JP2016225227A - 薄膜電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロールツーロール方式で、長尺のフィルム基材上に真空下で成膜して薄膜電子デバイスを製造するに際して、フィルム基材と除電器とを接触させることなく、静電気の発生を抑制することを可能とする薄膜電子デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】長尺のフィルム基材1上にロールツーロール方式で薄膜電子デバイスを製造する薄膜電子デバイスの製造方法であって、真空下で成膜する成膜工程を有し、前記成膜工程において、前記フィルム基材1に接触しない位置に、自己放電式の除電器9、10、11を配置し、前記フィルム基材1と前記除電器9、10、11との距離を自己放電可能な距離に保つことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜電子デバイスの製造方法に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記載する。)、有機薄膜太陽電池、液晶ディスプレイ素子等の種々の薄膜電子デバイスが開発されている。これらの薄膜電子デバイスは、薄板状とすることによって、携帯時や設置する際に取り扱いが容易となり、省スペース化され、輸送時や保管時の取り扱いもし易くなる。基材上に薄膜電子デバイスを形成するためには、基材上に機能膜のパターン(形状、寸法)を形成することが必要となる。ここで、機能膜とは、薄膜電子デバイスにおける主要な構成要素であり、パターン状に形成されることによって薄膜電子デバイスとしての各種機能を発現するものである。
こうした薄膜電子デバイスの基材として、重くて割れやすいガラス基板に代わり、薄くて軽く柔軟性に富んだ合成樹脂基材を用いることが検討されている。合成樹脂基材は、長尺基材とすることが容易であり、ロールツーロール(Roll to Roll)方式で連続的に生産することが可能であることから、ガラス基板を用いる場合よりも生産性に優れ、コストダウンの点でも有利である。
しかし、合成樹脂基材は一般に、ガラス基板に比べて静電気が発生し易い。長尺のフィルム基材を用いてロールツーロール方式で製造するプロセスでは、搬送ロール等を用いてフィルム基材の搬送位置を制御したり、搬送ロール間でフィルム基材に張力を掛けたりする。そのため、フィルム基材が搬送ロール等の製造装置と接触や剥離を繰り返すことは避けられない。その際に接触帯電や剥離帯電が生じる。
特に真空中では、フィルム基材の周りに水や酸素などのガスが少ないため、自然放電が発生し難く、フィルム基材に静電気が蓄積され易い。また、マスクを使用した成膜プロセスでは、マスク−フィルム基材間で接触や剥離が繰り返されるため、接触帯電や剥離帯電が生じる。
フィルム基材が強く帯電すると、製造装置(特にマスク)に貼り付き、フィルム基材の搬送が困難になったり、無理に搬送しようとすると破損するといった問題が発生する。
ロールツーロール方式の製造プロセスにおいて、フィルム基材を除電するための方法については、従来から多くの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、真空容器内でプラスチックフィルムに向けてアルゴンガス等の不活性ガスを吹き出して除電するプラスチックフィルム除電装置が開示されている。特許文献2には、フィルムの表裏面に対して除電器(導電性ローラ)と除電ブラシを順次使用する除電装置が開示されている。
特開2009−181938号公報 特開2010−267409号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプラスチックフィルム除電装置では、ガスを吹き出して除電した後に、1Pa以下の高真空下で成膜を行う場合には、圧力を下げるためにガスを排気することが必要となり、その排気に時間を要するものであった。また、特許文献2に記載の除電装置では、導電性ローラと除電ブラシを樹脂フィルムに接触させて除電するため、樹脂フィルムに傷を付けるおそれがあるものであった。
さらに、フィルム基材が強く帯電して製造装置に貼り付いた後、貼り付いた状態から解放されるときに、フィルム基材が大きく上下に振動し、その結果、製造装置等に接触して、傷が付くといった問題も存在した。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、ロールツーロール方式で、長尺のフィルム基材上に真空下で成膜して薄膜電子デバイスを製造するに際して、フィルム基材と除電器とを接触させることなく、静電気の発生を抑制することを可能とする薄膜電子デバイスの製造方法を提供することである。
成膜を行う高真空の環境下にあっては、気体分子が少ないため、放電現象が起こりにくい。本発明者らは、フィルム基材と除電器とを接触させずに放電を起こさせる最適位置とその距離を維持するための方法について検討を重ねた。その結果、除電器の位置や形状を適切に管理することによって、上記課題を解消し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のような構成を有している。
1.長尺のフィルム基材上にロールツーロール方式で薄膜電子デバイスを製造する薄膜電子デバイスの製造方法であって、真空下で成膜する成膜工程を有し、前記成膜工程において、前記フィルム基材に接触しない位置に、自己放電式の除電器を配置し、前記フィルム基材と前記除電器との距離を自己放電可能な距離に保つことを特徴とする薄膜電子デバイスの製造方法。
2.前記成膜工程において、前記フィルム基材の搬送経路上の搬送ロールの下流側に、前記除電器を配置することを特徴とする前記1に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
3.前記成膜工程において、前記フィルム基材にマスクを接触および剥離させて成膜するとき、当該マスクの周縁部または当該マスクの下流側に、前記除電器を配置することを特徴とする前記1に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
4.前記除電器の位置を、前記フィルム基材の位置に応じて移動させることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
5.前記除電器が、金属繊維を植生させたブラシ状または金属繊維を含有する紐状であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
6.前記薄膜電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
本発明の薄膜電子デバイスの製造方法によると、ロールツーロール方式で、長尺のフィルム基材上に真空下で成膜して薄膜電子デバイスを製造するに際して、フィルム基材と除電器とを接触させることなく、静電気の発生を抑制することができる。
有機EL素子製造装置の成膜装置の模式的断面図である。 周縁部に除電器が配置されているマスクの模式的斜視図である。 金属繊維を植生させたブラシ状の除電器が周縁部に配置されているマスクの模式的部分断面図である。 周縁部に除電器が配置されているマスクの構成の変形例を示す模式的平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で実施形態を任意に変更して実施することが可能である。
[薄膜電子デバイス]
本実施形態において、薄膜電子デバイスとは、有機EL素子、有機薄膜太陽電池(有機光電変換素子)、液晶ディスプレイ素子、タッチパネル、電子ペーパ等の基本的に薄板状の電子デバイスである。
本実施形態において、機能膜とは、薄膜電子デバイスにおける主要な構成要素であり、パターン状に形成されることによって、薄膜電子デバイスとしての各種機能を発現するものである。その材質から、有機層、無機層および金属層に分類される。
有機層の機能膜は、基本的に有機物から形成されている層である。例えば、有機EL素子であれば、有機発光層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、電子注入層、正孔注入層等の層が相当する。有機薄膜太陽電池であれば、バルクヘテロジャンクション層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層等の層が相当する。
無機層の機能膜は、基本的に無機物から形成されている層である。例えば、封止層、保護層、ガスバリヤ層等として機能する無機化合物からなる層がある。
金属層の機能膜は、基本的に金属から形成されている層である。例えば、電極層や導電層として機能する金属、合金、金属酸化物などからなる層がある。
本実施形態において、フィルム基材は合成樹脂から構成される。フィルム基材は透明であっても不透明であってもよい。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
本実施形態において、フィルム基材の形態は帯状で長尺である。長尺のフィルム基材は通常、ロール状に巻かれている。長尺のフィルム基材を用いて、ロールツーロール方式の製造方法を採用すると、複数の薄膜電子デバイスを連続して製造することが可能であり、生産性を高め、材料利用効率を高めることができる。また、製造装置の長さをコンパクトにすることができる。
以下では、代表的な薄膜電子デバイスである有機EL素子を例に挙げて説明するが、他の薄膜電子デバイスに対しても同様に適宜適用し得るものである。また、フィルム基材は、以下単に「基材」と記載することがある。
[静電気対策]
長尺の基材を用いてロールツーロール方式で成膜する成膜工程では、搬送ロールを用いて基材は搬送される。このとき、基材は搬送ロールと接触し、その後剥離される。そのため、搬送ロールとの接触時や剥離時に静電気が発生し、基材上に蓄積される。また、成膜工程において、長尺の基材を巻いたロールから基材を繰り出すとき、基材間が剥離されるため、静電気が発生し、基材上に蓄積される。
また、長尺の基材上に複数の有機EL素子を連続して製造していく際に、パターン状の機能膜を形成するために、パターン形成用のマスクが使用される。マスクは、気相法で機能膜を形成する際に、基材に接触させて、機能性の材料を用いて所定のパターンを形成するために使用される。長尺の基材上に多数の有機EL素子を形成するときには、特定の機能膜の形成に用いられるマスクは、基材の移動・停止を行いつつ、繰り返し使用される。このため、マスクと基材とは、接触と剥離が繰り返されることとなり、基材上に静電気が蓄積される。
とりわけ、気相法による成膜は、通常、真空下で行われるため、自然放電しにくく、静電気が発生し易い環境下にある。基材上に静電気が蓄積されると、基材が装置に貼り付いて搬送不良となり、無理に搬送しようとすると基材に傷が付いたり、破損するといった問題が発生する。また、有機EL素子に損傷を与えたり、基材にゴミが付着したりして、有機EL素子の安定的な連続生産が困難となり、生産性が低下する。
そこで、静電気の自然放電を促し、静電気の蓄積を抑制するために、成膜工程における基材の搬送経路上で、基材に接触しない位置に、除電器を配置する。除電器を配置する位置は、上記のような状況に鑑みて、静電気が発生する箇所の下流側に配置することが好ましい。すなわち、搬送ロールが存在する場合は、搬送ロールの下流側に配置し、マスクが存在する場合は、マスクの下流側に配置することが好ましい。搬送ロールやマスクが複数存在するときは、各搬送ロール毎、各マスク毎に配置することが好ましい。
搬送ロールやマスクの下流側に設置される除電器は、細長いものであって、搬送される基材を横断させて、基材の全幅に対して除電を行うことができるように配置することが好ましい。
なお、搬送ロールやマスクは、静電気の発生を極力抑制するために、金属製であって、接地されていることが好ましい。
除電器としては、自己放電式の除電器を用いる。除電器とは、正および負に帯電した物体間で放電を起こさせて、静電気を中和する機器のことである。放電現象は、繊維やワイヤーの先端のように突起状・刃状の導電体がある場合に、その先端付近で発生し易い。自己放電式の除電器であれば、除電対象物の帯電量に依存して放電するため、発生する電流値は数μAと小さく、基材へのダメージを小さくすることができる。除電器は、接地(アース)して使用される。
自己放電式の除電器の種類は、特に限定されず、公知の除電器を用いることができる。自己放電式の除電器としては、除電ブラシ、除電紐、イオナイザ等が知られている。
除電ブラシや除電紐には、導電性繊維が使用されている。導電性繊維として一般的なものは、金属繊維、炭素繊維等である。金属繊維の金属としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル等が使用される。金属繊維の直径は約10〜20μm程度である。
除電ブラシは、金属等の導電性の台上に導電性繊維を植生させた構造を有している。導電性繊維は、ブラシの毛に相当する。毛の長さは同一であってもよいし、種々の長さの毛が混合されていてもよい。毛の長さは数mm程度である。また、毛は導電性の台上に垂直に植生されていてもよいし、台上に斜めに傾いて植生されていてもよいが、垂直に植生されている方が、放電効率に優れ、スペースを小さくすることができるため、好ましい。また、除電ブラシは、後記する除電紐と比べて、除電できる領域が面状で広いため、除電効率に優れていて、好ましい。除電ブラシの変形例として、金属製のシャフトの周囲に導電性繊維からなる毛を植生させて、基材の搬送に合わせて回転するブラシロールを使用することもできる。
除電紐は、導電性繊維を含有する紐であり、除電できる領域が線状である。除電紐としては、導電性繊維の短繊維と合成繊維の短繊維とを混紡した混紡糸を用いて、紐状としたものが代表的なものである。導電性繊維および合成繊維は長繊維であってもよい。混紡糸を用いて紐状にしたり、織物や編物としてもよい。混紡糸を用いた除電紐のときは、紐の長さ方向に沿って、紐の表面から産毛のように導電性繊維の突起が飛び出している構造を有している。
図1は、有機EL素子製造装置の成膜装置の模式的断面図である。成膜装置内は、真空に維持されている。基材1は、2本の搬送ロール4の間を搬送される。基材1の成膜面2は下側であり、基材1の成膜されない面3は上側となっている。成膜面2には予めガスバリヤ層が形成されている。2本の搬送ロール4、5の間には、マスク6、タッチプレート7および蒸着源8が設置されていて、基材1の成膜面2に対して、機能膜のパターンを形成することができる。ここでは、成膜方法として蒸着法が用いられる。
機能膜のパターンを形成するとき、基材1の搬送は、機能膜の成膜位置で停止される。次に、待機位置にあったタッチプレート7が下降して、基材1の成膜されない面3側に接触して、基材1の位置を固定する。次に、待機位置にあったマスク6が上昇して、基材1の成膜面2側に接触する。この状態で、蒸着源8が加熱されて、機能膜の原料がマスクに対して蒸着される。その結果、基材1の成膜面2上にパターン状の機能膜が形成される。その後、蒸着が停止され、マスク6は待機位置に降下し、タッチプレート7は待機位置に上昇する。その後、基材1は搬送されて、次の機能膜の成膜位置まで移動する。このような操作が繰り返されて、長尺の基材1の長さ方向に、薄膜電子デバイスの機能膜のパターンが多数形成される。
この成膜工程における基材1の搬送経路上にあって、左側の搬送ロール4のすぐ下流側には、除電器9が配置されている。また、マスク6のすぐ下流側には、除電器10が配置されている。また、右側の搬送ロール5のすぐ下流側には、除電器11が配置されている。
除電器9、10、11は、基材1に接触しない位置に配置されている。除電器9、10、11は、基材1に対して近づけたり遠ざけたりして、基材1との距離を変更することができるように構成されている。基材1と除電器9、10、11との距離は、自己放電可能な距離を保つように管理される。
本発明者らは、基材と除電器との間の自己放電可能な好ましい距離を把握するために、以下に記載する条件で模擬実験を行った。
真空チャンバ内をロールツーロール方式で、ガスバリア層を有するPETフィルムの長尺基材を走行させた。このとき、搬送ロールの下流側の直後に帯電量測定器を1個設置し、当該帯電量測定器の下流側に除電紐を配置し、さらに、当該除電紐の下流側にもう一つの帯電量測定器を1個設置して、基材を搬送させた。基材と除電紐との距離は1mm〜50mmの範囲で変化させ、除電紐の前後における基材上の帯電量の変化を測定した。除電紐は接地されており、真空チャンバ内の気圧は、約10−3Pa、雰囲気ガスは、窒素と酸素であった。結果は、基材と除電紐との距離が1mmのときに最も除電効果が大きくなり、基材と除電紐との距離が50mmのときに最も除電効果が小さくなった。すなわち、基材と除電紐との最適の距離は0mmより大きく1mm以下にあると考えられた。
除電器の除電能力は、一般に、除電対象物の帯電量と帯電物との距離に依存する。すなわち、基材の帯電量が少な過ぎたり、基材と除電器との距離が遠過ぎたりすると、放電現象は起こらない。基材と除電器との距離は、小さければ小さいほど好ましい。基材と除電器との距離が小さいほど、低い電圧のときに放電させることが可能となり、基材の帯電量を少ないレベルに保持することができ、基材に与えるダメージを小さくすることができる。
そこで、上記の模擬実験の結果を踏まえて、基材と除電器とが接触せず、自己放電可能な最も好ましい距離として、0.5mmに管理する。
但し、基材は搬送中に上下へ揺らぐことがある。また、基材が強く帯電して製造装置に貼り付いた後、貼り付いた状態から解放されるときに、基材が大きく上下に振動することがある。そのような事態においても基材と除電器とが接触しないようにするために、基材と除電器とが接触せず、自己放電可能な距離として、5mm以下に管理してもよい。
基材と除電器との距離を自己放電可能な距離に保つように管理するためには、いくつかの方法を用いることができる。その一つの方法は、除電器の位置が上記の範囲内となるように、基材の位置に応じて除電器自体の設置位置を移動させる方法である。
前記したように、基材が強く帯電して製造装置に貼り付いた後、貼り付いた状態から解放されたときに、はずみで基材が大きく上下動することがある。また、搬送ロール間の基材にかかる張力や基材自体の荷重の変化によって基材の位置は上下に移動する。このような要因に基づいて、基材と除電器との距離が大きく移動すると、上記の自己放電可能な距離の範囲から外れてしまうおそれがある。
そこで、基材と除電器との距離を自己放電可能な距離に保つための方法は、以下のようなものである。
(1)事前に、基材を用いて成膜工程を搬送させる予備テストを行い、成膜工程中の基材の位置を確認し、除電器の設置位置に反映させる。
(2)基材の位置を感知する光学センサ等の位置センサを設置して、基材の経時的な位置の移動に対応してフィードバックさせて、除電器の設置位置を移動させる。
以上のように、除電器の設置位置を、基材の位置に応じて移動させることによって、基材と除電器との距離を自己放電可能な距離に保つことが可能となる。
さらに、成膜工程における基材の搬送経路上に、適宜、帯電量測定器(静電気センサ)を設置して、リアルタイムで測定される静電気量に応じて、フィードバックさせて、除電器の設置位置を微調整することも好ましい。
前記したように、基材にマスクを接触および剥離させて成膜するとき、マスクと基材とは、接触と剥離が繰り返されることとなり、基材上に静電気が蓄積され易い。そこで、マスクの接触と剥離に伴う静電気の発生を抑制するための方法として、マスクの周縁部に除電器を配置する方法がある。
図2は、周縁部に除電器が配置されているマスクの模式的斜視図である。図2において、マスク6には開口部12と除電器13とが存在する。図3は、図2の除電器13を部分的に拡大して示したものであり、金属繊維14を植生させたブラシ状の除電部13が周縁部に配置されているマスク6の模式的部分断面図である。マスク6の周縁部に金属繊維14を植生させた除電器13を配置することによって、静電気の発生が抑制される。
図2および図3において、金属繊維14は、マスク6の周縁部に設けられた4ヶ所の台形の溝部に植生されている。このとき、金属繊維14の高さBは、溝部の深さAよりも小さい。そのため、成膜工程において、マスク6が基材に接触したときも、溝部内に存在する除電器13内の金属繊維14が基材に接触することはない。また、溝部の深さAと金属繊維14の高さBとの差は、前記した自己放電可能な距離となるように形成されている。そのため、自己放電によって蓄積される静電気量が低減される。
図4は、周縁部に除電器が配置されているマスクの構成の変形例を示す模式的平面図である。除電器13の数が、(a)4箇所、(b)2箇所、(c)1箇所のときの例が示されている。これらは一例であって、除電器13の数や形状は種々のものが可能である。なお、図4における上下方向が、基材が搬送される移動方向に相当する。
以上説明してきたように、成膜工程において、基材に接触しない位置に、自己放電式の除電器を配置する方法として、種々の方法が存在する。これらの方法は必要に応じて、適切な方法を種々組み合わせて用いることができる。例えば、図1において、2本の搬送ロール4、5の下流側の位置に金属繊維を含有する紐状の除電器9、11を設置し、マスク6として図2に記載の周縁部に金属繊維を植生させたブラシ状の除電器13を有するマスク6を使用し、さらにマスク6の下流側の位置に金属繊維を含有する紐状の除電器10を設置することができる。
本実施形態において、成膜工程における気圧(真空度)は、1.0×10−2〜1.0×10−4Pa程度である。成膜工程に存在するガスは、大気環境から減圧されるときは、窒素と酸素であり、また、成膜材料の有機材料の気体や電極材料のアルミニウムの気体等である。
以上、説明してきた本実施形態の薄膜電子デバイスの製造方法によると、ロールツーロール方式で、長尺の基材上に真空下で成膜して薄膜電子デバイスを製造するに際して、静電気の発生を抑制することができる。基材と除電器とが接触しないため、基材が傷付くといった問題が発生しにくい。また、成膜時の真空環境において実施できるため、生産性が低下することなく、安定的な連続生産が可能である。
本実施形態の薄膜電子デバイスの製造方法は、有機EL素子、有機薄膜太陽電池、液晶ディスプレイ素子等の種々の薄膜電子デバイスの製造に有効である。特に、真空下で気相法でパターン形成する有機EL素子において、より有効な製造方法である。
本実施形態の薄膜電子デバイスの製造方法として、特に説明しなかった製造条件については、公知の製造条件を適宜適用することによって製造することが可能である。また、公知の方法や知見に従って、本実施形態を適宜変更して、本発明を実施することができる。
1 基材(フィルム基材)
4、5 搬送ロール
6 マスク
7 タッチプレート
8 蒸着源
9、10、11、13 除電器
12 開口部
14 金属繊維

Claims (6)

  1. 長尺のフィルム基材上にロールツーロール方式で薄膜電子デバイスを製造する薄膜電子デバイスの製造方法であって、
    真空下で成膜する成膜工程を有し、
    前記成膜工程において、前記フィルム基材に接触しない位置に、自己放電式の除電器を配置し、
    前記フィルム基材と前記除電器との距離を自己放電可能な距離に保つことを特徴とする薄膜電子デバイスの製造方法。
  2. 前記成膜工程において、前記フィルム基材の搬送経路上の搬送ロールの下流側に、前記除電器を配置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
  3. 前記成膜工程において、前記フィルム基材にマスクを接触および剥離させて成膜するとき、当該マスクの周縁部または当該マスクの下流側に、前記除電器を配置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
  4. 前記除電器の位置を、前記フィルム基材の位置に応じて移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
  5. 前記除電器が、金属繊維を植生させたブラシ状または金属繊維を含有する紐状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
  6. 前記薄膜電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜電子デバイスの製造方法。
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