JP2016223348A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料噴射弁を開弁させるためにコイルに昇圧電圧を印加し、コイルを流れる電流の検出値がピーク電流指令値Ipeak*となることで、昇圧電圧の印加を停止する。検出される電流Iが、燃料噴射弁を開弁させる開弁電流値Ioとなるまでに要する時間である開弁電流値到達時間Toと、ピーク電流指令値Ipeak*となるまでに要する時間であるピーク電流値到達時間Tpとを検出する。そして、それらの比である「Tp/To」が基準値以下である場合、ピーク電流指令値Ipeak*を増加補正する。
【選択図】図8
Description
1.内燃機関の制御装置は、コイルに通電することで開弁する燃料噴射弁を備えた内燃機関を制御対象とし、前記コイルに流れる電流を取得する取得処理部と、前記コイルに電源の電圧を印加する印加処理部と、前記印加処理部によって前記コイルに電源の電圧が印加されているときに前記取得処理部によって取得される電流が指令値に達することで、前記電源の電圧の印加を停止する停止処理部と、前記コイルに前記電源の電圧が印加されてから前記取得処理部によって取得される電流が前記指令値に達するまでに要する時間であるピーク電流到達時間を検出するピーク電流到達時間検出処理部と、前記検出されるピーク電流到達時間が基準時間よりも短い場合には前記ピーク電流指令値を増加補正し、前記基準時間よりも長い場合には前記ピーク電流指令値を減少補正する補正処理部と、を備える。
2.上記1記載の内燃機関の制御装置は、前記補正処理部は、前記取得処理部によって取得される電流が、前記燃料噴射弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わるときの前記コイルに流れる電流である開弁電流値となるまでに要する時間である開弁電流到達時間を検出する開弁電流到達時間検出処理部と、前記開弁電流到達時間と前記ピーク電流到達時間との比である到達時間比を算出する到達時間比算出処理部と、前記到達時間比算出処理部によって算出された到達時間比と基準値との大小比較によって、前記検出されるピーク電流到達時間と基準時間との大小比較を行う比較処理部とを備える。
4.上記2または3記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射弁は、前記コイルに印加される電圧が同一であっても前記燃料噴射弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わることによって前記コイルに流れる電流の増加加速度が正となる。
5.上記1記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射弁の噴射圧を可変制御する燃圧制御処理部と、前記噴射圧に基づき前記ピーク電流指令値を設定する指令値設定処理部と、前記噴射圧または前記ピーク電流指令値に基づき、前記基準時間を設定する基準時間設定処理部と、を備え、前記補正処理部は、前記検出されるピーク電流到達時間と前記設定される基準時間との大小比較に基づき、前記ピーク電流指令値を補正する。
以下、内燃機関の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図3に示すように、ECU60は、昇圧回路62を備え、昇圧回路62は、ECU60の外部のバッテリ48に接続されている。詳しくは、バッテリ48は、昇圧回路62において、昇圧コイル62aの一方の端子に接続されており、昇圧コイル62aの他方の端子は、チョッパ制御用スイッチング素子62bを介して接地されている。また、チョッパ制御用スイッチング素子62bには、ダイオード62cおよびコンデンサ62dが並列接続されている。コンデンサ62dの充電電圧Vcが、昇圧回路62の出力端子の電圧(出力電圧)である。昇圧回路62の出力端子は、出力用スイッチング素子64a,64bを介してコイル28aに接続されている。なお、本実施形態では、内燃機関10として4気筒のものを想定しているため、コイル28aを4個記載している。そして、4個のコイル28aのうちの2個のコイル28aが出力用スイッチング素子64aに接続されており、残りの2個のコイル28aが出力用スイッチング素子64bに接続されている。ここで、出力用スイッチング素子64aに接続される一対のコイル28aは、互いの噴射タイミング間の間隔が最も離れた一対の気筒の燃料噴射弁28に設けられるものである。
図5(a)に、噴射信号の推移を示し、図5(b)に、出力用スイッチング素子64aの操作状態の推移を示し、図5(c)に、保持制御用スイッチング素子66aの操作状態の推移を示す。また、図5(d)に、コイル28aを流れる電流Iの推移を示し、図5(e)に、コンデンサ62dの充電電圧Vcの推移を示し、図5(f)に、コイル28aに印加される電圧の推移を示し、図5(g)に、ノズルニードル28cのリフト量の推移を示す。なお、ここで、噴射信号とは、燃料噴射弁28による燃料の噴射開始時期や終了時期に応じて定まるコイル28aの通電期間を指示する信号であり、制御部90内において生成され利用される。なお、図5(d)に示すコイル28aを流れる電流Iは、気筒選択スイッチ72(1)に接続されたコイル28aに流れる電流Iとする。
内燃機関10の始動時において、所定の条件を満足する場合、ピーク電流到達時間Tpが検出され、これに基づき、ピーク電流指令値Ipeak*の補正量が算出される。そして、補正量の算出がなされた後には、図4に示したステップS12の処理において、ピーク電流指令値Ipeak*の算出に際して、補正量が用いられる。すなわち、制御部90は、燃圧PFに基づきピーク電流指令値Ipeak*のベース値Ibを算出した後、補正量に応じてベース値Ibを補正し、これをピーク電流指令値Ipeak*とする。ここで、補正量は、気筒選択スイッチ72(1),72(2)に接続されたコイル28aに通電する際と、気筒選択スイッチ72(3),72(4)に接続されたコイル28aに通電する際とで相違するものが用いられる。このため、ピーク電流指令値Ipeak*は、燃圧PFに基づき算出されるベース値Ibが同一であったとしても、気筒選択スイッチ72(1),72(2)に接続されたコイル28aに通電する際と、気筒選択スイッチ72(3),72(4)に接続されたコイル28aに通電する際とで相違しうる。
(1)制御部90により、ピーク電流到達時間Tpが基準時間Tpr以下であるか否かに応じて、ピーク電流指令値Ipeak*の増加補正量または減少補正量を算出した。これにより、ピーク電流指令値Ipeak*を、検出誤差を有した電流Iに基づきコイル28aに実際に流れる電流を補正前のピーク電流指令値Ipeak*(ベース値Ib)に制御する上で適切な値とすることができる。
以下、内燃機関の制御装置の第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
Rr=(Tp+ΔTp)/(To+ΔTo)
そして、量ΔTpが小さいとすると、基準値Rrは、「Tp/(To+ΔTo)」と近似できる。そして、この値は、到達時間比Rよりも小さい。
制御部90は、開弁電流到達時間Toおよびピーク電流到達時間Tpを検出して、到達時間比Rを算出する。そして、制御部90は、到達時間比Rと基準値Rrとの差に基づき、ピーク電流指令値Ipeak*の補正量を算出する。そして、制御部90は、補正量を算出した後には、図4に示したステップS12の処理において、ピーク電流指令値Ipeak*の算出に際して、補正量を用いる。すなわち、制御部90は、燃圧PFに基づきピーク電流指令値Ipeak*のベース値Ibを算出した後、補正量に応じてベース値Ibを補正し、これをピーク電流指令値Ipeak*とする。ここで、補正量は、気筒選択スイッチ72(1),72(2)に接続されたコイル28aに通電する際と、気筒選択スイッチ72(3),72(4)に接続されたコイル28aに通電する際とで相違するものが用いられる。
(4)到達時間比Rと基準値Rrとの大小比較によって、実際の電流がピーク電流指令値Ipeak*に到達する基準時間と、ピーク電流到達時間Tpとの大小比較を行った。ここで、到達時間比Rと基準値Rrとの大小関係と、電流Iと実際の電流との大小関係とは、コイル28aの温度によらない。したがって、本実施形態によれば、コイル28aを流れる電流の変化速度がコイル28aの温度によって変動したとしても、実際の電流がピーク電流指令値Ipeak*に到達する基準時間と、ピーク電流到達時間Tpとの大小比較を高精度に行うことができる。
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。以下において、「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項と上記実施形態における事項との対応関係を符号等によって例示した部分があるが、これには、例示した対応関係に上記事項を限定する意図はない。なお、「課題を解決するための手段」の欄の電源や高電圧電源は、昇圧回路62に対応し、低電圧電源は、バッテリ48に対応する。また、取得処理部は、ステップS16の処理に対応し、印加処理部は、ステップS14の処理に対応し、停止処理部は、ステップS20の処理に対応し、ピーク電流到達時間検出処理部は、ステップS40,S42,S64,S72の処理に対応する。また、開弁電流到達時間検出処理部は、ステップS64〜S68の処理に対応し、指令値設定処理部は、ステップS12の処理に対応する。
到達時間比Rは、開弁電流到達時間Toでピーク電流到達時間Tpを除算した値に限らず、ピーク電流到達時間Tpで開弁電流到達時間Toを除算した値(To/Tp)であってもよい。
図7においては、到達時間比Rが基準値Rr以上である場合、ピーク電流指令値Ipeak*を増加補正したが、これに限らない。たとえば、「到達時間比算出処理部について」の欄に記載したように、到達時間比Rを「To/Tp」とする場合、到達時間比Rが基準値Rr以上である場合、ピーク電流指令値Ipeak*を減少補正すればよい。
ピーク電流指令値Ipeak*に基づき基準時間Tprを算出するものに限らない。たとえば、ピーク電流指令値Ipeak*が燃圧PFに基づき算出されることに鑑み、燃圧PFに基づき基準時間Tprを算出してもよい。
燃圧PFに基づき基準値Rrを算出するものに限らない。たとえば、ピーク電流指令値Ipeak*が燃圧PFに基づき算出されることに鑑み、ピーク電流指令値Ipeak*に基づき、基準値Rrを算出してもよい。
燃圧PFに基づき開弁電流値Ioを算出する開弁電流値算出処理部(S60)は、必須ではない。たとえば、高圧燃料配管46内の圧力を可変制御しない構成または、可変制御したとしてもその圧力の変動範囲が開弁電流値Ioをほとんど変化させない構成であるなら、開弁電流値Ioを燃圧PF等に基づき算出することなく、デフォルト値としてもよい。
上記第1の実施形態(図6)では、基準時間Tprとピーク電流到達時間Tpとの差に基づき、ピーク電流指令値Ipeak*の増加補正量や減少補正量を可変設定したが、これに限らない。たとえば、絶対値が所定量となる補正量にてピーク電流指令値Ipeak*の増加補正または減少補正を実行してもよい。この場合であっても、所定量を比較的小さい値に設定しておき、図6に示す処理を始動時において複数回繰り返すことで、ピーク電流指令値Ipeak*を、上記実施形態に準じた値に補正することができる。換言すれば、都度算出される補正量の積算量を上記実施形態の補正量相当とすることができることから、積算量によってベース値Ibを補正してもよい。
上記実施形態では、シャント抵抗74a,74bのうち同一のものによってコイル28aを流れる電流の検出がなされる気筒毎に補正量を算出したがこれに限らない。たとえば、シャント抵抗74a,74bについては公差を厳しく制限する一方、バッファ回路78aについては、その検出誤差(電圧の変換誤差)が顕著である場合であって、単一のバッファ回路78aを全気筒で共有する場合には、単一の補正量で全気筒のピーク電流指令値Ipeak*を補正してもよい。
上記第1の実施形態において、ステップS34の処理を削除し、代わりに、コイル28aに昇圧回路62の出力電圧を印加したときのコイル28aを流れる電流の変化速度に応じてコイル28aの温度を推定し、推定される温度や燃圧PFに基づき、基準時間Tprを算出してもよい。これは、コイル28aを流れる電流の変化速度とコイル28aの温度との関係を定めるマップを予め制御部90に記憶しておくことで実現することができる。
上記実施形態では、コイル28aへの通電処理が終了すると、次の通電処理に先だって、コンデンサ62dを毎回充電したが、これに限らない。
図2に示したように、ノズルニードル28cとともに動作してコイル28a側に吸引される部材が、コイル28a内に挿入されないものに限らない。またたとえば、ノズルニードル28cの開弁時にコイル28aを流れる電流を増加させる起電力が生じる構成に限らない。上記起電力が生じない場合、開弁付近の電流Iの増加速度よりも、ピーク電流指令値Ipeak*付近の電流の増加速度の方が小さくなると思われる。その場合、図7のステップS78の処理において肯定判定される場合に、ステップS82の処理を実行し、ステップS78の処理において否定判定される場合に、ステップS80の処理を実行すればよい。
・「コイルの通電装置について」
昇圧回路62による昇圧電圧(コンデンサ62dの充電電圧Vc)をコイル28aに印加した後、バッテリ48の端子電圧をコイル28aに印加するものに限らない。たとえば、昇圧回路62による昇圧電圧をコイル28aに印加してコイル28aに流れる電流をピーク電流指令値Ipeak*にした後には、昇圧回路62の昇圧電圧を断続的に印加してコイル28aに流れる電流Iを保持電流指令値Ik*に制御するものであってもよい。またたとえば、バッテリ48の端子電圧をコイル28aに印加してコイル28aに流れる電流をピーク電流指令値Ipeak*にした後には、端子電圧を断続的に印加してコイル28aに流れる電流Iを保持電流指令値Ik*に制御するものであってもよい。
Claims (6)
- コイルに通電することで開弁する燃料噴射弁を備えた内燃機関を制御対象とし、
前記コイルに流れる電流を取得する取得処理部と、
前記コイルに電源の電圧を印加する印加処理部と、
前記印加処理部によって前記コイルに電源の電圧が印加されているときに前記取得処理部によって取得される電流がピーク電流指令値に達することで、前記電源の電圧の印加を停止する停止処理部と、
前記コイルに前記電源の電圧が印加されてから前記取得処理部によって取得される電流が前記ピーク電流指令値に達するまでに要する時間であるピーク電流到達時間を検出するピーク電流到達時間検出処理部と、
前記検出されるピーク電流到達時間が基準時間よりも短い場合には前記ピーク電流指令値を増加補正し、前記基準時間よりも長い場合には前記ピーク電流指令値を減少補正する補正処理部と、を備える内燃機関の制御装置。 - 前記補正処理部は、
前記取得処理部によって取得される電流が、前記燃料噴射弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わるときの前記コイルに流れる電流である開弁電流値となるまでに要する時間である開弁電流到達時間を検出する開弁電流到達時間検出処理部と、
前記開弁電流到達時間と前記ピーク電流到達時間との比である到達時間比を算出する到達時間比算出処理部と、
前記到達時間比算出処理部によって算出された到達時間比と基準値との大小比較によって、前記検出されるピーク電流到達時間と基準時間との大小比較を行う比較処理部とを備える請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料噴射弁の噴射圧を可変制御する燃圧制御処理部と、
前記噴射圧に基づき、前記燃料噴射弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わるときの前記コイルに流れる電流である開弁電流値を算出する開弁電流値算出処理部と、を備える請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料噴射弁は、前記コイルに印加される電圧が同一であっても前記燃料噴射弁が閉弁状態から開弁状態に切り替わることによって前記コイルに流れる電流の増加加速度が正となる請求項2または3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記燃料噴射弁の噴射圧を可変制御する燃圧制御処理部と、
前記噴射圧に基づき前記ピーク電流指令値を設定する指令値設定処理部と、
前記噴射圧または前記ピーク電流指令値に基づき、前記基準時間を設定する基準時間設定処理部と、を備え、
前記補正処理部は、前記検出されるピーク電流到達時間と前記設定される基準時間との大小比較に基づき、前記ピーク電流指令値を補正する請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記電源は、高電圧電源であり、
前記コイルには、前記高電圧電源の電圧よりも低電圧の低電圧電源の電圧を印加可能とされており、
前記停止処理部によって前記高電圧電源の電圧の印加が停止されて且つ、前記燃料噴射弁による燃料噴射期間において、前記コイルに前記低電圧電源の電圧を断続的に印加することによって、前記コイルに流れる電流を前記ピーク電流指令値よりも小さい所定の保持電流値に制御する保持電流処理部を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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