JP2016222847A5 - - Google Patents

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金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物及び透明導電基板
本発明は、金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物及び透明導電基板に関する。
透明導電膜は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス型ディスプレイ、太陽電池(PV)およびタッチパネル(TP)の透明電極、帯電防止(ESD)フィルムならびに電磁波遮蔽(EMI)フィルム等の種々の分野で使用されている。これらの透明導電膜としては、従来、ITO(酸化インジウム錫)を用いたものが使われてきたが、インジウムの供給安定性が低い、製造コストが高い、柔軟性に欠ける、および成膜時に高温が必要であるという問題があった。そのため、ITOに代わる透明導電膜の探索が活発に進められている。それらの中でも、金属ナノワイヤを含有する透明導電膜は、導電性、光学特性、および柔軟性に優れること、ウェットプロセスで成膜が可能であること、製造コストが低いこと、成膜時に高温を必要としないことなどから、ITO代替透明導電膜として好適である。例えば、銀ナノワイヤを含み、高い導電性、光学特性、柔軟性を有する透明導電膜が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、銀ナノワイヤを含有する透明導電膜は、銀質量当たりの表面積が大きく、種々の化合物と反応し易いために環境耐性に欠けるという問題があり、工程中に使用される種々の薬剤や洗浄液の影響や、長期保管によってさらされる空気中の酸素や水分の影響等により、ナノ構造体が腐食し、導電性が低下しやすい。また、特に電子材料などの用途では、基板の表面への微粒子状の不純物やちりやホコリなどの付着や混入を防ぐために、ブラシ等を用いた物理的洗浄工程が用いられる場合が多いが、この工程によっても表面が傷つけられることが問題になる。
これを解決するため、銀ナノワイヤを含む透明導電膜の表面に保護膜を積層し、該透明導電膜に環境耐性および耐擦傷性を付与する試みが多く行われている。(特許文献2〜3参照)。
特表2010−507199号公報 特開2014−191894号公報 特開2013−200943号公報
しかしながら、これらの保護膜に使用される組成では、粘度が低すぎ、スクリーン印刷によるパターニングが出来ないという問題があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属ナノワイヤの保護膜として、高い透明性を維持し、耐環境性に優れ、スクリーン印刷によるパターン印刷が可能な保護膜用樹脂組成物及び透明導電基板を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物であって、カルボキシル基を含有するポリウレタンと、エポキシ化合物と、硬化促進剤と、溶媒と、を含むことを特徴とする。
上記カルボキシル基を含有するポリウレタンの数平均分子量が、1,000〜100,000であるのが好適である。
また、上記エポキシ化合物に対するカルボキシル基を含有するポリウレタンの配合割合は、エポキシ化合物のエポキシ基に対するポリウレタン中のカルボキシル基の当量比で0.5〜1.5であるのが好適である。
また、上記エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物または二官能脂環式エポキシ化合物であるのが好適である
記溶媒の沸点は、180℃から300℃であるのが好適である。
また、25℃、シェアレート1[1/s]で測定した粘度は2500mPa・s〜300000mPa・sであるのが好適である。
本発明の他の実施形態は、透明基材上に金属ナノワイヤを含む導電パターンを有し、該導電パターンが上記保護膜用樹脂組成物を硬化してなる保護膜で被覆されている透明導電基板である。
本発明によれば、金属ナノワイヤの保護膜として高い透明性を有し、耐環境に優れた保護膜用樹脂組成物を実現できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを、(メタ)アクリロイルはアクリロイルまたはメタクリロイルを、各々意味する。
実施形態に係る金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物(以後、保護膜インクということがある。)は、カルボキシル基を含有するポリウレタンと、エポキシ化合物と、硬化促進剤と、溶媒と、を含んで構成されている。
上記カルボキシル基を含有するポリウレタンは、その数平均分子量が、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜70,000であることがより好ましく、3,000〜50,000であると更に好ましい。ここで、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと表記)で測定したポリスチレン換算の値である。分子量が1,000未満では、印刷後の塗膜の伸度、可撓性、並びに強度を損なうことがあり、100,000を超えると溶媒へのポリウレタンの溶解性が低くなる上に、溶解しても粘度が高くなりすぎるために、使用面で制約が大きくなることがある。
本明細書においては、特に断りのない限り、GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置名:日本分光株式会社製HPLCユニット HSS−2000
カラム:ShodexカラムLF−804
移動相:テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/min
検出器:日本分光株式会社製 RI−2031Plus
温度 :40.0℃
試料量:サンプルル−プ 100μリットル
試料濃度:約0.1質量%に調製
カルボキシル基を含有するポリウレタンの酸価は10〜140mg−KOH/gであることが好ましく、15〜130mg−KOH/gであると更に好ましい。酸価が10mg−KOH/g未満では、硬化性が低くなる上に耐溶剤性も悪くなる。140mg−KOH/gを超えるとウレタン樹脂としての溶媒への溶解性が低く、また溶解したとしても粘度が高くなりすぎ、ハンドリングが難しい。また、硬化物も硬くなりすぎるために基材フィルムによっては反り等の問題を起こしやすくなる。
また、本明細書において、樹脂の酸価は以下の方法により測定した値である。
100ml三角フラスコに試料約0.2gを精密天秤にて精秤し、これにエタノール/トルエン=1/2(質量比)の混合溶媒10mlを加えて溶解する。更に、この容器に指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液を1〜3滴添加し、試料が均一になるまで十分に攪拌する。これを、0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを、中和の終点とする。その結果から下記の計算式を用いて得た値を、樹脂の酸価とする。
酸価(mg−KOH/g)=〔B×f×5.611〕/S
B:0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液の使用量(ml)
f:0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液のファクター
S:試料の採取量(g)
カルボキシル基を含有するポリウレタンは、より具体的には、(a1)ポリイソシアネート化合物、(a2)ポリオール化合物、および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物をモノマーとして用いて合成されるポリウレタンである。以下、各モノマーについてより詳細に説明する。
(a1)ポリイソシアネート化合物
(a1)ポリイソシアネート化合物としては、通常、1分子当たりのイソシアナト基が2個であるジイソシアネートが用いられる。ポリイソシアネート化合物としては、たとえば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。カルボキシル基を含有するポリウレタン骨格(A)がゲル化をしない範囲で、トリフェニルメタントリイソシアネートのような、イソシアナト基を3個以上有するポリイソシアネートも少量使用することができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエ−テルジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、3−イソシアトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI、イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアトシクロヘキシル)メタン(水添MDI)、水素化(1,3−または1,4−)キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、(1,2,1,3,または1,4)−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシア−3,3’−ジメチルビフェニル、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、(a1)ポリイソシアネート化合物として、イソシアナト基(−NCO基)中の炭素原子以外の炭素原子の数が6〜30である脂環式化合物を用いることにより、実施の形態に係るポリウレタン樹脂から形成される保護膜は、特に高温高湿時の信頼性に高く、電子機器部品の部材に向いている。
耐候性の観点では(a1)ポリイソシアネート化合物としては芳香環を有さない化合物を用いる方が好ましい。芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートは、(a1)ポリイソシアネート化合物の中に、(a1)ポリイソシアネート化合物の総量(100mol%)に対して、50mol%以下、好ましくは30mol%以下、さらに好ましくは10mol%以下含まれることが望ましい。
上記脂環式化合物としては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
(a2)ポリオール化合物
(a2)ポリオール化合物(ただし、(a2)ポリオール化合物には、後述するカルボキシル基を有する(a3)ジヒドロキシ化合物は含まれない。)の数平均分子量は通常250〜50,000であり、好ましくは400〜10,000、より好ましくは500〜5,000である。この分子量は前述した条件でGPCにより測定したポリスチレン換算の値である。
(a2)ポリオール化合物は、たとえば、ポリカーボネートポリオール、ポリエ−テルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、両末端水酸基化ポリシリコーン、および植物系油脂を原料とするC18(炭素原子数18)不飽和脂肪酸およびその重合物由来の多価カルボン酸を水素添加しカルボン酸を水酸基に変換した炭素原子数が18〜72であるポリオール化合物である。これらの中でも保護膜としての耐水性、絶縁信頼性、基材との密着性のバランスを考慮するとポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールは、炭素原子数3〜18のジオールを原料として、炭酸エステルまたはホスゲンと反応させることにより得ることができ、たとえば、以下の構造式(1)で表される。
Figure 2016222847
式(1)において、Rは対応するジオール(HO−R−OH)から水酸基を除いた残基であり、nは正の整数、好ましくは2〜50である。
式(1)で表されるポリカーボネートポリオールは、具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカメチレングリコールまたは1,2−テトラデカンジオールなどを原料として用いることにより製造できる。
上記ポリカーボネートポリオールは、その骨格中に複数種のアルキレン基を有するポリカーボネートポリオール(共重合ポリカーボネートポリオール)であってもよい。共重合ポリカーボネートポリオールの使用は、カルボキシル基を含有するポリウレタンの結晶化防止の観点から有利な場合が多い。また、溶媒への溶解性を考慮すると、分岐骨格を有し、分岐鎖の末端に水酸基を有するポリカーボネートポリオールが併用されることが好ましい。
上記ポリエ−テルポリオールは、炭素原子数2〜12のジオールを脱水縮合、または炭素原子数2〜12のオキシラン化合物、オキセタン化合物、もしくはテトラヒドロフラン化合物を開環重合して得られたものであり、たとえば以下の構造式(2)で表される。
Figure 2016222847
式(2)において、Rは対応するジオール(HO−R−OH)から水酸基を除いた残基であり、nは正の整数、好ましくは4〜50である。上記炭素原子数2〜12のジオールは一種を単独で用いて単独重合体とすることもできるし、2種以上を併用することにより共重合体とすることもできる。
上記式(2)で表されるポリエ−テルポリオールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ−1,2−ブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(ポリ1,4−ブタンジオール)、ポリ−3−メチルテトラメチレングリコール、ポリネオペンチルグリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。また、(ポリエ−テルポリオール)の相溶性、(ポリエ−テルポリオール)の疎水性を向上させる目的で、これらの共重合体、たとえば1,4−ブタンジオール−ネオペンチルグリコール等も用いることができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸及びジオールを脱水縮合またはジカルボン酸の低級アルコールのエステル化物とジオールとのエステル交換反応をして得られるものであり、たとえば以下の構造式(3)で表される。
Figure 2016222847
式(3)において、Rは対応するジオール(HO−R−OH)から水酸基を除いた残基であり、Rは対応するジカルボン酸(HOCO−R−COOH)から2つのカルボキシル基を除いた残基であり、nは正の整数、好ましくは2〜50である。
上記ジオール(HO−R−OH)としては、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカメチレングリコールまたは1,2−テトラデカンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、3−キシリレングリコール、1,4−キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
上記ジカルボン酸(HOCO−R−COOH)としては、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ブラシル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
上記ポリラクトンポリオールは、ラクトンの開環重合物とジオールとの縮合反応、またはジオールとヒドロキシアルカン酸との縮合反応により得られるものであり、たとえば以下の構造式(4)で表される。
Figure 2016222847
式(4)において、Rは対応するヒドロキシアルカン酸(HO−R−COOH)から水酸基およびカルボキシル基を除いた残基であり、Rは対応するジオール(HO−R−OH)から水酸基を除いた残基であり、nは正の整数、好ましくは2〜50である。
上記ヒドロキシアルカン酸(HO−R−COOH)としては、具体的には、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシペンタン酸、5−ヒドロキシヘキサン酸(ε−カプロラクトン)等が挙げられる。
上記ポリブタジエンポリオールは、たとえば、ブタジエンやイソプレンをアニオン重合により重合し、末端処理により両末端に水酸基を導入して得られるジオール、及びそれらの二重結合を水素還元して得られるジオールである。
ポリブタジエンポリオールとしては、具体的には、1,4−繰り返し単位を主に有する水酸基化ポリブタジエン(たとえば、Poly bd R−45HT、Poly bd R−15HT(出光興産株式会社製))、水酸基化水素化ポリブタジエン(たとえば、ポリテ−ルH、ポリテ−ルHA(三菱化学株式会社製))、1,2−繰り返し単位を主に有する水酸基化ポリブタジエン(たとえば、G−1000、G−2000,G−3000(日本曹達株式会社製))、水酸基化水素化ポリブタジエン(たとえば、GI−1000、GI−2000、GI−3000(日本曹達株式会社製))、水酸基化ポリイソプレン(たとえば、Poly IP(出光興産株式会社製))、水酸基化水素化ポリイソプレン(たとえば、エポ−ル(出光興産株式会社製))が挙げられる。
上記両末端水酸基化ポリシリコーンは、たとえば以下の構造式(5)で表される。
Figure 2016222847
式(5)において、Rは独立に炭素原子数2〜50の脂肪族炭化水素二価残基または芳香族炭化水素二価残基であり、nは正の整数、好ましくは2〜50である。これらはエ−テル基を含んでいてもよく、複数個あるR10は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
上記両末端水酸基化ポリシリコーンの市販品としては、たとえば信越化学工業株式会社製「X−22−160AS、KF6001、KF6002、KF−6003」などが挙げられる。
上記「植物系油脂を原料とするC18不飽和脂肪酸およびその重合物由来の多価カルボン酸を水素添加しカルボン酸を水酸基に変換した炭素原子数が18〜72であるポリオール化合物」としては、具体的にはダイマー酸を水素化した骨格を有するジオール化合物が挙げられ、その市販品としては、たとえば、コグニス社製「Sovermol(登録商標)908」などが挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、(a2)ポリオール化合物として通常ポリエステルやポリカーボネートを合成する際のジオール成分として用いられる分子量300以下のジオールを用いることもできる。このような低分子量ジオールとしては、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカメチレングリコール、1,2−テトラデカンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,3−キシリレングリコール、1,4−キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはジプロピレングリコールなどが挙げられる。
(a3)カルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物
(a3)カルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物としては、ヒドロキシ基、炭素数が1または2のヒドロキシアルキル基から選択されるいずれかを2つ有する分子量が200以下のカルボン酸またはアミノカルボン酸であることが架橋点を制御できる点で好ましい。具体的には2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ−ルブタン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン等が挙げられ、この中でも、溶媒への溶解度から、2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ−ルブタン酸が特に好ましい。これらの(a3)カルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述のカルボキシル基を含有するポリウレタンは、上記の3成分((a1)、(a2)および(a3))のみから合成が可能であるが、さらに(a4)モノヒドロキシ化合物および/または(a5)モノイソシアネート化合物を反応させて合成することができる。
(a4)モノヒドロキシ化合物
(a4)モノヒドロキシ化合物として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト−ルペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリロキシエタノール等のラジカル重合性二重結合を有する化合物、グリコール酸、ヒドロキシピバリン酸等カルボン酸を有する化合物が挙げられる。
(a4)モノヒドロキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物の中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリコール酸、ヒドロキシピバリン酸が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
この他、(a4)モノヒドロキシ化合物として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等が挙げられる。
(a5)モノイソシアネート化合物
(a5)モノイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、カレンズ(登録商標)MOI、カレンズ(登録商標)AOI、カレンズ(登録商標)BEI(昭和電工製)等が挙げられる。
前述のカルボキシル基を含有するポリウレタンは、ジブチル錫ジラウリレートのような公知のウレタン化触媒の存在下または非存在下で、適切な有機溶媒を用いて、上記した(a1)ポリイソシアネート化合物、(a2)ポリオール化合物、(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物、および必要に応じて(a4)モノヒドロキシ化合物や(a5)モノイソシアネート化合物を反応させることにより合成ができるが、無触媒で反応させた方が、最終的にスズ等の混入を考える必要がなく好適である。
上記有機溶媒は、イソシアネート化合物と反応性が低いものであれば特に限定されないがアミン等の塩基性官能基を含まず、沸点が110℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上である溶媒が好ましい。このような溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、シクロヘキサン、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエ−テル、エチレングリコールジエチルエ−テル、エチレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエ−テルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエ−テルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム及び塩化メチレン等を挙げることができる。
なお、生成するポリウレタンの溶解性が低い有機溶媒は好ましくないこと、および電子材料用途においてポリウレタンをインクの原料にすることを考えると、これらの中でも、特に、プロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエ−テルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエ−テルアセテート、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
原料の仕込み行う順番については特に制約はないが、通常は(a2)ポリオール化合物および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物を先に仕込み、溶媒に溶解させた後、20〜150℃、より好ましくは60〜120℃で、(a1)ポリイソシアネート化合物を滴下しながら加え、その後、30〜160℃、より好ましくは50〜130℃でこれらを反応させる。
原料の仕込みモル比は、目的とするポリウレタンの分子量および酸価に応じて調節するが、ポリウレタンに(a4)モノヒドロキシ化合物を導入する場合には、ポリウレタン分子の末端がイソシアナト基になるように、(a2)ポリオール化合物および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物よりも(a1)ポリイソシアネート化合物を過剰に(水酸基の合計よりもイソシアナト基が過剰になるように)用いる必要がある。ポリウレタンに(a5)モノイソシアネート化合物を導入する場合には、ポリウレタン分子の末端がヒドロキシ基になるように、(a2)ポリオール化合物および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物よりも(a1)ポリイソシアネート化合物を少なく(水酸基の合計よりもイソシアナト基が少なくなるように)用いる必要がある。
具体的には、これらの仕込みモル比は、(a1)ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基:((a2)ポリオール化合物の水酸基+(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物の水酸基)が、0.5〜1.5:1、好ましくは0.8〜1.2:1より好ましくは0.95〜1.05:1である。
また、(a2)ポリオール化合物の水酸基:(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物の水酸基が、1:0.1〜30、好ましくは1:0.3〜10である。
(a4)モノヒドロキシ化合物を用いる場合には、((a2)ポリオール化合物+(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物)のモル数よりも(a1)ポリイソシアネート化合物のモル数を過剰とし、(a4)モノヒドロキシ化合物を、イソシアナト基の過剰モル数に対して、0.5〜1.5倍モル量、好ましくは0.8〜1.2倍モル量で用いることが好ましい。
(a5)モノイソシアネート化合物を用いる場合には、(a1)ポリイソシアネート化合物のモル数よりも((a2)ポリオール化合物+(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物)のモル数を過剰とし、水酸基の過剰モル数に対して、0.5〜1.5倍モル量、好ましくは0.8〜1.2倍モル量で用いることが好ましい。
(a4)モノヒドロキシ化合物をカルボキシル基を含有するポリウレタンに導入するためには、(a2)ポリオール化合物および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と(a1)ポリイソシアネート化合物との反応がほぼ終了した時点で、カルボキシル基を含有するポリウレタンの両末端に残存しているイソシアナト基と(a4)モノヒドロキシ化合物とを反応させるために、反応溶液中に(a4)モノヒドロキシ化合物を20〜150℃、より好ましくは70〜120℃で滴下し、その後、同温度で保持して反応を完結させる。
(a5)モノイソシアネート化合物をカルボキシル基を含有するポリウレタンに導入するためには、(a2)ポリオール化合物および(a3)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と(a1)ポリイソシアネート化合物との反応がほぼ終了した時点で、カルボキシル基を含有するポリウレタンの両末端に残存している水酸基と(a5)モノイソシアネート化合物とを反応させるために、反応溶液中に(a5)モノイソシアネート化合物を20〜150℃、より好ましくは50〜120℃で滴下し、その後同温度で保持して反応を完結させる。
<保護膜インク>
上記カルボキシル基を含有するポリウレタンと、エポキシ化合物と、硬化促進剤と、溶媒とを配合し、均一になるように攪拌して保護膜インクとする。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、二官能脂環式エポキシ化合物として、セロキサイド(登録商標)2021P(ダイセル化学製)セロキサイド(登録商標)2081(ダイセル化学製)EHPE(登録商標)3150(ダイセル化学製)、YX8000(三菱化学製)、YX8034(三菱化学製)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、グリシジル基を含有した脂肪族型エポキシ樹脂、グレシジル基を含有した脂環式エポキシ樹脂などの一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を挙げることができる。
また、例えば、グリシジルメタクリレート、サイクロマー(登録商標)M100(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート:ダイセル化学製)などの単官能エポキシ(メタ)アクリレートを使用する事も出来る。前記エポキシ化合物に対するカルボキシル基を含有するポリウレタンの配合割合は、エポキシ化合物のエポキシ基に対するポリウレタン中のカルボキシル基の当量比で0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.3であることがより好ましく、0.9〜1.1であることがさらに好ましい。
なお、グリシジルメタクリレートのような分子内に(メタ)アクリル系炭素−炭素二重結合とエポキシ基の両方を有する化合物(B1)を用いる場合には、予め前記カルボキシル基含有ポリウレタン(A)と反応させておくこともできる。すなわち、前記カルボキシル基含有ポリウレタン(A)の−COOHと、(メタ)アクリル系炭素−炭素二重結合とエポキシ基の両方を有する化合物(B1)のエポキシ基とが反応して、−COO−CH2CH(OH)CH2−が生成し、(A)と(B1)とが結合する。
このような化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(A)と(B1)を反応させる条件としては、(A)を合成した溶液にエポキシ基とカルボン酸の反応を促進する触媒を入れ、50℃から160℃、より好ましくは80℃から140℃に加熱して反応させる。反応温度が低すぎると速度が遅くなりすぎるし、反応温度が高すぎるとゲル化のおそれがある。
(A)と(B1)の使用量としては、(A)のカルボン酸基に対してエポキシ基が0.5〜1.25当量となる量であることが好ましく、0.5〜1.1当量がさらに好ましく、0.5〜1.0当量が最も好ましい。0.5当量よりも低いと耐熱性が損なわれるし、1.25当量より多いと、反応できない(B1)成分が出てくるために、電気絶縁性に悪影響を与える。
また、反応雰囲気としては不活性ガスまたは空気雰囲気で反応を行うことができる。特に重合防止効果を考えると、少量の酸素を存在させることが好ましく、窒素などの不活性ガスと空気を混合し、酸素濃度で5〜10%の濃度の雰囲気で反応を行うことが好ましい。
反応触媒としては3級アミン、ホスフィン化合物がげられ、3級アミンとしてトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、DBU、DBN、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール等がげられる。ホスフィン化合物としてはトリフェニルスフィン、トリフェニルスファイト、トリメチルホスフィン、トリメチルスファイト等がげられる。これらの使用量としては、使用量があまりに少ないと添加した効果が無く、使用量が多すぎると電気絶縁性が低下するので、(A)と(B1)の合計量に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%使用される。
また、必要に応じて重合禁止剤を添加することも出来、ここで用いることのできる重合禁止剤としては例えばヒドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系化合物、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール等の高分子フェノール系化合物、フェノチアジン、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のリン系化合物が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができ、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対し、5質量部以下を用いることが好ましい。5質量部を超えると本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性などを損ねるおそれがある。
また、硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのホスフィン系化合物(北興化学製)、キュアゾール(登録商標)(イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤:四国化成製)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、U−CAT(登録商標)SAシリーズ(DBU塩:サンアプロ社製)、Irgacure(登録商標)184等が挙げられる。これらの使用量としては、使用量があまりに少ないと添加した効果が無く、使用量が多すぎると電気絶縁性が低下するので、(A)と(B)の合計質量に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%使用される。
また、溶媒としては、カルボキシル基を含有するポリウレタンの合成に用いた溶媒をそのまま使用することもできるし、粘度や印刷性の調整のために他の溶媒を用いることもできる。他の溶媒を用いる場合には、新たな溶媒を添加する前後に反応溶媒を留去し、溶媒を置換してもよい。ただし、操作の煩雑性やエネルギ−コストを考えるとカルボキシル基を含有するポリウレタンの合成に用いた溶媒をそのまま用いることが好ましい。インクの安定性を考慮すると、溶媒の沸点は、180℃から300℃であることが好ましい。
このような溶媒としては、ジプロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のポリウレタン合成に用いた溶媒や、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の水酸基を含む溶媒も用いることができる。
保護膜インク中の固形分濃度は所望する膜厚や印刷方法によっても異なるが、10〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。保護膜インクの粘度は、25℃、シェアレート1[1/s]で測定した粘度が2500mPa・s〜300000mPa・sであることが好ましい。
以上に述べた保護膜インクは、スクリ−ン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法などの印刷法により、導電パターンがある基材上に印刷パターンを形成し、この印刷パターンを必要に応じて溶媒を留去後に、加熱処理、光照射を行うことにより、硬化させて導電パターンの保護膜とする。上記保護膜を透明基材上に形成した導電パターン上に形成することによりヘーズが2%以下であり、かつ全光線透過率が88%以上である保護膜を備えた金属ナノワイヤを用いた透明な導電パターンを有する基板を得ることができる。本明細書において「透明」とは全光線透過率が75%以上であることを意味する。
上記導電パターンを形成する透明基材としては、たとえばガラス、ポリエステルフィルム、ゼオノア(登録商標)フィルム、ポリカーボネートフィルムが挙げられる。
導電パターンとしては、銀や銅等の金属のナノワイヤ、ナノチューブ等をインク化して基材上に印刷パターンを形成し、この印刷パターンを導体化したものである。特に銀ナノワイヤインクを用いて透明導電パターンを作製する場合には、銀の単位質量当たりの表面積が大きく、微細配線等は高温高湿時の絶縁信頼性が低いため、上述の実施形態に係る保護膜インクによる保護が効果的である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<カルボキシル基含有ポリウレタンの合成例>
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2L三口フラスコに、ポリオール化合物としてC−1015N(株式会社クラレ製、ポリカーボネートジオール、原料ジオールモル比:1,9−ノナンジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール=15:85、分子量964)143.6g、カルボキシル基を含有するジヒドロキシル化合物として2,2−ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製)27.32g、および溶媒としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(株式会社ダイセル製)259gを仕込み、90℃で前記2,2−ジメチロールブタン酸を溶解させた。
反応液の温度を70℃まで下げ、滴下ロートにより、ポリイソシアネートとしてデスモジュール(登録商標)−W(ビス−(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン)、住化バイエルウレタン株式会社製)87.5gを30分かけて滴下した。滴下終了後、120℃に昇温し、120℃で6時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことをIRによって確認した後、イソブタノールを0.5g加え、更に120℃にて6時間反応を行った。得られたカルボキシル基含有ポリウレタンの重量平均分子量は32300、その樹脂溶液の酸価は18.8mgKOH/gであった。
<保護膜インクの作製>
インク例1.
上記合成例の化合物10.61g、エポキシ化合物としてjER(登録商標)−828(三菱化学製 ビスフェノールA型エポキシ化合物)0.70g、硬化促進剤として、2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)(四国化成製)0.06g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート7.00gを加え、均一になるようにシンキー社製の自転・公転真空ミキサーあわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて撹拌し、保護膜インク1を得た。
インク例2.
エポキシ化合物をセロキサイド2021P(ダイセル化学製 二官能脂環式エポキシ化合物(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート))0.46gに変えた以外は、実施例1と同様に操作し、保護膜インク2を得た。
インク例3.
エポキシ化合物を水添ビスフェノールA型エポキシ化合物YX−8000(三菱化学製)0.76gに変えた以外は、実施例1と同様に操作し、保護膜インク3を得た。
比較例.
上記合成例の化合物に変えて、シクロオレフィン系ポリマーであるZEOCOAT(登録商標)ES−2110(日本ゼオン製)10g(エポキシ化合物含有:構造非開示)を用い、硬化促進剤として、2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)(四国化成製)0.06gと配合して均一になるように撹拌し、保護膜インク4を得た。
<銀ナノワイヤインク塗膜の印刷>
銀ナノワイヤ分散液125g(銀濃度:0.2質量%、分散媒:メタノール、ワイヤ平均径:約40nm、平均長:約10μm)を300mlナスフラスコに量り取った。そこへ、ターピネオールC(日本テルペン化学製)25g、及びテルソルブ MTPH(日本テルペン化学製、イソボルニルシクロヘキサノール)75gを加え、よく分散させた後、エバポレーターを用いてメタノールを留去した。その後、シンキー社製の自転・公転真空ミキサーあわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて撹拌して銀ナノワイヤインクを得た。
得られた銀ナノワイヤインクの銀濃度を測定したところ、0.25質量%であり(バリアン製 AA280Zゼーマン原子吸光分光光度計使用)、残メタノール濃度は1質量%以下であった。残メタノール濃度測定は、アジレントテクノロジー製 ガスクロマトグラフ7890Aガスクロマトグラフィーを使用して行った。また、粘度は5000mPa・sであった(ブルックフィールド製 粘度計DV−II+Pro使用、25℃、20rpm)。
上記銀ナノワイヤインクを用いてスクリーン印刷機(マイクロテック製 MT−320TVZ)により、PETフィルム(東洋紡製 コスモシャイン(登録商標)A4100)に、2.5cm角のべた膜(金属ナノワイヤ層)を印刷した。100℃、1時間の条件で溶媒乾燥を行った後、NovaCentrix社製PulseForge3300を使用し、パルス光の照射条件は光源の駆動電圧600V、照射時間55μ秒でパルス光を1回照射して導電化を行った。得られた透明導電パターンの表面抵抗は60Ω/□であった。なお、表面抵抗は非接触式抵抗測定器(ナプソン株式会社製 EC−80P)を用いて測定した。
<保護膜インクの印刷>
作製した2.5cm角のベタ膜上を覆うように、保護膜インク1〜3を前述のスクリーン印刷機を用いて各々印刷し、120℃、1時間の条件で熱硬化を行った。同様に保護膜インク4を印刷後メーカー推奨条件である150℃、1時間で熱硬化を行った。
保護膜インク1〜3を印刷した膜をそれぞれ実施例1〜3とし、保護膜インク4を印刷したものを比較例1とした。
ミツトヨ製 高精度デジマチックマイクロメータ MDH−25M 293−100を用いて測定した実施例1〜、比較例1における硬化膜の厚さは約10μmであった。
ブルックフィールド製 粘度計DV−II+Pro、25℃、60rpm(シェアレート1[1/s])にて測定した各インクの粘度は、実施例1が3300mPa・sであり、実施例2が2900mPa・sであり、実施例3が3500mPa・sであった。比較例1では、2300mPa・sであった。
<HAZEおよび光線透過率測定>
得られた膜のHAZE(ヘーズ)及び全光線透過率測定をHaze meter NDH 2000(日本電色製)を用い測定した。オーバーコート樹脂インク印刷・熱硬化前後での測定結果を表1に示す。
Figure 2016222847
比較例1では、保護膜インクを印刷し硬化した際に、HAZEが上昇してしまい、光線透過率も低下した。150℃と高温であるため、基材がダメージを受けたと考えられる。
一方、実施例1〜3では、HAZE上昇および光線透過率低下がほぼなく、本願の優位性が分かる。
耐環境性試験>
100℃高温試験(上記実施例、比較例の膜を高温に曝した際の抵抗変化率)をEYELA(登録商標)NATURAL OVEN NDO−450NDを用い、85℃85%湿試験(上記実施例、比較例の膜を湿にした際の抵抗変化率測定)をETAC(登録商標) TH402Aを用い実施した。
開始前の表面抵抗からの抵抗変化率を表2に示す。
比較例1は光学特性が悪化しているため、安定性試験を実施していない。
比較例2として、銀ナノワイヤインク塗膜のみの基板の評価(オーバーコート樹脂インクの印刷を実施しない)を行った。抵抗変化率は、(高温または湿に500時間曝した後の表面抵抗/開始前の表面抵抗)×100(%)で算出した。
Figure 2016222847
表2からわかるように、実施例1〜3に較べ、比較例2では長期保管によってさらされた空気中の酸素や水分の影響等により、ナノ構造体が腐食することに伴い導電性が低下し、大幅にシート抵抗が上昇し、透明導電パターンの導電性が低下することがわかる。

Claims (7)

  1. カルボキシル基を含有するポリウレタンと、
    エポキシ化合物と、
    硬化促進剤と、
    溶媒と、
    を含む、金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  2. 前記カルボキシル基を含有するポリウレタンの数平均分子量が、1,000〜100,000である、請求項1に記載の金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ化合物に対するカルボキシル基を含有するポリウレタンの配合割合が、エポキシ化合物のエポキシ基に対するポリウレタン中のカルボキシル基の当量比で0.5〜1.5である、請求項1または2に記載の金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ化合物または二官能脂環式エポキシ化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  5. 前記溶媒の沸点が、180℃から300℃であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  6. 25℃、シェアレート1[1/s]で測定した粘度2500mPa・s〜300000mPa・sである請求項1からのいずれか一項に記載の金属ナノワイヤを用いた導電パターンの保護膜用樹脂組成物。
  7. 透明基材上に金属ナノワイヤを含む導電パターンを有し、該導電パターンが請求項1〜のいずれか一項に記載の保護膜用樹脂組成物を硬化してなる保護膜で被覆されている透明導電基板。
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