な斯かる追加的な液相は、グリセリン、綿実油等の植物油および水−油エマルションである。特定の障害または状態の処置において有効となる本発明において使用される活性薬剤の量は、障害または状態の性質に依存し、標準臨床技法により決定することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸は、制御または遅延放出手段により投与することができる。制御放出医薬品産物は、その非制御放出対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善する共通目標を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小量の時間で状態の治癒または制御に用いられている最小の薬物物質によって特徴付けられる。制御放出製剤の利点は、1)薬物の活性の延長;2)投薬量頻度の低下;3)患者コンプライアンスの増加;4)少ない総薬物の使用;5)局所的または全身性副作用の低下;6)薬物蓄積の最小化;7)血液レベルゆらぎの低下;8)処置の有効性の改善;9)薬物活性の強化または損失の低下;および10)疾患または状態の制御スピードの改善を含む。Kim, Chemg−ju、Controlled−release Dosage Form Design, 2(Technomic Publishing、Lancaster, Pa.:2000年)。
従来の剤形は、一般に、製剤からの迅速または即時薬物放出をもたらす。薬物の薬理作用および薬物動態に基づき、従来の剤形の使用は、患者の血液および他の組織における薬物の濃度に幅広いゆらぎをもたらし得る。このようなゆらぎは、用量頻度、作用発現、有効性の持続時間、治療的血液レベルの維持、毒性、副作用その他等の多数のパラメータに影響を与え得る。
有利には、制御放出製剤を使用して、薬物の作用発現、作用の持続時間、治療ウィンドウ内の血漿レベルおよびピーク血液レベルを制御することができる。特に、制御または延長された放出剤形または製剤を使用して、薬物の過少量投与(即ち、最小治療レベルを下回る)および薬物の毒性レベル超の両方から生じ得る、潜在的有害効果および安全性の懸念を最小化しつつ、薬物の最大有効性が達成されることを確実にすることができる。
大部分の制御放出製剤は、所望の治療効果を直ちに生じる量の薬物(活性成分)を最初に放出し、延長された期間にわたり治療的または予防的効果のこのレベルを維持するための他の量の薬物を徐々にかつ連続的に放出するよう設計される。身体内で薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は、代謝および身体から排泄される薬物の量を置き換える速度で剤形から放出される必要がある。活性成分の制御放出は、pH、イオン強度、浸透圧、温度、酵素、水および他の生理条件または化合物等が挙げられるがこれらに限定されない、様々な条件によって刺激することができる。
種々の公知の制御または延長された放出剤形、製剤および装置は、本開示の塩および組成物による使用に適応させることができる。例として、参照によりそれぞれの内容を本明細書に組み込む、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719;同第5674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556号;同第5,733,566号;および同第6,365,185(B1)号の記載が挙げられるがこれらに限定されない。これらの剤形を使用して、変動する比率で所望の放出プロファイルをもたらすための例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム(OROS(登録商標)(Alza Corporation、Mountain View、Calif.USA)等)またはこれらの組合せを使用して、1種または複数の活性成分の緩徐または制御放出をもたらすことができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている技術は、治療有効量の組成物、例えば、本明細書に記載されているGDF11ポリペプチドを含む医薬品調製物を含むシリンジに関する。
本明細書において、語句「治療有効量」、「有効量」または「有効用量」は、例えば、筋肉減少症の処置、防止または管理における治療的または審美的利益をもたらす量、例えば、筋肉減少症の少なくとも1種の症状、徴候またはマーカーに統計的に有意な減少をもたらす量を指す。
治療有効量の決定は、十分に当業者の能力範囲内である。一般に、治療有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別と共に、対象における医学的状態の重症度および種類ならびに他の薬学的活性薬剤の投与と共に変動し得る。
一態様では、本明細書に記載されている技術は、GDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を対象に投与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載されている骨格筋の状態または関連する状態の処置を必要とする。一部の実施形態では、本方法は、対象を処置する方法である。一部の実施形態では、本方法は、対象における筋肉減少症を処置または防止する方法である。斯かる状態は、本明細書に記載されている。
本明細書において、「処置する」、「処置」、「処置している」または「寛解」は、疾患、障害または医学的状態に関して使用される場合、状態の治療的処置を指し、その目的は、症状または状態の進行または重症度を反転、軽減、寛解、阻害、減速または停止させることである。用語「処置している」は、状態の少なくとも1種の有害効果または症状の低下または軽減を含む。1種または複数の症状または臨床マーカーが低下される場合、処置は一般に「有効」である。あるいは、状態の進行が低下または中止される場合、処置は「有効」である。即ち、「処置」は、症状またはマーカーの単なる改善だけではなく、処置の非存在下で予想される症状の進行または悪化の休止または少なくとも緩徐化も含む。有益なまたは所望の臨床結果として、1種または複数の症状(複数可)の軽減、欠損の程度の低減、例えば、筋肉減少症の安定化された(即ち、悪化していない)状況、筋肉減少症の遅延または緩徐化および処置の非存在下で予想されるものと比較して増加した寿命が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、用語「投与」は、作用部位への送達をもたらす方法または経路による、本明細書に開示されているGDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含む組成物の、対象への配置を指す。GDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含む医薬組成物は、対象における有効な処置をもたらすいずれか適切な経路により投与することができる。
本明細書に記載されているデータは、脈管系を経た全身性投与が有効となり得ることを示す。よって、静脈内経路による投与が特に考慮される。しかし、適切な製剤により、例えば、鼻腔内、動脈内;冠動脈内;経口、吸入、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内または当業者に公知の他の手段を含む他の経路が考慮される。組成物は、投薬量製剤と適合性の様式で、治療有効量が投与される。投与されるべき含量およびタイミングは、処置しようとする対象、活性成分を利用する対象の系の能力および所望の治療効果の程度に依存する。
少なくとも1種の薬剤を含有する治療組成物は、例えば単位用量で従来的に投与することができる。用語「単位用量」は、治療組成物に関して使用される場合、対象のための単位投薬量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、要求される生理的に許容できる希釈剤、即ち、担体またはビヒクルに関連して所望の治療効果を生じるよう計算された、活性材料の所定の含量を含有する。
薬剤の投薬量範囲は、効力に依存し、これは、所望の効果、例えば、対象の骨格筋幹細胞の若返りまたは骨格筋の状態(例えば、筋肉減少症)の反転を生じるために十分に多い量である。投薬量は、許容できない有害副作用を引き起こす程に多くなるべきではない。
一般に、投薬量は、患者の年齢、状態および性別と共に変動し、当業者によって決定することができる。投薬量は、いずれかの合併症の場合は、個々の医師によって調整することもできる。典型的には、投薬量は、0.001mg/kg体重〜0.5mg/kg体重に及び得る。一実施形態では、用量範囲は、5μg/kg体重〜30μg/kg体重である。
上に列挙されている用量の投与は、反復することができる。一部の実施形態では、用量は、1日1回または1日複数回与えられる、例えば、1日3回が挙げられるがこれに限定されない。一部の実施形態では、上に列挙されている用量は、数週間または数カ月間毎日投与される。処置の持続時間は、対象の臨床進行および治療法に対する応答性に依存する。理論に制約されることは望まないが、GDF11ポリペプチドが、罹患個体において年齢と共に明らかに低減する場合、例えば、筋肉減少症等の骨格筋の状態のGDF11に基づく処置の利益の確立および維持に長期治療法が要求されることが予想される。
投与に要求される活性成分の正確な量は、医者の判断に依存し、各個体に特別である。しかし、全身性適用に適した投薬量範囲は、本明細書に開示されており、投与経路に依存する。投与に適したレジームはまた、可変性であるが、初期投与と、続くその後の投与による1または複数の間隔での反復用量によって典型的に表される。あるいは、in vivo治療法に特定される範囲内での血液中の濃度の維持に十分な連続的静脈内注入が考慮される。一部の実施形態では、投薬量範囲は、50歳未満の正常で健康なヒト対象(例えば、骨格筋幹細胞劣化の徴候、症状またはマーカー(maker)がない対象)の集団の血液に見られる範囲内での血液中の濃度の維持に十分である。一部の実施形態では、投薬量範囲は、40歳未満の正常で健康なヒト対象に見られる範囲内での血液中の濃度の維持に十分である。一部の実施形態では、投薬量範囲は、30歳未満の正常で健康なヒト対象に見られる範囲内での血液中の濃度の維持に十分である。
治療有効量は、例えば、骨格筋の状態(例えば、筋肉減少症)の統計的に有意な測定可能な変化を生じるのに十分な薬剤の量である。斯かる有効量は、臨床治験および動物試験において計測することができる。薬剤の有効性は、例えば、本明細書における上述の骨格筋幹細胞劣化の身体的指標を評価することにより決定することができる。実験系において、有効性のアッセイは、骨格筋量の測定ならびに組織学的顕微鏡検査によって決定される筋線維サイズの決定および/またはリン酸化形態のバリアントヒストンH2AX(pH2AX)に対する免疫反応性等の加齢骨格筋幹細胞マーカーの発現の低下を含む。斯かるアッセイは、本技術分野において周知であり、本明細書の実施例において詳細に記載されている。骨格筋幹細胞若返りを検出またはモニターするための臨床的に許容できる方法は、本明細書に記載されている。加えて、薬剤の有効性は、GDF11ポリペプチドまたはGDF11ポリペプチドをコードする核酸を含む薬剤で処置されている対象におけるGDF11ポリペプチドまたはその断片の増加により測定することができる。
骨格筋の状態(例えば、筋肉減少症)のための所定の処置の有効性は、熟練の臨床医によって決定することができる。しかし、処置は、「有効処置」と考慮され、本明細書においてこの用語が使用される際に、例えば、骨格筋の状態の徴候または症状のうちいずれか1種または全種が、有益な様式で変更される場合、他の臨床的に認容される症状が、本明細書に記載されている薬剤による処置後に例えば、少なくとも10%改善または寛解される。有効性は、入院または医療介入の必要によって評価される、個体が悪化しないことによって測定することもできる(即ち、疾患の進行が中止される)。このような指標を測定する方法は、当業者に公知であるおよび/または本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、本方法は、コンビナトリアル治療法の一部として、骨格筋幹細胞劣化または骨格筋の状態を患う対象に有益な1種または複数の追加的な薬剤、生物製剤、薬物または処置と共に、本明細書に記載されている医薬組成物を投与するステップをさらに含む。一部の斯かる実施形態では、薬剤、生物製剤、薬物または処置は、骨格(skeletal)ミオシン、骨格アクチン、骨格トロポミオシン、骨格トロポニンC、骨格トロポニンI、骨格トロポニンTおよび骨格筋(これらの断片およびアイソフォームを含む)および骨格サルコメアのうち1種または複数のモジュレーター、ならびに抗肥満剤、抗筋肉減少症剤、抗消耗症候群剤、抗虚弱剤、抗悪液質剤、抗筋肉攣縮剤、手術後および外傷後筋衰弱に対する薬剤ならびに抗神経筋疾患剤を含む上述の疾患の処置において有用な他の適した治療剤、ならびに米国特許出願公開第2005/0197367号に記載されている薬剤からなる群から選択することができる。
適した追加的な薬用および医薬品剤は、例えば、オルリスタット、シブトラミン(sibramine)、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、ベンズフェタミン(benzaphetamine)、フェンジメトラジン、エストロゲン、エストラジオール、レボノルゲストレル、ノルエチンドロン酢酸エステル、エストラジオール吉草酸エステル、エチニルエストラジオール、ノルゲスチメート、コンジュゲートされたエストロゲン、エステル化エストロゲン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、インスリン由来増殖因子、ヒト成長ホルモン、リルゾール、カンナビジオール、プレドニゾン、ベータアゴニスト(例えば、アルブテロール)、ミオスタチン阻害剤、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、非ステロイド系抗炎症薬およびボツリヌス毒素を含む。
他の適した薬用および医薬品剤は、TRH、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbesterol)、テオフィリン、エンケファリン、Eシリーズプロスタグランジン、米国特許第3,239,345号に開示されている化合物(例えば、ゼラノール)、米国特許第4,036,979号に開示されている化合物(例えば、スルベノックス)、米国特許第4,411,890号に開示されているペプチド、GHRP−6、GHRP−1(米国特許第4,411,890号ならびに刊行物WO89/07110およびWO89/07111に開示)、GHRP−2(WO93/04081に開示)、NN703(Novo Nordisk)、LY444711 Lilly)、MK−677(Merck)、CP424391(Pfizer)およびB−HT920等の成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン放出因子およびそのアナログ、成長ホルモンおよびそのアナログ、ならびにIGF−1およびIGF−2を含むソマトメジン、白血病阻害因子、毛様体(cilia)神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、インターロイキン6、インターロイキン15、クロニジン等のアルファ−アドレナリン作動性アゴニストまたはスマトリプタン等のセロトニン5−HTアゴニスト、フィゾスチグミン等のソマトスタチンまたはその放出を阻害する薬剤、ピリドスチグミン、副甲状腺ホルモン、PTH(1−34)ならびにMK−217(アレンドロネート)等のビスホスホネートを含む。
さらに他の適した薬用および医薬品剤は、エストロゲン、テストステロン、タモキシフェンまたはラロキシフェン等の選択的エストロゲン受容体モジュレーター、Edwards, J. P.ら、Bio. Med. Chem. Let.、9巻、1003〜1008頁(1999年)およびHamann, L. G.ら、J. Med. Chem.、42巻、210〜212頁(1999年)に開示されているもの等の他のアンドロゲン受容体モジュレーター、ならびにレボノルゲストレル等のプロゲステロン受容体アゴニスト(「PRA」)、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)を含む。
さらに他の適した薬用および医薬品剤は、2000年3月6日に出願された米国特許出願第09/519,079号に開示されているもの等のaP2阻害剤、PPARガンマアンタゴニスト、PPARデルタアゴニスト、ベータ2アドレナリン作動性アゴニスト、AJ9677(Takeda/Dainippon)、L750355(Merck)またはCP331648(Pfizer)等のベータ3アドレナリン作動性アゴニスト、米国特許第5,541,204号、同第5,770,615号、同第5,491,134号、同第5,776,983号および同第5,488,064号に開示されている他のベータ3アゴニスト、オルリスタットまたはATL−962(Alizyme)等のリパーゼ阻害剤、シブトラミン、トピラメート(Johnson&Johnson)またはアクソキン(Regeneron)等のセロトニン(およびドーパミン)再取り込み阻害剤、WO97/21993、WO99/00353およびGB98/284425に開示されている甲状腺受容体リガンド等の甲状腺受容体ベータ薬物、ならびにデキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマジンドール等の食欲低下剤を含む。
さらに他の適した薬用および医薬品剤は、インジナビル硫酸塩、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、リトナビル、ラミブジン、ジドブジン、ラミブジン/ジドブジン合剤、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジンおよびメゲストロール酢酸エステル等、HIVおよびAIDS治療薬を含む。
さらに他の適した薬用および医薬品剤は、骨吸収抑制剤、ホルモン補充療法、ビタミンDアナログ、元素カルシウムおよびカルシウムサプリメント、カテプシンK阻害剤、MMP阻害剤、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、Src SHアンタゴニスト、血管(vacular)−−H−ATPase阻害剤、イプリフラボン、フルオライド、チボロン、プロスタノイド、17−ベータヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害剤およびSrcキナーゼ阻害剤を含む。
上述の他の治療剤は、本明細書に記載されている化学物質と組み合わせて用いると、例えば、米医薬品便覧(Physicians’ Desk Reference)(PDR)に示されているまたは当業者によって他の仕方で決定される量で使用することができる。
本開示の実施形態の記載は、包括的となるまたは開示されている正確な形態に本開示を限定することは企図しない。本開示の特異的な実施形態および実施例が、説明目的のために本明細書に記載されているが、関連する技術分野における当業者が認識する通り、本開示の範囲内で様々な均等な修正が可能である。例えば、方法のステップまたは機能は、所定の順序で提示されているが、代替的な実施形態は、異なる順序で機能を行うことができる、あるいは機能は、実質的に同時発生的に行うことができる。本明細書に提供される本開示の教示は、必要に応じて他の手順または方法に適用することができる。本明細書に記載されている様々な実施形態を組み合わせて、さらに別の実施形態を提供することができる。本開示の態様を必要であれば修正して、上述の参考文献および出願の組成物、機能および概念を用いて、本開示のさらにまた別の実施形態を提供することができる。詳細な説明を踏まえて、上述および他の変更を本開示に為すことができる。
前述の実施形態のいずれかの特異的な要素は、他の実施形態における要素と組み合わせるまたは置換することができる。さらに、本開示のある特定の実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で記載してきたが、他の実施形態も斯かる利点を表示することができ、全ての実施形態が斯かる利点を表示して、本開示の範囲内に収まる必要はない。
同定されたあらゆる特許および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用することができる斯かる刊行物に記載されている方法論を記載および開示する目的のため、参照により本明細書に明確に組み込む。これらの刊行物は、本願の出願日に先立つその開示のために単に提示されている。これに関して、本発明者らが、先行発明または先行刊行物のために、あるいは他のいずれかの理由のために、先行する斯かる開示の権利を与えられていないことの承認として解釈するべきではない。これらの文書の日付に関するあらゆる記述または内容に関する表示は、本出願人らに利用できる情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
当業者であれば、本発明が、目的の実現に十分に適応され、言及されている目標および利点ならびにそれに固有の目標および利点を得ることを容易に認める。本明細書における記載および実施例の詳細は、ある特定の実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲に関する限定として企図されない。その修正および他の使用は、当業者が思い付く。このような修正は、本発明の精神内に包含される。当業者であれば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示されている本発明に変動的な置換および修正を為すことができることが容易に明らかとなる。
単数形を表す冠詞(「a」および「an」)は、本明細書および特許請求の範囲において、それとは反対のことが明らかに示されていなければ、複数形の指示対象を含むと理解されたい。それとは反対のことが示されない限り、あるいは文脈から他のことが明らかでなければ、群メンバーのうち1個、2個以上または全てが、所定の産物または過程に存在する、用いられるまたは他の仕方で関連する場合、群の1個または複数のメンバーの間に「または」を含む特許請求の範囲または記載が成立されると考慮される。本発明は、群の正確に1個のメンバーが、所定の産物または過程に存在する、用いられるまたは他の仕方で関連する実施形態を含む。本発明は、群メンバーの2個以上または全てが、所定の産物または過程に存在する、用いられるまたは他の仕方で関連する実施形態も含む。さらに、本発明が、他に断りがなければ、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかでなければ、収載されている請求項のうち1種または複数からの1種または複数の限定、要素、節、記述用語等を、同じ基本請求項(または関連するいずれか他の請求項として)に従属する別の請求項に導入する、あらゆる変動、組合せおよび並べ替えを提供することを理解されたい。本明細書に記載されているあらゆる実施形態が、必要に応じて本発明のあらゆる異なる態様に適用可能であることが考慮される。実施形態または態様のいずれかを、適切であれば1種または複数の他の斯かる実施形態または態様と自由に組み合わせることができることも考慮される。要素が、例えば、マーカッシュ群または同様の形式でリストとして提示される場合、要素の各部分群も開示されており、この群からいかなる要素(複数可)を除去することもできることを理解されたい。一般に、本発明または本発明の態様が、特定の要素、特色等を含むと称される場合、本発明または本発明の態様のある特定の実施形態が、斯かる要素、特色等からなるまたはそれから本質的になることを理解されたい。単純さの目的のため、これらの実施形態は、全事例において、本明細書においてそれほど多くの単語を費やして特に表記されてはいない。特異的な除外が、本明細書において列挙されているか否かにかかわらず、本発明のいずれかの実施形態または態様が、特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解されたい。例えば、いずれか1種または複数の活性薬剤、添加物、成分、任意選択の薬剤、生物の種類、障害、対象またはこれらの組合せを除外することができる。
特許請求の範囲または記載が、組成物に関する場合、他に断りがなければ、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかでなければ、本明細書に開示されている方法のいずれかに従って該組成物を作製または使用する方法と、本明細書に開示されている目的のいずれかのために該組成物を使用する方法が、本発明の態様であることを理解されたい。特許請求の範囲または記載が、方法に関する場合、例えば、他に断りがなければ、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかでなければ、該方法の実施に有用な組成物を作製する方法と、該方法に従って産生される産物が、本発明の態様であることを理解されたい。
本明細書において範囲が示されている場合、本発明は、終点が含まれた実施形態、両方の終点が除外された実施形態および一方の終点が含まれ他方が除外された実施形態を含む。他に断りがなければ、両方の終点が含まれていることを想定されたい。さらに、他に断りがなければ、文脈がそれ以外のことを明らかに指示しない限り、あるいは文脈および当業者の理解から他に明らかでなければ、範囲として表現される値が、範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態における記述されている範囲内のいずれか特異的な値または部分範囲を想定することができることを理解されたい。一連の数値が本明細書に記述されている場合、本発明が、この一連におけるいずれか2個の値に規定されるいずれか介在する値または範囲に類似的に関する実施形態を含み、最も低い値が最小とされ、最も大きい値が最大とされ得ることも理解される。数値は、本明細書において、パーセンテージとして表現される値を含む。数値が「約」または「およそ」に前置きされた本発明のいずれかの実施形態では、本発明は、正確な値が列挙された実施形態を含む。数値が「約」または「およそ」に前置きされていない本発明のいずれかの実施形態では、本発明は、値が「約」または「およそ」に前置きをされた実施形態を含む。
「およそ」または「約」は、一般に、他に断りがなければ、あるいは文脈からそれ以外のことが明らかでなければ、いずれかの方向において(数を超えるまたはそれに満たない)、1%の範囲内、または一部の実施形態では、数の5%の範囲内、または一部の実施形態では、数の10%の範囲内に収まる数を含む(斯かる数が、可能な値の100%を許されないほどに超える場合を除いて)。それとは反対のことが明らかに示されていなければ、2種以上の行為を含む本明細書に請求されているいずれかの方法において、該方法の該行為の順序は、該方法の該行為が列挙された順序に必ずしも限定されないが、本発明は、順序がそのように限定された実施形態を含むことを理解されたい。他に断りがなければ、あるいは文脈から明らかでなければ、本明細書に記載されているいずれかの産物または組成物が、「単離された」と考慮され得ることも理解されたい。
本発明を次の実施例によりさらに説明するが、これを限定的に解釈するべきではない。
材料と方法
マウスおよびin vivo手順
加齢C57BL/6マウス(22〜24カ月)をNational Institutes of Aging(NIA)から得て、若齢C57BL/6マウス(2〜3カ月)をJackson Laboratories、Bar Harbor、ME、USAから購入した。マウスを収容し、ハーバード大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)承認プロトコールに従って処置した。
並体結合実験のため、以前に記載された通りに外科手術を行った(BunsterおよびMeyer、1933年;Ruckhら、2012年)。連結4週間後に、他方のパートナー(CD45.2+)の脾臓における一方のパートナー(CD45.1+)由来のドナー由来血液細胞の頻度を測定するフローサイトメトリーにより、若齢同時性および異時性並体結合ペアのサブセットにおいて血液キメラ現象を確認した。パートナー由来細胞は典型的に、脾細胞の40〜50%を表し、並体結合交差循環の確立を示す。老齢CD45.1+マウスは、NIAから購入できないため、本方法は、老齢同時性ペアにおけるキメラ現象の確立の検証に使用することはできなかった。連結4週間後に、並体結合マウスを屠殺し、その後の実験のために筋肉を収集した。
GDF11による処置のため、マウスをランダムに2群に分けた:1群のマウスは、0.1mg/kgマウス体重の毎日のIP注射によりGDF11で処置し、一方、他方の群の対照マウスは、ビヒクル(0.1%BSAおよび4mM HClを有するPBS)を注射した。rGDF11の個々のロットは、in vivoアッセイにおける使用前に、分光光度計、ゲル電気泳動およびK562赤血球分化生物活性アッセイにより、サプライヤーの推奨するところに従って品質管理した。処置30日後に、他に指定がなければ、マウスを屠殺し、その後の実験のために筋肉を収集した。増殖する細胞のin vivo BrdU標識のため、マウスに、5%スクロースを含有する飲料水において4〜6週間BrdU(0.5mg/ml)を与え、その後マウスを屠殺し、解析のために組織を収集した。
筋肉幹細胞単離
以前に記載された通りに、無傷肢筋肉(長指伸筋、腓腹筋、四頭筋、ヒラメ筋、前脛骨筋および上腕三頭筋)から筋肉幹細胞を単離した(Cerlettiら、2008年;Conboyら、2003年;Sherwoodら、2004年)。単離後に、2%ドナー仔ウシ血清を含有するハンクス平衡(Buffered)塩類溶液(Gibco)において、次の抗体と共に全筋線維関連細胞を氷上で20分間インキュベートした:30−F11(1:200、抗マウスCD45、フィコエリトリン(PE)またはアロフィコシアニン(APC)コンジュゲート(eBioscience、San Diego、CA));M1/70(1:200、抗マウスCD11b、PEコンジュゲート(eBioscience);または1:800、抗マウスCD11b、APCコンジュゲート(eBioscience));D7(1:800、抗Sca−1、Ly−6A/E、APCコンジュゲート(eBioscience))、β1−インテグリン(1:200、抗マウスCD29、精製、(BD Pharmingen、San Jose、CA;または1:400、抗マウス/ラットCD29、PEコンジュゲート(Biolegend、San Diego、CA);CXCR4(1:100、ビオチン化抗マウスCD184(BD Pharmingen))、ストレプトアビジン(1:100、Cy7−PEコンジュゲート(eBioscience))、抗アルメニアンハムスターIgG、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート(1:100、eBioscience)。Aria II、MoFloまたはBertha(BD Life Sc.)を使用した蛍光標識細胞分取方法により、CD45−Sca−1−Mac−1−CXCR4+β1−インテグリン+として同定された筋肉幹細胞(Cerlettiら、2008年;Sherwoodら、2004年)を選別した。カルセインブルー陽性(1:1000、Invitrogen、Carlsbad、CA)およびヨウ化プロピジウム陰性(PI、1mg/mL)として、生細胞を同定した。
筋肉幹細胞を二重選別して、純度を最大化した。細胞内染色のため、先ず筋線維関連細胞を表面抗原マーカーのために染色し、次に、cytofix/cytopermバッファー(APC BrdU Flow Kit、BD PharmingenTM)を使用してメーカーの説明書に従って固定および透過処理した。細胞をその後、APC−抗BrdU(APC BrdU Flow Kit、BD PharmingenTM)または抗活性化(切断)カスパーゼ−3(Asp175)Alexa−488コンジュゲート(1:50、Cell signaling)または抗ホスホ−53BP1(S25)(1:50、Bethyl laboratories)で染色した。二次抗体染色が必要とされる場合、先ず細胞をヤギ血清(1/100)および抗CD16/32 NA/LE(2.4G2、BD)でブロッキングし、次にヤギ抗ウサギ−Alexa488(1:100、Invitrogen)で染色した。活性化カスパーゼ−3またはホスホ−53BP1発現の試験のため、筋線維関連細胞のサブセットを37℃にて2時間、950μM H2O2で処理して、染色の陽性対照を作製し、別個のサブセットを二次抗体単独で染色して、示されている通り陰性対照とした。DIVA(Becton Dickinson(BD)、Franklin Lakes、NJ)を使用してFACSデータを収集し、Flowjoソフトウェア(Tree Star、Inc.、バージョン8.6.1、Ashland、OR)を使用してオフラインで解析して、筋肉組織1グラム当たりの選別されたCD45−Sca1−Mac1−CXCR4+β1−インテグリン+細胞の総数としての収量または生細胞中の頻度を決定した。
単一細胞ゲル電気泳動またはコメットアッセイ
コメットアッセイのため、およそ3,000個の筋肉幹細胞を二重選別して、2%ドナー仔ウシ血清入りの350ulのハンクス平衡塩類溶液(Gibco)を含有するEppendorfチューブに入れた。メーカーの説明書に従ってコメットアッセイを行った(Cell Biolabs、Inc.San Diego、CA)。簡潔に説明すると、細胞を700rcfで3分間、室温にて遠心分離し、37℃で少なくとも20分間プレインキュベートした溶融した低融点アガロースに、細胞ペレットを再懸濁した。次に、細胞−アガロース懸濁液をコメットスライド上に穏やかにアプライし、薄層を形成させ、アガロース(agaorse)層を氷上で凝固させ、その後、溶解バッファーに浸した。細胞の溶解を12時間4℃で行い、次に、示されている通り中性またはアルカリバッファーにおいてDNAを電気泳動した。細心の注意を払って、電気泳動するまで細胞の選別またはその後の加工および取り扱いの際の露光を最小化した。最後に、電気泳動されVistaDye染色されたDNAを、Zeiss Imager M1蛍光顕微鏡(Carl Zeiss、Thornwood、NY)下で可視化し、発表されたプロトコールに従って、動物当たり100〜250個の核を視覚的にスコア化した。このスコアリングアプローチは、他の方法(例えば、tail momentの計算)と等しく差の検出に有効であることが実証された。
筋肉幹細胞、単一筋線維および筋肉の免疫(Immno)蛍光染色
凍結切片
免疫染色のため、およそ5,000個の筋肉幹細胞をPBSの小液滴に直接的に選別して、スライドを氷上で30分間穏やかに休ませることによりスライド上に定着させ、その後、4%PFAによる20分間室温の固定を行った。若齢(2カ月)および老齢(24カ月)マウスから解剖された後肢筋肉において、単一筋線維の免疫染色を行った。解剖された筋肉を0.2%コラゲナーゼII型で消化し、刻み、PBSに溶解した4%パラホルムアルデヒドにおいて固定した。選別された細胞、単一筋線維または筋肉凍結切片をPBSで洗浄し、透過処理し、PBSに溶解した2%BSA/0.5%ヤギ血清/0.5%Triton Xを使用して60分間室温でブロッキングした。マウスで作製した一次抗体による免疫染色のため、M.O.M免疫検出キット(Vector Laboratories、Burlingame、CA)をメーカーの説明書に従って使用した。一次抗体(マウスモノクローナル抗Pax7(1:100 DSHB、アイオワ大学)およびウサギポリクローナル抗γH2AX(1:500、Abcam)、マウス抗CD31(1:250)、ウサギポリクローナル抗ラミニン(1:500))を試料と共に12〜16時間4℃でインキュベートし、二次抗体(1:200、AlexaFluor555またはAlexaFluor488、Invitrogen)で60分間室温にてインキュベーとした(各インキュベーション後にPBSで3〜4回洗浄)。53BP1免疫染色のため、一次および二次抗体インキュベーションの両方の間に血清ブロッキング(10%ヤギ血清)および洗剤(0.1%Tween20)が含まれた。単一筋線維のため、二次抗体インキュベーション後に、DPBSによる洗浄および0.01%Tween20を含有するDPBSによる1回の追加の洗浄を導入した。同様に、筋肉凍結切片のため、4%PFAによる固定およびPBSによる洗浄後に、20分間室温におけるPBSに溶解した2%SDSにより抗原回復を行った。DAPIを含有するVECTASHIELD(登録商標)マウント用培地において、全試料をスライド上にマウントした。Zeiss Imager M1蛍光顕微鏡(Carl Zeiss、Thornwood、NY)下で蛍光像を得て、ImageJを使用して定量化した。Inverted LSM 510 MetaまたはInverted LSM 700 Meta(Carl Zeiss、Thornwood、NY)を使用して、試料当たり選別細胞の50〜100枚の共焦点像を得て、AIMソフトウェアおよびImageJを使用して定量化した。
神経筋接合部免疫蛍光
長指伸(EDL)筋を1時間室温で固定した(PBSに溶解した4%パラホルムアルデヒド)。他に断りがなければ、全インキュベーションを室温で行った。EDL筋を筋肉線維の束に裂いた。筋肉を15分間PBSにおいて2回洗浄し、PBSに溶解した100mMグリシンと共に15分間インキュベートし、PBSにおいてすすいだ。覆っている結合組織の除去後に、筋肉を透過処理し、2%ウシ血清アルブミン、4%正常ヤギ血清および0.5%Triton X−100を含有するPBSにおいて1時間ブロッキングした。アセチルコリン受容体(AChR)の数および密度を定量化するために、筋肉を先ず1時間室温で、次に一晩4℃でAlexaFluor594α−ブンガロトキシン(BTX)で染色した。PBSにおける3回の30分間洗浄の後に、筋肉をPBSにおいてすすぎ、PBSに溶解した1%ホルムアルデヒドで30分間固定し、10分間PBSにおいて3回洗浄し、DAPI入りVectashield(Vector Laboratories、Burlingame、CA)においてフラットマウントした。Zeiss M1またはLSM 510共焦点顕微鏡を使用して像を取得した。
筋形成アッセイ
筋形成アッセイ。Aria II(BD Biosciences)の自動細胞沈着ユニット(ACDU)を使用して、若齢または加齢マウス由来の筋サテライト細胞を、成長培地(F10、20%ウマ血清、1%Glutamaxおよび1%pen/strep)を含有する96ウェルプレートにクローン選別(単一細胞/ウェル)または大量選別(200細胞/ウェル)した。選別に先立ち、コラーゲン(1mg/ml、Sigma)およびラミニン(10mg/ml、Invitrogen)を含有するPBSと共にウェルを少なくとも1時間37℃でインキュベートすることにより、96ウェルプレートをコラーゲン/ラミニンでコーティングした。F10、1%glutamax、1%Penstrepおよび20%ウマ血清またはノックアウト血清代替物(KOSR、Invitrogen)で構成された成長培地においてサテライト細胞を培養し、示されている場合、5ng/ml最終濃度の新鮮bFGFを毎日添加した。0.1%BSAおよび4mM HClを含有するPBSに再懸濁した精製された組換えGDF11(rGDF11、カタログ番号120−11、PeproTech)を表示濃度で毎日添加した。in vitroアッセイにおける使用前に、分光光度計、ゲル電気泳動およびK562赤血球分化生物活性アッセイにより、メーカーの推奨するところに従って、rGDF11の個々のロットを品質管理した。筋原性コロニーを含有するウェルを、明視野顕微鏡により計数した、あるいは4%PFAで固定し、Celigo自動顕微鏡においてウェル当たりの細胞の数を表示時点におけるヘキスト染色核として計数した。分化アッセイのため、ウェル当たり5000細胞となるよう、サテライト細胞を24ウェルプレートに選別した。bFGFを補給した成長培地(上述)において細胞を5日間培養した。プレーティング後5〜8日目に、培地を分化培地(DMEM、1%GlutaMax、1%pen−strepおよび2%FBS)に交換し、さらに3〜7日間培養した。分化解析のため、抗速筋(fast)ミオシン(Sigma)、DAPIおよびAlexaFluor488コンジュゲートファロイジン(Life Technologies)で筋管を染色した。筋管におけるミトコンドリア染色のため、顕微鏡イメージングに適合性の24ウェルプレート(ibidi μ−プレート)においてサテライト細胞を増殖させ、筋管に分化させた。分化培地における5日後に、PBSにおいて筋管を洗浄し、250nM Mitotracker Orangeにおいて1時間37℃でインキュベートした。細胞を2回洗浄し、2%パラホルムアルデヒドにおいて10分間室温で固定した。筋管をDAPIおよびファロイジン(Life Technologies)で対比染色した。Zeiss Observer D1倒立顕微鏡を使用して像を取得した。
筋肉傷害および筋肉切片作製
麻酔したマウスの前脛骨(TA)筋を、収集1週間前に凍結傷害または心臓毒(0.3mg/ml)で傷害した。収集した筋肉を4%PFAにおいて固定し、切片作製のためにパラフィンに包埋した。傷害および対側性未傷害TA筋の中心に核を有する再生する筋線維の定量化のために、8〜10μmパラフィン包埋切片においてH&E染色を行った。試料毎に、各スライドに3連続切片を有する4枚のスライドから、120〜150個の再生する筋線維の横断面面積を盲検的に測定した。
サテライト細胞移植
麻酔したmdxマウスに、細胞移植1日間前に25μl(0.03mg/ml)のNaja mossambica mossambica心臓毒(Sigma)をTA筋に注射した。翌日、6〜8週齢GFPトランスジェニックマウス(C57BL/Ka−β−アクチン−EGFP(3−5))から単離され、表示線量(0、50または100rad)のガンマ線を照射された二重選別サテライト細胞を、5〜10μl PBSに再懸濁し、これらの前傷害した筋肉に直接的に注射した。注射されたTA筋を移植4週間後に収集し、液体窒素冷却したメチルブタンにおいて素早く凍結し、Microm HM550クリオスタット(Thermo Scientific)を使用して、腱から腹部までTA筋全体を通して連続的に切片作製した。加齢マウスにおける移植実験のため、雄マウス(22月齢)を対照(PBS、n=4)またはrGDF11(n=4)群にランダム化し、上述通りに処置した。ビヒクルまたはrGDF11処置の4週間後に、TA筋を心臓毒で傷害し、翌日にGFP+サテライト細胞(下肢当たり30,000個)を移植した。注射されたTA筋を移植2週間後に収集し、上述の免疫蛍光のために凍結筋肉切片を加工した。簡潔に説明すると、切片を4%PFAにおいて1時間固定し、PBSにおいて10分間RTで3回洗浄した。切片をAlexa488コンジュゲート抗GFPおよびAlexaFluor555コンジュゲートファロイジン(Life Technologies)で対比染色し、DAPI入りVectashield(Vector Laboratory)でマウントした。各実験群から筋肉当たり7〜8枚のスライドおよびスライド当たり10〜12枚の切片を調製し、Axiovisionソフトウェア(Zeiss)を使用して、盲検的に解析して、生着した(GFP+)線維の最大数および生着した線維の横断面面積を決定した。
身体的耐久性検査
耐久性運動検査のため、ビヒクルまたはrGDF11処置した加齢(24月齢)C57Bl/6雄マウスに、調整可能な可変性スピードベルトトレッドミル(AccuPacer、AccuScan Instruments、Inc)を使用して運動させた。0°の傾斜設定において5分間、毎分5メートル(mpm)で歩行させることにより、先ず動物をトレッドミルに順化させた。トレッドミルのスピードおよび傾斜を段階的様式で徐々に増加させて、それぞれ最大20mpmおよび15°とした。トレッドミルにおいて最大90分間または疲弊するまで動物を運動させた。マウスが少なくとも20秒間トレッドミルに残ることを拒絶することにより、疲弊を決定した。
トレッドミル運動後の生化学的代謝物の測定
20分間の運動作業の直後に、運動したマウスの尾部にメスで切れ目を入れ、尾静脈をマッサージして、グルコースおよび乳酸塩測定の両方のために適切な容量の血液(およそ3μl)を得た。OneTouch(登録商標)Ultra Blood Glucose Meter(Lifescan)を使用して血中グルコースを測定した。Lactate Plus Meter(Nova Biomedical)を使用して血中乳酸塩を測定した。運動中のグルコースおよび乳酸塩レベルの測定を表示時点(即ち、ランニング0、20、40、60分目および疲弊時)で行った。
握力検査
in vivo筋力および神経筋機能の測定のため、ビヒクルまたはrGDF11処置した(4週間)加齢(25月齢)C57Bl/6雄マウスに、前肢のみを使用することにより、握力メーター(Columbus Instruments、Columbus、Ohio)の水平金属グリッドを掴ませ、後方に3回引かせた。動物がその握力を失う前に各回グリッドに加えられた力をニュートンで記録した。ニュートンで表す最大力はまた、各動物の体重に対し正規化し、データにおいて表した。
定量的PCR
サテライト細胞からのRNA単離のため、少なくとも10,000個の細胞を直接的に選別して、500ulトリゾール試薬(Life technologies)に入れ、メーカーの説明書に従った。Superscript III Reverse Transcriptase Supermixキット(Invitrogen、11752−050)を使用して、単離されたRNAをcDNAに変換した。SYBR Green PCRミックス(Applied Biosystems、4309155)を使用してABI 7900HT機械において、リアルタイム定量的PCR反応を行った。βアクチンをハウスキーピング遺伝子として使用し、目的の遺伝子のmRNA転写物レベルをβアクチンmRNAレベルに対して正規化した。イントロンにまたがるよう設計された実験的に検証されたプライマー配列をPrimerBankから得た。
ELISAおよびウエスタン
ELISAのため、若齢(2〜3カ月)および加齢雄C57BL/6マウス(24カ月)から収集した、粉砕筋肉(前脛骨)抽出物(10mg/ml)または血漿を示されている通りに希釈し、メーカーの説明書に従ってTGF−β1イムノアッセイQuantikine(登録商標)ELISAカタログ番号MB100BおよびミオスタチンイムノアッセイQuantikine(登録商標)ELISAカタログ番号DGDF80(R&D systems、Minneapolis、MN)に使用した。ウエスタンのため、100μgの血漿または筋肉全体(四頭筋または腓腹筋)抽出物を適切な(4〜20%)勾配基準Tris−HClポリアクリルアミドゲル(Biorad Labs)にロードし、次の抗体を使用して、示されている通りにタンパク質に対してイムノブロットした:抗GDF11(AbcamウサギmAb、1:1000)、抗GDF11(マウスmAb、1:500、Richard Leeから入手)、抗PGC−1α(1:1000、Santa Cruz)および抗LC3B(1:1000、Novus)。ウエスタンデータの濃度測定的定量化を、ロード対照としてのGAPDH(1:2000、Santa Cruz)またはアクチン(1:1000、Sigma)に対して正規化した。
ミトコンドリア機能アッセイ
Seahorse Bioscience細胞外フラックスアナライザー(XF24)を使用して、酸素消費の速度(OCR)を測定した。FACS単離したサテライト細胞を5000/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種し、上述の通りに筋管へと分化させた。ミトコンドリア脱共役剤、FCCP(5μM)ありまたはなしの値を比較することにより、基底および最大酸素消費速度(OCR)を計算した。最終OCR値(pmol/分)を、ウェル毎に総タンパク質濃度に対し正規化した。
RNAトランスクリプトーム解析
Affymetrix GeneChip Mouse Genome 430 2.0アレイを使用して、RNAトランスクリプトーム解析を行った。生マイクロアレイデータをGene Expression Omnibusデータベースに寄託した。www.ncbi.nlm.nih.gov/geo(GSE50821)。差次的に発現される筋原性転写物のサブセットを選んで、R統計ソフトウェアを使用してgcRMAアルゴリズムおよびSAMカットオフ(<10%q−値)によって正規化した本来のデータセットからヒートマップを作製した。
考察
成体組織幹細胞における加齢依存性機能不全は、生理的加齢の結果多くの臓器において生じる機能および再生能の欠損に対する有意な寄与因子として引用された。血液、CNSおよび他の組織は、年齢と共に幹細胞数の変更および幹細胞機能の低下を示すことが報告された。
多くの組織において、常在性幹細胞集団は、適切な機能、構造および再生能の維持に必要とされ、加齢関係の機能不全は、多くの場合、これらの細胞の活性および/または数の低下を伴う。
成体幹細胞における加齢依存性機能不全は、再生機能を調節する全身性可溶性因子を含む、細胞内因性および外因性インプットの両方に起因し得る(LiuおよびRando.、J. Cell Biology 2011年;193巻、257頁)。細胞内因性特性のうち、損なわれたゲノム統合性は、加齢幹細胞の機能的減退の根底にある決定的な機構の1種であると仮定され、細胞外因性シグナルのうち、近年の試みは、全身性因子、ならびに骨格筋、肝臓およびCNSのように多様な組織の再生における加齢関連の変化を促進または反転するその能力に特に着目した(WagersおよびConboy、Cell 2005年;122巻、659頁;Ruckhら、Cell Stem Cell 2005年;10巻、96頁)。重要なことに、これらの全身性効果の分子メディエーターは、治療介入の有望な標的を明らかに表すが、その分子同一性は、明らかになり始めたばかりである。
そこで、本研究者らは、異時性並体結合を用いて、組織幹細胞の内因性(ゲノム統合性)特性における外因性(全身性)因子の影響を調べた。その十分に特徴付けられた幹細胞集団および再生応答を有する骨格筋を実験系として使用して、本研究者らは、サテライト細胞としても公知の加齢筋肉幹細胞が、老齢におけるDNA損傷のレベルの増加を獲得し、若い循環への曝露が、サテライト細胞ゲノム統合性および筋原性機能を回復させることを示す。本研究者らは、典型的に年齢と共に減退する循環ホルモン、増殖分化因子11(GDF11)の若いレベルの回復により、同様の機能的およびゲノムリプログラミングを達成することができることをさらに実証する。
筋肉凍結傷害により負荷した若齢(2カ月)または老齢(24カ月)マウスにおける骨格筋組織学の解析によって実証される通り、骨格筋は、再生活性における加齢関係の欠損を表示する。加齢マウスにおいて再生する組織は、若齢マウスにおける再生する組織と比較して横断面面積の範囲にわたり有意により小さい(図1B、p<0.05、ステップダウンボンフェローニ解析による)、中心有核(新たに再生した)線維の全体数の顕著な減少(図1A、傷害7日後に解析)(Cerlettiら、Cell Stem Cell 2012年;10巻、515頁)を表示する。これらの知見は、損傷からの復旧を緩徐化し、加齢関係の筋肉機能不全に寄与し得る、加齢動物における筋肉修復の効率または頑強性の低下を示す。
筋肉再生能は、大部分が、「サテライト細胞」と呼ばれる筋肉線維関連単核細胞の特殊化したサブセットにより決定される(Jangら、Cold Spring Harb Symp Quant Biol 2011年;76巻、101頁)。サテライト細胞は、基底層の真下に位置し、筋肉線維の原形質膜に隣接し、自己再生および分化能を有する筋肉幹細胞として作用する。サテライト細胞は、その特有の細胞表面マーカープロファイル(CD45−Sca−1−Mac−1−CXCR4+β1−インテグリン+)に基づき蛍光標識細胞分取(FACS)を使用して単離することができる(Sherwoodら、Cell 2004年;119巻、543頁)。重要なことに、サテライト細胞を同定するこのような表現型マーカーは、成熟骨格筋細胞または筋芽細胞をマークするマーカーとは別個のものであり、FACS選別されたサテライト細胞の>95%が、正準サテライト細胞マーカーPax7を発現する。この細胞集団はまた、成体マウス骨格筋の細胞自律的筋原性活性の全てを含有し(Sherwoodら、2004年)、この細胞集団の数または機能の変化が、筋肉再生能の変化に直接的に変換可能である可能性があることを示す。
加齢筋肉は、減少したサテライト細胞数、損なわれたサテライト細胞機能および低下した再生能を表示する。筋サテライト細胞における可能な加齢関係の変化を評価するために、本研究者らは、サテライト細胞機能の細胞当たりの基盤での解析を可能にするクローナル筋原性アッセイ(Cerlettiら、2012年)を使用した。上述のCD45−Sca−1−Mac−1−CXCR4+β1−インテグリン+マーカー表現型によって同定されたサテライト細胞を二重選別し(>98%純度)、単一細胞を96ウェルプレートにおいてex vivoで播種および成長させた。このようなアッセイは、若齢細胞と比較して最大4倍低下したコロニー形成効率を示す(図1C、p<0.05、ステューデントt検定による)、加齢サテライト細胞の重篤な損壊を明らかにした。加齢サテライト細胞のこの減少した筋原性活性は、新鮮に選別されたサテライト細胞において行われたコメットアッセイによってスコア化される通り、DNA統合性の顕著な低下を伴った(図1Dおよび図4Aおよび図4B)。加齢サテライト細胞核の8〜20%のみが、絶対的に無傷の(緑色のバー、図1D)DNAを含有した一方、加齢細胞のおよそ60%は、著しく損なわれたDNA統合性を表示した(赤色のバー、図1D、p<0.05、若齢サテライト細胞と比較したステューデントt検定による)。同様に、加齢筋肉から選別された(図1E)、または単離された筋線維におけるPax7染色により同定された(図5)サテライト細胞のほとんど60%は、細胞におけるDNA損傷の広く使用されているマーカーである、バリアントヒストンH2AXのリン酸化型(pH2AX)に対する免疫反応性増加も表示した。対照的に、新鮮に単離された若齢サテライト細胞のおよそ40%は、いかなるDNA切断も欠き(図1D)、若齢サテライト細胞核は、細胞選別後に(図1E)または単一筋線維において(図5)アッセイした際に、2個を超えるpH2AXフォーカスをまれに含有した。X線照射によるDNA損傷の誘導は、移植アッセイにおける若齢サテライト細胞の筋原性機能を低下させ(図9)、DNA損傷の増加が、加齢筋肉における損なわれた再生を引き起こし得ることを示唆する。これらのデータは、筋サテライト細胞における機能的欠損から生じる可能性がある筋肉再生における加齢関連の欠乏が、損なわれたDNA統合性に関連することを示す。注目すべきことに、この明らかなDNA損傷蓄積は、qRT−PCR(図6A)またはSA−βGalアッセイ(図6B、右パネル)による老化関連の遺伝子転写物の発現解析により評価される通り、加齢サテライト細胞における老化を誘導するとは思われず、加齢細胞は、老化筋肉微環境に存在しなかった(図6B、中央パネル)。
先に言及した通り、筋肉再生における加齢関連の損壊は、異時性並体結合(parabiois)による若い全身性環境への加齢筋肉を曝露することにより反転され(Conboyら、Nature 2005年;433巻、760頁)、これは、若い全身性環境へと加齢組織を曝露し、Notchシグナリングの上方調節により傷害誘導性サテライト細胞活性化を回復させる。加齢サテライト細胞の減退する数、活性およびゲノム統合性が、若い環境への全身性曝露後に回復され得るという仮説を検査するために、本研究者らは、2月齢C57BL/6雄を22カ月の加齢パートナーと外科的に連結して共通血液循環を開発した、異時性並体結合体(図10)を作製し、同時性(若齢−若齢または加齢−加齢)並体結合対照と比較した。並体結合体を4〜5週間維持した後に、本研究者らは、加齢−若齢異時性ペアの加齢パートナーにおけるサテライト細胞の頻度が、加齢−加齢同時性動物の加齢パートナーと比較して有意に増加したことを観察した(図2A)。さらに、加齢−若齢異時性ペアの加齢パートナーから単離された二重選別されたサテライト細胞は、加齢−加齢同時性ペアの加齢パートナーと比較して、筋原性コロニー形成効率における有意な復旧を表示した(図2B)。この筋原性機能復旧に並行して、加齢−若齢異時性ペアの加齢パートナーから単離されたサテライト細胞のDNA統合性は、コメットアッセイにより評価される通り、若齢−若齢同時性ペアから単離された若齢細胞の「若い」無傷性を再獲得した(図2C)。同様に、加齢−加齢同時性ペアの加齢パートナーから単離された観察された細胞よりも3倍少ない、加齢−若齢異時性ペアの加齢パートナーから単離された加齢サテライト細胞は、2個を超えるリン酸化H2AXフォーカスを含有した(図2D)。これらの知見は、筋肉幹細胞機能の加齢関係の減退(延いてはこれらの細胞の損なわれたゲノム統合性と相関する)は可逆的であり、少なくとも一部には全身性因子により制御されることを示唆する。
加齢サテライト細胞におけるDNA損傷の増加が、若齢全身性環境へと曝露された後にその通常の静止期に戻ることができる、より増殖性の加齢サテライト細胞プールにおける複製フォークの失速または崩壊の結果であるか(Chakkalakalら、Nature 2012年;490巻、355頁)決定するために、本研究者らは、ペアが付着している持続時間にわたり並体結合ペアにBrdUを摂取させることにより、あらゆる分裂周期中の細胞を標識した。興味深いことに、ゲノム統合性の回復は、BrdU取り込みにより評価される、サテライト細胞増殖または増殖性経緯の検出可能な変化を伴わなかった(図11)。近年の知見(Chakkalakalら、2012年)に反して、Sca1−、CD45−、Mac1−、β1−インテグリン+およびCXCR4+のマーカー組合せによって動物から単離されたサテライト細胞プールは、心臓毒注射により誘導される筋肉傷害によって活性化されるまで、若齢または加齢マウスのいずれにおいても増殖性ではなかった(図11)。予想通り、本研究者らは、並体結合外科手術の結果サテライト細胞プールの静止状態性質のいずれかの変更を除外して、いずれかの並体結合ペアの若齢または加齢パートナーにおけるいかなる分裂周期のサテライト細胞も観察しなかった。
総合すると、これらのデータは、若齢循環への曝露が、筋肉再生サテライト細胞における年齢誘導性機能変更の反転およびゲノム統合性の回復に十分であることを実証する。若い循環に曝露した加齢マウスにおける筋肉幹細胞機能を若返らせる全身性シグナルの解明を始めるために、本研究者らは、若齢および加齢マウスにおける年齢バリアント血液由来因子を探した。マウス骨格筋の以前の研究は、トランスフォーミング増殖因子−β1(TGF−β1)、ミオスタチンおよびWnt様分子を含む循環するサイトカインを、年齢に伴う筋肉成長および修復の強力な負の調節因子と関係づけた(Conboyら、Nature 433巻:760頁、2005年;Brackら、Science 317巻:807頁、2007年);しかし、骨格筋修復の血液由来ポテンシエーターについては記載されていない。
加齢心筋の近年の研究において、本研究者らは、加齢マウスにおける、ミオスタチン(MSTN)と高い相同性を有するTGF−βスーパーファミリーのメンバーである、増殖分化因子11(GDF11)の全身性レベルの有意な減退を報告した(Loffredoら、Cell 153巻:828頁、2013年)。GDF11とは対照的に、ミオスタチンレベルは変化せず、TGF−β1は加齢マウスの血漿において増加した(図12Aおよび図12B、左パネル)。GDF11レベルは、加齢マウスの筋肉においても減退し(図12C)、一方TGF−β1およびミオスタチンレベルは変更されない(図12Aおよび図12B、右パネル)。本研究者らは、全身性GDF11の若いレベルへの回復が、加齢による心肥大を反転し得ることをさらに示した(Loffredoら、Cell 153巻:828頁、2013年)。異時性並体結合体における若齢パートナーからのGDF11の補給が、加齢骨格筋を若返らせるこの介入の能力の根底にあるか決定するために、本研究者らは次に、加齢マウスにおけるGDF11レベルを若いレベルに回復させる投薬レジメンである、組換えGDF11(rGDF11、0.1mg/kgマウス体重)の毎日の腹腔内注射で加齢マウスを処置した、ランダム化ビヒクル対照試験を行った。4週間後に、処置および対照マウスのコホートを、前脛骨(TA)筋への凍結傷害により負荷して、筋肉再生における可能な効果を評価した。rGDF11による処置を傷害後7日間続け、7日目に、傷害したTA筋を収集および解析して、再生する線維の数およびサイズを決定した。注目すべきことに、加齢マウスにおけるrGDF11の補給は、再生する筋肉における筋線維内径の若いプロファイルの回復に十分であり(図3Aおよび図3B、p<0.05、ステップダウンボンフェローニ法による)、この因子単独での全身性供給が、筋肉再生における異時性並体結合の若返り効果を再現し得ることを示す。加齢マウスにおけるrGDF11の補給は、これらの動物における再生する筋線維の平均サイズを、若齢対照マウスにおける再生する線維のサイズの92%まで増加させるためにも十分であった(図13A);しかし、rGDF11補給は、未傷害若齢または加齢筋肉の筋線維内径を変更しなかった(図13Bおよび図13C)。rGDF11処置マウスの再生機能の改善と一貫して、全身性rGDF11を補給した加齢筋肉におけるサテライト細胞頻度(図3C)および機能(図3D)が有意に増加した(p<0.05、ステューデントt検定による)一方、他の筋線維関連単核細胞集団は影響されなかった(図14)。加えて、rGDF11で処置した加齢マウスから単離されたサテライト細胞は、ビヒクルのみを同じ長さの時間与えた加齢マウスから収集された細胞と比較して、有意に増加した数の無傷核細胞(緑色のバー、図3E、p<0.05、ステューデントt検定による)を示した。さらに、著しく損傷したDNAを有する新鮮に単離されたサテライト細胞のパーセント(赤色のバー、図3E)は、rGDF11処置により4倍低下した(p<0.05、ステューデントt検定により)。加齢マウスにおける観察される結果とは対照的に、rGDF11注射の同一レジメン(regiment)で処置した若齢マウスは、サテライト細胞頻度、筋原性コロニー形成またはDNA損傷の変化を示さなかった。rGDF11の全身性送達による加齢サテライト細胞のDNA統合性におけるこれらの改善は、未処置若齢マウスから単離されたサテライト細胞に匹敵するプロファイルを生じた(図3E)。よって、加齢マウスの循環において低下し、異時性並体結合後に回復するGDF11(Loffredoら、Cell 153巻:828頁、2013年)は、加齢筋肉幹細胞の筋原性機能およびゲノム統合性の回復に十分であり、これにより、傷害後に加齢筋肉の再生を促進する。
加齢マウスにおけるrGDF11補給は、移植前4週間および移植後2週間rGDF11またはビヒクル単独で処置された加齢動物の傷害された筋肉に等数のGFPマークサテライト細胞を注射した移植モデルにおける、サテライト細胞の再生能力も増強した。rGDF11で処置したレシピエントは、ビヒクル処置レシピエントのほぼ2倍の数の生着した(GFP+)線維を示した(図15)。rGDF11処置レシピエントにおける新たに再生された線維はまた、内径がより大型であり(図16)、加齢マウスにおける筋肉傷害の内在性修復におけるrGDF11の効果と一貫した(図3Aおよび図3B)。
本研究者らは次に、加齢筋肉におけるrGDF11の効果の機構的基盤を調査した。体重、脂肪量または筋肉量に関する肉眼的解剖学の変更は観察されなかったが(図17)、免疫蛍光解析は、rGDF11処置後に神経筋接合部(NMJ)のサイズの増加を実証した(図18)。加えて、未傷害筋肉の電子顕微鏡検査は、rGDF11で処置した加齢マウスにおける筋原線維およびミトコンドリアの形態の著しい改善を明らかにした(図19A)。処置された筋肉は、異型ミトコンドリアおよび膨張ミトコンドリアの低下、空胞の蓄積低下ならびに規則的なサルコメアパターン形成および原線維間のミトコンドリアパターン形成の回復を示した(図19A)。これらの超微細構造的改善と一貫して、ミトコンドリア生合成の主要調節因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ共活性化因子1α(PGC−1α)のレベルは、加齢したrGDF11処置マウスの筋肉において増加し(図19B)、GDF11が、新たなミトコンドリアを生じるための分裂および融合のミトコンドリアダイナミクスに影響を与え得ることを示唆する。この概念と一貫して、rGDF11による加齢サテライト細胞の分化培養物のin vitro処置は、増加した数の多核筋管を生じ、より多いミトコンドリア含量および増強されたミトコンドリア機能を表示した(図20)。最後に、本研究者らは、rGDF11処置した加齢動物の未傷害骨格筋における、オートファゴソーム(マクロオートファジー)マーカーの基底レベルの増加を観察した(LC3−Iを上回るオートファジー中間体LC3−IIの比として評価)(図19C)。まとめると、これらのデータは、rGDF11処置した加齢マウスにおける筋肉線維の細胞リモデリングの説明と同じく、増強されたオートファジー/マイトファジーおよびミトコンドリア生合成を示唆する。
本研究者らは次に、rGDF11処置した加齢マウスにおける筋肉超微細構造およびミトコンドリアターンオーバーの改善が、運動耐久性および握力解析における身体機能の改善に変換可能であるか疑問に思った。rGDF11で処置した加齢マウスは、個々の動物の応答における変動にもかかわらず、平均運動耐久性の増加(35分間対57分間)を示した(図19D)。rGDF11処置動物は、40分間の精力的ランニングの後に、全身性乳酸塩のクリアランスの改善(図21A)およびより低いレベルのグルコース(図21B)も表示し、加齢したrGDF11処置動物におけるミトコンドリア機能の改善を間接的に支持する追加的な証拠を提供する。最後に、筋線維超微細構造のrGDF11刺激リモデリングと合致して、rGDF11処置動物は、標準化検査プラットホームにおける平均握力の増加を表示した(図22)(Hakimら、Methods Mol Biol 709巻:75頁、2011年)。
本明細書に報告される試験は、若さおよび再生能の新規ホルモン調節因子としてのGDF11を確立し、この因子による加齢サテライト細胞機能の回復が、蓄積したDNA損傷の反転と同時発生的であることを実証する。異時性並体結合またはin vivoでの直接的注射のいずれかによる、血液における若いレベルへのこの因子の回復は、サテライト細胞の加齢依存性機能不全を反転し、加齢マウスにおける頑強な筋肉修復を回復する。注目すべきことに、加齢サテライト細胞の機能の回復は、蓄積したDNA損傷の反転を伴い、ゲノム毒性が、加齢骨格筋における幹細胞機能を制約し得ることを示唆する。
興味深いことに、近年の研究は、定方向性ゲノムワイドDNA鎖切断が、保存され、細胞分化関連ゲノムリプログラミングに必要な事象であることも示す(Larsenら、Proc Natl Acad Sci USA 2010年;107巻、4230頁)。若齢および加齢筋肉幹細胞のトランスクリプトームプロファイリングは、加齢細胞が、損なわれた再生能力を示すという事実にもかかわらず、一部の筋肉分化遺伝子が、加齢サテライト細胞において上方調節されることを示す(図23)。加えて、本研究者らは、免疫蛍光解析により、DNA損傷認識および修復酵素の発現の加齢関係の変更を検出できなかった(図24)。これらのデータは、加齢サテライト細胞が、分化関連DNA鎖切断が誘導されたが分解していない筋形成初期に静止するため、DNA損傷の明らかな増加を呈するという興味深い可能性を高める。この論理を拡張すると、並体結合またはrGDF11処置による全身性「若返り」は、この年齢誘導性分化遮断からこれらの細胞を解放することができる。この概念は、(i)加齢サテライト細胞におけるDNA損傷の検出の増加および活性化された切断型カスパーゼ3の増加(図25)、(ii)「若返った」筋肉における筋原性活性の回復によるこれらの変化の解消、ならびに(iii)加齢サテライト細胞の培養物における筋原性細胞数を増加させ、筋管形成を促進する、rGDF11によるin vitro処置の能力(図26)を実証する本研究者らのデータと一貫する。加齢サテライト細胞のrGDF11刺激性若返りが、加齢サテライト細胞微小環境のリモデリングと一致することを考慮し、本研究者らは、加齢マウスにおける増加するGDF11レベルが、直接的および間接的の両方で作用して、サテライト細胞再生機能を回復させ、サテライト細胞分化能力における内因性変化を刺激し、内在性再生および移植関連筋原性生着を外因的に支持するより筋原促進性(pro−myogenic)の微小環境を産生し得ることを推測する。
先に記した通り、本研究者らが把握している限り、24カ月の加齢動物における加齢筋肉および筋肉常在性幹細胞はまた、老化していない(図6)。よって、老齢筋肉幹細胞が筋形成初期に静止され、その時点で、分化関連DNA鎖切断が既に誘導されており、単一細胞ゲル電気泳動によるコメット構造増加をもたらすことが可能である。シグナリングにおける加齢関係の欠乏のため、本研究者らは、これらの細胞が、完全分化に進むことができず、したがって、その再生能力を欠くことを仮定する。これらの観察に基づき、本研究者らは、年齢と共に減退する全身性GDF11が、活性化サテライト細胞の適切な筋原性進行に必要とされ得ることを推測する。
GDF11は、多様な細胞過程を調節する増殖因子の保存されたファミリーに属す。マウスにおけるGDF11の遺伝的欠乏は、腎臓の非形成および出生時致死を含む深刻な発生異常を引き起こす。成熟形態のGDF11は、骨格筋量におけるその強力な負の影響が公知であるミオスタチン(MSTN)とおよそ90%配列同一性を共有し、同じ受容体(ACVR1B/ALK4、ACVR1A/ALK5およびACVR1C/ALK7)に結合する。先の研究は、出生後(P12)サテライト細胞による相対的に低レベルのALK4/5発現を報告し、MSTNへの曝露によるこれらの細胞の増殖の差を検出できなかった(Kimら、Science、308巻:1927頁、2005年)。本研究者らは、組換えMSTNまたはTGF−β1ではなく、rGDF11への加齢サテライト細胞のin vitro曝露が、細胞増殖(図26)および分化(図20A)の用量応答性増加を生じ、GDF11が、MSTNとは対照的に、その機能を変更するようサテライト細胞に直接的に作用し得ることを示唆することを見出した。興味深いことに、無脊椎動物は、MSTN/GDF11ファミリーの単一オルソログのみを保有し、この遺伝子の下方調節は、成長遅延をもたらすため、成長促進は、MSTN/GDF11の根源的役割となり得る(De Santisら、J Exp Biol 214巻:2671頁、2011年)。いずれにしても、rGDF11の骨格筋における筋原促進性効果、心臓における抗肥大効果(Loffredoら、Cell 153巻:828頁、2013年)ならびに加齢マウスにおける神経発生および神経機能の有益効果の特有の組合せは、種々の加齢関係の疾患のためのその治療潜在力のさらなる調査を奨励する筈であり、潜在的に広範な適用を有する哺乳動物加齢の新たな分子調節因子としてGDF11が考慮されるべきであることを示唆する。
要約すると、本明細書に報告されている研究の治療側面を考慮すると、幹細胞活性および幹細胞媒介性再生を可逆的にモジュレートする年齢調節される循環する因子GDF11の能力は、本研究者らを、若い幹細胞機能および組織恒常性を維持する新たな戦略の開発に向けて前進させる。

Claims (47)

  1. 骨格筋幹細胞の若返り対象における骨格筋幹細胞を若返らせる方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含む、方法。
  2. 前記組成物が、前記対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したデオキシリボ核酸(DNA)のパーセンテージを減少させ、これにより、前記対象における前記骨格筋幹細胞を若返らせる、請求項1に記載の方法。
  3. 骨格筋再生の促進を必要とする対象における骨格筋再生を促進する方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与するステップを含み、該組成物が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における骨格筋再生を促進する、方法。
  4. 骨格筋の状態の処置または防止を必要とする対象における骨格筋の状態を処置または防止する方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、該組成物が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における該骨格筋の状態を処置または防止する、方法。
  5. 前記骨格筋の状態が、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 筋肉減少症の処置または防止を必要とする対象における筋肉減少症を処置または防止する方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、該組成物が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における筋肉減少症を処置または防止する、方法。
  7. 筋肉修復の増加を必要とする対象における筋肉修復を増加させる方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を投与するステップを含み、該組成物が、骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、これにより、該対象における該筋肉修復を増加させる、方法。
  8. 対象におけるミトコンドリア生合成を増加させる方法であって、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物の有効量を該対象に投与するステップを含み、該組成物が、筋原線維およびミトコンドリアの形態の改善、該対象における異型ミトコンドリアおよび膨張ミトコンドリアの低下、空胞の蓄積の低下、ならびに規則的なサルコメアパターン形成および原線維間のミトコンドリアパターン形成の回復を引き起こし、これにより、該対象における該ミトコンドリア生合成を増加させる、方法。
  9. 強度または運動耐久能力の増加を必要とする対象における強度または運動耐久能力を増加させる方法であって、該対象に、該対象におけるGDF11ポリペプチドのレベルを増加させる組成物を投与し、これにより、強度または運動耐久能力を増加させるステップを含む、方法。
  10. 前記対象が、加齢による骨格筋の状態と診断されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. GDF11ポリペプチドの前記レベルが、前記対象の体循環において増加する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. GDF11ポリペプチドの前記レベルが、前記対象の骨格筋組織において増加する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記組成物が、GDF11ポリペプチドを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記組成物が、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記組成物が、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記組成物が、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記組成物が、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記組成物が、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのうちいずれかのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記組成物が、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドの複合体を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記組成物が、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントをコードする核酸を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記組成物が、静脈内、皮下、動脈内および筋肉内からなる群から選択される経路により投与される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. GDF11ポリペプチドの前記レベルが、少なくとも100%増加する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. GDF11ポリペプチドの前記レベルが、健康な参照レベルの少なくとも75%まで増加される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  25. 骨格筋幹細胞の若返りを必要とする対象における骨格筋幹細胞を若返らせるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該対象における該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象における骨格筋幹細胞を若返らせる、使用。
  26. 前記組成物が、前記対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、前記対象における前記骨格筋幹細胞を若返らせる、請求項25に記載の使用。
  27. 骨格筋再生の促進を必要とする対象における骨格筋再生を促進するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該対象における該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における骨格筋再生を促進する、使用。
  28. 骨格筋の状態の処置または防止を必要とする対象における骨格筋の状態を処置または防止するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における該骨格筋の状態を処置または防止する、使用。
  29. 前記骨格筋の状態が、萎縮、筋消耗または筋衰弱に伴う骨折、悪液質、除神経、糖尿病、ジストロフィー、運動誘導性骨格筋疲労、疲労、虚弱、炎症性筋炎、メタボリックシンドローム、神経筋疾患、肥満、手術後筋衰弱、外傷後筋衰弱、筋肉減少症、毒素曝露、消耗および衰弱からなる群から選択される、請求項28に記載の使用。
  30. 筋肉減少症の処置または防止を必要とする対象における筋肉減少症を処置または防止するための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、著しく損傷したDNAのパーセンテージを減少させ、これにより、該対象における筋肉減少症を処置または防止する、使用。
  31. 筋肉修復の増加を必要とする対象における筋肉修復を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象の骨格筋幹細胞に、頻度または数を増加させ、再生する筋線維のサイズを増加させ、筋原性コロニー形成の効率を増加させ、無傷核のパーセンテージを増加させ、これにより、該対象における該筋肉修復を増加させる、使用。
  32. サテライト細胞のミトコンドリア生合成の増加を必要とする対象におけるサテライト細胞のミトコンドリア生合成を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、筋原線維およびミトコンドリアの形態の改善、異型ミトコンドリアおよび膨張ミトコンドリアの低下、空胞の蓄積の低下、ならびに規則的なサルコメアパターン形成および原線維間のミトコンドリアパターン形成の回復を引き起こし、これにより、該対象における該ミトコンドリア生合成を増加させる、使用。
  33. 強度または運動耐久能力の増加を必要とする対象における強度または運動耐久能力を増加させるための、GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントを含む組成物の使用であって、該GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントのレベルの増加が、該対象における強度または運動耐久性の増加を引き起こす、使用。
  34. 前記対象が、加齢による骨格筋の状態と診断されている、請求項25〜33のいずれか一項に記載の使用。
  35. 前記組成物が、前記対象の体循環におけるGDF11ポリペプチドの前記レベルを増加させる、請求項25〜33のいずれか一項に記載の使用。
  36. 前記組成物が、前記対象の骨格筋組織におけるGDF11ポリペプチドの前記レベルを増加させる、請求項25〜33のいずれか一項に記載の使用。
  37. 前記組成物が、単離されたまたは組換えGDF11ポリペプチドを含む、請求項25〜36のいずれか一項に記載の使用。
  38. 前記GDF11ポリペプチドが、ヒト成熟GDF11のアミノ酸配列を含む、請求項25〜37のいずれか一項に記載の使用。
  39. 前記GDF11ポリペプチドが、ヒトGDF11プロペプチドのアミノ酸配列を含む、請求項25〜37のいずれか一項に記載の使用。
  40. 前記GDF11ポリペプチドが、ヒトGDF11前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、請求項25〜37のいずれか一項に記載の使用。
  41. 前記GDF11ポリペプチドが、ヒトGDF11 N末端ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、請求項25〜37のいずれか一項に記載の使用。
  42. 前記組成物が、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのうちいずれかのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項25〜41のいずれか一項に記載の使用。
  43. 前記組成物が、ヒトGDF11前駆体ポリペプチド、ヒトGDF11プロペプチド、ヒト成熟GDF11またはヒトGDF11 N末端ポリペプチドのうちいずれかのアミノ酸配列を含むGDF11ポリペプチドの複合体を含む、請求項25〜41のいずれか一項に記載の使用。
  44. 前記組成物が、前記GDF11ポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントをコードする核酸を含む、請求項25〜43のいずれか一項に記載の使用。
  45. 前記組成物が、静脈内、皮下、動脈内および筋肉内からなる群から選択される経路により投与される、請求項25〜44のいずれか一項に記載の使用。
  46. 前記組成物が、前記GDF11ポリペプチドの前記レベルを少なくとも100%増加させる、請求項25〜45のいずれか一項に記載の使用。
  47. 前記組成物が、GDF11ポリペプチドの前記レベルを健康な参照レベルの少なくとも75%まで増加させる、請求項25〜46のいずれか一項に記載の使用。
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