JP2016506033A - 電解質組成物、作製方法、及びこれから形成される電池デバイス - Google Patents

電解質組成物、作製方法、及びこれから形成される電池デバイス Download PDF

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Abstract

本発明は、一般的に、ホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び多くの用途におけるこれらの使用を包含し、用途の中でも特に、スタティックメモリー、固定メモリー及びダイナミックランダムアクセスメモリーを含めたメモリーデバイス等の電子デバイスの電解質として、電池、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)又はスーパーキャパシタ若しくはウルトラキャパシタ、電解キャパシタ等のエネルギー蓄積デバイスの電解質として、色素増感型太陽電池(DSSC)の電解質として、燃料電池の電解質として、伝熱媒体としての用途が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明は一般的に、ホスホニウムイオン液体、塩、組成物に関し、この組成物は、熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、イオン伝導率、及び電気化学的安定性の優れた組合せを示す。本発明は、このようなホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物を作製する方法、並びにこれを含む動作デバイス及びシステムを更に包含する。

Description

本発明は、ホスホニウムイオン液体、塩、組成物ベースの電解質組成物及び多くの用途におけるこれらの使用を一般的に包含し、いくつかある用途の中でも特に、スタティックメモリー、固定メモリー及びダイナミックランダムアクセスメモリーを含めたメモリーデバイス等の電子デバイスの電解質として、電池、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)又はスーパーキャパシタ若しくはウルトラキャパシタ、電解キャパシタ等のエネルギー蓄積デバイスの電解質として、色素増感型太陽電池(DSSC)の電解質として、燃料電池の電解質として、伝熱媒体、高温反応及び/又は抽出媒体としての用途が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明は、構造的特徴を有するホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び分子に関し、この組成物は、熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、及びイオン伝導率のうちの少なくとも2つ以上の所望の組合せを示す。本発明は、このようなホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び分子を作製する方法、並びにこれを含む動作デバイス及びシステムを更に包含する。
イオン液体は、1つには、これらの広い、使用及び用途の可能性のためにかなりの注目を集めている。「イオン液体」という用語は、融点が比較的低い(100℃以下)塩に対して一般的に使用されている。室温で液体である塩は、室温イオン液体と一般的に呼ばれている。初期の研究者らは、ジアルキルイミダゾリウム塩ベースのイオン液体を利用した。例えば、Wilkesらは、電池を作製することを目指して、アルミニウム金属アノード及び塩素カソードの使用のためのジアルキルイミダゾリウム塩ベースのイオン液体を開発した。J. Wilkes、J. Levisky、R. Wilson、C. Hussey、Inorg. Chem、21、1263頁(1982)。
最も広く研究され、一般的に使用されたイオン液体のうちのいくつかはピリジニウム塩をベースとし、N-アルキルピリジニウム及びN,N'-ジアルキルイミダゾリウムの重要な用途が見出されている。N-アルキル-ピリジニウム及びN,N-ジアルキルイミダゾリウムを含むピリジニウムベースのイオン液体、並びに窒素ベースのイオン液体は一般的に、300℃以下に限定される熱力学的安定性を有し、容易に蒸留可能であり、200℃よりかなり下の温度で、測定可能な蒸気圧を有する傾向にある。このような特性は、これらの有用性、並びにこれらの用途を限定する。例えば、このようなイオン液体は、後工程(BEOL)の熱処理中に分解を起こしやすい。更に、このようなイオン液体は、イオン液体を多くの場合300℃を上回る温度への連続的熱サイクルに供する他の伝熱処理のステップ中にも分解する。
イオン液体の多様な性質は、継続して調査され、イオン液体のさらなる用途が考案されている。例えば、電気化学的方法及び用途では、様々なデバイス及び用途において伝導率を高める電解質が必要とされる。最近の研究は、従来の溶媒ベースの電解質の可能な代替としての室温イオン液体の領域で行われている。
米国仮特許出願第60/687,464号 米国特許第6,212,093号 米国特許第6,728,129号 米国特許第6,451,942号 米国特許第6,777,516号 米国特許第6,381,169号 米国特許第6,208,553号 米国特許第6,657,884号 米国特許第6,272,038号 米国特許第6,484,394号 米国特許出願第10/040,059号 米国特許出願第10/682,868号 米国特許出願第10/445,977号 米国特許出願第10/834,630号 米国特許出願第10/135,220号 米国特許出願第10/723,315号 米国特許出願第10/456,321号 米国特許出願第10/376,865号 米国特許出願公開第2007/0108438号 国際公開第01/03126号 米国特許出願公開第2007/0123618号
J. Wilkes、J. Levisky、R. Wilson、C. Hussey、Inorg. Chem、21、1263頁(1982) Yangら(1999) J. Porphyrins Phthalocyanines、3: 117〜147頁 Sethら(1994) J. Am. Chem. Soc.、116: 10578〜10592頁 Sethら(1996) J. Am. Chem. Soc.、118: 11194〜11207頁 Strachanら(1997) J. Am. Chem. Soc.、119: 11191〜11201頁 Liら(1997) J. Mater. Chem.、7: 1245〜1262頁 Strachanら(1998) Inorg. Chem.、37: 1191〜1201頁 Yangら(1999) J. Am. Chem. Soc.、121: 4008〜4018頁 Handbook of Electrochemistry of the Elements Rothら(2000) Vac. Sci. Technol. B 18:2359〜2364頁 Rothら(2003) J.Am. Chem. Soc. 125:505〜517頁 Advanced Inorganic Chemistry、第5版、Cotton & Wilkinson、John Wiley & Sons、1988、26章 Organometallics, A Concise Introduction、Elschenbroichら、第2版、1992、VCH Comprehensive Organometallic Chemistry II, A Review of the Literature 1982〜1994、Abelら編、7巻、7, 8, 10及び11章、Pergamon Press Robinsら、J. Am. Chem. Soc. 104:1882〜1893頁(1982) Gassmanら、J. Am. Chem. Soc. 108:4228〜4229頁(1986) Connellyら、Chem. Rev. 96:877〜910頁(1996) Geigerら、Advances in Organometallic Chemistry 23:1〜93頁 Geigerら、Advances in Organometallic Chemistry 24:87頁 Ng and Jiang (1997) Chemical Society Reviews 26: 433〜442頁 Jiangら(1999) J. Porphyrins Phthalocyanines 3: 322〜328頁 Arnoldら(1999) Chemistry Letters 483〜484頁 Cotton and Wilkenson、Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons、1988 Rai-Choudhury (1997) The Handbook of Microlithography, Micromachining, and Microfabrication、SPIE Optical Engineering Press Bard & Faulkner (1997) Fundamentals of Microfabrication
開発がなされてきた一方で、イオン液体、塩、及び電解質組成物における新規開発に対する必要性、並びに電解質が、電気化学的二重層キャパシタ、リチウム金属及びリチウムイオン電池、燃料電池、色素増感型太陽電池及び分子メモリーデバイスにおける使用に対して利用できるような物質及び使用に対する必要性が継続して存在するのは明らかである。
本発明は、ホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び多くの用途におけるこれらの使用を広範に包含し、いくつかある用途の中でも特に、スタティックメモリー、固定メモリー及びダイナミックランダムアクセスメモリーを含めたメモリーデバイス等の電子デバイスの電解質として、電池、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)又はスーパーキャパシタ若しくはウルトラキャパシタ、電解キャパシタ等のエネルギー蓄積デバイスの電解質として、色素増感型太陽電池(DSSC)の電解質として、燃料電池の電解質として、伝熱媒体、高温反応及び/又は抽出媒体としての用途が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明は、構造的特徴を有するホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び分子に関し、この組成物は、熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、及びイオン伝導率のうちの少なくとも2つ以上の所望の組合せを示す。
一態様では、イオン液体組成物が提供され、このイオン液体組成物は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、場合による及びそれぞれ独立して、置換基である)の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、2〜14個の炭素原子で構成される異なるアルキル基である。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つは、脂肪族、ヘテロ環式部分である。代わりに、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つは、芳香族、ヘテロ環式部分である。他の実施形態では、R1及びR2は同じであり、テトラメチレンホスホラン、ペンタメチレンホスホリナン、テトラメチニルホスホール、ホスホラン又はホスホリナンで構成される。別の実施形態では、R2、R3及びR4は同じであり、ホスホラン、ホスホリナン又はホスホールで構成される。
別の実施形態では、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含むイオン液体組成物が提供され、このイオン液体組成物は、375℃を超える熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で10mS/cmまでのイオン伝導率を示す。
別の態様では、本発明は、適切なアニオンと共に、ホスホニウムベースのカチオンで構成される電解質組成物を包含する。一部の実施形態では、「電解質」又は「電解質溶液」又は「電解質組成物」又は「イオン電解質」又は「イオン伝導性電解質」又は「イオン伝導性組成物」又は「イオン組成物」という用語が使用され、この用語は、本明細書では、以下のうちのいずれか1つ又は複数であると定義される:(a)イオン液体、(b)室温イオン液体、(c)少なくとも1つの溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩、及び(d)少なくとも1つの溶媒中に、少なくとも1つのポリマーと共に溶解することでゲル電解質を形成している1つ又は複数の塩。更に、この1つ又は複数の塩には、以下が含まれると定義される:(a)100℃以下の温度で固体である1つ又は複数の塩、及び(b)100℃以下の温度で液体である1つ又は複数の塩。
別の実施形態では、電解質組成物が提供され、この電解質組成物は、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩から構成され、この1つ又は複数の塩は、一般式:
R1R2R3R4P (1)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、これらに限定されないが、以下に記載されているようなアルキル基等の置換基である)の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子、更に普通は、1〜4個の炭素原子で構成されるアルキル基である。塩のうちのいずれか1つ又は複数は、100℃以下の温度で液体であっても固体であってもよい。一部の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び1つのアニオンのペアで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び複数のアニオンで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのアニオン及び複数のカチオンで構成される。更なる実施形態では、塩は、複数のカチオン及び複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、電解質組成物は、1つ又は複数の慣用の、非ホスホニウム塩を更に含む。一部の実施形態では、電解質組成物は慣用の塩で構成されていてもよく、この場合には本明細書中に開示されているホスホニウムベースのイオン液体又は塩は添加剤である。一部の実施形態では、電解質組成物は、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩及び1つ又は複数の慣用の塩で構成され、これらは、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩:慣用の塩のモル(又はモル濃度)比1:100〜1:1の範囲で存在する。慣用の塩の例として、これらに限定されないが、テトラアルキルアンモニウム、例えば、(CH3CH2)4N+、(CH3CH2)3(CH3)N+、(CH3CH2)2(CH3)2N+、(CH3CH2)(CH3)3N+、(CH3)4N+等、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピラジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピロリジニウムからなる群から選択される1つ又は複数のカチオンと、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、(CF3SO2)3C-からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンとで構成される塩が挙げられる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩として、これらに限定されないが、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIBF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-1-メチルピロリジニウム(EMPBF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIIm)、ヘキサフルオロリン酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIPF6)が挙げられる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩は、これらに限定されないが、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はトリフル酸リチウム(LiCF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N又はLiIm)、及びビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3CF2SO2)2N又はLiBETI)を含めたリチウムベースの塩である。
本発明の更なる態様は、陽極と、陰極と、前記陽極及び陰極の間の分離体と、電解質とを含む電池を提供する。電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される。一実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するイオン液体で構成され、このイオン液体組成物は、375℃までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cmのイオン伝導率を示す。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有する、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、この電解質組成物は、室温で、少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を示す。更なる態様では、ホスホニウム電解質は、慣用電解質と比較してより低い可燃性を示し、したがって電池動作の安全性を向上させている。更なる態様では、ホスホニウムイオン液体又は塩は、固体電解質界面相(SEI)層又は電極保護層の形成を促進するために添加剤として使用することができる。SEI層は、電気化学的安定性ウィンドウを拡大し、電池劣化又は分解反応を抑制し、したがって電池のサイクル寿命を向上させ得る。
本発明の更なる態様は、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)を提供し、この電気化学的二重層キャパシタは、陽極と、陰極と、前記陽極及び陰極の間の分離体と、電解質とを含む。電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される。一実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するイオン液体で構成され、このイオン液体組成物は、375℃までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cmのイオン伝導率を示す。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有する、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、この電解質組成物は、室温で、少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を示す。更なる態様では、ホスホニウム電解質は、慣用電解質と比較してより低い可燃性を示し、したがってEDLC動作の安全性を向上させている。更なる態様では、ホスホニウムイオン液体又は塩は、固体電解質界面相(SEI)層又は電極保護層の形成を促進するために添加剤として使用することができる。保護層は、電気化学的安定性ウィンドウを拡大し、EDLC劣化又は分解反応を抑制し、したがってEDLCのサイクル寿命を向上させるよう作用する。
本発明の実施形態は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩を含む伝熱媒体を更に提供し、この伝熱媒体は、375℃を超える温度での熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲を示す。
ホスホニウムイオン液体組成物及び塩は、様々なハイブリッド電気デバイスを形成するのに有用である。例えば、一実施形態では、第1の電極と、第2の電極と、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオン及び1つ若しくは複数のアニオンを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される電解質とを含むデバイスが提供され、前記電解質は、前記第1の及び第2の電極のうちの少なくとも1つに電気的にカップリングしている。一部の実施形態では、第1の電極は、レドックス活性分子(ReAM)で構成される。
別の実施形態では、電気キャパシタンスを提供できるように構成された作用電極及び対電極と、上記一般式の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンを含むイオン伝導性組成物とを含む分子記憶デバイスが提供され、このイオン伝導性組成物は、少なくとも作用電極及び対電極に電気的にカップリングしている。
別の実施形態では、本発明は、スイッチングデバイスと、このスイッチングデバイスにカップリングしたビット線及びワード線と、このスイッチングデバイスを介してアクセス可能な分子記憶デバイスとを含む分子メモリー素子を包含する。この分子記憶デバイスは、2つ以上の不連続状態に置くことが可能であり、この場合分子記憶デバイスは、ビット及びワード線に加えられたシグナルにより不連続状態のうちの1つに置かれる。分子記憶デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の及び第2の電極の間の、ホスホニウムベースのカチオン及び適切なアニオンの電解質とを含む。
別の実施形態は、各分子記憶素子を2つ以上の不連続状態に置くことが可能な複数の分子記憶素子を含む分子メモリーアレイを包含する。複数のビット線及びワード線は、各分子記憶素子が少なくとも1つのビット線及び少なくとも1つのワード線にカップリングし、これらによってアドレス可能となるように、複数の分子記憶素子にカップリングしている。
本発明の他の態様、実施形態及び利点は、以下に提供される、発明の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読むことにより、並びに以下の図面を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態による電池セルの断面図である。 本発明の一実施形態による電池のバイポーラ電極の断面図である。 本発明の一実施形態による電池のマルチセルスタック構造の断面図である。 本発明の一部の実施形態によるホスホニウムイオン液体を形成するための1つの反応スキームを描写している図である。 本発明のホスホニウムイオン液体の他の実施形態を形成するための別の反応スキームを描写している図である。 本発明の他の実施形態によるホスホニウムイオン液体を形成するための別の反応スキームを描写している図である。 本発明の更なる実施形態によるホスホニウムイオン液体を形成するための別の反応スキームを描写している図である。 実施例1に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態について実施した熱重量分析(TGA)グラフである。 実施例2に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する反応スキームを描写している図である。 実施例2に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)を図解するグラフである。 実施例2に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する発生ガス分析(EGA)を図解するグラフである。 実施例3に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)を図解するグラフである。 実施例3に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する発生ガス分析(EGA)を図解するグラフである。 図4及び実施例4に記載の通り調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する反応スキームを描写している図である。 図4及び実施例4に記載の通り調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する1H NMRスペクトルを示している図である。 実施例5に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する反応スキームを示している図である。 実施例5に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例6に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例7に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例8に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する反応スキームを描写している図である。 実施例8に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例9に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する1H NMRスペクトルを示している図である。 実施例9に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する31P NMRスペクトルを示している図である。 実施例9に従い調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例10に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する1H NMRスペクトルを示している図である。 実施例10に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する31P NMRスペクトルを示している図である。 実施例10に従い調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例11に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する1H NMRスペクトルを示している図である。 実施例11に記載の通り調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する31P NMRスペクトルを示している図である。 実施例11に従い調製したホスホニウム塩の例示的実施形態に対する熱重量分析(TGA)結果を示すグラフである。 実施例12に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する示差走査熱量測定(DSC)結果を示すグラフである。 実施例12に従い調製したホスホニウムイオン液体の例示的実施形態に対する示差走査熱量測定(DSC)結果を示すグラフである。 実施例14に記載されている通りの、アセトニトリル(ACN)中ホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3に対するACN/塩の体積比の関数としてイオン伝導率を描写しているグラフである。 実施例15に記載されている通りの、炭酸プロピレン(PC)中ホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3に対するPC/塩の体積比の関数としてイオン伝導率を描写しているグラフである。 実施例42〜実施例45に記載されている通りの、炭酸プロピレン中アンモニウム塩と比較したホスホニウム塩のモル濃度の関数としてイオン伝導率を描写しているグラフである。 実施例46に記載されている通りの、アセトニトリル、1.0Mのアンモニウム塩を有するアセトニトリル及び1.0Mのホスホニウム塩を有するアセトニトリルに対する温度の関数として蒸気圧を描写しているグラフである。 実施例51に記載されている通りの、-30〜60℃の異なる温度での、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6のイオン伝導率に対するホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3の影響を示しているグラフである。 実施例52に記載されている通りの、20〜90℃の異なる温度での、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6のイオン伝導率に対するホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3の影響を示しているグラフである。 実施例53に記載されているような本発明の一実施形態による電池コインセルの断面図である。 実施例53に記載されている通りの、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有するLi/NMCのコインセルに対する充放電曲線を示しているグラフである。 実施例54に記載されているような本発明の一実施形態による電池パウチセルの断面図である。 実施例55〜実施例60に記載されている通りの、0、5、及び20w%の濃度のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有するEC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のLNMOカソードのリニアスイープボルタンメトリーを示しているグラフである。 実施例55〜実施例60に記載されている通りの、ホスホニウム添加剤濃度の関数として開始酸化電位を示しているグラフである。 実施例61に記載されている通りの、10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]BF4を有する、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のLNMOカソードのリニアスイープボルタンメトリーを示しているグラフである。 実施例62に記載されている通りの、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のNMCカソードのリニアスイープボルタンメトリーを示しているグラフである。 実施例63に記載されている通りの、10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]CF3BF3を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6中のNMCカソードのリニアスイープボルタンメトリーを示しているグラフである。 実施例64に記載されている通りの、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6中のリチウム電極のACインピーダンスを示しているグラフである。 実施例65に記載されている通りの、5w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3PPF6を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のグラファイト電極の充放電性能を示しているグラフである。 実施例66に記載されているような、5w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のグラファイト電極の充放電性能を示しているグラフである。 実施例67に記載されているような、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6中のLi/LNMOセルの充放電性能を示しているグラフである。 実施例68に記載されている通りの、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6中のLi/NMCセルの充放電性能を示しているグラフである。 実施例69に記載されている通りの、EC:DEC:EMC 1:1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC中のグラファイト/LCOセルのキャパシタンス保持率に対するホスホニウム添加剤の影響を示しているグラフである。
概観
本発明は一般的に、ホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物並びに電池用途におけるこれらの使用を対象とする。
一般的な説明
本発明は、新規のホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び多くの用途におけるこれらの使用を包含し、スタティックメモリー、固定メモリー及びダイナミックランダムアクセスメモリーを含めたメモリーデバイス等の電子デバイスの電解質として、電池、電気化学的二重層キャパシタ、電解キャパシタ、燃料電池、色素増感型太陽電池、及びエレクトロクロミックデバイスの電解質としての用途が挙げられるが、これらに限定されない。更なる用途として、いくつかある用途の中でも特に、伝熱媒体、高温反応及び/又は抽出媒体としての使用が挙げられる。特に、本発明は、構造的特徴を有するホスホニウムイオン液体、塩、組成物及び分子に関し、この組成物は、熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、イオン伝導率、及び電気化学的安定性のうちの少なくとも2つ以上の望ましい組合せを示す。本発明は、このようなホスホニウムイオン液体、組成物及び分子を作製する方法、並びにこれを含む動作デバイス及びシステムを更に包含する。
別の態様では、本発明の実施形態は、ホスホニウムイオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される電解質を有するデバイスを提供する。別の態様では、本発明の実施形態は、ホスホニウムイオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される電解質を含む電池を提供する。更なる態様では、本発明の実施形態は、ホスホニウムイオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される電解質を含む電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)を提供する。
ホスホニウムイオン液体組成物は、その有利な特性により、電子デバイス、電池、EDLC、燃料電池、色素増感型太陽電池(DSSC)、及びエレクトロクロミックデバイスの電解質としての用途に対して特に適したものとなる。
本発明の更なる態様では、ホスホニウムイオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される伝熱媒体が提供される。本発明の組成物の有利な特性は、伝熱媒体によく適し、伝熱媒体が、例えば熱抽出プロセス及び高温反応等に利用されるプロセス及びシステムにおいて有用となる。
定義
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電解質」又は「電解質溶液」又は「電解質組成物」又は「イオン電解質」又は「イオン伝導性電解質」又は「イオン伝導性組成物」又は「イオン組成物」という用語が使用され、この用語は、本明細書では、以下のうちのいずれか1つ又は複数であると定義される:(a)イオン液体、(b)室温イオン液体、(c)少なくとも1つの溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩、及び(d)少なくとも1つの溶媒中に、少なくとも1つのポリマーと共に溶解することでゲル電解質を形成している1つ又は複数の塩。更に、この1つ又は複数の塩には、以下が含まれると定義される:(a)100℃以下の温度で固体である1つ又は複数の塩、及び(b)100℃以下の温度で液体である1つ又は複数の塩。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「アシル」という用語は、このカルボキシル基のOHが、いくつかの他の置換基(RCO-)、例えば「R」置換基として本明細書中に記載されているもの等で置き換えられる有機酸基を指す。例として、これらに限定されないが、ハロ、アセチル、及びベンゾイルが挙げられる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「アルコキシ基」という用語は、-O-アルキル基(アルキルは本明細書中で定義された通りである)を意味する。アルコキシ基は、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つの適切な置換基で置換することができる。好ましくは、アルコキシ基のアルキル鎖は、本明細書で例えば、「(C1〜C6)アルコキシ」と呼ばれる、1〜6個の炭素原子の長さである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「アルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルカン、アルケン又はアルキンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去して得られる、飽和又は不飽和の、分枝の、直鎖の又は環式の一価の炭化水素基を指す。同様にアルキル基の定義内に含まれるのは、シクロアルキル基、例えばC5、C6又は他の環等、及び窒素、酸素、硫黄又はリンを有するヘテロ環式環(ヘテロシクロアルキル)である。アルキルとして、ある特定の実施形態で特定の使用が見出されている、ヘテロ原子の硫黄、酸素、窒素、リン、及びケイ素を有するヘテロアルキルもまた挙げられる。アルキル基は、以下に記載されているように、各位置で独立して選択されるR基で場合によって置換することができる。
アルキル基の例として、これらに限定されないが、(C1〜C6)アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシル、並びにより長いアルキル基、例えばヘプチル、及びオクチル等が挙げられる。
「アルキル」という用語は、いかなる程度又はレベルの飽和を有する基、すなわち、もっぱら炭素-炭素単結合だけを有する基、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有する基、1つ又は複数の炭素-炭素三重結合を有する基並びに炭素-炭素単結合、二重結合及び三重結合の混合を有する基をも含むことが具体的に意図されている。具体的なレベルの飽和が意図される場合、「アルカニル」、「アルケニル」及び「アルキニル」という表現が使用される。
「アルカニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルカンの1つの炭素原子から1個の水素原子を除去して得られる、飽和した分枝の、直鎖の又は環式のアルキル基を指す。「ヘテロアルカニル」は上に記載のように含まれる。
「アルケニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルケンの1つの炭素原子から1個の水素原子を除去して得られる少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、不飽和の分枝の、直鎖の又は環式のアルキル基を指す。この基は、二重結合に対してcis又はtrans立体配置のいずれであってもよい。適切なアルケニル基として、これらに限定されないが、(C2〜C6)アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2-エチルヘキセニル、2-プロピル-2-ブテニル、4-(2-メチル-3-ブテン)-ペンテニル等が挙げられる。アルケニル基は、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の、独立して選択されるR基で置換することができる。
「アルキニル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、親アルキンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去して得られる少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、不飽和の分枝の、直鎖の又は環式のアルキル基を指す。
同様に「アルキル」の定義内に含まれるのは、「置換アルキル」である。「置換」は普通、本明細書で「R」として指定され、1個又は複数の水素原子が独立して同じ又は異なる置換基で置き換えられている基を指す。R置換基は、これらに限定されないが、水素、ハロゲン、アルキル(置換アルキル(アルキルチオ、アルキルアミノ、アルコキシ等)、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、及び置換シクロヘテロアルキルを含む)、アリール(置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールを含む)、カルボニル、アルコール、アミノ、アミド、ニトロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、スルホキシル、カルバモイル、アシル、シアノ、チオシアナト、ケイ素部分、ハロゲン、硫黄含有部分、リン含有部分等から独立して選択することができる。一部の実施形態では、本明細書中に記載されているように、R置換基は、レドックス活性部分(ReAM)を含む。一部の実施形態では、場合によってR及びR'は、これらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキル(シクロヘテロアルキルを含む)及び/又はシクロアリール(シクロヘテロアリールを含む)を形成し、これらは、所望する場合、更に置換することもできる。本明細書で描写されている構造において、Rは、その位置が非置換である場合、水素である。一部の位置が2つ又は3つの置換基、R、R'、及びR"を許容する場合があり、この場合、R、R'、及びR"基は同じでも異なってもよいことに注意すべきである。
一部の実施形態では、R基(サブユニット)は、対象化合物のレドックス電位を調節するために使用される。したがって、以下及び本明細書で引用された参考文献においてより完全に記載されているように、R基、例えばレドックス活性サブユニット等は、そのレドックス電位を変化させるために、大環状分子、特にポルフィリン大環状分子に加えることができる。ある特定の好ましい置換基として、これらに限定されないが、4-クロロフェニル、3-アセトアミドフェニル、2,4-ジクロロ-4-トリフルオロメチル、及びフェロセン(フェロセン誘導体を含む)が挙げられる。置換基がレドックス電位を変化させるために使用される場合、好ましい置換基は、約5ボルト未満、好ましくは約2ボルト未満、より好ましくは約1ボルト未満のレドックス電位範囲を提供する。
ある特定の実施形態では、R基は、参照により本明細書に援用されている米国仮特許出願第60/687,464号の図及びテキストにおいて定義及び描写されている通りである。いくつかの適切なプロリガンド及び錯体、並びに適切な置換基は、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,728,129号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号;米国特許第6,381,169号;米国特許第6,208,553号;米国特許第6,657,884号;米国特許第6,272,038号;米国特許第6,484,394号;及び米国特許出願第10/040,059号;米国特許出願第10/682,868号;米国特許出願第10/445,977号;米国特許出願第10/834,630号;米国特許出願第10/135,220号;米国特許出願第10/723,315号;米国特許出願第10/456,321号;米国特許出願第10/376,865号において概要が述べられており、これらのすべて、特にそこに描写されているこれらの構造及び説明については参照により明示的に援用されており、これにより、置換基が内部に描写されている特定の大環状分子、及び更なる置換誘導体の両方について、置換基実施形態として明示的に援用されている。
「アリール」又は本明細書での文法的同等物は、5〜14個の炭素原子を一般的に含有する芳香族の単環式又は多環式炭化水素部分(ただし、より大きな多環式環構造が作製され得る)及びその任意の炭素環式ケトン、イミン、又はチオケトン誘導体を意味し、自由原子価を有する炭素原子は、芳香族環の構成員である。芳香族基として、アリーレン基及び2個よりも多くの原子が除去された芳香族基が挙げられる。本出願の目的のため、アリールにはヘテロアリールが含まれる。「ヘテロアリール」は、表示された炭素原子のうちの1〜5個が、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素及びケイ素から選ばれるヘテロ原子で置き換えられている芳香族基を意味し、自由原子価を有する原子は、芳香族環、及びその任意のヘテロ環式ケトン及びチオケトン誘導体の構成員である。したがって、ヘテロ環として、単環及び多環系の両方、例えばチエニル、フリル、ピロリル、ピリミジニル、インドリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、チアゾリル、イミダゾリル、ナフタレン、フェナントロリン等が挙げられる。同様にアリールの定義内に含まれるのは、本明細書で定義され、上記及び本明細書で概要が述べられているような1つ又は複数の置換基「R」を有する置換アリールである。例えば、「パーフルオロアリール」が含まれており、これは、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられているアリール基を指す。同様に含まれているのはオキサリルである。
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、周期表のVIIA族(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、及びアスタチン)の電気陰性元素のうちの1つを指す。
「ニトロ」という用語は、-NO2基を指す。
「アミノ基」又は本明細書での文法的同等物は、-NH2、-NHR及びNRR'基を意味し、R及びR'は、独立して、本明細書中で定義された通りである。
本明細書で使用する場合、「ピリジル」という用語は、1つのCHユニットが窒素原子で置き換えられている、アリール基を指す。
本明細書で使用する場合、「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
ここで使用する場合、「チオシアナト」という用語は、-SCN基を指す。
「スルホキシル」という用語は、アルキル(シクロアルキル、パーフルオロアルキル等)、又はアリール(例えば、パーフルオロアリール基)を含む、組成物RS(O)-(式中、Rは本明細書中で定義された通りの置換基である)の基を指す。例として、これらに限定されないがメチルスルホキシル、フェニルスルホキシル等が挙げられる。
「スルホニル」という用語は、アルキル、アリール、(シクロアルキル、パーフルオロアルキル、又はパーフルオロアリール基を含む)を有する、組成物RSO2-(式中、Rは、本明細書中で定義された通りの置換基である)の基を指す。例として、これらに限定されないがメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p-トルエンスルホニル等が挙げられる。
「カルバモイル」という用語は、組成物R(R')NC(O)-(式中、R及びR'は、本明細書中で定義された通りである)の基を指す。例として、これらに限定されないがN-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル等が挙げられる。
「アミド」という用語は、組成物R1CONR2-(式中、R1及びR2は、本明細書中で定義された通りの置換基である)の基を指す。例として、これらに限定されないがアセトアミド、N-エチルベンズアミド等が挙げられる。
「イミン」という用語は、=NRを指す。
ある特定の実施形態では、金属が、例えば「M」又は「Mn」(式中、nは整数である)と指定された場合、この金属は、対イオンを伴うことができることが認識される。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電流測定デバイス」という用語は、特定の電場電位(「電圧」)をかけた結果として電気化学セル内に生成された電流を測定することが可能なデバイスである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「アリールオキシ基」という用語は、-O-アリール基(式中、アリールは本明細書中で定義された通りである)を意味する。アリールオキシ基は、非置換であるか、又は1つ若しくは2つの適切な置換基で置換することができる。好ましくは、アリールオキシ基のアリール環は単環式環であり、この環は、6個の炭素原子を含み、本明細書で「(C6)アリールオキシ」と呼ばれる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「ベンジル」という用語は、-CH2-フェニルを意味する。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「カルボニル」基という用語は、式-C(O)-の二価の基である。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電量測定デバイス」という用語は、電気化学セルへの電位場をかけている(「電圧」)間に生成される実効電荷を測定することが可能なデバイスである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「異なる及び区別できる」という用語は、2つの以上の酸化状態について言及している場合、実体(原子、分子、凝集体、サブユニット等)上の実効電荷が2つの異なる状態で存在することができることを意味する。これらの状態の差が室温での熱エネルギーを超える場合、これらの状態は「区別できる」と言われる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「E1/2」という用語は、E=E0+(RT/nF)1n(Dox/Dred)(式中、Rは気体定数であり、TはK(ケルビン)での温度であり、nはこのプロセスに関与する電子の数であり、FはFaraday定数(96,485Coulomb/モル)であり、Doxは酸化種の拡散率であり、Dredは還元種の拡散率である)により定義されるようなレドックスプロセスの見掛け電位(E0)の実用的な定義を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電気的にカップリングした」という用語は、記憶分子及び/又は記憶媒体並びに電極に関して使用された場合、電子が記憶媒体/分子から電極へ、又は電極から記憶媒体/分子へ移動し、これによって記憶媒体/分子の酸化状態を変化させるような、記憶媒体又は分子と電極との間の結合を指す。電気的カップリングとして、記憶媒体/分子と電極との間の直接的共有結合的連結、間接的共有結合カップリング(例えばリンカーを介して)、記憶媒体/分子と電極との間の直接的若しくは間接的イオン結合又は他の結合(例えば疎水結合)を挙げることができる。更に、実際の結合が必要ではないこともあり、記憶媒体/分子は単に電極表面に接触しているだけでよい。同様に、電極が記憶媒体/分子に十分に近接していることによって、媒体/分子と電極との間の電子トンネル効果が可能な場合には、電極と記憶媒体/分子との間の接触は必ずしも必要ではない。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電気化学セル」という用語は、最小限には、基準電極、作用電極、レドックス活性媒体(例えば、記憶媒体)、必要に応じて、電極間に及び/又は電極と媒体との間に電気伝導率をもたらすための何らかの手段(例えば、誘電体)からなる。一部の実施形態では、誘電体は、記憶媒体の1つの構成要素である。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「電極」という用語は、電荷(例えば、電子)を記憶分子へ、及び/又は記憶分子から輸送することが可能な任意の媒体を指す。好ましい電極は、金属又は伝導性有機分子である。電極は、ほぼあらゆる2次元又は3次元の形状(例えば、不連続ライン、パッド、平面、球、円柱)へと製造することができる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「固定された電極」という用語は、電極は本質的に安定しており、記憶媒体に対して動かすことができないという事実を反映することを意図する。すなわち、電極及び記憶媒体は、互いに本質的に固定された幾何学的関係で配置されている。熱変化による媒体の拡張及び収縮が原因で、又は電極及び/又は記憶媒体を構成する分子の立体配置における変化が原因で、この関係はいくらか変化することは当然認識されている。それにもかかわらず、全体的な空間的配置は、本質的に不変のままである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「リンカー」という用語は、2個の異なる分子、分子の2つのサブユニット、又は分子を基材へカップリングさせるために使用される分子である。
本明細書中に記載されている化合物の多くが、本明細書で「R」として一般的に描写されている置換基を利用している。適切なR基として、これらに限定されないが、水素、アルキル、アルコール、アリール、アミノ、アミド、ニトロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、ケイ素部分、ハロゲン、シアノ、アシル、硫黄含有部分、リン含有部分、Sb、イミド、カルバモイル、リンカー、付加部分、ReAM及び他のサブユニットが挙げられる。一部の位置が2つの置換基、R及びR'を許容する場合があり、この場合、R及びR'基は同じでも異なっていてもよく、置換基のうちの1つが水素であることが一般的に好ましいことに注意すべきである。一部の実施形態では、R基は、米国の図及びテキストにおいて定義及び描写されている通りである。いくつかの適切なプロリガンド及び錯体、並びに適切な置換基は、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,728,129号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号;米国特許第6,381,169号;米国特許第6,208,553号;米国特許第6,657,884号;米国特許第6,272,038号;米国特許第6,484,394号;及び米国特許出願第10/040,059号;米国特許出願第10/682,868号;米国特許出願第10/445,977号;米国特許出願第10/834,630号;米国特許出願第10/135,220号;米国特許出願第10/723,315号;米国特許出願第10/456,321号;米国特許出願第10/376,865号において概要が述べられており、これらのすべて、特にそこに描写されているこれらの構造及び説明については参照により明示的に援用されており、これにより、置換基が内部に描写されている特定の大環状分子、及び更なる置換誘導体の両方について、置換基実施形態として明示的に援用されている。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「サブユニット」という用語は、分子のレドックス活性成分を指す。
本発明のホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物
本明細書で詳細に記載されているように、本発明の新規のホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物の実施形態は、望ましい特性及び特に高い熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、高いイオン伝導率、及び広い電気化学的安定性ウィンドウのうちの少なくとも2つ以上の組合せを示す。1つの組成物内での望ましいレベルまでの組合せ、及び一部の実施形態では、望ましいレベルでのこれらの特性のすべての組合せは、予期せぬものであり、予想されておらず、公知のイオン組成物よりも重要な利点をもたらす。このような特性を示す本発明のホスホニウム組成物の実施形態は、以前に入手可能ではなかった用途及びデバイスを可能にする。
一部の実施形態では、本発明のホスホニウムイオン液体は、選択されたアニオンとカップリングした、選択された分子量及び置換パターンを有するホスホニウムカチオンを含むことによって、熱力学的安定性、イオン伝導率、液相範囲、及び低い揮発性特性の調節可能な組合せを有するイオン液体を形成する。
一部の実施形態では、本明細書の「イオン液体」とは、100℃以下で液状である塩を意味する。「室温」イオン液体は、室温以下で液状であると本明細書で更に定義される。
他の実施形態では、「電解質」又は「電解質溶液」又は「電解質組成物」又は「イオン電解質」又は「イオン伝導性電解質」又は「イオン伝導性組成物」又は「イオン組成物」という用語が使用され、この用語は、本明細書では、以下のうちのいずれか1つ又は複数であると定義される:(a)イオン液体、(b)室温イオン液体、(c)少なくとも1つの溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩、及び(d)少なくとも1つの溶媒中に、少なくとも1つのポリマーと共に溶解することでゲル電解質を形成している1つ又は複数の塩。更に、この1つ又は複数の塩には、以下が含まれると定義される:(a)100℃以下の温度で固体である1つ又は複数の塩、及び(b)100℃以下の温度で液体である1つ又は複数の塩。
一部の実施形態では、本発明は、約400℃の温度まで、更に普通は約375℃の温度までの熱力学的安定性を示すホスホニウムイオン液体及びホスホニウム電解質を含む。これほど高い温度までの熱安定性を示すことは重要な発展であり、広い範囲の用途での本発明のホスホニウムイオン液体の使用を可能にする。本発明のホスホニウムイオン液体及びホスホニウム電解質の実施形態は、室温で、少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を更に示す。本発明のホスホニウムイオン液体及びホスホニウム電解質の実施形態は、これらの窒素ベースの類似体と比較して約20%低い揮発性を示す。高い熱安定性、高いイオン伝導率、広い液相範囲、及び低い揮発性のこの組合せは、高度に望ましく、予期しないものであった。従来技術では一般的に、イオン液体の熱安定性及びイオン伝導率は、逆相関を示すことが判明している。
一部の実施形態では、ホスホニウムイオン液体及びホスホニウム電解質は、500ダルトンまでの分子量を有するカチオンで構成される。他の実施形態では、ホスホニウムイオン液体及びホスホニウム電解質は、より低い熱安定領域において、イオン液体に対して200〜500ダルトンの範囲の分子量を有するカチオンで構成される。
本発明のホスホニウムイオン組成物は、一般式:
R1R2R3R4P (1)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)のホスホニウムベースのカチオンで構成される。一部の実施形態では、カチオンは開鎖で構成される。
一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基である。一実施形態では、アルキル基のうちの少なくとも1つは、他の2つとは異なる。一実施形態では、アルキル基のいずれもがメチルではない。一部の実施形態では、アルキル基は、2〜7個の炭素原子、更に普通は、1〜6個の炭素原子で構成される。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、2〜14個の炭素原子で構成される異なるアルキル基である。一部の実施形態では、アルキル基は分枝を含有しない。一実施形態では、脂肪族、ヘテロ環式部分においてR1=R2である。代わりに、芳香族、ヘテロ環式部分において、R1=R2である。
一部の実施形態では、R1又はR2は、フェニル又は置換アルキルフェニルで構成される。一部の実施形態では、R1及びR2は同じであり、テトラメチレン(ホスホラン)又はペンタメチレン(ホスホリナン)で構成される。代わりに、R1及びR2は同じであり、テトラメチニル(ホスホール)で構成される。更なる実施形態では、R1及びR2は同じであり、ホスホラン又はホスホリナンで構成される。更に、別の実施形態では、R2、R3及びR4は同じであり、ホスホラン、ホスホリナン又はホスホールで構成される。
一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つ、それ以上、又はすべては、以下に記載されているレドックス活性分子(ReMA)と反応する官能基をそれぞれが含有しないように選択される。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つ、それ以上、又はすべては、ハロゲン化物、金属又はO、N、P、若しくはSbを含有しない。
一部の実施形態では、アルキル基は1〜7個の炭素原子を含む。他の実施形態では、すべてのアルキル基の炭素原子の合計は12個以下である。更に他の実施形態では、アルキル基は、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子、更に通常では、1〜5個の炭素原子で構成される。
別の実施形態では、ホスホニウムイオン組成物が提供され、このホスホニウムイオン組成物は、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩から構成され、この1つ又は複数の塩は、一般式:
R1R2R3R4P (1)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、これらに限定されないが、以下に記載されているようなアルキル基等の置換基である)の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子、更に普通は、1〜4個の炭素原子で構成されるアルキル基である。一部の実施形態では、R基のうちの1つ又は複数の中の水素原子のうちの1個又は複数はフッ素で置換されている。塩のうちのいずれか1つ又は複数は、100℃以下の温度で液体であっても固体であってもよい。一部の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び1つのアニオンで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び複数のアニオンで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのアニオン及び複数のカチオンで構成される。更なる実施形態では、塩は、複数のカチオン及び複数のアニオンで構成される。適切な溶媒の例示的実施形態として、これらに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数が挙げられる:アセトニトリル、エチレンカーボネート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はメチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸メチル(MP)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロベンゼン(FB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フェニルエチレンカーボネート(PhEC)、プロピルメチルカーボネート(PMC)、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びγ-バレロラクトン(GVL)。
例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
別の例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更に別の例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
別の例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更に別の例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
更なる別の例示的実施形態では、ホスホニウムカチオンは以下の式で構成される:
Figure 2016506033
別の例示的実施形態は、以下の式で構成されるホスホニウムカチオンを提供する:
Figure 2016506033
以下の式で構成されるホスホニウムカチオンが更に提供される:
Figure 2016506033
一部の実施形態では、適切なホスホニウムカチオンの例として、これらに限定されないが、ジ-n-プロピルエチルホスホニウム;n-ブチルn-プロピルエチルホスホニウム;n-ヘキシルn-ブチルエチルホスホニウム等が挙げられる。
他の実施形態では、適切なホスホニウムカチオンの例として、これらに限定されないが、エチルホスホラン;n-プロピルホスホラン;n-ブチルホスホラン;n-ヘキシルホスホラン;及びフェニルホスホランが挙げられる。
更なる実施形態では、適切なホスホニウムカチオンの例として、これらに限定されないが、エチルホスホール;n-プロピルホスホール;n-ブチルホスホール;n-ヘキシルホスホール;及びフェニルホスホールが挙げられる。
更に別の実施形態では、適切なホスホニウムカチオンの例として、これらに限定されないが、1-エチルホスファシクロヘキサン;n-プロピルホスファシクロヘキサン;n-ブチルホスファシクロヘキサン;n-ヘキシルホスファシクロヘキサン;及びフェニルホスファシクロヘキサンが挙げられる。
本発明のホスホニウムイオン液体又は塩は、カチオン及びアニオンで構成される。当業者であれば理解することになるように、多種類の、可能なカチオン及びアニオンの組合せが存在する。本発明のホスホニウムイオン液体又は塩は、上に記載のようなカチオンを、一般式:
C+A-
(式中、C+はカチオンであり、A+はアニオンである)の試薬又は溶媒と容易にイオン交換される化合物から一般的に選択されるアニオンと共に含む。有機溶媒の場合、C+は好ましくはLi+、K+、Na+、NH4 +又はAg+である。水性溶媒の場合、C+は好ましくはAg+である。
多くのアニオンが選択され得る。好ましい一実施形態において、アニオンは、ビス-パーフルオロメチルスルホニルイミドである。適切なアニオンの例示的実施形態として、これらに限定されないが、以下のうちのいずれか1つ又は複数が挙げられる:NO3 -、O3SCF3 -、N(SO2CF3)2 -、PF6 -、O3SC6H4CH3 -、O3SCF2CF2CF3 -、O3SCH3 -、I-、C(CN)3 --O3SCF3-N(SO2)2CF3、CF3BF3 --O3SCF2CF2CF3、SO4 2--O2CCF3-O2CCF2CF2CF3、又は-N(CN)2
一部の実施形態では、本発明のホスホニウムイオン液体又は塩は、単一のカチオン-アニオンペアで構成される。代わりに、2つ以上のホスホニウムイオン液体又は塩を使用して、共通の二成分系、混合した二成分系、共通の三成分系、混合した三成分系等を形成することができる。二成分系、三成分系等に対する組成範囲は、各成分カチオン及び各成分アニオンに対して1ppmから999,999ppmまでを含む。別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、塩は、100℃の温度で液体であっても固体であってもよい。一部の実施形態では、塩は、単一のカチオン-アニオンペアで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び複数のアニオンで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのアニオン及び複数のカチオンで構成される。更なる他の実施形態では、塩は、複数のカチオン及び複数のアニオンで構成される。
本発明の一部の実施形態による電解質組成物は、本明細書と同時に出願し、その全体の開示が参照により本明細書に援用する、同時係属の米国特許出願番号 (代理人整理番号057472-058)において更に記載されている。
好ましい一実施形態において、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表1A及び表1Bに示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される。別の好ましい実施形態では、ホスホニウム電解質組成物は、以下の表1C、表1D、表1E及び表1Fに示されているカチオン及びアニオンの組合せを有するホスホニウム塩で構成される。明確にするために、式では電荷の符号が省略されている。
表1Aは、共通のカチオンを有するアニオン二成分系の例を例示している:
Figure 2016506033
表1Bは、カチオン及びアニオンの組合せの例を例示している:
Figure 2016506033
別の実施形態では、ホスホニウム電解質組成物は、以下の表1C-1〜表 1C-3に示されているようなカチオンを有する塩で構成される:
Figure 2016506033
Figure 2016506033
Figure 2016506033
別の実施形態では、ホスホニウム電解質組成物は、以下の表1D-1〜表1D-4に示されているようなアニオンを有する塩で構成される:
Figure 2016506033
Figure 2016506033
Figure 2016506033
Figure 2016506033
更なる実施形態では、ホスホニウム電解質組成物は、以下の表1E-1〜表1E-4に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せを有する塩で構成される:
Figure 2016506033
Figure 2016506033
Figure 2016506033
Figure 2016506033
一部の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、以下の式の1つ又は複数のカチオン:
P(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)4-x-y(x、y=0〜4であり、x+y≦4である)
P(CF3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)4-x-y(x、y=0〜4であり、x+y≦4である)
P(-CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
P(-CH2CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
及び以下の式の1つ又は複数のアニオン:
(CF3)xBR4-x(x=0〜4である)
(CF3(CF2)n)xPF6-x(n=0〜2であり、x=0〜4である)
(-OCO(CH2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(n=0〜2であり、x=0〜2である)
(-OCO(CF2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(n=0〜2であり、x=0〜2である)
(-OCO(CH2)nCOO-)2B(n=0〜2である)
(-OCO(CF2)nCOO-)2B(n=0〜2である)
(-OOR)x(CF3)BF3-x(x=0〜3である)
(-OCOCOCOO-)(CF3)xBF2-x(x=0〜2である)
(-OCOCOCOO-)2B
(-OSOCH2SOO-)(CF3)xBF2-x(x=0〜2である)
(-OSOCF2SOO-)(CF3)xBF2-x(x=0〜2である)
(-OCOCOO-)x(CF3)yPF6-2x-y(x=1〜3であり、y=0〜4であり、2x+y≦6である)
で構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式:
P(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)4-x-y(式中、x、y=0〜4であり、x+y≦4である)
の1つ又は複数のカチオン
及び
式:
(CF3)xBF4-x(式中、x=0〜4である)
(CF3(CF2)n)xPF6-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜4である)
(-OCO(CH2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜2である)
(-OCO(CH2)nCOO-)2B(式中、n=0〜2である)
(-OSOCH2SOO-)(CF3)xBF2-x(式中、x=0〜2である)
(-OCOCOO-)x(CF3)yPF6-2x-y(x=1〜3であり、y=0〜4であり、2x+y≦6である)
の1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式:
P(-CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(式中、x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
P(-CH2CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(式中、x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
の1つ又は複数のカチオン
及び
式:
(CF3)xBF4-x(式中、x=0〜4である)
(CF3(CF2)n)xPF6-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜4である)
(-OCO(CH2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜2である)
(-OCO(CH2)nCOO-)2B(式中、n=0〜2である)
(-OSOCH2SOO-)(CF3)xBF2-x(式中、x=0〜2である)
(-OCOCOO-)x(CF3)yPF6-2x-y(x=1〜3であり、y=0〜4であり、2x+y≦6である)
の1つ又は複数のアニオンで構成される。
一実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、PF6、(CF3)3PF3、(CF3)4PF2、(CF3CF2)4PF2、(CF3CF2CF2)4PF2、(-OCOCOO-)PF4、(-OCOCOO-)(CF3)3PF、(-OCOCOO-)3P、BF4、CF3BF3、(CF3)2BF2、(CF3)3BF、(CF3)4B、(-OCOCOO-)BF2、(-OCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOO-)(CF3)2B、(-OSOCH2SOO-)BF2、(-OSOCF2SOO-)BF2、(-OSOCH2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCF2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCH2SOO-)B(CF3)2、(-OSOCF2SOO-)B(CF3)2、CF3SO3、(CF3SO2)2N、(-OCOCOO-)2PF2、(CF3CF2)3PF3、(CF3CF2CF2)3PF3、(-OCOCOO-)2B、(-OCO(CH2)nCOO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)B(CF3)2、(-OCOCR2COO-)2B、CF3BF(-OOR)2、CF3B(-OOR)3、CF3B(-OOR)F2、(-OCOCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOCOO-)B(CF3)2、(-OCOCOCOO-)2B、(-OCOCR1R2CR1R2COO-)BF(CF3)、及び(-OCOCR1R2CR1R2COO-)B(CF3)2(式中、R、R1、及びR2は、それぞれ独立して、H又はFである)からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンで構成される。
一実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式:(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P+のカチオン及び式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3)(CH3CH2)3P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3CH2CH2)3(CH3)P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3CH2CH2)3(CH3CH2)P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3CH2CH2)2(CH3CH2)(CH3)P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
別の実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、式(CH3CH2)4P+のカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。
更なる実施形態では、ホスホニウム電解質は、溶媒中に溶解した塩で構成され、この塩は、モル比1:3:1の式(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)Pのカチオン及び式BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される。一部の実施形態では、アニオンは、[BF4 -]:[CF3BF3 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のBF4 -及びCF3BF3 -の混合物で構成される。他の実施形態では、アニオンは、[PF6 -]:[CF3BF3 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のPF6 -及びCF3BF3 -の混合物で構成される。また更なる実施形態では、アニオンは、[PF6 -]:[BF4 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のPF6 -及びBF4 -の混合物で構成される。
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表2に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表3に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
更なる好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表4に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
更に更なる好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表5に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表6に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表7に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表8に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表9に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
別の好ましい実施形態では、ホスホニウムイオン液体組成物は、以下の表10に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成される:
Figure 2016506033
更なる好ましい実施形態は、以下の表11に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成されるホスホニウムイオン液体組成物を含む:
Figure 2016506033
以下の表12に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成されるホスホニウムイオン液体組成物の更なる好ましい実施形態が提供される:
Figure 2016506033
別の好ましい例示的実施形態は、以下の表13に示されているようなカチオン及びアニオンの組合せで構成されるホスホニウムイオン液体組成物を含む:
Figure 2016506033
一部の実施形態では、適切なホスホニウムイオン液体組成物の更なる例として、これらに限定されないが、ジ-n-プロピルエチルメチルホスホニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ブチル n-プロピルエチルメチルホスホニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ヘキシル n-ブチルエチルメチルホスホニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
適切なホスホニウムイオン液体組成物の例示的例として、これらに限定されないが、1-エチル-1-メチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-プロピルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ブチルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド; n-ヘキシルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;及びフェニルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが更に挙げられる。
別の実施形態では、適切なホスホニウムイオン液体組成物の例として、これらに限定されないが、1-エチル-1-メチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-プロピルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ブチルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ヘキシルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;及びフェニルメチルホスホラニウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが挙げられる。
適切なホスホニウムイオン液体組成物の更なる例示的実施形態として、これらに限定されないが、1-エチル-1-メチルホスファシクロヘキサンビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-プロピルメチルホスファシクロヘキサンビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ブチルメチルホスファシクロヘキサンビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;n-ヘキシルメチルホスファシクロヘキサンビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;及びフェニルメチルホスファシクロヘキサンビス-(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが挙げられる。
本発明のホスホニウムイオン液体はまた、一部の実施形態に従い、1つ若しくは複数の固体、又は固体及び液体から共晶を形成し得る。この場合、「イオン液体」という用語は、イオン固体、又はイオン液体及びイオン固体、例えば二成分系、三成分系等から生じた共晶であるイオン液体を含むと更に定義される。
レドックス活性分子
本明細書中に記載されている本発明のホスホニウムイオン液体は、広い範囲のハイブリッドコンポーネント及び/又はデバイス、例えばメモリーデバイス及び素子等を合成するために利用することができる。例示的実施形態では、本明細書のホスホニウムイオン液体は、情報がレドックス活性情報記憶分子に記憶される分子メモリーデバイスを形成するために使用される。
本明細書の「レドックス活性分子(ReAM)」という用語は、例えば、適切な電圧をかけることにより、酸化又は還元することが可能な分子又は分子の成分を指すことを意図する。以下に記載されているように、ReAMとして、これらに限定されないがポルフィリン及びポルフィリン誘導体を含めた大環状分子、並びに非大環状化合物を挙げることができ、サンドイッチ化合物、例えば本明細書中に記載されているようなもの等が挙げられる。ある特定の実施形態では、ReAMは、例えばダイアド(dyad)又はトリアド(triad)の場合等は複数のサブユニットを含むことができる。ReAMとして、フェロセン、Bipy、PAH、ビオローゲン等を挙げることができる。一般的に、以下に記載されているように、大環状及び非大環状部分を含めて、すべて多座プロリガンドベースの、本発明において有用ないくつかのタイプのReAMが存在する。いくつかの適切なプロリガンド及び錯体、並びに適切な置換基は、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,728,129号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号;米国特許第6,381,169号;米国特許第6,208,553号;米国特許第6,657,884号;米国特許第6,272,038号;米国特許第6,484,394号;及び米国特許出願第10/040,059号;米国特許出願第10/682,868号;米国特許出願第10/445,977号;米国特許出願第10/834,630号;米国特許出願第10/135,220号;米国特許出願第10/723,315号;米国特許出願第10/456,321号;米国特許出願第10/376,865号において概要が述べられており、これらのすべて、特にそこに描写されているこれらの構造及び説明については参照により明示的に援用されている。
適切なプロリガンドは、2つのカテゴリーに分かれる:窒素、酸素、硫黄、炭素又はリン原子(金属イオンに応じて)を配位原子として使用するリガンド(文献ではシグマ(σ)ドナーと一般的に呼ばれる)及び有機金属リガンド、例えばメタロセンリガンド等(文献ではパイ(π)ドナーと一般的に呼ばれ、本明細書ではLmとして描写されている)。
更に、単一のReAMは、2つ以上のレドックス活性を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2007/0108438号の図13Aは、2つのレドックス活性サブユニット、ポルフィリン(金属の不在下で示されている)、及びフェロセンを示している。同様に、サンドイッチ配位化合物は単一のReAMとみなされる。これは、これらReAMがモノマーとして重合されている場合と区別されることになる。更に本発明の金属イオン/錯体は、本明細書で一般的に描写されていない対イオンを伴ってもよい。
大環状リガンド
一実施形態では、ReAMは大環状リガンドであり、この大環状リガンドは、大環状プロリガンド及び大環状錯体の両方を含む。本明細書の「大環状プロリガンド」とは、これらが金属イオンと結合できるように方向づけられたドナー原子(本明細書では時々「配位原子」と呼ばれる)を含有し、金属原子を取り囲むのに十分な大きさの環式化合物を意味する。一般的にドナー原子は、これらに限定されないが、窒素、酸素及び硫黄を含めたヘテロ原子であり、窒素が特に好ましい。しかし、当業者であれば理解することになるように、異なる金属イオンは、異なるヘテロ原子に優先的に結合し、したがって使用されるヘテロ原子は、所望の金属イオンによって異なり得る。更に一部の実施形態では、単一の大環状分子は、異なるタイプのヘテロ原子を含有することができる。
「大環状錯体」は、少なくとも1つの金属イオンを有する大環状プロリガンドであり、一部の実施形態では、大環状錯体は、単一の金属イオンを含むが、ただし、以下に記載されているように、多核大環状錯体を含む多核錯体もまた想定される。
多種多様な大環状リガンドが、電子的にコンジュゲートしたもの及びそうでない可能性のあるものを含めて、本発明において使用が見出されているが、しかし、本発明の大環状リガンドは、好ましくは少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の酸化状態を有し、4、6及び8つの酸化状態は特に意義がある。
適切な大環状リガンドのおおまかな概略図は、米国特許出願公開第2007/0108438号の図11及び図14に示され、記載されており、図11及び図14に加えてそのすべてが参照により本明細書に援用されている。ポルフィリンをほぼベースとする本実施形態では、16員環(-X-部分が単一原子を含有する場合、炭素又はヘテロ原子のいずれか)、17員環(-X-部分の1つが2個の骨格原子を含有する場合)、18員環(-X-部分の2つが2個の骨格原子を含有する場合)、19員環(-X-部分の3つが2個の骨格原子を含有する場合)又は20員環(-X-部分の4つすべてが2個の骨格原子を含有する場合)がすべて想定される。各-X-基は独立して選択される。-Q-部分は、骨格の-C-ヘテロ原子-C(炭素及びヘテロ原子を独立して接続する一重結合又は二重結合のいずれかを有する)と一緒になって、1つ若しくは2つの(5員環の場合)又は1つ、2つ、若しくは3つの(6員環の場合)独立して選択されるR2基で場合によって置換されている、5又は6員環を形成する。一部の実施形態では、化合物が結果として電子的にコンジュゲートするように、及び最低でも少なくとも2つの酸化状態を有するように、環、結合及び置換基が選ばれる。
一部の実施形態では、本発明の大環状リガンドは、ポルフィリン(特に以下に定義された通りのポルフィリン誘導体)、及びシクレン誘導体からなる群から選択される。
ポルフィリン
本発明において適切な大環状分子の特に好ましいサブセットはポルフィリン誘導体を含めたポルフィリンである。このような誘導体として、ポルフィリン核にオルト縮合した、又はオルトペリ縮合した追加の環を有するポルフィリン、ポルフィリン環の1個又は複数の炭素原子が別の元素の原子で置き換えられているポルフィリン(骨格置換)、ポルフィリン環の窒素原子が別の元素の原子で置き換えられている誘導体(窒素の骨格置換)、水素以外の置換基がポルフィリンの周辺原子(メソ-、3-又は核原子に位置する誘導体、ポルフィリンの1つ又は複数の結合の飽和を有する誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン、ピロコルフィン等)、ピロールユニット及びピロメテニル(pyrromethenyl)ユニットを含む1つ又は複数の原子がポルフィリン環に挿入された誘導体(拡張ポルフィリン)、1つ又は複数の基がポルフィリン環から除去された誘導体(縮小ポルフィリン、例えば、コリン、コロール)並びに前述の誘導体の組合せ(例えばフタロシアニン、サブフタロシアニン、及びポルフィリン異性体)が挙げられる。更なる適切なポルフィリン誘導体として、これらに限定されないが、エチオフィリン(etiophyllin)、ピロポルフィリン、ロードポルフィリン、フィロポルフィリン、フィロエリスリン、クロロフィルa及びbを含めたクロロフィル基、並びにジュウテロポルフィリン、ジュウテロヘミン、ヘミン、ヘマチン、プロトポルフィリン、メソヘミン、ヘマトポルフィリン、メソポルフィリン、コプロポルフィリン、ウルポルフィリン(uruporphyrin)及びツラシン(turacin)を含めたヘモグロビン基、並びにテトラアリールアザジピロメチンの系列が挙げられる。
本明細書で概要を述べた化合物についてそうであるように、及び当業者であれば理解することになるように、各不飽和位置は、炭素又はヘテロ原子のいずれでも、本明細書で定義されたような1つ又は複数の置換基を、この系の所望の原子価に応じて含むことができる。
好ましい一実施形態では、レドックス活性分子はメタロセンであってよく、このメタロセンは、本明細書で独立して選択されるR基を使用して任意の適当な位置で置換することができる。本発明において特定の使用が見出されているメタロセンとして、フェロセン及びその誘導体が挙げられる。本実施形態では、好ましい置換基として、これらに限定されないが、4-クロロフェニル、3-アセトアミドフェニル、2,4-ジクロロ-4-トリフルオロメチルが挙げられる。好ましい置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲を提供する。
系列のメンバーの酸化電位は、金属(M)又は置換基を変更することによって、規定通りに変化させることができることが理解される。
ポルフィリンで構成されるレドックス活性分子の別の例が、米国特許出願公開第2007/018438号の図12H(ここで、Fは、レドックス活性サブユニット(例えば、フェロセン、置換フェロセン、メタロポルフィリン、又はメタロクロリン等)であり、J1はリンカーであり、Mは金属(例えばZn、Mg、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Mn、B、Al、Ga、Pb及びSn等)であり、S1及びS2は、独立して、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、イミド、アミド、及びカルバモイルの群から選択され、前記置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲を提供し、K1、K2、K3及びK4は、独立して、N、O、S、Se、Te及びCHの群から選択され、Lはリンカーであり、Xは、基材、基材へのカップリング、及び基材にイオンカップリングすることができる反応部位の群から選択される)に示されている。好ましい実施形態では、X又はL-Xは、アルコール又はチオールであってよい。一部の実施形態では、L-Xは排除され、S1又はS2と同じ群から独立して選択される置換基で置き換えることができる。
本発明のメモリーデバイスに使用されるレドックス活性分子のレドックス活性ユニットのホール蓄積及びホールホッピング特性に対する制御により、メモリーデバイスのアーキテクチャーに対する細かい制御が可能となる。
このような制御は、合成設計を介して実行される。ホール蓄積特性は、これら自体が本発明のデバイスに使用される記憶媒体である、又はこの記憶媒体を組み立てるために使用される、レドックス活性ユニット又はサブユニットの酸化電位によって異なる。ホール蓄積特性及びレドックス電位は、基本分子、関連する金属及び周辺置換基の選択により正確に調節することができ(Yangら(1999) J. Porphyrins Phthalocyanines、3: 117〜147頁)、この開示は本参照により本明細書に援用されている。
例えば、ポルフィリンの場合、Mgポルフィリンは、Znポルフィリンよりも容易に酸化され、電子求引性又は電子放出性のアリール基は、予測可能な様式で酸化特性をモジュレートすることができる。ホールホッピングは、ナノ構造内の等エネルギーポルフィリン間で生じ、ポルフィリンを接合している共有結合リンカーを介して仲介される(Sethら(1994) J. Am. Chem. Soc.、116: 10578〜10592頁、Sethら(1996) J. Am. Chem. Soc.、118: 11194〜11207頁、Strachanら(1997) J. Am. Chem. Soc.、119: 11191〜11201頁、Liら(1997) J. Mater. Chem.、7: 1245〜1262頁、Strachanら(1998) Inorg. Chem.、37: 1191〜1201頁、Yangら(1999) J. Am. Chem. Soc.、121: 4008〜4018頁)、これらの開示は、それらの全体が本参照により本明細書に具体的に援用されている。
予測されたレドックス電位を有する化合物の設計は、当業者に周知である。一般的に、レドックス活性ユニット又はサブユニットの酸化電位は、当業者に周知であり、調べることができる(例えば、Handbook of Electrochemistry of the Elementsを参照されたい)。更に、一般的に、分子のレドックス電位に対する様々な置換基の効果は、一般的に加算性である。したがって、理論的酸化電位は、任意の電位データ記憶分子に対して容易に予測することができる。実際の酸化電位、特に情報記憶分子又は情報記憶媒体の酸化電位は、標準的な方法に従い測定することができる。通常、酸化電位は、基本分子の実験的に求めた酸化電位を、1つの置換基を保持する基本分子の酸化電位と比較して、その特定の置換基に起因する電位のシフトを求めることにより予測される。次いで、それぞれの置換基に対するこのような置換基依存性電位シフトの合計から、予測酸化電位が得られる。
本発明の方法に使用するための特定のレドックス活性分子の適合性は、容易に求めることができる。本発明の方法に従い、対象となる分子は簡単に重合され、表面(例えば水素で不動態化された表面)にカップリングされる。次いで(例えば、本明細書中又は米国特許第6,272,038号;米国特許第6,212,093号;及び米国特許第6,208,553号、国際公開第01/03126号、又は(Rothら(2000) Vac. Sci. Technol. B 18:2359〜2364頁、Rothら(2003) J.Am. Chem. Soc. 125:505〜517頁)に記載されているように)、正弦波ボルタンメトリーを実施することによって、以下を評価することができる:1)分子が表面にカップリングされているかどうか、2)被覆(カップリング)の程度、3)分子がカップリング手順の間に分解するかどうか、及び4)複数の読み出し/書き込み操作に対する分子の安定性。
更に「ポルフィリン」の定義内に含まれるのは、ポルフィリンプロリガンドと少なくとも1つの金属イオンとを含むポルフィリン錯体である。ポルフィリン化合物に対して適切な金属は、配位原子として使用されるヘテロ原子によって異なることになるが、一般的に遷移金属イオンから選択される。「遷移金属」という用語は、本明細書で使用する場合、通常、周期表の3〜12族の中の38個の元素を指す。通常、遷移金属は、これらの原子価電子、又は他の元素と組み合わせるためにそれらが使用する電子が複数の殻内に存在し、結果的に多くの場合いくつかの共通の酸化状態を示すという事実によって特徴づけられる。ある特定の実施形態では、本発明の遷移金属として、これらに限定されないが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホジウム、及び/又はこれらの酸化物、及び/又は窒化物、及び/又は合金、及び/又は混合物のうちの1つ又は複数が挙げられる。
他の大環状分子
シクレン誘導体をベースとするいくつかの大環状分子が存在する。米国特許出願公開第2007/0108438号の図17及び図13Cは、独立して選択された炭素又はヘテロ原子の包含による骨格拡張を含むことができる、シクレン/シクラム誘導体を大体ベースとするいくつかの大環状プロリガンドを示している。一部の実施形態では、少なくとも1つのR基は、好ましくは金属に電子的にコンジュゲートしたレドックス活性サブユニットである。一部の実施形態では、少なくとも1つのR基がレドックス活性サブユニットである場合を含めて、2つ以上の隣接するR2基が環又はアリール基を形成する。
更に、一部の実施形態では、有機金属リガンドに依存する大環状錯体が使用される。レドックス部分として使用するための純粋な有機化合物、及びヘテロ環式又は環外の置換基としてのドナー原子を有するδ結合有機リガンドを有する様々な遷移金属配位錯体に加えて、π結合有機リガンドを有する、多種多様な遷移金属有機金属化合物が利用可能である(Advanced Inorganic Chemistry、第5版、Cotton & Wilkinson、John Wiley & Sons、1988、26章;Organometallics, A Concise Introduction、Elschenbroichら、第2版、1992、VCH;及びComprehensive Organometallic Chemistry II, A Review of the Literature 1982〜1994、Abelら編、7巻、7, 8, 10 及び11章、Pergamon Pressを参照されたい、これらは本明細書によって参照により明示的に援用されている)。このような有機金属リガンドは、シクロペンタジエニドイオン[C5H5(-1)]等の環式芳香族化合物、並びにビス(シクロペンタジエニル)金属化合物(すなわちメタロセン)のクラスを生成する、インデニライド(indenylide)(-1)イオン等の様々な環置換及び環縮合誘導体を含む、例えば参照により援用される、Robinsら、J. Am. Chem. Soc. 104:1882〜1893頁(1982)、及びGassmanら、J. Am. Chem. Soc. 108:4228〜4229頁(1986)を参照されたい。これらのうち、フェロセン[(C5H5)2Fe]及びその誘導体は、多種多様な化学的(参照により援用される、Connellyら、Chem. Rev. 96:877〜910頁(1996))及び電気化学的(参照により援用される、Geigerら、Advances in Organometallic Chemistry 23:1〜93頁及びGeigerら、Advances in Organometallic Chemistry 24:87頁)電子移動又は「レドックス」反応に使用されてきた典型的な例である。様々な第1、第2及び第3周期の遷移金属のメタロセン誘導体は、レドックス部分(及びレドックスサブユニット)として有用である。他の潜在的に適切な有機金属リガンドとして、ビス(アレーン)金属化合物を生成するための、ベンゼン等の環式アレーン、及びこれらの環置換及び環縮合誘導体が挙げられ、中でもビス(ベンゼン)クロムは典型的な例である。アリル(-1)イオン、又はブタジエン等、他の非環式π結合リガンドは、潜在的に適切な有機金属化合物を生成し、すべてのこのようなリガンドは、他のπ結合及びδ結合リガンドと併せて、その内部に金属炭素結合が存在する有機金属化合物の一般的なクラスを構成する。架橋有機リガンド、及び更なる非架橋リガンドを有する、並びに金属-金属結合を有する及び有さない、このような化合物の様々なダイマー及びオリゴマーの電気化学的研究はすべて有用である。
1つ又は複数のコリガンドが有機金属リガンドである場合、このリガンドは、一般的に、有機金属リガンドの炭素原子のうちの1個を介して付加されているが、ただし、付加は、ヘテロ環式リガンドに対して他の原子を介してもよい。好ましい有機金属リガンドとして、置換誘導体及びメタロセネオファン(Cotton and Wilkenson、前出の1174頁を参照されたい)を含めたメタロセンリガンドが挙げられる。例えば、メタロセンリガンドの誘導体、例えば、メチルシクロペンタジエニル等は、ペンタメチルシクロペンタジエニル等の複数のメチル基を有するものが好ましいが、これを使用することによって、メタロセンの安定性を増加させることができる。一部の実施形態では、特にサブユニット又は部分のレドックス電位を変化させるために、メタロセンは、本明細書で概要が述べられているような1つ又は複数の置換基で誘導体化される。
本明細書中に記載されているように、リガンドの任意の組合せを使用することができる。好ましい組合せとして、以下が挙げられる:a)すべてのリガンドが窒素供与リガンドである;b)すべてのリガンドが有機金属リガンドである。
サンドイッチ配位錯体
一部の実施形態では、ReAMはサンドイッチ配位錯体である。「サンドイッチ配位化合物」又は「サンドイッチ配位錯体」という用語は、式L-Mn-Lの化合物(式中、各Lはヘテロ環式リガンド(以下に記載されている通り)であり、各Mは金属であり、nは2以上であり、最も好ましくは2又は3であり、各金属は、一対のリガンドの間に位置し、(金属の酸化状態に応じて)各リガンド内の1個又は複数のヘテロ原子(通常は複数のヘテロ原子、例えば、2、3、4、5個等)に結合している)を指す。したがって、サンドイッチ配位化合物は、金属が炭素原子に結合している、フェロセン等の有機金属化合物ではない。サンドイッチ配位化合物内のリガンドは、一般的に積み重なる方向に配置される(すなわち、一般的には共平面的に配向され、互いに軸方向に整列しているが、ただしこれらは、互いに対して、その軸の周りを回転していてもいなくてもよい)(例えば、参照により援用される、Ng and Jiang (1997) Chemical Society Reviews 26: 433〜442頁を参照されたい)。サンドイッチ配位錯体として、これらに限定されないが「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」及び「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」が挙げられる。サンドイッチ配位化合物の合成及び使用は、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号に詳細に記載されており、これらの分子の重合は、米国特許出願公開第2007/0123618号に記載されており、これらのすべて、特にサンドイッチ錯体及び「単一の大環状分子」錯体の両方において使用が見出される個々の置換基は本明細書に含まれている。
「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」という用語は、上に記載のような、nが2であるサンドイッチ配位化合物、したがって式L'-M'-LZ(式中、L1及びLZのそれぞれは同じでも異なっていてもよい)を有するサンドイッチ配位化合物を指し(例えば、Jiangら(1999) J. Porphyrins Phthalocyanines 3: 322〜328頁及び米国特許第6,212,093号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号を参照されたい)、これらの分子の重合は、その全体が参照により本明細書に援用されている、米国特許出願公開第2007/0123618号に記載されている。
「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」という用語は、上に記載のような、nが3であるサンドイッチ配位化合物、したがって式L'-M'LZ-MZ-L3(式中、L1、LZ及びL3のそれぞれは同じでも異なっていてもよく、M1及びMZは同じでも異なっていてもよい)を有するサンドイッチ配位化合物を指し(例えば、Arnoldら(1999) Chemistry Letters 483〜484頁及び米国特許第6,212,093号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号を参照されたい)、これらの分子の重合は、その全体が参照により本明細書に援用されている、米国特許出願公開第2007/0123618号に記載されている。
更に、これらのサンドイッチ化合物のポリマーもまた有用であり、これには、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号に記載されているような「ダイアド」及び「トリアド」が含まれ、これらの分子の重合は、参照により援用されている米国特許出願公開第2007/0123618号に記載されている。
非大環状プロリガンド及び錯体
一般的な規定として、非大環状キレート化剤を含むReAMは、金属イオンに結合することによって、非大環状キレート化合物を形成し、この理由は、金属の存在により、複数のプロリガンドが一緒に結合することによって、複数の酸化状態を得ることが可能になるためである。
一部の実施形態では、窒素供与プロリガンドが使用される。適切な窒素供与プロリガンドは当技術分野で周知であり、これらに限定されないが、NH2;NHR;NRR';ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジン及びビピリジンの置換誘導体;テルピリジン及び置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10-フェナントロリン(短縮してphen)及びフェナントロリンの置換誘導体、例えば4,7-ジメチルフェナントロリン及びジピリドル(dipyridol)[3,2-a:2',3'-c]フェナジン(短縮してdppz)等;ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(短縮してhat);9,10-フェナントレンキノンジイミン(短縮してphi);1,4,5,8-テトラアザフェナントレン(短縮してtap);1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン(短縮してcyclam)並びにイソシアニドが挙げられる。縮合誘導体を含めた置換誘導体もまた使用することができる。金属イオンを配位的に飽和させず、別のプロリガンドの追加を必要とする大環状リガンドは、この目的のためには非大環状とみなされることに注意すべきである。当業者であれば理解することになるように、いくつかの「非大環状」リガンドを共有結合で付加することによって、配位的に飽和した化合物を形成することは可能であるが、それは環式骨格を欠いている。
炭素、酸素、硫黄及びリンを使用する適切なシグマ供与リガンドは、当技術分野で公知である。例えば、適切なシグマ炭素ドナーは、参照により本明細書に援用されている、Cotton and Wilkenson、Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons、1988(例えば、38頁を参照されたい)に見出される。同様に、適切な酸素リガンドは、クラウンエーテル、水及び当技術分野で公知の他のものを含む。ホスフィン及び置換ホスフィンもまた適切である、Cotton and Wilkensonの38頁を参照されたい。
酸素、硫黄、リン及び窒素供与リガンドは、ヘテロ原子が配位原子として機能することを可能にするような方式で付加される。
多核化プロリガンド及び錯体
更に、一部の実施形態では、多核化リガンドである多座リガンドを利用し、例えばこれらの多座リガンドは、複数の金属イオンを結合することが可能である。これらの多座リガンドは、大環状であっても、又は非大環状であってもよい。
いくつかの適切なプロリガンド及び錯体、並びに適切な置換基は、米国特許第6,212,093号;米国特許第6,728,129号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号;米国特許第6,381,169号;米国特許第6,208,553号;米国特許第6,657,884号;米国特許第6,272,038号;米国特許第6,484,394号;及び米国特許出願第10/040,059号;米国特許出願第10/682,868号;米国特許出願第10/445,977号;米国特許出願第10/834,630号;米国特許出願第10/135,220号;米国特許出願第10/723,315号;米国特許出願第10/456,321号;米国特許出願第10/376,865号において概要が述べられており、これらのすべて、特にそこに描写されているこれらの構造及び説明については参照により明示的に援用されている。
ホスホニウムイオン液体又は塩の用途及び使用
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「メモリー素子」、「メモリーセル」又は「記憶セル」という用語は、情報を記憶するために使用することができる電気化学セルを指す。好ましい「記憶セル」は、少なくとも1つ、好ましくは2つの電極(例えば作用電極及び基準電極)によりアドレスされる記憶媒体の不連続領域である。記憶セルは、個々にアドレスすることができ(例えば、独特の電極は各メモリー素子を伴う)、又は、特に、異なるメモリー素子の酸化状態が区別できる場合、複数のメモリー素子は、単一の電極によりアドレスすることができる。メモリー素子は、誘電体(例えば、対イオンを含浸させた誘電体)を場合によって含むことができる。
記憶セルに対して本明細書で使用する場合、「電極」という用語は、電荷(例えば、電子)を記憶分子へ、及び/又は記憶分子から輸送することが可能な任意の媒体を指す。好ましい電極は、これらに限定されないが、第III族元素(ドープ及び酸化した第III族元素を含む)、第IV族元素(ドープ及び酸化した第IV族元素を含む)、第V族元素(ドープ及び酸化した第V族元素を含む)及び遷移金属(遷移金属酸化物及び遷移金属窒化物を含む)を含めた、金属及び伝導性有機分子である。電極は、ほぼあらゆる2次元又は3次元の形状(例えば、不連続ライン、パッド、平面、球、円柱)へと製造することができる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「複数の酸化状態」という用語は、1つよりも多い酸化状態を意味する。好ましい実施形態では、酸化状態は、電子の増加(還元)又は電子の損失(酸化)を反映し得る。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「マルチポルフィリンアレイ」という用語は、離散的な数の2つ以上の共有結合で連結しているポルフィリンの大環状分子を指す。マルチポルフィリンアレイは、直鎖状、環状、又は分枝状であってよい。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「集積回路の出力」という用語は、1つ若しくは複数の集積回路及び/又は1つ若しくは複数の集積回路の構成要素により生成された電圧又はシグナルを指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「単一の平面上に存在する」という用語は、本発明のメモリーデバイスに関連して使用された場合、対象の構成要素(例えば記憶媒体、電極等)がデバイスの同じ物理的平面上に存在する(例えば、単一の薄板上に存在する)という事実を指す。同じ平面上にある構成要素は、通常同時に、例えば、単一の操作で製作することができる。したがって、例えば単一の平面上のすべての電極は、通常、単一の(例えば、スパッタリング)ステップ(これらがすべて同じ物質からなると仮定して)で適用させることができる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、電位差測定デバイスは、電気化学セルのレドックス分子の平衡濃度における差から生じる、界面全域にわたる電位を測定することが可能なデバイスである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「酸化」という用語は、元素、化合物、又は化学的な置換基/サブユニット中の1つ又は複数の電子の損失を指す。酸化反応において、反応に関与する元素の原子により電子が失われる。次いでこれらの原子に対する電荷はより陽性になるはずである。電子は、酸化が生じている種から失われ、したがって、電子は酸化反応において生成物として出現する。反応Fe2+(水性)→Fe3+(水性)+e-において酸化が起こっており、この理由は、酸化反応において「遊離の」実体として電子が明らかに生成されるにもかかわらず、酸化されている種、Fe2+(水性)から電子が失われるからである。逆に還元という用語は、元素、化合物、又は化学的な置換基/サブユニットによる1つ又は複数の電子の増加を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「酸化状態」という用語は、電気的に中性の状態又は元素、化合物、又は化学的な置換基/サブユニットへの電子の増加若しくは損失により生成される状態を指す。好ましい実施形態では、「酸化状態」という用語は、中性の状態及び電子の増加又は損失(還元又は酸化)により引き起こされる中性の状態以外の任意の状態を含めた状態を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「読み出し」又は「インテロゲーション(interrogation)」という用語は、1つ又は複数の分子(例えば記憶媒体を構成する分子)の酸化状態を判定することを指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「レドックス活性ユニット」又は「レドックス活性サブユニット」という用語は、適切な電圧をかけることにより、酸化又は還元することが可能な分子又は分子の成分を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「リフレッシュ」という用語は、記憶分子又は記憶媒体に関連して使用する場合、記憶分子又は記憶媒体へ電圧をかけることによって、その記憶分子又は記憶媒体の酸化状態を既定の状態(例えば、記憶分子又は記憶媒体が読み出し直前に置かれていた酸化状態)に再設定することを指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「基準電極」という用語は、作用電極から記録した測定用の基準(例えば、特定の基準電圧)を提供する1つ又は複数の電極を指すために使用される。好ましい実施形態では、本発明のメモリーデバイスの基準電極は同じ電位にあるが、ただし、一部の実施形態では必ずしもそうであるとは限らない。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「正弦波ボルタンメーター」は、電気化学セルの周波数領域特性を求めることが可能なボルタンメトリーデバイスである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「記憶密度」という用語は、記憶することができる、1容積当たりのビット数及び/又は1分子当たりのビット数を指す。記憶媒体が1分子当たり1ビットを超える記憶密度を有すると言われた場合、これは、好ましくは、記憶媒体は、単一の分子が情報の少なくとも1ビットを記憶することが可能な分子を含むという事実を指す。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「記憶場所」という用語は、記憶媒体が配置されている不連続な領域又はエリアを指す。1つ又は複数の電極でアドレスされる場合、その記憶場所は、記憶セルを形成し得る。しかし、2つの記憶場所が、本質的に同じ酸化状態を有するように同じ記憶媒体を含有し、両方の記憶場所が共通してアドレスされる場合、これらは1つの機能的記憶セルを形成し得る。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「記憶媒体」という用語は、好ましくは基板に結合している、本発明の記憶分子を含む組成物を指す。
基板は、好ましくは固体の、1つ又は複数の分子の付加に対して適切な物質である。基板は、これらに限定されないが、ガラス、プラスチック、ケイ素、無機質(例えば、クオーツ)、半導体物質、セラミック、金属等を含めた物質で形成することができる。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「ボルタンメトリーデバイス」という用語は、電圧をかけた結果又は電圧を変更した結果、電気化学セルに生成される電流を測定することが可能なデバイスである。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、電圧源は、標的(例えば、電極)に電圧をかけることが可能な任意の供給源(例えば分子、デバイス、回路等)である。
本明細書で使用する場合及び他に指摘されていない限り、「作用電極」という用語は、記憶媒体及び/又は記憶分子の状態を設定する又は読み出すために使用される1つ又は複数の電極を指すために使用される。
デバイス
本発明のホスホニウムイオン液体組成物の一部の実施形態は、様々なハイブリッド電気デバイスを形成するのに有用である。例えば、一実施形態では、第1の電極と、第2の電極と、イオン液体組成物で構成される電解質とを含むデバイスが提供され、このイオン液体組成物は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含み、前記電解質は、前記第1の及び第2の電極のうちの少なくとも1つに電気的にカップリングしている。一部の実施形態において、第1の電極は、上記に詳細に記載されているようなレドックス活性分子(ReAM)で構成される。
別の実施形態では、電気キャパシタンスを提供できるように構成された作用電極及び対電極と、上記一般式の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンを含むイオン伝導性組成物とを含む分子記憶デバイスが提供され、このイオン伝導性組成物は、少なくとも作用電極及び対電極に電気的にカップリングしている。
別の実施形態では、本発明は、スイッチングデバイスと、このスイッチングデバイスにカップリングしたビット線及びワード線と、このスイッチングデバイスを介してアクセス可能な分子記憶デバイスとを含む分子メモリー素子を包含する。この分子記憶デバイスは、2つ以上の不連続状態に置くことが可能であり、この場合分子記憶デバイスは、ビット及びワード線に加えられたシグナルにより不連続状態のうちの1つに置かれる。分子記憶デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の及び第2の電極の間の、ホスホニウムベースのカチオン及び適切なアニオンの電解質とを含む。別の実施形態は、各分子記憶素子を2つ以上の不連続状態に置くことが可能な複数の分子記憶素子を含む分子メモリーアレイを包含する。複数のビット線及びワード線は、各分子記憶素子が少なくとも1つのビット線及び少なくとも1つのワード線にカップリングし、これらによってアドレス可能となるように、複数の分子記憶素子にカップリングしている。
分子メモリーデバイスは、分子記憶素子のアドレス可能なアレイを含み得る。アドレスデコーダーはコード化したアドレスを受け取り、このコード化したアドレスに対応するワード線シグナルを作成する。ワード線ドライバーは、アドレスデコーダーとカップリングし、増幅したワード線シグナルを生成する。増幅したワード線シグナルは、分子記憶素子のアレイのメンバーをビット線に選択的にカップリングするスイッチを制御する。ビット線にカップリングした読み出し/書き込みロジックが、分子メモリーデバイスが読み出しモード又は書き込みモードにあるか否かを判定する。読み出しモードでは、各ビット線にカップリングしたセンス増幅器は、選択的にカップリングした分子記憶素子の電子状態を検出し、選択的にカップリングした分子記憶素子の電子状態を示すデータシグナルをビット線上に生成する。書き込みモードでは、読み出し/書き込みロジックは、データシグナルをビット線及び選択的にカップリングした分子記憶素子上に運ぶ。
別の実施形態は、埋込型分子メモリーデバイスで集積したロジックを含むデバイス、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)及びシステムオンチップ(SOC)デバイス等を包含する。このような実装体は、分子メモリーデバイスでモノリシックに形成され、分子メモリーデバイスに相互接続された1つ又は複数の機能コンポーネントを含む。機能コンポーネントは、固体電子デバイス及び/又は分子電子デバイスを含んでもよい。
特定の実施形態では、分子記憶デバイスは、内部に活性デバイスが形成された半導体基板に続いて、及びその上に形成された積層構造として実装される。他の実施形態では、分子記憶デバイスは、内部に活性デバイスが形成された半導体基板にミクロン又はナノメートルサイズの穴として実装される。分子記憶デバイスは、半導体基板及び半導体基板内に以前に形成された活性デバイスに適合性のある加工技法を使用して製作される。分子記憶デバイスは、例えば、電解質(例えば、セラミック又は固体電解質)で分離された2つ以上の電極表面を有する電気化学セルを含む。記憶分子(例えば、記憶する情報に対して使用することができる1つ又は複数の酸化状態を有する分子)は、電気化学セル内の電極表面にカップリングされる。
本発明の他の実施形態は、電界効果トランジスタを含むトランジスタスイッチングデバイス;ワード線にカップリングした行デコーダー;ビット線にカップリングした列デコーダー;ビット線に接続した電流前置増幅器;ビット線に接続したセンス増幅器、コード化したアドレスを受け取り、このコード化したアドレスに対応するワード線シグナルを作成するアドレスデコーダー、アドレスデコーダーにカップリングしたラインドライバー(ラインドライバーは、増幅したワード線シグナルを生成する(場合によって、増幅したワード線シグナルは、分子記憶素子のアレイのメンバーをビット線に選択的にカップリングするスイッチを制御する))、ビット線にカップリングした読み出し/書き込みロジック(読み出し/書き込みロジックは、分子メモリーデバイスが読み出しモード又は書き込みモードにあるか判定する)、各ビット線にカップリングしたセンス増幅器(デバイスが読み出しモードにある場合、各ビット線にカップリングしたセンス増幅器は、選択的にカップリングした分子記憶素子の電子状態を検出し、選択的にカップリングした分子記憶素子の電子状態を示すデータシグナルをビット線上に生成する(デバイスが書き込みモードにある場合、読み出し/書き込みロジックが、データシグナルをビット線及び選択的にカップリングした分子記憶素子上に運ぶように));電解質層;及びこれらの組合せから独立して選択される構成要素の使用を含む。
更なる実施形態は、地面にカップリングされている第2の電極、及び垂直又は平行のいずれかであるビット及びワード線を包含する。
更なる実施形態は、DRAM若しくはSRAM等の揮発性メモリー、又はフラッシュ若しくは強誘電体メモリー等の非揮発性メモリーを含む、本発明のメモリーアレイを有する。
更なる実施形態は、分子記憶デバイスが、第1の電極上に形成された付加層を含み、付加層が開口部を含み、分子の物質が開口部内にあり、付加層上に形成された第2の電極層及び電解質層に電子的にカップリングしているアレイを提供する。
別の実施形態は、特定の機能を実施するように構成されたロジックデバイスと、このロジックデバイスにカップリングした本発明の埋込型分子メモリーデバイスとを含むモノリシック集積したデバイスを包含する。このデバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SOC)、固体電子デバイス又は分子電子デバイスを場合によって含んでもよい。
本発明のメモリーデバイスは、当業者に周知の標準的な方法を使用して製作することができる。好ましい実施形態では、標準的な周知の方法に従い(例えば、Rai-Choudhury (1997) The Handbook of Microlithography, Micromachining, and Microfabrication、SPIE Optical Engineering Press;Bard & Faulkner (1997) Fundamentals of Microfabricationを参照されたい)、電極層を適切な基板(例えば、シリカ、ガラス、プラスチック、セラミック等)に適用する。様々な技法が以下並びに米国特許第6,212,093号;米国特許第6,728,129号;米国特許第6,451,942号;米国特許第6,777,516号;米国特許第6,381,169号;米国特許第6,208,553号;米国特許第6,657,884号;米国特許第6,272,038号;米国特許第6,484,394号;及び米国特許出願第10/040,059号;米国特許出願第10/682,868号;米国特許出願第10/445,977号;米国特許出願第10/834,630号;米国特許出願第10/135,220号;米国特許出願第10/723,315号;米国特許出願第10/456,321号;米国特許出願第10/376,865号;及び米国特許出願公開第2007/0123618号にも記載されており、これらのすべて、特にそこに概要が述べられている製作技法については参照により明示的に援用されている。
分子メモリーの使用から恩恵を受ける多種多様なデバイス及びシステムのアーキテクチャーが存在する。
メモリーデバイスは、N-ビットの行アドレスを行アドレスデコーダー内に、M-ビットの列アドレスを列アドレスデコーダー内に受け取ることによって動作する。行アドレスデコーダーは、1つのワード線上にシグナルを作成する。ワード線は、高い電流シグナルをワード線上に運ぶワード線ドライバー回路を含み得る。ワード線は、チップ表面の大半にわたり延伸する、長く細い伝導体である傾向があるので、ワード線シグナルを運ぶためのかなりの量の電流及び大きな電力スイッチが必要となる。その結果、ラインドライバー回路は、他のロジックに対して動作電力を提供する電源回路(示されていない)に加えて電源を備えている場合が多い。したがって、ワード線ドライバーは、大きな構成要素を含む傾向があり、大きな電流の高速切替は、ノイズを作り、電源及び電力レギュレーターの限界を圧迫し、単離構造を圧迫する傾向がある。
慣用の記憶アレイには、行(ワード線)よりも多数の列(ビット線)が存在し、この理由は、リフレッシュ操作中に、各ワード線がアクティブになることによって、そのワード線にカップリングした記憶素子のすべてをリフレッシュするからである。したがって、行の数が少ないほど、行のすべてをリフレッシュするのに要する時間は少なくて済む。本発明の1つの特徴は、分子メモリー素子は、通常のキャパシタに比べて、10秒、100秒、1000秒のオーダーで、又は効果的には無制限の秒数、かなりより長い間のデータ保持性を示すように構成することができることである。したがって、リフレッシュサイクルは、数桁低い頻度で実施するか、又はすっかり省略することができる。したがって、メモリーアレイの物理的レイアウトに実際に影響を及ぼすリフレッシュについての考慮は、緩和することができ、様々な形状のアレイを実装することができる。例えば、メモリーアレイはより多数のワード線で容易に製造することができ、これによって、各ワード線がより短くなる。その結果、各ワード線を高速で運ぶのに必要な電流がより少なくなるので、ワード線のドライバー回路を小さくする又は排除することができる。代わりに又はこれに加えて、より短いワード線をより速く運ぶことによって、読み出し/書き込みアクセス時間を向上させることができる。更に別の代替法として、メモリー場所の各行が複数のワード線を備えることによって、各メモリー場所における情報の複数の状態を記憶するためのメカニズムを得ることができる。
センス増幅器は、各ビット線にカップリングし、そのビット線にカップリングしたメモリー素子の状態を示すビット線109上のシグナルを検出するために動作し、その状態を適当なロジックレベルのシグナルまで増幅する。一実施形態では、センス増幅器は実質的に慣用の設計と共に実装してもよく、この理由は、このような慣用の設計は、分子メモリー素子からのシグナルを検出及び増幅するために動作することになるからである。代わりに、慣用キャパシタとは異なり、一部の分子記憶素子は、これらの状態を示す極めて特徴のあるシグナルを提供する。これら特徴のあるシグナルは、分子記憶デバイスからの状態シグナルは、慣用キャパシタ内に記憶されたシグナルよりも、読み出し/書き込みロジックバッファーにより容易に及び確実にラッチすることができるので、慣用のセンス増幅器ロジックに対する必要性を減少させることができる。すなわち、本発明は、センス増幅器の必要性をなくしてしまう程十分に大きなデバイスを提供することができる。
読み出し/書き込みロジックは、メモリーデバイスを読み出し又は書き込み状態に置くための回路を含む。読み出し状態では、分子アレイからのデータは(センス増幅器の作動あり又はなしで)ビット線上に置かれ、読み出し/書き込みロジックのバッファー/ラッチによりキャプチャーされる。列アドレスデコーダーは、特定の読み出し操作においてどのビット線がアクティブであるか選択することになる。書き込み操作では、読み出し/書き込みロジックは、ワード線がアクティブになった際にそのデータがアドレスしたメモリー素子内にすでに記憶されている任意のデータを上書きするように、選択されたビット線上にデータシグナルを運ぶ。
リフレッシュ操作は、読み出し操作と実質的に同様であるが、しかし、ワード線は外部から適用されたアドレスではなく、むしろリフレッシュ回路(示されていない)により運ばれる。リフレッシュ操作では、使用されている場合、センス増幅器がメモリー素子の現在の状態を示すシグナルレベルまでビット線を運び、その値は自動的にメモリー素子に書き直される。読み出し操作とは異なり、ビット線の状態は、リフレッシュ中に読み出し/書き込みロジックにカップリングされない。この操作は、使用した分子の電荷保持時間が使用したデバイスの稼働寿命(例えば、フラッシュメモリーの10年程度)よりも短い場合のみ必要とされる。
中央処理ユニットと分子メモリーとを含む例示的埋込型システムにおいて、メモリーバスは、CPU及び分子メモリーデバイスとカップリングすることによって、アドレス、データ、及び制御シグナルを交換する。場合によって、埋込型システムはまた、メモリーバスにカップリングした慣用のメモリーを含有してもよい。慣用のメモリーは、ランダムアクセスメモリー(例えば、DRAM、SRAM、SDRAM等)、又はリードオンリーメモリー(例えば、ROM、EPROM、EEPROM等)を含んでもよい。これらの他のタイプのメモリーは、データ分子メモリーデバイスをキャッシングすること、オペレーティングシステム又はBIOSファイルを記憶すること等に対して有用となり得る。埋込型システムは、CPUと外部デバイス及びシステムとの通信を可能にする、1つ又は複数の入力/出力(I/O)インターフェイスを含んでもよい。I/Oインターフェイスは、シリアルポート、パラレルポート、無線周波数ポート、光ポート、赤外線ポート等により実装されてもよい。更に、インターフェイスは、パケットベースのプロトコルを含めた任意の利用可能なプロトコルを使用して通信するように構成してもよい。
電池
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、リチウムイオン電池及び充電式リチウム金属電池(本明細書では時々総合的に「リチウム電池」と呼ばれている)を含めた、様々な電池、例えばリチウム一次電池及びリチウム二次電池等の電解質によく適している。リチウム一次電池の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:リチウム/二酸化マンガン(Li/MnO2)、リチウム/一フッ化炭素(Li/CFx)、リチウム/銀バナジウム酸化物(Li/Ag2V4O11)、Li-(CF)x、リチウム/二硫化鉄(Li/FeS2)、及びリチウム/酸化銅(Li/CuO)。リチウムイオン電池(LIB)の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:炭素、グラファイト、グラフェン、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、Si/Coドープした炭素、金属酸化物、例えばリチウムチタン酸化物(LTO)等のアノード、並びにリチウムコバルト酸化物(LCO)(LiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(LMO)(LiMn2O4)、リン酸鉄リチウム(LFP)(LiFePO4)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)(Li(NiMnCo)O2)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)(Li(NiCoAl)O2)、リチウムニッケルマンガン酸化物(LNMO)(Li2NiMn3O8)、及びリチウムバナジウム酸化物(LVO)のカソード。充電式リチウム金属電池の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:リチウムコバルト酸化物(LCO)(LiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(LMO)(Li/Mn2O4)、リン酸鉄リチウム(LFP)(LiFePO4)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)(Li(NiMnCo)O2)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)(Li(NiCoAl)O2)、リチウムニッケルマンガン酸化物(LNMO)(Li2NiMn3O8)のカソードとリチウム金属アノード、リチウム/硫黄電池、及びリチウム/空気電池。
電池に対して本明細書で使用する場合、「陰極」及び「アノード」という用語は、両方とも「陰極」を意味するように使用される。同様に、「陽極」及び「カソード」という用語は、両方とも「陽極」を意味するように使用される。
本発明の一実施形態では、電池デバイスはシングルセルを含む。図1を参照すると、シングルセル電池10の概略断面図が示されており、このシングルセル電池10は、一対の電極、つまり集電板14、14'に結合したアノード12及びカソード12'と、2つの電極の間に挟まれた分離フィルム又は膜16と、分離体及び1つ又は複数の電極の細孔に浸透し、これらを満たしている電解質溶液18(示されていない)とを含む。
本発明の別の実施形態では、図2A及び図2Bを参照すると、電池電極はバイポーラ配置20に製作することができ、ここで、アノード22及びカソード24は、「バイポーラ」集電体26の両側に付加している。マルチセル電池は、必要とされるより高い電圧(及び電力)を得るためにいくつかのシングルセルをバイポーラスタックに配置することによって製作することができる。例示的マルチセル電池30が図2Bに示されており、図の中でバイポーラスタックは、4つのユニットセル32〜38からなる。各セルは図1のシングルセル10と同じ構造を有する。バイポーラスタックにおいて、各セルは、セル間のイオンバリアとしての機能も果たす単一の集電板を有するその隣接するセルから分離されている。このような設計は、セルを介する電流路を最適化し、セル間のオームの損失を減少させ、電流収集によるパッケージングの質量を最小限に抑える。この結果がより高いエネルギー及び出力密度を有する効率的な電池である。
一部の実施形態では、電池は、平面又はフラット構造の電極/分離体/電極集合体を用いて形成される。他の実施形態では、電池は、捲回したらせん状構造、例えば円柱状及び角柱状構造の電極/分離体/電極集合体を用いて形成される。
アノード(陰性)電極活性物質は、セルが設計される化学反応のタイプに応じて様々な物質のいずれかとすることができる。本発明の一実施形態では、セルは、アノードがリチウム又はリチウム合金ホイルで作製されているリチウム金属電池である。リチウム又はリチウム合金ホイルがアノードとして使用される実施形態では、リチウムはこの目的を果たすためにも十分な電子伝導率を有しているのでアノード集電体は必要とされないこともある。本発明の別の実施形態では、セルは、アノード活性物質が、通常、リチウムイオンのインターカレーション/デインターカレーション(挿脱)を可能にする層状構造を有するグラファイトカーボンであるリチウムイオン電池である。グラファイトアノードは、グラファイト粉末から作製され、このグラファイト粉末は、バインダー物質によりまとめられて多孔質構造を形成する。代わりに、アノード物質は、リチウムイオンに対してホスト物質として機能することができる(すなわち、吸収及び放出することができる)他の物質のいずれかとすることができる。このような物質の例として、これらに限定されないがグラフェン、リチウム合金、例えばLi-Al、Li-Si、Li-Sn、及びLi-Mg等が挙げられる。ケイ素及びケイ素合金は、リチウムイオン電池におけるアノード電極物質として有用なことが知られている。例として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)及びこれらの混合物のケイ素合金が挙げられる。一部の配置において、金属酸化物、酸化ケイ素又は炭化ケイ素及びグラファイトとのこれらの組合せもまたアノード電極物質として使用することができる。
カソード(陽性)電極活性物質は、セルが設計される化学反応のタイプに応じて様々な物質のいずれかとすることができる。本発明の一実施形態では、セルは、カソード活性物質が、通常、リチウムイオンインターカレーション/デインターカレーションを可能にする層状又はトンネル構造を有する金属酸化物である、リチウム又はリチウムイオン電池である。カソード電極は、金属酸化物粉末から作製され、この金属酸化物粉末は、バインダー物質によりまとめられて多孔質構造を形成する。カソード活性物質は、リチウムイオンに対してホスト物質として機能することができる任意の物質とすることができる。このような物質の例として、これらに限定されないが、一般式LixA1-yMyO2(式中、AはMn、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つの遷移金属を含み、MはB、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、In、Nb、Mo、W、Y、及びRhからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み、xは0.05≦x≦1.1により記載され、yは0≦y≦0.5により記載される)により記載される物質が挙げられる。1つの配置では、陽極物質はLiNi0.5Mn0.5O2である。
1つの配置では、カソード活性物質は、一般式:LixMn2-yMyO2(式中、MはMn、Ni、Co、及び/又はCrから選択され、xは0.05≦x≦1.1により記載され、yは0≦y≦2により記載される)により記載される。別の配置では、カソード活性物質は、一般式:LixMyMn4-yO8(式中、MはFe及び/又はCoから選択され、xは0.05≦x≦2により記載され、yは0≦y≦4により記載される)により記載される。別の配置では、カソード活性物質は、一般式Lix(FeyM1-y)PO4(式中、Mは遷移金属、例えばMn、Co及び/又はNi等から選択され、xは0.9≦x≦1.1により記載され、yは0≦y≦1により記載される)で与えられる。更に別の配置では、カソード活性物質は、一般式:Li(Ni0.5-xCo0.5-xM2x)O2(式中、MはAl、Mg、Mn、及び/又はTiから選択され、xは0≦x≦0.2により記載される)で与えられる。一部の配置では、カソード物質としてLiNiVO2が挙げられる。
一部の実施形態では、電極バインダー物質は、これらに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数から選択される:ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート、アクリレートタイプコポリマー(ACM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルエーテル(PVE)、又はこれらの組合せ。
一部の実施形態では、分離体物質は、これらに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数から選択される:微多孔性ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFコーティングされたポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、レゾルシノールホルムアルデヒドポリマー等のフィルム又は膜、セルロース紙、ポリスチレン不織布、アクリル樹脂繊維、ポリエステル不織フィルム、ポリカーボネート膜、及び繊維ガラス紙、又はこれらの組合せ。
一実施形態では、電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、これらに限定されないが、以下に記載されているようなアルキル基等の置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のイオン液体若しくは塩で構成される。一部の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子、更に普通は、1〜4個の炭素原子で構成されるアルキル基である。塩のうちのいずれか1つ又は複数は、100℃以下の温度で液体であっても固体であってもよい。一部の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び1つのアニオンのペアで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのカチオン及び複数のアニオンで構成される。他の実施形態では、塩は、1つのアニオン及び複数のカチオンで構成される。更なる実施形態では、塩は、複数のカチオン及び複数のアニオンで構成される。
一実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するイオン液体で構成され、このイオン液体組成物は、375℃までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cmのイオン伝導率を示す。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有する、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、この電解質組成物は、室温で、少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を示す。
一部の実施形態では、電解質組成物は、PF6、(CF3)3PF3、(CF3)4PF2、(CF3CF2)4PF2、(CF3CF2CF2)4PF2、(-OCOCOO-)PF4、(-OCOCOO-)(CF3)3PF、(-OCOCOO-)3P、BF4、CF3BF3、(CF3)2BF2、(CF3)3BF、(CF3)4B、(-OCOCOO-)BF2、(-OCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOO-)(CF3)2B、(-OSOCH2SOO-)BF2、(-OSOCF2SOO-)BF2、(-OSOCH2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCF2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCH2SOO-)B(CF3)2、(-OSOCF2SOO-)B(CF3)2、CF3SO3、(CF3SO2)2N、(-OCOCOO-)2PF2、(CF3CF2)3PF3、(CF3CF2CF2)3PF3、(-OCOCOO-)2B、(-OCO(CH2)nCOO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)B(CF3)2、(-OCOCR2COO-)2B、CF3BF(-OOR)2、CF3B(-OOR)3、CF3B(-OOR)F2、(-OCOCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOCOO-)B(CF3)2、(-OCOCOCOO-)2B、(-OCOCR1R2CR1R2COO-)BF(CF3)、及び(-OCOCR1R2CR1R2COO-)B(CF3)2(式中、R、R1、及びR2は、それぞれ独立して、H又はFである)からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンを有する1つ又は複数のリチウム塩で構成される。
一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩は、これらに限定されないが、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はリチウムトリフラート(LiCF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N又はLiIm)、及びビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3CF2SO2)2N又はLiBETI)を含めたリチウムベースの塩である。
別の実施形態では、電解質組成物は、1つ又は複数の慣用の、非ホスホニウム塩を更に含む。一部の実施形態では、電解質組成物は慣用の塩で構成されていてもよく、この場合本明細書中に開示されているホスホニウムベースのイオン液体又は塩は添加剤である。一部の実施形態では、電解質組成物は、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩及び1つ又は複数の慣用の塩で構成され、これらは、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩:慣用の塩のモル(又はモル濃度)比1:100〜1:1の範囲で存在する。慣用の塩の例として、これらに限定されないが、テトラアルキルアンモニウム、例えば、(CH3CH2)4N+、(CH3CH2)3(CH3)N+、(CH3CH2)2(CH3)2N+、(CH3CH2)(CH3)3N+、(CH3)4N+等、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピラジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピロリジニウムからなる群から選択される1つ又は複数のカチオンと、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、(CF3SO2)3C-からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンとで構成される塩が挙げられる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩として、これらに限定されないが、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIBF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-1-メチルピロリジニウム(EMPBF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIIm)、ヘキサフルオロリン酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIPF6)が挙げられる。一部の実施形態では、電解質組成物は、これらに限定されないが以下の溶媒のうちの1つ又は複数で更に構成される:アセトニトリル、エチレンカーボネート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はメチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸メチル(MP)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロベンゼン(FB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フェニルエチレンカーボネート(PhEC)、プロピルメチルカーボネート(PMC)、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びγ-バレロラクトン(GVL)。
一実施形態では、本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物は、分離体及び多孔性電極と接触しており、任意の適切な手段、例えば、浸漬、スプレー、スクリーン印刷等により、セルの組立て以前に多孔性電極及び分離体に適用してもよい。別の実施形態では、本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物は、任意の適切な手段、例えば、真空射出装置を使用すること等により、セルの組立て後に多孔性電極及び分離体に適用してもよい。別の実施形態では、本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物は、ポリマーゲル電解質フィルム又は膜に形成してもよい。代わりに、ポリマーゲル電解質を電極に直接適用してもよい。このような自立型ゲル電解質フィルム又はゲル電解質コーティングした電極の両方が、大量及び高生産性の製造プロセス、例えばロールツーロール巻取りプロセス等に対して特に適切である。このような電解質フィルムの別の利点は、電解質としてだけでなく分離体としても機能することができる。このような電解質フィルムを電解質送達ビヒクルとして使用することによって、電解質溶液の量及び分布を正確に制御し、したがってセルの組立ての一貫性を向上させ、製品収量を増加させることもできる。一部の実施形態では、電解質フィルムは、2008年2月7日に出願し、その全体の開示が参照により本明細書に援用されている、同時係属の特許出願第12/027,924号に記載されているような膜で構成される。
一部の実施形態では、集電体は、これらに限定されないが、以下のうちの1つ又は複数から選択される:アルミニウムの板又はホイル又はフィルム、カーボンコーティングされたアルミニウム、ステンレススチール、カーボンコーティングされたステンレススチール、金、白金、銀、高伝導性金属又はカーボンドープしたプラスチック、又はこれらの組合せ。
例示的実施形態では、リチウム金属電池は、アルミニウム集電体に結合した、リチウムホイルで作製されたアノード及びリチウムニッケルマンガン酸化物(LNMO)で作製されたカソードと、2つの電極の間に挟まれたCelgard(登録商標)ポリプロピレン/ポリエチレン分離体と、分離体及び電極と接触している、本明細書中に開示されているようなホスホニウム電解質とを含む。
別の例示的実施形態では、リチウム金属電池は、アルミニウム集電体に結合した、リチウムホイルで作製されたアノード及びリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)で作製されたカソードと、2つの電極の間に挟まれたCelgard(登録商標)ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン分離体と、分離体及び電極と接触している、本明細書中に開示されているようなホスホニウム電解質とを含む。
更なる例示的実施形態では、リチウムイオン電池は、銅集電体に結合したグラファイト粒子で作製されたアノード、及びアルミニウム集電体に結合したリチウムコバルト酸化物(LCO)で作製されたカソードと、2つの電極の間に挟まれたCelgard(登録商標)ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン分離体と、分離体及び電極の細孔に浸透し、これらを満たしている、本明細書中に開示されているようなホスホニウム電解質とを含む。
別の例示的実施形態では、電池は、セル構成要素のスタックとして作製される。アノード活性物質粒子及びバインダーは、集電体の片側に接着することによって、片面アノード電極を形成する。カソード活性物質粒子及びバインダーは、集電体の片側に接着することによって、片面カソード電極を形成する。アノード及びカソード活性物質粒子並びにバインダーは、「バイポーラ」集電体の両側に接着することによって、図2A及び図2Bに例示されているようなバイポーラ又は両面電極を形成する。マルチセルスタックは、片面アノードの上に第1のCelgard(登録商標)分離体を置き、第1の分離体の上に、カソードを下方に向けて第1のバイポーラ電極を置き、第1のバイポーラ電極の上に第2の分離体を置き、第2の分離体の上に、カソード側面を下方に向けて第2のバイポーラ電極を置き、第2のバイポーラ電極の上に第3の分離体を置き、第3の分離体の上に、カソード側面を下方に向けて第3のバイポーラ電極を置き、第3のバイポーラ電極の上に第4の分離体を置き、第4の分離体の上に片面カソードを置いて4セルスタックを形成することによって作製される。上に記載のようにマルチセルモジュールを最初に形成することによって、より多くのセルを含む電池を作製することができる。次いでモジュールは、所望の数のモジュールに到達するまで、1つのモジュールを別のモジュールの上に積み重ねる。アノード/分離体/カソード集合体は縁の周りを部分的に密閉する。縁が完全に密閉される前に分離体及び電極の細孔が満たされるように、本明細書中に開示されている十分な量のホスホニウム電解質を集合体に加える。
別の例示的実施形態では、らせん状に捲回した電池が形成される。アノード活性物質粒子及びバインダーを集電体の両側に接着することによって、両面アノード電極を形成する。カソード活性物質粒子及びバインダーを集電体の両側に接着することによって、両面カソード電極を形成する。アノード/分離体/カソードスタック又は集合体は、第1のCelgard(登録商標)分離体の上に両面アノードを置き、アノード電極の上に第2の分離体を置き、第2の分離体の上に両面カソード電極を置くことによって作製される。スタックは、円柱状構造を形成するための円形らせん又は角柱状構造を形成するための平坦らせんのいずれかの堅いセルコア部に巻きつける。次いでスタックは、縁を部分的に密閉するか、又は缶の中に入れる。本明細書中に記載されている電解質のいずれかの十分な量を最終密封前にスタックの分離体及び電極の細孔に加える。このような組立ては、ロールツーロール巻取りプロセスで自動化することができる。
エネルギーサイクル効率の増強及び最大電力の送達に対する主な要求事項は、セルの等価直列抵抗(ESR)が低いことである。したがって、電池電解質がイオン運動に対して高い伝導率を有することは有用である。驚くべきことに、本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物が、上に記載のように、慣用電解質に取って代わる場合、又はホスホニウム塩が慣用電解質と共に添加剤として使用される場合、イオン伝導率は有意に増加し、電池デバイスの性能安定性は、以下の実施例の中に見ることができるように、大いに向上している。
1つの例示的実施形態では、溶媒なしの希釈されていないホスホニウムイオン液体(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3は、15.2mS/cmのイオン伝導率を示す。
別の例示的実施形態では、ホスホニウムイオン液体(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3は、アセトニトリル(ACN)の溶媒中に混合した場合、1.5〜2.0の間のACN/イオン液体体積比において75mS/cmのイオン伝導率を示す。
別の例示的実施形態では、ホスホニウムイオン液体(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3は、炭酸プロピレン(PC)の溶媒中に混合した場合、0.75〜1.25の間のPC/イオン液体体積比において22mS/cmのイオン伝導率を示す。
他の例示的実施形態では、様々なホスホニウム塩を、1.0Mの濃度でアセトニトリル(ACN)溶媒に溶解した。生成した電解質は、室温で約28mS/cmを超える、又は約34mS/cmを超える、又は約41mS/cmを超える、又は約55mS/cmを超える、又は約61mS/cmを超えるイオン伝導率を示した。
別の例示的実施形態では、EC(エチレンカーボネート)及びDEC(ジエチルカーボネート)の質量比1:1の混合溶媒(EC:DEC=1:1として記述)中1.0MのLiPF6の慣用電解質溶液に、10w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を加える。ホスホニウム添加剤の添加と共に、電解質のイオン伝導率は、-30℃で109%、並びに+20℃及び+60℃で約25%増加している。一般的に、慣用電解質溶液のイオン伝導率は、ホスホニウム添加剤の結果として少なくとも25%増加している。
更なる例示的実施形態では、EC(エチレンカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)及びEMC(エチルメチルカーボネート)の質量比1:1:1の混合溶媒(EC:DEC:EMC 1:1:1として記述)中1.0MのLiPF6の慣用電解質溶液に、10w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を加える。ホスホニウム添加剤の添加と共に、電解質のイオン伝導率は、20℃で36%、60℃で26%、及び90℃で38%増加している。一般的に、慣用電解質溶液のイオン伝導率は、ホスホニウム添加剤の結果として少なくとも25%増加している。
分離体は、セルESRの最も大きな単一供給源であることが判明している。したがって、適切な分離体が、これを電解質に浸漬させた場合高いイオン伝導率を有し、最小の厚さを有すると有用である。一実施形態では、分離体は約100μm未満の厚さである。別の実施形態では、分離体は約50μm未満の厚さである。別の実施形態では、分離体は約30μm未満の厚さである。更に別の実施形態では、分離体は約10μm未満の厚さである。
本明細書中に開示されている新規のホスホニウム電解質組成物を、慣用電解質の代替品として使用する、又はホスホニウム塩を慣用電解質中で添加剤として使用する別の重要な利点は、これらが慣用電解質と比較してより広い電気化学的電圧安定性ウィンドウを示すことである。
一部の例示的実施形態では、様々なホスホニウム塩をアセトニトリル(ACN)溶媒中に溶解することによって、1.0Mの濃度で電解質溶液を形成する。電気化学的電圧ウィンドウは、Pt作用電極及びPt対電極及びAg/Ag+基準電極を有するセルにおいて判定される。1つの配置では、安定した電圧ウィンドウは、約-3.0V〜+2.4Vの間である。別の配置では、電圧ウィンドウは、約-3.2V〜+2.4Vの間である。別の配置では、電圧ウィンドウは、約-2.4V〜+2.5Vの間である。別の配置では、電圧ウィンドウは、約-1.9V〜+3.0Vの間である。
更なる例示的実施形態では、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する慣用電解質溶液に、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を加える。ホスホニウム添加剤の使用により、開始酸化電位(陽性の安定性ウィンドウ)は、ホスホニウム添加剤を有さない電解質溶液に対する4.4Vから、より陽性電位の最大7.1Vまで増加している。一般的に、10〜25w%の間の濃度のホスホニウム添加剤の添加により、開始酸化電位が約2.1〜2.7V間で増加する。
別の例示的実施形態では、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FECを含有する慣用電解質溶液に、10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]BF4を加える。開始酸化電位は、4.4Vから7.4Vまで増加している、つまり3.0Vの増加である。
別の例示的実施形態では、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する慣用電解質溶液に、10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]CF3BFF3を加える。開始酸化電位は、4.6Vから6.3Vまで増加している、つまり1.7Vの増加である。
更なる例示的実施形態では、シングルセル電池は、リチウム金属又はグラファイトアノード、NMC又はLNMO又はLCOカソード、及び添加剤としての様々なホスホニウム塩と共にEC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液で構成される。1つの配置では、電池は、4.7Vまで充電することができる。別の配置では、電池は、4.6Vまで充電することができる。更に別の配置では、電池は、最大4.4Vまで充電することができる。
一部の好ましい実施形態では、電池は異なるセル電圧で動作するように設計される。1つの配置では、電池は4.7V〜5.1Vの範囲のセル電圧で動作する。別の配置では、電池は4.3V〜4.6Vの範囲のセル電圧で動作する。別の配置では、電池は4.2V〜4.4Vの範囲のセル電圧で動作する。更なる配置では、電池は3.5V〜4.1Vの範囲のセル電圧で動作する。
本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物を、慣用電解質の代替品として使用する、又はホスホニウム塩を慣用電解質中で添加剤として使用する別の重要な利点は、これらが慣用電解質と比較してより低い蒸気圧、したがってより低い可燃性を示し、したがって電池動作の安全性を向上させることである。本発明の一態様では、慣用電解質(慣用の非ホスホニウム塩を含有)と共に添加剤としてホスホニウム塩を使用する場合、ホスホニウム塩及び慣用の塩は、電解質中に、ホスホニウム塩/慣用の塩のモル比1/100〜1/1の範囲で存在する。慣用電解質に使用することができる慣用電解質塩についてはいかなる特定の制限もない。用途に対して最も望ましい電荷担体として特定されたイオンを含む任意の電解質塩を使用することができる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩は、これらに限定されないが、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はトリフル酸リチウム(LiCF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N又はLiIm)、及びビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3CF2SO2)2N又はLiBETI)を含めたリチウムベースの塩である。
1つの例示的実施形態では、電解質は、アセトニトリル(ACN)の溶媒中に1.0Mの濃度でホスホニウム塩-(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を溶解することによって形成される。ACNの蒸気圧は、25℃で約39%、105℃で38%低下する。ホスホニウム塩による蒸気圧の有意な抑制は、電解質溶液の可燃性を減少させること、したがってデバイス動作の安全性を向上させることにおける利点である。
別の例示的実施形態では、EC(エチレンカーボネート)及びDEC(ジエチルカーボネート)の質量比1:1の混合溶媒中1.0MのLiPF6の慣用電解質溶液に、20w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を加える。ホスホニウム添加剤の慣用電解質への添加により、自己消火時間が53%減少する。これは、慣用リチウムイオン電解質においてホスホニウム塩を添加剤として使用することによって、リチウムイオン電池の安全性及び信頼性を実質的に向上させることができることを示している。
従来技術と比較した本発明により形成された電池の更なる重要な利点はこれらの広い温度範囲である。以下の実施例において見ることができるように、本明細書中に開示されている新規のホスホニウム電解質を用いて作製された電池は、約-30℃〜+90℃の間、又は約-20℃〜+70℃の間、又は-10℃〜+50℃の間の温度範囲で動作することができる。したがって、本明細書中に開示されている物質及び構造により、拡張した温度範囲で機能できる電池を作製することがここで可能となる。これにより、製作及び/又は動作中に広い温度範囲を経験する広範な用途へこれらのデバイスを実装することが可能となる。
更なる実施形態では、エネルギー貯蔵に対する上記アプローチを電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)と組み合わせることによって、電池及びEDLCのアレイを含むハイブリッドエネルギー貯蔵システムを形成し得る。
電気化学的二重層キャパシタ
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)の電解質によく適している。一実施形態では、陽極と、陰極と、前記陽極及び陰極の間の分離体と、電解質とを含むEDLCが提供される。電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩で構成される。一実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するイオン液体で構成され、このイオン液体組成物は、375℃までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cmのイオン伝導率を示す。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有する、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、この電解質組成物は、室温で、少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を示す。
本発明の一部の実施形態による電解質組成物を含むEDLCデバイスは、本明細書と同時に出願し、その全体の開示が参照により本明細書に援用されている、同時係属の米国特許出願番号 (代理人整理番号057472-059)において更に記載されている。
別の実施形態では、電解質組成物は、1つ又は複数の慣用の、非ホスホニウム塩を更に含む。一部の実施形態では、電解質組成物は慣用の塩で構成されていてもよく、この場合本明細書中に開示されているホスホニウムベースのイオン液体又は塩は添加剤である。一部の実施形態では、電解質組成物は、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩及び1つ又は複数の慣用の塩で構成され、これらは、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩:慣用の塩のモル(又はモル濃度)比1:100〜1:1の範囲で存在する。慣用の塩の例として、これらに限定されないが、テトラアルキルアンモニウム、例えば、(CH3CH2)4N+、(CH3CH2)3(CH3)N+、(CH3CH2)2(CH3)2N+、(CH3CH2)(CH3)3N+、(CH3)4N+等、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピラジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピロリジニウムからなる群から選択される1つ又は複数のカチオンと、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、(CF3SO2)3C-からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンとで構成される塩が挙げられる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩として、これらに限定されないが、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIBF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-1-メチルピロリジニウム(EMPBF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIIm)、ヘキサフルオロリン酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIPF6)が挙げられる。一部の実施形態では、1つ又は複数の慣用の塩は、これらに限定されないが、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はトリフル酸リチウム(LiCF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N又はLiIm)、及びビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3CF2SO2)2N又はLiBETI)を含めたリチウムベースの塩である。
一部の実施形態では、電解質組成物は、これらに限定されないが、以下の溶媒のうちの1つ又は複数で構成される:アセトニトリル、エチレンカーボネート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はメチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸メチル(MP)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロベンゼン(FB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フェニルエチレンカーボネート(PhEC)、プロピルメチルカーボネート(PMC)、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びγ-バレロラクトン(GVL)。
更なる態様では、ホスホニウム電解質は、慣用電解質と比較してより低い可燃性を示し、したがってEDLC動作の安全性を向上させる。更なる態様では、ホスホニウムイオン液体又は塩は、添加剤として使用することによって、固体電解質界面相(SEI)層又は電極保護層の形成を促進することができる。保護層は、電気化学的安定性ウィンドウを拡大し、EDLC劣化又は分解反応を抑制し、したがってEDLCのサイクル寿命を向上させるように作用する。
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、様々なEDLCの電解質によく適しており、この電極活性物質は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン;炭素-金属複合材;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン;リチウム、ルテニウム、タンタル、ロジウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、又はバナジウム、及びこれらの組合せの酸化物、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、硫化物、水素化物、窒化物、リン化物、又はセレン化物からなる群の中のいずれか1つ又は複数から選択される。
更なる実施形態では、EDLCデバイスは、本明細書中に開示されているホスホニウム電解質組成物、表面積の高い活性炭で作製されたカソード(陽極)及びリチウムイオンがインターカレーションされたグラファイトで作製されたアノード(陰極)を使用して構築し得る。形成されたEDLCは、リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる非対称的なハイブリッドキャパシタである。
更なる実施形態では、EDLCを電池と組み合わせることによって、電池及びEDLCのアレイを含むキャパシタ電池ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを形成し得る。
電解キャパシタ
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、電解キャパシタの電解質によく適している。一実施形態では、陽極と、陰極と、前記陽性及び陰極の間の分離体と、電解質とを含む電解キャパシタが提供される。電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のイオン液体若しくは塩で構成される。一実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するイオン液体で構成され、このイオン液体組成物は、375℃までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲、及び室温で少なくとも1mS/cm、又は少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cmのイオン伝導率を示す。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有する、溶媒中に溶解した1つ又は複数の塩で構成され、この電解質組成物は、室温で、少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cm、又は少なくとも20mS/cm、又は少なくとも30mS/cm、又は少なくとも40mS/cm、又は少なくとも50mS/cm、又は少なくとも60mS/cmのイオン伝導率を示す。一部の実施形態では、電解質組成物は、これらに限定されないが、以下の溶媒のうちの1つ又は複数で構成される:アセトニトリル、エチレンカーボネート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はメチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸メチル(MP)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロベンゼン(FB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フェニルエチレンカーボネート(PhEC)、プロピルメチルカーボネート(PMC)、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びγ-バレロラクトン(GVL)。一実施形態では、陽極、つまりアノードは通常、電解による酸化又は陽極酸化により形成された薄い酸化物フィルムを有するアルミニウムホイルである。アルミニウムはアノードに対して好ましい金属であるが、他の金属、例えばタンタル、マグネシウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム及び亜鉛等を使用してもよい。陰極、つまりカソードは普通、エッチングしたアルミニウムホイルである。更なる態様では、ホスホニウム電解質は、慣用電解質と比較してより低い可燃性を示し、したがって電解キャパシタ動作の安全性を向上させる。
色素増感型太陽電池
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、色素増感型太陽電池(DSSC)の電解質によく適している。一実施形態では、色素分子が付加しているアノードと、レドックスシステムを含有する電解質と、カソードとを含むDSSCが提供される。電解質は、一般式:
R1R2R3R4P
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基である)の1つ若しくは複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ若しくは複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のイオン液体若しくは塩で構成される。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するものとして特徴づけられ、この電解質組成物は、以下のうちの少なくとも2つ以上を示す:熱力学的安定性、低い揮発性、広い液相範囲、イオン伝導率、化学的安定性、及び電気化学的安定性。別の実施形態では、電解質は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを有するものとして特徴づけられ、この電解質組成物は、約375℃以上の温度までの熱力学的安定性、及び室温で少なくとも5mS/cm、又は少なくとも10mS/cm、又は少なくとも15mS/cmのイオン伝導率を示す。
電解フィルム
本発明の実施形態によるホスホニウムイオン液体、塩、及び組成物は、電解フィルム又は電解質フィルムによく適している。一実施形態では、基板に適用されたホスホニウムイオン液体組成物を含む電解フィルムが提供される。別の実施形態では、基板に適用された、1つ又は複数のホスホニウムイオン液体又は溶媒中に溶解した塩を含む電解フィルムが提供される。1つの例では、1つ又は複数のホスホニウムイオン液体又は塩を溶媒中に溶解することによって、コーティング溶液を形成する。溶液は、任意の適切な手段、例えばスプレー、スピンコーティング等により基板に適用される。次いで基板を加熱することによって、溶媒を部分的又は完全に除去し、電解質又はイオン伝導性フィルムを形成する。他の実施形態では、適切な溶媒中に溶解したイオン液体、塩及びポリマーの溶液を、例えばスプレー又はスピンコーティング等により基板上にコーティングし、次いで溶媒を部分的又は完全に蒸発させる。これは、イオン伝導性ポリマーゲル/フィルムの形成をもたらす。このようなフィルムは、電池、EDLC及びDSSC及び燃料電池膜用の電解質に特に適切である。
伝熱媒体
本発明のホスホニウムイオン液体の望ましい特性である高い熱力学的安定性、低い揮発性及び広い液相範囲は、伝熱媒体によく適している。本発明の一部の実施形態は、1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む、イオン液体組成物又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数の塩を含む伝熱媒体を提供し、この伝熱媒体は、約375℃の温度までの熱力学的安定性、400℃を超える液相範囲を示す。一部の実施形態では、本発明の伝熱媒体は高温反応媒体である。別の実施形態では、本発明の伝熱媒体は熱抽出媒体である。
他の用途
本発明のホスホニウムイオン液体は、更なる用途において使用が見出される。1つの例示的実施形態では、埋込型キャパシタが証明されている。一実施形態では、埋込型キャパシタは、2つの電極の間に配置された誘電体で構成され、この誘電体は、上に記載のようなホスホニウムイオン組成物の電解フィルムで構成される。本発明の埋込み型キャパシタは集積回路パッケージ内に埋め込むことができる。更なる実施形態は、「オンボード」キャパシタの配置を含む。
上記の記載は、例示的であることを意図し、これらホスホニウムイオン液体電解質組成物の用途を列挙した用途又はプロセスに限定するものではない。
本発明の実施形態は、次に具体的な実施例を参照して更に詳細に記載される。以下に提供されている実施例は、例示的目的のみを意図し、本発明の範囲及び/又は教示を限定するものでは決してない。
一般的に、ホスホニウムイオン液体は、適当に置換されたホスホニウム塩と適当に置換された金属塩とのメタセシス反応、又は適当に置換されたホスフィン前駆体と適当に置換されたアニオン前駆体との反応のいずれかにより調製する。図3〜図6は、本発明のホスホニウムイオン液体の4つの例示的実施形態を作製するための反応スキームを例示している。
(実施例1)
ホスホニウムイオン液体を調製した。AgSO3CF3を50mlの丸底(Rb)フラスコに充填し、3cmのスワイベルフリット(swivel frit)に取り付けた。フラスコしから脱気し、グローブボックスに持ち込んだ。グローブボックス内で、ジ-n-プロピルエチルメチルホスホニウムヨージドを加え、フラスコを再び取り付け、真空ラインに持ち込み、脱気し、及び無水THFを真空移送した。フラスコを室温まで温めておき、次いで2時間40℃に加熱した。これにより、薄緑色のビーズ様固体の形成が生じた。この固体を濾過で除去した。これにより、真珠のような、乳白色の溶液が生じた。30℃湯浴を使用して加熱しながら揮発性物質を高真空下で除去した。これにより、0.470gの収量で、白色の結晶性物質が生じた。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図7に示されている。
(実施例2)
更なるホスホニウムイオン液体を調製した。ジ-n-プロピルエチルメチルホスホニウムヨージドをグローブボックス内の100mlのRbフラスコに加え、次いで取り除き、50mlのDI H2O中に溶解した。この溶液に、AgO2CCF3を加えると、黄色のビーズ様の沈殿物が直ちに生じた。2時間撹拌後、AgIを濾過で除去し、ケーキを、それぞれ5mlのDI H2Oで3回洗浄した。大部分の水を回転式エバポレーター上で除去した。これにより透明な、低粘度の液体が生じ、次いでこれを加熱及び撹拌しながら高真空下で乾燥させた。これにより物質の凝固が生じた。温水浴内での白色固体への穏やかな加温により液体が生じ、この液体は、室温よりすぐ上で融解するように見えた。この実験で0.410gの物質が生じた。反応スキームは図8Aに描写されている。この物質について熱重量分析(TGA)及び発生ガス分析(EGA)試験を実施し、結果はそれぞれ図8B及び図8Cに示されている。
(実施例3)
この実施例では、ジ-n-プロピルエチルメチルホスホニウムヨージドをグローブボックス内の100mlのRbフラスコに加え、次いでドラフトチャンバーから出し、70mlのMeOH中に溶解した。次に、AgO2CCF2CF2CF3を加えると、黄色に着色されたスラリーが直ちに得られた。3時間撹拌後、固体を濾過により移動し、ロータリーエバポレーターによってにより大部分のMeOHを除去し、残りの残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、黄色の、どろどろのゲル様物質を得た。「液体」タイプの結晶がRbフラスコの側面に形成されるのが観察され、次いでフラスコからのかきとりによって「融解して」なくなった。この実験で、0.618gの物質が生じた。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図9Aに示されている。発生ガス分析(EGA)もまた実施し、結果は図9Bに示されている。
(実施例4)
耐圧フラスコをグローブボックス内に持ち込み、0.100gのP(CH2OH)3、続いて5mLのTHF-d8を充填した。固体が溶解したら、Me2SO4を加えた。次いでフラスコを密閉し、グローブボックスから出した。これを110℃油浴内で10分間加熱し、次いで冷却し、グローブボックス内に戻し、1H NMR用に1mLのアリコートを取り除いた。反応スキームは図10Aに例示されている。1H NMRスペクトルは図10Bに示されている。
(実施例5)
この実験では、1-エチル-1-メチルホスホラニウム硝酸塩をグローブボックス内の100mlの14/20Rbフラスコに加えた。これに、KC(CN)3を加え、次いでこのRbを3cmのスワイベルフリットに取り付けた。このフィットをラインに持ち込み、CHCl3を真空移送した。フラスコを12時間撹拌させておいた。ネバネバした褐色の物質がフラスコ底部に観察された。溶液を濾過すると、真珠のような、乳白色の濾液が得られ、これから褐色油を分離した。褐色の物質をリサイクルしたCHCl3で2回洗浄すると、より白色に、より顆粒状になった。すべての揮発性構成要素を高真空下で取り除くと、低粘度の褐色油が得られた。この実験で1.52gの物質が生じた。反応スキームは図11Aに示されている。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図11Bに示されている。
(実施例6)
この実験では1-エチル-1-メチルホスホリナニウムヨージドをグローブボックス内の100mlのRbフラスコに加え、次いでドラフトチャンバーに持ち込み、ここで70mlのMeOH中に溶解した。次に、AgO2CCF2CF2CF3を加えると、黄色の沈殿物が直ちに得られた。フラスコを18時間撹拌し、次いで固体を濾過で除去した。大部分のMeOHをロータリーエバポレーターによってで除去し、残留物を高真空下で乾燥させた。この手順でオフホワイト色の、薄く黄色に色づいた固体を得た。この実験で0.620gの物質が生じた。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図12に示されている。
(実施例7)
別の実験では、1-ブチル-1-エチルホスホラニウムヨージドをドラフトチャンバー内のRbフラスコに加え、次いで水中に溶解し、撹拌した。AgO3SCF3を加えると、黄色の沈殿物が直ちに形成された。フラスコを2時間撹拌し、次いで真空濾過した。濾過中に溶液が形成され、乳状物質が濾過後に観察された。この物質をロータリーエバポレーターによってさせ、油浴上で残渣を真空下で乾燥させて固体を溶融させた。この実験で0.490gの物質が生じた。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図13に示されている。
(実施例8)
更なる実験では、1-ブチル-1-エチルホスホリナニウムヨージドをドラフトチャンバー内のフラスコに加えた。MeOHを加え、次いでフラスコを15分間撹拌した。p-トルエンスルホン酸銀を加えた。フラスコを4時間撹拌した。黄色の沈殿物が形成された。この物質を重力濾過し、次いでロータリーエバポレーターによってさせた。この物質を真空下で乾燥させると、液体が生じた。この実験で0.253gの物質が生じた。反応スキームは図14Aに示されている。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図14Bに示されている。
(実施例9)
別の実験では、250mg(0.96mmol)のトリエチルメチルホスホニウムヨージドを15mLの脱イオン水に加え、続いて5.0mLの脱イオン水中に予め溶解した163mg(0.96mmol)の硝酸銀を加える。反応物を10分間撹拌し、この時点で白色から黄色の沈殿物を濾別する。次いで固体を5.0mLの脱イオン水で洗浄し、水性の画分を合わせる。水を回転式エバポレーター上で、真空下で除去することによって、白色の固体残渣が残り、これを酢酸エチルとアセトニトリルの3:1混合物から再結晶化することによって、トリエチルメチルホスホニウム硝酸塩を得る。収量:176mg、94%。ホスホニウム硝酸塩(176mg、0.90mmol)を5mLの無水アセトニトリル中に溶解する。5mLの無水アセトニトリル中に溶解した113mg(0.90mmol)のテトラフルオロホウ酸カリウムをホスホニウム塩に加え、5分間撹拌後、固体を濾過で除去する。溶媒を回転式エバポレーター上で除去し、生成したオフホワイト色の固体を高温の2-プロパノールから再結晶化することによって、分析では純粋なテトラフルオロホウ酸トリエチルメチルホスホニウムを得る。収量:161mg、81%。図15Aで示されたような1H NMRスペクトルにより、及び図15Bで示された31P NMRスペクトルにより、この組成物を確認する。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図16に示されている。
(実施例10)
別の実験では、250mg(1.04mmol)のトリエチルプロピルホスホニウムブロミド及び135mg(1.06mmol)のテトラフルオロホウ酸カリウムを10mLのアセトニトリル中で合わせた。KBrの微細な白色の沈殿物が直ちに形成し始めた。この混合物を1時間撹拌し、濾過し、溶媒を回転式エバポレーター上で除去することによって、白色固体を生成した。収量:218mg、85%。この粗生成物を2-プロパノールから再結晶化させることによって、分析では純粋な物質を生成することができる。図17Aで示されたような1H NMRスペクトルにより、及び図17Bで示された31P NMRスペクトルにより、この組成物を確認する。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図18に示されている。
(実施例11)
更なる実験では、窒素雰囲気下、グローブボックス内で反応を実施した。トリエチルプロピルホスホニウムヨージド1.00g、3.47mmolを20mLの無水アセトニトリル中に溶解した。この溶液に、ヘキサフルオロリン酸銀877mg(3.47mmol)を絶え間なく撹拌しながら加えた。ヨウ化銀の白色の沈殿物が即時に形成され、反応物を5分間撹拌した。沈殿物を濾過し、無水CH3CNで数回洗浄した。濾液をグローブボックスから出し、蒸発させることによって、白色固体を得た。粗材料を高温のイソプロパノール中に溶解し、0.2μmのPTFE膜に通した。濾液を冷却することによって、白色結晶を得、これを濾過で収集した。収量:744mg、70%。図19Aで示されたような1H NMRスペクトルにより、及び図19Bで示された31P NMRスペクトルにより、この組成物を確認する。この物質について熱重量分析(TGA)を実施し、結果は図20に示されている。
(実施例12)
この実施例では、モル比1:3:1の(CH3CH2CH2)(CH3)3PCF3BF3/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)PCF3BF3を含む三成分ホスホニウムイオン液体組成物を、(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を含む一成分組成物と比較する。この物質について示差走査熱量測定(DSC)を実施し、結果は、一成分組成物に関しては図21Aに、及び三成分組成物に関しては図21Bに示されている。図21A及び図21Bで例示されているように、三成分組成物は、より低い凍結温度、したがって一成分組成物と比較してより大きな液相範囲という利点を示す。
(実施例13)
別の実験ではホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を調製した。この塩は、25℃で19.5cPという低粘度、-10.0℃の融点、396.1℃の開始分解温度、407℃の液体範囲、15.2mS/cmのイオン伝導率、並びにPt作用電極及びPt対電極及びAg/Ag+基準電極を有する電気化学セルで測定した場合、-1.5V〜+1.5Vの電気化学的電圧ウィンドウを示す。結果が以下の表14に要約されている。
Figure 2016506033
(実施例14)
別の実験では、ホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を調製した。0〜4の範囲のACN/塩体積比を有するアセトニトリル(ACN)の溶媒中に塩を溶解した。生成した電解質溶液のイオン伝導率を室温で測定し、結果が図22に示されている。図22が示すように、ACN/塩比が、ゼロ比(希釈されていないイオン液体)での13.9mS/cmから、1.5〜2.0の間の比でのピーク値75mS/cmに増加すると共に、イオン伝導率が増加している。
(実施例15)
別の実験では、ホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を調製した。0〜2.3の範囲のPC/塩体積比を有する炭酸プロピレン(PC)の溶媒中に塩を溶解した。生成した電解質溶液のイオン伝導率を室温で測定し、結果が図23に示されている。図23が示すように、PC/塩比がゼロ比(希釈されていないイオン液体)での13.9mS/cmから、0.75〜1.25の間の比でのピーク値22mS/cmに増加すると共にイオン伝導率が増加している。
(実施例16)〜(実施例35)
更なる実験では、様々なホスホニウム塩を調製した。アセトニトリル(ACN)の溶媒中に塩を溶解することによって、電解質溶液を1.0Mの濃度で形成した。生成した電解質溶液のイオン伝導率を室温で測定した。電気化学窓(Echem Window)を、Pt作用電極及びPt対電極及びAg/Ag+基準電極を有する電気化学セルで求めた。結果が表15に要約されている。電解質は、室温で約28mS/cmを超える、又は約34mS/cmを超える、又は約41mS/cmを超える、又は約55mS/cmを超える、又は約61mS/cmを超えるイオン伝導率を示した。1つの配置では、電気化学窓は約-3.2V〜+2.4Vの間であった。別の配置では、電気化学窓は約-3.0V〜+2.4Vの間であった。更に別の配置では、電気化学窓は約-2.0V〜+2.4Vの間であった。
Figure 2016506033
(実施例36)〜(実施例41)
更なる実験では、様々なホスホニウム塩を調製し、対照としてのアンモニウム塩と比較した。炭酸プロピレン(PC)の溶媒中に塩を溶解することによって、電解質溶液を1.0Mの濃度で形成した。生成した電解質溶液のイオン伝導率を室温で測定した。電気化学的電圧ウィンドウ(Echem Window)を、Pt作用電極及びPt対電極及びAg/Ag+基準電極を有する電気化学セルで求めた。結果が表16に要約されており、ここでは、ホスホニウム塩が対照であるアンモニウム類似体と比較してより高い伝導率、及びより広い電気化学的電圧安定性ウィンドウを示すことを実証している。1つの配置では、電気化学窓は約-2.4V〜+2.5Vの間であった。別の配置では、電気化学窓は約-1.9V〜+3.0Vの間であった。
Figure 2016506033
(実施例42)〜(実施例45)
更なる実験では、様々なホスホニウム塩を調製し、対照としてのアンモニウム塩と比較した。炭酸プロピレン(PC)の溶媒中に塩を溶解することによって、0.6Mから5.4Mまでの範囲の濃度で電解質溶液を形成した。生成した電解質溶液のイオン伝導率を室温で測定し、結果が図24に提示されている。2.0Mの濃度での伝導率の数値が表17に示されており、ここでは、ホスホニウム塩が対照であるアンモニウム類似体と比較してより高い伝導率を示すことを図解している。
Figure 2016506033
(実施例46)
別の実験では、ホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を調製し、対照としてのアンモニウム塩(CH3CH2)3(CH3)NBF4と比較した。アセトニトリル(ACN)の溶媒中に塩を溶解することによって、電解質溶液を1.0Mの濃度で形成した。溶液の蒸気圧を25〜105℃の温度で加圧示差走査熱量測定(DSC)により測定した。図25に例示されているように、ACNの蒸気圧は、25℃でアンモニウム塩での27%と比較して、ホスホニウム塩では39%低下し、105℃でアンモニウム塩に対する13%と比較して、ホスホニウム塩では38%低下している。ホスホニウム塩による蒸気圧の有意な抑制は、電解質溶液の可燃性を減少させること、したがって電池動作の安全性を向上させることにおける利点である。
(実施例47)〜(実施例50)
別の実験では、ホスホニウム塩をリチウム電池の慣用電解質溶液中で添加剤として使用した。本発明の一実施形態では、EC(エチレンカーボネート)及びDEC(ジエチルカーボネート)の質量比1:1の混合溶媒(EC:DEC 1:1として記述)中1.0MのLiPF6の慣用電解質溶液は、Novolyte Technologies(BASFグループの一部)により提供された。20w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を、慣用電解質溶液に加えた。本発明の別の実施形態では、EC(エチレンカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)及びEMC(エチルメチルカーボネート)の質量比1:1:1の混合溶媒(EC:DEC:EMC 1:1:1として記述)中1.0MのLiPF6の慣用電解質溶液は、Novolyte Technologies社(BASFグループの一部)により提供された。10w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を、慣用電解質溶液に加えた。電解質溶液の試料1gをガラスシャーレに入れ、試料に着火し、火炎を消火するのに必要とされた時間を記録することによって、自己消火試験を実施した。自己消火時間(SET)を試料の質量に対して規準化する。結果が以下の表18に要約されている。10〜20w%の間の濃度のホスホニウム添加剤は、自己消火時間を33〜53%低減させた。これは、慣用リチウムイオン電解質においてホスホニウム塩を添加剤として使用することによって、リチウムイオン電池の安全性及び信頼性を実質的に向上させることができることを示している。
Figure 2016506033
(実施例51)
別の実験では、ホスホニウム塩をリチウム電池の標準的電解質溶液中で添加剤として使用した。本発明の一実施形態では、EC(エチレンカーボネート)及びDEC(ジエチルカーボネート)の質量比1:1の混合溶媒(EC:DEC 1:1として記述)中1.0MのLiPF6の標準的電解質溶液は、Novolyte Technologies社(BASFグループの一部)により提供された。10w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PC(CN)3を、標準的電解質溶液に加えた。標準的電解質溶液及びホスホニウム添加剤を有する溶液の両方のイオン伝導率を-30〜+60℃の異なる温度で測定した。図26に例示されているように、ホスホニウム添加剤は、広範な温度範囲において電解質溶液のイオン伝導率を向上させる。-30℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は109%増加している。+20℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は23%増加している。+60℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は約25%増加している。一般的に、標準的電解質溶液のイオン伝導率は、ホスホニウム添加剤の結果として少なくとも25%増加している。
(実施例52)
別の実験では、ホスホニウム塩をリチウム電池の標準的電解質溶液中で添加剤として使用した。本発明の一実施形態では、EC(エチレンカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)及びEMC(エチルメチルカーボネート)の質量比1:1:1の混合溶媒(EC:DEC:EMC 1:1:1として記述)中1.0MのLiPF6の標準的電解質溶液は、Novolyte Technologies社(BASFグループの一部)により提供された。10w%のホスホニウム塩(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を、標準的電解質溶液に加えた。標準的電解質溶液及びホスホニウム添加剤を有する溶液の両方のイオン伝導率を20〜90℃の異なる温度で測定した。図27に例示されているように、ホスホニウム添加剤は、広範な温度範囲において電解質溶液のイオン伝導率を向上させる。20℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は約36%増加している。60℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は約26%増加している。90℃では、ホスホニウム添加剤の結果としてイオン伝導率は約38%増加している。一般的に、標準的電解質溶液のイオン伝導率は、ホスホニウム添加剤の結果として少なくとも25%増加している。
(実施例53)
更なる実験では、図28に例示されているように、コインセルは、直径14mmのディスク状アノード及びカソード電極、2つの電極の間に挟まれた直径19mmの分離体、及び含浸電解質溶液で構成される。本発明の一実施形態では、アノードは200μmの厚さのリチウムホイル又は100μmの厚さのグラファイト電極から調製した。カソードは、100μmの厚さのNMC(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物)又は60μmの厚さのLNMO(リチウムニッケルマンガン酸化物)から調製した。分離体は、25μmの厚さのCelgard(登録商標)ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン分離体(PP/PE/PP2325)から調製した。ホスホニウム添加剤を有する又は有さない、EC:DEC又はEC:DEC:EMC等の混合溶媒中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液を、2つの電極及び分離体の両方に含浸させた。この集合体を2032コインセルケースの中に置き、クリンパーを使用して適当な気圧をかけることによって密閉した。完成したセルは、直径20mm、厚さ3.2mmであった。全体の組立プロセスは、アルゴンで満たしたグローブボックス内で行った。完成したセルは、定電流又は定電圧のいずれかでの充電及び放電によりMTI電池アナライザーを用いて特徴づけられた。図29は、10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有するEC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を有するLi/NMCのコインセルに対する充放電曲線を示している。セルは最初に4.6Vまで充電し、次いで電流密度1.6mA/cm2で2.0Vまで放電し、比容量190mAh/gの活性物質が生じた。
(実施例54)
更なる実験では、図30に例示されているように、パウチセルは、10mm×20mmのアノード及びカソード電極、2つの電極の間に挟まれた12mm×22mmの分離体、及び含浸電解質溶液で構成される。パウチセルは、第3のリチウム基準電極で場合によって構成され、これによって、アノード及びカソードの電位を測定することができる。本発明の一実施形態では、アノードは、200μmのリチウムホイル又は200μmの厚さのグラファイト電極から調製した。カソードは、100μmの厚さのNMC(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物)又は60μmの厚さのLNMO(リチウムニッケルマンガン酸化物)から調製した。分離体は、25μmの厚さのCelgard(登録商標)ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン分離体(PP/PE/PP2325)から調製した。ホスホニウム添加剤を有する又は有さない、EC:DEC又はEC:DEC:EMC等の混合溶媒中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液を、2つの電極及び分離体の両方に含浸させた。この集合体を整列させると、ホットメルト接着剤テープを使用して2つの集電体タブをまとめることによって、タブの周りの漏れを予防した。次いでアルミニウムラミネートパウチバッグ内にこの集合体を真空密閉した。完成したセルは、寸法70mm×30mm及び厚さ0.3mmであった。全体の組立プロセスは、アルゴンで満たしたグローブボックス内で行った。完成したセルは、充放電容量を求めるためのMTI電池アナライザーを用いて、及び電気化学的電圧安定性ウィンドウを求めるためのPAR VersaSTAT 4-200ポテンシオスタットを用いて特徴づけた。
(実施例55)〜(実施例60)
更なる実験では、実施例54に従い組み立てたパウチセルは、Liアノード、LNMOカソード、Li基準電極、並びに0〜25w%の範囲の濃度のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有するEC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する電解質溶液で構成される。リニアスイープボルタンメトリーを10mV/sで記録することによって、電気化学的酸化安定性ウィンドウを求めた。図31に例示されているように、大部分の電解が生じる電位は、ホスホニウム添加剤により正の向きに劇的にシフトした。図32は、電流密度がホスホニウム添加剤濃度の関数として10mA/cm2に到達した開始酸化又は分解電位を示している。以下の表19に数値が示されている。ホスホニウム添加剤の使用により、開始酸化電位は、ホスホニウム添加剤を有さない電解質溶液に対する4.4Vから、より陽性電位の最大7.1Vまで増加した。一般的に、10〜25w%の間の濃度のホスホニウム添加剤を含むことによって、開始酸化電位が約2.1〜2.7V間で増加した。この結果は、ホスホニウム添加剤が、カソード電極において固体電解質界面相(SEI)層又は電極保護層の形成を促進し、したがってリチウム電池の電圧ウィンドウを拡大することを示唆している。
Figure 2016506033
(実施例61)
更なる実験では、実施例54に従い組み立てたパウチセルは、Liアノード、LNMOカソード、Li基準電極、並びに10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]BF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する電解質溶液で構成される。リニアスイープボルタンメトリーを10mV/sで記録することによって、電気化学的酸化安定性ウィンドウを求めた。結果は図33に示されている。開始酸化電位は、ホスホニウム添加剤を有さない電解質溶液に対する4.4Vからホスホニウム添加剤を有する場合の7.4Vまで増加した、つまり3Vの増加であった。
(実施例62)
更なる実験では、実施例54に従い組み立てたパウチセルは、Liアノード、NMCカソード、Li基準電極、並びに10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する電解質溶液で構成される。10mV/sでのリニアスイープボルタンメトリーを記録することによって、電気化学的酸化安定性ウィンドウを求めた。結果は図34に示されている。開始酸化電位は、ホスホニウム添加剤を有さない電解質溶液に対する4.4Vからホスホニウム添加剤を有する場合の4.8Vまで増加した、つまり0.4Vの増加であった。
(実施例63)
更なる実験では、実施例54に従い組み立てたパウチセルは、Liアノード、NMCカソード、Li基準電極、並びに10w%のホスホニウム添加剤[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]CF3BF3を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液で構成される。リニアスイープボルタンメトリーを10mV/sで記録することによって、電気化学的酸化安定性ウィンドウを求めた。結果は図35に示されている。開始酸化電位は、ホスホニウム添加剤を有さない電解質溶液に対する4.6Vからホスホニウム添加剤を有する場合の6.3Vまで増加した、つまり1.7Vの増加であった。
(実施例64)
更なる実験では、実施例54に従い組み立てたパウチセルは、2つのLi電極、並びに10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PCF3BF3を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液で構成される。セルを45℃で1カ月熟成させた。バイアス0V、振幅5mV、周波数100KHz〜10mHzで、PAR VersaSTAT 4-200ポテンシオスタット/インピーダンスアナライザーを用いて、ACインピーダンスを実施した。図36に示されているように、ホスホニウム添加剤を有さないセルのインピーダンスは、熟成後3倍増加した。対照的に、ホスホニウム添加剤を有するセルのインピーダンスは増加せず、わずかに低減した。この結果は、ホスホニウム添加剤がLi電極における固体電解質界面相(SEI)層の形成を促進することを示唆している。SEI層は、Li電極安定性を増加させ、したがって電池のサイクル寿命を向上させる。
(実施例65)
別の実験では、実施例53に従い組み立てたコインセルは、Li電極及びグラファイト電極、並びに5w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3PPF6を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する電解質溶液で構成される。このようなセル内で、グラファイト電極のリチウムイオンインターカレーション特性を研究することができる。MTI電池アナライザーを用いて、充放電容量を1.4mA/cm2(0.5C速度)で測定した。結果は図37に示されている。充放電容量は、ホスホニウム添加剤の添加と共にそれぞれ28%及び26%増加した。
(実施例66)
更なる実験では、実施例53に従い組み立てたコインセルは、Li電極及びグラファイト電極、並びに5w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含有する電解質溶液で構成される。MTI電池アナライザーを用いて、充放電容量を1.4mA/cm2(0.5C速度)で測定した。結果は図38に示されている。充放電容量は、ホスホニウム添加剤の添加と共にそれぞれ35%及び36%増加した。
(実施例67)
別の実験では、実施例53に従い組み立てたコインセルは、Liアノード、LNMOカソード、並びに10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液で構成される。MTI電池アナライザーを用いて、充放電容量を3.0V〜4.7Vの間、それぞれ0.2mA/cm2(0.3C速度)及び0.3mA/cm2(0.5C速度)で測定した。結果は図39に示されている。充放電容量は、ホスホニウム添加剤の添加と共に11%増加した。
(実施例68)
別の実験では、実施例53に従い組み立てたコインセルは、Liアノード、NMCカソード、並びに10w%のホスホニウム添加剤(CH3CH2)3(CH3)PBF4を有する及び有さない、EC:DEC 1:1中1.0MのLiPF6を含有する電解質溶液で構成される。MTI電池アナライザーを用いて、充放電容量を2.0V〜4.6Vの間、それぞれ1.6mA/cm2(0.3C速度)及び2.7mA/cm2(0.5C速度)で測定した。結果は図40に示されている。サイクリング安定性は、ホスホニウム添加剤と共に有意に向上した。80サイクルでの充放電容量は、ホスホニウム添加剤の添加と共にそれぞれ35%及び33%増加した。この結果は、ホスホニウム添加剤がカソード電極における固体電解質界面相(SEI)層又は電極保護層の形成を促進することを示唆している。SEI層は、電気化学的安定性ウィンドウを拡大し、電池劣化又は分解反応を抑制し、したがって電池のサイクル寿命を向上させるのを助ける。
(実施例69)
更なる実験では、実施例53に従い組み立てたコインセルは、グラファイトアノード、LCOカソード、並びに2w%のホスホニウム添加剤:添加剤1-[1:3:1比(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)P]BF4(添加剤1)、(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2PBF4(添加剤2)、及び(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3PPF6(添加剤3)を有する及び有さない、EC:DEC:EMC 1:1:1中1.0MのLiPF6及び20w%FECを含有する電解質溶液で構成される。MTI電池アナライザーを用いて、充放電容量を2.7V〜4.4Vの間、それぞれ0.8mA/cm2(0.3C)及び1.3mA/cm2(0.5C)で測定した。容量保持率をピーク値に規準化し、結果は図41に示されている。24サイクルでの容量保持率は、ホスホニウム添加剤の添加と共に約5%向上した。結果は、ホスホニウム添加剤がSEI層の形成を促進し、したがって電池の性能安定性を向上させ得ることを再度示している。本発明は、実施例に開示されている具体的な実施形態により範囲が限定されるべきでなく、これらの実施例は本発明のいくつかの態様の例示として意図されているものであり、機能的に同等なあらゆる実施形態は本発明の範囲内にある。実際に、本明細書中に示されている及び記載されているものに加えて本発明の様々な修正が当業者には明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
いくつかの参考文献が引用され、これらの全体の開示は参照により本明細書に援用されている。
10 シングルセル電池
12 アノード
12' カソード
14 集電板
14' 集電板
16 分離フィルム又は膜
18 電解質溶液
20 バイポーラ配置
22 アノード
24 カソード
26 「バイポーラ」集電体
30 マルチセル電池
32 ユニットセル
34 ユニットセル
36 ユニットセル
38 ユニットセル

Claims (49)

  1. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    1つ若しくは複数のホスホニウムイオン液体、又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のホスホニウム塩を含み、1つ又は複数のホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩が、式:
    R1R2R3R4P
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルキル基である)の1つの又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、1つ又は複数のアニオンとを含む、電池。
  2. R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子で構成されるアルキル基である、請求項1に記載の電池。
  3. R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子で構成されるアルキル基であり、R基のうちの少なくとも2つが同じであり、R基のいずれもが酸素を含有しない、請求項1に記載の電池。
  4. R基のうちの1つ又は複数の中の水素原子のうちの1個又は複数がフッ素で置換されている、請求項1に記載の電池。
  5. ホスホニウム塩のうちのいずれか1つ又は複数が、100℃以下の温度で液体であっても固体であってもよい、請求項1に記載の電池。
  6. ホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩のうちの少なくとも1つが、1つのカチオン及び1つのアニオンのペアで構成される、請求項1に記載の電池。
  7. ホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩のうちの少なくとも1つが、1つのアニオン及び複数のカチオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  8. ホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩のうちの少なくとも1つが、1つのカチオン及び複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  9. ホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩のうちの少なくとも1つが、複数のカチオン及び複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  10. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2CH2)2(CH3CH2)(CH3)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  11. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  12. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2)3(CH3)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  13. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  14. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2)4P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  15. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2CH2)3(CH3)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  16. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CH3CH2CH2)3(CH3CH2)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  17. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CF3CH2CH2)(CH3CH2)3P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  18. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CF3CH2CH2)3(CH3CH2)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  19. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CF3CH2CH2)3(CH3)P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  20. ホスホニウムベースのカチオンが、式:(CF3CH2CH2)4P+で構成される、請求項1に記載の電池。
  21. 電解質組成物が、ホスホニウムカチオンと、PF6、(CF3)3PF3、(CF3)4PF2、(CF3CF2)4PF2、(CF3CF2CF2)4PF2、(-OCOCOO-)PF4、(-OCOCOO-)(CF3)3PF、(-OCOCOO-)3P、BF4、CF3BF3、(CF3)2BF2、(CF3)3BF、(CF3)4B、(-OCOCOO-)BF2、(-OCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOO-)(CF3)2B、(-OSOCH2SOO-)BF2、(-OSOCF2SOO-)BF2、(-OSOCH2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCF2SOO-)BF(CF3)、(-OSOCH2SOO-)B(CF3)2、(-OSOCF2SOO-)B(CF3)2、CF3SO3、(CF3SO2)2N、(-OCOCOO-)2PF2、(CF3CF2)3PF3、(CF3CF2CF2)3PF3、(-OCOCOO-)2B、(-OCO(CH2)nCOO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)BF(CF3)、(-OCOCR2COO-)B(CF3)2、(-OCOCR2COO-)2B、CF3BF(-OOR)2、CF3B(-OOR)3、CF3B(-OOR)F2、(-OCOCOCOO-)BF(CF3)、(-OCOCOCOO-)B(CF3)2、(-OCOCOCOO-)2B、(-OCOCR1R2CR1R2COO-)BF(CF3)、及び(-OCOCR1R2CR1R2COO-)B(CF3)2(式中、R、R1、及びR2は、それぞれ独立して、H又はFである)からなる群から選択される1つ又は複数のアニオンとを含む、請求項1に記載の電池。
  22. 1つ又は複数のアニオンが、-O3SCF3-O2CCF3-O2CCF2CF2CF3、CF3BF3 -、C(CN)3 -、PF6 -、NO3 --O3SCH3、BF4 --O3SCF2CF2CF3-O2CCF2CF3-O2CH、-O2CC6H5-OCN、CO3 2-、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、(CF3SO2)2N-、(CF3)2BF2 -、(CF3)3BF-、CF3CF2BF3 -、又は-N(CN)2のうちのいずれか1つ又は複数で構成される、請求項1に記載の電池。
  23. 電解質組成物が、ホスホニウム塩と、以下のリチウム塩:ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N又はLiIm)、及びビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3CF2SO2)2N)、又はこれらの混合物のうちの1つ又は複数とを含む、請求項1に記載の電池。
  24. 電解質組成物が、ホスホニウムイオン液体又は塩と、リチウム塩とを含み、ホスホニウムベースのイオン液体又は塩:リチウム塩のモル比1:100〜1:1の範囲で電解質組成物中に存在する、請求項1に記載の電池。
  25. 電解質組成物が、ホスホニウム塩と、リチウム塩と、以下の溶媒:アセトニトリル、エチレンカーボネート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はメチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸メチル(MP)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロベンゼン(FB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フェニルエチレンカーボネート(PhEC)、プロピルメチルカーボネート(PMC)、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)、又はこれらの混合物のうちの1つ又は複数とを含む、請求項1に記載の電池。
  26. 電解質組成物がホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、式:(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P+のカチオン及び式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  27. 電解質組成物がホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、式:(CH3)(CH3CH2)3Pのカチオン及び式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  28. 電解質組成物がホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、式:(CH3CH2CH2)(CH3CH2)3P+のカチオン及び式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)2B-、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  29. 電解質組成物がホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、式:(CH3CH2)4P+のカチオン及び式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数のアニオンで構成される、請求項1に記載の電池。
  30. アノードが、以下の活性物質:炭素、グラファイト、グラフェン、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、Si/Coドープした炭素、リチウム合金、例えば、Li-Al、Li-Si、Li-Sn、及びLi-Mg等、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)のケイ素合金、金属酸化物、例えば、リチウムチタン酸化物(LTO)-等、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数で構成される、請求項1に記載の電池。
  31. カソードが、以下の活性物質:リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムマンガン酸化物(LMO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、リチウムニッケルマンガン酸化物(LNMO)、リチウムバナジウム酸化物(LVO)、二硫化鉄リチウム、銀バナジウム酸化物、一フッ化炭素、酸化銅、硫黄、又はこれらの組合せのうちのいずれか1つ又は複数で構成される、請求項1に記載の電池。
  32. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    1つ若しくは複数のホスホニウムイオン液体、又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のホスホニウム塩を含み、1つ又は複数のホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩が、式:
    P(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)4-x-y(式中、x、y=0〜4であり、x+y≦4である)
    の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、
    式:
    (CF3)xBF4-x(式中、x=0〜4である)
    (CF3(CF2)n)xPF6-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜4である)
    (-OCO(CH2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜2である)
    (-OCO(CH2)nCOO-)2B(式中、n=0〜2である)
    (-OSOCH2SOO-)(CF3)xBF2-x(式中、x=0〜2である)
    (-OCOCOO-)x(CF3)yPF6-2x-y(x=1〜3であり、y=0〜4であり、2x+y≦6である)
    の1つ又は複数のアニオンとを含む、電池。
  33. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    1つ若しくは複数のホスホニウムイオン液体、又は溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のホスホニウム塩を含み、1つ又は複数のホスホニウムイオン液体又はホスホニウム塩が、式:
    P(-CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(式中、x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
    P(-CH2CH2CH2CH2CH2-)(CH3CH2CH2)y(CH3CH2)x(CH3)2-x-y(式中、x、y=0〜2であり、x+y≦2である)
    の1つ又は複数のホスホニウムベースのカチオンと、
    式:
    (CF3)xBF4-x(式中、x=0〜4である)
    (CF3(CF2)n)xPF6-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜4である)
    (-OCO(CH2)nCOO-)(CF3)xBF2-x(式中、n=0〜2であり、x=0〜2である)
    (-OCO(CH2)nCOO-)2B(式中、n=0〜2である)
    (-OSOCH2SOO-)(CF3)xBF2-x(式中、x=0〜2である)
    (-OCOCOO-)x(CF3)yPF6-2x-y(x=1〜3であり、y=0〜4であり、2x+y≦6である)
    の1つ又は複数のアニオンとを含む、電池。
  34. 1つ又は複数のカチオン又はアニオンの中の水素原子のうちの1個又は複数がフッ素で置換されている、請求項32に記載の電池。
  35. 1つ又は複数のカチオン又はアニオンの中の水素原子のうちの1個又は複数がフッ素で置換されている、請求項33に記載の電池。
  36. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    溶媒中に溶解したホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、
    モル比1:3:1の(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)Pで構成されるカチオン
    及び
    式:BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、(-OCOCOO-)BF2 -、(-OCOCOO-)(CF3)2B-、(-OCOCOO-)2B-、CF3SO3 -、C(CN)3 -、(CF3SO2)2N-又はこれらの組合せの1つ又は複数のアニオンで構成される、電池。
  37. アニオンが、[BF4 -]:[CF3BF3 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のBF4 -及びCF3BF3 -の混合物で構成される、請求項36に記載の電池。
  38. アニオンが、[PF6 -]:[CF3BF3 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のPF6 -及びCF3BF3 -の混合物で構成される、請求項36に記載の電池。
  39. アニオンが、[PF6 -]:[BF4 -]のモル比100/1〜1/1の範囲の濃度のPF6 -及びBF4 -の混合物で構成される、請求項36に記載の電池。
  40. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    溶媒中に溶解したホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、
    モル比1:3:1の(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)Pで構成されるカチオン
    及び
    CF3BF3 -で構成されるアニオンを含む、電池。
  41. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    溶媒中に溶解したホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、
    モル比1:3:1の(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)Pで構成されるカチオン
    及び
    BF4 -で構成されるアニオンを含む、電池。
  42. アノードと、
    カソードと、
    アノード及びカソードの間の分離体と、
    アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを含む電池であって、
    電解質組成物が、
    溶媒中に溶解したホスホニウム塩を含み、ホスホニウム塩が、
    モル比1:3:1の(CH3CH2CH2)(CH3)3P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)(CH3)2P/(CH3CH2CH2)(CH3CH2)2(CH3)Pで構成されるカチオン
    及び
    PF6 -で構成されるアニオンを含む、電池。
  43. 請求項1に記載の電池のアレイと、電気化学的二重層キャパシタ(EDLC)のアレイとを含む、ハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
  44. アノードと、カソードと、アノード及びカソードの間の分離体と、アノード、カソード、及び分離体と接触している電解質組成物とを有するリチウム電池であって、
    電解質組成物が、溶媒中に溶解した1つ若しくは複数のリチウム塩及び/又は1つ若しくは複数のホスホニウム塩を含むことを特徴とする、リチウム電池。
  45. 電解質組成物が主にリチウム塩で構成され、ホスホニウム塩が添加剤である、請求項44に記載のリチウム電池。
  46. ホスホニウム塩が、電解質組成物の1つ又は複数の特性を選択的に調整するために加えられる、請求項45に記載のリチウム電池。
  47. 電解質組成物が、1つ又は複数の慣用の、非ホスホニウム塩を更に含む、請求項44に記載のリチウム電池。
  48. ホスホニウムイオン液体又は塩及び慣用の塩が、ホスホニウムイオン液体又は塩:慣用の塩のモル比1:100〜1:1の範囲で電解質組成物中に存在する、請求項47に記載のリチウム電池。
  49. 1つ又は複数の慣用の塩が、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIBF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIIm)、及びヘキサフルオロリン酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMIPF6)からなる群から選択される、請求項47に記載のリチウム電池。
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