JP2016219851A - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソース電極とドレイン電極間の寄生抵抗が低減され、オン特性が改善された半導体装置を提供する。または、信頼性の高い半導体装置を提供する。【解決手段】不純物元素が添加された酸化物半導体を含む導電性の酸化物膜に対して、当該酸化物膜の一部の領域における不純物元素を酸素と置換して高抵抗な半導体領域を形成する。そして不純物元素が酸素と置換されていない低抵抗領域をソース領域及びドレイン領域として用い、不純物元素が酸素と置換された高抵抗な半導体領域をチャネル形成領域として用いればよい。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体膜の作製方法に関する。本発明は半導体装置、及び半導体装置の作製
方法に関する。
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、発光表示装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置
である。
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタ(薄膜トランジ
スタ、TFTともいう)を構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路
(IC)や画像表示装置のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適
用可能な半導体として、シリコン系半導体が広く知られている。
また他の半導体として、酸化物半導体が注目されている。例えば、酸化物半導体として
、Zn−O系酸化物半導体、又はIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いてトランジ
スタを作製する技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、非特許文献1では、露出した酸化物半導体にアルゴンプラズマ処理をおこなう自
己整合プロセスにより、その部分の酸化物半導体の抵抗率を低下させてソース領域及びド
レイン領域とした酸化物半導体トランジスタが開示されている。
特開2007−123861号公報 特開2007−96055号公報
画像表示装置の高精細化や、集積回路の大規模化に伴い、回路の高速駆動が求められて
いる。トランジスタはそのオン特性(例えば、オン電流や電界効果移動度)が高いほど、
回路の高速動作に適している。
しかしながら、ソース電極とドレイン電極の間の寄生抵抗が高いと、十分に高いオン特
性が得られないといった問題がある。
非特許文献1に開示された方法では、酸化物半導体表面を露出させて、アルゴンプラズ
マ処理を行うことにより、ソース領域及びドレイン領域となるべき部分の酸化物半導体も
同時にエッチングされ、ソース領域及びドレイン領域が薄層化する(非特許文献1の図8
参照)。その結果、ソース領域及びドレイン領域の抵抗が増加し、また、薄層化に伴うオ
ーバーエッチングによる不良品発生の確率も増加する。
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである、したがって、本発明の
一態様は、ソース電極とドレイン電極間の寄生抵抗が低減され、オン特性が改善された半
導体装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い半導体装置を提供する
ことを課題の一とする。
上記課題を解決するため、本発明はチャネルが形成される酸化物半導体膜の形成方法に
着眼した。不純物元素が添加された酸化物半導体を含む導電性の酸化物膜に対して、当該
酸化物膜の一部の領域における不純物元素を酸素と置換して半導体領域を形成する。そし
て酸化物膜における不純物元素が酸素と置換されていない低抵抗領域をソース領域及びド
レイン領域として用い、不純物元素が酸素と置換された半導体領域をチャネル形成領域と
して用いればよい。
すなわち、本発明の一態様の半導体膜の形成方法は、被形成面上に不純物元素が添加さ
れた酸化物半導体を含む酸化物層を形成し、酸化物層の上面の一部を露出させるように、
酸化物層上に保護層を形成し、酸化物層の当該露出した領域に対して不純物元素を酸素と
置換する置換処理を施して、酸化物層の一部に半導体領域を形成する工程を有する。
このような方法により、低抵抗な酸化物層の一部に半導体領域が形成された、半導体膜
を形成できる。また、上記本発明の一態様の方法を用いることで低抵抗領域が薄膜化する
ことがないため、当該領域の抵抗を十分に低減することができる。
このような半導体膜はトランジスタ以外にも、例えば高抵抗な半導体領域を抵抗として
用いた抵抗素子として応用することも可能である。半導体領域への置換処理の条件を変え
ることにより、当該半導体領域における抵抗率の値を自由に設定することができる。さら
に、不純物元素が添加された酸化物半導体を含む低抵抗領域によって寄生抵抗が極めて低
減されているため、抵抗率の値の設計値からのずれを抑制することができる。
また、上記半導体膜の形成方法における上記不純物元素は窒素であることが好ましい。
窒素が含有した酸化物半導体を含む薄膜は、極めて高い導電性を示す導電膜として用い
ることができる。さらに、窒素原子は酸素原子と原子半径が近く、置換処理により比較的
容易に酸素原子と置換することが可能なため好ましい。
また、上記半導体膜の形成方法における、上記置換処理として、酸素ラジカル処理、酸
素イオン注入処理、酸素プラズマ処理、又は熱酸化処理の、いずれか1つ以上の処理を施
すことが好ましい。
不純物元素の置換は、高エネルギーの酸素を酸化物層に接触させることにより行うこと
ができる。上述した処理方法は、従来の半導体プロセスとの親和性が高いため、特別な設
備投資を行うことなく上述の方法を適用できるため好ましい。
また、上述の処理方法のうち2つ以上を用いてもよい。例えば不純物元素が添加された
酸化物層に酸素ラジカル処理と酸素イオン注入処理を施すことにより、酸化物層の表層か
ら下層にかけて均一に置換が行える。
また、本発明の一態様の半導体装置の作製方法は、被形成面上に不純物元素が添加され
た酸化物半導体を含む酸化物層を形成し、酸化物層の上面の一部を露出させるように、酸
化物層上に保護層を形成し、酸化物層の当該露出した領域に対して不純物元素を酸素と置
換する置換処理を施して、酸化物層に、第1の低抵抗領域及び第2の低抵抗領域に挟持さ
れた半導体領域を形成する工程と、ゲート絶縁層を形成する工程と、ゲート電極層を形成
する工程と、を有する。さらに、ゲート絶縁層と半導体領域とは接して形成され、ゲート
電極層とゲート絶縁層とは接して形成され、ゲート電極層と半導体領域とは重なるように
形成されることを特徴とする。
このような方法により、半導体領域を挟持する低抵抗領域をソース領域又はドレイン領
域として用いることにより、ソース電極又はドレイン電極との接触抵抗も十分に低減でき
る。したがって、ソース電極とドレイン電極の間の寄生抵抗が低減され、オン特性が改善
された半導体装置を作製することができる。
また、本発明の他の一態様の半導体装置の作製方法は、被形成面上に不純物元素が添加
された酸化物半導体を含む酸化物層を形成し、酸化物層の上面の一部を露出させるように
、酸化物層上に保護層を形成し、当該露出した領域における酸化物層の上部の一部をエッ
チングし、酸化物層の露出した領域に対して不純物元素を酸素と置換する置換処理を施し
て、酸化物層の一部に半導体領域を形成する工程と、ゲート絶縁層を形成する工程と、ゲ
ート電極層を形成する工程と、を有する。さらに、ゲート絶縁層と半導体領域とは接して
形成され、ゲート電極層とゲート絶縁層とは接して形成され、ゲート電極層と半導体領域
とは重なるように形成されることを特徴とする。
このような方法により、低抵抗領域の厚さを半導体領域よりも厚く形成できるため、当
該領域の抵抗をより低減できる。また、同時に半導体領域を薄膜化できるため、半導体装
置を微細化した場合でも短チャネル効果を効果的に抑制することができる。
また、上記いずれかの半導体装置の作製方法における上記不純物元素は窒素であること
が好ましい。
また、上記いずれかの半導体装置の作製方法における上記置換処理として、酸素ラジカ
ル処理、酸素イオン注入処理、酸素プラズマ処理、又は熱酸化処理の、いずれか1つ以上
の処理を施すことが好ましい。
また、本発明の一態様の半導体装置は、同一面上に第1の低抵抗領域と、第2の低抵抗
領域と第1の低抵抗領域と第2の低抵抗領域に挟持された半導体領域と、半導体領域と重
なるゲート電極層と、半導体領域とゲート電極層に挟持されたゲート絶縁層と、を有する
。また半導体領域の厚さは、第1の低抵抗領域及び第2の低抵抗領域よりも薄く、第1の
低抵抗領域、第2の低抵抗領域、及び半導体領域は、不純物元素を含む酸化物半導体を含
み、さらに半導体領域は、第1の低抵抗領域及び第2の低抵抗領域よりも、酸素の含有量
が多く、且つ、不純物元素の含有量が少ないことを特徴とする。
このような構成とすることにより、低抵抗領域の厚さが半導体領域よりも厚いため、当
該領域の抵抗をより低減できる。また、同時に半導体領域が薄膜化されているため、半導
体装置が微細化された場合であっても短チャネル効果を効果的に抑制することができる。
またこのように半導体領域に十分に低減された量の窒素が含有されていることにより、オ
ン電流を高めることができ、オン特性が向上した半導体装置とすることができる。
また、上記半導体装置において、半導体領域は、第1の低抵抗領域又は第2の低抵抗領
域と接する端部に向かって、連続的に厚さが増すように設けられることが好ましい。
このような構成では、半導体領域の端部において電流密度を緩和することができるため
、チャネルとソース又はドレインの境界における発熱が抑制され、信頼性の高い半導体装
置とすることができる。
また特に、トップゲート型のトランジスタでは、厚さの異なる半導体領域と低抵抗領域
の境界において、ゲート絶縁層の被覆性が高まるため、ゲート絶縁層が局所的に薄くなる
ことによるゲートリークや絶縁破壊といった不具合が抑制され、信頼性の高い半導体装置
とすることができる。
また、上記いずれかの半導体装置における不純物元素は、窒素であることが好ましい。
特に、不純物元素として窒素を用いることにより、高い導電性を有する低抵抗領域とす
ることができる。
また、上記いずれかの半導体装置における酸化物半導体は、インジウム、ガリウム、及
び亜鉛を含む酸化物であることが好ましい。
このような酸化物半導体をトランジスタ等の半導体装置に用いた場合では、比較的低温
で形成されたアモルファス状態の酸化物半導体であっても、他の酸化物半導体に比べて良
好な電気的特性(高い電界効果移動度や小さいS値など)と高い信頼性を兼ね備えている
ため好ましい。ここで、例えば酸化物半導体の一つである酸化亜鉛は低温で多結晶状態と
なりやすく、その結晶粒界により所望の電界効果移動度やS値などの電気特性を得ること
が困難である。
本発明によれば、ソース電極とドレイン電極間の寄生抵抗が低減され、オン特性が改善
された半導体装置を提供できる。また、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
本発明の一態様の、半導体装置の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の作製工程例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、半導体装置の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、抵抗素子の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、抵抗素子の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、CPUの構成例を説明する図。 本発明の一態様の、電子機器の構成例を説明する図。 本発明の一態様の、電子機器の構成例を説明する図。 実施例にかかる、シート抵抗の測定結果。 実施例にかかる、断面観察像。 実施例にかかる、断面観察像。 実施例にかかる、EDX分析の測定結果。 実施例にかかる、XPS分析の測定結果。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成におい
て、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い
、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明
瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通又は非導通を制御
するスイッチング動作等を実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、I
GFET(Insulated Gate Field Effect Transis
tor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を
含む。
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合
や、回路動作において電流の方向が変化する場合等には入れ替わることがある。このため
、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることがで
きるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するも
の」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するも
の」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない
。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジス
タ等のスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素子
等が含まれる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置、及びその作製方法について、図面を
参照して説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例としてトランジスタの構成例及
び作製方法例について説明する。
<構成例>
図1(A)は、本構成例で例示するトランジスタ100の上面概略図であり、図1(B
)は、図1(A)中の切断線A−Bで切断した断面概略図である。なお、明瞭化のため図
1(A)には構成要素の一部(保護層109、ゲート絶縁層111等)は明示していない
基板101上に形成されるトランジスタ100は、低抵抗領域105a、低抵抗領域1
05b、及び半導体領域107を備える酸化物層103と、低抵抗領域105a及び低抵
抗領域105bを覆う保護層109と、少なくとも半導体領域107の上面に接するゲー
ト絶縁層111と、ゲート絶縁層111の上面に接し、且つ半導体領域107と重なるゲ
ート電極層113と、酸化物層103及びゲート電極層113を覆う絶縁層117と、絶
縁層117に設けられた開口部を介してそれぞれ低抵抗領域105a又は低抵抗領域10
5bに電気的に接続するソース電極層115a及びドレイン電極層115bと、を有する
酸化物層103は、不純物元素が添加された酸化物半導体を含んで構成されている。
低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bは上記不純物元素により十分に低抵抗化さ
れた領域であり、トランジスタ100のソース領域又はドレイン領域をなしている。した
がって、ソース電極層115aとドレイン電極層115bの間の寄生抵抗が十分に低減さ
れている。
半導体領域107は、トランジスタ100のチャネルが形成される領域を含み、低抵抗
領域105a及び低抵抗領域105bよりも、酸素の含有量が多く、且つ上記不純物元素
の含有量が少ない。
半導体領域107には十分に低減された量の上記不純物元素が含まれていると、トラン
ジスタ100のオン特性(電界効果移動度やオン電流等)が向上するため好ましい。
さらに、半導体領域107に低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bと同一の微量
な不純物元素が含まれていることにより、半導体領域107と、低抵抗領域105a又は
低抵抗領域105bの境界におけるショットキー障壁を小さくすることができるため、ソ
ース電極層115aとドレイン電極層115bの間の寄生抵抗を低減できる。
ゲート電極層113は、少なくとも半導体領域107の一部と重なるように設けられて
いればよいが、図1に示すように半導体領域107の全部と重なるように設けることによ
り、半導体領域107中のチャネルが形成されない領域(Loff領域ともいう)をなく
すことができるため、トランジスタ100のオン電流を増大させることができる。
また、ゲート電極層113と低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bとが重なる領
域には、保護層109が形成されている。当該保護層109によりゲート電極層113と
低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bとの間の寄生容量を低減できるため、低消費
電力駆動が可能なトランジスタ100が実現できる。また、当該保護層109を設けるこ
とにより当該寄生容量を低減しつつ、ゲート絶縁層111を薄膜化できる。ゲート絶縁層
111を薄膜化することで、さらにオン特性を向上させることができる。
なお、上記では一つのゲート電極層113を半導体領域107の上層に設ける構成とし
たが、図1(C)のように、半導体領域107よりも基板101側に第2のゲート絶縁層
として機能する絶縁層118を介して第2のゲート電極層116を設ける構成としてもよ
い。一方のゲートに適切な電位を与えることにより、トランジスタのしきい値電圧を自由
に設定することができる。例えば一方のゲートにトランジスタをオフ状態とする電位を与
えることにより、確実にノーマリーオフのトランジスタを実現できる。
またこのとき、第2のゲート電極層116を被覆する絶縁層118の表面は、当該第2
のゲート電極層116の厚さを反映して形成される段差を無くすように、当該表面が平坦
化されていることが好ましい。例えば、絶縁層118の表面に対して、CMP法などの研
磨処理、ドライエッチング処理、又はプラズマ処理などの平坦化処理を行えばよい。
本構成例で例示したトランジスタ100は、ソース電極層115aとドレイン電極層1
15bの間の寄生抵抗が低減され、オン特性が向上したトランジスタである。
<作製方法例>
以下では、上記トランジスタ100の作製方法の一例について説明する。図2は本実施
の形態で例示するトランジスタの作製方法にかかる断面概略図である。
まず、基板101上に絶縁層119を形成する。
絶縁表面を有する基板101に使用することのできる基板に大きな制限はないが、少な
くとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、バリ
ウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラス等のガラス基板、セラミック基板、石
英基板、サファイア基板等を用いることができる。また、シリコンや炭化シリコン等の単
結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SO
I基板等を適用することもでき、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板
101として用いてもよい。
また、基板101として、可撓性基板を用いて半導体装置を作製してもよい。可撓性を
有する半導体装置を作製するには、可撓性基板上にトランジスタ100を直接作製しても
よいし、他の作製基板にトランジスタ100を作製し、その後可撓性基板に転置してもよ
い。なお、トランジスタ100を作製基板から剥離し、可撓性基板に転置するために、作
製基板とトランジスタ100の間に剥離層を設けるとよい。
絶縁層119は、基板101に含まれる不純物がトランジスタ100に拡散しないため
の保護膜として機能する。絶縁層119としては、プラズマCVD法又はスパッタリング
法等により形成することができ、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化
酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化
アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、又はこれらの混合材料を含む膜の単層又
は積層構造とすることができる。但し、絶縁層119は、酸化物絶縁層を含む単層又は積
層構造として、該酸化物絶縁層が後に形成される酸化物層103と接する構造とすること
が好ましい。なお、絶縁層119は、必ずしも設けなくともよい。
絶縁層119は酸素過剰領域を有すると、絶縁層119に含まれる過剰な酸素によって
、後に形成される半導体領域107のチャネル形成領域の酸素欠損を補填することが可能
であるため好ましい。絶縁層119が積層構造の場合は、少なくとも酸化物層103と接
する層(好ましくは酸化物絶縁層)において酸素過剰領域を有することが好ましい。絶縁
層119に酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁層119を成膜す
ればよい。又は、成膜後の絶縁層119に、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子
、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導
入方法としては、イオン注入法(イオンドーピング法、イオンインプランテーション法と
もいう。)や、プラズマ処理等を用いることができる。
また、絶縁層119は、酸素過剰領域を有する層の下側に接して、窒化シリコン膜、窒
化酸化シリコン膜又は酸化アルミニウム膜を有することが好ましい。絶縁層119が窒化
シリコン膜、窒化酸化シリコン膜又は酸化アルミニウム膜を有することで、トランジスタ
100への不純物の拡散を防止することができる。
絶縁層119において酸化物層103が接して形成される領域に、平坦化処理を行って
もよい。平坦化処理としては、特に限定されないが、研磨処理(例えば、化学的機械研磨
法)、ドライエッチング処理、プラズマ処理を用いることができる。
プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパ
ッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にR
F電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である
。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素等を用いてもよい。逆スパッタリ
ングを行うと、絶縁層119の表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともい
う)を除去することができる。
平坦化処理として、研磨処理、ドライエッチング処理、プラズマ処理は複数回行っても
よく、それらを組み合わせて行ってもよい。また、組み合わせて行う場合、工程順も特に
限定されず、絶縁層119表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
また、絶縁層119を水素(水や水酸基を含む)等の不純物が低減され、かつ酸素過剰
な状態とするために、絶縁層119に水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化又は脱水
素化)するための加熱処理(脱水化又は脱水素化処理)及び/又は酸素ドープ処理を行っ
てもよい。脱水化又は脱水素化処理と、酸素ドープ処理は複数回行ってもよく、両方を繰
り返し行ってもよい。
続いて、絶縁層119上に不純物元素が添加された酸化物半導体を含む導電性の酸化物
膜を成膜し、当該酸化物膜を島状に加工して酸化物層103を形成する(図2(A)参照
)。
酸化物膜の成膜方法として、スパッタリング法、MBE(Moleculer Bea
m Epitaxy)法、プラズマCVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomi
c Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。好適にはスパ
ッタリング法を用いる。
酸化物膜は、添加する不純物元素を含む雰囲気下、好ましくは不純物元素と酸素を含む
雰囲気下で成膜する。不純物元素を含む雰囲気下で成膜することで、成膜された膜中に均
一に不純物元素を添加することができる。
また、スパッタリング法を用いて成膜する場合には、上記に加えて不純物元素を含むタ
ーゲットを用いて成膜することで不純物元素が添加された酸化物半導体を含む酸化物膜を
成膜してもよい。また、酸化物半導体を含むターゲットと、不純物元素を含むターゲット
の2つのターゲットを用い、2つのターゲットから同時に、又は交互に成膜することによ
り、酸化物膜を成膜してもよい。
酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むこ
とが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、トランジスタ100の電気
特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)
、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)の
うち、少なくとも一を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム
(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウ
ム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホ
ルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、
ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸
化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg
系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属
の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Z
n系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn
系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系
酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸
化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化
物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物
、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、
In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn
−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Z
n系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In
−Hf−Al−Zn系酸化物等のターゲットを用いてスパッタリング法等により形成する
ことができる。なお、スパッタリング法に限らず、上述の酸化物半導体を真空蒸着法、パ
ルスレーザ堆積法、CVD法等を用いて形成することができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを有する酸
化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以
外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない
)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoのうちの1
つ又は複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)
(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=2:2:1、あるいはI
n:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の
酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:
Zn=2:1:3あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5の原子数比のIn−Sn−Zn
系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
インジウムを含む酸化物半導体は、これらの組成に限られず、必要とする電気的特性(
電界効果移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。ま
た、必要とする電気的特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元
素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物半導体を用いたトランジスタでは比較的容易に高い
電界効果移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物半導体を用いたト
ランジスタでも、バルク内欠陥密度を低くすることにより電界効果移動度を上げることが
できる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b
+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+
C=1)の酸化物の組成のrだけ近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−
B)+(c−C)≦rを満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすれ
ばよい。他の酸化物でも同様である。
本実施の形態において、酸化物膜は単層構造を有する。但し、酸化物膜は、不純物が添
加された酸化物半導体を含む酸化物膜が複数積層された構造としてもよい。例えば、酸化
物膜を、第1の酸化物膜と第2の酸化物膜の積層として、第1の酸化物膜と第2の酸化物
膜に、異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。例えば、第1の酸化物膜に三元系金属の
酸化物を用い、第2の酸化物膜に二元系金属の酸化物を用いてもよい。また、例えば、第
1の酸化物膜と第2の酸化物膜を、どちらも三元系金属の酸化物としてもよい。
また、第1の酸化物膜と第2の酸化物膜の構成元素を同一とし、両者の組成比を異なら
せてもよい。例えば、第1の酸化物膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、
第2の酸化物膜の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2としてもよい。また、第1の
酸化物膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2の酸化物膜の原子数比を
In:Ga:Zn=2:1:3としてもよい。
この時、第1の酸化物膜と第2の酸化物膜のうち、ゲート電極に近い側(チャネル側)
の酸化物膜のInとGaの含有率をIn>Gaとするとよい。またゲート電極から遠い側
(バックチャネル側)の酸化物膜のInとGaの含有率をIn≦Gaとするとよい。
酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有
率を多くすることによりs軌道のオーバーラップが多くなる傾向があるため、In>Ga
の組成となる酸化物はIn≦Gaの組成となる酸化物と比較して高い移動度を備える。ま
た、GaはInと比較して酸素欠損の形成エネルギーが大きく酸素欠損が生じにくいため
、In≦Gaの組成となる酸化物はIn>Gaの組成となる酸化物と比較して安定した特
性を備える。
チャネル側にIn>Gaの組成となる酸化物半導体を適用し、バックチャネル側にIn
≦Gaの組成となる酸化物半導体を適用することで、トランジスタの移動度及び信頼性を
さらに高めることが可能となる。
また、第1の酸化物膜と第2の酸化物膜に、結晶性の異なる酸化物半導体を適用しても
よい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体を適宜
組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸化物膜と第2の酸化物膜の少なくともど
ちらか一方に非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物膜の内部応力や外部からの応力を
緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに
高めることが可能となる。
酸化物半導体に添加する不純物元素としては、例えば、リン(P)、砒素(As)、ア
ンチモン(Sb)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブ
デン(Mo)、窒素(N)、フッ素(F)、塩素(Cl)、チタン(Ti)、炭素(C)
、及び亜鉛(Zn)のいずれかから選択される一以上を用いることができる。
また不純物元素として、窒素を用いることが好ましい。窒素は酸素と原子半径が近く、
酸化物半導体内の酸素原子のサイトに容易に置換可能なため、酸化物半導体内の結合を破
壊することなく(結晶性を有する場合にはその結晶構造を維持したまま)低抵抗な酸化物
膜を得ることができる。また、後の置換処理によって容易に窒素を酸素と置換させること
ができるため、半導体領域107中の不純物元素濃度を十分に低減でき、トランジスタ1
00は良好な電気的特性を得ることができる。
酸化物膜の成膜時、上述した元素を含む気体雰囲気下で成膜を行う。又は、上述した元
素を含むターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。
不純物元素が添加された酸化物半導体中には酸素欠損が生成される。酸化物半導体にお
いて酸素欠損はドナーとなり、酸化物半導体中にキャリアである電子を生成する。よって
、酸化物半導体の酸素欠損を生成するための不純物元素を導入された酸化物膜は、不純物
元素が添加されていない酸化物半導体と比較して低抵抗となり、後のトランジスタ100
のソース領域又はドレイン領域として機能する。
酸化物膜中の不純物元素の濃度は、用いる不純物元素の種類や、目的とする酸化物膜の
抵抗率に応じて適宜設定すればよい。例えば、不純物元素として窒素を用いる場合には、
酸化物膜中に含まれる窒素濃度が、0.1原子%以上30atomic%以下、より好ま
しくは1atomic%以上20atomic%以下とする。酸化物膜に含まれる窒素濃
度が0.1atomic%よりも低いと、キャリア密度が不十分であり、酸化物膜に含ま
れる窒素濃度が30atomic%より高いと、後の置換処理によって窒素と酸素の置換
が不十分となり、半導体領域107の半導体としての機能が損なわれてしまう恐れがある
また、他の酸化物膜の形成方法として、酸化物半導体を含む半導体膜を成膜した後、上
述した不純物元素を導入して酸化物膜を形成することもできる。
半導体膜へ不純物元素を導入する方法の一つとして、イオン注入法を用いることができ
る。また、不純物元素を含む雰囲気化で半導体膜表面をプラズマに曝す処理(プラズマ処
理)、又は半導体膜表面を不純物元素のラジカルに曝す処理(ラジカル処理)等により、
半導体膜中に不純物元素を導入してもよい。
また、半導体膜へ不純物元素を導入した後、不純物元素を半導体膜中に拡散させるため
の熱処理を行ってもよい。当該熱処理により不純物元素が膜中に均一に分布し、形成され
る酸化物膜の抵抗のばらつきを低減できる。
本実施の形態では酸化物膜を、In−Ga−Zn系酸化物をターゲットとして用い、成
膜ガスとして窒素ガスを用いた減圧雰囲気下でスパッタリング法により形成する。
また、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入
して成膜を行うことで、成膜された酸化物膜の水素濃度を低減させることができる。成膜
室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イ
オンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、ターボ分子
ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気し
た成膜室は、例えば、水素分子、水(HO)等水素原子を含む化合物等の排気能力が高
いため、当該成膜室で成膜した酸化物膜に含まれる意図しない不純物の濃度を低減できる
また、酸化物膜をスパッタリング法で成膜する場合、成膜に用いる金属酸化物ターゲッ
トの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以
下とする。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物膜
を緻密な膜とすることができる。
また、被形成面を加熱した状態で成膜することでも、水や水素等の意図しない不純物の
、膜中への混入を抑制できる。被形成面を加熱する温度としては、150℃以上450℃
以下とすればよく、好ましくは基板温度が200℃以上350℃以下とすればよい。また
、成膜時に基板を高温で加熱することで、結晶性を有する酸化物膜を形成することができ
る。
上述の方法により成膜した酸化物膜をフォトリソグラフィ工程により島状に加工して、
酸化物層103を形成することができる。島状の酸化物層103を形成するためのレジス
トマスクはインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形
成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減することができる。
続いて、酸化物層103上に絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を加工して酸化物層103の
上面の一部を露出させる開口部を有する保護層109を形成する(図2(B))。
保護層109は、酸化物層103の保護層109と重なる領域が、後の置換処理に曝さ
れないために設けられる。したがって、保護層109の材料や厚さは、後の置換処理に用
いる方法や条件に応じて適宜選択する。
例えば、保護層109としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒
化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸
化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、又はこれらの混合材料を含む膜の単層
又は積層構造とすることができる。ここで、保護層109は、酸化物絶縁層を含む単層又
は積層構造として、該酸化物絶縁層が酸化物層103と接する構造とすることが好ましい
また、保護層109の少なくとも酸化物層103と接する層には、絶縁層119と同様
に酸素過剰な領域を有する酸化絶縁膜を用いることが好ましい。
保護層109となる絶縁膜は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により成膜す
ることができる。
保護層109の有する開口部は、酸化物層103の対向する一対の端部にかからないよ
うに形成する。さらに当該開口部は、酸化物層103の他の対向する一対の端部において
、それぞれ端部の一部を含むように酸化物層103を横断するように形成する。このよう
な開口部を設けることで、酸化物層103には、上面が露出した領域と、当該領域を挟持
する2つの保護層109と重なる領域が形成される。なお、当該開口部の形成は、フォト
リソグラフィ法等を用いればよい。
続いて、酸化物層103の露出した領域に対して、置換処理を施すことにより、酸化物
層103の一部に半導体領域107を形成する(図2(C))。またこのとき、酸化物層
103の保護層109と重なる一対の領域は、それぞれ低抵抗領域105a、低抵抗領域
105bとなる。
置換処理は、高エネルギーの酸素121を酸化物層103に導入することにより、酸化
物層103中の不純物元素を酸素と置換する処理である。置換処理としては、酸素ラジカ
ル処理、イオン注入法により酸素を導入する処理(酸素イオン注入処理)、酸素プラズマ
処理、熱酸化処理等を用いることができる。
酸素121としては、少なくとも、酸素ラジカル、オゾン、酸素原子、酸素イオン(分
子イオン、クラスタイオンを含む)、のいずれかが含まれている。
置換処理により酸化物層103を構成する酸化物半導体中の不純物元素の一部が酸素と
置換する。したがって酸化物半導体中の酸素欠損が低減されることに伴い、酸化物半導体
内のキャリア濃度が低減する。よって、置換処理が施された半導体領域107はトランジ
スタ100のチャネルが形成される半導体として機能する。一方、置換処理が施されてい
ない低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bは、キャリア濃度が高い状態が維持され
るため低抵抗な領域であり、トランジスタ100のソース領域又はドレイン領域として機
能する。
酸素ラジカル処理を施す場合、酸素雰囲気下で高周波により励起された高密度プラズマ
を発生させ、当該高密度プラズマにより励起された酸素ラジカルを、被処理面に接触させ
る。当該酸素ラジカルにより、酸化物層103中の不純物元素を酸素と置換することがで
きる。
より具体的には、減圧された処理室内に酸素を含むガスを導入し、基板101を室温若
しくは100℃〜550℃の温度に加熱した状態で、マイクロ波を導入することにより高
密度なプラズマを生じさせることができる。マイクロ波の導入によりプラズマの励起を行
うと、低電子温度(3eV以下、好ましくは1.5eV以下)で高電子密度(1×10
cm−3以上)のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された
酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)によって、酸化物層103に対して置換
処理を行うことができる。プラズマ処理用ガスにアルゴン等の希ガスを混合させると、希
ガスの励起種により酸素ラジカルを効率よく生成することができる。この方法は、プラズ
マで励起した活性なラジカルを有効に使うことにより、500℃以下の低温で固相反応を
起こすことができる。
酸素イオン注入処理に用いるイオン注入法として、プラズマイマージョンイオンインプ
ランテーション法や、ガスクラスタイオンビームを用いた注入法等を用いてもよい。
酸素イオン注入処理を用いる場合、酸素121の導入は、基板101の全面を一度に処
理してもよいし、例えば線状のイオンビームを用いてもよい。線状のイオンビームを用い
る場合には、基板101とイオンビームを相対的に走査する。
酸素の供給ガスとしては、酸素を含有するガスを用いることができる。例えば、O
ス、NOガス、COガス、COガス、NOガス等を用いることができる。酸素イオ
ン注入処理に用いる装置が質量分析器を備える場合には、上述した窒素や炭素を含むガス
を用板としても、酸素121のみを導入することができる。なお、酸素の供給ガスに希ガ
ス(例えばAr)を含有させてもよい。
また、酸素の注入深さは、酸化物層103の厚さに応じて適宜設定すればよいが、酸化
物層103の厚さ方向の中央付近に酸素濃度のピークが形成されるように設定することが
好ましい。また、処理中に酸素の注入深さが可変な場合には、酸化物層103の厚さ方向
に均一に注入されるように設定することがより好ましい。
また、酸素イオン注入処理により酸化物層103に酸素121を導入した後、熱処理を
施してもよい。熱処理を施すことにより、半導体領域107中に残留する不純物元素と、
当該不純物元素置換されていない酸素121との置換の反応を促進することができる。
酸素プラズマ処理を施す場合には、酸素を含む雰囲気下でプラズマを発生させて、当該
プラズマにより酸素イオン、又は酸素ラジカルを生成させる。当該酸素イオンや酸素ラジ
カルが、バイアス電位が印加された電極上に配置された基板101の表面に衝突すること
により、酸化物層103に酸素121を導入することができる。なお、酸素の供給ガスに
希ガス(例えばAr)を含有させると、プラズマを安定させつつ供給する酸素の濃度を制
御できるため好ましい。
なお、当該酸素プラズマ処理により、酸化物層103の露出した領域の上層の一部がエ
ッチングされ、半導体領域107の厚さが低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bの
厚さよりも薄くなる場合がある。
熱酸化処理を施す場合には、酸素を含む雰囲気下で加熱することにより、酸化物層10
3中に酸素121を導入することができる。
なお、熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体等の発熱体からの熱伝導又は熱輻射
によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、LRTA(Lamp Ra
pid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal
Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタル
ハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ
、高圧水銀ランプ等のランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する
装置である。
熱酸化処理は、酸素雰囲気下、又は酸素と希ガスの混合雰囲気下で行うことが好ましい
。このとき、酸素ガス及び希ガス中に、水、水素等が含まれないことが好ましい。例えば
、熱処理装置に導入する酸素ガス及び希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好
ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは
0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、熱処理で酸化物層103を加熱した後、加熱温度を維持、又はその加熱温度から
徐冷しながら同じ炉に高純度の酸素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリング
ダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点
換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気
)を導入してもよい。酸素ガスに、水、水素等が含まれないことが好ましい。又は、熱処
理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガス中の
不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また熱酸化処理の他の方法として、酸素雰囲気下で基板101に対してレーザ光を照射
し、酸化物層103を加熱することにより、酸化物層103中に酸素121を導入しても
よい。
続いて、保護層109及び半導体領域107上にゲート絶縁層111を形成する。
ゲート絶縁層111は、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法
、ALD法等を適宜用いて形成することができる。
ゲート絶縁層111の材料としては、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム
、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、又は窒化酸化シリコン等の
向き絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁層111は、半導体領域107と接する
部分において酸素を含むことが好ましい。特に、ゲート絶縁層111は、膜中(バルク中
)に少なくとも化学量的組成論比を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、
ゲート絶縁層111として、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO2+α(ただし、
α>0)とする。
また、ゲート絶縁層111の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウ
ムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリ
ケート、ハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0))、酸化ランタン
等の材料を用いてもよい。さらに、ゲート絶縁層111は、単層構造としてもよいし、積
層構造としてもよい。
ゲート絶縁層111を水素(水や水酸基を含む)等の不純物が低減され、かつ酸素過剰
な状態とするために、ゲート絶縁層111に水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化又
は脱水素化)するための加熱処理(脱水化又は脱水素化処理)や酸素ドープ処理を行って
もよい。脱水化又は脱水素化処理と、酸素ドープ処理は複数回行ってもよく、両方を繰り
返し行ってもよい。
続いて、ゲート絶縁層111上に導電膜を形成し、当該導電膜の一部をエッチングして
ゲート電極層113を形成する(図2(D))。
ゲート電極層113の材料としては、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、
アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分と
する合金材料を用いることができる。また、ゲート電極層113としてリン等の不純物元
素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイド等のシ
リサイド膜を用いてもよい。ゲート電極層113は、単層構造としてもよいし、積層構造
としてもよい。
また、ゲート電極層113の材料として、インジウムスズ酸化物、酸化タングステンを
含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含
むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、
酸化ケイ素を添加したインジウムスズ酸化物等の導電性の金属酸化物材料を用いることも
できる。また、当該金属酸化物材料と、上記金属材料の積層構造とすることもできる。
また、ゲート絶縁層111と接するゲート電極層113の一層として、窒素を含む金属
酸化物、具体的には、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜、窒素を含むIn−Sn−O膜
、窒素を含むIn−Ga−O膜、窒素を含むIn−Zn−O膜、窒素を含むSn−O膜、
窒素を含むIn−O膜、金属窒化膜(InN、SnN等)を用いることができる。これら
の膜は5eV(電子ボルト)、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有
し、ゲート電極層113として用いた場合、トランジスタのしきい値電圧を正の電圧にす
ることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
続いて、ゲート絶縁層111及びゲート電極層113上に絶縁層117を形成する。そ
の後、絶縁層117、ゲート絶縁層111及び保護層109に低抵抗領域105a又は低
抵抗領域105bに到達する開口部を形成する。次いで、当該開口部を介して低抵抗領域
105a又は低抵抗領域105bと電気的に接続するソース電極層115a及びドレイン
電極層115bを形成する(図2(E))。
絶縁層117は、プラズマCVD法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法等により形成
することができる。絶縁層117に用いる材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコ
ン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化マ
グネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム等の無機絶縁膜を単層で又
は積層構造で用いることができる。又は、絶縁層117として、トランジスタ起因の表面
凹凸を低減するために平坦化が容易な絶縁膜(平坦化絶縁膜)を形成してもよく、無機絶
縁膜と平坦化絶縁膜を積層させてもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド系樹脂、ア
クリル系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料と用いることができる。又は、上
記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。
ソース電極層115a及びドレイン電極層115bに用いる材料としては、例えば、ア
ルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の金属、又は
上述した金属の窒化物(窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン)等を用いるこ
とができる。また、アルミニウム、銅等の金属膜の下側又は上側の一方又は双方にチタン
、モリブデン、タングステン等の高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜
、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜等)を積層させた構成としてもよい。また、ソ
ース電極層115a及びドレイン電極層115bに用いる導電膜を、導電性の金属酸化物
で形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、
インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリ
コンを含ませたものを用いることができる。
例えば、ソース電極層115a及びドレイン電極層115bとして、モリブデン膜の単
層、窒化タンタル膜と銅膜との積層膜、又は窒化タンタル膜とタングステン膜の積層膜等
を用いることができる。
ソース電極層115a及びドレイン電極層115bは、それぞれ酸化物層103の低抵
抗領域105a又は低抵抗領域105bと接して設けられるため、これらの接触抵抗を低
減することができる。
以上の工程により、基板101上にトランジスタ100を作製することができる。
本作製工程例で例示した方法によれば、不純物元素が添加され、十分に低抵抗な低抵抗
領域をソース領域又はドレイン領域として用いることにより、ソース電極とドレイン電極
の間の寄生抵抗が十分に低減され、オン特性が改善されたトランジスタを作製することが
できる。
また、不純物元素が添加された酸化物半導体を含む酸化物層の一部の不純物元素を酸素
と置換することにより、チャネルが形成される半導体領域を形成する。したがって、低抵
抗領域を形成するための処理(例えばアルゴンプラズマ処理)によってソース領域及びド
レイン領域が薄膜化することがなく、ソース領域及びドレイン領域を低抵抗な領域とする
ことができる。
<変形例1>
以下では、上記構成例で例示したトランジスタとは異なる構成のトランジスタの構成例
及び作製工程例について説明する。
図3(A)に本変形例で例示するトランジスタ110の断面概略図を示す。トランジス
タ110は半導体領域107内に、低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bよりも厚
さが薄い領域を備える点で、上記構成例で例示したトランジスタ100と相違している。
半導体領域107の一部は、低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bよりも薄く形
成されている。
このように、半導体領域107の一部が低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bよ
りも薄く設けられていることにより、トランジスタ110のしきい値電圧を正の電圧にす
ることが容易であり、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。また、半導
体領域107の厚さを薄くできるため短チャネル効果を抑制できる。さらに、低抵抗領域
105a及び低抵抗領域105bの厚さを厚く形成できるため、ソース電極とドレイン電
極の間の寄生抵抗を低減することができる。
また半導体領域107は、低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bと接する端部に
近いほど厚さが増す、いわゆるテーパ形状を有している。さらに、半導体領域107の低
抵抗領域105a又は低抵抗領域105bと接する端部の厚さは、低抵抗領域105a及
び低抵抗領域105bの厚さと等しい厚さであることが好ましい。
図3(B)には、図3(A)中の破線で示す半導体領域107とドレインとして機能す
る低抵抗領域105bの境界付近を拡大した図を示す。ここで図3(B)には、トランジ
スタ110がオン状態のときのキャリア123が低抵抗領域105bに向かって流れる様
子を模式的に示している。
図3(B)に示すように半導体領域107の端部がテーパ形状をなしていることにより
、半導体領域107の端部において、キャリア123は厚さ方向に広がって低抵抗領域1
05bに流れることができ、半導体領域107と低抵抗領域105bの境界での電流密度
を緩和することができる。したがって当該端部における発熱が抑制され、信頼性の高いト
ランジスタ110とすることができる。
またこのとき、酸化物層103は、半導体領域107と低抵抗領域105a又は低抵抗
領域105bの境界で段差が生じないように連続的に厚さが増すように設けると、これら
の境界における電流密度の緩和が促進されるため好ましい。
また特に、トップゲート型のトランジスタでは、厚さの異なる半導体領域107と低抵
抗領域105a又は低抵抗領域105bの境界において、ゲート絶縁層111の被覆性が
高まるため、ゲート絶縁層111が局所的に薄くなることによるゲートリークや絶縁破壊
といった不具合が抑制され、信頼性の高いトランジスタ110とすることができる。
このような形状の半導体領域107を備える酸化物層103を有するトランジスタ11
0を作製する場合について図4を用いて以下に説明する。
まず、上記作製工程例と同様に、基板101上に絶縁層119、酸化物層103、及び
保護層109となる絶縁膜108を形成する(図4(A))。続いて、絶縁膜108の一
部をエッチングして保護層109を形成する(図4(B))。
このとき、絶縁膜108のエッチングの際に酸化物層103の上層をエッチングするよ
うに、オーバーエッチングを施すことにより、図4(B)に示すように酸化物層103の
後の半導体領域107となる領域の一部を薄膜化させることができる。
又は、絶縁膜108をエッチングした後に、同一のレジストマスクを用いてさらに酸化
物層103の上層のエッチングを行うことで、酸化物層103の加工を行ってもよい。又
は、絶縁膜108をエッチングして保護層109を形成してレジストマスクを除去した後
、保護層109をエッチングマスク(ハードマスクともいう)として用いて、酸化物層1
03の上層をエッチングしてもよい。
続いて、酸化物層103の露出した領域に対して還元処理を施し、当該領域に酸素12
1を導入して不純物元素を酸素と置換することにより、酸化物層103の一部に半導体領
域107を形成する(図4(C))。
以降、上述の作製工程例に倣い、ゲート絶縁層111、ゲート電極層113、絶縁層1
17、ソース電極層115a及びドレイン電極層115bを形成する(図4(D))。
なお上記では、酸化物層103の半導体領域107となる領域を薄膜化させた後に、当
該領域に対して還元処理を施す方法について説明したが、還元処理と酸化物層103の上
層のエッチング処理を同時に行ってもよい。例えば、絶縁膜108をエッチングして保護
層109を形成した後、酸化物層103の露出した領域に対する還元処理として、酸化物
層103に酸素プラズマ処理等、酸化物層103の一部がエッチングされる処理を施すこ
とにより、酸化物層103の半導体領域107となる領域に酸素121を導入しつつ、当
該領域を薄膜化する。
以上の工程により、トランジスタ110を作製することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて
実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の他の例として、上記実施の形態とは
異なる構成のトランジスタの構成例、及びその作製方法例について説明する。なお以下で
は、上記実施の形態と重複する部分については説明を省略し、相違点について詳細に説明
する。
<構成例>
図5(A)は本実施の形態で例示するトランジスタ150の上面概略図であり、図5(
B)は、図5(A)中の切断線C−Dで切断した断面概略図である。なお、明瞭化のため
図5(A)には構成要素の一部(ゲート絶縁層111等)は明示していない。
トランジスタ150は実施の形態1で例示したトランジスタ110と比較して、保護層
109を有していない点、またソース電極層115a又はドレイン電極層115bが酸化
物層103の上面及び側面に接して設けられている点で相違している。
ソース電極層115a及びドレイン電極層115bは、それぞれ低抵抗領域105a又
は低抵抗領域105bを覆い、且つこれらの上面及び側面に接して設けられている。した
がって、トランジスタ110と比較してソース電極層115a及びドレイン電極層115
bの低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bとの接触面積を極めて大きくできるため
、ソース電極層115aとドレイン電極層115bとの間の寄生抵抗を極めて小さいもの
とすることができる。
<作製工程例>
以下では、トランジスタ150の作製工程例について、図6を用いて説明する。図6は
本実施の形態で例示するトランジスタの作製方法にかかる断面概略図である。
まず、実施の形態1で例示した方法により、基板101上に絶縁層119、酸化物層1
03を形成する。
続いて、絶縁層119及び酸化物層103上に後のソース電極層115a及びドレイン
電極層115bとなる導電膜114を成膜する(図6(A))。
続いて、導電膜114の一部をエッチングしてソース電極層115a及びドレイン電極
層115bを形成する(図6(B))。
このとき、図6(B)に示すように、酸化物層103の露出した領域の上層をエッチン
グし、後の半導体領域107となる領域を薄膜化させてもよい。酸化物層103の上層を
エッチングする方法は、実施の形態1の変形例1を参酌すればよい。
続いて、酸化物層103の露出した領域に対して還元処理を施し、当該領域に酸素12
1を導入して不純物元素を酸素と置換することにより、酸化物層103の一部に半導体領
域107を形成する(図6(C))。
このとき、置換処理の方法によってはソース電極層115a及びドレイン電極層115
bの上面の一部が酸化され、絶縁化する場合がある。したがって、ソース電極層115a
及びドレイン電極層115bを構成する導電膜114は、用いる置換処理の方法に応じて
、あらかじめ厚く形成しておくことが好ましい。
また、置換処理によってソース電極層115a及びドレイン電極層115bの上面に酸
化膜が形成されることにより、当該酸化膜をソース電極層115a及びドレイン電極層1
15bの腐食やマイグレーションを抑制するバリア膜として用いることができる。
以降、実施の形態1に倣い、ゲート絶縁層111、ゲート電極層113、及び絶縁層1
17を形成する(図6(D))。
以上の工程により、トランジスタ150を作製することができる。
このような方法によれば、ソース電極層115a及びドレイン電極層115bが実施の
形態1における保護層109としての機能を兼ねるため、作製工程を簡略化でき、歩留ま
りよく作製することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて
実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の他の例として、上記実施の形態とは
異なる構成のトランジスタの構成例について説明する。なお以下では、上記実施の形態と
重複する部分については説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
<構成例1>
図7(A)は、本構成例で例示するトランジスタ170の上面概略図であり、図7(B
)は図7(A)中の切断線E−Fで切断した断面概略図である。なお、明瞭化のため図7
(A)には構成要素の一部(保護層109、ゲート絶縁層111等)は明示していない。
トランジスタ170は、実施の形態1で例示したトランジスタ110と比較して、ソー
ス電極層115a及びドレイン電極層115bが酸化物層103よりも基板101側に配
置されている点で相違している。
ソース電極層115a及びドレイン電極層115bは、絶縁層119上に互いに離間し
て設けられ、ソース電極層115a及びドレイン電極層115b上に接して酸化物層10
3が設けられている。またソース電極層115a及びドレイン電極層115bのそれぞれ
は、低抵抗領域105a又は低抵抗領域105bと電気的に接続している。また酸化物層
103の半導体領域107は、ソース電極層115aとドレイン電極層115bの間の領
域と重なるように設けられている。
ここで、ソース電極層115a又はドレイン電極層115bは、ゲート電極層113と
重ねて設けられていてもよい。本構成例では、ゲート電極層113とソース電極層115
a又はドレイン電極層115bの間に保護層109が設けられているため、これらが重な
って設けられたとしても電極間の寄生容量を十分に低減することができる。
また、ソース電極層115a及びドレイン電極層115bの対向する端部は、半導体領
域107と重なる領域にまで延在していてもよい。またこのとき、ソース電極層115a
及びドレイン電極層115bの一部が半導体領域107の下面と接していてもよい。この
ようにソース電極層115a及びドレイン電極層115bを、低抵抗領域105a又は低
抵抗領域105bとの接触面積を大きくするように設けることにより、ソース電極層11
5aとドレイン電極層115bの間の寄生抵抗をより低減することができる。
また、上記トランジスタ110のような構成では、ソース電極層115a又はドレイン
電極層115bとゲート電極層113とが接する恐れがあるため、ソース電極層115a
とドレイン電極層115bとの間の距離を十分に小さくすることができないが、本構成例
で例示したトランジスタ170ではこのような必要がないため、微細なトランジスタを実
現できる。
<構成例2>
図8(A)は本構成例で例示するトランジスタ180の上面概略図であり、図8(B)
は図8(A)中の切断線G−Hで切断した断面概略図である。なお、明瞭化のため図8(
A)には構成要素の一部(ゲート絶縁層111、絶縁層117等)は明示していない。
トランジスタ180は、実施の形態2で例示したトランジスタ150と比較して、ゲー
ト電極層113及びゲート絶縁層111が酸化物層103よりも基板101側に設けられ
ている点で相違している。
具体的には、ゲート電極層113は絶縁層119上に設けられ、ゲート電極層113を
覆ってゲート絶縁層111が設けられている。またゲート絶縁層111上に接して、ゲー
ト電極層113と重なるように酸化物層103が設けられている。また酸化物層103の
低抵抗領域105a及び低抵抗領域105bのそれぞれの上面に接して、ソース電極層1
15a又はドレイン電極層115bが設けられている。また、酸化物層103のソース電
極層115a及びドレイン電極層115bと重ならない領域に、半導体領域107が設け
られている。
ここで、図8に示すように、ゲート電極層113がソース電極層115a及びドレイン
電極層115bの一部と重なるように設けられていることにより、トランジスタ180を
オン状態としたときに、半導体領域107の端部を含めた全域にチャネルが形成されるた
め、トランジスタ180のオン電流を増大させることができる。
また、図8(C)に示すように半導体領域107の上面に接する第2のゲート絶縁層1
81と、当該第2のゲート絶縁層181上に接し、半導体領域107と重なる第2のゲー
ト電極層183を設ける構成としてもよい。一方のゲートに適切な電位を与えることによ
り、トランジスタのしきい値電圧を自由に設定することができる。また、図8(C)に示
すように半導体領域107を2つのゲート絶縁層で挟持する構成とすることにより、半導
体領域107への不純物の拡散が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて
実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上述した半導体装置の作製方法により作製可能な抵抗素子の例につ
いて、図面を参照して説明する。なお以下では、上記実施の形態と重複する部分について
は説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
また本実施の形態で例示する抵抗素子は、上記実施の形態で例示したトランジスタと同
一の作製工程により作製できる。したがって工程を増やすことなくトランジスタと抵抗素
子を同一基板上に作製することができる。また、本実施の形態で例示する抵抗素子を構成
する層が、上記実施の形態で例示したトランジスタを構成するいずれかの層と共通する機
能を有している場合には、名称や符号として共通のものを用いる場合がある。
<構成例1>
図9(A)は、本構成例で例示する抵抗素子200の上面概略図であり、図9(B)は
図9(A)中の切断線I−Jで切断した断面概略図である。なお明瞭化のため、図9(A
)には構成要素の一部(絶縁層117等)を明示していない。
抵抗素子200は、実施の形態1で例示したトランジスタ100と比較して、ゲート電
極層113を有していない点で相違している。
抵抗素子200は、低抵抗領域105aと低抵抗領域105bに挟持された半導体領域
107を備える酸化物層103を有する。また低抵抗領域105a及び低抵抗領域105
bのそれぞれの上面に接して、保護層109が設けられている。また、絶縁層117、ゲ
ート絶縁層111、及び保護層109に設けられた開口部を介して、絶縁層117上に設
けられた第1の電極層125a及び第2の電極層125bが、低抵抗領域105a又は低
抵抗領域105bと電気的に接続されている。
抵抗素子200は、半導体領域107の抵抗成分を利用した抵抗素子である。ここで低
抵抗領域105a及び低抵抗領域105bは十分に低抵抗化され、且つ当該領域と第1の
電極層215a又は第2の電極層215bとの接触抵抗も十分に低減されている。第1の
電極層215a又は第2の電極層215bの間の寄生抵抗が極めて小さいため、実質的に
抵抗素子200の抵抗値は、半導体領域107の抵抗成分で決定される。
ここで、半導体領域107を形成する際の置換処理の条件を変えることにより、半導体
領域107の導電性を変化させることができる。したがって、同一の形状で抵抗素子20
0を形成したとしても、要求される抵抗値に応じて置換処理条件を変化させることで、様
々な抵抗値の抵抗素子を作製することができる。
なお、ゲート絶縁層111及び絶縁層117を設けない構成としてもよい。またゲート
絶縁層111又は絶縁層117のうち少なくとも一方を、半導体領域107の上面に接し
て設けると、半導体領域107への不純物の拡散が抑制されるため信頼性の高い抵抗素子
200とすることができ好ましい。
<構成例2>
図10(A)は、本構成例で例示する抵抗素子210の上面概略図であり、図10(B
)は図10(A)中の切断線K−Lで切断した断面概略図である。なお明瞭化のため、図
10(A)には構成要素の一部(絶縁層117等)を明示していない。
抵抗素子210は、実施の形態2で例示したトランジスタ150と比較して、ゲート電
極層113を有していない点で相違している。
第1の電極層215a及び第2の電極層215bは、それぞれ低抵抗領域105a又は
低抵抗領域105bを覆い、且つこれらの上面及び側面に接して設けられている。したが
って、抵抗素子200と比較して第1の電極層215a及び第2の電極層215bの低抵
抗領域105a又は低抵抗領域105bとの接触面積を極めて大きくできるため、第1の
電極層215aと第2の電極層215bの間の接触抵抗を極めて小さいものとすることが
できる。
また、上記構成例1と同様に、ゲート絶縁層111及び絶縁層117を設けない構成と
してもよいが、これらの少なくとも一方を設けると信頼性の高い抵抗素子210とするこ
とができるため好ましい。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて
実施することができる。
(実施の形態5)
上記実施の形態で例示した酸化物層103に適用可能な酸化物半導体として、結晶性を
有する酸化物半導体膜を用いると、トランジスタの電気特性を向上できる。好ましくは、
酸化物半導体膜としてCAAC−OS(C Axis Aligned Crystal
line Oxide Semiconductor)膜を用いることが好ましい。以下
では、CAAC−OS膜が適用された半導体装置について説明する。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS
膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜で
ある。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであること
が多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electro
n Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と
結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレ
インバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に
起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベク
トル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角
形状又は六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状又は金属
原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb
軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以
上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上
5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CA
AC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被
形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、C
AAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非
晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベク
トル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成
面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお
、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線方向又は
表面の法線方向に平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、又は成膜後に熱処
理等の結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変
動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体膜を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
また、CAAC−OSのように結晶部を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を
低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移
動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体
を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは
0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
なお、Raは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義
されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「
基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、以下の式(1)にて定
義される。
なお、上記において、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標((x,y
,f(x,y))(x,y,f(x,y))(x,y,f(x,y
))(x,y,f(x,y))の4点で表される四角形の領域とし、指定面を
xy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ
する。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscop
e)にて評価可能である。
上記のようなCAAC−OS膜を得る方法としては、例えば、基板を加熱して(例えば
、基板温度を170℃として)酸化物半導体膜の成膜を行い、表面に概略垂直にc軸配向
させる方法がある。
なお、酸化物半導体膜は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよく、第1の酸
化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜に、CAAC−OSとは異なる結晶性の酸化物半導
体を適用してもよい。すなわち、CAAC−OSと、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物
半導体、又は非晶質酸化物半導体を適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸
化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の少なくともどちらか一方に非晶質酸化物半導体を
適用すると、積層された酸化物半導体膜の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジ
スタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに高めることが可能
となる。一方で、非晶質酸化物半導体は水素等のドナーとなる不純物を吸収しやすく、ま
た、酸素欠損が生じやすいためn型化されやすい。このため、チャネル側の酸化物半導体
膜は、CAAC−OS等の結晶性を有する酸化物半導体を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体膜を3層以上の積層構造とし、複数層の結晶性を有する酸化物半導
体膜で非晶質酸化物半導体膜を挟む構造としてもよい。また、結晶性を有する酸化物半導
体膜と非晶質酸化物半導体膜を交互に積層する構造としてもよい。また、酸化物半導体膜
を複数の膜の積層構造とする場合の上記構成は、それぞれを適宜組み合わせて用いること
ができる。
以上のように、酸化物半導体膜としてCAAC−OS膜を用いることにより、熱処理(
脱水素化処理)において、CAAC−OS膜の上面から容易に水素を離脱させることがで
きる。また、当該熱処理において、酸素の離脱を低減して選択的に水素を多く離脱させる
ことができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体装置の一例として、上記実施の形態に開示した半導体装置を
少なくとも一部に用いたCPU(Central Processing Unit)に
ついて説明する。
図11(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図11(A)に示す
CPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic log
ic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコー
ダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レ
ジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bu
s I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(
ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板
等を用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けて
もよい。もちろん、図11(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にす
ぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクショ
ンデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、イン
タラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントロー
ラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロ
ーラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種
制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御す
るための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログ
ラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマス
ク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のア
ドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ11
92、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及び
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号
CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記
各種回路に供給する。
図11(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。
レジスタ1196のメモリセルには、論理を反転させる論理素子(以降、反転素子と呼ぶ
。)と不揮発性記憶素子の両方を備える。
図11(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU119
1からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジ
スタ1196が有するメモリセルにおいて、反転素子によるデータの保持を行うか、不揮
発性記憶素子によるデータの保持を行うかを、選択する。反転素子によるデータの保持が
選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる
。不揮発性記憶素子におけるデータの保持が選択されている場合、不揮発性記憶素子への
データの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止
することができる。
電源停止に関しては、図11(B)又は図11(C)に示すように、メモリセル群と、
電源電位VDD又は電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設
けることにより行うことができる。以下に図11(B)及び図11(C)の回路の説明を
行う。
図11(B)及び図11(C)では、レジスタ1196は、メモリセルへの電源電位の
供給を制御するスイッチング素子を備える。
図11(B)に示すレジスタ1196は、スイッチング素子1141と、メモリセル1
142を複数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル11
42には、反転素子と不揮発性記憶素子の両方を備えている。メモリセル群1143が有
する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源
電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各メモリセル11
42には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
図11(B)では、スイッチング素子1141として、トランジスタを用いており、該
トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御さ
れる。
なお、図11(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する
構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチ
ング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場
合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていても
よいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、図11(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、ス
イッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、レジ
スタ1196の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が
有する各メモリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することが
できる。
メモリセル群と、電源電位VDD又は電源電位VSSの与えられているノード間に、ス
イッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合
においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具
体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボード等の入力装置への
情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費
電力を低減することができる。
また、このようなCPUが適用された電子機器は、消費電力が低減されているため、例
えば太陽電池や非接触給電(ワイヤレス給電ともいう)によって得られる比較的小さな電
力でも十分に動作させることができる。例えば、電子機器に太陽電池モジュール又は非接
触給電モジュールと、このようなモジュールによって得られた電力を蓄電する2次電池(
リチウムイオン電池等)を備える構成とする。
このようなCPUを構成するスイッチング素子や抵抗素子に、上記実施の形態で例示し
た半導体装置を適用することにより、高いオン特性により高速動作が実現されたCPUと
することができる。
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal
Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmab
le Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
(実施の形態7)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用するこ
とができる。電子機器としては、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ
型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digita
l Versatile Disc)等の記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生す
る画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレ
オ、ステレオ、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話、自動車電話
、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、音声入力機
器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装
置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、エアコンディショナー等の空調設備、食器洗
い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫
、DNA保存用冷凍庫、煙感知器、放射線測定器、透析装置等の医療機器、等が挙げられ
る。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボ
ット、電力貯蔵システム等の産業機器も挙げられる。また、石油を用いたエンジンや、非
水系二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体等も、電子機器の範疇に含
まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機
を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これ
らのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車
、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター
、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船が挙げられる。これら
の電子機器の具体例を図12及び図13に示す。
図12(A)は、携帯音楽プレーヤであり、本体3021には表示部3023と、耳に
装着するための固定部3022と、スピーカ、操作ボタン3024、外部メモリスロット
3025等が設けられている。上記実施の形態で例示した半導体装置を、本体3021に
内蔵されているCPU等に適用することにより、より省電力化された携帯音楽プレイヤー
(PDA)とすることができる。
さらに、図12(A)に示す携帯音楽プレーヤにアンテナやマイク機能や無線機能を持
たせ、携帯電話と連携させれば、乗用車等を運転しながらワイヤレスによるハンズフリー
での会話も可能である。
図12(B)はコンピュータであり、CPUを含む本体9201、筐体9202、表示
部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9
206等を含む。上記実施の形態に示したCPU等の半導体装置を利用すれば、省電力化
されたコンピュータとすることが可能となる。
図13(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002
が組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカ部8003から音声
を出力することが可能である。上記実施の形態で例示した半導体装置を筐体8001に組
み込まれた表示部8002を動作するための駆動回路に用いることが可能である。
表示部8002は、液晶表示装置、有機EL素子等の発光素子を各画素に備えた発光装
置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devic
e)、PDP(Plasma Display Panel)等の、半導体表示装置を用
いることができる。
テレビジョン装置8000は、受信機やモデム等を備えていてもよい。テレビジョン装
置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを
介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から
受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士等)の情報通信を行うこ
とも可能である。
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えて
いてもよい。テレビジョン装置8000は、上記実施の形態で例示したCPU等の半導体
装置を用いることが可能である。
図13(A)において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショ
ナーは、上記実施の形態で例示したCPU等の半導体装置を用いた電子機器の一例である
。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を有
する。図13(A)において、CPU8203が、室内機8200に設けられている場合
を例示しているが、CPU8203は室外機8204に設けられていてもよい。或いは、
室内機8200と室外機8204の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。上
記実施の形態で例示したCPUを用いることにより、省電力に優れたエアコンディショナ
ーを実現できる。
図13(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300は、上記実施の形態で例示したCPU
等の半導体装置を備える電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、
筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する。
図13(A)では、CPU8304が、筐体8301の内部に設けられている。上記実施
の形態で例示したCPU等の半導体装置を電気冷凍冷蔵庫8300のCPU8304に用
いることによって省電力化が図れる。
図13(B)、及び図13(C)において、電子機器の一例である電気自動車の例を示
す。電気自動車9700には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の
電力は、制御回路9702により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制
御回路9702は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によ
って制御される。上記実施の形態で例示したCPU等の半導体装置を電気自動車9700
の処理装置9704に用いることによって省電力化が図れる。
駆動装置9703は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、
を組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情
報(加速、減速、停止等)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負
荷情報等)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路97
02は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気エネ
ルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は
、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
本実施例では、不純物元素が添加された酸化物半導体を含む酸化物膜に対して置換処理
を行い、置換処理前後でシート抵抗の測定を行った結果と、置換処理後に断面観察を行っ
た結果について示す。
<試料の作製>
まず、126mm×126mmのガラス基板上に厚さが100nmとなるように、酸化
シリコン膜をスパッタリング法により成膜した。
続いて、酸化シリコン膜上に厚さが30nmとなるように、窒素が添加されたIn−G
a−Zn−O膜(以降IGZO−N膜ともいう)をスパッタリング法により成膜した。
IGZO−N膜の成膜条件は、組成比としてIn:Ga:ZnO=1:1
:2[mol比]の酸化物ターゲットを用い、基板とターゲットとの間の距離を60mm
、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、窒素(N流量40sccm)雰囲気
下、基板温度200℃とした。
IGZO−N膜に対し、置換処理として酸素ラジカル処理を行った試料(試料1)と、
酸素イオン注入処理を行った試料(試料2)を作製した。
酸素ラジカル処理の条件は、アルゴンと酸素(Ar流量900sccm、O2流量5s
ccm)雰囲気下、電力3.8kW(周波数2.45GHz)、基板温度200℃、処理
室内圧力10Pa、電極間隔60mmとし、10分間処理を行った。
酸素イオン注入処理としては、イオンインプランテーション法を用いた。酸素イオン注
入処理の条件は、酸素イオンのドーズ量5.0×1015cm−2、加速電圧5kVとし
た。
以上の工程により、IGZO−N膜に対して置換処理として酸素ラジカル処理を行った
試料1、置換処理として酸素イオン注入処理を行った試料2を、それぞれ作製した。また
置換処理を施していないものを比較例として用いた。
ここで、試料1、試料2について、置換処理の工程の前後において、シート抵抗測定を
行った。測定は、100mm×100mmの領域内の25点について行った。
<シート抵抗測定>
続いて、試料1及び試料2における、置換処理の前後で測定したシート抵抗測定の結果
を示す。
[試料1]
試料1のシート抵抗の測定結果を図14(A)に示す。置換処理を施す前の段階ではシ
ート抵抗値が0.43MΩ/□〜1.63MΩ/□の範囲であったのに対し、置換処理を
施した後では、シート抵抗値は装置の検出上限以上(1GΩ/□以上)であった。
[試料2]
試料2のシート抵抗の測定結果を図14(B)に示す。置換処理を施す前の段階ではシ
ート抵抗値が0.40MΩ/□〜1.39MΩ/□の範囲であったのに対し、置換処理を
施した後では、異常値を除くと装置の検出上限以上(1GΩ/□以上)であった。ここで
、置換処理を施した後において、極端にシート抵抗値が低く見積もられた点は基板の端部
に偏って分布していたため、ここでは異常値として対象から除外した。
<断面像の観察結果>
続いて、作製した3つの試料について、走査型透過電子顕微鏡(STEM(Scann
ing Transmission Electron Microscopy))によ
り断面観察を行った。なお、観察の前処理として各試料に対してカーボンとPtをコーテ
ィングした。
[比較例]
比較例の断面観察像を図15に示す。酸化シリコン膜上にIGZO−N膜が、約32.
6nmの厚さで成膜されていることが確認できた。
[試料1]
試料1の断面観察像を図16(A)に示す。酸化シリコン膜上にIGZO−N膜が約3
5.3nmの厚さで成膜されていることが確認できた。また、IGZO−N膜の上層約1
2.1nmの領域(図中の矢印で示す領域)に、異層が形成されていることが確認できた
[試料2]
試料2の断面観察像を図16(B)に示す。酸化シリコン膜上にIGZO−N膜が約3
3.7nmの厚さで成膜されていることが確認できた。また、IGZO−N膜の上層約6
.2nmの領域(図中の矢印で示す領域)に、異層が形成されていることが確認できた。
<EDX分析>
続いて、試料1及び試料2で見られたIGZO−N膜中の異層について、エネルギー分
散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray Spec
troscopy)による分析を行った結果を示す。なお、比較例についても同様の分析
を行った。
比較例のIGZO−N膜と、試料1及び試料2のIGZO−N膜中の異層における、E
DX分析結果を図17に示す。図17には、Inに対するGa、Zn、N、Oの相対濃度
を示している。
試料1、試料2共に、窒素濃度が低減し、酸素濃度が上昇していることが確認できた。
以上の一連の結果から、置換処理によってIGZO−N膜中の不純物元素である窒素が
酸素に置換されたことが確認できた。さらに、置換処理によってIGZO−N膜の上層の
一部を酸素に置換することにより抵抗率が大幅に上昇することが確認できた。
ここで、本実施例ではIGZO−N膜の上層の一部のみで置換処理の効果が見られたが
、本実施例の結果から、IGZO−N膜の薄膜化、または置換処理の条件のさらなる最適
化により、IGZO−N膜の全層に渡って置換処理が可能なことが示唆された。
<XPS分析による組成分析結果>
本実施例では、実施例1で作製した3つの試料について、X線光電子分光法(XPS:
X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、さら
に詳細に組成分析を行った結果を示す。
比較例、試料1、及び試料2について、IGZO−N膜の最表面におけるXPS分析に
よる組成分析結果を図18に示す。図18には、In、Ga、Zn、N、Oの濃度を示し
ている。
窒素濃度について、置換処理を施していない比較例では約10.5atom%であるの
に対し、試料1では約1.4atom%、試料2では約5.1atom%であった。
一方、酸素濃度については、比較例では約47.8atom%であるのに対し、試料1
では59.5atom%、試料2では約55.5atom%であった。
以上のように、置換処理を施すことで窒素の大幅な濃度の低下と、酸素の大幅な濃度の
上昇がみられたことから、膜中の窒素が酸素に置換されたことが確認できた。
100 トランジスタ
101 基板
103 酸化物層
105a 低抵抗領域
105b 低抵抗領域
107 半導体領域
108 絶縁膜
109 保護層
110 トランジスタ
111 ゲート絶縁層
113 ゲート電極層
114 導電膜
115a ソース電極層
115b ドレイン電極層
116 ゲート電極層
117 絶縁層
118 絶縁層
119 絶縁層
121 酸素
123 キャリア
125a 電極層
125b 電極層
150 トランジスタ
170 トランジスタ
180 トランジスタ
181 ゲート絶縁層
183 ゲート電極層
200 抵抗素子
210 抵抗素子
215a 電極層
215b 電極層
1141 スイッチング素子
1142 メモリセル
1143 メモリセル群
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
3021 本体
3022 固定部
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部メモリスロット
8000 テレビジョン装置
8001 筐体
8002 表示部
8003 スピーカ部
8200 室内機
8201 筐体
8202 送風口
8203 CPU
8204 室外機
8300 電気冷凍冷蔵庫
8301 筐体
8302 冷蔵室用扉
8303 冷凍室用扉
8304 CPU
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9700 電気自動車
9701 二次電池
9702 制御回路
9703 駆動装置
9704 処理装置

Claims (3)

  1. 酸化物層と、
    ゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を介して、前記酸化物層と重なるゲート電極と、を有する半導体装置の作製方法であって、
    前記酸化物層上に、絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜をエッチングして開口部を形成する際、前記酸化物層の上層をエッチングして、前記開口部における前記絶縁膜の端部には第1のテーパを形成し、かつ前記第1のテーパと連続した領域における前記酸化物層には第2のテーパを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 酸化物層と、
    ゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を介して、前記酸化物層と重なるゲート電極と、を有する半導体装置の作製方法であって、
    前記酸化物層上に、絶縁膜を形成し、
    レジストマスクを用いて、前記絶縁膜をエッチングして開口部を形成し、前記レジストマスクを用いて、前記酸化物層の上層をエッチングして、前記開口部における前記絶縁膜の端部には第1のテーパを形成し、かつ前記第1のテーパと連続した領域における前記酸化物層には第2のテーパを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 酸化物層と、
    ゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を介して、前記酸化物層と重なるゲート電極と、を有する半導体装置の作製方法であって、
    前記酸化物層上に、絶縁膜を形成し、
    レジストマスクを用いて、前記絶縁膜をエッチングして開口部を形成し、前記レジストマスクを除去し、前記開口部が形成された絶縁膜を用いて、前記酸化物層の上層をエッチングして、前記開口部における前記絶縁膜の端部には第1のテーパを形成し、かつ前記第1のテーパと連続した領域における前記酸化物層には第2のテーパを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
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