JP2016225497A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用いて、空気中での安定性が高く、長時間素子駆動させた後の電圧上昇率を低くした有機エレクトロルミネッセンス素子等を提供することである。【解決手段】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層に隣接した正孔阻止層又は電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、リン光発光性化合物と、ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに正孔阻止層又は電子阻止層に含有される化合物のLUMOのエネルギー準位が、特定の条件を満たすことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置に関する。より詳しくは、本発明は、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用いて、空気中での安定性が高く、長時間素子駆動させた後の電圧上昇率を低くした有機エレクトロルミネッセンス素子等に関する。
発光型の電子ディスプレイデバイスとしては、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)が、挙げられる。
無機EL素子は、平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
これに対し、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子を発光層内で再結合させることで励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。
また、有機EL素子は、電極と電極との間を、厚さ僅かサブミクロン程度の有機材料の膜で構成する全固体素子であり、数〜数十V程度の電圧で発光が可能である。このことから、有機EL素子は、次世代のディスプレイのバックライトや照明用光源への利用が期待されている。
これらの利点をさらに向上させるために、励起子の生成効率を高め、かつ駆動電圧を下げる手段として、近年は、発光層の陽極側に位置する正孔輸送層と発光層の陰極側に位置する電子輸送層とを備えた多層積層型の有機EL素子の構成が提案されている。
一方、有機EL素子を広く普及させるために、安価にすることが求められている。
これを実現するための条件の一つとして、有機EL素子に用いる材料や素子を、空気中で安定に取り扱えるようにすることが挙げられる。
例えば、HOMOのエネルギー準位が高い青色リン光発光性化合物は酸化されやすい。このような青色リン光発光性化合物においては、空気中での当該化合物や素子の保管安定性が問題であった。
具体的には、このような酸化されやすい青色リン光発光性化合物を塗布液に含有させ、空気中で保存した場合、当該青色リン光発光性化合物が酸化されて、塗布液への溶解性が悪くなる。このため、当該青色リン光発光性化合物は、析出しやすくなり、さらには塗布液の塗布性が劣化し、ひいては、素子性能が劣化するという問題があった。
また、空気中で保管を行った前記青色リン光発光性化合物を用いて素子を作製した場合、酸化による劣化がおこるため、保管しなかった青色リン光発光性化合物を用いた場合に対して素子性能が劣化するという問題があった。
このようにHOMOのエネルギー準位が高い青色リン光発光性化合物には、空気中での安定性が低いことから様々な問題を有する。そこで、空気中での安定性を高めるために、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物の使用が求められている。
さらに近年は、色温度の高い照明光源や、色域の広いディスプレイが求められており、これらを達成するためには、その発光極大波長を、好ましくは470nm以下、より好ましくは460nm以下であり、最も好ましくは440nm以下にする必要があり、発光極大波長をより短波長にすることが求められている。
発光極大波長を短波長にするには、中心金属にイリジウム(Ir)を用いた青色リン光発光性化合物の場合、配位子のHOMOのエネルギー準位を低くすることによって、HOMOのエネルギー準位とLUMOのエネルギー準位の差を広げることが必要である。
しかしながら、このようなHOMOのエネルギー準位の低い青色リン光発光性化合物を、従来のホスト化合物と組み合わせて発光層に用いた場合、リン光発光性化合物とホスト化合物のHOMOのエネルギー準位の差が小さくなるため、発光層内の正孔輸送性が速くなり、電子とのキャリアバランスを合わせにくくなる。
このため、発光層内での再結合確率の減少や、再結合領域が陰極側に近づくため再結合領域の低下及び発光層から隣接する正孔阻止層側へのキャリア漏れが起こりやすくなり、十分な素子性能が得られないという問題がある。
例えば、特許文献1においては、発光極大波長が短波長の青色リン光発光性化合物の使用が検討されている。
しかし、この特許文献1に記載の青色リン光発光性化合物のHOMOは、酸化に対する安定性が不十分であり、空気中での粉体の保存安定性が低いことが懸念される。
さらに、特許文献1に記載の技術には、発光素子を長時間駆動させた時の電圧上昇率が高く、素子寿命が短くなるという問題がある。
特表2013−513641号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用いて、空気中での安定性が高く、長時間素子駆動させた後の電圧上昇率を低くした有機エレクトロルミネッセンス素子、当該素子を具備する照明装置及び表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用い、かつホスト化合物及び正孔阻止層又は電子阻止層に含有される化合物の分子軌道のエネルギー準位との関係を適切化することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
1.陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、
前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
(2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
(3)−0.3eV≦[前記リン光発光化合物又は前記ホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
2.陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陽極側に隣接した電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
電子阻止層が、第2の化合物を含有し、
前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記電子阻止層に含有される前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)、(2)及び(4)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
(2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
(4)−1.5eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
3.陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層及び前記陽極側に隣接した電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、
前記電子阻止層が、第2の化合物を含有し、
前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層及び前記電子阻止層に含まれる前記第1の化合物及び前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
(2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
(3)−0.3eV≦[前記リン光発光化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
(4)−1.5eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
4.前記発光層に含まれる前記リン光発光性化合物と、前記陰極側に隣接した正孔阻止層に含まれる第1の化合物のHOMOのエネルギー準位が、下記要件(5)を満たすこと特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5)0.3eV≦[前記発光層の前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含まれる前記第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]≦1.2eV
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
本発明の上記手段により、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用いて、空気中での安定性が高く、長時間素子駆動させた後の電圧上昇率を低くした有機エレクトロルミネッセンス素子、当該素子を具備する照明装置及び表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
青色リン光発光性化合物を、従来のホスト化合物と組み合わせて発光層に用いた従来技術(例えば、特許文献1参照。)における上記問題は、下記のような理由によると考えられる。
すなわち、特許文献1に開示されているリン光発光性化合物のHOMOは、酸化に対する安定性がまだ十分でなく、空気中での粉体の保存安定性が低いことが懸念される。
また、特許文献1に開示されている有機EL素子の場合、発光層を構成しているリン光発光性化合物とホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位の差が小さい。このため、リン光発光性化合物とホスト化合物との両方が正孔を輸送すると考えられ、正孔輸送性が高いと考えられる。
一方、リン光発光性化合物のLUMOのエネルギー準位はホスト化合物よりも低いため、電子は、リン光発光性化合物が主に輸送していると考えられる。しかし、発光層中のリン光発光性化合物のドープ比率(含有量)は少ないため、電子輸送性は低いと考えられる。
このような有機EL素子では、正孔輸送性が電子輸送性に対して高いため、正孔が発光層の陰極側に隣接する正孔阻止層側に漏れやすく、再結合領域が発光層の陰極側になりやすい。
この結果、発光層の陰極側に隣接する層(たとえば正孔阻止層)の劣化により長時間素子駆動後の電圧上昇率が高くなったり、発光領域が狭いため素子寿命が短くなったりする問題があると考えられる。
このように、特許文献1に開示されている従来タイプの有機EL素子では、キャリアの移動度のバランスが悪く、発光層の陰極側に隣接する正孔阻止層などの周辺層へのキャリアの漏れを阻止する能力が低い素子構成であるため、長時間駆動した場合に、周辺層に漏れたキャリアにより、周辺層の材料が劣化すると考えられる。また、このような有機EL素子では、キャリア移動バランスが悪いため、発光領域が狭いことに加えて、発光位置自体が発光層の端部にあることから、長時間駆動した際に、周辺層の劣化が起き、それに伴って発光層へのキャリア注入の劣化が起こり、ひいては、素子を長時間駆動させた時の電圧上昇率が高く、素子寿命が短くなると推察される。
しかしながら、本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、有機EL素子の発光層に本発明に係るHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVという比較的低い範囲内にあるリン光発光性化合物を用い、当該リン光発光性化合物とホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに正孔阻止層又は電子阻止層に含有される化合物のLUMOのエネルギー準位を特定の範囲に規定することで、空気中での安定性が高く、励起子の再結合位置を発光層の端部から離れた内部側位置にすることができるため、発光領域を広げることができることを見いだした。さらに、本発明の構成とすれば、励起子の周辺層への漏れを低減できるため、ひいては、発光領域の低下や、周辺層に含有される材料(化合物)の劣化を防止することができることも発見した。
その結果、上記知見に基づき、HOMOのエネルギー準位が低い青色リン光発光性化合物を用い、かつホスト化合物及び正孔阻止層又は電子阻止層に含有される化合物の分子軌道のエネルギー準位との関係を適切化することにより、空気中での安定性が高く、長時間素子駆動させた後の電圧上昇率を低くした有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できたと推察する。
照明装置の概略図 照明装置の断面図 有機EL素子から構成される表示装置の一例 表示部Aの模式図 画素の回路図 パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態は、課題解決又は効果発現の観点から、下記の種々の形態に限定されるものではないが、第1の実施形態は、陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位が、上記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
第2の実施形態は、前記発光層の前記陽極側に隣接した電子阻止層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、当該電子阻止層が第2の化合物を含有し、前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記電子阻止層に含有される前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、上記要件(1)、(2)及び(4)を満たすことを特徴とする。かかる実施形態においては、特に素子寿命の低下や駆動後の電圧上昇率の悪化を抑えることができるという効果を発現する。
第3の実施態様は、前記発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層及び前記陽極側に隣接した電子阻止層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、前記電子阻止層が、第2の化合物を含有し、前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層及び前記電子阻止層に含まれる前記第1の化合物及び前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、上記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする。かかる実施形態においては、特に素子寿命の低下や駆動後の電圧上昇率の悪化をより抑えることができるという効果を発現する。
本発明においては、前記発光層に含まれる前記リン光発光性化合物と、前記陰極側に隣接した正孔阻止層に含まれる第1の化合物のHOMOのエネルギー準位が、上記要件(5)を満たすことが、発光性や素子寿命、電圧上昇率をより良好にできるため好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明装置や表示装置に好適に具備させることができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
なお、本発明でいうHOMO(最高被占軌道:Highest Occupied Molecular Orbital)のエネルギー準位及びLUMO(最低空軌道:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)のエネルギー準位は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian03、Revision D02,M.J.Frisch,et al, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004.)を用いて求めた値である。
本発明のホスト化合物、正孔阻止層及び電子阻止層に含まれる化合物(第1の化合物及び第2の化合物)は、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用い、リン光発光性化合物はB3LYP/LanL2DZを用いて、対象とする分子構造の構造最適化を行うことによりHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位を算出する(eV単位換算値)。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いことが知られている。
≪有機エレクトロルミネッセンス素子の概要≫
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層又は前記陽極側に隣接した電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子である。
[有機EL素子の構成層]
本発明の有機EL素子における代表的な素子構成としては、以下の構成を上げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)陽極/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(9)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/陰極
(10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(6)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る発光層は、単層又は複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。発光層を複数層とする例としては、
(11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/青発光層/緑赤発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/緑赤発光層/青発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/緑赤発光層/中間層/青発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
白色発光素子とする場合、請求項1に対しては(12)の構成、請求項2に対しては(11)の構成が好ましく用いることができる。
なお、必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)や電子注入層(陰極バッファー層ともいう)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)や正孔注入層(陽極バッファー層ともいう)を設けてもよい。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
(タンデム構造)
また、本発明に係る有機EL素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/第2発光ユニット/第3発光ユニット/陰極
陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット及び第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
また、第3発光ユニットはなくてもよく、一方で第3発光ユニットと電極の間にさらに発光ユニットや中間層を設けてもよい。
複数の発光ユニットは直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよく、中間層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料及び構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
発光ユニット内の好ましい構成としては、例えば上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(13)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号、米国特許第7420203号、米国特許第7473923号、米国特許第6872472号、米国特許第6107734号、米国特許第6337492号、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号、特開2006−24791号、特開2006−49393号、特開2006−49394号、特開2006−49396号、特開2011−96679号、特開2005−340187号、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号、特開2009−076929号、特開2008−078414号、特開2007−059848号、特開2003−272860号、特開2003−045676号、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
〔有機層〕
上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除いた層を「有機層」ともいう。
本発明に係る有機EL素子は、上述のような有機層を複数有する。
なお、特に区別の必要のない場合、各有機層をまとめて、単に「有機層」ともいう。
以下、各有機層について、詳細に説明する。
<発光層>
本発明に係る発光層は、陽極及び陰極により挟まれており、後述する少なくとも1種のリン光発光性化合物(ドーパント)と、少なくとも1種のホスト化合物と、を含有する。
なお、発光層中のリン光発光性化合物は、発光層の総量に対し1〜90質量%であることが好ましい。
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層及び正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層である。
発光層の厚さの総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加することを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm〜5μmの範囲内に調整され、更に好ましくは2〜200nmの範囲内に調整され、特に好ましくは5〜100nmの範囲内に調整される。
発光層の作製には、後述するリン光発光性化合物やホスト化合物を用いて、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(LangmuirBlodgett法))等を挙げることができる。)等により成膜して形成することができる。
(リン光発光性化合物)
本発明に係るリン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位は、−6.5〜−5.5eVの範囲内である。
なお、リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光性化合物は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。本発明において使用できるリン光発光性化合物としては、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
リン光性発光化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物(ドーパント)に移動させることでリン光発光性化合物(ドーパント)からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光性化合物(ドーパント)がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物(ドーパント)上でキャリアの再結合が起こり、リン光性発光性化合物(ドーパント)からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光性化合物(ドーパント)の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
(要件(1)について)
本発明に用いるリン光発光性化合物(ドーパント)のうち、HOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内の化合物である。なお、発光層が複数のリン光発光性化合物を含有する場合、含有されるすべてのリン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内であることが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲内で、このHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲外のリン光発光性化合物(ドーパント)を含有していてもよい。
HOMOのエネルギー準位が−5.5eVよりも高いと、リン光発光性化合物が酸化されやすくなる。この結果、大気中で保管したリン光発光性化合物を溶媒に溶解した時、溶解性が悪くなったり、析出しやすくなったりする。このため、塗布液として使用できなくなったり、塗布性が劣化したり、さらに素子性能が低下したりするという問題が発生する。
また、塗布液を空気中で保管した場合、保管中に酸化劣化が起こるため、空気中で保管しない塗布液に対して、素子性能が低下の問題が発生する。
また、HOMOのエネルギー準位が−6.5eVよりも低いと、発光層の陽極側に隣接する層から、発光層への正孔注入性が著しく減少するため、素子寿命が劣化する。
(リン光発光性化合物の具体例)
本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている金属錯体などの化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許公開第2006/0251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許公開第2012/228583号、米国特許公開第2012/212126号、特開2012−069737号公報、特開2012−195554号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報、特開2009−231516号公報、国際公開2012/112853号、特許5124942号公報、特許4784600号公報、特開2010−47764号公報等である。
本発明において、リン光発光性化合物は、効果に影響を及ぼさない範囲で、複数種の化合物を併用して用いてもよい。
以下、本発明に係るリン光発光性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2016225497
Figure 2016225497
上記化合物のHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位は下記表1のとおりである。
Figure 2016225497
(ホスト化合物)
本発明に係るホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
ホスト化合物は、好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有されるリン光発光性化合物の励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよいし、複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
本発明に用いることができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる公知の化合物を用いることができる。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。より好ましくはTgが90℃以上であり、さらに好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
従来公知の化合物としては、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの又はカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(要件(2)について)
本発明において、ホスト化合物とリン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位の関係は、下記要件(2)を満たす。下記要件(2)に示すように、本発明においては、ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位がリン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位よりも低い。
(2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
また、好ましくは、−0.8eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.5eVである。
「[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]」の値が、−1.0eVより低い場合、発光層内の正孔移動度が遅くなり、発光位置が陽極側になるため、発光領域が狭くなり、ひいては、素子寿命が低下する問題が生じる。また、発光層へ正孔注入が遅くなり素子駆動後期に、電圧上昇率が高くなるという問題も生じる。
上記値が、−0.3eVよりも大きい場合、発光層内の正孔移動度が早くなり、正孔が発光層の陰極側の周辺層に漏れ、周辺層の材料を劣化させるため、素子寿命が低下する。さらには、発光位置が陰極側のため、発光領域が狭く素子寿命が低下する問題も生じる。
<正孔阻止層>
本発明に係る正孔阻止層は、第1の化合物を含有し、発光層の陰極側に隣接する。
発光層の陰極側に隣接する正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい化合物からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる層である。
本発明に係る正孔阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
(第1の化合物)
正孔阻止層に用いられる第1の化合物としては、電子輸送性があり、正孔を輸送する能力が低い化合物がよく、具体的には、後述の電子輸送層に用いられる化合物、及び前述のホスト化合物として用いられる化合物を好ましく用いることができる。
また、必要に応じて、後述する電子輸送層に使用される化合物を、本発明に係る正孔阻止層に含まれる第1の化合物として用いることができる。
例えば、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、トリアジン誘導体テトラゾール誘導体、などの含窒素芳香族複素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体等が挙げられ、具体的な例示化合物としては、後述の実施例に記載のH1、H2、H4〜H6、H9〜H13、E8などが挙げられる。
なお、正孔阻止層を構成する化合物が複数ある場合、LUMOのエネルギー準位が最も高い化合物を第1の化合物とする。
(要件(3)について)
本発明の有機EL素子の一つの態様では、上記要件(1)及び要件(2)のほかに、下記要件(3)を満たす。
(3)−0.3eV≦[前記リン光発光化合物又は前記ホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
「[前記リン光発光化合物又は前記ホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位]」の値が、この範囲を超える場合は、正孔阻止層より発光層への電子輸送性が悪くなるため、素子の電圧上昇率の悪化や、発光位置が発光層の陰極側になり、寿命が低下するなどという問題がある。
(要件(5)について)
発光層に含有されるリン光発光性化合物と正孔阻止層に含まれる第1の化合物とは、下記要件(5)を満たすことが好ましい。
(5)0.3eV≦[前記発光層の前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含まれる前記第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]≦1.2eV
さらに好ましくは、0.5eV≦[前記発光層の前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含まれる前記第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]≦1.2eVである。
「[前記発光層の前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含まれる前記第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]」の値が、0.3eV以上であれば、発光層から移動してきた正孔の移動を阻止する能力が高く、正孔が周辺層に漏れることを抑制でき、ひいては、発光性や素子寿命を良好にすることができる。
上記値が、1.2eV以下であれば、第1の化合物のLUMOのエネルギー準位が低くなりすぎず、正孔阻止性と電子移動性のバランスがとりやすくなり、ひいては、電圧上昇率の悪化や素子寿命の低下を回避できる。
<電子輸送層>
本発明において電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する化合物からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
電子輸送層の厚さの総和については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2〜500nmであり、さらに好ましくは5〜200nmである。
また、有機EL素子においては発光層で生じた光を電極から取り出す際、発光層から直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極によって反射されてから取り出される光とが干渉を起こすことが知られている。光が陰極で反射される場合は、電子輸送層の厚さの総和を5nm〜200μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。
一方で、電子輸送層の厚さを厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に厚さが厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は10-5cm2/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる化合物(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性又は輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の一つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体、芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等)等が挙げられる。
また、ホスト化合物の具体例で挙げた化合物が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子化合物を用いることもできる。
本発明に係る電子輸送層においては、電子輸送層にドープ材をゲスト化合物としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
有機EL素子に用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003/060956号、国際公開第2008/132085号、Appl.Phys.Lett.75,4(1999)、Appl.Phys.Lett.79,449(2001)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.79,156(2001)、米国特許第7964293号、米国特許公開第2009030202号、国際公開第2004080975号、国際公開第2004/063159号、国際公開第2005/085387号、国際公開第2006/067931号、国際公開第2007/086552号、国際公開第2008/114690号、国際公開第2009/069442号、国際公開第2009/066779号、国際公開第2009/054253号、国際公開第2011/086935号、国際公開第2010/150593号、国際公開第2010/047707号、欧州特許出願公開第2311826号明細書、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012/115034号等である。
また、ホスト化合物の具体例で挙げた化合物が挙げられる。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<電子注入層>
電子注入層とは、必要に応じて、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)に詳細に記載されている。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウム、フッ化セシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその厚さは0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
<電子阻止層>
本発明に係る電子阻止層は、第2の化合物を含有し、発光層の陽極側に隣接する。
本発明において発光層に隣接する電子阻止層とは、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい化合物からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述した電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る電子阻止層に含まれる材料として用いることができる。
電子阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
(第2の化合物)
第2の化合物としては、正孔輸送層に使用される化合物を必要に応じて用いることができる。なお、電子阻止層が含有する第2の化合物としては、後述の正孔輸送層に用いられる化合物が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる化合物も好ましく用いられる。
具体的には、例えば、アザカルバゾール誘導体、ジアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体などの含窒素芳香族複素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体等が挙げられ、具体的な例示化合物としては、後述の実施例に記載のE1、E3〜7などが挙げられる。
なお、電子阻止層を構成する化合物が複数ある場合、LUMOのエネルギー準位が最も高い化合物を第2の化合物とする。
(要件(4)について)
本発明の有機EL素子の一つの態様では、電子阻止層に含まれる第2の化合物は、下記要件(4)を満たす。
(4)−1.5eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
好ましくは、−1.0eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.6eVである。
なお、「[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]」の値が−0.3eV以下であれば、電子が電子阻止層に漏れることを抑制し、この結果、電子の漏れによる電子阻止層の劣化を防ぎ、ひいては、素子寿命の低下や駆動後の電圧上昇率の悪化を抑えることができる。
LUMOの差が−1.5eVより低い場合、電子阻止層に含有される化合物の安定性が悪くなるため、素子寿命の低下の問題が発生する。
<正孔注入層>
本発明に係る正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
本発明において正孔注入層は必要に応じて設け、上記のごとく陽極と発光層又は陽極と正孔輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば前述の電子阻止層に用いられる化合物等が挙げられる。
中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
正孔注入層に用いられる化合物は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する化合物からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。
正孔輸送層の厚さの総和については特に制限はないが、通常は0.5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層に用いられる化合物(以下、「正孔輸送材料」ともいう。)としては、正孔の注入性又は輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子化合物又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、αNPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
さらに不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)3に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子化合物又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
本発明の有機EL素子に適用可能な、公知の好ましい正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
例えば、Appl.Phys.Lett.69,2160(1996)、J.Lumin.72−74,985(1997)、Appl.Phys.Lett.78,673(2001)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.51,913(1987)、Synth.Met.87,171(1997)、Synth.Met.91,209(1997)、Synth.Met.111,421(2000)、SID Symposium Digest,37,923(2006)、J.Mater.Chem.3,319(1993)、Adv.Mater.6,677(1994)、Chem.Mater.15,3148(2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号、米国特許出願番号13/585981号等である。
正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<含有物>
前述した本発明における有機層は、更に他の含有物が含まれていてもよい。
含有物としては、例えば臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
[有機層の形成方法]
本発明の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子阻止層、電子注入層等)の形成方法について説明する。
本発明の有機層の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・to・ロール方式適性の高い方法が好ましい。
本発明に係る有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、厚さ0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
本発明の有機層の形成は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[陽極]
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、また、パターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
陽極の厚さは材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[陰極]
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、厚さは通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの厚さで作製した後に、陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[支持基板]
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい(なお、透明である場合は「透明基板」ともいう。)。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、公知のものを使用でき、例えば、特開2015−038941号公報の段落0370等に記載の樹脂等を好適に使用できる。
樹脂フィルムの表面には、特開2015−038941号公報の段落0371〜0373等に記載のような、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1.0×10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、1.0×10-5g/(m2・24h)以下の高性能なガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
[封止]
本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、例えば、特開2015−038941号公報の段落0379、0382、0383等に記載の封止部材及び接着剤を好適に使用できる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1.0×10−3ml/m/24h以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1.0×10-3g/(m2/24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
また、特開2015−038941号公報の段落0384、0385等に記載のように、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
なお、封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
このような吸湿性化合物としては、例えば、特開2015−038941号公報の段落0387等に記載の化合物が好適に用いられる。
[保護膜、保護板]
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜又は前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜又は保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[光取り出し向上技術]
有機エレクトロルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
[集光シート]
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工することや、また、いわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
このようなマイクロレンズアレイや、集光シートとしては、公知のものを使用でき、例えば、特開2015−038941号公報の段落0401〜0403等に記載のものを好適に使用できる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図1、図2に示すような照明装置を形成することができる。
図1は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のGB(グローブボックス、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図2は、照明装置の断面図を示し、図2において、105は陰極、106は複数の有機層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いて製造できる。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図3は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ4は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図4は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図4においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図5は画素の回路図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図5において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。
しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。
順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図6はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図6において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
また、実施例に用いる化合物の構造を以下に示す。なお、その他の化合物については、本明細書中に記載のものである。
[実施例1]
《有機EL素子1−1の作製》
(陽極の形成)
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(酸化インジウムスズ)を100nmの厚さで基板(NHテクノグラス社製NA45)に成膜を行った後、このITO透明電極を設けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(第1正孔輸送層の形成)
この透明基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、ヘレウス株式会社製、CLEVIOS P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ20nmの第1正孔輸送層を設けた。
(第2正孔輸送層の形成)
この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。モリブデン製抵抗加熱ボートに、正孔輸送材料としてHT−1、電子阻止材料としてE1、ホスト化合物としてH1、正孔阻止材料としてH1、電子輸送材料としてET−1を別々の加熱ボートに200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに発光性ドーパントとして下記Dp比較1を100mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
Figure 2016225497
次いで真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、HT−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、0.1nm/秒で前記第1正孔輸送層上に厚さ20nmの第2正孔輸送層を設けた。
(電子阻止層の形成)
つぎに、電子阻止層として、第2の化合物としてE1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、0.1nm/秒で前記第2正孔輸送層に厚さ10nmの電子阻止層を設けた。
(発光層の形成)
さらに、ホスト化合物としてH1と発光性ドーパントとしてDp比較1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.025nm/秒で前記電子阻止層上に共蒸着して厚さ30nmの発光層を設けた。
(正孔阻止層の形成)
つぎに、第1の化合物としてH1の入った前記加熱ボートに通電して、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して厚さ10nmの正孔阻止層を設けた。
(電子輸送層の形成)
さらにET−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層上に蒸着して厚さ30nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
(陰極の形成)
引き続き、フッ化リチウムを蒸着して厚さ0.5nmの陰極バッファー層(アルカリ金属化合物バッファー層)を形成し、さらにアルミニウムを蒸着して厚さ110nmの陰極を形成し、比較例である有機EL素子1−1を2枚作製した。
《有機EL素子1−2〜1−11の作製》
上記有機EL素子1−1の作製において、後述の表3に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子1−2〜1−11を各々2枚作製した。
Figure 2016225497
Figure 2016225497
Figure 2016225497
Figure 2016225497
上記のようにして製造された有機EL素子について、下記要件(1)〜(5)についても計算し、表に記載した。
(1)リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
(2)−1.0eV≦[ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
(3)−0.3eV≦[リン光発光化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[正孔阻止層に含有される第1の化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
(4)−1.5eV≦[リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[電子阻止層に含有される化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
(5)0.3eV≦[発光層のリン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[正孔阻止層に含まれる第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]≦1.2eV
なお、HOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian03、Revision D02,M.J.Frisch,et al, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004. )を用いて求めた。
具体的には、ホスト化合物、正孔阻止層、電子阻止層に含まれる化合物は、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用い、リン光発光性化合物はB3LYP/LanL2DZを用いて、対象とする分子構造の構造最適化を行うことによりを算出した(eV単位換算値)。
結果は下記表2に示すとおりであった。
Figure 2016225497
《有機EL素子1−1〜1−11の評価》
このようにして作製したサンプルについて封止を行い、下記の評価を行った。
なお封止は、各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図1及び図2に示すような照明装置を作製して下記評価をした。
(大気中での安定性評価、素子寿命評価)
蒸着終了後、各々2枚作製した素子のうち、1枚は蒸着終了後、10分後に窒素下にて上記方法で封止を行って素子を作製した(後述の「窒素下」。)。もう1枚は10分間大気解放後、窒素下にて封止を行って素子を作製した(後述の「大気開放あり」。)。各々を初期輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m2)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。
半減寿命の比(大気開放ありと窒素下)を取って、有機EL素子1−5の値を100として、これに対する相対値を、各有機EL素子の大気中での安定性を評価する数値とした。なお、当該数値が高いほど、大気中での安定性が良好であることを示す。
また、蒸着後、大気開放せず窒素下で封止を行った素子の半減寿命を、有機EL素子1−5の値を100として、これに対する相対値を、各有機EL素子の素子寿命を評価する数値とした。
値が大きいほど、素子寿命が長くて良好であることを示す。
(駆動後期の電圧変化)
窒素下で封止を行った有機EL素子を室温(25℃)で、初期輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動させて電圧を測定し、輝度が60%から50%になった時の電圧上昇幅(ΔV1)を求め、初期輝度(V)に対する比率(ΔV1/ΔV)を求め、有機EL素子1−5の値を100として、これに対する相対値で駆動後期の電圧変化を表す値とした。
この値が小さいほど、駆動後期の電圧変化が小さいことを意味するため好ましく、キャリア注入や輸送のバランスが取れ素子構成が良好であることを示す。
Figure 2016225497
表3から、本発明の有機EL素子1−5〜1−11は、比較例の有機EL素子1−
〜1−4に対して、大気中での安定性が高く、駆動後期の電圧上昇率が低く、素子寿命が長寿命化しており、素子としての特性が向上していることが分かる。
[実施例2]
《有機EL素子2−1の作製》
(陽極の形成)
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(酸化インジウムスズ)を100nmの厚さで基板(NHテクノグラス社製NA45)に成膜を行った後、このITO透明電極を設けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(第1正孔輸送層の形成)
この透明基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、ヘレウス株式会社製、CLEVIOS P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ20nmの第1正孔輸送層を設けた。
(第2正孔輸送層の形成)
この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。モリブデン製抵抗加熱ボートに、正孔輸送材料としてHT−1、電子阻止材料としてE4、ホスト化合物としてH4、電子輸送材料としてET−1を別々の加熱ボートに200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに発光性化合物としてD−3を100mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、HT−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、0.1nm/秒で前記第1正孔輸送層上に厚さ20nmの第2正孔輸送層を設けた。
(電子阻止層の形成)
つぎに、電子阻止層として、第2の化合物としてE4の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、0.1nm/秒で前記第2正孔輸送層に厚さ10nmの電子阻止層を設けた。
(発光層の形成)
ここで、透明基板を真空蒸着装置からGB(グローブボックス、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)へ移動させ、前記電子阻止上に、ホスト化合物としてのH4を85mgとリン光発光性化合物としてのD−3を15mg、酢酸ブチルに溶解させた液を用いて、スピンコート法により薄膜を形成し、120℃で1時間加熱乾燥し、厚さ30nmの発光層を設けた。
(正孔阻止層の形成)
この基板を、真空蒸着装置に戻し、基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10-4Paまで減圧した。
つぎに、第1の化合物としてH4の入った前記加熱ボートに通電して、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して厚さ10nmの正孔阻止層の形成を設けた。
(電子輸送層の形成)
さらにET−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層上に蒸着して厚さ30nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
(陰極の形成)
引き続き、フッ化リチウムを蒸着して厚さ0.5nmの陰極バッファー層(アルカリ金属化合物バッファー層)を形成し、さらにアルミニウムを蒸着して厚さ110nmの陰極を形成し、比較の有機EL素子2−1を作製した。
《有機EL素子2−2〜2−14の作製》
有機EL素子の作製において、後述の表5に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子2−2〜2−14を作製した。
Figure 2016225497
Figure 2016225497
このようにして作製した各サンプルについて、実施例1と同様に封止を行い、実施例1と同様の評価を行った。評価結果は、有機EL素子2−1を100とした場合の相対値で表した。
なお、実施例1と同様に、HOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位を計算し、さらに、上記要件(1)〜(5)についても計算した。結果は表4、5に記載した。
Figure 2016225497
Figure 2016225497
表5から、本発明の有機EL素子2−1〜2−4、2−7〜2−14は、比較例の有機EL素子2−5、2−6に対して、大気中での安定性が高く、駆動後期の電圧上昇率が低く、素子寿命が長寿命化しており、素子としての特性が向上していることが分かる。
3 画素
4 ディスプレイ
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 (複数の)有機層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
A 表示部
B 制御部

Claims (6)

  1. 陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
    前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、
    前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
    (2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
    (3)−0.3eV≦[前記リン光発光化合物又は前記ホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記第1の化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
  2. 陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陽極側に隣接した電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
    電子阻止層が、第2の化合物を含有し、
    前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記電子阻止層に含有される前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)、(2)及び(4)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
    (2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
    (4)−1.5eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
  3. 陽極及び陰極により挟まれた発光層と、当該発光層の前記陰極側に隣接した正孔阻止層及び前記陽極側に隣接した電子阻止層と、を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記発光層が、リン光発光性化合物及びホスト化合物を含有し、
    前記正孔阻止層が、第1の化合物を含有し、
    前記電子阻止層が、第2の化合物を含有し、
    前記リン光発光性化合物と、前記ホスト化合物とのHOMOのエネルギー準位及びLUMOのエネルギー準位並びに前記正孔阻止層及び前記電子阻止層に含まれる前記第1の化合物及び前記第2の化合物のLUMOのエネルギー準位が、下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (1)前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位が−6.5〜−5.5eVの範囲内
    (2)−1.0eV≦[前記ホスト化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
    (3)−0.3eV≦[前記リン光発光化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦0.3eV
    (4)−1.5eV≦[前記リン光発光性化合物又はホスト化合物のLUMOのエネルギー準位において低い方のLUMOのエネルギー準位]−[前記電子阻止層に含有される前記化合物のLUMOのエネルギー準位]≦−0.3eV
  4. 前記発光層に含まれる前記リン光発光性化合物と、前記陰極側に隣接した正孔阻止層に含まれる第1の化合物のHOMOのエネルギー準位が、下記要件(5)を満たすこと特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (5)0.3eV≦[前記発光層の前記リン光発光性化合物のHOMOのエネルギー準位]−[前記正孔阻止層に含まれる前記第1の化合物のHOMOのエネルギー準位]≦1.2eV
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
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