JP2016506497A - 二次電池のパラメーター推定装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
電池は、放電した後は再使用が不可能な一次電池と、電気化学反応が少なくとも部分的には可逆的であって、繰り返して充電と放電が可能な二次電池とに分類することができる。
二次電池としては、鉛‐酸電池、ニッケル‐カドミウム電池、ニッケル‐亜鉛電池、ニッケル‐鉄電池、銀酸化物電池、ニッケル金属水素化物(hydride)電池、亜鉛‐マンガン酸化物電池、亜鉛‐臭化物電池、金属‐空気電池、リチウム二次電池などが知られている。そのうち、リチウム二次電池は、他の二次電池に比べてエネルギー密度及び電池電圧が高く、保存寿命が長いという点で商業的に多大に関心を集めている。
リチウム二次電池においては、正極材として使用される物質が二次電池の性能に重要な影響を及ぼすため、高温で安定性を維持しながらも高いエネルギー容量を提供でき、且つ、製造コストの低い正極材を提供しようとして多様に試みられている。しかし未だ、市場で要求する性能を全て充足するには、ある1つの正極材のみでは限界がある。
電気駆動自動車が運行するとき、二次電池の充電状態(SOC;State Of Charge)は、電気駆動自動車の走行可能距離を見積り、二次電池の充電または放電の開始と終了を制御するのに必要なパラメーターである。
二次電池の充電状態は、二次電池の開放電圧(Open Circuit Voltage)を測定すれば正確に推定することができる。二次電池の充電状態は開放電圧と1:1の関係にあるためである。しかし、二次電池の充電または放電中には、二次電池の開放電圧を測定することが不可能である。
しかし、前者の方法は、複雑な計算が必要であるという短所があり、後者の方法は、ダイナミックな条件で二次電池が充電または放電するときに適用すれば、正確度が低下するという短所がある。特に、電気自動車やハイブリッド自動車の場合は、運転者がアクセルペダルを踏めば、多様な条件の放電率(C−rate)で二次電池が放電し、運転者がブレーキペダルを踏めば、回生充電(regeneration charging)が行われる過程が繰り返される。したがって、このようなダイナミックな二次電池の使用環境で、充電状態を簡単且つ正確に推定するためには新たなアプローチが必要となる。
また、本発明は、市場が求める二次電池の性能を考慮して、2つ以上の正極材を混合した混合正極材を含み、前記混合正極材によって特異な電気化学的挙動を示す二次電池の開放電圧及び/または充電状態を簡単且つ正確に推定できる装置及び方法を提供することを目的とする。
一態様によれば、前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少する充電電流プロファイルによって二次電池が充電されるとき、前記充電電流がピーク値から0まで減少する間、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記充電電流プロファイルによって二次電池が充電されるとき、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
さらに別の態様によれば、前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
さらに別の態様によれば、前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/6未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することができる。
望ましくは、前記センサー手段は、2つ以上の電流−電圧データを測定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
一態様によれば、前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/3未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することができる。
別の態様によれば、前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/6未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することができる。
望ましくは、前記制御手段は、2つ以上の電流−電圧データを識別することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することができる。
一態様によれば、前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することができる。
別の態様によれば、前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記二次電池が充電されるとき、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することができる。
また、上述した二次電池のパラメーター推定装置は、前記推定された二次電池の開放電圧及び/または充電状態を外部のコントロールユニットに伝送することができる。
また、上述した二次電池のパラメーター推定装置は、二次電池からエネルギーの供給を受ける多様な電気駆動装置に含まれ得る。
また、二次電池のパラメーター推定方法は、推定された開放電圧及び/または充電状態を保存及び/または送信及び/または表示する段階をさらに含むことができる。
また、前記二次電池は、作動イオンが含まれた電解質、及び正極と負極とを電気的に分離して作動イオンの移動を許可する分離膜をさらに含むことができる。前記電解質は、作動イオンを含み、作動イオンを介して正極と負極で電気化学的な酸化または還元反応を行えるものであれば、その種類に特に制限がない。
前記二次電池の外形は、包装材の構造によって決定される。前記包装材の構造は当業界で知られた多様な構造のうち1つであり得るが、代表的に、円筒型、角形、パウチ型、コイン型などの構造を有し得る。
図1を参照すれば、二次電池110の高電位及び低電位端子(P+,P−)は、電気駆動装置200の低電位及び高電位接続端子(T+,T−)と電気的に接続される。
前記二次電池110は、リチウム二次電池であり得るが、本発明が電池の種類によって限定されることはない。
別の実施形態として、前記電気駆動装置200は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気自転車、電気バイク、電気列車、電気船、電気飛行機などのように電気によって移動可能な電気動力装置、または電気ドリル、電気グラインダーなどのようにモーターを備えるパワーツールであり得る。
さらに別の実施形態として、前記電気駆動装置200は、電力グリッドに設けられて新再生エネルギーや余剰発電電力を貯蔵する大容量電力貯蔵装置、または停電などの非常状況でサーバーコンピューターや移動通信装備などを含む各種の情報通信装置の電源を供給する無停電電源供給装置であり得る。
前記負荷210は、二次電池110の電気エネルギーを消耗する装置であって、非制限的な例としてモーターのような回転動力装置、コンバータやインバータのような電力変換装置などが挙げられる。
前記充電ユニット220は、二次電池110に充電電流を印加する装置であって、非制限的な例として充電回路、電気駆動自動車のエンジンに組み合わせられた発電機(generator)、電気駆動自動車のブレーキと組み合わせられた回生充電機(regeneration charger)などが挙げられる。
前記第1及び第2スイッチSW1,SW2は、前記コントロールユニット230から制御信号の印加を受けて二次電池110と負荷210との間の電気的接続をターンオンまたはターンオフさせる。
前記第3及び第4スイッチSW3,SW4は、前記コントロールユニット230から制御信号の印加を受けて二次電池110と充電ユニット220との間の電気的接続をターンオンまたはターンオフさせる。
望ましくは、前記第1ないし第4スイッチSW1〜SW4は半導体スイッチ又は機械式リレースイッチであり得る。
一例において、前記コントロールユニット230は、二次電池110の充電状態が高いとき、負荷210を二次電池110に貯蔵された電気エネルギーで駆動させるため、第1及び第2スイッチSW1,SW2をターンオンさせて二次電池110を負荷210と接続させる。すると、二次電池110が放電して負荷210に電気エネルギーが供給される。
別の例として、前記コントロールユニット230は、二次電池110の充電状態が低いとき、二次電池110に充電電流を印加するため、第3及び第4スイッチSW3,SW4をターンオンさせて充電ユニット220を二次電池110と接続させる。すると、前記充電ユニット220は充電電流を二次電池110側に印加する。
別の例として、前記コントロールユニット230は、負荷210が駆動される間は、二次電池110を負荷210に接続させ、負荷210の駆動が一時的に中断した場合は、二次電池110を充電ユニット220に接続して二次電池110を充電させることができる。
一例として、前記コントロールユニット230は、前記充電ユニット220を制御して、充電電流の大きさを0から一定ピーク値まで徐々に増加させてから再び0まで徐々に減少させることができる。
別の例として、前記コントロールユニット230は、前記充電ユニット220を制御して、前記二次電池110の放電電流を0まで徐々に減少させた後、前記充電電流の大きさを0から一定ピーク値まで徐々に増加させてから再び0まで徐々に減少させることができる。
前記センサー手段120は、充電ユニット220から二次電池110側に充電電流が供給される間に、充電電流の大きさと二次電池電圧を測定して制御手段130に提供する。
前記センサー手段120は、充電電流が流れる間に二次電池の電流と電圧を測定するため、測定制御信号を制御手段130から受信することができる。すなわち、前記センサー手段120は、前記測定制御信号が受信される度に、二次電池の電流と電圧を測定して制御手段130に提供する。
別の例によれば、前記センサー手段120は、前記充電電流の大きさが0から一定ピーク値まで増加してから再び0まで減少する過程で、時間間隔を置いて数回にかけて充電電流の大きさと二次電池110の電圧を繰り返して測定し、制御手段130に提供する。
上記の例において、充電電流の大きさと二次電池110の電圧は数回にかけて測定されるため、前記制御手段130には複数の電流−電圧データがセンサー手段120から提供される。
一態様によれば、前記センサー手段120は、前記二次電池110の動作モードが放電モードから充電モードに変更された後、数回にかけて充電電流の大きさと二次電池110の電圧を測定することができる。この場合、二次電池110の放電電流が0まで徐々に減少した後に電流−電圧データを測定することができる。
前記複数の電流−電圧データは、二次電池110の開放電圧と充電状態の推定に使用されるが、上記のような測定条件下で測定された電流−電圧データは二次電池110の分極累積が緩和した状態で得たものであるため、本発明によって推定される開放電圧と充電状態の信頼性を向上させることができる。
ここで、前記近似線形方程式の入力変数Iと出力変数Vはそれぞれ二次電池110の電流と電圧であり、傾きaは抵抗特性を示し、Y切片bは二次電池の電流が0のときの電圧、すなわち開放電圧を示す。したがって、前記近似線形方程式が算出されれば、Y切片を二次電池の開放電圧として推定することができる。
また、前記近似線形方程式を算出するとき、使用する電流−電圧データの測定時点は、充電電流の大きさがピーク値に達する時点をTp、ピーク値から0に減少する時点をT0とすれば、できればT0に近い時点を選択することが望ましい。電流−電圧データの測定時点がT0に近い時点であるほど、二次電池110の分極累積が緩和した状態にあり、近似線形方程式のY切片が二次電池110の開放電圧とより近くなるためである。
選択的に、前記制御手段130は、開放電圧と充電状態との間の相関関係を予め定義したルックアップテーブルやルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する二次電池の充電状態をさらに推定することができる。
ここで、前記ルックアップテーブルは、実験を通じて二次電池110の開放電圧毎に充電状態を測定し、測定結果をテーブルの形態としたものである。前記ルックアップテーブルで、前記推定された開放電圧に対応する充電状態をマッピングすれば、二次電池110の充電状態を簡単に推定することができる。
前記ルックアップ関数は、実験を通じて二次電池110の開放電圧毎に充電状態を測定し、測定された開放電圧のプロファイルを関数として定義したものである。前記ルックアップ関数の入力変数及び出力変数は、それぞれ開放電圧及び充電状態である。前記ルックアップ関数の入力変数として推定された開放電圧を代入すれば、ルックアップ関数の出力値として充電状態を得ることができる。
したがって、前記分極による電圧成分を考慮して近似線形方程式のY切片を補正すれば、より正確に二次電池の開放電圧を推定することができる。
一例として、前記保存手段160は、RAM、ROM、レジスタ、ハードディスク、光記録媒体、または磁気記録媒体であり得る。また、前記保存手段160は、前記制御手段130によってアクセスできるように、例えばデータバスなどを通じて前記制御手段130と接続され得る。
前記保存手段160は、論理的に2つ以上に分割でき、前記制御手段130内に含まれることを制限しない。
前記保存手段160は、前記センサー手段120が測定した複数の電流−電圧データ、近似線形方程式の算出に用いられた少なくとも2つ以上の電流−電圧データを含む補間データ、または近似線形方程式を用いて推定されたパラメーター(開放電圧及び/充電状態)を保持(maintain)することができる。
一例として、前記表示手段150は、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、E−INKディスプレイ、フレキシブルディスプレイなどであり得る。
前記表示手段150は、必ずしも本発明による装置の内部に含まれる必要はなく、本発明による装置と接続された他の装置に含まれてもよい。このような場合、前記表示手段150と前記制御手段130とは直接接続されず、前記他の装置に含まれた制御手段を介して前記表示手段150と間接的に接続される。したがって、前記表示手段150と前記制御手段130との電気的接続は、このような間接接続方式も含むと理解せねばならない。
一例として、二次電池110が電気自動車に搭載されている場合、前記制御手段130は二次電池110の開放電圧及び/または充電状態に関するデータを、電気自動車の駆動メカニズムを統合的に制御するコントロールユニット230に伝送することができる。すると、前記コントロールユニット230は受信した二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を用いて二次電池110の充電と放電を制御し、二次電池110の使用効率を極大化することができる。
後者の場合、前記混合正極材は、二次電池の電圧レベル毎に作動イオンと反応する濃度が異なるか、又は、作動電圧範囲が異なる第1正極材と第2正極材を含むことができる。
さらに別の態様によれば、前記第1正極材及び/または前記第2正極材は、コーティング層を含むことができる。前記コーティング層は炭素層を含むか、若しくは、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、V、及びSからなる群より選択された少なくとも1つの元素を含む酸化物層またはフッ化物層を含むことができる。
別の実施形態として、高温安全性に優れた二次電池を所望する場合、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2とLiFePO4をそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を2:8に設定することができる。
さらに別の実施形態として、製造コストが安い二次電池を所望する場合、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2とLiFePO4をそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を1:9に設定することができる。
さらに別の実施形態として、放電出力が良く高温安全性に優れた二次電池を所望する場合、[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2とLiFePO4をそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を4:6に設定することができる。
さらに別の実施形態として、重量当りの容量が大きい二次電池を所望する場合、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O2とLiFePO4をそれぞれ第1正極材と第2正極材として選択し、第1正極材と第2正極材との混合比率を9:1に設定することができる。
前記制御手段130の多様な制御ロジック及び/または計算ロジックは少なくとも1つが選択的に組み合わせられることで、それ自体として本発明による二次電池のパラメーター推定方法の一実施様態になり得る。
まず、段階S10において、前記制御手段130は、前記保存手段160から二次電池のパラメーターを推定するのに必要な制御ロジックを読み込んで実行する。
次いで、段階S20において、前記制御手段130は、充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が一時的に充電される間に、センサー手段120を制御して近似線形方程式の算出に使用される少なくとも2つ以上の電流−電圧データ(補間データ)を得る。
ここで、前記制御手段130は、サンプリング方式または直接測定方式によって補間データを得る。詳しくは、上述した通りである。
望ましくは、前記補間データに含まれた電流−電圧データは、充電電流の大きさがピーク値から0に減少する間に測定された電流−電圧データであり得る。
一例として、前記補間データに含まれた電流−電圧データは、充電電流の大きさがピーク値を基準に、1/3未満、望ましくは1/6未満に低下した後に測定された電流−電圧データであり得る。勿論、電流−電圧データが測定される充電電流の大きさ条件は、二次電池の種類や性能によって変更可能である。
すなわち、制御手段130は、段階S60において、推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を保存手段160に記録することができる。また、前記制御手段130は、段階S70において、推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を表示手段150を通じてグラフィックインターフェース(文字、数字、グラフなど)で出力することができる。また、前記制御手段130は推定された二次電池110の開放電圧及び/または充電状態を電気駆動装置200のコントロールユニット230に伝送することができる。
前記記録媒体は、コンピューターに含まれたプロセッサによってアクセスが可能なものであれば、その種類に特に制限がない。一例として、前記記録媒体は、ROM、RAM、レジスタ、CD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、及び光データ記録装置を含む群から選択された少なくとも1つを含む。
また、前記コード体系は、キャリア信号に変調されて特定時点に通信キャリアに含まれ得、ネットワークで接続されたコンピューターに分散して保存されて実行され得る。また、前記組み合わせられた制御ロジックを具現するための機能的なプログラム、コード、及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論できる。
二次電池の製作
単一正極材を含む二次電池を次のような規格で製作した。
−正極材:LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2
−負極材:グラファイト
−電解質:EC(エチルカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)が3:4:3の重量比で混合された溶媒にLiPF6を添加
−分離膜:両面に無機物粒子がコーティングされた多孔性ポリオレフィンフィルム
−包装材:パウチ包装材
図3は、二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定して示したグラフである。
前記充放電電流プロファイルは、二次電池がハイブリッド自動車に使用されることを仮定して、米国のハイブリッド自動車業界で車両テストの標準として提示するLA(ロサンゼルス)ドライビングパターンをシミュレーションしたものである。
前記充放電電流プロファイルのうち、区間Aは二次電池が放電する区間、区間Bは二次電池が充電される区間、区間Cは二次電池の充電と放電が中断される区間である。区間Bの充電電流プロファイルは、ハイブリッド自動車の減速時に二次電池が回生充電される状況を示している。したがって、区間Bの充電電流プロファイルは、充電電流の大きさが0から所定のピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンを有する。充電電流の増加はブレーキが踏み込まれる(push)ときに生じ、充電電流の減少はブレーキから足を離した(pull)ときに生じる。
二次電池の製作
混合正極材を含む二次電池を次のような規格で製作した。
−正極材:LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2とLiFePO4とが7:3の重量比で混合された混合正極材
−負極材:グラファイト
−電解質:EC/DMC/EMCが3:4:3の重量比で混合された溶媒にLiPF6を添加
−分離膜:両面に無機物粒子がコーティングされた多孔性ポリオレフィンフィルム
−包装材:パウチ包装材
二次電池の充電中には、正極材からリチウムイオンが脱離して負極材に挿入される。ところが、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2とLiFePO4は、二次電池の充電電圧の変化に従ってリチウムイオンの脱離濃度が変化する。すなわち、電圧が低い充電区間ではLiFePO4からリチウムイオンが脱離し、電圧が高い充電区間ではLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2からリチウムイオンが脱離する。したがって、中間電圧区間でリチウムイオンが脱離する正極材の種類がLiFePO4からLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2に変わる。
このような現状の発生は、二次電池の充電過程で測定される電圧プロファイルに変曲点が生じることから間接的に確認できる。変曲点が生じる理由は、リチウムイオンの脱離反応に関わる正極材が変われば、二次電池の内部抵抗が変わって、同じ充電電流が二次電池に流れても電圧の変化幅が変わるためである。
図面を参照すれば、二次電池は10〜20秒区間で放電した後、20秒から定電流で充電され、20秒から測定された電圧プロファイルで変曲点(3.35V付近)が観察される。点線プロファイルは正極材としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2のみが使用された二次電池の電圧変化プロファイルである。点線プロファイルは実線プロファイルと相当な対照を成す。
変曲点の付近では、電圧の変化率が速く変化する。したがって、変曲点付近の電圧帯域でリチウムイオンが脱離する正極材がLiFePO4からLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2に変更されたと見られる。変曲点が生じる電圧帯域は、正極材を構成する正極材の種類と混合比率によっていくらでも変更され得る。
2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含む二次電池は、放電抵抗プロファイル及び開放電圧プロファイルでも独特の変化様相を呈する。
図面において、SOCは充電状態を、DoDは放電深度を示し、DoDは(1−SOC)に該当する。
図6を参照すれば、二次電池の内部抵抗が局所的に増加してから減少するコンベックスパターンが現れ、コンベックスパターンの頂点を前後にして2つの変曲点(点線の円を参照)が生じることが観察できる。また、図7を参照すれば、開放電圧プロファイルでも変曲点が観察できる。
このように、放電抵抗及び開放電圧プロファイルでコンベックスパターンと変曲点が観察される理由は、二次電池が充電されるとき、リチウムイオンが脱離する正極材の種類が変わりながら二次電池の内部抵抗特性が変わるためである。
図8は、混合正極材を含む二次電池の充放電電流プロファイルと二次電池の電圧変化を測定したグラフである。
前記充放電電流プロファイルは、二次電池がハイブリッド自動車に使用されると仮定して、米国のハイブリッド自動車業界で車両テストの標準として提示するLAドライビングパターンをシミュレーションしたものである。
前記充放電電流プロファイルのうち、区間Aは二次電池が放電する区間、区間Bは二次電池が充電される区間、区間Cは二次電池の充電と放電が中断される休止区間である。区間Bの充電電流プロファイルは、ハイブリッド自動車の減速時に二次電池が回生充電される状況を示している。したがって、区間Bの充電電流プロファイルは、充電電流の大きさが0から所定のピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンを有する。
図9は、混合正極材を含む二次電池が区間Bで充電される間に測定された二次電池の電流−電圧データを図化したグラフである。図9を参照すれば、電流−電圧データはヒステリシスループの形状を有するプロファイルとして図化され、充電電流の大きさがピーク値から0まで減少する区間で測定された電流−電圧データは、二次電池の実際の開放電圧(X表示地点)に向かって近似的に接近することが確認できる。このような実験結果は、単一正極材を含む二次電池の実験結果と同じである。
本実験では、本発明によって実験例1で製作した二次電池の充電状態を推定したとき、二次電池の実測された充電状態とどれ位の誤差を有するのかを測定してみた。
図10は、近似線形方程式を算出するときに使用した2つの電流−電圧データ(補間データ)を電流−電圧プロファイル上に示した図である。1つは充電電流の大きさがピーク値から15Aまで低下したときに測定したデータであり、他の1つは電流の大きさがピーク値から5Aまで低下したときに測定したデータである。前記補間データを構成する電流−電圧データは、すべて充電電流の大きさがピーク値(65A)対比1/3未満(20A)に低下したときに測定したデータである。
図12は、LAドライビングをシミュレーションした運転パターンに従って二次電池を所定時間放電(走行時)及び回生充電(制動時)させる過程を繰り返し、二次電池が回生充電される間に本発明を用いて充電状態を推定したときの正確度の程度を評価した結果を示したグラフである。
二次電池の充電状態を推定するときは、二次電池が回生充電される間に図10に示された条件に従って2つの電流−電圧データをサンプリングし、サンプリングされたデータを用いて近似線形方程式のY切片を求めて、Y切片を二次電池の開放電圧として推定し、開放電圧毎に充電状態を予め定義したルックアップテーブルを参照して推定された開放電圧に対応する充電状態をマッピングする方式で二次電池の充電状態を推定した。
図12には2つのプロファイルが示されているが、三角形で示されたプロファイルは本発明によって推定された充電状態の変化を、円で示されたプロファイルは実際の充電状態の変化を示している。
図12には4つのタイムライン(縦点線)が示されているが、それぞれのタイムラインが示されたポイントで、二次電池の放電と回生充電を1時間休止させた。
アンペアカウンティングを通じて二次電池の充電状態を推定する場合、電流カウンティングの誤差が経時的に累積するのに対し、本発明は、誤差の累積なく、二次電池の充電状態を5%以内の誤差範囲内で比較的正確に推定できることが分かる。
以上の実験結果は、本発明による二次電池のパラメーター推定装置及び方法が、二次電池が充電及び放電するダイナミックな状況でも、二次電池の開放電圧及び/または充電状態を簡単且つ正確に推定できることを裏付けている。
120 センサー手段
130 制御手段
150 表示手段
160 保存手段
210 負荷
220 充電ユニット
230 コントロールユニット
Claims (25)
- 充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される過程で、前記充電電流が減少する間に複数の電流−電圧データを測定するセンサー手段と、
前記センサー手段から前記複数の電流−電圧データの入力を受けて、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する制御手段と、を含むことを特徴とする二次電池のパラメーター推定装置。 - 前記制御手段が、推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定することを特徴とする請求項1に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/3未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することを特徴とする請求項1に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、前記充電電流の大きさがピーク値に比べて1/6未満に減少した後、前記複数の電流−電圧データを測定することを特徴とする請求項3に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記制御手段が、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することを特徴とする請求項2に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、
前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することを特徴とする請求項2に記載の二次電池のパラメーター推定装置。 - 前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少する充電電流プロファイルによって二次電池が回生充電されるとき、前記充電電流がピーク値から0まで減少する間、前記複数の電流−電圧データを測定することを特徴とする請求項1に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記充電電流プロファイルによって二次電池が回生充電されるとき、前記複数の電流−電圧データを測定することを特徴とする請求項7に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定するセンサー手段と、
前記センサー手段から前記電流−電圧データの入力を受けて、前記充電電流が前記ピーク値から減少する間に測定された複数の電流−電圧データを識別し、前記複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出し、前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する制御手段と、を含むことを特徴とする二次電池のパラメーター推定装置。 - 前記制御手段が、推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定することを特徴とする請求項10に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/3未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することを特徴とする請求項10に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記制御手段は、前記充電電流の大きさが前記ピーク値に比べて1/6未満に減少した後測定された電流−電圧データの中から前記複数の電流−電圧データを識別することを特徴とする請求項10に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記制御手段が、開放電圧と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することを特徴とする請求項11に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、二次電池の温度を測定して前記制御手段に提供し、
前記制御手段は、開放電圧及び温度と充電状態との相関関係を定義したルックアップテーブルまたはルックアップ関数を用いて前記二次電池の温度と前記推定された開放電圧に対応する充電状態を推定することを特徴とする請求項11に記載の二次電池のパラメーター推定装置。 - 前記センサー手段は、充電電流が0からピーク値まで増加してから再び0に減少するパターンで二次電池が回生充電されるとき、前記充電電流がピーク値から0まで減少する間、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することを特徴とする請求項10に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記センサー手段は、前記二次電池の放電電流が0まで徐々に減少した後、前記二次電池が回生充電されるとき、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定することを特徴とする請求項16に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 前記二次電池は、2つ以上の正極材が混合された混合正極材を含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池のパラメーター推定装置。
- 請求項1に記載の二次電池のパラメーター推定装置を含む電気駆動装置。
- 充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される過程で、前記充電電流が減少する間に複数の電流−電圧データを測定する段階と、
前記測定された複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、
前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する段階と、を含むことを特徴とする二次電池のパラメーター推定方法。 - 前記推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
- 前記推定された開放電圧または前記推定された充電状態を表示、保存、または出力するする段階をさらに含むことを特徴とする請求項20または請求項21に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
- 充電電流がピーク値まで増加してから減少するパターンで二次電池が充電される間に、時間間隔を置いて電流−電圧データを繰り返して測定する段階と、
前記測定された電流−電圧データの中から、前記充電電流が前記ピーク値から減少する間に測定された複数の電流−電圧データを識別する段階と、
前記識別された複数の電流−電圧データから電流と電圧との間の相関関係を現す近似線形方程式を算出する段階と、
前記近似線形方程式のY切片を二次電池の開放電圧として推定する段階と、を含むことを特徴とする二次電池のパラメーター推定方法。 - 前記推定された開放電圧から二次電池の充電状態を推定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
- 前記推定された開放電圧または前記推定された充電状態を表示、保存、または伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項23または請求項24に記載の二次電池のパラメーター推定方法。
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