JP2016220803A - 移動運動解析装置及びシステム並びにプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】人の歩行などの移動運動に中に当該人に取り付けられた加速度センサから得られたデータ上で踵着地を精度よく認識する。【解決手段】加速度センサを用いて得られた、人の移動運動中における上下方向の加速度を表す波形または当該加速度に基づいて演算される量を表す波形における極大値及び極小値のいずれか一方である極値を特定する特定手段と、前記特定された極値のうち所定の閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように前記閾値を決定する決定手段と、前記特定された極値のうち前記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を、前記人の足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。【選択図】図16

Description

本発明は、加速度センサ(sensor)を用いて人の歩行などの移動運動を評価するための技術に関する。
従来、医療施設や介護施設等において、歩行障害を持つ患者に対するリハビリテーション(rehabilitation)が行われている。
このリハビリテーションでは、一般的に、患者に適した歩行訓練プログラム(program)を作成したり、患者の回復レベル(level)を把握したりするために、理学療法士などの指導員が、患者の歩行運動を繰り返し評価する。
また、近年においては、加速度センサを用いて人の歩行などの移動運動中に生じる加速度を測定し、その測定結果に基づいて移動運動を定量的かつ客観的に評価する試みが成されている(例えば、特許文献1,要約等参照)。
特開2013−059489号公報
上記のように加速度の測定結果に基づいて移動運動を評価する場合、加速度データ(data)における足が着地するタイミング(timing)を認識することは非常に重要である。
しかしながら、加速度データには複雑な波形が現れることが多く、足が着地するタイミングを精度よく認識することは難しい。
このような事情により、移動運動をする人に取り付けられた加速度センサからのデータにおいて、足が着地するタイミングを高い精度で認識することができる技術が望まれている。
第1の観点の発明は、
加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における上下方向の加速度を表す波形における極大値及び極小値のいずれか一方である極値を特定する特定手段と、
前記特定された極値のうち所定の閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように前記閾値を決定する決定手段と、
前記特定された極値のうち前記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を前記人の足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。
第2の観点の発明は、
加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における上下方向の加速度に基づいて演算された量を表す波形における極大値及び極小値のいずれか一方である極値を特定する特定手段と、
前記特定された極値のうち所定の閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように前記閾値を決定する決定手段と、
前記特定された極値のうち前記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を前記人の足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。
ここで、「極大値及び極小値のいずれか一方である極値」とは、足の着地が上記波形における極大値として現れるときには「極大値」であり、足の着地が上記波形における極小値として現れるときには、「極小値」である。また、「閾値を超える極値」とは、極値が極大値であるときは、「閾値を上回る極大値」であり、極値が極小値であるときは、「閾値を下回る極小値」である。
また、「足が着地した時刻」とは、足の少なくとも一部、例えば踵や足の裏全体が、前記人の歩行する路面に実質的に接した時刻である。なお、「着地」は、足が靴などを介在して間接的に路面に接する場合も含む。
第3の観点の発明は、
前記演算された量が、前記上下方向の加速度の項を含む演算式により演算される上記第2の観点の移動運動解析装置を提供する。
第4の観点の発明は、
前記演算される量が、前記上下方向の加速度の二階微分を表す項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算される上記第2の観点または第3の観点の移動運動解析装置を提供する。
第5の観点の発明は、
前記k乗が、3乗である上記第4の観点の移動運動解析装置を提供する。
第6の観点の発明は、
前記検出手段が、前記閾値を超える極値が所定時間幅内に複数存在するときに、該複数の極値に対応した時刻を平均化して成る時刻を、前記足が着地した時刻として検出する上記第1の観点から第5の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。
第7の観点の発明は、
前記所定時間幅が、前記時間間隔の平均の半分以下である上記第6の観点の移動運動解析装置を提供する。
第8の観点の発明は、
前記ばらつき度は、前記時刻の時間間隔の分散または標準偏差である上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。
第9の観点の発明は、
前記波形が、高周波成分を除去する処理が施されている上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。
第10の観点の発明は、
前記移動運動が、歩行である上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。
第11の観点の発明は、
前記加速度センサと、上記第1の観点から第10の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置とを備えた移動運動解析システム(system)を提供する。
第12の観点の発明は、
コンピュータ(computer)を上記第1の観点から第10の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置として機能させるためのプログラムを提供する。
上記観点の発明によれば、移動運動をする人に取り付けられた加速度センサからのデータにおいて、踵着地のタイミングを高い精度で認識することができる。
歩行解析システムの構成を概略的に示す図である。 加速度センサモジュール及び歩行解析装置のハードウェアの構成を示す図である。 加速度センサモジュール及び歩行解析装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。 加速度データ解析部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。 歩行解析システムにおける処理の流れを示すフロー図である。 サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形、前後方向加速度波形、及び上下方向加速度波形を示す図である。 サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形、前後方向加速度波形、及び上下方向加速度波形の拡大図である。 サンプル加速度データに基づいて生成された加速度波形に、解析対象として決定された歩行期間を重ねて表した図である。 上下方向加速度波形と歩行位相との関係を示す図である。 ステップ基準時刻検出部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。 ステップ基準時刻検出処理の流れを示すフロー図である。 サンプル加速度データに基づく上下方向加速度波形の拡大図である。 上下加速度反映波形を示す図である。 上下加速度反映波形において特定された極大値を示す図である。 上下加速度反映波形と決定された閾値とを示す図である。 認識された踵着地を示す図である。 上下加速度反映波形において複数の極大値が時間的に近接して現れる場合の例を示す図である。 ステップ波形グラフ生成部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。 ステップ波形グラフ生成処理の流れを示すフロー図である。 上下方向加速度波形を示す図である。 第1の左右ステップ波形抽出方法を説明するための図である。 第2の左右ステップ波形抽出方法を説明するための図である。 抽出された複数の左右ステップ波形の一例を示す図である。 左右ステップ波形の代表波形、各歩行位相のばらつきバーなどが表示された画面の表示例を示す図である。
以下、発明の実施形態について説明する。なお、これにより発明は限定されない。
図1は、歩行解析システム1の構成を概略的に示す図である。なお、歩行解析システム1は、発明における移動運動解析システムの一例である。
歩行解析システム1は、図1に示すように、加速度センサモジュール(sensor module)2と、歩行解析装置3とを有している。加速度センサモジュール2は、患者10の背面の腰部中央等に、粘着パッド(pad)やバンド(band)等により装着される。歩行解析装置3は、操作者11が携帯したり操作したりして使用される。なお、歩行解析装置3は、発明における移動運動解析装置の一例である。
図2は、加速度センサモジュール2及び歩行解析装置3のハードウェア(hardware)の構成を示す図である。
図2に示すように、加速度センサモジュール2は、プロセッサ(processor)21と、加速度センサ22と、メモリ(memory)23と、通信I/F(interface)24と、バッテリ(battery)25とを有している。歩行解析装置3は、例えば、スマートフォン(smart phone)、タブレット型コンピュータ(tablet computer)、ノートパソコン(note PC)などのコンピュータ端末であり、プロセッサ31と、ディスプレイ(display)32と、操作部33と、メモリ34と、通信I/F35と、バッテリ36とを有している。なお、プロセッサ21及びプロセッサ31は、それぞれ、単一のプロセッサに限定されず、複数のプロセッサである場合も考えられる。
図3は、加速度センサモジュール2及び歩行解析装置3の機能的な構成を示す機能ブロック(block)図である。
加速度センサモジュール2は、図3に示すように、加速度センサ部201と、サンプリング(sampling)部202と、送信部203とを有している。なお、サンプリング部202及び送信部203は、プロセッサ21がメモリ23に記憶されている所定のプログラム(program)を読み出して実行することにより実現される。
加速度センサ部201は、センサ本体を基準とした3次元直交座標系におけるx,y,zの各軸方向の加速度成分について、その加速度成分に応じたアナログ(analog)信号をほぼリアルタイム(real time)に出力する。
サンプリング部202は、そのアナログ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル(digital)の加速度データに変換する。サンプリング周波数は、例えば128Hzである。サンプリング部202は、例えば、1g(重力加速度)=9.8m/s2=加速度データ値128となるスケール(scale)で、加速度データを出力する。
送信部203は、サンプリングされた各時刻における加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイムにて無線で送信する。
なお、本例では、加速度センサモジュール2は、センサ本体のx軸方向、y軸方向及びz軸方向が、それぞれ、患者10のRL(Right-Left)方向、AP(Anterior-Posterior)方向及びSI(Superior-Inferior)方向と一致するように取り付けられる。RL方向、AP方向及びSI方向は、それぞれサジタル(sagittal)方向、コロナル(coronal)方向及びアキシャル(axial)方向とも言う。また、本例では、加速度センサモジュール2の姿勢(傾き)は、患者10の歩行中において変化しないものと仮定する。
歩行解析装置3は、図3に示すように、操作部301と、ディスプレイ部302と、患者情報受付部303と、受信部304と、加速度データ取得制御部305と、加速度データ解析部307と、表示制御部310と、記憶部312とを有している。患者情報受付部303、加速度データ取得制御部305、加速度データ解析部307、及び表示制御部310は、プロセッサ31がメモリ34に記憶されている所定のプログラムを読み出して実行することにより実現される。
操作部301は、操作者11の操作を受け付ける。操作部301は、例えば、タッチパネル(touch panel)、タッチパッド(touch pad)、キーボード(keyboard)、マウス(mouse)などにより構成されている。なお、操作者11は、例えば、理学療法士などの指導員である。
ディスプレイ部302は、画像を表示する。ディスプレイ部302は、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどにより構成されている。
患者情報受付部303は、患者情報の入力を受け付け、入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。
受信部304は、加速度センサモジュール2の送信部203から送信された加速度データを無線で受信する。なお、送信部203と受信部304との無線通信には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の規格を用いることができる。
加速度データ取得制御部305は、操作者11による操作に基づいて加速度データを取得するよう受信部304及び記憶部312を制御する。
加速度データ解析部307は、取得された加速度データを解析して、その解析結果を出力する。加速度データ解析部307の詳細については後述する。
表示制御部310は、ディスプレイ部302の画面に、少なくとも加速度データの解析結果を含む種々の画像や文字情報などを表示するようディスプレイ部302を制御する。
記憶部312は、入力された患者情報、取得された加速度データ、加速度データの解析結果などを記憶する。なお、これらの情報は、必要に応じて、歩行解析装置3に接続されたデータベース(database)41に転送されたり、外付けのDVD−ROM、メモリカード(memory card)などの媒体や、インターネット(internet)を介して接続された外部の媒体などを含む記憶媒体42に保存されたりする。
ここで、加速度データ解析部307の詳細について説明する。加速度データ解析部307は、取得された加速度データに対して解析処理を行い、その解析結果を出力する。解析処理は、複数用意されている。加速度データ解析部307は、操作者11によって指定された解析処理を実行する。本例では、実行する解析処理として、取得された加速度データが担持する加速度成分の時間変化を表す加速度波形を生成し、その加速度波形から患者10の一歩または複数歩の前進動作に対応する部分波形を抽出し、その部分波形における代表的な波形と波高値のばらつきの程度とを求めてグラフ化する処理を想定する。
なお、一般的に、連続的な左右一歩ずつの前進動作の中には、右足の踵着地、左足のつま先蹴り、左足の踵着地、及び右足のつま先蹴りの各動作が1つずつ含まれる。
図4は、加速度データ解析部307の機能的な構成を示す機能ブロック図である。加速度データ解析部307は、上記の機能を実現させるため、図4に示すように、加速度成分算出部71と、加速度波形生成部72と、歩行期間特定部73と、ステップ基準時刻検出部74と、ステップ波形グラフ生成部75とを有している。
加速度成分算出部71は、取得された加速度データに基づいて、データ取得期間の各サンプリング時刻における患者10の左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分ax,ay,azをそれぞれ算出する。本例では、これらの加速度成分ax,ay,azは、重力加速度gの成分を除去して、患者10の純粋な運動により生じた加速度成分として算出することを想定する。ただし、より簡便に、重力加速度gの成分を含む形で特定してもよい。また、左右方向、前後方向及び上下方向は、それぞれ、水平左右方向、水平進行方向及び鉛直方向を想定する。ただし、より簡便に、加速度センサモジュール2のセンサ本体を基準としたx軸方向、y軸方向及びz軸方向としてもよい。なお、ここでは、加速度成分の正負は、左右方向では右側寄り、前後方向では前側寄り、上下方向では上側寄りをそれぞれ正とする。
加速度波形生成部72は、算出された各方向の各サンプリング時刻における加速度成分ax,ay,azに基づいて、左右方向の加速度成分axの時間変化を表す左右加速度波形Wx、前後方向の加速度成分ayの時間変化を表す前後加速度波形Wy、上下方向の加速度成分azの時間変化を表す上下加速度波形Wzをそれぞれ生成する。
歩行期間特定部73は、加速度データ取得期間の中で患者10が実際に歩行を行っている期間(以下、歩行期間ともいう)を特定する。
ステップ基準時刻検出部74は、解析対象として決定された歩行期間中の加速度波形に基づいて、それぞれが患者10の一歩の前進動作に対応する複数のステップ基準時刻を検出する。検出されたステップ基準時刻は、加速度波形において一歩分または複数歩分の前進動作に対応する部分波形を抽出する際に用いる。なお、ここでは、ステップ基準時刻として、踵着地のタイミングに対応した時刻を検出する。
ステップ波形グラフ生成部75は、検出されたステップ基準時刻に基づいて、一歩または複数歩の前進動作に対応する部分波形を抽出し、その部分波形の代表的な波形と同一の歩行位相での波高値のばらつきの程度とを算出し、これらをグラフ化する。ここで歩行位相とは、歩行を周期運動と考えたときの位相のことをいい、例えば、右足の踵着地、左足のつま先蹴り、左足の踵着地、及び右足のつま先蹴りなどのタイミングに対応する位相が含まれる。
これより、歩行解析システム1における処理の流れについて説明する。
図5は、歩行解析システム1における処理の流れを示すフロー(flow)図である。
ステップ(step)S1では、患者情報受付部303が、患者情報の入力を受け付け、入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。ここでは、操作者11が、歩行解析装置3の操作部301を操作して、患者10の患者情報を直接入力する。患者情報受付部303は、その直接入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。患者情報には、例えば、患者のID番号、氏名、年齢、性別、生年月日などが含まれる。なお、後述する患者10の加速度データやこの加速度データの解析結果などは、この患者情報と対応付けて記憶部312に記憶される。
ステップS2では、加速度データ取得制御部305が、受信部304及び記憶部312を制御して、患者10の各時刻tiにおける加速度データを取得する。ここでは、まず、操作者11が、患者10の腰部に加速度センサモジュール2を取り付ける。そして、操作者11は、歩行解析装置3の操作部31により、加速度データの取得開始操作を行う。加速度データ取得制御部305は、この操作に応答して、受信部304に加速度データの受信を開始させ、記憶部312にその受信された加速度データの記憶を開始させる。次に、患者10に、自身の標準的な歩行速度でしばらく歩行してもらう。歩行は、通常、距離にして5m〜20m程度、時間にして20秒〜3分程度、歩数にして10歩〜40歩程度である。加速度センサモジュール2のサンプリング部202は、加速度センサ部201の出力に基づいて、患者10の歩行中におけるx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度成分Ax,Ay,Azをサンプリングして計測する。加速度センサモジュール2の送信部203は、計測された加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイムで送信する。この間、受信部304は、送信部203から送信された加速度データを順次受信し、記憶部312は、その受信された加速度データを記憶する。患者10の歩行が終了したら、操作者11は、操作部31により加速度データの取得終了操作を行う。加速度データ取得制御部305は、この操作に応答して、受信部304に加速度データの受信を終了させる。これにより、加速度データの取得開始操作が成されてから取得終了操作が成されるまでの期間が実質的に加速度データ取得期間となり、この期間の各サンプリング時刻における各方向の加速度データが取得される。
ステップS3では、加速度データ解析部307が、加速度データに対して実行する解析処理を設定する。例えば、操作者11が、操作部301を操作して、取得した加速度データをグラフ化して表示したり、取得した加速度データを解析してその結果を表示したりする複数の機能の中から、実行させたい所望の機能を選択する。加速度データ解析部307は、その選択された機能に応じて、実行させる解析処理を設定する。本例では、操作者11は、患者10のステップ波形における代表波形とその波高値のばらつき程度とを表示する機能を選択するものとする。このようなステップ波形における代表波形とその波高値のばらつき程度とを表示する機能によれば、患者10の歩行中における加速度成分について、患者10に固有の波形形状を容易に認識することができ、また踵着地やつま先蹴りなどの各歩行位相における波形のばらつきを容易に比較・観察することができる。その結果、操作者11は、患者10の体重バランスすなわち静止状態からの移動の向きと強さについて特徴的な動きを把握し、患者10の足の踵着地及びつま先蹴りのタイミング、その強さ、及びその安定性を理解することができる。
ステップS4では、加速度成分算出部71が、取得された加速度データを記憶部312から読み出し、当該加速度データに基づいて、加速度データ取得期間の各サンプリング時刻における患者10の左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分ax,ay,azを算出あるいは特定する。なお、ここでは、加速度データが表す加速度から重力加速度gの成分を除去する処理を含む所定のアルゴリズム(algorithm)を用いて、各サンプリング時刻及び各方向の加速度成分を算出する。算出された加速度成分は、記憶部312に送信され記憶される。
ステップS5では、加速度波形生成部72が、ステップS4で算出された患者10の各サンプリング時刻における左右方向加速度成分ax、前後方向加速度成分ay、及び上下方向加速度成分azに基づいて、左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzを生成する。本例では、加速度波形生成部72は、加速度成分の各方向ごとに、加速度データの取得開始時点からの経過時間(時刻)と加速度成分とを2軸とした2次元座標系において、各時刻tiでの加速度成分a(i)に対応するデータ点[a(i), ti]をそれぞれプロットすることにより加速度波形を生成する。加速度波形は、必要に応じて、平滑化処理やスムージング処理を行って滑らかな曲線にする。
図6は、サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzを示す図である。横軸は、加速度データ取得開始から経過した時間t(秒)であり、縦軸は、加速度データ値ax,ay,az(重力加速度g/128)である。このサンプル加速度データは、約40秒間に渡って取得されたものである。このサンプル加速度データを取得する際に、被検者は、時間t=7秒あたりで歩行を開始し、途中の時間t=20〜23秒あたりで歩行を一時停止してしゃがみ込み、時間t=35秒あたりで歩行を終了している。生成された加速度波形には、被検者のそのような動作による加速度成分の変化が現れている。
図7は、サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzの拡大図である。
人の歩行運動では、通常、一方の足の踵着地、他方の足のつま先蹴り、他方の足の踵着地、一方の足のつま先蹴りという4つの動作がこの順番で繰り返し行われる。
上下方向加速度波形Wzにおいては、図7に示すように、歩行運動を構成する上記4つの動作の各々に対応して、波高値が一定以上となる極大値すなわちピーク波形を取ることが知られている。また、一方(他方)の足の踵着地から他方(一方)の足のつま先蹴りまでの時間は、相対的に短くなり、一方(他方)の足のつま先蹴りから同じ一方(他方)の足の踵着地までの時間は、相対的に長くなる。
前後方向加速度波形Wzにおいては、図7に示すように、一方の足の踵着地から他方の足のつま先蹴りまでの一歩の前進動作と、他方の足の踵着地から一方の足のつま先蹴りまでの一歩の前進動作と対応して、波高が一定以上となる極大値すなわちピーク波形を取ることが知られている。
図5に戻り、ステップS6では、歩行期間特定部73が、加速度データ取得期間の中で歩行期間を特定する。一般的に、加速度データ取得期間には、患者10が歩行を行っている期間と歩行を行っていない期間とが含まれている。歩行を行っていない期間としては、例えば、加速度データの取得を開始してから患者10が歩行を開始するまでの期間、患者10が歩行を終了してから加速度データの取得を終了するまでの期間、患者10が歩行中に一時的に歩行を止めてしまう期間などが挙げられる。一方、解析対象に歩行を行っていない期間の加速度データが含まれていると、正しい解析を行うことができない。そこで、ここでは、解析処理を行う前に、加速度データ取得期間の中で歩行期間を特定し、その歩行期間における加速度データを解析処理の対象として決定する。
一般的に、歩行期間を特定する方法としては、次のような方法が考えられる。
第1の歩行期間特定方法は、操作者11が加速度波形を見て歩行期間と考える期間を手動で指定し、指定された期間を歩行期間として特定する方法である。
第2の歩行期間特定方法は、サンプリング時刻ごとに患者10に生じた加速度の大きさを表す特徴量を求め、この特徴量が所定の閾値以上になった時点から当該閾値以下になった時点までを、歩行期間として特定する方法である。加速度の大きさを表す特徴量としては、例えば、重力加速度gの成分が除去された各方向の加速度成分ax,ay,azの平方二乗和が考えられる。
図8は、上記サンプル加速度データに基づいて生成された加速度波形W,Wy,Wzに、解析対象として決定された歩行期間R′を重ねて表した図である。
図5に戻り、ステップS7では、ステップ基準時刻検出部74が、解析対象となる歩行期間における加速度波形に基づいて、それぞれが患者10の一歩一歩の前進動作に対応する複数のステップ基準時刻tbjを検出する。以下に、一般的に考えられる検出方法を説明した後に、本例による検出方法について説明する。
一般的に、ステップ基準時刻を検出する方法としては、例えば、上下方向加速度波形Wzにおけるピーク波形や特定の波形パターンなど周期性を有する波形形状を検出することにより、ステップ基準時刻tbjを検出する方法が考えられる。
図9は、上下方向加速度波形Wzと歩行位相との関係を示す図である。ステップ基準時刻tbjを検出する方法としては、例えば、上下方向加速度波形Wzにおいて所定の閾値を超える極大値を特定し、その極大値に対応する時刻を踵着地の時刻として認識し、踵着地の時刻をステップ基準時刻tbjとして検出する。
この方法は、アルゴリズムが簡単で分かりやすい。
しかしながら、加速度の閾値判定で判断しているので、特定精度に限界がある。例えば、患者の年齢、体格、歩行障害の程度などによって動作時に生じる加速度の大きさが異なるため、患者によって検出精度にばらつきが生じる。また例えば、踵着地とは異なる動作を誤検出したり、真の踵着地の検出漏れを起こしたりする。
そこで、本例では、ステップ基準時刻検出部74は、ステップ基準時刻を精度よく検出することができるように工夫された方法を用いて、ステップ基準時刻を検出する。以下、このようなステップ基準時刻検出部74の機能的な構成と、そのステップ基準時刻検出処理について説明する。
図10は、ステップ基準時刻検出部74の機能的な構成を示す機能ブロック図である。ステップ基準時刻検出部74は、図10に示すように、上下方向加速度波形読取部741と、上下加速度反映波形生成部742と、極大値特定部743と、閾値決定部744と、踵着地認識部745とを有している。
なお、極大値特定部743、閾値決定部744、及び踵着地認識部745は、それぞれ、発明における特定手段、決定手段、及び検出手段の一例である。
図11は、ステップ基準時刻検出処理の流れを示すフロー図である。
ステップS71では、上下方向加速度波形読取部741が、上下方向加速度波形Wzを記憶部312から読み出す。上下方向加速度波形Wzでは、患者10の一歩一歩の前進動作につき一方の足の踵着地に対応するピーク波形と他方の足の踵着地に対応するピーク波形とが略一定の時間間隔で交互に現れる。そこで、ここでは、ステップ基準時刻の検出に、上下方向加速度波形Wzを用いる。上下方向加速度波形読取部741は、読み出された上下方向加速度波形Wzのうち解析対象となる歩行期間の波形部分を上下方向加速度波Wz′として切り出す。
図12は、上記のサンプル加速度データに基づく上下方向加速度波形Wz′の拡大図である。この図において、横軸は、解析対象として決定された歩行期間における時間tを示しており、縦軸は、上下方向加速度成分azを示している。
なお、ステップ基準時刻の検出に用いる加速度波形は、上下方向加速度波形Wz′だけに限定されず、他の加速度波形や混合波形等であってもよいが、上下方向加速度成分azを主要な成分として含む波形であることが望ましい。
図11に戻り、ステップS72では、上下加速度反映波形生成部742が、上下加速度反映波形WJz′を生成する。上下加速度反映波形WJz′とは、患者10の上下方向加速度成分azが反映された波形のことであり、上下加速度反映成分Jz′の時間変化を表す波形であるともいえる。ここでは、上下加速度反映波形WJ′は、上下方向の上側への加速度の増大が正側への変化として現れる波形とする。上下加速度反映波形WJ′は、上下方向加速度成分azを歩行同期波形と同一の時間で表す波形であってもよいし、上下方向加速度成分azに基づいて演算される量を歩行同期波形と同一の時間で表す波形であってもよい。例えば、演算される量は、上下方向加速度成分azの項を含む演算式により演算される。また例えば、演算される量は、加速度の変化をより強調するため、上下方向加速度成分azを二階時間微分した項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算される。極値における二階微分は、その点での曲率なので、ピークがどれほど尖っているかを表す。
ここでは、上下加速度反映波形WJz′を、上下方向加速度成分azの絶対値|az|とその加速度成分azの二階時間微分の絶対値|d2z/dt2|を3乗したものとの積で表される上下加速度反映値Jzの時間変化を表す波形とする。|d2z/dt2|を3乗しているのは、|az|よりも|d2z/dt2|に重みを付けるとともに、|d2z/dt2|の微妙な差異を強調するためである。
上下加速度反映波形WJz′は、例えば図13に示すような波形になる。このようにすることで、患者10の踵着地HCの動作に伴う上下方向加速度成分azの変化が強調された波形、すなわち上下加速度反映値Jzの時間変化を表す上下加速度反映波形WJz′を得ることができる。これにより、上下加速度反映波形WJz′において極大値Phを探索することにより、患者10の踵着地HCを検出することが可能になる。
ステップS73では、極大値特定部743が、極大値Phを特定する。まず、必要に応じて、上下加速度反映波形WJz′において高周波成分を除去する。これにより、スパイク状の高周波のノイズが除去される。次に、高周波成分が除去された上下加速度反映波形WJz′において、極大値Phを特定する。この極大値Phは、患者10の踵着地HCと対応したものの候補になる。
図14は、上下加速度反映波形WJz′において特定された極大値Phを示す図である。
ステップS74では、閾値決定部744が、閾値Thを決定する。ステップS73で特定された極大値Phのうち所定の閾値Thを超える極大値Phに対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように当該閾値Thを決定する。ばらつき度は、例えば、分散または標準偏差である。真の踵着地HCと対応した極大値Phは、一定レベル以上の大きさを持つことが予想される。また、患者10が普通に前進運動をするとき、理想的には、踵着地HCは左右交互にほぼ一定の間隔で行われることが想定される。したがって、このように閾値Thを決定し、決定した閾値Thを超える極大値Phのみを抽出することで、真の踵着地HCに対応した極大値Phのみを高い確率で特定することができる。
図15は、上下加速度反映波形と決定された閾値とを示す図である。
ステップS75では、踵着地認識部745が、踵着地HCを認識する。すなわち、上下加速度反映波形における極大値Phのうち、ステップS74で決定された閾値Thを超える極大値Phを、真の踵着地HCと対応付けて認識する。これにより、閾値Thを超える極大値PHに対応した時刻は、踵着地HCのタイミングに対応した時刻と考えることができる。そして、この時刻を、ステップ基準時刻とすることができる。
図16は、認識された踵着地HCを示す図である。本図において、踵着地HCに対応した時刻すなわちステップ基準時刻は、二点破線で示されている。
なお、実際には、図17に示すように、上下加速度反映波形WJz′における極大値Phは、踵着地HCの他に、踵着地HCと時間的に近接したタイミングで行われる何らかの動作、例えば、踵着地HCを行う足とは反対の足によるつま先蹴りTO等によっても現れることがある。また、このように時間的に近接して複数の極大値Phが現れた場合、いずれの極大値Phが踵着地HCに対応する極大値Phであるのかを見分けることは非常に難しい。そこで、上下加速度反映波形WJz′において閾値Thを超える極大値Phが、比較的短い所定時間幅Δt内に複数存在する場合には、これら複数の極大値Phに対応する時刻を平均化して成る時刻を、踵着地HCと対応付けるようにするとよい。この所定時間幅Δtは、経験的に、例えば閾値Thを超える極大値Phにおける時間間隔の平均の半分以下とすることができ、より好適には、当該平均の1/2〜1/3程度とすることができる。
このように、加速度反映波形において極大値または極小値の一方である極値を特定し、特定された極値のうち閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように当該閾値を決定し、特定された極値のうち上記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を踵着地の時刻として検出する方法によれば、理想的には踵着地がほぼ一定の周期で行われることを考慮して上記閾値を最適化することにより、検出漏れや誤検出を抑えることができ、踵着地の時刻を精度よく認識することができる。その結果、例えば、患者10の一歩ごとの加速度成分について、波形を観察したり、波形の解析を行ったりする上で、その精度を向上させることができる。
図5に戻り、ステップS8では、グラフを生成する。ステップ波形グラフ生成部75が、ステップ波形の代表的な波形と同一の歩行位相における波高値のばらつき程度とを表すグラフを生成する。なお、ステップ波形の代表的な波形と同一の歩行位相における波高値のばらつき程度とを表すグラフを生成する処理は、右足一歩の前進動作と左足一歩の前進動作とで別々に行うようにしてもよいが、本例では、左右一歩ずつの前進動作を含む一連の動作に対応した左右ステップ波形について行う。すなわち、加速度波形から複数の左右ステップ波形を抽出し、この左右ステップ波形における代表的な波形と波高値のばらつき程度とを求め、グラフ化する。このようにすれば、患者10の一歩の前進動作について、対応する加速度成分の波形を左右同時に観察したり、左右で比較したりすることができる。また、一歩の前進動作に要する時間を左右同時に確認したり、比較したりすることができる。
以下、ステップ波形グラフ生成部75の機能的な構成と、ステップ波形グラフ生成処理について説明する。
図18は、ステップ波形グラフ生成部75の機能的な構成を示す機能ブロック図である。ステップ波形グラフ生成部75は、図18に示すように、ステップ波形抽出部751と、ステップ波形正規化部752と、代表波形演算部753と、波高値ばらつき演算部754と、グラフ生成部755とを有している。
図19は、ステップ波形グラフ生成処理の流れを示すフロー図である。
ステップS81では、ステップ波形抽出部751が、左右方向加速度波形Wx′、前後方向加速度波形Wy′及び上下方向加速度波形Wz′において、検出された複数のステップ基準時刻tbjに基づいて、複数の左右ステップ波形Px,j,Py,j,Pz,jを抽出する。
なお、ここでは、上下方向加速度波形Wz′において複数の左右ステップ波形Pz,jを抽出する場合を例に説明する。
図20は、上下方向加速度波形Wzを示す図である。図20に示すように、上下方向加速度波形Wzでは、右足の踵着地、左足のつま先蹴り、左足の踵着地、及び右足のつま先蹴りの動作に対応する歩行位相において、ピーク波形が現れる。
左右ステップ波形を抽出する方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
まず、第1の左右ステップ波形抽出方法について説明する。
図21は、第1の左右ステップ波形抽出方法を説明するための図である。第1の左右ステップ波形抽出方法は、偶数番目または奇数番目のステップ基準時刻tbjに着目し、その着目したステップ基準時刻と特定の位置関係にある時間範囲trjに対応する部分波形を左右ステップ波形Pjとして抽出する方法である。第1の左右ステップ波形抽出方法では、まず、実験やシミュレーションの結果等により、左右ステップ波形とステップ基準時刻との相対的な位置関係Jを求めておく。次いで、上下方向加速度波形Wzにおけるピーク波形間の時間等に基づいて、左右一歩ずつの前進動作が繰り返される周期Δtsを求める。そして、位置関係Hと周期Δtsとに基づいて、着目したステップ基準時刻tbjに対してどの時間範囲が左右一歩ずつの前進動作に対応する時間範囲となるかを求める。左右一歩ずつの前進動作に対応する時間範囲は、例えば、着目したステップ基準時刻tbjより−Δt1の時点から+(Δts−Δt1)の時点までの時間範囲として求める。ステップ波形抽出部751は、このように求められた時間範囲の部分波形を、左右ステップ波形Pjとして抽出する。
次に、第2の左右ステップ波形抽出方法について説明する。
図22は、第2の左右ステップ波形抽出方法を説明するための図である。第2の左右ステップ波形抽出方法は、偶数番目または奇数番目のステップ基準時刻tbjに着目し、その着目したステップ基準時刻tbjに近接する特定パターンを有する部分波形を左右ステップ波形Pjとして抽出する方法である。第2の左右ステップ波形抽出方法では、上下方向加速度波形Wzにおいて、着目したステップ基準時刻tbj以降に現れる計4つの山(波高が一定レベル以上のピーク波形)、すなわち、一方の足の踵着地、他方の足のつま先蹴り、他方の足の踵着地、及び一方の足のつま先蹴りにそれぞれ対応した山を含む部分波形を、左右ステップ波形Pjとして抽出する。
なお、ステップ波形抽出部751は、ステップ基準時刻によらず、波形形状のパターンマッチングなどにより、左右ステップ波形Pjを抽出するようにしてもよい。また、左右ステップ波形Pjを抽出する際には、上下方向加速度波形Wz′において、波高値が負から正に切り替わる時点を抽出すべき部分波形の開始時点、波高値が正から負に切り替わる時点を抽出すべき部分波形の終了時点としてもよい。
図23は、抽出された複数の左右ステップ波形の一例を示す図である。この例では、上下方向加速度波形Wz′において抽出された複数の左右ステップ波形を示している。図23に示すように、抽出された複数の左右ステップ波形は、互いに類似した部分波形となるが、歩行位相ごとに波高値のばらつきが見られる。
図19に戻り、ステップS82では、ステップ波形正規化部752が、抽出された複数の左右ステップ波形Pjを時間軸方向に対して正規化する。例えば、左右ステップ波形Pjごとに、その左右ステップ波形Pjに含まれる最初の山の極大値に対応する時刻と最後の山の極大値に対応する時刻との間の時間が一定となるように、時間軸方向のスケールやオフセット等を調整する。なお、この正規化は必須の処理ではなく、必要に応じて行えばよい。
ステップS83では、代表波形演算部753が、正規化後の複数の左右ステップ波形Pjについて、各歩行位相ごとの波高値の平均値を求め、それらを時間軸方向にプロットして、左右ステップ波形の暫定的な平均波形V0を算出する。
ステップS84では、代表波形演算部753が、左右ステップ波形Pjごとに暫定的な平均波形V0からのずれ量を算出し、そのずれ量が一定レベル以内である左右ステップ波形のみを処理対象として残す。例えば、左右ステップ波形Pjごとに、その左右ステップ波形と暫定的な平均波形V0との間で波高値の差分(絶対値)を歩行位相ごとに求めてそれらを積算した値を求める。そして、求めた値が所定の閾値を超える場合に、その左右ステップ波形を処理対象から除外する。これにより、通常の歩行運動ではない偶発的な動作などに対応する異常波形を処理対象から取り除くことができる。
ステップS85では、代表波形演算部753が、異常波形が除外された複数の左右ステップ波形についての代表的な波形である代表波形V1を算出する。本例では、代表波形V1として、平均波形を算出する。
ステップS86では、波高値ばらつき演算部754が、異常波形が除外された複数の左右ステップ波形について、歩行位相ごとに左右ステップ波形の波高値のばらつきの程度を算出する。ばらつきの程度としては、例えば、分散や標準偏差を用いることができる。本例では、ばらつきの程度として、標準偏差を算出する。
ステップS87では、グラフ生成部755が、横軸を時間もしくは歩行位相、縦軸を波高値とする座標系において、左右ステップ波形の代表波形V1と、各歩行位相φkごとに波高値の標準偏差σkに応じた幅を有するばらつきバーBkとが描かれた左右ステップ波形グラフGを生成する。
図24は、生成された左右ステップ波形グラフGの一例を示す図である。
本例では、グラフ生成部755は、図24に示すように、左右ステップ波形の代表波形V1における各ピーク波形について、そのピーク波形の極大値mfを、歩行の「強さ」を表す指標値とし、その極大値mfを取る歩行位相での標準偏差σfを、歩行の「ばらつき」を表す指標値とし、これらの情報がさらに含まれるように左右ステップ波形グラフGを生成する。このようにすれば、操作者11は、左右ステップ波形グラフGを参照することで、患者10の左足及び右足の踵着地及びつま先蹴りのそれぞれの動作に対応した歩行位相φfにおける上下方向加速度成分az,fについて、その大きさと安定性を把握することができ、これらの情報に基づいて、患者10の歩行評価を行うことができる。
図5に戻り、ステップS9では、表示制御部310が、ディスプレイ部302を制御して、その画面にグラフGを表示させる。
以上、本実施形態によれば、歩行期間特定部73の構成及びその歩行期間特定処理により、加速度データ取得期間内において患者10の通常歩行期間を特定することができる。これにより、解析対象を、患者10が通常の歩行を安定に行っている期間に得られたデータに絞ることができ、高精度な解析を行うことができる。故に、患者10の歩行運動の客観的な評価が可能になる。
本実施形態によれば、ステップ基準時刻検出部74の構成及びそのステップ基準時刻検出処理により、患者10の一歩ごとの前進動作の基準となる時刻を検出することができる。このような基準時刻を用いることで、患者10の一歩または複数歩ずつの動作が行われているときの加速度データを抽出したり、その動作の所要時間を測定したりすることができ、患者10の一歩一歩の動作に着目した解析を行うことができる。故に、本実施形態は、患者10の歩行運動の客観的な評価に有効である。
本実施形態によれば、ステップ波形グラフ生成部75及びそのステップ波形グラフ生成処理により、患者10の左右ステップ波形の代表波形を求めることができる。操作者11は、この左右ステップ波形の代表波形を参照することで、歩行運動における患者10に固有の特徴的な動作を理解することができる。故に、本実施形態は、患者10の歩行運動の客観的な評価に有効である。
また、本実施形態によれば、抽出された複数の左右ステップ波形Pjについての歩行位相ごとに波高値のばらつきの程度を表すばらつきバーBkが表示されるので、左右ステップ波形Pjの代表波形V1の信頼性や歩行位相φごとの安定性を認識することができる。これにより、操作者11は、患者10の歩行運動そのものの不安定さや、歩行運動中に不安定な動作が行われるタイミングなどを把握することができる。
また、本実施形態によれば、左右ステップ波形Pjの代表波形V1におけるピーク波形の極大値mfと、その極大値を取る歩行位相φfでの左右ステップ波形のばらつきの程度とが表示されるので、操作者11は、これら極大値に対応した歩行運動の主要動作である、一方の足の踵着地、他方の足のつま先蹴り、他方の足の踵着地、一方の足のつま先蹴りの動作について、その力強さと安定度とを定量的に把握することができる。各動作の力強さは、患者10の足の筋力を計る指標になる。各動作の安定度は、患者10が自身の体重を足でどの程度支えきれているかの指標になる。操作者11は、これらの情報を基に患者10の歩行運動を客観的に評価することができる。
操作者11は、これらの総合的な評価に基いて患者10の歩行中の動きを詳細に把握し、例えば効果的な歩行訓練プランを作成することができる。
なお、発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、左右ステップ波形を抽出する際に、患者10の歩行運動中における上下方向加速度成分azを処理対象としているが、これに限定されず、例えば、患者10の左右方向加速度成分axや前後方向の加速度成分ayを処理対象としてもよい。すなわち、左右方向加速度成分axの時間変化を表す左右方向加速度波形Wxや前後方向加速度成分ayの時間変化を表す前後方向加速度波形Wyにおいて、左右ステップ波形を抽出し、その代表波形や波高値のばらつきの程度などを求めるようにしてもよい。なお、左右方向加速度波形Wxや前後方向加速度波形Wyにおいては、左右ステップ波形の特徴が上下方向加速度波形Wzほど明確に現れない場合がある。この場合には、一旦、上下方向加速度波形Wzの波形形状に基づいてステップの基準時刻tbjを検出したり、波形形状のパターンマッチングを行ったりして、左右ステップ波形に対応する時間範囲trjを特定する。そして、左右方向加速度波形Wxや前後方向加速度波形Wyにおける当該時間範囲trjの部分波形を左右ステップ波形Pjとして抽出するとよい。
また例えば、本実施形態では、部分波形の抽出、代表波形や波高値のばらつき程度の算出などの処理を行う際に、連続的な左右一歩ずつの前進動作を1つの単位として扱っているが、片足一歩だけの前進動作や、連続的な三歩以上の前進動作を1つの単位として扱ってもよい。
また例えば、本実施形態は、発明を人の歩行運動に適用した例であるが、発明を人のその他の移動運動、例えば人の走行運動などにも適用することができる。
また例えば、本実施形態は、上述したように人に取り付けられた加速度センサから得られた加速度データを解析する移動運動解析装置であるが、コンピュータをこのような装置として機能させるためのプログラムもまた発明の実施形態の一つである。
1 歩行解析システム
10 患者
11 操作者
2 加速度センサモジュール
21 プロセッサ
22 加速度センサ
23 メモリ
24 通信I/F
25 バッテリ
201 加速度センサ部
202 サンプリング部
203 送信部
3 歩行解析装置
31 プロセッサ
32 ディスプレイ
33 操作部
34 メモリ
35 通信I/F
36 バッテリ
301 操作部
302 ディスプレイ部
303 患者情報受付部
304 受信部
305 加速度データ取得制御部
307 加速度データ解析部
310 表示制御部
312 記憶部
41 データベース
42 記憶媒体
71 加速度成分算出部
72 加速度波形生成部
73 歩行期間特定部
74 ステップ基準時刻検出部
741 上下方向加速度波形読取部
742 上下加速度反映波形生成部
743 極大値特定部(特定手段)
744 閾値決定部(決定手段)
745 踵着地認識部(対応付け手段)
75 ステップ波形グラフ生成部
751 ステップ波形抽出部
752 ステップ波形正規化部
753 代表波形演算部
754 波高値ばらつき演算部
755 グラフ生成部

Claims (12)

  1. 加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における上下方向の加速度を表す波形における極大値及び極小値のいずれか一方である極値を特定する特定手段と、
    前記特定された極値のうち所定の閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように前記閾値を決定する決定手段と、
    前記特定された極値のうち前記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を前記人の足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置。
  2. 加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における上下方向の加速度に基づいて演算された量を表す波形における極大値及び極小値のいずれか一方である極値を特定する特定手段と、
    前記特定された極値のうち所定の閾値を超える極値に対応した時刻の時間間隔のばらつき度が最小となるように前記閾値を決定する決定手段と、
    前記特定された極値のうち前記決定された閾値を超える極値に対応した時刻を前記人の足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置。
  3. 前記演算された量は、前記上下方向の加速度の項を含む演算式により演算される請求項2に記載の移動運動解析装置。
  4. 前記演算された量は、前記上下方向の加速度の二階微分を表す項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算される請求項2または請求項3に記載の移動運動解析装置。
  5. 前記k乗は、3乗である請求項4に記載の移動運動解析装置。
  6. 前記検出手段は、前記閾値を超える極値が所定時間幅内に複数存在するときに、該複数の極値に対応した時刻を平均化して成る時刻を、前記足が着地した時刻として検出する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。
  7. 前記所定時間幅は、前記時間間隔の平均の半分以下である請求項6に記載の移動運動解析装置。
  8. 前記ばらつき度は、前記時間間隔の分散または標準偏差である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。
  9. 前記波形は、高周波成分を除去する処理が施されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。
  10. 前記移動運動は、歩行である請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。
  11. 前記加速度センサと、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の移動運動解析装置とを備えた移動運動解析システム。
  12. コンピュータを請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の移動運動解析装置として機能させるためのプログラム。
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