以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
接合システム1では、図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハWU、WLを接合する。以下、上側に配置されるウェハを「上ウェハWU」といい、下側に配置されるウェハを「下ウェハWL」という。また、上ウェハWUが接合される接合面を「表面WU1」といい、当該表面WU1と反対側の面を「裏面WU2」という。同様に、下ウェハWLが接合される接合面を「表面WL1」といい、当該表面WL1と反対側の面を「裏面WL2」という。そして、接合システム1では、上ウェハWUと下ウェハWLを接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成する。
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数のウェハWU、WL、複数の重合ウェハWTをそれぞれ収容可能なカセットCU、CL、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、ウェハWU、WL、重合ウェハWTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、水平方向のX方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットCU、CL、CTを搬入出する際に、カセットCU、CL、CTを載置することができる。このように、搬入出ステーション2は、複数の上ウェハWU、複数の下ウェハWL、複数の重合ウェハWTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。また、カセットの1つを異常ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で上ウェハWUと下ウェハWLとの接合に異常が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハWTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCTのうち、1つのカセットCTを異常ウェハの回収用として用い、他のカセットCTを正常な重合ウェハWTの収容用として用いている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCU、CL、CTと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間でウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
例えば第1の処理ブロックG1には、ウェハWU、WLの表面WU1、WL1を改質する表面改質装置30が配置されている。表面改質装置30では、例えば減圧雰囲気下において処理ガスがプラズマ化され、この処理ガスのプラズマによって表面WU1、WL1が改質される。なお、表面改質装置30の構成については後述する。
例えば第2の処理ブロックG2には、例えば純水によってウェハWU、WLの表面WU1、WL1を親水化すると共に当該表面WU1、WL1を洗浄する表面親水化装置40、ウェハWU、WLを接合する接合装置41が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のY方向に並べて配置されている。
表面親水化装置40では、例えばスピンチャックに保持されたウェハWU、WLを回転させながら、当該ウェハWU、WL上に純水を供給する。そうすると、供給された純水はウェハWU、WLの表面WU1、WL1上を拡散し、表面WU1、WL1が親水化される。なお、接合装置41の構成については後述する。
例えば第3の処理ブロックG3には、図2に示すようにウェハWU、WL、重合ウェハWTのトランジション装置50、51が下から順に2段に設けられている。
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置にウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部70が設けられている。制御部70は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハWU、WL、重合ウェハWTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述のウェハ接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部70にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した表面改質装置30の構成について説明する。表面改質装置30は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハWU、WLの搬入出口101が形成され、当該搬入出口101にはゲートバルブ102が設けられている。
処理容器100の内部には、ウェハWU、WLを載置させるための下部電極110が設けられている。下部電極110は、例えばアルミニウムなどの導電性材料で構成される。下部電極110の下方には、例えばモータなどを備えた駆動部111が設けられている。この駆動部111により、下部電極110は昇降自在になっている。
下部電極110の内部には、熱媒循環流路112が設けられている。熱媒循環流路112には、温調手段(図示せず)により適当な温度に温度調整された熱媒が熱媒導入管113を介して導入される。熱媒導入管113から導入された熱媒は熱媒循環流路112内を循環し、これによって、下部電極110が所望の温度に調整される。そして、下部電極110の熱が、下部電極110の上面に載置されたウェハWU、WLに伝達されて、ウェハWU、WLが所望の温度に調節される。
なお、下部電極110の温度を調節する温度調節機構は、熱媒循環流路112に限定されず、冷却ジャケット、ヒータ等、その他の機構を用いることもできる。
下部電極110の上部は、ウェハWU、WLを静電吸着するための静電チャック120に構成されている。静電チャック120は、例えばポリイミド樹脂などの高分子絶縁材料からなる2枚のフィルム121、122の間に、例えば銅箔などの導電膜123を配置した構造を有している。導電膜123は、配線124、コイル等のフィルタ125を介して高圧電源126に接続されている。プラズマ処理時には、高圧電源126から、任意の直流電圧に設定された高電圧が、フィルタ125で高周波をカットされて、導電膜123に印加される。こうして導電膜123に印加された高電圧により発生されたクーロン力によって、下部電極110の上面(静電チャック120の上面)にウェハWU、WLが静電吸着させられる。なお、静電チャック120の構成は、本実施の形態に限定されず、例えばジョンソンラーベック型の静電チャックを用いてもよい。
下部電極110の上面には、ウェハWU、WLの裏面に向けて伝熱ガスを供給する複数の伝熱ガス供給穴130が設けられている。図5に示すように複数の伝熱ガス供給穴130は、下部電極110の上面において、複数の同心円状に均一に配置されている。
各伝熱ガス供給穴130には、図4に示すように伝熱ガス供給管131が接続されている。伝熱ガス供給管131はガス供給源(図示せず)に連通し、当該ガス供給源よりヘリウムなどの伝熱ガスが、下部電極110の上面とウェハWU、WLの裏面WU2、WL2との間に形成される微小空間に供給される。これにより、下部電極110の上面からウェハWU、WLに効率よく熱が伝達される。
なお、ウェハWU、WLに十分効率よく熱が伝達される場合には、伝熱ガス供給穴130と伝熱ガス供給管131を省略してもよい。
下部電極110の上面の周囲には、下部電極110の上面に載置されたウェハWU、WLの外周を囲むように、環状のフォーカスリング132が配置されている。フォーカスリング132は、反応性イオンを引き寄せない絶縁性または導電性の材料、例えば石英からなり、反応性イオンを、内側のウェハWU、WLにだけ効果的に入射せしめるように作用する。すなわち、このフォーカスリング132によって、反応性イオンの均一性が最適化される。
下部電極110と処理容器100の側壁との間には、例えばアルミニウムからなるシャッタ133が設けられている。シャッタ133は、処理容器100の内部において、下部電極110と後述する上部電極140との間を電気的に遮蔽してプラズマ領域を形成するために設けられる。
また、下部電極110と処理容器100の側壁との間において、シャッタ133の下方には、複数のバッフル孔が設けられた排気板134が配置されている。排気板134は、側面視において、処理容器100側から下部電極110側に向けて下方に傾斜している。排気板134は、例えばアルミニウムからなる。この排気板134により、処理容器100内の雰囲気が処理容器100内から均一に排気される。また、この排気板134により、プラズマを生成する領域(下部電極110と上部電極140の間の領域)とプラズマ生成しない領域(下部電極110より下方の領域)の間に圧力差が設けられ、上記プラズマを生成する領域のみにプラズマが生成される。
下部電極110の下面には、中空に成形された導体よりなる給電棒135が接続されている。給電棒135には、例えばブロッキングコンデンサなどから成る整合器136を介して、高周波電源137が接続されている。プラズマ処理時には、高周波電源137から、例えば13.56MHzの高周波電圧が、下部電極110に印加される。
なお、静電チャック120の導電膜123に高電圧を印加する高圧電源126、下部電極110に高周波電圧を印加する高周波電源137は、上述した制御部70によって制御される。
下部電極110の上方には、上部電極140が配置されている。下部電極110の上面と上部電極140の下面は、互いに平行に、所定の間隔をあけて対向して配置されている。下部電極110の上面と上部電極140の下面の間隔は、駆動部111により調整される。上部電極140は、例えばアルミニウムなどの導電性材料で構成される。
上部電極140は接地され、グランド電位に接続されている。このように上部電極140が接地されているため、プラズマ処理中、上部電極140の下面の損傷を抑制することができる。
また、上部電極140の下面の面積は、下部電極110の上面の面積より大きい。ここで、下部電極110の上面の面積をA1、下部電極110の自己バイアス電位をVdc1とし、上部電極140の下面の面積をA2、上部電極140の自己バイアス電位をVdc2とすると、下記式(1)が成立する。
Vdc1/Vdc2=(A2/A1)4 ・・・(1)
上記式(1)によれば、本実施の形態のように下部電極110に対して上部電極140の面積を大きくした場合、ウェハWU、WLに対して十分な自己バイアス電位Vdcをとることができる。そうすると、プラズマ処理を適切に行うことができる。また、上部電極140のVdcを小さくできるので、当該上部電極の10の下面の損傷をさらに抑制することができる。
なお、上部電極140と下部電極110の間において、処理容器100の側壁と排気板134も接地され、グランド電位に接続されている。このため、これら処理容器100の側壁と排気板134の損傷も抑制することができる。特に排気板134は、側面視において処理容器100側から下部電極110側に向けて下方に傾斜しており、その表面積が大きいため、当該排気板134の損傷をさらに抑制することができる。
上部電極140の下面には、例えば石英からなる上部電極カバー141が設けられている。この上部電極カバー141によって、プラズマ処理中、上部電極140の下面の損傷をさらに抑制することができる。
上部電極140の内部には中空部150が形成されている。中空部150には、ガス供給管151が接続されている。ガス供給管151は、内部に処理ガスを貯留するガス供給源152に連通している。また、ガス供給管151には、処理ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群153が設けられている。そして、ガス供給源152から供給された処理ガスは、供給機器群153で流量制御され、ガス供給管151を介して、上部電極140の中空部150に導入される。なお、処理ガスには、例えば酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等が用いられる。
中空部150の内部には、処理ガスの均一拡散を促進するためのバッフル板154が設けられている。バッフル板154には、多数の小孔が設けられている。上部電極カバー141の下面には、上部電極140の中空部150から処理容器100の内部に処理ガスを噴出させる多数のガス噴出口155が形成されている。なお、本実施の形態においては、これら中空部150、ガス供給管151、ガス供給源152、供給機器群153、バッフル板154及びガス噴出口155が、ガス供給機構を構成している。
処理容器100の下方には、吸気口160が形成されている。吸気口160には、処理容器100の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する真空ポンプ161に連通する吸気管162が接続されている。なお、本実施の形態においては、これら吸気口160、真空ポンプ161及び吸気管162が、減圧機構を構成している。
下部電極110の下方には、ウェハWU、WLを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、下部電極110に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、下部電極110の上面から突出可能になっている。
なお、表面改質装置30における各部の動作は、上述した制御部70によって制御される。
次に、上述した接合装置41の構成について説明する。接合装置41は、図6に示すように内部を密閉可能な処理容器200を有している。処理容器200のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハWU、WL、重合ウェハWTの搬入出口201が形成され、当該搬入出口201には開閉シャッタ202が設けられている。
処理容器200の内部は、内壁203によって、搬送領域T1と処理領域T2に区画されている。上述した搬入出口201は、搬送領域T1における処理容器200の側面に形成されている。また、内壁203にも、ウェハWU、WL、重合ウェハWTの搬入出口204が形成されている。
搬送領域T1のX方向正方向側には、ウェハWU、WL、重合ウェハWTを一時的に載置するためのトランジション210が設けられている。トランジション210は、例えば2段に形成され、ウェハWU、WL、重合ウェハWTのいずれか2つを同時に載置することができる。
搬送領域T1には、ウェハ搬送機構211が設けられている。ウェハ搬送機構211は、図6及び図7に示すように例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、ウェハ搬送機構211は、搬送領域T1内、又は搬送領域T1と処理領域T2との間でウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
搬送領域T1のX方向負方向側には、ウェハWU、WLの水平方向の向きを調節する位置調節機構220が設けられている。位置調節機構220は、ウェハWU、WLを保持して回転させる保持部(図示せず)を備えた基台221と、ウェハWU、WLのノッチ部の位置を検出する検出部222と、を有している。そして、位置調節機構220では、基台221に保持されたウェハWU、WLを回転させながら検出部222でウェハWU、WLのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハWU、WLの水平方向の向きを調節している。なお、基台221においてウェハWU、WLを保持する構造は特に限定されるものではなく、例えばピンチャック構造やスピンチャック構造など、種々の構造が用いられる。
また、搬送領域T1には、上ウェハWUの表裏面を反転させる反転機構230が設けられている。反転機構230は、上ウェハWUを保持する保持アーム231を有している。保持アーム231は、水平方向(Y方向)に延伸している。また保持アーム231には、上ウェハWUを保持する保持部材232が例えば4箇所に設けられている。
保持アーム231は、例えばモータなどを備えた駆動部233に支持されている。この駆動部233によって、保持アーム231は水平軸周りに回動自在である。また保持アーム231は、駆動部233を中心に回動自在であると共に、水平方向(Y方向)に移動自在である。駆動部233の下方には、例えばモータなどを備えた他の駆動部(図示せず)が設けられている。この他の駆動部によって、駆動部233は鉛直方向に延伸する支持柱234に沿って鉛直方向に移動できる。このように駆動部233によって、保持部材232に保持された上ウェハWUは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。また、保持部材232に保持された上ウェハWUは、駆動部233を中心に回動して、位置調節機構220から後述する上チャック240との間を移動できる。
処理領域T2には、上ウェハWUを下面で吸着保持する上チャック240と、下ウェハWLを上面で載置して吸着保持する下チャック241とが設けられている。下チャック241は、上チャック240の下方に設けられ、上チャック240と対向配置可能に構成されている。すなわち、上チャック240に保持された上ウェハWUと下チャック241に保持された下ウェハWLは対向して配置可能となっている。
上チャック240は、当該上チャック240の上方に設けられた上チャック保持部250に保持されている。上チャック保持部250は、処理容器200の天井面に設けられている。すなわち、上チャック240は、上チャック保持部250を介して処理容器200に固定されて設けられている。
上チャック保持部250には、下チャック241に保持された下ウェハWLの表面WL1を撮像する上部撮像部251が設けられている。すなわち、上部撮像部251は上チャック240に隣接して設けられている。上部撮像部251には、例えばCCDカメラが用いられる。
下チャック241は、当該下チャック241の下方に設けられた第1の下チャック移動部260に支持されている。第1の下チャック移動部260は、後述するように下チャック241を水平方向(Y方向)に移動させるように構成されている。また、第1の下チャック移動部260は、下チャック241を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
第1の下チャック移動部260には、上チャック240に保持された上ウェハWUの表面WU1を撮像する下部撮像部261が設けられている。すなわち、下部撮像部261は下チャック241に隣接して設けられている。下部撮像部261には、例えばCCDカメラが用いられる。
第1の下チャック移動部260は、当該第1の下チャック移動部260の下面側に設けられ、水平方向(Y方向)に延伸する一対のレール262、262に取り付けられている。そして、第1の下チャック移動部260は、レール262に沿って移動自在に構成されている。
一対のレール262、262は、第2の下チャック移動部263に配設されている。第2の下チャック移動部263は、当該第2の下チャック移動部263の下面側に設けられ、水平方向(X方向)に延伸する一対のレール264、264に取り付けられている。そして、第2の下チャック移動部263は、レール264に沿って移動自在に構成され、すなわち下チャック241を水平方向(X方向)に移動させるように構成されている。なお、一対のレール264、264は、処理容器200の底面に設けられた載置台265上に配設されている。
次に、接合装置41の上チャック240と上チャック保持部250の詳細な構成について説明する。
上チャック240には、図8に示すようにピンチャック方式が採用されている。上チャック240は、平面視において上ウェハWUの径以上の径を有する本体部270を有している。本体部270の下面には、上ウェハWUの裏面WU2に接触する複数のピン271が設けられている。また、本体部270の下面の外周部には、ピン271と同じ高さを有し、上ウェハWUの裏面WU2の外周部を支持する外側リブ272が設けられている。外側リブ272は、複数のピン271の外側に環状に設けられている。
また、本体部270の下面には、外側リブ272の内側において、ピン271と同じ高さを有し、上ウェハWUの裏面WU2を支持する内側リブ273が設けられている。内側リブ273は、外側リブ272と同心円状に環状に設けられている。そして、外側リブ272の内側の領域274(以下、吸引領域274という場合がある。)は、内側リブ273の内側の第1の吸引領域274aと、内側リブ273の外側の第2の吸引領域274bとに区画されている。
本体部270の下面には、第1の吸引領域274aにおいて、上ウェハWUを真空引きするための第1の吸引口275aが形成されている。第1の吸引口275aは、例えば第1の吸引領域274aにおいて4箇所に形成されている。第1の吸引口275aには、本体部270の内部に設けられた第1の吸引管276aが接続されている。さらに第1の吸引管276aには、第1の真空ポンプ277aが接続されている。
また、本体部270の下面には、第2の吸引領域274bにおいて、上ウェハWUを真空引きするための第2の吸引口275bが形成されている。第2の吸引口275bは、例えば第2の吸引領域274bにおいて2箇所に形成されている。第2の吸引口275bには、本体部270の内部に設けられた第2の吸引管276bが接続されている。さらに第2の吸引管276bには、第2の真空ポンプ277bが接続されている。
そして、上ウェハWU、本体部270及び外側リブ272に囲まれて形成された吸引領域274a、274bをそれぞれ吸引口275a、275bから真空引きし、吸引領域274a、274bを減圧する。このとき、吸引領域274a、274bの外部の雰囲気が大気圧であるため、上ウェハWUは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域274a、274b側に押され、上チャック240に上ウェハWUが吸着保持される。また、上チャック240は、第1の吸引領域274aと第2の吸引領域274b毎に上ウェハWUを真空引き可能に構成されている。
かかる場合、外側リブ272が上ウェハWUの裏面WU2の外周部を支持するので、上ウェハWUはその外周部まで適切に真空引きされる。このため、上チャック240に上ウェハWUの全面が吸着保持され、当該上ウェハWUの平面度を小さくして、上ウェハWUを平坦にすることができる。
しかも、複数のピン271の高さが均一なので、上チャック240の下面の平面度をさらに小さくすることができる。このように上チャック240の下面を平坦にして(下面の平面度を小さくして)、上チャック240に保持された上ウェハWUの鉛直方向の歪みを抑制することができる。
また、上ウェハWUの裏面WU2は複数のピン271に支持されているので、上チャック240による上ウェハWUの真空引きを解除する際、当該上ウェハWUが上チャック240から剥がれ易くなる。
上チャック240において、本体部270の中心部には、当該本体部270を厚み方向に貫通する貫通孔278が形成されている。この本体部270の中心部は、上チャック240に吸着保持される上ウェハWUの中心部に対応している。そして貫通孔278には、後述する押動部材290におけるアクチュエータ部291の先端部が挿通するようになっている。
上チャック保持部250は、図7に示すように上チャック240の本体部270の上面に設けられた支持部材280を有している。支持部材280は、平面視において少なくとも本体部270の上面を覆うように設けられ、且つ本体部270に対して例えばネジ止めによって固定されている。支持部材280は、処理容器200の天井面に設けられた複数の支持柱281に支持されている。
支持部材280の上面には、図8に示すように上ウェハWUの中心部を押圧する押動部材290がさらに設けられている。押動部材290は、アクチュエータ部291とシリンダ部292とを有している。
アクチュエータ部291は、電空レギュレータ(図示せず)から供給される空気により一定方向に一定の圧力を発生させるもので、圧力の作用点の位置によらず当該圧力を一定に発生させることができる。そして、電空レギュレータからの空気によって、アクチュエータ部291は、上ウェハWUの中心部と当接して当該上ウェハWUの中心部にかかる押圧荷重を制御することができる。また、アクチュエータ部291の先端部は、電空レギュレータからの空気によって、貫通孔278を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。
アクチュエータ部291は、シリンダ部292に支持されている。シリンダ部292は、例えばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部291を鉛直方向に移動させることができる。
以上のように押動部材290は、アクチュエータ部291によって押圧荷重の制御をし、シリンダ部292によってアクチュエータ部291の移動の制御をしている。そして、押動部材290は、後述するウェハWU、WLの接合時に、上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部とを当接させて押圧することができる。
次に、接合装置41の下チャック241の詳細な構成について説明する。
下チャック241には、図8に示すように上チャック240と同様にピンチャック方式が採用されている。下チャック241は、平面視において下ウェハWLの径以上の径を有する本体部300を有している。本体部300の上面には、下ウェハWLの裏面WL2に接触する複数のピン301が設けられている。また、本体部300の上面の外周部には、ピン301と同じ高さを有し、下ウェハWLの裏面WL2の外周部を支持する外側リブ302が設けられている。外側リブ302は、複数のピン301の外側に環状に設けられている。
また、本体部300の上面には、外側リブ302の内側において、ピン301と同じ高さを有し、下ウェハWLの裏面WL2を支持する内側リブ303が設けられている。内側リブ303は、外側リブ302と同心円状に環状に設けられている。そして、外側リブ302の内側の領域304(以下、吸引領域304という場合がある。)は、内側リブ303の内側の第1の吸引領域304aと、内側リブ303の外側の第2の吸引領域304bとに区画されている。
本体部300の上面には、第1の吸引領域304aにおいて、下ウェハWLを真空引きするための第1の吸引口305aが形成されている。第1の吸引口305aは、例えば第1の吸引領域304aにおいて1箇所に形成されている。第1の吸引口305aには、本体部300の内部に設けられた第1の吸引管306aが接続されている。さらに第1の吸引管306aには、第1の真空ポンプ307aが接続されている。
また、本体部300の上面には、第2の吸引領域304bにおいて、下ウェハWLを真空引きするための第2の吸引口305bが形成されている。第2の吸引口305bは、例えば第2の吸引領域304bにおいて2箇所に形成されている。第2の吸引口305bには、本体部300の内部に設けられた第2の吸引管306bが接続されている。さらに第2の吸引管306bには、第2の真空ポンプ307bが接続されている。
そして、下ウェハWL、本体部300及び外側リブ302に囲まれて形成された吸引領域304a、304bをそれぞれ吸引口305a、305bから真空引きし、吸引領域304a、304bを減圧する。このとき、吸引領域304a、304bの外部の雰囲気が大気圧であるため、下ウェハWLは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域304a、304b側に押され、下チャック241に下ウェハWLが吸着保持される。また、下チャック241は、第1の吸引領域304aと第2の吸引領域304b毎に下ウェハWLを真空引き可能に構成されている。
かかる場合、外側リブ302が下ウェハWLの裏面WL2の外周部を支持するので、下ウェハWLはその外周部まで適切に真空引きされる。このため、下チャック241に下ウェハWLの全面が吸着保持され、当該下ウェハWLの平面度を小さくして、下ウェハWLを平坦にすることができる。
しかも、複数のピン301の高さが均一なので、下チャック241の上面の平面度をさらに小さくすることができる。このように下チャック241の上面を平坦にして(上面の平坦度を小さくして)、下チャック241に保持された下ウェハWLの鉛直方向の歪みを抑制することができる。
また、下ウェハWLの裏面WL2は複数のピン301に支持されているので下チャック241による下ウェハWLの真空引きを解除する際、当該下ウェハWLが下チャック241から剥がれ易くなる。
下チャック241において、本体部300の中心部付近には、当該本体部300を厚み方向に貫通する貫通孔(図示せず)が例えば3箇所に形成されている。そして貫通孔には、第1の下チャック移動部260の下方に設けられた昇降ピンが挿通するようになっている。
本体部300の外周部には、ウェハWU、WL、重合ウェハWTが下チャック241から飛び出したり、滑落するのを防止するガイド部材(図示せず)が設けられている。ガイド部材は、本体部300の外周部に複数個所、例えば4箇所に等間隔に設けられている。
なお、接合装置41における各部の動作は、上述した制御部70によって制御される。
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われるウェハWU、WLの接合処理方法について説明する。図9は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の上ウェハWUを収容したカセットCU、複数枚の下ウェハWLを収容したカセットCL、及び空のカセットCTが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットCU内の上ウェハWUが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第1の処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。このとき、ゲートバルブ102とシャッタ133が開かれており、処理容器100内が大気圧に開放されている。上ウェハWUは表面改質装置30に搬入されると、ウェハ搬送装置61から、予め上昇していた昇降ピンに受け渡される。その後、ウェハ搬送装置61が表面改質装置30から退出し、ゲートバルブ102とシャッタ133が閉じられる。
その後、上ウェハWUを昇降ピンで保持した状態で、真空ポンプ161を作動させ、吸気口160を介して処理容器100の内部の雰囲気が所定の真空度、例えば2.6Pa(20mTorr)まで減圧される。続いて、昇降ピンが下降し、
上ウェハWUが下部電極110の上面に載置される。大気圧下で上ウェハWUを下部電極110の上面に載置しようとすると、当該上ウェハWUが水平方向にずれるおそれがあるため、このように所定の真空度まで減圧された後に上ウェハWUが下部電極110に載置される。そして、後述するように上ウェハWUを処理中、処理容器100内の雰囲気は上記所定の真空度に維持される。
また、高圧電源126から静電チャック120の導電膜123に、例えば2500Vの直流電圧に設定された高電圧が印加される。こうして静電チャック120に印加された高電圧により発生されたクーロン力によって、下部電極110の上面に上ウェハWUが静電吸着させられる。また、下部電極110に静電吸着された上ウェハWUは、熱媒循環流路112の熱媒によって所定の温度、例えば25℃〜30℃に維持される。
その後、ガス供給源152から供給された処理ガスが、上部電極140の下面のガス噴出口155から、処理容器100の内部に均一に供給される。そして、高周波電源137から下部電極110に、例えば13.56MHzの高周波電圧が印加される。そうすると、上部電極140と下部電極110との間に電界が形成され、この電界によって処理容器100の内部に供給された処理ガスがプラズマ化される。
この処理ガスのプラズマ(以下、「処理用プラズマ」という場合がある。)によって、下部電極110上の上ウェハWUの表面WU1が改質されると共に、当該表面WU1上の有機物が除去される。このとき、主として処理用プラズマ中の酸素ガスのプラズマが表面WU1上の有機物の除去に寄与する。さらに、酸素ガスのプラズマは、上ウェハWUの表面WU1の酸化、すなわち親水化を促進させることもできる。また、処理用プラズマ中のアルゴンガスのプラズマはある程度の高エネルギーを有しており、このアルゴンガスのプラズマによって表面WU1上の有機物が積極的(物理的)に除去される。さらに、アルゴンガスのプラズマは、処理容器100内の雰囲気中に含まれる残留水分を除去するという効果もある。こうして処理用プラズマによって、上ウェハWUの表面WU1が改質される(図9の工程S1)。
上ウェハWUの表面WU1が改質されると、処理容器100内への処理ガスの供給を停止すると共に、高周波電源137から下部電極110への高周波電圧の印加を停止する。その後、高圧電源126から静電チャック120の導電膜123に、例えば−2500V(マイナス2500V)の直流電圧に設定された高電圧が印加される。これによって、下部電極110と上ウェハWUとの間を除電し、下部電極110に対する上ウェハWUの静電吸着を停止する。
その後、真空ポンプ161を停止し、処理容器100内の減圧を停止する。続いて、ゲートバルブ102とシャッタ133が開けられた後、すなわち処理容器100内が大気圧に開放された後、昇降ピンを上昇させ下部電極110からウェハ搬送装置61に上ウェハWUが受け渡されて、処理容器100から搬出される。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハWUを回転させながら、当該上ウェハWU上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は上ウェハWUの表面WU1上を拡散し、表面改質装置30において改質された上ウェハWUの表面WU1に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面WU1が親水化される。また、当該純水によって、上ウェハWUの表面WU1が洗浄される(図9の工程S2)。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハWUは、トランジション210を介してウェハ搬送機構211により位置調節機構220に搬送される。そして位置調節機構220によって、上ウェハWUの水平方向の向きが調節される(図9の工程S3)。
その後、位置調節機構220から反転機構230の保持アーム231に上ウェハWUが受け渡される。続いて搬送領域T1において、保持アーム231を反転させることにより、上ウェハWUの表裏面が反転される(図9の工程S4)。すなわち、上ウェハWUの表面WU1が下方に向けられる。
その後、反転機構230の保持アーム231が、駆動部233を中心に回動して上チャック240の下方に移動する。そして、反転機構230から上チャック240に上ウェハWUが受け渡される。上ウェハWUは、上チャック240にその裏面WU2が吸着保持される(図9の工程S5)。具体的には、真空ポンプ277a、277bを作動させ、吸引領域274a、274bにおいて吸引口275a、275bを介して上ウェハWUを真空引きし、上ウェハWUが上チャック240に吸着保持される。
上ウェハWUに上述した工程S1〜S5の処理が行われている間、当該上ウェハWUに続いて下ウェハWLの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCL内の下ウェハWLが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
次に下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハWLの表面WL1が改質される(図9の工程S6)。なお、工程S6における下ウェハWLの表面WL1の改質は、上述した工程S1と同様である。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハWLの表面WL1が親水化される共に当該表面WL1が洗浄される(図9の工程S7)。なお、工程S7における下ウェハWLの表面WL1の親水化及び洗浄は、上述した工程S2と同様である。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハWLは、トランジション210を介してウェハ搬送機構211により位置調節機構220に搬送される。そして位置調節機構220によって、下ウェハWLの水平方向の向きが調節される(図9の工程S8)。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送機構211によって下チャック241に搬送され、下チャック241にその裏面WL2が吸着保持される(図9の工程S9)。具体的には、真空ポンプ307a、307bを作動させ、吸引領域304a、304bにおいて吸引口305a、305bを介して下ウェハWLを真空引きし、下ウェハWLが下チャック241に吸着保持される。
次に、上チャック240に保持された上ウェハWUと下チャック241に保持された下ウェハWLとの水平方向の位置調節を行う。具体的には、第1の下チャック移動部260と第2の下チャック移動部263によって下チャック241を水平方向(X方向及びY方向)に移動させ、上部撮像部251を用いて、下ウェハWLの表面WL1上の予め定められた基準点を順次撮像する。同時に、下部撮像部261を用いて、上ウェハWUの表面WU1上の予め定められた基準点を順次撮像する。撮像された画像は、制御部70に出力される。制御部70では、上部撮像部251で撮像された画像と下部撮像部261で撮像された画像に基づいて、上ウェハWUの基準点と下ウェハWLの基準点がそれぞれ合致するような位置に、第1の下チャック移動部260と第2の下チャック移動部263によって下チャック241を移動させる。こうして上ウェハWUと下ウェハWLの水平方向位置が調節される(図9の工程S10)。
その後、第1の下チャック移動部260によって下チャック241を鉛直上方に移動させて、上チャック240と下チャック241の鉛直方向位置の調節を行い、当該上チャック240に保持された上ウェハWUと下チャック241に保持された下ウェハWLとの鉛直方向位置の調節を行う(図9の工程S11)。そして、上ウェハWUと下ウェハWLが所定の位置に対向配置される。
次に、上チャック240に保持された上ウェハWUと下チャック241に保持された下ウェハWLの接合処理が行われる。
先ず、図10に示すように押動部材290のシリンダ部292によってアクチュエータ部291を下降させる。そうすると、このアクチュエータ部291の下降に伴い、上ウェハWUの中心部が押圧されて下降する。このとき、電空レギュレータから供給される空気によって、アクチュエータ部291には、所定の押圧荷重がかけられる。そして、押動部材290によって、上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部を当接させて押圧する(図9の工程S12)。このとき、第1の真空ポンプ277aの作動を停止して、第1の吸引領域274aにおける第1の吸引口275aからの上ウェハWUの真空引きを停止すると共に、第2の真空ポンプ277bは作動させたままにし、第2の吸引領域274bを第2の吸引口275bから真空引きする。そして、押動部材290で上ウェハWUの中心部を押圧する際にも、上チャック240によって上ウェハWUの外周部を保持することができる。
そうすると、押圧された上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部との間で接合が開始する(図12中の太線部)。すなわち、上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1はそれぞれ工程S1、S6において改質されているため、先ず、表面WU1、WL1間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該表面WU1、WL1同士が接合される。さらに、上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1はそれぞれ工程S2、S7において親水化されているため、表面WU1、WL1間の親水基が水素結合し(分子間力)、表面WU1、WL1同士が強固に接合される。
その後、押動部材290によって上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部を押圧した状態で第2の真空ポンプ277bの作動を停止して、第2の吸引領域274bにおける第2の吸引口275bからの上ウェハWUの真空引きを停止する。そうすると、上ウェハWUが下ウェハWL上に落下する。そして上ウェハWUが下ウェハWL上に順次落下して当接し、上述した表面WU1、WL1間のファンデルワールス力と水素結合による接合が順次拡がる。こうして、上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1が全面で当接し、上ウェハWUと下ウェハWLが接合される(図9の工程S13)。
この工程S13において、上ウェハWUの裏面WU2は複数のピン271に支持されているので、上チャック240による上ウェハWUの真空引きを解除した際、当該上ウェハWUが上チャック240から剥がれ易くなっている。このため、上ウェハWUと下ウェハWLの接合の拡がり(ボンディングウェーブ)が真円状になり、上ウェハWUと下ウェハWLが適切に接合される。
その後、押動部材290のアクチュエータ部291を上チャック240まで上昇させる。また、真空ポンプ307a、307bの作動を停止し、吸引領域304における下ウェハWLの真空引きを停止して、下チャック241による下ウェハWLの吸着保持を停止する。このとき、下ウェハWLの裏面WL2は複数のピン301に支持されているので、下チャック241による下ウェハWLの真空引きを解除した際、当該下ウェハWLが下チャック241から剥がれ易くなっている。
上ウェハWUと下ウェハWLが接合された重合ウェハWTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCTに搬送される。こうして、一連のウェハWU、WLの接合処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、工程S1において、高周波電源137から下部電極110に高周波電圧を印加することによって、処理容器100の内部に供給された処理ガスがプラズマ化され、当該処理ガスのプラズマを用いてウェハWU、WLの表面WU1、WL1を適切に改質することができる。また、上部電極140の下面の面積が下部電極110の上面の面積より大きいので、ウェハWU、WLに対して十分な自己バイアス電位Vdcをとることができ、プラズマ処理をより適切に行うことができる。
この際、上部電極140は接地され、グランド電位に接続されているので、プラズマ処理中、上部電極140の下面の損傷を抑制することができる。また、上部電極140の下面の面積が下部電極110の上面の面積より大きいので、上部電極140の下面の損傷をさらに抑制することができる。さらに、上部電極140の下面には上部電極カバー141が設けられているので、上部電極140の下面の損傷をさらに抑制することができる。
また、上部電極140と下部電極110の間において、処理容器100の側壁と排気板134も接地され、グランド電位に接続されているので、処理容器100の側壁と排気板134の損傷を抑制することができる。特に排気板134は、側面視において処理容器100側から下部電極110側に向けて下方に傾斜しており、その表面積が大きいため、当該排気板134の損傷をさらに抑制することができる。
また、下部電極110の上面の周囲には、石英からなるフォーカスリング132が設けられているので、処理ガスのプラズマは、ウェハWU、WLの表面WU1、WL1にのみ入射し、当該プラズマの下部電極110への衝突が抑制される。このため、下部電極110の損傷を抑制することができる。
このように上部電極140、処理容器100の側壁、排気板134、及び下部電極110の損傷を抑制することができるので、これらの寿命を伸ばすことができる。また、このように損傷を抑制することで、パーティクルを軽減でき、製品の歩留まりを向上させることもできる。
また、本実施の形態の接合システム1は、表面改質装置30、表面親水化装置40、及び接合装置41を備えているので、一のシステム内でウェハWU、WLの接合を効率よく行うことができる。したがって、ウェハ接合処理のスループットをより向上させることができる。
以上の実施の形態の接合システム1において、接合装置41でウェハWU、WLを接合した後、さらに接合された重合ウェハWTを所定の温度で加熱(アニール処理)してもよい。重合ウェハWTにかかる加熱処理を行うことで、接合界面をより強固に結合させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。