JP2016225271A - 拡散層形成ペースト、ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

拡散層形成ペースト、ガス拡散層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池のガス拡散層を製造する技術において、拡散層の焼成処理の時間を短縮する方法の提供。
【解決手段】燃料電池のガス拡散層40の形成に使用される拡散層形成ペーストは、導電性粒子32と、界面活性剤34と、撥水剤36と、比表面積が100m/g以上の酸化チタニウム38とを含み、酸化チタニウム38が、界面活性剤34を熱分解する際の触媒として機能するため、界面活性剤34の熱分解に要する温度を低くし、かつ、界面活性剤34の熱分解に要する時間を短縮することができる拡散層形成ペースト。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガス拡散層を製造する技術に関する。
固体高分子形燃料電池(以降「燃料電池」とも呼ぶ。)は、膜電極接合体と、膜電極接合体の両面に配置されたガス拡散層と、を備えている。
特許文献1には、撥水処理を施したガス拡散層を製造する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、撥水処理を施さない拡散層基材の一方の面に、導電性材料と撥水剤との混合溶液(以降「拡散層形成ペースト」とも呼ぶ。)を塗布し、塗布した拡散層形成ペーストを乾燥させることで、ガス拡散層を製造する。
特開2010−102934号公報
拡散層形成ペーストの溶媒中に導電性材料を分散させるために、拡散層形成ペーストには、通常、親水性物質としての界面活性剤が添加される。拡散層形成ペースト中の界面活性剤は、拡散層形成ペースト塗工後の乾燥、焼成処理において、溶媒と共に熱分解、除去される。焼成処理における焼成温度を高くすれば、界面活性剤の熱分解に要する時間を短縮することができるが、後工程におけるガス拡散層と膜電極接合体との接合の際に膜電極接合体の性能低下を抑制するという観点から、焼成温度には上限がある。従って、特許文献1に記載の技術では、焼成処理における焼成炉長を長く(換言すれば、焼成処理の時間を長く)することで、界面活性剤を熱分解せざるを得ないという課題があった。
このため、界面活性剤を含む拡散層形成ペーストを使用してガス拡散層を製造する技術において、焼成処理の時間を短縮することが望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池のガス拡散層の形成に使用される拡散層形成ペーストが提供される。この拡散層形成ペーストは;導電性粒子と;界面活性剤と;撥水剤と;比表面積が100m/g以上の酸化チタニウムと、を含む。
酸化チタニウムは、界面活性剤を熱分解する際の触媒として機能するため、界面活性剤の熱分解に要する温度を低くし、かつ、界面活性剤の熱分解に要する時間を短縮することができる。この形態の拡散層形成ペーストによれば、このような性質を有する酸化チタニウムを含有するため、拡散層形成ペーストを使用したガス拡散層の製造において、界面活性剤を熱分解するための乾燥、焼成工程における焼成温度を低くし、かつ、焼成時間を短縮することができる。また、この形態の拡散層形成ペーストは、比表面積が100m/g以上の酸化チタニウムを含むため、拡散層形成ペーストに酸化チタニウムを添加することに伴う界面活性剤の熱分解の促進効果を得ることができる。この結果、拡散層形成ペーストを使用したガス拡散層の製造における焼成処理の時間を短縮することができる。
(2)上記形態の拡散層形成ペーストにおいて;前記酸化チタニウムの含有量は、前記導電性粒子に対して6質量%以上かつ15質量%以下であってもよい。
この形態の拡散層形成ペーストは、酸化チタニウムを導電性粒子に対し6質量%以上かつ15質量%以下の添加量で含むため、拡散層形成ペーストに酸化チタニウムを添加することに伴う界面活性剤の熱分解に要する時間の短縮効果を大きくすることができる。
(3)上記形態の拡散層形成ペーストにおいて;前記酸化チタニウムの含有量は、前記導電性粒子に対して6質量%以上かつ10質量%以下であってもよい。
この形態の拡散層形成ペーストは、酸化チタニウムを導電性粒子に対し6質量%以上かつ10質量%以下の添加量で含むため、拡散層形成ペーストに酸化チタニウムを添加することに伴う界面活性剤の熱分解に要する時間の短縮効果を大きくしつつ、かつ、拡散層形成ペーストに酸化チタニウムを過剰に含むことに伴い生じる材料費の上昇や、金属コンタミの懸念の発生といった弊害を抑制することができる。
(4)上記形態の拡散層形成ペーストにおいて;前記酸化チタニウムの比表面積は約300m/gであってもよい。
この形態の拡散層形成ペーストは、比表面積が約300m/gの酸化チタニウムを含むため、界面活性剤の熱分解のより高い促進効果を得ることができる。この結果、拡散層形成ペーストを使用したガス拡散層の製造における焼成処理の時間を、さらに短縮することができる。
(5)上記形態の拡散層形成ペーストを利用したガス拡散層の製造方法において;拡散層基材の少なくとも一方の面に対して、前記拡散層形成ペーストを塗布する工程と;前記拡散層形成ペーストが塗布された前記拡散層基材を乾燥し焼成する工程と、を含んでもよい。
この形態のガス拡散層の製造方法によれば、乾燥し焼成する工程における焼成処理の時間を短縮する(すなわち、焼成炉長を短くする)ことができる。この結果、ガス拡散層の製造コストを低減することができる。
本発明は、上記以外の種々の態様で実現できる。例えば、拡散層形成ペースト、拡散層形成ペーストの調整方法、拡散層形成ペーストの調整装置、拡散層形成ペーストを利用したガス拡散層、このガス拡散層を利用した燃料電池、これらの製造方法、これらの製造装置、それら装置の制御方法、その制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。また、本発明の一形態としての、界面活性剤を含む拡散層形成ペーストを使用してガス拡散層を製造する技術は、焼成処理の時間を短縮することを課題としている。しかし、この技術には、他にも、拡散層形成ペースト、または、拡散層形成ペーストを利用して製造されるガス拡散層における、性能の向上、製造コストの低減、製造工程数の低減、製造方法の簡略化、製造方法の共通化、省資源化等が望まれている。
本発明の一実施形態としての燃料電池の概略構成を示す図である。 ガス拡散層の断面を示す図である。 ガス拡散層の製造方法の手順を示すフローチャートである。 チタニアの比表面積に関する実験結果を示す表である。 図4をグラフ化した図である。 チタニアの添加率に関する実験結果を示す表である。 図6をグラフ化した図である。
A.実施形態:
A−1.燃料電池の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池100の概略構成を示す図である。図1では、燃料電池100の一部についての断面構造を模式的に示す。燃料電池100は、電解質膜10の両面に、それぞれ、電極触媒層20と、微小多孔質層30と、拡散層基材40とが、この順に積層されている。微小多孔質層30および拡散層基材40は「ガス拡散層」として機能する。
電解質膜10は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施形態では、電解質膜10として、ナフィオン(登録商標)を使用する。電極触媒層20は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、或いは白金と他の金属から成る合金を備えた多孔質体であり、ガス透過性を備えている。
図2は、乾燥、焼成処理が施される前のガス拡散層の断面を示す図である。乾燥、焼成処理とは、後述するガス拡散層の製造方法における工程P40を意味する。ガス拡散層の微小多孔質層30は、導電体(導電性粒子)としてのカーボンブラック32と、界面活性剤34と、撥水剤としてのポリテトラフルオロエチレン(以降「PTFE」とも呼ぶ。)36と、酸化チタニウム(以降「チタニア」とも呼ぶ。)38と、を含む。
カーボンブラック32(図2、黒丸)は、導電体として機能する。本実施形態のカーボンブラック32は、例えば、粒径が20〜150nmである。界面活性剤34(図2、黒丸の周囲の白丸)は、親油基がカーボンブラック32の表面に吸着することで、カーボンブラック32の表面に親水性を付与する。PTFE36(図2、斜線のハッチングを付した丸)は、撥水剤として機能する。チタニア38(図2、白丸)は、乾燥、焼成処理において、界面活性剤34を熱分解する際の触媒として機能する。本実施形態のチタニア38は、ガス吸着法による比表面積が100m/g以上である。カーボンブラック32、PTFE36、チタニア38は、微小多孔質層30の厚さ方向の全体に亘って分散している。
ガス拡散層の拡散層基材40は、例えば、カーボンペーパーなどの炭素材料や、発泡金属、金属メッシュなどの金属部材によって構成され、ガス透過性および導電性を有する。本実施形態では、拡散層基材40として、カーボンペーパーを使用する。
図2で示したガス拡散層は、乾燥、焼成処理を経て、完成品のガス拡散層となる。完成品のガス拡散層では、界面活性剤34が熱分解されて除去される。界面活性剤34の熱分解および除去によって、完成品のガス拡散層は、PTFE36による撥水性を発揮することができると共に、燃料電池100の発電により生じる生成水の排水性を向上させることができる。
A−2.ガス拡散層の製造方法:
図3は、ガス拡散層の製造方法の手順を示すフローチャートである。工程P10では、拡散層基材40を準備する。
工程P20では、拡散層形成ペーストを調製する。まず、固形材料として、カーボンブラック32と、PTFE36と、チタニア38とを準備し、それぞれ秤量する。また、非固形材料として界面活性剤34を準備し、秤量する。各材料の添加率は、次の範囲内とする。
・カーボンブラック32:70重量部以上、90重量部以下
・界面活性剤34:カーボンブラック32に対して、5質量%以上15質量%以下
・PTFE36:15重量部以上、25重量部以下
・チタニア38:カーボンブラック32に対して、0より大きく、20質量%以下
次に、秤量した材料を水(例えば、イオン交換水)に配合して分散させることで、拡散層形成ペーストを調製する。水の分量は、次の条件を満たす量とする。
・固形材料が、全質量比に対して15〜25質量%となること。
・拡散層形成ペーストの粘度が、ずり速度50/sの場合に、500〜3000mPa・sとなること。粘度は、粘度計によって測定し、50/sは拡散層形成ペーストの塗工時のずり速度を想定した値である。
工程P30では、工程P10で準備した拡散層基材の一方の面に対して、工程P20で調整した拡散層形成ペーストを塗工する。塗工には、例えば塗工ダイを用いる。なお、工程P30では、拡散層基材に対して拡散層形成ペーストを塗布可能な限りにおいて、任意の方法を利用できる。
工程P40では、拡散層形成ペーストが塗工された拡散層基材を加熱炉に搬入して、乾燥、焼成処理する。工程P40により、拡散層形成ペーストに含まれている水分が除去されると共に、拡散層形成ペーストに含まれている界面活性剤34が熱分解されて除去される。
A−3.チタニアの比表面積に関する実験:
図4は、チタニア38の比表面積に関する実験結果を示す表である。図5は、図4をグラフ化した図である。本実験では、次の手順a1〜a3によって、チタニア38の比表面積と、ガス拡散層の製造方法(図3)の工程P40における界面活性剤34の熱分解の温度と、の関係を調べた。
(a1)添加するチタニア38の比表面積を変えた、複数の拡散層形成ペーストのサンプル#1〜#7を調製した。サンプル#1〜#7の調整は、次の2点を除き、図3の工程P20で説明した方法に沿った。
・サンプル#1〜#7共に、チタニア38の添加率は、カーボンブラック32に対して10質量%とする。
・サンプル#1には品種Aのチタニア38(比表面積300m/g)を添加する。同様に、サンプル#2には品種Bのチタニア38(比表面積121m/g)を、サンプル#3には品種Cのチタニア38(比表面積110m/g)を、サンプル#4には品種Dのチタニア38(比表面積102m/g)を、サンプル#5には品種Eのチタニア38(比表面積50m/g)を、サンプル#6には品種Fのチタニア38(比表面積167m/g)を、サンプル#7には品種Gのチタニア38(比表面積35m/g)を、それぞれ添加する。なお、各品種におけるチタニア38の比表面積および純度は、カタログ値である。
(a2)複数の拡散層形成ペーストのサンプル#1〜#7について、それぞれ、図3の工程P30およびP40を実施し、工程P40において界面活性剤34の熱分解が終了した時点のワーク温度(℃)を調べた。具体的には、まず、各サンプルについて、乾燥、焼成(工程P40)中の質量変化を、TG−DTA測定によって測定した。そして、TG−DTA測定によって質量変化を検出しなくなった時点における各サンプルのワーク温度を、例えば放射温度計を用いてそれぞれ取得し、ワーク温度とした。すなわち、本手順で調べたワーク温度は、焼成処理において、界面活性剤34の熱分解が終了する温度とみなすことができる。
(a3)チタニア38を添加しない拡散層形成ペーストを用いたガス拡散層について、界面活性剤34の熱分解に必要な(すなわち、微小多孔質層30が所定の撥水性能を得るために必要な)工程P40の焼成処理におけるワーク温度を「通常温度(℃)」とする。本実施形態では、通常温度を、例えば350℃とする。複数の拡散層形成ペーストのサンプル#1〜#7について、この通常温度と、手順a2で調べた実際のワーク温度との差を求め、効果温度(℃)とした。すなわち、効果温度は、拡散層形成ペーストにチタニア38を添加することによって、界面活性剤34の熱分解に要する温度をどれだけ低くできたか、を示す。
以上の手順a1〜a3によって得られたサンプル#1〜#7についての、手順a2で調べたワーク温度と、効果温度との実験結果は、図4に示す通りとなった。図4に示す実験結果に基づいて、縦軸に効果温度をプロットし、横軸にチタニア38の比表面積をプロットしたグラフが図5である。
図5に示す通り、チタニア38の比表面積が100m/g未満のサンプル#5、#7については、効果温度が得られなかった。この結果、拡散層形成ペーストに含まれるチタニア38の比表面積が100m/g未満である場合、チタニア38を添加することに伴う界面活性剤34の熱分解の促進効果が期待できないことが分かる。
一方、図5に示す通り、チタニア38の比表面積が100m/g以上のサンプル#1〜#4、#6については、効果温度が得られた。特に、チタニア38の比表面積が300m/gのサンプル#1については、大きな効果温度が得られた。この結果、拡散層形成ペーストに含まれるチタニア38の比表面積が100m/g以上である場合、チタニア38を添加することに伴う界面活性剤34の熱分解の促進効果が期待できることが分かる。
さらに、図5に示す通り、チタニア38の比表面積が100m/g以上のサンプル#1〜#4、#6については、チタニア38の比表面積が大きくなるにつれ、効果温度も上昇した。この結果、拡散層形成ペーストに含まれるチタニア38の比表面積が100m/g以上である場合、チタニア38の比表面積の大きさと、チタニア38を添加することに伴う界面活性剤34の熱分解の促進効果と、は比例関係にある、すなわち、チタニア38の比表面積を大きくしただけ、界面活性剤34の熱分解の促進効果が得られることが分かる。
以上より、拡散層形成ペーストに添加されるチタニア38の比表面積は、100m/g以上とすることが好ましく、300m/g以上とすることがより好ましいことが分かる。
A−4.チタニアの添加率に関する実験:
図6は、チタニア38の添加率に関する実験結果を示す表である。図7は、図6をグラフ化した図である。本実験では、次の手順b1〜b3によって、チタニア38の添加率と、ガス拡散層の製造方法(図3)の工程P40における界面活性剤34の熱分解に要する時間と、の関係を調べた。
(b1)チタニア38の添加率を変えた、複数の拡散層形成ペーストのサンプル#11〜#17を調製した。サンプル#11〜#17の調整は、次の2点を除き図3の工程P20で説明した方法に沿った。
・サンプル#11〜#17共に、品種Aのチタニア38(比表面積300m/g)を添加した。
・サンプル#11のチタニア38の添加率は、カーボンブラック32に対して2質量%とする。同様に、サンプル#12のチタニア38の添加率は4質量%とし、サンプル#13のチタニア38の添加率は6質量%とし、サンプル#14のチタニア38の添加率は8質量%とし、サンプル#15のチタニア38の添加率は10質量%とし、サンプル#16のチタニア38の添加率は15質量%とし、サンプル#17のチタニア38の添加率は20質量%とした。
(b2)複数の拡散層形成ペーストのサンプル#11〜#17について、それぞれ、図3の工程P30およびP40を実施し、工程P40における分解完了時間(sec)を計測した。工程P40の焼成処理におけるワーク温度は300℃とした。分解完了時間は、工程P40の焼成処理の開始から、TG−DTA測定によって質量変化を検出しなくなるまでの時間である。この分解完了時間は、焼成処理において、界面活性剤34の熱分解が終了するまでに要する時間とみなすことができる。
(b3)チタニア38を添加しない(すなわち、チタニア38の添加率を0質量%とした)拡散層形成ペーストについて、図3の工程P30およびP40を実施し、工程P40における分解完了時間を計測し、「通常時間(sec)」とした。本実施形態では、通常時間を、例えば198secとする。複数の拡散層形成ペーストのサンプル#11〜#17について、この通常時間と、手順b2で計測した実際の分解完了時間との差を求め、効果時間(sec)とした。すなわち、効果時間は、拡散層形成ペーストにチタニア38を添加することによって、界面活性剤34の熱分解に要する時間をどれだけ短縮できたか、を示す。
以上の手順b1〜b3によって得られたサンプル#11〜#17についての、手順b2で計測した分解完了時間と、効果時間と、の実験結果は、図6に示す通りとなった。図6に示す実験結果に基づいて、縦軸に効果時間をプロットし、横軸にチタニア38の添加率をプロットしたグラフが図7である。
図7に示す通り、チタニア38の添加率が15質量%以下のサンプル#11〜#16については、チタニア38の添加率が上がるにつれ、効果時間も上昇した。この結果、カーボンブラック32に対するチタニア38の添加率が15質量%以下である場合、チタニア38の添加率と界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果とは比例関係にある、すなわち、チタニア38の添加率を増やした分だけ、界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果が得られることが分かる。
また、チタニア38の添加率を6質量%以上としたサンプル#13〜#17では、界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果が、サンプル#11、#12と比べて大きいことが分かる。
一方、チタニア38の添加率が15質量%より大きいサンプル#17については、効果時間が増大しなかった。すなわち、カーボンブラック32に対するチタニア38の添加率が15質量%より大きい場合、チタニア38の添加率を増やしても、界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果が増加しないことが分かる。
以上より、界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果を大きくするという観点からは、カーボンブラック32に対するチタニア38の添加率は、6質量%以上、かつ、15質量%以下であることが好ましいことが分かる。また、界面活性剤34の熱分解に要する時間の短縮効果を大きくしつつ、拡散層形成ペーストにチタニア38を添加することに伴う材料費の上昇や、金属コンタミの懸念の発生といった弊害を抑制するという観点からは、カーボンブラック32に対するチタニア38の添加率は、6質量%以上、かつ、10質量%以下であることが好ましいことが分かる。
チタニア38は、界面活性剤34を熱分解する際の触媒として機能するため、界面活性剤34の熱分解に要する温度を低くし、かつ、界面活性剤34の熱分解に要する時間を短縮することができる。本実施形態の拡散層形成ペーストは、このような性質を有するチタニア38を含有するため、拡散層形成ペーストを使用したガス拡散層の製造において、界面活性剤34を熱分解するための乾燥、焼成工程(図3、工程P40)における焼成温度を低くし、かつ、焼成時間を短縮することができる。
また、本実施形態の拡散層形成ペーストは、比表面積が100m/g以上のチタニア38を含むため、「チタニアの比表面積に関する実験」による実験結果の通り、拡散層形成ペーストにチタニア38を添加することに伴う界面活性剤34の熱分解の促進効果を得ることができる。
このように、本実施形態の拡散層形成ペーストを使用したガス拡散層の製造工程(図3)によれば、乾燥、焼成工程(工程P40)における焼成処理の時間を短縮する(すなわち、焼成炉長を短くする)ことができる。この結果、ガス拡散層の製造コストを低減することができる。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
・変形例1:
上記実施形態では、燃料電池の構成の一例を示した。しかし、燃料電池の構成は種々の変更が可能であり、例えば、構成要素の追加、削除、変換等を実施可能である。
例えば、上記実施形態では、導電体の一例としてカーボンブラックを例示したが、導電体としてはカーボンブラック以外にも、種々の材料を利用できる。例えば導電体として、カーボン材料や、金属材料を利用してもよい。カーボン材料としては、例えば、黒鉛、気相法炭素繊維やカーボンナノチューブ(CNT)等の繊維状カーボン材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、金属単体の粒子、金属合金の粒子、導電性を有する金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物)の粒子等を用いることができる。
例えば、上記実施形態では、撥水剤の一例としてPTFEを例示したが、撥水剤としてはPTFE以外にも、種々の材料を利用できる。例えば撥水剤として、フッ素系高分子材料や、その他高分子材料を利用してもよい。フッ素系高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、溶剤可溶性フッ素樹脂等を用いることができる。その他高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。
例えば、燃料電池は上述した部材の他に、種々の部材を構成要素として含むことができる。例えば、膜電極接合体とガス拡散層との周縁に配置されてこれらを保護するフレームや、ガス拡散層の外側に積層されてガス流路を形成するセパレータや、各部材の間の気密性を確保するシール部材等を含んでもよい。
例えば、電解質膜はナフィオンに限られず、アシプレックス(登録商標)やフレミオン(登録商標)等の他のフッ素系スルホン酸膜や、フッ素系ホスホン酸膜、フッ素系カルボン酸膜、フッ素炭化水素系グラフト膜、炭化水素系グラフト膜、芳香族膜等が採用されてもよい。また、電解質膜には、PTFE、ポリイミド等の補強材を含有させて機械的特性を強化した複合高分子膜が採用されてもよい。
例えば、燃料電池は固体高分子型燃料電池に限られず、他の種々のタイプの燃料電池を採用可能である。
・変形例2:
上記実施形態では、ガス拡散層の製造方法の一例を示した。しかし、ガス拡散層の製造方法は種々の変更が可能であり、例えば、工程の追加、削除、工程において実施される作業内容の変更等が可能である。
例えば、拡散層形成ペーストを調製する工程(P20)において、PTFE36の秤量および配合を省略してもよい。
例えば、拡散層形成ペーストを調製する工程(P20)におけるカーボンブラック32、界面活性剤34、PTFE36、チタニア38の添加率は、上述した範囲外としてもよい。
例えば、拡散層形成ペーストを調製する工程(P20)における水の分量は、上述した条件を満たさなくてもよい。
例えば、ガス拡散層の製造方法は、図示しない他の工程を備えていてもよい。他の工程とは、例えば、ガス拡散層の保護材を配置する工程、ガス拡散層の性能を評価する工程等を採用できる。
・変形例3:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…電解質膜
20…電極触媒層
30…微小多孔質層
32…カーボンブラック
34…界面活性剤
38…チタニア
40…拡散層基材
100…燃料電池

Claims (5)

  1. 燃料電池のガス拡散層の形成に使用される拡散層形成ペーストであって、
    導電性粒子と、
    界面活性剤と、
    撥水剤と、
    比表面積が100m/g以上の酸化チタニウムと、
    を含む、拡散層形成ペースト。
  2. 請求項1に記載の拡散層形成ペーストであって、
    前記酸化チタニウムの含有量は、前記導電性粒子に対して6質量%以上かつ15質量%以下である、拡散層形成ペースト。
  3. 請求項2に記載の拡散層形成ペーストであって、
    前記酸化チタニウムの含有量は、前記導電性粒子に対して6質量%以上かつ10質量%以下である、拡散層形成ペースト。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の拡散層形成ペーストであって、
    前記酸化チタニウムの比表面積は約300m/gである、拡散層形成ペースト。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の拡散層形成ペーストを利用したガス拡散層の製造方法であって、
    拡散層基材の少なくとも一方の面に対して、前記拡散層形成ペーストを塗布する工程と、
    前記拡散層形成ペーストが塗布された前記拡散層基材を乾燥し焼成する工程と、
    を含む、ガス拡散層の製造方法。
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