JP2016225883A - 空間光通信装置 - Google Patents
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Abstract
Description
これにより、人工衛星同士での光通信や、人工衛星と地上局間での光通信が可能になるが、レーザービームを用いる場合、レーザービームが回折によって広がると、空間伝搬損失が増加する。
したがって、レーザービームの回折が広がることによる空間伝搬損失の増加を抑えるため、レーザービームの口径を拡大する望遠鏡や、レーザービームが通信対象を指向するように、レーザービームを屈曲させる粗追尾機構を実装する必要がある。
この反射型望遠鏡として、例えば、主鏡と副鏡で構成されているカセグレン望遠鏡を用いる場合を想定すると、人工衛星の打上げ時の振動の影響や、人工衛星が軌道を周回している際の構造の経時劣化によって、主鏡と副鏡の間隔がずれるなどのアライメントずれが生じことがある。
以下の特許文献1には、電動で移動可能なクサビ形ガラスや、形状の可変が可能な補償光学ミラーを内部の光路に配置することで、カセグレン望遠鏡で生じる波面誤差を補償している空間光通信装置が開示されている。
図1はこの発明の実施の形態1による空間光通信装置を示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1による空間光通信装置の光アンテナ部の校正ポジションを示す説明図である。
図1及び図2において、空間光通信装置は、光アンテナ部1と光送受信部2から構成されており、光アンテナ部1は、例えば平面板状の構造である支持構造10に支持されている。
光アンテナ部1の望遠鏡11は主鏡12と副鏡13から構成されており、光送受信部2から出力された送信光であるレーザービーム(レーザ光)のビーム口径を拡大する一方、受信光であるレーザービーム(レーザ光)のビーム口径を縮小するカセグレン望遠鏡である。
図1では、望遠鏡11がカセグレン望遠鏡である例を示しているが、送信光であるレーザービームのビーム口径を拡大する一方、受信光であるレーザービームのビーム口径を縮小する機能を有する望遠鏡であれば、カセグレン望遠鏡に限るものではない。
図1では、粗追尾機構14から空間に放射されるレーザービームの方向が右方向である例を示している。
図1の粗追尾機構14は、右方向を中心に180度の半球状範囲を指向することが可能なように構成されている。
なお、粗追尾機構14の具体的な構造は、例えば、以下の非特許文献1に開示されている。
[非特許文献1]
「A Coarse Pointing Assembly for Optical Communication」 G. Szekely1, D. Blum*, M. Humphries*, A. Koller*, D. Mussett*, S. Schuler* and P. Vogt*
反射鏡制御機構18は例えば電動モータなどから構成されており、通信対象とレーザービームの送受信を行う際には、そのレーザービームが通信対象を指向するように2枚の平面鏡15,16を制御し、望遠鏡11における主鏡12と副鏡13間のアライメントずれに伴う影響を補償する際には、図2に示すように、望遠鏡11により口径が拡大されたレーザービームが平面原器17に反射されて望遠鏡11に戻るように2枚の平面鏡15,16の角度を制御する。
反射鏡制御機構18が粗追尾機構14を構成している平面鏡15,16を制御することで、平面鏡15,16は、それぞれ直交する2軸を中心とする回転運動を行う。回転運動の回転軸は図示せぬ旋回ベアリングにより構成されている。
光受信装置22は通信対象から送信された受信光であるレーザービームを受光して光電変換し、光電変換後の電気信号である変調信号を復調する装置である。
ビームスプリッタ23は例えばレーザービームを透過成分と反射成分に分岐する部分反射コーティングが施されている平面ガラス板で構成されており、受信光である望遠鏡11により口径が縮小されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームの透過成分を粗追尾センサ29の方向に出力し、そのレーザービームの反射成分を精追尾機構24の方向に出力する。
また、ビームスプリッタ23は精追尾機構24から出力された送信光であるレーザービームが入射されると、そのレーザービームを望遠鏡11の方向に出力する。
即ち、精追尾機構24は例えば2つの電磁駆動アクチュエータによって設置角度が変えられる平面鏡を備えた高速ステアリングミラーで構成されており、ビームスプリッタ23から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ25の方向に出力する一方、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ23の方向に出力する光学素子である。
ビームスプリッタ26は例えばレーザービームを透過成分と反射成分に分岐する部分反射コーティングが施されている平面ガラス板で構成されており、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームの透過成分を光受信装置22の方向に出力し、そのレーザービームの反射成分を反射ミラー28の方向に出力する。
光行差とは、通信距離が非常に長い場合、通信対象から送信されたレーザービームが自局である本空間光通信装置に到達する時間や、自局から送信されたレーザービームが通信対象に到達する時間において、自局と通信対象間の相対速度差にしたがって相対位置が変化することにより生じる無視できない角度ずれを意味する。
反射ミラー28はビームスプリッタ26から出力されたレーザービームを精追尾センサ32の方向に反射する。
粗追尾センサ29により検出されたレーザービームの到来方向は、反射鏡制御機構18にフィードバックされ、通信対象とレーザービームの送受信を行う際に、反射鏡制御機構18が、レーザービームの到来方向にしたがって平面鏡15,16の角度を制御する。
強度調整部31は伝搬損失算出部30により算出された空間伝搬損失が大きい程、光送信装置21から出力されるレーザービームの強度が高くなるように、光送信装置21を制御する。
精追尾センサ32により検出されたレーザービームの到来方向は、精追尾機構24にフィードバックされ、通信対象とレーザービームの送受信を行う際に、精追尾機構24が、レーザービームの到来方向にしたがって、精追尾機構24を構成している平面鏡の角度を制御する。
角度ずれ補償部34は角度ずれ検出部33により検出された角度ずれが減少するように精追尾機構24を構成している平面鏡の角度(光学素子の設置角度)を調整する。
最初に、空間光通信装置が、送信光であるレーザービームを通信対象に送信する際の動作を説明する。
まず、光送受信部2の光送信装置21は、通信のために変調された送信光であるレーザービームを出力する。
光行差補正機構27は、光送信装置21がレーザービームを出力すると、そのレーザービームをビームスプリッタ25の方向に反射する。
精追尾機構24は、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ23の方向に出力する。
ビームスプリッタ23は、精追尾機構24から出力されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームを光アンテナ部1の望遠鏡11の方向に出力する。
粗追尾機構14は、2枚の平面鏡15,16が望遠鏡11から出力されたレーザービームを屈曲させて空間に放射する。
反射鏡制御機構18は、粗追尾機構14から放射されるレーザービームが通信対象を指向するように、2枚の平面鏡15,16の角度を制御する。
光アンテナ部1の粗追尾機構14は、2枚の平面鏡15,16が空間から到来してくるレーザービームを屈曲させて望遠鏡11の方向に出射する。
望遠鏡11は、粗追尾機構14から出射されたレーザービームのビーム口径を縮小し、ビーム口径縮小後のレーザービームを光送受信部2のビームスプリッタ23に出力する。
精追尾機構24は、ビームスプリッタ23から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ25の方向に出力する。
ビームスプリッタ26は、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームの透過成分を光受信装置22の方向に出力し、そのレーザービームの反射成分を反射ミラー28の方向に出力する。
光受信装置22は、ビームスプリッタ26から出力されたレーザービームを受光して光電変換し、光電変換後の電気信号である変調信号を復調する。
粗追尾センサ29は、集光スポット像を生成すると、その集光スポット像の結像位置から、受信光であるレーザービームの到来方向を検出する。粗追尾センサ29により検出されたレーザービームの到来方向は、反射鏡制御機構18にフィードバックされる。
反射鏡制御機構18は、粗追尾センサ29により検出されたレーザービームの到来方向にしたがって平面鏡15,16の角度を制御する。これにより、レーザービームの到来方向が通信対象を指向するように追尾される。
精追尾センサ32は、反射ミラー28により反射されたレーザービームを集光して集光スポット像を生成する。この集光スポット像の結像位置は、光アンテナ部1の粗追尾機構14に入射された受信光であるレーザービームの角度に略比例して変位する。
精追尾センサ32は、集光スポット像を生成すると、その集光スポット像の結像位置から、受信光であるレーザービームの到来方向を検出する。精追尾センサ32により検出されたレーザービームの到来方向は、精追尾機構24にフィードバックされる。
精追尾機構24は、精追尾センサ32により検出されたレーザービームの到来方向にしたがって精追尾機構24を構成している平面鏡の角度を制御する。
まず、反射鏡制御機構18は、望遠鏡11のアライメントずれに伴う影響を補償する場合、図2に示すように、望遠鏡11からレーザービームが放射されると、そのレーザービームが平面原器17に反射されて望遠鏡11に戻るように2枚の平面鏡15,16の角度を制御する。
以下、レーザービームが平面原器17に反射されて望遠鏡11に戻る平面鏡15,16の位置を校正ポジションと称する。
光行差補正機構27は、光送信装置21がレーザービームを出力すると、そのレーザービームをビームスプリッタ25の方向に反射する。
精追尾機構24は、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ23の方向に出力する。
ビームスプリッタ23は、精追尾機構24から出力されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームを光アンテナ部1の望遠鏡11の方向に出力する。
粗追尾機構14は、2枚の平面鏡15,16が望遠鏡11から出力されたレーザービームを屈曲させて、そのレーザービームを平面原器17の方向に出力する。
平面原器17は、粗追尾機構14から出力されたレーザービームを反射する。平面原器17により反射されたレーザービームは、図2に示すように、粗追尾機構14を介して、望遠鏡11に戻る。
これにより、望遠鏡11では、通信対象から放射されたレーザービームを受信する場合と同様に、粗追尾機構14から出射されたレーザービームのビーム口径を縮小し、ビーム口径縮小後のレーザービームを光送受信部2のビームスプリッタ23に出力する。
精追尾機構24は、ビームスプリッタ23から出力されたレーザービームを屈曲して、そのレーザービームをビームスプリッタ25の方向に出力する。
ビームスプリッタ26は、ビームスプリッタ25から出力されたレーザービームが入射されると、そのレーザービームの反射成分を反射ミラー28の方向に出力する。
反射ミラー28は、ビームスプリッタ26から出力されたレーザービームを精追尾センサ32の方向に反射する。
伝搬損失算出部30は、粗追尾センサ29が集光スポット像を生成すると、その集光スポット像の広がりである直径から、望遠鏡11を構成している主鏡12と副鏡13間のアライメントずれに伴うレーザービームの空間伝搬損失を算出する。
ここで、望遠鏡11を構成している主鏡12と副鏡13間でアライメントずれが生じている場合、そのアライメントずれの影響でレーザービームの波面歪や角度ずれが生じる。また、波面歪が生じている場合、粗追尾センサ29により生成される集光スポット像の直径は、その波面歪が大きい程、大きくなる。
この実施の形態1では、例えば、予め集光スポット像の直径と空間伝搬損失との関係をシミュレーションしており、伝搬損失算出部30が、集光スポット像の直径と空間伝搬損失との関係を示すテーブルを備えているものを想定している。
伝搬損失算出部30が当該テーブルを備えている場合、そのテーブルを参照すれば、粗追尾センサ29により生成された集光スポット像の直径に対応する空間伝搬損失を特定することができる。
ここでは、伝搬損失算出部30がテーブルを参照して、集光スポット像の直径に対応する空間伝搬損失を特定する例を示しているが、予め用意している計算式を用いて、集光スポット像の直径からレーザービームの空間伝搬損失を算出するようにしてもよい。
ただし、光送信装置21から出力されるレーザービームの強度には上限があるので、その上限を超えない範囲で、光送信装置21から出力されるレーザービームの強度が高められる。したがって、空間伝搬損失が極めて大きい場合、光送信装置21から出力されるレーザービームの強度を調整するだけでは、波面歪によるレーザービームの空間伝搬損失の影響が十分に補償されない場合もあるが、その場合でも、レーザービームの空間伝搬損失の影響は低減される。
角度ずれ検出部33は、精追尾センサ32が集光スポット像を生成すると、その集光スポット像から、望遠鏡11を構成している主鏡12と副鏡13間のアライメントずれに伴うレーザ光の角度ずれを検出する。この集光スポット像の結像位置は、アライメントずれに略比例して変位するので、その変位量からアライメントずれに伴うレーザ光の角度ずれを検出することができる。
角度ずれ補償部34は、角度ずれ検出部33が角度ずれを検出すると、その角度ずれが減少するように精追尾機構24を構成している平面鏡の角度を調整する。あるいは、その角度ずれが減少するように粗追尾機構14を構成している平面鏡15,16の角度を調整する。これにより、アライメントずれに伴う角度ずれの影響を補償することができる。
また、レーザービームの空間伝搬損失の影響の補償については、光送信装置21から出力されるレーザービームの強度を調整するだけでよく、補償を実施するために付加的な機械要素を追加する必要がない。このため、装置の信頼性、寿命の向上、コスト増の抑制が可能になる。
Claims (2)
- 送信光であるレーザ光のビーム口径を拡大する一方、受信光であるレーザ光のビーム口径を縮小する望遠鏡と、
前記望遠鏡によりビーム口径が拡大されたレーザ光を屈曲させて空間に放射する一方、空間から到来してくるレーザ光を屈曲させて前記望遠鏡の方向に出射する粗追尾機構と、
レーザ光を反射する平面原器と、
通信対象とレーザ光の送受信を行う際には、レーザ光が前記通信対象を指向するように前記粗追尾機構を構成している反射鏡を制御し、前記望遠鏡のアライメントずれに伴う影響を補償する際には、前記望遠鏡により口径が拡大されたレーザ光が前記平面原器に反射されて前記望遠鏡に戻るように前記反射鏡を制御する反射鏡制御機構と、
前記平面原器に反射されて前記望遠鏡に戻されたレーザ光を集光して集光スポット像を生成する第1の集光スポット像生成部と、
前記第1の集光スポット像生成部により生成された集光スポット像から、前記望遠鏡のアライメントずれに伴うレーザ光の空間伝搬損失を算出する伝搬損失算出部と、
前記伝搬損失算出部により算出された空間伝搬損失が大きい程、前記送信光の強度を高める強度調整部と
を備えた空間光通信装置。 - 前記送信光を出力する光送信装置と、
前記受信光を受信する光受信装置と、
前記光送信装置から出力された送信光であるレーザ光を前記望遠鏡に導く一方、前記望遠鏡により口径が縮小されたレーザ光を前記光受信装置に導く光学素子と、
前記平面原器に反射されて前記望遠鏡に戻されたレーザ光を集光して集光スポット像を生成する第2の集光スポット像生成部と、
前記第2の集光スポット像生成部により生成された集光スポット像から、前記望遠鏡のアライメントずれに伴うレーザ光の角度ずれを検出する角度ずれ検出部と、
前記角度ずれ検出部により検出された角度ずれが減少するように前記光学素子の設置角度を調整する角度ずれ補償部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の空間光通信装置。
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