JP2016509017A - 肥満の治療方法 - Google Patents
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Abstract
哺乳動物における肥満及び肥満関連障害を治療する方法が提供される。上記方法は、Tph1阻害剤またはセロトニン受容体阻害剤を含む、末梢セロトニンの合成または活性を阻害する化合物を哺乳動物に投与するステップを含む。【選択図】図1
Description
本発明は一般に、末梢セロトニン合成の阻害剤を用いた肥満及び関連する障害の治療方法に関する。
肥満は、エネルギー消費がエネルギー摂取よりも少ないという慢性的なエネルギーの不均衡により生じる。褐色脂肪組織(BAT)は、そのミトコンドリア脱共役タンパク質1(UCP1)の発現を介したエネルギー消費の重要なレギュレーターであり、マウスにおけるUCP1の異所発現は、肥満の進展ならびに、インスリン抵抗性及び糖尿病を含む肥満に関連する合併症の進展を防ぐ。対照的に、マウスにおいてUCP1を欠失させると、熱中性(30℃)でマウスを飼育した場合に、より肥満が進む。しかし、これらの熱産生に障害のあるマウスに対してストレス環境である22℃では進まない。重要なことに、陽電子放出断層撮影(PET)イメージングによって、老化及び肥満の両方を伴うヒトにおいてBATの活性が低いことが示されている。しかし、BAT活性の低下を媒介するメカニズムは現在のところ理解されていない。
5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)としても知られるセロトニンは、中枢神経系を介した行動、食欲及びエネルギー消費の調節におけるその役割;神経系を有する全ての門にわたって広く保存されている機能について広く研究されている生体アミンである。脳内のセロトニンが詳細に理解されているにもかかわらず、体内のセロトニンの圧倒的大部分(〜95%)は、食餌性トリプトファンからの5−HT合成の律速段階を触媒する酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼ1(Tph1)によってセロトニンが生産される末梢に見出される。Tph1は、脳幹及び腸のニューロンにおいて優勢であるTph2とは遺伝学的に異なる。
循環セロトニンは極めて低いレベルであるが、中枢セロトニンの生産を制御するTph2が持続的に存在するために脳内のセロトニンは正常レベルに維持されるTph1欠損(Tph1−/−)マウスが作製されている。Tph1−/−マウスは生存可能であり、行動に関して野生型動物と差異を示さず、固形飼料を与えられた場合に正常な体重及びインスリン感受性を有する。セロトニンは血液脳関門を通過しないため、Tph1−/−マウスは、胃腸及び肝臓の炎症、インスリン分泌ならびに骨形成の調節における末梢セロトニンの重要性の解明において有用な援助となっている。
脊椎動物及び無脊椎動物の両方におけるエネルギー平衡の調節におけるセロトニンの古典的役割に加えて、近年、Tph1遺伝子及びセロトニン受容体(HTR2A)遺伝子の遺伝子多型が、肥満及び妊娠性糖尿病と関連付けられている。さらに、高脂肪食誘発性肥満が、マウスにおいて循環セロトニンレベルの増加を引き起こすことが見出されている。しかし、末梢セロトニンの変化が肥満に、あるいはエネルギー消費の変化に、直接つながるかについては現在のところ不明である。
従って、肥満における末梢セロトニンの役割を決定すること、ならびに肥満の治療方法を開発することが望ましい。
体重過多の哺乳動物、あるいは肥満及び関連する状態の哺乳動物の治療に末梢セロトニンの阻害が有用であることが今回見出されている。
従って、本発明の一態様において、哺乳動物における肥満及び肥満関連障害の治療方法が提供される。上記方法は、末梢セロトニンの合成または活性を阻害する化合物を哺乳動物に投与するステップを含む。
本発明の別の態様において、トリプトファンヒドロキシラーゼ1を阻害する化合物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物における肥満及び肥満関連障害の治療方法が提供される。
以下の図面を参照して、以下の詳細な説明において本発明のこれらの態様及び他の態様を説明する。
哺乳動物における肥満及び肥満関連障害の治療方法が提供される。上記方法は、末梢セロトニン、例えば、肥満に関連する末梢セロトニンの合成または活性を阻害する化合物を哺乳動物に投与するステップを含む。
用語「末梢セロトニン」は、中枢神経系のセロトニン以外のセロトニンを包含することを意味する。
用語「肥満に関連する末梢セロトニン」は、哺乳動物において肥満に関して役割を担う末梢セロトニンを指すことを意味する。上記末梢セロトニンは消化管において合成されるか、別の場所で合成されるセロトニンであってよい。しかし、上記末梢セロトニンは一般に、消化管内には局在しないセロトニンであり、脂肪組織に直接的または間接的に関連するセロトニン、すなわち、脂肪組織あるいは肥満状態において増加する細胞、例えば肥満細胞、B細胞、マクロファージ等などの免疫細胞に存在するセロトニンであってよい。
用語「肥満」は、健康に悪影響を及ぼす程度にまで過剰な体脂肪を哺乳動物が蓄積する状態を指す。「体重過多」とみなされる哺乳動物は、この定義に包含される。一般に、85パーセンタイルを超える重量を有する哺乳動物は体重過多であり、95パーセンタイルを超えるものは肥満である。成人は、個人の質量をその身長の2乗で割ることにより得られる測定値であるボディマス指数(BMI)が25kg/m2を超える場合に体重過多であるとみなされ、BMIが30kg/m2を超える場合に肥満であるとみなされる。
用語「肥満関連障害」は、限定されるものではないが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、軽度の慢性炎症、インスリン抵抗性、リポジストロフィー、及びメタボリックシンドロームを含む、肥満に関連する障害を包含する。当業者であれば理解するように、肥満及び肥満関連障害は、心機能障害、内分泌障害、呼吸障害、肝障害、生殖障害、及び癌を含む、種々の他の疾病状態または障害につながる可能性がある。
本明細書において哺乳動物における肥満に関して使用される用語「治療する」または「治療」は、少なくとも1つの肥満の有害作用の低減、あるいは体重増加の防止による肥満の予防をもたらす末梢セロトニンの阻害を指し、基底レベルと比較して、代謝活性、酸素利用、褐色脂肪活性、及び炎症の低減のうちの1つ以上を増強することを包含してよい。用語「哺乳動物」は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物の両方を指す。
本発明の一態様において、肥満及び関連する障害の治療方法は、末梢セロトニンの合成を阻害する化合物、例えば、トリプトファンの5−ヒドロキシトリプトファンへの変換を触媒するトリプトファンヒドロキシラーゼ1(Tph1)を阻害する化合物の投与を含む。
Tph1の阻害は、例えば、Tph1活性を直接的または間接的に遮断するよう設計された阻害剤を用いて、タンパク質レベルで達成されてよい。Tph1阻害剤には、例えば、合成小分子、生物学的化合物またはそのような生物学的化合物に基づくペプチド模倣物が包含されてよい。好適なTph1阻害剤はTph2を阻害してもよく、または阻害しなくてもよい。この点について、Tph1の標的は末梢であるため、血液脳関門を通過しないTph1阻害剤が好適であることが留意される。従って、好適なTph1阻害剤はTph2を有意に阻害する必要はない。
本方法において有用なTph1の合成小分子阻害剤の例は、例えば、国際公開第09/123978号、国際公開第10/056992号、国際公開第08/073933号、国際公開第09/002964号、国際公開第09/002970号、国際公開第09/009561号、国際公開第09/014972号、国際公開第09/029499号、国際公開第09/042733号、国際公開第09/048864号、国際公開第10/065333号、国際公開第07/089335号、米国特許第7553840号、米国特許出願公開第2007/0191370号、米国特許出願公開第2008/0153852号、米国特許出願公開第2009/0005381号、米国特許出願公開第2009/0005382号、米国特許出願公開第2009/0029993号、米国特許出願公開第2009/0054308号、米国特許出願公開第2009/0062540号、米国特許出願公開第2009/0088447及び米国特許出願公開第2009/0099206号に記載されるように、当技術分野において公知である。
その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物を含む、本方法において有用なTph1阻害剤の特定のファミリーの例は、式(1):
によって表わされ、式中、A1及びA2はそれぞれ独立して、単環式の任意選択で置換されたシクロアルキル、アリール、または複素環であり;Xは結合(すなわち、AがDに直接結合している)、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R4)=、=C(R4)−、−C(R3R4)−、−C(R4)=C(R4)−、−C≡C−、−N(R5)−、−N(R5)C(O)N(R5)−、−C(R3R4)N(R5)−、−N(R5)C(R3R4)−、−ONC(R3)−、−C(R3)NO−、−C(R3R4)O−、−OC(R3R4)−、−S(O2)−、−S(O2)N(R5)−、−N(R5)S(O2)−、−C(R3R4)S(O2)−、または−S(O2)C(R3R4)−であり;Dは任意選択で置換されたアリールまたは複素環であり;Eは任意選択で置換されたアリールまたは複素環であり;R1は水素または任意選択で置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、または複素環であり;R2は水素または任意選択で置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、または複素環であり;R3はそれぞれ独立して水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、または任意選択で置換されたアルキルであり;R4はそれぞれ独立して水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、または任意選択で置換されたアルキルもしくはアリールであり;R5はそれぞれ独立して水素または任意選択で置換されたアルキルもしくはアリールであり;nは0〜3である。
A1及び/またはA2は、任意選択で置換されたシクロアルキル(例えば、6員環及び5員環)、任意選択で置換されたアリール(例えば、フェニルまたはナフチル)、または任意選択で置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)であってよい。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。一部の化合物において、A1及び/またはA2は芳香族である。他の化合物において、A1及び/またはA2は芳香族ではない。
Dは、任意選択で置換されたアリール(例えば、フェニルまたはナフチル)、任意選択で置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)、または任意選択で置換された二環式部分(例えば、インドール、イソ−インドール、ピロロ−ピリジン、またはナフチレン)であってよい。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。一部の化合物において、Dは芳香族である。他の化合物において、Dは芳香族ではない。
Eは、任意選択で置換されたアリール(例えば、フェニルまたはナフチル)、任意選択で置換された複素環(例えば、上記のように6員環及び5員環)、または任意選択で置換された二環式部分(上記の通り)であってよい。一部の化合物において、Eは芳香族である。他の化合物において、Eは芳香族ではない。
特定の化合物には、R1及びR2が水素または任意選択で置換されたアルキルである化合物、あるいはnが1または2である化合物が包含される。
一部の化合物において、Xは結合またはSであってよく、あるいは、Xは−C(R4)=、=C(R4)−、b−C(R3R4)−、−C(R4)=C(R4)−、または−C≡C−であってよく、例えば、R4は独立して水素または任意選択で置換されたアルキルであってよい。他の化合物において、Xは−O−、−C(R3R4)O−、または−OC(R3R4)−であってよく、例えば、R3は水素または任意選択で置換されたアルキルであってよく、R4は水素または任意選択で置換されたアルキルであってよい。一実施形態において、R3は水素であり、R4はトリフルオロメチルである。他の実施形態において、Xは−S(O2)−、−S(O2)N(R5)−、−N(R5)S(O2)−、−C(R3R4)S(O2)−、または−S(O2)C(R3R4)−であり、例えば、R3は水素または任意選択で置換されたアルキルであり、R4は水素または任意選択で置換されたアルキルであり、R5は水素または任意選択で置換されたアルキルである。別の実施形態において、Xは−N(R5)−、−N(R5)C(O)N(R5)−、−C(R3R4)N(R5)−、または−N(R5)C(R3R4)−であり、例えば、R3は水素または任意選択で置換されたアルキルであり、R4は水素または任意選択で置換されたアルキルであり、R5はそれぞれ独立して水素または任意選択で置換されたアルキルである。
本明細書において使用される用語「任意選択で置換された」は、原子、化学部分または、限定されるものではないが、アルコール、アルデヒド、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル)、アルキニル、アルキルカルボニルオキシ(−OC(O)アルキル)、アミド(−C(O)NH−アルキル−または−アルキルNHC(O)アルキル)、アミジニル(−C(NH)NH−アルキルまたは−C(NR)NH2)、アミン(アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノなどの一級、二級及び三級)、アロイル、アリール、アリールオキシ、アゾ、カルバモイル(−NHC(O)O−アルキル−またはOC(O)NH−アルキル)、カルバミル(例えば、CONH2、ならびにCONH−アルキル、CONH−アリール、及びCONH−アリールアルキル)、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、シアノ、エステル、エポキシド、エーテル(例えば、メトキシ、エトキシ)、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル(例えば、−CCI3、−CF3、−C(CF3)3)、ヘテロアルキル、ヘミアセタール、イミン(一級及び二級)、イソシアネート、イソチオシアネート、ケトン、ニトリル、ニトロ、酸素(すなわち、オキソ基を提供する)、リン酸ジエステル、硫化物、スルホンアミド(例えば、SO2NH2)、スルホン、スルホニル(アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びアリールアルキルスルホニルを含む)、スルホキシド、チオール(例えば、スルフヒドリル、チオエーテル)及び尿素(−NHCONH−アルキル−)などの官能基で所定の部分が置換されていることを示す。
用語「アルキル」は、1〜20個(例えば、1〜10個または1〜4個)の炭素原子を有する直鎖状、分枝状及び/または環状(「シクロアルキル」)の炭化水素を意味する。1〜4個の炭素を有するアルキル部分は「低級アルキル」と呼称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルが挙げられる。シクロアルキル部分は単環式または多環式であってよく、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが挙げられる。アルキル部分のさらなる例は、直鎖状部分、分枝状部分及び/または環状部分(例えば、1−エチル−4−メチル−シクロヘキシル)を有する。用語「アルキル」には、飽和炭化水素、ならびに、2〜20個(例えば、2〜10個または2〜6個)の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むアルケニル部分、及び2〜20個(例えば、2〜20個または2〜6個)の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキニル部分が包含される。
好ましいTPH1阻害剤としては、LP−533401((2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸):
及びLP−615819((2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸エチル):
が包含される。
Tph1阻害剤は、米国特許第7553840号に記載される方法など、化学合成の確立された方法を用いて容易に合成される可能性がある。また、これらの阻害剤の一部は市販されている。また、当業者であれば理解するように、いずれの前述の化合物のプロドラッグ、あるいはその薬学的に許容可能な塩、水和物または溶媒和物が使用されてもよい。用語「薬学的に許容可能な」は、無毒性の塩、水和物及び溶媒和物、及びそうでなければ生理学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物に対して適用される。用語「プロドラッグ」は、インビボで変換されて阻害剤またはその薬学的に許容可能な類似体、塩、水和物または溶媒和物を生ずる化合物(例えば、薬剤の前駆体)を指す。上記変換は、例えば、血中での加水分解によってなど、様々なメカニズムによって(例えば、代謝プロセスまたは化学プロセスによって)起こる可能性がある。用語「塩」は、本明細書において使用される場合、無機酸及び/または有機酸と形成される酸性塩、ならびに無機塩基及び/または有機塩基と形成される塩基性塩の両方を意味する。酸付加塩(acid addition salt)の例としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無毒性の無機酸に由来する塩、ならびに、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸(phenyl−substituted alkanoic acid)、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの無毒性の有機酸に由来する塩が挙げられる。塩基付加塩(base addition salt)の例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等などのアルカリ土類金属に由来する塩、ならびに、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等などの無毒性の有機アミンに由来する塩が挙げられる。「溶媒和物」は、好ましくは薬学的に許容可能な溶媒中における阻害剤の混合によって形成される。「水和物」は、溶媒が水の場合に形成される溶媒和物である。
生物学的なTph1阻害剤の例としては、ポリクローナル抗体、あるいはKohler及びMilstein(Nature 256,495−497(1975))によって開発された、確立されたハイブリドーマ技術を用いて調製されたモノクローナル抗体などの免疫学的阻害剤が挙げられる。Tph1タンパク質の選択された領域に対して特異的に反応する抗体を生産するためにハイブリドーマ細胞を免疫化学的にスクリーニングでき、モノクローナル抗体を単離できる。本明細書において使用される用語「抗体」は、本発明によるTph1タンパク質に対してやはり特異的に反応するそのフラグメント、ならびにキメラ抗体派生物(chimeric antibody derivative)、すなわち、ヒト以外の動物のペプチドの可変領域とヒトのペプチドの定常領域との組み合わせの結果生じる抗体分子を包含することが意図される。Tph1抗体の例としては、例えば、EP1311Y、PhosphoS260、ab46757、ab78969及びab111872が挙げられ、これらは市販されている(Abcam Inc.)。
また、例えば、Tph1の機能を阻害する公知の生物学的阻害剤に基づいて、Tph1のペプチド模倣物阻害剤が調製されてもよい。このようなペプチド模倣物は、増大した安定性、例えば生化学的分解に対する耐性などの望ましい特徴を組み込むように設計されてよい。一般に、このようなペプチド模倣物は、コンピュータモデリングを含む、当技術分野において確立された技術を用いて設計され、ペプチド合成の標準的な方法を用いて調製される。
別の実施形態において、Tph1をコードする核酸分子に由来する、アンチセンス、snpまたはsiRNA技術などの、ポリヌクレオチドを利用する確立された方法論を用いてTph1遺伝子の発現を阻害してよい。用語「Tph1をコードする核酸分子」は、ヒトのTph1、ならびにヒト以外のTph1をコードする核酸分子(遺伝子)を指す。Tph1をコードする核酸分子の配列は当技術分野において公知であり、GenBankなどの配列データベース等において利用可能である。ヒト及びマウスの配列を含む、このような配列の例を図12B/13Bにそれぞれ示す。Tph1をコードする核酸に結合し、その発現を阻害する効果のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドを調製するために、Tph1をコードする核酸分子を使用してよい。本明細書において使用される用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的のTph1をコードする核酸配列の少なくとも一部に対して相補的なヌクレオチド配列を意味する。用語「オリゴヌクレオチド」は、天然に存在する塩基、糖、及び糖間(骨格)結合から成るヌクレオチドまたはヌクレオシドのモノマーのオリゴマーまたはポリマーを指す。また、上記用語は、同様に機能する、天然には存在しないモノマーを含む修飾もしくは置換されたオリゴマーまたはその一部も包含する。このような修飾または置換されたオリゴヌクレオチドは、細胞内への取り込みの向上あるいはヌクレアーゼ存在下における安定性の増大などの特性のおかげで、天然に存在する形態よりも好ましい可能性がある。また、上記用語は、2以上の化学的に異なった領域を含むキメラオリゴヌクレオチド(chimeric oligonucleotide)も包含する。例えば、キメラオリゴヌクレオチドは、有利な特性(例えば、ヌクレアーゼ耐性の増加、細胞への取り込みの増加)を付与する修飾ヌクレオチドの領域を少なくとも1つ、ならびにアンチセンス結合領域を含んでよい。さらに、2つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを連結して、キメラオリゴヌクレオチドを形成してよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボ核酸またはデオキシリボ核酸であってよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン及びウラシルを含む天然に存在する塩基を含んでよい。また、上記オリゴヌクレオチドは、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルアデニン、2−プロピルアデニン及び他のアルキルアデニン、5−ハロウラシル、5−ハロシトシン、6−アザチミン、プソイドウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニン、8−アミノアデニン、8−チオールアデニン、8−チオールアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニン及び他の8−置換アデニン、8−ハログアニン、8−アミノグアニン、8−チオールグアニン、8−チオールアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニン及び他の8−置換グアニン、他のアザウラシル及びデアザウラシル、他のアザチミジン及びデアザチミジン、他のアザシトシン及びデアザシトシン、他のアザアデニン及びデアザアデニン、または他のアザグアニン及びデアザグアニン、5−トリ−フルオロメチルウラシル及び5−トリフルオロシトシンなどの修飾塩基を含んでもよい。
本発明の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された亜リン酸、リン酸骨格中の酸素ヘテロ原子、短鎖アルキル糖間結合またはシクロアルキル糖間結合あるいは短鎖ヘテロ原子糖間結合または複素環式糖間結合を含んでよい。例えば、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、リン酸トリエステル、メチルホスホネート及びホスホロジチオエートを含んでよい。さらに、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは結合の組み合わせを含んでよく、例えば、ホスホロチオエート結合が、4〜6つの3’−末端塩基のみを連結してよく、全てのヌクレオチドを連結してよく、あるいは1対の塩基のみを連結してよい。
また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療試薬または実験試薬としてより適している可能性のあるヌクレオチド類似体を含んでもよい。オリゴヌクレオチド類似体の例は、DNA(またはRNA)中のデオキシリボース(またはリボース)リン酸骨格が、ペプチドに見出されるものと類似のポリミド(polymide)骨格で置換されたペプチド核酸(PNA)である(P.E.Nielson,et al Science 1991,254,1497)。PNA類似体は、酵素による分解に対して耐性であること、ならびにインビボ及びインビトロにおいて寿命がより長いことが示されている。また、PNA鎖とDNA鎖との間に電荷の反発がないため、PNAは相補的なDNA配列とより強い結合を形成する。他のオリゴヌクレオチド類似体は、ポリマー骨格、環状骨格、または非環状骨格を有するヌクレオチドを含んでよい。例えば、ヌクレオチドは、モルホリノ骨格構造を有してよい(米国特許第5,034,506号)。また、オリゴヌクレオチド類似体は、レポーター基、保護基及びオリゴヌクレオチドの薬物動態特性を向上させるための基などの基を含んでもよい。また、当業者に理解されるように糖模倣物をアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込んでもよい。
アンチセンス核酸分子は、本明細書において提供されるものなどの所与のTph1の核酸配列に基づいて、当技術分野において公知の手順を用いる化学合成及び酵素による連結反応を用いて構築されてよい。本発明のアンチセンス核酸分子、またはそのフラグメントは、天然に存在するヌクレオチド、あるいは分子の生物学的安定性を高めるかまたはmRNAもしくはネイティブの遺伝子と形成される二重鎖の物理的安定性を高めるように設計された様々に修飾されたヌクレオチド、例えばホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチドを用いて化学的に合成されてよい。また、アンチセンス配列は生物学的に生産されてもよい。この場合、アンチセンスをコードする核酸は発現ベクター中に組み込まれ、次に、上記発現ベクターが、高効率の調節領域の制御下でアンチセンス配列を生産する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形態で細胞に導入され、その活性は、ベクターが導入される細胞型により決定されてよい。
別の実施形態において、Tph1の発現を阻害するためにsiRNA技術が適用されてよい。Tph1遺伝子内の領域に合致し、選択的にTph1遺伝子を標的とするsiRNAフラグメントなどの核酸フラグメントの適用を用いてTph1の発現を遮断してよい。このような遮断は、siRNAフラグメントが上記遺伝子に結合し、それによって、機能的なTph1を産生する上記遺伝子の翻訳を妨げる場合に起こる。
Tph1遺伝子内の領域に合致するsiRNA、低分子干渉RNA分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関して上記で概説される核酸合成の確立された方法を用いて作製される。標的のTph1遺伝子の構造は公知であるため、それと合致するRNAのフラグメントを容易に作製できる。選択されたsiRNAのTPH1の発現を遮断する効力は、TPH1を発現する細胞株を用いて確認することができる。要するに、選択されたsiRNAを、TPH1を発現する細胞株とともに適切な増殖条件下でインキュベートしてよい。十分な反応時間の後、すなわちsiRNAがTPH−1をコードするmRNAに結合してフリーのTPH1 mRNAのレベルが低下するのに十分な反応時間の後、反応混合物を試験してそのような低下が起こっているかどうかを決定する。適切なsiRNAは、機能的なタンパク質を産生するTPH1遺伝子のプロセシングを妨げる。これは、例えば、TPH−1の結合により調節されるレポーター遺伝子の発現を同定するための、細胞に基づくアッセイにおいてTPH1の活性についてアッセイすることにより検出することができる。
本方法において有用なsiRNAフラグメントは、遺伝子発現のより効果的な阻害をもたらす可能性のあるTph1をコードする核酸の特定の領域、例えば、遺伝子の5’末端の領域または中央の領域に由来してよいことが当業者には理解されるであろう。さらに、当業者であれば理解するように、有用なsiRNAフラグメントはTph1標的遺伝子に正確に合致する必要はないが、配列の修飾を、例えば、その中のヌクレオチド塩基のうちの1つ以上の付加、欠失または置換を、その修飾されたsiRNAが標的遺伝子に選択的に結合する能力を保持するのであれば組み込んでよい。より使用に望ましいフラグメントを得るために、選択されたsiRNAフラグメントをさらに修飾してよい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドについて説明されるものと同様の様式で安定性の増大を達成するためにsiRNAフラグメントを修飾してよい。
本発明による阻害性のオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、連続したヌクレオチド約15〜約100個の長さ、連続したヌクレオチド約15〜約50個、連続したヌクレオチド約18〜30個またはヌクレオチド約19〜25個の長さを含む、任意の適切なサイズであってよい。このようなオリゴヌクレオチドの長さは、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子の発現を阻害できるように決定される。
調製されると、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNAなどの、Tph1遺伝子の発現を阻害するのに有用であると決定されたオリゴヌクレオチドは、哺乳動物における肥満及び関連する障害を治療するための治療方法において使用されてよい。適切なオリゴヌクレオチドは、ベクター(レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター及びDNAウイルスベクター)を含む当技術分野の手法を用いて、あるいはマイクロインジェクションなどの物理的手法を用いることにより、哺乳動物の組織または細胞に導入されてよい。
本発明の別の態様において、脂肪組織内のセロトニン受容体ならびにそれ以外では肥満において普遍的なセロトニン受容体を含む、肥満及び/または脂肪組織に関連する末梢セロトニン受容体の活性を遮断することによって末梢セロトニンの活性を阻害してよい。例えば、脂肪組織において非常に豊富であるセロトニン受容体には、限定されてよいものではないが、5−HT1a、5−HT1b、5−HT2b、5−HT4及び5−HT5aが包含される。従って、肥満及び/または脂肪組織に関連するセロトニン受容体の阻害剤もまた、本発明に従って肥満を治療するために使用されてよい。セロトニン受容体阻害剤の例としては、決して限定されるものではないが、シアノピンドロール、アルプレノロール、メチセルジド、アゴメラチン、ケタンセリン、リタンセリン、ピボセロド、ラトレピルジン、トロピセトロン及びパロノセトロンが挙げられる。
肥満及び関連する障害の治療において、末梢セロトニンの治療的阻害剤を、単独で、または適切な薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、哺乳動物に投与してよい。「薬学的に許容可能な」なる表現は、薬学分野及び獣医学分野における使用について許容可能であること、すなわち、許容できない程の毒性ではないこと、あるいはそうでなければ許容できない程不適切ではないこと、を意味する。薬学的に許容可能な担体の例としては、希釈剤、賦形剤等が挙げられる。一般に、薬剤の製剤に関する手引きについて、「Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy」(21st Ed.,Lippincott Williams&wilkins,2005)を参照してよい。補助剤の選択は、阻害剤の種類ならびに意図される組成物の投与様式に依存する。本発明の一実施形態において、化合物は、点滴による投与、あるいは皮下への注入、静脈内への注入、くも膜下腔内への注入、脊髄内への注入または人工マトリックスの一部としての注入のいずれかによる投与のために製剤化され、従って、無菌及びパイロジェンフリーの形態の任意選択で緩衝化または等張化された水溶液として使用される。従って、選択された化合物は、蒸留水中で、あるいは、より望ましくは生理食塩水、リン酸緩衝食塩水または5%ブドウ糖溶液中で投与されてよい。錠剤、カプセルまたは懸濁液による経口投与のための組成物は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースを含む、セルロース及びその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;滑石;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油及びトウモロコシ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;寒天;アルギン酸;水;等張の生理食塩水及びリン酸バッファ溶液を含む、補助剤を用いて調製される。また、湿潤剤、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、安定剤、錠剤化剤(tableting agent)、抗酸化剤、防腐剤、着色剤及び香味料が存在してもよい。別の実施形態において、局所的または経皮的塗布のために、組成物はクリーム、ローションまたは軟膏として製剤化されてよい。このような局所的/経皮的塗布のために、組成物は、トリグリセリド基材などの適切な基材、及び/または皮膚を通じた吸収を促進する担体を含んでよい。また、このようなクリーム、ローション及び軟膏は、界面活性剤及び、皮膚軟化剤等ならびに芳香剤などの他の化粧品添加物を含んでもよい。例えば、経鼻送達のために、適切な噴霧補助剤が使用されるエアロゾル製剤が調製されてもよい。また、本発明の組成物は、巨丸剤、舐剤、または糊状剤として投与されてもよい。また、どのように投与されるべきかにかかわらず、他の補助剤が組成物に添加されてもよく、例えば、長期の保存期間にわたって微生物の増殖を防ぐために抗菌剤が組成物に添加されてよい。
本発明によれば、選択された末梢セロトニン阻害剤は、肥満に関連する末梢セロトニン、例えば、脂肪組織に関連するセロトニンあるいは肥満において役割を担う細胞及び組織、例えば免疫細胞に関連するセロトニンを標的とするように、肥満の治療において哺乳動物に投与される。従って、上記阻害剤は、適切な投与可能経路を介して投与され、標的の末梢セロトニンに到達する。適切な投与経路には、全身投与、あるいは局部的投与となる経路、例えば注入、局所投与または経皮投与等が包含される。また、経口投与など、他の投与経路が、肥満に関連する末梢セロトニンを標的とする担体の使用によって所望の標的法を達成するように適合化されてもよい。
本発明によれば、肥満の治療における、肥満に関連する末梢セロトニンを標的とする末梢セロトニン阻害剤の使用は、肥満の治療を向上させるために他の治療剤または治療と併せて利用されてよい。例えば、上記阻害剤は、食事及び身体活動レベルの変化を含む生活習慣への治療介入などの、肥満に対する従来の治療と併せて利用されてよい。また、肥満を治療するための末梢セロトニン阻害剤の使用は、体重減少を誘発するハーブ療法と組み合わせて、あるいはグルカゴン様ペプチドアゴニスト(すなわちエクセナチド、リラグルチド)、5HT2C阻害剤、またはナトリウムグルコーストランスポーター(sodium glucose transporter)(SGLT2)に対する阻害剤を含む減量療法と併せて利用されてもよい。また、上記阻害剤は、肥満のための外科的治療、例えば減量のための肥満外科手術、と併せて、あるいはその前に、使用されてもよい。
別の実施形態において、本発明による末梢セロトニン阻害剤の使用は、末梢循環セロトニンを増加させて、それによって体重増加を誘発する可能性のある治療と併せて使用されてよい。このような内科的治療には、例えば、SSRI/抗うつ治療が包含される。
本発明の方法に従って肥満を治療するために、治療上有効な量の末梢セロトニンの阻害が、説明される方法などの方法によって達成される。末梢セロトニンの阻害に関しての「治療上有効な」なる用語は、赤外線サーモグラフィー技術により測定した場合に代謝活性を少なくとも約5%増加させるように機能する阻害レベル、あるいは、基礎代謝率の測定により決定した場合に酸素利用を少なくとも約5%増加させる阻害レベル、あるいは、Tnf−アルファ、IL6及びC反応性タンパク質(CRP)などの炎症マーカーの血清中レベルの低下、アディポカイン、レプチンの血清中レベルの少なくとも約5%の低下、またはアディポネクチンの血清中レベルの少なくとも約5%の増加をもたらす阻害レベルを指すことを意味する。
当業者であれば理解するように、治療上有効な末梢セロトニンの阻害を達成するのに十分な末梢セロトニン阻害剤の用量は、適切に管理された臨床試験を用いて容易に決定できる。TPH1の合成小分子阻害剤については、これらの阻害剤についての現在の知見に基づいて適切な用量を決定してもよい。例えば、LP533401などのTPH1阻害剤の治療上有効な用量は、約0.1〜1000mg/kgの範囲内、好ましくは約0.5〜500mg/kgの範囲内、及びより好ましくは約1〜250mg/kgの範囲内であることが予測される。同様に、セロトニン受容体阻害剤の用量を、このような阻害剤の知見に基づいて決定してよい。セロトニン受容体阻害剤の治療上有効な用量もまた、約0.1〜1000mg/kgの範囲内にあってよいことが予測される。
一実施形態では、本発明の肥満の治療において、高脂肪食を摂食している哺乳動物またはレプチンが欠損した哺乳動物に末梢セロトニン阻害剤が投与される。
本発明の別の実施形態において、治療を必要とする哺乳動物に対して末梢セロトニン阻害剤が上記哺乳動物の脂肪組織部位に局所的に投与される。
本発明の実施形態が以下の特定の実施例において説明されるが、これらの実施例は限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1−肥満に対するTph1阻害の効果
動物:全ての実験は、マクマスター大学の動物倫理委員会(the McMaster University animal ethics committee)により承認され、動物研究のためのカナダのガイドライン(Canadian guidelines for animal research)の下でおこなわれた。Cote et al(Proc Natl Acad Sci USA 100,13525−13530(2003))に記載された通りに遺伝子突然変異によってC57BL/6バックグラウンドのTph1−/−マウスを最初に作製した。ヘテロ欠損(Tph1+/−)マウスを交配させてTph1−/−及びTph1+/+の同腹仔を作製した。8週齢の時点で開始して12週間、雄のTph1−/−マウス及びTph1+/+マウスに固形飼料(17%kcal脂肪;Diet8640,Harlan Teklad,Madison,WI)または高脂肪食(HFD、45%kcal脂肪、D12451,Research Diets;New Brunswick,NJ)のいずれかを給餌し、水を適宜与えた。最初の化学的阻害剤研究のために、6週齢の雄のC57BL/6マウスをJackson’s Laboratoryから購入し、直ちに上述のHFDで飼育した。8週齢の時点で開始して、HFDを与えたC57Bl6マウスに毎日、DMSOに溶解させて水で希釈(DMSOの終濃度は5%)したTph1阻害剤LP533401(25mg/kg体重、Dalton Pharma Services,Canada)または等体積の溶媒(水中で5%のDMSO)を腹腔内注射した。このプロトコルは循環セロトニンを効果的に抑制することが以前に示されている。0700に照明を点灯する12時間の明/暗周期にて、23℃の一定温度に維持される部屋に置かれたSPFマイクロアイソレーターケージ(SPF micro−isolator cage)内で全てのマウスを飼育した。
動物:全ての実験は、マクマスター大学の動物倫理委員会(the McMaster University animal ethics committee)により承認され、動物研究のためのカナダのガイドライン(Canadian guidelines for animal research)の下でおこなわれた。Cote et al(Proc Natl Acad Sci USA 100,13525−13530(2003))に記載された通りに遺伝子突然変異によってC57BL/6バックグラウンドのTph1−/−マウスを最初に作製した。ヘテロ欠損(Tph1+/−)マウスを交配させてTph1−/−及びTph1+/+の同腹仔を作製した。8週齢の時点で開始して12週間、雄のTph1−/−マウス及びTph1+/+マウスに固形飼料(17%kcal脂肪;Diet8640,Harlan Teklad,Madison,WI)または高脂肪食(HFD、45%kcal脂肪、D12451,Research Diets;New Brunswick,NJ)のいずれかを給餌し、水を適宜与えた。最初の化学的阻害剤研究のために、6週齢の雄のC57BL/6マウスをJackson’s Laboratoryから購入し、直ちに上述のHFDで飼育した。8週齢の時点で開始して、HFDを与えたC57Bl6マウスに毎日、DMSOに溶解させて水で希釈(DMSOの終濃度は5%)したTph1阻害剤LP533401(25mg/kg体重、Dalton Pharma Services,Canada)または等体積の溶媒(水中で5%のDMSO)を腹腔内注射した。このプロトコルは循環セロトニンを効果的に抑制することが以前に示されている。0700に照明を点灯する12時間の明/暗周期にて、23℃の一定温度に維持される部屋に置かれたSPFマイクロアイソレーターケージ(SPF micro−isolator cage)内で全てのマウスを飼育した。
Ucp1ヘテロ欠損マウスをJackson Laboratoriesから得て、繁殖させてUCP1欠損(Ucp1−/−)及び野生型(Ucp1+/+)の同腹仔を作製した。熱ストレスを防ぐために、この集団のマウスについては、30℃に維持される部屋で繁殖させ、及び飼育した。CL−316,243チャレンジを除き、全ての試験をこの温度にておこなった。
Comprehensive Lab Animal Monitoring System(CLAMS,Columbus Instruments,OH,USA)にて代謝のモニタリングを以前(Sachithanandan,N.,et al.Hepatology 52,1632−1642(2010);O’Neill,H.M.,et al.Proc Natl Acad Sci 108,16092−16097(2011))に記載された通りに実施した。また、CL−316,243チャレンジ実験もCLAMSの機器を用いて記載された通りに実施した。代謝のモニタリングは全て、26〜28℃に維持される部屋にておこなった。Tph1−/−マウス実験では16週間の食事介入後に、LP533401注入実験では6〜10週間のHFD週間の後に、以前(Steinberg,G.R.,et al.J Biol Chem 285,37198−37209(2010))に記載された通りにインスリン耐性試験及び耐糖能試験をおこなった。血清インスリン及び血清サイトカインの測定のために、ヘパリン処置されていない毛細管を用いて16〜18週目の間に空腹時及び摂食時の血液試料を後眼窩採血により採取し、インスリン、アディポネクチン、レプチンを、(Watt,M.J.,et al.Nature medicine 12,541−548(2006)に)記載された通りに測定した。多重化ビーズに基づいたイムノアッセイ(multiplexed bead−based immunoassay)(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)を製造業者の指示に従って用いて血清サイトカイン(MCP−1、TNFα及びIL−6)を測定した。
インビボでのグルコースの取り込み及び体組成:マクマスター大学にてFDG合成装置(GE Healthcare,Milwaukee,WI,USA)及びサイクロトロン(Siemans20−30gb)を用いて求核置換法により18F−フルオロデオキシグルコース(FDG)を合成した。8時間の絶食後、0.9%の生理食塩水で希釈したインスリン(0.5U/kg)をマウスに注入し、5分後にFDG(10.8±1.2MBq/g)の静脈内投与をおこなった。注入後、マウスを意識のある状態に維持し、ヒーティングパッドを用いて加温した。生理食塩水またはインスリンの注入後28分の時点においてイソフロラン(isoflorane)でマウスに麻酔をかけ、30分の時点において、小動物陽電子放出断層撮影(PET、Philip Mosaic,Andover,MA)イメージング及びmicro−computed tomography(CT)(Gamma Medica−Ideas Xspect System,NorthRidge,CA)イメージングを、PETについては15分の収集時間、その後のCTについては5分の収集時間でおこなった。以前に記載された通りに31、減衰補正ならびに断層写真撮影装置の部分容積効果の補正をせずに3D−RAMLAアルゴリズムを用いて画像を再構築した。Amide Research Workplace softwareを用いてRegion−of−interest(ROI)解析により定量化をおこない、(Palanivel R,Diabetologia.55(11):3083−93(2012)に)記載された通りに、標準取り込み値(SUV)の平均値を用いて組織によるFDGの取り込みを算出した。総体脂肪組成の解析は、Amira software(Visage Imaging)を用いて測定し、セグメント化された脂肪のボクセルの平均値を算出して総体重に対して表した。
解析方法:mRNA解析のために、組織をTRIzol試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)中で溶解させ、qRT−PCR用にRNAを抽出した。(Beck Jorgensen,S.et al.Diabetologia(2009)に)記載される抗体ならびに手法を用いて組織のイムノブロッティングをおこなった。免疫組織化学のために、(Galic,S.,et al.The Journal of clinical investigation 121,4903−4915(2011)に)記載された通りに、パラフィンで包埋した精巣上体の脂肪、褐色脂肪組織、及び肝臓を切片化して、脱ワックス処理し、抗原の検出(antigen retrieval)前に再水和した。
統計解析:示される結果は全て、平均値±平均値の標準誤差(SEM)である。GraphPad Prism softwareを用いて、スチューデントt−検定あるいは適切な場合には2要因ANOVAにより結果を解析した。Bonferonni post−hocテストを用いて、ANOVAにより示された有意差について試験した。p≦0.05で有意とされた。
結果
固形飼料を与えたTph1−/−マウスは、野生型(Tph1+/+)対照と比較して、正常な体重、血糖、耐糖能及びインスリン感受性を有することが見出された(図1a〜d)。しかし、高脂肪食(HFD)を与えた場合、Tph1−/−マウスは、飼料により誘発される体重増加の進展から著しく保護された(図2a)。さらなる解析により、HFDを与えたTph1−/−マウスでは、脂肪組織の炎症のマーカーの実質的な減少(図2c)と関連する脂肪蓄積の劇的な減少(図2b)が起こったことが明らかとなった。また、HFDを与えたTph1−/−マウスでは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)からの保護を示す少ない脂質蓄積を特徴とする肝臓重量の減少も起こった(図2d)。これらのデータは、Tph1−/−マウスが肥満ならびに低度の慢性炎症及びNAFLDを含む関連する合併症から保護されることを示す。
固形飼料を与えたTph1−/−マウスは、野生型(Tph1+/+)対照と比較して、正常な体重、血糖、耐糖能及びインスリン感受性を有することが見出された(図1a〜d)。しかし、高脂肪食(HFD)を与えた場合、Tph1−/−マウスは、飼料により誘発される体重増加の進展から著しく保護された(図2a)。さらなる解析により、HFDを与えたTph1−/−マウスでは、脂肪組織の炎症のマーカーの実質的な減少(図2c)と関連する脂肪蓄積の劇的な減少(図2b)が起こったことが明らかとなった。また、HFDを与えたTph1−/−マウスでは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)からの保護を示す少ない脂質蓄積を特徴とする肝臓重量の減少も起こった(図2d)。これらのデータは、Tph1−/−マウスが肥満ならびに低度の慢性炎症及びNAFLDを含む関連する合併症から保護されることを示す。
肥満はインスリン抵抗性の進展に寄与するが、体重の減少と合致してTph1−/−マウスでは、インスリン感受性の向上を示唆する空腹時血糖(図2e)及び血清インスリン(図2f)の減少が起こった。これらの変化と合致して、Tph1−/−マウスでは、耐糖能(図2g)及びインスリン感受性(図2h、i)が著しく向上した。これらのデータは、Tph1−/−マウスがインスリン抵抗性の進展から保護されることを示す。
HFDを与えたTph1−/−マウスの体重増加の鈍化に寄与するメカニズムを調べるために、代謝ケージを用いてエネルギー摂取及びエネルギー消費を調べた。Tph1−/−マウスにおいて酸素消費量(VO2)は約20%高く(図3a)、この効果は身体活動レベルには依存せず、体重について補正していない場合でさえ麻酔したマウスにおいても観察された(図3c)。従ってこれらは基礎代謝率の上昇を示している。遺伝子型の間で、1日当たりの平均食物摂取量に差はなかった(Tph1+/+=15.9±0.5g、Tph1−/−=14.6±0.6g、P>0.05、n=8)。どの組織が基礎代謝率の上昇に寄与しているかを決定するために、PET/CTを用いて18フルオロデオキシグルコース(FDG)の取り込みを測定した。FDGの取り込みはTph1−/−マウスのBATにおいて劇的に増加したが、その他の器官では変化しなかった(図3d)。まとめると、これらの解析は、Tph1−/−マウスがBATにおける代謝活性の増加を反映する特性を示したことを示す。これらの発見と合致して、Tph1−/−マウス由来のBATではUCP1が豊富に存在した(図3e)。さらに、β3−アドレナリン作動性アゴニストCL−316,243でチャレンジした場合、Tph1−/−マウスでは酸素摂取量(図3f)及び熱産生がより多かった。これらはBATの活性がより高いことを示している。これらの発見は、Tph1欠失の抗肥満効果が褐色脂肪組織の活性の増加と関連することを示す。
セロトニンが褐色脂肪組織を直接阻害していることを確認するために、遺伝学的なTph1欠失の利点を調べるため及び該利点を逆転させるための手段としてHFDを与えたTph1−/−マウスに徐放性(60日)セロトニンペレットまたはプラシーボペレットを皮下移植した。予測された通りに、セロトニンペレットは循環セロトニンの穏やかな増加を誘発したこと(図4a)、ならびに、体重に検出可能な変化はなかったものの(図4b)、もしかするとセロトニンレベルの比較的小さな増加(それでもHFDを与えたWTのマウスと比較すると大きく減少していた)に起因して、セロトニンペレットを移植したマウスでは、EWAT組織の重量が約20%増加したこと(図4c)が見出された。さらに、Tph1−/−マウスにおける末梢セロトニンの増加は、空腹時血糖の小さな増加を引き起こし、また、耐糖能及びインスリン感受性の低下も引き起こした(図4d〜f)。重要なことに、HFDを与えたTph1−/−マウスでは、ケージ活動または食物摂取量において行動上変化がないにもかかわらず、基礎代謝率も低下した(図4g〜i)。さらに、CL−316,243でチャレンジした場合、セロトニンペレットを移植したマウスでは酸素摂取の刺激が弱まり、熱産生がより低い傾向にあった(図4j〜k)。これらの発見は、セロトニンがインビボにおいてBAT活性を直接調節していることを示す。
HFDを与えたC57B16マウスを、25mg/kg体重の用量のLP533401(Tph1阻害剤)(Dalton Pharma Services,Canada)の腹腔内注射で10週間処置した。LP533401のip注射は循環セロトニンレベルを減少させたことが見出された(図5a)。予測された通りに、HFDを与えたマウスを溶媒で処置した場合、処置期間にわたって1週間当たり約1〜2グラム体重が増加したが、驚くべきことに、LP533401で処置したマウスにおいては、この体重増加が抑制された(図5b)。Tph1欠失の効果と同様に、LP533401での処置によって、体脂肪の蓄積の低下(図5c及び表1)、肝臓サイズの減少(図5d)、グルコース恒常性の向上(図5e〜f)及びインスリン感受性の増加(図5g)が生じた。
データは値±SEMであり、nは1群当たり7〜8匹のマウスである。
重要なことに、Tph1阻害剤での毎日の処置を開始する前に8週間HFDを与えることによってマウスを最初に肥満化させた場合にも同様の結果が得られた(図6a〜f)。従って、Tph1の化学的阻害は、肥満ならびにNAFLD及びインスリン抵抗性を含む関連する合併症を予防すること及び改善させることに関してTph1の遺伝子欠失の効果を表現型模写する。LP533401で処置したマウスにおける体重減少に寄与するメカニズムを調べるために、HFDを与えたマウスを12日間処置してから群内において任意の体重変化が明らかになる前(溶媒:29.4±0.58gに対してLP533401:28.9±0.63g)に代謝ケージに収容した。LP533401での処置により、活動レベル(図7a〜b)または食物摂取量(溶媒=13.0±0.65gに対して阻害剤=13.7±0.45g、P>0.05、n=8)を変化させることなく、暗サイクル中及び明サイクル中の両方において酸素消費量が増加した。その後、18FDG−PET/CT解析がおこなわれ、LP533401での処置により、UCP1の発現亢進及び脂質沈着の減少(図7d)と合致してBATにおけるFDGの取り込みが増加したこと(図7c)が見出された。これらのデータは、化学的なTph1阻害により、Tph1−/−マウスにおいて観察された結果と類似してエネルギー消費及びBATの活性が増加することを示す。
Tph1阻害の臨床的利点(体重減少及びインスリン感受性の向上)がUCP1によって媒介される熱産生の増加に由来するものかどうかを立証するために、HFDを与えて熱中性条件(30℃)下で飼育したUCP1欠損(Ucp1−/−)及び野生型同腹仔(Ucp1+/+)を用いて毎日LP533401の注入を実施した。驚くべきことに、Ucp1+/+マウスではLP533401での処置に起因して体重増加が鈍化したが、Ucp1−/−マウスでは鈍化しなかった(図8a)。さらに、LP533401によって誘発される耐糖能の向上はUCP1の発現に完全に依存していた(図8b)。さらに、CL−316,243でチャレンジした場合、LP533401で処置したUcp1+/+マウスのみが、酸素摂取量及び熱産生の増加を示した(図8c〜d)。従って、Tph1阻害の臨床的利点は、UCP1が媒介する熱産生を必要とする。
それによってセロトニンが褐色脂肪組織の活性を調節する可能性があるメカニズムを調べるために、尿中のカテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、及びドーパミン)を調べたところ、驚くべきことに、Tph1−/−マウスにおいて交感神経の緊張がより低かったことが見出され、代わりにセロトニンがBATのカテコールアミンに対する感受性を変化させている可能性があることが示唆された(表2)。
データは平均値±SEM、n=6〜10、*:TPH1+/+に対してP<0.05
UCP1の発現及びBATの活性はcAMPの変化に大きく依存しているため、cAMPレベルを測定したところ、HFDを与えたTph1−/−マウスにおいてcAMPがより多いことが見出された(図9a)。セロトニンが細胞自律的な様式でcAMP及び熱産生プログラムの誘導を変化させることができるかどうか調べるために、イソプロテレノール(cAMPアゴニスト)で刺激する前にBAT細胞を、HFDを与えたTph1+/+マウスのBATにおいて観察される濃度のセロトニンで処置した(図9b)。セロトニンでの処置は、イソプロテレノールによって刺激されるcAMPならびにホルモン感受性リパーゼ(HSL S660−図9c)などのプロテインキナーゼAの基質のリン酸化を減衰させ、重要なことに、熱産生遺伝子プログラム(thermogenic gene program)の誘導も鈍化させた(図9d〜f)。従って、セロトニンは、BAT、cAMP及び熱産生プログラムを直接阻害する。これは、Tph1の阻害に加えて、セロトニン受容体に対する拮抗作用が、BATの熱産生を増加させるのに有効である可能性があることを示唆する。
最後に、白色脂肪細胞のベージュまたはブライト細胞への褐色化がエネルギー消費の調節、そして恐らくは体重の調節において重要な役割を担うことが最近になって示唆されているため、Tph1−/−マウス及びTph1阻害剤で処置したマウスにおけるこれらの特徴を評価した。遺伝学的または化学的にTph1を阻害したマウスにおいて内臓のWATのFDGの取り込みが増加していたことがPETスキャンにより見出された(図10a)。内臓の白色脂肪組織の代謝活性におけるこれらの変化と合致して、Ucp1、Cidea及びPgc1aの発現もeWAT及び鼠蹊部のWATの貯蔵部(depots)において増加していたことから、ベージュまたはブライト細胞のマーカーが観察されたことが見出された(図10b〜c)。また、eWATの褐色化の増加もTph1阻害剤で処置したマウスにおいて巨視的に明らかであり(図10d)、免疫染色によって評価されるようにUCP1の顕著な発現と関連していた(図10e)。これらのデータは、Tph1阻害剤が、BAT活性を増加させることに加えて、白色脂肪組織の褐色化も促進することを示す。肥満のヒトに存在する大量の白色脂肪組織、ならびに、ヒトにおける褐色脂肪はげっ歯類のベージュまたはブライト脂肪細胞と密接に関連する可能性があるという示唆を考慮すると、この発見はヒトの肥満の治療において臨床的に重要である。
考察
Tph1−/−マウス、ならびに、野生型マウスにおけるTph1の薬理学的阻害を利用して、エネルギー恒常性及び肥満の進展に対する末梢セロトニンの役割を調べた。HFD誘発性肥満は、Tph1の発現に依存した脂肪組織のセロトニンレベルの上昇を引き起こし、これは、セロトニン生産が栄養の制御下にあることを示す。C elegansにおける以前の研究では、セロトニンが脂肪酸酸化をアップレギュレートすることによってエネルギー消費を増加させることが示されていたが、今回の発見は、哺乳動物においてはその逆が正しいことを示す。
Tph1−/−マウス、ならびに、野生型マウスにおけるTph1の薬理学的阻害を利用して、エネルギー恒常性及び肥満の進展に対する末梢セロトニンの役割を調べた。HFD誘発性肥満は、Tph1の発現に依存した脂肪組織のセロトニンレベルの上昇を引き起こし、これは、セロトニン生産が栄養の制御下にあることを示す。C elegansにおける以前の研究では、セロトニンが脂肪酸酸化をアップレギュレートすることによってエネルギー消費を増加させることが示されていたが、今回の発見は、哺乳動物においてはその逆が正しいことを示す。
Tph1の遺伝学的または化学的阻害は、UCP1が媒介する熱産生を増加させることによって、HFD誘発性肥満及びdysglycemiaの進展を防ぐか、または改善させた。これらのデータは、脂肪組織のエネルギー代謝の制御における末梢セロトニンの役割についての初めての証拠を提供する。この発見は、門全体にわたってエネルギー平衡の調節に不可欠である古典的分子を哺乳動物における褐色脂肪組織の制御に結び付ける。肥満においてBAT活性は低下しているため、Tph1、セロトニンまたはセロトニン受容体の阻害が肥満及び関連する障害を改善させるのに有効であることが本明細書において示される。
実施例2−セロトニン受容体の阻害の効果
方法
細胞培養:(Uldry et al.,Cell metabolism,3(2006)333−341に記載される)マウス胎児褐色脂肪由来の不死化褐色脂肪細胞(BA)細胞株を、以前にMottillo,Journal of Biological Chemistry,287(2012)25038−25048に記載された通りに培養し、分化させた。要するに、コンフルエント細胞を誘導培地(0.5mM IBMX;0.2mM インドメタシン;2μg/mlデキサメタゾン;1nM T3、20nMインスリン)中に2日間配置し、その後、分化培地(1nM T3、20nMインスリン)で維持した。実験は全て、誘導から6〜8日後の培養物でおこなった。特に明記しない限り、細胞をPBSですすぎ、培地をHEPES緩衝クレブスリンガーバッファ(HKRB)+1%BSAに交換した。明記される場合には、BAをセロトニン(100μM;Sigma)で30分間処理し、その後、イソプロテレノール(1nM、Sigma)で4時間処理した。上述のセロトニンでの処理の45分前に、セロトニン受容体アンタゴニストであるメチセルジド(3μM)を使用した。
方法
細胞培養:(Uldry et al.,Cell metabolism,3(2006)333−341に記載される)マウス胎児褐色脂肪由来の不死化褐色脂肪細胞(BA)細胞株を、以前にMottillo,Journal of Biological Chemistry,287(2012)25038−25048に記載された通りに培養し、分化させた。要するに、コンフルエント細胞を誘導培地(0.5mM IBMX;0.2mM インドメタシン;2μg/mlデキサメタゾン;1nM T3、20nMインスリン)中に2日間配置し、その後、分化培地(1nM T3、20nMインスリン)で維持した。実験は全て、誘導から6〜8日後の培養物でおこなった。特に明記しない限り、細胞をPBSですすぎ、培地をHEPES緩衝クレブスリンガーバッファ(HKRB)+1%BSAに交換した。明記される場合には、BAをセロトニン(100μM;Sigma)で30分間処理し、その後、イソプロテレノール(1nM、Sigma)で4時間処理した。上述のセロトニンでの処理の45分前に、セロトニン受容体アンタゴニストであるメチセルジド(3μM)を使用した。
cAMPの測定:イソプロテレノール(1nM)で10分間刺激したBAにおいてcAMPレベルを測定した。0.1M HCl、0.2%Triton−X−100で細胞を20分間溶解し、酸性化された細胞溶解物を回収してNaOHで中和し、5000×gで5分間遠心分離して上清を回収した。以前(Mottillo et al.,American Journal of Physiology−Endocrinology And Metabolism,301(2011)E122−E131)に記載された通りに、ELISA(Biomedical Technologies Inc.)によってcAMPレベルを定量化した。
FFAの定量:NEFA−HR(2)キット(Wako Chemicals,USA)を製造業者の提示する通りに用いて、イソプロテレノールで1時間刺激した後に培地中に放出されたFFAを定量化した。
RNA抽出及び遺伝子発現解析:Nucleospin RNA IIキット(Macherey−Nagel)を用いて、BA由来のRNAを単離した。以前(Mottillo et al.,American journal of physiology,293(2007)E1188−1197)に記載された通りに、様々な遺伝子の発現パターンをqRT−PCR解析によって定量化した。要するに、製造業者の推奨する通りにSuperscript III(Invitrogen)及びランダムヘキサマープライマーを用いてRNA(1〜2μg)をcDNAに逆転写した。以前に記載された通りに、10μlの定量的PCR反応(Amplitaq Gold)中で25ngのcDNAを解析した。デルタ−デルタCT法(2−ΔΔCT)(Livak et al.,Methods,25(2001)402−408)を用いて発現データをハウスキーピング遺伝子であるRNAポリメラーゼIIA(Polr2A)に対して標準化した。
タンパク質の単離及びウェスタンブロット解析:プロテアーゼ阻害剤(Roche)及びホスファターゼ阻害剤(100μM NaF、2mMオルトバナジウム酸ナトリウム)を含む細胞溶解バッファ(25mM Tris pH7.5、150mM NaCl、1%Triton−X−100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1%NP−40、及び1mM EDTA)中でタンパク質を抽出した。溶解物を4℃にて15分間可溶化し、16,000×gで10分間遠心分離して溶解物を清澄化した。抽出物を回収し、ビシンコニン酸法(Pierce)を用いてタンパク質を定量化した。還元条件下でSDS−PAGEをおこない、分離したタンパク質をPVDFに転写した。メンブレンを5%脱脂粉乳中で室温にて1時間免疫ブロッキング(immunoblock)し、リン酸化−HSL S660及び総HSLに対する抗体(Cell Signal)で一晩プローブ化した。次に、ブロットを洗浄し、1:10,000で希釈した二次ヤギ抗ウサギHRP(goat anti−rabbit HRP)(Cell Signal)と共にインキュベートして、SuperSignal West Femto基質(Pierce)で可視化した。
結果
本結果は、図11に示されるように、イソプレナリンによって誘発される脂肪分解(cAMPの間接的な機能尺度)の増加をセロトニン(100ng/mlの5−HT)が鈍化させること、ならびに、5−HT受容体アンタゴニストであるメチセルジドと共に処理することによってこの効果が遮断されることを示す。データは、不死化BAT細胞由来のn=2に基づく。
本結果は、図11に示されるように、イソプレナリンによって誘発される脂肪分解(cAMPの間接的な機能尺度)の増加をセロトニン(100ng/mlの5−HT)が鈍化させること、ならびに、5−HT受容体アンタゴニストであるメチセルジドと共に処理することによってこの効果が遮断されることを示す。データは、不死化BAT細胞由来のn=2に基づく。
Claims (17)
- 哺乳動物における体重過多、肥満または肥満関連障害の哺乳動物を治療する方法であって、末梢セロトニンの合成または活性を阻害する化合物を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
- 前記化合物が、肥満に関連する末梢セロトニンを標的とする、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、消化管内のセロトニン以外の末梢セロトニンを標的とする、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、脂肪組織の代謝活性を増加させる、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、トリプトファンヒドロキシラーゼ1(TPH1)を阻害する、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、以下の一般式(I):
- 前記化合物が、(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸である、請求項6に記載の方法。
- 前記化合物が、(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸エチルである、請求項6に記載の方法。
- 前記化合物が、セロトニン受容体を阻害する、請求項1に記載の方法。
- 前記セロトニン受容体が、5−HT1a、5−HT1b、5−HT2b、5−HT4及び5−HT5aから成る群より選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記化合物が、Tph1の発現のポリヌクレオチド阻害剤である、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、Tph1の抗体阻害剤である、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、全身投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、局所投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、脂肪組織に投与されるか、脂肪組織の近傍に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記哺乳動物が、高脂肪食を摂食している、請求項1に記載の方法。
- 前記肥満関連状態が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、軽度の慢性炎症、インスリン抵抗性、リポジストロフィー、及びメタボリックシンドロームから選択される、請求項1に記載の方法。
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