JP2016504495A - 層表面の構造化方法およびそのための装置 - Google Patents

層表面の構造化方法およびそのための装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、コーティングのための材料源としての第1のターゲットを選択する工程、少なくとも選択されたターゲットを含む火花蒸着源を備えたコーティングチャンバを準備する工程、コーティングすべき基材をコーティングチャンバに設置する工程、火花蒸着に適したプロセス圧力へとコーティングチャンバをポンプ排出する工程、点火して火花を活動させ、これにより第1のターゲットから材料が蒸発し、この材料がコーティングすべき基材上に、場合によってはコーティングチャンバに導入された反応ガスとの反応後に、沈積する工程を有する、火花蒸着による気相からの堆積に基づくコーティング方法に関する。これに関し、第1のターゲットは、マトリクス成分よりドーピング成分が少なくとも500℃低い融点を有しており、かつドーピング成分の融解した滴がマトリクス成分の固体の表面で少なくとも90?の接触角をなすような、少なくとも1種のマトリクス成分およびドーピング成分を含む。

Description

本発明は、構造化された表面を達成する、火花蒸着による基材のコーティング方法に関する。
構造サイズがマイクロメートル範囲およびナノメートル範囲の構造化された表面は、様々な用途範囲で必要とされている。公知なのは、例えば半導体部品を製造するためにシリコンウエハ上で生成される構造である。この構造は、手間のかかるリソグラフィ法によって実現されており、複数のプロセス工程から成っている。表面構造化をレーザまたは合焦されたイオンビームによって行う方法もある。これらの方法も多大な技術的な手間を必要とする。Masslerらが国際公開第2003/091474号に、半加工品のための、とりわけ滑り面として形成された機能面を有する工具または部材のための、このような構造化された層系を開示している。
上に挙げた方法は、例えばコーティングされた工具もしくは部材の分野でトライボロジー用途のために表面を構造化するためには、または例えばプラスチック製の基材上で表面の濡れ性を調整するためには、費用の理由からまったくまたは選択された場合にしか用いられない。このような構造化は、多くの場合におよびかなりより幅広い用途範囲のために望ましいであろうし、経済的に重要であろう。例えば、この種の構造化された表面での「谷部」は、潤滑剤の貯留部として役立ち得るであろうし、これが結果として摩擦値を低下させ、摩擦損失を小さくし、最終的にエネルギー消費を低減させるに至る。潤滑剤としては、例えば潤滑物質、つまり例えば油または脂が考慮されるであろう。しかしこの種の構造化された表面は低融点材料との組合せでも、特に、温度上昇時のトライボロジー系の最適化に関して有益であり得る。低融点の材料はまさに温度上昇時にのみ接触条件に応じて液化することができ、かつ油および脂と類似の機能を担うことができる。しかし「谷構造」は、濡れメカニズムの調整に役に立てることもでき、つまり例えば装飾的な表面の範囲内でまたは医療用途のための表面に濡れメカニズムを適用可能とするために用いることができるであろう。
もっとも、トライボロジー用途のためのより幅広い範囲での上述の方法の適用を阻止しているのは経済的観点だけではない。例えば、半導体技術におけるリソグラフィ構造化法は、基材材料、つまりケイ素のために、および構造化すべき材料、つまりSiOのために開発された。材料の変更は、再び完全に新規の構造化法、例えば半導体での窒化物または金属導体路の構造化のためのプラズマエッチング法[Sze 1,pp.304]を必要とする。トライボロジー用途に関してこのようなことを実現するのがほとんど不可能であることは理解できる。これでは、金属および様々な種類のセラミックスの基材材料の多様性を、広範囲でまったく許容しない。
国際公開第2003/091474号
Sze 1,pp.304
つまり本発明の目的は、基材材料にほぼ左右されない構造化された基材表面を製造できることである。
本発明のもう1つの目的は、この製造方法により、表面の構造特性、つまり例えば構造の表面密度または構造の寸法を変更および最適化できることである。
本発明のもう1つの目的は、この構造化が、所望の構造を得るためにさらなるプロセス工程を必要としないか、または些細な後処理の手間を実施するだけでよいことである。
本発明の特殊な(この用途範囲に制限されない)もう1つの目的は、このような表面が、高い摩耗強度だけでなく非常に低い摩擦値を有しており、つまりこの表面が、トライボロジー系の最適化のために使用可能であることを達成することである。
本発明のもう1つの特殊な目的は、このような層を施すことにより、濡れ特性を狙い通りに変化させ得るように表面トポグラフィを変えることである。
本発明のもう1つの目的は、構造化が薄い層の堆積と同時に行われること、または堆積された層が構造を成形することである。
本発明による解決策
この課題は、表面構造化を可能にする化学組成でのターゲットを陰極として使用した陰極火花蒸着によるPVDコーティングによって解決される。
この課題は本発明により、ターゲットの組成が少なくとも2種の元素から成り、元素のうちの1種が低沸点であり、元素のうちの1種が高沸点であることによって解決される。
ターゲットを構成する成分は、約1Paの蒸気圧に関して非常に異なっている少なくとも2種の元素から成ることが望ましい。
さらにターゲットを構成する成分は、融点に関して非常に異なっている少なくとも2種の元素を含むことが望ましい。
本発明により、火花蒸着によってコーティング可能な基材材料上で、構造化された層を製造することに成功し、つまり基材材料は、多種の金属およびセラミックスの材料から選択することができ、それどころかプラスチック材料が考慮の対象となる。
構造化される層は、金属の性質またはセラミックスと金属の性質の組合せであることができ、つまり例えば窒化物、炭化物、または酸化物、およびこれらの材料からの組合せを含むことができる。
本発明は、コーティング中にマトリクス層表面にもたらされ、断面がほぼ円形の「谷構造」(凹面)である構造に基づいている。この構造の密度、深さ、および直径は、ターゲットを含む成分によって規定することができる。
本発明は、一つには、相応のターゲット組成を有するターゲット表面で、飛沫を増加させかつ再現可能に形成することに基づいており、もう一つには、これらの飛沫が基材表面で、成長している層に単にゆるくしか組み込まれず、層の成長中に独りでに層から押し出されるかまたは事後的に簡単な後処理によって除去し得ること基づいている。
本発明のもう1つの、なかでもトライボロジー用途のために重要な態様は、高沸点のターゲット成分中での低沸点のターゲット成分の可溶性が制限されていることである。
発明の説明
陰極火花蒸着は、様々な基材および基材材料を薄い層でコーティングするための、当業者に非常によく知られた方法である。この方法ではターゲットが火花放電の陰極として接続され、ターゲット上で活動する火花の作用によりターゲット材料が蒸発する。詳しくは文献でこのコーティング方法の基礎を確認することができる。陰極火花蒸着は、金属層の製造(つまり反応ガスなしでのターゲット材料の蒸着)も、例えば窒素、酸素、炭化水素、Si含有ガスのような反応ガスを使用したセラミックス層の製造も可能にする。つまり、例えばMoターゲット(Moはモリブデンを表す)が窒素雰囲気中で陰極の火花によって蒸発すると、基材表面ではMo−N層が形成され、このMo−N層の組成および相は、例えば窒素流量、Mo蒸発速度、基材温度などのようなプロセスパラメータに左右される。このような層は、大きな硬度を有することができ(15Gpa〜35GPaの間)、かつ工具表面およびコンポーネント表面の摩耗防止の分野での用途で用いることができる。
陰極火花蒸着で、前述のMoターゲットのような単元素ターゲットではなく、少なくとも2種の元素から成るターゲット(いわゆる混合ターゲット)を利用する場合、これに対応してこの少なくとも2種の元素は層合成もする。工具表面および部材表面の摩耗を減らす用途には、例えばTiAlN層およびAlCrN層が、通常はこれに対応するAl−TiまたはAl−Crから成る混合ターゲットによって製造される。この摩耗防止層は当業者に非常によく知られている。
つまり反応性の陰極火花蒸着は、既に幅広く生産に導入されたコーティング技術である。しかしこの技術の多くの利点と共に、一般に認知されている大きな欠点もある。すなわち陰極火花蒸着は、陰極の火花によるターゲット材料の蒸発中に、数多くの飛沫を産生し、この飛沫が堆積された層に組み込まれる。これらの飛沫は多くの場合、コーティングされた表面の後処理を生じさせる。この後処理は、長年にわたって技術水準であり、例えば、工具のより良いパフォーマンスを達成するために表面粗さを減らすことが有利な切削工具に対して用いられている。摩耗防止において典型的な層には、これらの飛沫はたいてい硬く、トライボロジー接触における対向物体に研削性に作用する。これは例えば切削工具では、飛沫の脱離が層の不具合に至らない場合は欠点ではない。飛沫のサイズおよび層マトリクスへの飛沫の組込みは様々であり、層マトリクスへの組込みの強固さは一般的には十分に良好であるが、実際にはコントロールできない。広範囲で、飛沫のない層への要望がある。しかし火花蒸着では典型的に特殊なフィルターなしでは常に飛沫が生成されるので、層合成の進行中に飛沫が「被覆」され得るよう、飛沫を少なくとも「良好」に層に定着させるという要望がある。図1aおよび図1bは、走査電子顕微鏡において異なる倍率で撮影した層の断面を示している(ここではAl−Ni−O層)。この層は、酸素雰囲気中でのAl−Ni混合ターゲットの陰極火花蒸着により、炭化タングステンから成る両面使用の切削プレートに堆積された。図1aでは、層表面の粗さが大きいことが認識され、層の断面では層に組み込まれている飛沫が見えている(丸で囲まれた領域)。しかしまだ被覆されておらず、試料を割った際に部分的に溶出した他の飛沫も観察することができる(長方形の中)。フィルタリングされていない火花技術によって製造される層の中および表面での飛沫密度は、とりわけ混合ターゲットを構成する成分に左右される。しかし実質的には常に、層への飛沫の組込みおよびその後の飛沫の被覆も観察され得る。
さらに、飛沫の組込みをもう1つの層系でも示す。図1cおよび図1dでは、Al−Ti−N層およびAl−Cr−O上張層から成る層系を示している。この層系の全体の層厚は約10μmであり、一番上の約3μmはAl−Cr−O上張層である。これらの図では以下のことを見ることができる。層系の下部で、つまりAl−Ti−N層では飛沫密度が明らかにより低い。飛沫密度はAl−Ti−N層からAl−Cr−O層への移行(破線)の際に上昇しており、なかでもこの移行領域で非常に多くの飛沫が発生している。しかしここでも、飛沫はより後の層によって被覆されるかまたは層に組み込まれている。図1dでは、Al−Ti−N層への飛沫の組込みをもう1度より高い倍率で示している。
それ故、Mo(85原子%)−Cu(15原子%)混合ターゲットによる火花蒸着の際に、飛沫の組込みに関して他の結果が生じたのは意外であった。4Paの反応ガス圧でMo−Cu−N層を製造した。Mo−Cuターゲットを利用した火花蒸着では、陰極の火花により、堆積された層に組み込まれなかった多数の球形の飛沫が生成されたことが分かった。これは、走査電子顕微鏡における層表面の写真を示す図2a〜図2cを考察することで認識される。層表面では、様々な直径の数多くの球形の飛沫が認識される。これらの直径は様々である。幾つかの飛沫はマイクロメートル範囲の直径を有しており、またそれより少ないより大きな飛沫があり、これらの飛沫の直径は最大で約10マイクロメートルの大きさであり得る。それと共に、サブマイクロメートル範囲、例えばおよそ100nm以下のまだ多くの小さい飛沫が存在している。図では、層表面の穴構造も認識される。最もはっきり見えているのは、直径がマイクロメートル範囲の穴構造である。これらの穴構造は、恐らく層マトリクスへの付着が不十分であったことで、層成長の際にかつ層成長およびそのときに発生する力により層から押し出された飛沫によってもたらされたのであろう。飛沫のゆるい組込みに関する正確な背景は発明者には分からない。しかし、飛沫材料がMo−(Cu)−Nマトリクス層を十分に濡らさず、これにより球形の飛沫の形成が助長されていると仮定せざるを得ない。これには、飛沫材料がマトリクス材料とまったくまたは不十分にしか結合しないという要件も付随する。
まとめると、陰極の火花によるMo−Cuターゲットの蒸発の結果として、多数の(サイズの)様々な穴構造を特徴とする層表面が生じ、この穴構造の面密度は実質的に飛沫の数によって決定されると言うことができる。穴構造のサイズ(直径)は飛沫のサイズに左右される。つまり、飛沫の頻度およびサイズが層の表面構造を本質的に決定する。この層表面の構造化に重要なのは、飛沫の大部分が、層表面に組み込まれないかまたはゆるくしか組み込まれないという事実である。マトリクス層での飛沫のこの不十分な付着により、層成長中に既に飛沫が外れ、この飛沫の外れが穴構造を露出させる。しかしそれにもかかわらずこれらの飛沫がゆるく付着したままである場合には、飛沫を簡単な研磨工程によって除去することができる。このような短い研磨工程によって処理された基材表面を、図3a〜図3cでの走査電子顕微鏡法により撮影したMo−Cu−N層の表面において示している。図3aおよび図3bは、飛沫が除去され、穴構造が後に残ったことをはっきり示している。しかし図3cではもう1つの別の可能性も示されており、これは、飛沫により研磨工程後に生じ得る。すなわち飛沫が十分に軟らかければ、飛沫が部分的に穴構造内に塗り込められる。しかしたいていは、研磨工程により飛沫が除去され、その結果として表面構造化が生じる。
つまり、コーティングの際に表面構造化を生じさせるには、以下の条件が満たされていなければならない。とにかく、飛沫をある程度定義された形状で確実に産生する方法が必要である。これは、陰極火花蒸着中に、飛沫を増加させて形成するのに適したプロセスをターゲット表面で狙い通りに引き起こすことを意味する。他方でこれらの飛沫は、層成長中に既に除去され得るか、または後処理により簡単に、かつマトリクス層のさほどの損失なく除去し得るよう、マトリクス層に固定的に組み込まれてはならず、つまり層マトリクスの多孔性を増進しない。
ここからは上で述べたことを、Mo−Cu材料系の例に関して図を用いてより詳しく説明してみることとする。
その際、図および表は以下を表す:
[表1]マトリクス元素およびドーピング元素を示す表である。
[表2]マトリクス元素の融点および蒸気圧を示す表である。
[表3]ドーピング元素の融点および蒸気圧を示す表である。
[表4]低融点の酸化物および窒化物または蒸気圧の高い酸化物および窒化物を示す表である。
Al Ni O層の断面の走査電子顕微鏡写真である。 別の倍率での図1aに対応する写真である。 Al Ti N層の断面の走査電子顕微鏡写真である。 別の倍率での図1cに対応する写真である。 走査電子顕微鏡におけるMo−Cu−N層表面の写真である。 図2aからの部分的な拡大写真である。 図2bからの部分的な拡大写真である。 走査電子顕微鏡における研磨されたMo−Cu−N層表面の写真である。 図3aとは違う倍率での走査電子顕微鏡における研磨されたMo−Cu−N層表面の写真である。 走査電子顕微鏡における研磨されたMo−Cu−N層表面の写真である。 未使用のMo−Cuターゲットに関するXRDリートベルト解析を示すグラフである。 1時間使用した後のMo−CuターゲットのXRD分析の一部分を示すグラフである。 1時間使用した後のMo−CuターゲットのXRD分析の一部分を示すグラフである。 銅 モリブデンの相図である。
最初に、ターゲット表面での現象を説明する。金属の粉末から混合ターゲットを製造できることが公知である。正確な製造法、つまり緻密化処理および温度処理は、決定された材料組成物に特異的に合わせられる。既にさらに上で説明したような例えば工具の摩耗防止のための層を産生するAl−CrまたはTi−Alのような当業者に公知のターゲット組成物はこのようにして製造されている。そこで、よく似た様式でMo−Cuターゲットを様々な組成で製造した。発明者はCu含有率が30原子%までのターゲットを調査した。これに関してはCu割合がより大きいターゲットも可能である。未使用のターゲットにより、組成の分析をEDXでもXRFでもXRD(リートベルト解析)でも実施した。これらの分析により、それぞれメーカーによって発表されたターゲット組成が証明された。これらの分析法に基づく結果の比較的小さなズレは、分析法の深さ解像度の差および理論上のターゲット密度からの誤差によって説明することができる。XRD調査は、ターゲット表面の、およびこの分析法によって達成される深さ、つまり1マイクロメートルのオーダーの深さまでの、MoおよびCuの存在を明らかに示している。一例として、未使用のMo−Cuターゲットに関するこのようなXRDリートベルト解析を図4に示しており、このMo−Cuターゲットに関しては、メーカーの発表と一致するMo(73原子%)−Cu(27原子%)の組成が見出された。ターゲットに関するメーカーの発表は、Mo(85原子%)−Cu(15原子%)およびMo(95原子%)−Cu(5原子%)の名目上の組成に関しても同じ様式で証明された。
そこで様々な組成のMo−Cuターゲットに、窒素雰囲気中で約1時間、陰極の火花によって衝撃を与えた。この処理の後、MoおよびCuに関するターゲット表面の組成を確認するため、Mo−Cuターゲットの表面を改めてXRDによって分析し、リートベルト解析を実施した。その際、以下のことが発見された。Mo(95原子%)−Cu(5原子%)の表面に関する図5aおよび図5bで示されているように、上記の組成のすべてのターゲットで、X線スペクトルにおけるMoピークがより高角度の2シータにシフトした。このシフトは、ターゲット組成にはほとんど左右されなかった。他方で、未処理のターゲットでの当初のCu信号の強度と比較して、Cu信号が明らかに減少しており、この減少は一部では(常にではないが)、シータ/2シータ配置でのXRDによりCuをまったく検出できなくなるほど強かった。
XRDスペクトルにおけるMoのピークシフトは、Cu割合が約2〜3原子%の間と仮定すると、Mo−Cu混晶の形成によって説明することができる。これは、Mo−Cu相図と驚くほど一致しており、このMo−Cu相図はこのような混晶の形成の可能性を認めているが、もちろん(熱)平衡状態に対してのみ適用可能であり、したがって本来は火花蒸着には該当しない。しかしそれにもかかわらず、Mo−Cu相図(図6)を妥当性の説明のために引き合いに出せば、(温度に応じて)限定的な量(最大で約3原子%)のCuだけは、Mo中に溶解され得ることを論証できる。より多量のCuは、このCuがターゲット中にある場合、Moの固相の温度範囲全体にわたってMo中には溶解され得ず、つまりCuは否応なくCuとして堆積される。しかしこれは、陰極の火花によって起こる融解−冷却現象が、Cuの液相とMoの固相が同時に存在する幅広い温度範囲に沿っていることを意味する。これはつまり、Mo中でのCuの可溶性が限定的なことと、融点が互いに非常に異なっていることの結果である。両方の材料の蒸気圧も非常に大きく異なっている。いずれにせよ、この事実が以下の結果に寄与していると仮定される。
・ ターゲット作製の際、ターゲット中でMoとCuの間の緊密な結合をもたらすことができず、特にCu含有率が約4原子%超ではできない。
・ ターゲット表面が、陰極の火花の影響により、Mo表面からMo−Cu混晶表面へと変換される。
・ 過剰なCu割合は、Moに比べて大きな程度で(異なる蒸気圧)、ターゲット表面から蒸発し、一番外側のターゲット表面ではCuの貧化が生じる。
・ 融解温度が非常に異なっていることが飛沫を発生させ、この飛沫の正確な形成プロセスは明らかではない。もしかするとこの飛沫はターゲット表面下でのCuの液化/蒸発により、つまりMoが固相で存在し、しかしCuが液状である温度で引き起こされるのかもしれない。
まとめると、Mo中でのCuの可溶性が限定的なことと、幅広い温度範囲にわたるCuの液相とMoの固相の共存とが、飛沫生成の増加をもたらすと言うことができる。Cu含有率により、飛沫生成に影響を及ぼすことができる。
この挙動はMo−Cu材料系だけでなく、さらに、よく似た方式でこのような飛沫を生成する他の材料系にも当てはまる。これらの材料系をTabelle 1(表1)に示している。この表での括弧内の元素に関しては文献中でデータを見つけられなかったが、どうやら組合せでは適しているらしい。線を引いて削除した元素は、ターゲットの作製には融点が低すぎ、有毒であるかまたは放射性である。マトリクス元素と表示した元素は、後の層マトリクスを成形する高融点の元素である。この層マトリクスは金属であることができるか、またはC、N、O、もしくはそれら元素の組合せとの化合物を含むことができる。ドーピング元素は、ターゲット中での濃度により飛沫生成のプロセスを本質的に決定する。この挙動が該当するマトリクス元素およびドーピングの2つの材料群を、Tabelle 2(表2)およびTabelle 3(表3)で特徴づけている。
Tabelle 2(表2)では、マトリクス元素の融点と、例えば10−2Torrの蒸気圧が生じる、つまり既に目に見えるほどの量が蒸発する条件下での温度とを示している。たいていのマトリクス元素に関し、この温度は融解温度の付近である。
Tabelle 3(表3)では、ドーピング元素に関する対応する値を示している。比較すると、マトリクス元素とドーピング元素の間には、融解温度に関しても、10−2Torrの蒸気圧が生じる温度に関しても、典型的には約1000℃の温度差があることが分かる。
したがって高融点の材料から成るすべてのターゲットは、例えばCuドーピングにより、Mo−Cuターゲットのように挙動するという予測を立てることができる。しかしこれは証明できなかった。これは例えばZr−Cu材料系、Hf−Cu材料系、またはTi−Cu材料系には該当しない。火花によりこれらの材料系が蒸発する際、確かに飛沫は生じるが、この飛沫は合成された層にはるかに組み込まれやすく、Mo−Cu系に関して上で記載したようには押し出されない。これは、高融点のマトリクス元素中での低融点の他のドーピング、例えばPt中でのAgに関してもそうである。低融点の材料としてのAlも、Mo、Ta、W、V、またはZrとの組合せでこれを示し、Alの軟らかさにもかかわらず、これまでにテストしたすべての組合せで、ドープ材料として適していない。これらの材料組合せが適切でないことに関し、妥当性の説明の根拠のために再び相図を、もちろん再び、既に上で挙げた制限された有効性と共に引き合いに出せるであろう。幅広い温度範囲にわたってマトリクス元素の固相とドーピング元素の液相が共存しないすべての二成分材料系では、液相線からより低い温度に移行すると、マトリクス元素およびドーピング元素から成る金属間の化合物および/または混晶が生じるので、飛沫による層構造化の現象はあまりはっきり現れず、飛沫は層に付着し続けて被覆される傾向が比較的大きい。
以下ではさらに、基材側での、つまり層への飛沫のゆるい組込みを論じる。ここでも、さらに上で飛沫発生に関してそうであったように予測を立てられるだけである。飛沫は、ターゲット表面が融解現象後にそうであるようには、Cuが貧化していないことが立証された。ターゲット表面からの飛沫のこの高速の噴き出しは、飛沫の完全な融解を阻止し、飛沫では当初のターゲット組成がほぼ維持され続ける。これが意味するのは、飛沫が熱い表面に当たる際にCuを析出し、このCuは、低い融点および高い蒸気圧の故にマトリクス層表面に良好に付着できなかったであろうということである。しかしさらに、ターゲット表面でのプロセスを原因と見なし得るもう1つの効果も考えられる。火花によって融解された領域が急速に冷却されると、融体から最初にMoまたはMo−Cu混晶が凝固する。その際、析出したCuは常にまだ液相であり、かつ高い温度で相応に蒸発される。蒸気の大部分は液化し、かつ恐らく層に組み込まれ(測定により、層組成が名目上の、つまり当初のターゲット組成にほぼ対応することが明らかになった)、このときのCuの組み込まれ方は、プロセスガスおよびマトリクス元素によって生じ得る特異的な反応に左右される。しかし、Cuの一部が組み込まれ得ず、成長する層の表面に堆積することも考えられる。この場合、飛沫はCuで覆われた表面にはあまり良好にはくっつけないであろう。
既に言及したように、記載した方法およびターゲット材料に基づく表面構造化は、非常に幅広く適用することができ、例えば表面の濡れ特性を最適化するために適用することができる。しかしながら本発明においてはトライボロジーの分野に関する用途をより詳しく調査した。例えば内燃機関の部品をコーティングし、部品の摩耗を調査した。その際、Mo−Cu−N層は、潤滑剤を塗った条件下で、コーティングされた物体でもコーティングされていない対向物体でも摩耗を劇的に減らすことが分かった。
その際に適用された表面構造化は、以下の特性を有していた。
・ マトリクス層が、好ましくは、HITが20GPa超、好ましくは25GPa超の硬質物質層であった。
・ マトリクス層は適用において自己潤滑性の特性を有しており、これが潤滑剤不足の条件下でも不具合を阻止した。
・ マトリクス層は、標準的な後処理により容易に飛沫を取り除くことができた。
・ この標準的な後処理により、「谷構造」を有しており、かつ潤滑剤を収容するのに適した層表面が提供された。
本願の説明において、
− コーティングのための材料源としての第1のターゲットを選択する工程
− 少なくとも選択されたターゲットを含む火花蒸着源を備えたコーティングチャンバを準備する工程
− コーティングすべき基材をコーティングチャンバに設置する工程
− 火花蒸着に適したプロセス圧力へとコーティングチャンバをポンプ排出する工程
− 点火して火花を活動させ、これにより第1のターゲットから材料が蒸発し、この材料がコーティングすべき基材上に、場合によってはコーティングチャンバに導入された反応ガスとの反応後に、沈積する工程を有する、
火花蒸着による気相からの堆積に基づくコーティング方法において、
第1のターゲットが、マトリクス成分よりドーピング成分が少なくとも600℃低い融点を有しており、かつドーピング成分の融解した滴がマトリクス成分の固体の表面を濡らさないような、少なくとも1種のマトリクス成分およびドーピング成分を含むことを特徴とするコーティング方法を開示した。
このコーティング方法では、ドーピング成分の融解した滴が、マトリクス成分の固体の表面で少なくとも90°の接触角をなすことができる。
このコーティング方法では、マトリクス成分がIr、Mo、Nb、Os、Re、Rh、Ta、Ti、V、W、Zr、またはそれらの合金によって構成された第1の群からの元素の少なくとも1種から成るように、第1のターゲットを選択することができる。
このコーティング方法では、ドーピング成分がAg、Ca、Ce、Cu、Dy、Er、Eu、Gd、La、Mg、Nd、Pb、Sb、Sm、Sr、Tl、Y、Yb、Zn、またはそれらの合金によって構成された第2の群からの少なくとも1種の元素から成るように、第1のターゲットを選択することができる。
このコーティング方法では、マトリクス成分とドーピング成分の融点が少なくとも800℃、好ましくは少なくとも1000℃異なっているようにマトリクス成分とドーピング成分からの組合せが存在するよう、第1のターゲットを選択することができる。
このコーティング方法では、第1のターゲット中でドーピング成分が、相図に基づいてマトリクス成分と混晶を形成し得るより高い濃度で存在するように、第1のターゲットを選択することができる。
このコーティング方法では、最初に、実質的にドーピング成分を含まない第2のターゲットによってコーティングし、それから上張層を施すために第1のターゲットによってコーティングすることが有利な様式である。
請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング方法を実施し、こうして生じた層を研磨し、これにより層表面にある飛沫を少なくとも部分的に除去し、かつ実質的に円形の直径でのくぼみ成形部が後に残ることを特徴とする構造化された層の製造方法を開示した。
この方法では、飛沫を部分的にくぼみ成形部に塗り込めることができる。
PVDコーティングのための材料源として適しており、その際、マトリクス成分よりドーピング成分が少なくとも600℃低い融点を有しており、かつドーピング成分の融解した滴がマトリクス成分の固体の表面を濡らさず、好ましくは少なくとも90°の接触角をなすような、少なくとも1種のマトリクス成分およびドーピング成分を含むターゲットを開示した。
このターゲットでは、ターゲット表面でのドーピング成分の濃度が参照部でのドーピング成分の濃度に比べて少なくとも25%低い可能性があり、この参照部として、ターゲット表面からターゲット裏面までの半分の距離が規定されている。
火花蒸着に特有の飛沫を有する少なくとも1つの層を含む層系によってコーティングされた基材において、層の表面が、大部分で1〜数百ナノメートルのオーダーの実質的に円形の直径でのくぼみ成形部を有することを特徴とする基材を開示した。
この基材では、層の表面を上張層によって構成することができ、上張層と基材の間に少なくとももう1つの層を配置することができ、この層は、表面に比べてコーティング中の飛沫の激しさが弱いことを示す飛沫密度を有している。
Figure 2016504495
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Claims (13)

  1. −コーティングのための材料源としての第1のターゲットを選択する工程
    −少なくとも選択されたターゲットを含む火花蒸着源を備えたコーティングチャンバを準備する工程
    −コーティングすべき基材をコーティングチャンバに設置する工程
    −火花蒸着に適したプロセス圧力へとコーティングチャンバをポンプ排出する工程、及び
    −点火して火花を活動させ、これにより第1のターゲットから材料が蒸発し、材料がコーティングすべき基材上に、場合によってはコーティングチャンバに導入された反応ガスとの反応後に、沈積する工程を有する、
    火花蒸着による気相からの堆積に基づくコーティング方法において、
    第1のターゲットが、マトリクス成分よりドーピング成分が少なくとも600℃低い融点を有しており、かつドーピング成分の融解した滴がマトリクス成分の固体の表面を濡らさないような、少なくとも1種のマトリクス成分およびドーピング成分を含むことを特徴とするコーティング方法。
  2. ドーピング成分の融解した滴が、マトリクス成分の固体の表面で少なくとも90°の接触角をなすことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング方法。
  3. マトリクス成分がIr、Mo、Nb、Os、Re、Rh、Ta、Ti、V、W、Zr、またはそれらの合金によって構成された第1の群からの元素の少なくとも1種から成るように、第1のターゲットが選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のコーティング方法。
  4. ドーピング成分がAg、Ca、Ce、Cu、Dy、Er、Eu、Gd、La、Mg、Nd、Pb、Sb、Sm、Sr、Tl、Y、Yb、Zn、またはそれらの合金によって構成された第2の群からの少なくとも1種の元素から成るように、第1のターゲットが選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング方法。
  5. マトリクス成分とドーピング成分の融点が少なくとも800℃、好ましくは少なくとも1000℃異なっているようにマトリクス成分とドーピング成分からの組合せが存在するよう、第1のターゲットが選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング方法。
  6. 第1のターゲット中でドーピング成分が、相図に基づいてマトリクス成分と混晶を形成し得るより高い濃度で存在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング方法。
  7. 最初に、実質的にドーピング成分を含まない第2のターゲットによってコーティングし、それから上張層を施すために第1のターゲットによってコーティングすることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング方法が実施され、こうして生じた層が研磨され、これにより層表面にある飛沫が少なくとも部分的に除去され、かつ実質的に円形の直径でのくぼみ成形部が後に残ることを特徴とする構造化された層の製造方法。
  9. 飛沫が部分的にくぼみ成形部に塗り込められることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. PVDコーティングのための材料源として適しており、その際、マトリクス成分よりドーピング成分が少なくとも600℃低い融点を有しており、かつドーピング成分の融解した滴がマトリクス成分の固体の表面を濡らさず、好ましくは少なくとも90°の接触角をなすような、少なくとも1種のマトリクス成分およびドーピング成分を含むターゲット。
  11. ターゲット表面でのドーピング成分の濃度が参照部でのドーピング成分の濃度に比べて少なくとも25%低く、参照部として、ターゲット表面からターゲット裏面までの半分の距離が規定されていることを特徴とする、請求項10に記載のターゲット。
  12. 火花蒸着に特有の飛沫を有する少なくとも1つの層を含む層系によってコーティングされた基材において、層の表面が、大部分で1〜数百ナノメートルのオーダーの実質的に円形の直径でのくぼみ成形部を有することを特徴とする基材。
  13. 層の表面が上張層によって構成されており、上張層と基材の間に少なくとももう1つの層が配置されており、前記層が、表面に比べてコーティング中の飛沫の激しさが弱いことを示す飛沫密度を有することを特徴とする、請求項12に記載の基材。
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