JP2016514200A - 溶射ガン用長寿命ノズル並びにその作製及び使用方法 - Google Patents

溶射ガン用長寿命ノズル並びにその作製及び使用方法 Download PDF

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Abstract

溶射ガン1及び/又はノズル120は、ノズル本体と、ノズル本体内に配置されたライナ材料123とを含む。ノズル本体の材料は、ライナ材料123の融解温度よりも低い融解温度を有する。ライナ材料123の肉厚Cは、ノズル本体の肉厚Dに関して決定される値、又はそれに対応する値を有する。或いは、又はそれに加えて、ノズル120の一部分の全肉厚とライナ材料123の肉厚Cとの比は、ライナ材料123の肉厚Cに関して決定される値、又はそれに対応する値を有する。

Description

溶射ガンに使用されるノズルは、通常は、製品寿命をより長くするためにライナ材料又はスリーブにより内側が覆われている。
一般的なライナ材料はタングステン(W)である。歴史的にみると、タングステン・ライナの肉厚は、主に製造の容易性を考えて、無原則に設定されていた。即ち、ノズル穴部の直径群全体に対して共通の又は標準的な直径のタングステン素材を使用するなどの考えに基づいて決められていた。したがって、ライニングの肉厚など、ライニング材料の特性を研究又は最適化する試みはなされてこなかった。ライニング材料に使用される通常のタングステン材料は、しばしば、プラズマ・ガンのカソード(即ちカソード電極)に使用されるものと同じものが選ばれていた。これもやはり、単一の材料の調達しか必要としないので、製造の容易性からの選択であった。
タングステンにより内側が覆われたプラズマ・ガンのノズルは、ライニング材料がないノズルに比べて寿命は長いが、それでもクラック発生、さらには破損が生じる。クラックの発生は、タングステンに生じる大きな局所的な熱応力に起因すると考えられ、プラズマ・ガンの動作時間が経過するとともに悪化する。クラック発生は、通常は、図3を参照して以下に述べるように、アーク付着ゾーンとして知られる領域又はゾーンで発生する。これは、プラズマ・アークがカソードの先端領域から放出された後にライニング材料の内面と電気的に接触するゾーンである。最も大きな熱応力を生じると考えられているのが、タングステン・ライニングのこのゾーンである。
ほとんどの場合、クラックは、ガン(又はタングステン・ライニング)の穴部に対して軸線方向を向いている。これらの軸線方向のクラック(図3の符号AC参照)は、全体的な製品寿命並びにアーク挙動に影響を与える虞がある。しかし、場合によっては、プラズマ・ノズルの穴部内で円周方向に向いたクラック(図4の符号LF参照)が生じることもある。これらのクラックは、軸線方向のクラックよりも問題があり、タングステン・ライニングの壊滅的な破損に関係しており、そのライニング部分が、実際にライニング材料から離れてプラズマ流に入り、プラズマ溶射ガンによってコーティングされるべき基板のコーティングに入り込む(即ち汚染する)ことさえある。少なくとも、これらの円周方向のクラックの存在は、プラズマ・アークの安定性に深刻な悪影響を及ぼし、結果的に、軸線方向クラックによってもたらされる影響よりもさらに大きなものとなる。これを防止するために、通常は、ノズルが定期的に取り替えられ、そのためにコーティングの製造コストが引き上げられる。
より大きな問題が生じる円周方向クラック及びライニング材料の最終的な壊滅的な破損についての可能性を予測することはできない。そのため、そうしたノズルを装備するプラズマ・ガンの操作者は、プラズマ・ガンの電圧挙動を監視することによって時々検出され得るクラック発生の可能性の兆候をチェックするために余分な注意を払わなければならない。そうした兆候に基づいて、オペレータは、通常、コーティング作業を止め、ノズルを新品に取り替えることになる。この予測不可能性は、少なくとも、タングステンで内側が覆われたノズルの動作寿命の利点を薄れさせるという影響をもたらす。
したがって、プラズマ・ガン装置の一貫性、予測可能性及び動作寿命、並びにガンの全体的な性能を改善することが必要とされている。これを行う1つの方法は、ノズルのライニング又はノズル穴部におけるクラック発生の可能性を低減させることである。
非限定的な一具体例によれば、従来の又は既存のシステムの欠点の1つ又は複数を克服する、及び/又は、ノズル穴部、特にノズル穴部の内側を覆うライニング材料でのクラック発生若しくはクラック形成の可能性を減少させる、サーモ・スプレー・ガン若しくは溶射ガン又はシステムが提供される。
非限定的な一具体例によれば、動作寿命が大幅に長い及び/又はクラック形成の可能性が低減された改良されたライニング材料を有するサーモ・スプレー・ガンが提供される。
非限定的な一具体例によれば、著しい熱応力がアーク付着ゾーンの領域に形成されないようにノズル本体に合わせて調節された(少なくとも、穴部の所定の軸線方向長さに沿った)ライニング材料の肉厚を有する、サーモ・スプレー・ガン用のノズルが提供される。
非限定的な一具体例によれば、著しい熱応力がライニング材料(特にアーク付着ゾーンとして知られる穴部の領域)に生じない(又はその可能性が著しく低減される)ように、プラズマ・ガン又はノズルの1つ若しくは複数の他の部分に合わせて調節される又は特製される少なくとも1つの機械的特徴を有するライニング材料を有する、サーモ・スプレー・ガンのノズルが提供される。
他の非例示的な具体例によれば、ノズル本体と、ノズル本体内に配置されたライナ材料とを備える溶射ガンが提供される。ノズル本体の材料は、ライナ材料の融解温度よりも低い融解温度を有する。ノズルの一部分の全肉厚とライナ材料の肉厚との比は、ライナ材料の肉厚に関して決定される値又はそれに対応する値を有する。ライナ材料は、ランタン入りタングステン以外の材料及びランタン入りタングステンのうちの1つを含み、上記比は、約4.75:1〜約5.75:1である。
具体例では、上記比は約3.5:1以上である。
具体例では、上記比は、約3.5:1〜約7:1、約4:1〜約6:1、及び約5:1のうちの少なくとも1つである。他の例示的な比は、約3:1以上、約4:1以上、約5:1以上、約6:1以上及び約7:1以上の比を含むことができる。
具体例では、ライナ材料はタングステンである。
具体例では、ノズル本体は銅材料で作られる。
具体例では、ノズル本体の肉厚及びライナ材料の肉厚は、アーク付着ゾーンの軸線方向領域でそれぞれ測定される。
具体例では、通常動作において、ライナ材料は、アーク付着ゾーンの下流の領域での熱応力よりもアーク付着ゾーンの領域でより大きな熱応力がかかるが、その応力は、従来のノズル装置と比較すると大幅に減少される。したがって、アーク付着ゾーンの領域には、応力破壊を引き起こす大きさを下回る応力がかかることになり、ライナ材料及びノズルの使用寿命が大幅に改善される。
具体例では、ライナ材料の肉厚は、約0.25mm〜約1.25mm、約0.50mm〜約1.0mm、及び最も好ましくは約0.75mm〜約1.0mmのうちの少なくとも1つである
具体例では、サーモ・スプレー・ガンは、冷却流体が循環するカソード本体とアノード本体とをさらに備える。
他の非限定的な具体例によれば、ノズル本体と、ノズル本体内に配置されたライナ材料とを備える溶射ガンのノズルが提供される。ノズル本体の材料は、ライナ材料の融解温度よりも低い融解温度を有する。ライナ材料の肉厚は、ノズル本体の肉厚に関して決定される値又はそれに対応する値を有する。或いは、又はそれに加えて、ノズルの一部分の全肉厚とライナ材料の肉厚との比は、ライナ材料の肉厚に関して決定される値又はそれに対応する値を有する。
具体例では、ノズルは、取り替え可能なノズルである。
具体例では、ライナ材料の第1の部分は、内側テーパ部を有し、ライナ材料の主部分は、略円筒形である。
他の非限定的な具体例によれば、上述したタイプのうちのいずれかのノズルの作製方法が提供される。この方法は、ノズル本体の一部分の肉厚、及びノズルの一部分の全肉厚とライナ材料の一部分の肉厚との比の少なくとも1つを考慮に入れた値の肉厚を有するライナ材料を形成することを含む。
他の非限定的な具体例によれば、サーモ・スプレー・ガンを使用した基板のコーティング方法が提供される。この方法は、上述したタイプのうちのいずれかのノズルをサーモ・スプレー・ガンに取り付けること、コーティング材料を基板上に溶射することを含む。
本発明の有利な態様によれば、さらに、熱応力が最小にされ、ノズル材料の動作温度がより低くなり、それによって冷却流体の沸騰の可能性が減少し最低限に抑えられる、最適に働くノズルを作製する方法が提供される。
本発明の他の有利な態様によれば、長時間にわたる動作の後でも円周方向のクラック発生の兆候がなく、したがって、特に、タングステン・ライニングの壊滅的な破損、タングステン・ライニングの融解、及び銅ノズル本体の内部融解のないノズルを作製する方法も提供される。
本発明の他の例示的な具体例及び利点は、本開示及び添付の図面を参照することによって確認できる。
本発明の以下の具体例の非限定的な例を使用し、示された図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
タングステン・ライニング材料を含むノズルを有するサーモ・スプレー・ガンの概略側面断面図。 ライニング材料が図示の目的のために除去されている、図1のプラズマ・ガンに使用されるノズルの概略図。 タングステン・ライニング材料が内部に配置されている、図2のノズル。図3には、プラズマ・ガンでのかなりの期間の使用後に生じることがある、ライニングに形成された軸線方向クラック及び円周方向ライニング破損クラックの両方の例も示されている。 アーク付着ゾーンが十字模様の斜線で描かれている、図3のものと同様の商用的に有用なノズルの図。 図4のA−A部の断面図。 アーク付着ゾーンの領域に生じる(より黒ずんだ色の領域として示されている)局所的な熱応力を示す、従来のノズルのライニングの穴部分のコンピュータ・モデル断面図。 図6と対照をなす、アーク付着ゾーンの領域に局所的な熱応力がないことを示している、本発明の一具体例によるノズルのライニングの穴部分のコンピュータ・モデル断面図。 本発明によるノズルの第1の非限定的な具体例の図。 本発明によるノズルの第2の非限定的な具体例の図。 図9におけるB−B部の断面図。 所定の試験パラメータで動作されたときにノズルに生じる局所的な熱応力(より黒ずんだ色の領域で示される温度誘起引張応力)を示している、従来のノズルのコンピュータ・モデル断面図。図11aにおいて、図示のクラック発生は、実際のノズルにおいてクラックが観察された典型的な位置及び深さに発生している。 図11aのモデル化と同じ試験パラメータで動作された実際の従来型ノズルの断面図。図11aのモデルの予測に匹敵する壊滅的な応力破損を示している。 図11bに示される壊滅的な応力破損を示しその様子を説明する線図。
本明細書に示す詳細は、具体例を用いて、本発明の具体例の例示的な考察のみを目的とするものであり、本発明の原理及び概念的な態様の最も有用で理解しやすい説明であると考えられるものを示すために述べる。これに関して、図面と併せて説明を読めば、本発明のいくつかの形態をどのように実際に実施できるかは当業者には明らかであり、本発明の構造の詳細を、本発明の基本的な理解に必要な以上に詳しく示すための試みは行わない。
本発明に包含されるような、コーティングの溶射に使用されるプラズマ・ガンは、カソードおよびアノードを有する。アノードは、プラズマ・アークを形成する電気回路の正極側として機能するのに加えて、流体力学的な機能も果たすことから、これらのプラズマ・ガンにおいてノズルと称することもできる。ノズルは、融解を防ぐために流体即ち水により冷却され、高い熱伝導率を持つことから通常は銅材料で構成される。タングステン・ライニングがプラズマ・アークに面した内側穴部の領域に配置されたノズルは、銅だけで作られるものよりも改善された/より長い製品寿命を実現するように作られている。タングステンは、熱伝導率が比較的高く、融解温度が非常に高い。図1は、本発明に従って使用され得る水冷ノズルを有するプラズマ・ガンの断面を概略的に示している。
タングステンにより内側被覆されたプラズマ・ノズルは、通常は厚さが1mm以上のタングステン・ライニングを使用する。場合によっては、タングステンの厚さは3mmよりも厚いこともある。ライニング材料スリーブは、しばしば、トリア入りタングステンで作られ、その組成はプラズマ・ガンのカソード又は電極に使用されるものと同じである。しかし、ノズルの作製に使用されるタングステンの組成及び全直径はいずれも、一般的には、利便性を目的に選択される。多くの場合、使用されるタングステン・ライナの外径は一定に保持されるが、穴部直径は特定用途のガンのタイプに応じて変化する。これらのプラズマ・ガンのノズルの設計又は構造では、タングステン・ライニングの最適な肉厚の選択は考慮されていない。
タングステン・ライニングの厚さに加えて、ライニングの肉厚と最近距離から冷却水路までのノズル本体の全肉厚との比は、通常は、約1:2である。これは、タングステン・ライナの肉厚が、銅本体の肉厚とほぼ同じ厚さであることを意味している。
図6を参照して以下に示されるように、タングステン・ライニング(の肉厚)を比較的厚くし、タングステンと銅との厚さの比を比較的大きくすると、動作中に大きな内部応力集中がタングステン・ライニングに生じる虞があることが見出だされている。これによって、最終的に上述したようなタングステン・ライニングの破損が生じる虞がある。図1〜図5及び図7〜図10を参照して説明される本発明は、これらの問題点を考慮している。
図1は、本発明の実施に使用できるプラズマ溶射ガンを概略的に示している。プラズマ・ガン1は、従来のプラズマ・ガンと同様のガン本体10を含む。ガン本体10は、ノズル20を収容でき、特に、冷却流体が入口11から入り、出口12から出るように循環する冷却路を含む。冷却流体がノズル20を囲む空間30に入り、ノズル冷却フィン24の一方側に配置された第1の環状空間から、冷却フィン24の反対側に配置された第2の環状空間へ通過する(矢印方向参照)ように冷却路は構成される。冷却流体は、冷却フィン24によって加熱され、熱をノズル20から出口12を通って外に伝える機能を果たす。
ノズル20は、第1の又はカソード受容端21、およびフランジを有する第2の又はプラズマ放電端22を有する。冷却フィン24は、ノズル20の中間部分を囲み、電気アーク40によって生成される熱にさらされるノズル穴部の領域から熱を奪う機能を果たす。カソード50(本体10がその役割を果たす)とアノード60との間に電位が生じるとアーク40が発生する。アーク40は、アーク付着ゾーン70と呼ばれる領域を、穴部内のどこでも形成することができる(図4参照)。このゾーンは、アーク40により著しく加熱されるので、冷却フィン24は、このゾーンを囲むノズル本体の領域に配置される。上述したように、ノズル20は、さらに、ノズル20の主部分又は本体の作製に使われる材料よりも高い温度に耐えることのできるライニング材料23を含むことができる。図1に示される例では、ノズル20の主部分又は本体の作製に使われる材料は銅材料であり、他方、ライナ又はライニング材料23はタングステン材料である。
図2〜図4を参照すると、図面には、(ライナが取り除かれた状態の)ノズル20が、略円筒形であり、吐出端22と環状肩部26との間に延在するライニング受容開口25が形成されることが示されている(図2参照)。ライナ23は、通常は、開口25よりも若干大きな円筒形外径を有し、環状肩部26に接触する(図3参照)地点までの間に締り嵌めできる。穴部主要部29及び入口テーパ部28は、ノズル20の作製の際に所望の特定寸法に機械加工される。上述したように、プラズマ溶射の際にノズル20がかなりの時間にわたって使用されると、軸線方向クラックACさらにはライニング破損LFにつながる円周方向クラックが生じることがある。これらは、例示を目的として図3に示されており、通常は図4に概略的に示されるアーク付着ゾーン70で発生する。ゾーン70は、通常は、直径移行点27(図3参照)の若干上流に位置する位置71から、直径移行点27の下流に位置する位置72まで延在する。ゾーン70の幅は、値「W」によって定められる。ゾーン70の軸線方向長さは可変であるが、アーク40は、ゾーン70の内面のあらゆるところに均等に接触又は移動するのではなく、全体的に、位置71と位置72によって形成される最大軸線方向幅を有する。
図6を参照すると、(従来の場合のように)ライナ23がノズル20に対して適切に寸法設定されていない場合、著しい局所的な熱応力がライナ材料、特にアーク付着ゾーンの領域に発生するという結果が示されている。これは、図6に示されるコンピュータ・モデルにおいて明らかであり、図6には、濃い黒ずんだ影により示された最大熱応力領域がライナ材料のアーク付着ゾーン部分にあることが示されている。本発明は、図6に見られるこの種の応力を、それに含まれる情報を考慮して回避することを目的としている。さらに、図6の例と図3を比較すると、不正確に設計されたタングステンにより内側が覆われたプラズマ・ノズル内で起こる応力集中は、図3に見られるような内部クラックを引き起こす虞があることが理解できる。明らかなように、図3に示されるクラック発生は、図6で最大応力を示す領域、即ちアーク付着ゾーン70として知られる領域で生じる。
図7を参照すると、(本発明の目的のように)ライナ23がノズル20の特徴に対して適切に寸法設定されている場合、著しい局所的な熱応力がライナ材料にもはや発生せず、特に、アーク付着ゾーン70に集中しないという結果が示されている。これは、図7に示されるコンピュータ・モデルにおいて明らかであり、図7では、(図6に比べて)ライナ材料のアーク付着ゾーン内の最大熱応力領域がもはや見られない。むしろ、コンピュータ・モデルは、アーク付着ゾーンの領域に局所的な熱応力がないことを示している。具体的には、図6とは異なり、本発明の結果生じる熱応力は、それほど局所的ではなく、より小さく、アーク付着ゾーン内のより広い範囲で生じておらず、アーク付着ゾーン内では著しく低減しており、ノズル穴部の下流の長さ全体にわたってより均一に分散している。
図11a〜図11cでは、コンピュータ・モデルによるタングステン・ライニングの応力破損(図11a)と、実際に観察されたタングステン・ライニングの応力破損(図11b)との比較がなされている。明らかなように、図11aに示されたモデルは、図11bに示された実際に観察されたものに相当するようなかたちで、従来ノズルのタングステン・ライニングにおける応力破損を表すことができた。図11bと図11cを検討することで明白に理解できるように、タングステン・ライニングの破損は、タングステン・ライニングで生じるクラック形成に起因する。重要なことには、クラックは、モデルでも実際のノズルでも、同じ概略位置で発生し、同じ概略方向を有する。観察されたノズル(図11b)において、クラック発生の範囲及びそのタイプは、図11aのコンピュータ・モデルに示される最大応力集中(より濃い黒ずんだ領域)のものと密接に対応している。広範な試験において、このクラック発生パターンがこの位置で生じこの向きを有することが繰り返し示された。これによって、発明者は、図11aに示されるより黒ずんだ色の応力集中領域での応力集中を減少させる又は無くすことが、この領域におけるクラック形成を減少させるか又は無くすことになり、ひいてはタングステン・ライニングの破損の防止になる、という結論に至った。
図8を参照すると、図2及び図3に示されるタイプのノズル本体が、図7に示される応力プロファイルを達成することを目的として本発明によるライナを含むようにいかに設計され得るかが示されている。この具体例では、ノズル120は、従来のノズルに関連する、特にアーク付着ゾーンの領域内での局所的な熱応力を無くすか又は大幅に減少させるようなやり方で、ライナ材料スリーブ123を有して製造される。これは、本明細書に記載されるようないくつかの方法により達成できる。図8の具体例では、ライナ・スリーブ123が円筒形外径「A」、(ノズル120の中央穴部をも画成する)円筒形内径「B」、及び肉厚「C」を有するように、ノズル120を製造することによって達成される。さらに、肉厚「C」は、ノズル120の主本体部分の1つ又は複数の特徴に関連して寸法設定される。これらの特徴は、特に、ノズル120の本体の肉厚「D」及び/又は全直径「E」を含む。直径「E」は、通常は、図8において、軸線方向幅「Y」にわたって延在することができる。追加の特徴には、ライナ123の(肉厚「C」の関数である)熱伝導率を、ライナを囲む本体部分即ち肉厚「D」の熱伝導率に合わせて調節することが含まれる。これは、特に、フィン124の領域、及びフィン124のすぐ下流に配置され冷却流体に接触することがある面を有する本体の一部分、即ちアーク付着ゾーンの軸線方向の幅内の肉厚「D」に当てはまる。ノズル120の本体のライナ123の肉厚「C」が調節される部分の軸線方向長さ「Y」は、図8に示されるように、フィン124の上流端から、下流端122に配置されるフランジのところまで延在することができる。一方、値「C」は、図8の点127から端122まで測定され、アーク付着ゾーンの軸線方向幅によって画成される領域における最重要事項である。
図8の非限定的な例では、肉厚「D」は、肉厚「C」よりも厚くなければならない。移行部127に対応する軸線方向位置から始まり長さ「Y」の一部だけ端122に向かって延在するところの肉厚「D」と肉厚「C」との比に関心を集中しなければならない。しかし、主な焦点は、上述したように、アーク付着ゾーン(図4の符号70参照)を含むような、「Y」よりも短い軸線方向長さの範囲内において設定される値であるべきである。例えば、少なくとも明確に、アーク付着ゾーン(図4参照)によって画成される軸線方向長さ「W」内において、値「C」、「D」及び「E」を考慮しなければならない。非限定的な例として、ノズル120の本体が銅材料で作られ、ライナ123がタングステン材料で作られる場合、これらの値は、下表に示される値とすることができる。
非限定的な一例によれば、図1に示されるタイプのプラズマ・ガンのノズルは、肉厚「C」が約1.04mmであり、タングステン・ライニングの肉厚Cに対する全厚(C+D)の比率が約5.2である図8のものに相当するタングステン・ライニング即ちライナ123を使用したノズル120を使用して構成できる。そうした値を用いたノズル120は、図7の応力プロファイルにより近く、図6に示される応力集中を回避するかたちで動作することができる。図4のものと同様、ライナ123は、図8に示されるように、ノズル本体の上流テーパ部と概ね整合し移行部127まで延在する上流テーパ部128を含むことができる。ライナ123は、さらに、移行部127からノズル120の端122まで延在する主穴部部分129を含むことができる。
図9及び図10を参照すると、本発明がいかにして商業的に有用なノズル120’において実施できるかが示されている。この例では、ライナ123’は、本明細書において開示されるノズル120’の本体に合わせて寸法設定及び構成され、さらに、対応する寸法に設定された端122’に形成された対応穴部内に着座され得るフランジFLを含む。この例では、ノズル120’は、従来のノズルに関連する、特にアーク付着ゾーンにおける局所的な熱応力を無くすか又は大幅に減少させるようなやり方でライナ材料スリーブ123’を使用するように同様に構成され寸法設定される。結果として得られる熱応力プロファイルは、図6のものとは対照的に、図7に示されるものにより近づくはずである。
本発明の他の非限定的な例によれば、以下の要件に適合する薄いタングステン・ライニング壁を有する、図1、図4、図8又は図9に示されるタイプのいずれかのプラズマ・ガンのノズルが提供される。肉厚「C」は、タングステン・ライナが、下に存在する銅の融解が起こるより前に銅を保護しなくなるほど薄く作製してはならない。その一方で、肉厚「C」は、応力集中が急速に高まりタングステン・ライナの壊滅的な破損になる可能性があるので厚すぎてもいけない。この点を考慮に入れて、既存の銅ノズル本体を、全体的に円筒形の肉厚「C」が約0.25mm〜約1.25mm、好ましくは約0.5mm〜約1.0mm、最も好ましくは約0.75mm〜約1.0mmであるタングステン・ライナと組み合わせて使用することができる。
本発明のさらに他の非限定的な例によれば、以下の要件に適合する薄いタングステン・ライニングを有するプラズマ・ガンのノズルが提供される。銅とタングステンの全肉厚即ち図8におけるC+D(穴部から冷却水路又はチャネルまでの最短距離)とタングステン・ライナの肉厚Cとの比が考慮される。この比が大きすぎる場合、タングステン・ライナがさらされる温度が高くなり、それによってタングステン・ライナと銅ノズル本体との間における熱応力が増大する。これによって、タングステン・ライナ自体が融解することもある。他方、この比が小さすぎる場合、過剰な熱が水路に伝わり、それによって、内部で冷却流体の沸騰が起き、過度の熱損失が引き起こされる。これによって、タングステン・ライナに接触している銅材料が融解することもある。この点を考慮に入れて、C+DとCとの比が、約3.5:1〜約7:1、好ましくは約4:1〜約6:1、最も好ましくは約5:1のノズルを製造することができる。
他の非限定的に例示される値及び比率は、スルザーメテコ(Sulzer Metco)社製プラズマ・ガンの2つの例示的なタイプのものについての様々な値を示す下表に示されている。表の上部分では、3つの旧式のノズル、即ちスルザーメテコF4プラズマ・ガンの6mmノズル、7mmノズル及び8mmノズルが、それに相当するサイズの同じF4プラズマ・ガンの新しいノズルと比較されている。表の下部分では、6つの旧式のノズル、即ちスルザーメテコ9MBプラズマ・ガンのG−Wノズル、GH−Wノズル、930Wノズル、931Wノズル、932Wノズル、933Wノズルが、それに相当するサイズの同じ9MBプラズマ・ガンの新しいノズルと比較されている。広範な試験によって、新しい値を用いて作られたノズルは、大幅に長くなった動作寿命を有し、図7に示されるものにより近い熱応力プロファイルを有し、したがって、古い値に関連すると考えられる図6に示された熱応力プロファイルを回避することが示された。

上表において、C+Dの値は、式(E−B)/2から計算することができ、Dの値は、式(E−A)/2から計算することができる。
銅とタングステンの全肉厚の好ましい比率(C+D/C)と、タングステン(C)の好ましい肉厚の両方を同時に満たすことができない場合は、全体の比率を優先しなければならない。上表において、例えば930Wから933Wまでの場合、比率と肉厚の好ましい値を両方同時に満たすことはできない。したがって、これらの例の場合、好ましい比率が優先され、それによりタングステン・ライニングが好ましいとされるよりも若干薄くなる。
実験により、1つの極端なパラメータ条件において動作する旧式の6mmF4ノズルの寿命を、平均で約30%改善することのできることが示された。したがって、新しい6mmF4ノズルは、平均約17時間(旧式の6mm)から平均約23時間(新しい6mm)へと、旧式の6mmF4ノズルよりも改善された寿命を有することができる。より重要なことには、旧式の製品の30%が壊滅的な破損を受けたのに対して、新しい上述のノズルは、本出願の出願日時点で壊滅的に破損したものはない。さらに、そのようなノズルの寿命の相違が、約+/−4時間から、+/−1.5時間未満になり、一貫性が改善された。新しいノズルに関連する壊滅的な破損の欠如は、少なくとも6mmF4ノズルに関していえば、旧式のハードウェアよりも著しい改善を示している。8mmF4ノズルの試験では、壊滅的な破損が見られず製品寿命が平均で約25%改善されるという、同様の結果が示された。9MBプラズマ・ガンのG−Wノズルの試験でも、それに匹敵する改善が示された。列挙されているタングステンで内側が覆われた他のノズルにはそうした試験を行わなかったが、(過去の経験に基づくと)それらも、それに匹敵するような著しい改善がなされると考えられる。
タングステンに対する銅とタングステンの全厚の比率が3.00よりも小さく、タングステンの肉厚が2.00mmのタングステン・ライニングの場合における追加の実験では、本発明の利点があまり劇的には現れなかった。タングステン・ライニングの壊滅的な破損は、従来のノズルの場合に30%であり、最も好ましい比率及び肉厚の大部分の場合に0%であるのに対して、試験したノズルでは約10%であった。比率が7よりも大きくタングステンの肉厚が0.5mm未満のタングステン・ライニングの場合の同様の実験では、いくつかのノズルにおいて、タングステン・ライニングの下にある銅がアーク付着領域内で融解し、銅が細い軸線方向クラックを伝って流れ出るという結果になった。これは、タングステン・ライニングの壊滅的な破損には至らないが、銅のスピッティング(spitting)、及び加速された電圧減衰により寿命がより短くなる等の望ましくない影響を有する。
本明細書に開示のノズルの様々な例は、いろいろな方法で製造することができるが、非限定的な実例としては、まず、固体タングステン棒を鋳型に入れ、タングステン棒の周りに銅材料スリーブを鋳造することによって作製することができる。鋳型から取り出した後、鋳造された組立体を、例えば図8〜図10に示される外側プロファイル及び内側プロファイルの両方を形成するように機械加工することができる。具体的には、内側プロファイルは、図8に示されるライナの領域128及び領域129の機械加工を含む。機械加工の際、上表に示される仕様を参考にする、及び/又は本明細書に記載される様々な値A〜Eの調節のために本明細書に開示される基準を参考にしなければならない。ほとんどの機械加工は、CNC旋盤によって行うことができ、フィン124はCNCフライス盤で形成することができる。
本明細書に開示の各例において、タングステン・ライナの組成は、これらに限定されないが、トリウム入り、ランタン入り及びセリウム入りなどを含むあらゆるドープされたタングステン材料を含むことができる。他に考えられる材料としては、CMW3970のような高タングステン合金、モリブデン、銀及びイリジウムが挙げられる。本明細書で使用される合金は、金属と少なくとも1つの他の元素、一般的には他の金属との固溶体であり、単結晶相を形成する。例えば、黄銅、インコネル及びステンレス鋼である。タングステン合金の場合、タングステンは、固溶体即ち合金中に少量のニッケルと鉄を含む。さらに、本明細書で使用されるようなドープされた物質とは、汚染物質又は不純物(ドープ剤)が材料、一般的には金属又は半導体に添加された物質である。結果的に得られるものは、材料マトリクスに第2の物質が埋め込まれたものである。一般的なドープ剤は、酸化アルミニウム、酸化トリウム及び酸化ランタニウムなどのセラミック、並びに、ホウ素、リン及び硫黄などの元素である。トリウム入り又はランタン入りのタングステンの場合、タングステンは、不純物である酸化トリウム又は酸化ランタニウムの小結晶を含む。タングステン以外の材料を使用する場合、融解の可能性、応力及び伝導性を考慮して、それに応じて厚さ及び比率を調節しなければならない。モリブデン及びCMW3970の両方は試用されて、ある程度成功した。銀及びイリジウムも考えられたが、現在のところ値段が高すぎる。
タングステン・ライニング材料は、これまで、クラックが入るか又は割れる(したがって、寿命を減少させる)ことで知られているので、この点を他の材料でいくらか改善することもできる。そうした材料は、好ましくは以下の特性を有さなければならない。それらは、特に、大きな熱負荷及び大きな温度勾配の下で、タングステンよりも延性があり且つ割れにくくなければならない。さらに、それらは、タングステンの融点と同様又はそれに近い高い融点を有さなければならない。タングステンよりも融点が低い場合、それを補うためにそれらは十分に高い熱伝導率を有さなければならない。可能性のある材料としては、上述した所望の特性のうちの多くを有することから、銀、イリジウム及びモリブデンなどの純金属が挙げられる。上述したように銀及びイリジウムは、おそらく、実際に使用するには現在のところ価格が高すぎるが、モリブデンは手ごろである。他の選択としては、材料が許容可能な特性を有するように少量の鉄又はニッケルを混ぜたタングステンが挙げられる。そうした材料は、少なくとも90%の一次金属、即ちタングステン合金の場合はタングステンを含むことが好ましい。材料を選択するには、温度差(differential temperature)−熱伝導率をグラフにし、どの材料がプラズマ・アークとの直接接触に耐え得るかを決定することができる。この温度差とは、好ましくは、融点と平均的なプラズマ温度(約9000K)との差であり、少なくとも融解温度の逆数であることが好ましい。これを上述した材料即ちモリブデン、イリジウム、タングステン、銅及び銀について実施すると、所望の特性の多くに最も近かったが、延性、熱衝撃及びクラック発生に感受性に関して著しい差があった。好ましい材料としては、タングステン、モリブデン、及びタングステンが約2.1%のニッケルと約0.9%の鉄を含むような合金が挙げられる。他のタングステン合金としては、融点及び熱伝導率がより低いが延性が高い、より多い量のニッケルと銅を含むもの、並びに、融点及び熱伝導率がより高いが延性がより低い、より少ない量のニッケルと銅を含むものが挙げられる。タングステンに混ぜられ得る他の材料としては、オスミウム、ロジウム、コバルト及びクロムが挙げられ得る。これらの金属は、十分に高い融点及び高い熱伝導率を持つことから、タングステンに混ぜてノズルのライナ材料に使用することができる。出願人は、商用グレードのモリブデン、及び2.1%のニッケルと0.9%の鉄を含むタングステン合金の両方を試験し、ノズルライナに使用し、銅だけのノズルと比較した。
上述した例示的な実施例に加えて、本発明は、さらに、比率、即ち(C+D)/Cが約4.75即ち4.75:1及び約5.75即ち5.75:1である比率と組み合わせて、約0.75mm〜約1.26mm、適宜、約0.84mm〜約1.10mm、又は約0.75mm〜約1.10mmの肉厚Cを有する、ランタン入りタングステン・ライナを使用したノズルを包含する。
上記の例は、単に説明のために示したに過ぎず、本発明を制限すると解釈されるものでは全くないことに留意されたい。本発明は例示的な具体例を参照して説明したが、本明細書で使用した用語は、制限の用語ではなく、説明及び例示の用語であることを理解されたい。本発明の態様における範囲及び原理から逸脱することなく、現在の及び補正される添付の特許請求の範囲内で変更することができる。本発明は本明細書において特定の手段、材料及び実施例を参照して説明したが、本発明は本明細書で開示された詳細に制限されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものなど、すべての機能的に均等な構造、方法及び使用を対象とする。

Claims (22)

  1. ノズル本体と、
    前記ノズル本体内に配置されたライナ材料と、
    を備え、
    前記ノズル本体の材料が、前記ライナ材料の融解温度よりも低い融解温度を有し、
    ノズルの一部分の全肉厚と前記ライナ材料の肉厚との比が、前記ライナ材料の肉厚に関して決定される値又は対応する値を有する、溶射ガンにおいて、
    前記ライナ材料が、
    ランタン入りタングステン以外の材料、及び
    ランタン入りタングステンのうちの1つを含み、前記比が、約4.75:1〜約5.75:1である、溶射ガン。
  2. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、前記比が約3.5:1以上である、請求項1に記載された溶射ガン。
  3. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、前記比が
    約3.5:1〜約7:1、
    約4.1:1〜約6:1、及び
    約5:1
    のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載された溶射ガン。
  4. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、タングステン合金を含む、請求項1に記載された溶射ガン。
  5. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、
    モリブデン、
    銀、及び
    イリジウム
    のうちの1つを含む、請求項1に記載された溶射ガン。
  6. 前記ノズル本体が銅材料で作られている、請求項1に記載された溶射ガン。
  7. 前記ノズル本体の肉厚及び前記ライナ材料の肉厚が、アーク付着ゾーンの軸線方向領域においてそれぞれ測定される、請求項1に記載された溶射ガン。
  8. 通常動作において、アーク付着ゾーンの領域で、該アーク付着ゾーンの下流領域での熱応力よりも小さいか又は同等の熱応力が前記ライナ材料に発生する、請求項1に記載された溶射ガン。
  9. 前記ライナ材料の肉厚が、
    約0.25mm〜約1.25mm、
    約0.50mm〜約1.0mm、及び
    約0.75mm〜約1.0mm
    のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載された溶射ガン。
  10. 冷却流体が循環するカソード本体およびアノード本体をさらに備える、請求項1に記載された溶射ガン。
  11. ノズル本体と、
    前記ノズル本体内に配置されたライナ材料と、
    を備え、
    前記ノズル本体の材料が、前記ライナ材料の融解温度よりも低い融解温度を有し、
    ノズルの一部分の全肉厚と前記ライナ材料の肉厚との比が、前記ライナ材料の肉厚に関して決定される値又はそれに対応する値を有する、溶射ガンのノズルであって、
    前記ライナ材料が、
    ランタン入りタングステン以外の材料、及び
    ランタン入りタングステンのうちの1つを含み、前記比が、約4.75:1〜約5.75:1である、ノズル。
  12. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、前記比が約3.5:1以上である、請求項11に記載されたノズル。
  13. 前記ノズルが、取り替え可能なノズルである、請求項11に記載されたノズル。
  14. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、前記比が
    約3.5:1〜約7:1、
    約4.1:1〜約6:1、及び
    約5:1
    のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載されたノズル。
  15. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、タングステン合金である、請求項11に記載されたノズル。
  16. 前記ライナ材料が、ランタン入りタングステン以外の材料であり、
    モリブデン、
    銀、及び
    イリジウム
    のうちの1つを含む、請求項11に記載されたノズル。
  17. 前記ノズル本体が銅材料で作られている、請求項11に記載されたノズル。
  18. 前記ノズル本体の肉厚及び前記ライナ材料の肉厚が、アーク付着ゾーンの軸線方向領域でそれぞれ測定される、請求項11に記載されたノズル。
  19. 前記ライナ材料の肉厚が、
    約0.25mm〜約1.25mm、
    約0.50mm〜約1.0mm、及び
    約0.75mm〜約1.0mm
    のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載されたノズル。
  20. 前記ライナ材料の第1の部分が、内側テーパ部を有し、前記ライナ材料の主部分が略円筒形である、請求項11に記載されたノズル。
  21. 請求項11に記載されたノズルの作製方法であって、
    ノズル本体の一部分の肉厚、及び
    前記ノズルの一部分の全肉厚とライナ材料の一部分の肉厚との比
    のうちの少なくとも1つを考慮した値の肉厚を有する前記ライナ材料を形成するステップを含む、方法。
  22. サーモ・スプレー・ガンを使用した、基板のコーティング方法であって、
    請求項11に記載されたノズルをサーモ・スプレー・ガンに取り付けるステップと、
    コーティング材料を基板上に溶射するステップと
    を含む、方法。
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