JP2016223571A - 樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造でありながら、樹脂製部材に形成されたボルト挿通用の透孔にカラーを嵌合させる場合に、カラーの挿抜力が変化し難く、また、樹脂製部材に破断等のダメージを生じ難くするようにした樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造を提供する。【解決手段】樹脂製部材1をボルト3を用いて他部材2に締結させる際に、樹脂製部材1に形成されたボルト挿通用の透孔13にカラー4を嵌合させる場合の透孔13とカラー4との嵌合構造であって、透孔13の平面形状が略楕円形状とされ、カラー4は透孔13に対して締め代が円周方向に不均一な状態で嵌合されることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造に関し、さらに詳しくは、樹脂製部材をボルト及びカラーを用いて他部材に締結させる際に、樹脂製部材に形成された透孔(ボルト孔)にカラーを嵌合させる場合の透孔とカラーとの嵌合構造に関する。
例えば、ウォーターインレット、ウォーターアウトレット、エアインテークマニホールド、サーモスタットカバー等の内燃機関用パーツには射出成型によって形成される樹脂製部材が用いられる。これら樹脂製部材の相手部材(シリンダブロック等)に対する取付部はフランジ状に形成され、この取付部に形成されたボルト孔(透孔)にボルトを挿通して樹脂製部材と相手部材との締結一体化がなされる。ボルト孔には、金属製の円筒状カラーが嵌合され、ボルトの過度の締結を防止するようになされる。このような樹脂製部材においては、カラーは事前に嵌合によって樹脂製部材に組付けられた状態で梱包・保管され、この状態で他部材との締結工程に搬送される。そのため、梱包、搬送及び他部材への組付け過程でカラーが脱落しないように、カラーは前記透孔に対して所定の締め代をもって圧入によって嵌合される。そして、ボルト孔のような透孔を有する樹脂製部材を樹脂の成型によって製造する際、溶融した樹脂は金型内で透孔部に至ると左右に分流して透孔回りを流動し、その反対側で合流するように挙動する。樹脂が硬化した後は、この合流部が強度的に弱いウェルド部として残る。
前記のようにウェルド部を周辺に有する樹脂製部材の透孔にカラーを圧入しようとすると、透孔の内壁を広げる力が作用して、強度的に弱いウェルド部において樹脂製部材が破断することがある。また、ボルトの締結時においても、カラーを介して透孔の内壁を広げる力が作用し、ウェルド部において樹脂製部材が破断することがある。特許文献1,2には、このようなカラーの嵌合時やボルトの締結時における樹脂製部材のウェルド部での破断を防止するための方策が提案されている。
特許文献1には、ウェルド部での破断を積極的に防止することを意図するものではないが、透孔の内周面に部分的に突出する仮止め弾片を逃がし部に沿わせて形成することにより、カラーの脱落を防止するとともに、雄ネジの螺着時における樹脂製部材の破断等を防止することが記載されている。これにより、透孔の回りにウェルド部が存在する場合でも、ウェルド部における破断が生じ難くなるものと解されるが、樹脂製部材に仮止め弾片や逃がし部を形成する必要があり、複雑な金型の設計が求められる上に、仮止め弾片の形成部位の強度が弱くなることも懸念される。また、特許文献2では、樹脂製部材のボルト挿通用の透孔にスリットを設け、樹脂成型時のウェルドラインが生じないようにしている。この場合、スリットが形成されていることにより、透孔におけるカラーの保持力が低下し、カラーの落下が危惧されることから、カラーの両端にフランジを設ける必要がある。特に、一方のフランジはカラーを透孔に挿入した後、かしめによって形成されるものであり、樹脂製部材に対するカラーの組付け作業が煩雑化される。さらに、特許文献1及び2に記載された構造以外の従来の構造では、透孔とカラーがともに真円形であり、前記所定の締め代で両者が嵌合される構造が一般的であるが、この場合、カラーと透孔の孔壁との接触圧が大きいため、温度変化、吸水等によって透孔の内径又はカラーの外径の寸法変化が生じた場合、カラーの挿抜力が変化し易くなる。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構造でありながら、樹脂製部材に形成されたボルト挿通用の透孔にカラーを嵌合させる場合に、カラーの挿抜力が変化し難く、また、樹脂製部材に破断等のダメージを生じ難くするようにした樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造を提供することを目的としている。
本発明に係る樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造は、樹脂製部材をボルトを用いて他部材に締結させる際に、前記樹脂製部材に形成されたボルト挿通用の透孔にカラーを嵌合させる場合の透孔とカラーとの嵌合構造であって、前記透孔の平面形状が略楕円形状とされ、前記カラーは前記透孔に対して締め代が円周方向に不均一な状態で嵌合されることを特徴とする。
本発明の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造によれば、透孔が略楕円形状であって、カラーは前記透孔に対して締め代が円周方向に不均一な状態で嵌合される。したがって、この円周方向における最大の締め代が、ともに真円形の透孔及びカラーの従来の嵌合構造における締め代と同じであっても、本願におけるカラーと透孔の内壁との全接触圧が従来の嵌合構造より低減する。これによって、温度変化、吸水等によって透孔の内径又はカラーの外径の寸法変化が生じた場合でも、カラーの挿抜力の変化を抑制することができる。また、カラーの透孔に対する嵌合時又はボルトの締結時に透孔の形状が変形し易くなり、透孔周辺に発生する応力を緩和させることができるので、樹脂製部材に対するダメージを抑えることができる。
本発明において、前記透孔は、前記樹脂製部材の成型時における樹脂の合流部の近傍に形成されているものとしても良い。
本発明によれば、前記のようにカラーの透孔に対する嵌合時或いはボルトの締結時における樹脂製部材に対するダメージが抑えられることにより、透孔が成型時における樹脂の合流部(ウェルド部)の近傍に形成されていても、ウェルド部において破断する懸念が抑制される。
この場合、前記透孔は、その略楕円形状の短軸が、前記合流部に向くように形成され、或いは、その略楕円形状の長軸が、前記合流部に向くように形成されているものとしても良い。
前記短軸が前記合流部に向くよう形成されている場合、カラーの透孔に対する発生応力がより低い短軸側がウェルド部の発生位置となるので、当該部分からの破断を回避又は耐破断強度を向上させることができる。
また、前記長軸が前記合流部に向くよう形成されている場合、真円の透孔の場合と比較して、カラーと透孔の内壁との接触面積を低減させることができるため、前記と同様にウェルド部の発生位置からの破断を回避又は耐破断強度を向上させることができる。
本発明によれば、前記のようにカラーの透孔に対する嵌合時或いはボルトの締結時における樹脂製部材に対するダメージが抑えられることにより、透孔が成型時における樹脂の合流部(ウェルド部)の近傍に形成されていても、ウェルド部において破断する懸念が抑制される。
この場合、前記透孔は、その略楕円形状の短軸が、前記合流部に向くように形成され、或いは、その略楕円形状の長軸が、前記合流部に向くように形成されているものとしても良い。
前記短軸が前記合流部に向くよう形成されている場合、カラーの透孔に対する発生応力がより低い短軸側がウェルド部の発生位置となるので、当該部分からの破断を回避又は耐破断強度を向上させることができる。
また、前記長軸が前記合流部に向くよう形成されている場合、真円の透孔の場合と比較して、カラーと透孔の内壁との接触面積を低減させることができるため、前記と同様にウェルド部の発生位置からの破断を回避又は耐破断強度を向上させることができる。
本発明において、前記透孔における略楕円形状の長径が前記カラーの外径より大きく、且つ、短径が前記カラーの外径より小さく設定されているものとしても良い。この場合、前記透孔の短径とカラーの外径との差が0.4mm以下に、前記透孔の長径とカラーの外径との差が0.4mm以下に、それぞれ設定されていることが望ましい。
本発明によれば、透孔における略楕円形状の短径が前記カラーの外径より小さいので、この部分の締め代が確保され、搬送時等におけるカラーの脱落が防止される。また、透孔における略楕円形状の長径が前記カラーの外径より大きいので、長軸側ではカラーと透孔との間に隙間が生じ、長軸側でのカラーから直接受ける応力の発生がなくなり、短軸側では透孔を広げる方向の圧縮応力は発生するが、引張応力は発生しなくなる。したがって、前記挿抜力の変化の抑制や、樹脂製部材へのダメージの抑制がより効果的に発揮される。加えて、カラーと透孔との間に隙間が形成されることにより、カラーの透孔に対する嵌合時又はボルトの締結時に透孔の形状がより変形し易くなり、透孔周辺に発生する応力をより緩和させることができるので、樹脂製部材に対するダメージを抑えることができる。
因みに、透孔の短径とカラーの外径との差が0.4mmより大きい場合は、透孔とカラーとの嵌合時における発生応力が大きくなり、ウェルド部において破断等を来すなど樹脂製部材に対するダメージが生じ易くなる。一方、透孔の長径とカラーの外径との差が0.4mmより大きい場合、短軸側での締め代領域が狭くなり、締め代によるカラーの保持力が弱まる傾向となる。
本発明によれば、透孔における略楕円形状の短径が前記カラーの外径より小さいので、この部分の締め代が確保され、搬送時等におけるカラーの脱落が防止される。また、透孔における略楕円形状の長径が前記カラーの外径より大きいので、長軸側ではカラーと透孔との間に隙間が生じ、長軸側でのカラーから直接受ける応力の発生がなくなり、短軸側では透孔を広げる方向の圧縮応力は発生するが、引張応力は発生しなくなる。したがって、前記挿抜力の変化の抑制や、樹脂製部材へのダメージの抑制がより効果的に発揮される。加えて、カラーと透孔との間に隙間が形成されることにより、カラーの透孔に対する嵌合時又はボルトの締結時に透孔の形状がより変形し易くなり、透孔周辺に発生する応力をより緩和させることができるので、樹脂製部材に対するダメージを抑えることができる。
因みに、透孔の短径とカラーの外径との差が0.4mmより大きい場合は、透孔とカラーとの嵌合時における発生応力が大きくなり、ウェルド部において破断等を来すなど樹脂製部材に対するダメージが生じ易くなる。一方、透孔の長径とカラーの外径との差が0.4mmより大きい場合、短軸側での締め代領域が狭くなり、締め代によるカラーの保持力が弱まる傾向となる。
本発明の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造によれば、簡単な構造でありながら、樹脂製部材に形成されたボルト挿通用の透孔にカラーを嵌合させる場合に、カラーの挿抜力が変化し難く、また、樹脂製部材に破断等のダメージを生じ難くすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車用エンジン(不図示)のシリンダヘッド2(他部材、図2参照)に取付けられる冷却水循環用のウォーターアウトレット(樹脂製部材)1を示している。ウォーターアウトレット1は、合成樹脂の成型体からなり、配管接続用の短管11とその一端に一体に形成されたフランジ部12とを有している。図例のフランジ部12は平面形状が略菱形状で、対角方向の2箇所にボルト挿通用の透孔13,13が形成されている。短管11は、菱形状のフランジ部12の中心位置に形成されている。そして、当該ウォーターアウトレット1は、図2に示すようにシリンダヘッド2の冷却水排出口(不図示)にボルト3を用いて締結される。即ち、ウォーターアウトレット1は、前記冷却水排出口に位置付けられ、透孔13に金属製カラー4を嵌合し、ボルト3をカラー4に挿通してその雄ネジ部3aをシリンダヘッド2に形成された雌ネジ部2aに螺合することによって、シリンダヘッド2に締結される。この時、ボルト3の頭部3bと、カラー4及びフランジ部12の上面との間には、金属製のワッシャ5が介在される場合もある。カラー4の軸方向長さとフランジ部12の厚みとは略同じとされ、これによって、ボルト3の過度の締結が阻止され、フランジ部12の破断等が防止される。前記短管11には、ラジエータ(不図示)に通じる冷却水の循環用配管(不図示)が接続される。
前記のようなウォーターアウトレット1を樹脂によって射出成型する際、溶融した樹脂は金型内で透孔13に対応する部分に至ると左右に分流して透孔対応部分の回りを流動し、その反対側で合流するように挙動する。樹脂が硬化した後は、この合流部が強度的に弱いウェルド部14として残る。図3(a)(b)(c)は、本発明に係る樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造の一例としてのウォーターアウトレット1の透孔13とカラー4との嵌合構造を模式的に示す説明図である。図3において、aは射出成型時における金型内での溶融樹脂の流れ方向を示している。
図3(a)(b)(c)は、いずれも、透孔13が平面視して楕円形で、楕円形の長軸13aの長さ(長径)がカラー4の外径4a(図2参照)より大きく設定され、短軸13bの長さ(短径)がカラー4の外径4aより小さく設定された例を示している。そして、(a)では短軸13bがウェルド部14に向くように形成されている場合を、(b)では長軸13aがウェルド部14に向くように形成されている場合を、(c)では短軸13b及び長軸13aのいずれもがウェルド部14に向いていないよう形成されている場合を、それぞれ示している。したがって、(a)(b)(c)とも透孔13とカラー4との関係において、透孔13の長軸13a側では締め代が小さいか生じず、短軸13b側では締め代が生じ、透孔13の円周方向で締め代が不均一な状態とされている。ここでの締め代は、長軸13a側ではカラー4の半径(外径4aの1/2)と透孔13の長径の1/2の差であり、短軸13b側ではカラー4の半径と透孔13の短径の1/2の差である。
また、図4(a)(b)(c)(d)は、同嵌合構造において、短軸長さ(短径)及び長軸長さ(長径)を変化させた透孔13を有するウォーターアウトレット(樹脂製部材)1を準備し、それぞれの透孔13にカラー4を嵌合させた場合の短軸13b側及び長軸13a側の樹脂部分での発生応力を測定した結果を示す棒グラフである。この場合の発生応力は、ミーゼス応力であって、引張応力、圧縮応力及びせん断応力が総合された応力である。これらの発生応力の測定では、いずれもカラー4は真円でその外径4aを10.1mmとしている。図4(a)の棒グラフは、透孔13の短径(短軸13bの長さ)を9.7mmに固定し、長径(長軸13aの長さ)を9.7mmから10.7mmに0.1mmずつ変化させた場合の長軸13a側及び短軸13b側での発生応力を測定した結果を示している。長径が9.7mmの場合、透孔13は真円であり、カラー4と透孔13とは、締め代が0.2mmで円周方向に略均一な嵌合状態とされる。この嵌合状態では、長軸13a側及び短軸13b側での発生応力は略同じで最大値を示している。そして、長径が大きくなるに伴い、長径側の締め代が小さくなり、カラー4と透孔13との嵌合状態における締め代が円周方向に不均一になってゆく。また、長径が大きくなるに伴い、長軸13a側及び短軸13b側での発生応力が小さくなり、特に、短軸13b側での発生応力の低下度合が長軸13a側での発生応力の低下度合より大きくなり、長径が10.3mmで短軸13b側の発生応力が最低となる。さらに、長径が大きくなると、長軸13a側でのカラー4と透孔13の内壁との間に生じる対向する隙間がそれぞれ拡大し、その隙間が大きくなるにつれて、短軸13b側での発生応力が大きくなり、長径が10.6mmを超えると(長軸13a側でのカラー4と透孔13との間に生じる一方の隙間が0.25mmを超え、透孔13の長径とカラー4の外径の差が0.5mmを超えると、)長軸13a側及び短軸13b側での発生応力が略同じで且つ略一定となる。
図4(b)の棒グラフは、透孔13の短径を9.8mmに固定し、長径を9.8mmから10.7mmに0.1mmずつ変化させた場合の長軸13a側及び短軸13b側での発生応力を測定した結果を示している。この場合も、カラー4及び透孔13がともに真円(長径が9.8mm)で、締め代が0.15mmで円周方向に略均一な嵌合状態から、長径が大きくなるに伴なって円周方向の締め代が不均一になる。この締め代の不均一化に伴い、長軸13a側及び短軸13b側の発生応力が図4(a)の場合と同じような傾向で変化する。しかし、発生応力値は全体的に図4(a)の場合より小さくなる。また、図4(c)の棒グラフは、透孔13の短径を9.9mmに固定し、長径を9.9mmから10.7mmに0.1mmずつ変化させた場合の長軸13a側及び短軸13b側での発生応力を測定した結果を示している。この場合も、カラー4及び透孔13がともに真円(長径が9.9mm)で、円周方向の締め代が0.10mmで略均一な嵌合状態から、長径が大きくなるに伴なって円周方向の締め代が不均一になる。この締め代の不均一化に伴い、長軸13a側及び短軸13b側の発生応力が図4(a)(b)の場合と同じような傾向で変化する。しかし、発生応力値は全体的に図4(b)の場合よりさらに小さくなる。さらに、図4(d)の棒グラフは、透孔13の短径を10.0mmに固定し、長径を10.0mmから10.7mmに0.1mmずつ変化させた場合の長軸13a側及び短軸13b側での発生応力を測定した結果を示している。この場合も、カラー4及び透孔13がともに真円(長径が10.0mm)で、円周方向の締め代が0.05mmで略均一な嵌合状態から、長径が大きくなるに伴なって円周方向の締め代が不均一になる。この締め代の不均一化に伴い、長軸13a側及び短軸13b側の発生応力が図4(a)(b)(c)の場合と同じような傾向で変化する。しかし、発生応力値は全体的に図4(c)の場合よりさらに小さくなる。
図4に示す検証結果による発生応力の変化の傾向は、以下の理由に基づくものと考えられる。即ち、カラー4を透孔13に隙間のない状態で嵌合させた際に、透孔13の長軸13a側の樹脂部分では、主にカラー4の短軸13b側への嵌合部分に引張られて応力が発生し、短軸13b側の樹脂部分では、主にカラー4の長軸13a側への嵌合部分に引張られて応力が発生している。透孔13の長径が大きくなると、長軸13a側の透孔13を押し広げる力が小さくなるため、短軸13b側の応力が減少する。このように、短軸13b側の主たる応力が減少するため、長軸13a側と比べて短軸13b側の発生応力が小さくなる。長径が大きくなり、長軸13a側の透孔13とカラー4との間に隙間が生じ出すと、長軸13a側から発生する応力が無くなるため、短軸13b側には引張応力が発生せず短軸13b側の透孔13を押し広げる方向の圧縮応力のみが発生する。一方、長軸13a側では、短軸13b側の引張りによる応力が発生するが、長径が大きくなると透孔13の短軸13b側の曲率が小さくなるため、短軸13b側での締め代が発生する領域が狭くなり、結果的に長軸13a側の発生応力が減少する。
以上の検証結果及びその考察より、カラー4の透孔13に対する発生応力は、長軸13a側より短軸13b側が低いと考えられるため、図3(a)(b)(c)に示す例において、ウェルド部14にかかる応力の大小関係は、透孔13及びカラー4がともに真円の場合>(b)の例>(c)の例>(a)の例、となることが理解される。したがって、カラー4の圧入嵌合時やボルト3による締結時に、ウェルド部14で破断等をできるだけ起こさないようにするには、(a)の例が最も好ましいと言うことができる。そして、図3(a)(b)(c)のいずれもがカラー4の外周面と透孔13の内壁との接触面積を、真円同士の嵌合に比べて低減させることができるから、カラー4と透孔13との締め代変化に対するカラー4の挿抜力変化を抑制することができる。なお、透孔13の短軸13b及び長軸13aの向きは図3(a)(b)(c)の例に限られず、その他の向きであっても、同様にウェルド部14の破断を抑制することができ、またカラー4の挿抜力の変化を抑制することができる。
また、図4(a)(b)(c)の結果から、透孔13の長径がカラー4の外径4aより大きく、且つ、短径がカラー4の外径4aより小さく設定されており、その透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.4mm(短軸13b側の一方の締め代0.2mm)以下に、透孔13の長径とカラー4の外径4aとの差が0.4mm(長軸13a側の一方の隙間が0.2mm)以下に、それぞれ設定されていることが望ましいと言える。この場合、透孔13における楕円形状の短径がカラー4の外径4aより小さいので、この部分の締め代が確保され、搬送時等におけるカラー4の脱落が防止される。また、透孔13における楕円形状の長径がカラー4の外径4aより大きいので、長軸13a側ではカラー4と透孔13との間に隙間が生じ、長軸13a側でのカラー4から直接受ける応力の発生がなくなり、短軸13b側では透孔13を広げる方向の圧縮応力は発生するが、引張応力は発生しなくなる。したがって、カラー4の挿抜力の変化の抑制や、ウォーターアウトレット1へのダメージの抑制がより効果的に発揮される。加えて、カラー4と透孔13との間に隙間が形成されることにより、カラー4の透孔13に対する嵌合時又はボルトの締結時に透孔13の形状がより変形し易くなり、透孔13周辺に発生する応力をより緩和させることができるので、ウォーターアウトレット1に対するダメージを抑えることができる。
因みに、透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.4mmより大きい場合は、透孔13とカラー4との嵌合時における発生応力が大きくなり、ウェルド部14において破断等を来すなどウォーターアウトレット1に対するダメージが生じ易くなる。一方、透孔13の長径とカラー4の外径4aとの差が0.4mmより大きい場合、短軸13b側での締め代領域が狭くなり、発生応力が小さくなり、締め代によるカラー4の保持力が弱まる傾向となる。また、短軸13b側の締め代が小さくなると、カラー4が搬送時等において脱落し易くなる。そのため、図4(d)に示す例を限度として、短軸13b側の締め代が0.05mm(透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.1mm)以上であることが望ましい。仮に透孔13の短径とカラー4の外径4aの差が0.1mmより小さいと、短軸13b側の締め代領域が狭まることによるカラーの保持力が弱まる傾向となる。
また、図4(a)(b)(c)の結果から、透孔13の長径がカラー4の外径4aより大きく、且つ、短径がカラー4の外径4aより小さく設定されており、その透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.4mm(短軸13b側の一方の締め代0.2mm)以下に、透孔13の長径とカラー4の外径4aとの差が0.4mm(長軸13a側の一方の隙間が0.2mm)以下に、それぞれ設定されていることが望ましいと言える。この場合、透孔13における楕円形状の短径がカラー4の外径4aより小さいので、この部分の締め代が確保され、搬送時等におけるカラー4の脱落が防止される。また、透孔13における楕円形状の長径がカラー4の外径4aより大きいので、長軸13a側ではカラー4と透孔13との間に隙間が生じ、長軸13a側でのカラー4から直接受ける応力の発生がなくなり、短軸13b側では透孔13を広げる方向の圧縮応力は発生するが、引張応力は発生しなくなる。したがって、カラー4の挿抜力の変化の抑制や、ウォーターアウトレット1へのダメージの抑制がより効果的に発揮される。加えて、カラー4と透孔13との間に隙間が形成されることにより、カラー4の透孔13に対する嵌合時又はボルトの締結時に透孔13の形状がより変形し易くなり、透孔13周辺に発生する応力をより緩和させることができるので、ウォーターアウトレット1に対するダメージを抑えることができる。
因みに、透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.4mmより大きい場合は、透孔13とカラー4との嵌合時における発生応力が大きくなり、ウェルド部14において破断等を来すなどウォーターアウトレット1に対するダメージが生じ易くなる。一方、透孔13の長径とカラー4の外径4aとの差が0.4mmより大きい場合、短軸13b側での締め代領域が狭くなり、発生応力が小さくなり、締め代によるカラー4の保持力が弱まる傾向となる。また、短軸13b側の締め代が小さくなると、カラー4が搬送時等において脱落し易くなる。そのため、図4(d)に示す例を限度として、短軸13b側の締め代が0.05mm(透孔13の短径とカラー4の外径4aとの差が0.1mm)以上であることが望ましい。仮に透孔13の短径とカラー4の外径4aの差が0.1mmより小さいと、短軸13b側の締め代領域が狭まることによるカラーの保持力が弱まる傾向となる。
なお、前記実施形態では、真円形のカラーが楕円形の透孔に嵌合されている例で説明したが、カラーの形状は真円形に限られるものではなく、例えば切り欠きのある形状や楕円形状等の異形のカラーを用いても本発明と同様の効果が得られる。また、透孔13の形状は厳密な楕円形に限らず、樹脂の成型の過程に発生した多少のうねりが生じた楕円形状も含む略楕円形状であればよい。さらに、樹脂製部材として、ウォーターアウトレットを例に採ったが、カラーを挿入して他部材に締結される全ての樹脂製部材が対象とされる。例えば、樹脂製部材として、自動車用エンジンのウォーターインレット、サーモスタットカバー、ウォータパイプ、エアインテークマニホールド等が挙げられる。また、図例のウォーターアウトレット1は概略的に示したもので、実際の形状とは異なり、特に短管11及びフランジ部12の形状は、接続配管や締結相手の形状等に応じた形状とされることは言うまでもない。さらに、透孔13の数や位置等も図例には限定されない。加えて、ウォーターアウトレット1が締結される他部材がシリンダヘッド2である例について述べたが、シリンダブロックであっても良い。
1 ウォーターアウトレット(樹脂製部材)
13 透孔
13a 長軸
13b 短軸
14 ウェルド部(樹脂の合流部)
2 シリンダヘッド(他部材)
3 ボルト
4 カラー
4a カラーの外径
13 透孔
13a 長軸
13b 短軸
14 ウェルド部(樹脂の合流部)
2 シリンダヘッド(他部材)
3 ボルト
4 カラー
4a カラーの外径
Claims (6)
- 樹脂製部材をボルトを用いて他部材に締結させる際に、前記樹脂製部材に形成されたボルト挿通用の透孔にカラーを嵌合させる場合の透孔とカラーとの嵌合構造であって、
前記透孔の平面形状が略楕円形状とされ、前記カラーは前記透孔に対して締め代が円周方向に不均一な状態で嵌合されることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。 - 請求項1に記載の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造において、
前記透孔は、前記樹脂製部材の成型時における樹脂の合流部の近傍に形成されていることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。 - 請求項2に記載の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造において、
前記透孔は、その略楕円形状の短軸が、前記合流部に向くように形成されていることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。 - 請求項2に記載の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造において、
前記透孔は、その略楕円形状の長軸が、前記合流部に向くように形成されていることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造において、
前記透孔における略楕円形状の長径が前記カラーの外径より大きく、且つ、短径が前記カラーの外径より小さく設定されていることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。 - 請求項5に記載の樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造において、
前記透孔の短径とカラーの外径との差が0.4mm以下に、前記透孔の長径とカラーの外径との差が0.4mm以下に、それぞれ設定されていることを特徴とする樹脂製部材の透孔とカラーとの嵌合構造。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107269641A (zh) * | 2017-07-28 | 2017-10-20 | 广东美的制冷设备有限公司 | 钣金连接结构和家用电器 |
CN111767647A (zh) * | 2020-06-19 | 2020-10-13 | 中国石油大学(华东) | 一种定量求取页岩中构造裂缝规模的方法 |
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JPS6032409Y2 (ja) * | 1980-10-24 | 1985-09-27 | 株式会社土屋製作所 | 合成樹脂製カバ−の取付け装置 |
JP2008304023A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Yazaki Corp | 合成樹脂部品の取付構造 |
-
2015
- 2015-06-02 JP JP2015112023A patent/JP2016223571A/ja active Pending
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