JP2016500105A - 歯磨き時に色が変化する歯磨剤組成物 - Google Patents

Abstract

ここで記載するものは、ブラッシングの間に色調変化を示す練り歯磨きでの使用のために設計された高分子マトリックスを含む粉末被覆フィルム、該フィルムを含む歯磨剤組成物、およびそれを製造する方法および使用する方法である。

Description

（背景技術）
［０００１］
本発明は、経口上許容されるフィルムに、そのようなフィルムを製造する方法に、およびそのようなフィルムを含む歯磨剤組成物に関するものである。

［０００２］
子供は少なくとも４５〜６０秒間自分の歯を磨き、成人は少なくとも９０〜１２０秒間自分の歯を磨くべきであると推奨される。ほとんどの人々は、特に子供は、最大の利益を得るのに十分な時間自分の歯を磨かず、さらに、歯を磨くのに必要な時間を正確に見積もるのが困難である。

［０００３］
所定のブラッシング期間の後に顔料を放出する練り歯磨きにおける色が変化するフィルムを提供することは知られている。具体的には、それは、練り歯磨き中に暗い、黒くさえある色が変化するフィルムを備えていることが知られており、口腔におけるブラッシング作用がそのフィルムマトリックスの溶解と暗い顔料の放出を引き起こすため、該練り歯磨きはブラッシング時にフィルムから該暗い顔料を放出する。そのような暗いフィルムは安価で、そして、非常に強い色の変化シグナル（高い色の変化コントラスト）を有する。しかしながら、消費者が練り歯磨き中に暗い粒子を見たくないので、そのような暗いフィルムは消費者に審美的に許容されない。

［０００４］
白色−黒色−白色フィルムの３層の積層サンドイッチ構造を含む色が変化するフィルムを提供することも知られている。白色フィルムは、中央の暗いフィルムのマトリックスに類似したフィルムマトリックス中に二酸化チタン（ＴｉＯ_２）が組み込まれ得る。最も外側の白色フィルムはサンドイッチの中央で黒色フィルムを部分的にマスクまたは隠すが、黒色フィルム周囲の端は白色フィルムで覆われない。これらの３層フィルムは、視覚的に消費者により許容される。しかしながら、色調変化の対比（ｃｏｌｏｒ ｃｈａｎｇｅ ｃｏｎｔｒａｓｔ）は外層由来のＴｉＯ_２の非常に高い色のカバー力（ｃｏｌｏｒ−ｃｏｖｅｒｉｎｇ ｐｏｗｅｒ）のために減じられ、そして、該フィルムは製造するのに非常に費用がかかる。

［０００５］
大人および子供たちにより長い時間自分の歯を磨くのを推奨するために改良された消費者に優しい製品および方法に対する要望が存在する。

［０００６］
色が変化するフィルム、および製造に安価であり得て、消費者に視覚的に許容され、そして強い色調変化シグナルを与えることができるフィルムを用いて、子供たちには４５〜６０秒および大人には９０〜１２０秒のブラッシング時間をコントロールすることによって、消費者のブラッシング時間を増やすための色調変化シグナルを与えることができるようなフィルムを含有する歯磨剤を提供することが、本発明の目的である。

（概要）
［０００７］
本発明のいくつかの実施形態は、マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的にマスクする第２の顔料、および該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させるポリマー材料を含む、経口上許容されるフィルムを提供する。

［０００８］
いくつかの実施形態において、フィルムは第２の顔料で被覆された溶解性のフィルム断片の形で存在する。いくつかの実施形態において、フィルム断片は、第２の顔料で被覆される前に形成される；他の実施形態において、フィルム断片は、第２の顔料で被覆された後に形成される。

［０００９］
本発明のいくつかの実施形態は、経口上許容されるフィルムを製造する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む：（ａ）マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材を形成すること；および、以下のいずれか、ｂ１．ポリマー材料を、フィルム基材の少なくとも１つの表面に適用すること；ｃ１．第２の顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的にマスクするポリマー材料に適用すること；およびｄ１．該ポリマー材料により、該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させること；または、ｂ２．ポリマー材料で被覆された第２の顔料を形成するために、ポリマー材料を第２の顔料に適用すること；ｃ２．少なくとも部分的に該フィルム基材の少なくとも１つの表面を覆うために、該ポリマー材料で被覆された第２の顔料を該基材に適用すること；およびｄ２．該ポリマー材料で被覆された第２顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面で少なくとも部分的に覆われる該基材に付着させること。

［００１０］
本発明のいくつかの実施形態は、本発明に係る経口上許容されるフィルムの複数のフィルム断片を含む歯磨剤、または本発明の方法によって製造されるフィルムを提供する。いくつかの実施形態において、歯磨剤は、例えば、十分なブラッシングの後に、フィルムが溶解して第１の顔料を放出する、第２の顔料で被覆された溶解性フィルム断片を含む。

［００１１］
他の実施形態は、第１の顔料が放出されるまで当該歯磨剤を用いてブラッシングすることを含む歯を清掃する方法をさらに提供する。

［００１２］
本発明のフィルムおよび歯磨剤組成物は、口の中での局所的使用が意図され、かくして、本発明で用いられる成分は経口的に許容されるべきであり、すなわち、提供される量および濃度において口の中での局所的使用で安全であるべきである。

［００１３］
本発明者らは、特定の実施形態において、付着剤（ａｄｈｅｓｉｏｎ ａｇｅｎｔ）としてポリマー材料を使用してフィルム基材上にマスキング（第２の）顔料を付着させることによって、適当なブラッシング時間を示すのに色チェンジ顔料が使用中に放出されるまで、比較的暗い色のチェンジ顔料が比較的明るい色のマスキング顔料によって覆い隠すことができることを見出した。結果として生じるフィルムおよび歯磨剤は消費者に審美的に許容され、該フィルムは製造に安価で、そのマスキングは実質的に完全であり得て、そしてその色調変化示度（ｃｏｌｏｒ ｃｈａｎｇｅ ｉｎｄｉｃａｔｉｏｎ）は強い。

［００１４］
さらにまた、付着剤として作用するポリマー材料は、マスキング顔料とフィルム間の強い結合を確実なものとし、該マスキング顔料がそのフィルム表面から不意にすり減らない結果となって、それで、色調変化示度がブラッシングの間の所望の瞬間に放出されるまで比較的暗い色のフィルムは露にならない。

［００１５］
口腔内の水性環境におけるブラッシング作用はポリマー材料の溶解を引き起こし、それは、ブラシ・フィラメントによる及び口の表面に対するフィルム断片の機械的摩擦によって増強され、該フィルムからのそのマスキング顔料の除去を引き起こす。該フィルムは次いで崩壊して溶解し、色チェンジ顔料を放出する。

［００１６］
このフィルム基材に付着させたマスキング（第２の）顔料の使用は、中心的な色が変化するフィルムに積層される付加的なマスキングフィルム層を作製することに関する費用および複雑さを避ける優位性を与えることができる。

［００１７］
また、フィルムの周囲の端を含む該フィルムの全表面はマスキング顔料で都合よく覆われ得るが、対照的に、多層フィルム積層体では、その外層は中央のコア層の主要面を覆うだけであり、その中央のコア層の周囲の端は視覚的に曝されたままである。

［００１８］
本発明の応用性のさらなる領域は、以下に提供される詳しい説明から明らかとなるであろう。詳しい説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、例示を目的とするだけであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。

（詳しい説明）
［００１９］
詳しい説明および具体的な実施例は、本発明の実施形態を示すものであるが、例示を目的とするだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。

［００２０］
かくして、本発明は、第１の態様において、マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的にマスクする第２の顔料、および該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させるポリマー材料を含む経口上許容されるフィルムを提供する。

［００２１］
場合により、第１の顔料はフィルムの溶解時に放出され、及び、例えば、赤色顔料、例えばＤ＆Ｃレッド３０、緑色顔料、例えばピグメント・グリーン７、黄色顔料、例えば（Ｓｅｎｓｉｅｎｔ社製のＮａｔｐｕｒｅＬＣ１２８イエロー）、または青色顔料、例えばフタロシアニン、例えばピグメント・ブルー１５：

から選択される顔料または顔料の組合せを含んでもよい。

［００２２］
いくつかの実施形態において、フィルムマトリックス中の第１の顔料は極性顔料を含む。
［００２３］

場合により、ポリマー材料は水溶性である。典型的に、ポリマー材料はポリビニルピロリドンを含む。

［００２４］
いくつかの実施形態において、第２の顔料は粉末粒子の形である。第２の顔料は、例えば、二酸化チタンまたはＣａ_２Ｐ_２Ｏ_７の粒子を含む白色粉末顔料、あるいは、例えば、弁柄またはＤ＆Ｃレッド３０の粒子を含む赤色粉末顔料であってよい。典型的に、第２の顔料は二酸化チタンを含み、そのマスクされた被覆フィルムは色が白色のように見える。

［００２５］
第２の顔料は、極性化合物および／または水不溶性物質、例えば水不溶性抗菌剤、例えばトリクロサンおよび酸化亜鉛から選択される水不溶性抗菌剤を場合により含んでもよい。

［００２６］
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、第２の顔料およびポリマー材料の総重量の５〜２５重量％、場合によりさらに、第２の顔料およびポリマー材料の総重量の１０〜２０重量％を構成する。

［００２７］
いくつかの実施形態において、第２の顔料は、フィルム基材重量の５〜２５重量％、場合によりさらに、フィルム基材重量の１０〜２０重量％を構成する。

［００２８］
典型的には、第２の顔料はフィルム基材重量の５〜１７重量％を構成する二酸化チタン粉末を含み、及びポリマー材料は該二酸化チタン粉末およびポリビニルピロリドンの総重量の５〜１７重量％の量でポリビニルピロリドンを含む。

［００２９］
いくつかの実施形態において、水溶性高分子マトリックスは、例えば、（ｉ）アルキルセルロース、例えばメチルセルロース；（ｉｉ）例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチル・メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択されるヒドロキシアルキルセルロース；および、（ｉｉｉ）それらの混合物から選択されるセルロースエーテルを含む。

［００３０］
典型的には、マトリックスは、デンプン、可塑剤、および非イオン性界面活性剤または乳化剤、あるいは、これらの成分の任意の組合せまたは２つもしくはそれ以上の少なくとも１つをさらに含む。デンプンは、ゼラチン化前のデンプンであってよい。可塑剤は、多価アルコール、例えば、ソルビトール、プロピレングリコール、グリセロールまたは低分子量ポリエチレングリコール、例えばＰＥＧ２００であってよい。例えば、フィルムマトリックスは、プロピレングリコールを、例えばフィルムに可塑性を与えるのに有効な量で、例えば該フィルムの約２０〜３０乾燥重量％で含んでもよい。いくつかの実施形態において、ノニオン界面活性剤または乳化剤はポリソルベートである。ポリソルベートは、例えばフィルムの約１〜５乾燥重量％の量の、ポリソルベート８０（別名、ポリオキシエチレン（２０）ソルビタンモノオレアート、商業的には例えばＴｗｅｅｎ（登録商標）８０として入手可能）であってよい。

［００３１］
場合により、フィルムマトリックスは、マトリックスの乾燥重量につき、（ｉ）２０〜６０重量％のメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択されるセルロースエーテル、（ｉｉ）１０〜３０重量％のプロピレングリコール；１〜５重量％のポリソルベート８０、および１５〜５５重量％の第１の顔料を含む。

［００３２］
典型的に、フィルム基材はフィルム断片の形で存在する。場合により、フィルム断片は４ｍｍの最大寸法を有し、例えば１〜４ｍｍである。フィルムは、約０．０２５〜約０．０７５ｍｍ（１インチの１０００分の１〜３）の平均厚みを有し得る。フィルム断片は、審美的な目的で任意の所望の形状および寸法を有し得る。例えば、フィルム断片は、正方形であってよく、または他の任意の幾何学的または非幾何学的な形状であってもよい。

［００３３］
いくつかの実施形態において、第２の顔料は実質的に各フィルム断片の全表面を覆う。例えば、各フィルム断片の全表面は、２つの対向した面およびそれらの間の周囲のエッジ面を含む。

［００３４］
いくつかの実施形態において、経口上許容されるフィルムは、歯磨剤に懸濁されており、そして、その第１および第２の顔料は、口腔内の水の存在下、該歯磨剤を使用した歯磨きの間、不溶性である。

［００３５］
いくつかの実施形態において、経口上許容されるフィルムは、歯磨剤に懸濁されており、そして、そのマトリックスは、口腔内の水の存在下、当該歯磨剤を使用した３０秒超および１８０秒未満の歯磨きの期間後に実質的に分解される。

［００３６］
本発明は、第２の態様において、経口上許容されるフィルムを製造する方法も提供し、該方法は以下の工程を含む：
ａ．マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材を形成すること；および、
以下のいずれか、
ｂ１．ポリマー材料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面に適用すること；
ｃ１．第２顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的に覆うポリマー材料に、適用すること；および
ｄ１．該ポリマー材料により、該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させること；または
ｂ２．ポリマー材料で被覆された第２の顔料を形成するために、ポリマー材料を第２の顔料に適用すること；
ｃ２．少なくとも部分的に該フィルム基材の少なくとも１つの表面を覆うために、該ポリマー材料で被覆された第２の顔料を該基材に適用すること；および
ｄ２．該ポリマー材料で被覆された第２顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面で少なくとも部分的に覆われた該基材に付着させること。

［００３７］
いくつかの実施形態において、マトリックス、第１の顔料、第２の顔料およびポリマー材料の一部または全部の構成は、上記した本発明の第１の態様に関するものであってよい。

［００３８］
いくつかの実施形態において、工程ｂ１またはｂ２におけるポリマー材料は液体の形で適用される。場合により、工程ｂ１またはｂ２において、ポリマー材料はフィルム基材または第２の顔料の少なくとも１つの表面上に液体として噴霧される。

［００３９］
典型的に、工程ｂ１において、ポリマー材料は溶媒中の溶液の状態であり、および、工程ｄ１において、該溶媒は蒸発され、第２の顔料をフィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させるポリマー材料の層が残る；あるいは、工程ｂ２において、ポリマー材料は溶媒中の溶液の状態であり、および、該溶媒は蒸発され、フィルム基材の少なくとも１つの表面に後に付着されるポリマー材料で被覆した第２の顔料が形成する。

［００４０］
いくつかの実施形態において、ポリマー材料はポリビニルピロリドンを含む。いくつかの実施形態では、工程ｂ１において、ポリビニルピロリドンは、工程ｄ１で蒸発される非水溶媒中の溶液として適用される。典型的に、該溶媒はエタノールである。いくつかの実施形態において、工程ｂ２における、ポリビニルピロリドンは、ポリマー材料で被覆した第２の顔料を形成するために蒸発される非水溶媒中の溶液として適用される。典型的に、該溶媒はエタノールである。

［００４１］
いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドンは、該ポリビニルピロリドンおよび溶媒の総重量に基づいて１０〜３０重量％の量で、場合によりさらに該ポリビニルピロリドンおよび溶媒の総重量に基づいて１５〜２５重量％の量で溶媒に溶解される。

［００４２］
いくつかの実施形態において、工程ｄで、被覆されたフィルム基材は加熱される。典型的に、工程ｄにおける加熱は、７５〜１２５℃の温度で３０〜９０分の期間行われる。

［００４３］
いくつかの実施形態において、工程ｃ１またはｂ２で、第２の顔料は粉末粒子の形である。例えば、第２の顔料は二酸化チタンを含んでもよい。

［００４４］
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、該ポリマー材料で被覆した第２の顔料の総重量の５〜２５重量％を構成する。他の実施形態において、ポリマー材料は、該ポリマー材料で被覆した第２の顔料の総重量の１０〜２０重量％を構成する。

［００４５］
いくつかの実施形態において、第２の顔料は、フィルム基材重量の５〜２５重量％、場合によりさらに、フィルム基材重量の１０〜２０重量％を構成する。

［００４６］
いくつかの実施形態において、第２の顔料はフィルム基材の５〜１７重量％の量で二酸化チタン粉末を含み、ポリマー材料は二酸化チタン粉末およびポリビニルピロリドンの総重量の５〜１７重量％の量でポリビニルピロリドンを含む。

［００４７］
典型的に、フィルム基材はフィルム断片の形で存在する。フィルム断片は、本発明の第１の態様に関して上記した寸法および形状を場合により有してもよい。

［００４８］
いくつかの実施形態において、工程ｂでは、ポリマー材料は各フィルム断片の全表面を実質的に覆うように適用され、及び、工程ｃでは、粉末被覆は各フィルム断片の実質的に全表面を覆うように適用される。場合により、各フィルム断片の全表面は、２つの対向した面およびそれらの間の周囲のエッジ面を含む。

［００４９］
本発明は、第３の態様において、本発明の任意の実施形態に係る経口上許容されるフィルムの複数のフィルム断片を含む歯磨剤、または本発明の任意の実施形態に係る方法によって製造される歯磨剤をさらに提供する。

［００５０］
いくつかの実施形態において、歯磨剤は、該歯磨剤の重量に基づき、０．３〜１重量％のフィルム断片を含む。

［００５１］
いくつかの実施形態において、歯磨剤は、その中で実質的に一様に懸濁された複数のフィルム断片を有する半透明または透明なゲル、例えば透明なゲル練り歯磨きである。

［００５２］
いくつかの実施形態において、口腔内の水の存在下、当該歯磨剤を使用した歯磨き前に、第１の顔料は肉眼では見えず、及び第２の顔料は肉眼で見える。

［００５３］
いくつかの実施形態において、口腔内の水の存在下、当該歯磨剤を使用した歯磨きの期間後、マトリックスが実質的に分解された後に、第１の顔料は肉眼で見え、及び、第２の顔料は肉眼で見える。

［００５４］
いくつかの実施形態において、歯磨剤または練り歯磨きの使用時に、フィルムマトリックスは、典型的に少なくとも約３０秒〜約１８０秒、あるいは少なくとも約４５秒〜約１５０秒のブラッシング期間後、実質的に溶解する。発明の他の実施形態において、ブラッシング期間は、約３０〜約７５秒、約４５秒〜約６０秒、及び約９０秒〜約１２０秒からなる範囲から選択される。本発明のさらに別の実施形態において、ブラッシング期間は、子供用の練り歯磨きでは約４５〜６０秒、および大人用の練り歯磨きでは約９０〜１２０秒である。列記したブラッシング期間は第１の顔料を放出し、その使用者に適当なブラッシングの色シグナルを与えるはずである。

［００５５］
例えば、１つの実施形態において、練り歯磨きは透明なゲルであり、そこでフィルム断片は明確に目視できる。フィルム断片は、例えば直径１〜４ｍｍの小さい四角形であってよい。それらはすべての単一色または色とりどりの色であってよく、その色は第２の顔料で与えられ、及びフィルムマトリックスは高濃度の第１の顔料を含有し得る。ブラッシング期間の後、例えば、少なくとも３０秒後に、フィルムマトリックスは崩壊し、その透明なゲル練り歯磨きは突然第１の顔料により色づけられ、使用者に彼／彼女が適当な時間ブラッシングしたことのシグナルを送る。

［００５６］
本発明は、例えば上記段落に記載の経口上許容される溶解性フィルムを含む練り歯磨きを用いたブラッシングを含む、歯を清掃する方法をさらに提供し、ここで、該溶解性フィルムはフィルムマトリックス中に第１の顔料を含み、およびブラッシングは該フィルムマトリックスが溶解するまで続けられ、および該第１の顔料は使用者に適当なブラッシングの色シグナルを与え、例えば、該フィルムマトリックスが溶解しないうちのブラッシング時間は３０〜１８０秒、例えば、子供使用の練り歯磨きに関しては約４５〜６０秒および大人用の練り歯磨きに関しては約９０〜１２０秒である。

［００５７］
本明細書を通じて用いられるように、範囲はその範囲内にある各数値および全ての数値を表す短縮形として用いられる。該範囲内にある値はいずれも、該範囲の上限下限として選択され得る。そうではないと特定されない限り、ここで及び本明細書中の他の箇所に示されるパーセンテージおよび量はすべて、重量パーセントを意味すると理解されるべきである。

［００５８］
以下の実施例は、本発明の範囲内にある例示的な実施形態をさらに記載および実証する。実施例は単に説明のためだけに挙げられ、その精神および範囲を逸脱しない範囲で、多くの変形が可能であるため、本発明の限定と解釈すべきではない。ここで示される及び記載されるものに加えて、本発明のさまざまな改変は、当業者には明白であろうし、添付する特許請求の範囲内にあると意図される。

実施例
実施例１
［００５９］
フィルムは、表１に示される組成を有する水性スラリーを産生することによって製造した。スラリーは、表面から結果として生じるフィルムの可能な分離を容易にするための剥離剤で被覆したテフロン（登録商標）シートから成る低エネルギー表面上で成型した。スラリーは、次いで、約０．０２５ｍｍ（１インチまたは１ミルの１，０００分の１）の平均厚みを有するフィルムを得るために乾燥した。乾燥フィルムの組成は表１にも示される。

［００６０］

［００６１］
結果として生じたフィルムは、その高濃度の顔料のために黒く見えた。該フィルムを歯磨剤に含めた場合、顔料であるピグメント・ブルー１５がフィルム中にカプセル化されており、ブラッシングの間に色調変化を引き起こす。

［００６２］
黒色フィルムを、正方形の形状で１．６ｍｍ×１．６ｍｍの寸法を有するフィルム断片に裁断した。

［００６３］
フィルム断片を、ポリマー材料においてフィルム断片の全表面を覆うために、ポリマー材料であるポリビニルピロリドン（ＰＶＰ）の溶液と共に非水溶媒中で混合した。特に、溶液はエタノール中の２０重量％のＰＶＰを含んだ。フィルム断片の表面上へのポリマー材料の効果的で一様な被覆を確実なものとするために、４０ｇの該フィルム断片を６ｇの２０重量％のＰＶＰ／エタノール溶液と混合した。換言すれば、該ＰＶＰ／エタノール溶液は、フィルム断片重量の１５重量％を構成した。

［００６４］
この実施例では、混合することはタンブリング機で又は手で混合物をシェイクすることによって達成したが、他の実施例では、フィルム断片を混合しながらポリマー材料の溶液を圧力下で該フィルム断片上への該液体溶液の噴霧によって該フィルム断片に塗布する。

［００６５］
その後、６ｇの二酸化チタン粉末を混合物に添加し、フィルム断片が該二酸化チタン粉末粒子で一様に被覆されるまで該混合物を混合した。

［００６６］
二酸化チタン粉末の量は、フィルム断片の表面上に二酸化チタン粉末の効果的で一様な被覆を確実なものとするために選択され、それで、フィルム断片の黒色が、該断片の曝された表面のすべてに、主要面だけでなく周囲の端も、二酸化チタン粉末の白色によって実質的に完全に覆い隠された。

［００６７］
被覆した断片は肉眼には白く見えた。

［００６８］
この実施例において、該二酸化チタン粉末はフィルム断片の重量の１５重量％を構成した。

［００６９］
被覆したフィルム断片を、次いで、ベッド上に置き、温度１００℃で１時間加熱した。この加熱工程はエタノール溶媒を蒸発させる原因となり、結果的に、一様に白色の乾燥フィルム断片となった。

［００７０］
乾燥フィルム断片上でのＰＶＰポリマー材料被覆は該フィルム断片の表面上への二酸化チタン粉末被覆を付着させるために作用し、それで、該フィルム断片の黒色は該断片の曝された表面すべてで実質的に完全に覆い隠され、該乾燥フィルム断片は肉眼に白く見えた。

［００７１］
白色の被覆したフィルム断片を緑に色づけした透明なゲル練り歯磨きに組み込んだ。該フィルム断片は、結果として生じる練り歯磨きの総重量の０．３重量％を構成した。練り歯磨きにおいて、白色の被覆したフィルム断片は、肉眼で見ることができて、及び一様に白く見えた。該フィルム断片は、使用までゲル練り歯磨き中で安定であった。

［００７２］
練り歯磨きが、対象の歯をブラシがけするのに使用された。ブラッシングの間に、該フィルムは水で膨張して崩壊し、青色顔料を放出し、かくして、色調変化が起こり、消費者にブラッシングが十分に完了した時を示す。９０〜１２０秒の期間後、ブルー１５ピグメントが口腔にそのマトリックスから放出され、口腔内で練り歯磨きに青色の色合いを付けた。この色調変化は、十分なブラッシング時間の指標であった。

［００７３］
他の改変および実施形態は当業者には容易に明らかとなるであろうし、また、本発明の範囲内に含まれる。

Claims (49)

1. 水溶性高分子マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的にマスクする第２の顔料、および該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させるポリマー材料を含む、経口上許容されるフィルム。
2. 前記ポリマー材料が水溶性である、請求項１に記載のフィルム。
3. 前記ポリマー材料がポリビニルピロリドンを含む、請求項１または請求項２に記載のフィルム。
4. 前記第２の顔料が粉末粒子の形である、請求項１〜３のいずれか一項に記載のフィルム。
5. 前記第２の顔料が二酸化チタンを含む、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
6. 前記ポリマー材料が前記第２の顔料および前記ポリマー材料の総重量の５〜２５重量％を構成する、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
7. 前記ポリマー材料が前記第２の顔料および前記ポリマー材料の総重量の１０〜２０重量％を構成する、請求項６に記載のフィルム。
8. 前記第２の顔料が前記フィルム基材の重量の５〜２５重量％を構成する、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
9. 前記ポリマー材料が前記フィルム基材の重量の１０〜２０重量％を構成する、請求項８に記載のフィルム。
10. 前記第２の顔料は前記フィルム基材の重量の５〜１７重量％を構成する二酸化チタン粉末を含み、及び前記ポリマー材料は該二酸化チタン粉末および前記ポリビニルピロリドンの総重量の５〜１７重量％の量でポリビニルピロリドンを含む、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
11. 前記マトリックスがヒドロキシアルキルセルロースを含む、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
12. 前記ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項１１に記載のフィルム。
13. 前記マトリックスは、デンプン、可塑剤、プロピレングリコール および非イオン性活性剤または乳化剤の少なくとも１つ、またはこれらの成分の任意の組合せもしくは２またはそれ以上をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
14. 前記非イオン性活性剤または乳化剤がポリソルベートである、請求項１３に記載のフィルム。
15. 前記フィルム基材はフィルム断片の形で存在する、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
16. 前記フィルム断片が１〜４ｍｍの最大寸法および０．０２５〜０．０７５ｍｍの厚みを有する、請求項１５に記載のフィルム。
17. 前記第２の顔料が実質的に各々のフィルム断片の全表面を覆う、請求項１５または請求項１６に記載のフィルム。
18. 各々のフィルム断片の全表面は、２つの対向した面およびそれらの間の周囲のエッジ面を含む、請求項１７に記載のフィルム。
19. 歯磨剤に懸濁され、および、前記第１および第２の顔料が口腔内の水の存在下での該歯磨剤を用いた歯磨きの間に不溶性である、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
20. 歯磨剤に懸濁され、および、前記マトリックスが口腔内の水の存在下での該歯磨剤を用いた３０秒超〜１８０秒未満の期間の歯磨き後に実質的に溶解する、前記請求項のいずれかに記載のフィルム。
21. 以下の工程を含む、経口上許容されるフィルムを製造する方法：
    ａ．水溶性高分子マトリックスの溶解時に放出される第１の顔料を含有する該水溶性高分子マトリックスを含むフィルム基材を形成すること；および
    ｂ１．ポリマー材料を、フィルム基材の少なくとも１つの表面に適用すること；
    ｃ１．第２の顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面を少なくとも部分的にマスクするポリマー材料に適用すること；および
    ｄ１．該ポリマー材料により、該第２の顔料を該フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させること；
    または
    ｂ２．ポリマー材料で被覆された第２の顔料を形成するために、ポリマー材料を第２の顔料に適用すること；
    ｃ２．少なくとも部分的に該フィルム基材の少なくとも１つの表面を覆うために、該ポリマー材料で被覆された第２の顔料を該基材に適用すること；および
    ｄ２．該ポリマー材料で被覆された第２顔料を、該フィルム基材の少なくとも１つの表面で少なくとも部分的に覆われた該基材に付着させること
    を含む方法。
22. 工程ｂ１またはｂ２において、前記ポリマー材料が液体の形で適用される、請求項２１に記載の方法。
23. 工程ｂ１において、前記ポリマー材料が、前記フィルム基材の少なくとも１つの表面上に液体として噴霧される、請求項２２に記載の方法。
24. 工程ｂ１において、前記ポリマー材料は溶媒中で溶液の状態であり、および工程ｄ１において、前記第２の顔料を前記フィルム基材の少なくとも１つの表面に付着させるポリマー材料の層を残すために、該溶媒を蒸発させる、請求項２２または請求項２３に記載の方法。
25. ポリマー材料がポリビニルピロリドンを含む、請求項２１〜２４のいずれか一項に記載の方法。
26. 工程ｂ１において、前記ポリビニルピロリドンは、工程ｄ１において蒸発される非水溶媒中の溶液として適用される、請求項２５に記載の方法。
27. 前記溶媒がエタノールである、請求項２６に記載の方法。
28. 前記ポリビニルピロリドンは、該ポリビニルピロリドンおよび前記溶媒の総重量に基づき、１０〜３０重量％の量で溶媒に溶かされる、請求項２６または請求項２７に記載の方法。
29. 前記ポリビニルピロリドンは、該ポリビニルピロリドンおよび前記溶媒の総重量に基づき、１５〜２５重量％の量で溶媒に溶かされる、請求項２８に記載の方法。
30. 工程ｄにおいて、被覆されたフィルム基材が加熱される、請求項２１〜２９のいずれか一項に記載の方法。
31. 工程ｄにおいて、加熱が７５〜１２５℃の温度で３０〜９０分の期間行われる、請求項３０に記載の方法。
32. 工程ｃにおいて、前記第２の顔料が粉末粒子の形である、請求項２１〜３１のいずれか一項に記載の方法。
33. 前記第２の顔料が二酸化チタンを含む、請求項２１〜３２のいずれか一項に記載の方法。
34. ポリマー材料が、前記第２の顔料および前記ポリマー材料の総重量の５〜２５重量％を構成する、請求項２１〜３３のいずれか一項に記載の方法。
35. 前記ポリマー材料が粉末被覆および前記ポリマー材料の総重量の１０〜２０重量％を構成する、請求項３４に記載の方法。
36. 前記第２の顔料が、前記フィルム基材の重量の５〜２５重量％を構成する、請求項２１〜３５のいずれか一項に記載の方法。
37. 前記ポリマー材料が前記フィルム基材の重量の１０〜２０重量％を構成する、請求項３６に記載の方法。
38. 前記第２の顔料が、前記フィルム基材の５〜１７重量％の量で二酸化チタン粉末を含み、および前記ポリマー材料が、該二酸化チタン粉末および前記ポリビニルピロリドンの総重量の５〜１７重量％の量でポリビニルピロリドンを含む、請求項２１〜３７のいずれか一項に記載の方法。
39. フィルム基材がフィルム断片の形で存在する、請求項２１〜３８のいずれか一項に記載の方法。
40. 前記フィルム断片が、前記第２の顔料または前記ポリマー材料で被覆した第２の顔料を該フィルム断片に適用する前に形成される、請求項３９の方法。
41. 前記フィルム断片が、前記第２の顔料または前記ポリマー材料で被覆した第２の顔料を前記基材に適用した後に形成される、請求項３９の方法。
42. 前記フィルム断片が、１〜４ｍｍの最大寸法および０．０２５〜０．０７５ｍｍの厚みを有する、請求項３９〜４１のいずれか一項に記載の方法。
43. 工程ｂ１において、前記ポリマー材料が各々のフィルム断片の全表面を実質的に覆うように適用され、および工程ｃ１において、前記第２の顔料が各々のフィルム断片の全表面を実質的に覆うように適用される、請求項３９または請求項４０に記載の方法。
44. 各々のフィルム断片の全表面は、２つの対向した面およびそれらの間の周囲のエッジ面を含む、請求項４３に記載の方法。
45. 請求項１〜２０のいずれか一項に記載の経口上許容されるフィルム、または請求項２１〜４２のいずれか一項に記載の方法によって製造されたフィルム、の複数のフィルム断片を含む歯磨剤。
46. 該歯磨剤の重量に基づき、０．３〜１重量％のフィルム断片を含む、請求項４３の歯磨剤。
47. その中で実質的に一様に懸濁された複数のフィルム断片を有する半透明または透明ゲルである、請求項４３または請求項４４の歯磨剤。
48. 口腔内での水の存在下での前記歯磨剤を用いた歯磨きの前に、前記第１の顔料は肉眼で見えず、前記第２の顔料は肉眼で見える、請求項４３〜４５のいずれか一項に記載の歯磨剤。
49. 口腔内での水の存在下での前記歯磨剤を用いた歯磨きの期間後、前記マトリックスが実質的に分解された後に、前記第１の顔料が肉眼で見え、かつ、前記第２の顔料が肉眼で見える、請求項４６の歯磨剤。