JP2016512253A - 2,3‐不飽和カルボン酸の合成用のV‐Ti‐P触媒を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、バナジウム、チタン、及びリンの混合酸化物を含む触媒組成物に関する。チタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物である。触媒成分は、ホルムアルデヒドと酢酸の気相縮合を促進してアクリル酸を生成すること、特に工業的に関連のある水溶液供給物の使用において高度に効果がある。更に、触媒組成物はメチレンジアセテートからのアクリル酸、及びメチレンジプロピオネートからのメタクリル酸の形成に対して触媒的に活性であり、両方の反応は高い空時収量で実施される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本件は、この参照によりその全体が本開示に組み込まれる、2011年9月16日に出願された同時係属の米国仮出願第13/234313号の一部継続出願である。
本発明は概して、触媒の分野、特に2,3‐不飽和カルボン酸の調製用の混合酸化物触媒に関する。本発明は更に、混合酸化物触媒により供給されるメチレンジアルカノエートを用いる2,3‐不飽和カルボン酸の調製に関する。
2,3‐不飽和カルボン酸及びエステルは、ホルムアルデヒド(H2CO)源及び飽和カルボン酸又は炭素数が1つ小さいエステルの反応から調製可能である。従って、アクリル酸及びメタクリル酸誘導体は、ホルムアルデヒド源と各々酢酸誘導体又はプロピオン酸誘導体との縮合により調製可能である。該反応は反応したカルボン酸誘導体の各々の等量に関して1等量の水を生成する。
この反応用に多くの触媒が提案されているが、酸性バナジウム及びリン酸化物を含む触媒は、特にチタン又はケイ素等の第三の成分が触媒中に存在する際、中でも最も高効率である。しかし、水はこれらの触媒との縮合反応を阻害する傾向がある。開始物質としてのホルマリンの使用―典型的に水中の約37質量%ホルムアルデヒドを含む―は、従って効率が悪い。メタノールも縮合反応を阻害する可能性があり、またホルマリンはメタノールも含む可能性があるため、効率はさらに低下する可能性がある。カルボン酸が反応物質である場合、ホルマリン中のメタノールの存在は、酸とメチルエステルの混合物を生成する可能性がある。また反応物質がエステルである際、ホルマリン中の水は、酸とエステルの混合物を生成する可能性がある。
工業用グレードのホルムアルデヒド水溶液は、約55質量%のホルムアルデヒドを含む。それは比較的安価であるため、この反応物の安価な供給源である。従って当分野において、気相においてホルムアルデヒドとアルカン酸又はエステルとが縮合可能であり、かつ原料中の水を許容する触媒に対する必要がある。理想的には、係る触媒はアクリル系生成物に対する高選択性と共にホルムアルデヒドの高転化率も提供するであろう。
これらのアルドール縮合反応に関する従来のプロセスは、トリオキサン等のホルムアルデヒド源とカルボン酸とを組み合わせて、水、2,3‐不飽和カルボン酸、及びホルムアルデヒドを形成する。ホルムアルデヒドは、反応中いつでもそれ自体と反応可能であり、パラホルムアルデヒドを形成する。パラホルムアルデヒドのこの副生成物の形成は、収率の低下と、パラホルムアルデヒドの設備や配管への堆積による保守費用の増大の一因となり得る。
Figure 2016512253
パラホルムアルデヒドにより引き起こされる問題は、著しいパラホルムアルデヒドの生成なしに、2,3‐不飽和カルボン酸を製造することの必要性を作り出す。1つの解決方法は、パラホルムアルデヒドへの重合が可能なホルムアルデヒドを利用しない又は生成しない代替供給物によりメチレン単位を導入することである。メチレンジアルカノエート供給物は係る代替供給物として使用可能である。
Figure 2016512253
またメチレンジアルカノエート供給物の使用は、従来の反応プロセスと比較した場合に、外部からの水の存在においてさえ、低温で実施しつつ空時収量(STY)の向上をもたらすことができる。酢酸及びホルムアルデヒド(トリオキサンとして)を含む従来の供給物由来のアクリル酸生成物は水及び低温により悪影響を受けるため、これらの反応の改善は意外な結果である。これらの利益の実際上の有用性は、不純なガスラインからの、又は副生成物化学物質により生成した水が反応系に導入された際の増加した触媒のライフタイムと維持されたSTYである。
本発明のV‐Ti‐P触媒は水の存在下機能するが、向上したSTYは、水の効果を弱めることによりみることができる。供給物中の水の存在を減少させる1つのアプローチは、ホルムアルデヒド水溶液を無水ホルムアルデヒド(トリオキサン、C363)に置き換えることである。この置き換えにも関わらず、酢酸へのトリオキサンのmolの添加は、依然として1molの潜在的な分子水を含んでおり、従って到達可能な最大速度を制限する。水の効果の更なる相殺のために、メチレンジアセテート(MDA)及びメチレンジプロピオネート(MDP)等のメチレンジアルカノエートはホルムアルデヒドから合成可能であり、並びに各々アクリル酸及びメタクリル酸の生成物に向けた供給物として利用可能である。これらのメチレンジアルカノエートは、1molのホルムアルデヒド及び2molの対応するカルボン酸と分子的に等価であるが、潜在的な分子水はない(すなわち1molの潜在的な水は生成しない)。MDA及びMDPは、V‐Ti‐P触媒により、各々驚くべき高い反応速度と収率でアクリル酸とメタクリル酸を形成する。
バナジウム‐チタン‐リン(V‐Ti‐P)混合酸化物は、ホルムアルデヒドと酢酸の縮合物からアクリル酸を生成する最も知られる触媒である。しかし、これらの触媒の調製は危険である可能性があり、かつスケールアップに適さない。典型的にはチタン成分は、第一の加水分解性液体塩化チタンによりこれらの触媒中に組み入れられる。このステップは、残念なことに大量の塩酸ヒュームを生成する。従って、当分野においてより安全かつ工業生産により適したV‐Ti‐P混合酸化物を製造する方法に対する必要もある。
本発明は、これらの必要性及び以下の記載と特許請求の範囲から明らかとなるであろう他の必要性に対処するものである。
第一の側面において、本発明はバナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む触媒組成物を提供する。該触媒組成物のチタン成分は水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。
第二の側面において、本発明はバナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む触媒組成物を製造する方法を提供する。方法は以下の工程を含む:
(a)水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物を含む水溶液を提供する工程と、
(b)バナジウム化合物とリン化合物をチタン水溶液に添加して触媒成分の混合物を形成する工程と、
(c)混合物を熱処理する工程と、
(d)熱処理された混合物から水を除去して触媒成分を含む固形残渣を得る工程と、
(e)空気の存在下、高温にて固形残渣をか焼して触媒組成物を得る工程。
第三の側面において、本発明は2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。方法は、気相縮合条件下、縮合触媒の存在下において、ホルムアルデヒド源とカルボン酸とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。縮合触媒のチタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。
第四の側面において、本発明は2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素及び炭素数1〜8のアルキル基からなる群より選択される)。
第五の側面において、本発明は2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。チタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルからなる群より選択される)。
図1は、例1の方法Aにより調製したアモルファス触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図2は、比較例1の方法Bにより調製したアモルファス触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図3は、比較例2の方法Cにより調製した混合アモルファス結晶性(TiO2)触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図4は、比較例3の方法Dにより調製した結晶性[VO(HPO4)(H2O)0.5]触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図5は、比較例4の方法Eにより調製した結晶性触媒[(VO)2(P27)]のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図6は、比較例5の方法Fにより調製した結晶性触媒(TiO2)のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図7は、例2の方法Gにより調製したアモルファス触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図8は、比較例6の方法Hにより調製した結晶性触媒[V(PO33及びTi(P27)]のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図9は、例5の方法Iにより調製したアモルファス触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。 図10は、例6の方法Jにより調製したアモルファス触媒のX‐線回折パターンを示すグラフである。
V‐Ti‐P混合酸化物触媒が水溶性、酸化還元活性有機チタン源から調製可能であることが、意外にも発見されている。係るチタン源の使用は、本質的により安全かつより実用的かつ迅速なV‐Ti‐P物質への経路を提供可能である。加えて、得られる触媒がより大きい表面積及び酸性度を有することができ、かつ供給物として水性ホルムアルデヒド源及び酢酸を使用する際、アクリル酸形成に関してより活性であることができることが、意外にも発見されている。更に、得られる触媒が、MDA及びMDP各々からのアクリル酸及びメタクリル酸の形成に関してより活性であることができることが、意外にも発見されている。
従って第一の側面において、本発明はバナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む触媒組成物を提供する。触媒組成物のチタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である(本開示では単に“水溶性チタン化合物”、”有機チタン化合物”、又は”チタン化合物”と呼ばれることもある)。
本開示で用いられる用語“及び/又は”は、2つ以上の項目の列挙において用いられる際、列挙された項目の任意の1つを単独で使用可能であること、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせを使用可能であることを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、及び/又はCを含むと記載される場合、該組成物は成分A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、又はA、B、及びCの組み合わせを含むことができる。
1つ以上のプロセス工程の言及は、組み合わされた列挙された工程の前又は後の追加のプロセス工程、又は明確に特定されるその工程同士の間にあるプロセス工程の存在を除外しないと解されたい。更に、プロセス工程又は構成要素の記載は、個々の活性を示すための便利な手段であり、また列挙された記載は別段の示唆がない限り、任意のシーケンスにおいてアレンジ可能である。
“水溶性”は、有機チタン化合物が20°Cかつ1絶対気圧(101.325kPa)にて水に溶解して少なくとも1質量%の有機チタン化合物の均一溶液を形成可能であることを意味する。好ましくは、化合物は水に溶解して少なくとも25質量%の均一溶液を形成可能である。より好ましくは、化合物は水に溶解して少なくとも40質量%の均一溶液を形成可能である。
“酸化還元活性”は、有機チタン化合物の有機配位子が、バナジウムの酸化状態を+5から+4、+5から+3、又は+4から+3に減少させることができることを意味する。また、触媒を製造するために用いられる水性混合物において、有機チタン化合物の誘導体がバナジウムの酸化状態を+5から+4、+5から+3、又は+4から+3に減少させることができる場合、有機チタン化合物は“酸化還元活性”である。
水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物の例としては、チタンラクテート、チタンアルカノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。係る化合物は例えば商品名TYZOR(登録商標)にてDorf Ketalから市販で入手可能である。係る化合物の実例としては、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(TBALDH)、チタンジエタノールアミン、チタントリエタノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。1つの側面において、有機チタン化合物はチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む。
本発明に係る触媒組成物の一般式はVTiabc(式中、a=0.3〜6.0、好ましくは1.0〜4.0、b=2.0〜13.0、好ましくは4.0〜10.0、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)であることができる。
本発明の触媒組成物は、担持体酸化物に担持可能である。好適な担持体酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及びチタン又はジルコニウムのピロリン酸塩が挙げられる。他の担持体酸化物は、望まれる触媒反応に不活性であるという条件で使用してよい。支持体は物理的に頑強かつ予め形成されているのがよい。用語“予め形成されている(pre‐shaped)”は、本文脈において最終的な触媒の形態が、始めの担持と本質的に同一であることを意味する。予め形成されている酸化物の平均粒子直径サイズは、典型的に約0.1ミリメートル(mm)〜約20mmの範囲であることができる。それは、押出し品、圧縮ペレット、又は所望のメッシュサイズに粉砕されているバルク固体等の任意の一般的な形態であることができる。それは、ロッド、星形、円筒、球、又は破砕された塊等の種々の形状であってもよい。
本発明に係る触媒組成物は、構造において主にアモルファスであることができる。当業者は、アモルファス触媒組成物が、少量の、例えば不純物によって生じる結晶性構造を有することができることを認識する。“アモルファス”又は“主にアモルファス”は、触媒組成物が10質量%未満の結晶性物質を含むことを意味する。結晶性の百分率は、結晶と定義される30Åより大きい結晶サイズのピーク及びアモルファスと定義される30Å以下の結晶サイズのピークを含む個々の回折パターンのX‐線回折の積分強度を基に算出される。
本発明の第二の側面に従って、本発明に係る触媒組成物を以下の工程概要を用いて調製可能である:
(f)水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物を含む水溶液を提供する工程と、
(g)バナジウム化合物及びリン化合物をチタン水溶液に添加して触媒成分の混合物を形成する工程と、
(h)混合物を熱処理する工程と、
(i)熱処理された混合物から水を除去して触媒成分を含む固形残渣を得る工程と、
(j)空気の存在下、高温にて固形残渣をか焼して触媒組成物を得る工程。
水溶性チタン化合物を含む水溶液は、商業的な供給源から直接的に得てよく、又は水にチタン化合物を溶解させることにより作製してよい。チタン水溶液の濃度は、広範な範囲に亘って変化可能である。例えば、溶液のチタン化合物濃度は、25〜75質量%、又は30〜70質量%、又は50〜60質量%の範囲であることができる。
バナジウム化合物及びリン化合物をチタン水溶液に添加する方式は、特に制限されない。例えば、バナジウム化合物及びリン化合物を、チタン水溶液に添加する前に共にブレンドして物理的な混合物又は反応生成物を形成してよい。代替的に、V及びPの化合物は任意の順序で連続的に、又は同時にチタン水溶液に添加してよい。従って、本開示で用いられる表現“バナジウム化合物及びリン化合物の添加”は、バナジウム化合物及びリン化合物の別々の、又は物理的混合物として又はこの2つの反応生成物としての集合的な添加を指すことができる。
同様に、熱処理工程及び水の除去工程は連続的に又は同時に実施してよい。例えば、蒸留又は蒸発による水の除去の場合において、熱処理工程を蒸留又は蒸発の間に実施することができる。
熱処理工程は、環境温度から最大200°C又はそれより高い等の広範な温度範囲に亘って実施してよい。熱処理工程の目的は、混合及び/又は触媒前駆体間の反応を容易にすることである。触媒前駆体及び用いられる温度に応じて、熱処理工程を数分〜数時間又は数日実施してよい。
水の除去工程は、多くの方法において達成してよい。例えば上述のように、水を蒸留又は蒸発によって除去してよい。代替的に、以下でより詳細を議論するように、混合物に対する貧溶媒を添加して触媒成分を析出させ、そして液体から析出物を分離して固形残渣を得ることにより、触媒成分を溶液から析出させることができる。次いで、デカンテーション又はろ過により水を除去することができる。
水の除去工程(それに続く乾燥工程を含んでよい)に続いて、得られる固形残渣を押しつぶし、及びふるいにかけて所望の粒子サイズを得てよい。次いで、使用に先立って、ふるいにかけられた触媒粒子を、空気中において1つ以上の段階でか焼することができる。か焼温度は通常は200°C〜800°Cの範囲である。好ましくは、か焼温度は300°C〜500°Cの範囲である。か焼工程は、典型的に1〜10時間、及び好ましくは2〜8時間実施される。か焼すると、本発明に係る混合酸化物触媒が形成される。
上述の水溶性チタン化合物に加えて、触媒前駆体はアンモニウム塩、ハロゲン化物、オキソ酸、オキソ酸塩、水酸化物、又はバナジウム、チタン、及びリンの酸化物であってよい。本発明の第一の側面において、触媒組成物はチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む有機チタン化合物により調製される。
バナジウム化合物は、好ましくは水溶性である。係る化合物の例としては、任意選択的に水性シュウ酸及び/又は乳酸により処理された三塩化バナジウム、酸化硫酸バナジウム(IV)水和物、及びアンモニウムバナデートが挙げられる。他の水溶性バナジウム源も使用することができる。
また、リン化合物も好ましくは水溶性である。該化合物はか焼される際にリン酸化物に転化するであろう。係るリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、及びこれらの酸のアンモニウム塩が挙げられる。
還元剤を反応混合物に添加して、得られる触媒組成物に追加の表面積を付与することができる。この目的に関しては乳酸が好ましいが、クエン酸、グリコール酸、シュウ酸、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、又はペンタンジオール等の二官能性基を有する他の化合物(すなわち二官能性化合物)も使用してよい。これらの表面積薬の使用は任意選択的であるが、概して好ましい。本発明の1つの側面において、熱処理ステップ(c)の前に、二官能性化合物を触媒成分の混合物に添加することができる。本発明の1つの側面において、二官能性化合物は乳酸を含む。
本発明に係る触媒組成物を製造する方法の実例としては、TBALDHの50質量%水溶液とアンモニウムメタバナデート及びリン酸の水溶液、及び任意選択的に乳酸とを混合する工程と、撹拌しつつ混合物を130°Cに加熱する工程と、蒸留により熱処理された混合物から水を除去する工程と、得られる残渣を空気中で300°C、次いで450°Cにてか焼する工程とを含む。
代替的に、本発明の別の実施態様によれば、水混和性非可溶化溶媒、すなわち“貧溶媒”を熱処理工程後に反応/熱処理容器に添加して触媒成分の大部分を析出させることを除いて、触媒組成物を上述のように調製してよい。本方法において、エネルギーを大量消費する蒸留による水の除去を回避でき、また代わりに触媒組成物をろ過により捕集し、次いでか焼してよい。貧溶媒は、アルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル、又はエステル等の極性化合物であってよい。エタノール等のアルコールが、貧溶媒として好ましい。
触媒組成物は、一般式VTiabc(式中、a=0.3〜6.0、好ましくは1.0〜4.0、b=2.0〜13.0、好ましくは4.0〜10.0、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)であることができる。
本発明の触媒組成物は、担持体酸化物に担持可能である。好適な担持体酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及びチタン又はジルコニウムのピロリン酸塩が挙げられる。他の担持体酸化物は、望まれる触媒反応に不活性であるという条件で使用してよい。支持体は物理的に頑強かつ予め形成されているのがよい。用語“予め形成されている”は、本文脈において最終的な触媒の形態が始めの担持と本質的に同一であることを意味する。予め形成されている酸化物の平均粒子直径サイズは、典型的に約0.1ミリメートル(mm)〜約20mmの範囲であることができる。それは、押出し品、圧縮ペレット、又は所望のメッシュサイズに粉砕されているバルク固体等の任意の一般的な形態であることができる。またそれは、ロッド、星形、円筒、球、又は破砕された塊等の種々の形状であってよい。これらの担持体酸化物の多くは市販で入手可能であり、またその使用は本発明の必須要件ではないが、本発明の触媒組成物の調製を簡易にする。
支持される実施態様において、チタン及びバナジウム成分を担持体に別個に又は共に担持させることができる。好ましい技術は、望ましい量のアンモニウムバナデート及びシュウ酸又は乳酸をTBALDH水溶液に溶解させることである。望む場合はこの溶液を希釈でき、次いでこれを用いて初期濡れ法により酸化物支持体を含浸することができる。含浸した支持体を、次いで約110°Cにて乾燥させる。110°Cにおける溶液の乾燥が均一ガラスを生成するため、得られる物質は恐らく2種の金属の均一分散を含む。バナジウム及びチタンを含む乾燥した支持体を、次いで望ましい量のリン化合物の水溶液により含浸する。
含浸の順番は、通常は重要でない。卓越した結果は、上述のように、バナジウム及びチタンによる共含浸、次いで乾燥後のリンによる含浸により得ることができる。
また含浸の全てに関して、初期濡れ法により卓越した結果を得ることもできる。より多い担持量が要求される場合、初期濡れに関して要求されるよりも多い溶液を使用し、次いで溶媒を蒸発させることができる。望む場合は、溶液を酸化物支持体の外側の領域に適用可能である。
バナジウム、チタン、及びリン化合物が支持体に適用された後に、触媒を例えば約450°Cにてか焼することができる。
本件で開示される三元V‐Ti‐P触媒組成物は、X‐線回折分析により評価されるように、主にアモルファスである。興味深いことに、TBALDHにより調製される本発明のV‐Ti‐P触媒組成物は、例えば、55質量%の水性ホルムアルデヒド供給物が使用される際、両方の触媒がアモルファス物質であるとしても、テトラクロロチタンにより調製されるV‐Ti‐P物質より著しく高い収率(>20%)でアクリル酸を生成する。この結果は、本発明の触媒の微細構造又は均一性が、従来の触媒のものとは大きく異なることを示唆する。
より高い収率に加えて、水溶性チタン源の使用は、塩化チタンの使用を上回る幾つかの利点を提供する。例えば、ガス状の塩酸の形成を回避でき、個々のチタン(IV)前駆体は扱いにくい不均一ゲルではなく水の溶質であり、また得られるV‐Ti‐P触媒は本質的により高い固有の表面積を伴い形成される。
TiCl4以外のチタン源は、アクリル酸生成用の劣った触媒を生成することが示されているため、活性V‐Ti‐P触媒を形成するためのTBALDH等の水溶性チタン化合物に関する傾向は驚きである。例えば、M.Ai、Applied Catalysis、Vol.48,第51〜61頁(1989)を参照のこと。例えば、二酸化チタンがチタン前駆体として用いられ、得られる物質はホルムアルデヒド及び酢酸からアクリル酸を生成しない。TiO2がアクリレート生成用の触媒活性物質を形成可能であることが他の場所に報告されている(M.Abonら、J.Catalysis、Vol.156、第28〜36ページ(1995))が、この結果は再現できなかった。
また、例えばTBALDHが使用される際に、触媒合成において外からの乳酸がもはや必要とされないという事実も、予期されないことである。テトラクロロチタンを回避する触媒調製から乳酸が除外される際、得られる物質はX‐線回折により評価されるように高度に結晶性であるが、アクリル酸合成に対して比較的不活性である。しかし、TBALDHにより調製されるV‐Ti‐P物質は、例えば乳酸がない場合にアモルファスかつかなり高い活性及び選択性を有する。乳酸添加の回避は、触媒合成工程の量を最小化し、かつ空気か焼の間に燃えるであろう有機物質をより少なくするため、魅力的である。
第三の側面において、本発明はアクリル酸又はメタクリル酸等の2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。本文脈の“カルボン酸”への言及は、アクリレート及びメタクリレート等の対応するカルボン酸エステルを包含する。
本発明の方法は、気相縮合条件下、縮合触媒の存在下において、ホルムアルデヒド源とカルボン酸とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。本開示に記載のように、縮合触媒のチタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。
2,3‐不飽和カルボン酸を、良好な収率、転化率、及び選択性を伴い調製することができる。“収率”は(生成物のモル)/(供給された反応物のモル)*100を意味する。例えば、ホルムアルデヒドからのアクリル酸の%収率は、(アクリル酸のモル)/(供給されたホルムアルデヒドのモル)*100である。“転化率”は、(供給された反応物のモル−未反応の反応物のモル)/(供給された反応物のモル)*100を意味する。例えば、%ホルムアルデヒド転化率は(供給されたホルムアルデヒドのモル−未反応のホルムアルデヒドのモル)/(供給されたホルムアルデヒドのモル)*100である。“選択性”は、(生成物のモル)/(供給された反応物のモル−未反応の反応物のモル)*100を意味する。例えば、ホルムアルデヒドからのアクリル酸の%選択性は、(アクリル酸のモル)/(供給されたホルムアルデヒドのモル−未反応のホルムアルデヒドのモル)*100である。当業者は、収率が転化率×選択性にも等しいことを理解する。例Bのホルムアルデヒド転化率が80%、また例Cのホルムアルデヒド転化率が60%である等、例と比較する際、例Bのホルムアルデヒド転化率は例Cより20%高いといわれる。言い換えれば、比較はある例と別の例の百分率の単なる数学的な差である。
本発明において用いられるホルムアルデヒド源は、特に制限されない。無水アルデヒド自体、1,3,5‐トリオキサン(本開示では単に“トリオキサン”と呼ばれることもある)、ジメトキシメタンであることができる。代替的に、ホルムアルデヒド源は、ホルムアルデヒドの水溶液であってよい。ホルムアルデヒド水溶液は、例えば30〜65質量%のホルムアルデヒドを含むことができる。係る溶液の例としては、ホルマリン(37質量%ホルムアルデヒド)及び工業用グレードの水性ホルムアルデヒド(55質量%ホルムアルデヒド)が挙げられる。ホルムアルデヒド水溶液は、市販、メタノールの酸化、又は例えば約4:1のモル比においての水とトリオキサンのブレンドにより得てよい。
カルボン酸は、カルボン酸基のα位に少なくとも2つの水素原子を有するのがよい。カルボン酸は、好ましくは炭素数2〜4の脂肪族カルボン酸である。酢酸及びプロピオン酸が好ましいカルボン酸である。最も好ましいカルボン酸は、酢酸である。本文脈における用語“カルボン酸”は、2,3‐不飽和カルボン酸エステルの形成が望まれる場合、対応するカルボン酸エステルを包含する。係るカルボン酸エステルの例としては、アセテート及びプロピオネートが挙げられる。
例えば、バナジウム、チタン、リン、及びアルカリ金属化合物、触媒配合、アルカリ金属、予め形成された支持体、水の除去工程、及び二官能性化合物の記載等の上述の触媒組成物及び触媒組成物を作製する方法の記載は、2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法に適用される。
ホルムアルデヒド成分とカルボン酸成分とのモル比は、0.1〜10、好ましくは0.2〜5、及びより好ましくは0.2〜2であってよい。水とホルムアルデヒド成分のモル比は、0〜5、好ましくは0〜3、及びより好ましくは0〜1.5であってよい。
方法は、200°C〜400°C、好ましくは225°C〜375°C、及びより好ましくは275°C〜375°Cの温度にて実施可能である。
方法は、0.1〜10bar絶対圧(bara)、好ましくは0.5〜5bara、及びより好ましくは1〜1.5baraにて実施可能である。
本発明の方法のある種の実施態様において、液体の供給速度は1.0〜1000mL/kg触媒/分、及び好ましくは10〜100mL/kg触媒/分の範囲であることができる。
本発明の方法の他の実施態様において、窒素又は酸素欠乏空気等の不活性キャリアガスと併せて、酸素と共に反応物を縮合反応器に供給することができる。プロセスから回収されたガスを使用することができる。不活性ガス成分は全供給量の0〜90mol%、好ましくは25〜85mol%、及びより好ましくは30〜80mol%の範囲の濃度にて存在することができる。酸素成分の濃度は、0.5〜6mol%、好ましくは2〜5mol%、及びより好ましくは3〜4mol%の範囲であることができる。低濃度の酸素は、コークスが触媒上に蓄積することを可能にする。他方では、高濃度の酸素は反応物と生成物の過剰な燃焼をもたらす可能性がある。
酸素を共供給する実施態様において、空間速度は好ましくは50〜400molの供給量/(kg触媒‐時)、より好ましくは100〜300molの供給量/(kg触媒‐時)、及び最も好ましくは125〜200molの供給量/(kg触媒‐時)の範囲であるのがよい。用語“molの供給量”は、有機物、水、酸素及び不活性物を含む触媒に供給される種の全てを含むものを意味する。本発明のこれらの実施態様は、的確な濃度の酸素、水の供給、及び高い空間速度の組み合わされた効果を生かして、収率に重大な影響を与えることなく、速度及び選択性を増大させる。ホルムアルデヒド転化率の相違は、主に空間速度が低すぎる際のホルムアルデヒドの破壊の結果である。コークス形成を抑制する場合において、反応を空気中、例えば400°Cにて実施する間に触媒を再生してよい。
概して、反応物の空間速度の増大は、反応の速度を増大させるが、これは通常対応する収率及び転化率の減少を伴う。方法のある種の条件により、実際に空間速度が増大した際に、収率を減少させることなく速度を増大させることが可能であることが、意外にも発見されている。
ヒドロキノン等の阻害剤を2,3‐不飽和カルボン酸生成物に加えて重合を最小化してよい。
第四の側面において、本発明は2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素及び炭素数1〜8のアルキル基からなる群より選択される)。
“メチレンジアルカノエート”は、‐CH2‐、メチレン基が2つのアルカノエート、カルボキシレート基と結合していることを意味する。アルカノエート基は、カルボキシレート炭素のα位の炭素原子と結合する少なくとも2つの水素原子を有するのがよい。アセテート及びプロピオネートは、好ましくはアルカノエートである。
“希釈ガス”は、このガスが定量的に原料中の供給物中の濃度を低減するように導入されるガスを意味する。“希釈ガス”の組成は、不活性キャリアガス及び/又は酸素であることができ、不活性ガスの幾つかの例としては、窒素、アルゴン、酸素欠乏空気、又は空気が挙げられる。
“縮合触媒”は、水又は他の副生成物分子の付随する脱離を伴い、反応物分子を結合させることができる均一又は不均一の触媒を意味する。
“炭素数1〜8のアルキル基”は、炭素数1〜8(これを含む)の任意の飽和炭化水素を意味する。アルキル基の幾つかの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソ‐プロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルが挙げられる。
縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。これらの触媒は、当業者に周知の方法により作製することができる。方法は、一般式VTiabc(式中、a=0.3〜6.0、好ましくは1.0〜4.0、b=2.0〜13.0、好ましくは4.0〜10.0、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)の触媒を用いて実施することができる。
本発明のVTiabcの別の側面において、触媒は本発明の触媒であることができ、チタン成分は水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。VTiabc触媒に有用な水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物の例としては、チタンラクテート、チタンアルカノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。係る化合物は、例えばDorf Ketalから商品名TYZOR(登録商標)にて市販で入手可能である。係る化合物の実例としては、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(TBALDH)、チタンジエタノールアミン、チタントリエタノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。1つの側面において、有機チタン化合物は、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む。
水とメチレンジアルカノエート成分とのモル比は、約0〜5、好ましくは0〜1、及び最も好ましくは0であってよい。
2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法は、約150°C〜400°C、好ましくは200°C〜375°C及び最も好ましくは220°C〜320°Cの温度にて実施可能である。方法は、通常約0.1〜10bar絶対圧(bara)、好ましくは0.5〜5bara及び最も好ましくは約1〜1.5baraにて実施される。
2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法は、メチレンジアルカノエートがメチレンジプロピオネートである際に実施可能である。またこの方法は、メチレンジアルカノエートがメチレンジアセテートである際にも実施可能である。メチレンジアセトネート又はメチレンジプロピオネートにより実施される例は、方法の反応生成物中に検出可能なパラホルムアルデヒドを生成せず、及び従来の供給物より高い空時収量を与えた。
希釈ガスの存在下、メチレンジアルカノエートを縮合触媒と接触させる。この希釈ガスは、不活性のキャリアガス及び/又は酸素であることができる。プロセスから回収されたガスを用いることができる。希釈ガス成分は、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1〜90mol%、好ましくは約25〜75mol%、及び最も好ましくは約30〜65mol%の濃度にて存在することができる。
酸素濃度は、希釈ガスの全molを基準として約0.5〜20mol%、好ましくは2〜10mol%、及び最も好ましくは約4〜6mol%であることができる。低濃度の酸素は、コークスが触媒上に蓄積することを可能にする。高濃度の酸素は反応物と生成物の過剰な燃焼をもたらす可能性がある。
空時収量は、好ましくは約0.1〜200molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、より好ましくは約1〜50molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、及び最も好ましくは約2〜10molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)である。コークス形成を抑制する場合において、反応を空気中、400°Cにて実施する間に触媒を再生してよい。
第五の側面において、本発明は2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法を提供する。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。チタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルからなる群より選択される)。
例えば、バナジウム、チタン、リン、及びアルカリ金属化合物、触媒配合、アルカリ金属、予め形成された支持体、水の除去工程、及び二官能性化合物の記載等の上述の触媒組成物、本発明の触媒組成物を作製する方法、及び2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法の記載は、2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法に適用される。
例えば、方法は一般式VTiabc(式中、a=0.3〜6.0、好ましくは1.0〜4.0、b=2.0〜13.0、好ましくは4.0〜10.0、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)の触媒を用いて実施可能である。
VTiabc触媒に有用な水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物の例としては、チタンラクテート、チタンアルカノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。係る化合物は、例えば商品名TYZOR(登録商標)にてDorf Ketalから市販で入手可能である。係る化合物の実例としては、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(TBALDH)、チタンジエタノールアミン、チタントリエタノールアミン、及びチタンアセチルアセトネートが挙げられる。1つの側面において、有機チタン化合物は、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む。
水とメチレンジアルカノエート成分とのモル比は、約0〜5、好ましくは0〜1、及び最も好ましくは0であってよい。
2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法は、約150°C〜400°C、好ましくは200°C〜375°C及び最も好ましくは220°C〜320°Cの温度にて実施可能である。方法は、通常約0.1〜10bar絶対圧(bara)、好ましくは0.5〜5bara及び最も好ましくは約1〜1.5baraにて実施される。
2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法は、メチレンジアルカノエートがメチレンジプロピオネートである際に実施可能である。またこの方法は、メチレンジアルカノエートがメチレンジアセテートである際にも実施可能である。メチレンジアセトネート又はメチレンジプロピオネートにより実施される実験は、方法の反応生成物中に検出可能なパラホルムアルデヒドを生成せず、及び比較可能な従来の供給物により高い空時収量を与えた。
希釈ガスと共にメチレンジアルカノエートを供給して縮合触媒と接触させる。この希釈ガスは、不活性のキャリアガス及び/又は酸素であることができる。プロセスから回収されたガスを用いることができる。希釈ガス成分は、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1〜90mol%、好ましくは約25〜75mol%、及び最も好ましくは約30〜65mol%の濃度にて存在することができる。
酸素濃度は、希釈ガスの全molを基準として約0.5〜20mol%、好ましくは2〜10mol%、及び最も好ましくは約4〜6mol%であることができる。低濃度の酸素は、コークスが触媒上に蓄積することを可能にする。高濃度の酸素は、反応物と生成物の過剰な燃焼をもたらす可能性がある。
空時収量は、好ましくは約0.1〜200molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、より好ましくは約1〜50molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、及び最も好ましくは約2〜10molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)である。コークス形成を抑制する場合において、反応を空気中、400°Cにて実施する間に触媒を再生してよい。
制限されない実施態様のリスト
実施態様Aは、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む触媒組成物であって、チタン成分は水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。
一般式ViTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcはV、Ti及びPの価数を満たすのに必要な原子の数であり、又はaが1.0〜4.0の範囲であり、かつbが4.0〜10.0の範囲である)である実施態様Aの触媒組成物。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Aの触媒組成物又は実施態様Aであって、有機チタン化合物がチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、実施態様Aの触媒組成物又は実施態様A。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Aの触媒組成物又は実施態様Aであって、それが更に予め形成された支持体を含む、実施態様Aの触媒組成物又は実施態様A。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Aの触媒組成物又は実施態様Aであって、それが更に予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタンピロリン酸塩、酸化ジルコニウム、又はジルコニウムピロリン酸塩を含む、実施態様Aの触媒組成物又は実施態様A。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Aの触媒組成物又は実施態様Aであって、それが更に予め形成された支持体を含み、予め形成された支持体の粒子サイズが0.1mm〜20mmの範囲である、実施態様Aの触媒組成物又は実施態様A。
実施態様Bは、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む触媒組成物を製造する方法である。方法は、
(k)水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物を含む水溶液を提供する工程と、
(l)バナジウム化合物及びリン化合物をチタン水溶液に添加して触媒成分の混合物を形成する工程と、
(m)混合物を熱処理する工程と、
(n)熱処理された混合物から水を除去して触媒成分を含む固形残渣を得る工程と、
(o)空気の存在下、高温にて固形残渣をか焼して触媒組成物を得る工程とを含む。
実施態様Bの方法であって、水の除去工程(d)が蒸留又は蒸発を含む、前記方法。
実施態様Bの方法であって、水の除去工程(d)が、貧溶媒を混合物に添加して触媒成分を析出させる工程と、液体からの析出物を分離して固形残渣を得る工程とを含む、前記方法。
実施態様Bの方法であって、工程(d)が、貧溶媒を混合物に添加して触媒成分を析出させる工程と、液体からの析出物を分離して固形残渣を得る工程とを含み、該析出物がろ過により液体から分離される、前記方法。
実施態様Bの方法であって、水の除去工程(d)が貧溶媒を混合物に添加して触媒成分を析出させる工程と、液体からの析出物を分離して固形残渣を得る工程とを含み、該析出物がろ過により液体から分離され、かつ貧溶媒がアルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル、及びエステルから選択される極性化合物であり、又は貧溶媒がアルコールである、前記方法。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、触媒組成物の一般式がVTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcはV、Ti及びPの価数を満たすのに必要な原子の数であり、又はaが1.0〜4.0の範囲であり、かつbが4.0〜10.0の範囲である)である、実施態様Bの方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、有機チタン化合物がチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、実施態様Bの方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、触媒組成物が更に、予め形成された支持体を含む、実施態様の方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、それが更に予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタンピロリン酸塩、酸化ジルコニウム、又はジルコニウムピロリン酸塩を含む、実施態様Bの方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体の粒子サイズが0.1mm〜20mmの範囲である、実施態様Bの方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、触媒組成物が更に、予め形成された支持体を含み、かつ予め形成された支持体が熱処理工程(c)の前に触媒成分の混合物に添加される、実施態様Bの方法又は実施態様B。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Bの方法又は実施態様Bであって、それが更に熱処理工程(c)の前に触媒成分の混合物に二官能性化合物を添加する工程を含み、該二官能性化合物が、クエン酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、若しくはヘキサンジオールを含み、又は二官能性化合物が乳酸を含む、実施態様Bの方法又は実施態様B。
実施態様Cは、2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法である。方法は、気相縮合条件下、縮合触媒の存在下において、ホルムアルデヒド源とカルボン酸を接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。縮合触媒のチタン成分は、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。
実施態様Cの方法であって、ホルムアルデヒド源が、ホルムアルデヒド、1,3,5‐トリオキサン、又はジメトキシメタン、及び酢酸又はプロピオン酸を含むカルボン酸を含む、実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、ホルムアルデヒド源が、ホルムアルデヒド水溶液、1,3,5‐トリオキサン、又はジメトキシメタン、及び酢酸又はプロピオン酸を含むカルボン酸を含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、ホルムアルデヒド源が、ホルムアルデヒド水溶液、1,3,5‐トリオキサン、又はジメトキシメタン、及び酢酸又はプロピオン酸を含むカルボン酸を含み、及び水溶液が30〜65質量%ホルムアルデヒドを含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、有機チタン化合物がチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、触媒組成物が更に、予め形成された支持体を含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタンピロリン酸塩、酸化ジルコニウム、又はジルコニウムピロリン酸塩を含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体の粒子サイズが0.1mm〜20mmの範囲である、実施態様Cの方法又は実施態様C。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Cの方法又は実施態様Cであって、縮合条件が、50〜400molの供給量/(kg触媒・時)、又は100〜300molの供給量/(kg触媒・時)、又は125〜200molの供給量/(kg触媒・時)の全供給量空間速度を含む、実施態様Cの方法又は実施態様C。
本発明を更に、以下の実施例により表すことができるが、これらの例は、単に説明目的のために過ぎず、また本発明の範囲を制限する意図はないと解されよう。別段の示唆がない限り、又は文脈が示唆しない限り、全ての百分率は質量による。
実施態様Dは、2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法である。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素及び炭素数1〜8のアルキル基からなる群より選択される)。
実施態様Dの方法であって、縮合触媒の一般式がVTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)である、前記方法。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、チタン成分が、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、有機チタン化合物が、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、メチレンジアルカノエートが、メチレンジプロピオネートである、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、メチレンジアルカノエートが、メチレンジアセテートである、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、接触させる工程が、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1mol%〜90mol%の希釈ガスにより実施される、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、希釈ガスが、希釈ガスの全molを基準として約0.5mol%〜約20mol%の酸素を含む、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、2,3‐不飽和カルボン酸の空時収量が、約0.1〜200molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、より好ましくは約1〜50molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、及び最も好ましくは約2〜10molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)である実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、触媒組成物が更に、予め形成された支持体を含む、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタンピロリン酸塩、酸化ジルコニウム、又はジルコニウムピロリン酸塩を含む、実施態様Dの方法又は実施態様D。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Dの方法又は実施態様Dであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体の粒子サイズが0.1mm〜20mmである、実施態様Dの方法又は実施態様D。
実施態様Eは、2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法である。方法は、気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得る工程を含む。縮合触媒は、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含む。チタン成分は水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である。メチレンジアルカノエートは一般式(I)を有する:
Figure 2016512253
(式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルからなる群より選択される)。
実施態様Eの方法であって、有機チタン化合物が、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、前記方法。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、縮合触媒の化学式がVTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)である、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、メチレンジアルカノエートが、メチレンジプロピオネートである、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、メチレンジアルカノエートが、メチレンジアセテートである、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、接触させる工程が、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1〜90mol%、好ましくは約25〜75mol%、及び最も好ましくは約30〜65mol%により実施される、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、希釈ガスが、希釈ガスの全molを基準として約0.5〜20mol%、好ましくは2〜10mol%、及び最も好ましくは約4〜6mol%の酸素を含む、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、2,3‐不飽和カルボン酸の空時収量が、約0.1〜200molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、より好ましくは約1〜50molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)、及び最も好ましくは約2〜10molの2,3‐不飽和カルボン酸/(kg触媒‐時)である、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、触媒組成物が更に、予め形成された支持体を含む、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタンピロリン酸塩、酸化ジルコニウム、又はジルコニウムピロリン酸塩を含む、実施態様Eの方法又は実施態様E。
介在する特徴の1つ以上を含む実施態様Eの方法又は実施態様Eであって、それが更に、予め形成された支持体を含み、該予め形成された支持体の粒子サイズが0.1mm〜20mmである、実施態様Eの方法又は実施態様E。

原料
D/L‐乳酸(90質量%)、アンモニウムメタバナデート(99+質量%NH4VO3)、リン酸(85質量%H3PO4)、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(50質量%水溶液)、テトラクロロチタン(≧99質量%TiCl4)、及び二酸化チタンコロイド懸濁液(水中)(23.38質量%TiO2)を商業的供給元から購入し、そのまま使用した。
略語
XRD=粉末X‐線回折、XRF=X‐線蛍光分光法、TPD=昇温脱離、SCCM=立方センチメートル毎分、MeOAc=メチルアセテート、MeOH=メタノール、MA=メチルアクリレート、H2CO=ホルムアルデヒド、HOAc=酢酸、HOPr=プロピオン酸、mmol=ミリmol、prod=生成物、AA=アクリル酸、BSTFA=N,O‐ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、及びTMSCl=トリメチルシリルクロライド。
XRD測定
全てのXRD測定を、30kVかつ15mAにて操作される銅陽極X‐線管球を用いてRigaku Miniflex X‐線回折分光計により実施した。サンプリング幅0.02°かつスキャン速度1.00°/分により5°(2θ)〜75°(2θ)の回折パターンを得た。
結晶サイズを、回折パターンの最大半値全幅の測定及びシェラー式(P.N.Scherrer、Ges.Wiss.Gottingen、Math.‐Phys.Kl.2、第96〜100頁(1918))に基づき算出した。定量相分析を、リートベルト法(H.M.Rietveld、J.Applied Crystallography21、第86〜91頁(1988))に基づく精密化アルゴリズムを用いて算出した。結晶化度%を、結晶と定義される30Åより大きい結晶サイズのピーク及びアモルファスと定義される30Å以下の結晶サイズのピークを含む個々の回折パターンの積分強度に基づき算出した(N.S.Murthyら、Polymers31、第996〜1002頁(1990))。
昇温脱離測定
TPDの評価を、Micrometrics Autochem II 2920アナライザーの出口に取り付けられた質量分析計を用いて実施した。プローブ分子としてイソプロパノールを用いた全酸価及び全塩基価の評価は、以下のように実施される。セラミック炉中に配される石英Uチューブ中に約0.05グラムのサンプルを秤量する。サンプルに450°Cへの(ヘリウム中、10%酸素)加熱サイクル、40°Cへの冷却工程からなる昇温サイクルを適用する。イソプロパノールは、Micromeritics Autochem2920アナライザーの蒸気発生器を用いてサンプルに適用された。蒸気発生器は、室温において、イソプロパノールを含むフラスコを通じたヘリウムバブリングにより作動する。生じる“飽和蒸気”ヘリウムを、加熱されたサンプルループを通じて移動させ、及びサンプルに注入する。サンプルの表面を濡らした後、サンプル上に乾燥ヘリウムを通して物理吸着蒸気を除去する。次いで、Heのストリームをフローさせつつ20°C/分にて約450°Cへ最終の加熱をし、そこではサンプルを通じたガスフローから時間質量スペクトルデータを取得する。
ガスクロマトグラフィー測定
液体生成物サンプルを測定時間に亘って捕集し、秤量し、そしてガスクロマトグラフィーにより分析した。記録される質量0.1XXX(Xは天秤上に示される実際の数値である)へとサンプルをガスクロマトグラフィー(GC)バイアル中に秤量した。次いで、LEAPユニット使用して200μLの内部標準(0.7325gドデカン、100mLピリジン中)、次いで1.0mLのBSTFA(w/TMSCl)をロボット制御で加えた。次いでバイアルを80°Cにて30分間熱板上においた。全ての成分を分離するため、各サンプルをある装置、AOC‐20オートサンプラーを備えるShimadzu2010ガスクロマトグラフの2つのカラムに平行に流し込んだ。ガスクロマトグラフィー測定は、ホルムアルデヒドを除く液体生成物中の全ての成分を定量化するために使用された。
液体クロマトグラフィー測定
反応混合物サンプルを、80°Cにて30分間25%(体積/体積)H2SO4水溶液中で酸加水分解に供した後に、高性能液体クロマトグラフィーを用いて液体生成物中のホルムアルデヒドの計量を実施した。酸加水分解物をジニトロフェニルヒドラジンと反応させ、次いでアイソクラチック条件下、1:1の水:アセトニトリル移動相によりPhenomenex Luna C8カラムを用いて分析した。ホルムアルデヒドの2,4‐ジニトロフェニルヒドラゾン誘導体の分離及び検出を、UV‐Vis検出器を備えるAgilent1100HPLCシステムを用いて360nmにてモニタリングして実施した。液体生成物中のホルムアルデヒド濃度を、ホルマリンから調製された外部標準を用いたキャリブレーションに基づき算出した。液体供給物中のホルムアルデヒドの計量を、水とトリオキサンとの比及び液体供給物のフローレートに基づき算出した。
例1
方法Aを介するアモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び無水液体供給物によるリアクタースクリーニング
1.V(IV)H3PO4溶液の調製
500mLの一口丸底フラスコ中において、橙‐ベージュアンモニウムメタバナデート(9.75g)を50mlの乳酸及び200mlの脱イオン水に懸濁させた。70°Cにて1時間加熱した後、70°Cにて15分間に亘って85%オルトリン酸(52.5g)を透明青色バナジウム溶液に添加して青‐緑色溶液を得た。反応フラスコ中への最小量の水により反応物の残渣を洗浄した。
2.V‐Ti‐P触媒の調製
50質量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド溶液(109.19g)を、コンデンサー及びメカニカルスターラーを備える1L三口ケトル反応器添加した。上記工程1からのV/P溶液をTi溶液にゆっくりと注いで青色懸濁液を得た。V/Pフラスコを30mLの水ですすぎ、そして内容物を反応フラスコに加えた。次いで混合物を130°Cにて16時間、700〜800rpmで撹拌して青色から青‐緑色懸濁液を得た。次いで4〜6時間に亘る蒸留(130°C設定のオイルバス)により水を除去し、得られた湿った淡緑色固体をセラミック皿に移し、そしてマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中で加熱した。次いで得られた固体を押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられた物質を、石英チューブ炉中で空気中(60SCCM)、450°Cにて6時間か焼して淡緑色の不規則な形状のペレットを得た。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。
3.アクリル酸の調製
モル比12酢酸/1トリオキサンの供給物による気相縮合実験を325°C、0.083mL液体供給量/分、かつ80SCCM N2にて3時間実施した。触媒の性能を表3にまとめる。表3において、用語“生成物、g”は回収された液体生成物の質量を指す。用語“供給される反応物、g”は、液体として反応器に供給された反応物(トリオキサン及び酢酸)のみを含む。
酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応を、長さ61cm(24インチ)、25mm外直径(21mm内直径)の石英反応チューブ中で実施した。反応器への熱は、Barnstead International電気チューブ炉(タイプF21100)により与えられた。トラップを備えるドライアイスコンデンサーに取り付けられた水冷コンデンサーを取り付けた三口フラスコ中に液体生成物を捕集した。フラスコの3つめの口にヒドロキノン阻害剤の幾つかの結晶の添加を可能にするストッパーを取り付けた。各サンプルの捕集物の始めにヒドロキノン結晶を添加した。レシーバーフラスコの底にストップコックを取り付けて液体生成物の排水を可能にした。
石英反応器のインデントはチューブの底から上へ20cm(8インチ)である。インデントを備える反応器の領域を、炉の加熱されたセクションの底部の近くに据えた。また、反応器に反応器の上端からインデントの下方に約1インチに延長されたサーモウェルを取り付けた。反応器のインデント上方の高さ約2.5インチに対して第一に石英チップを取り付けて、触媒が炉の中央に位置するようにした。次いで、5.0g量の触媒を反応器に入れた。サーモウェル中の熱電対を触媒床の中心の近くに配した。十分な石英チップ(約2.5インチ)を触媒添加の上方の領域に加えて、炉の加熱された領域の上端に到達させた。この触媒の性能を表3にまとめる。
本例は、TBALDH化合物が、標準的なスクリーニング条件下において、良好な収率かつ高純度のアクリル酸を提供する触媒活性V‐Ti‐P物質の合成用の好適な前駆体であることを示す。触媒のモル組成は、以下の比較例1において用いられる触媒のものとほぼ同等であるが、比較例1の触媒の表面積は、例1の触媒と比較してたった60%である。比較例1の触媒の比較として例1の触媒の全酸サイトはより高かった(各々64.2(μmol/gに対して92.5(μmol/g))。触媒の粉末X‐線回折分析は、それが主にアモルファスであることを明らかにする(図1)。
比較例1
方法Bを介するアモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び無水液体供給物によるリアクタースクリーニング
M.Ai、Applied Catalysis、Vol.48、第51〜61頁(1989)及びJP1989‐068335Aに記載の方法に従って本例の触媒を調製した。
1.Ti(OH)4ゲルの調製
5‐Lの三口丸底フラスコに300mLの水氷及び300mLの脱イオン水を入れた。フラスコに125mL添加漏斗を取り付け、そして飽和重炭酸ナトリウム水溶液への通気口をつけた。次いで、テトラクロロチタン(34.6g)を、激しく撹拌している水/氷混合物にゆっくりと添加した。反応器のガスは、エアフローによりスクラバー溶液中に流し込まれ、ガス状のHClが除去された。得られた無色溶液のpHは0〜1であった。
溶液は室温に温められると、2.5Lの脱イオン水により希釈され、またpHが200mLの5.0M水酸化アンモニウムの添加により10〜11に調節された。鮮やかな白色固体が直ちに形成した。この物質をろ過し、そして2×1Lの水により洗浄してペースト状基質の白色片を得、それを最大5時間空気乾燥してゲル状の稠度を有する白色物質を得た。
2.V(IV)H3PO4溶液の調製
V/P溶液を例1、工程1の手順に従って調製した。
3.V‐Ti‐P触媒の調製
コンデンサーを備える1L三口ケトル反応器中において、上記の工程1による水酸化物ゲルを200mLの水中に懸濁させ、そして均一白色懸濁液を得るのに十分な長さ700〜800rpmにて機械的に撹拌した。上記工程2によるV/P溶液をゲル懸濁液にゆっくりと注いで青色懸濁液を得た。V/Pフラスコを50mLの水によりすすいで内容物を反応フラスコに加えた。次いで混合物を130°Cにおいて16時間、700〜800rpmにて撹拌して青色から青‐緑色懸濁液を得た。
次いで6時間に亘る蒸留により水を除去し(130°C設定のオイルバス)、そして得られた湿った淡緑色固体をセラミック皿に移し、そしてマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中で加熱した。次いで得られた固体を押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられた物質を、石英チューブ炉中で空気中(60SCCM)、450°Cにて6時間か焼して淡緑色の不規則な形状のペレットを得た。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。触媒の粉末X‐線回折分析は、それが主にアモルファスであることを示す(図2)。
4.アクリル酸の調製
本例における酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応を、長さ107cm(42インチ)、25‐mm外直径(21mm内直径)の石英反応チューブを使用することを除いて例1に記載のように実施した。反応器への熱は、61cm(24インチ)長の加熱されたゾーンを有するLindberg3‐element電気炉により与えられた。トラップを備えるドライアイスコンデンサーに取り付けられた水冷コンデンサーを取り付けた三口フラスコ中に液体生成物を捕集した。フラスコの3つ目の口にヒドロキノン阻害剤の幾つかの結晶の添加を可能にするストッパーを取り付けた。各サンプルの捕集物の始めにヒドロキノン結晶を添加した。レシーバーフラスコの底にストップコックを取り付けて液体生成物の排水を可能にした。液体サンプルを測定時間に亘って捕集し、秤量し、そしてガスクロマトグラフィーにより分析した。
石英反応器のインデントはチューブの底から上へ30.5cm(12インチ)であった。インデントを備える反応器の領域を、炉の加熱されたセクションの底部の近くに据えた。また、反応器に反応器の上端からインデントの下方に約1インチに延長されたサーモウェルを取り付けた。反応器のインデント上方の高さ約10インチに対して第一に石英チップを取り付けて、触媒が3‐element炉の中央に位置するようにした。次いで、5.0g量の触媒を反応器に入れた。サーモウェル中の熱電対を触媒床の底から上へ1.5インチに配した。十分な石英チップを触媒添加の上方の領域に加えて、3‐element炉の加熱された領域の上端に到達させた。この触媒の性能を表3にまとめる。
本例は、従来技術に従う調製方法は再現可能であり、また得られた触媒が例1に記載される本発明の触媒と同様に機能することを示す。不活性雰囲気下における無水液体供給物の使用により、両方の触媒が良好な収率でアクリル酸を生成した。酢酸のアカウンタビリティーは両方の場合においてほぼ同じであった。また、両方の触媒がアモルファスであり、かつ類似のバルク組成を有していた。これらの見かけ上の類似性にも関わらず、表面積及び酸性度測定の対比から明らかであるように、本例及び例1の触媒の微細構造は著しく異なっていた。
比較例2
方法Cを介する混合結晶‐アモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び無水液体供給物によるリアクタースクリーニング
1.V(IV)H3PO4溶液の調製
例1、工程1の手順に従ってV/P溶液を調製した。
2.V‐Ti‐P触媒の調製
23.38質量%二酸化チタンコロイド分散液(41.3g)及び100mLの脱イオン水を、コンデンサー及びメカニカルスターラーを備える1‐L三口ケトル反応器に加えた。上記工程1からのV/P溶液を懸濁液にゆっくりと注いで青色懸濁液を得た。V/Pフラスコを25mLの水ですすぎ、そして内容物を反応フラスコに加えた。次いで混合物を130°Cにて16時間、700〜800rpmで撹拌して青‐緑色懸濁液を得た。次いで6時間に亘る蒸留(130°C設定のオイルバス)により水を除去し、得られた湿った淡緑色固体をセラミック皿に移してマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中で加熱した。次いで得られた固体を押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられた物質を、石英チューブ炉中で空気中(60SCCM)、450°Cにて6時間か焼して暗い灰色の不規則な形状のペレットを得た。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。気相縮合実験及び生成物分析を例1に記載のように実施した。触媒の性能を表3にまとめる。
本例は、二酸化チタンが、触媒活性V‐Ti‐P触媒を調製するために適していない前駆体であることを示す。特に、BET表面積はバナジウムと比較して、全酸サイト及び全体のバルクモル組成と同様に比較的小さかった。この物質はホルムアルデヒドと酢酸からアクリル酸を生成しなかった。触媒の粉末X‐線回折分析は、それが未知のアモルファス物質及び結晶ルチルの混合物であることを示した(図3)。
比較例3
方法Dを介する結晶性VO(HPO4)(H2O)0.5触媒の調製及び無水液体供給物によるリアクタースクリーニング
J.K. Bartleyら、”Vanadium Phosphate Catalysts、“Metal Oxide Catalysis、第499〜537頁(S.D.Jackson&J.S.J Hargreaves eds.2009)に記載の手順に従って本例の触媒を調製した。
窒素雰囲気下において、メカニカルスターラー、コンデンサー、及び添加漏斗を備える1‐Lケトル反応器に100.08gの五酸化バナジウム及び600mLのイソブチルアルコール全てを入れた。内容物を1時間加熱還流し(130°C設定のオイルバス)、次いで139.44gの85%リン酸をゆっくりと添加し、そして反応物温度をリフラックス温度に22時間維持した。得られたスカイブルー懸濁液は、少量の暗い不溶性物質を含んでいた。次いで別の5.53gの85%リン酸を、追加の150mLのイソブタノールと併せて加えた。次いでリフラックスを更に7時間続けた。室温まで冷却したら、青色懸濁液をろ紙を配したブフナー漏斗に注いだ。より重い不溶性不純物は反応フラスコ中に残っていた。次いで青色固体を真空ろ過により分離し、そして200mLのエタノールにより洗浄して室温にて真空引きしつつ乾燥させた。水中の青色固体の懸濁液を加熱して窒素雰囲気下で終夜リフラックスさせることにより、水溶性不純物を除去した。次いで混合物を熱いままろ過すると、ろ紙上に青色固体、及びろ過フラスコ中に黄色ろ液が得られた。次いで青色固体を110°Cにて22時間空気中で乾燥させて青‐緑色ケーキを得た。この物質を次いで押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。この物質のXRD分析(図4)は、それが結晶性VO(HPO4)(H2O)0.5であることを示した。本例において調製された触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。気相縮合実験を例1の記載に従って実施した。触媒の性能を表4にまとめる。
本例は、方法Dを介して調製された触媒が、例1の本発明V‐Ti‐P触媒又は比較例1のV‐Ti‐P触媒のように、アクリル酸の生成に効果的でなかったことを示す。XRDパターンに示されるように、この触媒の表面は、結晶性バナジル水素ホスフェートヘミヒドレートからなっていた。この個別の種は、例1又は比較例1に記載のアモルファス触媒の類似のXRD分析いずれからも観察されなかった。
比較例4
方法Eを介する結晶性(VO)2(P27)触媒の調製及び無水液体物供給によるリアクタースクリーニング
M.Abonら、J.Catalysis、Vol.156、第28〜36ページ(1995)に記載の手順に従って本例の触媒を調製した。
比較例3で調製された約46gの8×14メッシュVO(HPO4)(H2O)0.5を100SCCM窒素フロー下、500°Cにて47時間加熱して37.91gのライトブラウン粒子を得た。この物質のXRD分析(図5)は、それが結晶性バナジルピロリン酸塩(VO)2(P27)であることを示した。本例において調製された触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。例1の記載に従って気相縮合実験を実施した。触媒の性能を表4にまとめる。
本例は、この触媒が、例1の本発明V‐Ti‐P触媒又は比較例1のV‐Ti‐P触媒のように、アクリル酸の生成に効果的でなかったことを示す。XRDパターンに示されるように、この触媒の表面は、結晶性バナジルピロリン酸塩からなっていた。この個別の種は、例1又は比較例1に記載のアモルファス触媒の類似のXRD分析いずれからも観察されなかった。
比較例5
方法Fを介する結晶性V‐Ti‐P‐Mo触媒の調製及び水溶液供給物によるリアクタースクリーニング
グラファイトを触媒に加えない以外は、C.D.Rodicaら、RO114084B1(1999)に記載の手順に従って、触媒を調製した。
酸化バナジウム(V)(3.9g)を二酸化チタン(6.65g)、酸化モリブデン(VI)(0.45g)、及び85%リン酸(1.7mL)とセラミック皿中で混合して粘度の高いペーストを得た。次いでこの物質をマッフル炉中で3時間、200°Cにて空気中で乾燥させて硬い黄色固体を得た。次いでこの固体を押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を、マッフル炉中で2時間、300°Cにて空気中でか焼した。この物質のXRD分析(図6)は、それが結晶性二酸化チタン、バナジウムであり、またリン成分は観察されないことを示した。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。
反応条件をRO114084B1に記載のように設定することを除いて、比較例1に記載のように気相縮合実験を実施した。炉の温度を350°C、液体供給速度を0.025mL/分、及び窒素フローを51SCCMに設定した。供給物は、モル比4:0.67:9の酢酸、トリオキサン、及び水の混合物からなり、実施時間は360分であった。触媒の性能を表4にまとめる。
本例は、86.3%のアクリル酸収率を請求するRO114084B1に記載の結果を再現するために試みた。しかし、実際のアクリル酸の収率は1%未満であることが分かった。この結果は、結晶性TiO2を含む触媒の観察と組み合わせて、二酸化チタンが活性ホルムアルデヒドアルカン酸縮合触媒を調製するためには適していない前駆体であることを主張する裏付けを与える。
例2
方法Gを介するアモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び水溶液供給物によるリアクタースクリーニング
アンモニウムメタバナデート(19.54g)を218.41gの50質量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド溶液に懸濁させ、次いで200mLの脱イオン水を、蒸留ヘッド及びメカニカルスターラーを備える1‐L三口ケトル反応器に加えることにより、本例の触媒を第一に調製した。ベージュの懸濁液を室温において10分間、700rpmにて撹拌し、次いで105.57gの85%リン酸を加え、次いで約50mLの水ですすいだ。鮮やかな黄色への迅速な色の変化及び混合物の肥厚化、次いで緑色、次いで淡緑色への変化が20分に亘りあった。次いで懸濁液をリフラックスさせるために加熱し(130°C設定のオイルバス)、そして220mLの水を3時間に亘る蒸留を介して捕集した。室温まで冷却した後、得られた淡緑色半固体をセラミック皿に掻きだし、そしてマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中でか焼して黒‐緑色固体を得、それを8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられたペレットを、石英チューブ炉中で60SCCMエアフローを伴い、450°Cにて6時間か焼して淡緑色ペレットを得た。この物質のXRD分析(図7)は、それが主にアモルファスであることを示した。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。
モル比12酢酸/1トリオキサン/4.09水からなる液体供給物を325°C、0.089mL液体供給量/分にて用い、かつキャリアガス(窒素)を、70SCCMに設定したことを除いて、本例の酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応を例1に記載のように実施した。触媒の性能を表5にまとめる。
本例は、(a)全ての3種の触媒前駆体が、ワンポット法で組み合わされるという点において、水溶性TBALDHの使用がより速い触媒合成を可能にすること、及び(b)触媒調製において乳酸が存在していなくても、V‐Ti‐P物質用のチタン源としてのTBALDHの使用がアクリル酸生成用の活性触媒を生成することを示す。得られた触媒は、XRDによりアモルファスであった。またそれは、例1に記載の触媒と極めて近い表面積と、例1及び比較例1に記載の触媒のそれと極めて近いバルク組成を有する。
比較例6
方法Hを介する結晶性V‐Ti‐P触媒の調製及び無水供給物によるリアクタースクリーニング
生成物から乳酸を排除することを除いて、本例の触媒を比較例1に記載の手順に従って調製した。この物質のXRD分析(図8)は、それが結晶性バナジウム(III)カテナホスフェート及びチタンジホスフェートの混合物であることを示した。本例において調製された触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。例1に記載のように気相縮合反応を実施した。触媒の性能を性能の表5にまとめる。
本例は、テトラクロロチタンをチタン前駆体として使用し、及び触媒合成の間に乳酸を排除した際に、低酸性度及び表面積を有するV‐Ti‐P物質が得られることを示す。得られる固体の表面は、結晶性化合物の混合物であり、明らかに乏しいアクリル酸合成に対する触媒活性を示した。収率は10%未満かつ選択性は12%未満であった。また本例は、塩に固有のラクテート基が触媒合成の間のバナジウムを減少させるのに十分である(これは、か焼においてアモルファス表面の形成と増大した表面積の生成を助ける)ため、TBALDHがより魅力的なV‐Ti‐P前駆体であるという事実を際立たせる。
例3
無水液体供給物によるV‐Ti‐P触媒(方法Aの2Xスケール)のライフタイムの検討
本例の触媒を方法A(例1)、ただし2倍のスケールを介して調製した。本例において、モル比12酢酸/1トリオキサンからなる液体供給物を325°C、0.083mL液体供給量/分にて用い、及びキャリアガスが窒素(49SCCM)及び空気(21SCCM)であったことを除いて、酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応を例1に記載のように実施した。反応は27時間実施した。また、長さ=79cm(31インチ)、25‐mm外直径(21mm内直径)の石英反応チューブを使用した。反応器への熱は、長さ50cm(19.5インチ)の加熱されたゾーンを有するApplied Test Systemsシリーズ3210 3‐element電気炉により与えられた。グリコール冷却された(0°C)ジャケットを取り付けた三口フラスコ中に液体生成物を捕集した。フラスコの三口をドライアイストラップに接続された水冷コンデンサーに接続した。レシーバーフラスコの底にストップコックを取り付けて液体生成物の排水を可能にした。
石英反応器のインデントは、チューブの底から上へ13cm(5インチ)であった。インデントを備える反応器の領域を、炉の加熱されたセクションの底部の近くに据えた。また、反応器に反応器の上端からインデントの下方に約1インチに延長されたサーモウェルを取り付けた。反応器のインデント上方の高さ約8インチに対して第一に石英チップを取り付けて、触媒が3‐element炉の中央に位置するようにした。次いで、5.0g量の触媒を反応器に入れた。サーモウェル中の熱電対を触媒床の底から上へ1.5インチに配した。十分な石英チップを触媒添加の上方の領域に加えて、3‐element炉の加熱された領域の上端に到達させた。
液体サンプルを測定時間に亘って捕集し、秤量し、そしてガスクロマトグラフィー及びHPLCにより分析した。この触媒の性能を表6にまとめる。
本例は、TBALDHにより調製された、本発明V‐Ti‐P触媒が、27時間に亘り中程度の収率及び選択性でアクリル酸を提供したことを示す。酸素の存在は、触媒のライフタイムの延長に寄与する。無水液体供給物を用いた結果として、高いコークス化率は、最後のデータポイントにおいて観察される減少した収率を引き起こすと考えられている。
比較例7
無水液体供給物によるV‐Ti‐P触媒(2Xスケールの方法B)のライフタイムの検討
本例の触媒を方法B(比較例1)、ただし2倍のスケールを介して調製した。気相縮合実験を例3に記載のように実施した。触媒の性能を表7にまとめる。
本例は、従来技術に従って調製されたV‐Ti‐P触媒が、27時間に亘って無水液体供給物が用いられた際に、本発明の触媒と同様に機能したことを示す。また、第三のデータポイントにおいて観察された減少した収率の原因は、高いコークス化率よると考えられる。
例4
水溶液供給物によるV‐Ti‐P触媒(方法Aの2Xスケール)のライフタイムの検討
本例で用いられる触媒は、その例の後に、6vol%酸素(94vol%窒素)下において16時間、400°Cにて加熱することにより再生されることを除いて、例3で使用される同一の触媒使用量であった。次いで、モル比12酢酸/1トリオキサン/4.09水からなる液体供給物を、325°C、0.089mL液体供給量/分にて用いることを除いて、気相縮合反応を例3に従って実施した。キャリアガスは窒素(49SCCM)及び空気(21SCCM)であった。反応を27時間実施した。触媒の性能を表8にまとめる。
本例は、TBALDHにより調製されたV‐Ti‐P触媒が、(1)水溶液供給物が使用される際にアクリル酸への極めて高い選択性を維持すること、及び(2)一貫した中程度の収率を維持することを示す。55%近い最終的な収率は、恐らくコークス化率がより低いために例3においての同一のポイントより比較的高い。
比較例8
水溶液供給物によるV‐Ti‐P触媒(方法Bの2Xスケール)のライフタイムの検討
本例で用いられる触媒は、その例の後に、6vol%酸素(94vol%窒素)下において16時間、400°Cにて加熱することにより、再生されることを除いて、比較例7で使用される同一の触媒使用量であった。次いで、モル比12酢酸/1トリオキサン/4.09水からなる液体供給物を、325°C、0.089mL液体供給量/分にて用いることを除いて、気相縮合反応を例3に従って実施した。キャリアガスは窒素(49SCCM)及び空気(21SCCM)であった。反応を27時間実施した。触媒の性能を表9にまとめる。
本例は、従来技術に従って調製されたV‐Ti‐P触媒が、水溶液供給物が用いられた際に、本発明の触媒のように高収率でアクリル酸を与えなかったことを示す。アクリル酸への選択性は同様に高く、及び反応ライフタイムは同等であったにも関わらず、ホルムアルデヒド転化率は例4において観察されたものよりも20%より大きい差で一貫して低かった。これは、無水液体供給物が用いられた際、両方のV‐Ti‐P触媒が類似の活性及び選択性を示すという驚くべきことである。
例5
方法Iを介する貧溶媒を用いるアモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び水溶液供給物によるリアクタースクリーニング
本例で用いられる触媒を、リフラックスコンデンサー及びメカニカルスターラーを備える1‐Lの三口ケトル反応器中において、第一にアンモニウムメタバナデート(19.65g)を218.54gの50質量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド溶液に懸濁させ、次いで150mlの脱イオン水を添加することにより調製した。ベージュの懸濁液を、室温において10分間、700rpmにて撹拌した。次いで、105.06gの85%リン酸をゆっくりと加え、次いで50mLの脱イオン水によりすすいだ。鮮やかな黄色への迅速な色の変化、次いで緑色、次いで淡緑色への変化が20分に亘りあった。次いで懸濁液を加熱して、更なる色の変化が観察されなくなった後1時間リフラックスさせた。反応器を氷‐ウォーターバス中で約6°Cに冷却し、そして700〜800mLの無水エタノールを加え、混合物を凝縮させた。内容物を6°Cにて20分間撹拌し、そして真空引きしつつ中程度の粗さのガラスフリット上に固体を捕集した。エメラルドグリーンのろ液(405.28g)を捕集し、そして元素分析を実施した。
ろ過された固体をフリット上で真空引きしつつ空気乾燥して淡緑色粉末を得た。該粉末を始めにマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中で加熱することによりか焼して灰‐緑色固体を得た。次いで、該固体を8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられたペレットを、石英チューブ炉中で60SCCMエアフローを伴い、450°Cにて6時間か焼して淡緑色の不規則な形状のペレットを得た。
X‐線回折パターン(図9)は、触媒が主にアモルファスであることを示す。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。ろ液中のバナジウム、チタン、及びリンの損失割合を表2にまとめる。例4に従って気相縮合実験を実施した。触媒の性能を表10にまとめる。
本例は、エタノールによる析出により得られるV‐Ti‐P物質が、ホルムアルデヒドと酢酸との縮合を効果的に触媒してアクリル酸を形成したことを示す。具体的には、触媒は、27時間後に約78%のホルムアルデヒド転化率、及び同じ時間の後に約80%の生成物選択性を維持した。7質量%のバナジウム成分及び15.5質量%のリン成分だけが、ろ過の結果として失われた。
例6
方法Jを介する貧溶媒を用いないアモルファスV‐Ti‐P触媒の調製及び水溶液供給物によるリアクタースクリーニング
本例で用いられる触媒を、リフラックスコンデンサー及びメカニカルスターラーを備える1‐Lの三口ケトル反応器中において、第一にアンモニウムメタバナデート(19.52g)を218.34gの50質量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド溶液に懸濁させ、次いで150mlの脱イオン水を添加することにより調製した。ベージュの懸濁液を、室温において10分間、700rpmにて撹拌した。次いで、105.32gの85%リン酸をゆっくりと加え、次いで50mLの脱イオン水によりすすいだ。鮮やかな黄色への迅速な色の変化、次いで緑色、次いで淡緑色への変化が20分に亘りあった。次いで懸濁液を加熱して、更なる色の変化が観察されなくなった後1時間リフラックスさせた。反応器を氷‐ウォーターバス中で約6°Cに冷却し、そして800mLの脱イオン水を加えた。内容物を6°Cにて20分間撹拌し、そして真空引きしつつ中程度の粗さのガラスフリット上に固体を捕集した。藍色のろ液(459.9g)を捕集し、そして元素分析を実施した。
ろ過された固体をフリット上で真空引きしつつ空気乾燥して淡緑色粉末を得た。該粉末を始めにマッフル炉中で16時間、300°Cにて空気中で加熱することによりか焼して灰‐緑色固体を得た。次いで、該固体を8×14メッシュを通してふるいにかけた。次いで8×14メッシュでふるいにかけられたペレットを、石英チューブ炉中で60SCCMエアフローを伴い、450°Cにて6時間か焼して黄色の不規則な形状のペレットを得た。
X‐線回折パターン(図10)は、触媒が主にアモルファスであったことを示す。本例において調製される触媒の表面特性及びバルク組成を表1にまとめる。ろ液中のバナジウム、チタン、及びリンの損失割合を表2にまとめる。例4に記載のように、気相縮合実験を実施した。触媒の性能を表11にまとめる。
本例は、エタノール等の貧溶媒がない状態でのろ過による分離V‐Ti‐P触媒が、比較的高いチタン含有量及び36質量%近いバナジウム及びリン成分両方の損失を伴う物質をもたらしたことを示す。更に、得られる物質は例5のV‐Ti‐P物質と同程度に効果的に縮合反応を行わない。例えば、ホルムアルデヒド転換率は、始めに高かったが(>90%)、アクリル酸への選択性は比較的低かった(27‐時間後に約59%)。更に、27時間時点でのこの反応の収率は、例5のものより約20%低かった。
調製された触媒のXRD測定の概要を以下に示す。
半結晶性触媒:
Figure 2016512253
アモルファス触媒:
Figure 2016512253
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例7〜9の縮合反応
これらの例で用いられる触媒は、例3に記載される本発明の触媒バッチから得られる5.0g量であった。例3に記載のように気相縮合反応を実施した。例7及び8において空間速度は変化したが、供給成分のモル比は一定に保たれた。ホルムアルデヒドの3等量のトリオキサンと、窒素に酸素以外の空気の成分を加えた不活性物を計量すると、供給成分酢酸/ホルムアルデヒド/水/不活性物/酸素のモル比は1.31/0.33/0.45/2.93/0.19であった。
反応物が誘導した触媒の失活の可能性による任意の影響を最小化するために、16.02mL(17.3g)の液体を供給した後、サンプルを取得した。次いでサンプルを秤量し、及び分析した。液体供給の停止から1時間後に、最後のサンプルを取得した。概して、条件の各設定において3つのサンプルを取得し、そして結果を、条件の各設定において捕集されたサンプルからの結果の平均として示す。結果を以下の表12にまとめる。所定の条件における反応が完了した後、触媒を、10SCCM窒素、加えて20.8SCCM空気に405°Cにて終夜供することにより再生した。
例7
本例は、より低い空間速度領域の好ましい範囲において実施される本発明を示す。1.31/0.33/0.45/2.93/0.19のモル比の酢酸/ホルムアルデヒド/水/不活性物/酸素の混合物を、上記の条件下、60molの(全ての供給成分/kg‐時)の空間速度にて反応器に移した。反応は発熱であり、また本反応の間の触媒床温度は339.5°Cであった。結果を以下の表12にまとめる。
例8
本例は、最も好ましい空間速度領域において実施される本発明を示す。1.31/0.33/0.45/2.93/0.19のモル比の酢酸/ホルムアルデヒド/水/不活性物/酸素の混合物を、上記の条件下、138molの(全ての供給成分/kg‐時)の空間速度にて反応器に移した。反応は発熱であり、また本反応の間の触媒床温度は352.9°Cであった。結果を以下の表12にまとめる。
例9
本例は、本発明の好ましい範囲から外れる低い空間速度値において実施された。1.31/0.33/0.45/2.93/0.19のモル比の酢酸/ホルムアルデヒド/水/不活性物/酸素の混合物を、上記の条件下、26molの(全供給成分/kg‐時)の空間速度にて反応器に移した。反応は発熱であり、また本反応の間の触媒床温度は334.2°Cであった。結果を以下の表12にまとめる。
Figure 2016512253
従って、本発明の高い空間速度条件は、より少ない酢酸の破壊、より高い空時収量、等量供給されたホルムアルデヒドからアクリレートのより高い収率、及び反応したホルムアルデヒドからのアクリレートへのより高い選択性をもたらす。ホルムアルデヒド転化率の差は、主に本発明の方法によるより少ない破壊されたホルムアルデヒドによるため、これらの性能の改善は、ホルムアルデヒド転化率の少量の減少を相殺する以上である。また、ホルムアルデヒドは商業的方法において再生されるであろう。
例10
本例は、本発明の好ましい条件が、触媒再生の必要なく、延長された時間に亘って維持される高い選択性及び活性を可能にすることを示す。本例の反応器の設定は、2つの相違点を除いて例7〜9のものと類似であった。異なる炉が使用され、またこの炉の壁は、反応器から約1.5インチ(3.8cm)であった。この構造は、上述の例より低い触媒床温度をもたらした。炉を320°Cに設定すると、反応の間の触媒床温度は約327〜332°Cであった。第二の相違点は、レシーバーを0°Cではなく環境温度に維持したことであった。1.31/0.33/0.45/2.93/0.19のモル比の酢酸/ホルムアルデヒド/水/不活性物/酸素の混合物を138molの(全供給成分/kg‐時)の空間速度にて反応器へ移した。反応を中断又は任意の触媒再生なく、連続的に実施した。実施の第一日目の間に2つのサンプルを捕集した。次いで、1つのサンプルを1日毎に捕集した。以下の表13は、任意の再生なく連続実施した、4、17、及び31日目の本発明の好ましい方法の実施をまとめる。
Figure 2016512253
以下の例11から25は、本発明の支持された触媒の調製の例である。例26から37は、酢酸及びホルムアルデヒド源からのアクリル酸の調製においての本発明の支持された触媒の有用性を示す。
例11
溶液をアンモニウムバナデート(0.97g、8.29mmol)、水(10mL)、及びシュウ酸(2.09g、16.58mmol)から調製した。加熱なしにアンモニウムバナデートを溶解させて、ガスの発生を伴い青色溶液が形成した。本例で用いられる可溶Ti源は、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、50質量%(水中)(TBALDH)、保証含有量13.4質量%TiO2であった。9.886g(0.0166mol Ti)のTBALDH溶液をV/シュウ酸水溶液に加えた。溶液は沈殿物がなく透明な青色のままであった。ガスが溶液から発生したため、含浸に使用されるこの溶液に関して正確な質量が必要であった。フラスコ+スターラー+溶液を秤量し、そして乾燥フラスコ及びスターラーの質量を差し引くことによると、溶液の質量は22.42gであった(22.28gを保存容器に移動した)。この溶液はグラム毎に0.3698mmolのV(18.83mg)及び0.7395mmolのTi(35.42mg)を含んでいた。この溶液の密度は1.15g/mLであった。
例12
乾燥した際、例11の溶液がいかに振舞うか、及び乾燥質量がH3PO4水溶液といかに反応するかを調べるために試験を実施した。1.560gの例11の溶液を蒸発皿に入れ、そしてスチームバスで加熱した。これは、暗い青‐緑色ガラスを製造した(0.440g)。このガラスを、0.401gの85%H3PO4(算出量0.379g)から調製された溶液により処理し、水により1.3mLに希釈した。初めに、約20%のガラスを溶解させて透明緑色溶液を形成したが、次いで系全体が粘度の高い明るい緑色のペーストとなった。
例13
TiO2により支持された触媒前駆体を、例11からの溶液の一部(4.08g)及びTiO2 1/16インチ押出し品(5.0g、Alfa Aesar ロット#K21S005)を用いて調製した。これらの条件はおおよそ初期濡れであった。白色のTiO2は含浸して灰色になった。含浸したTiO2を時折撹拌しつつスチームバスで乾燥させた。スチームバスで乾燥させた物質は明るい灰色であった。この物質をマッフル炉中、110°Cにて終夜乾燥させた。マッフル炉から取り出すと、その物質は明るい灰褐色であった。十分なリンを含むように調製された溶液を用いた初期濡れにより、リン酸の水溶液を用いて触媒前駆体にリンを添加してモル比5.5のP/Vを得た。必要とされる溶液の量を、測定された例11の溶液の密度(1.15g/mL)から算出し、これを用いて、リン酸水溶液の体積が元々使用されていた例11の溶液のものと同じであったように、元々の触媒前駆体を調製した。溶液は、水により3.5mLに希釈された0.996gの85%H3PO4(算出量0.992g)から調製され、そしてマッフル炉から回収された物質の含浸に用いられた。得られた含浸した物質は、極めて明るい緑色であった。リン酸含浸サンプルは初期濡れの状態に見え、及び自由流れまで、スチームバス上のその蒸発皿中においてテフロン(登録商標)スパチュラで撹拌された。色は緑色のままであったが、水が蒸発した際に、より明るい色調になった。その蒸発皿中のサンプルをマッフル炉に入れ、そして110°Cで2時間、次いで450°Cで6時間加熱した。得られた触媒(5.912g)は黄色であった。
例14
SiO2により支持された触媒前駆体を、例11からの溶液の一部(6.82g)及び8メッシュDavisonグレード57SiO2(5.0g、ロット557)を用いて調製した。これらの条件はおおよそ初期濡れであった。湿った含浸したSiO2は暗い青色であった。この物質を時折撹拌しつつスチームバスで乾燥させた。スチームバスで乾燥させた物質は明るい青色であった。この物質をマッフル炉中、110°Cにて終夜乾燥させた。マッフル炉から取り出すと、その物質は暗い青色であった。
十分なリンを含むように調製された溶液を用いた初期濡れにより、リン酸の水溶液を用いて触媒前駆体にリンを添加してモル比5.5のP/Vを得た。必要とされる溶液の量は、リン酸水溶液の体積が、元々用いられていた例11の溶液と同じであるように、元々の触媒前駆体を調製するために用いられた例11の溶液の測定された密度(1.15g/mL)から算出した。溶液は、水により5.9mLに希釈された1.654gの85%H3PO4(算出量1.658g)から調製され、そしてマッフル炉から回収された物質の含浸に用いられた。得られた含浸した物質は極めて暗い緑色であった。
リン酸含浸サンプルは初期濡れの状態に見え、及び自由流れまで、スチームバス上のその蒸発皿中においてテフロン(登録商標)スパチュラで撹拌された。色は緑色のままであったが、水が蒸発した際により明るい色調になった。その蒸発皿中のサンプルをマッフル炉に入れ、そして110°Cで2時間、次いで450°Cで6時間加熱した。得られた触媒(6.572g)は橙色の領域を含む緑色であり、及びほとんどバルクV/2Ti/5.5P酸化物触媒のように見えた。
例15
アルミナにより支持された触媒前駆体を、例11からの溶液の一部(7.24g)及び高表面積の酸化アルミニウム1/8インチ押出し品(5.0g、Alfa Aesar ロット番号A22M20、ストック番号43832、バイモーダルな細孔分布、表面積約255m2/g)を用いて調製した。調製の間、過剰の溶液(9.094g)を加え、そして一部(排除された)をドロッパーにより除去することにより、溶液の量を7.24gで保持した。この量の溶液により、触媒を濡らしたが、わずかな溶液が蒸発皿上に見えた。初期濡れした際、触媒前駆体は青色であった。スチームバスで乾燥させた物質は明るい灰色であった。それを、時折撹拌しつつ、スチームバスで乾燥させた。スチームバスで乾燥させた物質は、明るい灰色であった。この物質をマッフル炉中、110°Cにて終夜乾燥させた。マッフル炉から取り出すと、その物質は明るい灰褐色であった。
十分なリンを含むように調製された溶液を用いた初期濡れにより、リン酸の水溶液を用いて触媒前駆体にリンを添加してモル比5.5のP/Vを得た。必要とされる溶液の量は、リン酸水溶液の体積が、元々用いられていた例11の溶液と同じであるように、元々の触媒前駆体を調製するために用いられた例11の溶液の測定された密度(1.15g/mL)から算出した。溶液は、水により6.3mLに希釈された1.761gの85%H3PO4(算出量1.760g)から調製され、そしてマッフル炉から回収された物質の含浸に用いられた。得られた含浸した物質は明るい緑色であった。
リン酸含浸サンプルは初期濡れの状態に見え、及び自由流れまで、スチームバス上のその蒸発皿中においてテフロン(登録商標)スパチュラで撹拌された。色は緑色のままであったが、水が蒸発した際により明るい色調になった。その蒸発皿中のサンプルをマッフル炉に入れ、そして110°Cで2時間、次いで450°Cで6時間加熱した。得られた触媒(6.802g)は明るい緑色であり、また押し出し物はそれらの中に幾つかのクラックを有していた。
例16
V/Ti水溶液を以下のように調製した。アンモニウムバナデート(0.97g、8.28mmol)及び無水シュウ酸(2.09g、16.58mmol)を、室温にて撹拌しつつ水に溶解させた。この溶液の色は、1時間の経過に亘って橙色〜赤色〜茶色〜茶/緑色(気泡の発生を伴う)〜暗い緑色〜暗い青色へ変化した。さらに約1時間待った後、青色溶液からのガスの発生は見られなかった。溶液の質量損失に基づき、約240mgのガスが発生していた。TBALDH溶液(9.89g、16.6mmolTi)を加えて暗い青色溶液(22.62g)を生成した。この溶液はグラム毎に0.3665mmolのV(18.67mg)及び0.7339mmolのTi(35.15mg)を含んでいた。
酸化ジルコニウムにより支持された触媒前駆体を、この溶液の一部(2.355g)及び酸化ジルコニウム触媒支持体(5.0g、Alfa Aesar ロット#B21T010)1/8‐インチ押出し品から調製した。この量は、初期濡れに近く、また蒸発皿中の濡れた触媒は明るい青色であった。含浸した物質を撹拌しつつスチームバスで乾燥させて極めて明るい青色の物質を生成した。この物質をマッフル炉に入れて110°Cにて終夜乾燥させた。マッフル炉から回収された物質は、明るい灰褐色であった。
理論において、この触媒は0.8631等量のVを含んでいたため、その5.5倍量のリン(4.747mmol)すなわち547.3mgの85%H3PO4が第二含浸に必要であった。溶液を547mgの85%H3PO4から調製し、そして水により体積=2.0mLに希釈した。マッフル炉回収された物質のサンプルをきれいな蒸発皿に入れ、そしてH3PO4水溶液で含浸した。この含浸に用いられた条件は、初期濡れに近かった(幾らかの液体は蒸発皿も濡らした)。混合物を自由流れまで、テフロン(登録商標)スパチュラで撹拌しつつ乾燥させた。スチームバスで乾燥させた物質は、明るい緑色であり、均一に見えた。それをマッフル炉に入れて110°Cにて2時間乾燥させた。
マッフル炉から回収された物質は灰褐色であった。それを同じ蒸発皿に入れたままマッフル炉中で6時間、450°Cにてか焼した。マッフル炉から回収された物質(5.45g)は均一な黄色であった。
例17
本例の触媒は、添加される化学種の比がおおよそV/Ti/P=1/2/5.5(TiO2支持体を無視する)であるように設計された。水溶性VCl3及び1/16インチのTiO2押出品から調製され、次いで500°Cにて2時間か焼されたTiO2押出し品上の触媒前駆体は、2.4質量%のVであった。5.0グラムのこの触媒を蒸発皿に入れ、そして2.81gのチタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(50質量%、水中)(TBALDH)、保証含有量13.4質量%TiO2)を、撹拌しつつ含浸させた。TBALDH溶液(ca.2.3mL)のこの量は、初期濡れ潤含浸におおよそ適しており、また触媒表面は濡れたが、蒸発皿中にパドルはなかった。V/TiO2触媒の開始使用量は、約2.356mmolのVを含んでおり、またTBALDH溶液は、この量の約2倍のTi(約4.71mmol)を含んでいた。Ti‐含浸されたV/TiO2物質を含む蒸発皿をマッフル炉中に入れて110°Cにて終夜加熱した。マッフル炉から回収された触媒は灰色であったが、開始時のV/TiO2触媒は明るい褐色であった。この物質を、水により2.3mLに希釈された85%H3PO4(1.494g、1.296mmolのP)から調製された混合物により含浸した。また、この量の溶液は初期濡れに極めて近かったが、蒸発皿の底も濡らした。蒸発皿をスチームバスに入れ、及び押出し品が乾燥するまで時折撹拌しつつ加熱した。蒸発皿をマッフル炉に入れて110°Cにて2時間、次いで500°Cにて6時間乾燥させた。マッフル炉から回収された物質(6.16g)は、開始時のV/TiO2物質より暗い褐色(いわゆる灰褐色)であった。
例18
本例は、アンモニウムバナデート及びシュウ酸を水に第一に溶解させない(例11の場合とは異なって)場合のより高濃度のV/Ti水溶液の使用を示す。これは、これらの2つの物質の単独初期濡れ含浸が、例14のシリカ支持体上の量の約2倍を与えることを可能にする。溶液を、アンモニウムバナデート(0.97g、8.29mmol)、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド(50質量%、水中)(TBALDH)、保証含有量13.4質量%TiO2)(9.886g、TBALDH溶液のTiは16.6mmol)、及び脱水シュウ酸(2.09g、16.58mmol)から調製した。1時間後、暗い青色溶液が質量=12.89gで得られた。1グラムのこの溶液は、0.643mmolのV(32.76mg)及び1.288mmolのTi(61.69mg)を含んでいた。
Davison8メッシュグレード57SiO2(5.0g、Lot557)を蒸発皿に入れた。このSiO2をV/Ti水溶液(7.959g)により初期濡れのポイント(約5質量%のVを入れるのに7.63gが必要とされた)に入れた。この物質をスチームバス上で、乾燥しかつ自由流れまで撹拌した。それを次いでマッフル炉に移動させて110°Cにて4時間加熱した。マッフル炉から回収された物質(8.454g)は、明るい青色であり、かつほとんど均一に含浸していた(例14の物質がプロセスのこの段階において暗い青色であったことに留意されたい)。
溶液を、85%リン酸(3.245g、28.147mmol)から調製し、そして水により5.9mLに希釈した。この量のPは、既にシリカ上にあるVの量に対して5.5mol過剰である。蒸発皿中のV及びTiを含むシリカを全てのリン酸水溶液により含浸した。5.9mLの使用量は、初期濡れに要求される量(恐らく約0.5mL)より若干過剰であった。触媒は直ちに暗い緑色になり、そして残留の液状部分は緑色であった。混合物を、物質が自由流れになるまで、撹拌しつつスチームバスで加熱した。またそれが蒸発した際に緑色液体中に沈殿の兆候はなかった(リン酸水溶液中のVのある溶解度を示唆する)スチームバスで乾燥させた物質は明るい緑色であり、かつほとんど均一に含浸しているように見えた。それをマッフル炉に入れて110°Cにて終夜加熱した。110°Cのマッフル炉(10.381g)から得られた物質は、明るい緑色であった。10.326gのこの物質を新たな蒸発皿に移した。この物質をマッフル炉に入れて450°Cにて6時間加熱した。8.194グラムの緑色触媒がマッフル炉から回収された。
例19
溶液を、アンモニウムバナデート(4.85g、41.5mmol)、シュウ酸(10.45g、82.9mmol)、及び水(50mL)から調製した。この溶液の当初の質量は64.91gであり、そしてガス放出が停止した後の質量は63.31gに減少した(1.60gの損失)。TBALDH水溶液(49.43g、83.0mmolのTi)をアンモニウムバナデート溶液に加えた。得られた溶液の質量は112.76gであった。この溶液はグラム毎に0.368mmolのV(18.74mg)及び0.736mmolのTi(35.26mg)を含むと算出された。
シリカチャンク(50.02g、8メッシュ、Davisonグレード57、Lot557)を蒸発皿に入れた、蒸発皿中のシリカを、溶液の一部(76.43g)により初期濡れへ含浸した。混合物を、自由流れかつ明るい青色までスチームバス上で時折撹拌しつつ乾燥させた。次いで混合物を、更にマッフル炉中、110°Cにて終夜乾燥させた。マッフル炉から64.31グラムが回収された。触媒は、28,13mmolのVを含んでいた。グラム毎に0.4374mmolのV(22.28mg)を含んでいた。リンを入れるために、触媒を6グラムずつに分けた。従って6gの量は2.2244mmolのVを含んでいた。
本発明の1つの特徴は、例20〜23に示されるように、V及びTiが支持体上にあると、種々の量のリン成分を用いて触媒上に入れることにより、多くの異なる触媒を調製可能であることである。
例20
本例は、モル比V/2Ti/3.5P酸化物触媒の調製を示す。6.0gの例19の触媒を蒸発皿に入れた。この触媒を5.5mLに希釈された85%H3PO4(1.06g、9.18mmolのP)から調製された溶液により含浸した(5.5mL希釈物はこの量の触媒前駆体に初期濡れを提供する)。混合物を自由流れまでスチームバス上で撹拌した。触媒前駆体のサンプルをマッフル炉に入れて110°Cにて1時間乾燥させた。乾燥させた触媒を綺麗な蒸発皿に移し、マッフル炉に戻し、次いで450°Cにて6時間か焼した。5.789gが回収された。
例21
本例は、モル比V/2Ti/4.0P酸化物触媒の調製を示す。6.0gの例19の触媒を蒸発皿に入れた。この触媒を5.5mLに希釈された85%H3PO4(1.21g、1.050mmolのP)から調製された溶液により含浸した。混合物を自由流れまでスチームバス上で撹拌した。触媒前駆体のサンプルをマッフル炉に入れて110°Cにて1時間乾燥させた。乾燥させた触媒を綺麗な蒸発皿に移し、マッフル炉に戻し、次いで450°Cにて6時間か焼した。5.855gが回収された。
例22
本例は、モル比V/2Ti/4.5P酸化物触媒の調製を示す。6.0gの例19の触媒を蒸発皿に入れた。この触媒を5.5mLに希釈された85%H3PO4(1.36g、11.81mmolのP)から調製された溶液により含浸した。混合物を自由流れまでスチームバス上で撹拌した。触媒前駆体のサンプルをマッフル炉に入れて110°Cにて1時間乾燥させた。乾燥させた触媒を綺麗な蒸発皿に移し、マッフル炉に戻し、次いで450°Cにて6時間か焼した。5.999gが回収された。
例23
本例は、モル比V/2Ti/5.0P酸化物触媒の調製を示す。6.0gの例19の触媒を蒸発皿に入れた。この触媒を5.5mLに希釈された85%H3PO4(1.51g、13.12mmolのP)から調製された溶液により含浸した。混合物を自由流れまでスチームバス上で撹拌した。触媒前駆体のサンプルをマッフル炉に入れて110°Cにて1時間乾燥させた。乾燥させた触媒を綺麗な蒸発皿に移し、マッフル炉に戻し、次いで450°Cにて6時間か焼した。6.085gが回収された。
例24
5mol%バナジウム及び10mol%リンを含む支持された触媒を以下の方法で調製した:固有の表面積が100m2/gである白色結晶チタンピロリン酸塩(TiP27)を、第一にI.C.Marcuら、J.Mol.Catal.、Vol.203、第241〜250頁(2003)に記載の手順に従って調製し、次いで押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。溶液を、アンモニウムバナデート(0.164g、0.0014mol)、85%H3PO4(0.326g、2.83mmol)、水(10mL)、及び乳酸(1.13g、12.54mmol)から調製した。アンモニウムバナデートを加熱することなく溶解させて、緑色溶液を形成させた。溶液を次いで100mL一口丸底フラスコ中の6.21gのTiP27(8×14メッシュのふるいにかけられた物質(0.028mol))に加えた。フラスコを次いで65°Cに設定されたウォーターバスを備える回転蒸発器に配し、大気圧下で20分間、バス中において回転させた。この間上澄みが青色に変化した。フラスコの内容物を次いで65°Cにて真空下で乾燥させ、そして16時間、450°Cにて空気中でか焼して黄‐緑色の不規則な形状の粒子を得た。
例25
5mol%バナジウム、10mol%チタン、及び10mol%リンを含む支持された触媒を以下の方法で調製した:固有の表面積が100m2/gである白色結晶ピロリン酸塩(TiP27)を、第一にI.C.Marcuら、J.Mol.Catal.、Vol.203、第241〜250頁(2003)に記載の手順に従って調製し、次いで押しつぶし、そして8×14メッシュを通してふるいにかけた。溶液を、アンモニウムバナデート(0.163g、0.0014mol)、TBALDH(1.67g、2.84mmol)、水(10mL)、及び乳酸(1.13g、12.54mmol)から調製した。アンモニウムバナデートを加熱することなく溶解させて、橙色溶液を形成させた。溶液を次いで100mL一口丸底フラスコ中の6.21gのTiP27(8×14メッシュのふるいにかけられた物質(0.028mol))に加えた。フラスコを次いで65°Cに設定されたウォーターバスを備える回転蒸発器に配し、大気圧下で20分間、バス中において回転させた。この間上澄みが緑色に変化した。フラスコの内容物を次いで65°Cにて真空下で乾燥させ、次いで85%H3PO4(0.33g、2.86mmol、水(15mL)中)の溶液を添加した。得られた懸濁液を、次いで65°Cにて回転蒸発器で真空下乾燥させ、次いで16時間、450°Cにて空気中でか焼して黄色の不規則な形状の粒子を得た。
例26〜37
例26〜35の酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応物を、例13〜18及び20〜23からの支持された触媒をそれぞれ用いて比較例1の手順に従って調製した。
例36〜37の酢酸及びトリオキサン(ホルムアルデヒド源)の縮合反応物を、例24〜25からの支持された触媒をそれぞれ用いて例1の手順に従って調製した。
例26〜37の気相縮合実験を、モル比12酢酸/1トリオキサン供給物(密度1.06g/mL)により、325°C、0.083mL液体供給量/分、及び80SCCMのN2にて3時間実施した。これらの触媒の性能を以下の表14及び15にまとめる。これらの例は、支持されたV‐Ti‐P触媒が、水溶性酸化還元活性有機チタン化合物を用いて製造可能であることを示す。当業者は、塩化チタンが固体支持触媒上で含浸するために改変可能でないこと、塩化チタンの加水分解から生成された塩酸が支持物質に悪影響を及ぼす可能性があることを認識する。
Figure 2016512253
Figure 2016512253
例38
V‐Ti‐P触媒の合成
触媒を、500mL一口丸底フラスコ中の300mLの脱イオン水にアンモニウムメタバナデート(19.455g)を懸濁させることにより調製した。70°Cにて1時間加熱した後、85%オルトリン酸(105.4g)を70°Cにて15分間に亘り添加して明るい橙色溶液を得た。反応フラスコ中への最小量の水により反応物の残渣を洗浄した。50質量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド(TBALDH)溶液(218.45g)をコンデンサー及びメカニカルスターラーを備える1L三口ケトル反応器に加えた。V/P溶液をTBALDH溶液にゆっくりと注いで淡緑色懸濁液を得た。V/Pフラスコを30mLの水ですすぎ、そして内容物を反応フラスコに加えた。次いで混合物を100°Cにて16時間、700〜800rpmで撹拌した。次いで4〜6時間に亘る蒸留により水を除去し、得られた湿った淡緑色固体をセラミック皿に移し、そしてマッフル炉中で16時間、90°Cにて空気中で加熱した。乳鉢と乳棒を用いて、得られた固体を微粒子へと押しつぶした。次いで、この物質を石英チューブ中で空気中(60SCCM)、450°Cにて6時間か焼して淡緑色触媒粒子を得た。この物質は37.9m2/gのBET表面積を有し、X‐線回折を介してアモルファスであり、かつX‐線蛍光分光法により決定されるように1.0V‐1.9Ti‐5.2Pのモル組成を有していた。各実験の後に、触媒を空気中(100SCCM)、400°Cにて終夜再生した。
例39〜44
メチレンジアセテートの合成
5L丸底フラスコにコンデンサー、サーモウェル、オーバーヘッドスターラー、不活性ガスバブラー、及びマントルヒーターを取り付けた。885グラムのパラホルムアルデヒド、次いで3324mLの酢酸をこのフラスコに加えた。混合物を室温にて撹拌し、そして12mLの濃硫酸を加えた。発熱により溶液が約80°Cに加熱され、次いでマントルヒーターをオンにした。混合物をリフラックス状態でほぼ10時間保持し、そして一定期間毎にサンプリングしてガスクロマトグラフィーにより完了を確認した。完了したら、35gのNaOAcを混合物に加えて硫酸を中和した。混合物を別のフラスコに移し、そして実質的に純粋なMDAを蒸留した。
縮合反応
縮合反応反応器は、長さ61cm(24インチ)、25mm外直径(21mm内直径)の石英反応チューブ中であった。反応器への熱は、Barnstead International電気チューブ炉(タイプF21100)により与えられた。反応器に10gの8×14メッシュV‐Ti‐P触媒(例38)を入れた。液体生成物を大気中で冷却した三口フラスコに捕集した。レシーバーフラスコの底にストップコックを取り付けて液体生成物の排水を可能にした。0.2mL/分の液体メチレンジアセテートを蒸発させ、そして190°C〜310°Cの範囲の温度にて加熱された反応器に供給した。希釈剤として窒素を変化する速度(SCCM)にて供給して全供給物と触媒との約1秒の接触時間を作り出した。反応器に水は供給しなかった。反応は4時間実施した。反応の始め3〜10分において十分な発熱が観察された際、反応生成物の始め1時間を廃棄し、次いでこの1時間後に液体生成物を捕集した。実験実施の最後の3時間からの液体生成物サンプルを捕集し、秤量し、そしてガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表16に示す。表16において、転化率は、供給されたメチレンジアセテートの当初molに対する転化されたメチレンジアセテートのmolに基づき、及びアクリル酸の空時収量(STY)は、1時間毎の触媒のkg当たりに製造されるアクリル酸のmolに等しい。
表16に与えられるように、310°C〜190°Cの範囲の温度において気相縮合実験を繰り返した。実験43において、1molの水に対して1molのメチレンジアセテートのモル比にて水を供給物に加えた。例43に関して、希釈ガスフローレートを低下させて反応物と触媒との接触時間を約1秒にて維持した。例39〜43に関して希釈剤は窒素であったが、例44に関しては、希釈剤は6%の酸素及び94%の窒素であった。結果を表16にまとめる。
Figure 2016512253
表16の例39〜44からみてとることができるように、メチレンジアセテートを供給物として用いて、V‐Ti‐P触媒上にてアクリル酸を合成可能である。予期されるように、アクリル酸のSTY及びメチレンジアセテートの転化率は温度により減少する。供給物としてメチレンジアセテートを用いる際、STYは等mol量の水の存在においては減少しない(例40と43の比較)。
比較例9〜18
例39〜44で用いられるものと同一の反応器、触媒、及び実験手順を、供給物としてメチレンジアセテートの替わりに酢酸及びホルムアルデヒドを用いて繰り返した。供給物は2:1の酢酸とホルムアルデヒド(トリオキサンとして供給)供給物であった。各供給物中の水の量及び温度を表17に与える。全供給物速度(有機物、水及び希釈ガスを含める)を与えられた例の水の量に基づいて変化させる際に、希釈剤N2フローレートを変化させることにより、比較の目的のために滞留時間を約1秒にて一定に維持した。結果を表17にまとめる。表17において、転化率は、ホルムアルデヒドの当初モルに対する転化されたホルムアルデヒド(トリオキサンとして供給される)のモルに基づき、及びアクリル酸の空時収量(STY)は、1時間毎の触媒のkg当たりに製造されるアクリル酸のモルに等しい。比較例9〜17の希釈ガスは窒素であったが、比較例18の希釈ガスは6%の酸素及び94%の窒素であった。
Figure 2016512253
この一連の実験は、他の反応パラメーターを一定に維持しつつ、温度と、酢酸/ホルムアルデヒド/水のモル比を2/1/3、2/1/1及び2/1/0に変化させることによってSTYへの水の影響を評価した。表17に示されるように、水は転化率及び空時収量に悪影響を及ぼす。酢酸の同じ空時収量を維持する試みのために、供給溶液中の水の存在に伴い温度を増大させなければならない;これは、水の使用の別の主要な欠点である。例えば、250°Cにおいて、2/1/0の供給比により1.43molの空時収量(アクリル酸/kg触媒/時)を得た(比較例17)。一方、280°Cの高温においてさえ、2/1/1の供給比への水の添加より、より低い0.94molの空時収量(アクリル酸/kg触媒/時)を得た(比較例13)。
水の悪影響を減少させるために、追加の水がない状態で、トリオキサンを液体供給物中において使用することができる。これは、反応転化率及びアクリル酸収率を増加させるが、概して収率及び転化率は、供給物としてメチレンジアセテートが使用される際に得られる値より著しく低い。これは、正味の溶液が1molの潜在的な分子水を依然として含んでいるため、トリオキサン(水の添加なし)及び酢酸を使用する際でさえ観察される。これは、メチレンジアセテートの使用の主な利点、すなわち、供給物中の水の完全な排除による空時収量及び転化率の向上を強調する。例えば、従来の供給物(酢酸及びトリオキサンの溶液と定義される)を使用する際、250°Cにおけるアクリル酸の空時収量は1.43であるが(比較例17)、メチレンジアセテート供給物を使用する際、同一温度における空時収量は2倍を超える3.01である(例40)。
例45
再生されたV‐Ti‐P触媒の性能、及び再現可能な実験結果と同一の収率は利点である。例40で用いられたものと同一の触媒を、100SCCM空気の連続フロー中、400°Cにて終夜再生した。例40で用いられたものと同一の反応物、触媒、及び実験手順を再現して例45を与えた。結果を表18にまとめる。例45及び40は、触媒活性が空気中での再生ステップ後に再生可能であることを示す。メチレンジアセテート転化率(57%)及びアクリル酸の空時収量(3.01mol/kg触媒/時)は、各例に関して同一である。さらに、捕集管中に堆積した固体の欠如から観察されるいずれの例においてもパラホルムアルデヒドは形成しなかった。
Figure 2016512253
比較例19
アクリル酸生成がV‐Ti‐P触媒に直接的に関係することを確認するために、V‐Ti‐P触媒粉末を反応チューブから取り出し、そして石英チップと置き換えることを除いて例39〜44で用いられるものと同一の反応物及び実験手順を繰り返した。V‐Ti‐P触媒を、反応に先立って処理したように、石英チップを400°Cにて空気中で終夜か焼した。結果を表19に与える。比較例19は、V‐Ti‐P触媒からのアクリル酸の等量の生成には、石英表面単独の熱処理は不十分であることを示す。
Figure 2016512253
比較例20及び21
供給物としてMDAを含むアクリル酸の生成がV‐Ti‐P触媒の特有の機能であることを更に示すために、触媒粉末を反応チューブから取り出して10gのアナターゼ型二酸化チタン(TiO2)と置き換えた。V‐Ti‐P触媒を反応に先立って処理したように、二酸化チタン材料を400°Cにて空気中で終夜か焼した。例39〜44で用いられるものと同一の反応器及び実験手順を繰り返した。結果を表20に与える。表20のデータは、TiO2触媒が大量のアクリル酸を生成しなかったことを示す。V‐Ti‐P触媒を使用する際の対応する値、3.60及び3.01(各々例39及び40)よりアナターゼ型TiO2のSTYはより低く、0.03及び0.42(各々比較例20及び21)であった。この比較は、アナターゼ型TiO2が、メチレンジアセテートのアクリル酸への転化用の本発明のV‐Ti‐P触媒ほどは望ましくないことを示す。
Figure 2016512253
比較例22
MDAからのアクリル酸の生成を触媒するV‐Ti‐P触媒の性能を更にもっと実証するために、V‐Ti‐P触媒粉末を反応チューブから取り出して10gの酸化タングステン(WO3)と置き換えた。酸化タングステンは、アルドール化学の触媒に使用される典型的な酸化物であるため選択された。反応に先立ち、V‐Ti‐P触媒を処理したように、酸化タングステン材料を400°Cにて終夜、空気中でか焼した。例39〜44で用いられるものと同一の反応器及び実験手順を繰り返した。結果を表21に与える。表21の結果は、MDAに関するアルドール縮合化学を触媒することにおいて、酸化タングステンのSTYは、STYが3.01である本発明のV‐Ti‐P触媒(例40)より低い0.15であることを示す(比較例22)。
Figure 2016512253
例46及び47
チタン源が非水溶性テトラクロロチタン化合物由来である従来技術のV‐Ti‐P触媒(比較例1)を上回る、水溶性、酸化還元活性有機チタン(例38)から合成された本発明のV‐Ti‐P触媒の向上した性能を示すために、比較例1に記載の10gのV‐Ti‐P触媒を本発明のV‐Ti‐P触媒と置き換えた。例39〜44のように、‘従来技術の’V‐Ti‐P物質を使用の前に400°にて終夜、空気中でか焼し、かつ同一の反応器及び実験手順を用いた。結果を表22にまとめる。例46及び47のSTYは、各々1.58及び1.51である。これらの値は、例39及び43の各々の対応するSTY3.60及び3.01より約50%小さい。
Figure 2016512253
例48及び49
メチレンジプロピオネートの合成
メチレンジプロピオネート(MDP)を、少量の硫酸の存在下におけるパラホルムアルデヒド及びプロピオン酸無水物の混合物のリフラックスにより生成した。反応の後にガスクロマトグラフィーを用いた。反応が完了したら、プロピオン酸ナトリウムを混合物に加えて硫酸を中和した。混合物を蒸留して99%純度のメチレンジプロピオネートを得た。
縮合反応
縮合反応条件は、N2フローレートを調節してメチレンジプロピオネートの滞留時間を1秒に維持しつつ、例39〜44においてアクリル酸に関して使用されるものと同一の条件であった。本開示の例48及び49は、メタクリル酸の生成に用いられるメチレンジプロピオネートの性能を示し、結果を表23に示す。例48及び49は、V‐Ti‐P触媒が、メチレンジプロピオネート(MDP)からのメタクリル酸の生成に対してより高度な活性であることを示す(各々98mol%及び63mol%の転化率及び3.83及び2.00の空時収量を有する)。表23の結果は、メチレンジプロピオネートの転化率からのメタクリル酸のSTYが、温度に伴い減少することを示す。
Figure 2016512253
比較例23〜28
水の量を変化させる2:1のプロピオンとホルムアルデヒド(トリオキサンとして供給)供給物による酸気相縮合実験は、250°C〜310°Cの範囲の温度、0.2mL液体供給量/分にて4時間実施した。比較の目的のために、希釈N2フローレートを変化させることにより、約1秒にて滞留時間を一定に維持した。触媒の性能を表24にまとめる。表24において、転化率はプロピオン酸の当初モルに対する転化されたプロピオン酸のモルに基づき、及びメタクリル酸の空時収量(STY)は、1時間毎に1kgの触媒当たりに生成されるメタクリル酸のモルに等しい。これらの実験に用いられる反応器及び実験手順は、例48及び49に記載のものと同一であった。触媒は、例38で作製されるV‐Ti‐P物質と同一であったが、各実験に先立ち空気中、400°Cにて終夜か焼することにより再生された。
Figure 2016512253
V‐Ti‐P触媒を上回る、メチレンジプロピオネートの転化率からのメタクリル酸の空時収量は期待されなかった。比較例30は、プロピオン酸及びトリオキサンの従来の供給物を用いる際に、250°Cにおけるメタクリル酸のSTYは0.18であるが、メチレンジプロピオネートの供給物を用いる際、同一の温度にて2.00の空時収量が得られることを示す(例49)。この11倍のより高いSTYは、供給物としてメチレンジプロピオネートを用いることの利点である。
表23及び表24は、プロピオン酸/ホルムアルデヒド/水の変化する比(2/1/3、2/1/1及び2/1/0)を含む従来の供給物を使用するメタクリル酸の生成か、供給物としてメチレンジプロピオネートを含むメタクリル酸の生成かどうかに依存する、空時収量の差を強調する。メチレンジプロピオネート供給物が使用される際(表23、例48及び49)、STYが2.00〜3.83の範囲である一方で、従来の供給物(表24、比較例23〜28)を用いる際、STYは0.01〜0.73の範囲であった。
比較例29
メタクリル酸の生成がV‐Ti‐P触媒に直接的に関係することを実証するために、反応チューブからV‐Ti‐P触媒粉末を取り除いて石英チップと置き換える以外は例48及び49で使用されるものと同一の反応器及び実験手順を繰り返した。反応に先立ち、V‐Ti‐P触媒を処理したように、石英チップを400°Cにて終夜、空気中でか焼した。結果を表25に与える。表25のデータは、石英表面単独の熱処理が、V‐Ti‐P触媒及びメチレンジプロピオネートからのアクリル酸の生成には不十分であることを示す。
Figure 2016512253
本発明は、特にこれらの好ましい実施態様に関連して詳細に記載されているが、それは本発明の精神と範囲内において変更及び修正をもたらすことができると解されよう。

Claims (16)

  1. 気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得ることを含む2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法であって、
    該縮合触媒が、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含み、
    メチレンジアルカノエートが一般式(I):
    Figure 2016512253
    (式中、Rは水素及び炭素数1〜8のアルキル基からなる群より選択される)を有する、方法。
  2. 縮合触媒の化学式がVTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)である、請求項1に記載の方法。
  3. チタン成分が、水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来である、請求項2に記載の方法。
  4. Rがメチルであって、メチレンジアルカノエートがメチレンジプロピオネートである、請求項3に記載の方法。
  5. Rが水素であって、メチレンジアルカノエートがメチレンジアセテートである、請求項3に記載の方法。
  6. 接触させることが、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1mol%〜90mol%希釈ガスにより実施される、請求項3に記載の方法。
  7. 希釈ガスが、希釈ガスの全molを基準として約0.5mol%〜約20mol%の酸素を含む、請求項3に記載の方法。
  8. 2,3‐不飽和カルボン酸の空時収量が、約0.1〜約200molの2,3‐不飽和カルボン酸/kg触媒/時である、請求項3に記載の方法。
  9. 気相縮合条件下において、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスと縮合触媒とを接触させて2,3‐不飽和カルボン酸を得ることを含む2,3‐不飽和カルボン酸を製造する方法であって、
    該縮合触媒が、バナジウム(V)、チタン(Ti)、及びリン(P)の混合酸化物を含み、
    チタン成分が水溶性、酸化還元活性有機チタン化合物由来であり、
    メチレンジアルカノエートが一般式(I):
    Figure 2016512253
    (式中、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルからなる群より選択される)を有する、方法。
  10. 有機チタン化合物が、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 縮合触媒の化学式がVTiabc(式中、aは0.3〜6.0の数であり、bは2.0〜13.0の数であり、及びcは酸素以外の成分の価数を満たすのに必要な原子の数である)である、請求項10に記載の方法。
  12. Rがメチルであって、メチレンジアルカノエートがメチレンジプロピオネートである、請求項11に記載の方法。
  13. Rが水素であって、メチレンジアルカノエートがメチレンジアセテートである、請求項11に記載の方法。
  14. 接触させることが、メチレンジアルカノエート及び希釈ガスの全molを基準として1mol%〜90mol%希釈ガスにより実施される、請求項11に記載の方法。
  15. 希釈ガスが、希釈ガスの全molを基準として約0.5mol%〜約20mol%の酸素を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 2,3‐不飽和カルボン酸の空時収量が、約0.1〜約200molの2,3‐不飽和カルボン酸/kg触媒/時である、請求項15に記載の方法。
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