JP2016221771A - 金属光沢画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄片状アルミ粒子を含むソルベントインクの吸収性の低い表面凹凸層上においても、優れた光輝性の金属光沢を有する凹凸面を含む画像の記録を可能とする金属光沢画像記録方法を提供すること。【解決手段】活性エネルギー線での硬化物からなる表面凹凸層上に設けられたインク吸収層に薄片状のアルミニウム含有粒子を含むソルベントインクを付与して金属光沢を有する凹凸面を形成する。その際、インク吸収層にソルベントインクを速やかに吸収させて、インク吸収層上に薄片状のアルミニウム含有粒子が配向した金属光沢層が形成されることにより、優れた光輝性を有する金属光沢の凹凸面を有する画像の記録が可能となる。【選択図】図4

Description

本発明は、金属光沢を有する凹凸面を含む画像の記録方法に関する。
印刷面に色画像に加えて、表面凹凸に金属光沢を有する領域を付与することで画像に種々の質感を与えることができ、そのような表面凹凸に金属光沢を有する画像を再現性良く形成可能なプリンタが求められている。
金属光沢を有する表面凹凸の形成方法として、特許文献1では、インクジェット記録装置等を用いて、記録媒体上に表面凹凸層、金属光沢層の順に形成し、表面凹凸層の算術平均粗さを制御することによって、光沢レベルの異なる金属光沢面を形成する方法が開示されている。特許文献2では、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に、樹脂成分が分散媒に分散または溶解した樹脂インクで表面凹凸を有する下地受容層を形成し、下地受容層に水系光輝性インクを用いて光輝性、耐擦性を有する画像を記録する方法が開示されている。
特開2010−030139号公報 特開2012−035590号公報
記録媒体に設けた表面凹凸層に、溶媒含有型のインク、いわゆるソルベントインクを用いて金属光沢面を形成する際に、表面凹凸層を構成する材料とソルベントインクの組成との組合せによっては、目的とする光輝性を有する金属光沢面が得られない場合があった。
例えば、アクリル系モノマーを含む紫外線硬化性インクを用いて、アクリル系硬化樹脂からなる表面凹凸層を形成した場合、この表面凹凸層に鱗片状アルミニウム粒子を含有するソルベントインクにより金属光沢層を形成しても、光輝性を向上させることができなかった。
本発明の目的は、金属光沢付与用の薄片状の粒子を含むソルベントインクの吸収性の低い表面凹凸層上においても、優れた光輝性の金属光沢を有する凹凸面を含む画像の記録を可能とする金属光沢画像記録方法を提供することである。
本発明にかかる金属光沢面の形成方法は、
記録媒体上に、金属光沢を有する凹凸面を含む画像を記録する方法において、
記録媒体に、活性エネルギー線硬化性の材料の、活性エネルギー線の照射による硬化物からなる表面凹凸層を設ける工程と、
前記表面凹凸層上にインク吸収層を形成する工程と、
前記インク吸収層に、金属光沢付与用の薄片状の粒子を含むインクをインクジェット法により付与する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明においては、活性エネルギー線での硬化物からなる表面凹凸層上に設けられたインク吸収層に金属光沢付与用の薄片状の粒子を含むソルベントインクを付与して金属光沢を有する凹凸が形成される。その際、インク吸収層にソルベントインクを速やかに吸収させて、インク吸収層上に金属光沢付与用の薄片状の粒子が配向した金属光沢層が形成されることにより、優れた光輝性を有する金属光沢の凹凸面を有する画像の記録が可能となる。
インクジェット記録装置の一例の構成図である。 面積階調により制御された画像の表現を表す模式図である。 記録媒体上を液体吐出ヘッドが走査することで、表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層及び色画像を形成する動作を説明する図である。 記録媒体上に形成された、表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層を含む積層構造の模式的断面図である。
本発明者は、紫外線硬化性の液体材料を用いて形成されたアクリル系硬化樹脂からなる表面凹凸層上に、鱗片状のアルミニウム含有粒子を含有するソルベントインクを用いて金属光沢面を形成する際に、光輝性の向上が図れない理由について検討した。その結果、紫外線硬化性の液体材料を用いて形成された硬化樹脂からなる表面凹凸層の、ソルベントインクの液媒体成分の吸収性が低いことが原因であると推定された。具体的には、以下のような現象により、光輝性の向上が図れないものと推定された。
ソルベントインクに含まれる鱗片状のアルミニウム含有粒子によって優れた光輝性を得るには、鱗片状のアルミニウム含有粒子の長手方向に伸びる面が記録媒体の表面に添って配向することで、この面に入射した光の反射光量を増加させることが好ましい。ところが、紫外線照射によるアクリル系硬化樹脂からなる表面凹凸層の有機溶媒(例えばソルベントインクの液媒体として使用されるグリコールエーテルやラクトン類)の吸収性は非常に低い。そのため、表面凹凸層上に付与されたソルベントインクにより形成された液体膜がある程度の時間維持される。その間に液体膜内で液媒体の対流が発生し、鱗片状アルミニウム含有粒子の上述した配向が得られないものの割合が増えた状態で液体膜からの液媒体の蒸発が進行し、ソルベントインクによる着色部に目的とする光反射光量増加を得ることができない。
なお、紫外線照射以外の活性エネルギー線による硬化物においても、表面凹凸層のソルベントインクの液媒体の吸収性が非常に低い場合には、上述した鱗片状アルミニウム含有粒子の配向の問題が生じる。
ソルベントインクの液媒体として、メチルエチルケトン、低級アルコール系等の揮発性の高い有機溶媒を使用すれば、ヒータ等の加熱手段を設けて記録媒体上で有機溶媒を速やかに蒸発させて、上述のソルベントインクによる液体膜の形成を防ぐことができる。しかし、本発明におけるように、ソルベントインクの記録媒体への付与をインクジェット法により行う場合は、揮発性の高い有機溶媒を用いたソルベントインクでは、インクジェットヘッドからインクを安定吐出させることは困難である。
そこで、本発明においては、紫外線照射等によって得られる硬化物からなる表面凹凸層に鱗片状のアルミニウム含有粒子を含むソルベントインクを用いて金属光沢面を形成する際に、ソルベントインクの吸収性を有するインク吸収層が表面凹凸層上に設けられる。このようなインク吸収層を設けることによって、上述したソルベントインクの付与による液体膜の形成が抑制され、目的とする鱗片状のアルミニウム含有粒子の配向割合の高い着色部を形成して、優れた光輝性を有する金属光沢を凹凸面に付与することが可能となる。
上述した鱗片状のアルミニウム含有粒子における技術課題は、鱗片状のアルミニウム含有粒子以外の薄片状粒子を金属光沢付与用として用いる場合においても同様に技術課題となる。従って、このような金属光沢付与用の薄片状粒子を用いる場合においても、上述したインク吸収層を設けることにより本発明の効果を得ることができる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(記録媒体)
本発明においては、記録媒体に特に限定はなく、液体吐出ヘッドによる画像記録に対応できるものであれば、紙やプラスチックフィルム等、各種の材料からなる記録媒体が利用可能である。記録媒体としては、例えば、コート紙、アート紙、キャスト紙等の表面加工紙、オレフィン系の合成紙、光沢塩化ビニル、ターポリン等のポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂等の樹脂からなるシートやフィルムが挙げられる。
(インクジェット記録装置の概略構成)
図1は、本実施形態にかかるインクジェット記録装置の構成図である。インクジェット記録装置800により、インクを用いて表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層の形成、並びに色画像の記録を行うことができる。
ヘッドカートリッジ801は、インクジェット法により液体またはインクを吐出する装置であり、複数の吐出口を有する液体吐出ヘッド(不図示)と、この液体吐出ヘッドへ供給するための液体またはインクを貯留するタンク(不図示)を有する。このタンクとしては、着脱自在な構造を有するインクカートリッジ等のカートリッジタイプのタンクを用いることができる。
また、ヘッドカートリッジ801には、液体吐出ヘッドの各吐出口を駆動する信号などを受信するためのコネクタ(不図示)が設けられている。貯留タンクは、表面凹凸層を形成するための液体材料、インク吸収層を形成するための液体材料、金属光沢層を形成するためのインク、色画像を形成するためのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色インクの計7種について独立に設けられている。各貯留タンクからの液体またはインクに個々に対応する吐出口が液体吐出ヘッドに設けられている。
ヘッドカートリッジ801はキャリッジ802に位置決めして交換可能に搭載されており、キャリッジ802には、コネクタを介してヘッドカートリッジ801に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダ(不図示)が設けられている。また、キャリッジ802には、紫外光照射装置815が搭載されており、吐出された紫外線硬化性の液体材料を硬化させ記録媒体上に固着させるために制御される。キャリッジ802は、ガイドシャフト803に沿って往復移動可能となっている。具体的には、キャリッジ802は、主走査モータ804を駆動源としてモータプーリ805、従動プーリ806およびタイミングベルト807等の駆動機構を介して駆動されるとともに、その位置及び移動が制御される。なお、このキャリッジ802のガイドシャフト803に沿った移動を「主走査」といい、移動方向を「主走査方向」という。
プリント用紙等の記録媒体808は、オートシートフィーダ(以下「ASF」)810に載置されている。なお、多数の記録媒体を収納したメディアカセット(不図示)からASFに供給するようにしてもよい。
画像記録時、給紙モータ811の駆動によってギアを介してピックアップローラ812が回転し、ASF810から記録媒体808が一枚ずつ分離され、給紙される。更に、記録媒体808は、搬送ローラ809の回転によりキャリッジ802上のヘッドカートリッジ801の吐出口面と対向する記録開始位置に搬送される。搬送ローラ809は、ラインフィード(LF)モータ813を駆動源としてギアを介して駆動される。記録媒体808が給紙されたか否かの判定と給紙時位置の確定は、記録媒体808がペーパエンドセンサ814を通過した時点で行われる。キャリッジ802に搭載されたヘッドカートリッジ801は、吐出口面がキャリッジ802から下方へ突出して記録媒体808と平行になるように保持されている。制御部820は、CPUや記憶手段等から構成されており、外部から表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層および色画像データを受け取り、データに基づいてインクジェット記録装置の各パーツの動作を制御する。
ヘッドカートリッジ801により形成されたインク吸収層、金属光沢層及び色画像層には、ヒータ816による乾燥定着処理が行われる。
液体材料またはインクの吐出に用いられる液体吐出ヘッドの液体吐出方式は、特に限定されない。例えば、力学的エネルギーの作用により液体吐出ヘッドからインクを吐出する方式(ピエゾヘッド)や、熱エネルギーの作用により液体吐出ヘッドからインクを吐出する方式を挙げることができる。
なお、活性エネルギー線硬化性の液体材料や金属光沢付与用のソルベントインクを記録媒体に付与するための液体吐出方式としては、吐出安定性や液体組成の設計における自由度等を考慮した場合には、ピエゾ式等の電気−機械変換体による力学的エネルギーの作用による方式が好適である。
(表面凹凸層、吸液層、金属光沢層および色画像記録動作)
以下、図1に示す構成のインクジェット記録装置における表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層、色画像記録動作について説明する。まず、記録媒体808が所定の記録開始位置に搬送されると、キャリッジ802がガイドシャフト803に沿って記録媒体808上を移動し、その移動の際にヘッドカートリッジ801の有する液体吐出ヘッドの吐出口より紫外線硬化性の液体材料が吐出される。紫外光照射装置はヘッドカートリッジ801の移動に合わせて紫外光を照射し、吐出された液体材料を硬化させ、記録媒体上に硬化物層を固着させる。そして、キャリッジ802がガイドシャフト803の一端まで移動すると、搬送ローラ809が所定量だけ記録媒体808をキャリッジ802の走査方向に垂直な方向に搬送する。この記録媒体808の搬送を「紙送り」または「副走査」といい、この搬送方向を「紙送り方向」または「副走査方向」という。記録媒体808の所定量の搬送が終了すると、再度キャリッジ802はガイドシャフト803に沿って移動する。このように、液体吐出ヘッドのキャリッジ802による走査と紙送りとを繰り返すことにより記録媒体808全体に表面凹凸層が形成される。表面凹凸層が形成された後は、搬送ローラ809が記録媒体808を記録開始位置に戻し、表面凹凸層の形成と同様のプロセスで表面凹凸層上に、インク吸収層、金属光沢層および色画像をこの順に形成する。なお、説明を平易にするため表面凹凸層、インク吸収層、金属光沢層、色画像を上記のように分けて形成するものとしたが、表面凹凸層の上にインク吸収層、インク吸収層の上に金属光沢層もしくは色画像ができるように各走査での打ち込むインク種の順序を制御し、記録媒体の戻しを行わない処理も可能である。更に、上述した方法によって表面凹凸層を形成した記録媒体や、表面凹凸層及びインク吸収層をこの順に予め形成した記録媒体をASF810に積載してセットして、記録開始位置に搬送して、インク吸収層の形成、金属光沢層の形成、色画像の記録を必要に応じて行うようにしてもよい。
以下、色画像を形成する場合の画像記録動作の一実施形態について説明する。
図2は、面積階調により制御された画像の表現を表す模式図である。図2のA列は記録濃度の濃淡による諧調を(A−1)を100%とした際の25%、50%及び75%の記録濃度の一例を示す。図2のB列は、A列の濃度諧調をインクドットの画素への打ち込み量で表現する場合の一例を示す。
液体吐出ヘッドによる液滴の吐出動作に対して、基本的に液滴を吐出するか否かの二値による制御が行われる。本実施形態では、インクジェット記録装置の出力解像度で定義される画素毎にインクのオン・オフを制御するものとし、単位面積において全画素をオンにした状態をインク量100%として扱うものとする。こうした所謂二値プリンタでは、単一の画素では100%か0%しか表現することができないため、複数の画素の集合で中間調を表現する。図2に示す例では、図2(A−4)のように25%の濃度で中間調表現を行う代わりに、図2(B−4)のように4×4画素中の4画素にインクを吐出することで、面積的に4/16=25%の表現を行っている。例えば、図2(B−2)、(B−3)に示すように他の階調においても同様に表現することが可能である。なお、中間調を表現するための総画素数やオンになる画素のパターン等は上記の例に限定されるものではない。一般的には誤差拡散処理などがよく利用される。なお、図2の例では、インク打ち込みに関する単位面積を4×4=16分割としているが、分割数についてはインクジェット装置の出力解像度等に応じて適宜される。
本実施形態における色画像の形成では、100%を超えるインク付与量を用いて色濃度を高めたり、ベタ色部分を形成する場合がある。このような場合には、インク量100%で全画素にインクを付与し、更に、この100%でのインク付与動作を同一全画素に繰り返し行う。5回繰り返すことで、500%のインク打ち込み量での記録が行われる。
図3は、記録媒体808上を液体吐出ヘッドが走査することで色画像を形成する動作を説明する図である。キャリッジ802による主走査で液体吐出ヘッドの幅Lだけ画像記録を行い、1ラインの記録が終了する毎に記録媒体808を副走査方向に距離Lずつ搬送する。説明を平易にするため、本実施例におけるインクジェット記録装置一回の走査でインク量100%までのインク吐出しかできないものとし、インク量100%を超える場合には、搬送は行わずに同じ領域を複数回走査する。例えば、打ち込むインク量が最大500%の場合は、同じラインを5回走査する。図3を用いて説明すると、領域Aを液体吐出ヘッドで5回走査した(図3(a))後、記録媒体808を副走査方向に搬送し、領域Bの主走査を5回繰り返す(図3(b))ことで領域Aから領域Bにわたる500%打ち込み領域を形成することができる。
なお、液体吐出ヘッドの精度に起因する周期ムラ等の画質劣化を抑制するために、インク量100%以下でも複数回の走査、いわゆる多パス記録を行う場合がある。図3(c)〜(e)に2パス記録の例を示す。この例では、キャリッジ802による主走査で液体吐出ヘッドの幅Lだけ画像記録を行い、1ラインの記録が終了する毎に記録媒体808を副走査方向に距離L/2ずつ搬送する。領域Aは液体吐出ヘッドのm回目の主走査(図3(c))とm+1回目の主走査(図3(d))により記録され、領域Bは液体吐出ヘッドのm+1回目の主走査(図3(d))とm+2回目の主走査(図3(e))により記録される。ここで、2パス記録の動作を説明したが、何回のパス数で記録するかは、対象とする画像の画質の精度に応じて変えることができる。nパス記録を行う場合は、例えば、1ラインの記録が終了する毎に記録媒体808を副走査方向に距離L/nずつ搬送する。この場合、インク量が100%以下でも複数の印字パターンに分割し記録媒体の同一ライン上を液体吐出ヘッドがn回主走査することで色画像を形成する。
上述した色画像形成におけるインクの付与量に関する制御を行って、表面凹凸層、インク吸収層及び金属光沢層の形成を行うことができる。
本実施形態にかかる表面凹凸層の形成では、前述のインク量の概念を用いて位置毎に高さの制御を行う。表面凹凸層の形成において液体量100%[図2(B−1)での100%打ち込み量に相当]でほぼ均一な層を形成した場合、液体吐出ヘッドが吐出した液体の体積に応じて、層はある厚さ=高さを有する。例えば、液体量100%で形成された層が20μmの厚さを有する場合、100μmの厚さを再現するには、層を5回重ねればよい。つまり、100μmの高さが必要な位置に打ち込む液体量は500%となる。また、液体量100%未満で単位面積に液体材料を付与する場合には、図2(B−2)、(B−3)及び(B−4)等に示すように打ち込み画素数を制御する方法が利用でき、図2(B−1)で示す100%打ち込みと、100%未満の打ち込みとを組み合わせて、表面凹凸層、インク吸収層及び金属光沢層の少なくとも1種を形成してもよい。
また、複数パス記録制御を用いる場合のパス数、すなわち何回のパス数で記録するかは、対象とする画像の画質や表面凹凸の精度に応じて変えることができる。
図4は、記録媒体830上に形成された凹凸層831、インク吸収層832、金属光沢層833の断面図である。本実施形態では、1mm程度の高さまでの分布を有する表面凹凸層の上にインク吸収層、金属光沢層がこの順に形成される。
(表面凹凸層)
以下、表面凹凸層に係る詳細を説明する。
表面凹凸層は、活性エネルギー線硬化性の材料の、活性エネルギー線の照射による硬化物から形成される。記録媒体に表面凹凸層を設ける方法としては、記録媒体上で活性エネルギー線硬化性の材料を用いて表面凹凸層を形成する方法、対応する凹凸構造を表面に有する支持体上で活性エネルギー線硬化性の材料を用いて表面凹凸層を形成し、これを記録媒体に転写して積層する方法等を挙げることができる。記録媒体または支持体上での表面凹凸層の形成には、型押し法や各種印刷法が利用できる。目的とする画像毎に対応した凹凸構造を形成する上では、インクジェット法により活性エネルギー線硬化性の液体材料を記録媒体に付与し、活性エネルギー線の照射により液体材料の硬化物からなる表面凹凸層を形成する方法を好ましく用いることができる。表面凹凸層を、インクジェット法を用いて形成する場合には、インクジェット法による活性エネルギー線硬化性の液体材料の記録媒体上での付与位置に関する情報を、金属光沢付与用のインクを記録媒体に付与する際に共通して利用することが可能となる。
インクジェット法により表面凹凸層を形成する実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係る表面凹凸層は、記録媒体上に形成された活性エネルギー線硬化性の液体から得られる硬化物からなる。活性エネルギー線硬化性の液体材料は、インクジェット記録装置のプリンタヘッドに供給され、このプリンタヘッドから記録媒体上に吐出され、その後、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が照射され、記録媒体上で速やかに硬化される。活性エネルギー線としての紫外線の光源の具体例は、LEDランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザーである。活性エネルギー線硬化性の液体材料としては、活性エネルギー線の照射により、記録媒体上に、有機溶媒に浸漬しても膨潤や剥離を起こすことなく良好な密着性を有する硬化物を形成できるものであれば良い。
・紫外線硬化性液体材料
液体材料の硬化に用いる活性エネルギー線としては、照射装置の汎用性や取扱い性等の点から紫外線が好ましい。以下、紫外線硬化性の液体材料について説明する。
紫外線硬化性液体材料としては、重合性化合物を含み、紫外線の照射によって緻密で耐擦過性の高い硬化樹脂層を形成できるものが好ましい。
紫外線硬化性液体材料は、少なくとも、紫外線硬化に必要な重合性を有する化合物を用いて調製することができる。重合性化合物としては、紫外線照射による硬化処理の前後で体積変動の少ない、ラジカル重合型の化合物(ラジカル重合性化合物)やカチオン重合型の化合物(カチオン重合性化合物)が好ましい。
ラジカル重合型の紫外線硬化性液体材料を調製するための化合物としては、アクリロイル基を有する化合物等を挙げることができる。カチオン重合型の紫外線硬化性液体材料を調製するための化合物としては、ビニルエーテル基を有する化合物等を挙げることができる。いずれの硬化物も、金属光沢層の形成において使用するソルベントインクの溶剤成分であるグリコールエーテル、ラクトン類の吸収性が非常に低い。また、液体吐出ヘッドとしてピエゾヘッドを用いる場合には、紫外線硬化性液体材料は、液体吐出ヘッドからの吐出時に3〜20mPaの粘度を有することが好ましい。この粘度範囲を得るには、比較的低粘度の単官能性モノマーを多く用いながら、多官能性モノマーを加えることによって、液体材料の低粘度化と紫外線硬化性を両立させることができる。紫外線硬化性の液体材料は、必要に応じて、更に、光重合開始剤、その他の添加剤を含む組成物として液体材料を調製することができる。
・重合性化合物
紫外線硬化性液体材料の重合性成分としての重合性化合物は、紫外線の照射を受けて重合するものであればよい。また、重合性化合物自体が液状であるものが好ましい。
重合性化合物のうち単官能性モノマーの具体例としては、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、ベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ジメチルアクリルアミドが挙げられる。
重合性化合物のうち多官能性モノマーの具体例としては、例えば、1,6−ヘキサジオールアクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、トリメチルプルパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチルプロパンEO付加物トリアクリレート、デンドリマーアクリレートが挙げられる。
以上に例示したモノマー等、重合性化合物は、単独で用いてもよく、複数種を混合してもよい。
・光重合開始剤
光重合開始剤の具体例は、アシルフォスフィンオキサイドであるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(イルガキュア 819、BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(Lucirin TPO:BASF社製)である。 光重合開始剤として使用されるα−ヒドロキアルキルフェノンの具体例は、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア 127、BASF社製)、2−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(イルガキュア2959、BASF社製)、1−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)である。 光重合開始剤として使用されるα−アミノアルキルフェノンの具体例は、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369、BASF社製)である。
光重合開始剤は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の添加剤)
紫外線硬化性の液体材料は、重合性の化合物及び光開始剤の他に、色材、有機溶剤、可塑剤、重合禁止剤、耐光安定剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を含有し得る。
・表面凹凸層の形成方法
表面凹凸層の形成は、例えば、紫外線硬化性の液体材料をインクジェット法により記録媒体上に付与し、350nm以上、420nm以下の輝線を発するLEDを紫外線光源として光照射して記録媒体上で紫外線硬化性の液体を硬化させることより行うことができる。紫外線硬化性の液体材料を、上記の長波長域で硬化するように調製することで、良好な紫外線硬化性を得ることができ、タック感及び耐擦過性に優れた表面凹凸層を得ることができる。なお、表面凹凸の厚さは、先に図2及び3で説明した方法により制御することができる。表面凹凸層の表面粗さは特に限定されないが、光沢、梨地、ヘアライン、きらきら調など各種の金属質感を得るためには、表面粗さの平均凹凸長さRsmとして10μm以上、500μm以下が好ましく、100μm以下が更に好ましい。また、二乗平均平方根傾斜RΔqとしては0.001°以上、10°以下が好ましい。これらは、JIDA(日本インダストリアルリアルデザイナー協会)が販売している金属調のサンプル見本等の表面形状を下記に示す方法で実測して求めた領域である。平均凹凸長さRsmと二乗平均平方根傾斜RΔqは、JIS B 0601:2001の表面粗さJIS規格の表面粗さの評価パラメータであり、光沢性や艶、表面処理等の評価に適している。平均凹凸長さRsmは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、1つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の長さの和を求め、平均値を表したものであり、試料表面粗さの平面方向を評価するパラメータである。二乗平均平方根傾斜RΔqは、基準長さにおいて、局部傾斜角の二乗平均平方根を表したものであり、試料表面粗さの平面と高さ方向を複合評価するパラメータである。これらの表面粗さの評価パラメータは、白色干渉方式の表面形状測定器(VertScan Ver.2、5200GML-A15:菱化システム)を用いて計測した二次元表面画像から算出した。
さらに上記の各種の金属質感に金箔紙等の凹凸感を追加したい場合には、凹凸長さとして100μm以上、凹凸高低差としては10μm以上が好ましい。凹凸長さは、うねり曲線の1つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の長さである。凹凸高低差は、うねり曲線の1つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する高低差である。これは、凹凸長さ100μm以下、凹凸高低差10μm以下の表面凹凸は、凹凸感として視覚認知しにくくなるためである。
(吸液層)
以下、インク吸収層に係る詳細を説明する。
・インク吸収層形成用の樹脂
記録媒体に形成された表面凹凸層の、金属光沢付与用のソルベントインクが付与される面に設けるインク吸収層を形成するための材料について本発明者が検討を行った結果、以下に示す樹脂材料が好ましいことが分かった。
インク吸収層形成用の樹脂材料の具体例としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂等を挙げることができる。本発明の目的を達成できる範囲で、これらの樹脂を2種以上を組み合わせた複合系樹脂をインク吸収層形成用の樹脂材料として用いることもできる。
インク吸収層に対して、後述する金属光沢付与用のソルベントインクの吸収性を付与する観点から、上記した中でも、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を用いることが好ましい。更に、インク吸収層は、金属光沢付与用のソルベントインクを吸収する際に、ソルベントインクの溶剤成分を吸収して、溶剤成分とインク吸収層上に残されるソルベントインクに含まれる金属光沢付与用の薄片状の粒子(以下、薄片状粒子という)を分離する機能を有する層として形成される。なお、溶剤成分中に溶解している他の成分も溶剤成分とともにインク吸収層に吸収される場合があってもよい。
さらに、インク吸収層形成用の液体材料の形態としては、樹脂成分が液媒体(溶媒)に溶解した溶液タイプや、樹脂成分が粒子として液媒体に分散した分散液タイプを挙げることができる。これらの中では、金属光沢付与用のソルベントインクの吸収性の制御が比較的容易である分散液タイプの液体材料が好ましい。
分散液タイプの液体材料としては、樹脂粒子(エマルジョン樹脂)が分散している樹脂エマルジョンが好ましい。エマルジョン樹脂は、乳化重合法や転相乳化法などの公知の方法により合成することができる。また、市販のエマルジョン樹脂を用いてもよい。
更に、エマルジョン樹脂の材質を選択することによって、インク吸収層に金属光沢付与用のソルベントインクの溶剤による適度な表面溶解性を得ることができ、金属光沢層の光輝性の向上を図ることができる。
インク吸収層の表面溶解性が低すぎると、インク吸収層に対するソルベントインクの溶剤吸収の開始が遅延するので、ソルベントインクにより形成された液体膜がある程度の時間維持されやすくなり、薄片状粒子の配向性が低下する。
一方、インク吸収層の表面溶解性が高すぎると、インク吸収層の表面荒れやインク吸収層と薄片状粒子との混合状態が発生するため、薄片状粒子の配向性が低下する。溶液タイプの液体材料を用いてインク吸収層を形成した場合、ソルベントインクが含有する溶剤成分の種類によっては、この溶剤成分に対するインク吸収層の表面溶解性が高くなる場合がある。一方、分散液タイプの液体材料を用いた場合には、ソルベントインクが含有する溶剤成分に対するインク吸収層の表面溶解性を、溶液タイプの液体材料を用いる場合よりも低くして、適度な表面溶解性を得ることがでる。その結果、ソルベントインクの溶剤成分のインク吸収層でのより良好な吸収によって、金属光沢層内での薄片状粒子のより良好な平行配向を得ることができる。
インク吸収層をエマルジョン樹脂粒子により形成することによってソルベントインクの溶剤による適度な表面溶解性が得られる理由としては、以下の点が考えられる。
樹脂エマルジョンに含まれるエマルジョン樹脂粒子は、相対的に分子量が高いポリマー鎖同士が集まって粒子を形成(但し、3次元架橋はしていない)している。エマルジョン樹脂膜形成時の乾燥によってエマルジョン樹脂粒子間の界面自体は消失するが、樹脂膜として3次元架橋はしていないので、適度な表面溶解性とエマルジョン樹脂粒子間への溶剤等の適度な浸透性が確保できるものと考えられる。一方、相対的に分子量が低いオリゴマーまたはポリマーを含む樹脂溶液を用いてインク吸収層を形成した場合には、得られたインク吸収層の表面の溶剤に対する溶解性は相対的に高くなり、適度な表面溶解性を得ることができない場合があると考えられる。
このような観点から、エマルジョン樹脂としては、アクリル系樹脂粒子としてアクリル系エマルジョン樹脂、ウレタン系樹脂粒子としてウレタン系エマルジョン樹脂が好ましい。
(アクリル系エマルジョン樹脂)
インク吸収層形成用のアクリル系エマルジョン樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの重合体のエマルジョンが挙げられるが、アクリル酸エステルモノマーの重合体のエマルジョンであることが好ましい。詳しくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル類の少なくとも1種による(共)重合体のエマルジョンであることが好ましい。
アクリル系エマルジョン樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーに、他のモノマーの少なくとも1種を組み合わせた共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーに組み合わせる他のモノマーとしては、アクリル酸類、ビニルエステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン類、イタコン類、マレイン酸類、フマル酸類、アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリスジルエステル類、不飽和ニトリル類、多官能単量体および各種不飽和酸等を挙げることができる。
なお、アクリル系エマルジョン樹脂としては、高松油脂株式会社製のES−980EA−A およびES−960MC(商品名)、日本触媒株式会社製のST−200(商品名)、大日本インキ株式会社製のボンコートCF6140およびCP6190(商品名)、ならびに昭和高分子株式会社製のポリゾールOLZ−1298(商品名)等を用いることができる。また、上記アクリルエマルジョン樹脂のうちの共重合体のエマルジョンとしては、スチレン−アクリル共重合体エマルジョンである三井化学株式会社製のグロスデール292−S(商品名)、塩化ビニルーアクリル共重合体エマルジョンである日信化学工業製のビニブラン278(商品名)等を用いることができる。
(インク吸収層形成用の樹脂の粒子径)
上述した通り、インク吸収層の形成には、後述する金属光沢形成用のソルベントインクが付与された場合に、ソルベントインクの溶剤成分が溶媒吸収層表面を適度に溶解し、かつインク吸収層内部への溶剤成分の高い吸収性が得られるエマルジョン樹脂を用いることが好ましい。このためには、エマルジョン樹脂の構成を下記のようにすることが好ましい。
・粒径
先ず、その際のエマルジョン樹脂粒子の粒径について説明する。エマルジョン樹脂粒子の50%体積平均粒子径(D50)は、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。この範囲の50%体積平均粒子径とすることによって、インク吸収層内部でのソルベントインクの溶剤成分の良好な吸収性による金属光沢層の光輝性の向上を図ることができる。なお、本発明において、平均粒子径は、動的光散乱法を用いる常法より測定した。
・分子量
インク吸収層の強度に影響する主な因子として樹脂分子鎖の絡み合いの程度を挙げることができる。インク吸収層の強度が十分でない場合には、複数の記録物を作製するときなどにおいて、先に作製した記録物の記録面が後に作製した記録物の裏面などに接触するような極軽い接触であっても、傷が発生することがある。すなわち、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。
一方、エマルジョン樹脂粒子を構成する樹脂の分子量が大きくなると、エマルジョン樹脂の粒度分布の範囲(粒径のバラツキの範囲)が大きくなる場合があり、より均質な吸液層の形成を行うには、エマルジョン樹脂の粒度分布の範囲はより小さい方が好ましい。
そこで、エマルジョン樹脂粒子を構成する樹脂の分子量は、吸液層の強度と均質性を得るという観点からは、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で5,000以上20万以下であることが好ましい。
(インク吸収層形成用の液体材料の組成)
記録媒体の有する表面凹凸層上にインク吸収層を形成するための方法としては、目的とするインク吸収層の形成が可能な方法であれば特に制限はない。インク吸収層形成用の材料の必要量を記録媒体上に位置精度良く付与することができるという観点からは、インク吸収層形成用の液体材料を、インクジェット法を用いて記録媒体の有する表面凹凸層上に付与してインク吸収層を形成する方法が好ましい。
インクジェット法による記録媒体への付与に用いるインク吸収形成用の液体材料の組成について以下に説明する。
・樹脂の含有量
インク吸収形成用の液体材料中の樹脂の含有量(質量%)は、特に制限はなく、目的とする液体吐出ヘッドからの吐出安性に必要な粘度や、記録媒体の有する表面凹凸層上での吸液層の形成性等が得られるように設定することができる。例えば、液体材料全質量を基準として、3質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
・水性液媒体
インク吸収層形成用の液体材料は、少なくとも上述した樹脂成分と水性媒体を用いて調製することができる。水性媒体としては、水、あるいは水及び水溶性有機溶剤の混合物を用いることが好ましい。水としては、イオン交換水(脱イオン水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、具体的には、以下のものを用いることができる。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパンジオール、ブタノール、イソブタノール、ブタンジオール、ペンタノール、ペンタンジオール、1,2−又は1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数1乃至6のアルキルアルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールエーテル類。エタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類など。
これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の成分)
インク吸収層形成用の液体材料には、前記した成分の他に、保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有していてもよい。さらに、必要に応じて所望の物性値を有する液体材料とするために、界面活性剤、防錆剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、粘度調整剤、皮膜形成助剤、分散剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、液体材料の保存安定性などに影響を及ぼさないものであれば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤などのいずれのものも用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などを用いることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコールなどを用いることができる。
(インク吸収層の形成)
インク吸収層の形成方法の一例を以下に説明する。
表面凹凸層上にインク吸収層を形成するため、インクジェット記録装置のヘッドカートリッジの有するカートリッジタイプのタンクに、樹脂エマルジョンからなるインク吸収層形成用の液体材料を充填して、ヘッドカートリッジの所定位置にセットした。また、表面凹凸層を予め形成しておいた白色PETシートをインクジェット装置のメディアカセットにセットした。記録条件は、1インチ当りのドット数、すなわち解像度は600dpi、8パスの往復操作で画像を形成する8パス双方向記録とした。インク吸収層の膜厚が所望の厚みになるように記録デューティを調整した上で液体材料を吐出した。そして、ヒータによって乾燥温度60〜70℃で液体材料に含まれる揮発成分を揮発させるとともに、エマルジョン樹脂粒子同士の融着を行い、インク吸収層を形成した。
(インク吸収層の膜厚)
インク吸収層の層厚は、金属光沢層において所望の光輝性を得る上で必要とされる、金属光沢付与用のソルベントインクの吸収能力を得ることができれば特に限定されない。より十分な金属光沢付与用のソルベントインクの吸収能力を得る上では、インク吸収層は、層厚が10μm以上である部分を有することが好ましい。インク吸収層の層厚の上限には光輝性を得る上での限定はないが、40μm以下である部分を有することが好ましい。インク吸収層が厚いほど、下層である表面凹凸層の凹凸形状の尖鋭性が低下する場合がある。
ここで、インク吸収層の膜厚は表面凹凸層上の膜厚であり、画像を切断してその断面を電子顕微鏡で観察することなどにより計測することが可能である。また、表面粗さ測定装置を用いて、インク吸収層を形成した領域と形成していない領域の段差を計測することも可能である。
(インク吸収層における金属光沢付与用のソルベントインクの吸収速度)
得られたインク吸収層に対する、金属光沢付与用のソルベントインクの吸収速度は、全自動表面接触計(DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて測定することができる。詳細な評価方法については後述する。インク吸収層におけるソルベントインクの吸収速度は速いほど好ましく、主に溶剤成分が完全に吸収されるまで5分未満のインク吸収層では、金属光沢層において高い光輝性を発現し、視感反射率Y24%以上の高い光輝性を得ることも可能となる。
(金属光沢層)
以下、金属光沢層に係る詳細を説明する。
(金属光沢付与用のソルベントインク)
金属光沢付与用のソルベントインクは、薄片状粒子を溶剤成分に分散した液体吐出ヘッドからの吐出用分散液として調製される。
薄片状粒子としては、薄片状アルミニウム含有粒子、薄片状パール顔料、薄片状有機結晶等を挙げることができる。これらの1種または2以上を組み合わせて用いることができる。
薄片状粒子としては、薄片状のアルミニウム含有粒子が好ましい。これは、薄片状のアルミニウム含有粒子は、記録媒体上に平行配向させることによって高い光輝性を発現するからである。
アルミニウム含有粒子としては、アルミニウム粒子、アルミニウム合金粒子を挙げることができ、これらの1種または2以上を組み合わせて用いることができる。アルミ粒子としては、アルミニウム単体(金属アルミニウム)、アルミニウム合金を微粉砕し、必要に応じて分級したものを利用することができる。
アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加する別の金属元素としては、金属光沢を有するものであれば特に限定されるものではないが、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銀、銅等を挙げることができる。
また、アルミニウム含有粒子に加えて、他の金属粒子をソルベントインクの金属光沢用の成分として添加することもできる。このような他の金属粒子としては、銀粒子、銅亜鉛合金粒子等を挙げることができる。他の金属粒子としても、金属単体を粉砕し、必要に応じて分級したものを用いることができる。
また、前記アルミニウム、アルミ合金は、保護層で挟まれていても良い。保護層としては、酸化ケイ素層、アクリル樹脂層等を挙げることができる。
金属光沢付与用のソルベントインクと液体吐出ヘッドからの吐出性能や、金属光沢層からの光輝性をより良好なものとするという観点からは、薄片状アルミニウム含有粒子の平均長径は0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。また、同様の観点から、薄片状アルミニウム含有粒子の最大長径が10μm以下であることが好ましい。更に、同様の観点から、薄片状アルミニウム含有粒子の平均厚みは10nm以上100nm以下であることが好ましい。
なお、平均長径は、1個の薄片状粒子の略平面視における端から端の長さのうち最も長い長さの薄片状粒子全体の値の平均値である。最大長径は、1個の薄片状粒子の略平面視における端から端の長さのうち最も長い長さである。平均厚さは、1個の薄片状粒子の略側面視における厚みの薄片状粒子全体の値の平均値である。
薄片状アルミニウム含有粒子としては、鱗片状のアルミニウム含有粒子を好ましく用いることができる。鱗片状アルミニウム含有粒子としては、尾池イメージング(株)のAlリーフパウダー高輝度品、東洋アルミニウム(株)の蒸着アルミニウム顔料Decomet等を用いることができる。
薄片状アルミニウム含有粒子のソルベントインクでの含有量としては、2質量%以上、20質量%以下が好ましい。2質量%以下では薄片状アルミニウム含有粒子によるインク吸収層の表面被覆率が低くなり、十分な光輝性を得られない場合がある。20質量%以上では、ソルベントインクの粘度上昇等によって液体吐出ヘッドからの安定した吐出性能を得られない場合がある。
(溶剤)
金属光沢付与用のソルベントインクの液体成分として用いる溶剤としては、液体吐出ヘッドからの吐出性能を満たし、かつ表面凹凸層上に設けられたインク吸収層に吸収されて配向した薄片状粒子を含む金属光沢層の形成を可能とするものであればよい。このような溶剤としては、グリコールエーテル類、ラクトン類、これらの混合物等の有機溶剤を挙げることがきる。これらの中では、グリコールエーテル類は、先に説明したアクリル系エマルジョン樹脂、あるいはウレタン系エマルジョン樹脂を用いて形成したインク吸収層における吸収性が高いため好ましい。比較的分子量の大きいグリコールエーテル類は、沸点が高く、また人体や環境への負荷が少ない有機溶剤として用いられている。さらに液体吐出ヘッドから安定吐出が可能であり、好適であると言える。一方、ラクトン類は、先に説明したアクリル系エマルジョン樹脂、あるいはウレタン系エマルジョン樹脂を用いて形成したインク吸収層における適度な表面溶解性と吸収性を併せ持つため、好ましい。
グリコールエーテル類としては、メチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、そして2−エチルヘキシルの脂肪族、二重結合を有するアリル並びにフェニルの各基をベースとするエチレングリコール系エーテルとプロピレングリコール系エーテルが好ましい例として挙げられ、さらに具体的に述べると、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が好ましい例として挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、δ―バレロラクトン、ε―カプロラクトンなどが好ましい例として挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の添加剤)
薄片状粒子の分散剤として、セルロースアセテートブチレートを用いても良い。セルロースアセテートブチレートは、薄片状粒子を溶剤中で分散させるだけでなく、インク膜内での薄片状粒子同士を近接させて、平行配向を助ける作用を有する。セルロースアセテートブチレートとしては、イーストマンコダック社製、楠本化学社製等を用いることができる。必要に応じて所望の物性値を有するソルベントインクとするために、その他の成分として、分散剤、界面活性剤、防錆剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、粘度調整剤、皮膜形成助剤などの種々の添加剤の少なくとも1種を含有してもよい。
(金属光沢層の形成方法)
金属光沢層の形成方法の一例を以下に説明する。
インク吸収層上に金属光沢層を形成するため、インクジェット記録装置のヘッドカートリッジの有する貯留タンクに、金属光沢付与用のインクを充填して、ヘッドカートリッジの所定位置にセットした。また、表面凹凸層及びインク吸収層を予め形成しておいた白色PETシートをインクジェット装置のメディアカセットにセットした。記録条件は、1インチ当りのドット数、すなわち解像度は600dpi、8パスの往復操作で画像を形成する8パス双方向記録とした。そして、記録デューティ100%で金属光沢付与用インクを吐出して、ヒータにより乾燥温度40〜50℃でインクから揮発成分を揮発させながら、同時にインクをインク吸収層内部に速やかに吸収させた。これによって、薄片状粒子がインク吸収層上に平行配向して薄片状粒子同士が結着して金属光沢層を形成し、形成された金属光沢層において高い光輝性を発現することが可能となる。
金属光沢層は、後述する視感反射率Yが少なくとも24%となるように形成されることが好ましい。
(色画像)
色画像のインクおよび形成方法は、インクジェット記録装置で吐出できるインク、および形成方法であれば、特に限定されない。色画像用のインクとしては、金属光沢付与用のソルベントインクに顔料及び/または染料を加えたインク、ソルベントインク用の溶剤に顔料や染料で表面が着色されたアルミ粒子を分散させたインク等を用いることもできる。更に、金属光沢層の表面に、インクジェット法等によりインクを付与して所定の色に着色する方法により色画像を記録してもよい。また、記録媒体の一部を、金属光沢層を形成しない領域として残し、そこに色画像用のインクを用いて色画像を形成してもよい。なお、この金属光沢層を形成していない領域は、記録媒体の露出面、表面凹凸層及びインク吸収層から選択した部分から形成することができる。なお、先に述べた通り、金属光沢層と色画像を同時に形成しても良い。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
(紫外線硬化性インク)
紫外線硬化性液体材料として、単官能性モノマーであるジメチルアクリルアミド 68質量%、多官能性モノマーであるデンドリマーアクリレート 27質量%、開始剤としてイルガキュア819 2質量%、Lucirin TPO 3質量%を混合したものを用いた。
(表面凹凸層の形成)
先ず、図1に示すインクジェット記録装置のヘッドカートリッジの有するカートリッジタイプのタンクに、上記で得られた紫外線硬化性液体材料を充填し、ヘッドカートリッジの所定位置にセットした。また、記録媒体として白色PETシート(商品名:E20、東レ株式会社製)を準備して、インクジェット装置のメディアカセットにセットした。記録条件は、1インチ当りのドット数、すなわち解像度は1200dpi、8パスの往復操作で画像を形成する8パス双方向記録とした。そして、記録デューティを0%から100%まで変調した画像を用いて、表面凹凸層を作製した。
(樹脂含有液体材料)
インク吸収層形成用の液体材料として、アクリルエマルジョン(高松油脂株式会社製のES−980EA)20質量%に、ジエチレングリコールジエチルエーテルを30質量%、イソプロパノールを20質量%、水30質量%を混合した分散液を調製した。この分散液の粘度は約3mPaであった。粘度測定は、Anton Paar 社製 MCR300レオメーターを用いた。
(インク吸収層の形成)
次に表面凹凸層の上にインク吸収層を形成するため、インクジェット記録装置のカートリッジタイプのタンクに、上記で得られたインク吸収層形成用の液体材料を充填して、ヘッドカートリッジの所定位置にセットした。また、表面凹凸層が形成された白色PETシートをインクジェット装置のメディアカセットにセットした。記録条件は、1インチ当りのドット数、すなわち解像度は600dpi、8パスの往復操作で画像を形成する8パス双方向記録とした。そして、記録デューティが100%である画像を形成して、プリントヒータによって乾燥温度60〜70℃で溶媒を揮発させて、インク吸収層を作製した。インク吸収層の膜厚は10μmとした。
(金属光沢付与用ソルベントインク)
鱗片状アルミ粒子には、アルミ蒸着膜を粉砕した鱗片粒子を酢酸ブチルに分散させたアルミ分散液(尾池イメージング(株)、Alリーフパウダー高輝度品)を遠心分離によって、大粒径粒子を除去して平均粒径1μm、最大粒径10μm以下のアルミ分散液とした。鱗片状アルミ粒子の平均厚みは20nm以上、40nm以下である。さらに有機溶媒成分の調整により、ジエチレングリコールジエチルエーテル70質量%、テトラエチレングリコールジメチルエーテル15質量%、γ-ブチロラクトン10質量%、鱗片状アルミ粒子5質量%である金属光沢付与用のソルベントインクを得た。
(金属光沢層の形成)
インク吸収層の上に金属光沢層を形成するため、インクジェット記録装置のカートリッジタイプのタンクに、上記で得られた金属光沢付与用のソルベントインクを充填し、ヘッドカートリッジの所定位置にセットした。記録条件は、1インチ当りのドット数、すなわち解像度は600dpi、8パスの往復操作で画像を形成する8パス双方向記録とした。そして、記録デューティが100%でインクを吐出させて、金属光沢層を形成し、印刷物を得た。
(実施例2〜15)
表1に示すインク吸収層形成用の液体材料及びインク吸収層の層厚をそれぞれ用いる以外は実施例1と同様にして、印刷物を得た。
Figure 2016221771
(比較例1)
インク吸収層を設けない以外は、実施例1と同様に実施して、印刷物を得た。
(比較例2)
記録媒体上での金属光沢付与用ソルベントインクの乾燥温度を100℃に上げた以外は、比較例1と同様に実施して、印刷物を得た。
(比較例3)
紫外線の照射量を10mJ/cmまで低減して、表面凹凸層を完全重合させない以外は、比較例1と同様に実施して、印刷物を得た。
(比較例4)
紫外線硬化性インクとして、単官能性モノマーのジメチルアクリルアミドを40質量%、多官能性オリゴマーのビスコート#150Dを40質量%、希釈溶剤としてジエチレングリコールジエチルエーテルを15質量%、開始剤としてイルガキュア 819を2質量%、Lucirin TPO 3質量%加えたものを用いた。それ以外は、比較例1と同様に実施して、印刷物を得た。
(金属光沢付与用のソルベントインクの吸収速度、金属光沢画像の光輝性、耐擦過性の評価)
実施例1〜15及び比較例1〜4において用いたインク吸収層の金属光沢付与用のソルベントインクの吸収速度、得られた金属光沢画像の光輝性及び耐擦過性を以下の方法により評価した。得られた評価結果を表2に示した。
(インク吸収速度)
インク吸収層における金属光沢付与用ソルベントインクの吸収速度は、全自動表面接触計(DM−701、協和界面科学株式会社性製)を用いて測定した。評価用試料としては、王子製紙株式会社製のOKトップコート紙上に、インク吸収層として評価した各種の樹脂含有液体材料をバーコータで塗布、乾燥させることによって、各層厚のインク吸収層を形成した。これらの評価用試料に対して、実施例1に従って調製した金属光沢付与用ソルベントインクを1μl滴下して、インクの液体成分が完全に吸収されるまでの時間をカメラで断面観察した。インクの滴下には、協和界面科学製のテフロンコート針18Gを装着したガラス製注射針を用い、インク液滴の断面観察には、全自動表面接触計(DM−701)の評価用試料表面上の液滴観察機能を用いた。評価用試料に対して、背面側から白色ランプ光を照射し、試料を挟んで180度方向に配置された観察用カメラを用いて、評価用試料上の液滴の経時変化を観察した。ちなみに、評価用試料の記録媒体として用いたOKトップコート紙単体では、上記記載した金属光沢用ソルベントインクのインク液摘量を1μL滴下した場合、数秒以下で吸収され、当該記録媒体上に塗布したインク吸収層の評価に対する影響は軽微である。インク吸収速度の評価基準は、以下の通りである。
4:インクが完全に吸収されるまで5分未満(5分/1μL未満)
3:5分以上〜10分未満
2:10分以上〜20分未満
1:20分以上
(光輝性)
上記で得られた印刷物について、顕微分光計(LVmicroV、ラムダビジョン製)を用いて正反射率を計測した。正反射率の強度として、視感反射率を表すY値を用いた。各印刷物において面内10点測定を行い、平均値によって評価した。光輝性の評価基準は、以下の通りである。
3:視覚反射率Yが24%以上で、光輝性が高い
2:視覚反射率Yが10%以上〜24%未満で、光輝性は許容範囲である。
1:視覚反射率Yが10%未満で、光輝性は低い。
(耐擦過性)
上記で得られた印刷物の金属光沢面を人差し指で片方向に1回こすり、その変化を目視観察で評価した。
3:元々の金属光沢面から周囲に広がらない。(定着性良好)
2:金属光沢面は拡がったが、光輝性に明らかな変化は無かった。
1:元々の金属光沢面の光輝性が低下した。(定着性不良)
Figure 2016221771
表2に示したように、実施例1〜7の印刷物はインク吸収速度が速く、光輝性、耐擦過性ともに良好である。実施例8〜15の印刷物は、実施例1〜7と比較してインク吸収速度が低く、光輝性は低下するが、許容範囲である。これに対して、インク吸収層を形成しない比較例1〜4はインク吸収速度が非常に遅く、光輝性は低く、耐擦過性も悪い。
830:記録媒体
831:表面凹凸層
832:インク吸収層
833:金属光沢層

Claims (8)

  1. 記録媒体上に、金属光沢を有する凹凸面を含む画像を記録する方法において、
    記録媒体に、活性エネルギー線硬化性の材料の、活性エネルギー線の照射による硬化物からなる表面凹凸層を設ける工程と、
    前記表面凹凸層上にインク吸収層を形成する工程と、
    前記インク吸収層に、金属光沢付与用の薄片状粒子を含むインクをインクジェット法により付与する工程と、
    を有することを特徴とする画像記録方法。
  2. 前記インク吸収層は、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 前記インク吸収層は、アクリル系樹脂粒子及びウレタン系樹脂粒子の少なくとも1種の樹脂粒子を含有する液体材料を前記表面凹凸層に付与することにより形成されることを特徴とする請求項2に記載の画像記録方法。
  4. 前記樹脂粒子を含有する液体材料の付与がインクジェット法により行われることを特徴とする請求項3に記載の画像記録方法。
  5. 前記インク吸収層の厚みは10μm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像記録方法。
  6. 前記インク吸収層における前記金属光沢用のインクの吸収速度は5分/1μL未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像記録方法。
  7. 前記活性エネルギー線硬化性の液体材料が、アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物またはビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像記録方法。
  8. 記録媒体上で、インクジェット法を用いて付与された活性エネルギー線硬化性の液体材料に活性エネルギー線を照射して、該液体材料の硬化物により前記表面凹凸層を形成する工程を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像記録方法。
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